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JP2006076182A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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JP2006076182A JP2004263771A JP2004263771A JP2006076182A JP 2006076182 A JP2006076182 A JP 2006076182A JP 2004263771 A JP2004263771 A JP 2004263771A JP 2004263771 A JP2004263771 A JP 2004263771A JP 2006076182 A JP2006076182 A JP 2006076182A
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正幸 牛久
Hisashi Mori
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Konica Minolta Inc
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、高いプリント濃度と光沢を有し、インクジェット記録時に色素の析出によるブロンジングを悪化させることなく高品位な画像が得られる空隙型のインクジェット記録用紙を提供することにある。
【解決手段】 支持体上に、少なくとも平均粒子径が100nm以下の無機微粒子と親水性ポリマーからなる空隙型のインク吸収層を有し、該インク吸収層がノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とを含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高いプリント濃度と光沢を有し、インクジェット記録時に色素の析出によるブロンジングを悪化させることなく高品位な画像が得られる空隙型のインクジェット記録用紙に関する。
水性インクで記録するインクジェット記録方法は良く知られており、近年、インクジェット記録は急速に画質が向上してきている。特に近年の高画質・高速化に伴い、インク受容層として高インク吸収性が要求されるようになった。インク受容層としては、一般に親水性バインダーから主として形成され、親水性バインダーの膨潤作用でインクを保持する膨潤型と、無機微粒子と少量の親水性バインダーで多孔質皮膜を形成している空隙型に大きく分けられるが、高インク吸収性という観点からは後者の空隙型インク受容層が好ましい。
インクジェット記録においては、通常、水溶性色素が色材として用いられるが、この水溶性色素は親水性が高いため、インクジェット記録後に高湿下に長期間保存したり、あるいは記録面上に水滴が付着した場合に、色素が滲みやすい傾向がある。この問題を解決するため、色素固定能力を有する物質として色素媒染剤をインク受容層中に添加しておくことが一般的に行われており、そのような色素固定能力を有する物質としては、表面がカチオン性である無機微粒子(例えば、アルミナ微粒子等)、分子内に第1級乃至第3級アミノ基又は第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマー等が挙げられる。
中でもカチオン性ポリマーは、比較的高い色素固定能を有するために好ましく用いられる。また、色素媒染剤としては、例えば、特公平2−3567号及び特開平9−254529号に記載されているポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミド系縮合物が挙げられる。色素媒染剤は色素固定能が高いほどインク吸収層の表層に染料が媒染し、高いプリント濃度が得られる他、耐水性やインクジェット記録後の保存による画像滲みも改良されるため、従来からインク中に含まれる色素種に最適な色素媒染剤が選択されている。
また、カチオン性ポリマーによる色素の固定性を高めるために多価金属イオンを併用することも一部で行われており、例えば、特開昭60−67190号及び同61−10484号などに具体的方法が記載されている。
しかしながら、色素を強く固着させようとすると、しばしば色素を析出させる問題がある。この様な色素凝集のし易さは、カチオン性ポリマーの種類、色素の種類及び両者の組み合わせに依存するが、プリント直後には問題ない場合でも長期間保管中に色素凝集が進行して徐々に起こる場合もある。
色素が析出した場合、プリント表面が像様に金属状になる(以下、この現象をブロンジングという)、あるいは像様に無光沢化する現象が起きる。前者は主として色素の結晶性が高い場合に起きやすく、後者は色素が結晶状になりにくい場合に起きやすい傾向があると考えられているが、何れの場合であってもプリント品質を大きく低下させてしまう。
この問題は、特に、空隙型のインク受容層を有するインクジェット記録用紙で特に生じやすい。この理由は定かではないが、空隙型インク受容層がインクで満たされた際に、親水性バインダーが空隙部分に殆ど存在しないためにカチオン性ポリマー等染料定着剤の移動が比較的容易に起きやすくインク受容層表面まで拡散して色素を凝集させやすくなった為であると推定している。
この問題は、インク受容層中に無機のカチオンイオンが存在すると一層促進されやすく、特にプリント濃度、耐水性および滲み防止に効果のある多価金属化合物(例えば、マグネシウム、カルシウム、アルミ、ジルコニウム化合物等)が存在する場合に色素の凝集を促進しやすい課題がある。更に、原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙などのような非吸水性の支持体に空隙型のインク受容層を塗布することにより光沢度の高いインクジェット記録用紙が製造できることが知られている。しかしながら、このような非吸水性支持体を使用した場合ブロンジングが起き易い課題があることが本発明者らの検討でわかった。非吸水性支持体はインク吸収能力がないためインク吸収層のみでインクを保持する必要があり、比較的長時間空隙層にインクが満たされる結果、上記で推定したように、染料定着剤の移動に基づく色素凝集が起きやすくなるものと考えている。
一方、インク吸収層において、2種類の界面活性剤を併用する方法が提案されている。
例えば、ポリビニルアセタール樹脂と共に、カチオン型フッ素系界面活性剤及びノニオン型フッ素系界面活性剤を含有するインク受容層を設けたインクジェット記録シートが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、透明性が高く、インク受容性、耐水性、記録画像の鮮明性、インク受容層の耐久性に優れたインクジェット記録シートが得られるとされているが、インク受容層の構成が膨潤型を目的としており、本発明が目的とする空隙型インクジェット記録用紙とは全く異なる構成である。また、色材受容層が2種類以上の界面活性剤を含有し、該界面活性剤は共溶解したものを使用することを特徴とするインクジェット記録用シートが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法によれば、はじき故障を生ぜず、良質な外観(面状状態)のインクジェット記録用シートが得られるとされているが、特許文献2においては、本発明で規定するノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とを併用する具体的な記載はなく、ましてや本発明が目的とする高いプリント濃度と光沢を有し、インクジェット記録時に色素の析出によるブロンジングを悪化させることなく高品位な画像を得るための方法に関する記載や示唆は一切ない。
特開平8−104055号公報 (特許請求の範囲) 特開2004−50529号公報 (特許請求の範囲)
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、色素の凝集によるブロンジングの発生によりプリント品質を悪化させることなく高いプリント濃度と光沢が得られるインクジェット記録用紙を提供する。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
