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JP2006061037A - 食品用組成物及びその製造方法 - Google Patents

食品用組成物及びその製造方法 Download PDF

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JP2006061037A JP2004245632A JP2004245632A JP2006061037A JP 2006061037 A JP2006061037 A JP 2006061037A JP 2004245632 A JP2004245632 A JP 2004245632A JP 2004245632 A JP2004245632 A JP 2004245632A JP 2006061037 A JP2006061037 A JP 2006061037A
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茂実 田澤
Fumi Iwata
扶美 岩田
Yoko Araki
陽子 荒木
Satoshi Mishima
敏 三島
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Abstract

【課題】 プレニル桂皮酸誘導体を高含有する食品用組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 食品用組成物はプロポリス由来のプレニル桂皮酸誘導体を固形分あたり20重量%以上含んでいる。また、この食品用組成物には、アルテピリンC、バッカリン及びドゥルパニンを、それぞれ固形分あたり14重量%以上、4重量%以上及び2重量%以上含んでいるのが好ましい。この食品用組成物は、例えば、プロポリス原塊を80〜100容量%のエタノール又は含水エタノールで抽出することにより製造される。前記プロポリス原塊は固形分20%エキス中のp−クマル酸相当量が5%を超えるものが用いられる。
【選択図】 図1

Description

本発明はプレニル桂皮酸誘導体を高含有する食品用組成物及びその製造方法に関する。
従来より、プレニル桂皮酸誘導体を含有する食品用組成物としては、例えば特許文献1に開示されている癌細胞のアポトーシス誘導剤を有効成分とする食品製剤や、特許文献2に開示されている健康食品が知られている。
この種の食品用組成物中に含有されるプレニル桂皮酸誘導体の固形分あたりの含有量(w/w%)については、詳細に調べられた報告例が極めて少ない。なお、前記固形分あたりの含有量とは、食品用組成物中に含まれる全固形分の重量に対する特定成分(この場合はプレニル桂皮酸誘導体)の重量の百分率を指す。例えば特許文献3,4に開示されているプロポリス組成物の実施例1では、ブラジル産プロポリスに80%含水エタノールを加えてエタノール抽出した後に濃縮された固形分20%のプロポリス抽出物が開示されている。このプロポリス抽出物には、約31mg/mlのアルテピリンCが含有されており、固形分あたりの含有量に換算するとおよそ13重量%(w/w%)となっている。
特開2004−26760号公報 特開2004−161706号公報 特開2004−159563号公報 特開2004−161664号公報
本発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、プレニル桂皮酸誘導体を高含有する食品用組成物を開発したことによりなされたものである。その目的とするところは、プレニル桂皮酸誘導体を高含有する食品用組成物及びその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の食品用組成物の発明は、プロポリス由来のプレニル桂皮酸誘導体を固形分あたり20〜40重量%含むことを要旨とする。
請求項2に記載の食品用組成物の発明は、請求項1に記載の発明において、プロポリス由来のアルテピリンCを固形分あたり14〜30重量%含むことを要旨とする。
請求項3に記載の食品用組成物の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、プロポリス由来のバッカリンを固形分あたり4〜10重量%含むことを要旨とする。
請求項4に記載の食品用組成物の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、プロポリス由来のドゥルパニンを固形分あたり2〜8重量%含むことを要旨とする。
上記請求項1から請求項4の構成によれば、食品用組成物は、アルテピリンC、バッカリン、ドゥルパニンなどのプレニル桂皮酸誘導体を高含有しているため、癌細胞などの異常細胞に対する増殖抑制作用やアポトーシス誘導作用などを介して高い健康増進効果を発揮する。なお、前記固形分あたりの含有量(w/w%)とは、食品用組成物中に含まれる全固形分の重量に対するプレニル桂皮酸誘導体の重量の百分率を指す。また、前記固形分あたりの含有量として示されている数値は、小数点以下が四捨五入されているものとする。
請求項5に記載の食品用組成物の製造方法の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の食品用組成物を製造する方法であって、プロポリス原塊、又は当該プロポリス原塊を水若しくは50容量%未満の含水エタノールで抽出した後の固形物を、エタノール又は含水エタノールで抽出することによりエタノール抽出液を得る抽出工程を備え、前記プロポリス原塊は固形分20%エキス中のp−クマル酸相当量が5%を超えるものであることを要旨とする。
