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JP2006063821A - 内燃機関の燃料供給量制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料供給量制御装置 Download PDF

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JP2006063821A JP2004244742A JP2004244742A JP2006063821A JP 2006063821 A JP2006063821 A JP 2006063821A JP 2004244742 A JP2004244742 A JP 2004244742A JP 2004244742 A JP2004244742 A JP 2004244742A JP 2006063821 A JP2006063821 A JP 2006063821A
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Abstract

【課題】吸気通路の上流側及び下流側に2つの燃料供給手段を設けた内燃機関において、燃料供給量を好適に制御し、燃焼状態の不測の変動を抑制する。
【解決手段】エンジン10の吸気管11において、吸気ポート近傍にはプライマリインジェクタ17が設けられ、スロットルバルブ14の上流側にはセカンダリインジェクタ18が設けられている。ECU50は、その都度の空燃比が目標値に一致するよう各インジェクタ17,18による燃料噴射量をフィードバック制御する。また特に、ECU50は、セカンダリインジェクタ18の燃料噴射状況に応じてフィードバック制御に所定の制限を加える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、吸気通路の上流側及び下流側に2つの燃料供給手段(インジェクタ)を設けた内燃機関の燃料供給量制御装置に関するものである。
従来から、内燃機関の出力向上等を目的として、吸気通路の吸気ポート近傍に第1燃料供給手段としてのプライマリインジェクタを設けると共に、該プライマリインジェクタよりも上流側に第2燃料供給手段としてのセカンダリインジェクタを設けた先行技術が知られており、それら各インジェクタの燃料噴射量は内燃機関の運転状態等に応じて適宜制御されるようになっている。例えば特許文献1参照では、プライマリインジェクタによる燃料噴射量をフィードバック制御すると共に、セカンダリインジェクタによる燃料噴射量をオープン制御するようにしている。
しかしながら、既存の技術では以下に示す問題が生じる。すなわち、セカンダリインジェクタにより燃料噴射が行われると、吸気通路内壁において広い範囲で燃料が付着し、それに起因して空燃比が乱れる。それ故に、フィードバック補正量が変動してしまい、内燃機関の燃料供給量に不測の変動が生じる。これにより、燃焼状態が変動し、排気エミッションの悪化やトルク変動などの問題が生じるおそれがあった。
特許第2704893号公報
本発明は、吸気通路の上流側及び下流側に2つの燃料供給手段を設けた内燃機関において、燃料供給量を好適に制御し、燃焼状態の不測の変動を抑制することができる内燃機関の燃料供給量制御装置を提供することを主たる目的とするものである。
吸気通路の下流側と上流側にそれぞれ第1燃料供給手段と第2燃料供給手段とを設けた内燃機関では、第2燃料供給手段による燃料供給割合が増える場合や、同第2燃料供給手段による燃料供給の開始直後や停止直後において空燃比の乱れが生じる。これは、第2燃料供給手段により燃料供給が行われる際にその燃料供給位置から燃焼室入口までの広範囲にわたり吸気通路内壁に燃料が付着することに起因しており、その空燃比の乱れによりフィードバック量が変動し、ひいては燃焼状態の不測の変動が生じる。かかる実状において、本願発明者らは、上記問題が第2燃料供給手段の燃料供給状況に大いに関わっていることを確認した。そして本発明において、第2燃料供給手段による燃料供給が行われる際にその燃料供給状況に応じてフィードバック制御に所定の制限を加えることとした。これにより、空燃比が不安定となる期間においてフィードバック量の変動を無くす又は小さくすることができる。その結果、吸気通路の上流側及び下流側に2つの燃料供給手段を設けた内燃機関において、燃料供給量を好適に制御し、燃焼状態の不測の変動を抑制することができる。
フィードバック制御に制限を付加する手段として、具体的には以下の各手段が考えられる。
・第2燃料供給手段の燃料供給割合が所定値以上である場合にフィードバック制御を禁止する。
・第2燃料供給手段の燃料供給開始から所定時間が経過するまでの期間、及び第2燃料供給手段の燃料供給停止から所定時間が経過するまでの期間の少なくとも何れかで、フィードバック制御を禁止する。