支持体上に、少なくとも平均粒子径が100nm以下の無機微粒子と親水性ポリマーからなる空隙型のインク吸収層を有し、該インク吸収層がノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とを含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
(請求項2)
前記ノニオン界面活性剤の0.3質量%水溶液が、最大泡圧法により測定される20m秒での動的表面張力が60mN/m以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項3)
前記ノニオン界面活性剤が、アセチレングリコールまたはその誘導体であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項4)
前記カチオン界面活性剤が、分子内に4級アンモニウム塩を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項5)
前記カチオン界面活性剤が、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドであることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項6)
前記インク吸収層におけるカチオン界面活性剤(C)とノニオン界面活性剤(N)との質量比C/Nが、0.05以上、0.5以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項7)
前記インク吸収層が、多価金属化合物を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項8)
前記支持体が、非吸水性支持体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
本発明によれば、色素の凝集によるブロンジングの発生によりプリント品質を悪化させることなく高いプリント濃度と光沢が得られるインクジェット記録用紙を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、支持体上に、少なくとも平均粒子径が100nm以下の無機微粒子と親水性ポリマーからなる空隙型のインク吸収層を有し、該インク吸収層がノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とを含有することを特徴とするインクジェット記録用紙により、色素の凝集によるブロンジングの発生によりプリント品質を悪化させることなく高いプリント濃度と光沢が得られるインクジェット記録用紙を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
すなわち、本発明の課題であるブロンジングに関して、平均粒子径が100nm以下の無機微粒子と親水性ポリマーからなる空隙型のインク吸収層中にノニオン型の界面活性剤を含有することによりブロンジング抑制効果があることを見出した。しかしながら、ノニオン界面活性剤を含有する場合、プリント濃度が低下する問題があることが判明した。
この課題について検討を行った結果、ノニオン界面活性剤を含有する空隙型のインク吸収層中に、更にカチオン界面活性剤を含有するインクジェット記録用紙においてプリント濃度と光沢の低下がなくブロンジングを抑制することが可能となることを見出した。
ノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤を含有することにより、プリント濃度と光沢の劣化がなくブロンジングを改善できることに関して明確な解釈には至っていないが、次のように考えている。ノニオン界面活性剤は曇点を有している為、インク吸収層を塗布した後、高温乾燥時にノニオン界面活性剤の溶解度が低下しインク吸収層の透明性や光沢が劣化する。その結果、光散乱により染料の光学濃度が低下するものと推定している。カチオン界面活性剤を併用することによりノニオン界面活性剤の溶解性が向上し析出が防止できる結果、プリント濃度と光沢の劣化がなくブロンジングが抑制されるものと考えている。
またノニオン界面活性剤として、0.3%水溶液について最大泡圧法により測定される20m秒での動的表面張力が60mN/m以下であるノニオン界面活性剤により、より高いブロンジング抑制効果が得られることも分かった。この結果に関しては、インクが着弾した段階で、より速く色素表面に界面活性剤が配向するため、染料凝集が起きにくくなるものと考えている。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録用紙においては、インク吸収層がノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とを含有することを特徴とする。
はじめに、ノニオン界面活性剤について説明する。
本発明に係るノニオン界面活性剤とは、水中でイオン解離しない水酸基やエーテル結合を親水基として有する界面活性剤であり、大別してポリエチレングリコール型と多価アルコール型に分けらる。具体的な化合物例としては、「新・界面活性剤入門」(三洋化成工業株式会社刊)の89〜126頁等に記載されており、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤を挙げることができ、具体的には、例えば、ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンアビエチルエーテル、ポリオキシエチレンラノリンエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリルモノオレート、ポリオキシエチレングリセルモノステアレート、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノステアレート、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、ジスチレン化フェノールポリエチレンオキシド付加物、トリベンジルフェノールポリエチレンオキシド付加物、オクチルフェノールポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加物、グリセロールモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等を挙げることができる。
本発明に係るノニオン界面活性剤としては、特に限定はないが、好ましくは0.3%水溶液の最大泡圧法により測定される動的表面張力が20m秒において60mN/m以下であるノニオン界面活性剤を用いることが、本発明の目的効果をより一層発揮できる点で好ましい。
本発明でいう最大泡圧法(Maximum Bubble Pressure Method)とは、液中に気泡を発生させ、その気泡にかかる圧力から表面張力を測定する手段であり、気泡周波数を変化させることで液体の動的表面張力の測定が可能である。別名バブルプレッシャー法とも呼ばれる。
具体的には、液の中に差し込んだ細管から窒素ガスを吹き出して泡を膨らますことにより、液体と気体の界面を広げ、その際の最大圧力から表面張力を求めるというものである。
球状の泡の半径をRからR+dRに増やすとき、泡の表面積の増加分ΔAは、
ΔA=4π(R+dR)2−4πR2=8πR・dR
で表される。
一方、この時、圧力によって行われた仕事は、面積が4πR2の球面をdRだけ押し動かしたのだから、
W=△P・4πR2dRW=ΔP・4πR2dR
で表される。
従って、表面張力γは、
γ=W/ΔA(表面張力の定義)
=ΔP・R/2
としても求める方法である。
具体的な最大泡圧法による界面張力測定装置としては、例えば、協和界面科学社製のDynamic Surface Tension Meter BP−D4タイプ等を挙げることができる。
