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JP2006103453A - シートベルトリトラクタおよびこれを用いたシートベルト装置 - Google Patents

シートベルトリトラクタおよびこれを用いたシートベルト装置 Download PDF

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JP2006103453A JP2004291289A JP2004291289A JP2006103453A JP 2006103453 A JP2006103453 A JP 2006103453A JP 2004291289 A JP2004291289 A JP 2004291289A JP 2004291289 A JP2004291289 A JP 2004291289A JP 2006103453 A JP2006103453 A JP 2006103453A
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Abstract

【課題】モータの消費電力を低減しかつモータの制御をより簡単にしつつ、迅速なベルト巻取りおよび高トルクでのベルト巻取りの2つの巻取り性能を実現する。
【解決手段】クラッチパウル49がインターナルギヤ30に係合されない状態で、モータのベルト巻取り方向の正転により、クラッチギヤ43がキャリヤギヤ31に噛合する。これにより、低減速比動力伝達モードが設定され、高速かつ低トルクでシートベルトが巻取られる。シートベルトのスラックがなくなってベルト荷重が上昇すると、クラッチパウル49がインターナルギヤ30に係合可能となる。また、モータ電流が上昇して設定値を超えると、モータが逆転され、クラッチギヤ43がキャリヤギヤ31から離間する。これにより、高減速比動力伝達モードが設定され、低速かつ高トルクでベルトが巻取られる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、自動車、飛行機、船舶等の乗員を乗せて移動する物(以下、まとめて車両という)に装備され、乗員を拘束保護するためのシートベルトをモータにより巻取るシートベルトリトラクタおよびこれを用いたシートベルト装置の技術分野に属し、特に、モータの限られた消費電力でベルト巻取りを効率よく行うことのできるシートベルトリトラクタおよびこれを用いたシートベルト装置の技術分野に属するものである。
従来から自動車等の車両に装備されているシートベルト装置は、シートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタと、シートベルトに摺動可能に支持されたタングと、タングが係合されるバックルとを少なくとも備えていて、タングがバックルに係合されたシートベルト装着状態で、衝突時等の車両に大きな減速度が作用した場合のような緊急時に、シートベルトで乗員を拘束することにより乗員のシートからの飛び出しを阻止して、乗員を保護している。
このようなシートベルト装置においては、シートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタが設けられている。このシートベルトリトラクタは、シートベルトを巻き取るスプールを常時巻取り方向に付勢するうず巻きばね等の付勢力付与手段を備えている。この付勢力付与手段の付勢力により、シートベルトは非装着時にはスプールに巻き取られている。また、シートベルトは装着時には付勢力付与手段の付勢力に抗して引き出されて、乗員に装着される。そして、シートベルトリトラクタは、前述のような緊急時にロック手段が作動してスプールの引出し方向の回転を阻止することにより、シートベルトの引出しが阻止される。これにより、緊急時にシートベルトは乗員を確実に拘束し、保護するようになる。
ところで、このような従来のシートベルト装置には、車両の衝突前に衝突不可避であると判断したとき、モータの駆動力を大きくしてシートベルトを巻き取り、シートベルトの張力を大きくすることで、乗員の拘束力を高め、車両衝突を検知したとき、プリテンショナのガス発生装置が作動してガスを発生し、発生したガスでシートベルトを急速に巻き取ることで、乗員の拘束力を更に高めるようにしたモータによるシートベルトリトラクタが提案されている(特許文献1参照)。
一方、モータの回転トルクを伝達する動力伝達経路として、一定の減速比でモータの回転トルクを前述の付勢力付与手段に伝達して付勢力付与手段を高める第1動力伝達経路と一定の減速比でモータの回転トルクをスプールに伝達する第2動力伝達経路とを設定し、第1ソレノイドで第1動力伝達経路を設定するとともに、第2ソレノイドで第2動力伝達経路を設定することで、ベルトテンションを制御するようにしたシートベルトリトラクタが提案されている(特許文献2参照)。
特開2000−95064号公報。 特開2000−177535号公報。
ところで、シートベルトの巻取りモードには、シートベルトのスラック(弛み)除去や格納動作のための迅速なベルト巻取りや乗員を拘束するための大きな巻取り力でのベルト巻取りなどがあり、巻取りモードによって、スプールの回転速度およびスプールのベルト巻取りトルクがともに種々異なっている。
しかし、前述の特許文献1に開示のシートベルトリトラクタでは、モータの駆動力をスプールに伝達する動力伝達機構が一定の減速比の動力伝達経路を1つ有しているだけである。このため、一定の減速比が1つだけ一義的に設定されてしまい、前述のような種々異なるスプールの回転速度およびスプールのベルト巻取りトルクに柔軟にかつ効率よく対応することは難しい。
そこで、モータの回転速度およびスプールの巻取り力をきめ細かく制御することが考えれるが、このようにするとモータの制御が面倒になるばかりでなく、消費電力が大きくなってしまう。特に、車両衝突時のように緊急時での大きな拘束力を得るためにはモータの回転トルクを大きくする必要があるが、モータの回転トルクを大きくすると消費電力が増大するか、あるいはモータが大型になってしまう。
一方、前述の特許文献2に開示のシートベルトリトラクタでは、一方の動力伝達経路はモータの回転トルクを前述の付勢力付与手段に伝達してこの付勢力付与手段の付勢力を制御するものであり、また、他方の動力伝達経路はモータの回転トルクをスプールに直接伝達してこのスプールの巻取り力をモータの回転トルクで直接制御するものである。このため、特許文献2に開示のシートベルトリトラクタは、動力伝達経路として減速比の異なる2つの動力伝達経路が設定されているものの、モータの回転トルクをスプールに直接伝達するために一定の減速比の動力伝達経路を1つ有しているだけである。このため、モータの回転トルクをスプールに直接伝達するうえで、前述の特許文献1の場合と同様に一定の減速比が1つだけ一義的に設定されてしまい、前述のような種々異なるスプールの回転速度およびスプールのベルト巻取りトルクに柔軟にかつ効率よく対応することは難しい。
また、モータの回転トルクで付勢力付与手段の付勢力を制御し、制御された付勢力でスプールの巻取り力を制御することで、ある程度のベルト巻取り力の制御は可能であるが、モータの回転トルクをより効率よく利用することで、スプールの巻取り力をよりきめ細かく制御することが望ましい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、効果的にコンパクトに形成できるとともに、モータの消費電力を低減しかつモータの制御をより簡単にしつつ、シートベルトのスラック除去や格納動作のための迅速なベルト巻取りおよび乗員拘束のための大きな巻取り力でのベルト巻取りの2つの巻取り性能を効率よく実現できるシートベルトリトラクタおよびこれを用いたシートベルト装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、高速かつ低トルク伝達から低速かつ高トルク伝達への切換をより正確にかつより確実に行うことのできるシートベルトリトラクタおよびこれを用いたシートベルト装置を提供することである。
