JP2006120351A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】起動時の酸化剤極の劣化反応を簡便かつ効率的に抑制できる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】酸化剤極11と燃料極12を有する燃料電池2を一つ以上備えた燃料電池スタック1と、燃料電池スタック1に燃料ガスを供給する水素供給機構21と、燃料極12を正として燃料電池2が所定の電荷量だけ蓄電するように燃料電池スタック1を帯電させる帯電手段(バッテリ301)を備える。起動時に、帯電手段(バッテリ301)で燃料電池スタック1を帯電させた後、燃料ガスを供給する。
【選択図】 図3
【解決手段】酸化剤極11と燃料極12を有する燃料電池2を一つ以上備えた燃料電池スタック1と、燃料電池スタック1に燃料ガスを供給する水素供給機構21と、燃料極12を正として燃料電池2が所定の電荷量だけ蓄電するように燃料電池スタック1を帯電させる帯電手段(バッテリ301)を備える。起動時に、帯電手段(バッテリ301)で燃料電池スタック1を帯電させた後、燃料ガスを供給する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、燃料電池システムに関する。特に、燃料電池の触媒腐食を抑制するための構成に関する。
燃料電池システムにおいて、燃料電池の酸化剤極側に酸化剤ガスとしての空気が存在し、燃料極側に空気が存在する領域と燃料ガスとしての水素が存在する領域とが形成される場合がある。例えば、燃料極、酸化剤極共に空気が混入している状態からシステムを起動させると、燃料極側のガス流路への水素の供給を開始した初期には、燃料ガス流路内に水素が存在する領域と存在しない領域が形成される。燃料極に水素が存在する領域においては、通常の動作状態と同様の反応が起こり、酸化剤極側には0.8V以上の電位が立つ。一方、燃料極に水素が存在しない領域では、これに対峙する酸化剤極で、以下の反応が生じる。
C+2H2O→CO2+4H++4e- ・・・(1)
その結果、Pt等の触媒を担持しているカーボン担体の腐食が起こり、酸化剤極の電極触媒が大きく劣化し、その後の燃料電池の性能を低下させる要因となる。このとき燃料極側の空気が存在する領域においては、以下の反応により水が生成される。
その結果、Pt等の触媒を担持しているカーボン担体の腐食が起こり、酸化剤極の電極触媒が大きく劣化し、その後の燃料電池の性能を低下させる要因となる。このとき燃料極側の空気が存在する領域においては、以下の反応により水が生成される。
O2+4H++4e-→2H2O ・・・(2)
従来の燃料電池システムにおいては、この現象による酸化剤極の劣化を防止するために、短時間(1秒以下)で、燃料極内の水素が存在する領域と存在しない領域の境界(以後、水素/空気フロントと呼称)が、燃料ガス流路中を通過するように水素を供給することが提案されている(例えば、特許文献1、参照。)。
米国特許出願公開第2002/0076582号明細書
従来の燃料電池システムにおいては、この現象による酸化剤極の劣化を防止するために、短時間(1秒以下)で、燃料極内の水素が存在する領域と存在しない領域の境界(以後、水素/空気フロントと呼称)が、燃料ガス流路中を通過するように水素を供給することが提案されている(例えば、特許文献1、参照。)。
しかしながら、短時間で水素/空気フロントを通過させるためには、燃料電池の流路の設計にもよるが、水素を燃料極ガス流路に供給する配管流路の途中にコンプレッサ等の追加装置を配置することや、燃料ガス流路の断面積を小さくして燃料ガス流路中の流速を速める方策等が必要となる。前者においては、追加の装置が必要となり、コストが高くなるとともに、燃料電池システムが大型化するという問題があり、後者では反応面が狭くなり、反応効率が著しく低下するという問題があった。
この他にも、水素/空気フロントを形成させないために、窒素等の不活性ガスを用いてパージを行う技術が知られているが、この場合もシステム中に窒素ボンベ等の不活性ガス貯蔵装置が必要となる、または、燃料器等の酸素消費装置をシステム中に持たせる必要があり、システムを複雑化および大型化してしまうという問題があった。
また、起動時に燃料極と酸化剤極を短絡させて起動することにより、酸化剤でのカーボン担体の腐食を低減させる方法があるが、以下のような問題があった。
燃料電池スタック両端の燃料極集電板と酸化剤極集電板を短絡させて水素供給を開始した場合、両端のセルに挟まれた中間のセルにおいて水素の供給が遅れると、燃料極側の担持カーボンの腐食反応が生じる。この燃料極側の担持カーボン腐食を抑えるためには、燃料電池スタックを構成する数十から数百枚のすべてのセルに、同時に水素を供給することが必要であるが、セル毎に圧力損失の違いがあり同時に供給することは非常に難しい。
また、この他にも燃料極と酸化剤極を短絡させて起動する方法として、セル1つ1つの燃料極と酸化剤極を短絡させて起動させる方法がある。この方法では、水素供給の遅いセルがあっても劣化させずに起動することが可能であるが、数十枚から数百枚のセルが積層された燃料電池スタック1枚づつにオンオフスイッチを付け、起動前には短絡状態に、水素供給後に開放状態に制御するには、配線やスイッチなどが非常に複雑になるという問題があった。
そこで本発明は、起動時の酸化剤極の劣化反応を簡便かつ効率的に抑制できる燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明は、酸化剤極と燃料極を有する燃料電池を一つ以上備えた第1の燃料電池スタックと、前記第1の燃料電池スタックに燃料ガスを供給する第1の燃料供給手段と、前記燃料極を正として前記燃料電池が所定の電荷量だけ蓄電するように前記第1の燃料電池スタックを帯電させる帯電手段を備え、起動時に、前記帯電手段で前記第1の燃料電池スタックを帯電させた後、燃料ガスを供給する。
起電時に、帯電手段で第1の燃料電池スタックを帯電させた後、燃料ガスを供給することで、水素はプラスに帯電した燃料極で電子を失いプロトンとなる。一方、酸化剤極側では、帯電している電子と結合して水素が発生する。酸化剤極側に水素が存在する場合、担持カーボンよりも水素の方が酸化され易いため、カーボン腐食が抑制される。これにより、起動時の酸化剤極の劣化反応を簡便かつ効率的に抑制できる燃料電池システムを提供することができる。
第1の実施形態について説明する。図1に、燃料電池スタック1を構成する単位セルである燃料電池2の一般的な構成例を示す。
プロトン伝導性を有する高分子電解質膜10を、一対の電極である酸化剤極11と燃料極12により狭持する。ここでは、酸化剤極11をカーボン繊維等の多孔質体から構成したガス拡散層11bと、Pt等の触媒を担持したカーボン担体から構成した触媒層11aとから構成する。同様に、燃料極12を、ガス拡散層12aと触媒層12bとから構成する。
さらにその外側には、酸化剤ガスセパレータ15と燃料ガスセパレータ16を配置する。酸化剤極11と酸化剤ガスセパレータ15との間には、酸化剤ガスが流通する酸化剤ガス流路13を設け、燃料極12と燃料ガスセパレータ16との間には、燃料ガスが流通する燃料ガス流路14を設ける。ここでは、酸化剤ガス流路13内を酸化剤ガスとしての空気が、燃料ガス流路14内を流れる燃料ガスとしての水素と、略同一方向に流通するように構成する。
