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JP2006086157A - 光電変換膜、光電変換素子、及び撮像素子、並びに、これらに電場を印加する方法 - Google Patents

光電変換膜、光電変換素子、及び撮像素子、並びに、これらに電場を印加する方法 Download PDF

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JP2006086157A
JP2006086157A JP2004266426A JP2004266426A JP2006086157A JP 2006086157 A JP2006086157 A JP 2006086157A JP 2004266426 A JP2004266426 A JP 2004266426A JP 2004266426 A JP2004266426 A JP 2004266426A JP 2006086157 A JP2006086157 A JP 2006086157A
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JP2004266426A
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Takanori Hioki
孝徳 日置
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

【課題】吸収の半値幅が狭く色再現に優れ、さらに、光電変換効率が高い光導電膜、光電変換素子、及び撮像素子(好ましくはカラーイメージセンサー)等を提供する。
【解決手段】少なくとも一つのメチン色素化合物(好ましくはシアニン色素、ロダシアニン色素であり、さらに好ましくはシアニン色素である)を含む光電変換膜、光電変換素子、及び撮像素子、並びに、これらに電場を印加する方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光電変換膜、該光電変換膜を有する光電変換素子、及び固体撮像素子、並びに、これらに電場を印加する方法に関する。
光電変換膜は、例えば光センサ等に広く利用され、特に、テレビカメラ等の撮像装置(固体撮像装置)の固体撮像素子(受光素子)として好適に用いられている。撮像装置の固体撮像素子として用いられる光電変換膜の材料としては、Si膜やa−Se膜等の無機材料の膜が主に用いられている。
これら無機材料の膜を用いた従来の光電変換膜は、光電変換膜特性に対して急峻な波長依存性を持たない。このため、光電変換膜を用いた撮像装置は、入射光を赤、緑、青の三原色に分解するプリズムと、プリズムの後段に配置される3枚の光電変換膜とを備えた3板構造のものが主流となっている。
しかしながら、この3板式構造の撮像装置は、構造上、寸法および質量がともに大きくなることを避けることができない。
撮像装置の小型軽量化を実現するには、分光プリズムを設ける必要がなく、受光素子が1枚である単板構造のものが望まれ、例えば、単板受光素子に赤、緑、青のフィルタを配置した構造の撮像装置が検討され、光電変換膜の材料として、種類および特性が多様であり、また、加工形状の自由度が大きい等の利点を有する有機材料を用いることも検討されて、光感度(感度)を高めた光電変換膜、それを用いた受光素子が特開2003−158254号公報に記載されている。この文献では、p型半導体、n型半導体として、有機材料を用いているが、同公報の実施例では、p型有機材料としてポリメチルフェニルシラン(PMPS)、n型有機材料として8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体(Alq3)を用い、有機色素であるクマリン6を上記PMPS 100質量部に対して5.0質量部添加した例が記載されているのみであり、又同公報の好適な実施の形態の項における記載も有機色素は光電変換膜を構成するp型またはn型有機材料100質量部に対して0.1〜50質量部用いることが好ましいと記載されているのみで、有機色素をp型またはn型有機材料として用いることの記載ない。
また、撮像装置の小型軽量化を実現するには、分光プリズムを設ける必要がなく、受光素子が1枚である単板構造のものとして、低解像度の積層型光電変換膜が特開2003−234460号公報に記載されている。この文献には、例えば、好ましい積層型光電変換膜は、光の三原色のうちのいずれか1色の波長の光を吸収する機能を有する光電変換膜と、他の1色の波長の光を吸収する機能を有する光電変換膜と、残りの1色の光を吸収する機能を有する光電変換膜とを積層することで、高い、感度および解像度を有するカラ−画像を得ることができると記載されている。
しかしながら、同公報の実施例では、500nm以下の青色領域全般に光感度を有するクマリン6/ポリシラン膜及び、赤色領域とともに青色領域にも吸収領域を有するZnPc/Alq3膜を光電変換膜として用い、クマリン6/ポリシラン膜のフィルタ機能により、600〜700nmを中心とする略赤色領域全般のみに光感度を有する光電変換膜を記載しているのみである。
また、特開2003−332551号公報には前記特開2003−234460号公報と同様な積層型光電変換膜が記載されている。しかし、上記の特許文献1〜3には、本発明の色素が好ましい性能を与えることについては記載がない。また、本発明の好ましい色素は具体的に記載されていない。
特開2003−158254号公報 特開2003−234460号公報 特開2003−332551号公報
本発明の目的は、吸収の半値幅が狭く色再現に優れ、さらに、光電変換効率が高い光導電膜、光電変換素子、及び撮像素子(好ましくはカラーイメージセンサー)を提供することである。
本発明は下記の解決手段により解決される。
(1) 有機p型半導体と有機n型半導体の有機pn接合を有する光電変換膜において、少なくとも一種のメチン色素化合物を含むことを特徴とする光電変換膜。
(2) 前記メチン色素化合物がシアニン色素、又はロダシアニン色素であることを特徴とする(1)記載の光電変換膜。
(3) 前記メチン色素化合物がp型半導体であることを特徴とする(1)または(2)に記載の光電変換膜。
(4) 前記メチン色素化合物が、下記一般式(A)で表されるシアニン色素であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の光電変換膜。
一般式(A)
Figure 2006086157
式(A)中、L101、L102、L103、L104、L105、L106、及びL107 は各々独立にメチン基を表す。p101、及びp102は各々独立に0または1を表す。n101は0、1、2、3または4を表す。Z101及びZ102は各々独立に含窒素複素環を形成するために必要な原子群を表す。ただし、これらに環が縮環していても置換基を有していても良い。M101は電荷均衡対イオンを表し、m101は分子の電荷を中和するのに必要な0以上の数を表す。R101及びR102は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。
(5) 前記メチン色素化合物が、J会合体を形成していることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の光電変換膜。
(6) 前記メチン色素化合物の層の厚みが、30nm以上300nm以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の光電変換膜。
(7) (1)〜(6)のいずれかに記載の光電変換膜とそれを挟む一対の電極とを含む光電変換素子。
(8) (7)記載の光電変換素子を含む撮像素子。
(9) (7)に記載の光電変換素子を2層以上積層したことを特徴とする(8)に記載の撮像素子。
(10) (9)に記載の2層以上の光電変換素子が、青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の3層を含むことを特徴とする(9)に記載の撮像素子。
(11) (10)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光吸収極大値を各々λmax1,λmax2,λmax3としたとき、λmax1が400nm以上500nm以下、λmax2が500nm以上600nm以下、λmax3が600nm以上700nm以下の範囲にあることを特徴とする(10)に記載の撮像素子。
(12) (10)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光感度極大値を各々Smax1,Smax2,Smax3としたとき、Smax1が400nm以上500nm以下、Smax2が500nm以上600nm以下、Smax3が600nm以上700nm以下の範囲にあることを特徴とする(10)に記載の撮像素子。
(13) (10)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大吸収の50%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、120nm以下であることを特徴とする(10)に記載の撮像素子。
(14) (10)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大感度の50%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、120nm以下であることを特徴とする(10)に記載の撮像素子。
(15) (10)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大吸収の80%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、20nm以上で100nm以下であることを特徴とする(10)に記載の撮像素子。
(16) (10)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大感度の80%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、20nm以上で100nm以下であることを特徴とする(10)に記載の撮像素子。
(17) (10)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大吸収の20%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、180nm以下であることを特徴とする(10)に記載の撮像素子。