前述の課題を解決するために、請求項1の発明のシートベルトリトラクタは、シートベルトを巻取るスプールと、このスプールを回転させる回転トルクを発生するモータと、このモータの回転トルクを前記スプールに伝達する動力伝達機構とを少なくとも備え、モータの回転トルクにより前記シートベルトを前記スプールに巻き取るようになっているシートベルトリトラクタにおいて、前記動力伝達機構が、前記モータの回転トルクを高速かつ低トルクで前記スプールに伝達する低減速比動力伝達モードと前記モータの回転トルクを低速かつ高トルクで前記スプールに伝達する高減速比動力伝達モードとが設定されており、前記動力伝達機構を前記低減速比動力伝達モードと前記高減速比動力伝達モードとのいずれか一方に選択的に切り換え設定する動力伝達モード切換機構を備えているとともに、前記モータの回転方向を逆転制御することで前記動力伝達モード切換機構の作動を制御して前記低減速比動力伝達モードと前記高減速比動力伝達モードとを切り換え設定する制御装置を備えていることを特徴としている。
また、請求項2の発明のシートベルトリトラクタは、前記制御装置が前記モータへ供給されるモータ電流に基づいて前記モータの回転方向を逆転制御することを特徴としている。
更に、請求項3の発明のシートベルトリトラクタは、前記制御装置が、前記モータ電流が設定電流値以下のとき、前記動力伝達機構を前記低減速比動力伝達モードに設定するとともに、前記モータ電流が設定電流値を超えたとき、前記動力伝達機構を前記高減速比動力伝達モードに設定することを特徴としている。
更に、請求項4の発明のシートベルトリトラクタは、前記動力伝達機構の前記高減速比動力伝達モードを設定する機構が、キャリヤ、サンギヤ,プラネットギヤ、およびインターナルギヤからなる遊星歯車機構により構成されていることを特徴としている。
更に、請求項5の発明のシートベルトリトラクタは、前記動力伝達機構が、更に前記モータの回転トルクを前記スプールに伝達しない動力伝達遮断モードが設定されており、前記動力伝達モード切換機構が、前記動力伝達機構を、前記低減速比動力伝達モード、前記高減速比動力伝達モードおよび動力伝達遮断モードのいずれか一つのモードに選択的に切り換え設定することを特徴としている。
更に、請求項6の発明のシートベルト装置は、シートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタと、前記シートベルトに摺動可能に支持されたタングと、前記タングが係合されるバックルとを少なくとも備えたシートベルト装置において、前記シートベルトリトラクタが請求項1ないし5のいずれか1記載のシートベルトリトラクタであることを特徴としている。
このような構成をした本発明のシートベルトリトラクタによれば、動力伝達機構に高速かつ低トルク動力伝達経路を形成しているので、モータの回転トルクを高速でかつ低トルクでスプールに伝達するか、あるいはモータの回転トルクを低速でかつ高トルクでスプールに伝達するかすることができる。したがって、高速かつ低トルクでのスプールによるベルト巻取りで、シートベルトのスラック除去のための迅速なベルト巻取りが可能となり、また、低速かつ高トルクでのスプールによるベルト巻取りで、乗員拘束のための高トルクでのベルト巻取りが可能となる。
このように2つの巻取り性能を実現できるので、シートベルトの巻取り時、その巻取りに求められる性能に応じてモータの回転トルクをきめ細かく制御することなく簡単な制御で、柔軟にかつ効率よく対応することができる。
しかも、これらの2つの動力伝達経路が設定されることで、モータの回転トルクを効率よくスプールに伝達することができるので、限られた消費電力でこれらの2つの巻取り性能を確実に発揮することができる。特に、乗員拘束のための高トルクでのベルト巻取りを低速かつ高トルク動力伝達経路で実現されるので、モータの回転トルクを従来に比して小さくすることができる。これにより、モータの消費電力を低減することができるとともに、より小型のモータを使用することができ、その分、シートベルトリトラクタをコンパクトにできる。
また、前述の2つの巻取り性能を実現できることで、シートベルトリトラクタにモータの回転トルクによるプリテンショニング機能を持たせることができる。したがって、従来の反応ガスを用いたプリテンショナーを不要にできるので、コストを削減することができる。
更に、低減速比動力伝達モードと高減速比動力伝達モードとを、モータの回転方向を変えることで切り換えるようにしているので、動力伝達遮断モード、低減速比動力伝達モードおよび高減速比動力伝達モードのモード切換を行う動力伝達モード切換機構の作動制御を簡単にできるとともに、動力伝達モード切換機構の構造を簡略化できる。これにより、動力伝達モードの切換時の前述の機械的なばらつきや変動のパラメータを低減することができ、切換時のベルト荷重を安定化させることができる。したがって、動力伝達モードの切換をより正確にかつより確実に行うことができる。
特に、請求項2および3の発明のシートベルトリトラクタによれば、低減速比動力伝達モードと高減速比動力伝達モードとを、モータの回転方向を変えることで切り換えるようにした場合、回転方向の正転から逆転への反転自体を低減速比動力伝達モードのオンからオフへの切換に利用して、動力伝達モードの切換タイミングをベルト荷重と相関したモータ電流値によって決定しているので、動力伝達モード切換時のベルト荷重を左右するばらつきや変動のパラメータを、モータトルクに対するモータ電流値に集約することができる。これにより、動力伝達モードの切換をより一層正確にかつより一層確実に行うことができる。
また、請求項2および3の発明のシートベルトリトラクタによれば、モータに供給されるモータ電流に基づいて動力伝達歯車機構を低減速比動力伝達モードまたは高減速比動力伝達モードに設定しているので、モータの回転トルクを制御することなく、モード切換を簡単に行うことができるようになる。
更に、請求項4の発明のシートベルトリトラクタによれば、高減速比動力伝達モードを設定する機構を、キャリヤ、サンギヤ,プラネットギヤ、およびインターナルギヤからなる遊星歯車機構により構成しているので、低速かつ高トルク伝達経路をコンパクトに形成することができる。これにより、動力伝達歯車機構を低減速比動力伝達モードまたは高減速比動力伝達モードを有するようにしても、シートベルトリトラクタの大型化をより効果的に抑制することができる。
更に、請求項5の発明のシートベルトリトラクタによれば、動力伝達歯車機構にモータの回転トルクをスプールに伝達しない動力伝達遮断モードを設定しているので、シートベルトの引出し、シートベルトの圧迫感のない通常装着、非装着時のシートベルトの格納を、モータに影響されることなく行うことができる。
更に、請求項6の発明のシートベルト装置によれば、請求項1ないし5のいずれか1記載のシートベルトリトラクタを備えているので、モータの回転トルクをより効率よく利用してスプールの巻取り力をよりきめ細かく制御することができる。これにより、本発明のシートベルト装置、例えば自動車、飛行機、船舶等の乗員を効果的に拘束保護することが可能となる。
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の一例の一部を示す部分分解斜視図、図2は本発明の実施の形態の一例の残部を示す部分分解斜視図、図3は図1および図2に示す例のシートベルトリトラクタをリターンスプリング付きロッキングおよびベースフレームを外した状態で示す図である。なお、図1および図2において、図1の直線X1,X2,X3,X4と図2の直線Y1,Y2,Y3,Y4とがそれぞれ整合することで、この例のシートベルトリトラクタが構成される。また、以下の説明において、特に断らない限り、「左」、「右」は説明に使用する図において「左」、「右」であり、また、「時計回り」、「反時計回り」は説明に使用する図において「時計回り」、「反時計回り」である。
