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JP2006098033A - リターンベンド管およびフィンアンドチューブ型熱交換器 - Google Patents

リターンベンド管およびフィンアンドチューブ型熱交換器 Download PDF

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Abstract

【課題】 凝縮性能を向上させ、かつ、蒸発性能の低下を抑制することが可能で、さらに、伝熱管(ヘアピン管)とリターンベンド管の接合部の信頼性が高いリターンベンド管およびそれを用いたフィンアンドチューブ型熱交換器を提供する。
【解決手段】 管内部に冷媒が供給され、ヘアピン管11と、ヘアピン管11の管端に接合された管本体部1aを有するリターンベンド管1と、ヘアピン管11の外表面に一定間隔で並列された多数のフィン21aとを備えるフィンアンドチューブ型熱交換器20のリターンベンド管1において、リターンベンド管1は、管本体部1aと管本体部1aの内面に形成された多数のらせん状の第1溝2とを備え、第1溝2と管軸とがなす第1溝リード角θ1の方向が、ヘアピン管11の管内面に形成されたらせん状の第2溝12と管軸とがなす第2溝リード角θ2と同一方向である。
【選択図】 図4

Description

本発明は、空調機器用の熱交換器、特に、管内部にフロン系冷媒を流し、多数のアルミ製フィンを管外面に並列に設置したフィンアンドチューブ型熱交換器のリターンベンド管及びそのリターンベンド管を用いたフィンアンドチューブ型熱交換器に関する。
従来、リターンベンド管として管内面が平滑な平滑管を用いたフィンアンドチューブ型熱交換器が、特許文献1または特許文献2に提案されている(リターンベンド管は、特許文献1ではUベンド管、特許文献2ではUベンドと記載されている)。また、リターンベンド管として内面溝付管を用いたエバポレータ(蒸発器)用フィンアンドチューブ型熱交換器も特許文献3に提案されている(リターンベンド管は、特許文献3ではUベンド管と記載されている)。
特許文献3に記載されているUベンド管は、その管内面に冷媒攪拌用の多数の溝を形成すると共に、Uベンド管以外の部分(特許文献3ではチューブ)の管肉厚より厚い肉厚を有するものである。Uベンド管をこのような構成とすることにより、Uベンド管において冷媒を効率よく撹拌でき、冷媒密度を均一化して熱交換を促進するという効果が記載されている。そして、Uベンド管の肉厚をチューブより厚くすることで、管内部に充分深い溝を形成しても、Uベンド管の強度を充分に保ち、信頼性の高い熱交換器を提供し得ることが記載されている。
一方、熱交換器用の冷媒として従来用いられていたR22などのクロロフルオロカーボン系冷媒は、オゾンを破棄するため、地球環境保護の点から用いることができなくなり、含有する塩素の全部を水素で置換したR410Aなどのハイドロフルオロカーボン系冷媒が空調機器用冷媒として本格的に採用されはじめている。
実開昭63−154986号公報(実施例、図1) 特開平11−190597号公報(段落0022〜0025、図1) 実開平4−122986号公報(段落0007〜0008、0010、図1)
しかしながら、特許文献1または特許文献2の熱交換器においては、Uベンド管またはUベンドが平滑管で構成されているため、伝熱管(特許文献1では電縫管)の管内に形成されたらせん溝により発生する冷媒の旋回流が、冷媒循環量が少なくなると、平滑管内で途切れ、熱交換器としての伝熱性能が低下するという問題があった。なお、伝熱管内に形成されたらせん溝の溝形状を変更する、例えば、ハイフィン化する(フィンを高くする)ことで熱交換器の伝熱性能を向上させることも行われていたが、伝熱管は、その管長が長いため、伝熱管の溝形状の変更は管の製造コストが高くなるという問題があった。また、伝熱管の溝形状の変更にも限界があり、溝形状の変更だけでは、十分な伝熱性能の向上が得られていなかった。
そのため、前記問題を解決するために、特許文献3のような、管内面に多数の溝を形成したUベンド管を用いた熱交換器が提案された。しかしながら、Uベンド管内に形成された溝形状が、チューブ内に形成された溝形状と大きく異なると、熱交換器内を循環する冷媒の圧力損失が大きくなり、それにより冷媒流量が減少するため、却って熱交換器の伝熱性能、特に蒸発性能の低下が著しくなるという問題があった。
また、特許文献3のように、Uベンド管の溝形成による強度低下を考慮して、管肉厚を厚肉化すると、Uベンド管とチューブの接合部の内面に冷媒の流通の障害となる段差が生じ、冷媒の圧力損失が大きくなり、却って熱交換器の伝熱性能、特に蒸発性能の低下が著しくなるという問題があった。
本発明は前記の問題を鑑みてなされたもので、凝縮性能を向上させ、かつ、蒸発性能の低下を抑制することが可能で、さらに、伝熱管(ヘアピン管)とリターンベンド管の接合部の信頼性が高いリターンベンド管及びそれを用いたフィンアンドチューブ型熱交換器を提供することを目的とする。
