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JP2005525128A - P53結合t細胞受容体分子とその使用 - Google Patents

P53結合t細胞受容体分子とその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、p53蛋白質、好ましくはヒトp53蛋白質由来のペプチドに結合する、T細胞受容体(TCR)分子を提供する。該TCR分子は、HLA分子、好ましくはHLA−A2.1とのかかわりあいで提示されるp53蛋白質の好ましくは約264から272位にわたるアミノ酸配列に特異的に結合する、ヘテロダイマー分子及び一本鎖分子を含むものである。またそのようなTCR分子の製造及び使用方法も開示されている。本発明は治療的な使用及びp53蛋白質を発現する細胞の検出における使用を含む、広範な有用な適用を有している。

Description

(関連出願)
本出願は2001年2月1日出願の米国特許出願第09/774681号に35U.S.C.120に基づく優先権を主張し、該出願は1997年3月5日出願の米国特許出願第08/812393号に優先権を主張するものであり、該出願は1996年3月5日出願の米国仮出願第60/012845号に優先権を主張するものである。本出願はまた2001年6月5日に出願された米国仮出願第60/296324号に35U.S.C.119(e)に基づく優先権を主張する。これらの出願の全内容は引用することにより取り込まれる。
(政府資金)
本発明は国立衛生研究所による契約番号CA25803に基づく政府資金で行われた。政府は本発明に一定の権利を有する。
(技術分野)
本発明は、特にP53蛋白質配列に結合するT細胞受容体(TCR)分子に関するもの、及び、当該そのような分子の製造及び使用方法に関するものである。本発明のTCR分子は、治療及び診断目的を含む様々な適用において有用である。
(背景技術)
ガンのような疾病の治療への伝統的なアプローチには、手術、放射線治療、化学療法、抗生物質、あるいは治療の組み合わせが包含される。しかしながらそのような療法は、これらの兆候の多くに対して効果的であることは証明されていない。このようなヒトの疾病の予防及び/又は治療のための代わりとなる治療の開発が必須である。近年、抗体やTリンパ球を用いる免疫療法及び遺伝子治療のアプローチが、ヒトの疾病を治療するための新しく有望な方法として浮上している。
一つのそのような治療のアプローチは、特定の対象を治療あるいは診断用試薬の標的とするための抗体の使用を含む。多くのグループが標的化試薬として抗体を使用することを展開する開発を行っている。そのような開発には、抗体融合蛋白質や、抗体を、放射性分子、化学療法試薬、毒、付加的な生物活性蛋白質を含む様々なエフェクター分子と結合させた抗体結合分子の構築が包含される。そのような分子を使用して開発された治療法や診断法は、抗体結合分子により標的化されるという特定の効果を生じるように設計されている。
抗体が治療法において開発されてきたのとちょうど同じように、免疫システムの付加的な第1エフェクターであるT細胞受容体(TCR)は、治療法の開発のための土台として特有の利点を有している。抗体が血中及び細胞外領域における病原体、あるいは細胞表面の標的蛋白質を認識することに限定されるのに対して、T細胞受容体は細胞表面上のMHC分子とともに提示される抗原(細胞内蛋白質由来の抗原を含む)を認識できる。提示された抗原を認識して活性化されるT細胞のサブタイプに依存して、T細胞受容体とT細胞受容体を宿すT細胞は、様々な免疫応答のコントロールに参加することができる。たとえばT細胞は、B細胞の抗体産生細胞への分化を誘導することを通じて、体液性免疫応答の制御にかかわっている。加えて、活性化されたT細胞は細胞介在性免疫応答を誘発するように作用する。このように、T細胞受容体は抗体には利用できないさらなる標的を認識することができる。
T細胞応答は抗原がT細胞受容体分子に結合することにより調節される。TCRの一つのタイプは免疫グロブリンの可変(V)及び定常(C)領域に類似するα鎖とβ鎖からなる膜結合性ヘテロダイマーである。TCRのα鎖は共有結合したVαとCα鎖を含む一方で、β鎖はCβ鎖に共有結合したVβ鎖を含んでいる。VαとVβ鎖はMHC(ヒトにおいてHLA複合体として知られている)とのかかわりあいでスーパー抗原あるいは抗原に結合できるポケットや割れ目を形成する。一般的にDavis, Ann. Rev. of Immunology 3: 537 (1985)、及び Fundamental Immunology 3rd Ed., W. Paul編、Raven Press LTD. New York (1993)参照のこと。