・第2燃料供給手段の燃料供給開始から所定時間が経過するまでの期間、及び第2燃料供給手段の燃料供給停止から所定時間が経過するまでの期間の少なくとも何れかで、フィードバック制御の制御ゲインを低下させる。
つまり、第2燃料供給手段による燃料供給割合が大きいと吸気通路内壁に付着する燃料量が増え、これにより空燃比の乱れが生じて燃料供給量が過補正されるなどの不都合が生じる。また、第2燃料供給手段の燃料供給開始直後や停止直後は、吸気通路内壁の燃料付着状態が変化して空燃比が不安定となり、やはり燃料供給量が過補正されるなどの不都合が生じる。これに対し、上記各手段によれば、燃料供給量が過補正されるなどの不都合を解消し、燃料供給量制御の安定化を図ることができる。
なお、フィードバック制御が禁止された場合には、これに代えて燃料供給量がオープン制御される。第2燃料供給手段の燃料供給割合とは、全燃料供給量に対する第2燃料供給手段による燃料供給量の比率を意味する。
ここで、第2燃料供給手段による供給燃料がどの程度吸気通路内壁に付着し、また同内壁から離脱するかは内燃機関の運転状態(例えば冷却水温度、負荷等)に応じて変化する。それ故に、第2燃料供給手段の燃料供給の開始直後又は停止直後に規定される前記所定時間を、内燃機関の運転状態に応じて可変設定すると良い。
また、第2燃料供給手段による燃料供給が行われている期間内で、該第2燃料供給手段の燃料供給割合に応じてフィードバック制御の制御ゲインを可変設定すると良い。これにより、第2燃料供給手段による燃料供給中において、燃焼状態の不測の変動を抑制しつつ、フィードバック制御を実施することが可能となる。
一方、フィードバック制御に際し、空燃比がリーン/リッチ間で反転するのに伴いスキップ処理を行うと共にその後積分処理を行うことでフィードバック補正量を更新する制御手法が知られている。この制御手法を採用する場合において、フィードバック補正量の算出に用いる積分量及びスキップ量の少なくとも何れかを第2燃料供給手段の燃料供給割合に応じて可変設定すると良い。或いは、フィードバック制御に際し、空燃比がリーン/リッチ間で反転するのに伴いスキップ処理を行うと共に、その後ホールド処理に引き続いて積分処理を行うことでフィードバック補正量を更新するようにした制御装置では、フィードバック補正量の算出に用いる積分量、スキップ量及びホールド時間の少なくとも何れかを第2燃料供給手段の燃料供給割合に応じて可変設定すると良い。これらの構成により、第2燃料供給手段の供給燃料が燃焼に影響するまでの応答遅れを考慮してフィードバック制御を実施することができる。
このとき特に、第2燃料供給手段の燃料供給割合が大きいほど積分量を小さくしたり、第2燃料供給手段の燃料供給割合が大きいほどスキップ量を小さくしたり、第2燃料供給手段の燃料供給割合が大きいほどホールド時間を長くしたりすると良い。この場合、積分量を小さくすること、スキップ量を小さくすること、又はホールド時間を長くすることによりフィードバック補正量の変動が抑制される。
また、第2燃料供給手段による燃料供給が行われる期間内でフィードバック制御を禁止しても良く、本構成によっても燃焼状態の不測の変動を抑制することができる。
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。本実施の形態は、内燃機関である二輪車用多気筒ガソリンエンジンを対象にエンジン制御システムを構築するものとしており、当該制御システムにおいては電子制御ユニット(以下、ECUという)を中枢として燃料噴射量の制御や点火時期の制御等を実施することとしている。先ずは、図1を用いてエンジン制御システムの全体概略構成図を説明する。
図1に示すエンジン10において、吸気管11の最上流部にはエアクリーナ12が設けられ、その下流側にはスロットルバルブ14が設けられている。エアクリーナ12には吸気温を検出するための吸気温センサ13が設けられ、スロットルバルブ14にはスロットル開度を検出するためのスロットル開度センサ15が設けられている。スロットルバルブ14の下流側には吸気管圧力を検出するための吸気管圧力センサ16が設けられている。更に、吸気管11の吸気ポート近傍には電磁駆動式のプライマリインジェクタ17が取り付けられ、スロットルバルブ14の上流側には同じく電磁駆動式のセカンダリインジェクタ18が取り付けられている。本エンジン10は、各気筒に独立して吸気を行う独立吸気形式となっており、プライマリインジェクタ17及びセカンダリインジェクタ18は気筒毎にそれぞれ設けられている。
エンジン10の吸気ポート及び排気ポートにはそれぞれ吸気バルブ21及び排気バルブ22が設けられており、吸気バルブ21の開動作により空気と燃料との混合気が燃焼室23内に導入され、排気バルブ22の開動作により燃焼後の排気が排気管24に排出される。エンジン10のシリンダヘッドには各気筒毎に点火プラグ25が取り付けられており、点火プラグ25には、点火コイル等よりなる点火装置26を通じて、所望とする点火時期において高電圧が印加される。この高電圧の印加により、各点火プラグ25の対向電極間に火花放電が発生し、燃焼室23内に導入された混合気が着火され燃焼に供される。