燃料電池スタック1を、このような燃料電池2を複数積層して構成した積層体とする。通常運転時には、酸化剤ガスが触媒層11aの触媒に接触し、燃料ガスが触媒層12bの触媒に接触することにより、以下のような反応が生じる。
燃料極12側 :H2 → 2H+ + 2e- ・・・(3)
酸化剤極11側:2H+ + 1/2O2 + 2e- → H2O ・・・(4)
(3)式に示すように、燃料極12では、燃料ガス中の水素がプロトンと電子に分離され、プロトンは電解質膜10内部を拡散して酸化剤極11側に到達し、電子は外部回路を流れて、出力として取り出される。一方、酸化剤極11では、電解質膜10内を拡散してきたプロトン、外部回路を介して移動してきた電子、および空気中の酸素により形成される三相界面上で(4)式に示すような反応が生じる。
酸化剤極11側:2H+ + 1/2O2 + 2e- → H2O ・・・(4)
(3)式に示すように、燃料極12では、燃料ガス中の水素がプロトンと電子に分離され、プロトンは電解質膜10内部を拡散して酸化剤極11側に到達し、電子は外部回路を流れて、出力として取り出される。一方、酸化剤極11では、電解質膜10内を拡散してきたプロトン、外部回路を介して移動してきた電子、および空気中の酸素により形成される三相界面上で(4)式に示すような反応が生じる。
このような燃料電池2を積層して構成した燃料電池スタック1を移動体、例えば自動車用の動力源として活用した場合には、起動/停止が頻繁に繰り返される。燃料電池スタック1の停止中には、燃料電池スタック1への水素および空気の供給が停止された状態で放置される、または、不活性ガス等により充満された状態で放置される。燃料電池スタック1が長時間放置された場合には、外部から大気が浸入して燃料ガス流路14内に空気が存在する可能性がある。または、停止時に空気により燃料ガス流路14をパージした場合には、燃料ガス流路14内には空気が残存する。
このように燃料ガス流路14内に空気が存在する状態からシステムを起動すると、起動初期に燃料電池2内は、図2に示すような状態となる。
酸化剤ガス流路13内には空気が充満する。燃料ガス流路14には、導入が開始された水素が存在する領域Aと空気が存在する領域Cが形成され、水素と空気の界面である水素/空気フロントBが形成される。燃料ガス流路14に水素が存在する領域Aでは、通常の動作と同様の反応が起こり、酸化剤極11側には0.8V以上の電位が立つ。一方、水素/空気フロントBを境にして、燃料ガス流路14に空気が存在する領域Cにおいては、酸化剤極11側で、前述した(1)式のような反応が、燃料極12側で、(2)式のような反応が生じる。つまり、酸化剤極11側で、Pt等の触媒を担持しているカーボン担体の腐食が起こる。これにより、酸化剤極11が大きく劣化し、燃料電池2の性能を劣化させる原因となる。
そこで、本実施形態では、起動時に燃料電池スタック1を帯電させることにより、酸化剤極11の触媒腐食を抑制する。燃料電池システムの構成を、図3を用いて説明する。
燃料電池スタック1に空気を供給する空気供給機構20として、フィルタ201と、外部からフィルタ201を介して空気を導入するコンプレッサー202を備える。また、燃料電池スタック1に水素を供給する水素供給機構21として、燃料電池スタック1の燃料ガス流路14に水素を供給する水素ボンベ211と、水素ボンベ212から取り出した高圧水素を減圧する減圧弁212と、取り出す水素量を調整する流量コントローラ213を備える。また、燃料電池スタック1の燃料ガスの入口より上流側に三方弁214を、下流側に三方弁215と、三方弁214と215を接続する配管を流通させて、燃料電池スタック1から排出された未反応の水素ガスを燃料電池スタック1の入口側に還流するリサイクルコンプレッサ216を備える。さらに、燃料電池スタック1の後流には、燃料電池スタック1から排出された排空気と燃料排ガスを燃焼処理する燃焼触媒231を備える。
酸化剤極11側の空気中に含まれる窒素ガスが、電解質膜10を透過して燃料極12側に移動し、燃料極12内の水素濃度が低くなった場合には、三方弁215を切り替えて、水素を含む燃料排ガスを燃焼触媒231で燃焼処理した後、外部に排出する。
次に、燃料電池スタック1から負荷を取り出す電気回路について説明する。
燃料電池スタック1には、出力を取り出す端子として、酸化剤極11側に酸化剤極側電極板306を備え、燃料極12側に燃料極側電極板307を備える。また、燃料電池スタック1で発生した電気を消費する負荷に並列してバッテリ301を備える。バッテリ301と燃料電池スタック1とを接続する配線には、バッテリ301に直列してスイッチ302を備える。運転時に負荷で消費されない余剰電力はバッテリ301に蓄電され、スイッチ302のON/OFF制御により、蓄電・放電が制御される。
また、バッテリ301と燃料電池スタック1との配線の切り替えを行うリレー303、304を備える。リレー303、304がOFFの状態では、バッテリ301の負極側に接続する配線は、燃料電池スタック1の燃料極側電極板307に接続し、正極側に接続する配線は、酸化剤極側電極板306に接続する。このとき、燃料電池スタック1は負荷に接続される。
一方、リレー303、304がONの状態では、バッテリ301の負極側に接続する配線は、燃料電池スタック1の酸化剤極側電極板306に接続し、正極側に接続する配線は、燃料極側電極板307に接続する。また、燃料電池スタック1とバッテリ301の間には、電流センサ305を備え、バッテリ301から燃料電池スタック1に供給される電流を検出可能に構成する。ここでは、電流センサ305を、リレー303、304がONの状態で、バッテリ301の負極と燃料電池スタック1の酸化剤極側電極版306を接続する配線上に配置する。
さらに、コンプレッサー202、流量コントローラ213、スイッチ302、リレー303、304を制御するコントローラ401を備える。コントローラ401は、中央演算ユニット(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、および入出力インターフェース(I/Oインターフェース)を有するマイクロコンピュータで構成される。コントローラ401を複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。また、ここでは詳細は省略するが、コントローラ401によって、三方弁214、215、リサイクルコンプレッサ216が制御され、燃料極側の水素ガスのパージが調整される。さらに、コントローラ401は、後述する制御に加えて他の複数の制御を実行する装置としてもよい。
次に、燃料電池システムの起動ルーチンを、図4のフローチャートを用いて説明する。
システムの起動を指示する信号が入力されたら、ステップS1において、リレー303、304をONする。ステップS2で、スイッチ302をONとすることにより、バッテリ301から燃料電池スタック1への電荷の供給を開始する。ステップS3において、燃料電池2の帯電が十分であるか否かを判断する。ここでは、電流センサ305の出力値を積算して、バッテリ301から燃料電池2に供給された電流値の総量が、判定値以下か否かを判断する。燃料電池2に帯電させる電荷量が、表面積1cm2当たり1C以下となるように、判定値を予め設定しておく。
なお、ここでは、燃料電池スタック1に供給された電荷量により帯電が十分であるか否かを判断したが、この限りではない。燃料電池2に蓄電される電荷速度は、経時的に大きく変化しないことから、予め電荷移動速度を測定しておき、十分な電荷が帯電されるまでに要する時間を所定時間として設定し、ステップS3において、所定時間が経過したか否かにより、帯電が十分であるか否かを判断してもよい。
