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JP2006198505A - 燃焼灰の処理方法 - Google Patents

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JP2006198505A JP2005012337A JP2005012337A JP2006198505A JP 2006198505 A JP2006198505 A JP 2006198505A JP 2005012337 A JP2005012337 A JP 2005012337A JP 2005012337 A JP2005012337 A JP 2005012337A JP 2006198505 A JP2006198505 A JP 2006198505A
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佳織 井上
Makoto Iwasaki
誠 岩崎
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Abstract

【課題】 燃焼灰中に含まれるフッ素やホウ素の溶出量を、環境基準値以下とする燃焼灰の処理方法を提供する。
【解決手段】 燃焼灰を、酸化カルシウム類及び/又は水酸化カルシウム類、アルミナセメント及び硫酸水溶液の存在下に混合処理し、平成15年環境省告示第18号に基づく溶出試験方法によって前記燃焼灰中に含まれるフッ素及び/又はホウ素を溶出させた場合のフッ素の溶出量が0.8mg/L以下で、ホウ素の溶出量が1.0mg/L以下である燃焼灰を調製する燃焼灰の処理方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、燃焼灰、特にフッ素及びホウ素を含有する燃焼灰の処理剤及び処理方法に関する。また本発明は、環境省で2003年2月に施行された土壌汚染対策法での規制対象物質であるフッ素及びホウ素の溶出基準値に適合するため、これらを含む燃焼灰を酸化カルシウム類及び/又は水酸化カルシウム類、アルミナセメント及び硫酸水溶液を加えて混合処理することによって、その燃焼灰中に含まれるフッ素の溶出量を0.8mg/L以下、ホウ素を含有する場合にはホウ素の溶出量を、1.0mg/L以下にする燃焼灰の処理方法に関する。
フッ素は、虫歯予防に有効とされてきたが、その過剰摂取は斑状歯に留まらず、フッ素症といわれる骨や関節が変形し、骨硬化症を起こし、神経系に影響を与えることが知られてきている。またホウ素は、メッキなどの表面処理、ガラス、殺菌剤、樹脂、化学薬品、肥料などの製造に幅広く使用される基礎素材であるが、一定濃度を超えると農作物の育成を阻害したり、人体への健康影響としては、高濃度の摂取による嘔吐、下痢及び吐き気などの症例が報告されており、ラットの催奇形性試験で胎児の体重増加抑制が認められるとされている。これらの影響を予防するために、フッ素及びホウ素の不溶化技術は重要な役割を果たす。
またフッ素やホウ素は、家庭ゴミ焼却灰、火力発電所からの石炭燃焼灰(石炭灰)、下水汚泥焼却灰、各種産業廃棄物などの燃焼灰の中にも含まれており、中でも石炭灰は、元来石炭にフッ素やホウ素が数〜数百mg/kg含まれているため、フッ素やホウ素の含有量が高い。また、その燃焼灰の多くは土壌改良材や埋戻し材として使用されるので、これが雨などで溶出して地下水汚染を起こす事が心配される。また、燃焼灰を埋め立てる処分場も不足しているので、燃焼灰中のフッ素及びホウ素の不溶出化による有効利用を図ることが望まれている。
燃焼灰の有害物質の無害化法として、溶融固化法、セメント固化、石灰などを添加、酸またはその他の溶媒による抽出処理等も提案されている。しかしフッ素とホウ素を同時に溶出抑制できる手段は数少なく、実用的なものはさらに少ない。
溶融固化法( 特許文献 1)は、廃棄物を1400〜1600℃の高温になるまで加熱することによって、有機物を分解し、重金属等の有害物質を生成するスラグに封じ込み固定化するものである。しかしフッ素やホウ素が固定化される記述はなく、示唆もない。また、この方式は、安全性は最も高いとされているが、新たに発生するより高濃度の有害物質を含有する飛灰処理の問題等の欠点があり、また設備費を含めた処理コストが最も高いことも問題となっている。
石炭灰中のホウ素を高炉セメントで固化して溶出抑制する方法( 特許文献 2)があるが、固化するまでに養生日数が1週間程度かかるため処理後の灰置場を要するといった制限を受けることに加え、灰の性状により固化しても、その固化物に耐久性がない場合があり、例えばセメントが風化して灰の成分が溶出し、これによる汚染が考えられる。またこの方法で溶出抑制出来るのは、ホウ素のみでありフッ素に関しての効果は期待できない。
