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JP2006044077A - 複合部材及びその製造方法 - Google Patents

複合部材及びその製造方法 Download PDF

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JP2006044077A
JP2006044077A JP2004228698A JP2004228698A JP2006044077A JP 2006044077 A JP2006044077 A JP 2006044077A JP 2004228698 A JP2004228698 A JP 2004228698A JP 2004228698 A JP2004228698 A JP 2004228698A JP 2006044077 A JP2006044077 A JP 2006044077A
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健太郎 鼎
Hideo Nakanishi
英雄 中西
Minoru Tanaka
実 田中
Masahito Kobayashi
雅人 小林
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Abstract

【課題】 各成形部どうしの接着性に優れた複合部材、及び、短時間で且つ安全に製造することができる複合部材の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の複合部材1は、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂及び軟化剤を含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、を射出成形することにより得られた第1成形部11と、この第1成形部11の表面及び/又は断面の少なくとも一部に接合され、押出成形により得られ、且つ、架橋ゴム組成物及び/又はオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を含む第2成形部12とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複合部材及びその製造方法に関し、更に詳しくは、本複合部材を構成する各成形部材どうしの接着性に優れた複合部材、及び、短時間で且つ安全に製造することができる複合部材の製造方法に関する。
本発明の複合部材は、車両用のウェザーストリップ、ガスケット、シール材、パッキン等として用いられる。
車両用のウェザーストリップ、建材用のガスケット等は、通常、加硫ゴムからなるゴム製品であり、目的、用途等によっては、直線部分と曲線部分とを組み合わせた複雑な構造を有する。上記加硫ゴムとしては、特許文献1、2、3等に開示されているゴム組成物等からなるものが用いられている。
上記のような複雑な構造を有するゴム製品は、その形状に応じた金型に加硫用ゴム組成物を流し込んで熱処理することにより製造する方法、直線部分及び曲線部分のいずれか一方を予め製造した後、他方の加硫用ゴム組成物を金型に流し込んで熱処理し、加硫と同時に直線部分及び曲線部分を接合することにより製造する方法等により得られる。後者の場合の具体的な製造方法としては、予め押出成形等により作製した直線部分を金型内に設置し、この直線部分の端部に接合することとなる曲線部分用の、加硫用ゴム組成物を金型キャビティに導入し、160〜180℃程度に加熱された金型内に設置し、3〜5分程度加硫反応させて曲線部分を成形することにより、直線部分と曲線部分とが接合された構造体が得られる。
特開平10−175440号公報 特開2000−72935号公報 特開2002−322328号公報
上記のように、直線部分及び曲線部分を別々に作製する場合には、加硫を完結させるために、高温下で十分な反応時間をもって行われる。しかし、加硫後、ゴム製品の温度が低下する前に金型より取り出すこと、あるいは、ゴム製品を取り出すまでの冷却時間を要すること等により、安全に対する配慮、歩留まり向上等が求められている。また、上記方法により接合されたゴム製品は、両者の接着強度が十分でない場合がある。更に、加硫用ゴム組成物には、加硫促進剤等の添加剤を含むため、金型の使用回数の増加とともに、腐食等の金型汚染が進行することがある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、加硫ゴム等からなる成形部材と他の成形部材との接着性に優れた複合部材、及び、短時間で且つ安全に製造することができる複合部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の重合体成分を含むゴム組成物を用いることにより、その優れた射出融着性を利用し、加硫ゴム等からなる成形部材との接着性がより高められ、複合体としての強度に優れた複合部材が得られることを見出した。
本発明は以下に示される。
1.エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂及び軟化剤を含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、を射出成形することにより得られた第1成形部と、この第1成形部の表面及び/又は断面の少なくとも一部に接合され、押出成形により得られ、且つ、架橋ゴム組成物及び/又はオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を含む第2成形部とを備えることを特徴とする複合部材。
2.上記第1成形部及び上記第2成形部をそれぞれ(A)及び(B)とした場合、本複合部材は、下記[1]〜[4]から選ばれる構造を備える上記1に記載の複合部材。
Figure 2006044077
(但し、mは1以上の整数であり、nは2以上の整数である。)
3.本複合部材は、上記第1成形部及び上記第2成形部の各端部が接合された環状構造である上記2に記載の複合部材。
4.上記第1成形部は、曲線状である上記1乃至3のいずれかに記載の複合部材。
5.上記第1成形部の、JIS K6253に準ずるショアA硬度は、10〜99の範囲にある上記1乃至4のいずれかに記載の複合部材。
6.上記第2成形部は、発泡体である上記1乃至5のいずれかに記載の複合部材。
7.上記第2成形部の形成に用いられる上記架橋ゴム組成物は、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂を含む上記1乃至6のいずれかに記載の複合部材。
8.上記第2成形部は、この第2成形部の表面及び/又は内部に補強用部材を備える上記1乃至7のいずれかに記載の複合部材。
9.架橋性ゴム及び/又はオレフィン系熱可塑性エラストマーを含む組成物(P1)を、押出成形機により成形部材とする工程と、この成形部材の表面及び/又は断面の少なくとも一部が金型キャビティに露出するように設置する工程と、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂及び軟化剤を含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(P2)を、射出成形機により上記金型キャビティに導入する工程と、を備えることを特徴とする複合部材の製造方法。
10.上記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(P2)のメルトフローレートは、温度230℃、荷重21NのJIS K7210に準ずる条件において0.1g/10分以上である上記9に記載の複合部材の製造方法。
本発明の複合部材は、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂及び軟化剤を含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、を射出成形することにより得られた第1成形部と、この第1成形部の表面及び/又は断面の少なくとも一部に接合され、押出成形により得られ、且つ、架橋ゴム組成物及び/又はオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を含む第2成形部とを備えることから、各成形部どうしの接着性に優れ、複合部材として十分な強度を有する。従って、部材の形状、構造等の選択性が高い。
本発明の複合部材の製造方法は、架橋性ゴム及び/又はオレフィン系熱可塑性エラストマーを含む組成物(P1)を、押出成形機により成形部材とする工程と、この成形部材の表面及び/又は断面の少なくとも一部が金型キャビティに露出するように設置する工程と、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂及び軟化剤を含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(P2)を、射出成形機により上記金型キャビティに導入する工程と、を備えることから、複合部材を短時間で且つ安全に製造することができる。
上記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(P2)のメルトフローレートは、温度230℃、荷重21NのJIS K7210に準ずる条件において0.1g/10分以上である場合には、より効率的な製造を行うことができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
1.複合部材
本発明の複合部材は、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂及び軟化剤を含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、を射出成形することにより得られた第1成形部(以下、「成形部(A)」ともいう。)と、この第1成形部の表面及び/又は断面の少なくとも一部に接合され、押出成形により得られ、且つ、架橋ゴム組成物及び/又はオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を含む第2成形部(以下、「成形部(B)」ともいう。)とを備える。
1−1.第1成形部
この第1成形部(成形部(A))は、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂及び軟化剤を含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を、射出成形することにより得られたものである。従って、上記成形部(A)は、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂及び軟化剤を含む。
エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムは、エチレンからなるエチレン単位(a1)と、炭素数が3以上のα−オレフィンからなる単位(a2)とを含む共重合ゴムであれば特に限定されない。
上記単位(a1)の含有量は、上記エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムを構成する全構成単位の全量を100モル%とした場合、好ましくは35モル%以上、より好ましくは40〜90モル%、更に好ましくは45〜85モル%である。上記単位(a1)の含有量が多すぎると、得られる成形部(A)の柔軟性が十分でなくなる傾向にあり、一方、少なすぎると、得られる成形部(A)の機械的強度が十分でない場合がある。
