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JP2006052244A - 2液硬化型水性接着剤 - Google Patents

2液硬化型水性接着剤 Download PDF

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JP2006052244A
JP2006052244A JP2004232859A JP2004232859A JP2006052244A JP 2006052244 A JP2006052244 A JP 2006052244A JP 2004232859 A JP2004232859 A JP 2004232859A JP 2004232859 A JP2004232859 A JP 2004232859A JP 2006052244 A JP2006052244 A JP 2006052244A
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aldehyde group
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Hiroyuki Ono
裕之 小野
Mitsuo Shibuya
光夫 渋谷
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Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
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Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

【課題】 初期接着力、恒久接着力、耐久接着力、保存安定性に優れているとともに、接着層の経時変色が少なく、酸性・アルカリ性条件下でも接着力の経時低下が少ない2液硬化型水性接着剤を提供すること。
【解決手段】
側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)を含有する水性液(I)と、アルデヒド基と反応可能な官能基を有する化合物(B)を含有する水性液(II)からなる。

Description

本発明は、側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)を含有する水性液(I)と、アルデヒド基と反応可能な官能基を有する化合物(B)を含有する水性液(II)からなる2液硬化型水性接着剤に関し、更に詳しくは、初期接着力、恒久接着力、耐久接着力(煮沸繰り返し)、保存安定性に優れ、さらに酸性、アルカリ性条件下での接着力低下が少なく、接着層の経時着色が少ない2液硬化型水性接着剤に関する。
従来より、木質材料等の接着剤として、「ハネムーン接着剤」と呼ばれる接着剤が知られている。かかる接着剤は、一方の被着材の被着面に主剤を塗布し、もう一方の被着材の被着面に硬化剤を塗布して、これらの面を合わせて、一定時間圧締することにより、被着面で主剤と硬化剤が瞬時に反応して被着材同士を接着せしめるというものであり、瞬時に被着材同士を接着できるという特徴を有するものである。
近年、木材工業等では、生産工程をコンベアーシステムで連続的に量産する試みがあり、このような生産工程では接着速度が生産性の大きく影響を及ぼし、接着速度の速い接着剤が要望されている。
かかる接着剤として、分子内にアセトアセチル基を有する高分子化合物の水溶液および/または水性エマルジョンを主成分とする第1液とヒドラジン化合物の水性溶液を主成分とする第2液と、更に特定の粘着付与樹脂や特定の充填材を上記第1液、第2液のいずれか一方または両方に含有している2液型水性接着剤が提案されており(例えば、特許文献1、2参照。)、本出願人も、ブロックキャラクターが0.3〜0.6のアセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水性液とヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、ポリエチレンイミン、ポリアミド化合物、シラン化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む水性液よりなる2液型側硬化水性接着剤を提案している(例えば、特許文献3参照。)。
特開平6−256751号公報 特開平6−299136号公報 特開2002−285117号公報
しかしながら、本発明者が上記接着剤について詳細に検討したところ、いずれの接着剤も、初期接着力、恒久接着力、耐久接着力(煮沸繰り返し)、保存安定性は良好であるが、内装材料、特に審美性、意匠性が要求される物品の接着剤として使用した場合に接着層が経時で着色したり、屋外部材の接着剤として使用した場合には酸性雨の影響で、また、屋内部材に用いられた場合にはアルカリ性の防カビ剤の影響により接着力が経時で低下するという問題があることが判明した。
すなわち、経時での着色が少なく、酸性条件およびアルカリ性条件で使用された場合にも経時の接着力低下が少ない2液硬化型水性接着剤が求められるところである。
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)を含有する水性液(I)と、アルデヒド基と反応可能な官能基を有する化合物(B)を含有する水性液(II)からなることを特徴とする2液硬化型水性接着剤が、上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