また汚泥に石灰、石炭燃焼灰、石膏を水の存在下で混錬し、フッ素及びホウ素の溶出を抑制する方法( 特許文献 3)があるが、フッ素及びホウ素溶出量が土壌環境基準値以下となるための養生に約1週間を要し、上記と同様に処理後の灰置場を要するといった制限を受ける。さらに処理後は固化が進み、土壌改良材や盛土などへの使用は難しくなる。
さらに排水中のフッ素やホウ素を含水酸化ジルコニウム複合親水性高分子成型体(特許文献4)や1400℃以下の温度で焼成した酸化マグネシウムに吸着除去させる方法(特許文献5)があるが、これらの手法を燃焼灰の無害化に応用する事は技術的に難しく、これらの高価で製造に手間のかかる吸着剤を灰に添加してもフッ素、ホウ素を不溶化させる効果は不明であり、また吸着剤は回収できず、非常に高価な手法となってしまい現実的ではない。
酸などの溶媒抽出によるホウ素除去(非特許文献 1)は、処理に大量の水や時間がかかり、さらにホウ素を含む排水の処理といった付帯設備も必要となり、それらを合せると非常に大規模な設備を要し、設備費も莫大となり、実用上には不向きである。またこの手法もフッ素への効果は明らかではない。
また、燃焼灰を融雪材あるいは酸性土壌を改良するために使われる土壌改良材や建設工事の盛土、埋め戻し材として用いる場合には、フッ素及びホウ素の溶出を同時に抑制する方法は手法が限られ、例えばセメントで固めて使用するなどの方法も利用する事ができない。さらに処理に時間や場所を多く要するといった制限があってはならず、さらに燃焼灰中のフッ素及びホウ素含有量の変動にも確実に対応して抑制効果を発揮しなくてはならない。以上、詳細に述べたように従来の灰の処理方法には、フッ素及びホウ素の溶出を同時に抑制できる、満足できるものは提案されていなかった。
特開平9−271738号公報 特開2001−310175号公報 特開2002−346595号公報 特開2002−38038号公報 特開2001−340872号公報 大林組技術研究所報 No.65 2002 P95〜100
本発明は、石炭やRPFを燃料としたボイラから排出される燃焼灰や製紙スラッジ等の焼却炉から排出される灰からフッ素及びホウ素の溶出を抑制する方法を、上記のようなセメント固化や溶融といった、複雑で手間や費用のかかる方法や、効果が発現するまでに時間のかかる方法に替わる簡便でかつ安価な方法を提供し、フッ素及びホウ素の溶出を同時に抑えることにより土壌汚染、水質汚染を起こす恐れのない燃焼灰を土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材、盛土等、種々の用途に有効利用することを目的とする。
本発明は燃焼灰に含まれるフッ素やホウ素の溶出抑制方法であり、前述の技術的課題を解決するために以下の発明を包含する。
(1)燃焼灰を酸化カルシウム類及び/又は水酸化カルシウム類、アルミナセメント及び硫酸水溶液を加えて混合処理し、平成15年環境省告示第18号に基づく溶出試験方法によって前記燃焼灰中に含まれるフッ素の溶出量が0.8mg/L以下であり、ホウ素の溶出量を1.0mg/L以下である燃焼灰を調整する燃焼灰の処理方法。
(2)前記燃焼灰が石炭の燃焼灰、RPF(Refused Paper and Plastics Fuel)の燃焼灰及び製紙用スラッジの焼却炉から排出される燃焼灰等から選ばれる少なくとも1種でありフッ素及び/又はホウ素を含有する燃焼灰である(1)記載の燃焼灰の処理方法
(3)前記燃焼灰の処理に使用される酸化カルシウム類及び/又は水酸化カルシウム類が生石灰、消石灰あるいは石灰石、ドロマイト、帆立貝、ペーパースラッジ、古紙粕等なら選ばれるカルシウム源を焼成して得られる石灰、及びその水酸化物のいずれか一つ、または、任意な比率の組み合わせである(1)記載有燃焼灰の処理方法。
本発明は、石炭やRPFを燃料としたボイラからの燃焼灰や製紙スラッジ等の焼却炉から排出される灰からフッ素及びホウ素の溶出を同時に抑制する方法として、上記のようなセメント固化や溶融と言った複雑で手間のかかる方法や、効果が発現するまでに時間のかかる方法に替わる簡便でかつ安価な方法を提供し、フッ素及びホウ素の溶出を抑えることにより土壌汚染、水質汚染を起こす恐れのない燃焼灰を融雪材、土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材、盛土などとして環境への悪影響もなく利用することを可能とするものである。
以下、本発明を具体的に説明する。
