以下、図を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である超音波モータの分解斜視図である。
なお、超音波モータの回転軸Oは、後述するレンズ鏡筒に該超音波モータを適用した場合、撮影レンズの光軸Oと一致(上記レンズ鏡筒の構造によっては、略一致)する。そして、回転軸Oと平行な方向をZ方向とする。Z方向のうち、レンズ鏡筒のレンズ側方向を前方とし、レンズマウント側を後方とする。また、回転軸Oに対するラジアル方向をR方向とし、回転軸Oを中心とする円周の接線方向をT方向とする。
本実施形態の超音波モータ1は、例えば、後述する図25に示す電子機器装置であるデジタルカメラ用のレンズ鏡筒などのレンズ駆動用アクチュエータとしてユニット化した状態で適用することが可能な回転駆動型モータである。
超音波モータ1は、図1に示すように支持部材(固定体)であるハウジング2と、被駆動体(移動体,回転部材)であるロータ3と、ハウジング2に組み込まれる2組の振動子ユニット15および1つの転動体であるローラ22と、付勢部材(バネ部材,板状弾性部材)であって、支持機構部を構成する板バネ18,23と、3つの押さえ板25と、振動子ユニット15,ローラ22により押圧されるロータ3のスラスト力を受けるベアリング部材8と、ハウジング2に一体支持され、ベアリング部材8のスラスト力を受ける受け部材であるベアリング受ケ11を有してなり、上述した各部材が組み立てられ、アクチュエータとしてユニット化される。
なお、超音波モータ1が後述する図25のレンズ鏡筒60に組み込まれる場合には、該レンズ鏡筒60のLD環(レンズ駆動環)27に固着される連結ロッド28がロータ3に係合して取り付けられる。
以下、超音波モータ1の上記各構成部材の詳細について、図1、および、図2〜16を用いて説明する。
図2は、上記超音波モータの一部の回転軸を含む断面で示す側面図である。図3は、図2のB−B断面図である。図4は、上記超音波モータの振動子ユニットまわりの回転軸を含む要部断面図である。図5は、上記超音波モータのローラまわりの回転軸を含む要部断面図である。図6は、上記超音波モータにおけるハウジング,振動子ユニット,板バネ,押さえ板の分解斜視図である。図7は、上記超音波モータのハウジングに振動子ユニットを挿入した状態を回転軸方向から見た図である。図8は、上記超音波モータの図7に示す状態の振動子ユニット上に板バネを当て付けた状態を回転軸方向から見た図である。図9は、上記超音波モータに適用される振動子ユニットを側方から見た斜視図である。図10は、上記超音波モータの振動子ユニットを図9の上方側から見た斜視図である。図11(A),(B)は、上記超音波モータに適用される板バネを示す図であって、図11(A)は、上記板バネの平面図であり、図11(B)は、上記板バネを押さえ板に取り付け、振動子ユニットの振動子ホルダで押圧変形させた状態を図11(A)のC−C断面で示した図である。図12は、上記超音波モータの振動子ユニット,板バネ,押さえ板の分解斜視図である。図13は、上記超音波モータにおいて押さえ板に板バネを取り付けた状態を示す斜視図である。図14は、図13の状態の板バネに振動子ユニットを当て付けた状態を示す斜視図である。図15(A),(B)は、ハウジングと押さえ板との組み付け姿勢によって板バネと振動子ユニットの振動子ホルダとの当接状態が変化する状態を示す図である。図16は、上記超音波モータに適用されるローラと押さえ板の斜視図である。
ハウジング2は、環状支持部材であり、図1,2,4,7に示すようにその環状部の周方向略3等分位置(略120°間隔)に回転軸O方向のZ方向に貫通する振動子,ローラ挿入用の3つの挿入開口部2aを有している。各挿入開口部2aの中央のR方向で対向する状態でZ方向に沿って挿通する2つのガイド溝2bが設けられる。このガイド溝2bは、振動子の支持軸をガイドするためのガイド支持部としての嵌入溝である。
ロータ3は、図1,4に示すように円環状の摩擦部材であるロータ板6と、板状弾性部材であって、かつ、スペーサ部材となるリング状スペーサ7と、円環状の移動部材であるロータ本体4とが一体化された部材であり、ベアリング部材8により回転軸Oまわり回動可能に支持される。
ロータ板6は、例えば、ジルコニア等のセラミック材料で耐摩性良好、かつ、高硬度の板部材で形成され、振動子ユニット15の振動子35(具体的には、駆動子38(図9))が当接することにより振動子35で励起される縦振動と屈曲振動との合成による楕円振動により回転軸である回転軸O中心の回転運動を行う。このロータ板6のZ方向後面側(振動子側)は摩擦接触面6aであり、板バネ18で押圧付勢された振動子35の摩擦接触部となる駆動子38がスラスト方向(Z方向)、言い換えると、被駆動体の移動方向に垂直な方向に当接する。一方、該接触面6aは、板バネ23で押圧付勢されたローラ22が転動状態でスラスト方向(Z方向)に当接する。なお、このロータ板6は、振動子35からの振動を確実にロータの回転力に変換するために振動子35の振幅より十分小さな変形、または、撓みを呈するような剛性を有するものとし、安定した回転が得られるようになっている。
リング状スペーサ7は、エラストマー,フェルト等の防振性の高い弾性板部材で形成され、表面に両面接着テープが貼付され、ロータ板6およびロータ本体4に圧接し、接着固定される。上記両面接着テープも防振性の高い部材であり、単独でリング状スペーサーを形成してもよい。
このリング状スペーサ7は、振動子35による振動を絶縁するための部材であるが、さらに、それ以外に第二の押圧力調節手段(押圧力調節機構)として機能する。すなわち、該スペーサ7の厚みを選択することによって、2つの振動子35とロータ板6との当接力を調節して適切な摩擦接触力とし、同時にローラ22とロータ板6との当接力が適切になるように、同時に調節することが可能である。また、リング状スペーサ7は、ロータ本体4に圧接されており、圧接により発生する摩擦力が超音波モータが出力する駆動力より十分大きな場合は、上記両面接着テープは不要である。
ロータ本体4は、耐摩性良好、かつ、高硬度の板部材で形成され、前面側円周に沿ってボール9が転動するV溝4bが配され、さらに、リング内周部の内側に突出する連結用突起4aが配される。さらに、ロータ本体4の外周部には、ハウジング2の内周部に固着されるロータ回転量検出用磁気センサ54(図29)が摺接する磁気シート5(図4)が貼付されている。
連結用突起4aには、図4,5に示すように超音波モータ1が適用される他の電子機器を駆動するための出力取り出し用連結ロッド28が嵌合、係止される。例えば、レンズ鏡筒60の駆動源として適用される場合は、後述する図25のレンズ鏡筒60側の連結ロッド28の二又部28aが係合される。この連結ロッド28は、後述する図27に示すようにレンズ鏡筒60側の回転可能なLD環27にビス止めされており、連結ロッド28によってロータ本体4の回転がレンズ鏡筒60の第二ズーム枠65に伝達される。
なお、ロータ3は、本実施形態の場合、3つの部材で構成されているが、これに限らず一体成形された単一の樹脂製リング形状部材をロータとして適用することも可能である。
ベアリング部材8は、図1,4に示すように複数のボール9とリング状のリテーナ10とからなる。リテーナ10には、ボール9が挿入される穴部が形成されているがその穴の数は、ボールの数より多くてもよい。このベアリング部材8は、回転軸方向の力を受けるスラストタイプであるが、回転軸方向と回転軸に垂直な方向の力を受けることができるスラストラジアルボールベアリングを適用することも可能である。
ベアリング受ケ11は、リング形状の部材であり、耐摩性良好、かつ、高硬度の板部材で形成される。そして、ベアリング受ケ11は、図1,4に示すように後面側円周に沿ってボール9が転動するV溝11aを有しており、ハウジング2の前端面にビスにより固定され、一体化される。そして、ベアリング受ケ11は、そのV溝11aにベアリング部材8のボール9がスラスト方向(Z方向)に当接し、該ボール9の後方にロータ本体4,リング状スペーサ7,ロータ板6が配される。