本発明の2液硬化型水性接着剤は、初期接着力、恒久接着力、耐水接着力(煮沸繰り返し)が強く、さらに接着層の経時着色が少なく、耐酸性、耐アルカリ性に優れるため、審美性、意匠性が要求される物品の接着剤や、屋外あるいは屋内部材の接着剤として有用である。
本発明に用いる側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)〔以下ポリビニルアルコール系樹脂をPVAと略記することがある〕について、以下順に詳しく説明する。
本発明に用いる側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)は、a)下記一般式(1)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をケン化して得るか、もしくはb)下記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも1種類の不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をアルカリ触媒でケン化した共重合体ケン化物を、さらに酸性条件下で加水分解する方法のいずれかによって得られる。
Figure 2006052244
(但し、式中R、Rは水素またはメチル基またはフェニル基、好ましくは水素またはメチル基、Rは炭素数1〜8のアルキル基、好ましくはメチル基、nは0〜8、好ましくは0〜3、特には0〜1の整数)
Figure 2006052244
(但し、式中R、Rは水素またはメチル基またはフェニル基、好ましくは水素またはメチル基、R、Rは各々独立して炭素数1〜8のアルキル基、好ましくはメチル基
Figure 2006052244
(但し、式中R、Rは水素またはメチル基、R10は炭素数2〜5のアルキレン基、好ましくはエチレン基、nは0〜8、好ましくは0〜3、特には0〜1の整数)
まず、a)上記一般式(1)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合物をケン化して側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)を得る方法について説明する。
上記一般式(1)で表される不飽和単量体の例としては、アリリデンジアセテート、2−メタリリデンジアセテート、2−フェニルアリリデンジアセテート、クロチリデンジアセテート、シンナミリデンジアセテート、アリリデンジベンゾエート、アリリデンベンゾエートアセテート等が挙げられ、特にR,Rが水素で、Rがメチル基であるアリリデンジアセテートがコストや原料入手のし易さの点で好ましい。また、これらは単独で用いても併用して用いても良い。
ビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、工業的な入手のし易さにより酢酸ビニルが好ましく、これらは単独で用いても併用しても良い。
上記の単量体以外に、本発明の目的を阻害しない範囲において、更に他の単量体も共重合に利用することができ、かかる他の単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン等を挙げることができる。
かかる不飽和単量体とビニルエステル系単量体の共重合に当たっては、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等の公知の重合方法を採用することができるが、通常は溶液重合法が行われる。
重合に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を挙げることができるが、好適にはメタノールが用いられる。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すれば良い。例えば、溶媒がメタノールの時は、溶媒量/上記各種単量体の合計量(重量比)は0.1〜1程度の範囲となる量で使用される。
また、重合開始剤としては、例えば2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレイト、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレ−ト、t−ヘキシルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシ−ジ−カーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシ−ジ−カーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシ−ジ−カーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシ−ジ−カーボネート類、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチラルパーオキサイド等のジアシルパーオキシド類などを挙げることができる。尚、必要に応じて、メルカプタン系化合物等の公知の連鎖移動剤を併用することも可能である。
重合は、反応缶に溶媒を仕込んだ後、ビニルエステル系単量体と上記一般式(1)で表される不飽和単量体、重合開始剤を仕込み、35〜200℃程度、好ましくは40〜80℃、更には55〜75℃で重合させる。ビニルエステル系単量体と一般式(1)で表される不飽和単量体は溶媒中に初期に一括仕込みしてもよいが、HANNAの式に従って滴下仕込みすると重合が均一に進行するので好ましい。目的とする平均重合度になるように、ビニルエステル系単量体の重合率を20〜80%とした後、重合禁止剤を仕込んで重合を終了する。その後未反応の単量体を除去して上記一般式(1)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体が得られるのである。
