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JP2006271938A - プレフィルドシリンジ - Google Patents

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JP2006271938A JP2005128574A JP2005128574A JP2006271938A JP 2006271938 A JP2006271938 A JP 2006271938A JP 2005128574 A JP2005128574 A JP 2005128574A JP 2005128574 A JP2005128574 A JP 2005128574A JP 2006271938 A JP2006271938 A JP 2006271938A
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豊 松澤
Koji Kawahara
幸司 川原
Takashi Morimura
孝史 森村
Tatsuo Suzuki
龍夫 鈴木
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Fukoku Co Ltd
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Abstract

【課題】 複数の成分の混合及び排出順序を設定することができるプレフィルドシリンジを提供する。
【解決手段】 排出部11を有する外筒12と、その中に配置されたプランジャ用ガスケット15及び複数の仕切用ガスケット16X、16Yを備え、排出部側11に設けられて外筒12内で混合して排出される複数の混合成分を収容した複数の混合用収容室18a、18bと、複数の混合用収容室18a、18bよりプランジャ14側に設けられて混合成分より後に排出される順次排出成分を収容した順次排出用収容室19とを含み、プランジャ用ガスケット15を排出部11側へ移動させることにより、混合用収容室18a、18b間を連通して複数の混合成分を混合可能な混合排出手段30と、混合成分の排出後にプランジャ用ガスケット15を排出部11側へ移動させることにより、順次排出成分を排出部11から排出可能な順次排出手段20とを設けた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、外筒内に配置された複数の仕切用ガスケットにより3室以上の収容室が仕切られ、これらの収容室に使用時に混合して排出される複数の混合成分や、使用時に溶解して排出される固形薬剤及び溶解液を隔離して収容するのに好適なプレフィルドシリンジに関する。
従来より、複数の成分を患者に投与するための注射液や輸液等では、混合状態にすると早期に分解や変質等を起こし易い成分を、それぞれ隔離して保存し、使用直前に混合して患者へ投与したり、輸液に混注することが行われており、例えば、長期間安定して保存し易い固形薬剤として保存し、使用時に溶解液や分散液に混合して注射液や輸液を調製して患者へ投与することが多数行われている。
このような使用時の混合操作を容易にし、調製作業のミスを防止するため、外筒内を仕切用ガスケットにより複数の収容室に仕切り、一つの収容室に固形薬剤や薬液を収容し、他の収容室に溶解液、分散液、他の薬液等を収容した2室型のプレフィルドシリンジが多数提案されている(例えば、下記特許文献1乃至4参照)。
これらのプレフィルドシリンジは、製造時や保存時には、2つの成分を隔離した状態で維持でき、使用時には、プランジャを押圧して複数の収容室を仕切る仕切用ガスケットを所定位置まで移動させれば、仕切用ガスケットの両側の収容室間を連通させる流路が形成され、この流路から一方の収容室内の溶解液、分散液、又は薬液等を他方の収容室内に移送して混合することにより、複数の成分が混合された注射液や輸液を調製することができる。そして、更にプランジャを押圧することにより、この調製された混合液を排出部から排出させることが可能である。
特開昭60−72561号公報 特開2001−104482号公報 特開2000−60970号公報 特開平8−112358号公報
しかしながら、従来のプレフィルドシリンジの多くは、2つの収容室に隔離して収容された2成分を使用時に混合して排出するものであり、3成分以上を収容し難いものが多く、また、3室以上の収容室を設けて3成分以上を収容したとしても、使用時に各成分を混合した状態でしか排出させることができなかった。
そのため、使用時に3成分以上を用いる場合、各成分の混合順序や排出順序等に条件が存在すると、一つのプレフィルドシリンジに収容して同時に混合及び排出させることができなかった。
例えば、pH7付近の液には溶解し難く、酸性或いはアルカリ性の液により溶解を促進できる難溶解性の固形薬剤を用いる場合、従来のプレフィルドシリンジを用いると、排出される液のpHを7付近に調製しなければならないため、固形薬剤を溶解する溶解液としてはpH7付近の注射用溶解液を用いなければならない。そのため、使用時に各収容室の成分を混合して溶解させるとすれば、溶解し難く、シリンジに振動を与えるなど、溶解操作に手間を要する。また、酸性或いはアルカリ性の液を用いて溶解し、その後にpHを7付近となるように調整液を用いて調製するとすれば、複数の混合操作を順序よく行わなければならず、調製操作に手間を要する。さらに、このように複数回の操作を行うと、薬剤成分や、その使用量の間違えるなどの調製ミスが生じやすく、菌による汚染が生じるなどの問題点も生じる。
そこで、本発明は、混注用として好適で、複数の成分の混合及び排出順序を設定することができるプレフィルドシリンジを提供することを課題とする。
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、排出部を有する外筒と、前記外筒内に液密に配置されたプランジャ用ガスケットと、前記外筒内の前記排出部と前記プランジャ用ガスケットとの間に液密に配置されて3室以上の収容室を仕切る複数の仕切用ガスケットとを備えたプレフィルドシリンジであって、
