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JP2006143767A - 塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂組成物 Download PDF

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JP2006143767A
JP2006143767A JP2004331766A JP2004331766A JP2006143767A JP 2006143767 A JP2006143767 A JP 2006143767A JP 2004331766 A JP2004331766 A JP 2004331766A JP 2004331766 A JP2004331766 A JP 2004331766A JP 2006143767 A JP2006143767 A JP 2006143767A
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Tarou Midera
太朗 三寺
Megumi Ochimizu
めぐみ 落水
Yosuke Ishima
洋輔 石間
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Abstract

【課題】 可塑剤を少量しか配合しない場合又は全く配合しない場合においても、重金属系安定剤を使用することなく、優れた熱安定性及び着色性を示す塩化ビニル系樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 塩化ビニル系樹脂100質量部に、(a)可塑剤0〜25質量部、(b)分子中に2個のエーテル環構造を有する二糖類の少なくとも一種0.001〜10質量部、並びに(c)アルキルホスファイト及びアルキルアリールホスファイトからなる群から選ばれる常温で液状のホスファイト化合物の少なくとも一種0.001〜10質量部を配合してなる塩化ビニル系樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、安定化された塩化ビニル系樹脂組成物、詳しくは、二糖類及び特定のホスファイト化合物を併用添加することにより、重金属を含有しない系においても、優れた耐熱性及び着色性を示す硬質あるいは半硬質塩化ビニル系樹脂組成物に関するものである。
塩化ビニル系樹脂は、可塑剤を使用することで容易に硬さを調整することができるため、農業用のシートから窓枠等の建材用途まで、種々の用途に使用することができる。
しかし、塩化ビニル系樹脂は、光や熱に対する安定性に難があり、加熱成型加工時や製品の使用時に、主として脱ハロゲン化水素に起因する分解を起こしやすいことが知られている。このため、有機酸の金属塩、有機錫化合物、有機ホスファイト化合物、エポキシ化合物、β−ジケトン化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の種々の安定剤を配合して塩化ビニル系樹脂の安定性を改善する試みがなされている。
近年、毒性の問題から、鉛、カドミウム等の重金属の使用が敬遠されているため、バリウム−亜鉛系の複合系の安定剤が使用される傾向があるが、バリウムも重金属であるため、さらに最近では、より低毒性のカルシウム−亜鉛系あるいはカルシウム−マグネシウム−亜鉛系の複合系の安定剤への置き換えが望まれている。しかし、これらの系の安定剤では熱安定性、耐候性等の性能が全く不十分である。
また、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のポリオール化合物は、低毒性の金属安定剤と併用することで熱安定性及び着色性を改善することが知られている。また、特許文献1には、塩化ビニル系樹脂にアルドヘキソース又はケトヘキソースを配合することが提案されているが、この組成物の性能は未だ不十分である。さらに、特許文献2及び3等には、粉体成型用の塩化ビニル系樹脂に糖質類を添加することが提案されているが、そこで実際に使用されているソルビトールの如き還元糖アルコールあるいはグルコースの如き単糖類では、未だ満足できる結果のものは得られていない。
さらに、特許文献4には、塩化ビニル系樹脂に、分子中に2個のエーテル環構造を有する二糖類と、ハイドロタルサイト化合物とを併用添加することが提案されているが、未だ満足できる性能のものは得られていない。
また、特許文献5等には、塩化ビニル系樹脂に、トレハロース、並びに有機酸金属塩、エポキシ化合物、有機亜燐酸塩、フェノール系酸化防止剤、β−ジケトン化合物等を併用添加することが提案されている。しかし、ここでは主として可塑剤を多く使用する軟質塩化ビニル系樹脂を安定化することを目的としているため、可塑剤を全く配合しないかあるいは少量しか使用しない硬質あるいは半硬質塩化ビニル系樹脂においては、多くのホスファイト化合物の中でも、特定のホスファイト化合物を選択することによって効果の向上が見られることに関しては、全く記載されていない。
特に、可塑剤を全く配合しない硬質塩化ビニル系樹脂組成物、あるいは可塑剤を少量しか配合しない半硬質塩化ビニル系樹脂組成物においては、加工時に高温高圧に曝され、成型品の熱安定性あるいは耐候性に関してもより高度な性能が要求されるため、より高性能の安定化助剤が求められている。
特開昭47−36495号公報 特開平5−105793号公報 特開平5−105794号公報 特開平9−176416号公報 特開平9−176420号公報