次いで、かかる共重合体はケン化されるのであるが、かかるケン化も公知の方法で行うことができる。この時使用されるケン化触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルコラートの如きアルカリ触媒、更に硫酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸等の酸触媒を挙げることができ、好ましくは水酸化ナトリウムが用いられる。
また、かかるケン化時の溶媒としては、メタノール、エタノール、iso−プロパノール、酢酸メチル、ベンゼン、ヘキサン等が挙げられ、好適にはメタノールが用いられる。また、残存酢酸基のブロック性の調整を目的として、これらの溶媒を任意に組合わせて誘電率をコントロールしながらケン化を行ってもよい。
ケン化温度は特に制限はないが、10〜70℃が好ましく、更には30〜50℃、特には35〜45℃の範囲から選ばれる。
上記の如きケン化を行うに当たっては、連続式でもバッチ式でもよいが、粒子径の制御の意味から好ましくはバッチ式が採用される。かかるバッチ式のケン化装置としては、ニーダー、リボンブレンダー等を挙げることができる。
次に、b)上記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも1種類の不飽和単量体とビニルエステル系単量体を共重合して側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)を製造する方法について説明する。
上記一般式(2)で表される不飽和単量体の具体的な例としては、(メタ)アクロレインジメチルアセタール、(メタ)アクロレインジエチルアセタール、3−メチル−3−ブテナールジメチルアセタール、3−メチル−3−ブテナールジエチルアセタール、3−ブテナールジメチルアセタール、3−ブテナールジエチルアセタール、2−(2−プロペニル)−1,3−ジオキソラン、4−ペンテナールジメチルアセタール、4−ペンテナールジエチルアセタール、5−ヘキセナールジメチルアセタール、5−ヘキセナールジエチルアセタール、6−ヘプテナールジメチルアセタール、6−ヘプテナールジエチルアセタール、7−オクテナールジメチルアセタール、7−オクテナールジエチルアセタール等を挙げることができる。
また、上記一般式(3)で表される不飽和単量体の具体的な例としては、2−ビニル−1,3−ジオキソラン、2−イソプロペニル−1,3−ジオキソラン、2−(2−メチル−2−プロペニル)−1,3−ジオキソラン、2−(3−ブテニル)−1,3−ジオキソラン、2−(5−ペンテニル)−1,3−ジオキソラン、2−(6−ヘキセニル)−1,3−ジオキソラン、2−(1−ヘプテニル)−1,3−ジオキソラン等が挙げられる。
上記の単量体を使用して目的のPVA(A)を得る方法として具体的には、i)上記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも1種類の不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をアルカリ条件下でケン化して共重合体のケン化物とし、更にそれを酸処理してアルデヒド基を生成させる方法、ii)上記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも1種類の不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体を酸性条件下で加水分解し、ビニルエステル基のケン化とアルデヒド基の生成とを同時に起こらせしめる方法が挙げられ、さらには、iii)かかる共重合体を使用する際、その系を酸性条件とすることで、系中でアルデヒド基を生成させる方法も可能である。
i)の方法の場合、共重合体の製造方法は上記一般式(1)で表される不飽和単量体を用いた重合の場合と同様に実施される。ケン化はアルカリ条件で行う必要があり、その実施にあたっては、前述のアルカリ触媒を用いて同様に実施すればよい。
酸性処理する方法は、得られた共重合体ケン化物を含む水溶液に塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や、酢酸、蟻酸等の有機酸等から選ばれる少なくとも1種類の酸を添加して水溶液を酸性にすればよく、その時のpHは1〜6.5、好ましくは1.5〜6、より好ましくは2〜5.5の範囲に調整される。pHが1より低い場合は塗工する際の作業環境に注意が必要となる等用途での制約が多くなる場合があり、6.5より高いとアルデヒド基への生成が十分に行われない場合がある。pH調製の時の温度は特には制限されないが、通常常温で実施され、必要に応じて加温される。
ii)の方法の場合、共重合体に上記酸の水溶液を添加して、上記イ)の場合と同様にpH調整すればよい。
iii)の方法の場合、かかる共重合体を使用する際に、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸や、酢酸、蟻酸などの有機酸から選ばれる少なくとも1種類の酸を併用し、系を酸性にすればよく、そのときのpHは1〜6.5が好ましく、特には1.5〜6、更には2〜5.5の範囲が好ましい。
かくして側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)が得られるのであるが、かかる側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)のケン化度は70モル%以上とすることが好ましく、更には75モル%以上、特には80モル%以上である。かかるケン化度が70モル%未満では、水溶性が乏しくなり水溶液とすることが難しくなることがあり好ましくない。