上記ロータ板6には、図1,4に示すようにハウジング2の開口部2aに挿入されている振動子35の駆動子38、または、ローラ22に当接し、それぞれの部材を押圧する板バネ18、23とが配され、それらの各部材を後方の押さえ板25と前方のベアリング受ケ11とによって挟持する状態となる。その挟持状態のもとでロータ3は、上記V溝に嵌入するボール9を介した状態でハウジング2,ベアリング受ケ11に対して回転可能な状態で支持される。
なお、ベアリング受ケ11、および、リテーナ10には、樹脂成形部材を適用することも可能である。
振動子ユニット15は、図9,10と後述する図17に示すように屈曲定在波振動と縦振動との合成による楕円振動を励起させる振動子35と、振動子35を保持する振動子ホルダ16とを有してなる。
振動子35は、図9,10と後述する図17に示すように積層圧電体37と、該圧電体の一方の面に固着され、駆動時に上記楕円振動を行う2つの駆動部としての駆動子38とを有してなる。この振動子の詳細な構成,作用については、後で図17〜24を用いて説明する。
振動子ホルダ16は、図9,10に示すようにコの字形状のステンレス板部材であって振動子35の積層圧電体37にR方向両側面に嵌入し、接着等により固着される。そして、振動子ホルダ16には、フランジ部17aを有し、中立軸部となる支持用突起としての丸軸状支持軸17が同一軸心上に両側(R方向)に突出した状態で嵌入し、カシメ等により固着されている。この支持軸17は、ステンレス材で形成され、上記振動子ホルダ16の接着固定時に振動子35の振動の節位置N(図17,19に示す)のR方向延長線上に位置するように位置決めされて固着される。また、振動子ホルダ16のコの字部のZ方向端面16aの表面は、R,T平面(Z方向と直交する平面)に沿った姿勢で支持され、また、端面16aの中心は、振動子35の振動の節Nの幅中心(支持軸軸方向中心)のZ方向延長線上に位置する。
2組の振動子ユニット15は、図4、または、図7に示すようにそれぞれハウジング2の2つの挿入開口部2aに挿入される(Z方向前後いずれの方向からでも挿入可能である)。そして、振動子ホルダ16の支持軸17がガイド溝2bにガタなく摺動、かつ、回動可能な状態で嵌入され、振動子35は、ハウジング2に対してZ方向以外が位置規制された状態で保持される。そして、上記嵌入状態では、各振動子35の2つの駆動子38は、R,T平面上でT方向に沿って位置し、ロータ3のロータ板6の回転軸Oに垂直(R,T面)な摩擦接触面6aにZ方向後方から当接可能な状態に保持される。
振動子ユニット15がハウジング2に挿入された状態で振動子ホルダ16のフランジ部17a外側とハウジング2の挿入開口部2a内側との間にR方向の隙間S(図4)がある場合、摺動性のよい材料の隙間調節ワッシャ(図示せず)が挿入され、R方向に隙間(ガタ)のない状態に保持される。勿論、振動子ホルダ16の支持軸方向の幅を広げることによっても上記隙間をなくすことは可能である。振動子35に設けられる電力,制御信号供給用リード線42a,bおよび42c,d(図17)は、ハウジング2の2つのリード線溝2c(図1)から外部に導出される。
なお、上述した振動子35の保持状態のもとでは、支持軸17の方向とロータ3の回転方向とが直交する関係にあるのでロータ3の回転が振動子35によって阻害されにくい状態である。
板バネ18は、図11(A),(B)に示すようにT方向に延びる弾性変形可能な金属製板バネ部材であり、中央平面部にZ方向(前側)に凸の押圧部となる長円凸部18dと、その両側に僅かな折り曲げで形成される弾性変形可能な加圧部となる腕部18aを有している。腕部の一方の端部である第一の端部18eには、丸穴18bが設けられ、他方の端部である第二の端部18fには、T方向の長穴18cが設けられる。長円凸部18dは、支持軸17の軸心をZ方向に平行移動した位置に設けられる凸部であって、その長円の長手方向は、R方向に沿っている。該凸部のT方向の断面(図11(B))は、半円状凸形状、または、円弧状凸形状とする。長円凸部18dは、組み付け状態で振動子ホルダ16の端面16aの中央部に線接触する。
2つの板バネ18は、それぞれ2つの押さえ板25の前面25aにそれぞれ固定ネジ19,支持用段ネジ20で取り付けられる。詳しくは、図11(B),図12,13に示すように板バネ支持機構としての第一の端部18eは、固定ネジ19を丸穴18bに挿通させて押さえ板25に固着される。他方の板バネ支持機構としての第二の端部18fは、段ネジ20を長穴18cに挿通させて押さえ板25にT方向に滑り移動可能に支持される。
板バネ18が装着された押さえ板25は、ハウジング2の後面にビスで固定される。押さえ板25のハウジング2への固定によって板バネ18は、図8,14に示すようにハウジング2に挿入されている各振動子ユニット15の振動子ホルダ16の端面16aの中央部に長円凸部18dを所定の押圧力で当接させた状態て取り付けられる。その当接状態で板バネ18は、振動子ユニット15と同様にハウジング2の挿入開口部2a内に収まった状態に挿入され、保持される。
上述のように板バネ18の長円凸部18dが振動子ホルダ16の端面16aに当接させ、押圧した場合、板バネ18は変形し、該板バネ18の一方の端部が長穴18cで段ネジ20上をスライド移動することによって弾性変形する。上記弾性変形によって長円凸部18dは、Z方向の押圧力で振動子ホルダ16を押圧しながらZ方向に平行移動状態で変位する。図11(B)に示すように、例えば、板バネ18の端部底面に第一の押圧力調節手段(押圧力調節機構)として選択された適切な厚みを有する調節ワッシャ21を挿入することにより、板バネ18のZ方向の位置を変えて、上記押圧力、すなわち、駆動子38とロータ板6との摩擦接触力の力量調節を振動子ユニット毎に行うことができる。上記支持機構で支持される板バネ18によって押圧力を与えたとき、また、該押圧力の調節したとき、図11(B)に示すように長円凸部18dは、平行移動状態で姿勢を変えることなく、言い換えれば、Z方向押圧姿勢(押圧力作用方向)を変えることなく押圧し、調節することができる。但し、そのとき、長円凸部18dの位置は、板バネ18が変形してT方向に延び、僅かに変位(δ1 )する。
ここで、板バネ18による振動子ホルダ16を介した振動子35の押圧状態について説明する。まず、取り付け状態、つまり、静的状態における押圧状態に関しては、振動子35の駆動子38が当接するロータ板6と、板バネ18が装着される押さえ板25との組み立て上の面の精度、特にZ方向と直交する方向(T方向)に関する平行度が多少悪かった場合、もし、前述した図53で説明した従来の振動アクチュエータのように押圧用の板バネの振動子との当接面に凸部が無く平面であると、当然ながら板バネの平面部が振動子(振動ホルダの端面16a)の当接部角部で当接することになる。そのような当接状態では、板バネの付勢力は、2つの駆動子38に対して均等に作用しない。しかし、本実施形態における押圧用の板バネ18には、図15(A),(B)に示すように板バネ18に長円凸部18dが設けられているので、長円凸部18dの半円断面部、または、円弧断面部が振動子ホルダ16の端面16a片方に片当たりすることなく、略中央位置に当接し、板バネ18の付勢力は、2つの駆動子38がロータ板6に対して均等に当接する状態が得られる。
一方、板バネ18による振動子駆動状態、つまり、動的状態における押圧状態に関しては、前記図54で説明したように従来の振動アクチュエータにて板バネの平面部で振動子を押圧する押圧構造を採用した場合には、安定した出力が得られなかった。しかし、本実施形態の超音波モータ1の場合、上述のように板バネ18の長円凸部18dで振動子ホルダ16の上端面16aを押圧することから振動子の振動状態で押圧状態の変動が生じることがなく、安定した出力が得られる。
