JP2006232867A - 易分散性顔料組成物およびその使用 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、顔料組成物および顔料分散液に関する。
一般に、顔料を、塗料、グラビアインキ、オフセットインキ、筆記具用インキ、インキジェット記録用インキなどのビヒクルに混合分散させる際には、顔料を安定してビヒクル中に分散させることが難しく、ビヒクル中に一旦分散した微細な顔料粒子は、そのビヒクル中で凝集する傾向があり、その結果、顔料が分散されたビヒクルの粘度の上昇、あるいは該顔料が分散されたビヒクルを使用したインキや塗料の着色力の低下や塗膜のグロスの低下などを生ずることとなる(特許文献1〜6)。
従って、本発明の目的は、印刷インキ(オフセットインキ、グラビアインキなど)、各種塗料、顔料捺染剤、電子写真用乾式トナーまたは湿式トナー、インキジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、筆記用具用インキなどの製造に際し、これらのインキなど中に分散した顔料粒子の凝集を防止し、流動性に優れ、安定した上記インキなどの製造を可能にする易分散性顔料組成物を提供することである。
上記目的は以下の本発明によって達成される。
1.有機顔料と分散剤とからなる易分散性顔料組成物において、分散剤が、下記一般式(1)で表される化合物、その金属の塩、アンモニアの塩、有機アミンの塩および有機第4級アンモニウム化合物の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする易分散性顔料組成物。
(但し、式中のR1およびR2は、同じでも異なってもよく、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、第1〜3級アミノ基、アルキル基、無置換または置換のアリール基、無置換または置換のフタルイミドメチル基を、R3およびR4は、同じでも異なってもよく、それぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を、nは、スルホン酸基の平均導入個数であって0.5〜3の数である。)
1.有機顔料と分散剤とからなる易分散性顔料組成物において、分散剤が、下記一般式(1)で表される化合物、その金属の塩、アンモニアの塩、有機アミンの塩および有機第4級アンモニウム化合物の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする易分散性顔料組成物。
(但し、式中のR1およびR2は、同じでも異なってもよく、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、第1〜3級アミノ基、アルキル基、無置換または置換のアリール基、無置換または置換のフタルイミドメチル基を、R3およびR4は、同じでも異なってもよく、それぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を、nは、スルホン酸基の平均導入個数であって0.5〜3の数である。)
2.R1およびR2がそれぞれ独立して水素原子または塩素原子、R3およびR4がそれぞれ独立して水素原子またはメチル基である前記1に記載の易分散性顔料組成物。
4.有機顔料が、ジオキサジンバイオレット(C.I.ピグメントバイオレット23)、ジオキサジンバイオレット(C.I.ピグメントバイオレット37)、C.I.ピグメントブルー64、C.I.ピグメントブルー80、インダントロンブルー(C.I.ピグメントブルー60)、ピグメントブルー64、ε型フタロシアニンブルー(C.I.ピグメントブルー15:6)、ブロム化フタロシアニングリーン(C.I.ピグメントグリーン36)およびカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記1〜3のいずれか1項に記載の易分散性顔料組成物。
5.有機顔料を分散媒体中に分散剤により分散してなる顔料分散液において、上記分散剤が前記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする顔料分散液。
6.分散剤の配合割合が、顔料100質量部に対して0.05〜40質量部である前記1に記載の易分散性顔料組成物。
7.グラビア印刷インキ用着色剤である前記1に記載の易分散性顔料組成物。
8.塗料用着色剤である前記1に記載の易分散性顔料組成物。
9.記録インキ用着色剤である前記1に記載の易分散性顔料組成物。
6.分散剤の配合割合が、顔料100質量部に対して0.05〜40質量部である前記1に記載の易分散性顔料組成物。
7.グラビア印刷インキ用着色剤である前記1に記載の易分散性顔料組成物。
8.塗料用着色剤である前記1に記載の易分散性顔料組成物。
9.記録インキ用着色剤である前記1に記載の易分散性顔料組成物。
本発明の分散剤は、印刷インキ(オフセットインキ、グラビアインキなど)、各種塗料、プラスチック、顔料捺染剤、電子写真用乾式トナーまたは湿式トナー、インキジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、筆記具用インキなどの各用途でのすべてのビヒクルに対し、有機顔料および無機顔料を含めた全ての顔料において、インキおよび塗料などの流動性を著しく改善し、顔料粒子の凝集を防止し、優れた光沢と鮮明性を示す着色された物品を提供することができる。
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
本発明で使用する分散剤は、前記一般式(1)で表される化合物、その金属の塩、アンモニアの塩、有機アミンの塩および有機第4級アンモニウム化合物の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴としている。前記一般式(1)において、R1およびR2が水素原子または塩素原子であり、R3およびR4が水素原子またはメチル基であることが好ましい。
