JP2006043200A - 脳内出血/くも膜下出血診断支援システム - Google Patents
脳内出血/くも膜下出血診断支援システム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】患者の脳の画像に基づいて、脳内出血/くも膜下出血の度合いを算出する脳内出血/くも膜下出血診断支援システムを提供する。
【解決手段】脳内出血/くも膜下出血診断支援システムは、患者の脳の画像を取得する画像取得装置1と、脳の画像から大脳領域を求める大脳領域検出部21と、大脳領域における凸包と脳領域の差分を求めることにより脳のしわの領域及び脳の不均一な領域を検出するしわ領域検出部22と、しわの領域及び脳の不均一な領域から血管領域を取り除く血管除去部23と、血管領域の取り除かれたしわの領域及び脳の不均一な領域の輝度に基づいて、出血の度合いを算出する危険度算出部24とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】脳内出血/くも膜下出血診断支援システムは、患者の脳の画像を取得する画像取得装置1と、脳の画像から大脳領域を求める大脳領域検出部21と、大脳領域における凸包と脳領域の差分を求めることにより脳のしわの領域及び脳の不均一な領域を検出するしわ領域検出部22と、しわの領域及び脳の不均一な領域から血管領域を取り除く血管除去部23と、血管領域の取り除かれたしわの領域及び脳の不均一な領域の輝度に基づいて、出血の度合いを算出する危険度算出部24とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、脳内出血/くも膜下出血診断支援システムに関し、特に、患者の脳の画像に基づいて、脳内出血/くも膜下出血の度合いを算出する脳内出血/くも膜下出血診断支援システムに関する。
脳内出血及びくも膜下出血は、非常に死亡率の高い病気で、半身不随などの後遺症が残りやすい。このため、医師による緊急な処置が必要である。この処置に先立って、脳内出血/くも膜下出血か否かの診断が行われる。この診断は、一般に、頭部のCT(Computed Tomography )/MR(Magnetic Resonance)検査を行い、その結果を医師が目視することにより行う。
なお、脳内出血を検出する技術として、例えば、生体光計測により得た情報を画像診断装置により得た形態画像上に表示することにより、脳内出血を検出する技術が提案されている(特許文献1参照)。
特開2001−198112号公報
脳内出血/くも膜下出血による出血が少量である場合(微小なくも膜下出血の場合)、医師による誤診断により手遅れになることが問題になっている。このような誤診断は、専門の脳神経外科医が勤務していない救急病院(等の医療機関)で、特に起こりやすい。即ち、動脈瘤は、一般に、約90%弱が主要な動脈(例えば、内頸動脈)の分岐付近に集中するが、それ以外は特定が困難である。また、少量の出血の場合、MRI画像からその位置を特定することも困難である。一方、一度破裂した動脈瘤は再出血しやすく、その場合、更に生命の危険が増大し、また、強度の後遺症が残る。以上から、患者の例えば2次元MRI画像等に基づいて、脳内出血/くも膜下出血の危険度を、2次元画像毎にコンピュータにより推定する、診断支援が望まれている。
本発明は、患者の脳の画像に基づいて、脳内出血/くも膜下出血の度合いを算出する脳内出血/くも膜下出血診断支援システムを提供することを目的とする。
本発明の脳内出血/くも膜下出血診断支援システムは、患者の脳の画像を取得する画像撮影部と、前記脳の画像における脳のしわの領域及び脳の不均一な領域の輝度に基づいて、出血の度合いを算出する危険度算出部とを備える。
好ましくは、本発明の脳内出血/くも膜下出血診断支援システムにおいて、前記出血は、脳内出血又はくも膜下出血である。
好ましくは、当該脳内出血/くも膜下出血診断支援システムが、更に、前記脳の画像から、大脳領域を求める大脳領域検出部を備える。
好ましくは、本発明の脳内出血/くも膜下出血診断支援システムにおいて、前記大脳領域検出部は領域拡張法により前記脳の画像から大脳領域を求める。
好ましくは、当該脳内出血/くも膜下出血診断支援システムが、更に、前記脳の画像から求められた大脳領域における凸包と脳領域との差分を求めることにより、前記脳のしわの領域及び脳の不均一な領域を検出するしわ領域検出部を備える。
