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JP2006240191A - 真空成形型および真空成形方法 - Google Patents

真空成形型および真空成形方法 Download PDF

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JP2006240191A JP2005061624A JP2005061624A JP2006240191A JP 2006240191 A JP2006240191 A JP 2006240191A JP 2005061624 A JP2005061624 A JP 2005061624A JP 2005061624 A JP2005061624 A JP 2005061624A JP 2006240191 A JP2006240191 A JP 2006240191A
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Yukio Daiho
幸男 大保
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Toyota Motor East Japan Inc
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Kanto Jidosha Kogyo KK
Kanto Auto Works Ltd
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Abstract

【課題】 アンダーカット形状を賦形する部位の大きさや位置による制約を受けないで、成形素材としての表皮材を所定のアンダーカット形状に確実に成形することができ、表皮材を基材と確実に密着させることができる真空成形型および真空成形方法を提供する。
【解決手段】 突出部21を形成したキャビティ型20の側面に溝22を形成し、溝22内に伸縮性のチューブ25を配設する。突出部21を挿入するようコア30に窪み部31を形成し、型閉めで溝22と対向する窪み部31の側部に断面凹形状のアンダーカット成形部32を形成する。型閉め状態でチューブ25に圧縮空気を注入してチューブ25を膨張させ、表皮材43をアンダーカット成形部32内に押圧してアンダーカット形状を確実に賦形して、コア型30に載置した基材44のアンダーカット部44aと密着させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、型内を真空吸引して表皮材等の成形素材に対して、型閉め方向と交差する方向に凹んだアンダーカット形状を賦形する真空成形型および真空成形方法に関する。
車両部品として、図6に示したインストルメントパネル50やドアトリムなどの成形部品がある。これらの成形部品は、表皮に熱可塑性の発泡層を裏打ちした表皮材を真空成形しつつ型面に載置したインサートとなる基材に密着させることで作製されている。
また、インストルメントパネル50には、スピードメータなどの計測器類をはめ込むように窪んだメータフード部51が備えられ、メータフード部51の側部にアンダーカット部51aとして、窪みが形成される方向と交差する方向に凹んだアンダーカット形状が、次のような真空成形型を用いて賦形されている。
図7は、表皮材43にアンダーカット形状を賦形して成形する際の真空成形型の型閉めの一工程を示した断面図であり、図6のインストルメントパネル50を成形する真空成形型を想定して示した図である。図8は、図7の真空成形型のうちキャビティ型110の突出部111の底面図である。
図7に示すように、成形品の表側を成形するキャビティ型110と成形品の裏側を成形するコア型120とからなる従来の真空成形型において、キャビティ型110の型面には突出部111が形成され、コア型120には型閉めで突出部111が挿入する窪み部121が形成されている。突出部111には、図8に示すように、成形品にアンダーカット形状を賦形するためのスライドコア112と、このスライドコア112を支持するロッド113と、このロッド113の一端部を収納してスライドコア112をスライドするスライド機構114とが設けられており、スライド機構114で、図8に矢印で示すように、スライドコア112を突出部111の外周面から突出させることができるようにしている。また、窪み部121の側部121aには、窪み方向に対して交差する方向に凹んだアンダーカット成形部122が形成され、スライドコア112がスライド機構114でスライドして突出して入り込める空間が形成されている。