また、蓄えられる電荷量は静電容量と電圧の関係で決まるため、静電容量が一定であれば電圧で制御することも可能である。例えば、バッテリ301によって与える電圧と電荷量の関係を予め求めておけば、電流計305に応じて電荷量を制御するのではなく、バッテリ301の印加電圧に応じて制御することもできる。
さらに、電流センサ305の出力が所定の判断値以下となったか否かで判断することもできる。燃料電池2には、印加直後には大きな電流が流れ、その後安定した小さな電流が流れる。そこで、この安定状態となったか否かを判断することにより、帯電の状態を判断してもよい。
燃料電池スタック1の帯電が十分であると判断されたら、ステップS4で、スイッチ302をOFFにする。この状態で、ステップS5で、水素の供給を開始し、ステップS6で空気の供給を開始する。これにより発電が開始し、ステップS7において、リレー303、304をOFFとすることで、燃料電池スタック1と負荷を接続して電力の取り出しを開始する。
次に、上述した制御により劣化が防止されるメカニズムについて図5を用いて説明する。
燃料電池2がステップS4にて帯電した状態を図5(a)に示す。図5(a)が燃料極12側を正に、酸化剤極11側を負に帯電している状態である。この状態から、ステップS5で水素供給を開始した状態が図5(b)である。
水素の供給開始により、燃料電池2の酸化剤極112では次の反応が生じる。
酸化剤極:2H+ + 2e- → H2 ・・・(5)
酸化剤極:H+ + e- → H ・・・(6)
酸化剤極:2H+ + 2e- + 1/2O2 → H2O ・・・(7)
(3)式の反応により、燃料極12で生じたプロトンは、電解質膜10を透過して、酸化剤極11に到達する。酸化剤極11では、(5)式により再び水素を生成したり、(6)式の反応により水素原子が生成されて、触媒層11aに吸着したり、(7)式の反応により酸素の還元反応を生じることが想定される。
酸化剤極:2H+ + 2e- → H2 ・・・(5)
酸化剤極:H+ + e- → H ・・・(6)
酸化剤極:2H+ + 2e- + 1/2O2 → H2O ・・・(7)
(3)式の反応により、燃料極12で生じたプロトンは、電解質膜10を透過して、酸化剤極11に到達する。酸化剤極11では、(5)式により再び水素を生成したり、(6)式の反応により水素原子が生成されて、触媒層11aに吸着したり、(7)式の反応により酸素の還元反応を生じることが想定される。
酸化剤極11側は、(5)式の反応で生じた水素分子や、(6)式で触媒に吸着した水素原子により還元雰囲気となる。この状態で、水素/空気フロントBが発生した場合には、(1)式で示した担持カーボンの腐食よりも、以下に示す(8)式、(9)式の水素分子若しくは水素原子の酸化が優先的に発生する。
H2 → 2H+ + 2e- ・・・(8)
H → H+ + e- ・・・(9)
つまり、カーボン担体が腐食される腐食量よりも十分な電荷量が蓄えられればカーボン担体の腐食は抑制される。
H → H+ + e- ・・・(9)
つまり、カーボン担体が腐食される腐食量よりも十分な電荷量が蓄えられればカーボン担体の腐食は抑制される。
しかしながら、(7)式に示す酸素の還元反応が起こった場合には、水素の存在する還元雰囲気になることが阻害される。実際には、(5)式〜(7)式の反応が同時に起こることが想定され、その割合を厳密に分けることは困難であるが、(5)式と(6)式の反応が起これば、それはすなわちカーボン腐食の抑制に繋がる。
ここで、水素/空気フロントBによるカーボン担体の腐食量は、セパレータ形状や触媒の種類、水素と酸素の混合状態が保持される時間によって異なる。本実施形態に示したストレート流路形状のセパレータ15、16と白金担持カーボン触媒を用いた燃料電池2の場合、水素供給時の燃料ガス流路14内の線流速を50〜0.2m/secに変えると、担持カーボンの腐食量が0.1μmol/(sec・cm2)以下となることが実験により求められた。この担持カーボンの腐食量を電流に換算すると、40mC/(sec・cm2)以下となる。通常、燃料ガス流路14内を水素/空気フロントBが通過するのに要する時間は、0.5秒〜1秒程度であるから、一回の起動時における担持カーボンの腐食量を電流に換算すると40mC/cm2以下となる。帯電させた電荷量のうち、(5)式と(6)式の反応に使用される割合を10%程度と概算し、さらに測定のばらつきを考慮すると必要な電荷量は、1C/cm2以下であると算出できる。つまり、帯電させる電荷量を燃料電池2当たり1C/cm2以下の水素供給時の線流速に応じた値とすることで、効率的にカーボン担体の腐食を抑制することができる。
次に、本実施形態の効果について説明する。
酸化剤極11と燃料極12を有する燃料電池2を一つ以上備えた燃料電池スタック1と、燃料電池スタック1に燃料ガスを供給する水素供給機構21と、燃料極12を正として燃料電池2が所定の電荷量だけ蓄電するように燃料電池スタック1を帯電させる帯電手段(バッテリ301)を備える。起動時に、帯電手段(バッテリ301)で燃料電池スタック1を帯電させた後、燃料ガスを供給する。
これにより、水素はプラスに帯電した燃料極12で電子を失いプロトンとなる。一方、酸化剤極11側では、帯電している電子と結合して水素が発生する。酸化剤極11側に水素が存在する場合、担持カーボンよりも水素の方が酸化され易いため、カーボン腐食が抑制される。また、積層された燃料電池2への水素の供給が同時でなかった場合でも、上述の反応は1つの燃料電池2内で起こるため、カーボン担体の腐食を抑制することができる。
また、所定の電荷量を、燃料電池2の表面積1cm2当たり1C以下とする。さらに、燃料電池2に供給する燃料ガスの線流速を、0.2〜50m/secとする。このように、生じると予測される腐食反応に応じて燃料電池2に帯電させる電荷量を設定することで、効率的にカーボン担体の腐食を抑制することができる。
また、帯電手段としてバッテリ301を備える。バッテリ301により燃料電池スタック1を帯電させ、その後、燃料電池スタック1からバッテリ301を電気的に切り離して、燃料電池スタック1を起動する。これにより、既存の装置で帯電手段を構成することができる。
バッテリ301と燃料電池スタック1との間で、正極と負極の接続を切り替えるリレー303、304を備え、燃料電池スタック1の運転時には、バッテリ301を燃料電池スタック1で生じた過剰電力を蓄電する蓄電手段として使用し、燃料電池スタック1の起動時には、バッテリ301を燃料電池スタック1を帯電させる帯電手段として使用するように、リレー303、304を制御する(S1、S7)。これにより、燃料電池システムの備えた既存のバッテリ301で、運転時の蓄電と起動時の帯電の両方を行うことができる。
なお、バッテリ301に替わって、帯電手段としてキャパシタ、例えば電気二重層キャパシタを備えてもよい。これにより、起動時に燃料電池スタック1を帯電して、カーボン担体の腐食が生じるのを抑制することができる。
また、ここでは燃料電池スタック1を複数の燃料電池2を積層することにより構成した積層体としたが、一つの燃料電池2より構成してもよい。
次に、第2の実施形態について説明する。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
複数の燃料電池2を積層して、燃料電池スタック1を構成する。燃料電池スタック1の構成を図6に示す。
