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JP2006012726A - 有機電界発光パネル - Google Patents

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Hiroyuki Utsuki
弘之 宇津木
Mitsuhiro Nishida
三博 西田
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Abstract

【課題】有機EL素子の発光を効率良く取り出すことにより、有機ELパネルの輝度向上、駆動電圧の低減、有機EL素子の寿命延長を図る。
【解決手段】透明基材1上に形成された有機EL素子10の透明導電膜よりなる陽極2と透明基材1との間に反射防止膜5を設けた有機ELパネル。反射防止膜5により有機EL素子10からの光の反射が防止され、有機EL素子10の発光を効率良く取り出すことができるようになる。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明基材上に有機電界発光(EL)素子が形成された有機電界発光(EL)パネルに係り、特に有機EL素子の発光を効率的に取り出すことにより、発光効率の向上、駆動電圧の低減、有機EL素子の寿命延長を図る有機ELパネルに関する。
近年、消費電力が低く、薄肉化が可能であることから、有機EL素子を発光素子とする有機ELパネルが各種の表示装置の分野で注目されている。
有機ELパネルは、通常、図3に示す如く、ガラス基板等の透明基材1上に、透明導電膜よりなる陽極2、有機発光層3及び金属膜よりなる陰極4がこの順で積層された有機EL素子10が形成されたものである。通常、有機発光層3は、陽極2側の第1の有機膜と陰極4側の第2の有機膜との積層構造とされている。このような有機ELパネルでは、陽極2と陰極4との間に電圧を印加すると、有機発光層3において、より具体的には第1の有機膜と第2の有機膜との界面付近において、電子とホール(正孔)が結合し、発光が得られる。この発光は陽極2の透明導電膜及び透明基材1を透過して外部に放出される。
従って、例えば、陽極2と陰極4をストライプ状に多数本互いに直交配置し、電圧を印加する陽極2及び陰極4を選択してその交差部分に直流電流を流すと、その部分が発光し、所望の文字、図柄を表示することができる。
従来、陽極2の透明導電膜としては、一般にInにSnをドープしたITO薄膜が用いられる。また、有機発光層3の第1の有機膜の材料には、例えばテトラフェニルジアミン(TPD)などのホール輸送材料が、また、第2の有機膜の材料には、アルミキノリノール錯体(Alq)などの蛍光物質が用いられている。また、陰極4の材料としては、Al,Mg,Mg/Al合金などの仕事関数の小さな金属が用いられている。なお、有機発光層(第2の有機膜)3と陰極4との間には、更に有機発光層(第2の有機膜)3との仕事関数差の小さい第3の有機膜(電子注入層)が形成される場合もある。
このような有機ELパネルにあっては、有機発光層で発生した発光は、図4に示す如く、一部は有機発光層(屈折率約2.0程度)から透明導電膜(ITOで屈折率約1.9程度)よりなる陽極及び透明基材(ガラス基板で屈折率約1.5程度)をそのまま透過して外部(空気の屈折率は1.0)に放出されるが、一部は透明基材表面で反射し、また一部は陽極と透明基材との界面で反射する。また、有機発光層から陰極側へ放射され、有機発光層と陰極との界面で反射される光もある。特に、陽極と透明基材との屈折率差は大きく、このため、陽極と透明基材との界面で反射することにより、有機ELパネル表面から取り出せず、従って発光として有効利用されてない光量が多い。通常の有機ELパネルでは、このような有機ELパネル内の各層間の反射により、有機発光層で得られた発光のうちの一部しか取り出されておらず、このことが光の取り出し効率と発光層の内部量子効率との積で表される発光効率の向上を阻む大きな原因となっている。
一方で、有機ELパネルに限らず、すべての分野においては、省エネルギーの観点から、使用エネルギーのより一層の低減が望まれている。