前記3室以上の収容室が、前記排出部側から互いに隣接して設けられ、かつ、前記外筒内で混合して排出される複数の混合成分を隔離して収容した複数の混合用収容室と、前記複数の混合用収容室よりも前記プランジャ側に設けられ、かつ、前記混合成分より後に排出される順次排出成分を収容した順次排出用収容室とを含み、
前記プランジャ用ガスケットを前記排出部側へ移動させることにより、前記混合用収容室間を連通して前記プランジャ用ガスケット側の混合用収容室内の混合成分を、前記排出部側の混合用収容室内へ移送させる混合排出手段と、
前記混合成分の排出後に前記プランジャ用ガスケットを前記排出部側へ移動させることにより、前記順次排出成分を前記排出部から排出可能な順次排出手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記混合排出手段は、前記混合用収容室間を仕切る前記仕切用ガスケットが連通領域に到達することにより前記混合用収容室間を連通する連通路を備え、
前記順次排出手段は、前記順次排出成分と混合後の前記混合成分との間に配置される前記仕切用ガスケットが前記連通領域よりも前記排出部側の排出領域に到達することにより開通する順次排出路を備えることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記順次排出手段が、前記順次排出成分と混合後の前記混合成分との間に配置される前記仕切用ガスケットに形成された貫通孔と、前記貫通孔に摺動可能に配置された仕切用成形体とを有し、前記仕切用ガスケットが閉塞領域から前記排出領域に移動して、前記仕切用ガスケットが前記仕切用成形体に対して相対移動することにより、前記順次排出路が開通することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記順次排出手段が、前記順次排出成分と混合後の前記混合成分との間に配置される前記仕切用ガスケットに形成された貫通孔と、前記貫通孔に摺動可能に配置された仕切用成形体とを有し、前記仕切用ガスケットが閉塞領域から前記排出領域に移動して、前記仕切用成形体が前記仕切用ガスケットに対して相対移動することにより、前記順次排出路が開通することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一つに記載の発明において、前記混合用収容室と前記順次排出用収容室との間を仕切る前記仕切用ガスケットが前記連通領域に到達することにより、前記順次排出用収容室と前記混合用収容室との間が前記連通路により連通され、前記順次排出成分が前記混合用収容室側に移送可能となることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一つに記載の発明において、前記排出部を閉塞する閉塞手段を備えるとともに、前記複数の混合用収容室のうちの最も前記排出部側の収容室に、粉末製剤又は凍結乾燥製剤が収容されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか一つに記載の発明において、前記複数の混合用収容室の混合成分が、被溶解成分と前記被溶解成分を溶解する溶解用液からなるとともに、前記順次排出成分が前記被溶解成分及び溶解用液の混合液を調整する調整液からなり、前記被溶解成分が水に難溶性であり、前記溶解用液が前記被溶解成分に対し溶解度が高いことを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記調整液が、前記被溶解成分を前記溶解用液に溶解した溶液のpHを調整する液であることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか一つに記載の発明において、前記順次排出成分が、混合後の前記混合成分を押し出すための押出用媒体であることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、排出部側から互いに隣接して設けられた複数の混合用収容室に、外筒内で混合してから排出される複数の混合成分が収容されるとともに、この複数の混合用収容室よりもプランジャ側に設けられた順次排出用収容室に、混合成分より後に排出される順次排出成分が収容され、プランジャ用ガスケットを排出部側へ移動させることにより、混合用収容室間を連通してプランジャ用ガスケット側の混合用収容室内の混合成分を排出部側の混合用収容室内へ移送させる混合排出手段と、混合成分の排出後にプランジャ用ガスケットを排出部側へ移動させることにより、順次排出成分を排出部から排出可能な順次排出手段とを備えたので、プレフィルドシリンジに収容された複数の混合成分を混合して排出させる操作と、混合成分とは別の成分を順次排出させる操作とを、プランジャの押圧操作により行うことが可能であり、複数の収容成分の混合順序や排出順序を設定することが可能なプレフィルドシリンジを提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、混合用収容室間を仕切る仕切用ガスケットが連通領域に到達することにより混合用収容室間を連通する連通路を備えるとともに、順次排出成分と混合後の混合成分との間に配置される仕切用ガスケットが連通領域よりも排出部側の排出領域に到達することにより開通する順次排出路を備えているので、排出領域で順次排出路が開通して順次排出成分が排出されるまでの間に、より確実に複数の混合成分を混合するとともに、より確実に混合後の混合成分を排出部から排出させ易くすることができる。