上記単位(a2)を形成することとなる炭素数が3以上のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチルブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン等が挙げられる。これらのα−オレフィンからなる単位(a2)は、1種単独で構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせで構成されていてもよい。また、上記単位(a2)のうち、プロピレンからなる単位、1−ブテンからなる単位等が好ましい。
上記単位(a2)の含有量は、上記エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムを構成する全構成単位の全量を100モル%とした場合、好ましくは5〜65モル%、より好ましくは10〜45モル%、特に好ましくは15〜40モル%である。上記単位(a2)の含有量が少なすぎると、得られる成形部(A)が、所望のゴム弾性を示さない場合がある。一方、多すぎると、得られる成形部(A)の耐久性が低下する場合がある。
上記エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムは、上記単位(a1)及び(a2)から構成される二元共重合体であってもよいし、これらの単位(a1)及び(a2)と、更に他の単位とから構成される重合体(三元共重合体、四元共重合体等)であってもよい。他の単位としては、非共役ジエン化合物からなる単位等が挙げられる。
上記エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムが三元共重合体である場合、この三元共重合体としては、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン三元共重合体等が挙げられる。
このエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン三元共重合体を構成する非共役ジエン単位(以下、「単位(a3)」という。)を形成することとなる非共役ジエン化合物としては、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘキサジエン等の直鎖の非環状ジエン化合物、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、5,7−ジメチルオクタ−1,6−ジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、7−メチルオクタ−1,6−ジエン、ジヒドロミルセン等の分岐連鎖の非環状ジエン化合物、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2,5−ジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン等の脂環式ジエン化合物等が挙げられる。これらの非共役ジエン化合物からなる単位(a3)は、1種単独で構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせで構成されていてもよい。また、上記単位(a3)のうち、1,4−ヘキサジエンからなる単位、ジシクロペンタジエンからなる単位、5−エチリデン−2−ノルボルネンからなる単位等が好ましい。
上記単位(a3)の含有量は、上記エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムを構成する全構成単位の全量を100モル%とした場合、好ましくは10モル%以下、より好ましくは1〜8モル%である。上記単位(a3)の含有量が多すぎると、得られる組成物の耐久性が低下する場合がある。
上記エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムとしては、分子中の水素原子の一部が塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換されたハロゲン化共重合体を用いることができる。
また、上記ハロゲン化共重合体を含むエチレン・α−オレフィン系共重合ゴムの存在下に、塩化ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸の誘導体〔(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリルアミド等〕、マレイン酸、マレイン酸の誘導体(無水マレイン酸、マレイミド、マレイン酸ジメチル等)、共役ジエン化合物(ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等)等の不飽和モノマーを重合して得られるグラフト重合体を用いることもできる。
上記エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムの極限粘度(デカリン溶媒中、135℃で測定)は、好ましくは2.0dl/g以上であり、より好ましくは2.5〜7.0dl/g、更に好ましくは3.0〜6.0dl/gである。この極限粘度が小さすぎると、得られる成形部(A)の表面から軟化剤がブリードアウトしたり、ゴム弾性が低下したりする場合がある。一方、大きすぎると、成形加工性が低下する場合がある。
また、上記エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムのX線回折による結晶化度は、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下である。結晶化度が高すぎると、得られる成形部(A)の柔軟性が低下する場合がある。
更に、上記エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムのヨウ素価は、好ましくは5〜30、より好ましくは7〜20である。このヨウ素価が小さすぎると、得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の架橋密度が低下し、得られる成形部(A)の機械的物性が低下する場合がある。一方、大きすぎると、得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の架橋密度が過度になり、得られる成形部(A)の機械的物性が低下する場合がある。
本発明に関わるエチレン・α−オレフィン系共重合ゴムは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、上記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物とするために、上記エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムは、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムに軟化剤、好ましくは鉱物油系軟化剤が添加されてなる油展ゴムとして用いることもできる。
油展ゴムとする場合のエチレン・α−オレフィン系共重合ゴム及び軟化剤の配合割合は、好ましくは20〜80質量%及び80〜20質量%、より好ましくは25〜75質量%及び75〜25質量%、更に好ましくは30〜70質量%及び70〜30質量%である。
このように、上記エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムの代わりに油展ゴムを用いた場合には、上記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を製造する上で取り扱いが容易となる。
α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂は、α−オレフィンからなる単位(b1)を含み、X線回折による結晶化度が50%以上の樹脂であれば特に限定されない。この結晶化度は、好ましくは53%以上、より好ましくは55%以上である。尚、この結晶化度は、樹脂の密度と密接に関係しており、例えば、ポリプロピレンの場合、α型結晶(単斜晶形)の密度は、0.936g/cm、スメチカ型微結晶(擬六方晶形)の密度は、0.886g/cm、非晶質(アタクチック)成分の密度は、0.850g/cmである。また、ポリ−1−ブテンの場合、アイソタクチック結晶成分の密度は、0.91g/cm、非晶質(アタクチック)成分の密度は、0.87g/cmである。
従って、上記α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂の好ましい密度は、0.89g/cm以上であり、より好ましくは0.90〜0.94g/cmである。上記範囲とすることにより、結晶化度を50%以上とすることができる。
上記α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂の結晶化度が50%未満である場合には、得られる成形部(A)の耐熱性、強度等が低下する傾向にある。
上記単位(b1)を形成することとなるα−オレフィンは、好ましくは炭素数が2以上のものであり、より好ましくは炭素数が2〜12のものである。これらのうち、プロピレン及び1−ブテンが好ましい。
上記単位(b1)の含有量は、上記α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂を構成する全構成単位の全量を100モル%とした場合、好ましくは60モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90〜100モル%である。
上記α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂が共重合体である場合、この共重合体は、ブロック共重合体及びランダム共重合体のいずれであってもよい。但し、上記の結晶化度のブロック共重合体とするためには、α−オレフィンからなる単位(b1)を除く構成単位の合計量は、ブロック共重合体を構成する全構成単位の全量を100モル%とした場合、好ましくは40モル%以下であり、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは10モル%以下である。上記ブロック共重合体は、チーグラー・ナッタ触媒を用いるリビング重合により得ることができる。
また、上記の結晶化度のランダム共重合体とするためには、α−オレフィンからなる単位(b1)を除く構成単位の合計量は、ランダム共重合体を構成する全構成単位の全量を100モル%とした場合、好ましくは15モル%以下であり、より好ましくは10モル%以下である。
上記ランダム共重合体は、例えば、チーグラー・ナッタ触媒と、可溶性バナジウム化合物と、有機アルミニウム化合物と、溶媒とを含む触媒成分の存在下で、α−オレフィン等を重合することにより得ることができる。重合方法としては、中・低圧法等が挙げられ、気相法(流動床又は攪拌床)、液相法(スラリー法又は溶液法)等で行うことができる。尚、重合時には、必要に応じて、水素ガス等の分子量調節剤を用いてもよい。
上記可溶性バナジウム化合物としては、VOCl及び/又はVClと、アルコールとの反応生成物を用いることが好ましい。アルコールとしては、炭素数が2〜12のものが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、n−デカノール、n−ドデカノール等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、炭素数3〜8のアルコールが特に好ましい。
また、上記有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジクロリド、トリメチルアルミニウムと水との反応生成物であるメチルアルミノキサン等が挙げられる。これらのうち、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリドとトリイソブチルアルミニウムとの混合物、トリイソブチルアルミニウムとブチルアルミニウムセスキクロリドとの混合物が好ましい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