本発明に係る動的表面張力を示すノニオン界面活性剤は、一般的な界面活性剤の中でも動的表面張力の低下能が高いものである。動的表面張力の低下能が高い界面活性剤の例としては、炭素鎖が12以下のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられ、好ましくは炭素鎖数が7〜9のアルキル基、更に好ましくはアルキル差が分岐構造をとる場合動的表面張力の低下能がより高い。
本発明においては、アセチレングリコールまたはその誘導体が動的表面張力の低下能が高くブロンジング抑制効果が得られ、更に光沢向上効果も得られる観点から特に好ましい。
また、ノニオン性の界面活性剤においては、多くの場合、エチレンオキサイド鎖を含有するが、1分子あたりのエチレンオキサイドの個数が10を超えると塗布液の粘度が上昇しやすい。生産におけるハンドリング上、1分子あたりのエチレンオキサイドの個数が10以下が好ましく、より好ましくは8以下、更にはエチレンオキサイド鎖を有さないノニオン界面活性剤が好ましい。
本発明に係るノニオン界面活性剤の使用量は、特に限定されるものでないが、好ましくはインク吸収層中に0.05〜2.5g/m2の範囲であれば、良好に本発明の効果が得られる。
次いで、カチオン界面活性剤について説明する。
本発明で用いることができるカチオン界面活性剤としては、アミン塩型と4級アンモニウム塩型の2種に大別され、例えば、「新・界面活性剤入門」(三洋化成工業株式会社刊)の63〜81頁に具体的な構造例が記載されている。
具体的には、アミン塩型の例としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、N−アルキルプロピレンアミン、N−アルキルポリエチレンポリアミン、N−アルキルポリエチレンポリアミンジメチル硫酸塩、アルキルピグアニド、長鎖アミンオキシド、アルキルイミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−2−アルキルイミダゾリン、1−アセチルアミノエチル−2−アルキルイミダゾリン、2−アルキル−4−メチル−4−ヒドロキシメチルオキサゾリン等がある。
また、第4アンモニウム塩型の例としては、長鎖第1アミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルエチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルキノリニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、アルキルピリジニウム硫酸塩、ステアラミドメチルピリジニウム塩、アシルアミノエチルジエチルアミン塩、アシルアミノエチルメチルジエチルアンモニウム塩、アルキルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩、脂肪酸ポリエチレンポリアミド、アシルアミノエチルピリジニウム塩、アシルコラミノホルミルメチルピリジニウム塩、ステアロオキシメチルピリジニウム塩、脂肪酸トリエタノールアミン、脂肪酸トリエタノールアミンギ酸塩、トリオキシエチレン脂肪酸トリエタノールアミン、脂肪酸ジブチルアミノエタノール、セチルオキシメチルピリジニウム塩、p−イソオクチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩等がある。
本発明に係るインク吸収層で使用されるカチオン界面活性剤としては、特に限定はないが、好ましくは4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤であり、特に、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドが好ましい。
本発明に係るカチオン界面活性剤の使用量は、特に限定されるものでないが、カチオン界面活性剤(C)と前記ノニオン界面活性剤(N)の質量比C/Nが、0.05以上、0.5以下の範囲になるように添加することが好ましい。C/Nがこの範囲であれば、より良好なプリント濃度とブロンジング抑制および高い光沢を達成し易い。
本発明において、インク吸収層中のノニオン界面活性剤あるいはカチオン界面活性剤の含有量の測定方法としては、公知の界面活性剤の定量法を適用することができ、「新界面活性剤」(堀口博編、三共出版社)の章−14「界面活性剤の分析」に記載の方法に準じて測定することができ、例えば、カチオン界面活性剤の定量としては、オレンジII法、ダイサルフィンブルー法、電気伝導度検出HPLC法を適用することができ、またノニオン界面活性剤の定量としては、チオシアン酸コバルト法、アルミナカラム法等を適用することができる。
次いで、本発明のインクジェット記録用紙のその他の構成要素について説明する。
本発明に係るインク吸収層には、上記各界面活性剤の他に少なくとも平均粒子径が100nm以下の無機微粒子及び親水性バインダーを含有し、空隙を構成している。
本発明で用いることのできる無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料を挙げることができる。上記無機微粒子は、一次粒子のまま用いても、また二次凝集粒子を形成した状態で使用することもできる。
本発明においては、インクジェット記録用紙で高品位なプリントを得る観点から、無機微粒子として、低屈折率で、かつ100nm以下の平均粒子径のものが比較的安価に得られる観点からシリカ系粒子またはアルミナ径粒子が好ましく、更にはアルミナ、擬ベーマイト、コロイダルシリカ、もしくは気相法により合成された微粒子シリカ等が好ましく、特に、平均粒子径が100nm以下の気相法で合成された微粒子シリカが特に好ましい。
この気相法で合成されたシリカは、表面がアルミニウムで修飾されたものであっても良い。表面がアルミニウムで修飾された気相法シリカのアルミニウム含有率は、シリカに対して質量比で0.05〜5%のものが好ましい。
上記無機微粒子の粒径は、光沢性や発色濃度の観点から100nm以下であり、粒径の下限は特に限定されないが、無機微粒子の製造上の観点から、概ね10nm以上が好ましい。
上記無機微粒子の平均粒子径は、多孔質インク吸収層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めて、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
上記無機微粒子は、一次粒子のままであるいは二次粒子もしくはそれ以上の高次凝集粒子で多孔質皮膜に存在していても良いが、上記平均粒子径は、電子顕微鏡で観察した時にインク吸収層中で独立の粒子を形成しているものの粒径をいう。
上記無機微粒子が二次以上の凝集粒子である場合には、その平均一次粒子径は、多孔質膜中で観測される平均粒子径以下であり、無機微粒子の一次粒子径としては30nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜20nmの微粒子である。
上記無機微粒子の水溶性塗布液における含有量は、5〜40質量%であり、特に7〜30質量%が好ましい。上記無機微粒子は、十分なインク吸収性があり、皮膜のひび割れ等が少ないインク吸収層を形成する必要があり、インク受容層中には、5〜50g/m2の付量になることが好ましい。更には、10〜30g/m2であることが特に好ましい。
インク吸収層が含有する親水性バインダーとしては、特に制限は無く、従来公知の親水性バインダーを用いることができ、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等を用いることができるが、バインダーの吸湿特性が比較的小さく、記録用紙のカールがより小さい観点、及び少量の使用で無機微粒子のバインダー能力が高くひび割れや膜付き性が優れている観点から、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