図1および図2に示すように、この例のシートベルトリトラクタ1はコ字状のベースフレーム2を備えており、このベースフレーム2内には、乗員を拘束するシートベルト3を巻き取るスプール4が回転可能に設けられている。また、ベースフレーム2の一側の外側には、車両衝突時等の車両の所定減速度以上の大減速度時に作動してスプール4のベルト引出し方向αの回転を阻止するロック機構およびスプール4を常時ベルト巻取り方向に付勢するスプリング機構からなるリターンスプリング付きロッキング5が設けられている。詳細にかつ明りょうに図示しないが、これらのロック機構およびスプリング機構は従来公知のものが採用されている。
プリテンショナ6がベースフレーム2のリターンスプリング付きロッキング5と反対側の外側に設けられており、このプリテンショナ6は、車両の大減速度発生時に作動してスプール4をベルト巻取り方向βに回転させてシートベルト3を巻き取ってシートベルト3と乗員との間のスラックを除去するようになっている。
トーションバー7がスプール4に同軸にかつこのスプール4内を貫通して設けられており、トーションバー7の一端部7aがスプール4に一体回転可能にスプライン嵌合されている。トーションバー7の他端部7bは、ディスク状のコネクタ8の図示しない嵌合部(図1において他端部7b側の面にトーションバー7と同軸に設けられる)に一体回転可能にスプライン嵌合される。コネクタ8のトーションバー7と反対側の面には、スプライン軸8aがトーションバー7と同軸に設けられており、このスプライン軸8aは連結部材9の図示しないスプライン溝穴(図1においてスプライン軸8a側の面にトーションバー7と同軸に設けられる)に一体回転可能に嵌合される。
更に、連結部材9のコネクタ8と反対側の面には円柱部9aがトーションバー7と同軸に設けられ、この円柱部9aにはリング状の第1セパレータ10が嵌合されている。その場合、第1セパレータ10の一側に設けられた複数個の(図示例では4個)の軸方向の溝10aにそれぞれ同数個のベアリングピン11が回転可能に嵌合されるとともに、第1セパレータ10の他側に設けられた複数個の(図示例では4個)軸方向の溝10bにそれぞれ同数個のベアリングピン12が回転可能に嵌合されており、これらのベアリングピン11,12により、第1セパレータ10は円柱部9aに対し相対回転可能にされている。連結部材9には、スプライン軸部9bが円柱部9aに連続してトーションバー7と同軸に設けられ、このスプライン軸部9bが円環板状のキャリヤ13の内周面にトーションバー7と同軸に設けられたスプライン溝部13aに嵌合され、連結部材9とキャリヤ13とが一体回転可能にされている。
キャリヤ13のトーションバー7と反対側の面には、スプライン軸13bがトーションバー7と同軸に設けられており、このスプライン軸13bは、後述するキャリヤギヤ31のスプライン溝31bを一体回転可能に貫通するとともに、リターンスプリング付きロッキング5におけるロック機構のロッキングベース14の図示しないスプライン溝穴(図2においてスプライン軸13b側の面にトーションバー7と同軸に設けられる)に一体回転可能に嵌合される。このロッキングベース14は従来公知のものが採用されており、ロッキングベース14のパウル支持部に揺動可能に支持されたパウル14aが、ロック機構作動時に揺動してベースフレーム2の歯2aに係合することにより、ロッキングベース14のベルト引出方向の回転が阻止されるようになっている。したがって、前述のトーションバー7はロック機構の作動時にねじり変形することで乗員の慣性によりシートベルト3から受ける衝撃エネルギを吸収緩和するようになる。
ベースフレーム2のプリテンショナ6が設けられる反対側の内側には、リテーナ15が4個の取付ねじ16により取り付けられている。このリテーナ15の大径孔15aにはリング状のリテーナベアリング17が嵌合固定されている。このリテーナベアリング17に、連結部材9の円柱部9cが回転可能に支持される。
第1セパレータ10の外周にはリング状のセンター部材18の内周面18aがベアリングピン11,12によって相対回転可能に嵌合されており、このセンター部材18は、その段部18bがギア19の3ヶ所の爪19aに係合することによってギヤ19に固定される。ギヤ19には環状の外歯19bが設けられているとともに、後述するサンギヤ20を径方向(図1に示す状態では上下方向)にガイドしながら移動可能に保持するガイド部19cが設けられている。
センター部材18の第2外周面18cには、リング状のサンギヤ20の中心孔20aが嵌合されている。その場合、中心孔20aの直径が第2外周面18cの直径より大きく設定されているとともに、サンギヤ20が第2外周面18cに対して偏心して、つまりギヤ19の外歯19bに対して偏心して設けられている。そして、サンギヤ20は、ギヤ19のガイド部19cに径方向に相対移動可能に保持されている。したがって、センター部材18、ギヤ19およびサンギヤ20は一体回転するようになっているとともに、サンギヤ20がギヤ19に対して径方向(図1において上下方向)に相対移動可能に設けられている。ギヤ19とサンギヤ20との間には、一対のスプリング21およびレシーブスプリング22が設けられており、一対のスプリング21によって、サンギヤ20がギヤ19との径方向の相対移動が抑制されるようになっている。
このサンギヤ20の外周面20bには第2セパレータ23が嵌合されている。その場合、第2セパレータ23の一側に設けられた複数個(図示例では12個)の軸方向の溝23aにそれぞれ同数個のベアリングピン24が回転可能に嵌合されており、これらのベアリングピン24により、第2セパレータ23はサンギヤ20の外周面20bに対し相対回転可能にされている。また、第2セパレータ23は環状のプラネットギヤ25の中心孔25a内に、ベアリングピン24により相対回転可能に嵌合されている。
プラネットギヤ25の外周面には、外歯25bが設けられているとともに、プラネットギヤ25の側面には、軸方向に貫通する複数個(図示例での22個)の孔25cが円周方向に千鳥状に穿設されている。また、環状のリフタ26がキャリヤ13とプラネットギヤ25との間に介設されている。このリフタ26の側面にも、プラネットギヤ25の孔25cと同数個の軸方向に貫通する孔26aがそれぞれ各孔25cに整合するようにして円周方向に千鳥状に穿設されている。これらのプラネットギヤ25およびリフタ26は、それぞれ、孔25c,26aがキャリヤ13のスプライン軸13bと反対側の面に軸方向にかつ孔25c,26aに対応して立設された突出軸13c(図3に図示)に嵌合するようにして設けられている。その場合、図3に示すように各孔25cの直径は各突出軸13cの直径より大きく設定されていて、各孔25cじゃ各突出軸13cに相対移動可能に遊嵌されている。更に、プラネットギヤ25のキャリヤ13と反対側の面には、環状の減速プレート27が設けられており、この減速プレートは孔27aとキャリヤ13の突出軸13cを用いてキャリヤ13にかしめられている。したがって、プラネットギヤ25およびリフタ26はキャリヤ13と減速プレート27との間に介在されるとともに、プラネットギヤ25はキャリヤ13の中心軸つまりトーションバー7の中心軸から偏心している。
キャリヤ13の外周面13dには、第3セパレータ28が嵌合されている。その場合、第3セパレータ28の一側に設けられた複数個の(図示例では30個)の軸方向の溝28aにそれぞれ同数個のベアリングピン29が回転可能に嵌合されており、これらのベアリングピン29により、第3セパレータ28はキャリヤ13の外周面13dに対し相対回転可能にされている。また、第3セパレータ28は環状のインターナルギヤ30の中心孔30a内に、ベアリングピン29により相対回転可能に嵌合されている。