燃料電池スタック1には、コンプレッサー202(図3、参照)から供給された空気の導入部である酸化剤ガス入口503と、排空気の排出部である酸化剤ガス出口505を備える。酸化剤ガス入口503から導入された空気は、各燃料電池2に分配され、酸化剤ガス流路13を通って発電に用いられ、その後、酸化剤ガス出口505から排出される。また、燃料電池スタック1には、水素ボンベ211(図3、参照)から供給された水素の導入部である燃料ガス入口504と、燃料排ガスの排出部である燃料ガス出口506を備える。燃料ガス入口504から導入された水素は、各燃料電池2に分配され、燃料ガス流路14を通って発電に用いられ、その後、燃料ガス出口506から排出される。
また、各燃料電池2の電極面の外縁に沿って、外部へのガスリーク防止のためエッジシール510を備える。また、燃料電池スタック1の燃料電池2の積層方向両端には、それぞれ酸化剤極側集電板306と燃料極側集電板307を備え、さらにその外側には、絶縁体よりなるエンドプレート507、508を備える。また、このような積層体を、燃料電池2の積層方向に貫通して固定する絶縁体のロッド509を備える。
さらに、燃料電池スタック1の各燃料電池2に並列して、電気二重層キャパシタ601を接続する。燃料電池2に電気二重層キャパシタを並列に接続した場合、燃料電池2の持つ静電容量が小さい場合でも、電気二重層キャパシタ601を燃料電池2の代わりに蓄電させることができる。燃料電池2を帯電させるためには、燃料電池2に電圧が印加されることになるが、電気二重層キャパシタ601を並列に繋いだことにより、より低い電圧で必要量の電荷を蓄えることができる。
実際に、燃料電池2の静電容量は、電解質膜10の厚さやカーボン、白金の量にもよるが、0.01F/cm2〜0.5mF/cm2程度である。仮に、1C/cm2の電荷量を蓄電する場合、燃料電池2への印加電圧は2V以上が必要となるが、実際に2V以上の電圧を印加した場合、その印加電圧自体でカーボン担体の腐食を引き起こしてしまう。カーボン担体の腐食が始まる電位は約0.2Vであり、1C/cm2の電荷を0.2Vで蓄えるためには、5F/cm2が必要となる。そこで、電気二重層キャパシタ601の静電容量の最大値を5F/cm2とすることで確実に劣化を抑制することができる。
なお、電気二重層キャパシタ601の構成は、図6に示すものに限定するわけではない。
図7に示すように、各燃料電池2のエッジ部に取り付けられたガスケット511によりキャパシタを構成してもよい。これは、ガスケット511に誘電体を用いることにより、キャパシタとしての機能を与えることができる。その結果、部品を追加することなく蓄電する電荷量を増大させることができる。
なお、図6、図7では、積層方向中央に位置するセパレータ15と16を一体化しているが、この限りではなく、第1の実施形態と同様に二枚のプレートにより構成してもよい。
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
燃料電池2毎に並列してキャパシタ、ここでは電気二重層キャパシタ601を備える。これにより、帯電手段によって電圧を印加する場合、0.2V程度の微小電圧であっても炭素の腐食が起こるが、燃料電池2毎に電気二重層キャパシタ601を取り付けることにより、より低電圧で帯電させることが可能となるため、さらに劣化を抑制することができる。
キャパシタとして、燃料電池2の発電面の外縁に沿って、ガス漏れを防止し、誘電体よりなるガスケット511を備える。これにより、より簡単な構成で、劣化抑制の機能を向上することができる。
電気二重層キャパシタ601の静電容量を、0<C<5[F/cm2]とする。これにより、帯電させるための印加電圧により燃料電池2が劣化するのを抑制することができる。
次に、第3の実施形態について説明する。図8を参照して、燃料電池システムの構成を説明する。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
燃料電池スタック1として、第1の燃料電池スタック1aと第2の燃料電池スタック1bを備える。また、燃料電池スタック1aに空気を供給する空気供給機構20aとして、フィルタ201aとコンプレッサー202aを備え、燃料電池スタック1bに空気を供給する空気供給機構20bとして、フィルタ201bとコンプレッサー202bを備える。
また、水素供給機構21aとして、水素ボンベ211、減圧弁212、流量コントローラ213、バルブ218および水素ボンベ211から燃料電池スタック1aまでを接続する配管を備える。水素供給機構21bとして、水素ボンベ211、減圧弁212、流量コントローラ213、および水素ボンベ211から燃料電池スタック1bまでを接続する配管を備える。ここでは、水素ボンベ211、減圧弁212、流量コントローラ213を燃料供給機構21aと21bで共有し、流量コントローラ213の下流で、燃料電池スタック1a側と燃料電池スタック1b側に分岐する配管を使用する。
流量コントローラ213に、流量をゼロとするように指示する信号が出力されることにより、水素の供給は停止する。流量がゼロ以外に設定された場合に、バルブ218を閉とすることにより、燃料電池スタック1bに水素が供給される。一方バルブ218を開とすることにより、燃料電池スタック1a、1bに水素が導入される。
さらに、燃料電池スタック1aと1bを電気的に直列に接続する。つまり、燃料電池スタック1bの陽極(プラス)を燃料電池スタック1aの陰極(マイナス)側に接続し、燃料電池スタック1bの陰極(マイナス)と燃料電池スタック1aの陽極(プラス)をチョッパー403に接続する。燃料電池スタック1a、1bで生じた電力はチョッパー403を介して取り出され、インバータ等の機器で交流に変換されて、モータ等の動力として使用される。
さらに、燃料電池スタック1bの陰極(マイナス)側と、燃料電池スタック1aの陽極(プラス)側とを、選択的に接続するスイッチ402を備える。スイッチ402の切り替えは、コントローラ401で制御する。また、燃料電池スタック1a、1bの電圧を検出する電圧センサ405を備える。ここでは、電圧センサ405は、燃料電池スタック1aと1bの合計の電圧を検出するが、燃料電池スタック1aと1bのそれぞれの電圧を検出するように、二つの電圧センサを備えても良い。
次に、起動時の制御方法について図9のフローチャートを用いて説明する。
起動前には、燃料電池スタック1bにおける少なくとも酸化剤極11には空気が満たされており、また、長時間の停止による外気の自然混入、あるいは、停止時の空気パージにより、燃料極12にも空気が満たされている。このような状態で、起動を指示する信号が入力されたら、以下のルーチンを実行する。
ステップS11において、スイッチ402をONとして、燃料電池スタック1bの陽極側と、燃料電池スタック1aの陰極側を接続させる。ステップS12で、流量コントローラ213で流量を調整して、燃料電池スタック1bの燃料ガス流路14に水素を導入する。水素の導入に伴い、燃料電池スタック1bには酸化剤極11に存在する酸素量に応じて一時的に起電力が生じる。
そのため、燃料電池スタック1bを電源として、接続された燃料電池スタック1aに電流が供給され、燃料電池スタック1aはコンデンサーとしての機能により帯電される。つまり、燃料電池スタック1aの酸化剤極11に電子が蓄積される。この時、燃料電池スタック1aの帯電量に応じて、燃料電池スタック1bの酸化剤極11側に存在する空気中の酸素は消費され、その消費度合いに応じて燃料電池スタック1bの起電力は小さくなり、やがて酸素の欠乏により起電力がゼロ近傍となる。