前記の問題を解決するために、請求項1の発明は、管内部に冷媒が供給され、ヘアピン管と、前記ヘアピン管の管端に接合された管本体部を有するリターンベンド管と、前記ヘアピン管の外表面に一定間隔で並列された多数のフィンとを備えるフィンアンドチューブ型熱交換器のリターンベンド管において、前記リターンベンド管は、管本体部と管本体部の内面に形成された多数のらせん状の第1溝とを備え、前記第1溝と管軸とがなす第1溝リード角の方向が、前記ヘアピン管の管内面に形成されたらせん状の第2溝と管軸とがなす第2溝リード角の方向と同一方向であるリターンベンド管として構成したものである。
前記の構成によれば、リターンベンド管の管内面に、多数のらせん状の第1溝が形成され、その第1溝の第1溝リード角が前記ヘアピン管の第2溝の第2溝リードと同方向であることによって、前記ヘアピン管で生じた冷媒の旋回流が、リターンベンド管で途切れることがなく維持され、高風速域(高冷媒循環量)においては、第1溝の溝突起の液面からの露出が多くなると共に、低風速域(低冷媒循環量)においては、冷媒の攪拌を促進する。また、リターンベンド管での冷媒の圧力損失が小さくなる。
また、請求項2の発明は、前記第1溝の第1溝リード角(θ1)と、前記第2溝の第2溝リード角(θ2)とが、(θ1)≦(θ2)の関係であるリターンベンド管として構成したものである。前記の構成によれば、冷媒の旋回流が維持されると共に、第2溝と第1溝の溝リード角の相違による冷媒流通の障壁が小さくなり、リターンベンド管内部での冷媒の圧力損失がより一層小さくなる。
また、請求項3の発明は、前記第1溝の第1溝深さ(h1)と、前記第2溝の第2溝深さ(h2)とが、(h1)≦(h2)の関係であるリターンベンド管として構成したものである。前記の構成によれば、冷媒の旋回流が維持されると共に、第2溝と第1溝の溝深さの相違(段差)による冷媒流通の障壁が小さくなり、リターンベンド管内部での冷媒の圧力損失がより一層小さくなる。
また、請求項4の発明は、前記管本体部が、その足長さ(L)がピッチ(P)の1.0〜1.5倍であるリターンベンド管として構成したものである。前記の構成によれば、リターンベンド管が、冷媒の旋回流が維持されると共に、冷媒の圧力損失が大きい曲げ部の長さが制限された形状となる。
また、請求項5の発明は、前記管本体部が、耐熱銅合金からなるリターンベンド管として構成したものである。前記の構成によれば、接合、例えば、リターンベンド管のろう付後の管強度の低下が小さくなるため、熱交換器使用中の管内部の圧力によって、リターンベンド管の接合部、例えば、ろう付けの温度影響部に管破壊が生じない。また、リターンベンド管の管肉厚を厚肉化する必要がなくなる。
また、請求項6の発明は、前記管本体部の第1管肉厚(T1)と、前記ヘアピン管の第2管肉厚(T2)とが、(T1)≦(T2)の関係であるリターンベンド管として構成したものである。前記の構成によれば、前記ヘアピン管とリターンベンド管の接合部において、管肉厚が厚肉化されないので、管肉厚の増加による熱交換器の質量増加がなくなると共に、リターンベンド管接合部において、冷媒の流通の障害となる管肉厚の段差が生じず、冷媒の圧力損失がより一層小さくなる。また、リターンベンド管の質量を低減でき、熱交換器が軽量化される。
また、請求項7の発明は、管内部に冷媒が供給され、多数のヘアピン管が並列されたヘアピン部と、前記ヘアピン部の各々のヘアピン管端部に接合された多数のリターンベンド管が並列されたリターンベンド部と、前記ヘアピン管の外表面に一定間隔で並列された多数のフィンからなるフィン部とを有するフィンアンドチューブ型熱交換器であって、前記リターンベンド部の少なくとも一部が、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のリターンベンド管であるフィンアンドチューブ型熱交換器として構成したものである。
前記の構成によれば、前記ヘアピン管で生じた冷媒の旋回流が、リターンベンド管で途切れることがなく、また、リターンベンド管での冷媒の圧力損失が小さくなる。さらに、熱交換器が軽量化される。
また、請求項8の発明は、前記ヘアピン管および前記リターンベンド管から構成された冷媒流路は、その少なくとも一部が分岐され、複数の冷媒流路を形成するフィンアンドチューブ型熱交換器として構成したものである。前記の構成によれば、複数の冷媒流路が形成されることによって、冷媒流路を構成する並列されたヘアピン管およびリターンベンド管の段数が減少し、冷媒の圧力損失が小さくなる。
また、請求項9の発明は、前記冷媒が、ハイドロフルオロカーボン系の非共沸混合冷媒であるフィンアンドチューブ型熱交換器として構成したものである。前記の構成によれば、熱交換器内での冷媒の伝熱特性が向上すると共に、冷媒の圧力損失が小さくなる。
本発明によれば、リターンベンド管における凝縮性能を向上させると共に、冷媒の圧力損失が大きくなることによる蒸発性能の低下を抑制することで、フィンアンドチューブ型熱交換器の全体の凝縮性能を効率よく向上させ、かつ、蒸発性能の低下を抑制することが可能となる。さらに、リターンベンド管は、伝熱管(ヘアピン管)との接合部の信頼性が高くなると共に、軽量化を達成できる構成とすることができる。また、フィンアンドチューブ型熱交換器は、簡易な構成部分のリターンベンド管の凝縮性能を向上させ、かつ、蒸発性能の低下を抑制することで、熱交換器全体の蒸発性能の低下を抑制した状態で、全体の凝縮性能を向上させることができる。