燃焼灰などに含まれるフッ素やホウ素の不溶化メカニズムは今のところ明確ではないが、本発明のように処理剤として酸化カルシウム類及び/又は水酸化カルシウム類、アルミナセメントの存在下で、種々の硫酸根を含む水溶液の添加を試みたところ、驚くべき事に、硫酸水溶液を用いることで、速やかにカルシウムサルフォアルミネート水和物であるエトリンガイト結晶を形成し、フッ素及びホウ素を取込むと考えられ、処理後わずか数時間でこれらを同時に溶出抑制させる効果があることを見出した。
本発明に適用される灰は、石炭、RPF(Refused Paper & Plastics Fuel)及び製紙スラッジなどを燃焼した際に発生する燃焼灰であり、詳しくはこれらを燃焼した際に排出されるガスを電気集塵器(EP)やバグフィルター等で捕獲した飛灰(それぞれEP灰やバグ灰と略す)等である。
本発明で使用される酸化カルシウム類及び/又は水酸化カルシウム類は、燃焼灰中のフッ素やホウ素あるいはそれらの化合物を結晶構造に取り込む必要があり、そのためには酸化カルシウム類及び/又は水酸化カルシウム類としては、生石灰、消石灰あるいは石灰石、ドロマイト、帆立貝、ペーパースラッジ、古紙粕などのカルシウム源から焼成した石灰及びこれらの水酸化物のいずれか一つ、または、任意な比率の組み合わせて使用する事がフッ素及びホウ素の溶出抑制のために好ましい。
本発明に使用されるアルミナセメントは、主としてアルミナ質原料及び石灰質原料を適当な比率で混合し、溶融あるいはその一部が溶融して焼結するまで加熱して得られたクリンカーを粉砕したものであり、CaO・Al、CaO・2Al、12CaO・7Alなどのアルミン酸カルシウムを主体とする。ただ、使用には入手が容易な市販のものが好ましいがそれに限定されるものではない。
燃焼灰と酸化カルシウム類及び又は水酸化カルシウム類、アルミナセメント及び硫酸水溶液で処理する際の重量比は、燃焼灰/酸化カルシウム類及び又は水酸化カルシウム類と燃焼灰/アルミナセメントは200/1〜100/10の範囲が好ましく、より好ましくは100/1〜100/5が好ましい。200/1未満の重量比では、フッ素及びホウ素の固定化が十分できず、逆に100/10を越える場合には、処理後の灰の絶対量が増え、利用上の制限を受け、コストも増加するので実際的ではない。一方燃焼灰/濃硫酸の重量比は200/1〜100/10の範囲が好ましく、より好ましくは100/1〜100/10が良い。加える水の量は燃焼灰に対して5〜30重量%が好ましく、より好ましくは10〜30重量%が良い。
燃焼灰に酸化カルシウム類及び/又は水酸化カルシウム類、アルミナセメント及び硫酸水溶液を添加した後はよく攪拌することが好ましく、攪拌する事により添加物がより均一に燃焼灰中に分散し、薬品が最小限の量でフッ素及びホウ素の固定化が行われる。攪拌機としては、市販されている一般的なものが使用されるが、特に限定されるものではない。本発明は、処理中に臭気などが発生しないので安全な手法である。
本発明により処理した燃焼灰は僅か3時間後には、平成15年環境省告示第18号の溶出試験方法に基づき溶出させたフッ素及びホウ素の溶出量は、未処理ではフッ素、ホウ素ともに2mg/L以上であったのに対し、フッ素、ホウ素ともに基準値(フッ素:0.8mg/L、ホウ素:1.0mg/L)の半分以下になった。またフッ素、ホウ素以外の重金属の溶出も抑える事が可能である。処理後の形態も固化しておらず、湿潤状態のため取り扱いも容易であり、融雪材、土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材、盛土等、種々の用途に利用が可能となる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨逸脱しない限り、その実施態様を変更することができる。
なお以下に実施例及び比較例でフッ素及びホウ素の溶出抑制試料として用いた燃焼灰は、石炭を燃料としたストーカー炉の電気集塵器(EP)で捕獲したEP灰である。化学組成及びフッ素、ホウ素の含有量、溶出量は下記表1に示す通りである。
Figure 2006198505
1)フッ素及びホウ素の溶出方法
以下に示す各実施例及び比較例では、ホウ素の溶出試験は平成15年環境省告示第18号に準拠して行なった。すなわち、ストーカー炉、微粉炭炉の煙道にある電気集塵器(EP)で集塵された飛灰の未処理あるいは処理された灰試料を風乾し、中小礫、木片などを除き、団粒を粉砕した後、非金属製である目開き2mmの篩を通過させ、それらを良く混合する。この試料から50gを1000mlの蓋つきのポリエチレン容器に取り、純水(pH5.8〜6.3)を500ml加える。この調製した試料液を常温、大気圧下で、産廃溶出振とう機(タイテック社製)を用いて6時間連続して振とう(振とう幅4〜5cm、振動数 200回/分)した。この液を30分静置した後、毎分約3000回転で20分間遠心分離した。上澄み液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、濾液をとり、定量に必要な量を正確に計り取り、これを検液とした。