このような従来の真空成形型を用いて、インストルメントパネル50などの成形品は次のように作製されていた。先ず、コア型120の型面上にインサートとなる基材44を載置し、これと相前後して、キャビティ型110とコア型120との間に表皮材43を配置する。ここで、表皮材43は、表皮材41に発泡層42を裏打ちしたものであり、図示しないクランプ装置で保持されて、加熱されることにより軟化している。そして、図7に示すように、キャビティ型110内に設けた真空吸引孔から表皮材43とキャビティ型110との間にある空気を吸引しながら型閉めしつつ、キャビティ型110の突出部111の側部に配置されたスライドコア112をスライド機構114でスライドして突出部111の側面から突出させる。これにより、表皮材43のうちスライドコア112への当接部43aが、コア型120のアンダーカット成形部122に押し込まれて、当接部43aをアンダーカット形状を賦形しつつ、表皮材43を基材44に密着させていた。
図9は、図7とは別の真空成形型を用いて、表皮材43にアンダーカット形状を賦形しながら成形する際の型閉めの各工程を示した断面図である。
図9に示した真空成形型は、図7および図8に示した真空成形型とは異なり、キャビティ型110の突出部111にはスライドコアやロッドやスライド機構を設けておらす、その代わりに、コア型120には、コア型120と表皮材43との間にある空気を吸引するための真空吸引孔(図示せず)が設けられている。
このような真空成形型を用いて、インストルメントパネル50などの成形品は次のように作製されていた。
先ず、図7の場合と同様に、コア型120の型面上に基材44を載置し、これと相前後してキャビティ型110とコア型120との間に表皮材43を配置する。このとき、表皮材43は図示しないクランプ装置などで保持されており、加熱により軟化している。
次に、表皮材43とキャビティ型110との間にある空気をキャビティ型110内に設けられた図示しない真空吸引孔から吸引しながら、キャビティ型110とコア型120との間隔を狭めて型閉めし、表皮材43をキャビティ型110の型面に付着させる。この状態を示したのが図9(A)であり、図に示した矢印は、真空引きの方向を示している。
そして、キャビティ型110内に設けた真空吸引孔からの吸引を停止し、逆に、コア型120内に設けた真空吸引孔からの吸引を行う。すると、図9(B)に示すように、表皮材43のうちコア型120のアンダーカット成形部122と対向した部位が、アンダーカット成形部122内に入り込んで、基材44のうちアンダーカット成形部122内に挿入されたアンダーカット部44aの表側に付着しようとすることで、表皮材43にアンダーカット形状が賦形される。
このようにして、表皮材43にアンダーカット形状が賦形されつつ、表皮材43を基材44に密着させていた。
また、特許文献1には、中空成形品の中空部に発泡断熱材を注入して発泡させることで中空箱体を製造する際に、成形金型を互いに独立して可動する複数のスライドコアで構成し、これに真空吸引を併用して、開口に対して奥行の深い突起部を設けるようにした技術が開示されている。
特許文献2には、スライドコアを用いないでアンダーカット部を成形する成形技術が開示されている。
特開昭59−184625号公報 特許第2672733号公報
しかしながら、図7に示した真空成形型においては、キャビティ型110の突出部111にスライドコア112,ロッド113およびスライド機構124を設ける必要がある。そのため、突出部11にこれらを配備するだけの大きさが必要となる。例えば図8に示したように、キャビティ型110の突出部111の長手方向の長さaに対するスライドコアの長手方向の長さbは、約1/2必要とされている。また、キャビティ型110の突出部111への配置位置などにより制約される。
また、図9に示した真空成形技術においては、キャビティ型110の突出部111にスライドコア112などを設けないため、賦形したい形状の自由度は増す一方で、次のような問題点がある。