以下、本発明について図面を参照して具体的に説明する。図1はリターンベンド管の構成を示す斜視図、図2はリターンベンド管を組み込んだフィンアンドチューブ型熱交換器の構成を示す一部破断正面図、図3(a)は図2の熱交換器をリターンベンド管側から見た斜視図、(b)は熱交換器をヘアピン管側から見た斜視図、(c)は熱交換器内の冷媒の流れを概略的に示す模式図、図4はヘアピン管とリターンベンド管との接合部を管軸方向に切断したときの拡大断面図、図5(a)はリターンベンド管の管軸直交断面図、(b)は(a)の一部拡大断面図、図6(a)はヘアピン管の管軸直交断面図、(b)は(a)の一部拡大断面図、図7(a)、(b)は他の実施形態の熱交換器内の冷媒の流れを概略的に示す模式図、図8(a)は熱交換器の伝熱性能、圧力損失を測定する際に使用する吸引型風洞の模式図、(b)は(a)の吸引型風洞に冷媒を供給する冷媒供給装置の模式図である。
(1)リターンベンド管
まず、本発明のリターンベンド管について説明する。図1〜図3に示すように、本発明のリターンベンド管1は、フィンアンドチューブ型熱交換器(以下、熱交換器と称す)20に使用され、管内部に冷媒が供給されるヘアピン管11の管端に接合されるものである。このリターンベンド管1は、U字状に形成された管本体部1aと管本体部1aの内面に形成された多数のらせん状の第1溝2とを備える(図4参照、図1においては第1溝の記載を省略した)。このリターンベンド管1が2本のヘアピン管11、11の間に介在して、ヘアピン管11同士を接続するため、図2に示すように、複数のヘアピン管11、11・・・を直列に接続することによって、距離の長い冷媒流路が構成される。
リターンベンド管1は、図4に示すように、管内部に多数形成された第1溝2の内面溝形状を以下のように規制することによって、リターンベンド管1が組み込まれる熱交換器20(図2、図3参照)としての伝熱性能(特に凝縮性能)を向上させることができる。また、リターンベンド管1は、接合するヘアピン管11の管外径D2(図6参照)として4〜10mmが用いられるため、その管外径D1(図5参照)が4〜10mmの管を用いることが好ましい。
(内面溝形状)
リターンベンド管1の第1溝2は、その第1溝2と管軸とがなす第1溝リード角θ1の方向が、ヘアピン管11の管内面に形成された第2溝12と管軸とがなす第2溝リード角θ2の方向と同一方向に形成されている。第1溝リード角θ1の方向と第2溝リード角θ2の方向が異なると、ヘアピン管11の第2溝12によって形成された冷媒の旋回流が、リターンベンド管1で維持できなくなり、伝熱性能(特に、凝縮性能)が低下する。また、リターンベンド管1で冷媒の圧力損失が大きくなり、伝熱性能(特に、蒸発性能)が低下する。
また、第1溝リード角θ1と第2溝リード角θ2とが、θ1≦θ2の関係であることが好ましい。第1溝リード角θ1が第2溝リード角θ2より大きいと、ヘアピン管11の第2溝12によって形成された冷媒の旋回流が、リターンベンド管1で維持できなくなり、伝熱性能(特に、凝縮性能)が低下する。また、リターンベンド管1で冷媒の圧力損失が大きくなり、伝熱性能(特に、蒸発性能)が低下する。第1溝リード角θ1のより好ましい範囲はθ2〜(θ2−10)°で、さらに好ましい範囲はθ2〜(θ2−5)°である。
図5、図6に示すように、リターンベンド管1の第1溝2は、第1溝2の第1溝深さh1と、ヘアピン管11の第2溝12の第2溝深さh2とが、h1≦h2の関係になるように形成されることが好ましい。第1溝深さh1が第2溝深さh2より大きいと、ヘアピン管11の第2溝12によって形成された冷媒の旋回流が、リターンベンド管1で維持できなくなり、伝熱性能(特に、凝縮性能)が低下する。また、リターンベンド管1で冷媒の圧力損失が大きくなり、伝熱性能(特に、蒸発性能)が低下する。第1溝深さh1のより好ましい範囲はh2〜(h2−0.1)mmで、さらに好ましい範囲はh2〜(h2−0.05)mmである。
また、図5、図6に示すように、第1溝2は、第1溝2間に形成された第1フィン3の第1フィン山頂角δ1、第1フィン根元半径r1と、ヘアピン管11の第2溝12間に形成された第2フィン13の第2フィン山頂角δ2、第1フィン根元半径r2とが同一となるように形成することがより好ましい。第1フィン山頂角δ1が5〜30°、第1フィン根元半径r1が第1溝深さh1(0.10〜0.35mm)の1/10〜1/3がさらに好ましい。このことにより、リターンベンド管1において、冷媒の旋回流がより一層維持され、冷媒の圧力損失がより一層小さくなる。その結果、熱交換器20(図2、図3参照)の伝熱性能がより一層向上する。
また、図1に示すように、リターンベンド管1の管本体部1aを以下のように規制することによっても、リターンベンド管1が組み込まれる熱交換器としての伝熱性能(特に凝縮性能)を向上させることができる。
(管本体部)