インターナルギヤ30には、その中心孔30aのリテーナ15側に環状の内歯30bが設けられている。そして、キャリヤ13が嵌合された第3セパレータ28が中心孔30a内に嵌合された際、プラネットギヤ25がこの環状の内歯30b内にこの環状の内歯30bの中心から偏心して位置しかつこれらの内歯30bの一部にプラネットギヤ25の外歯25bの一部が部分的に噛合するようになっている。また、インターナルギヤ30には、その中心孔30aのリテーナ15側に環状のラチェット歯30cが設けられている。
インターナルギヤ30のロッキングベース14側に隣接して、環状のキャリヤギヤ31がインターナルギヤ30と同心つまりトーションバー7と同心に設けられている。このキャリヤギヤ31の外周面には外歯31aが設けられているとともに、キャリヤギヤ31の中心部にスプライン溝孔31bが穿設されている。このスプライン溝孔31bにキャリヤ13のスプライン軸13bが貫通係合されており、これにより、キャリヤ13とキャリヤギヤ31とが一体回転可能となっている。
スプール4に付与する回転トルクを発生するモータ32が、リテーナ15の外側でプリテンショナ6の上方位置に、取付ねじ33によって取り付けられている。このモータ32のモータ回転軸32aはリテーナ15の貫通孔15bを貫通してリテーナ15内に進入しており、リテーナ15内のモータ回転軸32aには回転伝達部材34が一体回転可能に取り付けられている。この回転伝達部材34は、ディスク状のモータギヤ35の図示しない嵌合部(図1において回転伝達部材34側の面にモータ回転軸32aと同軸に設けられる)に一体回転可能にスプライン嵌合される。
モータギヤ35は環状の大径の第1外歯35aと、環状の小径の第2外歯35bと、回転軸35cとを備えている。このモータギヤ35の回転軸35cは、リテーナに取付ねじ36で取り付けられたリテーナカバー37の軸受け部(図2においてモータギヤ35側の面に回転軸35cと同軸つまりモータ回転軸32aと同軸に設けられる)に回転可能に支持される。そして、モータギヤ35の第1外歯35aがギヤ19の外歯19bに噛合されるとともに、第2外歯35bが後述する第1コネクトギヤ41の外歯41aに噛合される。
リテーナ15には、アッパーガイドプレート38およびロアガイドプレート39が互いに重ね合わされて取付ねじ40で取り付けられている。その場合、ロアガイドプレート39に設けられた段差部39a,39bにより、重ね合わされたアッパーガイドプレート38とロアガイドプレート39との間の中間部に所定の隙間が形成されている。この隙間内に、第1コネクトギヤ41、第2コネクトギヤ42、およびクラッチギヤ43が配設される。
第1コネクトギヤ41はその外周面に外歯41aを有しているとともにその中心部に断面6角形の嵌合穴41bを有している。第2コネクトギヤ42はその外周面に外歯41aより小径の外歯42aを有しているとともにその中心部に断面6角形の嵌合軸42bを有している。そして、第1および第2コネクトギヤ41,42は第2コネクトギヤ42の嵌合軸42bを第1コネクトギヤ41の嵌合穴41bに嵌合させることで同心軸上にかつ一体回転可能に更に所定の隙間を有して組み合わされるとともに、図示しない回転軸によりアッパーガイドプレート38およびロアガイドプレート39に回転可能に支持される。
クラッチギヤ43は外歯42aとほぼ同径の外歯43aを有しており、第2コネクトギヤ42の外歯42aとクラッチギヤ43の外歯43aとが噛合されている。このクラッチギヤ43はクラッチギヤ軸44に回転可能に支持されているとともに、クラッチギヤ軸44は、アッパーガイドプレート38に設けられた円弧状のガイド孔38aおよびロアガイドプレート39に設けられた円弧状のガイド孔39cに沿いかつガイドされて移動可能とされている。両ガイド孔38a,39cは軸方向に整合されているとともに、両ガイド孔38a,39c円弧は、第1および第2コネクトギヤ41,42の回転軸を中心とする円の円弧に設定されている。したがって、クラッチギヤ43は第2コネクトギヤ42に常時噛合した状態でクラッチギヤ軸44を中心に自転しながら、第2コネクトギヤ42の外周を公転するようになる。更に、クラッチギヤ43はこのように公転することで、図4に示す位置に到達したときキャリヤギヤ31の外歯31aに噛合するようになっている。
第1および第2コネクトギヤ41,42の間の隙間には、U字状のクラッチスプリング45が配設されている。このクラッチスプリング45は、その湾曲部45aが第2コネクトギヤ42にその軸方向に第1コネクトギヤ41へ突出するように設けられた突出軸(不図示)に相対回動可能に支持されることで第2コネクトギヤ42の回転軸を中心に回動可能となっている。このとき、湾曲部45aが第2コネクトギヤ42の突出軸に対して所定の摩擦力で摩擦係合するようにされており、クラッチスプリング45と第2コネクトギヤ42との間の相対的な回動力が所定の摩擦力を超えると、クラッチスプリング45は第2コネクトギヤ42に対して摺動しながら相対的に回動するようになっている。
クラッチスプリング45の一対の先端部45bはクラッチギヤ43にその軸方向にロアガイドプレート39へ突出するように設けられた突出軸(不図示)を弾性的に挟持している。また、樹脂からなる馬蹄形の滑り部材46がクラッチスプリング45と第2コネクトギヤ42との間に設けられている。この滑り部材46はクラッチスプリング45と第2コネクトギヤ42との相対摺動時の摩耗を抑制するとともにこの摺動を安定させる。
アッパーガイドプレート38およびロアガイドプレート39には、2つの側壁47a,47bとこれらの両側壁47a,47bを連結する連結部47cとを有するコ字状のクラッチアーム47が設けられている。その場合、クラッチアーム47は、2つの側壁47a,47bでアッパーガイドプレート38およびロアガイドプレート39を挟むようにしかつ両側壁47a,47bにそれぞれ穿設された支持孔がアッパーガイドプレート38およびロアガイドプレート39にそれぞれ突設された支持軸に嵌合されることで、アッパーガイドプレート38およびロアガイドプレート39に相対回動可能に支持されている(図2には、一方の側壁47aの支持孔47dおよびアッパーガイドプレート38の支持軸38bのみが示されており、他のそれらは図示されていないが、以後の説明において、図示されない支持孔および支持軸もそれぞれ47dおよび38bで示す)。
また、クラッチアーム47の両側壁47a,47bの右端47eは、いずれもクラッチギヤ軸44が当接可能とされている。また、クラッチギヤ軸44が係合する円弧状の係合凹部47fが形成されている。更に、クラッチアーム47の側壁47aには、パウル規制孔47gが穿設されている。更に、両側壁47a,47bの左端には、それぞれ、ストッパ係合部47hが設けられている。これらのストッパ係合部47hは、クラッチアーム47が時計回りに回動したとき、アッパーガイドプレート38およびロアガイドプレート39に設けられたストッパ軸に当接可能となっている(図2には、アッパーガイドプレート38のストッパ軸38dのみが示されており、ロアガイドプレート39のそれは図示されていないが、以後の説明において、図示されないロアガイドプレート39のストッパ軸も38dで示す)。