そして、ステップS13で、予め設定した所定時間T0を経過後、ステップS14でスイッチ402をOFFとして、電気的接続を解除する。所定時間T0は、燃料電池スタック1bの燃料ガス流路14に水素が完全に導入されるまでの時間を少なくとも含んだ時間であり、それ以上の時間であれば構わない。
その後、ステップS15で、バルブ218を開いて第1の燃料電池スタック1aに水素を導入する。ステップS16で、コンプレッサー202bを稼動して燃料電池スタック1bに空気を供給し、コンプレッサー202aを稼動して燃料電池スタック1aに空気を供給する。コンプレッサー202aと202bの起動は順不同である。燃料電池スタック1a、1bにそれぞれ水素と空気が供給されることで、起電力が発生する。ステップS17で、燃料電池スタック1a、1bが所定の電圧に達したことを確認したら、ステップS18で、チョッパー403の先に接続されたインバータやモータの負荷を増大して、システムの発電を開始する。
次に、上述した制御を行った際の作用を説明する。
燃料電池スタック1bに水素を導入した際(S12)に発生した一時的な起電力、並びに、導入前の燃料電池スタック1a、1bの電気的接続により、燃料電池スタック1aは帯電されて、酸化剤極11(陽極)側に電子が蓄積される。従って、燃料電池スタック1bにとっては、燃料電池スタック1aが固定抵抗等のような自身の電圧を抑制する手段となるために、起動時の水素/空気フロントBの移動に伴う酸化剤極11の酸化腐食反応が抑制される。
また、燃料電池スタック1aに水素を導入される際(S15)には、燃料電池スタック1bから供給された電荷により帯電している。そのため、燃料電池スタック1aでは、(3)式、(4)式に示す燃料極12(陰極)から酸化剤極11(陽極)へのプロトン移動反応または正電流反応のみ発生し、(1)式、(2)式に示す酸化剤極11の酸化腐食によるプロトン移動反応または逆電流反応は抑制される。従って、酸化剤極11の酸化腐食反応が抑制される。
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
帯電手段として、少なくとも一つ以上の燃料電池2を備えた燃料電池スタック1bを備え、また、燃料電池スタック1bに燃料ガスを導入する燃料供給機構21bを備える。また、燃料電池スタック1bの陽極が、燃料電池スタック1aの陰極に接続し、燃料電池スタック1bの陰極が、燃料電池スタック1aの陽極に接続した閉ループを形成するように、燃料電池スタック1bの陽極と燃料電池スタック1aの陰極との間の接続と非接続を切り替えるスイッチ402を備える。起動時には、スイッチ402を接続した状態で、燃料電池スタック1bに燃料ガスを供給することにより燃料電池スタック1aを帯電させ、その後、スイッチ402を非接続とした状態で、燃料電池スタック1aに燃料ガスを供給する。
これにより、燃料電池スタック1aは、燃料電池スタック1bをバッテリ301と同様に帯電手段として用いることができるため、酸化剤極11の触媒劣化を抑制することができる。また、燃料電池スタック1bで生じた電子は、コンデンサーとして機能する燃料電池スタック1aに移動するので、燃料電池スタック1bの電圧を抑制することができ、触媒劣化を抑制することができる。
また、燃料電池スタック1bが、燃料電池スタック1aに印加する電圧を、燃料電池2当たり0.7V/cell以下とする。これにより、燃料電池スタック1bと第1の燃料電池スタック1aの耐久性をさらに向上することができる。
なお、本実施形態では、二つの燃料電池スタック1a、1bを備えたが、この限りではなく、さらに別の燃料電池スタックを備えてもよい。また、燃料電池スタック1a、1bそれぞれを複数の燃料電池スタックの組み合わせにより構成してもよい。さらには、燃料電池スタック1a、1bを、一つの燃料電池スタック内の、複数の燃料電池2を積層したユニットによりそれぞれ構成してもよい。
次に、第4の実施形態について説明する。以下、第3の実施形態と異なる部分を中心に説明する。燃料電池システムの構成を、図10を用いて説明する。
ここでは、第1の燃料電池スタック1cを複数の燃料電池2を積層して構成した第1の燃料電池ユニットにより構成し、第2の燃料電池スタック1dを複数の燃料電池2を積層して構成した第2の燃料電池ユニットにより構成する。燃料電池スタック1cと1dは、それぞれの端部が陽極(プラス)と陰極(マイナス)となっている。燃料電池スタック1cと1dは、電気的に直列に接続して一つの燃料電池スタック100を構成する。なお、燃料電池スタック100を三個以上のユニットより構成してもよい。燃料電池スタック1cの陽極と燃料電池スタック1dの陰極の間に共通の導電板423を備え、燃料電池スタック1cの陰極と燃料電池スタック1dの陽極から電力を取り出す。
また、燃料電池スタック1cに供給する水素量を調整するバルブ219と、燃料電池スタック1dに供給する水素量を調整するバルブ220を備える。水素ボンベ211から取り出された水素が分岐され、一方はバルブ219を介して燃料電池スタック1cに導入され、もう一方はバルブ220を介して燃料電池スタック1dに導入される。
また、コンプレッサー202により導入した空気を、燃料電池スタック1cと1dへ分配する割合を調整するバルブ203を備える。コンプレッサー202により導入された空気は、分岐して一方は燃料電池スタック1dに供給され、もう一方はバルブ203を介して、燃料電池スタック1cに供給される。
また、燃料電池スタック1cの陰極と燃料電池スタック1dの陽極の、電気的な接続/非接続を切換えるスイッチ409を備える。さらに、燃料電池スタック1dの陽極と陰極を、固定抵抗410を介して電気的に接続または非接続(切り離し)の状態に切換えるスイッチ411を備える。固定抵抗410は、燃料電池スタック1dに水素を導入した際の燃料電池スタック1cの燃料電池2当たりの平均電圧が0.7V/cell以下となるような抵抗値を予め実験により設定する。なお、固定抵抗410は他の電力消費手段、例えば、可変抵抗、コンデンサー、ヒーター等の電気機器でも構わない。
燃料電池スタック1dの陽極からチョッパー403やスイッチ409に接続する配線には、電流計測手段としてシャント抵抗412を備える。シャント抵抗412の両端の電圧(Vs)を検知することによりシャント抵抗412を流れる電流値をコントローラ401で推定する。バルブ219、220、コンプレッサー202、スイッチ409、410はコントローラ401により制御される。
次に、燃料電池システムの起動ルーチンを図11のフローチャートを用いて説明する。
燃料電池システムの起動を指令する信号が入力されたら、ステップS21において、スイッチ409、411をONとする。つまり、燃料電池スタック1dを固定抵抗410に接続し、燃料電池スタック1dの陽極と、燃料電池スタック1dの陰極を接続する。この状態で、ステップS22で、バルブ220を開として、燃料電池スタック1dに水素を供給する。
水素の導入に伴い、燃料電池スタック1dには、酸化剤極11に残存する酸素量に応じて一時的に起電力が生じる。そのため、燃料電池スタック1dを電源として、スイッチ409で接続された燃料電池スタック1cが、コンデンサーとして機能して帯電する。つまり、燃料電池スタック1cの酸化剤極11に、電子が蓄電される。
また、固定抵抗410にもスイッチ411を介して電流が流れるので、燃料電池スタック1dの燃料電池2当たりの平均電圧の最大値が抑制される。ここでは、燃料電池2の平均電圧の最大値が0.7V/cell以下となるように、固定抵抗410を設定する。
