JP2006188470A - インドリン誘導体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は医薬品の原体として有用なインドリン誘導体の新規な製造方法に関する。また、本発明は該製造方法において有用な新規な中間体に関する。
下式(6)で表される化合物(インドリン誘導体)は、排尿困難症治療剤として有用な公知の化合物である。
式(6)で表される化合物の製造方法としては、下式(2)で表される光学活性な化合物を経由して製造する方法が提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。この式(2)で表される化合物を得る方法としては、光学分割剤を用いて光学分割する方法(特許文献1参照)や、光学活性なアミンを用いて不斉還元する方法(特許文献2参照)が知られている。
しかし、特許文献1の方法は収率が低い問題があった。また、目的とする立体配置を有する光学活性体以外の生成物は不要になるため経済的に不利であった。また、特許文献2の方法では、光学活性なアミンが高価であり、この方法も経済的に不利であった。
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、安価で入手容易な原料から、式(2)で表される化合物を経由して、効率良く式(6)で表される化合物を製造する方法、および該製造方法において有用な中間体を提供する。すなわち、本発明は以下の発明を提供する。
[1]下式(7)で表される化合物を還元して下式(8)で表される化合物とし、該式(8)で表される化合物を臭素化して下式(9)で表される化合物とし、該式(9)で表される化合物をシアノ化することを特徴とする下式(1)で表される化合物の製造方法(ただし、R1はベンジル基またはテトラヒドロピラニル基を示し、R2はベンジル基またはt−ブチル基を示す。)。
[2]下式(7)で表される化合物(ただし、R1はベンジル基またはテトラヒドロピラニル基を示し、R2はベンジル基またはt−ブチル基を示す。)
[3]下式(8)で表される化合物(ただし、R1はベンジル基またはテトラヒドロピラニル基を示し、R2はベンジル基またはt−ブチル基を示す。)。
[4]下式(9)で表される化合物(ただし、R1はベンジル基またはテトラヒドロピラニル基を示し、R2はベンジル基またはt−ブチル基を示す。)。
[5]下式(1)で表される化合物(ただし、R1はベンジル基またはテトラヒドロピラニル基を示し、R2はベンジル基またはt−ブチル基を示す。)
[6]下式(1)で表される化合物の保護されたアミノ基を脱保護することを特徴とする下式(2)で表される化合物の製造方法(ただし、R1はベンジル基またはテトラヒドロピラニル基を示し、R2はベンジル基またはt−ブチル基を示す。)。
[7][6]に記載の製造方法で得た式(2)で表される化合物と下式(3)で表される化合物とをカップリングさせることを特徴とする下式(4)で表される化合物の製造方法(ただし、R1は前記と同じ意味を示し、Xはメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示す。)。
[8][7]に記載の製造方法で得た式(4)で表される化合物の保護された水酸基を脱保護することを特徴とする下式(5)で表される化合物の製造方法。
[9][8]に記載の製造方法で得た式(5)で表される化合物を加水分解することを特徴とする前記式(6)で表される化合物の製造方法。
本発明によれば、安価で入手容易な原料から、光学分割や不斉還元反応を行うことなしに下式(2)で表される化合物を経由して、効率良く下式(6)で表される化合物を製造する新規な方法、および該製造方法において有用である新規な中間体が提供される。
本明細書においては、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」のようにも記す。他の式で表される化合物についても同様に記す。
本発明の製造方法の概要は下式で示すことができる。ただし、本発明は下式に限定されない。
本発明の製造方法の概要は下式で示すことができる。ただし、本発明は下式に限定されない。
ここで、R1はベンジル基またはテトラヒドロピラニル基を示す。テトラヒドロピラニル基としては、2−、3−、および4−テトラヒドロピラニル基が挙げられる。R2はベンジル基またはt−ブチル基を示す。Xはメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示す。
すなわち、化合物(7)の還元反応((a)工程)を行って化合物(8)を得る。化合物(8)は臭素化((b)工程)して化合物(9)を得る。化合物(9)はシアノ化((c)工程)して化合物(1)を得る。化合物(1)は保護されたアミノ基を脱保護((d)工程)して化合物(2)を得る。
次いで、化合物(2)と化合物(3)とをカップリング((e)工程)させ化合物(4)を得る。化合物(4)は保護された水酸基を脱保護((f)工程)して化合物(5)を得る。さらに、化合物(5)は加水分解((g)工程)して化合物(6)を得る。
次いで、化合物(2)と化合物(3)とをカップリング((e)工程)させ化合物(4)を得る。化合物(4)は保護された水酸基を脱保護((f)工程)して化合物(5)を得る。さらに、化合物(5)は加水分解((g)工程)して化合物(6)を得る。