詳しくは説明すると、超音波モータ1の駆動時には、板バネ18により押圧される振動子35は、後述する図23(A)〜(D)に示すような屈曲定在波振動と縦振動が合成された振動が励起される。その振動状態で振動子側の振動子ホルダ16もその姿勢が変動する。しかし、常に振動子ホルダ16の端面16aの略中央部に板バネ18の長円凸部18dの先端部が当接するので、振動子35の2つの駆動子38に対する板バネ18の押圧力の作用状態が図23(A),(B),(C),(D)の状態でほとんど変化しない。したがって、上述した静的押圧状態および動的押圧状態を含めて駆動子38が当接するロータ板6は、両駆動子38の楕円振動による摩擦力を安定した状態で均等に受け、回転ムラや正逆方向の力量差の発生、また、駆動トルクのムラのない良好な駆動力の伝達状態が得られる。
なお、上述の例では、板バネ18の凸部18dによって振動子ホルダ16のZ方向端面16aを押圧する構成を適用したが、板バネ18の構造以外、例えば、板バネとしてローラ22の押圧用に使用している後述する図16の板バネ23の形状のものを適用し、その両幅に中央部に振動子側への折り曲げ突起部23eの先端凹部23fで直接、振動子の支持軸(後述する図32)を押圧するような構成を適用することも可能である。この場合、振動子ホルダ16は、不要となる。
ローラ22は、図5,6に示すように両端部に支持軸部22aが突出して設けられるローラ部材であり、ハウジング2の1つの挿入開口部2aに挿入され、支持軸部22aがガイド溝2bにガタなく摺動、かつ、回転可能な状態で嵌入され、ハウジング2に挿入される(図7)。その挿入状態では、ローラ22は、板バネ23によってZ方向後方から押圧され、ロータ3のロータ板6の回転軸Oに垂直(R,T面)な摩擦接触面6aに当接する。
板バネ23は、図5,16に示すように板バネ18と一部は同様な形状を有するが、長円突起18d(図11)がなく、それに代えて中央部にZ方向前方に突出する2つの突起部を有している。詳しくは、板バネ23は、T方向に延びる弾性変形可能な金属製板バネ部材であり、中央平面部の両側T方向に延び僅かな折り曲げで形成される弾性変形可能な加圧部となる腕部23aを有している。腕部の一方の端部である第一の端部には、丸穴23bが設けられ、他方の端部である第二の端部には、T方向の長穴23cが設けられる。さらに、上記中央平面部のR方向の両幅端からZ方向前方に折り曲げて形成される突起部23eが設けられ、その突起部23eの先端には支持軸22aに係合する凹部23fが配される。
板バネ23は、板バネ18と同様に押さえ板25の前面25aにそれぞれ固定ネジ19,支持用段ネジ20で取り付けられる。すなわち、固定ネジ19を丸穴23bに挿通させて押さえ板25に固着される。他方の長穴23cには段ネジ20を挿通させて押さえ板25にT方向に滑り移動可能に取り付けられる。板バネ23が装着された押さえ板25は、ハウジング2の後面にビスで固定される。さらに、押さえ板25は、ハウジング2に固着される。
取り付け状態の板バネ23の突起部23eは、ハウジング2の挿入開口部2a、または、ガイド溝2bに挿入され、ハウジング2に挿入されているローラ22の支持軸部22aを凹部23fで押圧し、ローラ22をロータ板6に所定の押圧力で当接させる(図5)。この押圧力の調節も板バネ18による振動子35の押圧力調節と同様に板バネ23の端部底面に第一の押圧力調節手段(押圧力調節機構)としての選択された適切な厚みを有する調節ワッシャ21を挿入することによって行うことができる。このようにローラ22をハウジング2の挿入開口部2aの一ヶ所に挿入し、ロータ板6を2つの振動子35と1つのローラ22との3点でZ方向に押圧する状態が得られロータ3を安定した状態で回転可能に押圧することができる。
3つの押さえ板25は、上述したようにハウジング2の後面にそれぞれビスで固着されるが、ハウジング2と3つの押さえ板25の間には、必要に応じて選択される適切な厚みを有する第一の押圧力調節手段(押圧力調節機構)としての調節ワッシャ26がそれぞれ挿入される。該調節ワッシャ26によって2つの板バネ18による2つの振動子35の押圧力を振動子毎に、また、板バネ23によるローラ22の押圧力をそれぞれ微調節することができる。
ここで、振動子ユニット15の振動子35及びその駆動回路の構成,作用について、図17〜24を用いて説明する。
図17は、上記振動子ユニットの外観を超音波モータの外周側から見た斜視図である。図18は、図17のD矢視図であって、リード線を外した状態を示す。図19は、図17の振動子ユニットからリード線,振動子ホルダを外した状態の振動子の外観を示す図である。図20は、図19のF矢視図である。図21は、図19のG矢視図である。図22は、上記振動子の積層圧電体を構成する圧電素子部と絶縁板の焼結処理前の分解斜視図である。図23は、上記振動子の屈曲振動と縦振動との合成振動時の変形状態を拡大して示し、振動子圧電体に固着される振動子ユニットおよび振動子ユニットを押圧する板バネを合わせて示した図であって、振動子が図23(A)の屈曲状態から図23(B)の伸張状態、図23(C)の屈曲状態、図23(D)の収縮状態の順に変形する様子を示している。図24は、上記振動子を駆動するための駆動制御回路部のブロック構成図である。なお、図中のR,T,Z方向は、振動子35の超音波モータ取り付け状態での方向を示している。
振動子35を形成する積層圧電体37は、図22に示すように電気/機械エネルギ変換素子である2種類の複数圧電シート37X,37Yと2枚の絶縁板37A,37Bからなり、その表面には導電性銀ペーストからなる電極パターンの電極41a,41b,41c,41d,41a′,41b′が形成されている。
2種類の圧電シート37X,37Yは、それぞれ厚さ100μm程度の矩形の圧電素子からなる。圧電シート37Xには、その後面に厚さ10μm程度の銀−パラジウム合金が塗布された第一内部電極37Xa,37Xc,37Xc′,37Xa′が絶縁された4つの領域に分割されて配置されている。圧電素子の長手方向(X方向)の端面位置まで上記各内部電極の上側端部が伸びている(図22)。
一方、圧電シート37Yには、その後面に厚さ10μm程度の銀−パラジウム合金が塗布された第二内部電極37Yb,37Yd,37Yd′,37Yb′が絶縁された4つの領域に分割されて配置されている。圧電素子の長手方向(X方向)の端面位置まで上記内部電極の下側端部が伸びている(図22)。
互いに隣接する上記圧電シート37X,37Y同士の第一内部電極37Xa,37Xc,37Xc′,37Xa′と第二内部電極37Yb,37Yd,37Yd′,37Yb′とは形状が同じで、電極端部が上下が逆になり、積層されたときに矩形電極面が互いに重なる位置に配置されている。このような内部電極が施された2種類の圧電シート37X,37Yを交互に40層程度積層される。
積層された圧電素子の左側面には、第一内部電極37Xa,37Xcおよび第二内部電極37Yb,37Ydの端部が積層状態で露呈する内部電極露呈部が形成されている。積層された圧電素子の右側面には、第一内部電極37Xc′,37Xa′および第二内部電極37Yd′,37Yb′の端部が積層状態で端面に露呈する内部電極露呈部が形成される。さらに、上記内部電極露呈部上にそれぞれ導電性銀ペーストからなるそれぞれ4つの独立した外部電極が両側面部に形成され、該内部電極と導通するようになっている。
上記積層された圧電素子の前後面に圧電シート37X,37Yと同一矩形形状の絶縁板37A,37Bが配され、積層圧電体37が形成される。上記積層状態の積層圧電体37を焼結し、上記各電極を利用して分極を行うと振動子35となる。