リターンベンド管1の管本体部1aは、その足長さLがピッチPの1.0〜1.5倍であることが好ましい。足長さLがピッチPの1.0倍未満であると、足長さLが短く、リターンベンド管1の製造時の曲げ(図1においてはU字状)による変形影響が残り、冷媒の旋回流による伝熱性能の改善効果が小さくなる。また、足長さLがピッチPの1.5倍を超えると、足長さLが長く、リターンベンド管1での冷媒の圧力損失が増加すると共に、ヘアピン管11との接合(ろう付け)の際の熱入力を増加させる必要があり、リターンベンド管1の管強度が低下しやすく、また、熱交換器20の質量が増加しやすい。なお、足長さLは、U字形状の管本体部1aにおいて、管端と曲げ先端部の管外面との距離である。また、ピッチPは、U字形状の管本体部1aにおいて、両管端中心間の距離である。
また、管本体部1aは、耐熱銅合金からなることがより好ましい。従来、ヘアピン管11およびリターンベンド管1共にりん脱酸銅が用いられ、管端を拡管したヘアピン管11にリターンベンド管1を一定長さだけ挿入し、ヘアピン管11の管端において、例えば、りん銅ろうなどの硬ろう付けにより接合される(図2〜図4参照)。ろう付け温度は800〜900℃程度になり、熱交換器20の使用中の管内部の圧力によりリターンベンド管1の熱影響部で管が破壊しやすくなる。管本体部1aに成形加工性がよく、ろう付け温度加熱後もりん脱酸銅より強度が高い耐熱銅合金を用いることにより、管破壊をより一層防止することが可能となる。耐熱銅合金としては、例えば、850℃加熱後も室温において40N/mm2以上の0.2%耐力を有するCu−Sn−P系、Cu−Sn−Zn−P系等の銅合金が好ましい。なお、ヘアピン管11としてもリターンベンド管1と同一材質の耐熱銅合金管を用いてもよい。
さらに、管本体部1a(リターンベンド管1)を耐熱銅合金で製造し、かつ、図4〜図6に示すように、管本体部1aは、その第1管肉厚T1と、ヘアピン管11の第2管肉厚T2とが、T1≦T2の関係になるように製造されることが好ましい。第1管肉厚T1が第2管肉厚T2より厚いと、リターンベンド管1とヘアピン管11との接合部において、冷媒の流通の障害となる管肉厚の段差が生じ、冷媒の圧力損失が大きくなり、蒸発性能が低下する。管本体部1aの形状は、例えば、図1に示すように、U字状の曲げ部を有した形状であることが一般的である。この曲げ部においては、冷媒の圧力損失が非常に大きいため、耐熱銅合金を用いて第1管肉厚T1を薄肉化することは、冷媒の圧力損失の増加を抑制する大きな因子となる。
(2)ヘアピン管
次に、本発明のリターンベンド管1と共に、熱交換器20を構成するヘアピン管11について説明する。図6に示すように、ヘアピン管11は、管内面に多数の第2溝12が形成され、第2溝12の内面溝形状を以下のように規制することが好ましい。また、ヘアピン管11は、空調機器用の伝熱管としては4〜10mmの管が主流であるため、その管外径D2が4〜10mmの管を用いることが好ましい。さらに、ヘアピン管11の材質としては、成形加工性が優れたりん脱酸銅が好ましく、りん脱酸銅よりも耐熱性に優れた耐熱銅合金を用いてもよい。
(第2溝リード角:図4参照)
第2溝リード角θ2は、15〜45°であることが好ましい。第2溝リード角θ2が15°未満の場合には、熱交換器20(図2参照)の伝熱性能が低下しやすい。また、第2溝リード角θ2が45°を超える場合には、転造加工により管内面に第2溝12を形成する際の速度が極端に低下しやすく、安定して長尺のヘアピン管11の製造がしにくい。
(第2溝深さ)
第2溝深さh2は、0.10〜0.35mmであることが好ましい。第2溝深さh2が0.10mm未満の場合には、管内面の第2溝12間に形成された第2フィン13が、管内面における作動冷媒の液面より低くなり、前記冷媒に埋没する。そのため、管内面の有効伝熱面積が著しく減少し、伝熱性能が低下しやすい。また、第2溝深さh2が0.35mmを超える場合には、管内面に第2溝12を成形する際に、溝成形用工具(例えば、溝付プラグ)が破損しやすく、管内面に安定して第2溝12を成形しにくい。
(第2管肉厚)
第2管肉厚T2は、0.20〜0.30mmであることが好ましい。第2管肉厚T2が0.20未満の場合には、ヘアピン管11の管強度が低く、熱交換器20の使用中に管破壊を生じやすくなる。また、第2管肉厚T2が0.30mmを超える場合には、ヘアピン管11の質量が増加し、熱交換器20の軽量化が難しくなる。
(第2フィン山頂角)
第2フィン山頂角δ2は、5〜30°であることが好ましい。第2フィン山頂角δ2が5°未満の場合には、ヘアピン管11を空調機器用の熱交換器20に組み込む際の拡管時(図示せず)に、第2フィン13の倒れやつぶれが生じやすい。また、第2フィン13形成のために管内面に第2溝12を成形する際に、溝成形用工具が破損しやすく、管内面に安定して第2溝12を成形しにくい。また、第2フィン山頂角δ2が30°を超えた場合には、第2溝12の断面積が著しく小さくなり伝熱性能が低下しやすい。また、第2フィン13の断面積(ヘアピン管11の第2管肉厚T2)が大きくなり、ヘアピン管11の質量が増加し、熱交換器20の軽量化が難しくなる。
(第2フィン根元半径)