請求項3に記載の発明によれば、順次排出手段が順次排出成分と混合後の混合成分との間に配置される仕切用ガスケットに形成された貫通孔と、貫通孔に摺動可能に配置された仕切用成形体とを有し、仕切用ガスケットが閉塞領域から排出領域に移動して、仕切用ガスケットが仕切用成形体に対して相対移動することにより、排出路が開通されるものであるので、排出領域を混合後の混合成分の排出が完了する位置近傍に設け易く、混合成分の排出が実質的に完了した後で順次排出成分を排出させることが可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、順次排出手段が順次排出成分と混合後の混合成分との間に配置される仕切用ガスケットに形成された貫通孔と、貫通孔に摺動可能に配置された仕切用成形体とを有し、仕切用ガスケットが閉塞領域から排出領域に移動して、仕切用成形体が仕切用ガスケットに対して相対移動することにより、排出路が開通されるものであるので、排出領域を混合後の混合成分の排出が完了する位置近傍に設け易く、混合成分の排出が実質的に完了した後で順次排出成分を排出させることが可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、混合用収容室と順次排出用収容室との間を仕切る仕切用ガスケットが連通領域に到達することにより、順次排出用収容室と混合用収容室との間が連通路により連通され、順次排出成分を混合用収容室側に移送可能であるので、順次排出成分を排出部から排出させるための順次排出手段をより簡単な構成にすることができる。
請求項6に記載の発明によれば、排出部を閉塞する閉塞手段を備えるとともに、複数の混合用収容室のうちの最も排出部側の混合用収容室に、粉末製剤又は凍結乾燥製剤が収容されているので、排出部が閉塞手段で閉塞された状態であっても、プランジャを押圧すると、当該混合用収容室内の気体が圧縮されるため、各混合用収容室間を仕切る仕切用ガスケットを排出部側に移動させることができ、その移動させた位置で混合排出手段により各混合用収容室間を連通させれば、排出部を開放することなく、混合成分の混合操作を行うことができる。尚、プランジャを押圧する際に、予め排出部を閉塞する閉塞手段を除去して、必要により排出部に注射針や送液用チューブを連結もしくは医療容器のコネクターに直接連結した場合でも、混合成分の混合操作を行うことができる。
請求項7及び8に記載の発明によれば、複数の混合用収容室の混合成分が、被溶解成分と溶解用液からなるとともに、順次排出成分が被溶解成分及び溶解用液の混合液を調整する調整液からなり、被溶解成分として水に対し難溶解性の成分を用いても、より溶解し易い溶解用液で溶解させることができ、溶解操作が容易である。つまり、難溶性被溶解成分を酸性若しくはアルカリ性の溶解液で溶解した際にも、調整液によりpHの調整が容易となる。
請求項9に記載の発明によれば、順次排出成分が混合後の混合成分を押し出すための押出用媒体であるので、複数の混合成分を順次排出成分で押し出して排出させることができ、プレフィルドシリンジ内に残留する薬効成分の量を出来るだけ少なく抑えることができ、そのため、混合成分を確実に実質的に全量排出させることも可能である。
以下、この発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図4はこの実施の形態を示す。
図において、符合10は、3室型のプレフィルドシリンジである。このプレフィルドシリンジ10は、先端側に排出部11を有する外筒12と、外筒12の後端側に配置されたプランジャ14と、プランジャ14の先端側に連結されて外筒12内に液密かつ摺動可能に配置されたプランジャ用ガスケット15と、外筒12内のプランジャ用ガスケット15と排出部11との間の排出部11側に、液密かつ摺動可能に配置された前部仕切用ガスケット16Xと、プランジャ用ガスケット15と前部仕切用ガスケット16Xとの間に、液密かつ摺動可能に配置された中間仕切用ガスケット16Yとを有している。
排出部11の端面11aには排出口11cとルアーロック構造部11bとが設けられており、排出口11cの先端が閉塞手段としてのチップキャップ11dにより密封されている。
ここでは、前部仕切用ガスケット16Xと排出部11との間に前部混合用収容室18aが区画され、前部仕切用ガスケット16Xと中間仕切用ガスケット16Yとの間に内部混合用収容室18bが区画され、中間仕切用ガスケット16Yとプランジャ用ガスケット15との間に順次排出用収容室19が区画され、前部混合用収容室18aと内部混合用収容室18bとが前部仕切用ガスケット16Xを介して隣接し、内部混合用収容室18bと順次排出用収容室19とが中間仕切用ガスケット16Yを介して隣接して配置されている。
各収容室18a、18b、19には、製造時及び保存時には互いに隔離され、同時に使用される各種の気体、液体、粉体等の物質が、それぞれ互いに異なる成分となるように収容されている。これらの物質としては、例えば、プレフィルドシリンジ10内で溶解又は混合等された後に輸液に混注される薬液や、直接人体に投与される薬液を挙げることができる。
この発明では、前部混合用収容室18aと内部混合用収容室18bとには、外筒内で混合してから排出されることが好ましい混合成分が収容され、順次排出用収容室19には、前部混合用収容室18aと内部混合用収容室18bに収容された混合成分と共に使用されるとともに、この混合成分より後に排出されることが好ましい順次排出成分が収容されている。
この混合成分として、前部混合用収容室18aに、前部混合用収容室18aの容積以下の粉末製剤又は凍結乾燥製剤の被溶解成分が収容され、内部混合用収容室18bに被溶解成分を溶解する溶解用液が収容されているのが好ましい。ここで、前部混合用収容室18aに収容される粉末製剤又は凍結乾燥製剤を、前部混合用収容室18aの容積以下としているのは、前部混合用収容室18aに粉末製剤又は凍結乾燥製剤とともに、気体等の圧縮性流体を併せて収容することにより、排出部11をチップキャップ11dにより閉塞した状態でプランジャ14の押圧を開始しても、前部混合用収容室18a内の圧縮性流体が圧縮されることにより、前部仕切用ガスケット16Xの移動を許容して後述する連通路を開通させるためである。