振動子35の背面側絶縁板37Aの表面には導電銀ペーストからなる電極41a,41b,41c,41d,41a′,41b′が形成され(図19)、それぞれの電極には、上記各積層された圧電シート毎の両側に露呈した積層状態の両側面内部電極に電気接続される。すなわち、電極41aには、第一内部電極37Xaが電気接続される。電極41bは、第二内部電極37Ybと電気接続される。電極41cには、第一内部電極37Xcおよび37Xc′が電気接続される。電極41dには、第二内部電極37Ydおよび37Yd′が電気接続される。電極41a′には、第一内部電極37Xa′が電気接続される。電極41b′には、第二内部電極37Yb′が電気接続される。
上記絶縁板37A上の電極41a,41bと41a′,41b′とは、2本のリード線42eによって電気接続される。さらに、電極41aにはリード線42aに接続され、電極41bには、リード線42bに接続され、電極41cには、リード線42cに接続され、さらに、電極41dにはリード線42aが接続される。これらのリード線42a,42b,42c,42dは、後述する図24の振動子駆動回路52の駆動部47の振動子駆動信号出力端に接続される。詳しくは、リード線42aは、該振動子駆動信号ライン(出力端)のうち、信号ラインA1 +相に、リード線42bは、信号ラインA1 −相に、リード線42cは、信号ラインA2 +相に、リード線42dは、信号ラインA2 −相にそれぞれ接続される。
振動子35を構成する積層圧電体37の積層方向と直交する方向(Z方向)の前面の長手方向(T方向)に離間した振動の腹位置に一対の駆動子38が接着固着される。なお、該駆動子38は、高分子材料にアルミナを分散して形成されている。
振動子35の外側には、前述したように積層方向(R方向)に跨いだ状態で支持軸17を有する振動子ホルダ16が接着固定される。支持軸17は、R方向外方に突出して配され、その中心位置は、振動の節位置である。
本超音波モータ1が交換可能レンズ鏡筒の駆動源として適用される場合、図24に示すように振動子35を駆動制御するための駆動制御部50は、カメラボディ55(図29)を制御する制御用マイクロコンピュータ(以下、Bμcomと記載する)51と、発振部45,移相部46,駆動部47からなる振動子駆動回路52と、カメラボディに着脱可能なレンズ鏡筒に内蔵され、位相差検出部48および電流検出部49を有する振動情報検出部であるレンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、Lμcomと記載する)52とを有してなる。
超音波モータ1を駆動するに際して、Bμcom51によって制御される振動子駆動回路52にて、発振部45を経て駆動部47で位相制御された駆動信号である出力信号が上述したようにリード線42a〜42dを介して振動子35の電極41a(41a′),41b(41b′),41c,41dに印加される。
詳しくは、発振部45からの信号のうち、1組のA1 +,A1 −相にはそのままの信号が、他の1組のA2 +,A2 −相には移相部46により90°位相を変えた信号が駆動部47に入力される。すなわち、移相部46を通らない信号入力のうち、1組は、そのままの位相で電圧増幅された信号が第一の信号(A1 +相)として出力され、電極41a(41a′)に印加される。他の1つは、第一の信号に対して出力を反転させ(マイナスの電圧)、すなわち、位相を180°ずらして電圧増幅された出力が第二の信号(A1 −相)として出力され、電極41b(41b′)に印加される。
一方、移相部46を通った90°位相を変えた信号入力のうち、1つはそのままの位相で電圧増幅された信号が第三の信号(A2 +相)として出力され、電極41cに印加される。他の1つは第三の信号に対して出力を反転し(マイナスの電圧)、すなわち、位相を180°ずらして電圧増幅された信号が第四の信号(A2 −)として出力され、電極41dに印加される。
上述した第一〜第四の信号を振動子35に入力することによって、振動子35は屈曲振動と縦振動が合成された振動が生じる。すなわち、図23(A)〜(D)に示すような屈曲定在波振動と縦振動が合成された振動が生じ、上下の一対の駆動子38の先端に位相のずれた楕円振動(図17に示す軌跡E1 ,E2 の楕円振動、または、その逆方向の楕円振動)を発生させる。
なお、上記駆動子38の楕円振動の回転方向によって振動子35の移動方向が定まるがその楕円振動の回転方向は、移相部46における位相差によって設定される。
振動子35の駆動信号ラインには振動状態を表すパラメータとして、振動子に印加される周波信号の電流を検出するためにLμcom(振動情報検出部)53内の電流検出部49が接続されている。さらに、電流検出部49には発振部45からの周波信号の電圧と電流検出部49で検出した電流との位相差を検出するためにLμcom53内の位相差検出部48が接続されている。また、位相差検出部48には、検出した電流と電圧との位相差信号を取り込むためにBμcom(制御部)51が接続されている。さらに、Bμcom51には、発振部45が接続されている。
位相差検出部48により、振動子35の振動状態のパラメータである電流と電圧との位相差が検出され、検出された電流と電圧との位相差を利用してBμcom51では、外部環境により振動状態が変化した振動子35の共振周波数付近の周波数が検出される。また、Bμcom51は、検出された共振周波数付近の周波数を発振部45にフィードバックする。
なお、本実施形態の場合、振動子35に印加する駆動信号を周波信号とするが、矩形波、正弦波信号、または、鋸波信号とすることもできる。また、本実施形態の場合、位相差検出部48で検出される位相差は、発振部45の周波信号の電圧と振動子35に印加される周波信号の電流との位相差としたが、これに限定するものではなく振動子35に印加する周波信号の電圧と電流との位相差であっても良い。
上述したように超音波モータ1においては、位相差検出部48で検出された信号であって、振動子35に印加する周波信号の電流と、発振部45からの周波信号の電圧との位相差をBμcom51に入力することによって、周波数検出動作を行った時点での振動子35の共振周波数近傍の周波数が検出される。その結果を発振部45にフィードバックすることにより、外部要因の変化に伴い振動子35の共振状態が変化した場合でも共振周波数付近の周波数を検出して該周波数で駆動することができる。従って、駆動効率の良い状態で振動子35を駆動できるという効果が得られる。
上述した構成を有する超音波モータ1は、図1に示すようにユニット化され、レンズ鏡筒等のアクチュエータとして組み込むことが可能であるが、その組み込み状態において振動子35が振動子駆動回路52によって駆動され、駆動子38に楕円振動が生じた場合、駆動子38が当接するロータ板6がロータ本体4と共に回転軸O中心(回転軸心)に所望の回転方向に回転駆動される。本状態形態の場合、上記回転駆動によってロータ本体4に係合している連結ロッド28が回動移動し、例えば、レンズ鏡筒のレンズ駆動枠が該連結ロッド28によって回動駆動され、レンズ駆動枠が進退駆動される。
次に、上述した超音波モータ1を電子機器の駆動源として一眼レフカメラ用の交換式ズームレンズ鏡筒に組み込んだ場合の構成及び作用について、図25〜29を用いて説明する。
図25は、上記レンズ鏡筒のワイド状態における光軸を含む縦断面図である。図26は、上記レンズ鏡筒のテレ状態における光軸を含む縦断面図である。図27は、上記レンズ鏡筒における超音波モータおよびLD環の光軸を含む断面図である。図28は、上記レンズ鏡筒に適用する超音波モータに連結ロッド,レンズマウントを装着した状態の斜視図である。図29は、上記レンズ鏡筒とカメラボディとに内蔵される超音波モータ制御装置のブロック構成図である。