(a)工程は、化合物(7)の還元反応を行い、化合物(8)を得る工程である。該還元反応はカルボニル基の還元に用いられる公知の手法を適用して実施できる。たとえば「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応(I)」(丸善株式会社発行)等に記載の方法が用いられる。具体的には、トリアルキルシラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム等の金属ヒドリド反応剤を用いる還元反応;Clemmensen還元反応;Wolff−Kishner還元反応;等が挙げられる。
金属ヒドリド反応剤を用いる還元反応を行う場合、金属ヒドリド反応剤としては、トリアルキルシランが好ましい。トリアルキルシランとしては、トリメチルシランまたはトリエチルシランが好ましく、トリエチルシランが特に好ましい。トリアルキルシランの量は、化合物(7)に対して1〜3倍モルが好ましく、2〜3倍モルが特に好ましい。
トリアルキルシランを用いて還元反応を行う場合は、有機酸を溶媒として使用することが好ましい。有機酸としては、酢酸またはトリフルオロ酢酸が好ましく、トリフルオロ酢酸が特に好ましい。反応温度は10〜50℃が好ましく、15〜40℃が特に好ましい。反応はおよそ12〜24時間で完結する。
トリアルキルシランを用いて還元反応を行う場合は、有機酸を溶媒として使用することが好ましい。有機酸としては、酢酸またはトリフルオロ酢酸が好ましく、トリフルオロ酢酸が特に好ましい。反応温度は10〜50℃が好ましく、15〜40℃が特に好ましい。反応はおよそ12〜24時間で完結する。
Clemmensen還元反応を行う場合には、化合物(7)を亜鉛−アマルガムとともに加熱する方法によるのが好ましい。具体的には、化合物(7)に対してそれぞれ1〜5モル%の亜鉛および塩化水銀を用意し、これに、化合物(7)に対してそれぞれ5〜20質量%の濃塩酸、5〜50倍質量の水を加えアマルガム化し、亜鉛−アマルガムの懸濁液を調製する。
つぎに該懸濁液に、化合物(7)に対してそれぞれ1〜3倍質量の水、2〜5倍質量の濃塩酸、1〜5倍質量のトルエン、および化合物(7)を加えて加熱還流する方法により実施するのが好ましい。該反応の反応時間は24〜36時間が好ましい。
つぎに該懸濁液に、化合物(7)に対してそれぞれ1〜3倍質量の水、2〜5倍質量の濃塩酸、1〜5倍質量のトルエン、および化合物(7)を加えて加熱還流する方法により実施するのが好ましい。該反応の反応時間は24〜36時間が好ましい。
また、Wolff−Kishner還元反応を行う場合には、化合物(7)をジエチレングリコール中、ヒドラジンおよび水酸化ナトリウムとともに加熱還流する方法によるのが好ましい。ヒドラジンの量は化合物(7)に対して1〜4倍モルが好ましく、水酸化ナトリウムの量は化合物(7)に対して2〜7倍モルが好ましい。反応時間は3〜9時間が好ましい。反応終了後にさらに加熱を行い、過剰のヒドラジンおよび水を留出させることが好ましい。
(b)工程は、化合物(8)を臭素化して化合物(9)を得る工程である。臭素化反応は臭素化剤を用いて行うのが好ましい。臭素化剤としては、臭素、N−ブロモスクシンイミド、および1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン等が挙げられ、臭素またはN−ブロモスクシンイミドが好ましく、臭素が特に好ましい。
臭素化反応に臭素を用いる場合は、化合物(8)に臭素を加える方法によるのが好ましい。臭素の量は化合物(8)に対して1〜3倍モルが好ましく、1〜1.5倍モルが特に好ましい。臭素を用いる臭素化反応には溶媒を使用することが好ましい。溶媒としては、酢酸、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、またはt−ブチルメチルエーテルが好ましく、酢酸が特に好ましい。反応温度は10〜80℃が好ましく、20〜60℃が特に好ましい。反応時間は1〜6時間が好ましい。反応圧力は大気圧が好ましい。
臭素化反応に臭素を用いる場合は、化合物(8)に臭素を加える方法によるのが好ましい。臭素の量は化合物(8)に対して1〜3倍モルが好ましく、1〜1.5倍モルが特に好ましい。臭素を用いる臭素化反応には溶媒を使用することが好ましい。溶媒としては、酢酸、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、またはt−ブチルメチルエーテルが好ましく、酢酸が特に好ましい。反応温度は10〜80℃が好ましく、20〜60℃が特に好ましい。反応時間は1〜6時間が好ましい。反応圧力は大気圧が好ましい。
臭素化反応にN−ブロモスクシンイミドを用いる場合は、化合物(8)にN−ブロモスクシンイミドを加えて加熱する方法によるのが好ましい。N−ブロモスクシンイミドの量は化合物(8)に対して1〜3倍モルが好ましく、1〜1.5倍モルが特に好ましい。
N−ブロモスクシンイミドを用いる臭素化反応には溶媒を使用することが好ましい。溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒が好ましく、N,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。反応温度は20〜80℃が好ましく、40〜60℃が特に好ましい。反応時間は1〜12時間が好ましい。反応圧力は大気圧が好ましい。