排気管24には、排出ガス中のCO,HC,NOx等を浄化するための三元触媒等の触媒31が設けられ、この触媒31の上流側には排気を検出対象として混合気の空燃比を検出するためのO2センサ32が設けられている。O2センサ32は、理論空燃比(ストイキ)を境として空燃比がリッチかリーンかに応じて異なる起電力信号(O2センサ信号VOX)を出力する構成となっている。また、エンジン10には、冷却水温を検出する冷却水温センサ33や、エンジン10の回転に伴い所定クランク角毎に(例えば30°CA周期で)矩形状のクランク角信号を出力するクランク角センサ34が設けられている。
また、燃料系において、燃料タンク41内にはインタンク式のポンプモジュール42が設けられており、ポンプモジュール42には燃料配管43を介して2つのデリバリパイプ45,46が接続されている。ポンプモジュール42はポンプ本体、燃料フィルタ、プレッシャレギュレータ、リターン配管を一体化したポンプ装置であり、当該ポンプモジュール42で所定圧力に保持された燃料が燃料配管43を介して各デリバリパイプ45,46に給送されるようになっている。
ECU50は、CPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成されており、このECU50には前記各種センサの検出信号やその他バッテリ電圧VBの検出信号などが入力される。ECU50は、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に基づいてプライマリインジェクタ17,セカンダリインジェクタ18の燃料噴射時間や点火プラグ25による点火時期などを制御する。特に燃料噴射制御においてはO2フィードバック制御を実施することとしており、O2センサ32の検出信号(O2センサ信号VOX)を基にフィードバック補正係数FAFを算出し、該FAFを反映して最終の燃料噴射時間を算出する。
図2は燃料噴射時間の算出ルーチンを示すフローチャートであり、本ルーチンは所定のクランク角度周期(4気筒エンジンであれば180°CA周期)でECU50により実行される。
図2において、ステップS101では、クランク角センサ34から出力されるクランク角信号を基に算出したエンジン回転速度NEを読み込み、ステップS102では、スロットル開度センサ15の検出値から算出したスロットル開度VTAを読み込み、ステップS103では、吸気管圧力センサ16の検出値から算出した吸気圧PMを読み込む。その後、ステップS104では、前記読み込んだ運転情報(NE,VTA,PM)に基づいて気筒毎の基本噴射時間TP@を算出する(@は各気筒を意味する。以下同様)。このとき、エンジン10の低負荷域ではエンジン回転速度NEと吸気圧PMとをパラメータとして基本噴射時間TP@を算出し、中高負荷域ではエンジン回転速度NEとスロットル開度VTAとをパラメータとして基本噴射時間TP@を算出する。
次に、ステップS105では、例えばエンジン回転速度NEとスロットル開度VTAをパラメータとするマップを用い、その都度のNE,VTAに応じてセカンダリインジェクタ18の噴射割合DESを算出する。噴射割合DESは、全燃料噴射量に占めるセカンダリインジェクタ18の燃料噴射量の占める比率である。なお本マップによれば、高回転側ほど又は高スロットル開度側ほど噴射割合DESが大きな値として算出されるようになっている(例えば、DESの最小値は0、最大値は1.0である)。
その後、ステップS106では、バッテリ電圧VBに基づいて各インジェクタ17,18の無効噴射時間TVを算出し、ステップS107では、その他補正係数K@(吸気温補正、大気圧補正等)を算出する。ステップS108では、O2センサ信号VOXに基づいてフィードバック補正係数FAFを算出する。最後に、ステップS109では、下記の(1),(2)式を用い、プライマリインジェクタ17の最終噴射時間TAU1@とセカンダリインジェクタ18の最終噴射時間TAU2@とを算出する。
TAU1@=TP@*K@*(1−DES)*FAF+TV …(1)
TAU2@=TP@*K@*DES*FAF+TV …(2)
そして、ECU50は、最終噴射時間TAU1@,TAU2@を基に、プライマリインジェクタ17及びセカンダリインジェクタ18に対してそれぞれインジェクタ駆動信号を出力する。これにより、各インジェクタ17,18がインジェクタ駆動信号に基づいて開弁し、各々で燃料噴射が実施される。
図3及び図4には、前記図2のステップS108におけるフィードバック補正係数FAFの算出サブルーチンを示す。