上記交換式レンズ鏡筒60は、カメラボディ55(図29)に装着されるズーミングおよびフォーカシングが可能なレンズ鏡筒であり、図25,26に示すように固定枠61と、固定枠61に装着される駆動源ユニットとしての超音波モータ1と、固定枠61に対して回動可能に支持されるズーム操作環62および距離操作環63と、光軸Oを有するレンズ群であって、前方側から第一群レンズ71,フォーカスレンズを構成する第二群レンズ72,第三群レンズ73,絞り76を内蔵する第四群レンズ74,第五群レンズ75と、進退可能な第一群レンズ71を保持する第一群枠と、同じく進退可能な第二群レンズ72を保持する第二ズーム枠65と、固定枠61に固定支持され、かつ、後述するカムフォロア67の直進ガイド66aを有し、進退移動しない第三群レンズ73を保持する第三群枠66と、進退可能な第四群レンズ74および第五群レンズを保持する第四群枠と、回動可能なカム枠64と、第二ズーム枠65,カム枠64のカム溝に係合するカムフォロア67と、固定枠61に回転可能に支持され、連結ロッド28が固着されるレンズ駆動環(LD環)27と、固定枠61に対してベアリング受ケ11を介して支持され、前述したハウジング2,ロータ3,振動子ユニット15等からなる超音波モータ1と、ハウジング2の後端面にビス止めされるレンズマウント29を有してなる。
また、LD環27に支持される連結ロッド28は、その超音波モータ1側後方端部の二又部28aが超音波モータ1のロータ本体4の突起部4aに係合し、かつ、前方端部の二又部28bが第二ズーム枠65に対して相対的にZ方向にのみ摺動自在に係合した状態で組み込まれる。したがって、超音波モータ1のロータ3が回転駆動すると、LD環27とともに連結ロッド28が回動し、第二ズーム枠65が回動駆動される。該回動により第二群ズーム枠65は、カムフォロア67を介して該カムフォロア67と係合するカム溝に沿って進退駆動される。
一方、レンズ鏡筒60の超音波モータ1を駆動するための超音波モータ駆動制御部は、図29に示すようにカメラボディ55側のBμcom51(図24のBμcom51と同一)と、カメラボディ55に対してボディマウント30,レンズマウント29により電気接続されるレンズ鏡筒側のLμcom53(図24のLμcom53と同一)と、USMドライバ等(図24における振動子駆動回路52が相当する)52と、ロータ3の回転量を検出するための磁気センサ54と、振動子35とを有してなる。
カメラボディ55の装着されたレンズ鏡筒60において、ズーム操作環62が回動操作された場合、ズーミング駆動がなされる。すなわち、上記ズーム操作によってカム枠64が回動駆動されると、カムフォロア67を介して第二ズーム枠65が進退移動し、第二群レンズ72が各ズーム位置に移動する。同時に図示しないカムフォロアを介して第一群レンズ71,第四群レンズ74および第五群レンズ75がそれぞれのズーム位置に移動する。但し、第三群レンズ73は、進退移動しない。図25,26は、上述したズーム駆動によるレンズ鏡筒60がワイド位置およびテレ位置に進退駆動された状態を示している。
一方、距離操作環63が回動操作された場合、または、測距装置による測距データによる合焦駆動が行われる場合、図25、または、26等の各ズーム状態においてフォーカシング駆動がなされる。すなわち、Lμcom53を介して得られる距離操作環63の回転量データ、あるいは、上記測距装置による測距データに基づき、第二群レンズ72の移動量データがBμcom51て演算される。その移動量データにしたがってLμcom53によりUSMドライバ52が駆動され、超音波モータ1の振動子35に超音波振動が励起される。振動子35に振動によってロータ本体4が回動駆動され、連結ロッド28を介して第二ズーム枠65が回動される。第二ズーム枠65の回動によりカムフォロア67を介して第二群レンズ72が進退駆動される。磁気センサ54により上記移動量データに相当するロータ本体4の回動が検出されたとき、言い換えれば、第二群レンズ72が所定のフォーカス位置に移動したとき、振動子35の超音波振動が停止され、フォーカシング駆動が終了する。
上述した本実施形態の超音波モータ1は、図1,2のようにユニット化された駆動源としてレンズ鏡筒や他の電子機器等に適用することが可能なものであって、振動子35のロータ3への押圧が確実に行え、モータの変換効率を上げることができる駆動源である。すなわち、振動子付勢部材として図11(A),(B)に示す形状の板バネ18を適用することによって長円凸部18dで振動子ホルダ16の端面部16aの中央(振動の節の上方位置)をZ方向に押圧するので、振動を阻害しない状態で振動子35を押圧することができ、しかも、板バネ18の片当たりのない状態で振動子35を押圧することで2つの駆動子38をロータ板6により均等に、かつ、摩擦接触面に垂直な状態で安定して当接させることができる。従って、回転ムラや正逆方向の力量差の発生、また、駆動トルクのムラも少なく、変換効率の高い超音波モータが実現できる。
また、その押圧力の調節機構として板バネ18に挿入する調節ワッシャ21や押さえ板25に挿入される調節ワッシャ26やリング状スペーサ7等を選択的に使用することによって簡単に、かつ、確実に上記押圧力の調節を行うことができる。
さらに、超音波モータ1は、前述したように駆動源としてユニット化されるので、例えば、各種のタイプ、または、仕様のレンズ鏡筒や電子機器等に組み込むことが容易である。
また、上述の例では、ハウジング2に3つの挿入開口部2aに2つの振動子と1つのローラを挿入し、取り付ける構成としたが、必要に応じて挿入される振動子35の数を選択することによって超音波モータ1の出力を簡単に増減することができる。例えば、1つ、または、3つの振動子を組み込むことも可能である。そのとき、振動子が挿入されない挿入開口部2aには、振動子に替えてローラ22を挿入し、ロータ3に作用する押圧力のバランスを保つことができる。
ハウジング2の挿入開口部2aの数は、必要に応じて3つ以外の数の挿入開口部2aを設け、振動子をさらに増減して、超音波モータの必要とする出力が得られるように構成することも可能である。
また、第一の押圧力調節機構としての調節ワッシャ21と調節ワッシャ26とは、いずれか一方のみで振動子の押圧力を調節するようにしてもよい。さらに、第一の押圧力調節機構とリング状スペーサ7の第二の押圧力調節機構とのいずれか一方で振動子の押圧力を調節するようにしてもよい。
次に、上述した実施形態の超音波モータ1の各構成要素に対する各種の変形例について説明する。なお、各変形例を適用する超音波モータにおいては、以下に説明する以外の部分は、上記実施形態の超音波モータ1の構成と同様の構成が適用されるものとする。
まず、上述した図17の振動子ユニット15の電力,制御信号供給用リード線に対してFPC(フレキシブルプリント基板)を適用した振動子ユニットの変形例について図30を用いて説明する。
図30は、上記変形例の振動子ユニット15Aを超音波モータの外周側から見た図である。
図30に示すように本変形例の振動子ユニット15Aにおいては、振動子35に接続用FPCが取り付けられ、振動子35の各電極部に接続用FPC43の各導電パターンが電気接続される。すなわち、電極41a,41a′には、駆動部47(図24)の信号ラインA1 +に接続される導電パターン43aが支持軸フランジ部17aを逃げた状態で接続される。電極41b,41b′には、駆動部47の信号ラインA1 −に接続される導電パターン43bが同じく支持軸フランジ部17aを逃げた状態で接続される。電極41cには、駆動部47の信号ラインA2 +に接続される導電パターン43cが接続される。電極41dには、駆動部47の信号ラインA2 −に接続される導電パターン43dが接続される。
本変形例の接続用FPCをもつ振動子ユニット15Aを適用すると、配線作業時、取り扱いにくいリード線の始末が不要となり、組み立てが容易になる。