(18) (10)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大感度の20%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、180nm以下であることを特徴とする(10)に記載の撮像素子。
(19) (10)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光極大吸収の50%を示す最も長波長が、各々、460nm以上510nm以下、560nm以上610nm以下、640nm以上730nm以下であることを特徴とする(10)に記載の撮像素子。
(20) (10)に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光極大感度の50%を示す最も長波長が、各々、460nm以上510nm以下、560nm以上610nm以下、640nm以上730nm以下であることを特徴とする(10)に記載の撮像素子。
(21) (1)〜(20)に記載の光電変換膜、光電変換素子、または撮像素子に10V/m以上1×1012V/m以下の電場を印加する方法。
本発明の光導電膜、光電変換素子、及び撮像素子は吸収の半値幅が狭く色再現に優れ、さらに、光電変換効率がいという効果があるが、BGR3層積層型固体撮像素子においては、それ以外にも下記の特徴がある。
3層構造のため、モアレの発生がなく、光学ローパスフィルターが不要のため解像度が高く、色にじみがない。また信号処理が単純で、擬信号が発生しない。更に、CMOSの場合には、画素混合が容易で、部分読みが容易である。
開口率100%、マイクロレンズ不要のため、撮像レンズに対する射出瞳距離制限がなく、シェーデングがない。従ってレンズ交換カメラに適し、この際レンズの薄型化が可能になる。
マイクロレンズがないため、接着剤充填でガラス封止が可能となり、パッケージの薄型化、歩留まりが上昇し、コストダウンになる。
メチン色素使用のため、高感度が得られ、IRフィルター不要で、フレアが低下する。
本発明においてはメチン色素化合物を用いる。これらはp型有機色素、n型有機色素のいずれとして用いても良いが、好ましくはp型色素として用いる場合である。メチン色素(化合物)としては、いかなるものを用いても良いが、好ましくは、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素(ゼロメチンメロシアニン(シンプルメロシアニン)を含む)、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、アリーリデン色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、及び、ロダシアニン色素であり、特に好ましくはシアニン色素である。
これらのメチン色素化合物の詳細については、下記の色素文献に記載されている。
[色素文献]
エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社ーニューヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topics in heterocyclic chemistry)」、第18章、第14節、第482から515頁、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons) 社−ニューヨーク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977刊、第15章、第369から422頁、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、など。
本発明において好ましく用いることができるシアニン色素として好ましくは、前記一般式(A)で表される場合である。
また、本発明において好ましく用いることができるロダシアニン色素として好ましくは、下記一般式(B)で表される場合である。
一般式(B)
Figure 2006086157
式(B)中、L112、L113、L114、L115、L116、L117、L118、L119及びL120は各々独立にメチン基を表す。p104及びp105は0又は1を表す。q102 は0又は1を表わす。n103及びn104は0、1、2、3又は4を表す。Z105 、及びZ107は各々独立に含窒素複素環を形成するために必要な原子群を表す。Z106とZ106’は(N−R106)q102と一緒になって環を形成するために必要な原子群を表す。ただし、Z105、Z106とZ106’、及びZ107に環が縮環していても置換基を有していても良い。M103は電荷均衡対イオンを表し、m103は分子の電荷を中和するのに必要な0以上の数を表す。R105、R106、及びR107は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。
一般式(A)及び一般式(B)で表される色素のうち、一般式(A)で表される色素の方がより好ましい。
以下で、一般式(A)及び一般式(B)で表される色素について詳細に説明する。
本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分はそれ自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。また、本発明における化合物に使用できる置換基は、どのような置換基でも良い。
このような置換基をWとすると、Wで示される置換基としては、いかなるものでも良く、特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基と言っても良い)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(-B(OH)2)、ホスファト基(-OPO(OH)2)、スルファト基(-OSO3H)、その他の公知の置換基、が例として挙げられる。
更に詳しくは、Wは、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)はこのような概念のアルキル基を表すが、さらにアルケニル基、アルキニル基も含むこととする。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)]、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、複素環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族の複素環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル、なお、1−メチル−2−ピリジニオ、1−メチル−2−キノリニオのようなカチオン性の複素環基でも良い。)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アンモニオ基(好ましくはアンモニオ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキル、アリール、ヘテロ環が置換したアンモニオ基、例えば、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、ジフェニルメチルアンモニオ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、ホスフォ基、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)、ヒドラジノ基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のヒドラジノ基、例えば、トリメチルヒドラジノ)、ウレイド基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のウレイド基、例えばN,N−ジメチルウレイド)、を表わす。
また、2つのWが共同して環(芳香族、又は非芳香族の炭化水素環、又は複素環。これらは、さらに組み合わされて多環縮合環を形成することができる。例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環、が挙げられる。)を形成することもできる。
上記の置換基Wの中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、−CONHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SO2NHSO2−基(スルフォニルスルファモイル基)、が挙げられる。
より具体的には、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセチルアミノスルホニル)、アリールカルボニルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基)、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル)が挙げられる。
101、Z102、Z105、及びZ107は含窒素複素環、好ましくは5又は6員の含窒素複素環を形成するのに必要な原子群を表す。ただし、これらに環が縮環していても良い置換基を有していても良い。環としては、芳香族環、又は非芳香族環のいずれでも、また炭化水素環、又は複素環のいずれでも良い。好ましくは芳香族環であり、例えばベンゼン環、ナフタレン環などの炭化水素芳香族環や、ピラジン環、チオフェン環などの複素芳香族環が挙げられる。置換基としては前述のWが挙げられる。
含窒素複素環として、具体的にはチアゾリン核、チアゾール核、ベンゾチアゾール核、オキサゾリン核、オキサゾール核、ベンゾオキサゾール核、セレナゾリン核、セレナゾール核、ベンゾセレナゾール核、テルラゾリン核、テルラゾール核、ベンゾテルラゾール核、3,3−ジアルキルインドレニン核(例えば3,3−ジメチルインドレニン)、イミダゾリン核、イミダゾール核、ベンゾイミダゾール核、ピロリン核、2−ピリジン核、4−ピリジン核、2−キノリン核、4−キノリン核、1−イソキノリン核、3−イソキノリン核、イミダゾ〔4,5−b〕キノキザリン核、オキサジアゾール核、チアジアゾール核、ピラゾール核、テトラゾール核、ピリミジン核などを挙げることができるが、好ましくはベンゾチアゾール核、ベンゾオキサゾール核、3,3−ジアルキルインドレニン核(例えば3,3−ジメチルインドレニン)、ベンゾイミダゾール核、2−ピリジン核、4−ピリジン核、2−キノリン核、4−キノリン核、1−イソキノリン核、または3−イソキノリン核が挙げられる。
