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JP2006128715A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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JP2006128715A
JP2006128715A JP2006009511A JP2006009511A JP2006128715A JP 2006128715 A JP2006128715 A JP 2006128715A JP 2006009511 A JP2006009511 A JP 2006009511A JP 2006009511 A JP2006009511 A JP 2006009511A JP 2006128715 A JP2006128715 A JP 2006128715A
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Chishio Hosokawa
地潮 細川
Hisayuki Kawamura
久幸 川村
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

【課題】長時間駆動しても発光色の変化が少ないなど、長寿命を有し、かつ高効率の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を提供すること。
【解決手段】正孔と電子とが再結合する再結合領域及び該再結合に反応して発光する発光領域を少なくとも有する有機化合物槽と、この有機化合物層を挟持する一対の電極とを備えた有機EL素子において、上記再結合領域又は発光領域の少なくともいずれかに、蛍光性ドーパントとして、特定構造の窒素含有化合物の中から選ばれた少なくとも一種類を0.1〜8重量%の割合で含有させた有機EL素子である。
【選択図】なし

Description

本発明は有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELと略記する)素子に関し、さらに詳しくは、長時間駆動しても発光色の変化が少ないなど、長寿命を有し、かつ高効率の有機EL素子に関するものである。
電界発光を利用したEL素子は、自己発光のため視認性が高く、かつ完全固体素子であるため、耐衝撃性に優れるなどの特徴を有することから、各種表示装置における発光素子としての利用が注目されている。
このEL素子には、発光材料に無機化合物を用いてなる無機EL素子と有機化合物を用いてなる有機EL素子とがあり、このうち、有機EL素子は、印加電圧を大幅に低くしうるために、次世代の表示素子としてその実用化研究が積極的になされている。
ところで、この有機EL素子においては、長寿命かつ高効率の青色発光素子を開発するため、これまで青色発光材料に関する研究に力が注がれ、種々の青色発光材料、例えば高輝度,高効率のジスチリルアリーレン系青色発光材料(特許文献1),高輝度のキレート系青色発光材料(特許文献2),高輝度のジアミン系青色発光材料(特許文献3)などが開示されている。しかしながら、これらの青色発光材料は、通常陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極の構成で利用され、性能が発揮されていたが、寿命の点では必ずしも満足しうるものではなく、例えば(1)駆動時間が経過するとともに、色が緑色化し、発光色が変化する、(2)初期輝度100cd/m2 の時の半減寿命が1000時間程度と短い(実用上は数千時間以上が要求される)、などの問題がある。
他方、本発明における蛍光性ドーパントに類似した構造を有する化合物を発光層の材料とする素子が提案されているが(特許文献4)、微量添加された蛍光性ドーパントの機能については何ら言及していない。
また、特許文献5及び特許文献6には、発光層に添加させる電荷注入補助剤であるジスチリルアリーレン系材料が開示されている。この材料は蛍光性ドーパントとしても働くものであるが、このものを用いた素子の半減寿命は1000時間程度(初期輝度100cd/m2 )と短く、改善が求められていた。
特開平2−247278号公報 特開平5−198378号公報 特開平6−220437号公報 特開平6−220437号公報 特開平6−9953号公報 国際公開94−6157号公報
本発明は、このような従来の有機EL素子がもつ欠点を改良し、長時間駆動しても発光色の変化が少ないなど、長寿命を有し、かつ高効率の有機EL素子を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、長寿命かつ高効率の有機EL素子を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、素子の正孔と電子との結合領域又は発光領域の少なくともいずれかに、蛍光性ドーパントとして、特定の化合物を所定の割合で含有させることにより、その目的を達成しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、正孔と電子とが再結合する再結合領域及び該再結合に応答して発光する発光領域を少なくとも有する有機化合物層と、この有機化合物層を挾持する一対の電極とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子において、上記再結合領域及び/又は発光領域に、蛍光性ドーパントとして、一般式(I)
Figure 2006128715
〔式中、Ar1 ,Ar2 及びAr3 は、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基,炭素数6〜30のアリール基又は複素環式基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよいが、その少なくとも一つは炭素数12以上の縮合多環炭化水素基である。〕
及び一般式(II)
Figure 2006128715
〔式中,Ar4 ,Ar5 ,Ar6 及びAr7 はそれぞれ炭素数1〜10のアルキル基,炭素数6〜30のアリール基又は複素環式基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Ar8 は炭素数6〜30のアリーレン基又は二価の複素環式基を示すが、Ar4 〜Ar8 の少なくとも一つは炭素数12以上の縮合多環炭化水素基である。〕