この方法によれば、プレニル桂皮酸誘導体を高含有する食品用組成物が容易に製造される。即ち、この方法では、p−クマル酸を高含有する高品質なプロポリス原塊を出発原料として製造されている。そして、前記プロポリス原塊にはプレニル桂皮酸誘導体が極めて豊富に含まれているため、その抽出に適したエタノール濃度にてエタノール抽出することにより、多量のプレニル桂皮酸誘導体が容易に抽出され、該プレニル桂皮酸誘導体を高含有する食品用組成物が容易に得られる。さらに、この抽出工程では、食品加工に使用可能なエタノールが用いられている。
なお、前記固形分20%エキスとは、前記プロポリス原塊を95容量%含水エタノールで抽出した95容量%含水エタノール抽出液であって、当該抽出液に含まれる固形分の濃度(w/v%)が20%となるように調整されたものを指す。さらに、前記p−クマル酸相当量は、前記固形分20%エキス中の全固形分をp−クマル酸の重量に換算した濃度(w/v%)を指す。
請求項6に記載の食品用組成物の製造方法の発明は、請求項5に記載の発明において、前記抽出工程は80〜100容量%のエタノール又は含水エタノールが用いられることを要旨とする。
この方法によれば、80〜100容量%のエタノール又は含水エタノールを用いて抽出工程を行うことにより、プレニル桂皮酸誘導体を固形分あたり20重量%以上含む食品用組成物が極めて容易に得られる。
請求項7に記載の食品用組成物の製造方法の発明は、請求項5又は請求項6に記載の発明において、前記エタノール抽出液中にサポニンを添加してサポニン含有液とした後、当該サポニン含有液中のプレニル桂皮酸誘導体を合成吸着樹脂に吸着させ、さらに前記合成吸着樹脂に対し80〜100容量%のエタノール又は含水エタノールを用いて前記プレニル桂皮酸誘導体を溶離させて回収する工程を備えることを要旨とする。
この方法によれば、プレニル桂皮酸誘導体が合成吸着樹脂に吸着される性質を利用することによってプレニル桂皮酸誘導体を精製し、その固形分あたりの含有量が高められる。なお、この方法において、エタノール濃度が80〜100容量%の溶液中では、合成吸着樹脂に対するプレニル桂皮酸誘導体の吸着性が低いため、前記溶液にサポニンを添加することによって前記吸着性が高められ、工業的に有利な精製が行われる。
請求項8に記載の食品用組成物の製造方法の発明は、請求項5又は請求項6に記載の発明において、前記エタノール抽出液中に水を添加してエタノール濃度を30〜70容量%に低下させて不溶解物を析出させた後、当該不溶解物を回収する工程を備えることを要旨とする。
この方法によれば、プレニル桂皮酸誘導体が70容量%以下のエタノール濃度で不溶解物となって析出しやすい性質を利用することによってプレニル桂皮酸誘導体を精製し、その固形分あたりの含有量が高められる。さらに、この方法では、プレニル桂皮酸誘導体以外の成分が析出しにくい30容量%以上のエタノール濃度が適用されている。
請求項9に記載の食品用組成物の製造方法の発明は、請求項5又は請求項6に記載の発明において、前記エタノール抽出液を糖類の粉末に吹付けた後に当該粉末とともにスプレードライヤーにて噴霧乾燥を行い、さらにその噴霧乾燥物をエタノール又は含水エタノールで再抽出する工程を備えることを要旨とする。
この方法では、エタノール抽出液を単糖類、オリゴ糖類、多糖類などの糖類の粉末に吹付けた後に当該粉末とともにスプレードライヤーにて噴霧乾燥を行うようになっている。前記噴霧乾燥では、急激な溶媒除去によりエタノール抽出液中の成分が糖類と反応し、その後のエタノール又は含水エタノールによる再抽出においてプレニル桂皮酸誘導体以外の成分の抽出率が低下する。よって、プレニル桂皮酸誘導体が精製され、その固形分あたりの含有量が高められる。
本発明によれば、プレニル桂皮酸誘導体を高含有する食品用組成物及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の食品用組成物を具体化した実施形態について詳細に説明する。
実施形態の食品用組成物は、プロポリス由来のプレニル桂皮酸誘導体を固形分あたりの含有量(w/w%)で20重量%以上、好ましくは22重量%以上、より好ましくは24重量%以上、さらに好ましくは26重量%以上含んでいる。なお、前記固形分あたりの含有量(w/w%)とは、食品用組成物中に含まれる全固形分の重量に対するプレニル桂皮酸誘導体の重量の百分率を指し、当該含有量に関しては前記各数値及び以下に記載する各数値は有効数字未満が四捨五入されているものとする。この食品用組成物は、食品加工に使用可能な分離精製技術を用いることによって、プレニル桂皮酸誘導体を固形分あたり28重量%程度まで高めることが可能である。