図3において、先ずステップS201〜S204では、O2フィードバック制御の実施条件を判定する。すなわち、ステップS201では、水温や始動後経過時間等によりフィードバック制御の前提条件が成立するか否かを判別する。ステップS202では、セカンダリインジェクタ18の噴射割合DESが所定値Dth(例えば0.5)よりも小さいか否かを判別する。ステップS203では、セカンダリインジェクタ18による燃料噴射が開始されてから所定時間X1が経過したか否かを判別する。ステップS204では、セカンダリインジェクタ18による燃料噴射が停止されてから所定時間X2が経過したか否かを判別する。
ステップS201〜S204の何れかが不成立となる場合、ステップS205に進み、フィードバック補正係数FAFを1.0とした後、本処理を終了する。すなわちこの場合、O2フィードバック制御の実施が禁止され、これに代えてオープン制御が実施される。また、ステップS201〜S204が全て成立する場合、ステップS206以降の一連のFAF算出処理を実施する。すなわちこの場合、O2フィードバック制御の実施が許可される。
O2フィードバック制御の実施が許可される場合において、ステップS206では、エンジン回転速度NEやセカンダリインジェクタ18の噴射割合DESに基づいて、FAF演算に要する演算パラメータを算出する。演算パラメータとして具体的には、O2センサ信号VOXがリッチ/リーン間で反転する際にFAF値を増減するためのスキップ量KSI,KSD(KSI=増加時、KSD=減少時)と、スキップ後にFAF値をそのまま保持するためのホールド時間KDL,KDR(KDL=リーン時、KDR=リッチ時)と、O2センサ信号VOXがリッチ値又はリーン値で維持されている間にFAF値を徐増又は徐減するための積分量KII,KID(KII=増加時、KID=減少時)とが算出される。
各パラメータは図5の(a)〜(f)に示す関係に従い算出される。このとき、(a),(b)に示すように、ホールド時間KDL,KDRは、セカンダリインジェクタ18の噴射割合DESが大きいほど大きい値として算出され、エンジン回転速度NEが大きいほど小さい値として算出される。また、(c),(d)に示すように、積分量KII,KIDは、セカンダリインジェクタ18の噴射割合DESが大きいほど小さい値として算出され、エンジン回転速度NEが大きいほど小さい値として算出される。これは、セカンダリインジェクタ18の噴射燃料が燃焼に影響するまでの応答遅れを考慮しているためである。
なお、スキップ量KSI,KSDは、エンジン回転速度NEやセカンダリインジェクタ18の噴射割合DESが変化しても大きく変更されない(固定値とすることも可能)。但し、(e),(f)に示すように、セカンダリインジェクタ18の噴射割合DESが大きいほど、スキップ量KSI,KSDを小さくしても良く、これによりFAFの変動に伴う燃焼状態の変動を小さくすることができる。また逆に、セカンダリインジェクタ18の噴射割合DESが大きいほど、スキップ量KSI,KSDを大きくしても良く、これによりFAFの増減周期が短くなり触媒浄化性能を向上させることができる。
その後、図4のステップS207では、O2センサ信号VOXがリッチ/リーン判定のための所定のしきい値α以上であるか否かを判別する。しきい値αは例えば0.45Vであり、VOX≧αであればリッチであると判別され、VOX<αであればリーンであると判別される。
VOX≧αの場合(空燃比リッチの場合)、ステップS208に進み、O2センサ信号VOXがリーンからリッチに反転した後、所定のディレイ時間TDRが経過したか否かを判別する。ディレイ時間TDRが経過していればステップS209に進み、経過していなければステップS217に進む。なお、ディレイ時間TDRは排気の輸送遅れを要因とする時間であり、例えばエンジン回転速度NEに応じて可変設定されると良い(但し、固定値でも可)。
ステップS209では、ディレイ時間TDRの経過後、今回の処理が初回であるか否かを判別する。初回の場合、ステップS210に進み、フィードバック補正係数FAFの前回値からスキップ量KSDを減算してFAFの今回値を算出する(FAF=FAF−KSD)。また、初回でない場合にはステップS211に進み、スキップ後にホールド時間KDRが経過したか否かを判別する。そして、ホールド時間KDRが経過していることを条件にFAFの積分処理を許可し、ステップS212でFAFの前回値から積分量KIDを減算してFAFの今回値を算出する(FAF=FAF−KID)。
一方、VOX<αの場合(空燃比リーンの場合)、ステップS213に進み、O2センサ信号VOXがリッチからリーンに反転した後、所定のディレイ時間TDLが経過したか否かを判別する。ディレイ時間TDLが経過していればステップS214に進み、経過していなければステップS212に進む。なお、ディレイ時間TDLは、前記TDR同様、排気の輸送遅れを要因とする時間であり、例えばエンジン回転速度NEに応じて可変設定されると良い(但し、固定値でも可)。