これらには、前述のWで表される置換基、及び環が置換していても縮合していても良い。好ましいものは、アルキル基、アリール基、芳香族複素環基(好ましくは5員)、アルコキシ基、ハロゲン原子、芳香環縮合、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基である。
101、Z102、Z103、Z105、及びZ107によって形成される複素環の具体例としては、米国特許第5,340,694号第23〜24欄のZ11、Z12、Z13、Z14、及びZ16の例として挙げられているものと同様なものが挙げられる。
101、Z102、Z105、及びZ107として好ましくはベンゾチアゾール核、ベンゾオキサゾール核、3,3−ジアルキルインドレニン核(例えば3,3−ジメチルインドレニン)、またはベンゾイミダゾール核であり、さらに好ましくはベンゾオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、または3,3−ジアルキルインドレニン核であり、特に好ましくはベンゾオキサゾール核、またはベンゾチアゾール核である。これら核上の置換基Wとして、好ましくはハロゲン原子、アリール基、芳香族複素環基(好ましくは5員)、または芳香環縮合であり、特に好ましくは、5員の芳香族複素環基、または2環以上の芳香環縮合である。5員の芳香族複素環基として好ましくは、フラン環、チオフェン環、又はピロール環であり、2環以上の芳香環縮合として好ましくはベンゾフラン環縮合である。これらの置換基、又は縮環としては、前述のWが挙げられる。また、置換位置として好ましくは5位である。
106とZ106’と(N−R106)q102によって形成される環としてはいかなるものでも良いが、好ましくは複素環(好ましくは5又は6員の複素環)である。ここで複素環としてはいかなるものでも良いが、好ましく一般のメロシアニン色素の酸性核からオキソ基、又はチオキソ基を除いたものである。好ましい形においてZ106は−(C=S)−で表されるチオカルボニル基(チオエステル基、チオカルバモイル基等を含む)、−(C=O)−で表されるカルボニル基(エステル基、カルバモイル基等を含む)、−(SO2)−で表されるスルホニル基(スルホン酸エステル基、スルファモイル基等を含む)、−(S=O)−で表されるスルフィニル基、シアノ基、であり、さらに好ましくはチオカルボニル基、カルボニル基である。Z106’は酸性核を形成するために必要な残りの原子群を表す。 q102は0又は1であるが、好ましくは1である。
ここでいう酸性核は、例えばジェイムス(James)編「ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス」(The Theory of the Photographic Process)第4版、マクミラン出版社、1977年、197〜200頁に記載されている。酸性核は、具体的には、米国特許第3、567、719号、第3、575、869号、第3、804、634号、第3、837、862号、第4、002、480号、第4、925、777号、特開平3ー167546号、米国特許第5,994,051号、米国特許5,747,236号などに記載されているものが挙げられる。
酸性核は、炭素、窒素、及び/又はカルコゲン(典型的には酸素、硫黄、セレン、及びテルル)原子からなる複素環(好ましくは5員又は6員の含窒素複素環)を形成するとき好ましく、さらに好ましくは炭素、窒素、及び/又はカルコゲン(典型的には酸素、硫黄、セレン、及びテルル)原子からなる5員又は6員の含窒素複素環を形成するときである。
酸性核として、具体的には、例えば次の核が挙げられる。
2−ピラゾリン−5−オン、ピラゾリジン−3、5−ジオン、イミダゾリン−5−オン、ヒダントイン、2または4−チオヒダントイン、2−イミノオキサゾリジン−4−オン、2−オキサゾリン−5−オン、2−チオオキサゾリジン−2、5−ジオン、2−チオオキサゾリン−2、4−ジオン、イソオキサゾリン−5−オン、2−チアゾリン−4−オン、チアゾリジン−4−オン、チアゾリジン−2、4−ジオン、ローダニン、チアゾリジン−2、4−ジチオン、イソローダニン、インダン−1、3−ジオン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1、1−ジオキシド、インドリン−2−オン、インドリン−3−オン、2−オキソインダゾリニウム、3−オキソインダゾリニウム、5、7−ジオキソ−6、7−ジヒドロチアゾロ[3,2−a]ピリミジン、シクロヘキサン−1、3−ジオン、3、4−ジヒドロイソキノリン−4−オン、1、3−ジオキサン−4、6−ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、クロマン−2、4−ジオン、インダゾリン−2−オン、ピリド[1,2−a]ピリミジン−1、3−ジオン、ピラゾロ[1,5−b]キナゾロン、ピラゾロ[1,5−a]ベンゾイミダゾール、ピラゾロピリドン、1、2、3、4−テトラヒドロキノリン−2、4−ジオン、3−オキソ−2、3−ジヒドロベンゾ[d]チオフェン−1、1−ジオキサイド、3−ジシアノメチン−2、3−ジヒドロベンゾ[d]チオフェン−1、1−ジオキサイドの核。
これらの酸性核には、環が縮環していても、置換基(例えば前述のW)が置換していても良い。
106とZ106’と(N−R106)q102として、特に好ましくは、上記の具体例として挙げた酸性核からオキソ基、又はチオキソ基を除いたものであり、さらに好ましくはヒダントイン、2または4−チオヒダントイン、2−オキサゾリン−5−オン、2−チオオキサゾリン−2、4−ジオン、チアゾリジン−2、4−ジオン、ローダニン、チアゾリジン−2、4−ジチオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸からオキソ基、又はチオキソ基を除いたものであり、特に好ましくは、ヒダントイン、2または4−チオヒダントイン、2−オキサゾリン−5−オン、ローダニン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸からオキソ基、又はチオキソ基を除いたものであり、最も好ましくは2または4−チオヒダントイン、2−オキサゾリン−5−オン、ローダニンからオキソ基、又はチオキソ基を除いたものである。
102は0又は1であるが、好ましくは1である。
101、R102、R105、R106、及びR107 は各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、及び複素環基であり、好ましくはアルキル基、アリール基、及び複素環基である。R101、R102、R105、R106、及びR107として表されるアルキル基、アリール基、及び複素環基として、具体的には、例えば、好ましくは炭素原子1から18、さらに好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、オクタデシル)、好ましくは炭素原子1から18、さらに好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の置換アルキル基{例えば置換基として前述のWが置換したアルキル基が挙げられる。好ましくはアラルキル基(例えばベンジル、2−フェニルエチル、2−(4−ビフェニル)エチル、2−スルホベンジル、4−スルホベンジル、4−スルホフェネチル、4−ホスホベンジル、4−カルボキシベンジル)、不飽和炭化水素基(例えばアリル基、ビニル基、すなわち、ここでは置換アルキル基にアルケニル基、アルキニル基も含まれることとする。)、ヒドロキシアルキル基(例えば、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル)、酸基が置換したアルキル基、カルボキシアルキル基(例えば、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、カルボキシメチル)、アルコキシアルキル基(例えば、2−メトキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチル)、アリーロキシアルキル基(例えば2−フェノキシエチル、2−(4−ビフェニロキシ)エチル、2−(1−ナフトキシ)エチル、2−(4−スルホフェノキシ)エチル、2−(2−ホスホフェノキシ)エチル)、アルコキシカルボニルアルキル基(例えばエトキシカルボニルメチル、2−ベンジルオキシカルボニルエチル)、アリーロキシカルボニルアルキル基(例えば3−フェノキシカルボニルプロピル、3−スルホフェノキシカルボニルプロピル)、アシルオキシアルキル基(例えば2−アセチルオキシエチル)、アシルアルキル基(例えば2−アセチルエチル)、カルバモイルアルキル基(例えば2−モルホリノカルボニルエチル)、スルファモイルアルキル基(例えばN,N−ジメチルスルファモイルメチル)、スルホアルキル基(例えば、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、3−スルホブチル、4−スルホブチル、2−[3−スルホプロポキシ]エチル、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル、3−スルホプロポキシエトキシエチル、3−フェニル−3−スルホプロピル、4−フェニル−4−スルホブチル、3−(2−ピリジル)−3−スルホプロピル)、スルホアルケニル基、スルファトアルキル基(例えば、2−スルファトエチル基、3−スルファトプロピル、4−スルファトブチル)、複素環置換アルキル基(例えば2−(ピロリジン−2−オン−1−イル)エチル、2−(2−ピリジル)エチル、テトラヒドロフルフリル、3−ピリジニオプロピル)、アルキルスルホニルカルバモイルアルキル基(例えばメタンスルホニルカルバモイルメチル基)、アシルカルバモイルアルキル基(例えばアセチルカルバモイルメチル基)、アシルスルファモイルアルキル基(例えばアセチルスルファモイルメチル基)、アルキルスルフォニルスルファモイルアルキル基(例えばメタンスルフォニルスルファモイルメチル基)、アンモニオアルキル基(例えば、3−(トリメチルアンモニオ)プロピル、3−アンモニオプロピル)、アミノアルキル基(例えば、3−アミノプロピル、3−(ジメチルアミノ)プロピル、4−(メチルアミノ)ブチル)、グアニジノアルキル基(例えば、4−グアニジノブチル)}、好ましくは炭素数6から20、さらに好ましくは炭素数6から10、さ特に好ましくは炭素数6から8の、置換または無置換アリール基(置換アリール基としては例えば置換基の例として挙げた前述のWが置換したアリール基が挙げられる。具体的にはフェニル、1−ナフチル、p−メトキシフェニル、p−メチルフェニル、p−クロロフェニル、ビフェニル、4−スルホフェニル、4−スルホナフチルなどが挙げられる。)、好ましくは炭素数1から20、さらに好ましくは炭素数3から10、特に好ましくは炭素数4から8の、置換または無置換複素環基(置換複素環基としては置換基の例として挙げた前述のWが置換した複素環基が挙げられる。具体的には2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、3−ピラゾリル、3−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、2−イミダゾリル、2−オキサゾリル、2−チアゾリル、2−ピリダジル、2−ピリミジル、3−ピラジル、2−(1,3,5−トリアゾリル)、3−(1,2,4−トリアゾリル)、5−テトラゾリル、5−メチル−2−チエニル、4−メトキシ−2−ピリジル、4−スルホ−2−ピリジルなどが挙げられる。)が挙げられる。