図10は、図9に示した各工程での問題点を説明した断面図であり、(A)は図9(B)に示した丸印の箇所の拡大図であり、(B)はこの工程を経て脱型して、計器類などの装着品60を配設する様子を模式的に示した断面図である。
図10(A)に示したように、表皮材43のうちキャビティ型110の型面に接触して押圧される部位は、薄く伸張されるところ、アンダーカット形状となる部位は、非接触となり、プレス圧が印加されないため基材44と密着されず、肉薄化されない。そのため、計器類などの装着品60をメータフード部に配置しようとしても、図10(B)に示すように、装着品60のフランジ部61と表皮材43のアンダーカット部43aとが干渉し、メータフード部のアンダーカット部44aに入り込まないおそれが生じる。
そのほか、表皮材43がキャビティ型110やコア型120の各型面に接触すると、これらの型の温度が表皮材43の温度より通常低いため、表皮材43の温度が低下し、所定の形状に成形することが難しくなる。よって、コア型120内に設けた真空吸引孔から単に吸引を行うだけでは、表皮材43を所定のアンダーカット形状を賦形したり、表皮材43を基材44に密着させたりすることができないおそれも生じる。
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、アンダーカット形状を賦形する部位の大きさや位置による制約を受けないで、成形素材としての表皮材を所定のアンダーカット形状に確実に成形することができ、さらに、表皮材を真空成形すると同時に基材と密着させて成形部品を製造する場合にあっては、表皮材のアンダーカット形状の部位を基材と確実に密着させて、成形品の歩留まりを向上させることができる、真空成形型および真空成形方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の真空成形型は、型面に突出部が形成された第1の型と、突出部が挿入されるよう窪み部が形成された第2の型と、からなり、成形素材を第1の型と第2の型との間に挟み込んで、型閉め方向と交差する方向に凹んだアンダーカット形状を賦形するよう成形素材を真空成形する真空成形型において、第1の型の突出部の側部に溝が形成されて溝内にチューブが配設され、第2の型の窪み部のうち型閉めの際に溝と対向する側部に断面凹形状のアンダーカット成形部が形成されいて、型閉め状態でチューブを膨張させることで、膨張したチューブにより成形素材をアンダーカット成形部内に押圧して成形素材にアンダーカット形状を賦形することを特徴とする。
この構成により、第1の型の突出部に形成した溝にチューブを配設しているので、型閉めを行った後にチューブを膨張させることで、成形素材にチューブの外周面が当接し、成形素材の当接部が第2の型のアンダーカット成形部内に入り込み、さらにチューブの外周面で当接部を押圧するので、成形素材にアンダーカット形状を賦形することができる。
好ましくは、前記第2の型には、成形素材との間の空気を吸引するための真空吸引孔が設けられる。この構成により、チューブを膨張させる際には、第2の型内に形成した真空吸引孔から成形素材と第2の型との間にある空気を吸引することにより、効率良く成形素材にアンダーカット形状を賦形することができる。
一方、本発明の真空成形方法は、型面に形成された突出部の側部に溝が形成されて溝内にチューブが配設された第1の型と、突出部が挿入される窪み部の側部に型閉め方向と交差する方向に断面凹形状のアンダーカット成形部が形成された第2の型と、からなる真空成形型を用い、第1の型と第2の型との間に成形素材を配置して型閉めを行い、型内を真空吸引することで、型閉め方向と交差する方向に凹んだアンダーカット形状を賦形して成形素材を真空成形する方法であって、第1の型内に設けた真空吸引孔を通じて型内を真空吸引することで、第1の型の型面に成形素材を付着させる工程と、チューブを膨張させつつ第2の型内に設けた真空吸引孔を通じて型内を真空吸引することで、膨張させたチューブにより成形素材をアンダーカット成形部内に押圧して成形素材にアンダーカット形状を賦形する工程と、を行うことを特徴とする。
この構成により、先ず最初の工程で、成形素材を第1の型の型面に付着させて、成形素材をこの型面に沿うように賦形し、その後の工程で、チューブを膨張させることで、成形素材にチューブの外周面が当接し、成形素材の当接部を第2の型のアンダーカット成形部内に入り込ませ、さらにチューブの外周面で当接部を押圧するので、成形素材にアンダーカット形状を賦形してアンダーカット部を成形することができる。
