JP2006135412A - 遠隔監視システム - Google Patents
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Abstract
【課題】監視対象設備の故障を早期且つ正確に検知することができる検知感度の高い遠隔監視システムを提供する。
【解決手段】遠隔監視システムは、監視対象のセンサ値を取得するセンサ情報取得部と、正常運転している際のセンサ値間における第一の相関関係を求め、当該第一の相関関係を、故障を検知する基本予測モデルとして構築し、一部のセンサのセンサ値間における第二の相関関係を求め、当該第二の相関関係を、設備の特定の故障に対して基本予測モデルより検知感度が高い特定故障用予測モデルとを構築する予測モデル構築部と、監視期間中、取得するセンサ値と、予測センサ値との差異に基づいて、設備の故障の有無を検知する故障検知部とを備え、予測モデル構築部は、基本予測モデルに基づいて設備の故障を検知すると、当該故障に対する検知感度が最大になるようなセンサの組み合わせを決定し、当該故障に対する特定故障用予測モデルを構築する。
【選択図】図1
【解決手段】遠隔監視システムは、監視対象のセンサ値を取得するセンサ情報取得部と、正常運転している際のセンサ値間における第一の相関関係を求め、当該第一の相関関係を、故障を検知する基本予測モデルとして構築し、一部のセンサのセンサ値間における第二の相関関係を求め、当該第二の相関関係を、設備の特定の故障に対して基本予測モデルより検知感度が高い特定故障用予測モデルとを構築する予測モデル構築部と、監視期間中、取得するセンサ値と、予測センサ値との差異に基づいて、設備の故障の有無を検知する故障検知部とを備え、予測モデル構築部は、基本予測モデルに基づいて設備の故障を検知すると、当該故障に対する検知感度が最大になるようなセンサの組み合わせを決定し、当該故障に対する特定故障用予測モデルを構築する。
【選択図】図1
Description
本発明は、空調機、発電機などの複数の設備を遠隔監視するシステムなどに関し、特に、監視対象設備の故障を早期に発見でき、故障部位などを正しく特定することができる遠隔監視システムなどに関する。
従来から動力設備などのメンテナンス方法として、事後保全や時間基準保全という考え方に基づいた方法が用いられてきた。しかしながら、故障の発生後に修理を行う事後保全では、修理のために設備の運転を長期間停止しなければならないという問題がある。また、定期的にメンテナンス作業を行う時間基準保全では、対象設備が健全な状態であってもメンテナンス作業を行うため、時間やコストの無駄が大きいという問題がある。
そこで、対象設備の状態に基づいて適切なメンテナンスを行う状態基準保全という考え方があり、かかる方法では、設備に設けられた各種センサの値や設備の各部位の状態などを検査して、その結果に基づいてメンテナンス作業が決定される。しかし、メンテナンスの対象設備が複数あり、それらが離れた場所に点在しているような場合には、各設備の状態を作業員が現地で検査するのでは作業が大変であるので、それら複数の設備を沿革から監視するシステムが提案されている。
かかる遠隔監視システム(例えば、下記特許文献1、2又は3に記載の装置)では、各設備に設けられたセンサの値を、設備から離れた場所に設けられた監視システムで受信し、当該システムがその値に基づいて設備の正常・異常を判断する。その判断方法は、概ね、前記システムが、受信した各センサの値があらかじめ設定されたしきい値を超えたか否かということに基づいて各センサ毎に正常・異常を報知し、その報知に基づいて監視員などの人が、設備の故障発生や故障部位などを判断するというものである。また、システムが、所定のいくつかのセンサが異常な値となったときに設備故障であると判断するという方法などもある。
特開2001−41615号公報
特開2003−4281号公報
特開2001−21192号公報
特開2004−169989号公報
しかしながら、上記従来の方法では、例えば、気温や負荷変動その他の外的要因に近因する各センサのノイズによって誤検知が発生する問題があり、そのような誤検知をさけるために、しきい値を比較的緩やかに設定することで、逆に故障が発生したことを早期の段階で検知することが困難になる場合が生じるなどの問題がある。
なお、上記特許文献4に公開される技術は、単変量解析での異常時の統計的有意差と2変数による相関係数を用いて故障を検知するものであるが、3変数以上の相関関係を考慮しないため、センサの数が多くなるほど、監視対象全体の異常を高感度に捉えることが難しいという問題がある。
そこで、本発明の目的は、動力設備などの複数の設備を遠隔監視するシステムであって、監視対象設備の故障を早期に発見でき、また、動力設備に設けられたセンサの数が比較的多くとも高感度に故障を検知することができる遠隔監視システムなどを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の遠隔監視システムの第一の構成は、複数のセンサを備える設備を遠隔監視する遠隔監視システムにおいて、前記複数のセンサが検知するセンサ値(実測センサ値)を所定の通信回線を介して取得するセンサ情報取得部と、前記設備が正常運転している際に取得される前記複数のセンサすべてのセンサ値間の第一の相関関係を求め、当該第一の相関関係を、前記設備の故障を検知するための基本予測モデルとして構築し、前記複数のセンサにおける一部のセンサのセンサ値間の第二の相関関係を求め、当該第二の相関関係を、前記設備の特定の故障に対して前記基本予測モデルより検知感度が高い特定故障用予測モデルとして構築する予測モデル構築部と、前記設備を監視期間中、前記センサ情報取得部が取得するセンサ値と、前記基本予測モデル及び前記特定故障用予測モデルそれぞれから求められる予測センサ値との差異に基づいて、前記設備の故障の有無を検知する故障検知部とを備え、前記予測モデル構築部は、前記故障検知部が前記基本予測モデルに基づいて前記設備の故障を検知すると、当該故障に対する検知感度が最大になるような前記複数のセンサのうちの一部のセンサからなるセンサの組み合わせを決定し、当該一部のセンサのセンサ値間の前記第二の相関関係を求めることにより、当該故障に対する前記特定故障用予測モデルを構築することを特徴とする。