プロポリスは、ミツバチが植物から集めてくる樹脂状物質であり、古くから民間伝承薬としても使用されており、抗菌作用、抗酸化作用、抗炎症作用を始め、抗癌作用、免疫増強賦活作用、肝保護作用、抗アルツハイマー作用など多くの生理活性が研究されている。これらの生理活性のうち、抗癌作用を引き起こす有効成分としてはプレニル桂皮酸誘導体が知られている。プロポリス由来のプレニル桂皮酸誘導体としては、3,5−ビスプレニル−4−ヒドロキシ桂皮酸(アルテピリンC)、3−プレニル−4−(ジヒドロシナモイロキシ)桂皮酸(バッカリン)、3−プレニル−4−ヒドロキシ桂皮酸(ドゥルパニン)、3−(2,2−ジメチル−2H−1−ベンゾピラン)−2−プロペノイック酸、3−(2,2−ジメチル−8−プレニル−2H−1−ベンゾピラン)−2−プロペノイック酸、3−プレニル−4−(2−メトキシプロピオニロキシ)桂皮酸が挙げられる。これらのプレニル桂皮酸誘導体は、癌細胞や癌化しつつある細胞などの異常細胞に対する増殖抑制作用やアポトーシス誘導作用などを介して高い健康増進効果を発揮する。
さらに、この食品用組成物は、アルテピリンCを固形分あたりの含有量(w/w%)で、好ましくは14重量%以上、より好ましくは15重量%、より一層好ましくは15.6重量%以上、さらに好ましくは16.1重量%以上、特に好ましくは18重量%以上含んでいる。また、この食品用組成物は、食品加工に使用可能な分離精製技術を用いることによって、アルテピリンCを固形分あたり20重量%程度まで高めることが可能である。
また、この食品用組成物は、バッカリンを固形分あたりの含有量(w/w%)で、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは6重量%以上含んでいる。また、この食品用組成物は、食品加工に使用可能な分離精製技術を用いることによって、バッカリンを固形分あたり7重量%程度まで高めることが可能である。
また、この食品用組成物は、ドゥルパニンを固形分あたりの含有量(w/w%)で、好ましくは2重量%以上、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上含んでいる。また、この食品用組成物は、食品加工に使用可能な分離精製技術を用いることによって、ドゥルパニンを固形分あたり6重量%程度まで高めることが可能である。
次に、上記食品用組成物の製造方法について説明する。
本実施形態の食品用組成物は、プロポリスをエタノール又は含水エタノールで抽出(エタノール抽出)することにより、上記プレニル桂皮酸誘導体が溶解されてなるエタノール抽出液を得る抽出工程を行うことにより製造される。前記プロポリスは、プレニル桂皮酸誘導体を高含有するプロポリス原塊、又は当該プロポリス原塊を水若しくは50容量%未満の含水エタノールで抽出(水抽出若しくは低濃度エタノール抽出)した後の固形物からなる。前記プロポリス原塊は、固形分20%のエキス中のp−クマル酸相当量が5%を超えるものが用いられ、p−クマル酸相当量が7%以上のものが特に好適に用いられる。
なお、前記固形分20%エキスとは、前記プロポリス原塊を95容量%含水エタノールで抽出した95容量%含水エタノール抽出液であって、当該抽出液に含まれる固形分の濃度(w/v%)が20%となるように調整されたものを指す。さらに、前記p−クマル酸相当量は、前記固形分20%エキス中の全固形分をp−クマル酸の重量に換算した濃度(w/v%)を指す。
ちなみに、前記p−クマル酸相当量は、(財)日本健康・栄養食品協会のプロポリス食品規格基準(平成13年11月1日一部改正)に規定される方法に準じて定量される。このp−クマル酸相当量の定量は、まず、前記固形分20%エキスを液体クロマトグラフィーにて分析し、保持時間30分までの全ピーク面積を求める。そして、p−クマル酸(精製物)のメタノール溶液を同様に液体クロマトグラフィーにて分析し、前記固形分20%エキスの全ピーク面積をp−クマル酸の重量に換算することにより、当該エキスの濃度(p−クマル酸相当量)が求められる。なお、前記液体クロマトグラフィーの条件としては、カラム;島津製作所のShim-pack CLC-ODS 6mm×150mm又はその同等品、移動相;メタノール/水/酢酸=70/30/1、流量;1.2ml/分、温度;50℃、測定波長;275nmが用いられる。
前記プロポリス原塊は、プレニル桂皮酸誘導体を高含有する高品質のプロポリス原塊であって、主にブラジルのミナスジェライス州原産のグリーン・プロポリス原塊が用いられる。このグリーン・プロポリス原塊は、キク科植物のバッカリス・ドラクンクリフォリア(伯名:アレクリン・ド・カンポ)を主たる起源植物としており、グリーン系の色彩を帯びている。ちなみに、ミナスジェライス州及びサンパウロ州以外のブラジルを含む南アメリカ諸国、中国や日本などのアジア諸国、ヨーロッパ諸国、北アメリカ諸国、オセアニア諸国で採取されるプロポリス原塊は、いずれもブラウン〜赤褐色系の色彩を帯びており、前記グリーン・プロポリス原塊とは外観や成分が大きく異なる。
前記エタノール抽出は、プロポリスに対する公知の抽出方法に従って行われる。このエタノール抽出で用いられる抽出溶媒(エタノール又は含水エタノール)中のエタノール濃度は、プレニル桂皮酸誘導体を多量に抽出することが容易であることから、好ましくは50〜100容量%、より好ましくは60〜100容量%、より一層好ましくは80〜100容量%、さらに好ましくは90〜100容量%、特に好ましくは95〜100容量%である。
エタノール抽出における抽出溶媒量は、プロポリス原塊又は固形物の1重量部に対し、好ましくは1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部である。前記抽出溶媒量が1重量部未満の場合には抽出率が低下し、逆に10重量部を超える場合には濃縮のための工程が必要となり作業性が低下する。エタノール抽出における抽出温度は、収率の点から好ましくは4〜60℃、より好ましくは10〜40℃である。エタノール抽出における抽出時間は4時間以上が目安である。