本発明に好ましく用いられるポリビニルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,000〜5,000のものが好ましく用いられ、ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.8%のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されるような、第1〜3級アミノ基や第4級アミノ基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、これらはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−メチルビニルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平1−206088号に記載されているアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号及び同63−307979号に記載されているビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号に記載されている水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類の違いなど、2種類以上を併用することもできる。特に、重合度が2,000以上のポリビニルアルコールを使用する場合には、予め無機微粒子に対して0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%添加してから、重合度が2,000以上のポリビニルアルコールを添加すると、著しい増粘が無く好ましい。
また、本発明に係るインク吸収層の親水性バインダーとして、電離放射線により架橋または重合する高分子化合物を用いることが好ましい。電離放射線により架橋または重合する高分子化合物とは、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により、反応を起こして架橋または重合反応をする水溶性の樹脂であり、反応前には水溶性であるが、反応後には実質的に非水溶性となる樹脂である。上記の樹脂は反応後も親水性を有し、十分なインクとの親和性を維持するものである。
このような樹脂としては、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、または前記親水性樹脂の誘導体、及びこれらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種であるか、またはその親水性樹脂に、光二量化型、光分解型、光重合型、光変性型、光解重合型などの変性基により変性したものである。中でも、光二量化型、光重合型の変性基により変性した樹脂が、感度または樹脂自身の安定性の観点から好ましい。光二量化型の変性基としては、ジアゾ基、シンナモイル基、スチリルピリジニウム基、スチルキノリウム基を導入したものが好ましく、光二量化後アニオン染料等の水溶性染料により染色される樹脂が好ましい。このような樹脂としては、例えば、1級アミノ基ないし4級アンモニウム基等のカチオン性期を有する樹脂、例えば、特開昭62−283339号、特開平1−198615号、特開昭60−252341号、特開昭56−67309号、特開昭60−129742号等の公報に記載された感光性樹脂(組成物)、硬化処理によりアミノ基になるアジド基のような硬化後カチオン性になる樹脂、例えば、特開昭56−67309号等の公報に記載された感光性樹脂(組成物)が挙げられる。
具体的には、例えば、以下のような化合物が挙げられるが、本発明はこれらの化合物のみに限定されるものではない。
特開昭56−67309号公報に記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中に、下記式(I)
Figure 2006076182
で表される2−アジド−5−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造、又は、下記式(II)
Figure 2006076182
で表される4−アジド−3−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造を有する樹脂組成物である。
感光性樹脂の具体例は、該公報中の実施例1、2に、また感光性樹脂の構成成分及びその使用割合は該公報第2頁に記載されている。
また、特開昭60−129742号公報には、感光性樹脂としてポリビニルアルコール構造体中に、下記式(III)、式(IV)
Figure 2006076182
の構造を有する樹脂組成物が挙げられている。
本発明においては、電離放射線により架橋する親水性樹脂の中でも、光重合型の変性基としては、例えば、特開2000−181062号公報に開示されている下記一般式(A)で示される構成単位を有するポリ酢酸ビニルケン化物が、反応性との観点から好ましい。
Figure 2006076182
上記一般式(A)において、R1は水素原子またはメチル基を表し、Yは芳香族環または単なる結合手を表し、Xは、−(CH2m−COO−、−O−CH2−COO−または−O−を表し、mは0〜6の整数、nは1または2を表す。
本発明においては、電離放射線により重合された高分子化合物を含む親水性バインダーと共に、光開始剤や増感剤を添加することが好ましい。これらの化合物は、溶媒に溶解、または分散した状態、もしくは上記高分子化合物を含む親水性バインダーに対して化学的に結合されていてもよい。
適用される光開始剤、光増感剤については、特に制限はなく、従来公知の光開始剤あるいは光増感剤を用いることができ、例えば、ベンゾフェノン類(例えば、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等)、チオキサントン類(例えば、チオキサトン、2、4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等)、アントラキノン類(例えば、エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等)、アセトフェノン類、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル等)、2,4,6−トリハロメチルトリアジン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン類、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等)、ビスアシルフォスフィンオキサイド及びこれらの混合物等が挙げられ、上記各化合物は単独で使用しても2種以上併用してもよい。
特に、水溶性の1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、チオキサントンアンモニウム塩、ベンゾフェノンアンモニウム塩等の水溶性開始剤が、混合性等に優れ架橋効率の観点からも好ましい。
これらの開始剤に加え、促進剤等を添加することもできる。これらの例として、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
このような樹脂においては、母核ポリビニルアルコール樹脂の重合度が300以上であることが好ましく、1700以上がより好ましい。セグメントに対する電離放射線反応変性基の変性率は4mol%以下が好ましく、より好ましくは1mol%以下である。セグメントの重合度が300以下または、変性率が4mol%を超えると、塗膜の架橋密度が高すぎて、乾燥塗膜の折れ割れ性が著しく悪くなる。同時に架橋密度が高すぎる場合、基材との吸湿性、寸法安定性のバランスが悪く、カール耐性が悪くなり好ましくない。
本発明のインクジェット記録用紙の製造方法においては、親水性バインダーとして上記の電離放射線により高分子化合物を用いる場合には、電離放射線により高分子化合物を含む塗布液を塗布し、塗布層の総固形分濃度が5〜90%の時点に電離放射線を照射して塗工層をゲル化させ、その後乾燥する。本発明でいう電離放射線とは、例えば、電子線、紫外線、α線、β線、γ線、エックス線等が挙げられるが、人体への危険性や取り扱いが容易で、かつ工業的にもその利用が普及している点で電子線または紫外線が好ましい。