また、本発明の遠隔監視システムの第二の構成は、上記第一の構成において、前記予測モデル構築部が求める前記第一の相関関係及び前記第二の相関関係が、主成分分析により求められることを特徴とする。
また、本発明の遠隔監視システムの第三の構成は、上記第一又は第二の構成において、前記予測モデル構築部が、前記センサ情報取得部が取得するセンサ値と前記予測センサ値との差異のSN比を基準に、前記センサの組み合わせを決定することを特徴とする。
また、本発明の遠隔監視システムの第四の構成は、上記第一乃至第三の構成のいずれかにおいて、前記故障検知部が前記基本予測モデルに基づいて、前記設備の故障を検知すると、前記センサ情報取得部が取得するセンサ値と前記予測センサ値との差異の傾向に基づいて、故障の種別を決定する故障種別決定部をさらに備えることを特徴とする。
さらに、上記目的を達成するための本発明における遠隔監視プログラムは、複数のセンサを備える設備を遠隔監視する処理を遠隔監視システムに実行させる遠隔監視プログラムにおいて、前記複数のセンサが検知するセンサ値(実測センサ値)を所定の通信回線を介して取得する第一の処理と、前記設備が正常運転している際に取得される前記複数のセンサすべてのセンサ値間の第一の相関関係を求め、当該第一の相関関係を、前記設備の故障を検知するための基本予測モデルとして構築し、前記複数のセンサにおける一部のセンサのセンサ値間の第二の相関関係を求め、当該第二の相関関係を、前記設備の特定の故障に対して前記基本予測モデルより検知感度が高い特定故障用予測モデルとして構築する第二の処理と、前記設備を監視期間中、前記第一の処理により取得されるセンサ値と、前記基本予測モデル及び前記特定故障用予測モデルそれぞれから求められる予測センサ値との差異に基づいて、前記設備の故障の有無を検知する第三の処理とを前記遠隔監視システムに実行させ、前記第二の処理における前記特定故障用予測モデルを構築する処理は、前記第三の処理において、前記基本予測モデルに基づいて前記設備の故障が検知されると、当該故障に対する検知感度が最大になるような前記複数のセンサのうちの一部のセンサからなるセンサの組み合わせを決定し、当該一部のセンサのセンサ値間の前記第二の相関関係を求めることにより、当該故障に対する前記特定故障用予測モデルを構築する処理であることを特徴とする。
好ましくは、上記遠隔監視プログラムの前記第二の処理において、前記第一の相関関係及び前記第二の相関関係は、主成分分析により求められる。
好ましくは、上記遠隔監視プログラムの前記第二の処理において、前記センサ情報取得部が取得するセンサ値と前記予測センサ値との差異のSN比を基準に、前記センサの組み合わせが決定される。
また、上記遠隔監視プログラムは、好ましくは、前記第三の処理において、前記基本予測モデルに基づいて、前記設備の故障が検知されると、前記第一の処理により取得されたセンサ値と前記予測センサ値との差異の傾向に基づいて、故障の種別を決定する第四の処理をさらに前記遠隔システムに実行させる。
本発明の遠隔監視システム及び遠隔監視プログラムによれば、動力設備の故障を故障の種類毎に高感度に検知することができるようになり、早期且つ正確な故障の検知が実願される。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図1は、本発明の実施の形態における遠隔監視システムの構成例を示す図である。遠隔監視システム1は、複数箇所に設置された複数の動力設備2を遠隔から監視する。かかる遠隔監視システム1は、各動力設備2に取り付けられた複数のセンサ21(21a、21b、21c、…)のセンサ値間の相関関係に基づいて、動力設備2における故障を早期に且つ高感度に検知しようとするものである。
前述の通り、図1に示す動力設備2が遠隔監視システム1の監視対象設備であり、各動力設備2には、複数のセンサ21が備えられている。動力設備2は、例えば、発電機やガスエンジンヒートポンプ型空調装置(GHP)であり、センサ21は、それら設備の各所に取り付けられた例えば温度計や圧力計などである。また、図1に示す通信回線3は、前記各センサ21で検知された値(例えば、温度、圧力など)を遠隔監視システム1に送信するための回線であり、各動力設備2と遠隔監視システム1をつないでいる。
遠隔監視システム1は、図示されるように、センサ情報取得部11、予測モデル構築部12、予測モデル記憶部13、故障検知部14、故障種別決定部15、故障モデル記憶部16を有しており、CPU、メモリ、OS、アプリケーションプログラムなどで構成される所謂コンピュータシステムで構成することができる。
センサ情報取得部11は、前記動力設備2とのインターフェースをなす部分であり、前記複数のセンサ21で定期的に検知され、送信される各センサ21の値を、通信回線3を介して受信し格納する。
