JP2006238001A - 圧電振動片および圧電デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 圧電材料により形成された基部51と、前記基部と一体に形成され、前記基部の一端側から互いに平行に延びる複数の振動腕35,36と、前記各振動腕の長手方向に沿って形成された長溝と、前記長溝に形成した駆動用の電極とを備えており、前記各振動腕の幅寸法W1が、前記振動腕の前記基部51に対する付け根付近から先端側に向かって、徐々に縮幅する縮幅部71と、該縮幅部71の終端からさらに先端側に向かって腕幅に変化なく延びるストレート部72と、該ストレート部の終端であり、前記幅寸法が先端側に向かって徐々に増加する拡幅部73につながる幅変化の変更点Pとを有する圧電振動片である。
【選択図】 図1
Description
図5は、圧電デバイスに従来より用いられている圧電振動片の一例を示す概略平面図であり、図6は図5のB−B線切断端面図である。
このような圧電振動片1においては、駆動用の電極を介して駆動電圧が印加されると、各振動腕3,4の先端部を近接・離間するようにして、屈曲振動することにより、所定の周波数の信号が取り出されるようになっている。
このことは、一方向に長い圧電振動片1を小型化しようとして、図5における全長AL1の大きさを小さくしようとする場合、振動腕の長さlを短くすると、周波数が高くなることを意味する。また、振動腕の幅wが小さくなると、周波数は下がる。このことから、従来の周波数を維持して、小型化を図るためには、振動腕の長さをある程度短くしつつ腕幅wを小さくしなければならない。
これに対して、腕幅wは、これまでのものが100μmであったものを、小型化により50μm程度とする場合を考える。腕幅100μmの際に、溝幅C1が70μm程度、側壁厚みS1,S1がそれぞれ15μm程度づつあったものが、腕幅wを50μm程度とすると、溝幅C1が40μm程度、側壁厚みS1,S1はそれぞれ5μm程度づつとしなければならない。
図7は、従来構造のまま圧電振動片を小型化した場合のドライブ特性を示すグラフであり、図の横軸に沿って、駆動パワーのレベルを徐々に増大させると、縦軸の周波数変化がマイナス方向に生じる。このことは、図6のZ方向振動の成分が多くなって、エネルギーロスの多い振動となってしまうことを示しており、CI(クリスタルインピーダンス)値の増大の原因となる。
このため、振動腕に縮幅部を形成することで、振動腕の付け根付近の剛性は、先端側と比較して高くされているので、屈曲振動を安定させCI値を低減し、しかも2次の高調波における振動の際の振動の「節」をより先端側に位置させることができると考えられる。このことにより、長溝を長くして圧電材料の電界効率を上げ、かつ屈曲振動を安定させることで、基本波のCI値を抑制しても、このことが、2次の高調波のCI値の低下を招くことがないようにすることができる。
また、前記ストレート部を設けることで、このストレート部が形成された長さ範囲の剛性は低下せず、さらに、前記変更点Pから先の腕幅を拡大している。このことは、振動腕の屈曲振動において、錘として作用する部分を先端側に位置されることができ、2次の高調波における振動の際の振動の「節」をより先端側に位置させることができると考えられるので、基本波のCI値を抑制しながら、2次の高調波のCI値の低下を招くことが一層確実に行えるから、2次の高調波による発振が生じにくい。
かくして、小型化しても、基本波のCI値だけを低く抑えることができ、ドライブ特性が悪化することがない圧電振動片を提供することができる。
第2の発明の構成によれば、振動腕の付け根付近は、第2の縮幅部により、剛性が一層強化されている。これにより、振動腕の屈曲振動を一層安定させることができ、基本波のCI値の抑制をはかることができる。
第3の発明の構成によれば、基部の一端から屈曲振動する振動腕が伸びていて、所定長さの前記基部の他端から、支持用アームが延びている。このため、支持用アームがパッケージなどの基体側に接着などにより接合された場合においては、周囲温度の変化や、落下衝撃などを原因として、その接合箇所に生じた応力変化が、支持用アームの接合箇所から、前記基部の他端までの距離を隔てて、さらには基部の所定長さの距離を隔てて振動腕に影響を与えることはほとんどなく、このため、特に温度特性が良好となる。
しかも、これとは逆に屈曲振動する振動腕からの振動漏れは、基部を隔てた支持用アームに達するまでに基部の所定長さを隔てていることから、ほとんど及ぶことがない。すなわち、基部長さが極端に短いと、屈曲振動の漏れた成分が支持用アーム全体に拡がり、制御が困難となる事態が考えられるが、この発明において、そのようなおそれがない。