電子線の照射方法としては、例えばスキャニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式などがあるが、処理能力の観点からカーテンビーム方式が好ましい。電子線の加速電圧は、塗膜の比重と膜圧により適時変化させることができるが、20kV〜300kVが適当である。電子線の照射量は0.1〜20Mradの範囲が好ましい。
紫外線の光源としては例えば100Pa〜1MPaの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が用いられるが、光源の波長分布という観点で高圧水銀灯、メタルハライドランプが好ましく、メタルハライドランプがより好ましい。
特に光源の波長に300nm以下の紫外線が含まれる場合や、照射エネルギーとして100J/cm2を超える場合には、電離放射線架橋性樹脂の母核、または共存させる各種添加剤が電離放射線により分解を起こし、本発明の効果を得られないだけでなく、分解物に由来する臭気などの問題を生ずる可能性がある。逆に、照射エネルギーが0.1mJ/cm2に満たない場合では、架橋効率が不足し、本発明の効果を十分に得ることができなくなる。したがって、光源としては300nm以下の波長光をカットするフィルターを設けることが好ましく、ランプの出力としては400W〜30kW、照度としては10mW/cm2〜10kW/cm2が好ましい。本発明では照射エネルギーとしては0.1mJ/cm2〜100mJ/cm2であることが好ましく、1mJ/cm2〜50mJ/cm2であることがより好ましい。
同一積算光量(mJ/cm2)を与える場合、照度に好ましい範囲があることは、その光の透過率が変化することに起因する。紫外線の透過性により、発生した架橋反応種の濃度分布が異なり、紫外線照度が高い場合、表層に高濃度の架橋反応種が発生し、塗膜表層に堅い緻密な膜が形成されてしまう。照度が好ましい範囲にある場合には、表層の架橋度合いも低く、深部方向への光透過性が高いため緩やかな架橋が深部方向へ均一に形成される。照度が低すぎる場合には、必要積算照度を与える場合に照射時間がかかってしまい、設備導入等の面で不利であるばかりでなく、塗膜による紫外線の散乱による絶対光線量が不足するため好ましくない。
インク吸収層の親水性バインダーに対する無機微粒子の比率は、質量比で2〜20であることが好ましい。質量比が2倍以上であれば、充分な空隙率の多孔質膜が得られ、充分な空隙容量を得やすくなり、維持できる親水性バインダーによるインクジェット記録時の膨潤によって空隙を塞ぐ状況を招かず、高インク吸収速度を維持できる要因となる。一方、この比率が20倍以下であれば、インク吸収層を厚膜で塗布した際、ひび割れが生じにくくなる。特に好ましい親水性バインダーに対する無機微粒子の比率は2.5〜12倍、最も好ましくは3〜10倍である。
本発明に係るインク吸収層、あるいはその他の構成層を形成する水溶性塗布液中には、各種の添加剤を添加することもできる。そのような添加剤としては、例えば、カチオン媒染剤、多価金属化合物、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、又はメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、アニオン、カチオン、非イオン、両性の各界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
カチオン媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基および第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が用いられるが、長期保存での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好ましい。好ましいポリマー媒染剤は、上記第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体または縮重合体として得られる。
本発明のインクジェット記録用紙においては、特にインク吸収層が多価金属化合物を含有することが好ましい。
本発明に係る多価金属化合物は、例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ストロンチウム、バリウム、ニッケル、銅、スカンジウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、スズ、鉛などの金属化合物を挙げることができ、また多価金属化合物は多価金属塩であってもよい。中でもマグネシウム、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウム、亜鉛からなる化合物は無色の為好ましく、多価金属化合物がジルコニウム原子、アルミニウム原子またはマグネシウム原子を含む化合物であることが更に好ましく、多価金属化合物がジルコニウム原子を含む化合物であることが特に好ましい。
本発明で用いることのできるジルコニウム原子、アルミニウム原子またはマグネシウム原子を含む化合物(但し、酸化ジルコニウム及び酸化アルミニウムは除く)は、その化合物自身は水溶性であっても非水溶性であっても良いが、インク吸収層の所望の位置に均一に添加できるものであることが好ましい。
また、本発明で用いることのできるジルコニウム原子、アルミニウム原子またはマグネシウム原子を含む化合物は、無機酸や有機酸の単塩および複塩、有機金属化合物、金属錯体などのいずれであっても良いが、インク吸収層の所望の位置に均一に添加できるものが好ましい。
本発明で用いることのできるジルコニウム原子を含む化合物の具体例としては、二フッ化ジルコニウム、三フッ化ジルコニウム、四フッ化ジルコニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸塩(例えば、カリウム塩)、ヘプタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩やアンモニウム塩)、オクタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、リチウム塩)、フッ化酸化ジルコニウム、二塩化ジルコニウム、三塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、ヘキサクロロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩やカリウム塩)、酸塩化ジルコニウム(例えば、塩化ジルコニル)、二臭化ジルコニウム、三臭化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、臭化酸化ジルコニウム、三ヨウ化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、過酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、硫化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、p−トルエンスルホン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニル、硫酸ジルコニルナトリウム、酸性硫酸ジルコニル三水和物、硫酸ジルコニウムカリウム、セレン酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル、リン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、酢酸ジルコニルアンモニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニル、ステアリン酸ジルコニル、リン酸ジルコニウム、リン酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニウム、ジルコニウムイソプロピレート、ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブチレート、ステアリン酸ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセテート、ビス(アセチルアセトナト)ジクロロジルコニウム、トリス(アセチルアセトナト)クロロジルコニウムなどが挙げられる。