また、該PVA(A)のJIS K6726に準拠して測定される平均重合度は50〜5000が好ましく、更には100〜4000、特には300〜3000である。かかる平均重合度が50未満では充分な接着性が得られないことがあり、逆に5000を越えると水溶液の粘度が高くなりすぎて、被着物質への塗工作業性が低下したり、均一な塗工が困難となることがあり好ましくない。
得られた側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)のアルデヒド基の含有量は、0.1〜30モル%が好ましく、更には0.5〜25モル%、特には1〜20モル%である。0.1モル%より少ないと充分な接着性が発現しないことがあり、30モル%を越えると得られるPVA中に不溶解物が発生する傾向があり好ましくない。尚、アルデヒド基の含有量は、高分子化学、第15巻、第156号、第249〜254頁(1958)に記載の方法によって調製したp−ニトロフェニルヒドラジンとアルデヒド基含有ポリビニルアルコール(完全ケン化品)との反応物を、H−NMR(DMSO−d6,60℃)で測定して、δ=8.0〜8.1ppmのピーク強度の合計値(X)とδ=4.6〜4.0ppmのピーク強度の合計値(Y)から以下の式で算出する。
アルデヒド基の含有量(モル%)=〔0.5X/(0.5X+Y)〕×100
また、かかるPVA(A)の1,2−グリコール量としては特に限定されないが、1〜4モル%程度が好ましい。1,2−グリコール量はNMRによって測定することができる。
さらに、かかるPVAの残存酢酸基のブロック性についても特には限定されないが、ブロックキャラクター[η]の値として0.3〜0.8程度が好ましい。
尚、ここで言うブロックキャラクター[η]とは、13C−NMRの測定(内部標準物質として3−(trimethylsilyl)propionic−2,2,3,3,−d4acid,sodiumsaltを使用)により、40〜49ppmの範囲に見られるメチレン炭素部分に基づくピーク[(OH,OH)dyad=46〜49ppmの吸収、(OH,OR)dyad=43.5〜45.5ppmの吸収、(OR,OR)dyad=40〜43ppmの吸収、但し、ORはO−酢酸基を表す]の吸収強度比から求められるもので、より具体的には下記式より算出される値である。
[η]=(OH,OR)/2〔(OH)×(OR)〕
〔但し、(OH,OR)、(OH)、(OR)は、いずれもモル分率で計算するものとする。また、(OH)は13C−NMRの積分比より算出されるケン化度(モル分率)で、(OR)はその時の酢酸基のモル分率を示すものである。〕
かくして本発明の2液硬化型水性接着剤の主剤に用いる側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)が得られるのであるが、本発明においては、かかる主剤として、該PVAを含有する水性液(I)(以下、I液と称することがある)として用いるのである。
すなわち、かかる側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)の水溶液、あるいは分散液(エマルジョン)等の形にして、主剤とするのである。
前者の水溶液にする場合には、かかるPVA(A)をそのまま水に溶解させることにより可能であり、この時の水溶液の濃度としては、1〜30重量%(更には1〜25重量%、特に1〜20重量%)とすることが好ましく、かかる濃度が1重量%未満では充分な接着力を得ることが困難となる場合があり、逆に30重量%を越えると水溶液の粘度が高くなり作業性が困難となる場合があり好ましくない。
後者のエマルジョンの場合は、側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)を含有するエマルジョンを調製すれば良く、かかる調製にあたっては、任意の方法で得られた合成樹脂エマルジョンに側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)を添加するもので、対象となるエマルジョンとしては、スチレン/ブタジエン系エマルジョン、シス−1,4ポリイソプレンエマルジョン、クロロプレンエマルジョン、アクリロニトリル/ブタジエンエマルジョン、ビニルピリジンエマルジョン、メチルメタクレート/ブタジエンエマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、アクリルエステル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン/酢酸ビニル系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョン、ポリスチレンエマルジョン、ポリエチレンエマルジョン、シリコーンエマルジョン、ポリブテンエマルジョン、チオコールエマルジョンなどが挙げられる。
エマルジョンに側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)を添加する場合、該PVA(A)を水溶液としてから添加する時にはエマルジョンを室温にて、撹拌しながらこれに該水溶液を添加するだけでよいが、該PVA(A)の粉末を添加する時には、エマルジョンを撹拌しながら該粉末を添加し、50〜85℃に加温すれば短時間で均一な混合が終了するので好ましい。
側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)の使用量は、エマルジョン固形分に対して1〜40重量%(更には2〜30重量%)程度の範囲が好ましい。