TCRは免疫システムの発達と機能において重要な役割を果たすと信じられている。たとえば、TCRは細胞死を仲介し、B細胞増殖を増加させ、ガン、アレルギー、ウイルス感染、自己免疫疾患を含む様々な疾患の発達と重症度に影響を与えることが報告されている。
ヒトp53は腫瘍抑制蛋白質であることが報告されており、p53由来のペプチドエピトープは特有のクラスIMHC分子により提示される。p53はさらに広範な腫瘍関連細胞傷害性T細胞(CTL)標的の候補であることが報告されている。たとえばTheobald M.ら、 (1995) PNAS (USA) 92: 11993及びそこで引用される参考文献を参照のこと。
ヒトp53蛋白質の異常体が様々なガンと関連しているという認識がある。異常あるいは変異型は、普通(野生型)p53蛋白質の防御性特質を覆すと信じられている。たとえば Lavine A. J.ら、(1991) Nature (London) 351: 453参照のこと。
ヒトp53蛋白質に由来するペプチドを認識して特異的に結合するヒトクラスI分子が開示されている。そのような分子の一つはHLA−A2.1である。Theolakd M.ら、上述文献参照のこと。
ヒトp53蛋白質由来のペプチドを認識して結合するTCR分子が好ましいだろう、ヒトp53蛋白質の約264から272位にわたるアミノ酸配列に特有に結合するヘテロダイマー及び一本鎖(sc)TCR分子が特に望まれるだろう。
(発明の要約)
我々はヒトp53蛋白質由来のペプチドに結合するT細胞受容体(TCR)分子を同定した。一つの態様では、HLA分子、好ましくはHLA−A2.1とのかかわりあいで提示されるヒトp53蛋白質の好ましくは約264から272位のアミノ酸配列に特異的に結合するヘテロダイマーTCR分子を単離した。他の態様では、我々はその配列に特異的に結合する一本鎖TCR(sc−TCR)分子を製造した。またそのようなTCR分子の製造及び使用方法も開示している。本発明は、治療的使用及びp53蛋白質発現細胞の検出における使用を含む、広範にわたる有用な適用を含んでいる。
本発明のTCR分子は、好ましくはヒトp53分子の約264から272位にわたる配列に結合する、主としてヘテロダイマーあるいは一本鎖分子である。特に好ましい配列は、ヒトp53分子の264から272位にわたるLeu Leu Gly Arg Asn Ser Phe Glu Val(配列番号1)であらわされるエピトープである。他の適したp53配列は以下に記載される。
特有のTCR分子は様々な有用な活性を特徴とする。たとえばここに開示されるヘテロダイマーTCR分子は、特に適切な抗原提示複合体とのかかわりあいで、p53蛋白質の細胞発現を検出するのに使用されることができる。そのような複合体の実例は、p53蛋白質の免疫的に関係のある断片に結合してCTLに提示する霊長類のクラスI主要組織適合抗原(MHC)である。好ましいクラスIMHC分子は、以下に開示されるヒトHLA−A2.1複合体である。
本発明は、その状況が通常すでに目的となる使用に適したように決定されている様々なヘテロダイマーTCR分子をも包含する。たとえば一つの態様では、ヘテロダイマーTCR分子は、トランスフェクトされたもしくは遺伝子組換え細胞の細胞表面分子として発現される。細胞の例は以下に挙げられている。さらに適したヘテロダイマーTCR分子は、たとえば以下で議論される一つもしくはそれ以上の免疫グロブリン(Ig)配列を含むヘテロダイマー等の、より溶解した形態で提供される。
本発明のより特有のヘテロダイマーTCR分子の特徴はα鎖とβ鎖であり、その鎖は典型的には一つもしくはそれ以上の共有結合で結合されている。好ましくはそのような共有結合には、一つもしくはそれ以上のジスルフィド結合が含まれる。より好ましくはヘテロダイマーは、ヒトp53分子の約264から272位にわたるアミノ酸配列、好ましくは264から272位にヘテロダイマーが結合する割れ目内あるいはその近傍において、好ましくは効果的な位置を設計する少なくとも一つのVα鎖と少なくとも一つのVβ鎖を含む。「効果的な位置」という用語は、本発明のTCRV鎖(ヘテロダイマーあるいは一本鎖形態)が、好ましいT細胞結合性及び下記のELISAテストを含むここに開示される標準的なアッセイにより決定された特異的p53配列に結合するのに関与していることを意図している。