従って、有機ELパネルにおいては、光の取り出し効率を高め、発光を有効活用することで、所定の輝度の発光を得るための有機EL素子の駆動電圧を低減することが切望されている。また、有機EL素子の駆動電圧の低減は、有機EL素子への負荷を軽減して有機EL素子の寿命の延長にも有効である。
本発明は上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、有機EL素子の発光を効率良く取り出すことができ、輝度向上、駆動電圧の低減、有機EL素子の寿命延長を図ることが可能な有機ELパネルを提供することを目的とする。
本発明の有機ELパネルは、透明基材と、該透明基材上に形成された有機EL素子とを有する有機ELパネルにおいて、該有機EL素子と該透明基材との間に、該有機EL素子からの光の反射を防止する反射防止膜を設けたことを特徴とする。
本発明の有機ELパネルであれば、有機EL素子と透明基材との間に形成した反射防止膜により、有機EL素子からの光の反射が防止され、有機EL素子の発光を効率良く取り出すことができるようになる。
本発明において、有機EL素子は、有機発光層を介して積層された1対の電極を有し、該1対の電極のうち、少なくとも前記透明基材側の電極が透明電極であり、該透明電極と透明基材との間に前記反射防止膜が形成されていることが好ましい。
この場合において、反射防止膜は、次のような構成とすることができる。
(1) 前記透明電極よりも屈折率が低い1層の低屈折率層からなる反射防止膜。この屈折率層は前記透明基材側ほど屈折率が小さくなるように、厚さ方向で屈折率が傾斜しているものであっても良い。
(2) 前記透明電極よりも屈折率が低い複数の低屈折率層の積層膜であり、該積層膜において、前記透明基材側の低屈折率層ほど屈折率が小さい反射防止膜。
(3) 前記透明電極よりも低屈折率の低屈折率層と、該低屈折率層よりも屈折率の高い高屈折率層とが複数積層された積層膜よりなる反射防止膜。
本発明においては、このような反射防止膜が設けられることにより、前記透明基材の有機EL素子側の面での光の反射量が、該反射防止膜が設けられていない場合の1/2以下とされていることが好ましい。
本発明によれば、有機EL素子の発光の取り出し効率が高く、このため発光効率が高められ、これにより、輝度向上、駆動電圧の低減、有機EL素子の寿命延長を図ることができる。
以下に図面を参照して本発明の有機ELパネルの実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の有機電界発光パネルの実施の形態を示す模式的な断面図であり、図2は本発明に係る反射防止膜の構成例を示す模式的な断面図である。なお、図2は陽極、反射防止膜及び透明基材の積層部分のみを示し、有機EL素子のその他の部材は図示を省略してある。
本発明の有機ELパネルは、図1に示す如く、透明基材1と有機EL素子10との間に反射防止膜5を設けた点が、図3に示す従来の有機ELパネルと異なり、その他の構成は同様の構成とされている。図1において、図3に示す部材と同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。
本発明に係る反射防止膜5は、有機EL素子10の有機発光層3で得られ、陽極2を透過してくる光の透明基材1との界面での反射を防止し得るようなものであれば良く、特に制限はないが、陽極2を構成するITO(屈折率約1.9)等の透明導電膜より屈折率が低く、陽極2の屈折率とガラス基板(屈折率約1.5)等の透明基材1の屈折率と中間の屈折率を有する材料より構成される。従って、反射防止膜5の構成材料としては、通常、屈折率1.87〜1.55程度のもの、好ましくは屈折率1.85〜1.6程度のものが挙げられる。
このような屈折率を有する反射防止膜材料としては、Y,TiO,SnO,ZrO,ZnO,MgO,Al,SiO等の金属酸化物の1種又は2種以上、或いはこれらの金属酸化物と、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の有機バインダー樹脂の1種又は2種以上とを組み合わせたものなどを採用することができる。