で表される化合物の中から選ばれた少なくとも一種を0.1〜8重量%の割合で含有させたことを特徴とする有機EL素子を提供するものである。
本発明の有機EL素子は、正孔と電子とが再結合する再結合領域又は該再結合に応答して発光する発光領域の少なくともいずれかに、特定の構造の蛍光性ドーパントを含有させたものであって、長時間駆動しても発光色の変化が少ないなど、長寿命を有し、かつ発光効率が高く、例えば情報産業機器のディスプレイなどに好適に用いられる。
本発明において用いられる蛍光性ドーパントは、一般式(I)
Figure 2006128715
又は、一般式(II)
Figure 2006128715
で表される構造を有する化合物である。
上記一般式(I)及び(II)において、Ar1 〜Ar7 は、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基,炭素数6〜30のアリール基又は複素環式基を示す。ここで、炭素数1〜10のアルキル基の例としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,t−ブチル基などが挙げられ、炭素数6〜30のアリール基の例としては、フェニル基,ビフェニル基,ターフェニル基などの非縮合炭化水素基や縮合多環炭化水素基が挙げられる。該縮合多環炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18以下のもの、例えばペンタレニル基,インデニル基,ナフチル基,アズレニル基,ヘプタレニル基,ビフェニレニル基,as−インダセニル基,フルオレニル基,s−インダセニル基,アセナフチレニル基,プレイアデニル基,アセナフテニル基,フェナレニル基,フェナントリル基,アントリル基,フルオランテニル基,アセフェナントリレニル基,アセアントリレニル基,トリフェニレニル基,ピレニル基,クリセニル基,ナフタセニル基などが挙げられる。
また、複素環式基の例としては、ピリジル基,ピリミジル基,ピラジニル基,トリアジニル基,フラニル基,ピロリル基,チオフェニル基,キノリル基,クマリニル基,ベンゾフラニル基,ベンズイミダゾリル基,ベンズオキサゾリル基,ジベンゾフラニル基,ベンゾチオフェニル基,ジベンゾチオフェニル基,インドリル基,カルバゾリル基,ピラゾリル基,イミダゾリル基,オキサゾリル基,イソオキサゾリル基,チアゾリル基,インダゾリル基,ベンゾチアゾリル基,ピリダジニル基,シンノリル基,キナゾリル基,キノキサリル基,フタラジニル基,フタラジンジオニル基,フタルアミジル基,クロモニル基,ナフトラクタミル基,キノロニル基,o−スルホ安息香酸イミジル基,マレイン酸イミジル基,ナフタリジニル基,ベンズイミダゾロニル基,ベンズオキサゾロニル基,ベンゾチアゾロニル基,ベンゾチアゾチオニル基,キナゾロニル基,キノキサロニル基,フタラゾニル基,ジオキソピリミジニル基,ピリドニル基,イソキノロニル基,イソキノリニル基,イソチアゾリル基,ベンズイソキサゾリル基,ベンズイソチアゾリル基,インダジロニル基,アクリジニル基,アクリドニル基,キナゾリンジオニル基,キノキサリンジオニル基,ベンゾオキサジンジオニル基,ベンゾキサジノニル基,ナフタルイミジル基などが挙げられる。
一方、Ar8 は炭素数6〜30のアリーレン基又は二価の複素環式基を示す。ここで、炭素数6〜30のアリーレン基又は二価の複素環式基としては、例えばAr1 〜Ar7 の説明で例示したアリール基又は複素環式から、水素原子を1個除いた二価の基を挙げることができる。また、他のアリーレン基として、ジフェニレンプロパン基,ジフェニレンメタン基などのジアリーレンアルカン基、ジフェニレンシクロヘキサン基,ジフェニレンシクロペンタン基などのジアリーレンアルカン基、ジフェニレンエーテル基などのジアリーレンエーテル基、ジフェニレンチオエーテル基などのジアリーレンチオエーテル基、N−フェニルジフェニレンアミン基,N−ナフチルジナフチレンアミン基,N−フェニルカルバゾリレン基などのN−アリールジアリーレンアミン基、さらにジフェニルチオフェン,ジフェニルビチオフェンの2価の基などのジアリールチオフェン又はジアリールビチオフェン基なども好ましく挙げることができる。
該Ar1 ,Ar2 及びAr3 は、たがいに同一でも異なっていてもよいが、その少なくとも一つは炭素数12以上の縮合多環炭化水素基であることが必要である。またAr4 ,Ar5 ,Ar6 及びAr7 はたがいに同一でも異なっていてもよいが、Ar4 〜Ar8 の少なくとも一つは炭素数12以上の縮合多環炭化水素基であることが必要である。
さらに、該Ar1 〜Ar8 は適当な置換基が導入されていてもよく、この置換基としては、例えば(1)ハロゲン原子(F,Cl,Br,I),シアノ基,ニトロ基,(2)アルキル基,(3)アルコキシ基,(4)アリールオキシ基,(5)アルキル又はアリールメルカプト基,(6)−NR1 2 (R1 及びR2 はそれぞれ水素原子,アルキル基又はアリール基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。)で表される置換若しくは無置換アミノ基,(7)アルキレンジオキシ基,アルキレンジチオ基などを挙げることができる。ここで、(2)のアルキル基としては、炭素数1〜20、特に1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のものが好ましく、また、このアルキル基は、さらにハロゲン原子(F,Cl,Br,I),水酸基,シアノ基,炭素数1〜12のアルコキシ基,フェニル基又は炭素数1〜12のアルキル基やアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有していてもよい。このようなアルキル基の例としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,t−ブチル基,sec−ブチル基,n−ブチル基,イソブチル基,トリフルオロメチル基,2−ヒドロキシエチル基,2−シアノエチル基,2−エトキシエチル基,2−メトキシエチル基,ベンジル基,4−クロロベンジル基,4−メチルベンジル基,4−メトキシベンジル基,4−フェニルベンジル基などが挙げられる。