燃料電池スタック1cが帯電した電荷量に応じて、燃料電池スタック1dの酸化剤極11に存在する空気中の酸素が消費される。その消費度合いに応じて燃料電池スタック1dの起電力は小さくなり、やがて酸素の欠乏により起電力がゼロ近傍となる。
次に、ステップS23で、シャント抵抗410の両端における電圧(Vs)から推定される電流値が所定値I0以下となるまで待機する。電流値が所定値I0以下であるか否かにより、燃料電池スタック1dの起電圧が所定値以下であるか、つまりは、酸化剤極11に酸素が残存しているか否かを判断する。電流値が所定値以下となった場合には、ステップS24で、スイッチ409、411をOFFとする。次に、ステップS25で、バルブ220を開いて燃料電池スタック1dに水素を導入し、更にステップS26でバルブ203の開度を調整して燃料電池スタック1c、1dに供給する空気の分配を調整する。ステップS26で、コンプレッサー202を稼動させて燃料電池スタック1cと1dに空気を導入する。
これにより、燃料電池スタック1c、1dには水素と空気がそれぞれ供給され、比較的大きな起電力が発生する。そこで、ステップS27で、燃料電池スタック1c、1dが所定の電圧(起電力)に達したか否かを判断し、所定電圧に達したら、ステップS28で、チョッパー403の先に接続されたインバータやモータの負荷を増大して、発電を開始する。
このように、燃料電池スタック1dに発生する起電力により、燃料電池スタック1cをコンデンサーとして蓄電させる。また、燃料電池スタック1dに選択的に固定抵抗410を有する閉回路を接続することにより、起動時の燃料電池スタック1dの起電圧を抑制する。
なお、バルブ203の開度調整は、コンプレッサー202の稼動後に実施しても構わない。また、固定抵抗410で燃料電池2あたりの平均電圧を0.7V/cell以下としたが、可変抵抗等で0.7V/cell以下を維持するシステムや制御方法を用いても良い。
次に、上述のように燃料電池2当たりの平均電圧を、0.7V/cell以下に設定する根拠を説明する。
この数値を限定するにあたり、発明者等は多くの試料や条件において複数回の実験を重ねた上で結論付けた。その代表的な実験結果を図12に示す。
図12は、代表的な燃料電池2を使用して、外部直流電源(ポテンシォスタッド)により燃料電池2の酸化剤極11側に所定の電圧を印加した際に、燃料電池2に流れる電流値(電流密度)を示したものである。
燃料電池2に関し、燃料極12側には各温度において湿度が100%となるように加湿した水素を、酸化剤極11側には各温度において湿度が100%となるように加湿した窒素をそれぞれ供給した。作用極を酸化剤極11、参照極を燃料極12として、燃料極12に対して酸化剤極11に所定の電圧を印加した。電流値は、印加直後に流れる電気二重層へのチャージ分(後述)は除き、所定時間経過後の安定した電流値をプロットした。このようなプロットを、25℃、50℃、70℃、90℃に設定された燃料電池2それぞれについて実験した。
この結果より、燃料電池2を70℃と90℃に設定した際に、印加電圧が0.7Vを超えると燃料電池2内に流れる電流値が加速的に増大することが確認された。これは、燃料電池2当たりの電圧が0.7Vを超えた場合、燃料極12でカーボンの腐食反応が生じるためである。そこで、印加電圧を0.7V以下に設定することで、燃料極12の酸化腐食を抑制し、燃料電池2の耐久性を維持する。
なお、違う仕様の膜電極複合体を含む他の燃料電池2でも実験を繰り返し行ったが、図4に示す代表的な実験結果と同様の傾向を示した。
また、図13には上記の実験において燃料電池2に1.5Vの電圧を印加した時点から燃料電池2に流れる電流値(電流密度)の経時変化を示す。
印加直後、一時的に電流は多く流れるが、その後、急激に低下し安定する。この電流の急上昇は、上述した電気二重層へのチャージが支配的であり、後半の安定した電流値は作用極の腐食電流及び水の電気分解で発生する電流である。この後半の電流値をプロットしたのが、先程の図12に示した結果である。このように、電流値は所定時間後に飽和するため、図13に示すような後半の安定した電流値に応じた所定値を予め実験で求めておき、ステップS23で、検知または推定された電流値が所定値以下となったら、ステップS24でスイッチ409、411をOFFにする。燃料電池スタック1cに流れる電流値が所定値以下であるかを判定基準とする(S23)ことにより、第1の燃料電池スタック1dに十分蓄電された状態を正確、かつ、容易に判断することができる。
このように、燃料電池スタック1dは、起動時に起電力を抑制するための固定抵抗410と、固定抵抗やコンデンサーの役割を担う第1の燃料電池スタック1cを備え、燃料電池スタック1dに水素が導入された際に生じる電子を消費する。このため、燃料電池スタック1dの起電力を抑制することができる。
また、燃料電池スタック1cは、燃料電池スタック1dで生じた電力を帯電した状態で、水素が供給されるため、酸化剤極11におけるカーボン担体の腐食反応を抑制することができる。
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第3の実施形態と異なる効果のみを説明する。
燃料電池スタック1cの陽極と、燃料電池スタック1dの陰極とを、電気的に直列に積層して一つの燃料電池スタックを構成する。このように、燃料電池スタック1c、1dで一つの燃料電池スタック100を構成している場合にも、同様に、燃料電池スタック1cと1dの触媒劣化を抑制することができる。
なお、ここでは、燃料電池ユニットを用いたが、第3の実施形態と同様に、複数の燃料電池スタックを用いてもよい。
次に、第5の実施形態について説明する。燃料電池システムの構成を図14を用いて説明する。以下、第3の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第1の燃料電池スタック1eと第2の燃料電池スタック1fを備える。燃料電池スタック1eを、N個の燃料電池2を積層して構成し、燃料電池スタック1fを、N×0.6個の燃料電池2を積層して構成する。つまり、燃料電池スタック1eに積層されている燃料電池2の数(N)に対して、燃料電池スタック1fはその60%の燃料電池2から構成される。尚、各燃料電池スタック1eと1fの発電有効面積は同一である。
また、水素供給機構21を以下のように構成する。
水素ボンベ211からは、流量コントローラ213を介して、燃料電池スタック1fに水素を導入する。燃料電池スタック1fの燃料極12側の後流には、気水分離器223を備える。燃料電池スタック1fから排出された燃料ガスは、気水分離器223で水よりなる液相と水素を含む気相に分離され、さらに気相の水素は燃料電池スタック1eの燃料ガス流路14に導入される。つまり、燃料スタック100fの燃料ガス流路14の出口側と、第1の燃料電池スタック1eの燃料ガス流路14の入口側を連通する配管224を備える。気液分離器223に溜まった凝縮水は、バルブ222を介して選択的に排出され、燃料電池システムで再利用される。
つまり、本実施形態では、水素は、燃料電池スタック1fで発電に用いられ、その後、燃料電池スタック1eで発電に用いられるため、水素供給機構21が比較的簡単な構成となる。
次に、図15を用いて、燃料電池システムの起動方法を説明する。
