JP2006216888A - 回路基板用材料とそれを用いた回路基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】配線幅を小さくしながらもビア接続信頼性のある両面回路基板用部材もしくは多層回路基板用部材とその製造方法を提供する。
【解決手段】ビアホール形成用の孔を有する絶縁層の上に孔の内部表面を含む表面上に複数層からなる金属層が形成されている回路基板用材料において、複数層からなる金属層の最表層がニッケル、クロム、チタン、モリブデン、コバルト、鉄、亜鉛、アルミニウム、もしくはこれらの金属を含む合金の金属層であり、前記金属層の下部は銅もしくは銅を含む合金層である回路基板の製造方法。
【選択図】 図3
【解決手段】ビアホール形成用の孔を有する絶縁層の上に孔の内部表面を含む表面上に複数層からなる金属層が形成されている回路基板用材料において、複数層からなる金属層の最表層がニッケル、クロム、チタン、モリブデン、コバルト、鉄、亜鉛、アルミニウム、もしくはこれらの金属を含む合金の金属層であり、前記金属層の下部は銅もしくは銅を含む合金層である回路基板の製造方法。
【選択図】 図3
Description
本発明は、高精度な回路パターンを形成し得る生産性に優れた回路基板用部材と回路基板用部材の製造方法に関するものである。
エレクトロニクス製品の軽量化と小型化に伴い、プリント回路基板のパターニングの高精度化が求められている。これに対して、最近、可撓性フィルムを有機物層に介して補強板に貼り合わせ、寸法精度を維持することで非常に微細な回路パターンを形成し、その後、可撓性フィルムを補強板から剥離して回路基板を得る方法が提案されている(特許文献1参照)。
一方で、両面回路基板もしくは多層回路基板に微細な回路パターンを形成する方法としてセミアディティブ法を用いる場合に、電解めっき給電用下地金属層として膜厚1〜2μmの下地金属層を使用することが通常であるが、電解めっき後にこの給電用下地層をエッチングにて除去する際に配線も同時にエッチングされるため、配線幅が2〜4μm程度減少し、断線を引き起こす現象が発生しやすい。これを防ぐために、電解めっき給電用下地金属層として膜厚を1μm未満の下地金属層を使用すると上記の配線幅の減少は抑えられるものの、電解めっきの前処理であるエッチングによる洗浄工程で下地金属層の消滅してしまう問題がある。給電用下地金属層を消滅させない目的で下地金属にエッチングしても消滅しないある程度の厚みのある、保護目的の下地金属層を別に追加する方法も提案されているが、給電用下地金属層が1.5〜2μm厚程度と結局厚くなってしまい、配線幅の減少は抑えられていない(特許文献2参照)。また、前処理のエッチング工程を省くと、ビアホールの接続信頼性が低下する問題があった。このため、両面回路基板もしくは多層回路基板に回路パターン幅が10μm以下の微細な回路パターン形成が困難であった。
国際公開第03/009657号パンフレット(第1−10頁)
特開平11−145591号公報(第1−5頁)
本発明の目的は、配線幅を小さくしながらもビア接続信頼性のある両面回路基板もしくは多層回路基板とその製造方法を提供することにある。
すなわち本発明は、絶縁層の上に複数層からなる金属層が形成されている回路基板用材料であって、複数層からなる金属層の絶縁層側とは反対側の最表層がニッケル、クロム、チタン、モリブデン、コバルト、鉄、亜鉛、アルミニウムもしくはこれらの金属を少なくとも1種含む合金の金属層であり、前記金属層の下層にある下地金属層は銅もしくは銅を含む合金層であることを特徴とする回路基板用材料である。
また、本発明の別の態様は、基板上に絶縁層と導体配線層が交互に複数積層され、各導体配線層が絶縁層を厚さ方向に横切ってビアホールにより電気的に接続され、基板とは反対側の最表層に導体配線層が露出している多層回路基板の製造方法であって、絶縁層に設けられたビアホールおよび絶縁層表面に第1層目の金属層(第1金属層)を形成する工程と、第1金属層の上に第1金属層とは異なる組成を有する金属層(第2金属層)を形成する工程と、第2金属層の上に第2金属層とは異なる組成を有する金属層(第3金属層)を形成する工程と、第3金属層の表面に配線パターン部の第3金属層表面が一部開口しためっきレジスト層を設ける工程と、めっきレジスト層によって開口した第3金属層のみを選択エッチングして第2金属層を露出させる工程と、露出した第2金属層上に電解めっきにより第4金属層を形成する工程と、めっきレジスト膜を剥離した後、露出した第3金属層を選択エッチングにて除去して第2金属層を露出させる工程と、露出した第2金属層およびその下にある第1金属層をエッチングにて除去する工程を有することを特徴とする回路基板の製造方法である。
本発明によれば、配線幅の大幅な減少やビアの接続信頼性を損なうことなく微細な両面回路基板や多層回路基板を製造することができる。
本発明の回路基板用材料は絶縁層とめっきレジストの下地となる複数の金属層がこの順に積層された基本構成を有する。本発明の上記基本構成は回路基板用材料の全体であっても、両面回路基板用や多層回路基板用の各材料の一部分であっても良い。また、絶縁層にはビアホール形成用の孔が形成されていても良い。孔の形状としては、貫通孔のスルーホールでも片側が閉じているブラインドビアでも良い。上記複数の金属層形成前に、孔が導電性樹脂やめっき金属や突起状の金属(バンプ)等で充填され、電気的接続のあるビアホールとして先に形成されていても良い。