かくして、側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)を含有する水性液(I)が得られるのであるが、かかる水性液(I)には、必要に応じて顔料、分散剤、消泡剤増粘剤等の添加剤を適宜混合することができる。
次に、アルデヒド基と反応可能な官能基を有する化合物(B)を含有する水性液(II)(以下、II液と称することがある)について説明する。
かかる水性液(II)に用いるアルデヒド基と反応可能な官能基を有する化合物とは、例えば、ヒドラジン化合物、アミン化合物、ポリエチレンイミン、ポリアミド樹脂、シラン化合物、チオール化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アセトアセチル基基含有化合物、等が挙げられるが、ヒドラジン化合物、アミン化合物、ポリエチレンイミン、ポリアミド樹脂、シラン化合物が好適である。
かかるヒドラジン化合物としては、ヒドラジン、ヒドラジンヒドラード、ヒドラジンの塩酸,硫酸,硝酸,亜硫酸,リン酸,チオシアン酸,炭酸等の無機塩類およびギ酸,シュウ酸等の有機塩類、ヒドラジンのメチル,エチル,プロピル,ブチル,アリル等の一置換体、1,1−ジメチル,1,1−ジエチル,4−n−ブチル−メタルなどの対称二置換体などを挙げることができ、さらに、ジヒドラジンとして、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、ダイマー酸ジヒドラジド等が挙げられ、特公平2−4607号公報に記載のジヒドラジド化合物等の2塩基酸ヒドラジド、カルボヒドラジド、2,4−ジヒドラジノ−6−メチルアミノ−sym−トリアジン、ポリ(メタ)アクリル酸ヒドラジド等も挙げることができる。
かかるヒドラジン化合物を用いた時の水性液(II)中の含有量は、1〜30重量%(更には2〜25重量%、特に3〜20重量%)であることが好ましく、かかる含有量が1重量%未満では、本発明効果を充分に得られない場合があり、逆に30重量%を越えると水に溶解しない場合や本発明の作用効果の向上が見られなくなる場合もあり好ましくない。
かかるアミン化合物としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、N−アミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナンジアミンなどの脂環式ポリアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、2、4’−トルイレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンなどを挙げることができる。
かかるアミン化合物を用いた時の水性液(II)中の含有量は、1〜30重量%(更には2〜25重量%、特に3〜20重量%)であることが好ましく、かかる含有量が1重量%未満では、本発明の効果を充分に得られない場合があり、逆に30重量%を超えると水に溶解しない場合や、本発明の作用効果の向上が見られなくなる場合もあり好ましくない。
ポリエチレンイミンとしては、下記一般式(4)で表され、分子量が300〜10万位のものを挙げることができ、低分子量の液状物はそのままでも使用できるが、高分子量のものは1〜40%の水溶液として使用するのが好ましい。
Figure 2006052244
(但し、R11,R12,R13は水素又はCH2CH2NH2、x、yは整数)
ポリアミド樹脂としては、分子内にアミノ基とアミド基を2個以上有するポリアミノアミド樹脂が用いられ、かかる樹脂は乾性油、半乾性油、トール油等からの脂肪酸より得られるダイマー酸とポリアミンとの縮合物か、ポリカルボン酸とポリアミンとの縮合体及び変性物であって分子中に反応性の第1及び第2アミノ基を有するポリアミド樹脂で、一般的にエポキシ樹脂の硬化剤として広く用いられているものを指す。
かかる樹脂は特に限定するものではないが、アミン価は100〜800、30℃における粘度は0.5〜700ポイズが適している。
かかるポリアミド樹脂を用いた時の水性液(II)中の含有量は、1〜30重量%(更には2〜25重量%、特に3〜20重量%)であることが好ましく、かかる含有量が1重量%未満では、本件発明の作用効果を充分に得ることが出来ない場合があり、逆に30重量%を越えると水性液の粘度が高くなり作業性に問題が生じる場合もあって好ましくない。
シラン化合物としては、好ましくは下記一般式(5)で示されもので、
Y−R−Si(CH)3−n ・・・(5)
(但し、Yはビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、クロル基、Xはアルコキシ基、Rはアルキル基、アルキレン基、nは1、2あるいは3を示す。)
具体的には、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクロロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、β−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどを挙げることができる。
かかるシラン化合物を用いた時の水性液(II)中の含有量は、1〜50重量%(更には2〜40重量%、特には3〜30重量%)であることが好ましく、かかる含有量が1重量%未満では、本件発明の作用効果が充分に得られない場合があり、逆に50重量%を越えても作用効果に顕著な向上が見られず好ましくない。
かくして、上記の如き水性液(I)および(II)からなる2液型速硬化水性接着剤が得られるのであるが、かかる水性液(I)および(II)の2液よりなる速硬化水性接着剤は、通常I液とII液を別々に被着体に塗布して使用される。