(3)のアルコキシ基(−OR3 )としては、R3 として上記(2)で例示したアルキル基を有するものを挙げることができ、具体的には、メトキシ基,エトキシ基,n−プロポキシ基,イソプロポキシ基,t−ブトキシ基,n−ブトキシ基,sec−ブトキシ基,イソブトキシ基,2−ヒドロキシエトキシ基,2−シアノエトキシ基,ベンジルオキシ基,4−メチルベンジルオキシ基,トリフルオロメトキシ基などが挙げられる。(4)のアリールオキシ基(−OAr)としては、Arとして無置換又はハロゲン原子(F,Cl,Br,I),炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基などが置換されたフェニル基やナフチル基を有するものを好ましく挙げることができ、具体的にはフェノキシ基,1−ナフチルオキシ基,2−ナフチルオキシ基,4−メチルフェノキシ基,4−メトキシフェノキシ基,4−クロロフェノキシ基,6−メチル−2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。また、(5)のアルキル又はアリールメルカプト基(−SR4 )としては、R4 として上記(2)で例示したアルキル基又は(4)で例示したフェニル基やナフチル基などを有するものを挙げることができ、具体的には、メチルチオ基,エチルチオ基,フェニルチオ基,p−メチルフェニルチオ基などが挙げられる。
さらに、(6)の−NR1 2 で示される基としては、R1 及びR2 がそれぞれ水素原子,アルキル基又はアリール基であるものが挙げられる。ここで、アルキル基としては、上記(2)で例示したものを挙げることができ、またアリール基としては、無置換又はハロゲン原子(F,Cl,Br,I),炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルコキシ基などが置換されたフェニル基,ビフェニル基,ナフチル基,ピレニル基,アントラニル基などを挙げることができる。該R1 及びR2 はたがいに同一でも異なっていてもよく、またたがいに結合して環構造を形成していてもよい。具体的には、アミノ基,ジエチルアミノ基,N−メチル−N−フェニルアミノ基,N,N−ジフェニルアミノ基,N,N−ジ−(p−トリル)アミノ基,ジベンジルアミノ基,ピペリジノ基,モルホリノ基,ユロリジル基などが挙げられる。(7)のアルキレンジオキシ基,アルキレンジチオ基としては、例えばメチレンジオキシ基,メチレンジチオ基などが挙げられる。
前記一般式(I),(II)で表される化合物としては、例えば次に示す構造のものを挙げることができる。
Figure 2006128715
Figure 2006128715
Figure 2006128715
Figure 2006128715
Figure 2006128715
Figure 2006128715
Figure 2006128715
Figure 2006128715
本発明においては、蛍光性ドーパントとして、これらの化合物を一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明における蛍光性ドーパントとは、有機EL素子の再結合領域又は発光領域において、正孔と電子の再結合に応答して光を発する化合物のことであり、再結合領域又は発光領域を形成する物質(ホスト材料)に微量含有させるものである。ここで、再結合領域とは、素子中にあって、正孔と電子とが出会い、結合して励起状態を形成する場所のことである。また、発光領域とは、再結合領域で形成された励起状態は、場合によっては移動し、拡散するが、その拡散する範囲を指定する場所のことである。
本発明においては、上記蛍光性ドーパントは、再結合領域及び発光領域の少なくともいずれか、即ち、再結合領域のみに、発光領域のみに、あるいは両領域に、0.1〜8重量%の割合で含有させることが必要である。この含有量が0.1重量%未満では蛍光性ドーパントの効果が充分に発揮されず、本発明の目的が達せられない。一方、8重量%を超えると蛍光性ドーパント間の会合により、消失現象が生じ、充分に効果が発揮されない場合がある。素子の長寿命化及び高効率化の点から、蛍光性ドーパントの好ましい含有量は0.3〜4重量%の範囲であり、特に0.8〜3重量%の範囲が好適である。
この蛍光性ドーパントを、再結合領域又は発光領域に含有させる方法については特に制限はないが、例えば再結合領域又は発光領域を形成する材料(ホスト材料)との共蒸着法を採用するのが好ましい。この方法においては、ホスト材料と蛍光性ドーパントを、それぞれが収容された別々のボートから真空蒸着し、再結合領域や発光領域を形成する。
本発明の有機EL素子においては、有機化合物層として、再結合領域及び発光領域を少なくとも有するものが用いられる。この再結合領域及び発光領域は、通常発光層に存在するため、本発明においては、有機化合物層として発光層のみを用いてもよいが、必要に応じ、発光層以外に、例えば正孔注入層,電子注入層,有機半導体層,電子障壁層,付着改善層なども用いることができる。
次に、本発明の有機EL素子の代表的な構成例を示す。もちろん、これに限定されるものではない。
(1) 陽極/正孔注入層/発光層/陰極
(2) 陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
(3) 陽極/発光層/電子注入層/陰極
(4) 陽極/有機半導体層/発光層/陰極
(5) 陽極/有機半導体層/電子障壁層/発光層/陰極
(6) 陽極/正孔注入層/発光層/付着改善層/陰極
これらの中で、通常(2) の構成が好ましく用いられる。
本発明の素子における再結合領域及び発光領域は、前記したように通常発光層に存在する。したがって、蛍光性ドーパントは、通常発光層に含有される。しかし、場合によっては、他の層、例えば正孔注入層,電子注入層,有機半導体層,電子障壁層,付着改善層なども、再結合や発光に関与することがある。この場合、これらの層にも含有させるのが好ましい。
