JP2006005625A - 音響振動発生装置 - Google Patents
音響振動発生装置Info
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Abstract
【課題】 多種類の音響電子機器に接続可能であり、他の音声機器と共用できる圧電型の音響振動発生装置を提供すること。
【解決手段】 基板12上に形成された電気回路と圧電振動体11とが一体にモールド成形されてなる音響振動発生装置であり、圧電振動体11はシムを有する圧電バイモルフからなり、その圧電振動体11は基板12に設けられた切り欠き部に配置され、そのシムを介して基板12と接合されている。また、その基板12上に形成された電気回路は、増幅回路、デジタル音声信号をアナログ音声信号に変えるD/A変換回路、あるいは音声信号で変調された磁界を放射するコイル16を含む。
【選択図】 図2
Description
本発明は圧電振動体を用いた音響振動発生装置に関し、特に電気回路と圧電振動体が一体化された音響振動発生装置に関する。
圧電振動体を音響振動発生体として用いると、電磁型の振動発生体に比べて変換効率の高いスピーカが得られる。しかし通常の、外耳、中耳及び内耳を介する気導音を発生するスピーカとしては、周波数特性など点で電磁型の振動発生体に及ばない点がある。そこで、従来は骨導音、すなわち中耳を介さず骨組織を介して直接に内耳へ伝達される音響振動を発生する振動体として使用されることがあった。特許文献1に開示された骨伝導ヘッドセットなどと同様の使用形態である。
一般に圧電振動体の駆動回路には、電磁型と比べて高い駆動電圧が必要とされる。なぜなら駆動電圧を低くするためには、圧電振動体の積層数を増やす必要があり構造が複雑になるからである。このように高い電圧で駆動する場合には、インピーダンス変換用の増幅回路などを付加しないと、高効率であるという圧電振動体の本来の特性を生かすことができない。
また特許文献2に開示された圧電スピーカ用消費電力低減装置では、アイドリング電流を必要とするB級増幅回路自体の損失が電源電圧に比例して増加し、無負荷時での消費電力が大きくなり圧電スピーカの高効率変換特性を生かし切れないという問題に対処している。
上記のように圧電振動体が本来持つ高効率変換特性を生かして、圧電振動体を駆動するには、電磁型スピーカとは異なる駆動回路を用いる必要がある。しかし、専用の電気回路を持つ電子機器にのみ使用できる音響振動発生装置であっては、その用途が限定されてしまう。言い換えると、電磁型ヘッドフォンなどに置き換えて使用できる音響振動発生装置であることが望ましい。また骨導音を発生する振動発生体として使用する場合、補聴器などの気導音の音声機器と共用できることが望ましい。
そこで、本発明は多種類の音響電子機器に接続可能であり、他の音声機器と共用できる圧電型の音響振動発生装置を提供することを課題とする。
第1の発明の音響振動発生装置は、基板上に形成された電気回路と圧電振動体とが一体にモールド成形されてなることを特徴とする。
第2の発明の音響振動発生装置は、第1の発明の音響振動発生装置において、前記圧電振動体はシムを有する圧電バイモルフからなり、前記圧電振動体は前記基板に設けられた切り欠き部に配置され前記シムを介して前記基板と接合されたことを特徴とする。
第3の発明の音響振動発生装置は、第1又は第2の発明の音響振動発生装置において、前記電気回路は増幅回路を備えることを特徴とする。
第4の発明の音響振動発生装置は、第1から第3のいずれかの発明の音響振動発生装置において、前記電気回路はデジタル音声信号をアナログ音声信号に変えるD/A変換回路を備えることを特徴とする。
第5の発明の音響振動発生装置は、第1から第4のいずれかの音響振動発生装置において、前記電気回路は音声信号で変調された磁界を放射するコイルを備えることを特徴とする。
本発明の音響振動発生装置では、基板上に形成された電気回路と圧電振動体とが一体にモールド成形されているので、圧電振動体の駆動に特有な回路が一体化され一般の音響電子機器に接続可能で、取り扱いやすくコンパクトな音響振動発生装置となる。
また本発明の音響振動発生装置では、圧電振動体はシムを有する圧電バイモルフからなり、その圧電振動体は電気回路の基板に設けられた切り欠き部に配置され、その基板にシムを介して支持されているので、圧電振動体の音響特性を調整しやすい。