ここでは、被溶解成分が、難溶解性の成分、特に通常の薬液に用いられるpH7付近の液体に対して難溶解性の成分であるのが好適である。
同時に、溶解用液が、難溶解性の成分に対してより高い溶解性が得られる液体、特に、pH7付近の液体に対して難溶解性の成分の場合には酸性或いはアルカリ性の液体であるのが好適である。
さらに、順次排出成分としては、プレフィルドシリンジ10に収容された収容物全体として適切な成分割合となるように被溶解成分及び溶解用液の成分を調整するための調整液、特に、pHを調整する液とするのが好適である。このような難溶解性の被溶解成分に対する溶解用液の溶解度は、難溶解性の被溶解成分に対する順次排出成分や、順次排出成分及び溶解用液の混合液の溶解度より高いものとするのが好ましい。
また、この順次排出成分として、前部混合用収容室18a及び内部混合用収容室18bに収容された混合成分を、プレフィルドシリンジ10内から押し出すための押し出し液とすることもできる。その場合、前部混合用収容室18a及び内部混合用収容室18bに収容された混合物の成分を調整する必要がなければ、順次排出成分として、生理食塩水を用いることが好ましい。
このようなプレフィルドシリンジ10には、前部仕切用ガスケット16Xを排出部11側に所定量移動させることにより、前部混合用収容室18aと内部混合用収容室18bとの間を連通可能な混合排出手段30が設けられており、前部仕切用ガスケット16Xには、前部仕切用ガスケット16Xの両側間を連通させることが可能な順次排出手段としての開閉手段20が設けられている。
混合排出手段30は、外筒12に設けられた連通路31を有し、外筒12の一部を外側に膨出させることにより外筒12の内面に長手方向に延びる溝状に形成されている。
この混合排出手段30では、連通路31が形成されている外筒12内の位置が連通領域L1となっており、前部仕切用ガスケット16Xが移動して連通領域L1に到達すると、前部混合用収容室18aと内部混合用収容室18bとの間が連通路31により連通され、また、中間仕切用ガスケット16Yが移動して連通領域L1に到達すると、内部混合用収容室18bと順次排出用収容室19との間が連通されるように構成されている。
ここでは、連通路31は、前部仕切用ガスケット16Xの両側間を連通できるとともに、中間仕切用ガスケット16Yの両側間を連通でき、しかも、前部仕切用ガスケット16X及び中間仕切用ガスケット16Yが連通領域L1に到達した場合には、両側の前部混合用収容室18aと順次排出用収容室19との間が連通されない長さとなっている。また、この連通路31は、中間仕切用ガスケット16Yが連通領域L1に到達した場合に、前部仕切用ガスケット16Xが連通領域L1よりも排出部11側に移動できる空間が確保できるように、外筒12の長手方向の中間位置に設けられている。
前部仕切用ガスケット16Xは、図1及び図2に示すように、外筒12の内壁面に対応した外周形状を有し、周囲に環状に形成された複数本のリブ状の外周シール部16aが形成されており、内側には、開閉手段20が設けられている。この前部仕切用ガスケット16Xの材料としては、プランジャ用ガスケット15と同一のものを例示することができる。
前部仕切用ガスケット16Xの内側に設けられた開閉手段20は、前部仕切用ガスケット16Xに外筒12の長手方向となるように形成された貫通孔21と、図3に示すような、貫通孔21に摺動可能に配置された仕切用成形体22とを有している。
前部仕切用ガスケット16Xの貫通孔21は、仕切用成形体22の形状に対応した内周形状を有し、その内周囲には内周シール部21aが形成されている。この内周シール部21aは、前記外周シール部16aに対応する位置に形成されている。
また、前部仕切用ガスケット16Xのプランジャ14側の端面には、周方向に略等間隔に4つの凸部16b,16b,…が一体形成されている。
この凸部16bは、前部仕切用ガスケット16Xと中間仕切用ガスケット16Yが当接した場合に、前部仕切用ガスケット16Xの端面と中間仕切用ガスケット16Yの端面との間に、所定の隙間を確保して流路を確保するためのものである。
仕切用成形体22は、外筒12に利用可能な材料を用いて形成されており、図1及び図3に示すように、長手方向に一定断面形状を有し、貫通孔21の内周シール部21aと全周にわたり液密かつ摺動可能に接する柱状の密封部23を有している。ここでは、密封部23は、貫通孔21の内周シール部21aを貫通した状態で配置され、密封部23の内部混合用収容室18b側に、貫通孔21より大きいフランジ部26が形成されている。
この密封部23より排出部11側には、密封部23を貫通孔21に配置された状態で、前部仕切用ガスケット16Xの排出部11側端部より排出部11側に突出するように突出部24が設けられている。この実施形態では、密封部23から連続して突出部24が形成されており、密封部23の外周形状より小さい外周となるように形成された複数のリブ片24aから構成されている。
そして、密封部23より排出部11側の仕切用成形体22の表面、ここでは突出部24の表面に、リブ片24a、24aの間に形成された溝状の連通路25が、仕切用成形体22の周囲に略均等に分散して形成されている。この連通路25は、密封部23が貫通孔21の内周シール部21aに配置された状態で、一端25a側で内周シール部21aにより内部混合用収容室18bとの間が閉塞されており、仕切用成形体22が前部仕切用ガスケット16Xに対して相対移動することにより開通され、前部仕切用ガスケット16Xの両端面間を連通するようになっている。また、リブ片24aの排出部11側の端部には、排出口11cに対向する位置に切欠き状の凹部24bが形成されており、突出部24が排出部11の端面11aに当接した状態で連通路25がら排出口11cまでの間の流路を確保できるようになっている。