次に、超音波モータに複数の振動子ユニットを適用する場合の変形例の接続用FPCをもつ振動子ユニットの接続例について図31の斜視図を用いて説明する。
この例では、図31に示すように接続用FPC43Aの導電パターンは、各振動子ユニット15Aに対して並列接続されるパターンで形成され、接続用FPC43Aの端部には、振動子駆動回路52への接続用コネクタ43aが配されている。本変形例では、接続用FPC43Aが一本のFPCで形成可能であり、超音波モータの機器への組み込みが容易になる。
次に、前記実施形態で適用した振動子ユニット15に対して振動子ホルダ16を用いない変形例の振動子ユニット15Bについて該振動子ユニットの斜視図である図32,33を用いて説明する。
上記変形例の振動子ユニット15Bは、振動子35Bに直接、支持軸36を貫通させて固着するものである。この支持軸36も振動子35Bの振動の節位置に配される。この振動子ユニット15Bを超音波モータ1に組み込んだ場合、板バネとして前述したローラ用の板バネ23と同様な形状の板バネを適用する。この場合、ハウジング2のガイド溝に嵌入させた状態の支持軸36を上記板バネの突起部で直接押圧する。そして、振動子35とハウジング2の挿入開口部2aとのR方向の隙間は、前記実施形態の場合と同様に滑りのよい隙間調節ワッシャを挿入してガタのない状態とする。
本変形例の振動子ユニット15Bでは、振動子ホルダが不要になり、構成部品数を減らすことができ、また、振動子ユニットの占有スペースも少なく、超音波モータの小型化に効果がある。
次に、前記実施形態で適用した押さえ板25に対する変形例の押さえ板について、該変形例を適用した超音波モータの断面図である図34を用いて説明する。
前記実施形態の超音波モータ1では、押さえ板25は、3つに分割されていたが、本変形例の押さえ板としては、1つのリング状の押さえ板25Aを適用する。この場合、該押さえ板25Aは、3本のビスでハウジング2に固着される。
この変形例の場合、押圧力調節機構として押さえ板25Aとハウジング2との間に挿入される3枚の調節ワッシャの厚みをそれぞれ調節することにより2つの振動子35および1つのローラ22の押圧力を同時に調節することができる。
次に、前記実施形態で適用した振動子35をロータ側に付勢する付勢部材(板状弾性部材)である板バネ18に対する変形例の板バネ81について図35,36を用いて説明する。
図35(A)は、上記変形例の板バネの平面図であり、図35(B)は、図35(A)のH−H断面図である。図36は、上記変形例の板バネの斜視図である。
本変形例の板バネ81は、図35(A),(B)に示すように板バネ18と同様T方向に延びる弾性変形可能な金属製板バネ部材であるが、中央平面部に設けられるZ方向(前側)に凸となる押圧部として長円凸部18dに替えて小半球状の凸部81dが設けられる。その他の形状は、板バネ18と同様であり、中央平面部の両側に僅かな折り曲げで形成される弾性変形可能な加圧部となる腕部81aと、腕部の一方の端部である第一の端部81eに丸穴81bと、他方の端部である第二の端部81fにT方向の長穴81cとが設けられる。凸部81dは、組み付け状態で振動子ユニット15の支持軸17の軸心中央からZ方向に離間した位置に設けられ、振動子ホルダ16の端面16aの中心部に点接触する。
板バネ81の押さえ板25への取り付け状態も板バネ18の場合と同一とする。したがって、板バネ81で振動子ホルダ16を押圧した場合も板バネ81の端部が長穴81cで段ネジ20上を僅かにスライド移動することによって弾性変形し、上記弾性変形によって凸部81dがZ方向の押圧力で振動子ホルダ16を押圧しながらZ方向に平行移動状態で変位する。押圧力を与えた場合、また、押圧力の調節を行った場合、図11(B)に示す状態と同様に凸部81dは、T方向に僅かに変位する。
本変形例の板バネ81を適用した場合、T方向は勿論、R方向に関しても押さえ板25,板バネ81と振動子ホルダ16との面の平行度が多少悪かったとしても当接部となる凸部81dが小半球状であるため片当たりすることなく、該凸部の先端で振動子ホルダ16の端面16aに正常に当接する状態が得られる。
次に、前記実施形態で適用した振動子35をロータ側に付勢する付勢部材(板状弾性部材)である板バネ18に対する別の変形例の板バネ82についてその斜視図である図37を用いて説明する。
この変形例の板バネ82も板バネ18と同様T方向に延びる弾性変形可能な金属製板バネ部材であるが、中央平面部に設けられるZ方向(前側)に凸となる押圧部としての山形凸部82dが設けられる。その他の形状は、板バネ18と同様であり、中央平面部の両側に僅かな折り曲げで形成される弾性変形可能な加圧部となる腕部82aと、腕部の一方の端部である第一の端部82eに丸穴82bと、他方の端部である第二の端部82fにT方向の長穴82cとが設けられる。山形凸部82dは、頂部にR方向の稜線を有し、その稜線は、支持軸17の軸心をZ方向に平行移動した位置にある。この山形凸部82dの稜線部が組み付け状態で振動子ホルダ16の端面16aに線接触する。
板バネ82の押さえ板25への取り付け状態も押さえ板18の場合と同一とする。したがって、板バネ82で振動子ホルダ16を押圧した場合も板バネ82の端部が長穴82cで段ネジ20上を僅かにスライド移動することによって弾性変形し、凸部82dがZ方向の押圧力で振動子ホルダ16を押圧しながらZ方向に平行移動状態で変位する。また、上記押圧力の調節を行った場合を含めて図11(B)に示す状態と同様に凸部82dは、T方向に僅かに変位する。
本変形例の板バネ82を適用した場合、板バネ18を適用した場合と同様の効果を奏するが、特に山形凸部82dの稜線部で振動子ホルダ16と当接するので当接部が線状となり、確実に振動子ホルダ16の中心部を押圧する状態が得られる。
次に、前記実施形態で適用した振動子35をロータ側に付勢する付勢部材(板状弾性部材)である板バネ18に対するさらに別の変形例の板バネ83について図38〜40を用いて説明する。
図38は、上記変形例の板バネをハウジングに取り付けた状態を回転軸方向から見た図である。図39は、図38のI−I断面図である。図40は、図38のJ−J断面図である。
この変形例の板バネ83は、図38に示すようにリング形状に連結された弾性変形可能な金属製板バネ部材であって3つのバネ部83A,83B,83Cを3つの円弧状の接続部83hで接続して形成された部材であり、バネ部83A,83B,83Cは、ハウジング2の3つの挿入開口部2aに振動子ユニット15の後方から挿入可能である。
バネ部83A,83B,83Cは、それぞれ同様の形状を有しており、バネ部83Aについて説明すると、バネ部83Aには、中央平面部にてZ方向(前側)に凸となる押圧部としての小半球凸部83dと、中央平面部の両側に僅かな折り曲げにより形成される弾性変形可能な加圧部となる腕部83aと、板バネ支持機構として中央平面部にてR方向に(回転軸心から外径側に)突出する押圧位置規制部となる突起部83g、および、双方の腕部の両端部にT方向に沿った長穴83b,83cとが設けられる。小半球凸部83dは、振動子支持軸17の軸心中央をZ方向に離間した位置にあり、組み付け状態で振動子ホルダ16の端面16aに点接触する。突起部83gは、ハウジング挿入開口部2aのガイド溝2bの一方にガタなく嵌入され、バネ部83AのT方向の移動を規制する(すなわち、押圧位置を規制する)。なお、突起部83gは、上述とは逆に内径側に突出した形状であってもよい。
接続部83hは、後述するようにバネ部83A,B,Cがそれぞれ振動子ホルダ16を押圧し、T方向に延びたとき、容易に変形し、上記板バネの延びを吸収する。
板バネ83をハウジング2に組み付ける場合、図40に示すように調節ワッシャ21を押さえ板25Aとの間に挿入し、段ネジ20を長穴83b,83cに挿通させて押さえ板25Aに螺着し、取り付ける。なお、上記押さえ板25Aは、一体化されたリング状の部材とする。
