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JP2006035059A - 排ガス中の二酸化炭素の回収システムおよび回収方法 - Google Patents

排ガス中の二酸化炭素の回収システムおよび回収方法 Download PDF

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JP2006035059A JP2004216800A JP2004216800A JP2006035059A JP 2006035059 A JP2006035059 A JP 2006035059A JP 2004216800 A JP2004216800 A JP 2004216800A JP 2004216800 A JP2004216800 A JP 2004216800A JP 2006035059 A JP2006035059 A JP 2006035059A
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英重 森山
Katsuya Yamashita
勝也 山下
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Abstract

【課題】発電用ボイラーのスチームを多量に使用することなく、アルカリ溶液を再生でき、吸収装置と再生装置とにアルカリ溶液をそれぞれ個々に独立した還流ラインで循環可能な排ガス中の二酸化炭素の回収システムおよび回収方法を提供すること目的とする。
【解決手段】吸収塔100のアルカリ溶液排出口101から排出されるアルカリ溶液をアルカリ溶液導入口102に還流させ、二酸化炭素などを吸収するアルカリ溶液還流経路と、再生塔110の再生アルカリ溶液排出口111から排出される再生されたアルカリ溶液をアルカリ溶液噴出口112に還流させ、二酸化炭素を放出させてアルカリ溶液を再生するアルカリ溶液還流経路とを別個に独立して設けられている。これによって、それぞれのアルカリ溶液還流経路を流れるアルカリ溶液の流量などを個々に設定することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、火力発電所、都市ごみ焼却場、天然ガス採掘場などから排出される二酸化炭素を回収するシステムに係り、特に、アルカリ溶液によって二酸化炭素を回収することができる排ガス中の二酸化炭素の回収システムおよび回収方法に関する。
近年、化石燃料の燃焼生成物である二酸化炭素の温室効果による地球温暖化の問題が大きくなっている。気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書において、我が国の温室効果ガス排出削減の目標は、1990年の比率マイナス6%を2008〜2012年の間に達成することである。
このような背景の中、火力発電所、都市ごみ焼却場、天然ガス採掘場などから排出される二酸化炭素の吸収液として、例えば、アルカリ物質である炭酸カリウムの水溶液を用いることにより、二酸化炭素を回収するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、例えば、アルカリ物質であるアミン化合物の水溶液を用いることにより、二酸化炭素を回収するシステムが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
ここで、図2は、アルカリ溶液として炭酸カリウム水溶液を用い、二酸化炭素を回収する従来の二酸化炭素回収システム200の概要を示している。
図2に示された従来の二酸化炭素回収システム200では、化石燃料を燃焼して排出された排ガス201は、ガスブロワ202によって吸収塔203に導かれる。吸収塔203の上部には、温度が55℃程度のアルカリ溶液204が供給され、この供給されたアルカリ溶液204は、導入された排ガス201と接触して、排ガス201中の二酸化炭素を吸収する。一方、アルカリ溶液204に二酸化炭素を吸収された残りの排ガス201は、吸収塔203の上部から大気へ放出される。
二酸化炭素を吸収したアルカリ溶液204は、吸収塔203の下部から抜出しポンプ205によって熱交換器206に導かれ、更に再生塔207に導かれる。
再生塔207に導かれたアルカリ溶液204は、加熱器208のスチーム209によって100℃程度の温度に加熱されて、撹乱される。そして、二酸化炭素がアルカリ溶液204から放散され、再び二酸化炭素を吸収できるアルカリ溶液204に再生される。再生されたアルカリ溶液204は、循環ポンプ210により、熱交換器206およびクーラ211を介して吸収塔203の上部へ戻される。一方、アルカリ溶液204から放散された二酸化炭素は、クーラ212を介して分離器213に導かれ、分離器213よって水分が取り除かれた後に回収される。
このように構成された従来の二酸化炭素回収システム200では、吸収塔203と再生塔207の間にアルカリ溶液204の循環ラインが設けられ、再生塔207において発電用ボイラのスチーム209を用いて、アルカリ溶液204を瞬時に100℃程度の温度まで加熱して再生し、再生したアルカリ溶液204を瞬時に55℃程度の温度まで冷却して吸収塔203に戻していた。
特開平4−346816号公報 特開2002−126439号公報
上述した従来の二酸化炭素回収システムにおいては、再生塔207において、膨大な流量のアルカリ溶液204を瞬時に所定温度まで加熱するために、発電用ボイラのスチーム209からの熱量を多量に使用するので、システムとしての熱効率の向上が図れないという問題があった。
さらに、従来の二酸化炭素回収システムにおいては、吸収塔203と再生塔207とは、1系統の循環ラインを介して接続されているため、吸収塔203と再生塔207とに循環されるアルカリ溶液204を基本的に異なる速度で循環させることができなかった。このため、二酸化炭素の吸収工程で必要とする膨大な流量のアルカリ溶液204を再生工程で少ない流量に絞ることができなかった。