また本発明の音響振動発生装置では、その電気回路は増幅回路を備えるので、電磁型スピーカを想定した音声信号出力に対しても、インピーダンス変換又は電圧増幅を行い音響振動を発生させることができる。
また本発明の音響振動発生装置では、その電気回路はデジタル音声信号をアナログ音声信号に変えるD/A変換回路を備えるので、一般のデジタル音声信号を入力して音響振動を発生させることができる。
そして本発明の音響振動発生装置では、その電気回路は音声信号で変調された磁界を放射するコイルを備えるので、テレホンコイルを有する補聴器に高S/N比で音声信号を送ることができる。その結果、(1)圧電振動体では骨導音を発生させ同時に補聴器から気導音を発生させて聴感を高めること、(2)骨導音は発生させずに、補聴器の気導音のみを発生させることが可能になる。
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図3は本発明の音響振動発生装置の外観を示す斜視図であり、11は圧電振動体、12は電気回路の基板、13はモールド樹脂、14は接続コードである。このように本発明の音響振動発生装置では矩形の圧電振動体11が電気回路の基板12に電気回路と共に載せられ、全体をモールド樹脂13で覆われた構造となっている。
また図1は実施の形態1及び2の音響振動発生装置の内部を透視して示す斜視図であり、モールド樹脂が透明であるかのように描いた。同図のように、矩形板状の圧電振動体11が基板12の切り欠き部に配設され、また回路部品15は同一の基板12上に実装され電気回路を構成し、全体が矩形板状のモールド樹脂13で覆われている。
また図2は実施の形態3の音響振動発生装置の内部を透視して示す斜視図である。
本発明で用いる圧電振動体11を図4に示す。図4(a)はその長手方向の断面図、図4(b)は外観斜視図であり、32は金属弾性板からなるシム、33は圧電セラミック板、34は可撓性物質よりなる被覆層である。紙面の左右方向が長手方向となる矩形板状の圧電バイモルフである。片方の圧電セラミック板が長手方向に伸張するとき、他方は長手方向に収縮するように、電圧が印加されて、バイモルフ振動が発生する。
圧電セラミック板33は主に圧電の横効果を使用して長手方向の変位(図4(a)の紙面では左右方向の変位)を発生するものである。圧電セラミック板33は矩形で厚み方向に分極されており、上下面に印加される電気信号に応じて伸縮の変形を生ずる。また、厚み方向に積層した構成で、一層毎に電極を二つのグループに分けて層毎に分極と電圧印加ができる構成を取ると駆動電圧を大幅に低減できる利点がある。なお、電気的な結線類は図から省略してある。
その作製方法を説明する。2枚の圧電セラミック板33にはNECトーキン製圧電セラミックス(商品名ネペック10)を用い、その寸法は、長さ32mm、幅8mm、厚さ0.15mmである。またシム32は厚さ50μmの真鍮製であり、その長さは36mm、幅は8mmである。これらをエポキシ系接着剤で貼り合わせ 、圧電セラミック板33の外側の主面には電極(図示省略)を設け、この電極とシムからリード線を引き出した。
次に、真鍮製の金型を用いて圧電バイモルフの全面に液状ウレタンゴムを流し込み、硬化処理により、厚さ方向の二面には約1.5mmの厚さで被覆層を形成した。この被覆層の厚さによって共振周波数と振動体のQを調節する。また、このとき、1枚の圧電セラミック板33を複数層で形成して、それぞれに電極を設けると、その分、駆動電圧を下げることができる。
このように作製した圧電振動体と電気回路基板の接続の様子を図5に断面図で示す。基板12とシム32は接着固定され、圧電振動体11は基板12の切り欠き部に配設され、シム32を介して基板12と接合されている。
次に本発明の音響振動発生装置の電気的回路を説明する。図6は本発明の音響振動発生装置の回路構成を示すブロック図であり、図6(a)は実施の形態1の回路構成を示すブロック図であり、図6(b)は実施の形態2の回路構成を示すブロック図であり、図6(c)は実施の形態3の回路構成を示すブロック図である。
図6(a)の回路構成(実施の形態1)では、電磁型のスピーカを想定した音声信号を増幅回路52で電圧増幅すると共にインピーダンス変換を行い、圧電振動体51を駆動する。