更に、上記溶媒としては、炭化水素が好ましく、特に、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサンが好ましい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂の融点、即ち、示差走査熱量測定法による最大ピーク温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上である。この融点が100℃未満では、十分な耐熱性及び強度が発揮されない傾向にある。
また、上記α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂のメルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)(以下、単に「MFR」という)は、好ましくは0.1〜1,000g/10分、より好ましくは0.5〜500g/10分、更に好ましくは1〜100g/10分である。このMFRが0.1g/10分未満では、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の混練加工性、押出加工性等が不十分となる傾向にある。一方、1,000g/10分を超えると、得られる成形部(A)の機械的強度が低下する傾向にある。
本発明において好ましいα−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂としては、結晶化度が50%以上、密度が0.89g/cm以上、エチレン単位の含有量が20モル%以下、融点が100℃以上、且つ、MFRが0.1〜100g/10分の樹脂である。特に好ましい樹脂は、融点が140〜170℃のポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体等である。
上記α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂は、α−オレフィンからなる単位(c1)を含み、X線回折による結晶化度が50%未満の樹脂であれば特に限定されない。この結晶化度は、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下である。また、密度から見た場合、好ましくは0.85〜0.89g/cm、より好ましくは0.85〜0.88g/cmである。
上記単位(c1)を形成することとなるα−オレフィンは、好ましくは炭素数が3以上のものであり、より好ましくは3〜12のものである。
上記単位(c1)の含有量は、上記α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂を構成する全構成単位の全量を100モル%とした場合、好ましくは60モル%以上である。
上記α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂としては、アタクチックポリプロピレン、アタクチックポリ1−ブテン等の単独重合体、50モル%を超えるプロピレン単位と、他のα−オレフィン(エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等)より形成される単位とからなる共重合体、50モル%を超える1−ブテン単位と、他のα−オレフィン(エチレン、プロピレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等)より形成される単位とからなる共重合体等が挙げられる。
アタクチックポリプロピレン及びアタクチックポリ−1−ブテンは、ジルコノセン化合物−メチルアルミノキサン触媒を用いる重合によって得ることができる。
また、上記アタクチックポリプロピレンは、前記α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂として例示したポリプロピレンの副生成物として得ることができる。
上記α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂が共重合体である場合、この共重合体は、ブロック共重合体及びランダム共重合体のいずれであってもよい。但し、ブロック共重合体の場合、50モル%を超えて構成されるα−オレフィンからなる単位(c1)は、アタクチック構造で結合している必要がある。このブロック共重合体は、チーグラー・ナッタ触媒を用いるリビング重合により得ることができる。また、ランダム共重合体は、上記α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂と同様の方法により得ることができる。
尚、上記α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂が、上記単位(c1)と、エチレンからなるエチレン単位とを含む共重合体である場合、上記α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂を構成する全構成単位の全量を100モル%とした場合、上記単位(c1)の含有量は、好ましくは60〜100モル%である。
上記α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂としては、アタクチックポリプロピレン、50モル%を超えるプロピレン単位とエチレン単位とからなる共重合体、50モル%を超えるプロピレン単位と1−ブテンよりなる単位とからなる共重合体が特に好ましい。
上記α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂のGPCによるポリスチレン換算の数平均分子量Mnは、好ましくは1,000〜20,000、より好ましくは1,500〜15,000である。
上記α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
軟化剤としては、ゴム製品に用いられている公知の軟化剤を用いることができる。この軟化剤としては、鉱物油系軟化剤等のプロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系物質;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸又はその金属塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル化合物;マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール等が挙げられる。これらのうち、プロセスオイルが好ましく、特に、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系の鉱物油系軟化剤が好ましい。
尚、上記鉱物油系軟化剤は、一般に、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の三者の混合物である。パラフィン鎖の炭素数が全炭素数中の50%以上を占めるものがパラフィン系鉱物油、ナフテン環の炭素数が全炭素数中の30〜45%のものがナフテン系鉱物油、芳香族環の炭素数が全炭素数中の30%以上のものが芳香族系鉱物油と、それぞれ分類されている。
上記パラフィン系、ナフテン系、芳香族系の鉱物油系軟化剤は、これらを組み合わせて用いることができ、更には、それぞれを1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記鉱物油系軟化剤のGPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは、好ましくは300〜2,000、より好ましくは500〜1,500である。また、40℃における動粘度は、好ましくは20〜800cSt、より好ましくは50〜600cStである。更に、流動点は、好ましくは−40〜0℃、より好ましくは−30〜0℃である。
上記成形部(A)の形成に用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂体、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂及び軟化剤を含有する。これら4成分の合計を100質量部とした場合、各成分の含有割合は、下記の通りである。即ち、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムの含有量は、好ましくは20〜97質量部、より好ましくは23〜94質量部、更に好ましくは25〜90質量部であり、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは1〜49質量部、より好ましくは2〜45質量部、更に好ましくは3〜40質量部であり、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは1〜49質量部、より好ましくは2〜45質量部、更に好ましくは3〜40質量部であり、軟化剤の含有量は、好ましくは1〜70質量部、より好ましくは2〜67質量部、更に好ましくは4〜65質量部である。
上記エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムの含有量が20質量部未満では、得られる成形部(A)の柔軟性が低下する傾向にある。一方、90質量部を超えると、架橋剤の存在下で熱処理して得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の流動性が低下し、成形部(A)とする際の成形加工性が著しく悪化する。
上記α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂の含有量が1質量部未満では、得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の流動性が低下する傾向にある。一方、49質量部を超えると、得られる成形部(A)の柔軟性とゴム弾性が低下する傾向にある。
上記α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂の含有量が1質量部未満では、得られる成形部(A)と、第2成形部(成形部(B))との接着性が低下する傾向にある。一方、49質量部を超えると、得られる成形部(A)の柔軟性及びゴム弾性が低下する傾向にある。
また、上記軟化剤の含有量が1質量部未満では、得られる成形部(A)の柔軟性が低下する傾向にある。一方、70質量部を超えると、得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の機械的物性が悪化する傾向にある。
上記成形部(A)の形成に用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物には、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂及びα−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂以外に、他の重合体成分が含有されていてもよい。他の重合体成分としては、得られる熱可塑性エラストマー組成物の機械的強度、柔軟性等を阻害しないものであれば、特に限定されない。