また、この吸収塔203と再生塔207とが1系統の循環ラインを介して接続された回収するシステムでは、特に、アミン化合物の水溶液を用いる場合において、吸収塔203におけるアルカリ溶液204の温度を50℃程度に設定し、再生塔207におけるアルカリ溶液204の温度を120℃程度に設定しなければならなかった。そのため、吸収塔203と再生塔207との間に熱交換器を設置し、アルカリ溶液204の煩雑な温度調整をしなければならなかった。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、発電用ボイラーのスチームを多量に使用することなく、アルカリ溶液を再生でき、吸収装置と再生装置とにアルカリ溶液をそれぞれ個々に独立した還流ラインで循環可能な排ガス中の二酸化炭素の回収システムおよび回収方法を提供すること目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の排ガス中二酸化炭素の回収システムは、排ガス導入口、アルカリ溶液導入口、残り排ガス排出口およびアルカリ溶液排出口を備え、前記排ガス導入口から導入された排ガスと前記アルカリ溶液導入口から導入されたアルカリ溶液とを気液接触させて前記アルカリ溶液に前記排ガス中の二酸化炭素を吸収させる吸収装置と、アルカリ溶液噴出口、再生アルカリ溶液排出口および二酸化炭素取出口を備え、前記二酸化炭素を吸収したアルカリ溶液から二酸化炭素を放出させて前記アルカリ溶液を再生する再生装置と、前記吸収装置のアルカリ溶液排出口から排出されるアルカリ溶液を前記アルカリ溶液導入口に還流させる第1のアルカリ溶液還流ラインと、前記再生装置の再生アルカリ溶液排出口から排出される再生されたアルカリ溶液を前記アルカリ溶液噴出口に還流させる第2のアルカリ溶液還流ラインと、前記第1のアルカリ溶液還流ラインおよび前記第2のアルカリ溶液還流ラインのいずれかに、アルカリ溶液の還流ラインを切り替えることで介在可能な複数の分割槽から構成される貯留槽とを具備することを特徴とする。
この排ガス中の二酸化炭素の回収システムによれば、吸収装置のアルカリ溶液排出口から排出されるアルカリ溶液をアルカリ溶液導入口に還流させ、二酸化炭素を吸収する第1のアルカリ溶液還流ラインと、再生装置の再生アルカリ溶液排出口から排出される再生されたアルカリ溶液をアルカリ溶液噴出口に還流させ、二酸化炭素を放出させてアルカリ溶液を再生する第2のアルカリ溶液還流ラインとを別個に独立して設けることができる。これによって、それぞれのアルカリ溶液還流ラインを流れるアルカリ溶液の流量を個々に設定することができ、二酸化炭素の吸収動作やアルカリ溶液の再生動作のそれぞれに適したアルカリ溶液の還流流量などの設定をすることができる。また、排ガス中の二酸化炭素の回収システムでは、アルカリ溶液を再生装置で瞬時に加熱する必要がなく、大きな加熱装置や多くの熱量を必要としない。これによって、システムとしての熱効率を向上させることができる。
また、本発明の排ガス中二酸化炭素の回収方法は、吸収装置のアルカリ溶液排出口から排出される第1のアルカリ溶液を、貯留槽を構成する複数の分割槽のうちの第1の分割槽を介して前記吸収装置のアルカリ溶液導入口に還流させ、排ガスと前記第1のアルカリ溶液とを気液接触させて、前記第1のアルカリ溶液に前記排ガス中の二酸化炭素を繰り返し吸収させる第1の吸収工程と、前記第1のアルカリ溶液の還流ラインを切り替え、前記第1の吸収工程において二酸化炭素を吸収した第1のアルカリ溶液を、再生装置のアルカリ溶液噴出口に導き、前記再生装置の再生アルカリ溶液排出口から排出される第1のアルカリ溶液を、前記第1の分割槽を介して前記アルカリ溶液噴出口に還流させ、二酸化炭素を前記再生装置内に繰り返し放出させて、前記第1のアルカリ溶液の二酸化炭素の吸収能力を再生させる第1の再生工程とを具備することを特徴とする。
この排ガス中の二酸化炭素の回収方法によれば、二酸化炭素を吸収する第1のアルカリ溶液の還流ラインと、二酸化炭素を放出させて第1のアルカリ溶液を再生するアルカリ溶液の還流ラインとを別個に独立して設け、還流ラインの切り替えにより、それぞれの還流ラインに選択的に第1のアルカリ溶液を還流させることができる。また、それぞれの還流ラインを流れる第1のアルカリ溶液の流量を個々に設定することができ、二酸化炭素の吸収動作やアルカリ溶液の再生動作のそれぞれに適した第1のアルカリ溶液の還流流量などの設定をすることができる。また、排ガス中の二酸化炭素の回収システムでは、アルカリ溶液を再生装置で瞬時に加熱する必要がなく、大きな加熱装置や多くの熱量を必要としない。これによって、システムとしての熱効率を向上させることができる。
本発明の排ガス中の二酸化炭素の回収システムおよび回収方法によれば、発電用ボイラーのスチームを多量に使用することなく、アルカリ溶液を再生でき、吸収装置と再生装置とにアルカリ溶液をそれぞれ個々に独立した還流ラインで循環させることができる。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の二酸化炭素回収システム10の概要を示したものである。
この二酸化炭素回収システム10は、導入された排ガスとアルカリ溶液を気液接触させる吸収塔100と、二酸化炭素を吸収したアルカリ溶液から二酸化炭素を放出させてアルカリ溶液を再生する再生塔110と、吸収塔100のアルカリ溶液排出口101から排出されるアルカリ溶液をアルカリ溶液導入口102に還流させるアルカリ溶液還流ライン120a、120bと、再生塔110の再生アルカリ溶液排出口111から排出される再生されたアルカリ溶液をアルカリ溶液噴出口112に還流させるアルカリ溶液還流ライン121a、121bと、アルカリ溶液還流ライン120a、120bまたはアルカリ溶液還流ライン121a、121bに介在する複数の分割槽130a、130bから構成される貯留槽130と、ポンプ、バルブ、各機器などを制御する制御部140とから主に構成されている。
なお、図1において、制御部140は、後述する各ポンプ、各バルブ、測定機器、各構成機器などと電気的に接続されているが、図の明記のため接続線の記載は省略する。
まず、吸収塔100のアルカリ溶液排出口101から排出されるアルカリ溶液160をアルカリ溶液導入口102に還流させるアルカリ溶液還流経路について説明する。