本発明で使用する分散剤は、前記一般式(1)で表される化合物、その金属の塩、アンモニアの塩、有機アミンの塩および有機第4級アンモニウム化合物の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴としている。前記一般式(1)において、R1およびR2が水素原子または塩素原子であり、R3およびR4が水素原子またはメチル基であることが好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物は、例えば、インダントロン化合物を従来の方法に従って、濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、三酸化イオウなどと反応させてスルホン化することによって得られる。この際導入されるスルホン酸基の数(n)は0.5〜3.0であり、好ましくは1.0〜1.5である。nが0.5未満では優れた分散能を有する分散剤が得られない。また、nが3.0を超えると前記一般式(1)の化合物の水溶性が増大し、前記一般式(1)の化合物の有機顔料表面への吸着能力が低下して顔料分散剤としての性能が低下するので好ましくない。
また、前記一般式(1)の化合物は、フリーのスルホン酸基の状態でも使用でき、また、該スルホン酸基が、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の塩、カルシウム、バリウム、アルミニウム、マンガン、ストロンチウム、マグネシウム、ニッケルなどの多価金属の塩、モノ、ジまたはトリアルキルアミン、アルキレンジアミン、モノ、ジまたはトリアルカノールアミンなどの有機アミンの塩、有機第4級アンモニウム化合物の塩などとしても有用である。
特に下記一般式(2)で表される前記一般式(1)の化合物と有機第4級アンモニウム化合物との塩は、有機顔料に対して優れた親和性を有するので好適である。
(但し、式中R1〜R5およびnは前記と同じ意味を有する。)
(但し、式中R1〜R5およびnは前記と同じ意味を有する。)
上記一般式(2)の塩を得るために用いる有機第4級アンモニウム化合物としては、テトラアルキル(またはアリール)アンモニウム化合物が挙げられ、具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリラウリルメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、トリメチルフェニルアンモニウムクロライド、およびベンジルジメチルアンモニウムパークロレイトなどが挙げられる。特に好ましい第4級アンモニウム化合物としては、テトラエチルアンモニウムクロライドが挙げられる。上記一般式(2)で表される塩は、前記一般式(1)で表されるスルホン酸化合物に、上記有機第4級アンモニウム化合物を反応させることによって得られる。有機第4級アンモニウム化合物の使用量は前記スルホン酸化合物のスルホン酸基とほぼ当量である。前記スルホン酸化合物と上記有機第4級アンモニウム化合物との反応は、水性媒体中において両者を混合し、混合液のpHを弱酸性にすることによって行なわれる。
上記の分散剤は、種々の公知の有機顔料の分散剤として有用である。当該分散剤は青色に着色した物質であり、PV23、PV37、PB60、PB64、PB80、PB15:6、PG36およびPBk7の分散に特に有用である。なお、本発明においては、カーボンブラックも有機顔料に含まれることとした。
[易分散性顔料組成物」
本発明の易分散性顔料組成物は、有機顔料と前記分散剤とからなる。該易分散性顔料組成物における有機顔料と分散剤の配合割合は有機顔料100質量部当たり分散剤が約0.05〜40質量部、特に1〜30質量部の割合で使用することが好ましい。分散剤の使用量が0.05質量部未満であると、易分散性顔料組成物を分散媒体に充分安定に分散させることが困難である場合があり、一方、分散剤の使用量が40質量部を超えても分散剤の分散能が飽和してコスト的に不利となる。
本発明の易分散性顔料組成物は、有機顔料と前記分散剤とからなる。該易分散性顔料組成物における有機顔料と分散剤の配合割合は有機顔料100質量部当たり分散剤が約0.05〜40質量部、特に1〜30質量部の割合で使用することが好ましい。分散剤の使用量が0.05質量部未満であると、易分散性顔料組成物を分散媒体に充分安定に分散させることが困難である場合があり、一方、分散剤の使用量が40質量部を超えても分散剤の分散能が飽和してコスト的に不利となる。
上記易分散性顔料組成物の製造方法は、有機顔料と分散剤とを単に混合するのみでもよいが、例えば、以下の方法が好ましい。いずれの場合にも有機顔料は単独でも2種以上の混合物として使用してもよい。分散剤も同様である。
(1)有機顔料の水性スラリーと分散剤の水性スラリーとを緊密に混合し、濾過、水洗、乾燥して有機顔料と分散剤とを組成物にする方法。
(2)有機顔料と分散剤とを濃硫酸に溶解し、該濃硫酸溶液を大量の水中に注入して両者を同時に析出させ、濾過、水洗、乾燥して有機顔料と分散剤とを固溶体状にする方法。
(3)両者を少量の液体の存在下にボールミルなどにより湿式摩砕して両者を微粉末混合物とする方法。
(1)有機顔料の水性スラリーと分散剤の水性スラリーとを緊密に混合し、濾過、水洗、乾燥して有機顔料と分散剤とを組成物にする方法。
(2)有機顔料と分散剤とを濃硫酸に溶解し、該濃硫酸溶液を大量の水中に注入して両者を同時に析出させ、濾過、水洗、乾燥して有機顔料と分散剤とを固溶体状にする方法。
(3)両者を少量の液体の存在下にボールミルなどにより湿式摩砕して両者を微粉末混合物とする方法。
本発明の易分散性顔料組成物は、種々の着色用途、例えば、塗料、印刷インキ、天然または合成樹脂、筆記具用インキ、インキジェット記録用インキなどの着色に有用である。
[顔料分散液]