他の重合体成分としては、アイオノマー樹脂、アミノアクリルアミド重合体、ポリエチレン及びその無水マレイン酸グラフト重合体、ポリイソブチレン、エチレン・塩化ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキサイド、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリプロピレン及びその無水マレイン酸グラフト重合体、ポリイソブチレン及びその無水マレイン酸グラフト重合体、塩素化ポリプロピレン、4−メチルペンテン−1樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、ACS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、MBS樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート、ビニルアルコール樹脂、ビニルアセタール樹脂、フッ素樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ニトリルゴム及びその水素添加物、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、天然ゴム、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、単純ブレンド型オレフィン系熱可塑性エラストマー、インプラント型オレフィン系熱可塑性エラストマー、動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーが挙げられる。これらの重合体成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの重合体成分の含有割合は、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂及びα−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは0.1〜80質量部である。
また、上記成形部(A)の形成に用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、耐候剤、難燃剤、充填剤、防菌・防かび剤、ブロッキング剤、シール性改良剤、滑剤(金属石鹸、ワックス等)、熱安定剤、光安定剤、銅害防止剤等の安定剤、金属不活性剤、結晶核剤、粘着付与剤、発泡剤、発泡助剤、着色剤(染料、顔料等)等の添加剤を含有してもよい。
充填剤としては、フェライト等の金属粉末、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の有機繊維、複合繊維、チタン酸カリウムウィスカー等の無機ウィスカー、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、アスベスト、マイカ、炭酸カルシウム、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、アルミナ、アルミナシリカ、ケイ酸カルシウム、ハイドロタルサイト、カオリン、けい藻土、グラファイト、軽石、エボ粉、コットンフロック、コルク粉、硫酸バリウム、フッ素樹脂、ポリマービーズ、カーボンブラック、セルロースパウダー、ゴム粉、木粉等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂及び軟化剤を含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られたものである。
上記架橋剤としては特に限定されないが、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂及びα−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂の融点以上の温度における動的熱処理により、少なくともエチレン・α−オレフィン系共重合ゴムを架橋することができる化合物が好ましい。
上記架橋剤としては、有機過酸化物、フェノール樹脂架橋剤、硫黄、硫黄化合物、p−キノン、p−キノンジオキシムの誘導体、ビスマレイミド化合物、エポキシ化合物、シラン化合物、アミノ樹脂、ポリオール架橋剤、ポリアミン、トリアジン化合物、金属石鹸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、有機過酸化物及びフェノール樹脂架橋剤が好ましい。
有機過酸化物としては、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン−3、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,2’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−イソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシド、p−メンタンパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジラウロイルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジ(t−ブチルパーオキシ)パーベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びα,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドが好ましい。
また、フェノール系架橋剤としては、例えば、下記一般式(I)で示されるp−置換フェノール系化合物、o−置換フェノール・アルデヒド縮合物、m−置換フェノール・アルデヒド縮合物、臭素化アルキルフェノール・アルデヒド縮合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、p−置換フェノール系化合物が好ましい。
Figure 2006044077
(但し、上記一般式において、Xはヒドロキシル基、ハロゲン化アルキル基又はハロゲン原子であり、Rは炭素数1〜15の飽和炭化水素基、nは0〜10の整数である。)
尚、上記p−置換フェノール系化合物は、アルカリ触媒の存在下においてp−置換フェノールとアルデヒド(好ましくはホルムアルデヒド)との縮合反応により得ることができる。
上記架橋剤の使用量は、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂等を含む重合体成分の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.1〜15質量部、更に好ましくは1〜10質量部である。
尚、上記架橋剤として有機過酸化物を使用する場合には、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。この有機過酸化物の使用量が多すぎると、架橋度が過度に高くなり、成形加工性が悪化する場合、機械的物性が低下する場合にある。一方、少なすぎると、架橋度が不足し、得られる成形部(A)のゴム弾性及び機械的強度が低下する場合がある。
また、上記架橋剤としてフェノール系架橋剤を使用する場合には、好ましくは0.2〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部である。このフェノール系架橋剤の使用量が多すぎると、成形加工性が悪化する場合がある。一方、少なすぎると、架橋度が不足し、得られる成形部(A)のゴム弾性及び機械的強度が低下する場合がある。
尚、上記架橋剤は、架橋助剤あるいは架橋促進剤と併用することにより架橋反応を穏やかに行うことができ、特に均一な架橋を形成することができる。特に、上記架橋剤として有機過酸化物を用いる場合には、硫黄、硫黄化合物(粉末硫黄、コロイド硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、表面処理硫黄、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等)、オキシム化合物(p−キノンオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンオキシム等)、多官能性モノマー類(エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−トルイレンビスマレイミド、無水マレイン酸、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリル酸亜鉛等)等の架橋助剤を用いることが好ましい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、p,p’−ジベンゾイルキノンオキシム、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジビニルベンゼンが好ましい。
尚、上記架橋助剤のうち、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドは、架橋剤としての作用を有するため、架橋剤として使用することもできる。
上記架橋剤として有機過酸化物を使用する場合の架橋助剤の使用量は、原料組成物に含まれる重合体成分の合計量100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは0.2〜5質量部である。この架橋助剤の使用量が多すぎると、架橋度が過度に高くなり、成形加工性が悪化する場合、機械的物性が低下する場合がある。
また、上記架橋剤としてフェノール系架橋剤を用いる場合には、金属ハロゲン化物(塩化第一すず、塩化第二鉄等)、有機ハロゲン化物(塩素化ポリプロピレン、臭化ブチルゴム、クロロプレンゴム等)等の架橋促進剤を併用し、架橋速度を調節することができる。また、架橋促進剤のほかに、更に、酸化亜鉛等の金属酸化物やステアリン酸等の分散剤を併用することがより望ましい。
上記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂及び軟化剤を含む混合物と、架橋剤とを含む原料組成物が動的熱処理されたものである。尚、ここで、「動的に熱処理する」とは、剪断力を加えること及び加熱することの両方を行うことをいう。
上記原料組成物の調製の際には、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂は、そのまま用いてもよいし、それぞれ、同一又は異なる添加剤を含む組成物として用いてもよい。尚、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴムを使用する際の形状としては、ベール、クラム、ペレット、粉体(ベール又はクラムの粉砕品を含む)のいずれであってもよく、形状の異なるエチレン・α−オレフィン系共重合体を組み合わせて用いてもよい。
上記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を製造する際、「動的に熱処理する」ために用いる装置としては、溶融混練装置等が挙げられる。この溶融混練装置による処理は連続式でもよいし、バッチ式でもよい。
この溶融混練装置としては、例えば、開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、一軸押出機、二軸押出機、連続式混練機、加圧ニーダー等が挙げられる。これらのうち、経済性、処理効率等の観点から、一軸押出機、二軸押出機、連続式混練機等の連続式の溶融混練装置を用いることが好ましい。連続式の溶融混練装置は、同一又は異なる装置を2台以上組み合わせて用いてもよい。
上記二軸押出機を用いる場合には、L/D(スクリュー有効長さLと外径Dとの比)が30以上であることが好ましく、より好ましくは36〜60である。また、この二軸押出機としては、例えば、2本のスクリューが噛み合うもの、噛み合わないもの等の任意の二軸押出機を使用することができるが、2本のスクリューの回転方向が同一方向でスクリューが噛み合うものがより好ましい。
このような二軸押出機としては、池貝社製「PCM」、神戸製鋼所社製「KTX」、日本製鋼所社製「TEX」、東芝機械社製「TEM」、ワーナー社製「ZSK」等が挙げられる。
また、上記連続式混練機を用いる場合には、L/D(スクリュー有効長さLと外径Dとの比)が5以上であることが好ましく、より好ましくはL/D10である。