予測モデル構築部12は、動力設備2が正常運転している際に取得された前記複数のセンサ21の値から、当該複数のセンサ21のセンサ値間の相関関係を構築する。なお、構築された相関関係を予測モデルと呼ぶことにする。この予測モデルの具体的な構築方法については、後述するが、例えば、主成分分析などの多変量解析により、所定の複数のセンサ21間の相関関係が数式として構築される。例えば、図1に示す動力設備2の3つのセンサ21a、21b、21cが正常運転時に検知する値の相関関係が数式でモデル化され、この予測モデルにより当該3つのセンサ21a、21b、21cの値を予測することができる。
また、本実施の形態例では、予測モデル構築部12は、上述のように、正常運転している際に取得された複数のセンサ21すべてのセンサ値から基本となる予測モデル(以下、基本予測モデルと称す)を構築するとともに、さらに、特定の故障に対してのみ検出感度を高めた特定故障用予測モデルも構築する。故障の種類が複数ある場合は、故障の種類毎に複数の特定故障用予測モデルが構築される。
この特定故障用予測モデルは、後に詳述するように、ある故障が発生した場合、各センサの値(変数)をそれぞれ除いたときの主成分分析を行い、その故障に対するSPE(二乗予測誤差)のS/N比が最大になるようなセンサの組み合わせを決定し、全センサから一定数除かれた一部のセンサのセンサ値(データ変数)による予測モデルを構築する。すなわち、特定の故障の発生前後において、値の変化が比較的小さいセンサ値を予測モデル構築の対象から除去することで、その故障に対して検出感度の高い予測モデルを構築することができる。
なお、この予測モデル構築部12は、予測モデルの構築処理の手順を記述したプログラム、当該プログラムに従って処理を実行する演算装置などで構成することができる。
予測モデル記憶部13は、予測モデル構築部12が生成した基本予測モデルと複数の特定故障用予測モデルを記憶する。予測モデル記憶部13は、ハードディスク装置などの記憶装置で構成することができる。
故障検知部14は、動力設備2の運転中にセンサ情報取得部11が取得したセンサ値と、予測モデル記憶部13に記憶されている予測モデルとに基づいて、故障を検知する。かかる故障の検知方法についての詳細については後述するが、予測モデルによる予測センサ値と実際のセンサ値との差異を求め、その差異に基づいて動力設備2が異常状態にあるか否かを判断する。予測モデルとの比較においては、予測モデル記憶部13に記憶されている基本予測モデルと特定故障用予測モデルすべてのモデルとの比較を行い、いずれかの予測モデルにより異常が検知されれば、異常と判断される。特定故障用予測モデルは、ある特定の故障に関しては、基本予測モデルより検知感度が高いので、その特定の故障による異常の場合は、通常、特定故障用予測モデルにより異常が検知される。予測モデル記憶部13に記憶されている特定故障用予測モデルの故障以外の故障(新しい種類の故障)の場合は、基本予測モデルにより異常が検知され、次に説明する故障種別決定部15により故障の種別を特定するとともに、その故障についての特定故障用予測モデルが構築、記憶され、次回から利用される。
故障種別決定部15は、故障検知部14が基本予測モデルに基づいて故障を検知した際に、その故障の種別を特定する。具体的には、後述する故障モデル記憶部16に記憶された故障モデルと、故障検知部14が求めた予測センサ値と実測センサ値との差異を比較することにより、故障の種別を決定する。決定方法の詳細は後述するが、故障種別とは、故障部位、故障現象など故障の内容を識別するための情報である。故障種別決定部15により故障の種別が決定された場合は、予測モデル構築部12は、その故障に対応する特定故障用予測モデルを構築する。
故障モデル記憶部16は、故障種別決定部15で用いられる故障モデルを記憶する。故障モデルとは、過去に経験した故障などその故障時における予測センサ値と実測センサ値との差異のパターン(傾向)がわかっている故障についての当該パターンのことを意味し、あらかじめ記憶させておく。かかる故障モデルの詳細は後述するが、動力設備2の故障種別毎にこの故障モデルは概ね決まっている。
予測モデル構築部12における予測モデルの構築方法について説明する。予測モデル構築部12は、まず、基本予測モデルを構築する。具体的には、まず、監視対象の動力設備2が新規に設置された後、あるいは動力設備2の修理が完了した後において、動力設備2を起動し、試運転を行って正常運転であることを確認する。その後、動力設備2に取り付けられた複数のセンサ21で定期的(例えば1時間毎)に検知を行い、検知されたセンサ値を通信回線3を介して遠隔監視システム1に順次送信する。遠隔監視システム1では、センサ情報取得部11が、送信されるセンサ値を順次受信して格納する。
上記式(1)は、センサ情報取得部11がある一定時間間隔で取得するデータの時系列を例示したものである。各センサからある時刻に取得されるセンサ値(データ変数)を列に並べ、時系列に行方向に重ねていく。
センサ情報取得部11は、継続してセンサ値の受信、格納を行うが、あらかじめ定めた回数のセンサ値(データ変数)を取得した時点で、予測モデル構築部12が予測モデルの構築処理を開始する。なお、あらかじめ定めた回数は、予測モデルを構築するのに必要な数、例えば、後述する統計的な処理を実施し、所謂学習を行うのに十分な数のことであり、例えば、50という値に定められる。
予測モデルの構築とは、前述の通り、複数のセンサ21におけるセンサ値の相関関係を定めることであり、予測モデル構築部12は、定められた回数分のセンサ値を用いて、例えば、主成分分析の手法により、センサ値間の相関関係を定める数式などを求める。主成分分析の手法について、以下に説明する。