第2フィン根元半径r2は、第2溝深さh2の1/10〜1/3とすることが好ましい。第2フィン根元半径r2が溝深さh2の1/10未満である場合には、第2フィン13が高くなった場合に第2フィン13(第2溝12)の成形性が悪くなり、所定形状の第2フィン13が得られ難く、また管内面の第2溝12の根元に当接する溝成形用工具に破損が発生しやすくなる。また、1/3を超える場合には、第2フィン13の断面積が大きくなり、ヘアピン管11の第2管肉厚T2が増加して、ヘアピン管11の質量が増加する。
(3)リターンベンド管およびヘアピン管の製造方法
次に、リターンベンド管およびヘアピン管の製造方法について説明する。リターンベンド管およびヘアピン管の両者は、例えば、従来公知の以下の製造方法によって製造される。下記の第1の工程を適用する素管には、通常、軟質材を用いる。また、下記の第1〜第3の工程は、前段および後段に縮径装置を備えた転造装置を用いて連続して行う。第3の工程の第3の縮径加工後、通常、内面溝付管をレベルワウンドコイルに巻き上げ、焼鈍炉で焼鈍して軟質材とし、第4の工程を適用してリターンベンド管およびヘアピン管を製造する。
(第1の工程)
りん脱酸銅または耐熱銅合金等の素材で構成された素管を、縮径ダイスと縮径プラグの間を通過するように引抜くことにより、素管に第1の縮径加工を施す。
(第2の工程)
第1の工程で縮径された前記素管の内部に溝付プラグを挿入し、複数個の転造ボールまたは転造ロールで素管内に挿入された溝付プラグを押圧することにより、素管に第2の縮径加工を施す。同時に、縮径された素管の管内面に、溝付プラグの溝形状が転写され、らせん状の第1溝2または第2溝12(図4参照)が形成される。ここで、溝付プラグは、前記した内面溝形状(図5、図6参照)に対応した溝形状を有する。
(第3の工程)
第2の工程で管内面にらせん状の第1溝2または第2溝12が形成された素管を、整形ダイスで引抜くことにより、第3の縮径加工を施し、管外径D1または管外径D2の内面溝付伝熱管を製造する。
(第4の工程)
第3の工程で製造された内面溝付管に、所定治具で曲げ加工を施し、所定形状のリターンベンド管1およびヘアピン管11(図1、図2参照)を製造する。
(4)フィンアンドチューブ型熱交換器
次に、本発明の熱交換器について説明する。図2、図3(a)、(b)、(c)に示すように、熱交換器20は、管内部に冷媒が供給され、多数のヘアピン管11、11・・・が所定の曲げピッチPaで並列されたヘアピン部23と、ヘアピン部23の各々のヘアピン管11、11・・・の管端部に接合された多数のリターンベンド管1、1・・・が並列されたリターンベンド部22と、ヘアピン管11の外表面に一定間隔(フィンピッチPb)で並列された多数のフィン21a、21a・・・からなるフィン部21とを有する。このような構成により、多数のヘアピン管11、11・・・がリターンベンド管1、1・・・を介して複数段に直列に連結され、熱交換器20が長い有効伝熱管長(冷媒流路)を有することとなる。また、図3(b)に示すように、ヘアピン管11を所定の列方向ピッチPcで複数列に配置してもよい。さらに、図3(c)に示すように、熱交換器20の管内部に供給される冷媒は、熱交換器20に送風される空気の流れに対して、冷媒凝縮時には同一方向、冷媒蒸発時には逆方向に流される。
そして、リターンベンド部22の少なくとも一部が、前記した管内面に多数のらせん状の第1溝2(第5図参照)が形成されたリターンベンド管1で構成されている。このように構成することにより、熱交換器20での凝縮性能を向上させ、かつ、蒸発性能の低下を小さくすることが可能となる。また、リターンベンド管1の内面溝形状、例えば、第1溝リード角θ1(図4参照)、第1溝深さh1等(図5参照)を、熱交換器20の冷媒の流れ(上流または下流)を考慮して、場所により変化させてもよい。さらに、冷媒の圧力損失を考慮して、リターンベンド部22の少なくとも一部に、平滑管で構成されたリターンベンド管を用いてもよい。
また、本発明の冷媒流路が分岐されない熱交換器20(1パス型熱交換器、図3(c)参照)では、リターンベンド管1による冷媒の旋回流維持の効果の最適ポイントが冷媒循環量の大きな領域にあるため、高風速域(高冷媒循環量)では、冷媒の旋回流が維持され、第1溝2(図5参照)の溝突起の液面からの露出が多くなるため、凝縮性能が向上する。また、低風速域(低冷媒循環量)においても、冷媒の旋回流が維持され、冷媒の攪拌が促進されるため、蒸発性能が向上する。
また、本発明の熱交換器は、ヘアピン管およびリターンベンド管から構成された冷媒流路の少なくとも一部が分岐され、複数の冷媒流路を形成するものであってもよい。例えば、図7(a)、(b)に示すように、冷媒流路全体が分岐された2パス型熱交換器20A、冷媒流路の一部が分岐された部分2パス型熱交換器20Bが挙げられる。ここで、図7(a)、(b)では、冷媒流路が2流路(冷媒流路Aおよび冷媒流路B)に分岐されているが、2流路に限定されず、3流路以上に分岐されたものであってもよい。また、分岐された冷媒流路(冷媒流路Aおよび冷媒流路B)が、さらに複数の冷媒流路に分岐されるものであってもよい。さらに、図7(b)の部分2パス型熱交換器20Bでは、分岐部が1箇所であるが、2箇所以上であってもよい、すなわち、図3(c)に示した前記1パス型熱交換器20に、複数の2パス型熱交換器20Aを結合したものであってもよい。