ステップS214では、ディレイ時間TDLの経過後、今回の処理が初回であるか否かを判別する。初回の場合、ステップS215に進み、フィードバック補正係数FAFの前回値にスキップ量KSIを加算してFAFの今回値を算出する(FAF=FAF+KSI)。また、初回でない場合にはステップS216に進み、スキップ後にホールド時間KDLが経過したか否かを判別する。そして、ホールド時間KDLが経過していることを条件にFAFの積分処理を許可し、ステップS217でFAFの前回値に積分量KIIを加算してFAFの今回値を算出する(FAF=FAF+KII)。
次に、O2フィードバック制御の処理の流れをタイムチャートを用いてより具体的に説明する。図6は、エンジン運転状態の変化に伴い、プライマリ/セカンダリの各インジェクタ17,18の噴射態様が変化する様子を示すタイムチャートである。図6において、タイミングt1以前は、プライマリインジェクタ17がON、セカンダリインジェクタ18がOFFとなっており、プライマリインジェクタ17により全燃料が噴射供給されている(すなわち、セカンダリインジェクタ18の噴射割合DESは0である)。
そして、例えば運転者の加速操作によりスロットル開度VTAが増加すると(図6では、タイミングt1でVTAがしきい値Vthを超えると)、セカンダリインジェクタ18の噴射が開始される。このとき、前述のとおりセカンダリインジェクタ18の噴射割合DESはその都度のエンジン回転速度NEやスロットル開度VTAにより決定される。但し本例では、噴射割合DESは図示する全期間を通じて所定値Dth未満であるとしている。
セカンダリインジェクタ18による燃料噴射が開始された時、その噴射開始から所定時間X1が経過するまでの期間では、O2フィードバック制御が禁止される。そして、所定時間X1が経過したタイミングt2以降、O2フィードバック制御が実施される。また、タイミングt3では、スロットル開度VTAの減少に伴いセカンダリインジェクタ18の燃料噴射が停止される。このとき、セカンダリインジェクタ18の噴射停止から所定時間X2が経過するまでの期間では、O2フィードバック制御が禁止される。そして、所定時間X2が経過したタイミングt4以降、O2フィードバック制御が再開される。
図7は、O2フィードバック制御時におけるO2センサ信号VOXとフィードバック補正係数FAFの挙動を示すタイムチャートであり、(a)にはセカンダリインジェクタ18が燃料噴射していない時のVOX,FAFの挙動を示し、(b)にはセカンダリインジェクタ18が燃料噴射している時のVOX,FAFの挙動を示す。なお、(a),(b)では、O2センサ信号VOXがリッチ信号となる場合のスキップ量KSD1,KSD2、ホールド時間KDR1,KDR2、積分量KID1,KID2を示している。
フィードバック補正係数FAFは、スキップ、ホールド(ディレイ)、積分の各動作により図示の如く変化する。このとき、(a)と(b)を比較すると、スキップ量はKSD1>KSD2、ホールド時間はKDR1<KDR2、積分量はKID1>KID2となっている。従って、セカンダリインジェクタ噴射時には、フィードバック補正係数FAFの変動が抑制される。つまり、セカンダリインジェクタ18の燃料噴射状況に応じてO2フィードバック制御の制御ゲインが変更され、セカンダリインジェクタ18からの噴射燃料が燃焼に影響するまでの応答遅れを考慮してO2フィードバック制御が実施される。
以上詳述した本実施の形態によれば、セカンダリインジェクタ18による燃料噴射に際しその燃料噴射状況に応じてO2フィードバック制御に所定の制限を加えることとしたため、空燃比が不安定となる期間においてフィードバック補正係数FAFの変動を無くす又は小さくすることができる。その結果、燃料噴射量を好適に制御し、燃焼状態の不測の変動を抑制することができる。これにより、排気エミッションの悪化やトルク変動などの問題を解消することができる。
具体的には、セカンダリインジェクタ18の噴射割合DESが所定値Dth以上である場合や、セカンダリインジェクタ18の噴射開始から所定時間X1が経過するまでの期間、噴射停止から所定時間X2が経過するまでの期間でO2フィードバック制御を禁止するようにしたため、燃料噴射量が過補正されるなどの不都合を解消し、燃料噴射量制御の安定化を図ることができる。
また、セカンダリインジェクタ噴射時においてセカンダリインジェクタ18の噴射割合DESに応じてFAF演算のための演算パラメータ(スキップ量、ホールド時間、積分量)を可変設定するようにしたため、セカンダリインジェクタ噴射時において、燃焼状態の不測の変動を抑制しつつ、O2フィードバック制御を実施することが可能となる。