上述の酸基について説明する。酸基とは、解離性プロトンを有する基である。具体的には、例えばスルホ基、カルボキシル基、スルファト基、−CONHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SO2NHSO2−基(スルフォニルスルファモイル基)、スルホンアミド基、スルファモイル基、ホスファト基、ホスホノ基、ボロン酸基、フェノール性水酸基、など、これらのpkaと周りのpHによっては、プロトンが解離する基が挙げられる。例えばpH5〜11の間で90%以上解離することが可能なプロトン解離性酸性基が好ましい。さらに好ましくはスルホ基、カルボキシル基、−CONHSO2−基、−CONHCO−基、−SO2NHSO2−基である。
101、R102、R105、R106、及びR107で表される置換基として好ましくは無置換アルキル基、置換アルキル基であり、置換アルキル基として好ましくは酸基を持つアルキル基である。
101、L102、L103、L104、L105、L106、L107、L112、L113、L114、L115、L116、L117、L118 、L119、及びL120はそれぞれ独立にメチン基を表す。L101〜L120で表されるメチン基は置換基を有していても良く、置換基としては前述のWが挙げられる。例えば置換又は無置換の炭素数1から15、好ましくは炭素数1から10、特に好ましくは炭素数1から5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、2−カルボキシエチル)、置換または無置換の炭素数6から20、好ましくは炭素数6から15、更に好ましくは炭素数6から10のアリール基(例えばフェニル、o−カルボキシフェニル)、置換または無置換の炭素数3から20、好ましくは炭素数4から15、更に好ましくは炭素数6から10の複素環基(例えばN,N−ジメチルバルビツール酸基)、ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、沃素、フッ素)、炭素数1から15、好ましくは炭素数1から10、更に好ましくは炭素数1から5のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ)、炭素数0から15、好ましくは炭素数2から10、更に好ましくは炭素数4から10のアミノ基(例えばメチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノ、N−メチルピペラジノ)、炭素数1から15、好ましくは炭素数1から10、更に好ましくは炭素数1から5のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ)、炭素数6から20、好ましくは炭素数6から12、更に好ましくは炭素数6から10のアリールチオ基(例えばフェニルチオ、p−メチルフェニルチオ)などが挙げられる。また他のメチン基と環を形成してもよく、もしくはZ101、Z102、Z105、Z107、Z106、Z106`、R101、R102、R105、R106、R107と共に環を形成することもできる。
101、L102、L106、L107、L112、L113、L119 、及びL120として好ましくは、無置換メチン基である。
101、n103、及びn104はそれぞれ独立に0、1、2、3または4を表す。n101、n103、及びn104として好ましくは0、1、2、3であり、更に好ましくは0、1、2であり、特に好ましくは0、1である。n101、n103、及びn104が2以上の時、メチン基が繰り返されるが同一である必要はない。
101、p102、p104、及びp105はそれぞれ独立に0または1を表す。
好ましくは0である。
101、及びM103は、色素のイオン電荷を中性にするために必要であるとき、陽イオン又は陰イオンの存在を示すために式の中に含められている。典型的な陽イオンとしては水素イオン(H+)、アルカリ金属イオン(例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えばカルシウムイオン)などの無機陽イオン、アンモニウムイオン(例えば、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、エチルピリジニウムイオン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムイオン)などの有機イオンが挙げられる。陰イオンは無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン陰イオン(例えばフッ素イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロルベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1、3−ベンゼンスルホン酸イオン、1、5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2、6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられる。さらに、イオン性ポリマー又は色素と逆電荷を有する他の色素を用いても良い。また、CO2 -、SO3 -は、対イオンとして水素イオンを持つときはCO2H、SO3Hと表記することも可能である。
101、及びm103は電荷を均衡させるのに必要な0 以上の数を表し、好ましくは0〜4の数であり、さらに好ましくは0〜1の数であり、分子内で塩を形成する場合には0である。
次に、本発明において特に好ましく用いられる色素の具体例を以下に示す。もちろん、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006086157
Figure 2006086157
なお、下記で述べる色素の会合性、及びJ会合性の指標となる値は、
(色素:A−1):
{Agg(DyeX)/Agg(Dye1)}=1.26
{J−Agg(DyeX)/J−Agg(Dye1)}=21.44
(色素:A−2):
{Agg(DyeX)/Agg(Dye1)}=1.18
{J−Agg(DyeX)/J−Agg(Dye1)}=29.57
(色素:A−3):
{Agg(DyeX)/Agg(Dye1)}=1.28
{J−Agg(DyeX)/J−Agg(Dye1)}=20.93
である。
[メチン色素化合物の会合性]
我々は、以上の光電変換膜においてJ会合体を形成するメチン色素化合物には好ましい会合性の範囲があることを見出した。以下の式(1)の値として、1.1以上である。上限は特にないが、好ましくは20以下であり、さらに好ましくは15以下である。本発明の化合物の会合性がこれらの範囲にあるとき、得られる光電変換膜の光電変換効率が高くなるという長所の他に、光電変換膜の耐久性が向上することを見出した。
会合性について説明する。本発明では、会合性を(Agg)で表わす。
本発明のメチン色素化合物(DyeX)は、下記の式(1)を満たすことが好ましい。
式(1) {Agg(DyeX)/Agg(Dye1)}≧1.1
式(1)において、Agg(Dye1)は下記のDye1の会合性、Agg(DyeX)はDyeXの会合性を表す。
Figure 2006086157
色素は色素同士の相互作用により会合(又は凝集とも呼ぶことができる)する性質を持っている。ここでは、この会合性を下式(B1)のモノマー吸収に対する会合体の吸収の割合により定義する。
Agg=A/M (B1)
(B1)式において、Aは会合吸収の吸収強度、Mはモノマー吸収の吸収強度を表す。 測定条件は以下の通りである。
色素濃度:1×10-5mol/L
溶媒:水
測定温度:25℃
上記条件にて、吸収スペクトルを測定し、A,Mを求める。
なお、上記条件で、本発明のメチン色素化合物(DyeX)が溶解しないなどの理由により、測定することができない場合、適宜メタノール等の有機溶媒を加えた混合溶媒を用いて、DyeXと比較のDye1を測定することができる。式(1)は、DyeXとDye1との会合性の相対値で定義されているため、DyeXとDye1の会合性を同条件で測定すれば、式(1)の値に変わりはないからである。
会合吸収とは、モノマー吸収以外の吸収であればいずれでも良く、例えばダイマー吸収、H会合吸収などが挙げられる。なお、この条件では、ほとんどの場合、会合吸収としてはモノマー吸収極大より短波長のダイマー会合吸収を示す。この場合、Aはダイマー吸収の吸収強度(D)を意味する。
但し、この条件で、H会合吸収やJ会合吸収を示す場合もあり、例えば会合吸収としてダイマー、H会合、及びJ会合吸収の3つの吸収を示す場合、Aはダイマー吸収の吸収強度(D)、H会合吸収の吸収強度(H)、及びJ会合吸収の吸収強度(J)の和を意味する。
なお、DyeXにpH=10以下で解離可能な基がある場合には、解離した状態で測定を行う。例えば、色素と当量のNaOH(その他KOH,トリエチルアミンなど、いかなる塩基を用いても良い。また、これらの塩基の色素に対する当量数は、解離基と塩基のpKaに応じて、必要な量だけ増やすことができる。)を加えることにより解離させることができる。