従って、本発明の目的は、特に可塑剤を少量しか配合しない場合又は全く配合しない場合においても、重金属系安定剤を使用することなく、優れた熱安定性及び着色性を示す塩化ビニル系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、塩化ビニル系樹脂に、2個のエーテル環構造を有するオリゴ糖類及び特定のホスファイト化合物を併用添加してなる塩化ビニル系樹脂組成物が、上記目的を達成し得ることを知見した。
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、塩化ビニル系樹脂100質量部に、(a)可塑剤0〜25質量部、(b)分子中に2個のエーテル環構造を有する二糖類の少なくとも一種0.001〜10質量部、並びに(c)アルキルホスファイト及びアルキルアリールホスファイトからなる群から選ばれる常温で液状のホスファイト化合物の少なくとも一種0.001〜10質量部を配合してなる塩化ビニル系樹脂組成物を提供するものである。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、特に可塑剤を少量しか配合しない場合又は全く配合しない場合においても、重金属系安定剤を使用することなく、優れた熱安定性及び着色性を示すものである。従って、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、特に可塑剤を全く使用しない建材用途等に好適に使用することができる。
以下、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明に使用される前記塩化ビニル系樹脂としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等その重合方法には特に限定されず、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニリトル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体等の塩素含有樹脂、及びこれら相互のブレンド品、あるいは他の塩素を含まない合成樹脂、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリリレート共重合体、ポリエステル等とのブレンド品、ブロック共重合体、グラフト共重合体等を挙げることができる。これらの塩化ビニル系樹脂の中でも、塩素含有量が60質量%未満である塩化ビニル単独重合体又は共重合体、とりわけ塩素含有量が60質量%未満で且つ重合度700〜1300の塩化ビニル単独重合体を使用することが、加工性、熱安定性、着色性等の諸性能に一層優れたものが得られる点で好ましい。尚、上記塩素含有量の下限は、好ましくは35質量%である。
本発明の組成物に使用し得る(a)成分である可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ブチルヘキシルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルテレフタレート等のフタレート系可塑剤;ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(ブチルジグリコール)アジペート等のアジペート系可塑剤;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリ(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリ(ブトキシエチル)ホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート等のホスフェート系可塑剤;多価アルコールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等と、二塩基酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等とを用い、必要により一価アルコール、モノカルボン酸をストッパーに使用したポリエステル系可塑剤;その他、テトラヒドロフタル酸系可塑剤、アゼライン酸系可塑剤、セバチン酸系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤、クエン酸系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、ビフェニレンポリカルボン酸系可塑剤等が挙げられる。
上記(a)成分である可塑剤は、前記塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0〜25質量部、好ましくは0〜10質量部の範囲で使用される。可塑剤を25質量部を超えて使用すると、剛性や熱変形温度が低下する等の欠点が生じるおそれがある。
本発明に使用される(b)成分である分子中に2個のエーテル環構造を有する二糖類としては、例えば、下記〔化1〕に例示する単糖類を、脱水縮合してなる構造を有する二糖類等が挙げられる。尚、ここで使用される二糖類に関しては、阿武喜美子、瀬野信子著「糖化学の基礎」(講談社)等に詳しい。
従って、本発明に使用される上記(b)成分である二糖類としては、例えば、マルトース(α−Glcp(1→4)β−Glcp)(麦芽糖)、セロビオース(β−Glcp(1→4)α−Glcp)、ラクトース(β−Galp(1→4)α−Glcp)(乳糖)、イソマルソース(α−Glcp(1→6)α−Glcp)、ゲンチオビオース(β−Glcp(1→6)β−Glcp)、スクロース(α−Glcp(1→2)β−Frcf)、トレハロース(α−Glcp(1→1)α−Glcp)等が挙げられるが、これらの中でも、トレハロースが、着色やプレートアウトを生じることなく、特に優れた耐熱性を付与することができるため好ましい。