本発明の顔料分散液は、有機顔料を分散媒体中に前記分散剤により分散してなる顔料分散液において、上記分散剤が前記一般式(1)または(2)で表される分散剤であることを特徴としている。好ましい有機顔料は前記と同じであり、また、有機顔料と分散剤の使用割合も前記と同一である。該顔料分散液は、任意の分散媒体中に有機顔料を本発明の分散剤により分散させて得られる。
本発明の顔料分散液は、有機顔料を分散媒体中に前記分散剤により分散してなる顔料分散液において、上記分散剤が前記一般式(1)または(2)で表される分散剤であることを特徴としている。好ましい有機顔料は前記と同じであり、また、有機顔料と分散剤の使用割合も前記と同一である。該顔料分散液は、任意の分散媒体中に有機顔料を本発明の分散剤により分散させて得られる。
上記分散方法としては、前記本発明の易分散性顔料組成物を任意の分散媒体中に加えて分散させる方法や、任意の分散媒体中に有機顔料と前記分散剤を加えて、任意の分散機や摩砕機によって分散させる方法である。このような顔料分散液の用途は、前記易分散性顔料組成物の用途と同様である。
以下本発明の顔料組成物の用途をインキを代表例として詳しく説明する。
本発明のインキは、上記の分散剤と顔料と被膜形成樹脂と有機溶剤とから構成される。本発明で使用される顔料としては、従来公知の顔料はいずれも使用することができる。例えば、好ましい有機顔料としては、ジオキサジンバイオレット(C.I.ピグメントバイオレット23)、ジオキサジンバイオレット(C.I.ピグメントバイオレット37)、C.I.ピグメントブルー64、C.I.ピグメントブルー80、インダントロンブルー(C.I.ピグメントブルー60)、ピグメントブルー64、ε型フタロシアニンブルー(C.I.ピグメントブルー15:6)、ブロム化フタロシアニングリーン(C.I.ピグメントグリーン36)およびカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本発明のインキは、上記の分散剤と顔料と被膜形成樹脂と有機溶剤とから構成される。本発明で使用される顔料としては、従来公知の顔料はいずれも使用することができる。例えば、好ましい有機顔料としては、ジオキサジンバイオレット(C.I.ピグメントバイオレット23)、ジオキサジンバイオレット(C.I.ピグメントバイオレット37)、C.I.ピグメントブルー64、C.I.ピグメントブルー80、インダントロンブルー(C.I.ピグメントブルー60)、ピグメントブルー64、ε型フタロシアニンブルー(C.I.ピグメントブルー15:6)、ブロム化フタロシアニングリーン(C.I.ピグメントグリーン36)およびカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本発明で使用される有機溶剤としては、各種塗料、コーティング剤、印刷インキなどに使用されている従来公知の有機溶剤が何れも使用できる。本発明のインキを筆記用または記録器具用のインキとして使用する場合にはアルコール系溶剤を使用することが好ましい。アルコール系溶剤としては、沸点が150℃以下のアルコールを含む溶剤が好ましい。アルコール系溶剤中のアルコールの使用割合は、少なくとも10質量%であり、好ましくは50〜100質量%である。
アルコールとしては、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロピルオキシエタノールなどが好ましい。これらは単独でまたは二種以上を混合して使用することができる。また、これら以外の溶剤についても本発明の趣旨に反しない範囲で使用することができ、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトンなどが併用できる。
本発明で使用する被膜形成樹脂(以下単に樹脂と称する。)は、前記有機溶剤、特に前記アルコール系溶剤に可溶であることが必要であり、このような樹脂はカルボキシル基、水酸基またはアミド基を有する付加重合性単量体およびこれらと付加共重合可能な単量体を構成単量体とする樹脂である。以下に本発明に使用される樹脂を構成する単量体について説明する。
カルボキシル基を有する単量体は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、およびこれらのアルキルモノエステル、ヒドロキシアルキルモノエステルなど;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルと二塩基酸、例えば、無水琥珀酸、無水フタル酸、または無水シクロヘキサンジカルボン酸などとのモノエステルなどが挙げられる。なお、本発明では、アクリル酸およびメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と称する。
水酸基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルまたはヒドロキシプロピル;上記の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルと二塩基酸とのモノエステルとジヒドロキシアルキル化合物とのエステル、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルまたはヒドロキシプロピルなどと琥珀酸、フタル酸、またはシクロヘキサンジカルボン酸などとのモノエステルとエチレングリコールまたはプロピレングリコールなどのジヒドロキシアルキル化合物とのモノエステルなどがある。なお、上記のカルボキシル基や水酸基を有する単量体におけるアルキル基の炭素数は1〜12程度である。
また、アミド基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、例えば、(メタ)アクリル酸ブトキシメチルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−アルキルオキシエチル(メタ)アクリルアミドなどが使用できる。