吸収塔100の下部には、火力発電所や都市ごみ焼却場などから排出された二酸化炭素を含む排ガス103を吸収塔100内に導くための排ガス導入口104が設けられている。また、この排ガス導入口104には、吸収塔100内に排ガス103を送気するためのガスブロワ105が連結されている。また、吸収塔100の上部には、貯留槽130から送液ポンプ150によって供給されるアルカリ溶液160を導入するアルカリ溶液導入口102が設けられている。このアルカリ溶液導入口102には、アルカリ溶液160を噴出するアルカリ溶液噴出部106が設けられている。さらに、吸収塔100の内部には、このアルカリ溶液噴出部106から噴出されたアルカリ溶液160と吸収塔100に導入された排ガス103とを主として気液接触させる充填材107が設置されている。また、吸収塔100の上端部には、充填材107を通過することで、二酸化炭素が吸収された排ガス103を大気中に排気するための排気口108が設けられている。
さらに、吸収塔100の底部には、二酸化炭素を吸収したアルカリ溶液160を排出するためのアルカリ溶液排出口101が設けられている。このアルカリ溶液排出口101は、導出ポンプ151が備えられたアルカリ溶液還流ライン120aの一端と接続されている。アルカリ溶液還流ライン120aの他端は、分割された各分割槽130a、130bに対応して分岐し、各分岐したアルカリ溶液還流ライン120aの他端側には、それぞれバルブ170が備えられている。
さらに、各分割槽130a、130bには、それぞれにバルブ171を備え、各分割槽130a、130bに対応して一端側が分岐されたアルカリ溶液還流ライン120bが設置されている。この分岐されたアルカリ溶液還流ライン120bの一端は、各分割槽130a、130bに貯留されたアルカリ溶液中の比較的下部の位置に浸されている。また、アルカリ溶液還流ライン120bの他端は、吸収塔100のアルカリ溶液導入口102に接続されている。また、アルカリ溶液還流ライン120bには、アルカリ溶液160を吸収塔100に圧送する送液ポンプ150が備えられている。
ここで、例えば、分割槽130aに対応するバルブ170、バルブ171を開き、分割槽130bに対応するバルブ170、バルブ171を閉じることで、吸収塔100、アルカリ溶液還流ライン120a、分割槽130a、アルカリ溶液還流ライン120b、吸収塔100の順にアルカリ溶液160を循環させるアルカリ溶液還流経路が形成される。
なお、送液ポンプ150、導出ポンプ151、各バルブ170、171は、制御部140からの信号に基づいて作動し、アルカリ溶液還流経路に流れるアルカリ溶液160の流量などを調整している。
また、アルカリ溶液噴出部106から噴出されるアルカリ溶液160は、均一に噴出されることが好ましく、例えば、アルカリ溶液噴出部106に、所定の噴霧粒径および噴霧パターンが得られる噴霧ノズルなどを用いてもよい。なお、アルカリ溶液導入口102の構成によって、吸収塔100内にアルカリ溶液160をほぼ均一に分散させることができる場合には、アルカリ溶液噴出部106を設けなくてもよい。
充填材107は、例えば、多孔構造、ハニカム構造などを有するもので構成され、充填材107を通過するアルカリ溶液160を撹乱する作用を有するものであればよい。また、充填材107は、吸収塔100内に多段に設置されてもよい。この充填材107を多段に設置した場合、例えば、各段に対応してアルカリ溶液160を噴出するアルカリ溶液噴出部106を設けてもよい。なお、吸収塔100内において、排ガス103とアルカリ溶液160との気液接触を効率よく行えるならば、充填材107を設置せずに、吸収塔100を構成することも可能である。
次に、再生塔110の再生アルカリ溶液排出口111から排出される再生されたアルカリ溶液をアルカリ溶液噴出口112に還流させるアルカリ溶液還流経路について説明する。
上記した貯留槽130の各分割槽130a、130bには、さらに、それぞれにバルブ172を備え、各分割槽130a、130bに対応して一端側が分岐されたアルカリ溶液還流ライン121aが設置されている。一方、アルカリ溶液還流ライン121aの他端は、再生塔110の再生アルカリ溶液排出口111に接続されている。また、アルカリ溶液還流ライン121aには、導出ポンプ152が備えられている。
さらに、各分割槽130a、130bには、それぞれにバルブ173を備え、各分割槽130a、130bに対応して一端側が分岐されたアルカリ溶液還流ライン121bが設置されている。この分岐されたアルカリ溶液還流ライン121bの一端は、各分割槽130a、130bに貯留されたアルカリ溶液中の比較的下部に位置するように設置されていればよく、例えば、図1に示すように、各分割槽130a、130bの底部に設けてもよい。一方、アルカリ溶液還流ライン121bの他端は、再生塔110のアルカリ溶液噴出口112に接続されている。また、アルカリ溶液還流ライン121bには、アルカリ溶液161を再生塔110に圧送する高圧送液ポンプ153が備えられている。
ここで、例えば、分割槽130bに対応するバルブ172、バルブ173を開き、分割槽130aに対応するバルブ172、バルブ173を閉じることで、再生塔110、アルカリ溶液還流ライン121a、分割槽130b、アルカリ溶液還流ライン121b、再生塔110の順にアルカリ溶液161を循環させるアルカリ溶液還流経路が形成される。なお、バルブ170、バルブ171、バルブ172およびバルブ173の開閉を切り替えることで、吸収塔100、アルカリ溶液還流ライン120a、分割槽130b、アルカリ溶液還流ライン120b、吸収塔100の順にアルカリ溶液160を循環させるアルカリ溶液還流経路を形成することもできる。
また、貯留槽130を構成する分割槽の数は限定されるものではないが、少なくとも2つあれば、例えば、吸収塔100、アルカリ溶液還流ライン120a、分割槽130a、アルカリ溶液還流ライン120b、吸収塔100の順にアルカリ溶液160を循環させるアルカリ溶液還流経路と、再生塔110、アルカリ溶液還流ライン121a、分割槽130b、アルカリ溶液還流ライン121b、再生塔110の順にアルカリ溶液161を循環させるアルカリ溶液還流経路とを同時に形成して、二酸化炭素の吸収ラインと二酸化炭素の回収ラインとを連続的に作動させることができる。
なお、導出ポンプ152、高圧送液ポンプ153、各バルブ172、173は、制御部140からの信号に基づいて作動し、アルカリ溶液還流経路に流れるアルカリ溶液161の流量などを調整している。
また、再生塔110の上部には、二酸化炭素を吸収したアルカリ溶液161を循環させることで放散される二酸化炭素を外部に取り出すための二酸化炭素取出口113が設けられている。この二酸化炭素取出口113は、吸引ポンプ114を備えた二酸化炭素回収ライン115に接続されている。再生塔110で放散された二酸化炭素は、この二酸化炭素回収ライン115を介して、外部に設置された二酸化炭素回収手段(図示しない)によって回収される。