図7に示すような本発明の冷媒流路が分岐された熱交換器20A(2パス型熱交換器)、20B(部分2パス型熱交換器)では、前記の1パス型熱交換器20(図3(c)参照)と同様に、冷媒の旋回流の維持により凝縮性能および蒸発性能が向上する。さらに、冷媒流路が分岐された熱交換器20A、20Bでは、複数の冷媒流路(冷媒流路Aおよび冷媒流路B)が形成されることによって、冷媒流路(冷媒流路Aまたは冷媒流路B)を構成する並列されたヘアピン管およびリターンベンド管の段数が、前記の1パス型熱交換器20と比べると減少する(図3(c)、図7では12段から6段に減少している)。これにより、冷媒の圧力損失が小さくなり、蒸発性能がより一層向上する。
しかしながら、冷媒の凝縮時には、冷媒が二相状態から液相状態へ変化するに従い、冷媒密度は大幅に増加するため、冷媒の重力が冷媒流量に影響を与える。そのため、冷媒流路が分岐された熱交換器20A(2パス型熱交換器)、20B(部分2パス型熱交換器)では、冷媒上流側では冷媒の重力の影響が小さいが、冷媒下流側では冷媒の重力の影響が大きくなる。そして、冷媒下流側で下降する冷媒流路Aでは、冷媒の重力によって、冷媒の駆動が促進され、冷媒流量が増加する。相対的に、冷媒下流側で上昇する冷媒流路Bでは、冷媒の重力によって、冷媒の駆動が阻害され、冷媒流量が低下する。この冷媒流路A、B間の冷媒流量差は、高冷媒循環量において大きくなる。したがって、冷媒流路の分岐のない前記の1パス型熱交換器20では高風速域(高冷媒循環量)で凝縮性能が向上する傾向にあるが、冷媒流路が分岐された熱交換器20A、20Bでは高風速域(高冷媒循環量)で凝縮性能が低下する傾向にある。
そのため、本発明のリターンベンド管1を、最近の熱交換器の主流である部分二パス型熱交換器に適用するのが最も効果的である。この型の熱交換器においては、ヘアピン管11およびリターンベンド管1で構成された冷媒流路が、冷媒凝縮時は1本でスタートして途中で2分岐されるので、冷媒循環量の大きい部位を有することになる。また、冷媒蒸発時においては、2本でスタートして途中で1本となるので、冷媒循環量の小さい部位を有することになる。
また、本発明の熱交換器20に使用される冷媒は、ハイドロフルオロカーボン(HFC)系冷媒であって、非共沸混合冷媒である、例えば、R410系が好ましい。HFC系の非共沸混合冷媒の使用により、熱交換器20の伝熱性能が向上し、また、冷媒の圧力損失も小さくなる。さらに、R410系は伝熱性能に優れるが、運転圧力が高いため、コンプレッサーが大型化しやすい。したがって、伝熱性能はR410系より少し低下するが、運転圧力がR410系よりも低い、R407系を、本発明の冷媒として使用してもよい。
(実施例1)
以下、本発明の実施例について、具体的に説明する。
先ず、耐熱銅合金(Cu−Sn−P系:0.65質量%Sn、0.025質量%P、残部がCu)を溶解し、鋳造し、熱間押出し、冷間圧延し、冷間抽伸加工を施して素管を作製した。次に、前記素管を焼鈍後、第1の縮径加工を施し、縮径された素管に前記内面溝形状のらせん溝を形成しながら第2の縮径加工を施し、らせん溝が形成された素管に第3の縮径加工、焼鈍を施して、外径(管外径D1)7mmの供試管(リターンベンド管用)を作製した。また、JISH3300に規定された合金番号C1220のりん脱酸銅を用いて、同様な作製方法で外径(管外径D2)7mmの供試管(ヘアピン管用)を作製した。各供試管(リターンベンド管用およびヘアピン管用)の内面溝形状を表1に示す。
次に、前記各供試管を用いて、図2、図3(a)、(b)に示すフィンアンドチューブ型熱交換器(1パス型熱交換器)20を作製した。まず、供試管(ヘアピン管用)を、その中央部で所定の曲げピッチPaでヘアピン状に曲げ加工して複数のヘアピン管11を作製した。つぎに、複数本のヘアピン管11を、所定の間隔(フィンピッチPb)をおいて相互に平行に配置された複数枚のフィン21aに挿通した。そして、銅管(ヘアピン管11)の外径基準による拡管率が105.5%となるようなビュレットをヘアピン管11内に挿入して、縮み方式拡管機で拡管して、フィン21aとヘアピン管11を接合した。つぎに、供試管(リターンベンド管用)を、所定の足長さLおよびピッチP(図1参照)で曲げ加工して複数のリターンベンド管1を作製した。そして、隣接する拡管後のヘアピン管11の管端に、その外面にりん銅ろうのリングを付けたリターンベンド管1を装着し、両者の管内に酸化防止のための窒素ガスを流しながら、バーナーにより、両者の管を加熱ろう付けして熱交換器20を作製した。なお、熱交換器20の仕様は以下の通りとした。
(熱交換器20)
外形は、長さ500mm×高さ250mm×幅25.4mmとした。
(ヘアピン管11)
2列12段(曲げピッチPa21mm、列方向ピッチPc13.4mm)に配置した(拡管前の足長さLaは約535mmであった)。
(リターンベンド管1)
足長さL=22.5mm、ピッチP=21.0mmとした(図1参照)。
(フィン21a)