まず、式(1)のデータ群をm次元の変数座標軸にプロットする。次元は、一度に取得するデータ変数(センサ値)の数を表す。ここでは、視覚的に説明するために、m=3とする。図2は、3次元空間にプロットされたデータ群を示す図である。
データがプロットされた座標系で最も分散の大きい方向に新たな軸を取り、これを主成分という。特に、最初に取る主成分を第一主成分(PC1)と表現する。第一主成分と直交し、2番目に分散が大きい方向に第二主成分(PC2)を取る。このようにして、取りうることが可能な主成分は、データの次元に等しくなるが、モデルになるデータ変数間にある相関があると、そのうちのいくつかの主成分だけでそれらの性質をほぼ表すことが可能である。これを、次元の縮小といい、多変量の情報をより小さい次元で表すためのモデリングを行うことを意味する(データ変数の数はmのままである)。各主成分は、次式(2)で表すことができる。
ここで、ベクトルtはスコアベクトルといい、各データ点を主成分軸に投影したときの原点からの距離を表す。pはローディングベクトルといい、主成分軸と変数軸のなす余弦を表している。式(2)におけるt1p1は、第一主成分を表し、tkpkは、第k主成分を表す。図3は、スコアベクトルtとローディングベクトルpを示す図である。一例として、2つのデータ点x1、x2を第一主成分PC1の軸に投影したときのスコアベクトルt1、t2とローディングベクトルp1が示されている。
ところで、図3において、データ点から主成分軸に投影した距離は、誤差(Error)を示している。従って、上記(1)式は、上記(2)式と誤差によって、次の(3)式のように表現することができる。
このようにして、正常時のモデルを構築する。すなわち、予測モデルの構築は、主成分軸を規定するローディングベクトルpを決定する処理である。そして、基本予測モデルは、m個あるすべてのセンサからのセンサ値(データ変数)用いて構築された予測モデルである。予測モデルでは、センサ値であるデータ点xはすべて主成分軸上に存在すると予測され、主成分軸との誤差の大きさが所定の許容範囲を超えているかどうかを監視することにより、故障(異常)の有無を判定する。異常判定のパラメータとして、Q統計量といわれるパラメータを用いる。Q統計量は二乗予測誤差(Squared Prediction Error :SPE)とも呼ばれ、次の(4)式のように定義される。
ここで、
はデータ点の座標(実測センサ値)、
は
から主成分座標上に投影した座標(予測センサ値)を示す。SPEが大きいということは、a次元の正常時モデルから外れてm−a残差部分空間上にデータ点が存在することを意味し、異常な状況である可能性を示唆するものである。
次に、特定故障用予測モデルの構築方法について説明する。特定故障用予測モデルは、基本予測モデルにより異常が検知される毎に新規に構築される。特定の故障に対して基本予測モデルより検知感度が高いすでに記憶されている特定故障用予測モデルでは検知されずに、基本予測モデルにより異常が検知される場合は、新たな種類の故障による異常と考えられるので、当該故障に対する特定故障用予測モデルが新規に構築されることとなる。特定故障用予測モデルは、基本的には、上述の基本予測モデルと同様の主成分分析の手法を用いて構築するが、その際に、特定の故障に対して比較的関係の薄いデータ変数を削除し、残りのデータ変数(m個より少ない数)を用いて主成分分析することにより構築する。そして、削除するデータ変数の選択方法として、本発明の実施の形態例では、動力装置2に故障が発生したときのデータ変数を一つずつ削除した場合の主成分分析を行い、そのときの二乗予測誤差(SPE)のSN比が最大(感度最大)になるデータ変数を除いていく。SPEのSN比がこれ以上大きく(感度が高く)ならなくなるまで、データ変数を一つずつ削除していく処理を繰り返し、SPEのSN比が最大なるデータ変数の組み合わせを決定する。
図4は、データ変数の選択処理のフローチャートである。ステップS100の初期値が設定され、ステップS101において、i番目の変数が削除される。最初は、1番目の変数である。ステップS102において、iがmより大きくないことを確認し、i番目の変数を削除したときの主成分分析を行う(S103)。このときの取りうる次元は、m−1である。そして、二乗予測誤差SPEのSN比(SNRQi)を求め、記憶しておく(S104)。i番目の変数を戻し(S105)、i=i+1とし(S106)、ステップS101に戻り、次の変数を削除する。m番目までの変数の削除による各SNRQiが求められると、ステップS107に進む。ステップS107では、m個の変数を順次削除していき、それぞれ求められたSNRQiの値を比較し、j番目の変数を削除した場合のSNRQiが最大であると、そのSNRQiを最大値Max[SNRQi(m-1)]jと決定する。
最大値Max[SNRQi(m-1)]jは、それまでの最大値Maxと比較され(S108)、最大値Maxより大きければ、最大値Max[SNRQi(m-1)]jを最大値Maxに置き換える(S109)。そして、j番目の変数を削除し(S110)、m=m−1とし(S111)、ステップS100に戻り、上記処理を繰り返す。なお、2巡目からは、削除された変数が存在するので、i=i+1により、削除された変数の番号になる場合は、削除されていない次の番号に進むものとする。そして、ステップS108において、最大値Max[SNRQi(m-1)]jが最大値Maxを超えなくなったところで、処理は終了する。処理終了時点で、残っている変数が二乗予測誤差SPEのSN比を最大にする変数の組み合わせとなる。