クラッチアーム47の連結部47cとアッパーガイドプレート38のばね支持部38eとの間には、スプリング48が縮設されている。このスプリング48により、クラッチアーム47が図3に示す非作動状態の方へつまり時計回りに常時付勢されている。そして、図3に示すクラッチアーム47の非作動状態(初期状態)では、クラッチアーム47は、スプリング48でストッパ係合部47hがストッパ軸38dに係合した位置に保持され、クラッチアーム47のそれ以上の時計回りの回動が阻止される。また、クラッチアーム47がアッパーガイドプレート38およびロアガイドプレート39の支持軸を中心にスプリング48の付勢力に抗して図3において反時計回りに回動して、連結部47cがアッパーガイドプレート38およびロアガイドプレート39の各上縁38c,39dに当接すると(後述する図5(d)に示す状態)、クラッチアーム47のそれ以上の反時計回りの回動が阻止される。
クラッチパウル49がリテーナ15に回動可能に設けられている。その場合、このクラッチパウル49はその一端側の円弧状支持部49aがリテーナ15の円弧状の支持凹部15cに回動可能に支持されている。クラッチパウル49の他端側には係止爪49bが形成されており、この係止爪49bは図4に示す位置にあるときインターナルギヤ30のラチェット歯30cに係合可能となり、また、図3に示す位置にあるとき係合不能にされている。また、クラッチパウル49には円柱状の突出軸49cが設けられており、この突出軸49cは、両側壁47aのパウル規制孔47gを貫通して設けられる。図3に示すように、突出軸49cの直径はパウル規制孔47gの直径に比べてかなり小さく設定されており、突出軸49cはパウル規制孔47gの領域内で移動可能とされている。つまり、クラッチパウル49の回動はパウル規制孔47gによって規制されている。
更に、ロアガイドプレート39にはストッパスプリング50が配設されている。その場合図3に示すように、このストッパスプリング50は固定ねじ51によってロアガイドプレート39にねじ止めされる。また、ストッパスプリング50の一端側の円弧状の係止部50bがクラッチパウル49の突出軸49cに係止されているとともに、他端側はほぼ90度に屈曲された屈曲形状のガイド部50cとされている。更に、支持部50aとガイド部50cとの間には、押圧部50dが形成されている。
そして、図3に示すように組み立てられたシートベルトリトラクタ1において、クラッチアーム47の非作動状態では、クラッチアーム47の一方の側壁47bに形成された角部47jに、このストッパスプリング50の押圧部50dが当接している。これにより、クラッチアーム47はストッパスプリング50の押圧部50dにより反時計回りに付勢されており、逆にストッパスプリング50はクラッチアーム47の角部47jによって図3に示す位置に位置規制されている。
そして、この例のシートベルトリトラクタ1においては、キャリヤ13、センター部材18、ギヤ19、サンギヤ20、第2セパレータ23、プラネットギヤ25、リフタ26、第3セパレータ28、インターナルギヤ30、キャリヤギヤ31、モータギヤ35、第1コネクトギヤ41、第2コネクトギヤ42、クラッチギヤ43、およびクラッチギヤ軸44等により、モータ32の回転トルクをスプール4に伝達する動力伝達歯車機構が構成される。
また、クラッチギヤ軸44、クラッチスプリング45、クラッチアーム47、スプリング48、クラッチパウル49、およびストッパスプリング50等により、後述するようにこの動力伝達歯車機構に設定されている3つの動力伝達モードを切り換える動力伝達モード切換機構が構成される。更に、これらの動力伝達歯車機構および動力伝達モード切換機構により、モータ32の回転をスプール4に減速して伝達する減速機構が構成される。
次に、動力伝達歯車機構に設定されている3つの動力伝達モードについて説明する。
(1)動力伝達遮断モード
動力伝達遮断モードは、モータ32が駆動されないで、スプール4とモータ32との間の動力伝達が遮断されるモード(非作動状態つまり初期状態)である。この動力伝達遮断モードでは、図5(a)(図3に示す状態も動力伝達遮断モードである)に示すように動力伝達モード切換機構におけるクラッチギヤ軸44がガイド孔38a,39cの右端に当接した位置に設定されて、クラッチギヤ43がキャリヤギヤ31に噛合しない位置に設定される。これにより、クラッチギヤ43とキャリヤギヤ31との間のトルク伝達経路(後述する高速かつ低トルク伝達経路)が遮断される。
また、スプリング48により、クラッチアーム47のストッパ係合部47hがストッパ軸38dに係合した位置に保持される。クラッチアーム47のこの状態では、クラッチアーム47の角部47jにストッパスプリング50の押圧部50dが当接しており、この押圧部50dによってクラッチアーム47が反時計回りに付勢されているとともに、ストッパスプリング50がクラッチアーム47によって図示位置に位置決めされている。更に、クラッチアーム47のパウル規制孔47gの内周縁によりクラッチパウル49の突出軸49cが押圧されて、クラッチパウル49の係止爪49bがインターナルギヤ30のラチェット歯30cに係合されず、インターナルギヤ30は回転自由となっている。これにより、モータギヤ35とキャリヤ13との間のトルク伝達経路(後述するように、低速かつ高トルク伝達経路)は遮断される。こうして、動力伝達遮断モードでは、スプール4とモータ32とが互いに接続されない。
(2)低減速比動力伝達モード
低減速比動力伝達モードは、モータ32がベルト巻取り方向(反時計回り)に回転(以下、正転ともいう)することで設定される高速かつ低トルク伝達モード(高スピードモード)である。この低減速比動力伝達モードでは、図5(b)に示すように動力伝達遮断モードと同様に、クラッチパウル49の係止爪49bがインターナルギヤ30のラチェット歯30cに係合されず、インターナルギヤ30は回転自由となっていて低速かつ高トルク伝達経路は遮断される。
一方、動力伝達モード切換機構におけるクラッチギヤ軸44がクラッチアーム47の両側壁47a,47bの右端47eに当接して、クラッチギヤ43がキャリヤギヤ31に噛合する。したがって、クラッチギヤ43とキャリヤ13とがキャリヤギヤ31を介して接続され、モータ32の回転が減速して伝達されるが、その減速比が後述する高減速比動力伝達モードの減速比よりも小さい高速かつ低トルク伝達経路が設定される。すなわち、モータ32は、モータ回転軸32a、回転伝達部材34、モータギヤ35の第2外歯35b、第1コネクトギヤ41、第2コネクトギヤ42、クラッチギヤ43、キャリヤギヤ31、キャリヤ13、連結部材9、コネクタ8、およびトーションバー7を介してスプール4に接続される。これにより、低減速比動力伝達モードが設定される。この低減速比動力伝達モードでは、モータ32の駆動がスプール4に高速かつ低トルクで伝達されて迅速なベルト巻取りが可能となる。
(3)高減速比動力伝達モード
高減速比動力伝達モードは、モータ32が逆転することで設定される低速かつ高トルク伝達モード(高減速モード;低スピードモード)である。この高減速比動力伝達モードでは、図5(e)に示すようにクラッチギヤ43がキャリヤギヤ31から離間していて高速かつ低トルク伝達経路は遮断される。
一方、クラッチパウル49の係止爪49bがインターナルギヤ30のラチェット歯30cに係合され(図4に明確に示す状態になる)、インターナルギヤ30はモータ32の回転トルクによる回転が阻止される。したがって、ギヤ19とキャリヤ13とがサンギヤ20,およびプラネットギヤ25を介して接続され、モータ32の回転がキャリヤ13に伝達される。その場合、キャリヤ13、サンギヤ20,プラネットギヤ25、およびインターナルギヤ30からなる遊星歯車機構により、モータ32の回転がプラネットギヤ25の回転に変換されることで大きく減速されてキャリヤ13に伝達され、その減速比は前述の低減速比動力伝達モードの減速比よりも大きい。これにより、低速かつ高トルク伝達経路が設定される。すなわち、モータ32は、モータ回転軸32a、回転伝達部材34、モータギヤ35の第1外歯35a、ギヤ19、サンギヤ20,プラネットギヤ25、キャリヤ13、連結部材9、コネクタ8、およびトーションバー7を介してスプール4に接続される。これにより、高減速比動力伝達モードが設定される。この高減速比動力伝達モードでは、モータ32の駆動がスプール4に低速かつ高トルクで伝達されて比較的強力なつまり高ベルト張力でのベルト巻取りが可能となる。