この抽出工程では、前記エタノール抽出後、固液分離により抽出溶媒(エタノール抽出液)が回収される。固液分離の方法としては、濾紙又は珪藻土を重層した濾紙などによる吸引濾過、常圧濾過、遠心分離などが挙げられ、好ましくは前記遠心分離及び濾過の組み合わせが採用される。なお、この抽出工程においては、前記エタノール抽出液を回収した後の残渣について、再度同様のエタノール抽出を行うことが好ましい。
一方、前記水抽出及び低濃度エタノール抽出はいずれも、プロポリスに対する公知の抽出方法に従って行われる。なお、前記低濃度エタノール抽出で用いられる含水エタノール中のエタノール濃度は、プレニル桂皮酸誘導体が固形物側に残留しやすいことから、好ましくは10〜40容量%、より好ましくは10〜30容量%、最も好ましくは10〜25容量%である(例えば図1参照)。
さらに、本実施形態の食品用組成物は、前記エタノール抽出液中のプレニル桂皮酸誘導体を、第1の工程、第2の工程又は第3の工程により精製したものであるのが好ましい。このとき、食品用組成物中に含まれるプレニル桂皮酸誘導体の固形分あたりの含有量(w/w%)が容易に向上される。
第1の工程は、前記エタノール抽出液中のプレニル桂皮酸誘導体を合成吸着樹脂に吸着させた後、当該合成吸着樹脂に対し80〜100容量%のエタノール又は含水エタノールを用いて前記プレニル桂皮酸誘導体を溶離させて回収する工程である。前記合成吸着樹脂は、食品加工用に使用可能な樹脂を指す。この合成吸着樹脂としては、多孔性を有する吸着表面積の大きなポリマーであり、スチレン−ジビニルベンゼン系(芳香族型)、芳香族修飾型、メタクリル系型などの樹脂で、例えば、ダイヤイオンHP−20(三菱化学社製)、アンバーライトXAD−4(オルガノ社製)、アンバーライトXAD−7(オルガノ社製)が挙げられる。この合成吸着樹脂による吸着現象は、ファン・デル・ワールス力により、主に疎水的な相互作用に基づいて吸着・溶離されるようになっている。
プレニル桂皮酸誘導体を合成吸着樹脂に吸着させる際には、該プレニル桂皮酸誘導体が溶解されている溶媒量が合成吸着樹脂量の半分以下である場合には、前記溶媒中のエタノール濃度とは関係なく吸着現象が起こる。逆に、前記溶媒量が合成吸着樹脂量の半分を超える場合には、前記溶媒中のエタノール濃度を70容量%以下又は70容量%相当濃度以下にする必要がある。このとき、前記溶媒に水を加えてエタノール濃度を70容量%以下に低下させても構わないが、この場合プレニル桂皮酸誘導体の溶解性が低下するために好ましくない場合がある。そこで、本実施形態では、大量生産に適した方法として、エタノール又は70容量%を超えるエタノール濃度の含水エタノールを溶媒とする前記エタノール抽出液に対しては、当該エタノール抽出液にサポニンを添加して、前記溶媒中のエタノール濃度を70容量%相当濃度以下に低下させる方法が好適に採用される。
サポニンは、食品加工に使用可能な乳化剤(界面活性剤)であり、界面張力を下げる作用を有している。一般に、サポニンとは、植物に分布する配糖体をいい、疎水性のアグリコンと親水性の糖とからなる。このサポニンは、前記界面張力を下げる作用以外にも、健康食品としての効能を有するものが多い。このサポニンとしては、人参サポニン、大豆サポニン、キラヤサポニンなどが挙げられる。例えば、キラヤサポニンにあっては、市販のキラヤ抽出物が25重量%又は5重量%含有された製品をそのまま用いることができる。前記溶媒に対するサポニンの添加量は、該溶媒中に溶解されている成分の重量に対し、サポニン固形分として、1〜10重量%(w/w%)が目安である。
この第1の工程において、エタノール抽出液中のプレニル桂皮酸誘導体を合成吸着樹脂に吸着・溶離させる際には、バッチ法又はカラム法が採用される。プレニル桂皮酸誘導体を合成吸着樹脂に吸着させる際には、合成吸着樹脂量の半分以下の容量のエタノール抽出液、又は該エタノール抽出液に水若しくはサポニンを添加することによってエタノール濃度が70容量%以下若しくは70容量%相当濃度以下に低下された溶液を合成吸着樹脂に接触させることにより行われる。また、プレニル桂皮酸誘導体を合成吸着樹脂から溶離させる際には、該合成吸着樹脂に80〜100容量%のエタノール又は含水エタノールを接触させ、プレニル桂皮酸誘導体を液相(溶出液)側に移行させることにより行われる。なおこのとき、前記液相中に含まれるプレニル桂皮酸誘導体の固形分あたりの含有量(w/w%)を高めるために、70容量%以下の含水エタノールでプレニル桂皮酸誘導体以外の成分を十分に分離除去した後、80〜100容量%のエタノール又は含水エタノールにてプレニル桂皮酸誘導体を液相に移行させるとよい。
第2の工程は、前記エタノール抽出液に水を添加してエタノール濃度を30〜70容量%に低下させて不溶解物を析出させた後、当該不溶解物を回収する工程である。プレニル桂皮酸誘導体は、80〜100容量%のエタノール濃度で溶解性が極めて高く、30〜70容量%のエタノール濃度で溶解性が顕著に低下する性質を有している(例えば表2参照)。この第2の工程では、前記エタノール濃度を30〜70容量%に低下させて数時間乃至1日以上放置することにより、プレニル桂皮酸誘導体が凝集、会合などを引き起こし、プレニル桂皮酸誘導体を高含有するヤニ状の不溶解物が形成(析出)され、溶液中で沈殿するか、或いは溶液の入った容器の壁面に付着する。なお、この第2の工程において、不溶解物を析出させる際のエタノール濃度は、多量の不溶解物が析出されやすいことから、好ましくは30〜60容量%、より好ましくは50〜60容量%であり、不溶解物の回収が容易であることから50〜60容量%であるのが特に好ましい。また、この第2の工程では、前記エタノール濃度を低下させた後、十分に混合攪拌する必要があるが、超音波を照射して混合攪拌するのが好ましい。