このような開閉手段20では、密封部23が貫通孔21の内周シール部21aに配置された状態では、連通路25は内部混合用収容室18b側で内周シール部21aにより閉塞されている。そして、仕切用成形体22が前部仕切用ガスケット16Xに対してプランジャ14側に相対移動して、密封部23が貫通孔21の内周シール部21aよりプランジャ14側に移動すると、連通路25の内部混合用収容室18b側が開口し、前部仕切用ガスケット16Xの両側間が連通路25により連通されるように構成されている。
このようなプレフィルドシリンジ10では、外筒12及び仕切用成形体22は、前部混合用収容室18a、内部混合用収容室18b及び順次排出用収容室19の収容物に対して安定な硬質の材料、例えば、各種のガラス、合成樹脂などにより形成されている。
外筒12及び仕切用成形体22の材料として使用可能な合成樹脂としては、低密度或いは高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジェン−1等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリメタクリル酸メチル、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリロニトリル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどを挙げることができる。
前部混合用収容室18a、内部混合用収容室18b及び順次排出用収容室19に薬剤等、人体に投与される収容物を収容する場合、溶出物などの悪影響を防止ためにポリオレフィン類が好ましく、特に、粉末製剤や凍結乾燥製剤を収容することから、水蒸気バリア性が良好で、かつ、成分が吸着し難い環状ポリオレフィンを使用するのが好適である。
また、プランジャ用ガスケット15及び中間仕切用ガスケット16Yは、それぞれ、外筒12の内壁面に対応した外周形状を有し、周囲に環状に形成された複数本のリブ状の外周シール部15s、16sが形成されている。これらは弾性変形可能な材料から構成されており、外周シール部15s、16sはその弾性により外筒12の内壁面と液密かつ摺動可能に接している。
これらのプランジャ用ガスケット15、前部仕切用ガスケット16X、中間仕切用ガスケット16Yの材料としては、例えば、塩素、臭素等のハロゲン化ブチル系ゴム、ジビニルベンゼン共重合部分架橋ブチルゴム、ブチルゴム等のブチル系ゴム、エチレン−ブロピレン共重合ゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合ゴム(EPDM)等の非共役ジエン系ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムなどの各種ゴム材料、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種エラストマー、または、これらの混合物等、筒内壁面や成形体との間を液密にシール可能な弾性を有する材料を用いることができる。
なお、プランジャ用ガスケット15、前部仕切用ガスケット16X、中間仕切用ガスケット16Yの材料は、全て同一であってもよく、収容物に応じて互いに異ならせてもよい。その際、特に、粉末製剤や凍結乾燥製剤が収容されている前部混合用収容室18aを構成する前部仕切用ガスケット16Xは、水蒸気バリア性が良好であるブチル系ゴムが好ましく、吸着又は吸着され易い収容物を収容する場合には、収容物と接する面にその収容物の吸着性を低くするためのラミネートや表面処理を施すのが好ましい。
また、同様の理由により、チップキャップ11dにも水蒸気バリア性が高いブチル系ゴムが好適である。
以上のような構成のプレフィルドシリンジ10は次のようにして使用される。
まず、保存状態では、図4(a)に示すように、プランジャ14が外筒12の後端側に配置されており、前部混合用収容室18a、内部混合用収容室18b及び順次排出用収容室19には、所定量の混合成分又は順次排出成分がそれぞれ隔離して収容されている。
この状態では、前部仕切用ガスケット16X及び中間仕切用ガスケット16Yは、連通路31よりプランジャ14側に配置されているとともに、前部仕切用ガスケット16Xが閉塞領域に配置されている。また、排出部11も閉塞されている。そのため、前部混合用収容室18a、内部混合用収容室18b及び順次排出用収容室19は何れも密封状態で維持されている。
ここで、前部仕切用ガスケット16Xの閉塞領域とは、前部仕切用ガスケット16Xが当初配置された位置から排出部11の近傍までの連通路25が閉塞状態を維持できる移動範囲であり、混合成分を排出する区間である。具体的には、前部仕切用ガスケット16Xの排出部11側端部から排出部11側に突出した突出部24が排出部11の端面11aに当接するまでの前部仕切用ガスケット16Xの移動範囲で、突出部24の突出量により定まる。
この閉塞領域では、貫通孔21の内周シール部21aに密封部23が内周シール部21aを貫通した状態で配置されて液密に接している。また、突出部24は前部仕切用ガスケット16Xの排出部11側端部より排出部11側に突出して、連通路25の内部混合用収容室18b側の端部は内周シール部21aにより閉塞されている。そのため、前部混合用収容室18aと内部混合用収容室18bとの間は確実に密封状態で維持されている。
そして、前部混合用収容室18aに収容された収容液と内部混合用収容室18b及び順次排出用収容室19に収容された収容液とを排出口11cから排出させるには、先ず、プランジャ14の押圧を開始する際に、チップキャップ11dを除去して必要によりルアーロック構造部11bに図示しない注射針や送液用チューブを連結もしくは医療容器のコネクターに直接連結し、次いで、プランジャ14を排出部11側に押圧することにより、順次排出用収容室19の順次排出成分、中間仕切用ガスケット16Y、内部混合用収容室18bの混合成分を介して、これらとともに前部仕切用ガスケット16Xを閉塞領域の範囲で移動させて、図4(b)に示すように、連通領域L1に到達させる。すると、連通路31により前部混合用収容室18aと内部混合用収容室18bとが連通する。