本発明の有機EL素子は、上記有機化合物層が一対の電極、すなわち陽極と陰極とによって挾持された構造を有しており、該陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属,合金,電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Auなどの金属,CuI,ITO,SnO2,ZnOなどの誘電性透明材料が挙げられる。該陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより作製することができる。この電極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また、電極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μm,特に10〜200nmの範囲が好ましい。
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属,合金,電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム,ナトリウム−カリウム合金,マグネシウム,リチウム,マグネシウム・銀合金,Al/AlO2 ,インジウム,希土類金属などが挙げられる。該陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、電極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1μm,特に50〜200nmの範囲が好ましい。なお、本発明の素子においては、特に規定しないが、該陽極又は陰極のいずれか一方が透明若しくは半透明であることが発光を透過し、取り出す効率がよいので好ましい。
本発明の素子における発光層においては、発光材料(ホスト材料)として、一般式(III)
Figure 2006128715
で表されるジスチリルアリーレン系化合物が好ましく用いられる。この化合物は、特開平2−247278号公報に開示されている。
上記一般式(III)において、Y1 〜Y4 はそれぞれ水素原子,炭素数1〜6のアルキル基,炭素数1〜6のアルコキシ基,炭素数7〜8のアラルキル基,置換あるいは無置換の炭素数6〜18のアリール基,置換あるいは無置換のシクロヘキシル基,置換あるいは無置換の炭素数6〜18のアリールオキシ基,炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。ここで、置換基は炭素数1〜6のアルキル基,炭素数1〜6のアルコキシ基,炭素数7〜8のアラルキル基,炭素数6〜18のアリールオキシ基,炭素数1〜6のアシル基,炭素数1〜6のアシルオキシ基,カルボキシル基,スチリル基,炭素数6〜20のアリールカルボニル基,炭素数6〜20のアリールオキシカルボニル基,炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基,ビニル基,アニリノカルボニル基,カルバモイル基,フェニル基,ニトロ基,水酸基あるいはハロゲンを示す。これらの置換基は単一でも複数でもよい。また、Y1 〜Y4 は同一でも、また互いに異なっていてもよく、Y1 とY2 及びY3 とY4 は互いに置換している基と結合して、置換あるいは無置換の飽和五員環又は置換あるいは無置換の飽和六員環を形成してもよい。Ar9 は置換あるいは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基を表し、単一置換されていても、複数置換されていてもよく、また結合部位は、オルト,パラ,メタいずれでもよい。但し、Ar9 が無置換フェニレン基の場合、Y1 〜Y4 はそれぞれ炭素数1〜6のアルコキシ基,炭素数7〜8のアラルキル基,置換あるいは無置換のナフチル基,ビフェニル基,シクロヘキシル基,アリールオキシ基より選ばれたものである。
このようなジスチリルアリーレン系化合物としては、例えば、
Figure 2006128715
Figure 2006128715
Figure 2006128715
Figure 2006128715
などが挙げられる。
また、別の好ましい発光材料(ホスト材料)として、8−ヒドロキシキノリン、又はその誘導体の金属錯体を挙げることができる。具体的には、オキシン(一般に8−キノリノールまたは8−ヒドロキシキノリン)のキレートを含む金属キレートオキシノイド化合物である。このような化合物は高水準の性能を示し、容易に薄膜形態に成形される。このオキシノイド化合物の例は下記構造式を満たすものである。
Figure 2006128715
(式中、Mtは金属を表し、nは1〜3の整数であり、Zはそのそれぞれの位置が独立であって、少なくとも2以上の縮合芳香族環を完成させるために必要な原子を示す。)
ここで、Mtで表される金属は、一価,二価又は三価の金属とすることができるものであり、例えばリチウム,ナトリウム,カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属、あるいはホウ素又はアルミニウムなどの土類金属である。
一般に有用なキレート化合物であると知られている一価,二価又は三価の金属はいずれも使用することができる。
また、Zは、少なくとも2以上の縮合芳香族環の一方がアゾール又はアジンからなる複素環を形成させる原子を示す。ここで、もし必要であれば、上記縮合芳香族環に他の異なる環を付加することが可能である。また、機能上の改善がないまま嵩ばった分子を付加することを回避するため、Zで示される原子の数は18以下に維持することが好ましい。
さらに、具体的にキレート化オキシノイド化合物を例示すると、トリス(8−キノリノール)アルミニウム,ビス(8−キノリノール)マグネシウム,ビス(ベンゾ−8−キノリノール)亜鉛,ビス(2−メチル−8−キノリラート)アルミニウムオキシド,トリス(8−キノリノール)インジウム,トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム,8−キノリノールリチウム,トリス(5−クロロ−8−キノリノール)ガリウム,ビス(5−クロロ−8−キノリノール)カルシウム,5,7−ジクロル−8−キノリノールアルミニウム,トリス(5,7−ジブロモ−8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウムなどがある。