JISH4000に規定された合金番号1N30のアルミニウムからなる板材で、板材の表面を樹脂で被覆したものである。また、フィン21aの厚さは110μmとした。そして、410枚のフィン21aをフィンピッチPb1.25mmで平行に配置した。
この熱交換器(1パス型熱交換器)20を用いて、伝熱性能(蒸発性能、凝縮性能)、圧力損失をJISC9612に基いて測定し、その結果を表2に示した。ここで、蒸発性能および凝縮性能は、各々伝達率を測定し記載した。また、圧力損失は、熱交換器の蒸発時の入口、出口の圧力差として測定し記載した。なお、表2の各測定値は、後記する比較例1を1とした場合の比率として記載した。
(比較例1、2)
表1に示すように、比較例1は、前記供試管(リターンベンド管)として、管内面にらせん溝を形成せず、第1管肉厚T1が前記供試管(ヘアピン管)の第2管肉厚T2より厚肉化された平滑管を使用したこと、また、前記供試管(ヘアピン管)として、第2フィンの根元のR取り(第2フィン根元半径r2)を行わない内面溝付管を使用したこと以外は実施例1と同様とした。比較例2は、前記供試管(リターンベンド管)として、管内面のらせん溝の第1溝リード角θ1の方向が、前記供試管(ヘアピン管)の管内面のらせん溝の第2溝リード角θ2の方向と異なる内面溝付管を使用したこと以外は実施例1と同様とした。そして、実施例1と同様に熱交換器(1パス型熱交換器)20を作製し、伝熱性能(蒸発性能、凝縮性能)、圧力損失を測定し、その結果を表2に示した。なお、表2の各測定値は、比較例1を1とした場合の比率として記載した。
(実施例2)
表1に示すように、実施例1と同様な供試管(ヘアピン管、リターンベンド管)を使用し、実施例1と同様にして、図7(a)に示すフィンアンドチューブ型熱交換器(2パス型熱交換器)20Aを作製した。なお、冷媒流路A、Bのヘアピン管11の段数は2列6段とした。そして、伝熱性能(蒸発性能、凝縮性能)、圧力損失を測定し、その結果を表2に示した。また、表2の各測定値は、後記する比較例3を1とした場合の比率として記載した。さらに、圧力損失の括弧内の数値は、前記した実施例1を1とした場合の比率を記載した。
(比較例3)
表1に示すように、比較例1と同様な供試管(ヘアピン管、リターンベンド管)を使用し、実施例2と同様にして、図7(a)に示すフィンアンドチューブ型熱交換器(2パス型熱交換器)20Aを作製した。そして、伝熱性能(蒸発性能、凝縮性能)、圧力損失を測定し、前記したように実施例2の対照値とした。
また、図8(a)に伝熱性能および圧力損失を測定する測定装置の模式図を示す。図8(a)に示すように、測定装置は、恒温恒湿機能付きの吸引型風洞100、冷媒供給装置110(図8(b)参照)及び空調機(図示せず)からなる。この吸引型風洞100においては、空気流入口108から流入されて空気排出口109から排出される空気の流通経路に熱交換器20(20A、20B)が配置され、この熱交換器20(20A、20B)の上流側および下流側に夫々エアーサンプラ101、102が配置されている。このエアーサンプラ101、102には夫々温湿度計測箱103、104が連結されている。この温湿度計測箱103、104は夫々エアーサンプラ101、102により採取された空気の乾球温度および湿球温度を測定することにより、この空気の温度及び湿度を測定するものである。また、エアーサンプラ102の下流側には誘引ファン105が設けられ、空気排出口109に空気を排出している。また、熱交換器20(20A、20B)とエアーサンプラ102との間、およびエアーサンプラ102と誘引ファン105との間には、熱交換器20(20A、20B)を通過した空気を整流する整流器106、106が設けられている。
また、図8(b)に冷媒供給装置110の模式図を示す。図8(b)において、107は冷媒配管、111はサイトグラス、112は液(冷媒)加熱および冷却用熱交換器、113はドライヤー、114は受液(冷媒)器、115は溶栓、116は凝縮器、117はオイルセパレータ、118はコンプレッサー、119はアキュームレータ、120は蒸発器、121は膨張弁、122は流量計である。そして、冷媒配管107を通じて、吸引型風洞100内に備えられた熱交換器20(20A、20B)のヘアピン管11(図2参照)の内部に、圧力および温度を調節した冷媒が供給される。また、熱交換器20(20A、20B)の入口及び出口には、冷媒の温度および圧力を測定する圧力計123(温度は測定圧力相当飽和温度とする)が設けられている。さらに、空調機(図示せず)は、吸引型風洞100の空気流入口108に温度および湿度が制御された空気を供給するものである。
そして、測定条件は表3に示す通りとし、冷媒としてはR410Aを使用し、熱交換器20(20A、20B)の前面風速を変えて伝熱性能を測定した。また、蒸発性能測定の際の冷媒の流れと、凝縮性能測定の際の冷媒の流れとは、互いに異なる方向とした(図8(b)に示す冷媒供給装置110の冷媒の流れ方向は、蒸発性能測定の際の冷媒の流れ方向を示している)。
Figure 2006098033
Figure 2006098033
Figure 2006098033