好ましくは、当該脳内出血/くも膜下出血診断支援システムが、更に、前記脳の画像から、大脳領域を求める大脳領域検出部と、前記大脳領域における凸包と脳領域との差分を求めることにより、前記脳のしわの領域及び脳の不均一な領域を検出するしわ領域検出部とを備える。
好ましくは、本発明の脳内出血/くも膜下出血診断支援システムにおいて、前記患者の脳の画像は、複数の2次元画像からなり、前記2次元画像毎に、前記大脳領域を求め、これに基づいて脳のしわの領域及び脳の不均一な領域を検出し、前記脳のしわの領域及び脳の不均一な領域における当該画像の輝度に基づいて出血の度合いを算出する。
好ましくは、当該脳内出血/くも膜下出血診断支援システムが、更に、前記しわの領域及び脳の不均一な領域から血管領域を取り除く血管除去部を備え、前記危険度算出部が、前記血管領域の取り除かれた前記しわの領域及び脳の不均一な領域の輝度に基づいて、出血の度合いを算出する。
好ましくは、本発明の脳内出血/くも膜下出血診断支援システムにおいて、前記危険度算出部が、前記出血の度合いに基づいて、出血の危険度を算出する。
好ましくは、当該脳内出血/くも膜下出血診断支援システムが、更に、前記患者の脳の画像を表示する表示装置を備え、前記表示装置が、前記2次元画像毎に、出血の危険度が所定の値よりも高い2次元画像を特定するように表示する。
経験のある脳神経外科医は、微小なくも膜下出血を診断する場合、断層撮影の各スライス(2次元画像)について大脳の脳溝(脳のしわ)に着目することが、本発明者による経験のある脳神経外科医へのヒアリング(聞き取り調査)により判明している。そこで、本発明者は、各画像の脳領域全体を評価するのではなく、脳溝領域に着目することにより、脳内出血やくも膜下出血の有無の診断精度を高めることができると考えた。
本発明の脳内出血/くも膜下出血診断支援システムによれば、脳のしわの領域及び脳の不均一な領域の輝度に基づいて、例えば脳内の2次元画像毎に、脳内出血又はくも膜下出血等の出血の度合いを算出する。この時、例えば、患者の脳の画像を取得し、大脳領域を求め、大脳領域における凸包と脳領域の差分を求めることによりしわの領域及び脳の不均一な領域を検出し、必要に応じてしわの領域及び脳の不均一な領域から血管領域を取り除き、このようにして得た画像の輝度に基づいて、出血の度合いを算出し、又は、出血の危険度を算出し、出血の危険度が所定の値よりも高い2次元画像を特定するように表示する。
これにより、患者の脳の画像(例えば2次元MRI画像)に基づいて、特定が困難とされる主要な動脈(例えば、内頸動脈)の分岐付近以外の動脈瘤や少量の出血の場合でも、脳内出血/くも膜下出血の危険度を、脳内の2次元画像毎に、コンピュータにより推定することができる。この結果、例えば専門の脳神経外科医が勤務していない医療機関等において、脳内出血/くも膜下出血の診断を支援することができ、当該病院等における誤診断を防止することができる。従って、微小な脳内出血/くも膜下出血の場合でも、医師による誤診断を防止し、処置が手遅れになることを回避することができる。
図1は、脳内出血/くも膜下出血診断支援システム構成図であり、本発明の脳内出血/くも膜下出血診断支援システムの構成を示す。
本発明の脳内出血/くも膜下出血診断支援システムは、画像取得装置1、診断支援装置2、表示装置3を備える。本発明の脳内出血/くも膜下出血診断支援システム又は診断支援装置2は、前述のように、経験のある脳神経外科医と同様に、微小な脳内出血/くも膜下出血の診断支援をするために、脳の(断層撮影)画像における各断層画像(断面方向の画像)即ちスライス(2次元画像)について大脳の脳溝(脳のしわ)に着目する。
画像取得装置1は、患者の脳の画像を取得する装置であり、この例では周知のMR装置からなる。これにより、画像取得装置1からは、周知のデータ形式(例えば、DICOM)の脳の画像(画像データ)が得られる。なお、画像取得装置1は、X線CT装置、ポジトロンCT装置等のように、周知の断層撮影等により、人間の脳の2次元画像(平面の画像)を得られる装置であっても良い。また、DICOMは、主としてMR装置及びCT装置において使用されるデータ形式であり、DICOMに従うことにより、画像データのみならず、患者情報や撮影日時等の関連情報をも得ることができる。
診断支援装置2は、画像取得装置1から所定のデータ形式(例えばDICOM)に従う脳の画像(画像データ)を受信し、これを画像メモリ(図示せず)に保持する。診断支援装置2と画像取得装置1との間は、直接ケーブル等で接続されていても良く、無線又は有線のLAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを介して接続されていても良い。例えば、画像取得装置1を専門の脳神経外科医のいない複数の病院に設置し、診断支援装置2を専門の脳神経外科医のいる病院に設置し、これらの間をネットワークで接続するようにしても良い。この場合、表示装置3は、脳神経外科医のいない病院及び脳神経外科医のいる病院の双方に設けても良い。