特に、成形素材として表皮材を用い、第2の型の基材を載置しておいて、これらの工程を行うことで、表皮材のうちチューブとの当接部をアンダーカット成形部内に押圧して表皮材にアンダーカット形状を賦形しつつ表皮材を基材に密着させることができる。
好ましくは、表皮材は、表皮の裏側に発泡層が設けてなる熱可塑性素材である。この構成により、表皮と発泡層とを一体で成形することができ、かつ発泡層を基材側に向けて載置することで、クッション性のある成形品を効率良く作製することができる。
チューブの膨張は、チューブの両端部に接続された接続部から圧縮空気をチューブ内に注入して行うことができる。これにより、チューブが効率良く膨張するので、表皮材などの成形素材をアンダーカット形状に賦形することができ、第2の型上に基材を載置した場合には、基材に沿って表皮材を密着させることができる。
本発明の真空成形型によれば、型閉めを行ってチューブを膨張させることにより、成形素材のチューブとの当接部を第2の型に設けたアンダーカット成形部内に押圧する。よって、容易に、かつ確実に、成形素材にアンダーカット形状を賦形することができる。また従来のように真空成形型にスライドコアなどを設ける必要がないため、真空成形型の作製に要する時間や費用を削減することができると共に、成形品の形状や大きさによる制約が少なくなり、アンダーカット形状を有する各種の成形品を作製することができる。
一方、本発明の真空成形方法によれば、先ず最初の工程で、成形素材を第1の型の型面に付着させて成形素材をこの型面に沿うように賦形し、その後の工程で、チューブを膨張させることで、成形素材にチューブの外周面が当接して、成形素材の当接部を第2の型のアンダーカット成形部内に入り込ませ、さらにチューブの外周面で当接部を押圧する。よって、効率良くかつ確実に、成形素材にアンダーカット形状を賦形することができる。特に、成形素材として表皮材を用い、第2の型の基材を載置しておいて、これらの工程を行うことで、表皮材のうちチューブとの当接部をアンダーカット成形部内に押圧して表皮材にアンダーカット形状を賦形しつつ表皮材を基材に密着させることができる。よって、効率良くかつ確実にアンダーカット形状を有し、かつ基材と一体となった成形品を作製することができる。従って、アンダーカット形状を有する各種の成形品を、成形不良や密着不良などに起因する生産コストや管理コストを削減して、作製することができる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明の真空成形型10の要部を示す断面図であり、図2は、図1の真空成形型10のうち第1の型20の突出部21の斜視図である。図2のA−A線に沿う断面図が図1に相当する。
本発明の真空成形型10は、型面に突出部21が形成された第1の型としてのキャビティ型20と、キャビティ型20の型面に対応して窪み部31が形成された第2の型としてのコア型30と、からなる。キャビティ20の突出部21は、図4を参照して後に説明するように、型閉めでコア型30の窪み部31に挿入される。
ここで、図1に示した断面図は、図6に示したインストルメントパネル50を成形する真空成形型を想定し、図6のB−B線に沿う断面部分に対応しており、成形品の表側を成形するキャビティ型20は型全体として雌型であり、成形品の裏側を成形するコア型30は型全体として雄型となっている。
そして、雄型のコア型30の窪み部31の側部には、型閉めで賦形される成形品の凹凸に対して型閉め方向(図1に矢印aで示す方向)と交差する方向に凹むように断面凹形状を成形するアンダーカット成形部32が形成されている。
さらに詳細に説明すると、図1に示すように、コア型30の型面には、断面三角形状の第1凸部33と断面矩形状の第2凸部34とを間隔を開けて備え、第1凸部33の内側面33a、第2凸部34の外側面34aおよび底面31aで囲まれて窪み部31が形成されている。そして、第1凸部33の内側面33aに断面凹形状のアンダーカット成形部32が形成されている。
一方、キャビティ型20は、断面三角形状の第1凹部23と断面矩形状の第2凹部24とを間隔を開けて備え、第1凹部23の内側面23a、第2凹部24の外側面24aおよび突出面21aで囲まれて出っ張りとして突出部21が形成されている。