上記単量体以外にも樹脂に耐水性や可撓性その他の物性を付与するために、アルコール系溶剤に可溶な範囲で上記の各単量体と共重合可能な付加重合性単量体を用いることができる。例えば(メタ)アクリル酸のエステル、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸べンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸テトラフルフリルなど;スチレン、スチレン誘導体、例えば、α−メチルスチレンなど;二塩基酸のジアルキルエステル、例えば、マレイン酸のジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸のジアルキルエステルなど;さらに酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリルなどが使用できる。
本発明で使用する樹脂は、上記の単量体を使用し、従来公知のラジカル重合開始剤を用いて、或いは用いずに、例えば、懸濁重合やアルコール系溶剤を用いる溶液重合によって共重合させることで得ることができる。本発明で使用する樹脂としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルと二塩基酸のモノエステル(一般式CH2=C(R1)−COO−R2−O−CO−R3−COOH(式中のR1は水素原子またはメチル基、R2は分岐鎖を有してもよい炭素数が2〜6のアルキレン鎖、R3は分岐鎖または不飽和基を有してもよいアルキレン基、シクロアルキレン基またはアリーレン基である。)で表わされる)モノマーを共重合体の少なくとも一部として共重合させた樹脂を使用することが好ましい。また、該共重合体と、上記特定のモノマーを含まない共重合体との混合物を使用してもよい。何れの場合にも樹脂全体の中で1〜50質量%、好ましくは3〜40質量%が(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルと二塩基酸とのモノエステルモノマー単位を含むことが好ましい。該単量体単位の含有量が少なすぎると、顔料の分散効果が少なく、多すぎると筆記物または印字物の耐アルカリ性が悪くなるので好ましくない。
上記の単量体の混合物を共重合して樹脂を得る場合には、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルと二塩基酸とのモノエステルが、単量体混合物中1〜50質量%、好ましくは3〜40質量%であることが好ましい。その他の単量体の使用割合は、得られる樹脂がアルコール系溶剤に可溶である範囲で、樹脂に要求される性能を満足するように適宜決められ、使用割合は特に限定されない。該樹脂の数平均分子量(該樹脂をGPCで測定し、得られたデータを標準ポリスチレンの対応するデータを参照して換算して得られる数平均分子量)は、通常、2,000〜100,000、好ましくは2,000〜50,000である。また、該樹脂の酸価は、通常、0.5〜300mgKOH/g、好ましくは5〜180mgKOH/gである。
本発明のインキは、前記の顔料と分散剤と被膜形成樹脂と有機溶剤とを使用し、従来のインキや塗料の製造におけると同様にして製造することができ、製造方法自体は特に限定されない。例えば、顔料を予め前記の分散剤で処理した後、前記樹脂のアルコール系溶剤溶液に分散させる方法、未処理の顔料と前記の分散剤とを上記の樹脂溶液と混合し、さらに分散機で顔料を分散処理する方法などが挙げられる。
顔料を予め分散剤で処理した後、樹脂のアルコール系溶剤溶液に分散させる方法を採用する場合には、顔料の処理は例えば次のように実施できる。(1)硫酸などに顔料および分散剤を溶解した後、この溶液を水中に注いだ後、液をアルカリ性にして両者を固溶体として析出させ、濾過、水洗、乾燥および粉砕により処理顔料を得る、(2)分散剤を硫酸、塩酸、または酢酸などの塩とし、これを水中で顔料と混合し、必要に応じ、分散機で分散処理して顔料の表面に分散剤を吸着させた後、アルカリ析出し、濾過、水洗、乾燥および粉砕により処理顔料を得る、または(3)酢酸などの液状の有機酸に分散剤を溶解し、これに顔料を加えて、必要により、分散機で分散処理をして顔料表面に分散剤を吸着させた後、濾過、アルカリ洗浄、水洗、乾燥および粉砕により処理顔料を得る。このようにして得られる処理顔料を、樹脂のアルコール系溶液に分散させることにより本発明のインキが製造される。
また、未処理顔料と分散剤を樹脂溶液に混合し、分散機で分散処理する方法を用いる場合には、樹脂のアルコール系溶剤溶液に顔料と分散剤とを添加し、必要であれば、予備混合し、分散機で分散してインキとする。本発明において使用できる分散機は特に制限されず、例えば、ニーダー、アトライター、ボールミル、ガラスやジルコンなどを使用したサンドミルや横型メディア分散機、コロイドミルなどが挙げられる。分散処理した顔料を使用する場合には、さらに処理顔料を固形の樹脂に分散させて顔料チップを得、該顔料チップをアルコール系溶剤に溶解し、必要であれば、さらに樹脂を追加してインキを得ることもできる。
顔料チップを得る方法としては、例えば、(1)懸濁重合で得た固形の樹脂または溶液重合で得た樹脂の溶液から分離した固形の樹脂と分散処理顔料とを、ニーダー、バンバリーミキサー、ミキシングロールまたは三本ロールなどで混練する操作のいずれかを単独でまたは組み合わせて加熱下に顔料を樹脂中に分散させ、次いで粉砕または切断してチップを得る方法、(2)樹脂の水溶性溶剤溶液と、処理顔料のプレスケーキをニーダーで混合し、樹脂の軟化温度またはそれ以上に加熱して水を除去し、必要であれば、さらに三本ロールや押し出し機などを用いて顔料を分散させ、粉砕または切断して顔料チップを得る方法、(3)分散処理顔料のプレスケーキと固形の樹脂とを、樹脂の軟化温度以上でフラッシングする方法などがある。