尚、排出部11をチップキャップ11dにより閉塞した状態でプランジャ14の押圧を開始するようにしてもよい。この場合には、前部混合用収容室18a内の圧縮性流体が圧縮することにより、前部仕切用ガスケット16Xが移動して連通路31が開通する。
この状態で、さらにプランジャ14を排出部11側に押圧すると、順次排出用収容室19の順次排出成分を介して中間仕切用ガスケット16Yが押圧されて移動し、内部混合用収容室18b内の混合成分が連通路31を経由して前部混合用収容室18aに移送される。そして、前部混合用収容室18a内で、内部混合用収容室18bの混合成分と前部混合用収容室18a内の混合成分とが混合され、溶解液或いは分散液が形成される。
内部混合用収容室18b内の混合成分を前部混合用収容室18aに移送した後、図4(c)に示すように、連通領域L1に留まっていた前部仕切用ガスケット16Xに中間仕切用ガスケット16Yが当接する。
次に、さらにプランジャ14を排出部11側に押圧する。すると、順次排出用収容室19の順次排出成分及び中間仕切用ガスケット16Yを介して前部仕切用ガスケット16Xが押圧され、この前部仕切用ガスケット16Xが排出部11側に移動することにより、前部混合用収容室18a内の混合後の混合成分からなる溶解液或いは分散液が排出部11がら排出される。
そして、混合後の混合成分の排出を続けることにより、図4(d)に示すように、中間仕切用ガスケット16Yが連通領域L1に到達すると、連通路31により順次排出用収容室19と内部混合用収容室18bとが連通される。
ここでは、前部仕切用ガスケット16Xと中間仕切用ガスケット16Yとが当接しているが、内部混合用収容室18bは、前部仕切用ガスケット16Xと中間仕切用ガスケット16Yとの間の隙間や前部仕切用ガスケット16Xの貫通孔21のプランジャ側の端部の凹部16cなどからなり、十分に小さな容積となっている。
また、前部仕切用ガスケット16Xのプランジャ14側の端面には、凸部16b,16b,…が形成されているため、前部仕切用ガスケット16Xの端面と中間仕切用ガスケット16Yの端面との隙間には、連通路31から凹部16cまでを連通するための流路が形成されている。
この状態からさらにプランジャ14を押圧すると、順次排出用収容室19内の順次排出成分がプランジャ用ガスケット15により加圧され、連通路31を経由して内部混合用収容室18bに移送される。
このとき、前部仕切用ガスケット16Xは、連通領域L1より排出側に配置されているため、前部混合用収容室18aと内部混合用収容室18bとの間は連通路31では連通されておらず、しかも、フランジ部26は内部混合用収容室18b内の内圧が負荷された状態で、前部仕切用ガスケット16Xおよび中間仕切用ガスケット16Yのプランジャ14側端部に当接しており、仕切用成形体22は、貫通孔21内で当初の相対位置で維持され、内部混合用収容室18b及び順次排出用収容室19は液密に閉塞された状態で維持される。そのため、移送された順次排出成分は内部混合用収容室18bに貯留される。
そして、このようなプランジャ14の押圧を継続すると、内部混合用収容室18b内の順次排出成分の体積が増加するに従って、その内圧により、前部仕切用ガスケット16Xが排出部11側に移動し、前部混合用収容室18a内の混合後の混合成分からなる溶解液或いは分散液が、さらに排出部11から排出される。
その状態で混合成分の排出が進むと、図4(e)に示すように、前部仕切用ガスケット16Xが排出領域に到達する。
ここで、前部仕切用ガスケット16Xの排出領域とは、前部仕切用ガスケット16Xの排出部11の近傍の移動範囲であり、内部混合用収容室18b内の順次排出成分を排出する区間である。具体的には、仕切用成形体22が排出部11の端面11aに当接した後の前部仕切用ガスケット16Xの移動範囲である。
すると、仕切用成形体22の突出部24が排出部11の端面11aに当接して移動が規制され、前部仕切用ガスケット16Xが仕切用成形体22に対して排出部11側に相対移動する。これにより、前部混合用収容室18a内の混合後の混合成分が十分に排出部11から排出されると同時に、図4(f)に示すように、仕切用成形体22の貫通孔21に対する相対移動によって、密封部23が内部混合用収容室18b側に移動して連通路25の内部混合用収容室18b側の端部が内部混合用収容室18b側に開口し、内部混合用収容室18bと排出口11cとが連通される。
その後、さらにプランジャ14の押圧を継続すると、連通路25から内部混合用収容室18bに貯留されていた順次排出成分が加圧され、連通路25を経由して、排出部11から排出される。そして、図4(g)に示すように、中間仕切用ガスケット16Yが排出部11側に完全に移動することにより、順次排出成分の排出が終了して、プレフィルドシリンジ10からの混合成分及び順次排出成分の排出が完了する。
以上のようなプレフィルドシリンジ10によれば、排出部11側に互いに隣接して設けられた前部混合用収容室18a及び内部混合用収容室18bに、外筒12内で混合してから排出される複数の混合成分が収容されるとともに、これらの混合用収容室18a、18bよりプランジャ14側に設けられた順次排出用収容室19に、混合成分より後に排出される順次排出成分が収容され、プランジャ用ガスケット15を排出部側へ移動させることにより、前部混合用収容室18aと内部混合用収容室18bとの間を連通させて、混合成分を混合して排出することができる混合排出手段30と、混合成分の排出後に順次排出成分を排出させることができる開閉手段20とを設けたので、プレフィルドシリンジ10に収容された複数の成分を混合して排出させる操作と、別の成分を順次排出させる操作とを、プランジャ14の押圧操作により行うことができる。そのため、収容されている成分の混合順序や排出順序を設定することが可能である。