参考のため、以下に会合体の説明を行う。会合体については、例えばジェイムス(James)編「ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス」(The Theory of the Photographic Process)第4版、マクミラン出版社、1977年、第8章、第214〜222頁、小林孝嘉著「J会合体(J-Aggregates)」ワールド・サイエンティフィック・パブリッシング社(World Scientific Publishing Co. Pte. Ltd.)、1996年刊)、ケミカル・フィジックス・レター(Chemical Physics Letters),第6巻、第183頁(1970年)、Zeitschrift fur Physikalische Chemie,第49巻、第324頁、(1941年)、松原孝治、田中俊夫、日本写真学会誌、第52巻第5号、第395〜399頁、1989年、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photographic Science and Engineering)第18巻、第3号、第335頁(1974年)などに詳細な説明がなされている。
モノマーとは単量体を意味する。会合体の吸収波長の観点では、モノマー吸収に対して、吸収が短波長にシフトする会合体をH会合体(2量体は特別にダイマーと呼び、この明細書ではH会合吸収はダイマー吸収を除いた吸収である)、長波長にシフトする会合体をJ会合体と呼ぶ。一般にJ会合体を形成するとモノマー状態と比較して長波長側の吸収幅は小さくなることが知られている。
〔J会合性〕
我々は、さらに、本発明のメチン色素化合物には好ましいJ会合性の範囲があることを見出した。以下の式(2)の値として、好ましくは、5以上であり、より好ましくは20以上である。上限は特にないが、好ましくは500以下であり、さらに好ましくは250以下である。
本発明の化合物のJ会合性がこれらの範囲にあるとき、得られる光電変換膜の吸収の半値幅が狭くなるという長所の他に、驚くべきことに光電変換効率が著しく高くなることを見出した。また、驚くべきことに光電変換膜の耐久性も著しく向上することを見出した。
J会合性について説明する。本発明では、J会合性を(J−Agg)で表わす。
本発明のメチン色素化合物(DyeX)は、下記の式(2)を満たすことが好ましい。
式(2) {J−Agg(DyeX)/J−Agg(Dye1)}≧1.1 式(2)において、J−Agg(Dye1)はDye1のJ会合性、J−Agg(DyeX)DyeXのJ会合性を表す。
上記の式(1)の説明で述べたように色素は色素同士の相互作用により会合(又は凝集とも呼ぶことができる)する性質を持っている。式(2)では、この会合性の中でも、特にJ会合性を評価するため、下式(B2)のJ会合体以外の吸収に対するJ会合体の吸収の割合により定義する。
J−Agg=J/G (B2)
(B2)式において、JはJ会合吸収の吸収強度、GはJ会合吸収以外の吸収の吸収強度を表す。測定条件は以下の通りである。
色素濃度:1×10-5mol/L
溶媒:0.5%ゼラチン水(ゼラチンは脱イオンゼラチンを用いる)
温度:25℃
上記条件にて、3時間放置した後に25℃で吸収スペクトルを測定し、J,Gを求める。
なお、上記条件で、本発明のメチン色素化合物(DyeX)が溶解しないなどの理由により、測定することができない場合、適宜メタノール等の有機溶媒を加えた混合溶媒を用いて、DyeXと比較のDye1を測定することができる。式(2)は、DyeXとDye1との会合性の相対値で定義されているため、DyeXとDye1の会合性を同条件で測定すれば、式(1)の値に変わりはないからである。
J会合以外の吸収とは、J会合吸収以外の吸収であればいずれでも良く、例えばモノマー吸収、ダイマー吸収、H会合吸収などが挙げられる。
なお、この条件では、ほとんどの場合、J会合吸収以外の吸収はモノマー吸収とダイマー吸収を示す。この場合、Gはモノマー吸収の吸収強度(M)とダイマー吸収の吸収強度(D)の和を意味する。
なお、DyeXにpH=10以下で解離可能な基がある場合には、解離した状態で測定を行う。例えば、色素と当量のNaOH(その他KOH,トリエチルアミンなど、いかなる塩基を用いても良い。また、これらの塩基の色素に対する当量数は、解離基と塩基のpKaに応じて、必要な量だけ増やすことができる。)を加えることにより解離させることができる。
[メチン色素化合物のJ会合体形成状態規定]
本発明のメチン色素化合物は、光電変換膜においてJ会合体を形成している状態であることが好ましい。ここで、色素がJ会合体を形成している状態とは、色素間の相互作用のない単量体状態の色素溶液が示す吸収極大値より、長波長側に吸収極大値がシフトした状態であると定義する。シフト幅として好ましくは、10nm以上であり、さらに好ましくは25nm以上であり、特に好ましくは50nm以上、最も好ましくは75nm以上である。シフト幅の上限は特にないが、好ましくは200nm以下であり、さらに好ましくは150nm以下である。一般に、色素はJ会合体を形成すると単量体状態と比較して吸収極大が長波長側へシフトすることが知られている。(The Theory of the Photographic Process 、T. H. James 編集、1977年、MacmillanPublishing Co., Inc.)従って、上記定義によりJ会合体を定義することが出来る。
なお、単量体状態の色素溶液が示す吸収極大値は、色素濃度=1×10-5mol/lのジメチルホルムアミド(DMF)溶液中での吸収極大値を意味する。なお、色素がDMFに溶解しない場合は、溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジメチルスルホキシド、又はメタノールを用いても良い。
また、光電変換膜において形成された色素のJ会合体の吸収の長波長側の吸収幅が、上記の単量体状態の色素溶液が示す吸収の長波長側の吸収幅の2倍以下の場合が好ましい。 さらに好ましくは1.5倍以下であり、特に好ましくは1倍以下であり、最も好ましくは0.5倍以下である。ここで長波長側の吸収幅とは、吸収極大波長と、吸収極大波長より長波長で吸収極大の1/2の吸収を示す波長とのエネルギー幅を表す。一般に、J会合体を形成すると単量体状態と比較して長波長側の吸収幅は小さくなることが知られている。しかし、光電変換膜においては、色素がJ会合体を形成しない場合には色素間の不均一な相互作用が強くなるため吸収がブロード化し、単量体状態の色素溶液の長波長側の吸収幅に比べて吸収幅が2倍以上に大きくなる。従って、本発明においては、J会合体の好ましい吸収幅として上記を定義した。
なお、上記のように、J会合体を形成したメチン色素化合物の層は、有機層全体に対して一部でも含めば良い。好ましくは、有機層全体に対する配向の制御された部分の割合が10%以上の場合であり、さらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。
本発明の化合物が光電変換膜においてJ会合体を形成した場合、得られる光電変換膜の吸収の半値幅が狭くなり色再現性に優れるという長所の他に、驚くべきことに光電変換効率が著しく高くなることを見出した。また、驚くべきことに光電変換膜の耐久性も著しく向上することを見出した。
[分子量]
我々は、本発明のメチン色素化合物には好ましい分子量の範囲があることを見出した。 分子量として好ましくは300以上1200以下であり、さらに好ましくは400以上1000以下であり、特に好ましくは500以上800以下である。本発明の化合物の分子量がこれらの範囲にあるとき、光電変換膜の真空蒸着等による成膜が容易にできるという長所の他に、得られる光電変換膜の光電変換効率が高く優れており、さらに、撮像素子の画素間の光吸収率と光電変換効率のバラツキが小さくなることを見出した。
[親疎水性規定]
我々は、本発明のメチン色素化合物には好ましい親疎水性の範囲があることを見出した。ClogPとして好ましくは2以上10以下であり、さらに好ましくは3以上8以下であり、特に好ましくは4以上6以下である。本発明の化合物の親疎水性がこれらの範囲にあるとき、光電変換膜の真空蒸着等による成膜が容易にできるという長所の他に、得られる光電変換膜の光電変換効率が高く優れており、さらに、撮像素子の画素間の光吸収率と光電変換効率のバラツキが小さくなることを見出した。また、本発明の化合物の親疎水性がこれらの範囲にあるとき、得られる膜の耐久性、特に高湿条件下での耐久性が向上することを見出した。
なお、ClogPは化合物の親疎水性の尺度として用いる。
通常、親疎水性は、化合物のオクタノール/水分配係数(logP)により求めることができる。具体的には、下記文献(1)記載のフラスコ・シェーキング法で実測して求めることができる。
文献(1):構造活性相関懇話会(代表)藤田稔夫編、化学の領域増刊122号「薬物の構造活性相関−ドラッグデザインと作用機作研究への指針」、南江堂、1979年刊、第2章第43頁〜203頁。特に第86頁〜89頁にフラスコ・シェーキング(Flask shaking)法が記載されている。
logPが3以上の場合、測定が困難な場合があるので、本発明ではlogPを計算するためのモデルを使用することができ、本発明では、この計算値によるlogP(以下、ClogPと称する)を用いて規定することができる。
本発明の目的では、Hansch−LeoのCLOGPプログラム(米国Daylight Chemical Information Systems社)(バージョンはアルゴリズム=4.01、フラグメントデータベース=17(*3))を使用して、logP計算値を算出する。このソフトウェアを入手することができない場合には、本出願人が具体的な全ての化合物について、そのClogP値を提供する。
本発明の化合物において複数の互変異性体をとり得る場合、これらの各々の異性体についてClogPを計算することができ、これらの値の少なくとも1つが特定の範囲内にあるならば、その化合物は本発明の好ましい範囲内にある。
また、上記のプログラムのデータベースに分子のフラグメントがない場合は、上記の親疎水性の実測によりデータを補ってClogPを求めることができる。本発明の化合物はpH=7での状態を基準としてClogPを計算する。
[電位]
我々は、さらに、本発明のメチン色素化合物には好ましい電位の範囲があることを見出した。酸化電位として好ましくは0.3V以上1.8V以下(VS SCE)であり、さらに好ましくは0.5V以上1.5V以下であり、特に好ましくは0.8V以上1.3V以下である。還元電位として好ましくは−2V以上−0.5V以下(VS SCE)であり、さらに好ましくは−1.6V以上−0.8V以下であり、特に好ましくは−1.4V以上−1V以下である。
本発明の化合物の電位がこれらの範囲にあるとき、得られる光電変換膜の光電変換効率が高くなるという長所の他に、光電変換膜の耐久性が向上することを見出した。