これらの動力伝達遮断モード、低減速比動力伝達モード、高減速比動力伝達モード間の動力伝達モード切換は、動力伝達モード切換機構によって行われる。その場合、動力伝達モード切換機構の作動はモータ32の駆動により制御されるとともに、このときのモータ32の駆動は、図示しないモータ電流検出計で検出されるモータ電流に基づいて図示しないモータ制御装置により制御される。
(1)動力伝達遮断モード→低減速比動力伝達モードの動力伝達モード切換
図5(a)に示す動力伝達遮断モードの状態から、モータ32が正転すると、このモータ32の正転がモータギヤ35に伝達されてモータギヤ35が反時計回りに回転する。まず、モータギヤ35の反時計回りの回転で、ギヤ19が減速されて時計回りに回転する。このとき、動力伝達遮断モードと同様に、クラッチパウル49の係止爪49bがインターナルギヤ30のラチェット歯30cに係合されず、インターナルギヤ30は回転自由となっていて低速かつ高トルク伝達経路が遮断されている。
一方、モータギヤ35の反時計回りの回転で、モータギヤ35の第2外歯35bを介して第1コネクトギヤ41が減速されて時計回りに回転する。この第1コネクトギヤ41の回転で第2コネクトギヤ42も同方向に一体回転するが、クラッチスプリング45も摩擦係合により第2コネクトギヤ42の回転軸を中心に一体に同方向に回転する。これにより、クラッチギヤ43がキャリヤギヤ31に接近する方向に移動する。このクラッチギヤ43の移動は、クラッチギヤ軸44がガイド孔38a,39cに沿って移動するようにして行われる。また、第2コネクトギヤ42の回転でクラッチギヤ43が反時計回りに回転する。
図5(b)に示すように、クラッチギヤ43が移動してクラッチギヤ軸44がクラッチアーム47の両側壁47a,47bの右端47eに当接すると、クラッチギヤ軸44およびクラッチギヤ43の移動が停止する。このとき、両側壁47a,47bの右端47eは、図5(b)において左下から右上方向に傾斜しているため、右端47eに当接したクラッチギヤ軸44はこの右端47eを、クラッチアーム47が反時計回りに回動する方向に押圧する。しかし、このときは、クラッチギヤ軸44がクラッチアーム47を押圧する力が比較的小さく、この力によりクラッチアーム47を反時計回りに回動させるトルクがスプリング48によるクラッチアーム47を時計回りに回動させるトルクより小さいため、クラッチアーム47は回動しない。
そして、クラッチギヤ43はこの停止位置ではキャリヤギヤ31に噛合する。こうして、動力伝達歯車機構の動力伝達遮断モードから低減速比動力伝達モードへの動力伝達モード切換が行われ、動力伝達歯車機構は低減速比動力伝達モードに設定される。
(2)低減速比動力伝達モード→高減速比動力伝達モードの動力伝達モード切換
図5(b)に示す低減速比動力伝達モードから、モータ32の更なる正転による迅速なベルト巻取りでシートベルト3のスラック(緩み)がなくなると、スプール4のベルト巻取り抵抗であるベルト荷重が上昇する。すると、このベルト荷重の上昇でモータ32に供給されるモータ電流が上昇し、モータ32の回転トルクが増大する。このため、クラッチギヤ軸44がクラッチアーム47を押圧する力が大きくなるが、この力によりクラッチアーム47を反時計回りに回動させるトルクがスプリング48によりクラッチアーム47を時計回りに回動させるトルクより大きくなると、図5(c)に示すようにクラッチアーム47が反時計回りに回動する。すると、クラッチアーム47の角部47jが上方へつまりストッパスプリング50の押圧部50dから離間する方向へ移動するので、ストッパスプリング50の押圧部50dも上方へ移動する。そして、ストッパスプリング50の押圧部50dが上方へ移動してクラッチギヤ軸44に当接すると、クラッチアーム47の角部47jはストッパスプリング50の押圧部50dから離間する。
また、クラッチアーム47の反時計回りの回動により、スプリング48によりクラッチアーム47が突出軸49cを押圧する力が、ストッパスプリング50により突出軸49cがクラッチアーム47を逆方向に押圧する力より小さくなる。すると、ストッパスプリング50により、クラッチパウル49が時計方向に回動されて、クラッチパウル49の係止爪49bがインターナルギヤ30のラチェット歯30cに係合可能な位置となる。しかし、このモータの正転時は、インターナルギヤ30が反時計回りに回転しているので、係止爪49bとラチェット歯30cとは互いに係合しない。
クラッチアーム47が更に反時計回りに回動すると、図5(d)に示すようにクラッチパウル49の突出軸49cがクラッチアーム47のパウル規制孔47gの内周縁から離間するとともに、クラッチギヤ軸44がガイド孔38a,39cの左端に当接するのでこのクラッチギヤ軸44の移動が停止され、クラッチアーム47の反時計回りの回動が停止し、かつクラッチギヤ軸44が係合凹部47fに係合する。
モータ電流検出計で検出されるモータ電流がしきい値である設定電流値を超えたとき、制御装置はモータ32を一旦停止してから逆転する。すると、図5(e)に示すように第1および第2コネクトギヤ41,42も前述とは逆の反時計回りに回転するので、インターナルギヤ30が反時計回りに回転してクラッチパウル49の係止爪49bとインターナルギヤ30のラチェット歯30cとが係合する。その後、クラッチスプリング45も反時計回りに回転し、クラッチギヤ軸44がガイド孔38a,39cに沿ってクラッチアーム41から離間する方向に移動して係合凹部47fから脱出する。クラッチギヤ軸44が係合凹部47fから離間すると、クラッチギヤ43がキャリヤギヤ31から離間する方向に移動して、クラッチギヤ43とキャリヤギヤ31との噛合が解除される。また、クラッチギヤ軸44が係合凹部47fから脱出すると、クラッチアーム47を反時計回りに回動させる方向の押圧力が小さくなる。このため、スプリング48により、クラッチアーム47が時計回りに回転し、そのパウル規制孔47gの内周縁がクラッチパウル49の突出軸49cに当接する。このとき、パウル規制孔47gの内周縁がクラッチパウル49の突出軸49cに当接しても、クラッチパウル49の係止爪49bがインターナルギヤ30のラチェット歯30cに係合しているため、クラッチアーム47はそれ以上時計回りに回転しなく、この位置に停止する。
こうして、動力伝達歯車機構の低減速比動力伝達モードから高減速比動力伝達モードへの動力伝達モード切換が行われ、動力伝達歯車機構は高減速比動力伝達モードに設定される。そして、この高減速比動力伝達モードでは、図5(f)に示すようにクラッチギヤ軸44が更に移動してガイド孔38a,39cの右端に当接して停止し、クラッチギヤ軸44、クラッチギヤ43、およびクラッチスプリング45はともに初期位置に復帰する。
なお、この例の動力伝達歯車機構は、図5(f)に示す高減速比動力伝達モードから図5(a)に示す動力伝達遮断モードに切換設定が可能であるが、その説明は省略する。
更に、この例のシートベルトリトラクタ1は、シートベルト3の次の7つのベルトモードが設定されている。その場合、各ベルトモードの設定はモータ制御装置によりモータ32を制御することで行われる。
(1)ベルト格納モード
ベルト格納モードは、シートベルト3が使用されずスプール4に完全に巻き取られている状態のベルトモードである。このベルト格納モードでは、シートベルトリトラクタ1は、モータ32が駆動されず、かつ動力伝達歯車機構が動力伝達遮断モードに設定される。また、モータ32の消費電力がゼロである。
(2)ベルト引出しモード