上記(b)成分である二糖類の配合量は、前記塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部である。該二糖類の配合量が、0.001質量部未満の場合には、ほとんどその効果は見られず、10質量部を超えた場合には、増量による効果がないばかりでなく、加工時にプレートアウトを生じる等の悪影響を与えるおそれがある。
本発明に使用される(c)成分であるホスファイト化合物は、アルキルホスファイト及びアルキルアリールホスファイトからなる群から選ばれる常温(25℃)で液状のホスファイト化合物である。その例としては、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト等のジフェニルモノアルキルホスファイト;ジイソデシルモノフェニルホスファイト、ビス(トリデシル)モノフェニルホスファイト等のジアルキルモノフェニルホスファイト;トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト等のトリアルキルホスファイト;テトラ(C1215混合アルキル)−4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト等のテトラアルキル−4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト;ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。これらの中でも、ジアルキルモノフェニルホスファイト(特にビス(トリデシル)モノフェニルホスファイト)及びテトラアルキル−4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイトからなる群から選択される一種以上が好ましく用いられる。
上記(c)成分の配合量は、前記塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部である。0.001質量部未満では使用効果が得られず、10質量部よりも多く使用しても無駄であるばかりでなく、組成物の耐熱着色性を低下させてしまう。
本発明において、上記(b)成分と上記(c)成分との配合比(前者/後者の質量比)は、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、上記(c)成分のホスファイト化合物と共に、他の有機ホスファイト化合物を併用することができる。該有機ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト等のトリアリールホスファイト;ジフェニルアシッドホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト等のアシッドホスファイト;ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等のペンタエリスリトールジホスファイト;2,2'−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファイト、水素化−4,4'−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、テトラトリデシル・4,4'−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
ただし、これらの他の有機ホスファイト化合物を使用する場合は、(c)成分のホスファイト化合物100質量部に対し、好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下で使用するものとする。この範囲を超えて使用した場合には、本発明の効果を阻害するおそれがあるため好ましくない。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、(d)下記一般式(I)又は(II)で表される有機含リン金属塩を配合することが、耐熱性及び着色性に一層優れたものが得られる点で好ましい。
上記一般式(I)及び(II)中、R1〜R3で示される炭素原子数8〜30のアルキル基としては、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンイコシル、ドコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数12〜25のアルキル基が好ましい。
従って、本発明の塩素含有樹脂組成物に用いることができる(d)成分の有機含リン金属塩としては、例えば、以下の化合物(P1〜P15)が挙げられる。
上記(d)成分である有機含リン金属塩の添加量は、前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.001〜10重量部、さらに好ましくは0.001〜5重量部、最も好ましくは0.01〜3重量部である。0.001質量部未満の使用では十分な効果が得られないおそれがあり、10質量部を超えて使用しても無駄であるばかりでなく、むしろ耐熱性、着色性等に悪影響を与えるおそれがあるため好ましくない。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、(e)非環状ポリオール化合物及び含窒素環状ポリオール化合物からなる群から選ばれたポリオール化合物の少なくとも一種を配合することが、より耐熱性を向上することができる点で好ましい。
上記(e)成分である非環状ポリオール化合物としては、例えば、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール又はジペンタリスリトールのステアリン酸ハーフエステル、ビス(ジペンタエリスリトール)アジペート、グリセリン等が挙げられる。これらの中でも、ジペンタエリスリトールは、特に優れた耐熱性を付与することができるため好ましい。