第3の工程は、前記エタノール抽出液を糖類の粉末に吹付けた後に当該粉末とともにスプレードライヤーにて噴霧乾燥を行い、さらにその噴霧乾燥物を80〜100容量%のエタノール又は含水エタノールで再抽出する工程である。前記再抽出は、上記エタノール抽出と同様に実施される。糖類としては、単糖類、オリゴ糖類、多糖類などが挙げられ、蔗糖やデキストリンが好適に用いられる。これらの糖類の粉末に対する溶液の吹付けは、霧状の噴霧であるのが好ましい。前記噴霧乾燥では、急激な溶媒除去により前記エタノール抽出液中の成分が糖類と反応し、その後の再抽出においてプレニル桂皮酸誘導体以外の成分の抽出率が低下する。
実施形態の健康食品は、前述のようにして得られたプレニル桂皮酸誘導体の含有量(w/w%)が高められた食品用組成物を有効成分として含有し、前癌状態などの異常細胞の除去作用を介した発癌の予防などの健康増進効果を発揮する。この健康食品は、前記食品用組成物を種々の食品素材又は飲料品素材に添加することにより製造される。このとき、基材、賦形剤、添加剤、副素材、増量剤などを適宜添加してもよい。賦形剤としては、結晶セルロース、糖類、澱粉などが挙げられる。健康食品の剤形としては、粉末状、錠剤状、液状(ドリンク剤など)、カプセル状などが挙げられる。
前記の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 実施形態の食品用組成物は、プロポリス由来のアルテピリンC、バッカリン、ドゥルパニンなどのプレニル桂皮酸誘導体を高含有しているため、癌細胞などの異常細胞に対する増殖抑制作用やアポトーシス誘導作用などを介して高い健康増進効果を発揮することができる。
・ 実施形態の食品用組成物は、固形分20w/v%エキス中のp−クマル酸相当量が5w/v%を超えるプロポリス原塊、又は当該プロポリス原塊を水若しくは50容量%未満の含水エタノールで抽出した後の固形物を、80〜100容量%のエタノール又は含水エタノールでエタノール抽出することにより製造される。前記プロポリス原塊及び固形物はいずれも、プレニル桂皮酸誘導体が極めて豊富に含まれているため、食品用組成物中にプレニル桂皮酸誘導体を高含有させることが容易である。
・ 実施形態の食品用組成物の製造方法では、好ましくは50〜100容量%のエタノール又は含水エタノールにてエタノール抽出したエタノール抽出液について、第1の工程、第2の工程又は第3の工程を実施するものである。このため、この食品用組成物の製造方法では、プレニル桂皮酸誘導体を高度に精製し、その固形分あたりの含有量を顕著に向上させることができる。
(エタノール抽出におけるエタノール濃度の検討)
プロポリス原塊(ミナスジェライス州の生産輸出業者より購入、固形分20%エキス中のp−クマル酸相当量が7%)90gを粉砕し、これに種々のエタノール濃度の含水エタノールを300mlずつ加え、室温で4時間攪拌しエタノール抽出を行った。次に、これら抽出液を濾紙(東洋濾紙社製、No.2)で吸引濾過し、その濾液を一晩冷凍庫(60〜100容量%のエタノール抽出液)又は冷蔵庫(0〜50容量%のエタノール抽出液)に入れて脱ロウした後、珪藻土濾過を行うことによりエタノール抽出液を得た。これらエタノール抽出液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分析し、p−クマル酸、ドゥルパニン、アルテピリンC及びバッカリンの濃度(w/v%)を測定するとともに該エタノール抽出液中の全固形分濃度を測定し、エタノール抽出液中に含まれる各成分の固形分あたりの含有量(w/w%)に換算した。HPLCの分析条件は、カラム:CAPCEL-PAC ACR 4.6mmI.D.×250mm(資生堂製)、溶媒:70%メタノール+1%酢酸、検出波長:280nm、カラム温度:40℃である。結果を図1に示す。
図1に示すように、プレニル桂皮酸誘導体はエタノール濃度が60〜100容量%において、効率良く抽出されていることがわかる。また、80〜100容量%のエタノール濃度でエタノール抽出されたエタノール抽出液では、プレニル桂皮酸誘導体(アルテピリンC、バッカリン及びドゥルパニンの合計)が固形分あたり20w/w%以上含まれていた。90〜100容量%のエタノール濃度で抽出されたエタノール抽出液ではアルテピリンCが14w/w%以上含まれ、70〜100容量%のエタノール濃度で抽出されたエタノール抽出液ではバッカリンが4w/w%以上含まれ、40〜100容量%のエタノール濃度で抽出されたエタノール抽出液ではドゥルパニンが2w/w%以上含まれていた。
(抽出温度、抽出時間の検討)