さらに、特開平5−198378号公報に記載されているフェノラート置換8−ヒドロキシキノリンの金属錯体は、青色発光材料として、好ましいものでる。このフェノラート置換8−ヒドロキシキノリンの金属錯体の具体例としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム(III),ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(o−クレゾラート)アルミニウム(III),ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(m−クレゾラート)アルミニウム(III),ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−クレゾラート)アルミニウム(III),ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(o−フェニルフェノラート)アルミニウム(III),ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(m−フェニルフェノラート)アルミニウム(III),ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(III),ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,3−ジメチルフェノラート)アルミニウム(III),ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジメチルフェノラート)アルミニウム(III),ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,4−ジメチルフェノラート)アルミニウム(III),ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム(III),ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム(III),ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジフェニルフェノラート)アルミニウム(III),ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリフェニルフェノラート)アルミニウム(III)などが挙げられる。
これらの発光材料は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の素子における発光層の形成方法としては、例えば蒸着法,スピンコート法,キャスト法,LB法などの公知の方法により薄膜化することにより形成することができるが、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで、分子堆積膜とは、該化合物の気相状態から沈着され形成された薄膜や、該化合物の溶融状態又は液相状態から固体化され形成された膜のことである。通常、この分子堆積膜はLB法により形成された薄膜(分子累積膜)と凝集構造,高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区別することができる。
また、この発光層は樹脂などの結着材と共に溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法などにより薄膜化して形成することができる。
このようにして形成された発光層の膜厚については特に制限はなく、適宜状況に応じて選ぶことができるが、好ましくは1nm〜10μm、特に好ましくは5nm〜5μmの範囲がよい。
次に、正孔注入層は、必ずしも本発明の素子に必要なものではないが、発光性能の向上のために用いた方が好ましいものである。この正孔注入層は、発光層への正孔注入を助ける層であって、正孔移動度が大きく、イオン化エネルギーが、通常5.5eV以下と小さい。このような正孔注入層としては、より低い電界で正孔を発光層に輸送する材料が好ましく、さらに正孔の移動度が、例えば104 〜106 V/cmの電界印加時に、少なくとも10-6cm2 /V・秒であればなお好ましい。
このような正孔注入材料については、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において、正孔の電荷輸送材として慣用されているものやEL素子の正孔注入層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
該正孔注入材料としては、例えばトリアゾール誘導体(米国特許第3,112,197 号明細書等参照),オキサジアゾール誘導体(米国特許第3,189,447 号明細書等参照),イミダゾール誘導体(特公昭37−16096号公報等参照),ポリアリールアルカン誘導体(米国特許第3,615,402 号明細書,同3,820,989 号明細書,同3,542,544 号明細書,特公昭45−555号公報,同51−10983号公報,特開昭51−93224号公報,同55−17105号公報,同56−4148号公報,同55−108667号公報,同55−156953号公報,同56−36656号公報等参照),ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体(米国特許第3,180,729 号明細書,同4,278,746 号明細書,特開昭55−88064号公報,同55−88065号公報,同49−105537号公報,同55−51086号公報,同56−80051号公報,同56−88141号公報,同57−45545号公報,同54−112637号公報,同55−74546号公報等参照),フェニレンジアミン誘導体(米国特許第3,615,404 号明細書,特公昭51−10105号公報,同46−3712号公報,同47−25336号公報,特開昭54−53435号公報,同54−110536号公報,同54−119925号公報等参照),アリールアミン誘導体(米国特許第3,567,450 号明細書,同3,180,703 号明細書,同3,240,597 号明細書,同3,658,520 号明細書,同4,232,103 号明細書,同4,175,961 