2) フッ素の測定方法
検液をイオンクロマトグラフ(DX−120/DIONEX社製)で分析し、溶出したフッ素を定量した。
3) ホウ素の測定方法
検液を、ICP−OES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置、リガク/SPECTORO社製、 CIROS−120型)で分析し、溶出したホウ素量を定量した。
4) アルミナセメント及び普通ポルトランドセメントの化学組成
実施例及び比較例に使用した2種類の市販アルミナセメントと普通ポルトランドセメントの化学組成を表2に示した。
Figure 2006198505
実施例1
石炭ボイラのEP灰を500gビニル袋に計り取り、キルン焼成石灰を15g、表2に示すアルミナセメントaを15g添加した後十分に攪拌し、灰(絶乾)に対して濃硫酸が5重量%、添加水が25重量%となるように調整した硫酸水溶液をスプレーで均一になるように噴霧後、よく攪拌した。養生日数を3時間、1日、3日、10日として、各養生日数毎に上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素及びホウ素の溶出量を求めた。その結果を表3に示す。
実施例2
石炭ボイラのEP灰500gをビニル袋に計り取り、キルン焼成石灰を15g、表2に示すアルミナセメントbを15g添加した後十分に攪拌し、灰(絶乾)に対して硫酸が5重量%、添加水が25重量%となるように調整した硫酸水溶液をスプレーで均一になるように噴霧後、よく攪拌した。養生日数を3時間、1日、3日、10日として、養生日数毎に上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素及びホウ素の溶出量を求めた。その結果を表3に示す。
実施例3
石炭ボイラのEP灰500gをビニル袋に計り取り、キルン焼成石灰を15g、表2に示すアルミナセメントaを7.5g添加した後十分に攪拌し、灰(絶乾)に対して硫酸が5重量%、添加水が25重量%となるように調整した硫酸水溶液をスプレーで均一になるように噴霧後、よく攪拌した。養生日数を3時間、1日、3日、10日として、養生日数毎に上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素及びホウ素の溶出量を求めた。その結果を表3に示す。
実施例4
石炭ボイラのEP灰500gをビニル袋に計り取り、消石灰を15g、表2に示すアルミナセメントaを7.5g添加した後十分に攪拌し、灰(絶乾)に対して硫酸が5重量%、添加水が25重量%となるように調整した硫酸水溶液をスプレーで均一になるように噴霧後、よく攪拌した。養生日数を3時間、1日、3日、10日として、養生日数毎に上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素及びホウ素の溶出量を求めた。その結果を表3に示す。
比較例1
石炭ボイラのEP灰500gをビニル袋に計り取り、純水125mlをスプレーで均一になるように噴霧後、よく攪拌した。養生日数を3時間、1日、3日、10日として、各養生日数毎に上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素及びホウ素の溶出量を求めた。その結果を表3に示す。
比較例2
石炭ボイラのEP灰500gをビニル袋に計り取り、表2に示すアルミナセメントaを15g添加した後十分に攪拌し、純水125mlをスプレーで均一になるように噴霧後、よく攪拌した。養生日数を3時間、1日、3日、10日として、各養生日数毎に上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素及びホウ素の溶出量を求めた。その結果を表3に示す。
比較例3
石炭ボイラのEP灰500gをビニル袋に計り取り、キルン焼成石灰を15g、表2に示すアルミナセメントaを15g添加した後十分に攪拌し、純水125mlをスプレーで均一になるように噴霧後、よく攪拌した。養生日数を3時間、1日、3日、10日として、各養生日数毎に上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素及びホウ素の溶出量を求めた。その結果を表3に示す。
比較例4
石炭ボイラのEP灰500gをビニル袋に計り取り、キルン焼成石灰を15g、表2に示すアルミナセメントaを15g添加した後十分に攪拌し、、灰(絶乾)に対して硫酸アルミニウムが5重量%、添加水が25重量%となるように調整した硫酸アルミニウム水溶液をスプレーで均一になるように噴霧後、よく攪拌した。養生日数を3時間、1日、3日、10日として、各養生日数毎に上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素及びホウ素の溶出量を求めた。その結果を表3に示す。