なお、図4を参照して後述するが、キャビティ型20とコア型30との間に表皮材43を配置すると共にコア30の型面にインサートとなる基材44を載置した後に型閉めを行うので、表皮材43および基材44の各厚みを考慮して、キャビティ型20およびコア型30の各面が形成されている。
本発明の真空成形型10では、コア型30の窪み部31を形成する第1凸部33の内側面33aにアンダーカット成形部32が形成されているので、型閉めを行った際にこの窪み部31に挿入されるキャビティ型20の突出部21でアンダーカット成形部32と対向する側部、即ち、第1凹部23aの内側面23a側に溝22が形成されている。溝22の形成範囲は、成形品の凹凸方向に対して交差する方向に凹んだアンダーカット部を形成する範囲に相当する。そして、この溝22内に伸縮性のチューブ25が配設されている。配設されるチューブ25は、ゴムやシリコンなどの材質で作製されており、特に、耐熱性のものが好ましい。
図3は、第1の型としてのキャビティ型20の突出部21の底面図であり、(A)はチューブ25を膨張させていない時、(B)はチューブ25を膨張させた時を、それぞれ示す図である。図3に示すように、チューブ25の両端部は、溝22内に設けた各接続部22a,22aに嵌め込まれ、各接続部22a,22aはキャビティ型20内を通じて外部と導通しており、各接続部22a,22aを介してチューブ25内に圧縮空気を注入したり、チューブ25内の空気を排出したりすることができるようになっている。
チューブ25に圧縮空気を注入していない常態においては、図1や図3(A)に示すように、チューブ25は溝22から突出部21の側部へはみ出しておらず、外部からキャビティ型20内を通してチューブ25内に圧縮空気を注入することで、チューブ25が膨張し、突出部21の側部からはみ出すように、チューブ25の外径や溝22の深さが設定されている。
なお、図3に示すように、溝22は、チューブ25の両端部が適度にキャビティ型20の内側に曲げられて接続部22aと接続するように形成されてもよい。
次に、以上のように構成された真空成形型10を用いて、成形素材としての表皮材43を成形しつつ、表皮材43に賦形した窪みに対して交差するようにアンダーカット形状を賦形する真空成形方法について説明する。
図4は図1の真空成形型10を用いて成形素材としての表皮材43を成形する真空成形方法の各工程を示した断面図であり、図5は図4に示した工程に続く各工程を示した断面図である。
先ず、キャビティ型20とコア型30との間に表皮材43を配置する。このとき、表皮材43はクランプ装置で保持されている。表皮材43は、加熱により軟化する熱可塑性素材でなり、例えば、表皮41の裏面に発泡層42を裏打ちしたものである。ここで、発泡層42は例えば発泡剤により樹脂などを発泡させたものであり、クッション性を有した多孔質である。この表皮材43の配置と前後して、コア型30の型面に成形品の芯材となる基材44を載置する。基材44には、予めコア型30の型面に沿った形状、即ち、窪みやその窪みを形成する側部に窪み方向と交差する方向に凹んだ断面凹形状のアンダーカット部44aが形成されており、コア型30のアンダーカット成形部32に挿入されている(図4(A)参照)。
次に、キャビティ型20およびクランプ装置をコア型30側(図4(A)に示した矢印aの方向)に移動させるなどして、キャビティ型20とコア型30との間隔を狭める。すると、図4(A)に示すように、第1凸部33の稜線部33b上に位置する基材44の稜線部44bが、表皮材43の発泡層42と当接する。このとき、表皮材43はキャビティ型20の突出部21の突出面21a外周端などに当接して平面状から凸凹状になる。
引き続き、図4(A)に矢印aで示した方向にキャビティ型20をコア型30に近づけることによりキャビティ型20とコア型30との間隔を更に狭めて型閉めを行いつつ、キャビティ型20内に設けられた真空吸引孔(図示せず)から図4(B)に示した矢印の方向に、表皮材43とキャビティ型20との間にある空気を吸引する。これにより、表皮材43がキャビティ型20の型面、即ち、図4(B)に示した要部では、第1凹部23の面形状に沿って付着する。このとき、コア型30のアンダーカット成形部32内に挿入された基材44のアンダーカット部44aと表皮材43とは接触しておらず、また、キャビティ型20に形成した溝22にも入り込んでいない。