そして、このような作用を得ることができる上に、支持用アームは、基部の他端から幅方向に延長され、振動腕の外側で、この振動腕と同じ方向に延びる構成としたから、全体の大きさをコンパクトにすることができる。
前記基部と一体に形成され、前記基部の一端側から互いに平行に延びる複数の振動腕と、前記各振動腕の長手方向に沿って形成された長溝と、前記長溝に形成した駆動用の電極とを備えており、前記各振動腕の幅寸法が、前記振動腕の前記基部に対する付け根付近から先端側に向かって、徐々に縮幅する縮幅部と、該縮幅部の終端からさらに先端側に向かって腕幅に変化なく延びるストレート部と、該ストレート部の終端であり、前記幅寸法が先端側に向かって徐々に増加する拡幅部につながる幅変化の変更点Pとを有する圧電デバイスにより、達成される。
これらの図において、圧電デバイス30は、圧電振動子を構成した例を示しており、この圧電デバイス30は、基体であるパッケージ57内に圧電振動片32を収容している。
パッケージ57は、図1および図2に示すように、例えば、矩形の箱状に形成されている。具体的には、パッケージ57は、第1の基板55と第2の基板56とを積層して形成されており、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成形して図示の形状とした後で、焼結して形成されている。
このため、この圧電振動片32の導電性接着剤43による固定支持の後においては、圧電振動片32を構成する材料と、パッケージ57を構成する材料の線膨張係数の相違などに起因して、基部51には、残留応力が存在している。
各振動腕35,36の主面の表裏には、好ましくは、それぞれ長さ方向に延びる長溝33,34をそれぞれ形成し、図1および図2に示すように、この長溝内に駆動用の電極である励振電極37,38が設けられている。
振動腕36は、基部51に対する付け根付近を起点として、それより先端側に一定長さL1で延びる第1の縮幅部71を有している。この第1の縮幅部71は、先端に向かって腕幅W1が徐々に縮幅している部分である。この第1の縮幅部71は、ほぼ長溝34の先端付近まで続いており、第1の縮幅部71の終端から所定距離にわたって、腕幅W1が変化しない部分であるストレート部72が、L2の長さで形成されている。
さらに、ストレート部72の終端は、幅の変更点Pであり、このPの箇所からさらに先端側はL3の長さで、腕幅W1が次第に拡幅する拡幅部73が形成されている。
すなわち、この実施形態では、各振動腕35,36の先端部である拡幅部73は、ややテーパ状に次第に拡幅されることにより、重量増加され、錘の役割を果たすようにされている。これにより、振動腕の屈曲振動がされやすくなっている。
これにより、振動腕36の付け根付近は、第2の縮幅部74により、剛性が一層強化されている。このため、振動腕の屈曲振動を一層安定させることができ、さらに、基本波のCI値の抑制をはかることができる。
このような圧電振動片32の音叉状の外形と、各振動腕に設ける長溝は、それぞれ例えば水晶ウエハなどの材料をフッ酸溶液などでウエットエッチングしたり、ドライエッチングすることにより精密に形成することができる。
そして、長溝33,34内の励振電極に駆動電圧が印加されることによって、駆動時に、各振動腕の長溝が形成された領域の内部の電界効率を高めることができるようになっている。
これにより、振動腕35,36が屈曲振動する際に振動漏れが基部51側に漏れ、支持用アーム61,62に伝搬することを抑制し、CI値を低く抑えることができる。
この距離BLは、好ましくは、振動腕35,36の付け根付近における腕幅寸法W1の大きさを超える寸法とされている。
すなわち、音叉型振動片の振動腕35,36が屈曲振動する際に、その振動漏れが基部51に向かって伝えられる範囲は、振動腕35,36の腕幅寸法W1と相関がある。本発明者はこの点に着目し、支持用アーム61,62の基端となる箇所を適切な位置にもうけなければならないという知見を持った。
しかも、これとは逆に屈曲振動する振動腕35,36からの振動漏れは、基部51を隔てた支持用アーム61,62に達するまでに距離BLを超える基部51の所定長さを隔てていることから、ほとんど及ぶことがない。
そして、このような作用を得ることができる上に、支持用アーム61,62は、図示したように、基部51の他端部53から幅方向に延長され、振動腕35,36の外側で、この振動腕と同じ方向に延びる構成としたから、全体の大きさをコンパクトにすることができる。
また、この実施形態では、図1に示すように、支持用アーム61,62の先端が、振動腕35,36の先端よりも基部51寄りになるように形成されている。この点においても、圧電振動片32の大きさをコンパクトにすることができる。