このような連続式混練機としては、神戸製鋼所社製「ミクストロンKTX・LCM・NCM」、日本製鋼所社製「CIM・CMP」等が挙げられる。
動的熱処理の際の処理温度は、通常、120〜350℃、好ましくは150〜290℃である。処理時間は、通常、20秒間〜320分間、好ましくは30秒間〜25分間である。また、混合物に加える剪断力は、ずり速度で10〜20,000/秒、好ましくは100〜10,000/秒である。
上記成形部(A)は、射出成形によって形成されるものであり、中実体であってよいし、発泡体であってもよい。
上記成形部(A)の硬度は、JIS K6253に準じ、上記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物からなる試験片を用いて測定した場合に、ショアA硬度が10〜99の範囲にあることが好ましい。この範囲にあれば、柔軟性に優れた複合部材として使用することができる。尚、より好ましいショアA硬度は12〜97であり、更に好ましくは15〜95である。
上記成形部(A)の形状は特に限定されず、線状、板状、筒状等とすることができ、これらを組み合わせてなる不定形状、あるいは、これらが曲がる等変形したものであってもよい。また、貫通孔、凹部、凸部等を有してもよい。本発明においては、特定の構成材料を用いることから、この成形部(A)の形状は、曲線状等変形した場合であっても好ましい強度を備えることができる。
また、この成形部(A)の大きさも特に限定されず、各部分の長さ、厚さ、間隔等も目的、用途等に応じて選択することができる。
1−2.第2成形部
この第2成形部(成形部(B))は、押出成形により得られ、且つ、架橋ゴム組成物及び/又はオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を含むものである。尚、本発明において、「架橋ゴム組成物」は、加硫剤を含む架橋剤により架橋(又は加硫)されたゴムあるいは架橋構造を有するゴムを含む組成物を意味する。
上記「架橋(又は加硫)されたゴムあるいは架橋構造を有するゴム」としては、エチレン・プロピレン重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン重合体、エチレン・1−ブテン重合体、エチレン・1−ブテン・非共役ジエン重合体等のオレフィン系ゴム、エチレン・アクリレートゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、スチレン・ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム等のゴム成分の1種以上が架橋又は加硫された架橋ゴム又は加硫ゴム等が挙げられる。尚、上記ゴム成分に対して用いられる架橋剤又は加硫剤の種類、使用量、方法等は特に限定されない。
上記架橋ゴム組成物は、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂を含んでもよい。このα−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂を含むことにより、第1成形部及び第2成形部の接着性が更に向上する。このα−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂としては、上記第1成形部の形成に用いる組成物に含まれるα−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂を適用することができる。尚、上記α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂は、成形部(B)において、架橋物でも非架橋物でもよい。
上記α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂を用いる場合のその含有割合は、上記架橋ゴム組成物に含まれる重合体成分の全量を100質量%とした場合、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.1〜30質量%である。
また、上記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物としては、単純ブレンド型オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、インプラント型オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、上記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、上記成形部(A)の形成に用いたオレフィン系熱可塑性エラストマーであってもよい。
上記成形部(B)は、架橋ゴム組成物及びオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を組み合わせて含むものであってもよい。
上記成形部(B)は、押出成形によって形成されればよく、中実体であってよいし、発泡体(スポンジ等)であってもよい。また、共押出によって、架橋(加硫)ゴム組成物と架橋(加硫)ゴム発泡体の共押出物、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物とオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物発泡体の共押出物等としてもよい。尚、上記成形部(B)が発泡体を含む場合は、使用される発泡剤の種類及び使用量、発泡倍率、発泡方法等は特に限定されない。
上記成形部(B)を発泡体とする場合には、通常、上記成形部(B)を形成するための原料組成物に発泡剤を配合する。この発泡剤としては、熱分解型発泡剤、揮発型発泡剤、中空粒子型発泡剤、超臨界流体等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、上記発泡剤は、通常、上記原料組成物に含まれる重合体成分の種類、成形部(B)の製造方法等により選択することができる。
熱分解型発泡剤としては、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ系発泡剤;アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウム等、バリウムアゾジカルボキシレートのアゾ系発泡剤;p,p−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p−トルエンスルホニリルセミカルバジド等のスルホヒドラジド系発泡剤;トリヒドラジノトリアジン等のトリアジン系発泡剤;5−フェニルテトラゾール、アゾビステトラゾールジグアニジン、アゾビステトラゾールアミノグアニジン等のテトラゾール系発泡剤等の無機系発泡剤、炭酸水素ナトリウム等の無機系発泡剤が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記熱分解型発泡剤の使用量は、その種類、所望の発泡倍率等に応じて選択すればよいが、上記成形部(B)を形成するための原料組成物に含まれる重合体成分を100質量部とした場合、好ましくは0.1〜100質量部である。
揮発型発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類;シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;クロロジフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、クロロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジクロロペンタフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、トリフルオロエタン、ジクロロテトラフロオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタン、パーフルオロシクロブタン等のハロゲン化炭化水素類;二酸化炭素、窒素、空気等の無機ガス;水等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記揮発型発泡剤の使用量は、その種類、所望の発泡倍率等に応じて選択すればよいが、上記成形部(B)を形成するための原料組成物に含まれる重合体成分を100質量部とした場合、好ましくは0.1〜100質量部である。
中空粒子型発泡剤とは、熱可塑性樹脂からなる外殻に、膨張剤を内包した熱可塑性樹脂熱膨張性微小球である。この熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、スチレン等の芳香族ビニル化合物、酢酸ビニル、ブタジエン、クロロプレン、ビニルピリジン等から選ばれる少なくとも1種からなる単独重合体又は共重合体とすることができる。尚、この熱可塑性樹脂は、ジビニルベンゼン、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアヌレート等の架橋剤により架橋又は架橋可能にされてもよい。
また、上記中空粒子型発泡剤に含まれる膨張剤としては、上記揮発型発泡剤として例示した化合物を適用することができる。尚、熱膨張性微小球に占める膨張剤の割合は、外殻用の熱可塑性樹脂を100質量%とした場合、好ましくは5〜30質量%である。
上記中空粒子型発泡剤(未膨張の微小球状態)の重量平均粒子径は、通常、1〜100μmである。また、中空粒子型発泡剤の使用量は、その種類、所望の発泡倍率等に応じて選択すればよいが、上記成形部(B)を形成するための原料組成物に含まれる重合体成分を100質量部とした場合、好ましくは0.1〜100質量部である。
また、超臨界流体を用いて発泡体を形成する場合には、窒素、二酸化炭素等の超臨界流体を用いることができる。これらの超臨界流体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの超臨界流体の使用量は、その種類、所望の発泡倍率等に応じて選択すればよい。
これらの発泡剤(熱分解型発泡剤、揮発型発泡剤、中空粒子型発泡剤及び超臨界流体)においては、生成される気泡径を調整するために、必要に応じて重炭酸ソーダ、クエン酸、タルク等の発泡核剤を併用してもよい。この発泡核剤の使用量は、上記成形部(B)を形成するための原料組成物に含まれる重合体成分を100質量部とした場合、通常、0.01〜10質量部である。
上記成形部(B)は、目的、用途等に応じて、上記成形部(A)の説明において例示した添加剤等を含んでもよい。
上記成形部(B)の形状は特に限定されず、上記成形部(A)と同様に、任意の形状、各部分の長さ、厚さ、間隔等とすることができる。
また、上記成形部(B)は、所定の断面形状を有する押出成形品を切断することで、成形部(B)を得ることができる。
尚、上記成形部(B)は、その表面及び/又は内部に補強用部材を備えてもよい。この補強用部材としては、成形部(B)の構造をより安定化させられるものであれば、その構成材料、形状等は特に限定されない。
上記補強用部材の構成材料は、上記成形部(B)の本体を構成する重合体と反応しない材料、あるいは、水によって反応(分解、腐食等)を起こさない材料であれば、有機材料及び無機材料のいずれであってもよい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。有機材料としては、高分子材料が好ましい。無機材料としては、金属、合金、セラミックス等が好ましい。
上記補強用部材の形状は、塊状、線状、板状等とすることができ、これらを組み合わせてなる不定形状、あるいは、これらが曲がる等変形したものであってもよい。また、上記成形部(B)の本体との一体化をより確実なものとする等のために貫通孔、凹部、凸部等を有してもよい。
1−3.複合部材