反射防止膜5は、図2(a)に示す如く、一層の反射防止膜5Aよりなる単層構造のものであっても良く、図2(b)に示す如く、複数の層を積層した積層構造の反射防止膜5Bであっても良い。
単層構造の反射防止膜5Aとしては、単一材料よりなり、屈折率分布のない、屈折率1.75〜1.70程度の反射防止膜であっても良く、陽極2側から透明基材1側へ向けて、屈折率が次第に小さくなるように、屈折率がその膜厚方向で変化するものであっても良い。例えば、陽極2近傍では屈折率1.89〜1.8程度で、透明基材1近傍では屈折率1.65〜1.55程度となるように屈折率が膜厚方向に傾斜した反射防止膜が挙げられる。このような反射防止膜は、スパッタ成膜法等による反射防止膜の成膜工程において、ターゲット組成を変化させるなどの方法で形成することができる。
また、積層構造の反射防止膜としては、図2(b)に示す如く、陽極2側から透明基材1に向けて屈折率が小さくなるように反射防止層5a〜5cを形成したものなどが挙げられる。例えば、図2(b)において、各反射防止層5a〜5cの屈折率を
反射防止層5a:1.87〜1.83
反射防止層5b:1.75〜1.65
反射防止層5c:1.65〜1.55
としたものが挙げられる。
また、屈折率の低い低屈折率層と屈折率の高い高屈折率層とを複数組み合わせたものであっても良い。
なお、積層構造の反射防止膜の場合、その積層数に特に制限はなく、2層或いは4層以上であっても良い。通常の場合、反射防止性能と、成膜コスト、反射防止膜の薄膜化との兼ね合いから、2〜5層程度の積層構造とされる。
反射防止膜5の膜厚は、反射防止膜が単層構造であるか積層構造であるかによっても異なるが、必要な反射防止性能を得ることができれば良く、通常の場合、単層構造であれば70〜90nm程度の膜厚に、また、積層構造であれば、1層当たり70〜90nm程度で、合計で210〜630nm程度の膜厚に形成される。
本発明においては、このような反射防止膜5を形成することにより、反射防止膜5を形成しない場合に比べて、透明基材1と陽極2との間の光の反射量を1/2以下に抑制することが好ましく、これにより、輝度の向上、駆動電圧の低減、有機EL素子の寿命延長を確実に図ることができる。
このような反射防止膜は、スパッタ法、蒸着法等のドライ成膜法や塗布法等のウェット成膜法等により形成することができるが、特にスパッタ法等のドライ成膜法を採用した場合には、反射防止膜の成膜後、透明導電膜よりなる陽極の成膜を連続して行うことができ、工業的に有利である。
なお、本発明の有機ELパネルにおいて、透明基材や有機EL素子を構成する陽極、有機発光層、及び陰極としては従来と同様のものを採用することができる。
透明基材1としては、通常、ガラス基板が用いられるが、石英や有機樹脂フィルムであっても良い。透明基材の厚さは、通常、強度の確保と薄肉化の面から50μm〜2mm程度とされる。
陽極2を構成する透明導電膜としては、ITO、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウム)等が用いられ、通常、その厚さは100〜500nm程度である。
有機発光層3としては、前述の如く、一般的には、陽極側から正孔注入・輸送性の第1の有機膜、及び発光及び電子注入・輸送性の第2の有機膜との積層構造とされるが、更に、この上に電子注入・輸送性の有機膜を形成しても良い。正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が各々別の有機膜で構成されていても良い。この有機発光層3の厚さは通常80〜160nm程度である。
また、陰極4としては、電子注入を効果的に行うために、低仕事関数の物質として、例えば、K、Li、Na、Mg、La、Ce、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、In、Sn、Zn、Zr等の金属元素単体、又は安定性を向上させるためにそれらを含む2成分、3成分の合金系を用いることが好ましい。合金系としては、例えばAg・Mg(Ag:1〜20at%)、Al・Li(Li:0.5〜10at%)、In・Mg(Mg:50〜80at%)、Al・Ca(Ca:5〜20at%)等が好ましい。陰極の厚さは通常50〜500nm程度である。