上記(e)成分である含窒素環状ポリオール化合物としては、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートが好ましく用いられるが、その他に、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、グルタル酸ジペンタエリスリトールエステル、2−メチルピロリドン−5−カルボン酸ジペンタエリスリトールエステル等を用いることもできる。
上記(e)成分であるこれらの非環状ポリオール化合物及び含窒素環状ポリオール化合物は、それぞれ単独で、あるいはこれらを組み合わせて使用することができる。
上記(e)成分である上記非環状ポリオール化合物及び/又は含窒素環状ポリオール化合物の配合量は、前記塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、さらに好ましくは0.01〜5質量部である。該配合量が、0.001質量部未満の場合には、ほとんどその効果は見られず、10質量部を超えた場合には、増量による効果がないばかりでなく、加工時にプレートアウトを生じる等の悪影響を与えるおそれがある。
さらに、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、(f)ハイドロタルサイト化合物の少なくとも一種を添加することが、耐熱性のさらなる向上を図ることができる点で好ましい。
上記(f)成分であるハイドロタルサイト化合物としては、下記〔化4〕の一般式(III)で表される、マグネシウムとアルミニウム、又は亜鉛、マグネシウム及びアルミニウムからなる複塩化合物が好ましく用いられ、また、上記ハイドロタルサイト化合物は結晶水を脱水したものであってもよい。
上記ハイドロタルサイト化合物は、天然物であってもよく、また合成品であってもよい。該合成品の合成方法としては、特公昭46−2280号公報、特公昭50−30039号公報、特公昭51−29129号公報、特公平3−36839号公報、及び特開昭61−174270号公報等に記載の公知の方法を例示することができる。また、本発明においては、上記ハイドロタルサイト化合物は、その結晶構造、結晶粒子径等に制限されることなく使用することが可能である。
また、上記ハイドロタルサイト化合物としては、その表面をステアリン酸のごとき高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩のごとき高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩のごとき有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル又はワックス等で被覆したものも使用できる。
上記(f)ハイドロタルサイト化合物の配合量は、前記塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、さらに好ましくは0.01〜5質量部である。該ハイドロタルサイト化合物の配合量が、0.001質量部未満では、その効果がほとんどみられず、10質量部を超えても、効果は上がらず、着色性を低下させる等の性能低下をきたすおそれがある。
さらに、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、(g)有機酸亜鉛塩を配合することが、着色が一層抑制された製品が得られる点で好ましい。
上記有機酸亜鉛塩としては、カルボン酸、有機リン酸類又はフェノール類の亜鉛塩が挙げられる。
ここで、上記カルボン酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2−エチルヘキシル酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、クロロステアリン酸、12−ケトステアリン酸、フェニルステアリン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレイン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ブラシジン酸及び類似酸並びに獣脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、桐油脂肪酸、大豆油脂肪酸及び綿実油脂肪酸等の天然に産出する上記カルボン酸の混合物、安息香酸、p−第三ブチル安息香酸、エチル安息香酸、イソプロピル安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、サリチル酸、5−第三オクチルサリチル酸、ナフテン酸、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。また、上記有機リン酸類としては、モノ又はジオクチルリン酸、モノ又はジドデシルリン酸、モノ又はジオクタデシルリン酸、モノ又はジ−(ノニルフェニル)リン酸、ホスホン酸ノニルフェニルエステル、ホスホン酸ステアリルエステル等が挙げられる。また、上記フェノール類としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール等が挙げられる。
上記有機酸亜鉛塩は、正塩、酸性塩、塩基性塩あるいは過塩基性のいずれであってもよい。
上記(g)有機酸亜鉛塩の配合量は、前記塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、更に好ましくは、0.05〜5質量部である。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、その他の有機酸金属塩を配合することができる。その他の有機酸金属塩としては、カルボン酸、有機リン酸類又はフェノール類の金属(Li,Na,K,Ca,Mg,Ba,Sr,Cd,Al)塩等が挙げられる。