なお、再生塔110は、フラッシングタンクで構成され、その内部は、大気圧を0とした相対圧力で−80〜−20kPaの圧力に設定されている。また、アルカリ溶液161を再生塔110に圧送する高圧送液ポンプ153の吐出圧力は、大気圧を0とした相対圧力で200〜500kPaの圧力に設定されている。また、再生塔110は、アルカリ溶液の中にスチームを通す構造を備える放散塔で構成してもよい。
また、第1の実施の形態で用いられるアルカリ溶液は、水100g当たりに10〜28gの炭酸ナトリウムを溶かして、重量濃度を9〜22%に調整されたものが用いられる。
また、吸収塔100、アルカリ溶液還流ライン120a、分割槽130a、アルカリ溶液還流ライン120b、吸収塔100の順にアルカリ溶液160を循環させるアルカリ溶液還流経路が形成された場合に、吸収塔100および分割槽130aにおけるアルカリ溶液160の温度は、60〜75℃に設定されている。また、再生塔110、アルカリ溶液還流ライン121a、分割槽130b、アルカリ溶液還流ライン121b、再生塔110の順にアルカリ溶液161を循環させるアルカリ溶液還流経路が形成された場合に、再生塔110および分割槽130bにおけるアルカリ溶液161の温度は、60〜75℃に設定されている。
ここで、吸収塔100および分割槽130aにおけるアルカリ溶液160の温度を60〜75℃の範囲に設定したのは、炭酸ナトリウムを主な溶質とするアルカリ溶液160では、60℃未満では、二酸化炭素のアルカリ溶液160への吸収が遅く、75℃を超えるとアルカリ溶液160に吸収された二酸化炭素を放散し始めるからである。
また、再生塔110および分割槽130bにおけるアルカリ溶液161の温度を60〜75℃の範囲に設定したのは、炭酸ナトリウムを主な溶質とするアルカリ溶液161では、60℃未満では二酸化炭素の放出が遅く、75℃を超えるとアルカリ溶液161から多量の水分が消失するからである。
なお、アルカリ溶液160、161の加熱は、例えば、アルカリ溶液還流ライン120a、120b、121a、121bを発電用ボイラの排ガスの排熱などを利用して行うことができる。また、アルカリ溶液160、161の加熱方法は、これに限られるものではなく、例えば、分割槽130a、130b中に熱交換器を設け、発電用ボイラの排ガスの排熱などを利用して加熱してもよい。また、加熱源としてシステムの熱効率を考慮すると、発電用ボイラの排ガスの排熱などを利用することが好ましいが、ヒータなどを加熱源として利用してもよい。さらに、温度を最適値に調節するため、分割槽130a、130b中に冷却手段を設けてもよい。
また、図には示していないが、各分割槽130a、130bには、アルカリ溶液160、161の水素イオン指数pHを計測するペーハー計に、アルカリ溶液160、161を導くための計測用ラインの一端が設置されている。このペーハー計は、制御部140と電気的に接続され、測定結果に基づく信号を制御部140に出力する。
次に、二酸化炭素回収システム10の作用について説明する。
ここで、二酸化炭素回収システム10の稼動時には、分割槽130aおよび分割槽130bに、水100g当たりに10〜28gの炭酸ナトリウムを溶かして、重量濃度を9〜22%に調整されたアルカリ溶液が貯留されているものとして、二酸化炭素回収システム10の作用を説明する。また、二酸化炭素回収システム10の稼動時には、分割槽130aに対応するバルブ170、バルブ171を開き、分割槽130bに対応するバルブ170、バルブ171を閉じて、吸収塔100、アルカリ溶液還流ライン120a、分割槽130a、アルカリ溶液還流ライン120b、吸収塔100の順にアルカリ溶液160を循環させるアルカリ溶液還流経路を形成している。
火力発電所や都市ごみ焼却場などから排出された排ガス103は、脱硫処理が施されないまま、ガスブロワ105によって排ガス導入口104から吸収塔100内に供給される。なお、吸収塔100内に供給される排ガス103の温度は、50〜120℃となっている。
吸収塔100内に排ガス103が供給されると、分割槽130aに収容されたアルカリ溶液160がアルカリ溶液還流ライン120bを介してアルカリ溶液導入口102に供給され、アルカリ溶液噴出部106から噴出される。アルカリ溶液噴出部106から噴出されるアルカリ溶液160の流量は、制御部140からの信号に基づいて制御される送液ポンプ150によって調整される。
アルカリ溶液噴出部106から噴出されたアルカリ溶液160は、充填材107を伝わって流れ落ちながら、充填材107中を下方から上方に流れる排ガス103と気液接触し、排ガス103に含まれる二酸化炭素および硫黄酸化物を吸収する。そして、二酸化炭素および硫黄酸化物を吸収したアルカリ溶液160は、吸収塔100の底部に流れ落ちる。一方、一部の二酸化炭素は、吸収されないまま排ガス103中に残り、排気口108より大気に放出される。
充填材107を伝わって流れ落ちたアルカリ溶液160は、導出ポンプ151によってアルカリ溶液還流ライン120aに導かれ、貯留槽130を構成する1つの分割槽130aに供給される。
さらに、分割槽130aに導かれたアルカリ溶液160は、送液ポンプ150によってアルカリ溶液還流ライン120bに導かれ、アルカリ溶液導入口102に供給される。
上記したように、吸収塔100、アルカリ溶液還流ライン120a、分割槽130a、アルカリ溶液還流ライン120b、吸収塔100の順にアルカリ溶液160を循環させることで、アルカリ溶液160に、排ガス103に含まれる二酸化炭素および硫黄酸化物を効率よく吸収させる。
ここで、分割槽130aにおいて、還流しているアルカリ溶液160の一部は、計測用ライン(図示しない)を介してペーハー計に導かれる。そして、ペーハー計は、導かれたアルカリ溶液160の水素イオン指数pHを検知し、その検知値に対応する信号を制御部140に出力する。
制御部140では、ペーハー計からの信号に基づき、分割槽130a内のアルカリ溶液160のpH値が8.5〜9.5の範囲にあるか否かを判定する。なお、排ガス103に含まれる二酸化炭素を吸収することによりアルカリ溶液160は、炭酸水素ナトリウムを含む水溶液となり、pH値が11以上であったものが低下する。
制御部140において、アルカリ溶液160のpH値が9.5よりも大きいと判定された場合には、分割槽130aに導かれたアルカリ溶液160は、再び、送液ポンプ150によってアルカリ溶液還流ライン120bに導かれ、アルカリ溶液導入口102に供給され、上記した還流動作を繰り返す。