振動腕36の長溝34の溝幅MWは、例えば約30ないし40μmとされている。振動腕35と振動腕36の間隔BWが、約80μmである。振動腕36の長溝34を両側から挟む圧電材料の壁部分の壁厚みに関しては、基部51の近傍の壁厚みDW1が、例えば10μm程度、長溝34の先端付近の壁厚みDW2が、例えば5μm程度とされている。
図4の圧電振動片32−1において、図1及び図2の第1の実施形態と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
この圧電振動片32−1は、圧電材料により形成された基部51と、基部51と一体に形成され、前記基部の一端側から互いに平行に延びる複数の振動腕35,36と、各振動腕35,36の長手方向に沿って形成された長溝33,34とを有し、さらに、各振動腕35,36の幅寸法が、振動腕の基部51に対する付け根付近から先端側に向かって、徐々に縮幅する第1の縮幅部71と、第1の縮幅部71の終端からさらに先端側に向かって腕幅に変化なく延びるストレート部72と、該ストレート部72の終端であり、前記幅寸法が先端側に向かって徐々に増加する拡幅部73につながる幅変化の変更点Pとを有しており、駆動電極の図示は省略されている。
したがって、支持用アーム61,62を備えない以外は、第1の実施形態の圧電振動片32と同じである。
ここで、例えば、第1の縮幅部71の長さL1、ストレート部72の長さL2、拡幅部73の長さL3は、L1:L2:L3が、0.738:0.262:0.200(単位はすべて「mm」)とすることができ、きわめて小さな圧電振動片であることがわかる。
このため、振動腕36に第1の縮幅部71を形成することで、振動腕36の付け根付近の剛性は、先端側と比較して高くされているので、屈曲振動を安定させCI値を低減し、しかも2次の高調波における振動の際の振動の「節」をより先端側に位置させることができると考えられる。このことにより、長溝36を長くして圧電材料の電界効率を上げ、かつ屈曲振動を安定させることで、基本波のCI値を抑制しても、このことが、2次の高調波のCI値の低下を招くことがないようにすることができる。
また、この発明は、箱状のパッケージに圧電振動片を収容したものに限らず、シリンダー状の容器に圧電振動片を収容したもの、圧電振動片をジャイロセンサーとして機能するようにしたもの、さらには、圧電振動子、圧電発振器等の名称にかかわらず、圧電振動片を利用したあらゆる圧電デバイスに適用することができる。さらに、圧電振動片32では、一対の振動腕を形成しているが、これに限らず、振動腕は3本でも、4本以上でもよい。
Claims (4)
- 圧電材料により形成された基部と、
前記基部と一体に形成され、前記基部の一端側から互いに平行に延びる複数の振動腕と、
前記各振動腕の長手方向に沿って形成された長溝と、
前記長溝に形成した駆動用の電極と
を備えており、
前記各振動腕の幅寸法が、前記振動腕の前記基部に対する付け根付近から先端側に向かって、徐々に縮幅する縮幅部と、
該縮幅部の終端からさらに先端側に向かって腕幅に変化なく延びるストレート部と、
該ストレート部の終端であり、前記幅寸法が先端側に向かって徐々に増加する拡幅部につながる幅変化の変更点Pと
を有することを特徴とする、圧電振動片。 - 前記縮幅部を第1の縮幅部として、さらに前記振動腕の前記基部に対する付け根から、前記第1の縮幅部が始まる箇所までの間で、先端側に向かって急激に縮幅する第2の縮幅部を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片。
- 前記基部の前記一端側より前記所定距離だけ離れた他端側から幅方向に延長され、かつ前記振動腕の外側において、該振動腕と同じ方向に延びる支持用アームを備えることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の圧電振動片。
- パッケージまたはケース内に圧電振動片を収容した圧電デバイスであって、
前記圧電振動片が、
圧電材料により形成された基部と、
前記基部と一体に形成され、前記基部の一端側から互いに平行に延びる複数の振動腕と、
前記各振動腕の長手方向に沿って形成された長溝と、
前記長溝に形成した駆動用の電極と
を備えており、
前記各振動腕の幅寸法が、前記振動腕の前記基部に対する付け根付近から先端側に向かって、徐々に縮幅する縮幅部と、
該縮幅部の終端からさらに先端側に向かって腕幅に変化なく延びるストレート部と、
該ストレート部の終端であり、前記幅寸法が先端側に向かって徐々に増加する拡幅部につながる幅変化の変更点Pと
を有することを特徴とする、圧電デバイス。
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