ヘテロダイマーTCRのより特徴的V鎖は、Cα鎖に共有結合したVα鎖及びCβ鎖に結合したVβ鎖を含む。ほとんどの態様では、Cα鎖とCβ鎖はそれぞれ適した細胞の膜貫通ドメインに独立して結合しており、そのドメインは適したサイトソルドメインに主としてさらに独立して結合している。可溶性のヘテロダイマー分子が好まれる場合には、少なくとも膜貫通ドメイン、好ましくはたとえば標準的な組換えDNA操作により本質的に全ての膜貫通ドメインを取り除くことがより好ましいだろう。
本発明はここに開示される一本鎖T細胞受容体(sc−TCR)分子を含む他の有用なTCR分子を特徴とする。そのような分子は、一般に少なくとも一つのペプチド配列により少なくとも一つのVβ鎖に結合する少なくとも一つのVα鎖を含む。所望によりsc−TCRはさらに少なくとも一つのCα鎖断片と、任意に少なくとも一つのCβ鎖断片を含むことができる。より好ましい本発明の態様では、sc−TCRは少なくとも一つのペプチドリンカー配列により約一つのVβ鎖に結合する約一つのVα鎖を含むだろう。目的となる結合結果が達成されるかぎり、sc−TCRにおけるVあるいはC配列の整列順は普通重要でない。しかしながら、標準的な結合試験で決定される約264から272位にわたるヒトp53のアミノ酸配列に効果的に結合するのに十分なVα及びVβ鎖が、一般的に好まれる。
本発明は重要な利点を提供する。
たとえばこのヘテロダイマー及び一本鎖TCRは、初めて重要なp53エピトープを認識して結合するTCR分子を提供するものである。本発明の分子によるその配列への結合は、ガンあるいは前ガン性細胞において、p53腫瘍抑制蛋白質の重要で信頼できる認識を提供する。このように一つの発明の態様では、本分子は、細胞、組織、あるいは器官におけるp53の存在及び量を検出、所望により定量するために診断的に使用されることができる。そのような細胞には、初代、二代、不死化セルラインと同様に培養細胞が含まれる。p53蛋白質を検出するための能力は、インビトロ及びインビボでのガンの診断において非常に有用である。あるいは本発明のTCR分子は、細胞、特に適したMHCクラスI分子、好ましくはHLA−A2.1複合体とのかかわりあいで、p53抗原を提示できる細胞において、p53の発現を検出及び任意に定量するために使用されることができる。
したがって一つの態様では、本発明はVα鎖とVβ鎖を含む単離されたT細胞受容体(TCR)ヘテロダイマーを特徴とする。好ましくはヘテロダイマーは、特に好ましくHLA−A2.1MHC分子とのかかわりあいで、少なくとも一つの保存的アミノ酸置換を有する配列の変異体を含む次の「標的」アミノ酸配列、Leu Leu Gly Arg Asn Ser Phe Glu Val(配列番号1)に結合できる。好ましい結合は無関係の(対照)TCRへの結合とは著しく異なる結合の増加として、(ここで「著しく」とは、当該分野で知られている慣用の統計手法、たとえばp≦0.05を用いて決定される)結合特異性が示される標準的なTCR結合アッセイにより決定される。好ましくは、結合能は、少なくとも約2倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、あるいは少なくとも約100倍対照値よりも高い。特に好ましいTCR結合アッセイと無関係のTCRヘテロダイマーが以下に記載される。
より特別の態様において、本発明はα鎖が、a)Vα鎖とb)Cα鎖が順に共有結合したものを含み、β鎖がc)Vβ鎖とCβ配列が順に共有結合したものを含むものであるα鎖とβ鎖を含む単離されたT細胞受容体(TCR)ヘテロダイマーを特徴とする。好ましくはヘテロダイマーは、HLA−A2.1MHC分子とのかかわりあいで、配列番号1の上述のアミノ酸配列と同様に、少なくとも一つの保存的アミノ酸置換を有する標的配列の変異体に結合できるものである。
以上検討したように、本発明はまた配列番号1の標的配列に特異的に結合できるV鎖を含むsc−TCR分子を特徴とする。
一つの態様では、そのようなsc−TCRは少なくとも一つのペプチドリンカーで、少なくとも一つのVβ鎖に共有結合した少なくとも一つのVα鎖を含む。好ましくはそのようなsc−TCR、は約1から5のそのようなV鎖、より好ましくは約1または2のそのようなV鎖を含む。また好ましくはそのようなV鎖は、約1乃至5のペプチドリンカー、より好ましくは約1から2のそのようなリンカーで結合されるだろう。より好ましいsc−TCRは、HLA−A2.1MHC分子とのかかわりあいで、少なくとも一つ以上の保存的アミノ酸置換を有する変異体を含む次の標的アミノ酸配列、Leu Leu Gly Arg Asn Ser Phe Glu Val(配列番号1)に結合できる。