一方、制御部140において、アルカリ溶液160のpH値が8.5〜9.5の範囲にあると判定された場合には、制御部140は、アルカリ溶液還流ライン120aに設けられた分割槽130aに対応するバルブ170およびアルカリ溶液還流ライン120bに設けられた分割槽130aに対応するバルブ171を閉じる制御を行うと同時に、アルカリ溶液還流ライン120aに設けられた分割槽130bに対応するバルブ170およびアルカリ溶液還流ライン120bに設けられた分割槽130bに対応するバルブ171を開く制御を行う。
このようにバルブ170およびバルブ171の開閉を切り替えることで、吸収塔100、アルカリ溶液還流ライン120a、分割槽130b、アルカリ溶液還流ライン120b、吸収塔100の順にアルカリ溶液160を循環させるアルカリ溶液還流経路が形成される。そして、このアルカリ溶液還流経路を分割槽130bに貯留されたアルカリ溶液160が還流し、上記した二酸化炭素を吸収する還流動作を繰り返す。
続いて、制御部140は、分割槽130aに対応するバルブ172およびバルブ173を開き、再生塔110、アルカリ溶液還流ライン121a、分割槽130a、アルカリ溶液還流ライン121b、再生塔110の順にアルカリ溶液161を循環させるアルカリ溶液還流経路を形成する。なお、このアルカリ溶液161は、pH値が8.5〜9.5の範囲にあると判定された分割槽130aに貯留されたアルカリ溶液である。
分割槽130aに収容されたアルカリ溶液161は、高圧送液ポンプ153によってアルカリ溶液還流ライン121bを介して再生塔110のアルカリ溶液噴出口112に導かれる。アルカリ溶液噴出口112に導かれたアルカリ溶液161は、高圧送液ポンプ153による吐出圧力を利用して、減圧状態の再生塔110内へ噴出され、二酸化炭素を放出する。アルカリ溶液噴出口112から噴出されるアルカリ溶液161の流量は、制御部140からの信号に基づいて制御される高圧送液ポンプ153によって調整される。
再生塔110内へ噴出されたアルカリ溶液161は、導出ポンプ152によって、再生塔110の底部に設けられた再生アルカリ溶液排出口111からアルカリ溶液還流ライン121aを介して分割槽130aに導かれる。
ここで、再生塔110内に放出した二酸化炭素は、吸引ポンプ114によって吸引され、再生塔110の上部に設けられた二酸化炭素取出口113から二酸化炭素回収ライン115を介して二酸化炭素回収手段(図示しない)に導かれ回収される。
さらに、分割槽130aに導かれたアルカリ溶液161は、高圧送液ポンプ153によってアルカリ溶液還流ライン121bを介して再生塔110のアルカリ溶液噴出口112に導かれ、上記した還流動作を繰り返す。このように、再生塔110、アルカリ溶液還流ライン121a、分割槽130a、アルカリ溶液還流ライン121b、再生塔110の順にアルカリ溶液161を循環させることで、アルカリ溶液161から二酸化炭素を効率よく放出させることができる。
ここで、分割槽130aにおいて、還流しているアルカリ溶液161の一部は、計測用ライン(図示しない)を介してペーハー計に導かれる。そして、ペーハー計は、導かれたアルカリ溶液161の水素イオン指数pHを検知し、その検知値に対応する信号を制御部140に出力する。
制御部140では、ペーハー計からの信号に基づき、分割槽130a内のアルカリ溶液160のpH値が11〜12の範囲にあるか否かを判定する。なお、アルカリ溶液161から二酸化炭素を放出することにより、アルカリ溶液161のpH値は、二酸化炭素を吸収する前の当初のアルカリ溶液のpH値に近づく。
制御部140において、アルカリ溶液161のpH値が11よりも小さいと判定された場合には、分割槽130aに導かれたアルカリ溶液161は、再び、高圧送液ポンプ153によってアルカリ溶液還流ライン121bを介して再生塔110のアルカリ溶液噴出口112に導かれ、上記した還流動作を繰り返す。
一方、制御部140において、アルカリ溶液161のpH値が11〜12の範囲にあると判定された場合には、制御部140は、アルカリ溶液還流ライン121aに設けられた導出ポンプ152およびアルカリ溶液還流ライン121bに設けられた高圧送液ポンプ153を停止させる制御を行う。さらに、アルカリ溶液還流ライン121aに設けられた分割槽130aに対応するバルブ172およびアルカリ溶液還流ライン121bに設けられた分割槽130aに対応するバルブ173を閉じる制御を行う。
続いて、制御部140は、上記した吸収塔100、アルカリ溶液還流ライン120a、分割槽130b、アルカリ溶液還流ライン120b、吸収塔100の順にアルカリ溶液160を循環させるアルカリ溶液還流経路の分割槽130bにおけるアルカリ溶液160のペーハー計からの水素イオン指数pHが、8.5〜9.5の範囲にあるか否かを判定する。
制御部140において、アルカリ溶液160のpH値が9.5よりも大きいと判定された場合には、分割槽130bに導かれたアルカリ溶液160は、再び、送液ポンプ150によってアルカリ溶液還流ライン120bに導かれ、アルカリ溶液導入口102に供給され、上記した還流動作を繰り返す。
一方、制御部140において、アルカリ溶液160のpH値が8.5〜9.5の範囲にあると判定された場合には、制御部140は、アルカリ溶液還流ライン120aに設けられた分割槽130bに対応するバルブ170およびアルカリ溶液還流ライン120bに設けられた分割槽130bに対応するバルブ171を閉じる制御を行うと同時に、アルカリ溶液還流ライン120aに設けられた分割槽130aに対応するバルブ170およびアルカリ溶液還流ライン120bに設けられた分割槽130aに対応するバルブ171を開く制御を行う。さらに、制御部140は、分割槽130bに対応するバルブ172およびバルブ173を開く制御を行う。
このバルブの開閉の切り替え操作によって、分割槽130aに貯留された再生されたアルカリ溶液は、吸収塔100、アルカリ溶液還流ライン120a、分割槽130a、アルカリ溶液還流ライン120b、吸収塔100の順にアルカリ溶液160を循環させるアルカリ溶液還流経路に導かれ、再び、二酸化炭素および硫黄酸化物を吸収する動作を行う。一方、分割槽130bに貯留された二酸化炭素を吸収したアルカリ溶液は、再生塔110、アルカリ溶液還流ライン121a、分割槽130b、アルカリ溶液還流ライン121b、再生塔110の順にアルカリ溶液161を循環させるアルカリ溶液還流経路に導かれ、再び、二酸化炭素を放出し、当初のアルカリ溶液に再生される。