ここで、上記カルボン酸、有機リン酸類及びフェノール類としては、例えば上記有機酸亜鉛塩において例示したものが挙げられる。また、その他の有機酸金属塩は、正塩、酸性塩、塩基性塩あるいは過塩基性のいずれであってもよい。
その他の有機酸金属塩の中でも、非重金属(Li,Na,K,Ca,Mg,Al)の有機酸塩を使用することが、低毒性の組成物が得られる点で好ましく、特に有機酸カルシウム塩を(f)有機酸亜鉛塩と併用することが、低毒性にもかかわらず、特に耐熱性、着色性等の優れた組成物が得られる点で好ましい。
上記のその他の有機酸金属塩の配合量は、前記塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、更に好ましくは、0.05〜5質量部である。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、更に、通常、塩化ビニル系樹脂用添加剤として用いられている各種の添加剤、例えば、フェノール系又は硫黄系抗酸化剤、エポキシ化合物、β−ジケトン化合物、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、発泡剤、充填剤等を配合することもできる。
上記フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,4'−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4'−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン−ビス〔β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
上記硫黄系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類等が挙げられる。
上記エポキシ化合物としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化桐油、エポキシ化魚油、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油等のエポキシ化動植物油、エポキシ化ステアリン酸メチル、−ブチル、−2−エチルヘキシル、−ステアリルエステル、エポキシ化ポリブタジエン、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレート、エポキシ化トール油脂肪酸エステル、エポキシ化アマニ油脂肪酸エステル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロヘキセンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレート等が挙げられる。ここで、エポキシ化大豆油の如き通常可塑剤として使用されるエポキシ化合物を使用する場合には、剛性低下を防止するために、前記可塑剤((a)成分)と併せて25質量部を超えて使用しないようにする。
上記β−ジケトン化合物としては、例えば、アセチルアセトン、トリアセチルメタン、2,4,6−ヘプタトリオン、ブタノイルアセチルメタン、ラウロイルアセチルメタン、パルミトイルアセチルメタン、ステアロイルアセチルメタン、フェニルアセチルアセチルメタン、ジシクロヘキシルカルボニルメタン、ベンゾイルホルミルメタン、ベンゾイルアセチルメタン、ジベンゾイルメタン、オクチルベンゾイルメタン、ビス(4−オクチルベンゾイル)メタン、ベンゾイルジアセチルメタン、4−メトキシベンゾイルベンゾイルメタン、ビス(4−カルボキシメチルベンゾイル)メタン、2−カルボキシメチルベンゾイルアセチルオクチルメタン、デヒドロ酢酸、シクロヘキサン−1,3−ジオン、3,6−ジメチル−2,4−ジオキシシクロヘキサン−1カルボン酸メチル、2−アセチルシクロヘキサノン、ジメドン、2−ベンゾイルシクロヘキサン等が挙げられる。また、これらのβ−ジケトン化合物の金属塩も使用することができ、該β−ジケトン化合物の金属塩を提供し得る金属種としては、例えば、リチウム、ナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等のアルカリ土類金属;亜鉛、アルミニウム、錫、アルキル錫等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5'−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2'−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4'−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類等が挙げられる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラエチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