このようにして、データ変数(センサ)の組み合わせを決定すると、その組み合わせのデータ変数により、上述の主成分分析を行い、発生した故障に対して感度が高い特定故障用予測モデルを構築することができる。なお、後述の実施例において、データ変数の選択処理の実施例について説明する。
図5は、本発明の実施の形態における処理内容を例示したフローチャートである。監視対象の動力設備2が新規に設置された後、あるいは動力設備2の修理が完了した後において、動力設備2を起動し、試運転を行って正常運転であることを確認する。その状態において、遠隔監視システム1のセンサ情報取得部11は、複数のセンサ21から送信されるセンサ値を順次受信して格納する(S11)。まず最初に、基本予測モデルを構築する必要があるので、それを構築するのに必要な数のデータを取得し(S12)、予測モデル構築部12が上述の主成分分析の手法を用いて、基本予測モデルを構築し、それを予測モデル記憶部13に記憶する(S13)。
基本予測モデルが構築、記憶されると、実際の監視処理に入る。センサ情報取得部11は、動力設備2から送信されるセンサ値を受信する毎に(S21)、故障検知部14は、その受信したセンサ値について、異常な値であるか否かを判断する。具体的には、予測モデル構築部12が構築した基本予測モデル若しくは後述する特定故障用予測モデルと取得したセンサ値により各モデルにおけるセンサ値の予測値を求め、当該予測値と受信したセンサ値(実測値)との差異を求め、この差異の大きさに基づいて異常であるか否かを解析し(S22)、異常(故障)の有無を判定する(S23)。差異は、上記(4)式により二乗予測誤差(SPE)により求められる。式(4)において、予測センサ値は
であり、実測センサ値は
である。そして、求められた二乗予測誤差(SPE)が95%信頼限界値を超えた場合には、センサ値(実測値)が異常であると判断する。なお、この95%信頼限界値とは、統計解析において通常用いられる値であり、95%の確率でこの値を超えない値を意味する。95%信頼限界値は、あらかじめ決められている。
故障検知部14は、好ましくは、所定の回数連続して、取得したセンサ値が異常であると判断される場合に、動力設備に故障があると判断する。これは、動力設備2に故障がなく正常運転の際にも単発的にはセンサ値が異常な値を示す場合があり得るからである。例えば、上述の二乗予測誤差SPEが10回、95%信頼限界値を超えた場合に、故障があると判断する。もちろん、一回のセンサ値の異常検知で、故障有りと判断してもよい。
このような故障検知部14における故障の検知の結果、故障を検知しなかった場合には(ステップS23のNo)、監視対象の動力設備2を停止するなどの、本遠隔監視システム1による監視を終了する事由がない限り(ステップS24のNo)、前述した図6のステップS21からの処理を繰り返し実行する。上記監視を終了する事由が有れば(ステップS24のYes)、監視を終了する。
一方、故障検知部14が故障ありと判断した場合は、さらに、その判断が、基本予測モデルに基づいたものなのか、特定故障用予測モデルに基づいたものなのかが判定される(S25)。特定故障用予測モデルとの比較によるものであれば、故障の種別は、その特定故障用予測モデルに対応する故障と特定され、故障情報の発報が行われる(S33)。基本予測モデルとの比較による場合は、故障の内容がわからないので、故障の内容(種別)を決定する必要がある。
図6は、故障種別決定処理を説明するための図である。まず、遠隔監視システム1の故障種別決定部15は、故障検知部14が求めたセンサ値の予測値と実測値との差異を解析する(図5のステップS31)。具体的には、図6(a)に示すように、3つのセンサ値a、b、cが取得される場合における各データ点x1、x2、x3と主成分軸tとの差異(残差ベクトルと呼ぶ)e1、e2、e3を求める。なお、この残差ベクトルeの二乗和が二乗予測誤差SPEである。故障種別決定部15は、各残差ベクトルeの成分(ea、eb、ec)を取り出し、図6(b)に示される「実測値のパターン」として、故障モデル記憶部16に記憶されている複数の故障モデルと比較する。
図6(b)は、上記故障種別の決定を、より具体的に例示した図である。図の左側に示されているものが、故障モデル記憶部15に記憶されている故障モデルの例であり、複数の故障種別(種別イ、種別ロ、種別ハなど)についてそれぞれ対応する残差ベクトルの成分(パターン)が納められている。故障種別には、例えば、上記電気ヒートポンプにおける「熱交換器目詰まり」、「冷媒漏れ」や故障部位を示すものなどがある。また、これら故障モデルは、過去に経験した故障の際に実際に得られたセンサ値から求めた残差ベクトルなどが用いられる。
図の右側に示す「実測値のパターン」は、前述の通り、今回得られた残差ベクトルの成分を示しており、このパターンが上記各故障モデルのパターンと照合される。図に示す例では、実測値のパターンが種別ロの故障モデルと類似するので、この場合には、故障の種別は種別ロであると決定する。上記類似するとの判断においては、例えば、実測値に係る残差ベクトルの単位ベクトルと各故障モデルに係る残差ベクトルの単位ベクトルとの内積を計算し、その結果が1に近ければ類似と判断する。即ち、前述の通り、残差ベクトルの方向がほぼ同じであれば、同一の故障種別であると判断する。