本発明において、絶縁層として用いられる材料は特定されないが、好ましくは回路基板用に用いられる絶縁材料が挙げられる。例えば樹脂系の材料としてエポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテルサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミドおよび液晶ポリマー等がある。中でもポリイミドは、耐熱性に優れるとともに耐薬品性にも優れているので好適に採用される。また、低誘電損失など電気的特性が優れている点で、液晶ポリマーが好適に採用される。また、セラミックスとしてはアルミナ、ガラスセラミックス、窒化アルミニウム等が絶縁材料として挙げられる。
本発明において、複数の金属層は、電解めっき給電用として好適に用いられるものである。複数の金属層で絶縁層と接する金属層は、絶縁層との接着性を高めるためのクロム、ニッケル、チタン、タングステン、モリブデンおよびこれらの金属を含む合金の少なくとも1種からなる金属層で構成されることが好ましい。また、複数の金属層において、絶縁層側とは反対側の最表層はニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、アルミニウムもしくはこれらの金属を含む合金の金属層であることが好ましい。複数の金属層は給電用として用いられるため、最表層の下層にある下地金属層は、電気抵抗の小さな金属層を含むことが望ましい。なお、下地金属層は単層でも複数層のいずれであっても良い。電気抵抗の小さな金属層としては金、銀、銅などが挙げられるが、配線材料として用いられる銅が好ましい。前記最表層は、その下層にある銅金属を含む金属層をエッチングしないエッチング液で除去される。従って、銅をエッチングしないエッチング液でエッチングできる金属であるニッケル、クロム、チタン、モリブデン、コバルト、鉄、亜鉛、アルミニウムおよびこれらを含む合金が、前記金属層の最表層に用いられる。その中でも塩酸、硫酸など安価で取り扱いやすい酸を主成分とするエッチング液でエッチングできるニッケル、コバルトと鉄およびこれらを含む合金が前記金属層の最表層に用いられることがさらに望ましい。
下地金属層の厚みは0.01μm以上0.5μm以下の範囲であることが必要であり、0.3μm以下であることが望ましい。下地金属層が0.5μmを超えると、回路層をパターニングするとき、エッチングに多大な時間を要するだけでなく、パターン幅が減少し、パターン痩せやパターン消滅という問題を引き起こす。また、0.01μm未満の場合は、複数の金属層の抵抗が高く電圧降下の影響が大きいため電流が流れにくくなり、電解めっきによる配線形成が困難となる。
これらの金属層の形成方法としては、真空蒸着やスパッタ法が好ましい。本発明における複数の金属層は絶縁層の表面に形成するため、めっきで形成すると、金属層が島状に形成されてしまう。すると0.01μm以上0.5μm以下の膜厚で均一に金属層を形成することができない。また接着力が高い点からスパッタ法で形成されたものであることがより好ましい。
ビアホールの形成方法としては特定されない。ビアホールを配線と同時に形成する場合は、ドリル加工、レーザー加工や絶縁層の材料に感光性材料を用いてフォトリソグラフィー技術を用いる方法などがある。また、ビアホールを配線形成と別に形成する場合は、突起状の金属で絶縁層を貫通させる方法や絶縁層形成前にめっきの柱を形成するビアポスト法などがある。
本発明において、複数の金属層上に電解めっき用のレジストパターンが形成されていることが好ましい。フォトリソグラフィーの技術を用いて回路部のレジストを除去し、回路部にフォトレジスト開口部を形成する。また、回路部以外をレジストでマスキングし、レジスト開口部とマスキング部分とからなるレジストパターンを形成する。ただし、レジストでマスクする面積は少ない方が望ましい。一般に、電圧降下の影響が大きいのは膜厚が2μm以下の金属層であり、従って、レジスト開口部ではめっき厚が2μm以下のめっき析出初期のみに電圧降下の影響を受ける。めっき厚が2μmより厚くなった時点で抵抗が小さくなり、電圧降下による膜厚不均一は小さくなる傾向を示す。一方、レジストによりマスクされた場所ではめっきが析出しないため、複数の金属層の厚みが0.01μm以上0.5μm以下の範囲内で一定であり、電圧降下の影響を受け続ける。すなわちレジストでマスクする面積が大きい程、電圧降下の影響を受け続ける面積が大きくなり、めっき膜厚不均一の原因となる。そこで、レジストでマスクする面積を小さくするためには、独立した回路パターンの周辺部に隣接するようにダミー電極を設置して、独立した回路パターン周辺部のレジストは開口部とすることが好ましい。また、回路内部であっても、性能に関与しない箇所はダミー電極を設置して、めっきレジスト部を開口部とすることが好ましい。開口部の望ましい形状は線状で、線幅が好ましくは2mm以上あり、電流供給補助層の接する箇所から連続して繋がっていることである。また、電圧降下の影響を小さくし、めっき膜厚バラツキを配線の性能に影響ない程度小さくするためのレジスト開口部とレジスト開口部の距離は50mm以下であることが好ましく、より好ましくは20mm以下である。例えば下地金属層が絶縁層から順番に0.014μmのニクロム(Ni−Cr)層、0.08μmの銅層、0.014μmのニクロム層からなる場合を考える。この場合の表面抵抗は約0.5Ω/cm2である。このとき電解銅めっきの電流密度が1A/dm2であれば、距離10mm毎に約0.05Vの電圧降下が発生する。このとき電解銅めっきの電圧は約1.5〜2.5Vであるから、下地金属層の距離10mm毎に全体の2〜3.3%の電圧降下が発生する。電解めっきの場合、電圧低下は電流の低下、すなわちめっき膜厚の低下率と同等である。レジスト開口部であれば銅めっき皮膜が生成するのでこのような大きな電圧降下は発生しないが、レジスト開口部のない場所では電解めっき時にこのような大きな電圧降下が発生する。通常のめっき皮膜の膜厚バラツキは10%以下であることから電圧降下のみを考えると、レジスト開口部とレジスト開口部の距離は50mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましい。めっき厚バラツキは装置の構造やめっき液の流れ等の下地金属による電圧降下以外の要因もあるため、通常のめっき皮膜の膜厚バラツキは10%以下を実現するためには、レジスト開口部とレジスト開口部の距離が20mm以下であることが、さらに好ましい。