上記発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチルニトリル、ジアゾアミノベンゼン、ジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、アゾビス(ヘキサヒドロベンゾニトリル)等のアゾ系発泡剤、N,N'−ジニトロペンタメチレンテトラミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロテレフタルアミン等のニトロソ系発泡剤、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、3,3'−ジスルホンヒドラジドフェニルスルホン、トルエンジスルホニルヒドラゾン、チオビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンエスルホニルアジド、トルエンスルホニルセミカルバジド、p,p'−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)エーテル等のヒドラジド系発泡剤、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、4,4'−オキシビズ(スルホニルセミカルバジド)等のカルバジド系発泡剤、トリヒドラジノトリアジン、1,3−ビス(o−ビフェニルトリアジン)等のトリアジン系発泡剤等が挙げられる。
上記充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナけい酸ナトリウム、ハイドロタルサイト、ハイドロカルマイト、けい酸アルミニウム、けい酸マグネシウム、けい酸カルシウム、ゼオライト等のけい酸金属塩、活性白土、タルク、クレイ、ベンガラ、アスベスト、三酸化アンチモン等が挙げられる。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、通常、塩化ビニル系樹脂に使用することができる安定化助剤を添加することができる。かかる安定化助剤としては、例えば、ジフェニルチオ尿素、アニリノジチオトリアジン、メラミン、安息香酸、ケイヒ酸、p−第三ブチル安息香酸、ゼオライト、過塩素酸塩等が挙げられる。
その他、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、必要に応じて、通常、塩化ビニル系樹脂に使用することができる添加剤、例えば、架橋剤、帯電防止剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、滑剤、難燃剤、防曇剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤等を配合することができる。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、加工方法に制限されることなく使用することが可能であり、例えば、カレンダー加工、ロール加工、押出成型加工、溶融流延法、加圧成型加工、粉体成型等に好適に使用することができる。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、壁材、床材、窓枠、壁紙等の建材;自動車用内装材;電線用被覆材;農業用資材;食品包装材;塗料;ホース、パイプ、シート、玩具等の雑貨として好適に使用することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明の塩化ビニル系樹脂組成物を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
〔実施例1及び比較例1〕
下記配合をプラストミル試験機(180℃、50rpm、70g/60cc)に投入し、5分後及び10分後それぞれにおいてサンプリングしてコイン状サンプルを作成し、該コイン状サンプルの黄色度を測定した。また、同条件にて分解時間を測定した。
また、下記配合を190℃で3分間ロール混練した後、ロール表面のプレートアウトの大小を目視により観察して評価した(○:付着物なし、△:わずかに付着物あり、×:付着物大)。さらに、下記配合を190℃で3分間ロール混練して得られた0.6mm厚のロール上げシートから試験片を作成し、190℃のギヤーオーブン中に入れて分解時間を測定した。また、該ロール上げシートを張り合わせて190℃で5分又は30分プレス加工を行い、1mm厚のシートをそれぞれ作成し、これらのシートの黄色度を測定した。
それらの結果を下記〔表1〕〜〔表3〕に示す。
(配合) 質量部
ポリ塩化ビニル樹脂(塩素含有量55質量%、重合度1000) 100
重質炭酸カルシウム 5
酸化チタン(ルチル型) 0.4
ジペンタエリスリトールヘキサステアレート 0.2
モノステアリン酸グリセライド 0.2
ステアリン酸カルシウム 0.5
ステアリン酸亜鉛 1.0
テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル 0.1
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン
ジベンゾイルメタン 0.2
ハイドロタルサイト(組成式;Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O) 0.5
ジペンタエリスリトール 0.2
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート 0.2
有機含リン金属塩P4 0.1
有機含リン金属塩P11 0.1
試験化合物(下記〔表1〕〜〔表3〕参照) 〔表1〕〜〔表3〕参照
〔実施例2及び比較例2〕
配合を下記の通りとした以外は、実施例1と同様にして、コイン状サンプルの黄色度、及び分解時間を測定した。尚、サンプルを作成する際のプラストミル試験機の条件は、170℃、50rpm、65g/60ccとした。また、5分後にサンプリングしたコイン状サンプルを用い、耐候性試験を以下のようにして行った。即ち、サンプルをサンシャインウエザオメーター(63℃、雨あり)に入れて、120時間及び300時間後のサンプルについて黄色度を測定し、オリジナルとの色差(耐候性ΔE)を求めた。
また、配合を下記の通りとした以外は、実施例1と同様にして、ロール混練後のプレートアウトについて評価を行った。
それらの結果を下記〔表4〕に示す。
(配合) 質量部