すなわち、I液を接着せんとする基材の被着面に塗布し、II液を接着せんとするもう一方の基材の被着面に塗布し、直ちにこの両面を合わせて接触させ、圧締すると室温で数秒〜10分以内にかなりの強度にまで接着するので解圧することができ、そのまま放置養生すると充分に高い接着強度のものが得られる。
上記のごとく得られた2液硬化型水性接着剤は、初期接着力、恒久接着力、耐久接着力(煮沸繰り返し)に優れ、保存安定性も高く、さらに接着層の経時着色が少ないことから、内装材として用いられる木材、合板、パーティクルボード等の木質材料、メラミン化粧版などのプラスチック材料、壁紙、白板紙、化粧紙などの、特に審美性、意匠性が要求される被着物の高速接着剤として有用であり、さらに酸性条件下やアルカリ性条件下での接着力低下が少ないことから、酸性雨の影響がある屋外部材、防カビ剤などアルカリ性薬剤の影響がある屋内部材の接着剤として有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中、「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り重量基準を示す。
〔側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A−1)〜(A−9)および側鎖にアセタール基を有するPVA(A−10)〜(A−11)の製造〕
なお、上記樹脂は、以下単に(A−1)〜(A−11)と略記する。
(A−1)
パドル翼を付けた3リットルのジャケット付反応缶に、酢酸ビニル1000g、アリリデンジアセテート45g及びメタノール550gを仕込み、加熱還流させた。別途、重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリル3.81gをメタノール50gに溶解したものを用意して、上記の反応缶に仕込み、重合を開始したと同時に、50%アリリデンジアセテートのメタノール溶液の仕込みを開始した。なお、アリリデンジアセテートは、酢酸ビニルと均一に重合するようにHANNAの式〔アリリデンジアセテートの反応性比(r1)=1.34、酢酸ビニルの反応性比(r2)=0.48〕に従って仕込み、酢酸ビニルの重合率が80%に到達するまでに仕込まれたアリリデンジアセテートの量は37gであった。重合率が80%に達した時点で、重合禁止剤としてm−ジニトロベンゼン0.03gをメタノール100gに溶解したものを反応缶に仕込み、内温を30℃以下にして重合を停止し共重合体のペーストを得た。減圧蒸留により未反応のモノマーを除去した後、メタノールで希釈して共重合体のペースト2165g(樹脂分40%)を得た。
2リットルのジャケット付のケン化用反応缶に、上記で得られた共重合体ペーストを樹脂分30%となるようにメタノールで希釈して400g仕込み、ジャケットを加熱してペースト温度を35℃とした。ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液67g(共重合体の酢酸ビニル単位に対して55ミリモル%)仕込み、ケン化を開始した。ケン化触媒添加終了後ケン化物が析出し始めて、ペーストが増粘し、ケン化母液が発生し、スラリー状態となった後、酢酸の10%メタノール溶液を所定量添加してスラリーを中和して、(A−1)のスラリーを得た。得られた(A−1)をH−NMR(300MHz、DMSO-d6溶媒)で分析したところ、ケン化度は97.1モル%であった。また、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は1000であった。
(A−2)
上記の(A−1)の製造において、重合開始前に予め仕込んでおくアリリデンジアセテートの量を91.2g、重合率80%時点までに追加するアリリデンジアセテートの量を73g、ケン化に用いる水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液量を128g(酢酸ビニル単位に対して105ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−2)を製造した。ケン化度は97.2モル%、アルデヒド基含有量は9.8モル%、平均重合度は980であった。
(A−3)
上記の(A−1)の製造において、重合開始前に予め仕込んでおくアリリデンジアセテートの量を8.8g、重合率80%時点までに追加するアリリデンジアセテートの量を7.6g、ケン化に用いる水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液量を18.3g(酢酸ビニル単位に対して15ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−3)を製造した。ケン化度は97.3モル%、アルデヒド基含有量は1.0モル%、平均重合度は1010であった。
(A−4)
上記の(A−1)の製造において、ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液70.7g(酢酸ビニル単位に対して58ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−4)を製造した。ケン化度は99.2モル%、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は1000であった。
(A−5)
上記の(A−1)の製造において、ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液64.5g(酢酸ビニル単位に対して53ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−5)を製造した。ケン化度は93.0モル%、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は1000であった。