号明細書,同4,012,376 号明細書,特公昭49−35702号公報,同39−27577号公報,特開昭55−144250号公報,同56−119132号公報,同56−22437号公報,西独特許第1,110,518 号明細書等参照),アミノ置換カルコン誘導体(米国特許第3,526,501 号明細書等参照),オキサゾール誘導体(米国特許第3,257,203 号明細書などに記載のもの),スチリルアントラセン誘導体(特開昭56−46234号公報等参照),フルオレノン誘導体(特開昭54−110837号公報等参照),ヒドラゾン誘導体(米国特許第3,717,462 号明細書,特開昭54−59143号公報,同55−52063号公報,同55−52064号公報,同55−46760号公報,同55−85495号公報,同57−11350号公報,同57−148749号公報等参照),スチルベン誘導体(特開昭61−210363号公報,同61−228451号公報,同61−14642号公報,同61−72255号公報,同62−47646号公報,同62−36674号公報,同62−10652号公報,同62−30255号公報,同60−93445号公報,同60−94462号公報,同60−174749号公報,同60−175052号公報等参照)などを挙げることができる。
さらに、シラザン誘導体(米国特許第4,950,950 号明細書),ポリシラン系(特開平2−204996号公報),アニリン系共重合体(特開平2−282263号公報),導電性高分子オリゴマー(特開平1−211399号公報),特に含チオフェンオリゴマーなどが挙げられる。
本発明においては、これらの化合物を正孔注入材料として使用することができるが、次に示すポリフィリン化合物(特開昭63−2956965号公報などに記載のもの)、芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物(米国特許第4,127,412 号明細書,特開昭53−27033号公報,同54−58445号公報,同54−149634号公報,同54−64299号公報,同55−79450号公報,同55−144250号公報,同56−119132号公報,同61−295558号公報,同61−98353号公報,同63−295695号公報等参照),特に該芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
該ポリフィリン化合物の代表例としては、ポルフィン,1,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン銅(II);1,10,15,20−テトラフェニル21H,23H−ポルフィン亜鉛(II);5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−21H,23H−ポルフィン;シリコンフタロシアニンオキシド;アルミニウムフタロシアニンクロリド;フタロシアニン(無金属);ジリチウムフタロシアニン;銅テトラメチルフタロシアニン;銅フタロシアニン;クロムフタロシアニン;亜鉛フタロシアニン;鉛フタロシアニン;チタニウムフタロシアニンオキシド;マグネシウムフタロシアニン;銅オクタメチルフタロシアニンなどが挙げられる。
また該芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル,N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル,2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン,1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン,N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル,1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン,ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン,ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン,N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル,N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル,4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル,N,N,N−トリ(P−トリル)アミン,4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−〔4(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン,4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン,3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン,N−フェニルカルバゾール,芳香族ジメチリディン系化合物などが挙げられる。
本発明のEL素子における該正孔注入層は、上記化合物を、例えば真空蒸着法,スピンコート法,LB法などの公知の薄膜法により製膜して形成することができる。この正孔注入層の膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmである。この正孔注入層は、上記正孔注入材料一種又は二種以上からなる一層で構成されていてもよいし、あるいは、前記正孔注入層とは別種の化合物からなる正孔注入層を積層したものであってもよい。
また、有機半導体層は、発光層への正孔注入又は電子注入を助ける層であって、10-10 S/cm以上の導電率を有するものが好適である。このような有機半導体層の材料としては、含チオフェンオリゴマーや含アリールアミンオリゴマーなどの導電性オリゴマー、含アリールアミンデンドリマーなどの導電性デンドリマーなどを用いることができる。具体的には、
Figure 2006128715
Figure 2006128715
などが挙げられる。