図6(b)の回路構成(実施の形態2)では、D/A変換回路53でデジタル音声信号の入力をアナログ音声信号に変えてから駆動電力を得て圧電振動体51で音響振動を発生させる。
図6(c)の回路構成(実施の形態3)では、圧電振動体51は骨導音の発生を担い、気導音を発生する補聴器と共用して、補聴器に高S/N比で音声信号を伝達する手段を備える。ところで補聴器にはテレホンコイルと呼ばれるピックアップコイルを備え、補聴器使用者が電話機からスピーカを介さずに高S/N比で音声信号を受け取ることができるタイプがある。この補聴器に音声信号を送るための回路構成が図6(c)の構成である。
同図のように、増幅回路52からの出力は、圧電振動体51及びインピーダンス整合された磁界放射コイル54に入力される。その結果、圧電振動体51では骨導音が発生する。他方、磁界放射コイル54からは音声信号で変調された磁界が放射される。ここで、磁界放射コイル54はループ状に巻線したコイルからなり、この磁界放射コイルを基板に配設した様子は図2に内部透視斜視図で示したとおりであり、コイル16が音声信号で変調された磁界を放射し、補聴器のテレホンコイルに磁界を伝達する。このとき、他の回路部品15、圧電振動体11、基板12、モールド樹脂13については、図1と同様である。
このように、圧電振動体による骨導音の発生と、補聴器による気導音の発生を共用することによって得られる効果について説明する。一般の状況では、圧電振動体による骨導音と補聴器による気導音のバランスを調整することによって、補聴器使用者ごとに異なる聴感の向上が可能になる。また使用環境によっても、そのバランスは変化する。
さらに説明すると、(1)圧電振動体による骨導音のみを用いる場合、磁界放射コイル54への入力をオフにしてもよく、オンのままにして補聴器側のスイッチをオフにしてもよい。その磁界放射による電力消費はわずかである。この状態では音声発生電子機器からの音声出力を骨導音で聴取することができる。(2)圧電振動体による骨導音出力をオフにして補聴器による気導音のみを用いる場合、補聴器のテレホンコイルに磁界を伝達する手段を持たない一般の音響電子機器からも、高S/N比で音声を聴取することができる。(3)圧電振動体による骨導音と補聴器による気導音を併用する場合、気導音によるS/N比と、骨導音によるS/N比に応じて、全体として、最大のS/N比が得られるように調整することが可能となる。
ところで、実施の形態1〜3の回路構成を同時に含む回路構成にして切り替えて動作させることもできる。
以上のように、板状の圧電振動体を駆動用などの電気回路の基板に載せて全体をモールドすると、コンパクトで取り扱いが容易であり、電磁型スピーカに置き換えて使用できるだけでなく、多種類の音響電子機器に接続でき、さらには他の音声機器と共用できる音響振動発生装置が得られる。
11,51 圧電振動体
12 基板
13 モールド樹脂
14 接続コード
15 回路部品
16 コイル
32 シム
33 圧電セラミック板
34 被覆層
52 増幅回路
53 D/A変換回路
54 磁界放射コイル
12 基板
13 モールド樹脂
14 接続コード
15 回路部品
16 コイル
32 シム
33 圧電セラミック板
34 被覆層
52 増幅回路
53 D/A変換回路
54 磁界放射コイル
Claims (5)
- 基板上に形成された電気回路と圧電振動体とが一体にモールド成形されてなることを特徴とする音響振動発生装置。
- 前記圧電振動体はシムを有する圧電バイモルフからなり、前記圧電振動体は前記基板に設けられた切り欠き部に配置され前記シムを介して前記基板と接合されたことを特徴とする、請求項1に記載の音響振動発生装置。
- 前記電気回路は増幅回路を備えることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の音響振動発生装置。
- 前記電気回路はデジタル音声信号をアナログ音声信号に変えるD/A変換回路を備えることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の音響振動発生装置。
- 前記電気回路は音声信号で変調された磁界を放射するコイルを備えることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載の音響振動発生装置。
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