N−ブロモスクシンイミドを用いる臭素化反応には溶媒を使用することが好ましい。溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒が好ましく、N,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。反応温度は20〜80℃が好ましく、40〜60℃が特に好ましい。反応時間は1〜12時間が好ましい。反応圧力は大気圧が好ましい。
(c)工程は化合物(9)をシアノ化して化合物(1)を得る工程である。シアノ化反応は、金属ヨウ化物を触媒として、アルゴン雰囲気下で化合物(9)に金属シアン化物を反応させることにより実施するのが好ましい。金属シアン化物としては、シアン化銅、シアン化ナトリウム、またはシアン化カリウム等が好ましく、シアン化銅が特に好ましい。金属シアン化物の量は化合物(9)に対して1〜5倍モルが好ましく、1〜2倍モルが特に好ましい。金属ヨウ化物としてはアルカリ金属ヨウ化物が好ましく、NaI、KIがより好ましく、NaIが特に好ましい。また、金属ヨウ化物の量は化合物(9)に対して10〜50モル%が好ましく、10〜30モル%が特に好ましい。
シアノ化反応は、溶媒の存在下に実施することが好ましい。溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;トルエン、ベンゼン等の芳香族系溶媒;が好ましく、N,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。反応温度は100〜130℃が好ましく、反応時間は24〜39時間が好ましい。
シアノ化反応は、溶媒の存在下に実施することが好ましい。溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;トルエン、ベンゼン等の芳香族系溶媒;が好ましく、N,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。反応温度は100〜130℃が好ましく、反応時間は24〜39時間が好ましい。
本発明の製造方法における化合物(7)、化合物(8)、化合物(9)、および化合物(1)は、いずれも新規な化合物である。すなわち本発明によれば、化合物(6)の製造中間体として有用な新規化合物が提供される。
化合物(7)の具体例としては、実施例に記載される化合物のほか、下記の化合物(7a)、化合物(7b)が挙げられる。
化合物(8)の具体例としては、実施例に記載される化合物のほか、下記の化合物(8a)、化合物(8b)が挙げられる。
化合物(9)の具体例としては、実施例に記載される化合物のほか、下記の化合物(9a)、化合物(9b)が挙げられる。
化合物(1)の具体例としては、実施例に記載される化合物のほか、下記の化合物(1a)、化合物(1b)が挙げられる。
(d)工程は、化合物(1)の保護されたアミノ基を脱保護して化合物(2)を得る工程である。脱保護反応の手法は該保護基の種類により適宜変更されうる。たとえば化合物(1)のR2がベンジル基である場合には、ベンジルオキシカルボニル基を脱保護する反応、R2がt−ブチル基である場合には、t−ブチルオキシカルボニル基を脱保護する反応、により行われる。該方法としては、「Protective Groups in Organic Synthesis−3rd ed.」(Theodora W.Green Peter G.M.Wuts 1999年)等の成書に記載されている公知の方法を用いることができる。
化合物(1)におけるR2がベンジル基である場合の脱保護反応は、カーボン担持パラジウム触媒またはラネーニッケル触媒による水素化分解反応、もしくは酸を用いた脱保護反応により行うのが好ましい。
水素化分解反応は、化合物(1)を後述する溶媒に溶解して得た溶液に触媒を加え、反応系内に水素を導入することによって実施できる。反応圧力は、大気圧または加圧が好ましく、0.001〜1MPa(ゲージ圧、以下同様。)が好ましく、0.001〜0.1MPaが特に好ましい。
水素化分解反応におけるカーボン担持パラジウム触媒中のパラジウムの担持量は、担体に対して1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%が特に好ましい。カーボン担持パラジウム触媒の使用量は、パラジウムの担持量が5質量%の場合に、化合物(1)に対して5〜50質量%が好ましく、5〜30質量%が特に好ましい。ラネーニッケル触媒の使用量は、化合物(1)に対して5〜50質量%が好ましく、5〜30質量%が特に好ましい。
水素化分解反応における溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;が好ましく、アルコール系溶媒が特に好ましい。反応温度は0〜100℃が好ましく、10〜40℃が特に好ましく、反応時間は2〜6時間が好ましい。
水素化分解反応におけるカーボン担持パラジウム触媒中のパラジウムの担持量は、担体に対して1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%が特に好ましい。カーボン担持パラジウム触媒の使用量は、パラジウムの担持量が5質量%の場合に、化合物(1)に対して5〜50質量%が好ましく、5〜30質量%が特に好ましい。ラネーニッケル触媒の使用量は、化合物(1)に対して5〜50質量%が好ましく、5〜30質量%が特に好ましい。
水素化分解反応における溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶媒;が好ましく、アルコール系溶媒が特に好ましい。反応温度は0〜100℃が好ましく、10〜40℃が特に好ましく、反応時間は2〜6時間が好ましい。