本発明では、レジスト開口部に電解めっきにより配線部を形成する前に、最表層であるニッケル、クロム、チタン、モリブデン、コバルト、鉄、亜鉛、アルミニウムもしくはこれら含む合金の金属層はエッチングにより除去される。このとき、前記下地金属層はエッチングされないようなエッチング液を用いる必要がある。例えば最表層にニクロム、前記下地金属層に銅層を用いた場合は、銅をエッチングしないでニクロムを選択エッチングするエッチング液を用いる。選択エッチングは、めっきレジストの下地である銅と異なる金属層を完全に除去することが望ましいが、めっきが密着して析出できる場合は薄く残すことも可能である。なお、活性金属と呼ばれるクロム、チタンやこれらを多く含む合金層を、めっきレジストの下地である銅と異なる金属層に用いた場合は表面が酸化しやすく、めっきとの密着不良が発生しやすいため、これらの合金層を用いた場合は、選択エッチングにて完全に除去することが望ましい。
選択エッチングにて、レジスト開口部の銅と異なるめっきレジストの下地である金属層をエッチングした後、レジスト開口部に電解めっきにて配線部の金属層を形成する。配線部の金属層としては金、銀、銅等の電気抵抗の小さい材料が望ましく、コスト安とイオンマイグレーションの発生しにくい点から、銅であることがさらに望ましい。銅を電解めっきで形成する場合は、硫酸銅めっき液を用いることが一般的である。
電解めっき後はめっきレジストを剥離し、めっきレジスト下部にあった複数の金属層のエッチングを行う。例えば配線部が銅層である場合、レジスト剥離後の複数の金属層の最表面は、ニッケル、クロム、チタン、モリブデン、コバルト、鉄もしくはこれら含む合金の金属層であり、銅と異なる金属層であるから、銅層をエッチングしないエッチング液を用いて、ニッケル、クロム、チタン、モリブデン、コバルト、鉄もしくはこれら含む合金の金属層を選択エッチングする。最表層の金属層をエッチングしてその下層にある銅層が露出したら、銅層の厚み分のエッチングを行い、配線幅が必要以上に減少しないようにする。銅層の厚みは0.01μm以上0.5μm以下であるから、配線幅としては両側からエッチングされるので0.02μm以上1μm以下分減少する。配線が必要以上にエッチングで大きく減少しないように、ソフトなエッチング液を用いる。ソフトなエッチング液としては硫酸−過酸化水素系のエッチング液、過硫酸系のエッチング液がある。複数の金属層が配線部と同じ材料系である場合は、ソフトなエッチングを行い、異なる材料の場合は配線部の金属層をエッチングしない選択エッチングを行い、配線部のエッチングによる減少を最小にするようにする。これらを繰り返すことにより、配線部の金属層のない複数の金属層を除去する。これにより回路基板の配線部が形成される。
また、複数の金属層をエッチングで除去した絶縁層の表面を、エッチングにてハーフエッチングしても良い。これは絶縁層表面に絶縁性を低下させる金属層のわずかな残りを除去するために行う。例えば絶縁層がポリイミド樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂である場合、金属層をほとんどエッチングしないアルカリ過マンガン酸で、樹脂表面を0.1〜1μmの深さでハーフエッチングすると、配線間の絶縁信頼性が向上する。
形成された配線部は必要に応じてその表面をめっきにより金属皮膜される。金属皮膜の材料としては外部端子として半田材料となるもの、酸化防止皮膜となるもの、配線部と最表層の金属皮膜との界面の反応を防ぐ緩衝膜となるものが選ばれる。半田材料としては金、錫、錫を含む合金層が、酸化防止膜の材料としては金が、緩衝膜の材料としてはニッケルが代表的な材料である。
次に形成された配線部の上には必要に応じて絶縁層が形成される。形成された配線部が最表層の場合は、配線部を保護するためのソルダーレジストが必要な部分に形成される。形成された配線部の上に更なる配線部を形成する場合、配線部の上に絶縁層を形成する。絶縁層と更なる配線部を形成する方法は配線部を形成するときと同じく方法を繰り返すことで行うことができる。これらを繰り返すことで任意の層数の多層回路基板を形成することが可能である。
絶縁層として可撓性フィルムを用いる場合、可撓性フィルムを補強板に剥離可能な固定用材料を介して補強板に固定して回路基板用部材が形成されても構わない。ここで回路基板用部材とは、回路基板が剥離可能な固定用材料を介して補強板に補強されているもので、回路基板用部材の補強板から回路基板を剥離することで回路基板が得られる。この場合、位置精度に優れる回路基板用部材が形成可能となるため、回路基板用部材上に電子部品を精度良く配置することが可能である。この場合において本発明で用いられる可撓性フィルムは、回路パターン製造工程および電子部品実装での熱プロセスに耐えるだけの耐熱性を備えていることが必要である。本発明で好適に用いられる可撓性フィルムとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリエーテルサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミドおよび液晶ポリマーなどからなるフィルムを採用することができる。中でもポリイミドフィルムは、耐熱性に優れるとともに耐薬品性にも優れているので好適に採用される。また、低誘電損失など電気的特性が優れている点で、液晶ポリマーフィルムが好適に採用される。可撓性フィルムとして、可撓性のガラス繊維補強樹脂板を採用することも可能である。ガラス繊維補強樹脂板の樹脂としては、エポキシ、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、マレイミド、ポリアミドおよびポリイミドなどの樹脂が挙げられる。