(A−6)
上記の(A−1)の製造において、ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液63.3g(酢酸ビニル単位に対して52ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−6)を製造した。ケン化度は83.0モル%、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は1000であった。
(A−7)
上記の(A−1)の製造において、最初に仕込むメタノールの量550gを50gに変更した以外は同様にして反応を開始し、酢酸ビニルの重合率が20%に到達するまでアリリデンジアセテートを9.1g仕込み重合率が20%になった時点で実施例1と同様に重合禁止剤を仕込んで重合を停止した後、同様に操作して(A−7)を製造した。ケン化度は97.0モル%、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は2500であった。
(A−8)
上記の(A−1)の製造において、最初に仕込むアリリデンジアセテート45gを238gに、メタノール550gを150gに変更し、酢酸ビニルの重合率が80%に達するまでにアリリデンジアセテートを170g仕込んだ以外は同様に行って(A−8)を製造した。ケン化度は97.2モル%、アルデヒド基含有量は25.1モル%、平均重合度は980であった。
(A−9)
上記の(A−1)の製造において、最初に仕込むアリリデンジアセテート45gを140gに、メタノール550gを350gに変更し、酢酸ビニルの重合率が80%に達するまでにアリリデンジアセテートを107g仕込んだ以外は同様に行って(A−9)を製造した。ケン化度は97.1モル%、アルデヒド基含有量は14.8モル%、平均重合度は1030であった。
(A−10)
上記の(A−1)の製造において、アリリデンジアセテートに代えてアクロレインジメチルアセタールを用いた以外は同様に行って(A−10)を製造した。得られた(A−10)をH−NMR(300MHz、DMSO-d6溶媒)で分析したところ、ケン化度は99.1モル%であった。また、ジメチルアセタール基含有量は4.5モル%、平均重合度は1000であった。
(A−11)
上記の(A−1)の製造において、アリリデンジアセテートに代えて2−ビニル−1,3−ジオキソランを用いた以外は同様に行って(A−11)を製造した。得られた(A−11)をH−NMR(300MHz、DMSO-d6溶媒)で分析したところ、ケン化度は99.1モル%であった。また、ジオキソラン基含有量は3.8モル%、平均重合度は950であった。
〔2液型速硬化水性接着剤の調製〕
下記の主剤および硬化剤を調製した。
・主剤(I液) :PVA(A−1)の10%水溶液 100部
固形分42%の酢酸ビニル樹脂エマルジョン 50部
(クラリアントポリマー社製『モビニール AD50』)
・硬化剤(II液):アジピン酸ジヒドラジドの10%水溶液
実施例1
上記で調製した2液型速硬化水性接着剤を用いて、以下の評価を行った。
〔常態接着強度〕
25mm×30mm×10mmの2片の樺材の一方の被着面に主剤(I液)を100g/mとなるように塗布し、他方の被着面に硬化剤(II液)を50g/mとなるように塗布し、両面を接着させて直ちに5kg/cmで圧締し、5秒後に解圧し、直後、5分後および72時間(室温放置)後の接着強度をJIS K 6852に準拠してそれぞれ測定した。
〔耐久接着強度〕
上記と同様に作製した接着サンプルを室温で72時間放置後、沸騰水中に4時間浸漬した後、60℃の空気中で20時間乾燥し、再び沸騰水中で4時間浸漬し、その後浸漬した状態で室温になるまで放置して、水中から取り出し直後(濡れたまま)の接着強度をJIS K 6852に準拠して測定した。
〔耐酸接着強度〕
(常態接着強度)と同様に作製した接着サンプルを室温で72時間放置後、沸騰水中に4時間浸漬した後、60℃の空気中で20時間乾燥し、再びpH3の熱水(80℃)中で4時間浸漬し、その後浸漬した状態で室温になるまで放置して、水中から取り出し直後(濡れたまま)の接着強度をJIS K 6852に準拠して測定した。
〔耐アルカリ接着強度〕
(常態接着強度)と同様に作製した接着サンプルを室温で72時間放置後、沸騰水中に4時間浸漬した後、60℃の空気中で20時間乾燥し、再びpH12の熱水(80℃)中で4時間浸漬し、その後浸漬した状態で室温になるまで放置して、水中から取り出し直後(濡れたまま)の接着強度をJIS K 6852に準拠して測定した。
〔放置後接着強度〕
上記で調製した2液型速硬化水性接着剤を、30℃で1ヶ月間放置した後、上記の(常態接着強度72時間後)と同様の評価を行った。
〔耐変色性〕
(常態接着強度)と同様にして作製した接着サンプルを、60℃の空気中で一週間乾燥した後の、接着層(2片の接合面)から横方向へはみ出した部分を目視観察して、以下の通り評価した。
○・・・ほとんど着色なし
△・・・わずかに着色あり
×・・・著しく着色あり
実施例2
実施例1において、2液型速硬化水性接着剤の硬化剤(II液)として、メタキシリレンジアミンの10%水溶液を調製して用いた以外は、同様に評価を行った
実施例3
実施例1において、2液型速硬化水性接着剤の硬化剤(II液)として、重合度が約7万のポリエチレンイミンの20%水溶液を調製して用いた以外は、同様に評価を行った。
実施例4