さらに、電子障壁層は、電子を発光層内に閉じ込める役割をもつ層であって、発光層と陽極との間に設けられ、正孔輸送性に優れることが望ましい。このような電子障壁層の材料としては、例えば
Figure 2006128715
Figure 2006128715
Figure 2006128715
などを挙げることができる。
一方、電子注入層は、発光層への電子の注入を助ける層であって、電子移動度が大きく、また付着改善層は、この電子注入層の中で、特に陰極との付着が良い材料からなる層である。電子注入層に用いられる材料としては、例えば8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体、あるいはオキサジアゾール誘導体が好ましく挙げられる。また、付着改善層に用いられる材料としては、特に8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体が好適である。
上記8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体の具体例としては、オキシン(一般に8−キノリノール又は8−ヒドロキシキノリン)のキレートを含む金属キレートオキシノイド化合物が挙げられる。
一方、オキサジアゾール誘導体としては、一般式(IV)及び(V)
Figure 2006128715
(式中Ar10〜Ar13はそれぞれ置換又は無置換のアリール基を示し、Ar10とAr11及びAr12とAr13はそれぞれにおいてたがいに同一であっても異なっていてもよく、Ar14は置換又は無置換のアリーレン基を示す。)
で表される電子伝達化合物が挙げられる。ここで、アリール基としてはフェニル基,ビフェニル基,アントラニル基,ペリレニル基,ピレニル基などが挙げられ、アリーレン基としてはフェニレン基,ナフチレン基,ビフェニレン基,アントラセニレン基,ペリレニレン基,ピレニレン基などが挙げられる。また、置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はシアノ基などが挙げられる。この電子伝達化合物は、薄膜形成性のものが好ましい。
上記電子伝達化合物の具体例としては、
Figure 2006128715
などが挙げられる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
製造例1 K−1の製造
300ミリリットルの三つ口フラスコに、N,N’−ジフェニル−4,4’−ベンジジン(東京化成社製)2g;1−ヨードアントラセン(ナード研究所社製)5g,無水炭酸カリウム10g及び銅1gを入れ、ジメチルスルホキシド(DMSO)200ミリリットルに溶解し、200℃で8時間加熱し、攪拌した。
反応終了後、無機物をろ別し、溶媒を減圧下で留去したのち、残渣をシリカゲル(広島和光社製)を充填したカラムでトルエンを展開溶媒として精製したところ、黄色粉末1.8gを得た。
このものは、NMR及びFD−MS(フィールドディフュージョンマススペクトル)の測定より、N,N’−ジ−(アントラセン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ベンジジン(K−1)と同定した。
製造例2 K−2の製造
製造例1において、1−ヨードアントラセンの代わりに1−ヨードピレン(ナード研究所社製)を用いた以外は、製造例1と同様に反応し、精製したところ、黄色粉末1.5gを得た。
このものは、NMR及びFD−MSの測定より、N,N’−ジ−(ピレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ベンジジン(K−2)と同定した。
製造例3 K−3の製造
製造例1において、N,N’−ジフェニルベンジジンの代わりに1,6−ジアミノピレン(東京化成社製)を用い、かつ1−ヨードアントラセンの代わりにヨードベンゼン(東京化成社製)20gを用いた以外は、製造例1と同様に反応し、精製したところ、黄色粉末1.4gを得た。
このものは、NMR及びFD−MSの測定より、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,6−ジアミノピレン(K−3)と同定した。
製造例4 K−4の製造
製造例1において、N,N’−ジフェニルベンジジンの代わりにN,N’−ジフェニル−1,3−フェニレンジアミン(ナード研究所社製)を用い、かつ1−ヨードアントラセンの代わりに1−ヨードピレン(ナード研究所社製)を用いた以外は、製造例1と同様に反応し、精製したところ、黄色粉末1.5gを得た。
このものは、NMR及びFD−MSの測定より、N,N’−ジ−(ピレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−1,3−フェニレンジアミン(K−4)と同定した。
製造例5 K−5の製造
製造例1において、N,N’−ジフェニルベンジジンの代わりに1−アミノピレンを用い、かつ1−ヨードアントラセンの代わりにヨードベンゼン10gを用いた以外は、製造例1と同様に反応し、精製したところ、黄色粉末1.9gを得た。
このものは、NMRとFD−MSの測定より、N,N’−ジフェニル−1−アミノピレン(K−5)と同定した。
製造例6 K−6の製造
300ミリリットルの三つ口フラスコに、1−アミノアントラセン(アルドリッチ社製)2g;2,5−ビス−(4−ヨードフェニル−1−イル)−チオフェン(ナード研究所社製)2g,無水炭酸カリウム10g及び銅1gを入れ、DMSO200ミリリットルに溶解し、200℃で8時間加熱攪拌した。
反応終了後、無機物をろ別し、減圧下で溶媒を留去したのち、残渣を、シリカゲル(広島和光社製)を充填したカラムでトルエンを展開溶媒として精製し、黄色粉末1.7gを得た。
次に、300ミリリットルの三つ口フラスコに、この黄色粉末1.5g,ヨードベンゼン10g,無水炭酸カリウム10g及び銅1gを入れ、DMSOに溶解し、200℃で8時間加熱攪拌した。
反応終了後、無機物をろ別し、減圧下で溶媒を留去したのち、残渣を、シリカゲル(広島和光社製)を充填したカラムでトルエンを展開溶媒として精製し、黄色粉末0.68gを得た。
このものは、NMR及びFD−MSの測定より、2,5−ビス−(4−〔N−(アントラセン−1−イル)−N−フェニル〕アミノフェニル)チオフェン(K−6)と同定した。