故障種別決定部15は、図6(b)に示すように、予測値と実測値との差異(残差ベクトル成分)と、故障モデル記憶部15に記憶された故障モデルとを照合し、今回検知された故障の種別を決定する(図5のステップS32)。具体的には、故障種別毎に記憶されている故障モデルの中から、今回得られた予測値と実測値との差異とパターン(傾向)が一致する、あるいは極めて類似する故障モデルを選出し、その選出された故障モデルの故障種別を、今回検知された故障の種別であると決定する。これは、故障の種別が同じであれば、予測値と実測値との差異のパターン(傾向)がほぼ同一となり、故障の種別が異なれば、パターン(傾向)が異なったものとなることが、実験的に知られているからである。
図6の(a)は、3つの残差ベクトルを例示したものである。図のx1、x2、及びx3がセンサ値の3つの実測値であり、e1、e2、及びe3がそれらに対応する残差ベクトルである。前述の通り、予測値と実測値との差異のパターン(傾向)、この例の場合には残差ベクトルの各成分のパターン、即ち、残差ベクトルの方向は、故障種別毎にほぼ同じものとなる。従って、図6の(a)において、残差ベクトルe1とe3の方向がほぼ同じことから、実測値x1とx3に係る故障種別は同じであると判断でき、残差ベクトルの方向が異なる実測値x2に係る故障種別はこれらとは別のものであると判断することができる。
故障種別の決定を終了すると、故障種別決定部15は、故障情報を当該遠隔監視システム1のユーザに報知する(図5のステップS33)。故障情報の内容は、例えば、故障を検知した動力設備2とその故障種別などである。また、報知の手段は、モニタへの表示やプリンタによる紙への印刷などである。そして、故障の報知が行われるとともに、予測モデル構築部12により、当該故障に対する特定故障用予測モデルが上述の手法により構築され、予測モデル記憶部13に記憶される(S34)。
そして、遠隔監視システム1は、当該検知した故障により動力設備2を停止すべき場合など監視処理を終了する事由があれば(図5のステップS24のYes)、監視を終了する。そして、必要に応じて故障が検知された動力設備2の点検、修理等がなされる。一方、監視処理を終了する事由がなければ(図5のステップS24のNo)、監視処理を継続し、前述した図5のステップS21からの処理を繰り返し実行する。
このように、本遠隔監視システム1では、故障を精度よく識別可能な、前述したセンサ値の予測値と実測値との差異の傾向に基づいて、故障種別の特定がなされるので、従来よりも正確な故障種別の特定、故障診断が可能となる。また、本実施の形態例に係る遠隔監視システム1によれば、複数のセンサ21で検知される値に対する多変量解析により、前記複数のセンサ21間の相関関係に着目した故障検知及び故障種別の特定がなされ、故障の早期発見及び正確な故障診断が可能となる。また、それぞれ離れた場所に点在する複数の監視対象(動力設備2)について、1箇所において監視できるので、設備の監視業務やメンテナンス作業における省力化を図ることができる。更に、故障診断がシステムにより自動的に行われるので、人が判断する場合のような熟練を必要とせず、個人差もなくなる。
さらに、実測値の比較対象となる予測値に関し、全センサ値(全データ変数)を用いて構築した基本予測モデルに加えて、特定の故障に対して検知感度が高くなるように所定のセンサを削除したデータ変数の組み合わせで構築した特定故障用予測モデルを、故障の種別毎に構築することで、故障を早期且つ正確に検知することができるようになる。
なお、本実施の形態例においては、動力設備2が遠隔監視システム1の監視対象であったが、監視対象は動力設備に限らず、センサ値を取得できる設備であれば他のものでも良い。
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
主成分分析では、その分析能力を保ったまま変数を減らす方法が検討されている。これは、費用や実用上、主成分モデルの様相をほぼ保持したまま1回あたりのデータ点数を少なくすることが必要な場合に用いられるが、本発明の場合は、異常の検知感度を高めるために、変数を減らす。
主成分分析の変数選択法の一つとしてJolliffeによる主成分寄与率基準による変数選択法が知られている。これは、各主成分におけるそれぞれの変数のローディングベクトルの大きさを比較し、重要性の最も低い変数を削除していき、適切な変数の数まで落としていく(変数減少法)、もしくは重要性の高い変数から取得していく(変数増加法)方法である。Jolliffeの方法については、次の(1)、(2)の文献を参照。
(1)Jolliffe, I.T. (1972) Discarding variables in a principal component anal ysis. I. Artifical data. Appl. Atatist., 21, 160-173.
(2)Jolliffe, I.T. (1973) Discarding variables in a principal component anal ysis. II. Real data. Appl. Atatist., 22, 21-31.
一方、上記本発明の実施の形態例では、二乗予測誤差SPEのSN比を基準に変数を減らす手法を採用する。Jolliffeの方法による変数選択では、異常検知の感度に直接関係する二乗予測誤差のSN比を基準に変数を減らすわけではないので、その検知感度は、変数選択によって必ずしも向上しない。
(2)Jolliffe, I.T. (1973) Discarding variables in a principal component anal ysis. II. Real data. Appl. Atatist., 22, 21-31.