ベルト引出しモードは、シートベルト3を装着するためにスプール4から引き出す状態のベルトモードである。同様にこのベルト引出しモードでも、シートベルトリトラクタ1は動力伝達遮断モードに設定される。したがって、シートベルト3を弱い力で引き出すことが可能となっている。このときにも、モータ32が駆動されず、消費電力がゼロである。
(3)フィッティング用ベルト巻取りモード
フィッティング用ベルト巻取りモードは、シートベルト3を引き出してタングをバックルに挿入係合してバックルスイッチがONした後、シートベルト3を乗員にフィットさせるために、余分に引き出されたシートベルト3を巻き取る状態、およびシートベルト3の通常装着状態(このとき、バックルスイッチはON状態となっている)で、乗員が動いてシートベルト3が所定量引き出された後、乗員が再び正規位置に着座したとき、引き出されたシートベルト3を巻き取る状態のベルトモードである。このフィッティング用ベルト巻取りモードでは、シートベルトリトラクタ1は、モータ32がベルト巻取り方向に駆動され、かつ動力伝達歯車機構が低減速比動力伝達モードに設定される。したがって、シートベルト3は低トルクで迅速に巻き取られ、ごく弱い所定のベルト張力が生じたときモータ32が停止することで、シートベルト3は乗員にフィットした状態で装着される。
(4)通常装着モード(コンフォートモード)
通常装着モード(コンフォートモード)は、フィッティング用ベルト巻取りモード終了後に設定される、シートベルト3の通常装着状態のベルトモードである。この通常装着モードでは、シートベルトリトラクタ1は、モータ32が駆動されず、かつ動力伝達歯車機構が動力伝達遮断モードに設定される。したがって、シートベルト3にごく弱いベルト張力が生じているだけであるので、乗員はシートベルト3が装着されても圧迫感を抱くことはない。また、消費電力がゼロである。
(5)警報モード
警報モードは、通常装着モードで車両走行中にドライバの居眠りや車輌進行方向前方の障害物を検知して、シートベルト3の巻取りを所定回数繰り返すことで、ドライバに警報を発する状態のベルトモードである。この警報モードでは、シートベルトリトラクタ1は、モータ32が繰り返し駆動されるように設定される。したがって、シートベルト3に比較的強いベルト張力(後述する緊急モードのベルト張力より弱い)とごく弱いベルト張力とが乗員に繰り返し加えられるので、ドライバは居眠りや車輌進行方向前方の障害物に対して注意を促される。
(6)緊急モード
緊急モードは、通常装着モードで車両走行中に車輌が障害物等に衝突するおそれがきわめて高い場合に設定されるベルトモードであり、次の2つの段階からなる。
(i) 初期段階
緊急モードの初期段階では、シートベルトリトラクタ1は、モータ32が正転される。すると、動力伝達歯車機構は動力伝達遮断モードから低減速比動力伝達モードに設定される。したがって、シートベルト3は低トルクで迅速に巻き取られて、シートベルト3のスラックが迅速に除去される。
(ii) 後期段階
前述の初期段階においてシートベルト3のスラックが除去されると、この初期段階に続いて緊急モードの後期段階となる。この後期段階では、シートベルト3の張力つまりベルト荷重がかなり上昇するので、モータ電流が上昇する。モータ電流検出計で検出されるモータ電流が設定電流値に上昇すると、モータ32は停止した後、逆転する。すると、動力伝達歯車機構は低減速比動力伝達モードから高減速比動力伝達モードに設定される。したがって、シートベルト3は高トルクで巻き取られて、きわめて強いベルト張力で乗員が拘束される。
(7)格納用ベルト巻取りモード
格納用ベルト巻取りモードは、シートベルト3の装着を解除するために、タングをバックルから抜き出し、バックルスイッチがOFFとなったとき、シートベルト3を格納状態にするために完全に巻き取る状態のベルトモードである。この格納用ベルト巻取りモードでは、制御装置がモータ32を正転させるので、動力伝達歯車機構は低減速比動力伝達モードに設定される。したがって、引き出されたシートベルト3はスプール4に低トルクで迅速に巻き取られる。
そして、シートベルト3が完全に巻き取られて、ごく弱い所定のベルト張力が生じたときにモータ32が停止する。続いて、モータ32が若干逆転されることで、動力伝達歯車機構は低減速比動力伝達モードから動力伝達遮断モードに設定される。その後、モータ32が停止して、シートベルト3はベルト格納モードとなる。
このように構成されたこの例のシートベルトリトラクタ1によれば、動力伝達歯車機構に高速かつ低トルク動力伝達経路からなる低減速比動力伝達モードと低速かつ高トルク動力伝達経路からなる高減速比動力伝達モードとの2つの動力伝達経路を設定しているので、低減速比動力伝達モードによる、シートベルト3のスラック除去のための迅速なベルト巻取りと、高減速比動力伝達モードによる、乗員拘束のための高トルクでのベルト巻取りという2つの巻取り性能を実現することができる。
また、低減速比動力伝達モードと高減速比動力伝達モードとを、モータ32の回転方向を変えることなく切り換えるようにした場合、切換時のシートベルト荷重を安定化するためには、ベルト荷重に精度よく相関して低減速比動力伝達モードをオン状態からオフ状態に切り換えることのできる高速伝達クラッチ機構が必要となる。その場合、このような高速伝達クラッチ機構は、ベルト荷重に相関した荷重を発生させる部材と、この部材に対向して高速伝達を維持しようとする部材との力のつり合いを用いた機構を採用しなければならない。しかしながら、このような機構は、通常、部材へのばね負荷、部材間の摩擦、部材間の力の作用角度等の複合で形成されざるを得ないため、力のつり合い関係が、ばね定数、摩擦係数、および力の作用角度等の機械的なばらつきや変動により変化してしまう。このため、伝達モード切換時のベルト荷重が不安定になることがある。これに対して、この例のシートベルトリトラクタ1では、低減速比動力伝達モードと高減速比動力伝達モードとを、モータ32の回転方向を変えることで切り換えるようにしているので、動力伝達遮断モード、低減速比動力伝達モードおよび高減速比動力伝達モードのモード切換を行う動力伝達モード切換機構の作動制御を簡単にできるとともに、動力伝達モード切換機構の構造を簡略化できる。これにより、動力伝達モードの切換時の前述の機械的なばらつきや変動のパラメータを低減することができ、切換時のベルト荷重を安定化させることができる。したがって、動力伝達モードの切換をより正確にかつより確実に行うことができる。
しかも、低減速比動力伝達モードと高減速比動力伝達モードとを、モータ32の回転方向を変えることで切り換えるようにした場合、回転方向の正転から逆転への反転自体を低減速比動力伝達モードのオンからオフへの切換に利用して、動力伝達モードの切換タイミングをベルト荷重と相関したモータ電流値によって決定しているので、動力伝達モード切換時のベルト荷重を左右するばらつきや変動のパラメータを、モータトルクに対するモータ電流値に集約することができる。これにより、動力伝達モードの切換をより一層正確にかつより一層確実に行うことができる。
更に、これらの2つの動力伝達経路が設定されることで、モータ32の回転トルクを効率よくスプール4に伝達することができるので、限られた消費電力でこれらの2つの巻取り性能を確実に発揮することができる。特に、乗員拘束のための高トルクでのベルト巻取りを低速かつ高トルク動力伝達経路で実現されるので、モータ32の回転トルクを従来に比して小さくすることができる。これにより、モータ32の消費電力を低減することができるとともに、より小型のモータを使用することができ、その分、シートベルトリトラクタ1をコンパクトにできる。
また、前述の2つの巻取り性能を実現できることで、シートベルトリトラクタ1にモータ32の回転トルクによるプリテンショニング機能を持たせることができる。したがって、従来のシートベルトリトラクタにおける反応ガスを用いたプリテンショナーを不要にできるので、コストを削減することができる。