次に、キャビティ型20に設けた真空吸引孔を通じた吸引を停止し、逆に、コア型30内に設けられた真空吸引孔(図示せず)から図5(A)に示した矢印の方向に、表皮材43とコア型30との間にある空気、特に、表皮材43とコア型30のアンダーカット成形部32との間にある空気を吸引する。これと同時に、キャビティ型20の突出部21側部に形成した溝22内のチューブ25に圧縮空気を注入してチューブ25を膨張させる。図5(A)でチューブ25の中空内に示した矢印はチューブ25が圧縮空気の圧力で膨張している様子を模式的に示している。
これにより、チューブ25の外周面が表皮材43に当接し、表皮材43のチューブ25との当接部43aがコア型30のアンダーカット成形部32内に押し込めて押圧する。よって、表皮材43の当接部43aをアンダーカット形状に賦形することができると共に、表皮材43を基材44のアンダーカット部44aに密着させることができる。
従って、従来の図9に示すように真空吸引のみで表皮材43にアンダーカット形状を賦形する場合と比較して、確実に表皮材43を基材44に密着させることができ、成形不良や密着不良の虞がない。
その後、チューブ25内に注入した空気を接続部22aを介してキャビティ型20外部に抜いて圧縮空気を注入する前の状態に戻すと共に、コア型30内に設けられた真空吸引孔を介した吸引を停止する。この状態を示したのが図5(B)である。そして、キャビティ型20およびコア型30から、表皮材43を成形して基材44と一体となった成形品45を外して脱型する。このとき、チューブ25は膨張しておらず、チューブ25と成形品45のアンダーカット部45aとはお互いに干渉することなく、容易に脱型することができる。
以上のように、キャビティ型20の突出部21側部に形成した溝22内にチューブ25が配設され、型閉めで溝22と対向するように断面凹形状のアンダーカット成形部32がコア型30に形成されているので、型閉め状態でこのチューブ25を膨張させることで、表皮材43のうちチューブ25外周面と接触する当接部43aをコア型30のアンダーカット成形部32内に押圧してアンダーカット形状に賦形することができる。脱型の際にはチューブ25内に注入した圧縮空気を抜いて、チューブ25を元の状態に戻して溝22から膨出しないようにすることで、チューブ25が引っ掛かりとならずに脱型することができる。よって、従来のようにキャビティ型20内にスライドコアやスライド機構などを設ける必要がなく、アンダーカット形状を賦形することができると共に、コア型30に載置した基材44に密着させることができる。これにより、キャビティ型20やコア型30を容易に安価に作製することができるばかりか、スライドコアやスライド機構をキャビティ型20内に設けることによる位置や大きさに伴う制約をなくして、表皮材43などの成形素材を成形することができる。
以上、本発明を実施の形態について詳細に説明したが、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々変更することができる。以上の説明では、キャビティ型20に形成した溝22にチューブ25を配設し、コア型30にアンダーカット成形部32を形成したが、キャビティ型にアンダーカット成形部を形成して、コア型に溝を形成して溝内にチューブを配設してもよい。また、以上の説明では、コア型30に基材44を載置して、表皮材43を成形しつつ基材44に密着させるようにしたが、基材44をコア型30に載置せずに、シート状の成形素材をキャビティ型20とコア型30との間に配置して型閉めを行うことで、成形素材にアンダーカット形状を賦形して成形することもできる。
また、キャビティ型20やコア型30内に設けられる真空吸引孔は、多孔質の素材で型を形成したり、型に無数の微小孔を開けたりすることができ、その形成の形態はどのようなものでもよい。
本発明の真空成形型の要部を示す断面図である。 図1の真空成形型のうち第1の型の突出部の斜視図である。 第1の型としてのキャビティ型の突出部の底面図である。 図1の真空成形型を用いて成形素材としての表皮材を成形する真空成形方法の各工程を示した断面図である。 図4に示した工程に続く各工程を示した断面図である。 成形品としてのインストルメントパネルの斜視図である。 表皮材にアンダーカット形状を賦形して成形する際の、従来の真空成形型の型閉めの一工程を示した断面図である。 図7の真空成形型のうちキャビティ型の突出部の底面図である。 図7とは別の従来技術による真空成形型を用いて、表皮材にアンダーカット形状を賦形しながら成形する際の型閉めの各工程を示した断面図である。 図9に示した各工程での問題点を説明した断面図である。