本発明のインキにおいては、前記の分散剤は、顔料100質量部に対して、通常、0.05〜40質量部、好ましくは、1〜30質量部の割合で使用する。また、前記の樹脂に対する顔料の使用割合は、樹脂100質量部に対して、通常、5〜500質量部の範囲である。
本発明のインキ中の顔料濃度は、顔料の種類にもよるが、通常0.3〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%である。また、インキの粘度は、通常1〜50ミリパスカル・秒(mPa・s)、好ましくは2〜30mPa・sであるが、筆記具の構造により7mPa・sより低いことが必要な場合もある。インキにおいて特に重要なことは、粘度の経時安定性に優れていることであるが、本発明のインキは、顔料とともに前記の分散剤および樹脂を用いることで、優れた粘度の経時安定性が付与される。
本発明のインキ中の顔料濃度は、顔料の種類にもよるが、通常0.3〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%である。また、インキの粘度は、通常1〜50ミリパスカル・秒(mPa・s)、好ましくは2〜30mPa・sであるが、筆記具の構造により7mPa・sより低いことが必要な場合もある。インキにおいて特に重要なことは、粘度の経時安定性に優れていることであるが、本発明のインキは、顔料とともに前記の分散剤および樹脂を用いることで、優れた粘度の経時安定性が付与される。
なお、本発明のインキには、さらに各種の添加剤を加えることができる。かかる添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、抗酸化剤などの耐久性向上剤;沈降防止剤;剥離剤または剥離性向上剤;芳香剤、抗菌剤;可塑剤、乾燥防止剤などが使用でき、さらに必要であれば、染料を添加することもできる。また、樹脂として、前記の本発明で使用する樹脂と相溶性のある樹脂を、顔料の分散安定性を低下させない限りにおいて併用することもできる。
得られたインキは通常そのままで使用できるが、遠心分離機、超遠心分離機または、ろ過機で、場合により僅かに存在するかも知れない顔料の粗大粒子を除去することにより、筆記用具または記録用具の信頼性を高めることができるので好ましい。
得られたインキは通常そのままで使用できるが、遠心分離機、超遠心分離機または、ろ過機で、場合により僅かに存在するかも知れない顔料の粗大粒子を除去することにより、筆記用具または記録用具の信頼性を高めることができるので好ましい。
このようにして得られた本発明のインキを、多孔質芯を有する容器に充填することで本発明による筆記具が得られる。容器は従来公知の多孔質芯を有する各種筆記具と同様、筆記し易い大きさと形状であればよく、特に制限されない。容器の材質は蓋を含めて、溶剤の透過が実質的にないものであれば金属でも、プラスチックでもよく、或いはこれらの複合材料でもよい。
また、多孔質芯は容器の中から筆記に応じてインキが芯の先端まで移動できるものであれば構造や材質は問わないが、優れた筆記性、耐久性および耐溶剤性が必要である。例えば、繊維束やフエルト状芯の繊維としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアクリロニトリル、ビニロンなどの合成繊維やセルロースおよびセルロース系再生繊維、さらには羊毛や絹や綿などの天然繊維などが使用でき、プラスチックの連続気泡性発泡体としては硬質および軟質のウレタン樹脂発泡体やポリビニルアルコールのアセタール化物の発泡体や再生繊維の発泡体が使用できる。インキ吸蔵体としては繊維を束にしたもの、フエルト状にしたもの、編んだものなど、プラスチックの連続気泡性発泡体などが使用できる。
次に合成例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中の「部」または「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[分散剤の実施例]
合成例A−1
インダントロンブルー(PB60)30部を20%発煙硫酸300部に添加し、その後60℃で6時間反応させる。冷却後、反応混合物を3,000部の氷水中に析出させ、析出物を濾過によって集め水洗し、水ペースト110.2部(純量33.8部)を得た。この水ペーストを乾燥させ、硫黄の元素分析の結果より1分子あたり平均1.1個のスルホン酸基が導入されている、下記構造式で表わされる青色粉末(分散剤1)33.1部を得た。
[分散剤の実施例]
合成例A−1
インダントロンブルー(PB60)30部を20%発煙硫酸300部に添加し、その後60℃で6時間反応させる。冷却後、反応混合物を3,000部の氷水中に析出させ、析出物を濾過によって集め水洗し、水ペースト110.2部(純量33.8部)を得た。この水ペーストを乾燥させ、硫黄の元素分析の結果より1分子あたり平均1.1個のスルホン酸基が導入されている、下記構造式で表わされる青色粉末(分散剤1)33.1部を得た。
合成例A−2
合成例A−1で得られた分散剤1の水ペースト48.9部(固形分15.0部)を水500部に加えて充分にリスラリー化し、テトラエチルアンモニウムクロライド9.5部を加えて10分攪拌し、そのpHを10%水酸化ナトリウム水溶液にて徐々に弱酸性まで調整して、3時間攪拌後に混合物を濾過して、フィルターケーキを充分に水洗し下記構造式で表わされる青色粉末(分散剤2)18.2部を得た。
合成例A−1で得られた分散剤1の水ペースト48.9部(固形分15.0部)を水500部に加えて充分にリスラリー化し、テトラエチルアンモニウムクロライド9.5部を加えて10分攪拌し、そのpHを10%水酸化ナトリウム水溶液にて徐々に弱酸性まで調整して、3時間攪拌後に混合物を濾過して、フィルターケーキを充分に水洗し下記構造式で表わされる青色粉末(分散剤2)18.2部を得た。
[易分散性顔料組成物の実施例]
実施例B−1