診断支援装置2は、大脳領域検出部21、しわ領域検出部22、血管除去部23、危険度算出部24を備える。これらの各処理部21〜24は、コンピュータである診断支援装置2の主メモリ(図示せず)上に常駐する当該処理を実行する処理プログラムを、診断支援装置2のCPU(図示せず)上で実行することにより実現される。
大脳領域検出部21は、画像メモリに保持している前記脳の画像(画像データ)から、周知の手段により「大脳領域」を求める。この例では、大脳領域検出部21は、例えば周知の領域拡張法(region growing法)により、脳の画像から大脳領域を求める。領域拡張法とは、注目している小領域とそれに隣接する小領域(あるいは画素)が互いに同じ特徴を持つとき、一つの領域に統合する処理を順次実行していくことにより領域分割を行う手法である。この例において、「同じ特徴」とは、画像データにおいて当該領域の画素同士が似ていることを言い、具体的には、当該画像データが例えば256階調のモノクロ画像である場合において、「画素値が類似していること」及び「お互い(の位置)が近接していること」が必要であり、その範囲は経験的に定めることができる。
しわ領域検出部22は、脳の画像から求められた大脳領域における「凸包」と「脳領域」との差分を求めることにより、「脳のしわの領域」及び「脳の不均一な領域」を検出する。即ち、凸包である領域から脳領域である(脳領域と重なる)領域を除いて残った領域が、脳のしわの領域及び脳の不均一な領域である。ここで、脳領域とは、画素値が類似しており、ひとかたまりになった領域(均一な領域)を言い、例えば「海馬」等の領域を含まない。従って、脳の不均一な領域とは、例えば海馬等の領域を言う。このように、脳のしわの領域のみならず脳の不均一な領域をも検出対象とすることにより、出血の可能性のある部分を漏れなく検出できるので、出血の度合い及び危険度の判断が誤った結果となることを防止することができる。
凸包を求める際には、2 次元の変形モデルである2D Active Net を利用した。2D Active Net (正確には、「エネルギー最小化原理を用いた網モデル」)は、円状の網を初期形状として与え、エネルギー最小原理に基づく処理の繰り返しによって抽出したい部位に網が近づいていくというものである。2D Active Net については、例えば「坂上、山本”動的な網のモデルActive Netとその領域抽出への応用”テレビジョン学会誌、Vol.45, No.10, pp.1153-1163,(1991)」及び「小原俊、藤原俊朗、松田浩一、土井章男" 圧力エネルギーを考慮したActive Netモデルとその適用" 情報処理学会グラフィックスとCAD 夏の研究会、pp1-4, 2001/9 」に詳しい。具体的には、脳領域(均一な領域、この例では先に求めた大脳領域)をエネルギー画像としてこれに2D Active Net を適用することにより、脳領域を輪ゴムで束ねたような領域、即ち、(およその)凸包(の領域)が求まる。そして、当該領域の内部と脳領域との差分を求めることにより、「脳のしわの領域」及び「脳の不均一な領域」を検出することができる。
2D Active Net の適用の一例を図2に示す。図2において、図2(A)は初期画像であり、脳領域(均一な領域)を示す。図2(B)はエネルギー最小原理に基づく処理を400回繰り返した場合の画像を示す。図2(C)は前記処理を800回繰り返した場合の画像を示す。図2(D)は前記処理を2000回繰り返した場合の画像を示す。図2(D)から、「脳のしわの領域」及び「脳の不均一な領域」が検出されたことが判る。
なお、2D Active Net の利用により求めた凸包(の領域)は、厳密な意味での凸包にはならない。即ち、2D Active Net の利用により求めた凸包は実際の凸包に一部食い込んでおり、従って、凸包(の領域)の近接値を求めていることになる。
血管除去部23は、脳のしわの領域及び脳の不均一な領域から「血管領域」を取り除く。血管領域を除去する理由は、血管(断層撮影のスライスにおいては丸い形管となる)は、MRI画像の場合、非常に白くなる(高輝度となる)ので、この部分は先に除去した方が出血の検出の精度を向上することができるためである。なお、CT装置により得た画像の場合には、このようなことがなく、従って、血管領域を除去する必要はない。