脱保護反応を、酸を用いた脱保護反応により行う場合の酸としては、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸;塩酸、硫酸、臭化水素酸、フッ化水素酸等の無機酸;が好ましく、臭化水素酸が特に好ましい。また、該反応は水を併用してもよい。酸の使用量は化合物(1)に対して20〜120モル%が好ましく、50〜100モル%が特に好ましい。反応温度は15〜50℃が好ましく、反応時間は12〜24時間が好ましい。
化合物(1)におけるR2がt−ブチル基である場合の脱保護反応は、酸を用いた脱保護反応により行うのが好ましい。該酸としては、R2がベンジル基である場合の酸と同様の酸を用いることができ、好ましい態様および使用量も同様である。
化合物(1)の保護されたアミノ基の脱保護反応は、化合物(1)の保護された水酸基の脱保護反応が生じない条件で行う必要がある。
たとえば、化合物(1)におけるR1がベンジル基である場合、保護されたアミノ基の脱保護反応にカーボン担持パラジウム触媒またはラネーニッケル触媒による水素化分解反応を採用すると、反応条件により該ベンジル基が脱離する場合がある。よって、アミノ基における脱保護反応のみを選択的に行いうる反応条件を採用するのが好ましい。具体的には、保護されたアミノ基の脱保護反応にカーボン担持パラジウム触媒を用いる場合、該触媒中のパラジウムの担持量を担体に対して1〜5質量%とすることが好ましく、3〜5質量%とすることが特に好ましい。
また、化合物(1)におけるR1がテトラヒドロピラニル基である場合に該基の脱離を防ぎつつアミノ基の脱保護反応を行うためには、酸を用いた脱保護反応よりも、水素化分解反応の方が好ましい。
たとえば、化合物(1)におけるR1がベンジル基である場合、保護されたアミノ基の脱保護反応にカーボン担持パラジウム触媒またはラネーニッケル触媒による水素化分解反応を採用すると、反応条件により該ベンジル基が脱離する場合がある。よって、アミノ基における脱保護反応のみを選択的に行いうる反応条件を採用するのが好ましい。具体的には、保護されたアミノ基の脱保護反応にカーボン担持パラジウム触媒を用いる場合、該触媒中のパラジウムの担持量を担体に対して1〜5質量%とすることが好ましく、3〜5質量%とすることが特に好ましい。
また、化合物(1)におけるR1がテトラヒドロピラニル基である場合に該基の脱離を防ぎつつアミノ基の脱保護反応を行うためには、酸を用いた脱保護反応よりも、水素化分解反応の方が好ましい。
(e)工程は、化合物(2)と化合物(3)とをカップリングさせ化合物(4)を得る工程である。
化合物(3)におけるXは、カップリング反応における脱離基であり、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子であり、メタンスルホニルオキシ基、またはp−トルエンスルホニルオキシ基が好ましい。
化合物(3)におけるXは、カップリング反応における脱離基であり、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子であり、メタンスルホニルオキシ基、またはp−トルエンスルホニルオキシ基が好ましい。
化合物(2)と化合物(3)とのカップリング反応は、塩基の存在下に実施するのが好ましい。塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウム等が挙げられ、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムが好ましい。
化合物(2)と化合物(3)とのカップリング反応には溶媒を使用することが好ましい。溶媒としては、t−ブタノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;等が挙げられ、t−ブタノールが好ましい。溶媒の使用量は、化合物(2)に対して3〜15倍質量が好ましい。
反応温度は、室温〜反応溶媒の還流温度の範囲が好ましく、反応時間は6〜24時間が好ましい。反応圧力は大気圧が好ましい。
反応温度は、室温〜反応溶媒の還流温度の範囲が好ましく、反応時間は6〜24時間が好ましい。反応圧力は大気圧が好ましい。
(f)工程は、化合物(4)の保護された水酸基を脱保護して化合物(5)を得る工程である。化合物(4)の保護された水酸基の脱保護反応の手法は、該保護基の種類により適宜変更されうる。
化合物(4)におけるR1がベンジル基の場合には、カーボン担持パラジウム触媒による水素化分解反応により実施するのが好ましい。該カーボン担持パラジウム触媒としては、化合物(1)の保護されたアミノ基の脱保護反応に用いた触媒と同様の触媒が採用できる。
(f)工程で使用するカーボン担持パラジウム触媒中のパラジウムの担持量は、化合物(1)の保護されたアミノ基の脱保護反応に用いた触媒における担持量よりも高いことが好ましい。具体的には、10〜30質量%が好ましく、10〜15質量%が特に好ましい。
また、カーボン担持パラジウム触媒の量は、該触媒中のパラジウム担持量が10質量%の場合、化合物(4)に対して5〜50質量%が好ましく、5〜30質量%が特に好ましい。
(f)工程の脱保護反応には溶媒を使用することが好ましい。溶媒としては、(d)工程における保護されたアミノ基の脱保護反応に用いた溶媒と同様の溶媒が採用できる。