ハウジング2の挿入開口部2aに挿入されている振動子ユニット15の後面側から板バネ83のバネ部83A,B,Cを当て付け、押さえ板25Aをハウジング2にビスで固着する。その固着状態で小半球凸部83dで振動子ホルダ16を押圧する。その押圧力は、調節ワッシャ21の厚みや押さえ板25Aに挟まれる調節ワッシャ26の厚みで調節可能である。上記押圧力を与えた場合、また、該押圧力を調節した場合(すなわち、押圧量を変化させた場合)、段ネジ20が挿通する長穴83b,83cでわずかに滑って各バネ部83A,B,Cは、両側に延びる。しかし、突起部83gがガイド溝2bに嵌入しているので図11(B)で説明したような小半球凸部83dの振動子ホルダ押圧位置のT方向へのずれは生じない。さらに、板バネ部83A,B,Cが変形した場合も小半球凸部83dは、平行移動することからその押圧方向が変化することがなく、安定した良好な振動子押圧状態が得られる。
本変形例の板バネ83を適用した場合、板バネ18を適用した場合と同様の効果を奏するが、特に小半球凸部83dの押圧位置が変化しないことから常に振動子ホルダ16の中心部を押圧する状態が得られる。また、押さえ板83が単一のリング形状であり、3分割されていないことから組み立てが容易である。
上述した変形例の板バネ83に対して図41に示す形状を有する板バネ84も提案できる。この板バネ84は、バネ部84A,84B等を接続する接続部84hの形状が折れ曲がったクランク形状(、または、ジグザク形状)であり、より変形しやすくなっている。その他の形状は、板バネ83と同様の形状を有し、バネ部84Aには、中央平面部にてZ方向(前側)に凸となる押圧部として小半球凸部84dと、中央平面部にてR方向に(回転軸心から外径側に)突出する押圧位置規制部としての突起部84gと、上記中央平面部の両側に僅かな折り曲げで形成される弾性変形可能な加圧部となる腕部84aと、双方の腕部の端部にT方向に沿った長穴84b,84cとが設けられる。
板バネ84で振動子ホルダ16を押圧し、さらに、その押圧力を調節した場合、バネ部84A,84B等の両端が延びるが接続部84hが容易に変形し、上記両端の延びに対して接続部の変位量は非常に小さくなる。また、突起部84gがガイド溝2bに嵌入してるので、板バネ83の場合と同様に小半球凸部84dの振動子ホルダ押圧位置のT方向へのずれは生じない。また、小半球凸部84dの押圧方向の変化も生じることがなく、安定した良好な振動子押圧状態が得られる。
次に、前述した実施形態に適用した振動子ユニット15と板バネ18に対する各変形例について図42〜46を用いて説明する。
図42は、上記変形例1つである振動子ユニット15Cと板バネ85の分解斜視図である。
この変形例の振動子ユニット15Cは、振動子ユニット15に対して振動子に固着される振動子ホルダ16CのZ方向端面部にR方向に沿った被押圧突起部である長円凸部16Caが配されており、それ以外は、同様の構成とする。長円凸部16Caは、振動子ホルダ16の支持軸17をZ方向に平行移動させた位置に配されている。
振動子ユニット15Cと組み合わせて適用される板状弾性部材である板バネ85は、押圧面となる中央平面部85dに凸部がない以外は前述実施形態における板バネ18と同様に双方の腕部85aと丸穴85b,長穴85cを有しており、押さえ板25に調節ワッシャ21を挟んで固定ネジ19,段ネジ20をよって取り付けられる。さらに、板バネ85をその中央平面部85dを振動子ホルダ16の長円凸部16Caに線接触して当接させた状態で押さえ板25に装着し、該押さえ板25をハウジング2に固着する。
上記組み付け状態で板バネ85の中央平面部85dにより振動子ホルダ16の端面の長円凸部16CaのR方向に沿った頂部を押圧する。その押圧力の調節は、前述実施形態における板バネ18による押圧力の調節と同様に調節ワッシャ21,26等によって行われる。
本変形例の振動子ユニット15Cと板バネ85を適用した超音波モータでは、板バネ85の中央平面部85dが振動子ホルダ16側の長円凸部16Caに当接することからその押圧状態では、押圧力を調節した場合を含めて常に振動子ホルダ16の中心を通して支持軸上を押圧する。したがって、振動子35の2つの駆動子38がロータ板6に対して常に均等に、かつ、摩擦接触面に垂直な状態で当接し、前述した実施形態に対してさらに良好な駆動状態が得られる。
図43は、上記変形例の振動子ユニット15Cに代わる他の1つの変形例の振動子ユニット15Dの斜視図である。
この変形例の振動子ユニット15Dにおいては、振動子35に固着される振動子ホルダ16Dの端面上に支持軸17の軸心中央からZ方向に離間した位置に被押圧突起部である小半球凸部16Daが配されている。この振動子ユニット15Dを押圧する板バネは、上記変形例の板バネ85(図42)が適用される。
本変形例の振動子ユニット15Dを適用した超音波モータでは、板バネ85の中央平面部85dを振動子ホルダ16Dの小半球凸部16Daに点接触させて押圧する。押さえ板25とロータ板6とのR,T平面上の何れの方向の平行度が多少悪い場合であっても、板バネ85で押圧した場合、また、その押圧力を調節した場合も含めて板バネ85が片当たりするなく、常に小半球凸部16Daを介して振動子35が押圧される。したがって、振動子35の2つの駆動子38は、ロータ板6に対して均等に、かつ、摩擦接触面に垂直な状態で当接するので、前述した実施形態に対してさらに良好な駆動状態が得られる。
図44は、上記変形例の振動子ユニット15Cに代わるさらに他の1つの変形例の振動子ユニット15Eの斜視図である。
この変形例の振動子ユニット15Eにおいて、振動子35に固着される振動子ホルダ16Eの端面上には、支持軸17の軸心からZ方向に平行移動した位置にR方向に沿った稜線を有する被押圧突起部である山形凸部16Eaが配される。この振動子ユニット15Eを押圧する板バネは、上記変形例の板バネ85(図42)が適用される。
本変形例の振動子ユニット15Eを適用した超音波モータでは、板バネ85の中央平面部85dを振動子ホルダ16Eの山形凸部16Eaに線接触させて押圧する。そして、板バネ85で押圧した場合、また、その押圧力を調節した場合も板バネ85が片当たりすることなく、常に山形凸部16Eaを介して振動子35が押圧される。したがって、振動子35の2つの駆動子38は、ロータ板6に対して均等に、かつ、摩擦接触面に垂直な状態で当接するので、前述した実施形態に対してさらに良好な駆動状態が得られる。
図45は、上記変形例の振動子ユニット15Cに代わるさらに他の1つの変形例の振動子ユニット15Fと押圧部材である押さえ体91と板バネ85の分解斜視図である。
この変形例の振動子ユニット15Fは、振動子35と、振動子35に固着され、両側に突出する支持用突起部である丸軸からなる支持軸17Fをもつ振動子ホルダ16Fとからなり、支持軸17Fは、振動子35の振動の節位置に配される。振動子ホルダ16Fと振動子35には、押さえ体91が支持軸17Fを介して回動可能に嵌入するが、その押さえ体91は、開口部を有するコの字形状の部材であって、開口側端部にはR方向に対向する支持軸との係合部となる切り欠き91aが設けられ、反開口側の平面状の端面91bが形成されている。この押さえ体91は、振動子ホルダ16FにR方向のガタのない状態で嵌合され、支持軸17Fと切り欠き91aが相対回動可能な状態で係合される。この振動子ユニット15Fを押圧するための板バネは、上記変形例の板バネ85(図42)が適用される。
押さえ体91を係合させた状態の振動子ユニット15Fをハウジング2の挿入開口部2aに挿入し、支持軸17Fをガイド溝2bに嵌入させる。そして、板バネ85を装着した押さえ板25をハウジング2に取り付けると、押さえ体91の端面91bが板バネ85の中央平面部85dに当接し、該平面部85dに倣った状態で押圧される。振動子35は、振動子ホルダ16Fの支持軸17Fを介して押圧され、駆動子38がロータ板6に圧接する。板バネ85による押圧力の調節は、前述図42で説明した調節と同様に行われる。