前述のように、血管領域は、断層撮影のスライスにおいては高輝度の丸い形となる。MRI画像の場合、そのように高輝度な領域は血管領域のみであるので、所定の閾値を用いて、当該閾値よりも大きな値の領域を血管領域として除去することができる。即ち、血管領域の画像データの画素値を、周囲の領域の画素値(又はその平均値)と同一又は類似の値に変更する。これにより、脳のしわの領域及び脳の不均一な領域から「血管領域」を除去した領域、即ち、「脳のしわの領域」及び「輝度の値が均一でない残りの領域」が求まる。「輝度の値が均一でない残りの領域」は、脳の領域(又は大脳領域)から、ほぼ均一でかつ連結している(繋がっている)画素領域を差し引いた部分である。
危険度算出部24は、脳のしわの領域及び脳の不均一な領域における当該画像(原画像、この場合はMRI画像)の輝度に基づいて、出血の度合いを算出し、出血の危険度を算出する。従って、出血の度合いが算出される対象となる出血は、脳内出血又はくも膜下出血である。具体的には、この例では、危険度算出部24は、後述する図5に示すように、出血の度合いをヒストグラムとして作成する。例えば、当該画像データが例えば256階調のモノクロ画像である場合において、当該領域において各々の画素値をとる画素の数をカウントすることにより、ヒストグラムを作成する。
この例では、実際には、危険度算出部24が、血管領域の取り除かれた脳のしわの領域及び脳の不均一な領域の輝度に基づいて、出血の度合いを算出する(ヒストグラムを作成する)。これらの領域においては、MRI画像の場合、出血していない領域は黒い画素となり、出血している領域は白い画素となる。本発明によれば、脳の不均一な領域(内部の領域)についても出血の度合いを算出することにより、出血があっても脳のしわの領域に血液が流れ込まない場合を考慮することができる。これにより、前述のように、出血の判断を誤ることを防止することができる。
この例では、危険度算出部24は、更に、算出した出血の度合い(ヒストグラム)に基づいて、出血の危険度を算出する。従って、脳内出血又はくも膜下出血の危険度が算出される。これにより、患者の脳の画像を出血の有無について解析した結果を表示する際に、解析結果をより判り易く表示することができる。この時、後述するように、危険度を算出(判定)するための閾値が診断支援装置2の外部から入力される。この例では、当該閾値は、前述のヒストグラムを参照して決定される。
なお、閾値を、ヒストグラムを作成した結果に基づいて、その都度、診断支援装置2の外部から入力することにより設定しているが、この閾値を当該ヒストグラムを作成した結果に基づいて自動的に設定するようにしても良い。例えば、危険度算出部24が、当該閾値として、ヒストグラムが図5に示すように境目を持つ場合には当該境目を採用し、ヒストグラムが図7に示すように境目を持たない場合には当該分布の右端の値を採用するようにしても良い。
実際には、患者の脳の画像は、断層撮影により得られた連続した複数の2次元画像からなる。従って、2次元画像毎に、大脳領域を求め、これに基づいて脳のしわの領域及び脳の不均一な領域を検出し、必要に応じて脳のしわの領域及び脳の不均一な領域から血管領域を取り除き、脳のしわの領域及び脳の不均一な領域の輝度に基づいて出血の度合いを算出し、また、出血の危険度を算出する。
表示装置3は、例えば、2次元画像毎に、脳内出血/くも膜下出血の危険度が所定の値よりも高い2次元画像を特定するように表示する。これにより、2次元画像毎に、判定を行い、出血の危険性のある部位の指示を表示することができる。なお、この例では、後述するように、ヒストグラムの形状のみでも出血の有無を判定できるので、表示装置3が、危険度と共に、算出した脳内出血/くも膜下出血の度合い(ヒストグラム)を表示するが、いずれか一方の表示を省略しても良い。
また、後述するように、ヒストグラムを用いて画素単位で出血部位を特定することが可能であるので、危険度算出部24が、当該出血部位と特定した画素を、画像取得装置1が取得した脳の画像(2次元画像)に重ねた画像を作成し、これを表示装置3が表示するようにしても良い。この時、当該出血部位と特定した画素を、例えば赤色にして表示するようにしても良い。