可撓性フィルムの厚さは、電子機器の軽量化や小型化、あるいは微細なビアホール形成のためには薄い方が好ましく、一方、機械的強度を確保するためや平坦性を維持するためには厚い方が好ましい点から、4μmから125μmの範囲であることが好ましい。
本発明において、可撓性フィルムは補強板への貼り合わせに先立って、調湿されていることが好ましい。可撓性フィルムは熱膨張や湿度膨張するため、温度や湿度で膨張した可撓性フィルムを補強板に貼り合わせ、高精度の回路パターンを形成すると、補強板からの剥離後に可撓性フィルムが収縮するために可撓性フィルム上の回路パターンの位置精度は低下する。あるいは、温度や湿度で収縮した可撓性フィルムを補強板に貼り合わせ、高精度の回路パターンを形成すると、補強板からの剥離後に可撓性フィルムが膨張するために可撓性フィルム上の回路パターンの位置精度は低下する。調湿は、0℃超、100℃未満の温度条件、25%RH以上75%RH以下の湿度条件下で、可撓性フィルムが重ならない状態で行われればよい。特に、最終的に寸法精度が重要となる、可撓性フィルムの回路パターンと、電子部品や他の回路基板とを接合する際の温湿度環境がわかっている場合は、その環境に合わせることが好ましい。
本発明において、可撓性フィルムは補強板への張り合わせに先立って、熱処理されていることが好ましい。熱処理をすることによって、回路基板の製造工程の熱履歴のために可撓性フィルムに熱収縮歪みが蓄積されるのを抑制することができる。熱処理温度は100℃以上であることが好ましく、回路基板製造工程の最高温度以上であることがさらに好ましい。
好適に用いられる補強板としては、例えば、ソーダライムガラス、ホウケイ酸系ガラス、石英ガラスなどからなるガラス板、インバー合金、ステンレススチール、チタンなどからなる金属板、アルミナ、ジルコニアおよび窒化シリコンなどからなるセラミックス板やガラス繊維補強樹脂板などが挙げられる。これらは、いずれも熱膨張係数や吸湿膨張係数が小さい点で好ましいが、回路パターン製造工程の耐熱性と耐薬品性に優れている点、大面積で表面平滑性が高い基板が安価に入手しやすい点、および塑性変形しにくい点で、ガラス板が好ましい。中でも、アルミノホウケイ酸塩ガラスに代表されるホウケイ酸系ガラスからなるガラス板は、高弾性率でかつ熱膨張係数が小さいため、特に好ましく用いられる。
補強板に用いられるガラス板は、ヤング率が小さい、あるいは厚さが薄いと、可撓性フィルムの膨張・収縮力で反りやねじれが大きくなり、平坦なステージ上に真空吸着したときにガラス板が割れることがある。また、真空吸着・脱着で可撓性フィルムが変形することになり位置精度の確保が難しくなる傾向がある。一方、ガラス板が厚いと、肉厚ムラにより平坦性が悪くなることがあり、露光精度が悪くなる傾向がある。また、ロボット等によるハンドリング時に負荷が大きくなり、素早い取り回しが難しくなって生産性が低下する要因になる他、運搬コストも増大する傾向がある。これらの点から、ガラス板の厚さは、0.3mmから1.1mmの範囲が好ましい。
補強板に金属板を用いる場合、金属板のヤング率が小さい、あるいは厚さが薄いと、可撓性フィルムの膨張力や収縮力で金属板の反りやねじれが大きくなり、平坦なステージ上に真空吸着できなくなったり、また、金属板の反りやねじれの分、可撓性フィルムが変形することにより、位置精度の保持が難しくなる。また、金属板に折れがあると、その時点で不良品になる。一方、金属板が厚いと、肉厚ムラにより平坦性が悪くなることがあり、露光精度が悪くなる。また、ロボット等によるハンドリング時に負荷が大きくなり、素早い取り回しが難しくなって生産性が低下する要因になる他、運搬コストも増大する。これらの点から、金属板の厚さは、0.1mmから0.7mmの範囲が好ましい。
本発明において、可撓性フィルムと補強板の貼り合わせに用いられる有機物層には、接着剤または粘着剤が使用される。接着剤または粘着剤としては、例えば、アクリル系またはウレタン系の再剥離剤と呼ばれる粘着剤を挙げることができる。可撓性フィルム加工中は十分な接着力があり、剥離時は容易に剥離でき、可撓性フィルム基板に歪みを生じさせないために、弱粘着から中粘着と呼ばれる領域の粘着力のものが好ましい。このような接着剤または粘着剤として、タック性があるシリコーン樹脂を使用することもでき、また、タック性があるエポキシ系樹脂を使用することも可能である。
また、有機物層として、低温領域で接着力または粘着力が減少するもの、紫外線照射で接着力または粘着力が減少するものや、加熱処理で接着力または粘着力が減少するものも好適に用いられる。これらの中でも、接着力または粘着力の変化が大きいという点で、紫外線照射で接着力または粘着力が減少する有機物が好ましく用いられる。紫外線照射で接着力または粘着力が減少するものの例としては、2液架橋型のアクリル系粘着剤が挙げられる。また、低温領域で接着力または粘着力が減少するものの例としては、結晶状態と非結晶状態間を可逆的に変化するアクリル系粘着剤が挙げられる。
有機物層の剥離力は、有機物層を介して補強板と貼り合わせた1cm幅の可撓性フィルムを剥離するときの180°方向ピール強度で測定される。剥離力を測定するときの剥離速度は300mm/分とする。本発明において、剥離力は0.098N/mから98N/mの範囲であることが好ましい。