プロポリス原塊(ミナスジェライス州の生産輸出業者より購入、固形分20%エキス中のp−クマル酸相当量が7%)90gを粉砕し、これに99.5容量%エタノールを300ml加え、7℃、室温又は50℃で、4時間又は一晩攪拌しエタノール抽出を行った。次に、これら抽出液を濾紙(東洋濾紙社製、No.2)で吸引濾過し、その濾液を一晩冷凍庫に入れて脱ロウした後、珪藻土濾過を行うことによりエタノール抽出液を得た。これらエタノール抽出液を上記実施例1と同様にHPLCにて分析し、p−クマル酸、ドゥルパニン、アルテピリンC及びバッカリンの固形分あたりの含有量(w/w%)を求めた。エタノール抽出を4時間行ったときの結果を図2に示す。
図2に示すように、室温未満(7℃)での抽出では、p−クマル酸量の減少が見られたものの、プレニル桂皮酸誘導体(ドゥルパニン、アルテピリンC及びバッカリン)に関しては温度による抽出率の変化はほとんど見られなかった。よって、固形分あたりのプレニル桂皮酸誘導体の含有量を高めるためには室温未満でエタノール抽出を行うのが好ましいが、コスト的な観点から室温でエタノール抽出を行ってもほとんど問題ないことがわかった。また、抽出時間については、4時間及び一晩抽出した場合でも同様な抽出効率が得られた。
(プロポリス原塊の種類による検討)
ミナスジェライス州の生産輸出業者より購入したブラジル産のグリーン・プロポリス原塊(固形分20%エキス中のp−クマル酸相当量が7%)及びブラウン・プロポリス原塊(固形分20%エキス中のp−クマル酸相当量が5%)、並びに中国産のプロポリス原塊(固形分20%エキス中のp−クマル酸相当量が4%)を用意した。これら各プロポリス原塊90gをそれぞれ粉砕し、これに99.5容量%含水エタノールを300ml加え、室温で4時間攪拌しエタノール抽出を行った。次に、これら抽出液を濾紙(東洋濾紙社製、No.2)で吸引濾過し、その濾液を一晩冷凍庫に入れて脱ロウした後、珪藻土濾過を行うことによりエタノール抽出液を得た。これらエタノール抽出液を上記実施例1と同様にHPLCにて分析し、p−クマル酸、ドゥルパニン、アルテピリンC及びバッカリンの固形分あたりの含有量(w/w%)を求めた。結果を図3に示す。図3に示すように、プレニル桂皮酸誘導体は、中国産よりもブラジル産のプロポリス原塊に多く含有されていることがわかる。また、アルテピリンC及びバッカリンについては、グリーン・プロポリス原塊に多く含有されていることがわかる。
(合成吸着樹脂による分画検討)
ミナスジェライス州の生産輸出業者より購入したプロポリス原塊(固形分20%エキス中のp−クマル酸相当量が6%)90gを粉砕し、これに99.5容量%含水エタノールを300ml加え、室温で4時間攪拌しエタノール抽出を行った。次に、これら抽出液を濾紙(東洋濾紙社製、No.2)で吸引濾過し、その濾液を一晩冷凍庫に入れて脱ロウした後、珪藻土濾過を行うことによりエタノール抽出液を得た。このエタノール抽出液に対し、キラヤニンC−100(丸善化成株式会社製のキラヤ抽出物25w/v%含有)を所定量添加し、溶媒中のエタノール濃度が70容量%相当濃度となるように調整するとともに、プロポリス由来の固形分濃度が20%となるように調整した乳化剤添加タイプのエタノール抽出溶液B20E(固形分20w/v%)を得た。
次に、合成吸着樹脂(三菱化成工業株式会社製のダイヤイオンHP−20)が充填されたカラムに対し、該合成吸着樹脂の半分量のエタノール抽出溶液B20Eを通導させた後、50容量%含水エタノール、70容量%含水エタノール及び100容量%エタノールを順次流し、各エタノール濃度にて溶出される溶出画分を得た。なお、前記カラムは、合成吸着樹脂(固定相)を水で十分に洗浄することによって調製されるとともに、水(移動相)が余剰に存在しない状態となっている。これら溶出画分を上記実施例1と同様にHPLCにて分析し、p−クマル酸、ドゥルパニン、アルテピリンC及びバッカリンの固形分あたりの含有量(w/w%)を求めた。結果を図4に示す。図4の結果から明らかなように、合成吸着樹脂に通導した後、50容量%又は70容量%含水エタノールで溶出させた画分を回収した後の、100容量%エタノール溶出画分には、アルテピリンC及びバッカリンが固形分あたりそれぞれ19.7w/w%及び2.9w/w%含有されており、含有量が顕著に高められていた。
(合成吸着樹脂へ吸着するエタノール濃度の検討)
実施例1で抽出された各エタノール濃度のエタノール抽出液を上記実施例4の合成吸着樹脂に通導させた。なおこのとき、前記エタノール抽出液は、そのままの状態で、合成吸着樹脂の半分量通導された。続いて、前記合成吸着樹脂を、50容量%含水エタノールで溶出(洗浄)し、次いで100容量%エタノールで溶出させた。100容量%エタノールで溶出させた画分について、上記実施例1と同様にHPLCにて分析し、p−クマル酸、ドゥルパニン、アルテピリンC及びバッカリンの固形分あたりの含有量(w/w%)を求めた。結果を図5に示す。また、図5に示される固形分あたりの含有量(w/w%)について、実施例1の各エタノール抽出液に対する濃縮率を求め、下記表1に示した。
Figure 2006061037
図5及び表1に示すように、各エタノール濃度のエタノール抽出液を合成吸着樹脂にて精製した場合、アルテピリンCの固形分あたりの含有量が効果的に高められることが確認された。また、エタノール抽出液の容量が合成吸着樹脂の容量の半分量程度であれば、エタノール濃度に関係なく吸着可能であることも確認された。なお、さらに分離度を高めるためには、前記エタノール抽出液にサポニン及び/又は水を加えた後に合成吸着樹脂に接触させるのが好ましい。
(水添加に伴うエタノール濃度低下による分画検討)