図3は、脳内出血/くも膜下出血診断支援処理フローであり、本発明の脳内出血/くも膜下出血診断支援システムにおける脳内出血/くも膜下出血診断支援処理の一例を示す。図2において、画像取得装置1が患者の脳のMRI画像(2次元画像)を取得し(ステップS1)、診断支援装置2に送信する。これを受信した診断支援装置2において、大脳領域検出部21が領域拡張法を用いて患者の脳の大脳領域を求め(ステップS2)、しわ領域検出部22が、求めた大脳領域内の凸包と脳領域の差分を取ることにより、脳のしわの領域及び脳の不均一な領域を検出し(ステップS3)、血管除去部23が脳のしわの領域及び脳の不均一な領域から血管領域の部分を取り除き(ステップS4)、危険度算出部24が脳のしわの領域及び脳の不均一な領域における輝度に基づいて、脳内出血/くも膜下出血の度合い(ヒストグラム)を算出し、更に、脳内出血/くも膜下出血の危険度を算出し(ステップS5)、更に、当該算出結果を表示装置3に送信する。これを受信した表示装置3が、2次元画像毎に、当該算出結果(ヒストグラム及び危険度)を表示する(ステップS6)。
図4〜図7は、本発明の脳内出血/くも膜下出血診断支援システムにおける脳内出血/くも膜下出血診断支援の実際を示す。
図4(A)は、画像取得装置1であるMR装置により読み取った患者の脳の原画像である。画像サイズは460ドット×460ドットである。この原画像(MRI画像)は、実際にくも膜下出血を発症した患者について、翌日に撮像した画像データである。
図4(B)は、領域拡張法を用いて、大脳領域をセグメンテーションした後の画像である。このときのパラメータは、シード点を対話的に選択し、グローバルパラメータを20、ローカルパラメータを10とした。
図4(B)の画像に対して2D Active Net を適用することにより、図4(C)のように、収束したネットの領域の画像を求めることができる。この図4(C)の画像から、図4(D)に示すように、脳領域の凸包を求める。この際のパラメータは、網の形状が30×100、反復回数が2000回であり、α、β、γは、各々、例えば1.0、1.0、0.5とした。2D Active Net のプログラムはOpenGLで記述されており、適用結果である画像の網の内部を塗りつぶすことによって、図4(D)に示す凸包の画像を得た。
この凸包の画像(図4(D)の画像)と大脳領域の画像(図4(B)の画像)との差分を取った画像が図4(E)の画像である。この処理により、「脳のしわの部分を含んだ領域」(即ち、脳のしわの領域及び脳の不均一な領域)を抽出することができる。
次に、しわの部分を含んだ領域に対応するMRI画像の画素値から、出血の有無(及びその度合い)を推定する。図5は、図4(E)で得られた領域(即ち、差分マスクの全画素)のヒストグラムである。図5において、横軸は画素値(1〜256階調であるが、1部省略している)であり、縦軸は当該画素値をとる画素の数である(図7において同じ)。図5に示すように、輝度の値の高い部分(即ち、出血している部分)と低い部分(即ち、正常な部分)とが分離されていることが判る。また、輝度の値の高い部分が出血している部分であるので、図5から、2個のピークの内の右側のピークが出血部分であり、およそ画素値が(256階調において)およそ「120」程度であれば出血していることが判る。従って、当該画素値を閾値として用いることにより、出血部位を画素単位で容易に特定することも可能である。
次に、差分マスクの全画素数を分母とし、閾値より高い画素の数を分子としたものを「危険度」として算出する。この例では、ヒストグラムの境目を閾値(90)とした。この結果、この画像(図4(A)の画像)における危険度は、「0.489476」となった。なお、全画素数は「20904」であり、閾値より高い画素数は「10232」であった。
ここで、比較のために、健常者のMRI画像に本発明を適用すると、図6及び図7に示すようになる。即ち、図6(A)に示すMR装置により読み取った患者の脳の原画像(画像サイズは256ドット×256ドット)から、図6(B)に示す大脳領域の画像を得て、これに対して2D Active Net を適用することにより図6(C)の画像を求め、これに基づいて凸包の画像(図示せず)を得て、これと大脳領域の画像(図6(B)の画像)との差分を取った画像が図6(D)の画像である。前述のように、図6(D)で得られた領域のヒストグラムを求めると、図7に示すようになる。図7のヒストグラムにおいては、出血の部分が無いため、輝度分布は1カ所に集中しており、また、その輝度も低く、図5とは明らかに異なることが判る。このように、前述のヒストグラムを取った時点で、そのグラフにより出血の有無がある程度判別することができることが判る。