比較例5
石炭ボイラのEP灰500gをビニル袋に計り取り、キルン焼成石灰を15g、表2に示すアルミナセメントaを15g及び半水石膏を硫酸カルシウムとして灰(絶乾)に対して5重量%となるように添加し、添加水及び半水石膏の結晶水を合せた量が灰の25重量%となるように純水をスプレーで均一になるように噴霧後、よく攪拌した。養生日数を3時間、1日、3日、10日として、各養生日数毎に上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素及びホウ素の溶出量を求めた。その結果を表3に示す。
比較例6
石炭ボイラのEP灰500gをビニル袋に計り取り、キルン焼成石灰を15g、表2に示すアルミナセメントaを15g、硫酸ナトリウムを25g添加した後十分に攪拌し、純水125mlをスプレーで均一になるように噴霧後、よく攪拌した。養生日数を3時間、1日、3日、10日として、各養生日数毎に上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素及びホウ素の溶出量を求めた。その結果を表3に示す。
比較例7
石炭ボイラのEP灰500gをビニル袋に計り取り、キルン焼成石灰を15g、普通ポルトランドセメントを15g添加した後十分に攪拌し、硫酸を含む水溶液を、灰(絶乾)に対して濃硫酸が5重量%、添加水が25重量%となるように調整した硫酸水溶液をスプレーで均一になるように噴霧後、よく攪拌した。養生日数を3時間、1日、3日、10日として、各養生日数毎に上記の溶出法と測定法で分析し、フッ素及びホウ素の溶出量を求めた。その結果を表3に示す。
Figure 2006198505
表3から明らかなように、実施例1〜4では、石炭EP灰に焼成石灰あるいは消石灰、アルミナセメント及び硫酸水溶液を加えて攪拌することにより、処理後僅か3時間で基準値を大幅に下回り、フッ素及びホウ素の不溶出化を同時に達成した。
一方比較例1のように石炭EP灰に水のみで加湿した場合は乾灰のままよりも、フッ素及びホウ素の溶出量を若干減少出来るが基準値をクリアーできない。また比較例2で焼成石灰とアルミナセメント及び水を添加したが、フッ素及びホウ素の抑制効果はほとんど見られない。比較例3〜5において、焼成石灰/アルミナセメントの存在下で硫酸アルミニウム、石膏または硫酸ナトリウムの水溶液の添加を行ったが、フッ素やホウ素どちらかを溶出抑制できる場合はあっても、両者を同時に抑制できるものはない。また比較例6においては、アルミナセメントの代わりに普通セメントを用い、焼成石灰と硫酸水溶液で処理したが、フッ素及びホウ素を共に基準値以下に溶出抑制するためには10日以上かかってしまう。
以上のように、燃焼灰を酸化カルシウム類及び/又は水酸化カルシウム類、アルミナセメント及び硫酸水溶液を添加して、攪拌処理を行い僅か3時間で、燃焼灰中のフッ素及びホウ素の溶出を同時に抑制し、土壌汚染対策法の基準値以下に収める本発明は、迅速かつ簡便で極めて有効であることがわかる。
石炭ボイラやRPFを燃料としたRPFボイラから排出される灰に、煙道や排出口で前記の酸化カルシウム類及び/又は水酸化カルシウム類、アルミナセメント、硫酸水溶液を添加混合処理して無害化する事が可能であり、得られた灰は固化していないために、利用先を制限されず、融雪材、土壌改良材、草地改良材、埋め戻し材、盛土等に有効利用する事が出来る安価な方法である。


Claims (3)

  1. 燃焼灰を、酸化カルシウム類及び/又は水酸化カルシウム類、アルミナセメント、硫酸水溶液を加えて混合処理することにより、その燃焼灰中に含まれるフッ素及びホウ素を、平成15年環境庁告示18号に基づく溶出試験方法で溶出させた場合のフッ素溶出量が0.8mg/L以下、ホウ素溶出量が1.0mg/L以下となるように不溶化する燃焼灰の処理方法。
  2. 前期燃焼灰が石炭の燃焼灰、RPF(Refused Paper and Plastics Fuel)の燃焼灰及び製紙用スラッジの焼却炉から排出される燃焼灰から選ばれる少なくとも1種であって、フッ素及び/又はホウ素を含有する燃焼灰であることを特徴とする請求項1記載の燃焼灰の処理方法。
  3. 前記燃焼灰の処理に使用される酸化カルシウム類及び/又は水酸化カルシウム類が、生石灰、消石灰、石灰石、ドロマイト、帆立貝、ペーパースラッジ及び古紙粕から選ばれるカルシウム源を焼成して得られる石灰、及びその水酸化物の少なくとも1種又は任意組み合わせである請求項1又は2に記載の燃焼灰の処理方法。



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