また、前部混合用収容室18aと内部混合用収容室18bとの間を仕切る前部仕切用ガスケット16Xが連通領域L1に到達することにより両混合用収容室18a、18b間を連通する連通路31を備えるとともに、混合後の混合成分が収容された前部混合用収容室18aと順次排出成分が貯留された内部混合用収容室18b及び順次排出用収容室19との間に配置される前部仕切用ガスケット16Xが連通領域L1よりも排出部11側の排出領域に到達することにより連通路25が開通するように構成されているので、排出領域で連通路25が開通して順次排出成分が排出部11から排出されるまでの間に、確実に複数の混合成分を混合して排出部11から排出させ易くすることができる。
さらに、このような前部仕切用ガスケット16Xに、貫通孔21と、この貫通孔21に摺動可能に配置された仕切用成形体22とを有し、前部仕切用ガスケット16Xが閉塞領域から排出領域に移動して、仕切用成形体22が前部仕切用ガスケット16Xに対して相対移動することにより、連通路25が開通される開閉手段20を設けているので、排出領域を混合後の混合成分の排出が完了する位置近傍に設け易く、混合成分の排出が実質的に完了した後で順次排出成分を排出させ易い。
また、内部混合用収容室18bと順次排出用収容室19との間を仕切る内部仕切用ガスケット16Yが連通領域L1に到達することにより、内部混合用収容室18bと順次排出用収容室19との間が連通路31により連通されるので、順次排出成分を順次排出用収容室19から内部混合用収容室18bまで移送させるための特別な手段が不要であり、順次排出成分を排出部11から排出させるための順次排出用の手段をより簡単に構成することができる。
さらに、排出部11を閉塞するチップキャップ11dを備えるとともに、前部混合用収容室18aに混合成分とともに気体等の圧縮性流体を収容しておけば、排出部11をチップキャップ11dで閉塞した状態でプランジャ14を押圧しても、前部混合用収容室18aの圧縮性流体が圧縮されることにより、前部混合用収容室18aと内部混合用収容室18bと間を仕切る前部仕切用ガスケット16Xを排出部11側に移動させることができる。そのため、この移動により混合排出手段30により各混合用収容室18a、18b間を連通させれば、排出部11を開放することなく、混合成分の混合操作を行うことも可能である。
また、このプレフィルドシリンジ10では、前部混合用収容室18aの混合成分として被溶解成分を収容し、内部混合用収容室18bの混合成分として溶解成分を収容し、順次排出用収容室19の順次排出成分として被溶解成分及び溶解用液の成分を調整する調整液を収容するとともに、溶解用液の被溶解成分に対する溶解度を、調整液並びに調整液及び溶解用液の混合液の被溶解成分に対する溶解度より高くすれば、被溶解成分として難溶解性の成分を用いても、より溶解し易い溶解用液により溶解させることができるため溶解操作が容易である。しかも、そのような溶解用液を用いるために、混合後の混合成分が、患者に投与したり、混注する際、薬液として不適切な物性や組成となっていても、調整液により調整することができるため、プレフィルドシリンジ全体として適切な薬液の物性や組成にすることが可能である。
特に、被溶解成分を溶解用液に溶解する場合に、溶解性にpHの影響が大きい薬剤が存在するが、このような薬剤を被溶解成分とする場合には、溶解し易いpHの液体を用いて、調整液として溶液のpHを調整する液を用いれば、優れた効果が得られる。
さらに、順次排出用収容室19の順次排出成分として、混合後の混合成分を押し出すための押し出し液を用いれば、複数の混合成分を順次排出成分で押し出して排出部11から排出させることができ、プレフィルドシリンジ10内に残留する各混合成分の量を出来るだけ少なく抑えることができ、実質的に無くすことも可能である。そのため、混合成分を確実に実質的に全量排出させることができる。
そして、このプレフィルドシリンジ10では、開閉手段20と連通路31とを組み合わせているので、前部仕切用ガスケット16Xを外筒12内で排出部11側へ移動させる際、閉塞領域において開閉手段20が閉塞した状態で連通路31の位置に到達すると、両側の前部混合用収容室18aと内部混合用収容室18bとの間を連通させることができ、さらに移動させると、再び両側の混合用収容室18a、18b間を隔離させた状態で閉塞領域を移動して排出領域に到達すると、開閉手段20が開放されて、再度、両側の混合用収容室18a、18b間を連通させることができる。そのため、前部仕切用ガスケット16Xを外筒12の排出部11側に移動させるだけで、両側の混合用収容室18a、18b間を2度連通させることができ、複数の成分の混合順序や排出順序等を調整するのに特に好適に用いることができる。
また、図5(a)、(b)に示すように、排出部11をチップキャップ11dにより閉塞した状態でプランジャ14の押圧を開始するようにしてもよい。この場合には、前部混合用収容室18a内の圧縮性流体が圧縮することにより、前部仕切用ガスケット16Xが移動して連通領域L1に到達し、連通路31により前部混合用収容室18aと内部混合用収容室18bとが連通する。
その後に、チップキャップ11dを除去して必要によりルアーロック構造部11bに図示しない注射針や送液用チューブを連結もしくは医療容器のコネクターに直接連結するようにしてもよい。尚、図5において、(c)乃至(g)の工程は、図4の(c)乃至(g)と同一であるため、その説明は省略する。
尚、上記実施の形態では、医療用の薬液を収容した例について説明したが、医療用以外の用途に用いるプレフィルドシリンジであっても、本発明を適用することは可能である。
また、上記では、連通路31として、外筒12を外側に膨出させて内部に溝形状を形成したが、連通路31は各仕切用ガスケットの両側間を連通するものであれば特に限定されない。例えば、図6に示すように、外筒12を膨出させることなく、外筒12の内表面に溝状に形成した連通路31aであってもよい。
さらに、上記では、開閉手段20として、仕切用成形体22がプランジャ14側にフランジ部26を有するとともに排出部11側に突出部24が突出し、この仕切用成形体22がプランジャ14側に移動することにより、連通路25が形成されるものについて説明したが、特に限定されるものではない。