ポリ塩化ビニル樹脂 100
(塩素含有量55質量%、重合度1000)
軽質炭酸カルシウム 3
アクリル系改質剤 6
アクリル系加工助剤 2
酸化チタン(ルチル型) 3
ポリエチレンワックス 0.3
グリセリンモノステアレート 0.3
亜鉛ステアレート 1.0
ハイドロタルサイト 0.5
(組成式;Mg4Al2(OH)12CO3・3H2O)
有機含リン金属塩P4 0.1
有機含リン金属塩P11 0.1
有機含リン金属塩P10 0.1
試験化合物(下記〔表4〕参照) 〔表4〕参照
上記〔表1〕〜〔表4〕の結果から、以下のことが明らかである。
可塑剤を全く使用しないかあるいは少量使用し且つ重金属系の安定剤を使用しない塩化ビニル系樹脂組成物においては、2個のエーテル環構造を有する二糖類も特定のホスファイト化合物も使用しない場合(比較例1-1)には、着色性が大きく、熱安定性にも劣る。
2個のエーテル環構造を有する本発明に係る二糖類を使用した場合でも、本発明に係る特定のホスファイト化合物を使用しないとき(比較例1-2)には、熱安定性は改善されるものの、着色が大きい。
また、本発明に係る特定のホスファイト化合物を使用した場合でも、2個のエーテル環構造を有する本発明に係る二糖類を使用しないとき(比較例1-3)には、着色は改善されるものの、熱安定性が小さく、耐候性も若干劣る。
また、2個のエーテル環構造を有する二糖類とホスファイト化合物とを組み合わせて使用する場合であっても、ホスファイト化合物として、トリアリールホスファイト、あるいは常温(25℃)で固形のトリアルキルホスファイト等の本発明に係る特定のホスファイト化合物以外のホスファイト化合物を使用した場合(比較例1-4、1-6、2-1〜2-5)には、着色の改善効果が不十分である。
これに対して、可塑剤を全く使用しないかあるいは少量使用した塩化ビニル系樹脂組成物において、2個のエーテル環構造を有する本発明に係る二糖類及び本発明に係る特定のホスファイト化合物を併用した場合(実施例1-1〜1-6、2-1〜2-5)には、着色性及び熱安定性に優れ、しかも耐候性にも優れた改善効果を示す。

Claims (13)

  1. 塩化ビニル系樹脂100質量部に、(a)可塑剤0〜25質量部、(b)分子中に2個のエーテル環構造を有する二糖類の少なくとも一種0.001〜10質量部、並びに(c)アルキルホスファイト及びアルキルアリールホスファイトからなる群から選ばれる常温で液状のホスファイト化合物の少なくとも一種0.001〜10質量部を配合してなる塩化ビニル系樹脂組成物。
  2. 上記(b)成分である二糖類が、トレハロースである請求項1記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  3. 上記(c)成分であるホスファイト化合物が、ジアルキルモノフェニルホスファイトである請求項1又は2記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  4. 上記ジアルキルモノフェニルホスファイトが、ビス(トリデシル)モノフェニルホスファイトである請求項3記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  5. 上記(c)成分であるホスファイト化合物が、テトラアルキル−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイトである請求項1又は2記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  6. 上記塩化ビニル系樹脂が、塩素含有量が60質量%未満である塩化ビニル単独重合体又は共重合体である請求項1〜5のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  7. 上記塩化ビニル単独重合体が、重合度700〜1300である請求項6記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  8. さらに、(d)下記一般式(I)又は(II)で表される有機含リン金属塩0.001〜10質量部を配合してなる請求項1〜7のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  9. さらに、(e)非環状ポリオール化合物及び含窒素環状ポリオール化合物からなる群から選ばれたポリオール化合物の少なくとも一種0.001〜10質量部を配合してなる請求項1〜8のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  10. 上記(e)成分であるポリオール化合物が、ジペンタエリスリトールである請求項9記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  11. 上記(e)成分であるポリオール化合物が、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートである請求項9記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  12. さらに、(f)ハイドロタルサイト化合物の少なくとも一種0.001〜10質量部を配合してなる請求項1〜11のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  13. さらに、(g)有機酸亜鉛塩の少なくとも一種0.001〜10質量部を配合してなる請求項1〜12のいずれかに記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
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