可撓性フィルムを補強板から剥離するときの剥離力は、小さすぎると回路パターン形成中に可撓性フィルムが有機物層から剥離する恐れがある。一方、剥離力が大きすぎると、剥離後の可撓性フィルムが変形したりカールする恐れがある。剥離の界面は、補強板と有機物層との界面でも有機物層と可撓性フィルムとの界面でもどちらでも良いが、可撓性フィルムから有機物層を除去する工程が省略できるので、有機物層と可撓性フィルムとの界面で剥離する方が好ましい。
補強板と有機物層との接着力を向上させるために、補強板にシランカップリング剤塗布などのプライマー処理を行っても良い。プライマー処理以外に、紫外線処理あるいは紫外線オゾン処理などによる洗浄や、ケミカルエッチング処理、サンドブラスト処理あるいは微粒子分散層形成などの表面粗化処理なども好適に用いられる。
本発明で用いられる有機物層の厚さは、0.1μmから20μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.3μmから10μmの範囲である。
次に、本発明の回路基板用部材の製造方法の一例を以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
厚さ0.7mmのアルミノホウケイ酸塩ガラス板(基板)に、スピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーターまたはスクリーン印刷機などで、シランカップリング剤を塗布する。間欠的に送られてくる枚葉基板に、比較的低粘度のシランカップリング剤の薄膜を均一に塗布するためには、スピンコーターの使用が好ましい。ガラス基板にシランカップリング剤塗布後、加熱乾燥や真空乾燥などにより乾燥し、厚さが20nmのシランカップリング剤層を得る。
次に、上記シランカップリング剤層上に、スピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーターまたはスクリーン印刷機などで、紫外線硬化型有機物を塗布する。間欠的に送られてくる枚葉基板のシランカップリング剤層上に比較的粘度が高い有機物を均一に塗布するためには、ダイコーターの使用が好ましい。シランカップリング剤層上に有機物を塗布後、加熱乾燥や真空乾燥などにより乾燥し、厚さ2μmの有機物層を得る。この有機物層に、ポリエステルフィルム上にシリコーン樹脂層を設けた空気遮断用フィルムを貼り付けて1週間熟成させる。空気遮断用フィルムを貼り合わせる代わりに、窒素雰囲気中や真空中で保管することもできる。また、有機物層を長尺フィルム基体に塗布し、乾燥後、枚葉基板に転写することも可能である。
本発明において、有機物層は、最初に可撓性フィルム側に形成されていても良いし、補強板側に形成されていても良く、両方に形成されていても良い。形成の容易さや剥離界面を可撓性フィルムと有機物層となるように制御するためには、有機物層は補強板側に形成されることが好ましい。
次に、上記空気遮断用フィルムを剥がしてポリイミドフィルムを貼り付ける。ポリイミドフィルムの厚さは、4μmから125μmの範囲であることが好ましい。ポリイミドフィルムの片面にはサブトクティブ法により回路形成されていても良い。必要に応じてサブトラクティブ法にて形成された回路はソルダーレジスト等で被覆されても良い。ポリイミドフィルムは、あらかじめ所定の大きさのカットシートにしておいて貼り付けても良いし、長尺ロールから巻きだしながら、貼り付けと切断をしてもよい。あらかじめサブトラクティブ法により回路が形成されている場合はサブトラクティブ法により形成された回路側を補強板と貼り合せる。貼り付け作業には、ロール式ラミネーターや真空ラミネーターを使用することができる。ポリイミドフィルムを貼り付けた後、紫外線硬化型有機物層に紫外線を照射して架橋を進行させる。
次に、ポリイミドフィルムの貼り合わせ面とは反対側の面に、セミアディティブ法で回路パターンを形成する。この回路形成する前にポリイミドフィルムにはビアホールが形成されていても良い。あらかじめサブトラクティブ法により回路が補強板の貼りあわせ面に形成されている場合は、このサブトラクティブ法により形成された配線上にビアホール形成用の孔を形成する。孔の形状としては貫通型のスルーホールでも構わないが、有効実装面積が大きなブラインドビアが望ましい。このビアホール形成と貼り合わせ面と反対側の回路を以下の複数の金属層を用いて形成する。まず、回路パターンを形成する面に、クロム、ニッケル、チタン、タングステンおよびこれらの合金の少なくとも1種からなる接着改良用下地層を形成する。接着改良用下地層の厚さは、通常、1nmから1000nmの範囲である。接着改良用下地層の上に、銅膜をスパッタ法で、50nmから3000nm積層することが、後に続く電解めっきのために十分な導通を確保し、金属層の接着力向上やピンホール欠陥防止に効果がある。続いてニッケル、クロム、チタン、モリブデン、コバルト、鉄もしくはこれら含む合金の金属層をスパッタ法で形成する。当該金属層は厚さ50nmから1000nmの範囲で形成する。複数の金属層の形成に先立ち、ポリイミドフィルム表面に接着力向上のために、プラズマ処理、逆スパッタ処理を行う。
このようにして形成された複数の金属層上に、フォトレジストをスピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーターまたはスクリーン印刷機などで塗布して、乾燥する。該フォトレジストを所定パターンのフォトマスクを介して露光、現像して、めっき膜が不要な部分にめっきレジスト層を形成する。
ついでめっきレジスト層の開口部に露出された、ニッケル、クロム、チタン、モリブデン、コバルト、鉄もしくはこれら含む合金の金属層を、複数の金属層に含まれる銅層をエッチングしないエッチング液でエッチングにより除去する。