ただし、本発明に係る有機EL素子は、何らこのような構成のものに限定されず、陽極2と有機発光層3との間、或いは有機発光層3と陰極4との間に更に別の機能層が介在されていても良い。また、陰極4上に保護層が設けられていても良い。
以下に実験例を挙げて本発明の効果を示す。
実験例1(比較例)
透明基材としてガラス板(屈折率1.5)を用い、この上に、陽極として厚さ150nmのITO膜(屈折率1.9)を形成したサンプルについて、各波長の光の反射率を測定し、結果を表1に示した。
実験例2(本発明例)
実験例1において、透明基材と陽極との間に図2(a)に示すような単層の反射防止膜5Aをスパッタ法により設けたこと以外は同様にしてサンプルを作製し、同様に各波長の光の反射率を測定し、結果を表1に示した。
なお、この反射防止膜5Aは、厚さ80nmのMgO膜(屈折率1.73)よりなるものである。
実験例3(本発明例)
実験例1において、透明基材と陽極との間に、図2(b)に示す如く、3層積層構造の反射防止膜5Bを設けたこと以外は同様にしてサンプルを作製し、同様に各波長の光の反射率を測定し、結果を表1に示した。
なお、この反射防止膜5Bは、陽極2側から厚さ74nmのY膜(屈折率1.85)5a、厚さ80nmのAl/ZrO膜(屈折率1.7)5b及び厚さ86nmのAl膜(屈折率1.6)よりなるものである。
Figure 2006012726
表1より、有機EL素子の陽極と透明基材との間に反射防止膜を設けた本発明の有機ELパネルによれば、有機EL素子と透明基材との間の光の反射が防止され、有機EL素子の発光を効率良く取り出すことができ、高輝度で駆動電圧の低い有機ELパネルが実現されることが分かる。
本発明の有機ELパネルの実施の形態を示す断面図である。 本発明に係る反射防止膜の構成例を示す断面図である。 従来の有機ELパネルの構成を示す断面図である。 従来の有機ELパネルの有機発光層の発光の反射を示す説明図である。
符号の説明
1 透明基材
2 陽極
3 有機発光層
4 陰極
5,5A,5B 反射防止膜
10 有機EL素子

Claims (7)

  1. 透明基材と、該透明基材上に形成された有機電界発光素子とを有する有機電界発光パネルにおいて、
    該有機電界発光素子と該透明基材との間に、該有機電界発光素子からの光の反射を防止する反射防止膜を設けたことを特徴とする有機電界発光パネル。
  2. 請求項1において、該有機電界発光素子は、有機発光層を介して積層された1対の電極を有し、該1対の電極のうち、少なくとも前記透明基材側の電極が透明電極であり、該透明電極と透明基材との間に前記反射防止膜が形成されていることを特徴とする有機電界発光パネル。
  3. 請求項2において、該反射防止膜は、前記透明電極よりも屈折率が低い1層の低屈折率層からなることを特徴とする有機電界発光パネル。
  4. 請求項3において、該屈折率層は前記透明基材側ほど屈折率が小さくなるように、厚さ方向で屈折率が変化することを特徴とする有機電界発光パネル。
  5. 請求項2において、該反射防止膜は、前記透明電極よりも屈折率が低い複数の低屈折率層の積層膜であり、該積層膜において、前記透明基材側の低屈折率層ほど屈折率が小さいことを特徴とする有機電界発光パネル。
  6. 請求項2において、該反射防止膜は、前記透明電極よりも低屈折率の低屈折率層と、該低屈折率層よりも屈折率の高い高屈折率層とが複数積層された積層膜であることを特徴とする有機電界発光パネル。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、該反射防止膜が設けられることにより、前記透明基材の有機電界発光素子側の面での光の反射量が、該反射防止膜が設けられていない場合の1/2以下とされていることを特徴とする有機電界発光パネル。
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