還元電位、及び酸化電位の測定は、種々の方法が可能であるが、好ましくは、位相弁別式第二高調波交流ポーラログラフィーで行う場合であり、正確な値を求めることができる。なお、以上の位相弁別式第二高調波交流ポーラログラフィーによる電位の測定法はジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(Journal of Imaging Science)、第30巻、第27頁(1986年)に記載されている。
[蛍光]
我々は、さらに、本発明のメチン色素化合物には好ましい蛍光量子収率と蛍光寿命の範囲があることを見出した。蛍光量子収率として好ましくは0.1以上1以下であり、さらに好ましくは0.5以上1以下であり、特に好ましくは0.8以上1以下である。蛍光寿命として好ましくは10ps以上であり、さらに好ましくは40ps以上であり、特に好ましくは160ps以上である。上限は特にないが、好ましくは1ms以下である。
本発明の化合物の蛍光量子収率と蛍光寿命がこれらの範囲にあるとき、得られる光電変換膜の光電変換効率が高くなるという長所の他に、光電変換膜の耐久性が向上することを見出した。
蛍光量子収率は、特開昭63-138341に記載の方法で測定することが出来る。
以下にその方法を記す。色素の膜中の蛍光量子収率は、溶液の発光量子収率の場合と基本的には同じ方法で測定でき、通常絶対量子収率が既知の標準試料(例えば、ローダミンB、硫酸キニーネ、9、10-ジフェニルアントラセンなど)を参照として、一定の光学配置のもとで入射光強度、試料の発光強度を比較する相対測定を通じて求めることができる。この相対測定法については、例えば、C. A. Parker and W. T. Rees、Analyst、1960年、85巻、587ページに記載されている。本発明における蛍光量子収率は、溶液状態、膜状態いずれの値でも良いが、好ましくは膜状態での値である。
本発明のメチン色素化合物の蛍光寿命は、Tadaaki Tani, Takeshi Suzumoto, Klaus Kemnitz, Keitaro Yoshihara著、The Journal of Physical Chemistry, 1992年, 96巻, 2778ページ記載の方法で測定することが出来る。
[吸収波長規定]
我々は、さらに、本発明のメチン色素化合物には好ましい分光吸収波長及び分光感度領域の範囲があることを見出した。
本発明においては、色再現良好なBGR光電変換膜、即ち青色光電変換膜、緑色光電変換膜、赤色光電変換膜の3層を積層した光電変換素子を好ましく用いることができる。各光電変換膜は、以下の分光吸収及び/または分光感度特性を有する場合が好ましい。
分光吸収極大値を、BGRの順に各々λmax1,λmax2,λmax3、分光感度極大値をBGRの順に各々Smax1、Smax2、Smax3としたとき、λmax1、Smax1として好ましくは400nm以上500nm以下、さらに好ましくは420nm以上480nm以下、特に好ましくは430nm以上470nm以下の範囲にある場合である。λmax2、Smax2として好ましくは500nm以上600nm以下、さらに好ましくは520nm以上580nm以下、特に好ましくは530nm以上570nm以下の範囲にある場合である。λmax3、Smax3として好ましくは600nm以上700nm以下、さらに好ましくは620nm以上680nm以下、特に好ましくは630nm以上670nm以下の範囲にある場合である。
また、本発明の光電変換膜が3層以上の積層構造をとる場合、λmax1,2,3の分光極大吸収とSmax1,2,3の分光極大感度のそれぞれ50%を示す最も短波長と最も長波長の間隔は、好ましくは120nm以下であり、さらに好ましくは100nm以下であり、特に好ましくは80nm以下、最も好ましくは70nm以下である。
また、λmax1,2,3の分光極大吸収とSmax1,2,3の分光極大感度の80%を示す最も短波長と最も長波長の間隔は、好ましくは20nm以上で、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは80nm以下、特に好ましくは50nm以下である。
また、λmax1,2,3の分光極大吸収とSmax1,2,3の分光極大感度の20%を示す最も短波長と最も長波長の間隔は、好ましくは180nm以下、さらに好ましくは150nm以下、特に好ましくは120nm以下、最も好ましくは100nm以下である。
また、λmax1,2,3とSmax1,2,3の長波側で、λmax1,2,3の分光極大吸収とSmax1,2,3の分光極大の50%の分光吸収率を示す最も長波長は、λmax1、Smax1として好ましくは460nm以上510nm以下、λmax2、Smax2として好ましくは560nm以上610nm以下、λmax3、Smax3として好ましくは640nm以上730nm以下である。
本発明の化合物の分光吸収波長及び分光感度領域の範囲がこれらの範囲にあるとき、撮像素子により得られるカラー画像の色再現性を向上させることができる。
[メチン色素化合物の分光吸収遷移双極子モーメントの角度規定]
我々は、さらに、本発明のメチン色素化合物の分光吸収遷移双極子モーメントと光電変換素子の電極平面とのなす角に好ましい範囲があることを見出した。
本発明のメチン色素化合物の分光吸収遷移双極子モーメントと光電変換素子の電極平面とのなす角として好ましくは60°以下であり、さらに好ましくは50°以下、さらに好ましくは40°以下、さらに好ましくは30°以下、さらに好ましくは15°以下、さらに好ましくは5°以下、特に好ましくは2°以下、最も好ましくは0°である。
本発明の化合物の分光吸収遷移双極子モーメントと光電変換素子の電極平面とのなす角がこれらの範囲にあるとき、得られる光電変換膜の光電変換効率が著しく高くなり、また、驚くべきことに光吸収率も顕著に向上することを見出した。
従来、有機光電変換素子の膜中での配向については、ほとんど注意が払われてこなかった。色素分子の遷移双極子モーメントは色素分子の長軸方向にあり、光電変換膜中の色素が光電変換素子の電極平面と角度をなしている場合、色素の遷移双極子モーメントと光電変換素子の電極平面が角度をなしていることになる。
本発明において、光励起により発生した色素中の励起子やキャリアーの移動度を向上させるには、色素の遷移双極子モーメントと電極平面とのなす角度が重要なパラメータであり、それらが平行に近いほど光電変換効率が高くなることを見出した。従来の有機光電変換素子を本観点で見直したところ、色素の遷移双極子モーメントと電極平面とのなす角度が平行に近い系はなく不充分であることが明確になった。
さらに、光は光電変換素子に垂直に入射するため、入射する光の電場の振動面は光電変換素子面と平行、すなわち光電変換素子の電極平面と平行になる。色素の遷移双極子モーメントと光電変換素子の電極平面が平行であると、入射光の電場振動面と一致するため、光吸収効率が高くなることが明らかとなった。
本発明のメチン色素化合物の遷移双極子モーメントは例えば以下の方法で求めることができる。実験物理学講座14、木下是雄編 共立出版1986年の偏光解析法に示されるような、45度反射光学系と偏光子を有する紫外可視分光計を用いて、光電変換素子の反射スペクトルを測定する。p偏光およびs偏光それぞれの光による反射強度(Ig(ν))を色素の吸収波長を含む前後200nmの範囲で測定する。また、同様な方法により、標準物質である石英の反射強度Iq(ν)を測定する。石英の屈折率nは次に示す式により各波数(cm-1)に対して求められ、
n2 = 1+ 1.2409×1010/(1063592 −ν2
これより、石英の反射率(Rq(ν))は、
Rq(ν) = |(n − 1) / (n + 1)|2
で計算でき、光電変換素子の反射率(Rg (ν))は、
Rg(ν) = Rq(ν) × Ig(ν) / Iq(ν)
より求めることができる。上記の反射率測定をp偏光、s偏光それぞれについて行い、それらの反射スペクトルにクラマース−クローニッヒ変換(以下K-K変換)を行うことによって光電変換素子の全吸収のp偏光成分およびs偏光成分に対する吸収スペクトルAp (ν)およびAs(ν)を得ることが出来る。K-K変換については、第4版実験化学講座7 分光II 井口洋夫編 丸善株式会社1992年 P 320に記載されている。上記の測定を、上記光電変換素子から本発明のメチン色素化合物のみを除いた素子で行うことにより、色素以外の素子部分の吸収のp偏光成分およびs偏光成分に対する吸収スペクトルA1p(ν)およびA1s(ν)も同様に求めることが出来る。色素のみの吸収スペクトルは
p偏光成分 A2p(ν) = Ap(ν) − A1p(ν)
s偏光成分 A2s(ν) = As(ν) − A1s(ν)
と求めることが出来る。これらの測定より、電極平面と色素の遷移双極子モーメントのなす角度は
θ2ps(ν) = tan-1 ( A2p(ν) / A2s(ν) − 1/√2 )
となる。本発明においては電極平面と色素の遷移双極子モーメントがなす角は、色素の吸収極大波長におけるθ2ps(ν)と定義する。
別法として、Ap(ν)およびAs(ν)を波長についての一次微分の波長変化成分を積分することによってA2p(ν)、 A2s (ν)を求めることも出来る。電極平面と色素の遷移双極子モーメントとのなす角もA2p (ν)、 A2s(ν)を用いて上述の方法と同様に求められる。
θ2ps(ν) = tan-1( A12p(ν) / A12s(ν) − 1/√2 )
となる。
[電子輸送性材料]
我々は、本発明の光電変換膜において、電子輸送性を有する有機材料(n型化合物)として、イオン化ポテンシャルが6.0eVよりも大きい場合が好ましく、さらに下記一般式(X)で表わされる場合が好ましいことを見出した。
一般式(X) L−(A)m
(式中、Aは二つ以上の芳香族へテロ環が縮合したヘテロ環基を表し、Aで表されるヘテロ環基は同一または異なってもよい。mは2以上の整数を表す。Lは連結基を表す。)
なお、これらの電子輸送性を有する有機材料の詳細及び好ましい範囲については、特願2004−082002号において詳細に説明されている。
これらの電子輸送性の有機材料を用いるとき、得られる光電変換膜の光電変換効率が著しく高くなることを見出した。
〔一般的要件〕
本発明において好ましくは、少なくとも光電変換膜が2層以上、さらに好ましくは3層又は4層、特に好ましくは3層積層した光電変換素子を用いる場合である。
本発明においては、これらの光電変換素子を特に撮像素子として好ましく用いることができる。
また、本発明においては、これらの光電変換膜、光電変換素子、及び、撮像素子に電圧を印加する場合が好ましい。
本発明における光電変換素子として好ましくは、1対の電極間にp型半導体の層とn型半導体の層が積層構造を持つ光電変換膜を有する場合である。また、好ましくは、p型及びn型半導体のうち少なくとも一方は有機化合物を含む場合であり、さらに好ましくはp型及びn型半導体の両方とも有機化合物を含む場合である。