好ましい結合は無関係の(対照)TCRへの結合とは著しく異なる結合の増加として表される(ここで「著しく」とは、当該分野で知られている慣用の統計手法、たとえばp≦0.05を用いて決定される)。好ましくは、結合能は、少なくとも約2倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、あるいは少なくとも約100倍対照値よりも高い。特に好ましいsc−TCR結合アッセイと無関係のsc−TCRが以下に記載される。
他の態様では、本発明はここに提供される一つもしくはそれ以上のヘテロダイマーをコードする核酸セグメント(典型的にはDNAまたはRNA)の少なくとも対を特徴とする。
他の態様では、本発明はTCRヘテロダイマーをコードするDNAセグメントの少なくとも一つを含むDNAベクターを包含する。たとえば最初のDNAセグメントはα鎖をコードでき、二番目のDNAセグメントはβ鎖をコードできる。ある場合においては、ヘテロダイマーのα鎖とβ鎖の両方をコードするセグメントを有する単一のDNAベクターを提供することがより好ましいだろう。
またここで開示されるDNAベクターを含む細胞も想起される。
本発明はまた、少なくとも一つ、好ましくは約1から5、より好ましくは約1から2のここで提供されるsc−TCR分子をコードする核酸セグメント(DNAまたはRNA)を特徴とする。またその核酸セグメントを含むDNAベクターが含まれる。
他の態様では、本発明はHLA−A2.1MHC分子とのかかわりあいで、p53蛋白質を発現する細胞や組織を同定するための方法を特徴とする。一つの態様では、そのような方法にはここで開示されるsc−TCRまたはTCRヘテロダイマーを含む形質導入されたもしくは遺伝子組換え細胞と、細胞または組織を接触させることを含む。もしくは細胞あるいは組織は、sc−TCRやTCRヘテロダイマーを発現する形質導入されたまたは遺伝子組換え細胞の代わりに(あるいはそれとともに)、可溶性のsc−TCRやTCRヘテロダイマーと接触させられることができる。
本発明はまた、HLA−A2.1分子とのかかわりあいで、p53蛋白質を発現する細胞または組織を同定するための方法を特徴とする。本発明の好ましい例では、その方法は細胞または組織を、ここで提供されるsc−TCRと接触させることを含む。
また本発明は、少なくとも一つの保存的アミノ酸置換を有する配列の変異体を含む、以下の標的アミノ酸配列、Leu Leu Gly Arg Asn Ser Phe Glu Val(配列番号1)を発現する細胞を殺すための方法を包含する。より特有の方法は、細胞をここで提供されるsc−TCRやヘテロダイマーTCR分子を発現する形質導入されたもしくは遺伝子組換え細胞と接触させる方法を含む。加えて好ましい方法はさらに慣用的なアッセイ(例、トリパンブルー除去、アポトーシスの特徴の存在等)で決定される、細胞を傷つけるもしくは殺すのに一般的に十分な量のsc−TCRまたはヘテロダイマーTCRと、細胞を接触させることを含む。
他の態様では、本発明は、a)ここで提供されるTCRヘテロダイマーを含む形質導入されたまたは遺伝子組換え細胞、b)本発明のsc−TCRの少なくとも一つ、好ましくはそのようなsc−TCRの一つの、少なくとも治療に有効な量を哺乳動物に投与することを含む、ガンの治療方法を特徴とする。好ましくは、ガンは以下に記載される標準的なイムノヒストケミストリーまたはフローサイトメトリーで決定される、少なくとも約2倍、好ましくは少なくとも5から10倍、好ましくは約100倍のp53蛋白質の活性化で特徴付けられる。
本発明の他の態様は、以下に議論される。
(発明の詳細な説明)
先に要約されたように、我々はVα鎖とVβ鎖、すなわち二本鎖複合体を一般的に含む非常に有用なT細胞受容体(TCR)ヘテロダイマーを単離した。より好ましいヘテロダイマーは、典型的にはHLA−A2.1MHC分子とのかかわりあいで、ヒトp53蛋白質配列の約264から272位間のアミノ酸配列、好ましくはp53蛋白質の264から272位のアミノ酸、つまり以下の標的アミノ酸配列、Leu Leu Gly Arg Asn Ser Phe Glu Val(配列番号1)に結合する。またすでに要約されたように、良好な結合は標準的な以下に記載のT細胞結合アッセイで決定される。
多くの天然に生じるTCRヘテロダイマーの、一般的な構造が報告されている。たとえば、Davis Ann. Rev. of Immunology 3: 537 (1985)、Fundamental Immunology 3rd Ed., W. Paul編、Raven Press LTD. New York (1993)、及びそれらに開示されている参考文献を参照のこと。