次いで、複数の金属層を電極として電解めっきを行う。電解めっき液としては、硫酸銅めっき液、シアン化銅めっき液およびピロ燐酸銅めっき液などが用いられる。電解銅めっきの電流密度は、小さい程望ましい。電流密度が大きいほど、電流量が大きくなるため給電用下地金属層での電圧降下が大きくなり、めっきバラツキが大きくなるからである。硫酸銅めっき液の場合、電流密度は0.2〜2A/dm2が望ましく、0.2〜1A/dm2がさらに好ましい。厚さ2μmから20μmの銅めっき膜を形成後、フォトレジストを剥離し、銅層をエッチングしないエッチング液とスライトエッチングにて配線間に露出している複数の金属層を除去する。さらに必要に応じて金、ニッケルまたは錫などのめっきを施し、回路パターンを得る。
必要に応じて、回路パターン上にソルダーレジスト膜を形成する。微細回路パターンに対しては、感光性のソルダーレジストの採用が好ましい。スピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーターまたはスクリーン印刷機などで回路パターン上に感光性ソルダーレジストを塗布し、乾燥させた後、所定のフォトマスクを介して紫外線露光をし、現像して、ソルダーレジストパターンを得る。次に、100℃から200℃の温度でキュアをする。
ガラスに貼り合わせて加工された高精度の回路パターンに、LSIなどの電子部品を接合する。電子部品搭載装置は、光学的位置検出機能と可動ステージなどの位置合わせ機能を有し、搭載精度を確保できるものが好ましく使用される。本発明は、特に接合ピッチが小さく、かつピン数が大きい大規模LSIの実装精度確保に効果が大きい。また、電子部品と回路基板との接合方法としては、回路基板の接合部に形成された金属層と半導体部品の接合部に形成された金属層とを加熱圧着し金属接合させる方法が挙げられる。また、回路基板の接合部の金属層と半導体部品の接合部に形成された金属層とを圧着しつつ回路基板と半導体部品間に配置した異方導電性接着剤または非導電性接着剤を硬化させ、機械的に接合させる方法などを挙げることもできる。
回路パターンが形成された可撓性フィルムを補強板から剥離することによって回路基板が得られる。剥離する方法としては、可撓性フィルムの端部を把持しながら剥離する方法や、可撓性フィルムの表面に粘着テープを押しつけて剥離する方法などが挙げられる。剥離のタイミングは、電子部品実装を高精度に保つために、電子部品を接合してから行うことが好ましい。また、該接合の精度を高く保つために、電子部品接合後、さらに可撓性フィルム上の回路パターンの一部を他の回路基板に接合してから剥離することが好ましい。
本発明の回路基板用部材およびその製造方法は、例えば、電子機器の配線板、ICパッケージ用インターポーザーおよびウェハレベルバーンインソケット用配線板などに好適に使用される。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
図1〜4を用いて以下に説明する。
絶縁性樹脂基板である25μm厚のポリイミドフィルム(”カプトン”(商品名)100EN 東レ・デュポン(株)製)103を、剥離力が4.9N/mである剥離可能な固定用材料102(紫外線硬化型粘着剤”SKダイン”SW22 線研化学(株)製)を介して平坦なガラス補強板101に固定し、ガラス補強板に固定された面とは反対側のポリイミドフィルム面に回路パターン104を形成する(図1−(1))。
図1〜4を用いて以下に説明する。
絶縁性樹脂基板である25μm厚のポリイミドフィルム(”カプトン”(商品名)100EN 東レ・デュポン(株)製)103を、剥離力が4.9N/mである剥離可能な固定用材料102(紫外線硬化型粘着剤”SKダイン”SW22 線研化学(株)製)を介して平坦なガラス補強板101に固定し、ガラス補強板に固定された面とは反対側のポリイミドフィルム面に回路パターン104を形成する(図1−(1))。
回路パターン104の形成はセミアディティブ法を選択した。ポリイミドフィルム表面の平坦性を保つため、電解めっき給電目的の金属層は、14nm厚のNi−0.2Crスパッタ層114および100nm厚の銅スパッタ層124を形成した。次いでめっきレジストの下地層として40nm厚のNi−0.2Crスパッタ層134を形成した(図1−(2))。
次に前記スパッタ金属層上にめっきレジストを形成した。めっきレジストとしては半導体素子に用いられるポジ型感光性の液状レジスト“PMER P−LA900PM”(東京応化工業(株))を使用し、レジスト厚20μmでL/S=10/10μmのめっきレジスト106を形成した。液状レジスト“PMER P−LA900PM”(東京応化工業(株)製)をスピンコーターでレジスト厚20μmを塗布した後、90℃30分のキュアした後、配線形成部に600mJ/cm2の紫外線露光し、次いで3%のTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)で現像し、配線形成部のレジストを開口させることでめっきレジスト106を形成した(図1−(3))。
めっきレジスト形成後、めっきレジストの開口部に露出しているめっきレジスト下地層のNi−0.2Crスパッタ層134を除去した(図1―(4))。エッチング液は“メックリムーバー”CH1920(メック(株))を用いた。これにより、めっきレジスト開口部には銅スパッタ層124が露出した。
次いでめっきレジスト開口部に電解銅めっきを行った。電解銅めっき液は硫酸銅五水和塩50g/L、硫酸200g/L、塩素50ppmの組成を使用した。めっき条件は噴流方式、電流密度1A/dm2で銅層144が10μm厚になるまで行った(図1―(5))。
電解めっき後はめっきレジストをアルカリ性の剥離液で除去した後(図1―(6))、“メックリムーバー”CH1920を用いてめっきレジストで覆われていた部分のNi−0.2Crスパッタ層を除去し、過酸化水素−硫酸系のエッチング液を用いて配線間にある銅スパッタ層124を除去した。次いで、“メックリムーバー”CH1920を用いてNi−0.2Crスパッタ層114を除去し、配線形成した。