ここで、アルカリ溶液160は、二酸化炭素を吸収する以外にも、排ガス103に含まれる硫黄酸化物も吸収し、アルカリ溶液160を長期に使用するとアルカリ溶液160中に亜硫酸イオンが蓄積する。この亜硫酸イオンの蓄積は、二酸化炭素の回収率を低下させるという観点から好ましくない。そこで、例えば、分割槽130aのアルカリ溶液160に含まれる亜硫酸イオンの濃度が重量濃度で0.5%に達した場合、分割槽130aに塩化カルシウムを添加して、亜硫酸イオンを亜硫酸カルシウムとして沈殿させ、分割槽130aから取り除く構成を設けることが好ましい。
なお、塩化カルシウムを添加する際のアルカリ溶液160に含まれる亜硫酸イオンの濃度は、重量濃度で0.5%のときに限られるものではなく、0.01〜1.0%の範囲のときでもよい。ここで、塩化カルシウムを添加する際のアルカリ溶液160に含まれる亜硫酸イオンの濃度の範囲を0.01〜1.0%としたのは、亜硫酸イオンの濃度が重量濃度で0.01%より小さい場合には、硫酸カルシウム(石膏)として回収し難いためであり、1.0%より大きい場合には、二酸化炭素の回収率が低下するためである。なお、塩化カルシウムの添加にり亜硫酸カルシウムだけでなく、炭酸水素カルシウムも沈殿する。
亜硫酸イオンの濃度は、例えば、各分割槽130a、130bに設置されている計測用ライン(図示しない)から分岐されたラインを介して接続されたイオンクロマトグラフィなどのイオン濃度測定装置によって測定される。このイオン濃度測定装置は、制御部140と電気的に接続され、亜硫酸イオンの濃度の測定情報は、制御部140に出力される。
また、亜硫酸イオンを亜硫酸カルシウムとして取り除いた分割槽130aには、新たなアルカリ溶液160が供給される。
上記したように、本発明の二酸化炭素回収システム10では、吸収塔100のアルカリ溶液排出口101から排出されるアルカリ溶液をアルカリ溶液導入口102に還流させ、二酸化炭素などを吸収するアルカリ溶液還流経路と、再生塔110の再生アルカリ溶液排出口111から排出される再生されたアルカリ溶液をアルカリ溶液噴出口112に還流させ、二酸化炭素を放出させてアルカリ溶液を再生するアルカリ溶液還流経路とを別個に独立して設けることができる。これによって、それぞれのアルカリ溶液還流経路を流れるアルカリ溶液の流量を個々に設定することができ、二酸化炭素の吸収動作やアルカリ溶液の再生動作のそれぞれに適したアルカリ溶液の還流流量などの設定をすることができる。
また、本発明の二酸化炭素回収システム10では、アルカリ溶液161を再生塔110で瞬時に加熱する必要がなく、しかも、アルカリ溶液161の流量を少なく絞り込んで再生塔110に複数回還流して、アルカリ溶液161を再生するため、大きな加熱装置や多くの熱量を必要としない。これによって、システムとしての熱効率を向上させることができる。
また、この二酸化炭素回収システム10では、大気汚染物質である硫黄酸化物をも回収することができる。さらに、二酸化炭素回収システム10では、過大なエネルギを使わずに、火力発電所や都市ごみ焼却場などから排出される大量の二酸化炭素を回収することができるので、地球温暖化防止に寄与することができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の二酸化炭素回収システムは、上述した第1の実施の形態の二酸化炭素回収システム10にアルカリ溶液として炭酸カリウム水溶液を用いたものである。したがって、第2の実施の形態の二酸化炭素回収システムの基本構成や動作は、第1の実施の形態の二酸化炭素回収システム10と同じであるので、図1を参照して第2の実施の形態の二酸化炭素回収システムを説明し、第1の実施の形態の二酸化炭素回収システム10における説明と重複する説明は省略する。
第2の実施の形態の二酸化炭素回収システムで用いられるアルカリ溶液は、水100g当たりに10〜43gの炭酸カリウムを溶かして、重量濃度を9〜30%に調整されたものが用いられる。
また、吸収塔100、アルカリ溶液還流ライン120a、分割槽130a、アルカリ溶液還流ライン120b、吸収塔100の順にアルカリ溶液160を循環させるアルカリ溶液還流経路が形成された場合に、吸収塔100および分割槽130aにおけるアルカリ溶液160の温度は、55℃程度に設定されている。また、再生塔110、アルカリ溶液還流ライン121a、分割槽130b、アルカリ溶液還流ライン121b、再生塔110の順にアルカリ溶液161を循環させるアルカリ溶液還流経路が形成された場合に、再生塔110および分割槽130bにおけるアルカリ溶液161の温度は、100℃程度に設定されている。
ここで、吸収塔100および分割槽130aにおけるアルカリ溶液160の温度を55℃程度(例えば、50〜60℃)に設定したのは、炭酸カリウムを主な溶質とするアルカリ溶液160では、55℃を大きく下回ると、二酸化炭素のアルカリ溶液160への吸収が遅く、55℃を大きく上回るとアルカリ溶液160から多量の水分が消失するためである。
また、再生塔110および分割槽130bにおけるアルカリ溶液161の温度を100℃程度(例えば、90〜110℃)に設定したのは、炭酸カリウムを主な溶質とするアルカリ溶液161では、100℃を大きく下回ると二酸化炭素の放出が遅く、100℃を大きく上回ると加圧状態でもアルカリ溶液161から水蒸気が多量に発生するからである。
また、吸収塔100、アルカリ溶液還流ライン120a、分割槽130a、アルカリ溶液還流ライン120b、吸収塔100の順にアルカリ溶液160を循環させ、二酸化炭素などを吸収するアルカリ溶液還流経路を流れるアルカリ溶液と、再生塔110、アルカリ溶液還流ライン121a、分割槽130b、アルカリ溶液還流ライン121b、再生塔110の順にアルカリ溶液161を循環させ、二酸化炭素を放出してアルカリ溶液を再生するアルカリ溶液還流経路を流れるアルカリ溶液とでは、45℃程度の温度差が生じている。
ここで、分割槽130aと分割槽130bとの間を断熱し、それぞれの分割槽に収容されているアルカリ溶液の温度を個々に調整するようにしてもよい。