符号の説明
10 真空成形型
20 キャビティ型(第1の型)
21 突出部
21a 突出面
22 溝
22a 接続部
23 第1凹部
23a 内周面
24 第2凹部
24a 外周面
25 チューブ
30 コア型(第2の型)
31 窪み部
31a 底面
32 アンダーカット成形部
33 第1凸部
33b,44b 稜線部
33a 内側面
34 第2凸部
34a 外側面
41 表皮
42 発泡層
43 表皮材
43a 当接部
44 基材
44a,45a アンダーカット部
45 成形品
50 インストルメントパネル

Claims (6)

  1. 型面に突出部が形成された第1の型と、該突出部が挿入されるよう窪み部が形成された第2の型と、からなり、成形素材を上記第1の型と上記第2の型との間に挟み込んで、型閉め方向と交差する方向に凹んだアンダーカット形状を賦形するよう上記成形素材を真空成形する真空成形型において、
    上記第1の型の突出部の側部に溝が形成されて該溝内にチューブが配設され、
    上記第2の型の窪み部のうち型閉めの際に上記溝と対向する側部に断面凹形状のアンダーカット成形部が形成されていて、
    型閉め状態で上記チューブを膨張させることで、該膨張したチューブにより上記成形素材を上記アンダーカット成形部内に押圧して該成形素材にアンダーカット形状を賦形することを特徴とする真空成形型。
  2. 前記第2の型には、前記成形素材との間の空気を吸引するための真空吸引孔が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の真空成形型。
  3. 型面に形成された突出部の側部に溝が形成されて該溝内にチューブが配設された第1の型と、上記突出部が挿入される窪み部の側部に型閉め方向と交差する方向に断面凹形状のアンダーカット成形部が形成された第2の型と、からなる真空成形型を用い、上記第1の型と上記第2の型との間に成形素材を配置して型閉めを行い、型内を真空吸引することで、型閉め方向と交差する方向に凹んだアンダーカット形状を賦形して上記成形素材を真空成形する方法であって、
    上記第1の型内に設けた真空吸引孔を通じて型内を真空吸引することで、上記第1の型の型面に上記成形素材を付着させる工程と、
    上記チューブを膨張させつつ上記第2の型内に設けた真空吸引孔を通じて型内を真空吸引することで、該膨張したチューブにより上記成形素材を上記アンダーカット成形部内に押圧して上記成形素材にアンダーカット形状を賦形する工程と、
    を行うことを特徴とする真空成形方法。
  4. 型面に形成された突出部の側部に溝が形成されて該溝内にチューブが配設された第1の型と、上記突出部が挿入される窪み部の側面に型閉め方向と交差する方向に断面凹形状のアンダーカット成形部が形成された第2の型と、からなる真空成形型を用い、上記第1の型と上記第2の型との間に表皮材を配置して型閉めを行い、型内を真空吸引することで、型閉め方向と交差する方向に凹んだアンダーカット形状を有し、かつ上記第2の型に載置した基材に上記表皮材が密着した成形品を作製する真空成形方法であって、
    上記第1の型内に設けた真空吸引孔を通じて型内を真空吸引することで、上記第1の型の型面に上記表皮材を付着させる工程と、
    上記チューブを膨張させつつ上記第2の型内に設けた真空吸引孔を通じて型内を真空吸引することで、膨張したチューブにより上記表皮材を上記アンダーカット成形部内に押圧して上記表皮材にアンダーカット形状を賦形しつつ上記表皮材を上記基材に密着させる工程と
    を行うことを特徴とする真空成形方法。
  5. 前記表皮材は、表皮の裏側に発泡層が設けてなる熱可塑性素材であることを特徴とする、請求項4に記載の真空成形方法。
  6. 前記チューブの膨張は、該チューブの両端部に接続された接続部から圧縮空気を該チューブ内に注入して行うことを特徴とする、請求項3又は4に記載の真空成形方法。
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