ミナスジェライス州の生産輸出業者より購入したプロポリス原塊(固形分20%エキス中のp−クマル酸相当量が6%)を、95容量%含水エタノールでエタノール抽出することにより、固形分20w/v%のエタノール抽出液B20を得た。このエタノール抽出液B20に水を加えることによりエタノール濃度を80容量%〜20容量%まで低下させた。次いで、これらを超音波洗浄器に20分間かけ良く振とうした後、室温で一晩放置し、上清(上層)と、アルテピリンCなどのプレニル桂皮酸誘導体を含有するヤニ状の不溶解物(下層)とに層分離させた。各層について、上記実施例1と同様にHPLCにて分析し、p−クマル酸、ドゥルパニン、アルテピリンC及びバッカリンの固形分あたりの含有量(w/w%)を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2006061037
表2より、水を添加して上層とヤニ状の下層とに分離するためには、エタノール濃度を70容量%〜50容量%に低下させるのが良いことがわかる。また、高い抗癌活性を有するアルテピリンCやバッカリンを多く含む層を分画するためには、25〜45容量%のエタノール濃度の低下が好ましく、さらに好ましくは35〜45容量%のエタノール濃度の低下が好ましいことが確認された。なお、このときに得られる不溶解物は、70容量%を超える含水エタノールに溶解し、且つ50〜70容量%の含水エタノールに溶解しない成分である。
(実施例4及び実施例6の組み合わせによる分画検討)
実施例6においてエタノール濃度を60容量%に低下させることによって析出した不溶解物を採取し、該不溶解物にエタノールを添加することにより再溶解させた。次に、前記再溶解させた溶液にキラヤニンC−100(丸善化成社製のキラヤ抽出物25%含有)を所定量添加し、溶媒中のエタノール濃度が70容量%相当濃度となるように調整した。この再溶解された乳化剤添加タイプの溶液を、実施例4のカラムに通導させた後、実施例5と同様に50容量%の含水エタノールで溶出(洗浄)し、次いで100容量%エタノールにて溶出させた。この100容量%エタノール溶液で溶出させた溶出液について、上記実施例1と同様にHPLCにて分析し、p−クマル酸、ドゥルパニン、アルテピリンC及びバッカリンの固形分あたりの含有量(w/w%)を求めた。
その結果、データは示さないが、アルテピリンCなどのプレニル桂皮酸誘導体の含有量は若干の増加が見られたが、複数の工程を行うための手間が甚大であった。従って、食品用組成物中に含まれるプレニル桂皮酸誘導体の固形分あたりの含有量を高めるためには、エタノール抽出を行った後、第1の工程、第2の工程又は第3の工程のうちいずれか1つの工程を行うのが工業的に最も有利であることがわかる。しかしながら、各工程における諸条件や複数の工程の組み合わせ方を十分に検討することによって、大量生産に適した食品用組成物の製造方法の開発が可能であることは十分に予測可能である。
(デキストリン吸着による検討)
ミナスジェライス州の生産輸出業者より購入したプロポリス原塊(固形分20%エキス中のp−クマル酸相当量が7%)を、95容量%含水エタノールでエタノール抽出することにより、固形分55w/w%のエタノール抽出液B55を作製した。次に、このエタノール抽出液B55をデキストリン粉末(三和澱粉工業株式会社製)に吹付けスプレードライヤーにて乾燥させ、プロポリス由来の固形分を50重量%含有するパウダー(スプレードライパウダー)を作製した。また比較として、前記エタノール抽出液B55をデキストリン粉末に吹付けた後に棚乾燥にて乾燥させ、プロポリス由来の固形分を50重量%含有するパウダー(棚乾燥パウダー)を作製した。これらのパウダーをそれぞれ99.5容量%エタノールで再抽出し、上記実施例1と同様にHPLCにて分析し、p−クマル酸、ドゥルパニン、アルテピリンC及びバッカリンの固形分あたりの含有量(w/w%)を求めた。結果を図6に示す。図6に示すように、スプレードライパウダーのエタノール再抽出エキスは、アルテピリンCやバッカリンの含有量が優れていることが明らかとなった。
なお、上記実施例によれば、食品用組成物中に含まれるプレニル桂皮酸誘導体の固形分あたりの含有量を以下のように高め得ることが容易に推測される。例えばプレニル桂皮酸誘導体(全体)の場合、食品加工に使用可能な分離精製技術を2種類(例えば実施例1の100%エタノール抽出と実施例4(濃縮率148%)との組み合わせ)以上組み合わせることにより、固形分あたり40重量%程度まで高めることが可能である。また、アルテピリンCの場合、食品加工に使用可能な分離精製技術を2種類(例えば実施例1の100%エタノール抽出と実施例4(濃縮率187%)との組み合わせ)以上組み合わせることにより、固形分あたり30重量%程度まで高めることが可能である。また、アルテピリンCの場合、食品加工に使用可能な分離精製技術を2種類(例えば実施例1の100%エタノール抽出と実施例6(濃縮率147%)との組み合わせ)以上組み合わせることにより、固形分あたり25重量%程度まで高めることが可能である。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 第1の工程において、サポニン以外にも界面張力を下げる作用を有する乳化剤を用いても構わない。
・ 食品用組成物を活性炭若しくは活性白土処理、又はヘキサンで脱脂処理してもよい。このように構成した場合、プレニル桂皮酸誘導体の固形分あたりの含有量をより一層増加させることが可能である。