本変形例を適用した超音波モータでは、板バネ85により振動子ユニット15Fを押圧した場合、また、該押圧力を調節した場合も含めて常に板バネ85の中央平面部85dが押さえ体91の端面91bに倣った状態で当接し、かつ、押さえ体91で振動子35側の支持軸17Fを直接、押圧するので振動子35の駆動子38は、ロータ板6に対して均等に、かつ、摩擦接触面に垂直な状態で当接するので、前述した実施形態に対してさらに良好な駆動状態が得られる。
図46は、上記変形例の振動子ユニット15Cに代わるさらに他の1つの変形例の振動子ユニット15Gと押圧部材である押さえ体92の分解斜視図である。
この変形例の振動子ユニット15Gは、振動子35と、振動子ホルダ16Gとからなるが、振動子ホルダ16Gには、支持用突起部として角柱、例えば、三角柱である支持軸17Gが両側に突出して固着される。この場合、三角柱形状の支持軸17Gの頂点位置が振動子35の振動の節位置となる。振動子35と該振動子に固着される振動子ホルダ16Gには、押さえ体92が支持軸17Gを介して回動可能に嵌入するが、その押さえ体92は、開口部を有するコの字形状の部材であって、開口側端部にはR方向に対向する支持軸との係合部となる切り欠き92aが設けられ、反開口側の平面状の端面92bが形成される。この押さえ体92は、振動子ホルダ16GにR方向のガタのない状態で嵌合され、切り欠き92aにて支持軸17Gの三角柱頂点を中心にして相対回動可能にする。この振動子ユニット15Gを押圧するための板バネは、上記変形例の板バネ85(図42)が適用され、押さえ体92の端面92bを押圧する。
この振動子ユニット15Gと押さえ体92を適用した超音波モータの作用は、前記図45の変形例の場合と同様であり、同等の効果を奏する。
次に、前述した実施形態の超音波モータ1における振動子の押圧力調節機構の2つの変形例について図47〜49を用いて説明する。
図47は、上記変形例の1つである第一の押圧力調節手段(押圧力調節機構)を備えた超音波モータの振動子ユニット押圧部の分解斜視図である。図48は、超音波モータの組み込み状態における図47のK矢視図である。
この変形例の第一の押圧力調節手段を備えた振動子ユニット押圧部には、前述実施形態に適用したものと同一の振動子ユニット15と板バネ18と上記押圧力調節手段である調節ワッシャ21が配され、さらに、上記押圧力調節手段として板状の部材である調節スペーサ93を備えている。
振動子ユニット15の振動子35は、図48に示すように押さえ板25に調節ワッシャ21を挟んだ状態で取り付けられた板バネ18の押圧付勢力より駆動子38を前記実施形態の場合と同様にロータ板6に押圧されて保持される。
振動子ユニット15に対する板バネ18の押圧力は、板バネ18の両端と押さえ板25との間に挿入される調節ワッシャ21の厚さによって調節することができるが、特に図47に示すように板バネ18の両端に挿入される押圧方向調節手段としての調節ワッシャ21の枚数(あるいは、総厚さ)を変えて調節することにより長円凸部18dで振動子ホルダ16を押圧する押圧方向(向き)Hを調節することができる。この押圧方向Hを調節することによって振動子35の離間する2つの駆動子38をロータ板6の摩擦接触面6aに対して均等に、または、垂直に当接させ、超音波モータの変換効率を上げることができる。
さらに、振動子ホルダ16の端面16aに適切な厚みの調節スペーサ93を接着固定し、該スペーサを挟んだ状態で板バネ18の長円凸部18dにより振動子ホルダ16を押圧して上記押圧力を調節することができる。そして、押圧方向Hを調節する必要がない場合であれば、調節ワッシャ21を使用せず、この調節スペーサ93のみで押圧力を調節することも可能である。
図49は、上記変形例の他の1つである第二の押圧力調節手段(押圧力調節機構)を備えた超音波モータのハウジング,振動子ユニット,ロータの断面図である。図50は、本変形例におけるハウジングとロータの分解斜視図である。
この変形例の押圧力調節機構を備えた超音波モータは、ハウジング2Aと、該ハウジングに挿入される振動子ユニット15と、該振動子ユニットの振動子35を押圧するための板バネ18と、振動子35が当接子、回転駆動されるロータ3とベアリング部材8とベアリング受ケ11Aと押さえ板25等を有してなる。
ハウジング2Aは、前記実施形態に適用したハウジング2と同様に振動子ユニット15を挿入するための挿入開口部2a,ガイド溝2bを有しており、さらに、外周部に板バネの押圧力を調節するための調節ネジ(調節用雄ネジ)2Adが設けられる。
一方、ベアリング受ケ11Aには、V溝11aの他にハウジング2Aの調節ネジ2Adに螺合する調節ネジ(調節用雌ネジ)11Abが設けられる。
本変形例を組み込んだ超音波モータにおいては、ハウジング2Aに振動子ユニット15,板バネ18,押さえ板25を組み付け、さらに、その前面部にロータ3,ベアリング部材8を当て付けて、調節ネジ2Adにベアリング受ケ11Aをその調節ネジ11Abを螺合させて取り付ける。
上述の調節ネジ2Ad,11Abの螺合によって振動子ホルダ16,振動子35が板バネ18によって押圧されるが、その螺合量によって駆動子38のロータ板6への押圧力を調節することができる。適切な押圧力が得られた状態で調節ネジ2Ad,11Abを接着等で固定する。
本変形例の押圧力調節機構を適用した場合、前述した実施形態の効果に加えてさらに振動子35のロータ3への押圧力の調節が調節ネジ2Ad,11Abによって簡単に行うことができる。なお、さらに、前記実施形態で適用した調節ワッシャ21,26等を併用して上記押圧力の調節を行うようにしてもよい。
次に、図1の超音波モータ1に適用される図16に示した板バネを用いたローラ押圧部に対する変形例のローラ押圧部について図51,52を用いて説明する。
図51は、上記変形例のローラ押圧部を適用した超音波モータのローラまわりの拡大断面図である。図52は、図51に示すローラ押圧部の板バネとローラホルダ、および、ローラの斜視図である。
本変形例のローラ押圧部は、板バネ98とローラホルダ97からなる。図52に示すように板バネ98は、前記実施形態の超音波モータ1に適用された図11に示した板バネ18と同一形状を有しており、板バネ18と同様に押さえ板25に装着される。ローラホルダ97は、ローラ95を挟持するコの字形状を有し、側面に突起部97cを有し、ローラ95を回転可能に貫通するローラ軸96を支持する軸穴97aを有している。
本変形例のローラ押圧部においては、図51に示すように板バネ98の長円凸部18dがローラホルダ97の上端面に当接しており、ローラホルダ97は、ハウジング2の挿入開口部2aにローラ95と共に挿入し、突起部97cが挿入開口部2aに隙間なく嵌入される。ローラ95は、板バネ98の付勢力によってローラホルダ97およびローラ軸96を介してZ方向に押圧され、ロータ板6に所定の付勢力で押圧される。
本変形例のローラ押圧部を適用した場合も前記実施形態の超音波モータ1の場合と同様にローラ95は、板バネ98の付勢力でロータ板6に押圧され、板バネ18の付勢力による振動子35の駆動子38のロータ板6への押圧に対してバランスした状態でロータ3の回転駆動がなされる。
上述した実施形態の超音波モータ、あるいは、各変形例を適用した超音波モータは、振動子を超音波振動させて駆動力を得るモータであったが、振動子に超音波振動以外の可聴領域の振動を発生させて駆動力を得るような振動波モータに対しても、本発明の要旨を適用することは可能である。
さらに、本発明の超音波モータは、その構成の要旨をリニア駆動型モータにも適用可能である。その場合、ハウジング2,ベアリング部材,ベアリング受ケ部材等は、環状部材ではなく、真直、あるいは、駆動方向に沿った曲線形状の部材で形成される。