本発明の複合部材は、成形部(A)と、この成形部(A)の表面及び/又は断面の少なくとも一部に接合された成形部(B)とを備える。
上記成形部(A)及び(B)は、通常、平面、曲面、凹凸面等の形状を有する部位において接合されており、その接触部全体が、完全に接合されていてよいし、部分的に接合されていてもよい。また、成形部(A)及び(B)のいずれかが発泡体の場合には、発泡体でない側の部材を構成する材料が、発泡体である側の部材の空隙部に侵入することにより接合される。例えば、成形部(B)が発泡体の場合には、成形部(A)の形成材料であるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が、成形部(B)の被接合部における孔部に侵入することにより接合される。
尚、上記成形部(A)は、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂を含むため、上記成形部(B)に対する接着性に優れる。この接着性は、下記方法によると、特に接着部屈曲折り曲げ試験による接着剥離を防止することができる。
<評価方法>
接着部屈曲折り曲げ試験;成形部(A)と成形部(B)とを射出融着した試験片を用いて、成形部(A)及び成形部(B)の継ぎ目部を起点として、角度180°に折り曲げ、10回往復屈曲したときの接着界面の剥離状態を目視にて観察し、表1及び2に記した。
尚、表1及び2における○、△、×は、各々以下の評価基準による。
○;剥離なし
×;剥離して破断に到る
本発明の複合部材は、上記の優れた接着性を利用し、目的、用途等に応じた形状とすることができ、下記[1]〜[4]等に示される構造を備えることができる。
Figure 2006044077
(但し、mは1以上の整数であり、nは2以上の整数である。)
上記構造[1]、[2]、[3]及び[4]は、いずれも、成形部(A)及び(B)が交互に接合されている。
図1に、上記構造[1]において、m=1である場合の複合部材の例を示す。即ち、図1は、直線状の第1成形部11が、直線状の第2成形部12と接合した複合部材1を示している。
図2に、上記構造[2]において、m=1である場合の複合部材の例を示す。即ち、図2の複合部材1は、曲線状の第1成形部11が、2つの直線状の第2成形部12の間に位置した態様を示している。
また、上記構造[4]は、成形部(A)及び(B)が交互に接合され且つ主鎖が環状(円形、角形、扇形、星形等)構造であることを意味する。この構造[4]を備える複合部材としては、上記成形部(A)及び(B)の各端部が接合された環状構造の複合部材が好ましい。
尚、本発明においては、上記[1]〜[4]に限定されない。即ち、本発明の複合部材は、上記[1]〜[4]の組み合わせによるものであってもよく、例えば、一方の部材の表面に他方の部材が複数接合された複合部材等とすることができる。
上記成形部(A)を特定の材料からなるものとすることから、図2のように、複合部材における直線部分として成形部(B)を、曲線部分として成形部(A)を用いることが好ましい。これにより、複合部材が複雑な形状であっても、成形部(A)及び(B)のあいだの優れた接着性を利用した強度を高くすることができる。
2.複合部材の製造方法
本発明の複合部材は、上記成形部(B)を押出成形にて作製し、その後、射出成形にて成形部(A)形成させ、その際に両者が接着することによって製造される。
本発明の複合部材の製造方法は、架橋性ゴム及び/又はオレフィン系熱可塑性エラストマーを含む組成物(P1)を、押出成形機により成形部材(以下、「成形部材(b)」という。)とする工程(以下、「工程(I)」という。)と、この成形部材の表面及び/又は断面の少なくとも一部が金型キャビティに露出するように設置する工程(以下、「工程(II)」という。)と、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂及び軟化剤を含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(P2)を、射出成形機により上記金型キャビティに導入する工程(以下、「工程(III)」という。)と、を備える。
まず、工程(I)において、架橋性ゴム及び/又はオレフィン系熱可塑性エラストマーを含む組成物(P1)を、スクリュー式、非スクリュー式等の押出成形機により、所定形状の成形部材(b)を得る。この架橋性ゴムは、架橋剤の存在下で架橋可能なゴムであり、上記本発明の複合部材の説明において、第2成形部の形成材料として例示した重合体成分を用いることができる。オレフィン系熱可塑性エラストマーも同様である。尚、押出成形は、通常、組成物(P1)の溶融状態にて行う。
尚、成形部材(b)を発泡体とする場合には、押出成形機の内部で発泡状態として押し出してもよいし、押出成形機を出て直ちに発泡させてもよいし、発泡させずに押し出した後、再加熱して発泡させてもよい。
その後、工程(II)において、上記成形部材(b)の表面及び/又は断面の少なくとも一部が金型キャビティに露出するように、例えば、上記成形部材(b)の端部(被接着部)が金型キャビティに露出するように設置される。即ち、工程(III)において用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(P2)との接触面を金型の内側に露出させる。
次いで、工程(III)において、組成物(P2)を、射出成形機により金型キャビティに導入する。この工程(III)によって、組成物(P2)が成形部材(b)の被接着部の方へ流れ込み、この組成物(P2)による成形部材(以下、「成形部材(a)」という。)が形成される。
上記組成物(P2)は、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂及び軟化剤を含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られたものであり、上記本発明の複合部材を構成する第1成形部において説明したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物をそのまま適用することができる。
この組成物(P2)のメルトフローレート(以下、「MFR」という。)は、温度230℃、荷重21NのJIS K7210に準ずる条件において、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは1.0g/10分以上、更に好ましくは2.0g/10分、特に好ましくは3.0g/10分以上である。このMFRが小さすぎると、加工性等が不十分となる場合がある。一方、大きすぎると、得られる成形部材(a)の機械的強度が低下する傾向にある。
上記組成物(P2)は、特定の重合体を含有し、上記のように流動性に優れるため、成形部材(a)の形成後における金型汚染を発生させず、金型を長寿命で用いることができる。また、上記組成物(P2)は、再利用が可能であるため、材料をむだなく用いることができる。
工程(III)において、上記組成物(P2)を金型キャビティに導入する方法は特に限定されない。導入装置としては、通常、スクリュー式、プランジャー式等の射出装置が用いられる。また、導入速度は、通常、射出率で1〜2000cm/秒、好ましくは10〜1000cm/秒である。
上記組成物(P2)を金型キャビティへ導入する際の温度は、好ましくは150〜300℃である。このとき、金型は加熱して用いてもよいし、加熱せずに室温のままで用いてもよい。金型の好ましい温度は、30〜80℃の範囲である。尚、金型キャビティは、得ようとする複合部材の使用目的、用途等に応じて、その内壁面を平滑性の高いものとしたり、文字、模様等が得られるようにしたりすることができる。平滑性の高い内壁面を有する金型キャビティを用いた場合には、上記組成物(P2)の流動性が優れるため、金型転写性も良好であり、高い光沢性を有する成形部材を備えた複合部材を得ることができる。
また、上記組成物(P2)を金型キャビティへ導入する際には、工程(II)において既に設置されている成形部材(b)が、予め加熱されていてもよいし、例えば、室温(25℃)付近の温度であってもよい。好ましくは、上記金型及び上記成形部材(b)が、いずれも、低温状態にあることであり、20〜60℃の範囲にあることが特に好ましい。尚、連続して製造する場合には、金型等の温度が下がり切る前に次の重合体組成物を導入することがあるため、60℃程度であってもよい。
上記組成物(P2)が金型キャビティへ導入された後、好ましくは1〜120秒間、より好ましくは5〜60秒間冷却することにより、成形部材(a)及び(b)が接着する。その後、一体化した複合部材が、金型より取り出される。
従って、本発明の複合部材の製造方法によると、成形部材(b)の設置、組成物(P2)の金型キャビティへ導入、及び、組成物(P2)の冷却をそれぞれ短時間で行うことができる。即ち、1つの複合部材の製造時間を好ましくは7〜180秒間、より好ましくは10〜120秒間とすることができ、極めて短時間である。
更に、金型を低温状態で用いることができるため、作業時に火傷等をするおそれがなく、安全に製造することができる。
本発明の複合部材の製造方法においては、図2に示した複合部材を容易に製造することができる。即ち、予め、2つの成形部材(b)を製造しておき、所定の空間部を有する金型を用い、2つの成形部材(b)の各端部が金型キャビティに露出するように設置し、所定の組成物(P2)を導入することにより、一体化した複合部材を得ることができる。
尚、同様の方法によって、上記本発明の複合部材において説明した構造[1]〜[4]等を備える複合部材を得ることができる。
本発明の複合部材は、車両用のウェザーストリップ、シール材、ガスケット、パッキン等として好適である。
ウェザーストリップとしては、ドアウェザーストリップ、トランクウェザーストリップ、ラゲージウェザーストリップ、ルーフサイドレールウェザーストリップ、スライドドアウェザーストリップ、ベンチレータウェザーストリップ、スライディングループパネルウェザーストリップ、フロントウインドウェザーストリップ、リヤウインドウェザーストリップ、クォーターウインドウェザーストリップ、ロックピラーウェザーストリップ、ドアガラスアウターウェザーストリップ、ドアガラスインナーウェザーストリップ等が挙げられる。
シール材としては、建材用、家電用、産業機械用等に用いることができる。
上記ウェザーストリップを、自動車のドアに用いる場合には、図3のような形態で用いることができる。即ち、図3のウェザーストリップ2は、第1成形部11a〜11eと、第2成形部12a〜12eとをそれぞれ交互に接合した環状構造であり、ドア3の周縁部の所定の位置に配設される。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。また、実施例中の「%」及び「部」は、特に断らない限り質量基準である。
1.第1成形部形成用組成物(A)の調製及びその評価
1−1.オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−1)〜(A−4)の調製
まず、以下に示すエチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、油展エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム(以下、「油展ゴム」ともいう。)、α−オレフィン系結晶質熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂及び軟化剤並びに老化防止剤を表1に示す割合で混合した。この混合物を、予め150℃に加熱した加圧型ニーダー(容量10リットル、モリヤマ社製)に投入し、α−オレフィン系結晶質熱可塑性樹脂を溶融させ、更に各成分が均一に分散するまで、40rpmで15分間混練した。その後、溶融状態の組成物を、フィーダールーダー(モリヤマ社製)によりペレット化した。