・ エタノール抽出を行った後に、第1の工程、第2の工程及び第3の工程から選ばれる少なくとも2種の工程を組み合わせて行っても構わない。なおこのとき、第1から第3の工程は順不同かつ自由に組み合わせてもよい。このように構成した場合、食品用組成物中に含まれるプレニル桂皮酸誘導体の固形分あたりの含有量をより一層高めることができる。このとき、例えば食品用組成物中に含まれるバッカリン及びドゥルパニンについて、それぞれ固形分あたり10重量%程度及び8重量%程度まで高め得ることも可能である。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ プロポリス由来のプレニル桂皮酸誘導体を固形分あたり20〜28重量%含むことを特徴とする食品用組成物。このように構成した場合、プレニル桂皮酸誘導体を高含有する食品用組成物を提供することができる。
・ プロポリス由来のアルテピリンCを固形分あたり14〜25重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の食品用組成物。プロポリス由来のアルテピリンCを固形分あたり14〜20重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の食品用組成物。
・ プロポリス由来のバッカリンを固形分あたり4〜7重量%含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の食品用組成物。
・ プロポリス由来のドゥルパニンを固形分あたり2〜6重量%含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の食品用組成物。
・ 前記エタノール抽出液中のプレニル桂皮酸誘導体を合成吸着樹脂に吸着させた後、当該合成吸着樹脂に対し80〜100容量%のエタノール又は含水エタノールを用いて前記プレニル桂皮酸誘導体を溶離させて回収する工程を備え、当該工程は前記エタノール抽出液の容量に対し2倍以上の容量の合成吸着樹脂を用いて行われることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の食品用組成物の製造方法。
実施例1の結果をまとめたグラフを示す図。 実施例2の結果をまとめたグラフを示す図。 実施例3の結果をまとめたグラフを示す図。 実施例4の結果をまとめたグラフを示す図。 実施例5の結果をまとめたグラフを示す図。 実施例8の結果をまとめたグラフを示す図。

Claims (9)

  1. プロポリス由来のプレニル桂皮酸誘導体を固形分あたり20〜40重量%含むことを特徴とする食品用組成物。
  2. プロポリス由来のアルテピリンCを固形分あたり14〜30重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の食品用組成物。
  3. プロポリス由来のバッカリンを固形分あたり4〜10重量%含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の食品用組成物。
  4. プロポリス由来のドゥルパニンを固形分あたり2〜8重量%含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の食品用組成物。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の食品用組成物を製造する方法であって、
    プロポリス原塊、又は当該プロポリス原塊を水若しくは50容量%未満の含水エタノールで抽出した後の固形物を、エタノール又は含水エタノールで抽出することによりエタノール抽出液を得る抽出工程を備え、
    前記プロポリス原塊は固形分20%エキス中のp−クマル酸相当量が5%を超えるものであることを特徴とする食品用組成物の製造方法。
  6. 前記抽出工程は80〜100容量%のエタノール又は含水エタノールが用いられることを特徴とする請求項5に記載の食品用組成物の製造方法。
  7. 前記エタノール抽出液中にサポニンを添加してサポニン含有液とした後、当該サポニン含有液中のプレニル桂皮酸誘導体を合成吸着樹脂に吸着させ、さらに前記合成吸着樹脂に対し80〜100容量%のエタノール又は含水エタノールを用いて前記プレニル桂皮酸誘導体を溶離させて回収する工程を備えることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の食品用組成物の製造方法。
  8. 前記エタノール抽出液中に水を添加してエタノール濃度を30〜70容量%に低下させて不溶解物を析出させた後、当該不溶解物を回収する工程を備えることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の食品用組成物の製造方法。
  9. 前記エタノール抽出液を糖類の粉末に吹付けた後に当該粉末とともにスプレードライヤーにて噴霧乾燥を行い、さらにその噴霧乾燥物をエタノール又は含水エタノールで再抽出する工程を備えることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の食品用組成物の製造方法。
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