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、セカンダリインジェクタ18による噴射開始直後又は噴射停止直後において所定時間が経過するまでO2フィードバック制御を禁止したが、本実施の形態では、そのセカンダリインジェクタ18の噴射開始直後又は噴射停止直後においてO2フィードバック制御の制御ゲインを低下させることとする。
図8は、本実施の形態におけるフィードバック補正係数FAFの算出サブルーチンを示すフローチャートであり、本ルーチンは前記図3に置き換えて実施される。なお、図8のステップS308の実行後は前記図4のステップS207に移行するようになっており、その説明は省略する。
図8において、ステップS301では、水温や始動後経過時間等によりフィードバック制御の前提条件が成立するか否かを判別し、ステップS302では、セカンダリインジェクタ18の噴射割合DESが所定値Dth(例えば0.5)よりも小さいか否かを判別する。ステップS301,S302の何れかがNOの場合、ステップS303に進み、フィードバック補正係数FAFを1.0とした後、本処理を終了する。すなわちこの場合、O2フィードバック制御の実施が禁止される。また、ステップS301,S302が共にYESの場合、ステップS304に進む。
ステップS304では、セカンダリインジェクタ18による燃料噴射が開始されてから所定時間Y1が経過したか否かを判別する。また、ステップS305では、セカンダリインジェクタ18による燃料噴射が停止されてから所定時間Y2が経過したか否かを判別する。ステップS304,S305が共にYESであればステップS306に進み、前記図5に示す関係を用い、エンジン回転速度NEやセカンダリインジェクタ18の噴射割合DESに基づいてFAF演算パラメータ(スキップ量KSI,KSD、ホールド時間KDL,KDR、積分量KII,KID)を算出する。
また、セカンダリインジェクタ18の噴射開始後、所定時間Y1が経過するまでの期間であれば、ステップS307で噴射開始切り替わり時の演算パラメータ(スキップ量KSI,KSD、ホールド時間KDL,KDR、積分量KII,KID)を算出し、セカンダリインジェクタ18の噴射終了後、所定時間Y2が経過するまでの期間であれば、ステップS308で噴射停止切り替わり時の演算パラメータ(スキップ量KSI,KSD、ホールド時間KDL,KDR、積分量KII,KID)を算出する。
この場合、噴射開始切り替わり時及び噴射停止切り替わり時の演算パラメータは、前記ステップS306で算出される演算パラメータに比べて、制御ゲインを低下させるように変更されている。セカンダリインジェクタ18の噴射割合DESを同一にした場合の各パラメータの違いを図9に示す。なお図9において、実線のP1は通常時のパラメータ値(ステップS306の算出値)、点線のP2は噴射開始切り替わり時のパラメータ値、一点鎖線のP3は噴射停止切り替わり時のパラメータ値を示す。
図9の(a),(b)に示すように、噴射開始切り替わり時及び噴射停止切り替わり時のホールド時間KDL,KDRは通常時(P1)よりも長く設定され、噴射開始切り替わり時のパラメータ値(P2)は噴射停止切り替わり時のパラメータ値(P3)よりも僅かに小さい値とされる。また、(c),(d)に示すように、噴射開始切り替わり時及び噴射停止切り替わり時の積分量KII,KIDは通常時(P1)よりも小さく設定され、噴射開始切り替わり時のパラメータ値(P2)は噴射停止切り替わり時のパラメータ値(P3)よりも僅かに大きい値とされる。更に、(e),(f)に示すように、噴射開始切り替わり時及び噴射停止切り替わり時のスキップ量KSI,KSDは通常時(P1)よりも小さく設定され、噴射開始切り替わり時のパラメータ値(P2)は噴射停止切り替わり時のパラメータ値(P3)よりも僅かに大きい値とされる。
以上第2の実施の形態によれば、セカンダリインジェクタ18の噴射開始直後や噴射停止直後といった空燃比の乱れが生じやすい期間で、O2フィードバック制御の制御ゲインを低下させるようにしたため、燃料供給量が過補正されるなどの不都合を解消し、燃料供給量制御の安定化を図ることができる。
なお、本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
上記実施の形態では、FAF演算パラメータとして、エンジン回転速度NEやセカンダリインジェクタ18の噴射割合DESに基づいてスキップ量KSI,KSD、ホールド時間KDL,KDR、積分量KII,KIDを可変設定したが、このうち少なくとも1つを可変設定し、他は固定値とする構成としても良い。また、リッチ時とリーン時とで同じパラメータ値を使う構成としても良い。