一方、上記本発明の実施の形態例では、二乗予測誤差SPEのSN比を基準に変数を減らす手法を採用する。Jolliffeの方法による変数選択では、異常検知の感度に直接関係する二乗予測誤差のSN比を基準に変数を減らすわけではないので、その検知感度は、変数選択によって必ずしも向上しない。
以下、Jolliffeの変数選択方法と本発明による変数選択方法を実施例により比較する。実施例では、プロセス制御のベンチマークとして利用されることの多い、Tennessee-Eastmanプラントシミュレーションを用いた(詳細については、「工業規模のプラントワイドプロセス制御のベンチマークプロセス」J.J. Downs and E. F. Vogel A Plant-Wide Industrial Process Control Problem, Computer & Chemical Engineering, Vol. 17, No.3, pp.245-255, 1993 参照)。このプラントシミュレーションでは、化学プラントで製品を製造するときに外乱が発生し、その外乱による異常を回避するためのプロセス制御ベンチマークとして利用されるが、本分析では、その外乱を異常現象に見立て、その検出感度について検討した。本例で示す外乱(IDV02)は、不活性ガス濃度の乱れで、プラント全体で生じる異常変動を主成分分析によって解析したものである。
Tennessee-Eastmanプラントシミュレーションにおける計測変数および操作変数のうち、33個のデータを用いて外乱によるプロセス異常の検知を主成分分析により行った。
解析対象のデータセットのイメージを図7に示す。このうちXMEAS01〜XMEAS22は流量、温度圧力などの操作変数、XMV01〜XMV11は制御量を操作するための操作変数である。
(1)二乗予測誤差SPEのSN比基準による変数選択
図8は、変数33個のうち1つずつ変数を順番に削除し、32変数で正常時のデータ1〜960を用いて主成分分析によるモデリングを行い、各時刻の状態を表したものである。ここで、横軸は時間軸、縦軸はSPEを正常時の95%信頼限界値で規格化したSN比(以下、SPE-SN比という)を表す。正常運転をしている980まではほぼ1に近い状態で推移するが、外乱が発生した980付近でSPEのSN比が上昇しているのがわかる。
(1)二乗予測誤差SPEのSN比基準による変数選択
図8は、変数33個のうち1つずつ変数を順番に削除し、32変数で正常時のデータ1〜960を用いて主成分分析によるモデリングを行い、各時刻の状態を表したものである。ここで、横軸は時間軸、縦軸はSPEを正常時の95%信頼限界値で規格化したSN比(以下、SPE-SN比という)を表す。正常運転をしている980まではほぼ1に近い状態で推移するが、外乱が発生した980付近でSPEのSN比が上昇しているのがわかる。
図9は、図8の外乱発生後のSPE-SN比の変化を拡大したものであり、33変数のうち1変数を除いて解析した33回の解析結果のSPE-SN比の変化を比較するための図である。この中で、SPE-SN比が最大となる解析結果(図9中で示した矢印のライン)は、変数XMEAS01を除いて解析したもので、これはXMEAS01変数が外乱によるプラントシステムの状態変化に寄与しないノイズを最も多く含んでいることを示す。
このようにして、SPE-SN比が最大になる変数を求め、それを削除した解析データセットを新たに作成し同様の解析を行い、変数の数を落としてゆく。図10及び図11は、変数を落としていったときのSPE-SN比の変化と、削除する変数を示す。SPE-SN比が減少した時点で変数選択処理を終了する。本例では、変数が24のときSPE-SN比が最大を示したため、IDV02の故障では24変数のモデリングが最適である。
(2)Jolliffeの変数減少法による変数選択
図12は、IDV02のデータを用いて33変数すべてを用いてSPE解析したときの各ローディングベクトル(主成分に対応)pの係数の絶対値について大きい順番にランキングを示し、さらに、各ローディングベクトルに対する各センサの寄与率の順位が示されている。すなわち、p1が、絶対値が最も大きい第一主成分のローディングベクトルを示し、p33は、絶対値が最も小さい第三十三主成分のローディングベクトルを示す。このとき、Jolliffeの変数減少法による変数選択では、絶対値の小さい方からのローディングベクトル(すなわち、重要でない主成分)の各センサの寄与率に着目し、重要でない主成分に対する寄与率が大きい(順位が最も高い)変数から削除する。図12では、網掛けしている変数が削除される。ここでは、SPEのSN比による変数選択基準と同様の24変数になるまで削除するパラメータを選択した。
(2)Jolliffeの変数減少法による変数選択
図12は、IDV02のデータを用いて33変数すべてを用いてSPE解析したときの各ローディングベクトル(主成分に対応)pの係数の絶対値について大きい順番にランキングを示し、さらに、各ローディングベクトルに対する各センサの寄与率の順位が示されている。すなわち、p1が、絶対値が最も大きい第一主成分のローディングベクトルを示し、p33は、絶対値が最も小さい第三十三主成分のローディングベクトルを示す。このとき、Jolliffeの変数減少法による変数選択では、絶対値の小さい方からのローディングベクトル(すなわち、重要でない主成分)の各センサの寄与率に着目し、重要でない主成分に対する寄与率が大きい(順位が最も高い)変数から削除する。図12では、網掛けしている変数が削除される。ここでは、SPEのSN比による変数選択基準と同様の24変数になるまで削除するパラメータを選択した。