化合物(4)におけるR1がベンジル基の場合には、カーボン担持パラジウム触媒による水素化分解反応により実施するのが好ましい。該カーボン担持パラジウム触媒としては、化合物(1)の保護されたアミノ基の脱保護反応に用いた触媒と同様の触媒が採用できる。
(f)工程で使用するカーボン担持パラジウム触媒中のパラジウムの担持量は、化合物(1)の保護されたアミノ基の脱保護反応に用いた触媒における担持量よりも高いことが好ましい。具体的には、10〜30質量%が好ましく、10〜15質量%が特に好ましい。
また、カーボン担持パラジウム触媒の量は、該触媒中のパラジウム担持量が10質量%の場合、化合物(4)に対して5〜50質量%が好ましく、5〜30質量%が特に好ましい。
(f)工程の脱保護反応には溶媒を使用することが好ましい。溶媒としては、(d)工程における保護されたアミノ基の脱保護反応に用いた溶媒と同様の溶媒が採用できる。
化合物(4)におけるR1がテトラヒドロピラニル基の場合の脱保護反応は、酸を用いた脱保護反応により実施できる。酸としては酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの有機酸;塩酸、硫酸、臭化水素酸、フッ化水素酸等の無機酸;等が使用でき、臭化水素酸が好ましい。酸の量は化合物(4)に対して10〜120モル%が好ましく、50〜100モル%が特に好ましい。反応温度は10〜100℃が好ましい。反応時間は1〜24時間が好ましい。
酸による脱保護反応には溶媒を使用することが好ましい。溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
(g)工程は、化合物(5)を加水分解し、化合物(5)におけるシアノ基をカルバモイル基とすることにより化合物(6)を得る工程である。該反応は、化合物(5)を塩基の存在下で過酸化水素水と反応させることにより実施するのが好ましい。
塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウム等の無機塩基が好ましい。これらの無機塩基は水溶液として用いるのが好ましい。塩基としては、水酸化ナトリウム水溶液が特に好ましい。
(g)工程の反応は溶媒の存在下に実施することが好ましい。溶媒としては、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、またはN−メチルピロリドンが好ましく、ジメチルスルホキシドが特に好ましい。反応温度は10〜100℃が好ましく、10〜40℃が特に好ましい。反応時間は6〜18時間が好ましい。反応圧力は大気圧が好ましい。
塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウム等の無機塩基が好ましい。これらの無機塩基は水溶液として用いるのが好ましい。塩基としては、水酸化ナトリウム水溶液が特に好ましい。
(g)工程の反応は溶媒の存在下に実施することが好ましい。溶媒としては、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、またはN−メチルピロリドンが好ましく、ジメチルスルホキシドが特に好ましい。反応温度は10〜100℃が好ましく、10〜40℃が特に好ましい。反応時間は6〜18時間が好ましい。反応圧力は大気圧が好ましい。
本発明の製造方法は、出発物質である化合物(7)がすでに光学活性体である点が特徴である。さらに前述の製造方法の各工程で実施する反応は、いずれも光学活性を維持したまま実施できる反応である。よって、光学分割や不斉還元反応等を実施することなく目的とする化合物を製造できる。この化合物(7)は下式に示すとおり、公知の化合物(10)と金属マグネシウムとを反応させて化合物(11)を得て、該化合物(11)と化合物(12)とを反応させ、ついで酸を作用させることにより製造できる(ただし、下式中のR1およびR2は前記と同じ意味を示す。)。
化合物(10)は、安価な公知の化合物を用いて公知の方法により製造でき、また化合物(12)は安価で入手容易なD−アラニンから公知の方法で製造できる。
すなわち前記式に示すように、まず、化合物(10)と金属マグネシウムとを反応させることにより、化合物(10)における臭素原子を−MgBr基に変換し、グリニャール試薬である化合物(11)を調製する。化合物(11)の調製は、グリニャール試薬の調製に採用されうる通常の条件を採用することにより実施できる。
該反応は、溶媒の存在下に実施するのが好ましい。溶媒としては、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒等が挙げられ、THFが好ましい。該反応には、必要に応じて触媒として1,2−ジブロモエタンやヨウ素を用いてもよい。
すなわち前記式に示すように、まず、化合物(10)と金属マグネシウムとを反応させることにより、化合物(10)における臭素原子を−MgBr基に変換し、グリニャール試薬である化合物(11)を調製する。化合物(11)の調製は、グリニャール試薬の調製に採用されうる通常の条件を採用することにより実施できる。
該反応は、溶媒の存在下に実施するのが好ましい。溶媒としては、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒等が挙げられ、THFが好ましい。該反応には、必要に応じて触媒として1,2−ジブロモエタンやヨウ素を用いてもよい。