上記実施の形態では、スキップ、ホールド(ディレイ)、積分の動作によりフィードバック補正係数FAFの更新処理を実施したが、スキップと積分動作だけでフィードバック補正係数FAFを更新しても良い。これはホールド時間を0とすることと同意である。かかる場合について、O2フィードバック制御時におけるO2センサ信号VOXとフィードバック補正係数FAFの挙動を図10に示す。図10において、(a)にはセカンダリインジェクタ18が燃料噴射していない時のVOX,FAFの挙動を示し、(b)にはセカンダリインジェクタ18が燃料噴射している時のVOX,FAFの挙動を示す。なお、(a),(b)では、O2センサ信号VOXがリッチ信号となる場合のスキップ量KSD1,KSD2、積分量KID1,KID2を示している。
図10の(a)と(b)を比較すると、スキップ量はKSD1>KSD2、積分量はKID1>KID2となっている。従って、セカンダリインジェクタ噴射時には、フィードバック補正係数FAFの変動が抑制される。つまり、セカンダリインジェクタ18の燃料噴射状況に応じてO2フィードバック制御の制御ゲインが変更され、セカンダリインジェクタ18からの噴射燃料が燃焼に影響するまでの応答遅れを考慮してO2フィードバック制御が実施される。
上記実施の形態では、セカンダリインジェクタ18による噴射開始直後と噴射停止直後の期間においてO2フィードバック制御を禁止するか、又はO2フィードバック制御の制御ゲインを低下させるようにしたが、これを変更しても良い。例えば、セカンダリインジェクタ18による噴射開始直後、又は噴射停止直後の何れかの期間においてO2フィードバック制御を禁止するか、又はO2フィードバック制御の制御ゲインを低下させるようにしても良い。また、セカンダリインジェクタ18の噴射開始後(又は噴射停止後)、所定回の燃料噴射が行われるまでの期間でO2フィードバック制御を禁止するか、又はO2フィードバック制御の制御ゲインを低下させるようにしても良い。
上記実施の形態では、理論空燃比を境にリッチとリーンとで異なる起電力信号(VOX)を出力するO2センサを用いて空燃比フィードバック制御を実施したが、これに代えて、空燃比(排気中の酸素濃度)をリニアに検出するA/Fセンサを用いて空燃比フィードバック制御を実施する構成としても良い。この場合、A/Fセンサにより検出した空燃比と目標空燃比との偏差に応じてフィードバック補正係数FAFが算出され、そのFAFを用いて空燃比フィードバック制御が実施される。かかる構成においても、セカンダリインジェクタ18による燃料噴射が行われる際にその燃料噴射状況に応じて空燃比フィードバック制御に所定の制限を加えることにより、空燃比が不安定となる期間においてフィードバック補正係数FAFの変動を小さくすることができる。その結果、燃料噴射量を好適に制御し、燃焼状態の不測の変動を抑制することができる。
セカンダリインジェクタ18の噴射開始直後又は噴射停止直後に規定される所定時間X1,X2(第2の実施の形態ではY1,Y2)を、例えば冷却水温度、負荷、エンジン回転速度等のエンジン運転状態に応じて可変設定するようにしても良い。セカンダリインジェクタ18による噴射燃料の吸気管内壁への付着量や付着燃料の離脱量はエンジン運転状態に応じて変化し、それにより空燃比への影響度合いが変わる。かかる場合において、上記の如く所定時間X1,X2等を可変設定することにより、空燃比の乱れによる燃料状態の変動を好適に抑えることができる。
セカンダリインジェクタ18により燃料噴射が行われる全期間を通じて空燃比フィードバック制御を禁止しても良く、本構成によっても燃焼状態の不測の変動を抑制することができる。つまり、セカンダリインジェクタ18による燃料噴射期間内ではフィードバック制御に代えてオープン制御が行われる。
上記実施の形態では、エンジン10を独立吸気形式とし、各気筒の吸気管毎にそれぞれプライマリインジェクタ17とセカンダリインジェクタ18とを設けたが、この構成を変更しても良い。例えば、吸気マニホールドを備えたエンジンにおいて、各気筒に通じる分岐通路部にプライマリインジェクタ(第1燃料供給手段)を設けると共に、集合部にセカンダリインジェクタ(第2燃料供給手段)を設ける構成としても良い。つまりこの場合、セカンダリインジェクタは全気筒共通に使用される。また、二輪車用エンジン以外に、四輪車用エンジンに本発明を具体化することも可能である。
発明の実施の形態におけるエンジン制御システムの概略を示す構成図である。 燃料噴射時間算出ルーチンを示すフローチャートである。 フィードバック補正係数算出ルーチンを示すフローチャートである。 図3に引き続き、フィードバック補正係数算出ルーチンを示すフローチャートである。 FAF演算パラメータを算出するための関係図である。 各インジェクタの噴射態様の変化を示すタイムチャートである。 O2フィードバック制御時におけるO2センサ信号VOXとフィードバック補正係数FAFの挙動を示すタイムチャートである。 第2の実施の形態におけるフィードバック補正係数算出ルーチンを示すフローチャートである。 FAF演算パラメータを算出するための関係図である。 O2フィードバック制御時におけるO2センサ信号VOXとフィードバック補正係数FAFの挙動を示すタイムチャートである。