これらのジルコニウム原子を含む化合物の中でも、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、酸塩化ジルコニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニルが好ましく、特に酸塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニルが好ましい。
本発明で用いることのできるアルミニウム原子を含む化合物の具体例としては、フッ化アルミニウム、ヘキサフルオロアルミン酸(例えば、カリウム塩等)、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム(ポリ塩化アルミニウム)、テトラクロロアルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩等)、臭化アルミニウム、テトラブロモアルミン酸塩(例えば、カリウム塩など)、ヨウ化アルミニウム、アルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等)、塩素酸アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、チオシアン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸アンモニウムアルミニウム(アンモニウムミョウバン)、硫酸ナトリウムアルミニウム、燐酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、燐酸水素アルミニウム、炭酸アルミニウム、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムブチレート、エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセトネート)等を挙げることができる。これらの中でも、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性硫酸ケイ酸アルミニウムが好ましい。
本発明で用いることのできるマグネシウム原子を含む化合物の具体例としては、フッ化マグネシウム、酢酸マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化マグネシウム、ギ酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、チオシアン酸マグネシウム、チオ硫酸マグネシウム、硫化マグネシウム、炭化マグネシウム、リン酸マグネシウムがあげられ、これらの中でも塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウムが好ましい。
これらの多価金属化合物の中でも、特に好ましいものは、前述したジルコニウム原子を含む化合物で好ましいものとして例示したもの、アルミニウム原子含む化合物で好ましいものとして例示したもの、マグネシウム原子を含む化合物で好ましいものとして例示したものの中で、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、酸塩化ジルコニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニル、塩基性塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム及び塩基性硫酸ケイ酸アルミニウムである。特に酸塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニルが好ましく、酸塩化ジルコニウムが最も好ましい。
カチオン性ポリマー、あるいは水溶性の多価金属化合物の使用量は、無機微粒子に対する質量比で10質量%以下、より好ましくは8質量%以下であることがインク吸収性の劣化を抑制する為に好ましい。
カチオン性ポリマー、あるいは水溶性の多価金属化合物の添加方法としては、塗布液に直接添加して塗布する方法のほか、記録用紙の塗布乾燥後にカチオン性の樹脂や水溶性の多価金属化合物の水溶液をオーバーコートして乾燥するといった方法でもかまわない。
本発明のインクジェット記録用紙には、インク吸収層を形成する水溶性バインダーの硬膜剤を添加することが好ましい。
本発明で用いることのできる硬化剤としては、水溶性バインダーと硬化反応を起こすものであれば特に制限はないが、ホウ酸及びその塩が好ましいが、その他にも公知のものが使用でき、一般的には水溶性バインダーと反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
ホウ酸またはその塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸及び八ホウ酸及びそれらの塩が挙げられる。
硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸及びその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用しても良い。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂の混合水溶液である。ホウ酸とホウ砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることが出来、塗布液を濃縮化することができる。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることができる利点がある。上記硬化剤の総使用量は、上記水溶性バインダー1g当たり1〜600mgが好ましい。
本発明の記録用紙において、インク吸収層塗布液の粘度は40℃において0.010〜0.300Pa・sにすることが好ましく、より好ましい粘度範囲は0.025〜0.100Pa・sである。塗布液の粘度が高くなりすぎると塗布装置への供給が出来なくなり、送液不良を招く結果となる。
本発明で用いることのできる支持体としては、従来インクジェット記録用紙用として公知のものを適宜使用でき、吸水性支持体であってもよいが、非吸水性支持体であることが好ましい。吸収性支持体を用いた場合には、支持体がインク中の水分を吸収することによりコックリングを起こしてしまうことがあり、プリント後の品位が損なわれてしまう。
本発明で用いることのできる吸水性支持体としては、例えば、一般の紙、布、木材等を有するシートや板等を挙げることができる。紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。又、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。上記紙支持体中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。紙支持体は、前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。又、必要に応じて抄紙段階又は抄紙機にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることもできる。
本発明で好ましく用いることのできる非吸水性支持体には、透明支持体及び不透明支持体がある。透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアテセート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料を有するフィルム等が挙げられ、中でもオーバーヘッドプロジェクター(OHP)用として使用されたときの輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、50〜200μmが好ましい。また、不透明支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆる、RCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに硫酸バリウム等の白色顔料を添加してなる、いわゆるホワイトペットが好ましい。前記各種支持体とインク吸収層の接着強度を大きくする等の目的で、インク吸収層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明のインクジェット記録用紙は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録シートであってもよい。