アルカリ溶液として炭酸カリウム水溶液を用いた第2の実施の形態の二酸化炭素回収システムにおいても、第1の実施の形態の二酸化炭素回収システム10と同様の効果を得ることができる。つまり、吸収塔100のアルカリ溶液排出口101から排出されるアルカリ溶液をアルカリ溶液導入口102に還流させ、二酸化炭素などを吸収するアルカリ溶液還流経路と、再生塔110の再生アルカリ溶液排出口111から排出される再生されたアルカリ溶液をアルカリ溶液噴出口112に還流させ、二酸化炭素を放出させてアルカリ溶液を再生するアルカリ溶液還流経路とを別個に独立して設けることができる。これによって、それぞれのアルカリ溶液還流経路を流れるアルカリ溶液の流量を個々に設定することができ、二酸化炭素の吸収動作やアルカリ溶液の再生動作のそれぞれに適したアルカリ溶液の還流流量などの設定をすることができる。
さらに、本実施の形態では、従来の二酸化炭素の回収システムのように、アルカリ溶液が吸収塔と再生塔とに交互に流れ、その都度熱交換器を介して加熱または冷却されることがなく、所定の処理が終了するまで、例えば、二酸化炭素などを吸収するアルカリ溶液還流経路またはアルカリ溶液を再生するアルカリ溶液還流経路の同じアルカリ溶液還流経路を循環するので、個々のアルカリ溶液還流経路における温度管理が容易となる。なお、二酸化炭素などを吸収するアルカリ溶液還流経路からアルカリ溶液を再生するアルカリ溶液還流経路にアルカリ溶液の流路を切り替えるときには、アルカリ溶液を加熱する必要があるが、1つの加熱工程で実現することができるので、加熱工程と冷却工程を交互に繰り返す上記した従来の二酸化炭素の回収システムよりも、温度管理は容易となる。同様に、アルカリ溶液を再生するアルカリ溶液還流経路から二酸化炭素などを吸収するアルカリ溶液還流経路にアルカリ溶液の流路を切り替えるときには、アルカリ溶液を冷却する必要があるが、1つの冷却工程で実現することができるので、加熱工程と冷却工程を交互に繰り返す上記した従来の二酸化炭素の回収システムよりも、温度管理は容易となる。
また、本発明の二酸化炭素回収システム10では、アルカリ溶液161を再生塔110で瞬時に加熱する必要がなく、しかも、アルカリ溶液161の流量を少なく絞り込んで再生塔110に複数回還流して、アルカリ溶液161を再生するため、大きな加熱装置や多くの熱量を必要としない。これによって、システムとしての熱効率を向上させることができる。
また、この二酸化炭素回収システム10では、大気汚染物質である硫黄酸化物をも回収することができる。さらに、二酸化炭素回収システム10では、過大なエネルギを使わずに、火力発電所や都市ごみ焼却場などから排出される大量の二酸化炭素を回収することができるので、地球温暖化防止に寄与することができる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態の二酸化炭素回収システムは、上述した第1の実施の形態の二酸化炭素回収システム10にアルカリ溶液としてアミン水溶液を用いたものである。したがって、第3の実施の形態の二酸化炭素回収システムの基本構成や動作は、第1の実施の形態の二酸化炭素回収システム10と同じであるので、図1を参照して第3の実施の形態の二酸化炭素回収システムを説明し、第1の実施の形態の二酸化炭素回収システム10における説明と重複する説明は省略する。
第3の実施の形態の二酸化炭素回収システムで用いられるアルカリ溶液は、水100g当たりに10〜43gのアミン化合物を溶かして、重量濃度を9〜30%に調整されたものが用いられる。ここで用いられるアミン化合物として、モノエタノールアミン(MEA)や2アミノ2メチル1プロパノール(AMP)などが挙げられる。
また、吸収塔100、アルカリ溶液還流ライン120a、分割槽130a、アルカリ溶液還流ライン120b、吸収塔100の順にアルカリ溶液160を循環させるアルカリ溶液還流経路が形成された場合に、吸収塔100および分割槽130aにおけるアルカリ溶液160の温度は、55℃程度に設定されている。また、再生塔110、アルカリ溶液還流ライン121a、分割槽130b、アルカリ溶液還流ライン121b、再生塔110の順にアルカリ溶液161を循環させるアルカリ溶液還流経路が形成された場合に、再生塔110および分割槽130bにおけるアルカリ溶液161の温度は、120℃程度に設定されている。
ここで、吸収塔100および分割槽130aにおけるアルカリ溶液160の温度を55℃程度(例えば、50〜60℃)に設定したのは、アミン化合物を主な溶質とするアルカリ溶液160では、55℃を大きく下回ると、二酸化炭素のアルカリ溶液160への吸収が遅く、55℃を大きく上回るとアルカリ溶液160から多量の水分が消失するからである。
また、再生塔110および分割槽130bにおけるアルカリ溶液161の温度を120℃程度(例えば、110〜130℃)に設定したのは、アミン化合物を主な溶質とするアルカリ溶液161では、120℃を大きく下回ると二酸化炭素の放出が遅く、120℃を大きく上回ると加圧状態でもアルカリ溶液161から生じる水蒸気が多くなるからである。
また、吸収塔100、アルカリ溶液還流ライン120a、分割槽130a、アルカリ溶液還流ライン120b、吸収塔100の順にアルカリ溶液160を循環させ、二酸化炭素などを吸収するアルカリ溶液還流経路を流れるアルカリ溶液と、再生塔110、アルカリ溶液還流ライン121a、分割槽130b、アルカリ溶液還流ライン121b、再生塔110の順にアルカリ溶液161を循環させ、二酸化炭素を放出してアルカリ溶液を再生するアルカリ溶液還流経路を流れるアルカリ溶液とでは、65℃程度の温度差が生じている。
ここで、分割槽130aと分割槽130bとの間を断熱し、それぞれの分割槽に収容されているアルカリ溶液の温度を個々に調整するようにしてもよい。
アルカリ溶液として炭酸カリウム水を用いた第2の実施の形態の二酸化炭素回収システムにおいても、第1の実施の形態の二酸化炭素回収システム10と同様の効果を得ることができる。つまり、吸収塔100のアルカリ溶液排出口101から排出されるアルカリ溶液をアルカリ溶液導入口102に還流させ、二酸化炭素などを吸収するアルカリ溶液還流経路と、再生塔110の再生アルカリ溶液排出口111から排出される再生されたアルカリ溶液をアルカリ溶液噴出口112に還流させ、二酸化炭素を放出させてアルカリ溶液を再生するアルカリ溶液還流経路とを別個に独立して設けることができる。これによって、それぞれのアルカリ溶液還流経路を流れるアルカリ溶液の流量を個々に設定することができ、二酸化炭素の吸収動作やアルカリ溶液の再生動作のそれぞれに適したアルカリ溶液の還流流量などの設定をすることができる。