[電圧印加]
本発明の光電変換膜に電圧を印加した場合、光電変換効率が向上する点で好ましい。印加電圧としては、いかなる電圧でも良いが、光電変換膜の膜厚により必要な電圧は変わってくる。すなわち、光電変換効率は、光電変換膜に加わる電場が大きいほど向上するが、同じ印加電圧でも光電変換膜の膜厚が薄いほど加わる電場は大きくなる。従って、光電変換膜の膜厚が薄い場合は、印加電圧は相対的に小さくでも良い。光電変換膜に加える電場として好ましくは、10V/m以上であり、さらに好ましくは1×103V/m以上、さらに好ましくは1×105V/m以上、特に好ましくは1×106V/m以上、最も好ましくは1×107V/ m以上である。上限は特にないが、電場を加えすぎると暗所でも電流が流れ好ましくないので、1×1012V/m以下が好ましく、さらに1×109V/m以下が好ましい。
[有機pn化合物]
有機p型半導体(化合物)、及び有機n型半導体(化合物)としてはいかなるものでも良い。また、可視及び赤外域に吸収を持っていても持っていなくても良いが、好ましくは可視域に吸収を持っている化合物(有機色素、好ましくは本発明のメチン色素化合物)を少なくとも一つ用いる場合である。更に、無色のp型化合物とn型化合物を用い、これらに有機色素(好ましくは本発明のメチン色素化合物)を加えても良い。
p型層/バルクへテロ接合層/n型層の3層構造にする場合、入射光側のp型、又はn型半導体(化合物)は無色である場合が好ましい。
有機p型半導体(化合物)は、ドナー性有機半導体(化合物)であり、主に正孔輸送性有機化合物に代表され、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物は、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、トリフェニルアミン類、ベンジジン類、ピラゾリン類、スチリルアミン類、ヒドラゾン類、トリフェニルメタン類、カルバゾール類、ポリシラン類、チオフェン類、フタロシアニン類、ポリアミン類等を用いることができる。なお、これに限らず、上記したように、n型(アクセプター性)化合物として用いた有機化合物よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であればドナー性有機半導体として用いてよい。
有機n型半導体(化合物)は、アクセプター性有機半導体(化合物)であり、主に電子輸送性有機化合物に代表され、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン類、キノキサリン類、フェナンスロリン類、フラーレン類、アルミニウムキノリン類等を用いることができる。なお、これに限らず、上記したように、ドナー性有機化合物として用いた有機化合物よりも電子親和力の大きな有機化合物であればアクセプター性有機半導体として用いてよい。
p型有機色素、又はn型有機色素としては、本発明の色素と併用しうる色素又は他の光電変換膜用色素として、好ましくは、クマリン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、スピロ化合物、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、インジゴ色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素が挙げられる。
これらの有機化合物を含む層は、乾式成膜法あるいは湿式成膜法により成膜される。乾式成膜法の具体的な例としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法,MBE法等の物理気相成長法あるいはプラズマ重合等のCVD法が挙げられる。湿式成膜法としては、キャスト法、スピンコート法、ディッピング法、LB法等が用いられる。
p型半導体(化合物)、又は、n型半導体(化合物)のうちの少なくとも一つとして高分子化合物を用いる場合は、作成の容易な湿式成膜法により成膜することが好ましい。蒸着等の乾式成膜法を用いた場合、高分子を用いることは分解のおそれがあるため難しく、代わりとしてそのオリゴマーを好ましく用いることができる。一方、低分子を用いる場合は、共蒸着等の乾式成膜法により成膜することが好ましい。
[バルクへテロ接合構造]
本発明においては、1対の電極間に、p型半導体層とn型半導体層とを有し、該p型半導体とn型半導体の少なくともいずれかが有機半導体であり、かつ、それらの半導体層の間に、該p型半導体およびn型半導体を含むバルクヘテロ接合構造層を中間層として有する光電変換膜(感光層)を含有する場合が好ましい。このような場合、光電変換膜において、有機層にバルクへテロ接合構造を含有させることにより有機層のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させることができる。
なお、バルクへテロ接合構造については、特願2004−080639号において詳細に説明されている。
[タンデム構造]
本発明において、1対の電極間にp型半導体の層とn型半導体の層で形成されるpn接合層の繰り返し構造(タンデム構造)の数を2以上有する構造を持つ光電変換膜(感光層)を含有する場合が好ましく、さらに好ましくは、前記繰り返し構造の間に、導電材料の薄層を挿入する場合である。pn接合層の繰り返し構造(タンデム構造)の数はいかなる数でもよいが、光電変換効率を高くするために好ましくは2以上10以下であり、さらに好ましくは2以上5以下であり、特に好ましくは2または3であり、最も好ましくは3である。導電材料としては銀または金が好ましく、銀が最も好ましい。
本発明において、タンデム構造をもつ半導体としては無機材料でもよいが有機半導体が好ましく、さらに有機色素が好ましい。
なお、タンデム構造については、特願2004−079930号において詳細に説明されている。
[配向規定]
本発明は1対の電極間にp型半導体の層、n型半導体の層、(好ましくは混合・分散(バルクヘテロ接合構造)層)を持つ光電変換膜を有する撮像素子において、p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも1方に配向制御された有機化合物を含むことを特徴とする光電変換膜の場合が好ましく、さらに好ましくは、p型半導体及びn型半導体の両方に配向制御された(可能な)有機化合物を含む場合である。
光電変換膜の有機層に用いられる有機化合物としては、π共役電子を持つものが好ましく用いられるが、このπ電子平面が、基板(電極基板)に対して垂直ではなく、平行に近い角度で配向しているほど好ましい。基板に対する角度として好ましくは0°以上80°以下であり、さらに好ましくは0°以上60°以下であり、さらに好ましくは0°以上40°以下であり、さらに好ましくは0°以上20°以下であり、特に好ましくは0°以上10°以下であり、最も好ましくは0°(すなわち基板に対して平行)である。
上記のように、配向の制御された有機化合物の層は、有機層全体に対して一部でも含めば良いが、好ましくは、有機層全体に対する配向の制御された部分の割合が10%以上の場合であり、さらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。
このような状態は、光導電膜において、有機層の有機化合物の配向を制御することにより有機層のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させるものである。
本発明の有機化合物の配向が制御されている場合において、さらに好ましくはヘテロ接合面(例えばpn接合面)が基板に対して平行ではない場合である。ヘテロ接合面が、基板(電極基板)に対して平行ではなく、垂直に近い角度で配向しているほど好ましい。基板に対する角度として好ましくは10°以上90°以下であり、さらに好ましくは30°以上90°以下であり、さらに好ましくは50°以上90°以下であり、さらに好ましくは70°以上90°以下であり、特に好ましくは80°以上90°以下であり、最も好ましくは90°(すなわち基板に対して垂直)である。
上記のような、ヘテロ接合面の制御された有機化合物の層は、有機層全体に対して一部でも含めば良い。好ましくは、有機層全体に対する配向の制御された部分の割合が10%以上の場合であり、さらに好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。このような場合、有機層におけるヘテロ接合面の面積が増大し、界面で生成する電子、正孔、電子正孔ペア等のキャリア量が増大し、光電変換効率の向上が可能となる。
以上の、有機化合物のヘテロ接合面とπ電子平面の両方の配向が制御された光導電膜(光電変換膜)において、特に光電変換効率の向上が可能である。
これらの状態については、特願2004−079931号において詳細に説明されている。
[有機色素層の膜厚規定]
本発明の光電変換膜をカラー撮像素子(イメージセンサー)として用いる場合、B、G、R層各々のメチン色素化合物含有層の光吸収率を、好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは90%(吸光度=1)以上、最も好ましくは99%以上にすることが光電変換効率を向上させ、さらに、下層に余分な光を通さず色分離を良くするために好ましい。従って、光吸収の点ではメチン色素化合物含有層の膜厚は大きいほど好ましいが、電荷分離に寄与しない割合を考慮すると、本発明におけるメチン色素化合物含有層の膜厚として好ましくは、30nm以上300nm以下、さらに好ましくは50nm以上150nm以下、特に好ましくは80nm以上130nm以下である。
[BGR分光について]
本発明においては、色再現良好なBGR光電変換膜、即ち青色光電変換膜、緑色光電変換膜、赤色光電変換膜の3層を積層した光電変換素子を好ましく用いることができる。
各光電変換膜は例えば、前述した分光吸収及び/または分光感度特性を有する場合が好ましい。
[積層構造]
本発明において、好ましくは少なくとも2つの光電変換膜が積層している光電変換素子を用いる場合である。 積層撮像素子は特に制限はなく、この分野で用いられているものは全て適用できるが、好ましくはBGR3層積層構造であり、BGR積層構造の好ましい例を図1に示す。
つぎに、本発明に係る固体撮像素子は、例えば、本実施の態様で示されるような光電変換膜を有する。そして、図1に示されるような固体撮像素子は、走査回路部の上に積層型光電変換膜が設けられる。走査回路部は、半導体基板上にMOSトランジスタが各画素単位に形成された構成や、あるいは、撮像素子としてCCDを有する構成を適宜採用することができる。