例えば、図7(a)に示すように、開閉手段20として、仕切用成形体32が排出部11側にフランジ部36及び密封部33を有するとともに、内部に連通路35を有し、図7(b)に示すように、前部仕切用ガスケット16Xに対して仕切用成形体32が排出部11側に相対移動することにより、連通路35が前部仕切用ガスケット16Xの両側間を連通するように構成することも可能である。その場合、前部仕切用ガスケット16Xが排出部11に当接した後、内部混合用収容室18bの混合成分の内圧により仕切用成形体32が相対移動するようにしてもよい。
この発明の実施の形態のプレフィルドシリンジを示す断面図である。 図1のプレフィルドシリンジの前部仕切用ガスケットを示し、(a)は斜視図、(b)は断面図である。 図1のプレフィルドシリンジの仕切用成形体を示し、(a)は斜視図、(b)は断面図である。 (a)〜(g)は図1のプレフィルドシリンジに収容された各成分の排出状態を説明する図である。 (a)〜(g)は図1のプレフィルドシリンジに収容された各成分の排出状態の他の例を説明する図である。 図1のプレフィルドシリンジの連通路の変形例を示す断面図である。 図1のプレフィルドシリンジの開閉手段の変形例を示す一部の断面図である。
符号の説明
10 プレフィルドシリンジ
11 排出部
12 外筒
14 プランジャ
15 プランジャ用ガスケット
16X 前部仕切用ガスケット
16Y 中間仕切用ガスケット
18a 前部混合用収容室
18b 内部混合用収容室
19 順次排出用収容室
20 開閉手段
21 貫通孔
22 仕切用成形体
24 突出部
25 連通路
30 混合排出手段
31 連通路

Claims (9)

  1. 排出部を有する外筒と、前記外筒内に液密に配置されたプランジャ用ガスケットと、前記外筒内の前記排出部と前記プランジャ用ガスケットとの間に液密に配置されて3室以上の収容室を仕切る複数の仕切用ガスケットとを備えたプレフィルドシリンジであって、
    前記3室以上の収容室が、前記排出部側から互いに隣接して設けられ、かつ、前記外筒内で混合して排出される複数の混合成分を隔離して収容した複数の混合用収容室と、前記複数の混合用収容室よりも前記プランジャ側に設けられ、かつ、前記混合成分より後に排出される順次排出成分を収容した順次排出用収容室とを含み、
    前記プランジャ用ガスケットを前記排出部側へ移動させることにより、前記混合用収容室間を連通して前記プランジャ用ガスケット側の混合用収容室内の混合成分を、前記排出部側の混合用収容室内へ移送させる混合排出手段と、
    前記混合成分の排出後に前記プランジャ用ガスケットを前記排出部側へ移動させることにより、前記順次排出成分を前記排出部から排出可能な順次排出手段とを備えたことを特徴とするプレフィルドシリンジ。
  2. 前記混合排出手段は、前記混合用収容室間を仕切る前記仕切用ガスケットが連通領域に到達することにより前記混合用収容室間を連通する連通路を備え、
    前記順次排出手段は、前記順次排出成分と混合後の前記混合成分との間に配置される前記仕切用ガスケットが前記連通領域よりも前記排出部側の排出領域に到達することにより開通する順次排出路を備えることを特徴とする請求項1に記載のプレフィルドシリンジ。
  3. 前記順次排出手段が、前記順次排出成分と混合後の前記混合成分との間に配置される前記仕切用ガスケットに形成された貫通孔と、前記貫通孔に摺動可能に配置された仕切用成形体とを有し、前記仕切用ガスケットが閉塞領域から前記排出領域に移動して、前記仕切用ガスケットが前記仕切用成形体に対して相対移動することにより、前記順次排出路が開通することを特徴とする請求項2に記載のプレフィルドシリンジ。
  4. 前記順次排出手段が、前記順次排出成分と混合後の前記混合成分との間に配置される前記仕切用ガスケットに形成された貫通孔と、前記貫通孔に摺動可能に配置された仕切用成形体とを有し、前記仕切用ガスケットが閉塞領域から前記排出領域に移動して、前記仕切用成形体が前記仕切用ガスケットに対して相対移動することにより、前記順次排出路が開通することを特徴とする請求項2に記載のプレフィルドシリンジ。
  5. 前記混合用収容室と前記順次排出用収容室との間を仕切る前記仕切用ガスケットが前記連通領域に到達することにより、前記順次排出用収容室と前記混合用収容室との間が前記連通路により連通され、前記順次排出成分が前記混合用収容室側に移送可能となることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載のプレフィルドシリンジ。
  6. 前記排出部を閉塞する閉塞手段を備えるとともに、前記複数の混合用収容室のうちの最も前記排出部側の収容室に、粉末製剤又は凍結乾燥製剤が収容されていることを特徴とする請求項1乃5の何れか一つに記載のプレフィルドシリンジ。
  7. 前記複数の混合用収容室の混合液が、被溶解成分と前記被溶解成分を溶解する溶解用液からなるとともに、前記順次排出成分が前記被溶解成分及び溶解用液の混合液を調整する調整液からなり、前記被溶解成分が水に難溶性であり、前記溶解用液が前記被溶解成分に対し溶解度が高いことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載のプレフィルドシリンジ。
  8. 前記調整液が、前記被溶解成分を前記溶解用液に溶解した溶液のpHを調整する液であることを特徴とする請求項7に記載のプレフィルドシリンジ。
  9. 前記順次排出成分が、混合後の前記混合成分を押し出すための押出用媒体であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載のプレフィルドシリンジ。
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