次いで、得られたペレットと、下記に示す架橋剤及び架橋助剤とを、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)に投入し、30秒間混合した後、二軸押出機(同方向完全噛み合い型スクリュー、スクリューフライト部の長さLとスクリュー直径Dとの比(L/D)=33.5、型式「PCM−45」、池貝社製)を用い、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数300rpm、滞留時間2分の処理条件で動的熱処理を施しながら押出して、ペレット状のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−1)〜(A−4)を得た。
(1)エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム
エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重合体(エチレン単位量66%、プロピレン単位量29.5%、5−エチリデン−2−ノルボルネン単位量4.5%、極限粘度1.5dl/g)を用いた。
(2)油展ゴム
エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重合体(エチレン単位量66%、プロピレン単位量29.5%、5−エチリデン−2−ノルボルネン単位量4.5%、極限粘度4.7dl/g)と、軟化剤(パラフィン系鉱物油系軟化剤、商品名「ダイアナプロセスオイルPW−380」、出光興産社製)との混合物(含有割合;50%/50%)を用いた。
(3)α−オレフィン系結晶質熱可塑性樹脂1
プロピレン・エチレンランダム共重合体(商品名「ノバテックPP MA2」、日本ポリケム社製)を用いた。密度は0.90g/cm、MFR(温度230℃、荷重21N)は16g/10分である。
(4)α−オレフィン系結晶質熱可塑性樹脂2
プロピレン・エチレンランダム共重合体(商品名「ノバテックPP FL25R」、日本ポリケム社製)を用いた。密度は0.90g/cm、MFR(温度230℃、荷重21N)は23g/10分である。
(5)α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂
プロピレン・1−ブテン非晶質共重合体(商品名「UBETAC APAO UT2780」、宇部興産社製)を用いた。プロピレン単位量は71モル%、溶融粘度は8,000cPs(190℃)、密度は0.87g/cm、Mnは6,500である。
(6)軟化剤
パラフィン系鉱物油系軟化剤(商品名「ダイアナプロセスオイルPW−380」、出光興産社製)を用いた。
(7)架橋剤及び架橋助剤
架橋剤として、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ−オキシ)ヘキサン(商品名「パーヘキサ25B−40」、日本油脂社製)を用いた。
また、架橋助剤1として、ジビニルベンゼン(三共化成社製、純度56%)を、架橋助剤2として、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド(商品名「バルノックPM」、大内新興化学工業社製)を用いた。
(8)老化防止剤
テトラキス[メチレン3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」、チバスペシャルティケミカルズ社製)を用いた。
1−2.未加硫ゴム組成物(A−5)の調製
まず、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重合体(商品名「EP96」、JSR社製)60部と、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重合体(商品名「EP57C」、JSR社製)40部と、カーボンブラック(商品名「旭50H−G」、旭カーボン社製)80部と、パラフィン系鉱物油系軟化剤(商品名「ダイアナプロセスオイルPW−380」、出光興産社製)52部と、重質炭酸カルシウム(商品名「スーパーS」、丸尾カルシウム社製)56部と、活性亜鉛華(堺化学工業社製)5部と、ステアリン酸(商品名「ルナックS」、花王社製)1部と、加工助剤(商品名「ヒタノール1501」、日立化成工業社製)1部と、離型剤(商品名「ストラクトールWB212」、シル・アンド・ザイラハー社製)2部と、可塑剤(ポリエチレングリコール)1部とからなる混合物を得た。
その後、この混合物を容積3リットルのバンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)に投入し、50℃、70rpm、混練時間2.5分の条件で混練した。次いで、この混練物に、脱水剤(商品名「ベスタPP」、井上石灰工業社製)10部、加硫促進剤1(商品名「ノクセラーDM」、大内新興化学工業社製)1.2部、加硫促進剤2(商品名「ノクセラーTT」、大内新興化学工業社製)0.6部、加硫促進剤3(商品名「ノクセラーEZ」、大内新興化学工業社製)0.5部、加硫促進剤4(商品名「ノクセラーPX」、大内新興化学工業社製)0.8部、及び、硫黄2部を添加し、6インチオープンロール(関西ロール社製)を用い、50℃で5分間混練することにより未加硫状態のゴム組成物(A−5)からなるコンパウンドを得た。
1−3.物性評価
上記で得た第1成形部形成用のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−1)〜(A−4)について、下記方法により、メルトフローレート(MFR)、硬度(ショアA)、引張破断強度及び引張破断伸度の評価を行った。尚、硬度、引張破断強度及び引張破断伸度の評価に際しては、各組成物からなるペレットを、射出成形機(型式「N−100」、日本製鋼所製)により、220℃で射出成形してシート状(厚さ2mm、長さ120mm、幅120mm)とし、これを評価用試験片とした。
また、上記ゴム組成物(A−5)について、硬度(ショアA)、引張破断強度及び引張破断伸度の評価を行った。尚、硬度、引張破断強度及び引張破断伸度の評価に際しては、未加硫ゴム組成物(A−5)からなるコンパウンドを、加熱プレス機(関西ロール社製)により、180℃で5分間熱処理してシート状(厚さ2mm、長さ120mm、幅120mm)とし、これを評価用試験片とした。
以上の結果を表1に示す。
(a)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に準じ、230℃、荷重21Nとして測定した。
(b)硬度(柔軟性)
JIS K6253に準じて測定した。
(c)引張破断強度及び引張破断伸度
JIS K6251に準じて測定した。
Figure 2006044077
2.第2成形部形成用組成物(B)の調製及びその評価
2−1.未加硫ゴム組成物(B−1)の調製
エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重合体(商品名「EP 103A」、JSR社製)100部と、カーボンブラック(商品名「シースト116」、東海カーボン社製)145部と、パラフィン系鉱物油系軟化剤(商品名「ダイアナプロセスオイルPW−380」、出光興産社製)85部と、活性亜鉛華(堺化学工業社製)5部と、ステアリン酸(商品名「ルナックS」、花王社製)1部と、加工助剤(商品名「ヒタノール1501」、日立化成工業社製)1部と、離型剤(商品名「ストラクトールWB212」、シル・アンド・ザイラハー社製)2部と、可塑剤(ポリエチレングリコール)1部とからなる混合物を得た。
その後、この混合物を容積3リットルのバンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)に投入し、50℃、70rpm、混練時間2.5分の条件で混練した。次いで、この混練物に、脱水剤(商品名「ベスタPP」、井上石灰工業社製)10質量部、上記加硫促進剤2(商品名「ノクセラーTT」)0.5部、上記加硫促進剤4(商品名「ノクセラーPX」)1部、加硫促進剤5(商品名「ノクセラーM」、大内新興化学工業社製)1部、加硫促進剤6(商品名「ノクセラーD」、大内新興化学工業社製)1部、及び、硫黄2.2部を添加し、6インチオープンロール(関西ロール社製)を用い、50℃で5分間混練することにより未加硫状態のゴム組成物(B−1)からなるコンパウンドを得た。
2−2.未加硫ゴム組成物(B−2)の調製
エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重合体(商品名「EP 103A」、JSR社製、)100部と、カーボンブラック(商品名「シースト116」、東海カーボン社製)145部と、パラフィン系鉱物油系軟化剤(商品名「ダイアナプロセスオイルPW−380」、出光興産社製)85部と、プロピレン・1−ブテン非晶質共重合体(商品名「UBETAC APAOUT 2780」、宇部興産社製)10部と、活性亜鉛華(堺化学工業社製)5部と、ステアリン酸(商品名「ルナックS」、花王社製)1部と、加工助剤(商品名「ヒタノール1501」、日立化成工業社製)1部と、離型剤(商品名「ストラクトールWB212」、シル・アンド・ザイラハー社製)2部と、可塑剤(ポリエチレングリコール)1部とからなる混合物を得た。
その後、この混合物を容積3リットルのバンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)に投入し、50℃、70rpm、混練時間2.5分の条件で混練した。次いで、この混練物に、脱水剤(商品名「ベスタPP」、井上石灰工業社製)10部、上記加硫促進剤2(商品名「ノクセラーTT」)0.5部、上記加硫促進剤4(商品名「ノクセラーPX」)1部、上記加硫促進剤5(商品名「ノクセラーM」)1部、上記加硫促進剤6(商品名「ノクセラーD」)1部、及び、硫黄2.2部を添加し、6インチオープンロール(関西ロール社製)を用い、50℃で5分間混練することにより未加硫状態のゴム組成物(B−2)からなるコンパウンドを得た。
2−3.未加硫ゴム組成物(B−3)の調製
エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重合体(商品名「EP804F」、JSR社製)100部と、カーボンブラック(商品名「旭50H−G」、旭カーボン社製)100部と、パラフィン系鉱物油系軟化剤(商品名「ダイアナプロセスオイルPW−380」、出光興産社製)100部と、重質炭酸カルシウム(商品名「スーパーS」、丸尾カルシウム社製)50部と、活性亜鉛華(堺化学工業社製)5部と、ステアリン酸(商品名「ルナックS」、花王社製)1部と、加工助剤(商品名「ヒタノール1501」、日立化成工業社製)1部と、離型剤(商品名「ストラクトールWB212」、シル・アンド・ザイラハー社製)2部と、可塑剤(ポリエチレングリコール)1部とからなる混合物を得た。
その後、この混合物を容積3リットルのバンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)に投入し、50℃、70rpm、混練時間2.5分の条件で混練した。次いで、この混練物に、脱水剤(商品名「ベスタPP」、井上石灰工業社製)5部、上記加硫促進剤5(商品名「ノクセラーM」)1.5部、加硫促進剤7(商品名「ノクセラーPZ」、大内新興化学工業社製)1.5部、加硫促進剤8(商品名「バルノックR」、大内新興化学工業社製)1部、硫黄1部、並びに、発泡剤1(商品名「ネオセルボンN#1000SW」、永和化成工業社製)2部、及び、発泡剤2(商品名「ビニホールAC#LQ」、永和化成工業社製)4部を添加して、6インチオープンロール(関西ロール社製)を用い、50℃で5分間混練することにより、未加硫状態のゴム組成物(B−3)からなるコンパウンドを得た。
2−4.オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(B−4)の調製