PV23のプレスケーキ(固形分26%)を顔料分が100部になるように取り、水2,000部を加えて充分にリスラリー化する。これに分散剤1のプレスケーキ(固形分30%)を固形分が5部になるように加えて1時間高速攪拌する。その後濾過し、フィルターケーキを充分に水洗し、80℃で乾燥して104部の易分散性顔料組成物1を得た。
実施例B−1
PV23のプレスケーキ(固形分26%)を顔料分が100部になるように取り、水2,000部を加えて充分にリスラリー化する。これに分散剤1のプレスケーキ(固形分30%)を固形分が5部になるように加えて1時間高速攪拌する。その後濾過し、フィルターケーキを充分に水洗し、80℃で乾燥して104部の易分散性顔料組成物1を得た。
実施例B−2
PV23のプレスケーキ(固形分26%)を顔料分が100部になるように取り、水2,000部を加えて充分にリスラリー化する。これに分散剤2のプレスケーキ(固形分35%)を固形分が5部になるように加えて1時間高速攪拌する。5%炭酸ナトリウム水溶液を弱酸性になるまで徐々に滴下し、その後1時間攪拌して濾過する。そして、フィルターケーキを充分に水洗し、80℃で乾燥して104部の易分散性顔料組成物2を得た。
PV23のプレスケーキ(固形分26%)を顔料分が100部になるように取り、水2,000部を加えて充分にリスラリー化する。これに分散剤2のプレスケーキ(固形分35%)を固形分が5部になるように加えて1時間高速攪拌する。5%炭酸ナトリウム水溶液を弱酸性になるまで徐々に滴下し、その後1時間攪拌して濾過する。そして、フィルターケーキを充分に水洗し、80℃で乾燥して104部の易分散性顔料組成物2を得た。
[顔料分散液の実施例]
実施例C−1
アクリル樹脂ワニス(メタクリル酸/ベンジルアクリレート/スチレン/ヒドロキシエチルアクリレートを25/50/15/10のモル比で共重合させたもの(分子量12,000、固形分40%)50部にPV23を20部と分散剤1を1部および溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)(以下PMAと略す)を20部配合し、プレミキシングの後、横型ビーズミルで分散処理して紫色顔料分散液を得た。
実施例C−1
アクリル樹脂ワニス(メタクリル酸/ベンジルアクリレート/スチレン/ヒドロキシエチルアクリレートを25/50/15/10のモル比で共重合させたもの(分子量12,000、固形分40%)50部にPV23を20部と分散剤1を1部および溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)(以下PMAと略す)を20部配合し、プレミキシングの後、横型ビーズミルで分散処理して紫色顔料分散液を得た。
実施例C−2
分散剤1の代わりに分散剤2を使用する以外は実施例C−1と同様にして紫色顔料分散液を得た。
分散剤1の代わりに分散剤2を使用する以外は実施例C−1と同様にして紫色顔料分散液を得た。
実施例C−3〜C−10
分散剤1の代わりに、分散剤3〜10をそれぞれ使用し、実施例C−1と同様にして紫色顔料分散液を得た。
分散剤1の代わりに、分散剤3〜10をそれぞれ使用し、実施例C−1と同様にして紫色顔料分散液を得た。
実施例C−11、12
実施例C−1で使用したPV23と分散剤1の代わりに、易分散性顔料組成物1および2をそれぞれ使用し、実施例C−1と同様にして2種の紫色顔料分散液を得た。
実施例C−1で使用したPV23と分散剤1の代わりに、易分散性顔料組成物1および2をそれぞれ使用し、実施例C−1と同様にして2種の紫色顔料分散液を得た。
比較例C−1
実施例C−1で使用した分散剤1の代わりに、市販の顔料分散剤(モノスルホン化フタロシアニンブルー)を使用し、実施例C−1と同様にして紫色顔料分散液を得た。
実施例C−1で使用した分散剤1の代わりに、市販の顔料分散剤(モノスルホン化フタロシアニンブルー)を使用し、実施例C−1と同様にして紫色顔料分散液を得た。
比較例C−2
比較例C−1で使用した市販の顔料分散剤の代わりに、市販の顔料分散剤(モノスルホン化フタロシアニンブルーの第4級アンモニウム塩)を使用し、比較例C−1と同様にして紫色顔料分散液を得た。
比較例C−1で使用した市販の顔料分散剤の代わりに、市販の顔料分散剤(モノスルホン化フタロシアニンブルーの第4級アンモニウム塩)を使用し、比較例C−1と同様にして紫色顔料分散液を得た。
上記の実施例C−1〜12および比較例C−1、2の紫色顔料分散液中の顔料の平均粒子径を測定した。また、保存安定性を見るため、紫色顔料分散液を室温で1ヶ月間貯蔵し、粘度の変化を測定した。粘度はB型粘度計を用い、ローターの回転数6rpmで測定した。また、分光透過率特性を調べるため、紫色顔料分散液をそれぞれスピンナーでガラス基板に塗布し、乾燥後、波長440nmにおける塗膜の透過率を測定した。その結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例C−1〜12の紫色顔料分散液は、比較例C−1、2の紫色顔料分散液と対比すると、各実施例の紫色顔料分散液からなる塗膜の方が最大光透過率が高く、初期粘度および貯蔵後の粘度(1ヶ月後)ともに低いことが明らかである。
参考例1(インキ用被膜形成樹脂の合成)
ヒドロキシエチルメタクリレート75部、α−メチルスチレン25部、メチルメタクリレート100部、アクリロイルオキシエチルフタレート75部、ラウリルメタクリレート75部、ジアセトンアクリルアミド150部、アゾビスイソブチロニトリル15部、エタノール550部、メチルシクロヘキサン150部および酢酸エチル50部を重合容器に仕込み、冷却管をセットして75℃で10時間重合する。冷却後、樹脂溶液を重合容器から取り出した。これを樹脂液とする。樹脂分は40%で、粘度は250mPa・sであり、樹脂の数平均分子量(GPCで測定、標準ポリスチレン換算)は8,600で、酸価は39であった。