次いで、化合物(11)を化合物(12)と反応させる。この反応温度は10℃〜溶媒の還流温度の範囲が好ましく、10〜30℃が特に好ましい。反応時間は12〜24時間が好ましい。反応圧力は大気圧が好ましい。
化合物(11)と化合物(12)との反応が完結した後、酸を作用させることにより化合物(7)が得られる。酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸;トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸;が好ましく、塩酸が特に好ましい。酸を作用させるときの反応温度は10〜60℃が好ましく、10〜40℃が特に好ましい。反応時間は8〜16時間が好ましい。反応圧力は大気圧が好ましい。
化合物(11)と化合物(12)との反応が完結した後、酸を作用させることにより化合物(7)が得られる。酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸;トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸;が好ましく、塩酸が特に好ましい。酸を作用させるときの反応温度は10〜60℃が好ましく、10〜40℃が特に好ましい。反応時間は8〜16時間が好ましい。反応圧力は大気圧が好ましい。
以下本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
なお、以下における「Bn」はベンジル基を示し、「Ms」はメタンスルホニルオキシ基を示す。また、リットルを「L」と記す。
なお、以下における「Bn」はベンジル基を示し、「Ms」はメタンスルホニルオキシ基を示す。また、リットルを「L」と記す。
窒素雰囲気下、化合物(10c)(1.7g)のTHF(4mL)溶液に、金属マグネシウム(1.0g)と触媒量の1、2−ジブロモエタンとを加え、ドライヤーで加熱し、反応液が薄紫色から無色透明になった時点でTHF(14mL)を追加した。この溶液に、化合物(10c)(12.4g)のTHF(15mL)溶液を30分間かけて滴下し、加熱還流しながら4時間撹拌した。これにより化合物(11c)のTHF溶液を得た。
次いで、窒素雰囲気下、化合物(12c)(8.0g)のTHF(20mL)溶液に、0℃で化合物(11c)のTHF溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温に戻して2日間撹拌した。その後、反応液に6M塩酸(90mL)を加え、12時間撹拌し、酢酸エチルで抽出して、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後に溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(7c)(9.9g)を得た。
化合物(7c)のNMRスペクトルは、以下のとおりである。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.42(3H、d、J=6.9Hz)、1.85〜1.95(2H、m)、3.02(2H、t、J=8.7Hz)、3.34(2H、t、J=7.0Hz)、3.50〜3.60(4H、m)、4.50(2H、s)、5.12(2H、s)、5.15〜5.30(1H、m)、6.00(1H、d、J=7.3Hz)、6.35(1H、d、J=8.4Hz)、7.30〜7.40(10H、m)、7.65(1H、s)、7.73(1H、d、J=8.4Hz)。
次いで、窒素雰囲気下、化合物(12c)(8.0g)のTHF(20mL)溶液に、0℃で化合物(11c)のTHF溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温に戻して2日間撹拌した。その後、反応液に6M塩酸(90mL)を加え、12時間撹拌し、酢酸エチルで抽出して、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後に溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(7c)(9.9g)を得た。
化合物(7c)のNMRスペクトルは、以下のとおりである。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.42(3H、d、J=6.9Hz)、1.85〜1.95(2H、m)、3.02(2H、t、J=8.7Hz)、3.34(2H、t、J=7.0Hz)、3.50〜3.60(4H、m)、4.50(2H、s)、5.12(2H、s)、5.15〜5.30(1H、m)、6.00(1H、d、J=7.3Hz)、6.35(1H、d、J=8.4Hz)、7.30〜7.40(10H、m)、7.65(1H、s)、7.73(1H、d、J=8.4Hz)。
例1で得た化合物(7c)(8.1g)のトリフルオロ酢酸(TFA)(25mL)溶液に、氷冷下でトリエチルシラン(4.6g)を15分間かけて滴下し、室温で10時間撹拌した。反応液に水を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥して、溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(8c)(4.8g)を得た。