本発明のインクジェット記録用紙では、原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。
そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPの何れも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP又はLDPの比率は10〜70質量%が好ましい。上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、又、叩解後の繊維長は、JIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。原紙は抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。また、原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良い。原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。特に、インク吸収層側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われているようにルチル又はアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリエチレンに対して通常3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、またポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも本発明で使用できる。上記ポリエチレン被覆紙においては紙中の含水率を3〜10質量%に保持するのが特に好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙において、支持体上に本発明に係るインク吸収層等の構成層を塗布する方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができる。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもできる。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,681,294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
次いで、本発明のインクジェット記録用紙上に画像印字を行うのに用いるインクジェットインク(以下、単にインクともいう)について説明する。
本発明のインクジェット記録用紙に用いるインクとしては、水系インク組成物、油系インク組成物、固体(相変化)インク組成物等を用いることができるが、水系インク組成物(例えば、インク総質量あたり10質量%以上の水を含有する水系インクジェット記録液等)を、特に好ましく用いることができる。
インクに用いられる着色剤としては、従来公知の水溶性染料、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、あるいは分散染料、顔料等を用いることができる。
水系インク組成物は、水溶性有機溶媒を併用することが好ましい。本発明で用いることのできる水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。好ましい水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類が挙げられる。さらに、多価アルコールと多価アルコールエーテルを併用することが、特に好ましい。水溶性有機溶媒は、単独もしくは複数を併用しても良い。水溶性有機溶媒のインク中の添加量としては、総量で5〜60質量%であり、好ましくは10〜35質量%である。
本発明で用いるインク組成物には、必要に応じて、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、尿素樹脂、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤等を挙げることができる。
インク組成物は、その飛翔時の粘度として40mPa・s以下が好ましく、30mPa・s以下であることがより好ましい。また、インク組成物はその飛翔時の表面張力として、20mN/m以上が好ましく、30〜45mN/mであることがより好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙を用いたインクジェット記録方法に使用するインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電解制御型、スリットジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中に記載の「%」は、特に断りのない限り質量%を表す。
《記録用紙の作製》
〔微粒子分散液Aの調製〕
気相法シリカ(商品名:アエロジル300、日本アエロジル(株)製、一次粒子の平均粒子径7nm)の10kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーを用いて、35Lの純水に435mlのエタノールを加えた水溶液中に室温で吸引分散した後、純水を添加して全量を43.5Lに仕上げ分散液とした。この分散液は、pHが2.8でエタノールを1質量%含有している。
次に、この分散液の400mlに、カチオン性ポリマー(HP−1)の28%水溶液を40ml添加し、ディゾルバーでプレ分散した後、pHを4.5に調整するに要する量の酢酸ナトリウムを加えた。更に、サンドミル分散機にて周速9m/秒の条件で30分間分散した。この分散液の全量を540mlに仕上げて、ほぼ透明な微粒子分散液Aを調製した。この微粒子分散液B1を、アドバンテックス東洋社製のTCP−10タイプのフィルターを用いてろ過を行った。
〔紫外線重合型ポリビニルアルコール水溶液B−1の調製〕
特開2000−181062号公報に記載の方法に準じて、重合度3000、ケン化度88%のポリビニルアルコールに、p−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンズアルデヒドを反応させた後、光重合開始剤(日本化薬製、カヤキュアQTX)を、ポリビニルアルコールに対し、質量比で1.8%添加して架橋基変性率1mol%、固形分濃度8質量%の紫外線重合型ポリビニルアルコール水溶液B−1を調製した。
〔記録用紙の作製〕
上記調製した微粒子分散液Aの528mlを40℃で攪拌しながら、上記調製した紫外線重合型ポリビニルアルコール水溶液B−1の188mlを徐々に添加し、次いで、ノニオン界面活性剤として界面活性剤(S−1)の3%溶液(水:イソプロピルアルコール=1:1)を50mlと、カチオン界面活性剤として界面活性剤(S−5)の5%溶液(水:イソプロピルアルコール=1:1)を10ml加え、更に全体の液が1000mlになるように純水を加えて、半透明状のインク吸収層塗布液1を調製した。