ポリプロピレン(商品名「ノバテックMA4」、日本ポリケム社製)25部と、油展エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重合体(商品名「T7501EF」、JSR社製)75部と、テトラキス[メチレン3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.2部とからなる混合物を、予め150℃に加熱した加圧型ニーダー(モリヤマ社製)に投入し、各成分が均一に分散するまで、40rpmで15分間混練した。その後、溶融状態の組成物を、180℃、40rpmに設定したフィーダールーダー(モリヤマ社製)によりペレット化した。
次いで、得られたペレットと、有機過酸化物(商品名「パーヘキサ25B−40」、日本油脂社製)1部と、共架橋剤(ジビニルベンゼン、三共化学社製)1部とを、ヘンシェルミキサーに投入し、30秒間混合した。その後、重量式フィーダー(型式「KF−C88」、クボタ社製)を用いて、二軸押出機(同方向非噛み合い型スクリュー、L/D(外径45mm、スクリュー有効長Lと外径Dとの比)=38.5、型式「PCM−45」、池貝社製)に吐出量40kg/hで供給した。この二軸押出機のシリンダー温度を200℃、スクリュー回転数を300rpm、滞留時間を1分として動的熱処理を施しながら押出して、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(B−4)を得た。
2−5.オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(B−5)の調製
ポリエチレン(商品名「ノバテックHJ490」、日本ポリケム社製)10部と、上記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−2)等の形成に用いた油展ゴム75部と、パラフィン系鉱物油系軟化剤(商品名「ダイアナプロセスオイルPW−380」、出光興産社製)15部と、テトラキス[メチレン3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.2部とからなる混合物を、予め150℃に加熱した加圧型ニーダー(モリヤマ社製)に投入し、各成分が均一に分散するまで、40rpmで15分間混練した。その後、溶融状態の組成物を、180℃、40rpmに設定したフィーダールーダー(モリヤマ社製)によりペレット化して、単純ブレンド系の非架橋オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(B−5)を得た。
2−3.物性評価
上記で得た第2成形部用の組成物(B−1)、(B−2)、(B−4)及び(B−5)について、上記方法により、メルトフローレート(MFR)、硬度(ショアA)、引張破断強度及び引張破断伸度の評価を行った。また、組成物(B−3)については、硬度(ショアA)の代わりに、JIS K6253に準じ、硬度(アスカーC)を測定した。
尚、組成物(B−1)及び(B−2)の評価に際しては、各未加硫状態のゴム組成物からなるコンパウンドを、台付き平板ダイス(幅30mm、肉厚2mm)を装着した40mm押出機(今中機械工業社製)を用い、シリンダー温度70℃、ヘッド温度80℃の条件で押出して平板状成形体(幅40mm、厚さ2mm)とした。その後、この成形体を230℃に設定した熱風加硫槽中で6分間静置して加硫した。この加硫ゴムシートを評価用試験片とした。
組成物(B−3)については、以下の方法で発泡体とした後に評価を行った。即ち、得られたコンパウンドを、台付き平板ダイス(幅30mm、肉厚2mm)を装着した40mm押出機(今中機械工業社製)を用い、ホッパー温度60℃、シリンダー温度70℃、ヘッド温度80℃の条件で押出して平板状成形体(幅40mm、厚さ2mm)とした。その後、この成形体を230℃に設定した熱風加硫槽中で6分間静置して加硫した。更に、この加硫ゴムシートを220℃に設定した熱風加硫槽中で5分間加硫発泡させ、比重0.5の加硫ゴムスポンジとし、この加硫ゴムスポンジを評価用試験片とした。
また、組成物(B−4)及び(B−5)については、得られた各熱可塑性エラストマー組成物を、台付き平板ダイス(幅30mm、肉厚2mm)を装着した40mm押出機(型式「FS−40」、池貝社製)を用い、シリンダー温度210℃の条件で押出して平板状成形体(幅40mm、厚さ2mm)とした。この平板状成形体を評価用試験片とした。
以上の結果を表2に示す。
Figure 2006044077
3.複合部材の製造及び評価
実施例1
上記で得た第2成形部形成用組成物(B−1)からなる平板状シート(幅30mm、長さ50mm、厚さ2mm)を金型キャビティに設置した後、第1成形部形成用組成物(オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−1))を、射出成形機(型式「N−100」、日本製鋼所製)により、金型温度50℃、導入時間10秒、射出時間1秒、冷却時間30秒、サンプル取り出し時間10秒の条件で導入することで、上記平板状シートの端面に接着させ、厚さ2mm、長さ120mm、幅120mmの複合部材を製造した。オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−1)を導入してから、完成した複合部材を取り出すまでの成形時間を測定し、表3に示した。
上記で得た複合部材について、下記評価を行った。その結果を表3に示す。
(a)接着強度試験
図4のように接着部が中心になるようにダンベル1号で打ち抜き、引張速度500mm/分の速度で複合部材の接着強度を評価した。
(b)接着部屈曲折り曲げ試験
得られた複合部材における、第1成形部材及び第2成形部材の継ぎ目部を起点として、角度180°に折り曲げ、10回往復屈曲させた。このときの接着界面の剥離状態を目視にて観察し、下記基準で評価した。
○;剥離なし。
×;剥離して破断に到った。
実施例2〜6並びに比較例1〜2及び4
上記で得た第1成形部形成用組成物及び第2成形部形成用組成物を、表3の組み合わせに従って用い、実施例1と同様にして複合部材を製造した。得られた各複合部材の評価を行い、表3に併記した。
比較例3
第2成形部形成用組成物(B−1)からなるシート(幅30mm、長さ50mm、厚さ2mm)を、射出成形機の金型キャビティに設置した後、第1成形部形成用組成物(A−5)を、射出成形機(型式「N−100」、日本製鋼所製)により、金型温度180℃、第2成形部材導入時間10秒、射出時間3秒、加硫時間3分間、サンプル取り出し時間10秒の条件で導入することで、厚さ2mm、長さ120mm、幅120mmの複合部材を製造した。評価は上記と同様にして行い、表3に併記した。
Figure 2006044077
4.実施例の効果
比較例1及び2は、第1成形部がα−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂を含まない例であり、屈曲折り曲げにより接着部において剥離した。比較例3は、第1及び第2成形部がいずれも加硫ゴム組成物からなるものであり、得られた複合部材の接着強度は十分高く、接着部における剥離がなかったものの、成形時間が203秒もかかった。比較例4は、第1成形部が加硫ゴム組成物からなり、第2成形部がオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物からなるものであり、金型内で第2成形部のオレフィン系熱可塑性エラストマーが軟化変形して複合部材の形状を保持できなかった。
一方、実施例1〜6は、いずれも51秒という短い時間で複合部材を得ることができた。特に実施例1〜4は、第1及び第2成形部のあいだの接着強度が十分であった。
本発明の複合部材は、各成形部どうしの接着性に優れるため、車両用のウェザーストリップ、シール材、ガスケット、パッキン等として好適である。
ウェザーストリップとしては、ドアウェザーストリップ、トランクウェザーストリップ、ラゲージウェザーストリップ、ルーフサイドレールウェザーストリップ、スライドドアウェザーストリップ、ベンチレータウェザーストリップ、スライディングループパネルウェザーストリップ、フロントウインドウェザーストリップ、リヤウインドウェザーストリップ、クォーターウインドウェザーストリップ、ロックピラーウェザーストリップ、ドアガラスアウターウェザーストリップ、ドアガラスインナーウェザーストリップ等が挙げられる。
シール材としては、建材用、家電用、産業機械用等に用いることができる。
複合部材の1例を示す概略説明図である。 複合部材の他の例を示す概略説明図である。 環状構造の複合部材を自動車のドアのウェザーストリップとして用いる場合の配置例を示す概略説明図である。 実施例において、引張強度を測定する際の試験片の作製方法を示す概略説明図である。
符号の説明
1;複合部材、11,11a〜11e;第1成形部、12,12a〜12e;第2成形部、2;ウェザーストリップ、3;自動車のドア、4;引張強度測定用試験片、4a;第1成形部形成用組成物からなる成形部、4b;加硫ゴムシート(第2成形部形成用組成物)からなる成形部。

Claims (10)

  1. エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂及び軟化剤を含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、を射出成形することにより得られた第1成形部と、該第1成形部の表面及び/又は断面の少なくとも一部に接合され、押出成形により得られ、且つ、架橋ゴム組成物及び/又はオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を含む第2成形部とを備えることを特徴とする複合部材。
  2. 上記第1成形部及び上記第2成形部をそれぞれ(A)及び(B)とした場合、本複合部材は、下記[1]〜[4]から選ばれる構造を備える請求項1に記載の複合部材。
    Figure 2006044077
    (但し、mは1以上の整数であり、nは2以上の整数である。)
  3. 本複合部材は、上記第1成形部及び上記第2成形部の各端部が接合された環状構造である請求項2に記載の複合部材。
  4. 上記第1成形部は、曲線状である請求項1乃至3のいずれかに記載の複合部材。
  5. 上記第1成形部の、JIS K6253に準ずるショアA硬度は、10〜99の範囲にある請求項1乃至4のいずれかに記載の複合部材。
  6. 上記第2成形部は、発泡体である請求項1乃至5のいずれかに記載の複合部材。
  7. 上記第2成形部の形成に用いられる上記架橋ゴム組成物は、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂を含む請求項1乃至6のいずれかに記載の複合部材。
  8. 上記第2成形部は、該第2成形部の表面及び/又は内部に補強用部材を備える請求項1乃至7のいずれかに記載の複合部材。
  9. 架橋性ゴム及び/又はオレフィン系熱可塑性エラストマーを含む組成物(P1)を、押出成形機により成形部材とする工程と、該成形部材の表面及び/又は断面の少なくとも一部が金型キャビティに露出するように設置する工程と、エチレン・α−オレフィン系共重合ゴム、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂及び軟化剤を含む混合物を、架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(P2)を、射出成形機により上記金型キャビティに導入する工程と、を備えることを特徴とする複合部材の製造方法。
  10. 上記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(P2)のメルトフローレートは、温度230℃、荷重21NのJIS K7210に準ずる条件において0.1g/10分以上である請求項9に記載の複合部材の製造方法。
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