符号の説明
10…内燃機関としてのエンジン、11…吸気管、17…第1燃料供給手段としてのプライマリインジェクタ、18…第2燃料供給手段としてのセカンダリインジェクタ、32…O2センサ、50…ECU。

Claims (12)

  1. 吸気通路の下流側と上流側にそれぞれ第1燃料供給手段、第2燃料供給手段を設けた内燃機関に適用され、その都度の空燃比が目標値に一致するよう前記第1,第2燃料供給手段による燃料供給量をフィードバック制御する内燃機関の燃料供給量制御装置において、
    前記第2燃料供給手段による燃料供給に際し、その燃料供給状況に応じて前記フィードバック制御に所定の制限を加えることを特徴とする内燃機関の燃料供給量制御装置。
  2. 前記第2燃料供給手段の燃料供給割合が所定値以上である場合に前記フィードバック制御を禁止することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料供給量制御装置。
  3. 前記第2燃料供給手段の燃料供給開始から所定時間が経過するまでの期間、及び前記第2燃料供給手段の燃料供給停止から所定時間が経過するまでの期間の少なくとも何れかで、前記フィードバック制御を禁止することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の燃料供給量制御装置。
  4. 前記第2燃料供給手段の燃料供給開始から所定時間が経過するまでの期間、及び前記第2燃料供給手段の燃料供給停止から所定時間が経過するまでの期間の少なくとも何れかで、前記フィードバック制御の制御ゲインを低下させることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の燃料供給量制御装置。
  5. 前記第2燃料供給手段の燃料供給の開始直後又は停止直後に規定される前記所定時間を、内燃機関の運転状態に応じて可変設定することを特徴とする請求項3又は4に記載の内燃機関の燃料供給量制御装置。
  6. 前記第2燃料供給手段による燃料供給が行われている期間内で、該第2燃料供給手段の燃料供給割合に応じて前記フィードバック制御の制御ゲインを可変設定することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の内燃機関の燃料供給量制御装置。
  7. 空燃比が理論空燃比よりもリーンかリッチかを検出する手段を備え、前記フィードバック制御に際し、空燃比がリーン/リッチ間で反転するのに伴いスキップ処理を行うと共にその後積分処理を行うことでフィードバック補正量を更新するようにした制御装置において、
    前記フィードバック補正量の算出に用いる積分量及びスキップ量の少なくとも何れかを前記第2燃料供給手段の燃料供給割合に応じて可変設定することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の内燃機関の燃料供給量制御装置。
  8. 空燃比が理論空燃比よりもリーンかリッチかを検出する手段を備え、前記フィードバック制御に際し、空燃比がリーン/リッチ間で反転するのに伴いスキップ処理を行うと共に、その後ホールド処理に引き続いて積分処理を行うことでフィードバック補正量を更新するようにした制御装置において、
    前記フィードバック補正量の算出に用いる積分量、スキップ量及びホールド時間の少なくとも何れかを前記第2燃料供給手段の燃料供給割合に応じて可変設定することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の内燃機関の燃料供給量制御装置。
  9. 前記第2燃料供給手段の燃料供給割合が大きいほど前記ホールド時間を長くすることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の燃料供給量制御装置。
  10. 前記第2燃料供給手段の燃料供給割合が大きいほど前記積分量を小さくすることを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載の内燃機関の燃料供給量制御装置。
  11. 前記第2燃料供給手段の燃料供給割合が大きいほど前記スキップ量を小さくすることを特徴とする請求項7乃至10の何れかに記載の内燃機関の燃料供給量制御装置。
  12. 前記第2燃料供給手段による燃料供給が行われる期間内で前記フィードバック制御を禁止することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料供給量制御装置。
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