例えばMOSトランジスタを用いた固体撮像素子の場合、電極を透過した入射光によって光電変換膜の中に電荷が発生し、電極に電圧を印加することにより電極と電極との間に生じる電界によって電荷が光電変換膜の中を電極まで走行し、さらにMOSトランジスタの電荷蓄積部まで移動し、電荷蓄積部に電荷が蓄積される。電荷蓄積部に蓄積された電荷は、MOSトランジスタのスイッチングにより電荷読出し部に移動し、さらに電気信号として出力される。これにより、フルカラーの画像信号が、信号処理部を含む固体撮像装置に入力される。
これらの積層撮像素子については、特開昭58−103165号公報の第2図及び特開昭58−103166号公報の第2図等で代表される固体カラー撮像素子も適用できる。
上記の積層型撮像素子好ましくは3層積層型撮像素子の製造工程については特開2002−83946号公報記載の方法(同公報の図7〜23及び段落番号0026〜0038参照)が適用できる。
[実施例]
実施例及び実施態様を下記に記載する。
インジウムスズ酸化物薄膜(以下、ITOと称する)上に、スピンコート法により本発明の(色素:A−1)の膜厚50nmの層を形成し、次に、真空蒸着法により(材料1)の膜厚50nmの層を形成し、さらに、真空蒸着法により膜厚20nmの半透明の金電極を形成し、光導電素子Aを得ることができる。また、光電変換素子Aの(色素:A−1)のかわりに銅フタロシアニンを用いた以外は同様の光導電素子Bを用いる。なお、これらの光導電膜A,Bを画素に分けた撮像素子を、各々撮像素子A,Bとする。
光電変換素子Aの光電変換膜の吸収極大波長は610nm、吸収の半値幅は50nmである。一方、光電変換素子Bの光電変換膜の吸収極大波長は610nm、吸収の半値幅は205nmである。
撮像素子Aの光応答電流は、撮像素子Bの1.5倍になる。
また、電極間に5vの電圧の逆バイアスを印加(金電極に正電圧を印加)、すなわち5×107V/mの電界をかけることにより、撮像素子Aの光応答電流は電圧を印加しない場合に比べて2.5倍になるのに対して、比較の撮像素子Bの光応答電流は電圧を印加しない場合に比べて2倍にしかならない。
なお、(色素:A−1)又は銅フタロシアニンと(材料1)の積層順を逆にしても同様の結果が得られる。この場合、電圧印加の正負は逆にする。
以上のように、本発明の色素を含む光電変換膜からなる撮像素子は、本発明の色素を含まない光電変換膜からなる撮像素子に比べて、光応答電流が高く撮像素子として高感度であり、また、電圧を印加した場合に顕著に高感度になる。
Figure 2006086157
実施例1で述べた撮像素子で使用する化合物を、以下のように変更した以外は同様の本発明の素子は、実施例1と同様に優れた性能を示す。
本発明の素子(光電変換素子C、撮像素子C):
(色素:A−1)を本発明の(色素:B−1)に変更
光電変換素子Cの光電変換膜の吸収極大波長は640nm、吸収の半値幅は85nmである。
実施例1で述べた撮像素子で使用する化合物を、以下のように変更した以外は同様の本発明の素子は、実施例1と同様に優れた性能を示す。
本発明の素子(光電変換素子D、撮像素子D):
(色素:A−1)を本発明の(色素:A−4)に変更
光電変換素子Cの光電変換膜の吸収極大波長は610nm、吸収の半値幅は55nmである。
実施例1で述べた撮像素子で使用する化合物を、以下のように変更した以外は同様の本発明の素子は、実施例1と同様に優れた性能を示す。
本発明の素子(光電変換素子E、撮像素子E):
(色素:A−1)を本発明の(色素:A−5)に変更
光電変換素子Cの光電変換膜の吸収極大波長は550nm、吸収の半値幅は50nmである。
実施例1で述べた撮像素子で使用する化合物を、以下のように変更した以外は同様の本発明の素子は、実施例1と同様に優れた性能を示す。
本発明の素子(光電変換素子F、撮像素子F):
(色素:A−1)を本発明の(色素:A−6)に変更
光電変換素子Cの光電変換膜の吸収極大波長は465nm、吸収の半値幅は45nmである。
実施例5の撮像素子をB層(B膜)、4の撮像素子をG層(G膜)、1の撮像素子をR層(R膜)として、3層を積層した図1に示す撮像素子において、各層とも比較に対して優れた光応答電流を示し高感度であり、カラー撮像素子としての色再現性に優れている。
本発明によるBGR3層積層の光電変換膜積層撮像素子の1画素分の断面模式図である。
符号の説明
1 Pウェル層
2,4,6 高濃度不純物領域
3,5,7 MOS回路
8 ゲート絶縁膜
9,10 絶縁膜
11,14,16,19,21,24, 透明電極膜
12,17,22, 電極
13,18,23 光電変換膜
10,15,20,25 透明絶縁膜
26 遮光膜
50 半導体基板

Claims (20)

  1. 有機p型半導体と有機n型半導体の有機pn接合を有する光電変換膜において、少なくとも一種のメチン色素化合物を含むことを特徴とする光電変換膜。
  2. 前記メチン色素化合物がシアニン色素、又はロダシアニン色素であることを特徴とする請求項1記載の光電変換膜。
  3. 前記メチン色素化合物がp型半導体であることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換膜。
  4. 前記メチン色素化合物が、下記一般式(A)で表されるシアニン色素であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換膜。
    一般式(A)
    Figure 2006086157
    式(A)中、L101、L102、L103、L104、L105、L106、及びL107 は各々独立にメチン基を表す。p101、及びp102は各々独立に0または1を表す。n101は0、1、2、3または4を表す。Z101及びZ102は各々独立に含窒素複素環を形成するために必要な原子群を表す。ただし、これらに環が縮環していても置換基を有していても良い。M101は電荷均衡対イオンを表し、m101は分子の電荷を中和するのに必要な0以上の数を表す。R101及びR102は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。
  5. 前記メチン色素化合物含有層の厚みが、30nm以上300nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換膜。
  6. 請求項1〜5記載の光電変換膜とそれを挟む一対の電極とを含む光電変換素子。
  7. 請求項6記載の光電変換素子を含む撮像素子。
  8. 請求項6に記載の光電変換素子を2層以上積層したことを特徴とする請求項7に記載の撮像素子。
  9. 請求項8に記載の2層以上の光電変換素子が、青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の3層を含むことを特徴とする請求項8に記載の撮像素子。
  10. 請求項9に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光吸収極大値を各々λmax1,λmax2,λmax3としたとき、λmax1が400nm以上500nm以下、λmax2が500nm以上600nm以下、λmax3が600nm以上700nm以下の範囲にあることを特徴とする請求項9に記載の撮像素子。
  11. 請求項9に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光感度極大値を各々Smax1,Smax2,Smax3としたとき、Smax1が400nm以上500nm以下、Smax2が500nm以上600nm以下、Smax3が600nm以上700nm以下の範囲にあることを特徴とする請求項9に記載の撮像素子。
  12. 請求項9に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大吸収の50%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、120nm以下であることを特徴とする請求項9に記載の撮像素子。
  13. 請求項9に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大感度の50%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、120nm以下であることを特徴とする請求項9に記載の撮像素子。
  14. 請求項9に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大吸収の80%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、20nm以上で100nm以下であることを特徴とする請求項9に記載の撮像素子。
  15. 請求項9に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大感度の80%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、20nm以上で100nm以下であることを特徴とする請求項9に記載の撮像素子。
  16. 請求項9に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大吸収の20%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、180nm以下であることを特徴とする請求項9に記載の撮像素子。
  17. 請求項9に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の分光極大感度の20%を示す最も短波長と最も長波長の間隔が、各々、180nm以下であることを特徴とする請求項9に記載の撮像素子。
  18. 請求項9に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光極大吸収の50%を示す最も長波長が、各々、460nm以上510nm以下、560nm以上610nm以下、640nm以上730nm以下であることを特徴とする請求項9に記載の撮像素子。
  19. 請求項9に記載の青色光電変換素子、緑色光電変換素子、赤色光電変換素子の順に、分光極大感度の50%を示す最も長波長が、各々、460nm以上510nm以下、560nm以上610nm以下、640nm以上730nm以下であることを特徴とする請求項9に記載の撮像素子。
  20. 請求項1〜19に記載の光電変換膜、光電変換素子、または撮像素子に10V/m以上1×1012V/m以下の電場を印加する方法。
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