次いで、厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆したポリエチレンコート紙(インク吸収層面側のポリエチレン中には8%のアナターゼ型酸化チタン含有し、同じくインク吸収層面側には0.05g/m2のゼラチン下引き層を有し、また、インク吸収層とは反対側の面にはTgが約80℃のラテックス性ポリマー含むバック層を0.2g/m2として有する)に、上記インク吸収層塗布液1をバーコーターにより湿潤膜厚200μmで塗布した。塗布直後、0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却し、365nmに主波長を持つメタルハライドランプに300nm以下の波長をカットするフィルター(岩崎電気(株)製:365フィルター)を設け、照度100mw/cm2で、エネルギー量として30mJ/cm2となるように紫外線を照射し、その後、80℃の熱風型オーブンで乾燥した。乾燥後、ポリ塩基性アルミニウム(多木化学株式会社製:タキバイン#1500)の水溶液をアルミニウム質量換算で0.4g/m2になるようにバーコーターで塗布し、更に80℃の熱風型オーブンで乾燥して記録用紙1を作製した。なお、上記記録用紙1中の界面活性剤(S−1)および界面活性剤(S−5)の含有量は、それぞれ0.3g/m2及び0.1g/m2である。
〔記録用紙2〜15の作製〕
上記記録用紙1の作製において、ノニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤の種類及び添加量を、表1に記載の様に変更した以外は同様にして、記録用紙2〜13を作製した。また、記録用紙2と12の作製において、ポリ塩基性アルミニウム(多木化学株式会社製:タキバイン#1500)の塗布を行わなかった以外は同様にして、記録用紙14、15を作製した。
表1に記載の各界面活性剤の詳細は、以下の通りである。
界面活性剤(S−1):ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート(パイオニンD−945−T、動的表面張力=73.1mN/m、竹本油脂社製)
界面活性剤(S−2):ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(オクタポール100,動的表面張力=40.2mN/m、三洋化成工業社製)
界面活性剤(S−3):ノニオン界面活性剤、アセチレングリコール(サーフィノール82、動的表面張力=53.4mN/m、日信化学工業社製)
界面活性剤(S−4):ノニオン界面活性剤、アセチレングリコール・エチレンオキサイド付加物(サーフィノール440、動的表面張力=37.4mN/m、日信化学工業社製)
界面活性剤(S−5):カチオン界面活性剤、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(コータミン24P、花王社製)
界面活性剤(S−6):カチオン界面活性剤、オレイルアミン酢酸塩(パイオニンB−709、竹本油脂社製)
界面活性剤(S−7):カチオン界面活性剤、ラウリルピリジニウムクロライド(パイオニンB−251、竹本油脂社製)
界面活性剤(S−8):カチオン界面活性剤、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩(メガファックスF−150、大日本インキ工業社製)
また、上記及び表1に記載の各ノニオン界面活性剤の動的表面張力は、それぞれのノニオン界面活性剤の0.3質量%水溶液を調製し、動的表面張力測定装置としてクルス社製のBP2(ドイツ)を使用し、液温35℃条件において連続的に泡を発生させ、最大泡圧法により20ms時の動的表面張力を測定した値である。
《記録用紙の評価》
上記作製した各記録用紙について、下記の方法に従って各評価を行った。
〔ブロンジング耐性の評価〕
上記作製した各記録用紙上に、セイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPMG800を用いて、黒のベタ画像をプリントし、23℃、相対湿度80%で1週間保存した後、プリント画像の状態を目視で観察して、下記の基準に従ってブロンジング耐性を評価した。
◎:ブロンジングの発生が、全く認められない
○:ごく一部で弱いブロンジングの発生が認められる
△:一部でブロンジングの発生が認められるが、実用上問題ない品質である
×:ブロンジングが激しく認められ、実用上問題となる品質である
××:極めて激しいブロンジングの発生があり、鑑賞に堪えない品質である
〔プリント濃度の評価〕
各記録用紙に対し、上記インクジェットプリンターを用いて、最大出力条件で黒のベタ画像をプリントし、その印字画像の最大反射濃度をX−Rite938(X−Rite(株)製)の緑色光で測定し、下記の基準に従ってプリント濃度を評価した。
◎:反射濃度が2.2以上である
○:反射濃度が2.1以上、2.2未満である
△:反射濃度が2.0以上、2.1未満である
×:反射濃度が2.0未満である
〔光沢の評価〕
各記録用紙のインク吸収層面側を、日本電色工業株式会社製の変角光沢度計(VGS−1001DP)を用いて60度光沢を測定し、下記の基準に従って光沢を評価した。
◎:光沢度が40%以上
○:光沢度が35%以上、40%未満
△:光沢度が30%以上、35%未満
×:光沢度が30%未満
以上により得られた結果を、まとめて表1に示す。
Figure 2006076182
表1に記載の結果より明らかなように、本発明で規定するインク吸収層がノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とを含有するインク吸収層を有する本発明の記録用紙は、比較例に対し、ブロンジングの発生によるプリント品質を悪化させることなく、高いプリント濃度と光沢が得られるインクジェット記録用紙であることが分かる。
また、上記各記録用紙の作製において、インク吸収層で用いた気相法シリカ(商品名:アエロジル300、日本アエロジル(株)製、一次粒子の平均粒子径7nm)に代えて、市販湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:T−32、比表面積202g/m2、平均2次粒径1.5μm沈降法シリカ)を水性媒体中に高速回転式攪拌分散機を周速20m/secで回転させながら、徐々に投入、粉砕分散して調製した平均粒径200nmの湿式シリカを用いた以外は同様にして記録用紙の作製を行い、同様の評価を行った結果、表1に記載の結果には及ばず、光沢劣化を引き起こし満足のいく結果を得ることができなかった。

Claims (8)

  1. 支持体上に、少なくとも平均粒子径が100nm以下の無機微粒子と親水性ポリマーからなる空隙型のインク吸収層を有し、該インク吸収層がノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とを含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. 前記ノニオン界面活性剤の0.3質量%水溶液が、最大泡圧法により測定される20m秒での動的表面張力が60mN/m以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
  3. 前記ノニオン界面活性剤が、アセチレングリコールまたはその誘導体であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
  4. 前記カチオン界面活性剤が、分子内に4級アンモニウム塩を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  5. 前記カチオン界面活性剤が、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドであることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録用紙。
  6. 前記インク吸収層におけるカチオン界面活性剤(C)とノニオン界面活性剤(N)との質量比C/Nが、0.05以上、0.5以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  7. 前記インク吸収層が、多価金属化合物を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  8. 前記支持体が、非吸水性支持体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
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