更に、モータ32へ供給されるモータ電流に基づいて動力伝達歯車機構を低減速比動力伝達モードまたは高減速比動力伝達モードに設定しているので、モータ32の回転トルクを制御することなく、モード切換を簡単に行うことができるようになる。
更に、動力伝達歯車機構にモータ32の回転トルクをスプール4に伝達しない動力伝達遮断モードを設定しているので、シートベルト3の引出し、シートベルト3の圧迫感のない通常装着、非装着時のシートベルト3の格納を、モータ32に影響されることなく行うことができる。
更に、シートベルト3の格納巻取動作をモータ32の回転トルクのみで行っているので、シートベルト3に常時作用するうずまきばね等のスプリング手段によるシートベルト巻取方向の付勢力を、テンションレデューサ等の追加モジュールを用いることなく排除あるいはきわめて小さく設定することができる。
その場合、このスプリングによる付勢力を、乗員がシートベルト3の装着時に行うフィッティング動作のために最低限必要な範囲内で設定した場合であっても、モータ32の回転を低減速比動力伝達モードでスプール4に伝達することによりシートベルト3の巻取りを補助することで、シートベルト3の格納巻取り動作を確実に行うことが可能となる。
更に、高減速比動力伝達モードを設定する機構を、キャリヤ13、サンギヤ20,プラネットギヤ25、およびインターナルギヤ30からなる遊星歯車機構により構成しているので、低速かつ高トルク伝達経路をコンパクトに形成することができる。これにより、動力伝達歯車機構を低減速比動力伝達モードまたは高減速比動力伝達モードを有するようにしても、シートベルトリトラクタ1の大型化をより効果的に抑制することができる。
なお、前述の例では、モータ電流がしきい値である設定電流値を超えたとき、モータ32を正転から逆転へ回転方向を反転させることで動力伝達モードの切換えを行っているが、モータ電流が設定電流値を超えた時間が設定時間を超えたとき、モータ32を正転から逆転へ回転方向を反転させることで動力伝達モードの切換えを行うようにすることもできる。このようにすれば、モータ32の反転のタイミングを誤ることが抑制でき、動力伝達モードの切換えをより一層正確に行うことができる。
また、動力伝達モードの切換えは、モータ32の低トルクおよび高トルクの2つのトルクを用いた動力伝達モード切換機構以外の、例えば前述の特許文献2に開示のソレノイド等の機構を用いることができる。
更に、前述の例のように、動力伝達モード切換時にはモータ32の回転トルクは一定であるが、フィッティング用ベルト巻取りモード、警報モード、緊急モード、格納用ベルト巻取りモード等の各モードにおいては、モータ32の回転トルクをそのモードに応じて変化するように制御することもできる。
本発明のシートベルトリトラクタは、例えば自動車、飛行機、船舶等の乗員を乗せて移動する車両に装備されるシートベルト装置に用いられ、乗員を拘束保護するためのシートベルトをモータにより巻取るシートベルトリトラクタに好適に利用することができる。
また、本発明のシートベルト装置は、モータの回転トルクをより効率よく利用してスプールの巻取り力をよりきめ細かく制御することで、例えば自動車、飛行機、船舶等の乗員を効果的に拘束保護するシートベルト装置に好適に利用することができる。
本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の一例の一部を示す部分分解斜視図である。 本発明の実施の形態の一例の残部を示す部分分解斜視図である。 図1および図2に示す例のシートベルトリトラクタをリターンスプリング付きロッキングおよびベースフレームを外した状態で示す図である。 クラッチギヤとキャリヤギヤとの係合およびクラッチパウルとラチェット歯との係合を示す図である。 動力伝達歯車機構における動力伝達モードおよびモード切換を説明し、(a)は動力伝達遮断モードを模式的にかつ部分的に示す図、(b)は低減速比動力伝達モードを模式的にかつ部分的に示す図、(e)は高減速比動力伝達モードを模式的にかつ部分的に示す図、(c)、(d)および(e)は各モード切換を説明する図である。
符号の説明
1…シートベルトリトラクタ、2…ベースフレーム、3…シートベルト、4…スプール、5…リターンスプリング付きロッキング、7…トーションバー、13…キャリヤ、14…ロッキングベース、18…センター部材、19…ギヤ、20…サンギヤ、23…第2セパレータ、25…プラネットギヤ、26…リフタ、28…第3セパレータ、30…インターナルギヤ、31…キャリヤギヤ、32…モータ、35…モータギヤ、41…第1コネクトギヤ、42…第2コネクトギヤ、43…クラッチギヤ、44…クラッチギヤ軸、45…クラッチスプリング、47…クラッチアーム、48…スプリング、49…クラッチパウル、50…ストッパスプリング

Claims (6)

  1. シートベルトを巻取るスプールと、このスプールを回転させる回転トルクを発生するモータと、このモータの回転トルクを前記スプールに伝達する動力伝達機構とを少なくとも備え、モータの回転トルクにより前記シートベルトを前記スプールに巻き取るようになっているシートベルトリトラクタにおいて、
    前記動力伝達機構は、前記モータの回転トルクを高速かつ低トルクで前記スプールに伝達する低減速比動力伝達モードと前記モータの回転トルクを低速かつ高トルクで前記スプールに伝達する高減速比動力伝達モードとが設定されており、
    前記動力伝達機構を前記低減速比動力伝達モードと前記高減速比動力伝達モードとのいずれか一方に選択的に切り換え設定する動力伝達モード切換機構を備えているとともに、
    前記モータの回転方向を逆転制御することで前記動力伝達モード切換機構の作動を制御して前記低減速比動力伝達モードと前記高減速比動力伝達モードとを切り換え設定する制御装置を備えていることを特徴とするシートベルトリトラクタ。
  2. 前記制御装置は前記モータへ供給されるモータ電流に基づいて前記モータの回転方向を逆転制御することを特徴とする請求項1記載のシートベルトリトラクタ。
  3. 前記制御装置は、前記モータ電流が設定電流値以下のとき、前記動力伝達機構を前記低減速比動力伝達モードに設定するとともに、前記モータ電流が設定電流値を超えたとき、前記動力伝達機構を前記高減速比動力伝達モードに設定することを特徴とする請求項2記載のシートベルトリトラクタ。
  4. 前記動力伝達機構の前記高減速比動力伝達モードを設定する機構が、キャリヤ、サンギヤ,プラネットギヤ、およびインターナルギヤからなる遊星歯車機構により構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1記載のシートベルトリトラクタ。
  5. 前記動力伝達機構は、更に前記モータの回転トルクを前記スプールに伝達しない動力伝達遮断モードが設定されており、
    前記動力伝達モード切換機構は、前記動力伝達機構を、前記低減速比動力伝達モード、前記高減速比動力伝達モードおよび動力伝達遮断モードのいずれか一つのモードに選択的に切り換え設定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1記載のシートベルトリトラクタ。
  6. シートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタと、前記シートベルトに摺動可能に支持されたタングと、前記タングが係合されるバックルとを少なくとも備えたシートベルト装置において、
    前記シートベルトリトラクタが請求項1ないし5のいずれか1記載のシートベルトリトラクタであることを特徴とするシートベルト装置。
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