次に、回路パターン104を剥離可能な粘着剤202を介して、第2の補強板201に貼り付け(図2−(2))、第1の補強板101と剥離可能な固定用材料102を剥離した(図2−(3))。剥離する際には剥離可能な固定用材料102の粘着力を低下させ補強板101のみを剥離させる。剥離可能な固定用材料102に熱処理で粘着力が低下するので補強板101を加熱することで容易に粘着力を低下できる。また、補強板が透光性に優れたガラスであるから、補強板101側から紫外線照射することで剥離可能な固定用材料102の粘着力の低下をはかることができる。
次にポリイミドフィルム103に、ビアホール105を形成する(図2−(4))。”カプトン”(商品名)100EN(東レ・デュポン(株)製)25μm厚のフィルムにΦ80μmのビアを加工を以下の条件で行った。
YAGレーザー装置)esi MODEL5310
加工方法:トレパニング
Z offset:1.7mm
Power:0.500W
Bite Size:4.19μm
Velocity:125.6mm/sec
Rep Rate:30KHz
Repetition:5
Eff Spot Size:56μm
Data Diameter:80μm。
加工方法:トレパニング
Z offset:1.7mm
Power:0.500W
Bite Size:4.19μm
Velocity:125.6mm/sec
Rep Rate:30KHz
Repetition:5
Eff Spot Size:56μm
Data Diameter:80μm。
以上の条件よりビアトップ径80μm、ボトム径40μmでビア底よりもビア開口部の方が大きいすり鉢状のビアであって、ビア底とビア内壁のなすテーパー角が50°のビアが形成した。レーザー加工後、ビア底の樹脂残りと、レーザーの熱の影響により酸化したビア底に露出した金属表面を清浄するため、デスミアとソフトエッチングを行った。
次にビアホール105とポリイミドフィルム103上に回路パターン(図4における符号204で示した部分)204を形成するために、まず、回路パターン104同様にポリイミドフィルム表面に14nm厚のNi−0.2Cr層214をスパッタ後、100nm厚銅スパッタ層224を形成した。次いでめっきレジストの下地層として40nm厚のNi−0.2Crスパッタ層234を形成した(図3−(1))。
次に前記スパッタ金属層上にめっきレジスト206を形成する(図3−(2))。ここでめっきレジストとしてはネガ型の感光性レジスト “ORDYL E4715”(東京応化工業(株)製)を使用し、レジスト厚15μmでL/S=10/10μmのめっきレジストを形成した。
めっきレジスト形成後、回路パターン104同様にめっきレジストの開口部に露出するめっきレジスト下地層のNi−0.2Crスパッタ層234を除去した(図3−(3))。
次いでめっきレジスト開口部に電解銅めっきを行った。めっき条件は回路パターン104同様に噴流方式、電流密度1A/dm2で銅層244が10μm厚になるまで行った(図4−(1))。
電解めっき後は回路パターン104同様にめっきレジストをアルカリ性の剥離液で除去した後(図4−(2))、“メックリムーバー”CH1920と過酸化水素―硫酸系のエッチング液を用いて、配線間にある給電目的のニクロムと銅のスパッタ金属層からなる複数の金属層を除去し(図4−(3)、回路パターン204を形成し、両面回路基板用部材を製造した。
得られた両面回路基板用部材のビアホールは、冷熱衝撃試験−55℃(30分)/125℃(30分)1000サイクル前後の抵抗変化率が10%以下であり、良好であった。
比較例1
めっきレジスト下地層としてのNi−0.2Crスパッタ層を形成しなかった他は、実施例1と同様に行った。電解めっき給電目的の金属層は、ポリイミドフィルム表面に14nm厚のNi−0.2Crスパッタ層、次いで100nm厚の銅スパッタ層を形成した。
めっきレジスト下地層としてのNi−0.2Crスパッタ層を形成しなかった他は、実施例1と同様に行った。電解めっき給電目的の金属層は、ポリイミドフィルム表面に14nm厚のNi−0.2Crスパッタ層、次いで100nm厚の銅スパッタ層を形成した。
次に実施例1と同様に前記スパッタ金属層上にめっきレジストを形成し、次いでめっきレジスト開口部に電解銅めっきを行った。電解めっき後はめっきレジストをアルカリ性の剥離液で除去した後、過酸化水素―硫酸系のエッチング液を用いて配線間にある給電目的の銅のスパッタ金属層を除去した。次いで、“メックリムーバー”CH1920を用いてNi−0.2Crスパッタ層を除去し、配線形成した。
次に、実施例1と同様にして、得られた部材を他の補強板を貼り合わせ、ビアホールを形成した。ビアトップ径80μm、ボトム径40μmでビア底よりもビア開口部の方が大きいすり鉢状のビアであって、ビア底とビア内壁のなすテーパー角が50°のビアが形成した。レーザー加工後、ビア底の樹脂残りと、レーザーの熱の影響により酸化したビア底に露出した金属表面を清浄するため、デスミアとソフトエッチングを行った。
次に実施例1と同様にして、ビアホールとポリイミドフィルム上に回路パターンを形成したが、片面の回路パターン形成と同様に、めっきレジスト下地層に相当するNi−0.2Crスパッタ層は形成しなかった。ポリイミドフィルム表面に14nm厚のNi−0.2Crスパッタ後、100nm厚銅スパッタ層を形成した。
前記スパッタ金属層上にめっきレジストを形成し、次いでめっきレジスト開口部に電解銅めっきを、銅層が15μm厚になるまで行った。
電解めっき後は片面の回路パターン同様に、めっきレジストをアルカリ性の剥離液で除去した後、“メックリムーバー”CH1920と過酸化水素−硫酸系のエッチング液を用いて、配線間にある給電目的のニクロムと銅のスパッタ金属層からなる複数の金属層を除去し、回路パターンを形成し、両面回路基板用部材を製造した。