実施例1において、2液型速硬化水性接着剤の硬化剤(II液)として、ポリアミノアミド樹脂(富士化成工業社製『トーマイド #2500』)の20%水溶液を調製して用いた以外は、同様に評価を行った。
実施例5
実施例1において、2液型速硬化水性接着剤の硬化剤(II液)として、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランの20%水溶液を調製して用いた以外は、同様に評価を行った。
実施例6
実施例1において、(A−1)に替えて(A−2)を用いて、実施例1と同様に2液硬化型水性接着剤を調製して、同様に評価を行った。
実施例7
実施例1において、(A−1)に替えて(A−3)を用いて、実施例1と同様に2液硬化型水性接着剤を調製して、同様に評価を行った。
実施例8
実施例1において、(A−1)に替えて(A−4)を用いて、実施例1と同様に2液硬化型水性接着剤を調製して、同様に評価を行った。
実施例9
実施例1において、(A−1)に替えて(A−5)を用いて、実施例1と同様に2液硬化型水性接着剤を調製して、同様に評価を行った。
実施例10
実施例1において、(A−1)に替えて(A−6)を用いて、実施例1と同様に2液硬化型水性接着剤を調製して、同様に評価を行った。
実施例11
実施例1において、(A−1)に替えて(A−7)を用いて、実施例1と同様に2液硬化型水性接着剤を調製して、同様に評価を行った。
実施例12
実施例1において、(A−1)に替えて(A−8)を用いて、実施例1と同様に2液硬化型水性接着剤を調製して、同様に評価を行った。
実施例13
実施例1において、(A−1)に替えて(A−9)を用いて、実施例1と同様に2液硬化型水性接着剤を調製して、同様に評価を行った。
実施例14
実施例1において、(A−1)に替えて(A−10)を用い、これに0.5N塩酸を加えPHを3に調整して用いた以外は実施例1と同様2液硬化型水性接着剤を調整して、同様に評価を行った。
実施例15
実施例14において、(A−10)に替えて(A−11)を用いて、実施例14と同様に2液硬化型水性接着剤を調整して、同様に評価を行った。
比較例1
実施例1において、(A−1)に替えて未変性PVA(ケン化度87.5モル%、重合度1400)を用いて、実施例1と同様に2液硬化型水性接着剤を調整して、同様に評価を行った。
比較例2
実施例1において、(A−1)に替えてアセト酢酸エステル基含有PVA(ケン化度99.2モル%、重合度1000、アセト酢酸エステル基含有量3モル%)を用い、実施例1と同様に2液硬化型水性接着剤を調整して、同様に評価を行った。
Figure 2006052244
本発明の2液型速硬化水性接着剤は、初期接着力、恒久接着力、耐久接着力(繰り返し煮沸)に優れ、保存安定性も高く、さらに接着層の経時着色が少ないため、内装材料として用いられる木材、合板、パーティクルボードなどの木質材料、メラミン化粧版などのプラスチック材料、壁紙、化粧紙、白板紙などの紙質材料など、審美性、意匠性が要求される物品の接着剤として有用であり、酸性条件、アルカリ性条件下でも接着力の経時低下が少ないため、屋外部材の接着剤、屋内部材の接着剤として有用である。

Claims (5)

  1. 側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)を含有する水性液(I)と、アルデヒド基と反応可能な官能基を有する化合物(B)を含有する水性液(II)からなることを特徴とする2液硬化型水性接着剤。
  2. 側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)が、下記一般式(1)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をケン化して得られるものであることを特徴とする請求項1記載の2液硬化型水性接着剤。
    Figure 2006052244
    (但し、式中R、Rは水素またはメチル基またはフェニル基、Rは炭素数1〜8のアルキル基、nは0〜8の整数)
  3. 側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)が、下記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも1種類の不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をアルカリ触媒でケン化した共重合体ケン化物を、酸処理して得られるポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の2液硬化型水性接着剤。
    Figure 2006052244
    (但し、式中R、Rは水素またはメチル基またはフェニル基、R、Rは各々独立して炭素数1〜8のアルキル基、nは0〜8の整数)
    Figure 2006052244
    (但し、式中R、Rは水素またはメチル基、R10は炭素数2〜5のアルキレン基、nは0〜8の整数)
  4. 側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)が0.01〜40モル%のアルデヒド基を含有してなることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物。
  5. アルデヒド基と反応可能な官能基を有する化合物(B)が、ヒドラジン化合物、アミン化合物、ポリエチレンイミン、ポリアミド樹脂、シラン化合物のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の2液硬化型水性接着剤。
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