化合物(8c)のNMRスペクトルは、以下のとおりである。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.10(3H、d、J=6.6Hz)、1.85〜1.95(2H、m)、2.50〜2.60(1H、m)、2.65〜2.75(1H、m)、2.90(2H、t、J=8.1Hz)、3.15(2H、t、J=7.1Hz)、3.30(2H、t、J=8.2Hz)、3.58(2H、t、J=6.1Hz)、3.80〜3.95(1H、m)、4.51(2H、s)、4.55〜4.65(1H、br)、5.08(2H、s)、6.39(1H、d、J=7.9Hz)、6.82(1H、d、J=7.7Hz)、6.87(1H、s)、7.30〜7.40(10H、m)。
化合物(8c)のNMRスペクトルは、以下のとおりである。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.10(3H、d、J=6.6Hz)、1.85〜1.95(2H、m)、2.50〜2.60(1H、m)、2.65〜2.75(1H、m)、2.90(2H、t、J=8.1Hz)、3.15(2H、t、J=7.1Hz)、3.30(2H、t、J=8.2Hz)、3.58(2H、t、J=6.1Hz)、3.80〜3.95(1H、m)、4.51(2H、s)、4.55〜4.65(1H、br)、5.08(2H、s)、6.39(1H、d、J=7.9Hz)、6.82(1H、d、J=7.7Hz)、6.87(1H、s)、7.30〜7.40(10H、m)。
例2で得た化合物(8c)(3.5g)の酢酸(14mL)溶液に水浴下、臭素(1.5g)を滴下し、40℃で4時間撹拌した。反応液に飽和炭酸ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後に濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(9c)(2.2g)を得た。
化合物(9c)のNMRスペクトルは、以下のとおりである。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.09(3H、d、J=6.6Hz)、1.85〜1.95(2H、m)、2.45〜2.55(1H、m)、2.60〜2.70(1H、m)、2.92(2H、t、J=8.5Hz)、3.45(2H、t、J=8.7Hz)、3.55〜3.65(4H、m)、3.80〜3.95(1H、br)、4.52(2H、s)、5.09(2H、s)、6.79(1H、s)、7.00(1H、s)、7.30〜7.40(10H、m)。
化合物(9c)のNMRスペクトルは、以下のとおりである。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.09(3H、d、J=6.6Hz)、1.85〜1.95(2H、m)、2.45〜2.55(1H、m)、2.60〜2.70(1H、m)、2.92(2H、t、J=8.5Hz)、3.45(2H、t、J=8.7Hz)、3.55〜3.65(4H、m)、3.80〜3.95(1H、br)、4.52(2H、s)、5.09(2H、s)、6.79(1H、s)、7.00(1H、s)、7.30〜7.40(10H、m)。
アルゴン雰囲気下、例3と同様にして得た化合物(9c)(3.0g)、シアン化銅(600mg)、およびヨウ化ナトリウム(84mg)をジメチルホルムアミド(15mL)に懸濁させた。130℃で46時間撹拌した後、室温に戻し、塩化メチレン(30mL)、28%アンモニア水(10mL)を加え、1時間撹拌した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を全て合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(1c)(2.2g)を得た。
化合物(1c)のNMRスペクトルは、以下のとおりである。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.10(3H、d、J=6.4Hz)、1.90〜2.00(2H、m)、2.45〜2.55(1H、m)、2.60〜2.70(1H、m)、2.91(2H、t、J=8.5Hz)、3.55(2Ht、J=8.5Hz)、3.60〜3.70(4H、m)、4.80〜4.90(1H、m)、4.52(2H、s)、5.09(2H、s)、6.89(1H、s)、6.93(1H、s)、7.30〜7.40(10H、m)。
化合物(1c)のNMRスペクトルは、以下のとおりである。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.10(3H、d、J=6.4Hz)、1.90〜2.00(2H、m)、2.45〜2.55(1H、m)、2.60〜2.70(1H、m)、2.91(2H、t、J=8.5Hz)、3.55(2Ht、J=8.5Hz)、3.60〜3.70(4H、m)、4.80〜4.90(1H、m)、4.52(2H、s)、5.09(2H、s)、6.89(1H、s)、6.93(1H、s)、7.30〜7.40(10H、m)。
例4と同様にして得た化合物(1c)(2.7g)のエタノール(30mL)溶液に、5%パラジウム/カーボン(0.5g)を加えた。反応器に水素を充填した風船を装着し、系内を水素雰囲気下に保った。室温で2.5時間撹拌した後に、パラジウム/カーボンをセライトで濾過し、溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(2c)(1.7g)を得た。