ステップS31〜S34は、ステップS1〜S4と同様とする。つまり、ステップS31でスイッチ402をONとして、ステップS32で流量コントローラ213を調整して第2の燃料電池スタック1fに水素の供給を開始する。導入される水素量を第2の燃料電池スタック1f内で消費される範囲内に設定するのが好ましい。これにより、燃料電池スタック1fを電源として、接続された燃料電池スタック1eを帯電させる。ステップ33で所定時間t1が経過したか否かを判断する。ステップS33では、所定時間t1が経過したか否かによって、帯電を終了するか否かを判定しているが、所定時間t1は、第2の燃料電池スタック1eに水素が完全に導入されるまでの時間に設定する。ステップS34でスイッチ402をOFFとする。
ステップS35で、コンプレッサー202fを稼動して燃料電池スタック1fに空気を導入する。ここで、燃料電池スタック1fには起電力が発生する。ステップS36で、水素の供給を開始して(S32)から、所定時間t2が経過したか否かを判断する。ただし、t1<t2に設定する。所定時間t2は、水素の供給ラインの容量、気水分離器223の気相容量、水素供給流量等の要素から決定される。
所定時間t2が経過するまで待機し、経過したら、ステップS37でコンプレッサー202eを稼動させて燃料電池スタック1eに空気を導入する。ここで、燃料電池スタック1eにも水素と空気がそれぞれ供給されたため、燃料電池スタック1e、1fにおいて、比較的大きな起電力が発生する。ステップS38で、燃料電池スタック1e、1fが所定の電圧(起電力)に達したことが確認されたら、ステップS39で、チョッパー403の先に接続したインバータやモータの負荷を増大して、発電を開始する。
このように、燃料電池スタック1fを構成する燃料電池2の積層数を、燃料電池スタック1eを構成する燃料電池2の積層数の60%とする。これにより、燃料電池スタック1fに水素を導入した際に生じる最大起電力(平均1.2V/cell)を考慮すると、燃料電池スタック1eに印加される燃料電池2の平均電圧の最大値は、1.2×0.6=0.72V/cellに抑制することができる。
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第3の実施形態と異なる効果のみを説明する。
燃料電池スタック1fを構成する燃料電池2の積層数を、燃料電池スタック1eを構成する燃料電池2の積層数に対して60%以下とする。これにより、燃料電池スタック1eの酸化剤極11において酸化腐食をさらに抑制することができる。
また、水素ボンベ211により、燃料電池スタック1fに燃料ガスを供給し、その後、燃料電池スタック1fから排出された燃料ガスを燃料電池スタック1eに供給する。これにより、配管を少なくして簡素な構成とすることができ、よりコンパクトで省力化が可能な燃料電池システムを得ることができる。
なお、ここでは、複数の燃料電池スタック1e、1fを用いたが、複数の燃料電池ユニットを用いた場合に適用しても良い。
次に、第6の実施形態について説明する。燃料電池システムの構成を図16を用いて説明する。以下、第3の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
燃料電池スタック1gと燃料電池スタック1hを備える。高圧水素ボンベ211から流量コントローラ213を介して燃料電池スタック1hに水素が供給される。燃料電池スタック1hを通った水素は、バルブ225を介して燃料電池スタック1gに供給される。燃料電池スタック1gで発電に用いられた後、燃料排ガスとして排出される。つまり、燃料電池スタック1hの燃料ガス流路14の出口側と、燃料電池スタック1gの燃料ガス流路14の入口側を連通する配管224を備え、配管224にバルブ225を備える。また、配管224は、一部で分岐してバルブ226を介して外部に接続する。バルブ226を開とすることで、水素配管中に生じた凝縮水を排出可能に構成する。
また、コンプレッサー202により昇圧された空気は、燃料電池スタック1hに供給され、発電に用いられた後、燃料電池スタック1gに供給される。燃料電池スタック1hと燃料電池スタック1fを接続する配管は、一部で分岐してバルブ204を介して外部に接続する。バルブ204を開とすることで、空気配管中に生じた凝縮水を排出可能に構成する。
また、燃料電池スタック1hの陰極と、燃料電池スタック1gの陽極が常時接続されており、燃料電池スタック1hの陽極と燃料電池スタック1gの陰極から電力を取り出す。また、燃料電池スタック1hの陽極と燃料電池スタック1gの陰極との間の、電気的な接続/非接続を切換えるスイッチ404を備える。さらに、スイッチ404は、スイッチ404を流れる電流を検出する電流計測手段としてクランプメーター406を備え、クランプメーター406により検出した電流値をコントローラ401により送ることにより、燃料電池スタック1gの帯電状態を判定することができる。
次に、上記燃料電池システムの起動ルーチンを、図17のフローチャートを用いて説明する。
燃料電池システムの起動を指示する信号が入力されたら、ステップS41において、スイッチ404をONとする。ステップS42で、バルブ225の開度を0より大きい最小制御値とし、僅かな水素が流れる開度とする。ステップS43で、流量コントローラ213を調整して燃料電池スタック1hに水素を導入する。水素導入に伴い、燃料電池スタック1hには酸化剤極11に存在する酸素量に応じて一時的に起電力が生じる。そのため、燃料電池スタック1hが電源となり、接続された燃料電池スタック1gはコンデンサーとして機能して帯電する。つまり、第1の燃料電池スタック1hの酸化剤極11(陰極)には、電子が蓄電される。
この時、燃料電池スタック1hの酸化剤極11に残存した空気中の酸素は消費され、その消費度合いに応じて燃料電池スタック1hの起電力は小さくなり、やがて酸素の欠乏により起電力がゼロ近傍となる。そこで、ステップS44で、クランプメーター406から読み取る電流値が所定値以下となったか否かを判断し、電流値が所定値以下となったら、ステップS45でスイッチ404をOFFとして、電気的接続を解除する。
ステップS46で、バルブ225の開度を最大として、燃料電池スタック1gに水素を導入し、ステップS47で、コンプレッサー202を稼動させて燃料電池スタック1g、1hそれぞれに空気を導入する。以下、第3の実施形態と同様とする。
このように、燃料電池スタック1hの燃料ガス流路14の出口側と、燃料電池スタック1gの燃料ガス流路14の入口側を配管224で接続した際に、配管224にバルブ225を備える。これにより、燃料電池スタック1hから燃料電池スタック1gに導入される水素量を抑制することができる。また、燃料電池スタック1hに水素を供給してから、燃料電池スタック1gに水素を供給するまでの時間遅れを調整することができる。その結果、燃料電池スタック1gが帯電した状態で、水素の供給を開始する制御をより確実に行うことができる。
加えて、燃料電池スタック1gに流れる電流値が所定値以下であるかを、燃料電池スタック1gの帯電状態が十分であるかどうかの判断基準とすることにより、燃料電池スタック1gに十分に蓄電された状態を正確かつ容易に判断することができる。
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第3の実施形態の効果とは異なる効果のみを説明する。