しかしながら、得られた両面回路基板用部材のビアホールは、冷熱衝撃試験−55℃(30分)/125℃(30分)1000サイクル前後の抵抗変化率が15%以上で、ビア接続信頼性において不良であった。
比較例2
電解銅めっきの前処理として過酸化水素−硫酸系のエッチング液でソフトエッチングを行った以外は比較例1と同様にして両面回路基板用部材を製造した。このとき電解銅めっき前処理のエッチングにより下地の銅スパッタ層とニクロム(Ni−Cr)の一部が溶解してしまい、電解銅めっきにて金属皮膜を形成することできず、回路パターンを形成することができなかった。
電解銅めっきの前処理として過酸化水素−硫酸系のエッチング液でソフトエッチングを行った以外は比較例1と同様にして両面回路基板用部材を製造した。このとき電解銅めっき前処理のエッチングにより下地の銅スパッタ層とニクロム(Ni−Cr)の一部が溶解してしまい、電解銅めっきにて金属皮膜を形成することできず、回路パターンを形成することができなかった。
比較例3
めっきレジスト形成前の銅スパッタ層の上に、めっきレジスト下地層として電解銅めっきにより厚さ1.5μmの銅層を形成する以外は、比較例1と同様にして両面回路基板用部材を製造した。このとき、下地の銅スパッタ層0.1μmと電解銅めっきの1.5μmを含めて基板全体でエッチングにて除去するためには、基板内の銅めっき膜厚バラツキとエッチングバラツキを含めて考えると、銅厚2μmのエッチングする条件が必要になる。したがって、めっきレジスト剥離後のエッチングでめっきレジスト下地銅層を除去するために2μm厚さの銅エッチングを行うことになり、配線が両端より2μmエッチングされた。配線幅10μmの内、4μmがエッチングにて減少した。配線幅が4μm減少することで配線抵抗が1.7倍となった。得られた両面回路基板用部材のビアホールは冷熱衝撃試験−55℃(30分)/125℃(30分)1000サイクル前後の抵抗変化率が10%以下であったが、配線幅減少による初期抵抗が高く不良であった。
めっきレジスト形成前の銅スパッタ層の上に、めっきレジスト下地層として電解銅めっきにより厚さ1.5μmの銅層を形成する以外は、比較例1と同様にして両面回路基板用部材を製造した。このとき、下地の銅スパッタ層0.1μmと電解銅めっきの1.5μmを含めて基板全体でエッチングにて除去するためには、基板内の銅めっき膜厚バラツキとエッチングバラツキを含めて考えると、銅厚2μmのエッチングする条件が必要になる。したがって、めっきレジスト剥離後のエッチングでめっきレジスト下地銅層を除去するために2μm厚さの銅エッチングを行うことになり、配線が両端より2μmエッチングされた。配線幅10μmの内、4μmがエッチングにて減少した。配線幅が4μm減少することで配線抵抗が1.7倍となった。得られた両面回路基板用部材のビアホールは冷熱衝撃試験−55℃(30分)/125℃(30分)1000サイクル前後の抵抗変化率が10%以下であったが、配線幅減少による初期抵抗が高く不良であった。
101、201 補強板
102、202 有機物層
103 可撓性フィルム
104、204 回路パターン
105 ビアホール
114、134,214、234 Ni−Cr金属層
124、224 スパッタによる銅層
144、244 めっきによる銅層
106、206 めっきレジスト
102、202 有機物層
103 可撓性フィルム
104、204 回路パターン
105 ビアホール
114、134,214、234 Ni−Cr金属層
124、224 スパッタによる銅層
144、244 めっきによる銅層
106、206 めっきレジスト
Claims (4)
- 絶縁層の上に複数層からなる金属層が形成されている回路基板用材料であって、複数層からなる金属層の絶縁層側とは反対側の最表層がニッケル、クロム、チタン、モリブデン、コバルト、鉄、亜鉛、アルミニウム、もしくはこれらの金属を少なくとも1種含む合金の金属層であり、前記金属層の下層にある下地金属層は銅もしくは銅を含む合金層であることを特徴とする回路基板用材料。
- 孔を有する絶縁層の上に孔の内部表面を含む表面上に複数層からなる金属層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の回路基板用材料。
- 基板上に絶縁層と導体配線層が交互に複数積層され、各導体配線層が絶縁層を厚さ方向に横切ってビアホールにより電気的に接続され、基板とは反対側の最表層に導体配線層が露出している多層回路基板の製造方法であって、絶縁層に設けられたビアホールおよび絶縁層表面に第1層目の金属層(第1金属層)を形成する工程と、第1金属層の上に第1金属層とは異なる組成を有する金属層(第2金属層)を形成する工程と、第2金属層の上に第2金属層とは異なる組成を有する金属層(第3金属層)を形成する工程と、第3金属層の表面に配線パターン部の第3金属層表面が一部開口しためっきレジスト層を設ける工程と、めっきレジスト層によって開口した第3金属層のみを選択エッチングして第2金属層を露出させる工程と、露出した第2金属層上に電解めっきにより第4金属層を形成する工程と、めっきレジスト膜を剥離した後、露出した第3金属層を選択エッチングにて除去して第2金属層を露出させる工程と、露出した第2金属層およびその下にある第1金属層をエッチングにて除去する工程を有することを特徴とする回路基板の製造方法。
- 補強板に剥離可能な固定用材料を介して、請求項1または2記載の回路基板用材料を補強板に固定してから回路形成および電子部品を搭載することを特徴とする回路基板の製造方法。
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