ヒドロキシエチルメタクリレート75部、α−メチルスチレン25部、メチルメタクリレート100部、アクリロイルオキシエチルフタレート75部、ラウリルメタクリレート75部、ジアセトンアクリルアミド150部、アゾビスイソブチロニトリル15部、エタノール550部、メチルシクロヘキサン150部および酢酸エチル50部を重合容器に仕込み、冷却管をセットして75℃で10時間重合する。冷却後、樹脂溶液を重合容器から取り出した。これを樹脂液とする。樹脂分は40%で、粘度は250mPa・sであり、樹脂の数平均分子量(GPCで測定、標準ポリスチレン換算)は8,600で、酸価は39であった。
[用途の実施例]
実施例D−1
参考例1の樹脂液を250部とPV23を50部、前記分散剤1を4部、エタノール536部、メチルシクロヘキサン60部およびエトキシプロパノール100部を横型メディア分散機を使用して分散させ、さらに、超遠心分離により粗大粒子を除去して本発明のインキを得た。顔料の平均粒子径は95nmで、粘度は3.5mPa・sであった。また、該インキを50℃で1週間保存したが顔料の沈降は認められず、粘度を計ったところ3.5mPa・sであり、粘度変化はなかった。
実施例D−1
参考例1の樹脂液を250部とPV23を50部、前記分散剤1を4部、エタノール536部、メチルシクロヘキサン60部およびエトキシプロパノール100部を横型メディア分散機を使用して分散させ、さらに、超遠心分離により粗大粒子を除去して本発明のインキを得た。顔料の平均粒子径は95nmで、粘度は3.5mPa・sであった。また、該インキを50℃で1週間保存したが顔料の沈降は認められず、粘度を計ったところ3.5mPa・sであり、粘度変化はなかった。
次に、上記のインキを繊維束の芯を有するペン体に詰めてポリエチレンフィルムに筆記したところ、良好に筆記できた。また、該インキ100部にエトキシプロパノール20部とベンジルアルコール5部を追加して得たインキを使用して、インキジェット印刷機にて印刷したところ、良好な印刷物が得られた。
実施例D−2〜D−8
分散剤として、前記分散剤2〜8のそれぞれを用いた以外は、実施例D−1と同様にして紫色インキを得、実施例D−1と同様にして評価した。この結果を実施例D−1の結果とともに表2に示す。表中の○は筆記性が良好な場合およびインキジェット印刷性が良好な場合を、△は筆記性が不充分な場合を、また、インキジェット印刷性が不充分な場合を示している。
分散剤として、前記分散剤2〜8のそれぞれを用いた以外は、実施例D−1と同様にして紫色インキを得、実施例D−1と同様にして評価した。この結果を実施例D−1の結果とともに表2に示す。表中の○は筆記性が良好な場合およびインキジェット印刷性が良好な場合を、△は筆記性が不充分な場合を、また、インキジェット印刷性が不充分な場合を示している。
比較例1
分散剤を使用しなかった以外は実施例D−1と同様にして紫色インキを得、実施例D−1と同様にして評価した。この結果を表2に示す。
分散剤を使用しなかった以外は実施例D−1と同様にして紫色インキを得、実施例D−1と同様にして評価した。この結果を表2に示す。
実施例D−9
前記分散剤2の10部を100部の水溶液に微分散させ、この溶液をPB80のスラリー(顔料分100部)中に添加して60分間撹拌する。次に水酸化ナトリウムの10%水溶液を徐々に加えて系のpHを8.5に調整する。さらに30分間撹拌した後、生成した固形物を濾過および洗浄して90℃で乾燥および粉砕して、分散剤で表面処理された108部の青色顔料粉末を得た。
前記分散剤2の10部を100部の水溶液に微分散させ、この溶液をPB80のスラリー(顔料分100部)中に添加して60分間撹拌する。次に水酸化ナトリウムの10%水溶液を徐々に加えて系のpHを8.5に調整する。さらに30分間撹拌した後、生成した固形物を濾過および洗浄して90℃で乾燥および粉砕して、分散剤で表面処理された108部の青色顔料粉末を得た。
このようにして得られた表面処理顔料を、市販のメラミン/アルキド塗料中にボールミルにて分散(顔料分15%)したところ、得られた着色塗料は低粘度であり、ほぼニュートニアン流動に近い流動性を示した。また、この青色塗料を市販のメラミン/アルキドの白塗料と混合して淡青塗料を作成し、1週間保存したところ、色の分離が無く均一な状態であった。
比較例2
前記分散剤2で表面処理をしないPB80を使用した以外は実施例D−9と同様にして塗料を作製し、実施例D−9と同様にして評価したところ、該塗料は高粘度であり、白塗料との混合塗料では青色顔料が凝集を起こして、分離および沈降を起こしていた。
前記分散剤2で表面処理をしないPB80を使用した以外は実施例D−9と同様にして塗料を作製し、実施例D−9と同様にして評価したところ、該塗料は高粘度であり、白塗料との混合塗料では青色顔料が凝集を起こして、分離および沈降を起こしていた。
実施例D−10
前記分散剤3の8部を氷酢酸5部を含む100部の水溶液に溶解させ、この溶液をPV23のスラリー(顔料分100部)中に添加して60分間撹拌する。次に水酸化ナトリウムの10%水溶液を徐々に加え、系のpHを8.5に調整する。さらに30分間撹拌した後、生成した固形物を濾過および洗浄して90℃で乾燥および粉砕して分散剤で表面処理された105部の紫色顔料粉末を得た。
前記分散剤3の8部を氷酢酸5部を含む100部の水溶液に溶解させ、この溶液をPV23のスラリー(顔料分100部)中に添加して60分間撹拌する。次に水酸化ナトリウムの10%水溶液を徐々に加え、系のpHを8.5に調整する。さらに30分間撹拌した後、生成した固形物を濾過および洗浄して90℃で乾燥および粉砕して分散剤で表面処理された105部の紫色顔料粉末を得た。
このようにして得られた顔料組成物を、市販のアクリルラッカーにビーズミルを使用して分散し、顔料分13%の紫色塗料を作成した。この塗料をラッカー用シンナーにて粘度調整し、鉄板にスプレー塗装を行い、乾燥膜厚32μmの紫色塗装板を得た。このものは鮮映性に優れ、高光沢を示した。
比較例3
前記分散剤3で表面処理をしないPV23を使用した以外は実施例D−10と同様にして塗料を作製し、同様に粘度調整し、実施例D−10と同様にして評価したところ、紫色塗装板の塗膜表面が平滑ではなく光沢も低いものであった。