化合物(2c)のNMRスペクトルは、以下のとおりである。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.09(3H、d、J=6.4Hz)、1.90〜2.00(2H、m)、2.30〜2.40(1H、m)、2.50〜2.56(1H、m)、2.93(2H、t、J=8.7Hz)、3.00〜3.10(1H、m)、3.55(2H、t、J=8.7Hz)、3.60〜3.70(4H、m)、4.52(2H、s)、6.93(2H、bs)、7.30〜7.40(5H、m)。
化合物(2c)のNMRスペクトルは、以下のとおりである。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.09(3H、d、J=6.4Hz)、1.90〜2.00(2H、m)、2.30〜2.40(1H、m)、2.50〜2.56(1H、m)、2.93(2H、t、J=8.7Hz)、3.00〜3.10(1H、m)、3.55(2H、t、J=8.7Hz)、3.60〜3.70(4H、m)、4.52(2H、s)、6.93(2H、bs)、7.30〜7.40(5H、m)。
例5と同様にして得た化合物(2c)(1.7g)と化合物(3c)(1.8g)のt−ブタノール(18mL)溶液に、炭酸ナトリウム(0.6g)を加えて80〜90℃で46時間撹拌した。反応液を室温に戻し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(4c)(1.9g)を得た。
化合物(4c)のNMRスペクトルは、以下のとおりである。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.05(3H、d、J=6.2Hz)、1.90〜2.00(2H、m)、2.35〜2.45(1H、m)、2.55〜2.65(1H、m)、2.85〜2.95(3H、m)、2.95〜3.10(2H、m)、3.54(2H、t、J=8.7Hz)、3.60〜3.70(4H、m)、4.05〜4.15(2H、m)、4.25〜4.35(2H、m)、4.52(2H、s)、6.85〜7.10(6H、m)、7.25〜7.35(5H、m)。
化合物(4c)のNMRスペクトルは、以下のとおりである。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.05(3H、d、J=6.2Hz)、1.90〜2.00(2H、m)、2.35〜2.45(1H、m)、2.55〜2.65(1H、m)、2.85〜2.95(3H、m)、2.95〜3.10(2H、m)、3.54(2H、t、J=8.7Hz)、3.60〜3.70(4H、m)、4.05〜4.15(2H、m)、4.25〜4.35(2H、m)、4.52(2H、s)、6.85〜7.10(6H、m)、7.25〜7.35(5H、m)。
例6で得た化合物(4c)(1.79g)のエタノール(16mL)溶液に、氷冷下で1M塩酸(7.5mL)、10%パラジウム/カーボン(317mg)を加え、室温に戻して水素雰囲気下3時間撹拌した。パラジウム/カーボンをセライトを用いて濾過した後に、飽和炭酸ナトリウム水溶液でpHを約10に調整した。酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(5)(1.2g)を得た。
化合物(5)のNMRスペクトルは、以下のとおりである。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.06(3H、d、J=6.2Hz)、1.85〜1.95(2H、m)、2.35〜2.45(1H、m)、2.55〜2.65(1H、m)、2.85〜2.95(3H、m)、2.95〜3.10(2H、m)、3.57(2H、t、J=8.7Hz)、3.67(2H、t、J=7.3Hz)、3.81(2H、t、J=6.1Hz)、4.05〜4.15(2H、m)、4.25〜4.35(2H、m)、6.85〜7.05(6H、m)。
化合物(5)のNMRスペクトルは、以下のとおりである。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):1.06(3H、d、J=6.2Hz)、1.85〜1.95(2H、m)、2.35〜2.45(1H、m)、2.55〜2.65(1H、m)、2.85〜2.95(3H、m)、2.95〜3.10(2H、m)、3.57(2H、t、J=8.7Hz)、3.67(2H、t、J=7.3Hz)、3.81(2H、t、J=6.1Hz)、4.05〜4.15(2H、m)、4.25〜4.35(2H、m)、6.85〜7.05(6H、m)。
例7と同様にして得た化合物(5)のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液に、30%過酸化水素水と5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、室温で撹拌する。反応終了を確認し、後処理および精製処理を行うことにより、化合物(6)を得る。
本発明の製造方法は、安価で入手容易な原料を使用し、簡便な操作で効率的に実施できることから、工業的に有利な製造方法となりうる。また、本発明の化合物(7)、化合物(8)、化合物(9)、および化合物(1)は、化合物(6)の製造中間体として有用に用いうる。
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