図7のヒストグラムには、その境目がないので、一応の目安として分布の右端の部分を閾値(100)とした。この結果、危険度は「0.029474」となった。即ち、約1/16の危険度であることが判る。このように、危険度からも十分に脳内出血/くも膜下出血の有無を判断することができる。
以上説明したように、本発明によれば、脳内出血/くも膜下出血診断支援システムにおいて、経験のある脳神経外科医と同様に、大脳の脳溝(脳のしわ)に着目して、当該脳のしわの領域における当該画像の輝度に基づいて、脳内出血/くも膜下出血等の出血の度合いを算出し、又は、出血の危険度を算出することにより、患者の脳の画像に基づいて、脳内出血/くも膜下出血の危険度をコンピュータにより推定することができ、例えば専門の脳神経外科医が勤務していない病院等において、脳内出血/くも膜下出血の診断を支援することができ、たとえ微小な脳内出血/くも膜下出血の場合でも、医師による誤診断を防止し、処置が手遅れになることを回避することができる。
1 画像取得装置
2 診断支援装置
3 表示装置
21 大脳領域検出部
22 しわ領域検出部
23 血管除去部
24 危険度算出部
2 診断支援装置
3 表示装置
21 大脳領域検出部
22 しわ領域検出部
23 血管除去部
24 危険度算出部
Claims (10)
- 患者の脳の画像を取得する画像撮影部と、
前記脳の画像における脳のしわの領域及び脳の不均一な領域の輝度に基づいて、出血の度合いを算出する危険度算出部とを備える
ことを特徴とする脳内出血/くも膜下出血診断支援システム。 - 前記出血は、脳内出血又はくも膜下出血である
ことを特徴とする請求項1に記載の脳内出血/くも膜下出血診断支援システム。 - 当該脳内出血/くも膜下出血診断支援システムが、更に、
前記脳の画像から、大脳領域を求める大脳領域検出部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の脳内出血/くも膜下出血診断支援システム。 - 前記大脳領域検出部は領域拡張法により前記脳の画像から大脳領域を求める
ことを特徴とする請求項3に記載の脳内出血/くも膜下出血診断支援システム。 - 当該脳内出血/くも膜下出血診断支援システムが、更に、
前記脳の画像から求められた大脳領域における凸包と脳領域との差分を求めることにより、前記脳のしわの領域及び脳の不均一な領域を検出するしわ領域検出部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の脳内出血/くも膜下出血診断支援システム。 - 当該脳内出血/くも膜下出血診断支援システムが、更に、
前記脳の画像から、大脳領域を求める大脳領域検出部と、
前記大脳領域における凸包と脳領域との差分を求めることにより、前記脳のしわの領域及び脳の不均一な領域を検出するしわ領域検出部とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の脳内出血/くも膜下出血診断支援システム。 - 前記患者の脳の画像は、複数の2次元画像からなり、
前記2次元画像毎に、前記大脳領域を求め、これに基づいて脳のしわの領域及び脳の不均一な領域を検出し、前記脳のしわの領域及び脳の不均一な領域における当該画像の輝度に基づいて出血の度合いを算出する
ことを特徴とする請求項6に記載の脳内出血/くも膜下出血診断支援システム。 - 当該脳内出血/くも膜下出血診断支援システムが、更に、
前記しわの領域及び脳の不均一な領域から血管領域を取り除く血管除去部を備え、
前記危険度算出部が、前記血管領域の取り除かれた前記しわの領域及び脳の不均一な領域の輝度に基づいて、出血の度合いを算出する
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の脳内出血/くも膜下出血診断支援システム。 - 前記危険度算出部が、前記出血の度合いに基づいて、出血の危険度を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の脳内出血/くも膜下出血診断支援システム。 - 当該脳内出血/くも膜下出血診断支援システムが、更に、
前記患者の脳の画像を表示する表示装置を備え、
前記表示装置が、前記2次元画像毎に、出血の危険度が所定の値よりも高い2次元画像を特定するように表示する
ことを特徴とする請求項9に記載の脳内出血/くも膜下出血診断支援システム。
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