前記分散剤3で表面処理をしないPV23を使用した以外は実施例D−10と同様にして塗料を作製し、同様に粘度調整し、実施例D−10と同様にして評価したところ、紫色塗装板の塗膜表面が平滑ではなく光沢も低いものであった。
実施例D−11〜12
下記配合(1)のグラビアインキを作製した。
顔料としてPV23を用い、それぞれ前記分散剤9または10を使用して、上記の配合成分を容器に入れ、ガラスビーズを加えてペイントコンディショナーにて分散させ、2種のグラビア用ポリアミドインキを作製した。
下記配合(1)のグラビアインキを作製した。
顔料としてPV23を用い、それぞれ前記分散剤9または10を使用して、上記の配合成分を容器に入れ、ガラスビーズを加えてペイントコンディショナーにて分散させ、2種のグラビア用ポリアミドインキを作製した。
比較例4
前記分散剤を使用せずにPV23を10.0部使用する以外は実施例D−11および12と同様の操作を行って、分散剤が未添加のグラビア用ポリアミドインキを作製した。
前記分散剤を使用せずにPV23を10.0部使用する以外は実施例D−11および12と同様の操作を行って、分散剤が未添加のグラビア用ポリアミドインキを作製した。
実施例D−11および12のグラビア用ポリアミドインキの粘度および該インキを塗布した展色面のグロスを、比較例4のインキの場合と比較した。それぞれのインキの粘度および展色面のグロスは、下記の方法に従って測定し、比較例4のインキとの相対評価を行なった。
粘度:B型粘度計を用いて、室温(25℃)、30rpmの条件で測定した。
グロス:バーコーター(巻線の太さ0.15mm)を使用して、ポリプロピレンフィルムに展色し、展色面のグロスを目視およびグロスメーターにて比較した。なお、グロスの高いものを良好とし、下記の指標で表示した。
○:良好
△:やや良好
×:不良
以上の結果を表3に示す。
粘度:B型粘度計を用いて、室温(25℃)、30rpmの条件で測定した。
グロス:バーコーター(巻線の太さ0.15mm)を使用して、ポリプロピレンフィルムに展色し、展色面のグロスを目視およびグロスメーターにて比較した。なお、グロスの高いものを良好とし、下記の指標で表示した。
○:良好
△:やや良好
×:不良
以上の結果を表3に示す。
表3に示したように、分散剤9、10を添加した実施例D−11および12のインキにおいて優れた顔料の分散効果が認められた。これらのインキは1週間放置後に粘度を測定しても、比較例4のインキの場合に比べて、粘度の上昇は殆ど認められなかった。また、顔料組成物としてではなく、ビヒクルに顔料と分散剤を別々に添加したものを混合して分散させた場合にも、上記同様に充分な分散剤の効果が得られた。
さらに、本発明の顔料組成物を、オフセットインキなどの印刷インキ、ニトロセルロースラッカー、メラミンアルキッド塗料などの各種塗料、塩化ビニル樹脂などの合成樹脂の着色などに使用したが、いずれの場合も顔料は凝集を起こさず、良好な分散性を示した。また、最近、高分散性が特に要求されている電子写真用乾式トナーまたは湿式トナー、インキジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、筆記具用インキなどの製造に本発明の分散剤を用いたが、これらの場合にも本発明の分散剤による優れた分散性の効果が認められた。
本発明の有機顔料の分散剤は、各種有機顔料を、筆記具用インキ、インキジェットインキ、塗料、印刷インキなどの分散媒体中に高濃度かつ低粘度に安定に分散させることができる。
Claims (9)
- 有機顔料と分散剤とからなる易分散性顔料組成物において、分散剤が、下記一般式(1)で表される化合物、その金属の塩、アンモニアの塩、有機アミンの塩および有機第4級アンモニウム化合物の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする易分散性顔料組成物。
(但し、式中のR1およびR2は、同じでも異なってもよく、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、第1〜3級アミノ基、アルキル基、無置換または置換のアリール基、無置換または置換のフタルイミドメチル基を、R3およびR4は、同じでも異なってもよく、それぞれ独立して水素原子または低級アルキル基を、nは、スルホン酸基の平均導入個数であって0.5〜3の数である。) - R1およびR2がそれぞれ独立して水素原子または塩素原子、R3およびR4がそれぞれ独立して水素原子またはメチル基である請求項1に記載の易分散性顔料組成物。
- 有機顔料が、ジオキサジンバイオレット(C.I.ピグメントバイオレット23)、ジオキサジンバイオレット(C.I.ピグメントバイオレット37)、C.I.ピグメントブルー64、C.I.ピグメントブルー80、インダントロンブルー(C.I.ピグメントブルー60)、ピグメントブルー64、ε型フタロシアニンブルー(C.I.ピグメントブルー15:6)、ブロム化フタロシアニングリーン(C.I.ピグメントグリーン36)およびカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の易分散性顔料組成物。
- 有機顔料を分散媒体中に分散剤により分散してなる顔料分散液において、上記分散剤が前記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする顔料分散液。
- 分散剤の配合割合が、顔料100質量部に対して0.05〜40質量部である請求項1に記載の易分散性顔料組成物。
- グラビア印刷インキ用着色剤である請求項1に記載の易分散性顔料組成物。
- 塗料用着色剤である請求項1に記載の易分散性顔料組成物。
- 記録インキ用着色剤である請求項1に記載の易分散性顔料組成物。
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