燃料電池スタック1hから燃料電池スタック1gに燃料ガスを供給する配管224にバルブ225を備え、燃料電池スタック1hに燃料ガスが供給されている場合に、燃料電池スタック1gに供給する燃料ガスの流量、または、燃料電池スタック1hに燃料ガスが供給されてから燃料電池スタック1gに燃料ガスを供給するまでの時間の少なくとも何れかを、バルブ225により調整する。燃料電池スタック1hから燃料電池スタック1gに燃料ガスが供給される比較的簡単な構成としたときにも、燃料電池スタック1hに燃料ガスを供給するタイミングと燃料電池スタック1gに燃料ガスを供給するタイミングとの差を制御することができる。
スイッチ404に流れる電流値に応じて、スイッチ404を非接続の状態に切り替える(S44)。これにより、燃料電池スタック1gに十分な電荷が帯電されたか否かを簡単に、かつ、正確に判断することができる。
なお、ここでは、複数の燃料電池スタック1g、1hを用いたが、複数の燃料電池ユニットを用いた場合に適用しても良い。
このように、本発明は、上記発明を実施するための最良の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で、様々な変更を為し得ることはいうまでもない。
本発明は、燃料電池システムに関する。特に、起動と停止が頻繁に繰り返される車両の動力として用いる燃料電池システムに適用することで、適切な効果を得ることができる。
1 燃料電池スタック(第1の燃料電池スタック)
1a、1c、1e、1g 燃料電池スタック(第1の燃料電池スタック)
1b、1d、1f、1h 燃料電池スタック(第2の燃料電池スタック、帯電手段)
2 燃料電池
11 酸化剤極
12 燃料極
21 水素供給手段
225 バルブ(絞り機構)
301 バッテリ(帯電手段)
303、304 リレー(正極/負極切替手段)
402、404、409 スイッチ(接続/非接続切替手段)
601 電気二重層キャパシタ(第二のキャパシタ)
511 ガスケット
1a、1c、1e、1g 燃料電池スタック(第1の燃料電池スタック)
1b、1d、1f、1h 燃料電池スタック(第2の燃料電池スタック、帯電手段)
2 燃料電池
11 酸化剤極
12 燃料極
21 水素供給手段
225 バルブ(絞り機構)
301 バッテリ(帯電手段)
303、304 リレー(正極/負極切替手段)
402、404、409 スイッチ(接続/非接続切替手段)
601 電気二重層キャパシタ(第二のキャパシタ)
511 ガスケット
Claims (16)
- 酸化剤極と燃料極を有する燃料電池を一つ以上備えた第1の燃料電池スタックと、
前記第1の燃料電池スタックに燃料ガスを供給する第1の燃料供給手段と、
前記燃料極を正として前記燃料電池が所定の電荷量だけ蓄電するように前記第1の燃料電池スタックを帯電させる帯電手段を備え、
起動時に、前記帯電手段で前記第1の燃料電池スタックを帯電させた後、燃料ガスを供給することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記所定の電荷量を、前記燃料電池の表面積1cm2当たり1C以下とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池に供給する燃料ガスの線流速を、0.2〜50m/secとする請求項2に記載の燃料電池システム。
- 前記帯電手段として、蓄電池を備え、
前記蓄電池により前記第1の燃料電池スタックを帯電させ、その後、前記第1の燃料電池スタックから前記蓄電池を電気的に切り離して、前記第1の燃料電池スタックを起動する請求項1から3のいずれか一つに記載の燃料電池システム。 - 前記蓄電池と前記第1の燃料電池スタックとの間で、正極と負極の接続を切り替える正極/負極切替手段を備え、
前記第1の燃料電池スタックの運転時には、前記蓄電池を前記第1の燃料電池スタックで生じた過剰電力を蓄電する蓄電手段として使用し、
前記第1の燃料電池スタックの起動時には、前記蓄電池を前記第1の燃料電池スタックを帯電させる帯電手段として使用するように、前記正極/負極切替手段を制御する正極/負極切替制御手段を備える請求項4に記載の燃料電池システム。 - 前記帯電手段として、第1のキャパシタを備える請求項1から3の何れか一つに記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池毎に並列して第2のキャパシタを備える請求項1から6のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
- 前記第2のキャパシタとして、前記燃料電池の発電面の外縁に沿って、ガス漏れを防止し、誘電体よりなるガスケットを備える請求項7に記載の燃料電池システム。
- 前記第2のキャパシタの静電容量を、
0<C<5[F/cm2]
とする請求項7または8に記載の燃料電池システム。 - 前記帯電手段として、少なくとも一つ以上の前記燃料電池を備えた第2の燃料電池スタックを備え、
また、前記第2の燃料電池スタックに燃料ガスを導入する第2の燃料供給手段と、
前記第2の燃料電池スタックの陽極が、前記第1の燃料電池スタックの陰極に接続し、前記第2の燃料電池スタックの陰極が、前記第1の燃料電池スタックの陽極に接続した閉ループを形成するように、前記第2の燃料電池スタックの陽極と前記第1の燃料電池スタックの陰極との間の接続と非接続を切り替える接続/非接続切替手段と、を備え、
起動時には、前記接続/非接続切替手段を接続した状態で、前記第2の燃料電池スタックに燃料ガスを供給することにより前記第1の燃料電池スタックを帯電させ、その後、前記接続/非接続切替手段を非接続とした状態で、前記第1の燃料電池スタックに燃料ガスを供給する請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記第1の燃料電池スタックの陽極と、前記第2の燃料電池スタックの陰極とを、電気的に直列に積層して一つの燃料電池スタックを構成する請求項10に記載の燃料電池システム。
- 前記第2の燃料電池スタックが前記第1の燃料電池スタックに印加する電圧を、前記燃料電池当たり0.7V/cell以下とする請求項10に記載の燃料電池システム。
- 前記第2の燃料電池スタックを構成する前記燃料電池の積層数を、前記第1の燃料電池スタックを構成する前記燃料電池の積層数に対して60%以下とする請求項10に記載の燃料電池システム。
- 前記第2の燃料供給手段は、前記第2の燃料電池スタックに燃料ガスを供給する手段であり、
前記第1の燃料供給手段は、前記第2の燃料電池スタックから排出された燃料ガスを前記第1の燃料電池スタックに導入するラインである請求項10に記載の燃料電池システム。 - 前記ラインに絞り機構を備え、
前記第2の燃料電池スタックに燃料ガスが供給されている場合に、前記第1の燃料電池スタックに供給する燃料ガスの流量、または、前記第2の燃料電池スタックに燃料ガスが供給されてから前記第1の燃料電池スタックに燃料ガスを供給するまでの時間の少なくとも何れかを、前記絞り機構により調整する請求項14に記載の燃料電池システム。 - 前記接続/非接続切替手段に流れる電流値に応じて、前記接続/非接続切替手段を非接続の状態に切り替える請求項10から15のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
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- 2004-10-19 JP JP2004304418A patent/JP2006120351A/ja not_active Withdrawn
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