実施例1〜6及び比較例1
25mm×75mm×1.1mmのガラス基板上に、ITOを蒸着法にて100nmの厚さで製膜したもの(ジオマティック社製)を透明支持基板とした。なお、この基板は、イソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄後、窒素を吹きつけて乾燥し、UVオゾン洗浄(UV300,サムコインターナショナル社製)を30分間行ったものである。
この透明支持基板を市販の蒸着装置(日本真空技術(株)製)の基板ホルダ ーに固定し、モリブデン製抵抗加熱ボートにMTDATA200mgを入れ、他のモリブデン製抵抗加熱ボートにDPVBi200mgを入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに正孔輸送材であるNPD200mgを入れ、さらに他のモリブデン製抵抗加熱ボートに第1表に示す種類の蛍光性ドーパント〔化合物(A)〕200mgを入れ、真空槽を1×10-4Paまで減圧した。その後MTDATAの入った前記ボートを215〜220℃まで加熱し、蒸着速度0.1〜0.3nm/秒で透明支持基板上に蒸着して、膜厚60nmの正孔注入層を製膜させた。
次に、真空槽より基板を取り出すことなく、NPDの入ったボートを加熱し、膜厚20nmの正孔輸送層を正孔注入層の上に製膜した。このとき、基板の温度は室温であった。これを真空槽より取り出すことなく、NPD層上にDPVBiをホスト材料として40nm積層した。このとき同時に化合物(A)のボートを加熱し、発光層に化合物(A)を混合した。このときの蒸着速度はDPVBiの蒸着速度(第1表に示す(B))に対して、化合物(A)の蒸着速度を(C)(第1表に示す)とした。したがって、混合比〔ホスト材料に対する化合物(A)の割合〕は(D)(第1表に示す)となった。
その後、真空槽を大気圧に戻し、新たにモリブデン製抵抗加熱ボートに電子注入層の材料である8−ヒドロキシキノリン・アルミニウム錯体を入れ、さらにモリブデン製抵抗加熱ボートにマグネシウムリボン1gを入れ、タングステン製バスケットに銀ワイヤーを500mg入れて、真空槽を1×10-4Paまで減圧した。
次いで、蒸着速度0.01〜0.03nm/秒で8−ヒドロキシキノリン・アルミニウム錯体を蒸着し電子注入層を20nm形成した。さらに、銀を蒸着速度0.1nm/秒,マグネシウムを蒸着速度1.4nm/秒で同時蒸着して銀:マグネシウム混合電極を陰極とした。膜厚は150nmであった。
得られた素子に、電圧8Vを印加し、電流量,素子の輝度を測定して発光効率を算出した。得られた結果を第2表に示す。
なお、MTDATA,DPVBi及びNPDの構造は次のとおりである。
Figure 2006128715
Figure 2006128715
Figure 2006128715
以上の結果、本発明の素子は、蛍光性ドーパントとしてペリレン(特開平5−198378号公報記載の蛍光性ドーパント)を用いた比較例1のものに比べて、発光効率が優れていることが分かる。
次に各素子を初期輝度300cd/m2 にて乾燥窒素雰囲気下で駆動し、半減寿命(初期輝度が半分になる時間)を求めた。結果を第3表に示す。尚、初期輝度100cd/m2 で試験した結果は、第3表の約3.5倍程度の寿命が得られている。従って、本発明の素子は初期輝度100cd/m2 の条件では2500時間〜1100時間の寿命が得られるものである。
Figure 2006128715
第3表から分かるように、本発明の素子は、比較例1のものに比べて寿命が大幅に改善されている。
比較例2
蛍光性ドーパント〔化合物(A)〕として、PAVTP(国際特許公開94−6157号記載の蛍光性ドーパント)を用いた以外は、実施例1と同様にして素子を作製し、初期輝度300cd/m2 で半減寿命を求めたところ、半減寿命は300時間であり、本発明の素子に比べて寿命が短く、劣っていた。尚、初期輝度100cd/m2 の時での試験結果は半減寿命1000時間であった。
なお、PAVTPの構造を次に示す。
Figure 2006128715

Claims (3)

  1. 正孔と電子とが再結合する再結合領域及び該再結合に応答して発光する発光領域を少なくとも有する有機化合物層と、この有機化合物層を挾持する一対の電極とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子において、上記再結合領域及び/又は発光領域に、蛍光性ドーパントとして、一般式(I)
    Figure 2006128715
    〔式中、Ar1 ,Ar2 及びAr3 は、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基,炭素数6〜30のアリール基又は複素環式基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよいが、その少なくとも一つは炭素数12以上の縮合多環炭化水素基である。〕
    及び一般式(II)
    Figure 2006128715
    〔式中、Ar4 ,Ar5 ,Ar6 及びAr7 はそれぞれ炭素数1〜10のアルキル基,炭素数6〜30のアリール基又は複素環式基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Ar8 は炭素数6〜30のアリーレン基又は二価の複素環式基を示すが、Ar4 〜Ar8 の少なくとも一つは炭素数12以上の縮合多環炭化水素基である。〕
    で表される化合物の中から選ばれた少なくとも一種を0.1〜8重量%の割合で含有させたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 蛍光性ドーパントを発光層に含有させてなる請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 素子構成が、陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極である請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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