図13は、二乗予測誤差SPEのSN比に基づいた本発明の変数選択基準と、Jolliffeの方法を用いた変数選択基準の検出感度の比較を示す図である。検出感度は、SPEのSN比によるものは約524、Jolliffeの方法によるものは約265とおよそ倍の検出感度で検知することが可能である。これは、二乗予測誤差SPEのSN比による方法がノイズの影響を少なくし、異常に適したモデルが作られていることを示す。図14は、図13の1〜20点目を拡大したものであるが、この図でもSPE-SN比の立ち上がりが早く、早期に異常を発見できることが示されている。
1:遠隔監視システム、2:動力設備、3:通信回線、11:センサ情報取得部、12:予測モデル構築部、13:予測モデル記憶部、14:故障検知部、15:故障種別決定部、16:故障モデル記憶部、21:センサ
Claims (8)
- 複数のセンサを備える設備を遠隔監視する遠隔監視システムにおいて、
前記複数のセンサが検知するセンサ値を所定の通信回線を介して取得するセンサ情報取得部と、
前記設備が正常運転している際に取得される前記複数のセンサすべてのセンサ値間の第一の相関関係を求め、当該第一の相関関係を、前記設備の故障を検知するための基本予測モデルとして構築し、さらに、前記複数のセンサにおける一部のセンサのセンサ値間の第二の相関関係を求め、当該第二の相関関係を、前記設備の特定の故障に対して前記基本予測モデルより検知感度が高い特定故障用予測モデルとして構築する予測モデル構築部と、
前記設備を監視期間中、前記センサ情報取得部が取得するセンサ値と、前記基本予測モデル及び前記特定故障用予測モデルそれぞれから求められる予測センサ値との差異に基づいて、前記設備の故障の有無を検知する故障検知部とを備え、
前記予測モデル構築部は、前記故障検知部が前記基本予測モデルに基づいて前記設備の故障を検知すると、当該故障に対する検知感度が最大になるような前記複数のセンサのうちの一部のセンサからなるセンサの組み合わせを決定し、当該一部のセンサのセンサ値間の前記第二の相関関係を求めることにより、当該故障に対する前記特定故障用予測モデルを構築することを特徴とする遠隔監視システム。 - 前記予測モデル構築部が求める前記第一の相関関係及び前記第二の相関関係は、主成分分析により求められることを特徴とする請求項1に記載の遠隔監視システム。
- 前記予測モデル構築部は、前記センサ情報取得部が取得するセンサ値と前記予測センサ値との差異のSN比を基準に、前記センサの組み合わせを決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の遠隔監視システム。
- 前記故障検知部が、前記特定故障用予測モデルによらずに、前記基本予測モデルに基づいて、前記設備の故障を検知すると、前記センサ情報取得部が取得するセンサ値と前記予測センサ値との差異の傾向に基づいて、故障の種別を決定する故障種別決定部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の遠隔監視システム。
- 複数のセンサを備える設備を遠隔監視する処理を遠隔監視システムに実行させる遠隔監視プログラムにおいて、
前記複数のセンサが検知するセンサ値を所定の通信回線を介して取得する第一の処理と、
前記設備が正常運転している際に取得される前記複数のセンサすべてのセンサ値間の第一の相関関係を求め、当該相関関係を、前記設備の故障を検知するための基本予測モデルとして構築し、前記複数のセンサにおける一部のセンサのセンサ値間の第二の相関関係を求め、当該第二の相関関係を、前記設備の特定の故障に対して前記基本予測モデルより検知感度が高い特定故障用予測モデルとして構築する第二の処理と、
前記設備を監視期間中、前記第一の処理により取得されるセンサ値と、前記基本予測モデル及び前記特定故障用予測モデルそれぞれから求められる予測センサ値との差異に基づいて、前記設備の故障の有無を検知する第三の処理とを前記遠隔監視システムに実行させ、
前記第二の処理における前記特定故障用予測モデルを構築する処理は、前記第三の処理において、前記基本予測モデルに基づいて前記設備の故障が検知されると、当該故障に対する検知感度が最大になるような前記複数のセンサにおける一部のセンサからなるセンサの組み合わせを決定し、当該一部のセンサのセンサ値間の前記第二の相関関係を求めることにより、当該故障に対する前記特定故障用予測モデルを構築する処理であることを特徴とする遠隔監視プログラム。 - 前記第二の処理において、前記第一の相関関係及び前記第二の相関関係は、主成分分析により求められることを特徴とする請求項5に記載の遠隔監視システム。
- 前記第二の処理において、前記センサ情報取得部が取得するセンサ値と前記予測センサ値との差異のSN比を基準に、前記センサの組み合わせが決定されることを特徴とする請求項5又は6に記載の遠隔監視プログラム。
- 前記第三の処理において、前記特定故障用予測モデルによらずに、前記基本予測モデルに基づいて、前記設備の故障が検知されると、前記第一の処理により取得されたセンサ値と前記予測センサ値との差異の傾向に基づいて、故障の種別を決定する第四の処理をさらに前記遠隔システムに実行させることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の遠隔監視プログラム。
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