表2の結果より、1パス型熱交換器の評価として、実施例1は、リターンベンド管として平滑管を使用した比較例1に比べて、高風速域での凝縮性能が優れ、また、低風速域での蒸発性能が優れていることが確認された。さらに、実施例1の圧力損失は、比較例1に比べて若干増加しているが、熱交換器として実用上問題となる大きな圧力損失ではないことが確認された。
リターンベンド管の第1溝方向がヘアピン管の第2溝方向と逆方向である比較例2は、高風速域での蒸発性能がわずかに実施例1より優れるが、他の風速域では圧力損失が実施例1より増加したため、実施例1より蒸発性能が劣ることが、また、凝縮性能が全ての風速域で実施例1より劣ることが確認された。
また、2パス型熱交換器の評価として、実施例2は、リターンベンド管として平滑管を使用した比較例3に比べて、低風速域での凝縮性能および蒸発性能が優れていることが確認された。そして、実施例2の圧力損失は、比較例3に比べて若干増加しているが、熱交換器として実用上問題となる大きな圧力損失ではないこと、また、実施例1の圧力損失に比べて大きく低下していることが確認された。
本発明に係るリターンベンド管の構成を示す斜視図である。 本発明に係るリターンベンド管を組み込んだフィンアンドチューブ型熱交換器の構成を示す一部破断正面図である。 (a)は図2の熱交換器をリターンベンド管側から見た斜視図、(b)は熱交換器をヘアピン管側から見た斜視図、(c)は熱交換器内の冷媒の流れを概略的に示す模式図である。 ヘアピン管とリターンベンド管との接合部を管軸方向に切断したときの拡大断面図である。 (a)はリターンベンド管の管軸直交断面図、(b)は(a)の一部拡大断面図である。 (a)はヘアピン管の管軸直交断面図、(b)は(a)の一部拡大断面図である。 (a)、(b)は本発明に係る他の実施形態の熱交換器内の冷媒の流れを概略的に示す模式図である。 (a)は熱交換器の伝熱性能、圧力損失を測定する際に使用する吸引型風洞の模式図、(b)は(a)の吸引型風洞に冷媒を供給する冷媒供給装置の模式図である。
符号の説明
1 リターンベンド管
1a 管本体部
2 第1溝
3 第1フィン
11 ヘアピン管
12 第2溝
13 第2フィン
20、20A、20B 熱交換器
21 フィン部
21a フィン
22 リターンベンド部
23 ヘアピン部
θ1 第1溝リード角
θ2 第2溝リード角
1 第1溝深さ
2 第2溝深さ
1 第1管肉厚
2 第2管肉厚

Claims (9)

  1. 管内部に冷媒が供給され、ヘアピン管と、前記ヘアピン管の管端に接合された管本体部を有するリターンベンド管と、前記ヘアピン管の外表面に一定間隔で並列された多数のフィンとを備えるフィンアンドチューブ型熱交換器のリターンベンド管において、
    前記リターンベンド管は、管本体部と管本体部の内面に形成された多数のらせん状の第1溝とを備え、
    前記第1溝と管軸とがなす第1溝リード角の方向が、前記ヘアピン管の管内面に形成されたらせん状の第2溝と管軸とがなす第2溝リード角と同一方向であることを特徴とするリターンベンド管。
  2. 前記第1溝の第1溝リード角(θ1)と、前記第2溝の第2溝リード角(θ2)とが、
    (θ1)≦(θ2)の関係であることを特徴とする請求項1に記載のリターンベンド管。
  3. 前記第1溝の第1溝深さ(h1)と、前記第2溝の第2溝深さ(h2)とが、
    (h1)≦(h2)の関係であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリターンベンド管。
  4. 前記管本体部は、その足長さ(L)がピッチ(P)の1.0〜1.5倍であることを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載のいずれか一項に記載のリターンベンド管。
  5. 前記管本体部は、耐熱銅合金からなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のリターンベンド管。
  6. 前記管本体部の第1管肉厚(T1)と、前記ヘアピン管の第2管肉厚(T2)とが、(T1)≦(T2)の関係であることを特徴とする請求項5に記載のリターンベンド管。
  7. 管内部に冷媒が供給され、多数のヘアピン管が並列されたヘアピン部と、前記ヘアピン部の各々のヘアピン管端部に接合された多数のリターンベンド管が並列されたリターンベンド部と、前記ヘアピン管の外表面に一定間隔で並列された多数のフィンからなるフィン部とを有するフィンアンドチューブ型熱交換器であって、
    前記リターンベンド部の少なくとも一部が、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のリターンベンド管であることを特徴とするフィンアンドチューブ型熱交換器。
  8. 前記ヘアピン管および前記リターンベンド管から構成された冷媒流路は、その少なくとも一部が分岐され、複数の冷媒流路を形成することを特徴とする請求項7に記載のフィンアンドチューブ型熱交換器。
  9. 前記冷媒は、ハイドロフルオロカーボン系の非共沸混合冷媒であることを特徴とする請求項8に記載のフィンアンドチューブ型熱交換器。
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