さらに、本実施の形態では、従来の二酸化炭素の回収システムのように、アルカリ溶液が吸収塔と再生塔とに交互に流れ、その都度熱交換器を介して加熱または冷却されることがなく、所定の処理が終了するまで、例えば、二酸化炭素などを吸収するアルカリ溶液還流経路またはアルカリ溶液を再生するアルカリ溶液還流経路の同じアルカリ溶液還流経路を循環するので、個々のアルカリ溶液還流経路における温度管理が容易となる。なお、二酸化炭素などを吸収するアルカリ溶液還流経路からアルカリ溶液を再生するアルカリ溶液還流経路にアルカリ溶液の流路を切り替えるときには、アルカリ溶液を加熱する必要があるが、1つの加熱工程で実現することができるので、加熱工程と冷却工程を交互に繰り返す上記した従来の二酸化炭素の回収システムよりも、温度管理は容易となる。同様に、アルカリ溶液を再生するアルカリ溶液還流経路から二酸化炭素などを吸収するアルカリ溶液還流経路にアルカリ溶液の流路を切り替えるときには、アルカリ溶液を冷却する必要があるが、1つの冷却工程で実現することができるので、加熱工程と冷却工程を交互に繰り返す上記した従来の二酸化炭素の回収システムよりも、温度管理は容易となる。
また、本発明の二酸化炭素回収システム10では、アルカリ溶液161を再生塔110で瞬時に加熱する必要がなく、しかも、アルカリ溶液161の流量を少なく絞り込んで再生塔110に複数回還流して、アルカリ溶液161を再生するため、大きな加熱装置や多くの熱量を必要としない。これによって、システムとしての熱効率を向上させることができる。
さらに、二酸化炭素回収システム10では、過大なエネルギを使わずに、火力発電所や都市ごみ焼却場などから排出される大量の二酸化炭素を回収することができるので、地球温暖化防止に寄与することができる。
本発明の第1の実施の形態の二酸化炭素回収システムを示す概要図。 従来の二酸化炭素回収システムを示す概要図。
符号の説明
10…二酸化炭素回収システム、100…吸収塔、103…排ガス、110…再生塔、115…二酸化炭素回収ライン、120a,120b,121a,121b…アルカリ溶液還流ライン、130…貯留槽、130a,130b…分割槽、140…制御部、160,161…アルカリ溶液、170,171,172,173…バルブ。

Claims (5)

  1. 排ガス導入口、アルカリ溶液導入口、残り排ガス排出口およびアルカリ溶液排出口を備え、前記排ガス導入口から導入された排ガスと前記アルカリ溶液導入口から導入されたアルカリ溶液とを気液接触させて前記アルカリ溶液に前記排ガス中の二酸化炭素を吸収させる吸収装置と、
    アルカリ溶液噴出口、再生アルカリ溶液排出口および二酸化炭素取出口を備え、前記二酸化炭素を吸収したアルカリ溶液から二酸化炭素を放出させて前記アルカリ溶液を再生する再生装置と、
    前記吸収装置のアルカリ溶液排出口から排出されるアルカリ溶液を前記アルカリ溶液導入口に還流させる第1のアルカリ溶液還流ラインと、
    前記再生装置の再生アルカリ溶液排出口から排出される再生されたアルカリ溶液を前記アルカリ溶液噴出口に還流させる第2のアルカリ溶液還流ラインと、
    前記第1のアルカリ溶液還流ラインおよび前記第2のアルカリ溶液還流ラインのいずれかに、アルカリ溶液の還流ラインを切り替えることで介在可能な複数の分割槽から構成される貯留槽と
    を具備することを特徴とする排ガス中の二酸化炭素の回収システム。
  2. 前記アルカリ溶液の主な溶質が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたはアミン化合物であることを特徴とする請求項1記載の排ガス中の二酸化炭素の回収システム。
  3. 吸収装置のアルカリ溶液排出口から排出される第1のアルカリ溶液を、貯留槽を構成する複数の分割槽のうちの第1の分割槽を介して前記吸収装置のアルカリ溶液導入口に還流させ、排ガスと前記第1のアルカリ溶液とを気液接触させて、前記第1のアルカリ溶液に前記排ガス中の二酸化炭素を繰り返し吸収させる第1の吸収工程と、
    前記第1のアルカリ溶液の還流ラインを切り替え、前記第1の吸収工程において二酸化炭素を吸収した第1のアルカリ溶液を、再生装置のアルカリ溶液噴出口に導き、前記再生装置の再生アルカリ溶液排出口から排出される第1のアルカリ溶液を、前記第1の分割槽を介して前記アルカリ溶液噴出口に還流させ、二酸化炭素を前記再生装置内に繰り返し放出させて、前記第1のアルカリ溶液の二酸化炭素の吸収能力を再生させる第1の再生工程と
    を具備することを特徴とする排ガス中の二酸化炭素の回収方法。
  4. 前記第1の再生工程を施しているときに、前記貯留槽の第2の分割槽に貯留された第2のアルカリ溶液を、前記吸収装置のアルカリ溶液導入口に導き、前記吸収装置のアルカリ溶液排出口から排出される第2のアルカリ溶液を、前記第2の分割槽を介して前記アルカリ溶液導入口に還流させ、排ガスと前記第2のアルカリ溶液とを気液接触させて、前記第2のアルカリ溶液に前記排ガス中の二酸化炭素を繰り返し吸収させる第2の吸収工程をさらに具備することを特徴とする請求項3記載の排ガス中の二酸化炭素の回収方法。
  5. アルカリ溶液の還流ラインを切り替え、前記第2の吸収工程において二酸化炭素を吸収した前記第2のアルカリ溶液を、前記再生装置のアルカリ溶液噴出口に導き、前記再生装置の再生アルカリ溶液排出口から排出される前記第2のアルカリ溶液を、前記第2の分割槽を介して前記アルカリ溶液噴出口に還流させ、二酸化炭素を前記再生装置内に繰り返し放出させて、前記第2のアルカリ溶液の二酸化炭素の吸収能力を再生させる第2の再生工程と、
    前記第2の再生工程における還流ラインの切り替えと同時に還流ラインを切り替え、前記第1の再生工程において再生された前記第1のアルカリ溶液を、前記吸収装置のアルカリ溶液導入口に導き、前記吸収装置のアルカリ溶液排出口から排出される第1のアルカリ溶液を、前記第1の分割槽を介して前記アルカリ溶液導入口に還流させ、排ガスと前記第1のアルカリ溶液とを気液接触させて、前記第1のアルカリ溶液に前記排ガス中の二酸化炭素を繰り返し吸収させる第3の吸収工程と
    をさらに具備することを特徴とする請求項4記載の排ガス中の二酸化炭素の回収方法。
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