一般的にT細胞は、その細胞表面に発現されたT細胞受容体(TCR)により、細胞表面に提示される抗原を認識する。TCRはほとんどα及びβ鎖グリコプロテインからなる、ジスルフィド結合されたヘテロダイマーである。T細胞は、B細胞で機能する抗体の多様性を産生する機構と類似した機構を、受容体分子の多様性を産生するために使用する(Janeway及びTravers; Immunobiology 1997)。免疫グロブリン遺伝子と同様に、TCR遺伝子はT細胞の発達段階において再整列するセグメントからなる。TCRポリペプチドは、N可変末端及びC末端定常領域からなる。C末端領域は、膜貫通アンカーとして機能して、受容体が占拠された際に細胞内シグナリングに関与する一方、可変領域は抗原の認識を担っている。TCRα鎖はV及びDセグメントのみでコードされる可変領域を含む一方、β鎖はさらにJセグメントを含む。TCRの多様なレパートリーにおけるこれらのセグメントの再整列は、異なるMHC分子とのかかわりあいで提示される、非常に多くの異なる抗原の認識を可能にする。
特有の抗原を認識する特別なTCRが報告されている。たとえば、係属中の米国特許出願U.S.S.N.08/813781号及びU.S.S.N.09/422375号は参照としてここに挿入され、国際公開PCT/US98/04274号及びPCT/US99/24645号とそこに記載される参考文献は、特異的なTCRの製造及び使用方法を開示している。さらに、特有の特別なTCRは、組換え技術を用いて可溶性一本鎖TCR(sc−TCR)として製造される。sc−TCRの製造及び使用方法は、ここに参考文献として挿入される係属中の特許出願08/943086号及び国際公開PCT/US98/20263号に開示されている。
本発明の好適なTCRヘテロダイマーは、少なくとも一つのジスルフィド結合で共有結合されたα鎖及びβ鎖を含む。たとえば水素結合等、鎖間の非共有結合が報告されている。個々の鎖は約150−350アミノ酸長、好ましくは約200−300アミノ酸長、より好ましくは約250−290アミノ酸長であり、約280アミノ酸長がほとんどの発明の適用において有用である。本発明のヘテロダイマー分子は、グリコシル化されていてもよい。
「HLA−A2.1 MHC分子」という用語は、霊長類クラスIMHC分子、好ましくはヒト由来の分子であり、産生(generate)でき、またはA2.1制限性の、ヒトp53蛋白質から得られる配列を有するペプチドに特異的なTCRを有する腫瘍反応性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)により認識されることが出来ることを意味する。好ましいアミノ酸配列は、通常ヒトp53配列の約250−290アミノ酸、好ましくは約264−272であり、ほとんどの適用においてはp53の264から272位のアミノ酸配列が好まれる。
本発明のより好ましいHLA−A2.1MHC分子は、三つの細胞外ドメイン(すなわちα1、α2及びα3)、膜貫通ドメイン、及び、細胞質ドメインを有するグリコプロテイン重鎖をしばしば含む、完全な膜蛋白質である。重鎖は典型的には、可溶性β2ミクログロブリンサブユニットと非共有結合で結合する。重鎖のα1及びα2ドメインは、特別なp53配列へのペプチド結合の溝を形成するように、一緒に折りたたまれる。重鎖とβ2ミクログロブリン間のかかわりは、ペプチド結合の溝を安定化することを助けるだろう。MHC分子は、天然に生じるあるいは組換えクラスI重鎖(あるいはその断片)及び天然に生じるあるいは組換えのβ2ミクログロブリン分子(あるいはその生物学的に活性な断片)のほとんどいかなる組み合わせからもなることができる。
ヒトp53アミノ酸及び核酸配列に関する情報は、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)−国立医学図書館、38A, 8N05, Rockville Pike, Bethesda, MD 20894の遺伝配列データバンク(Genbank)から入手可能である。Genbankはまたインターネットhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov.からも入手可能である。Genbankの定義に関してはBenson, D. A.ら、(1997) Nucl. Acids. Res. 25: 1を参照のこと。またTheobald, Mら、(1995)、上述の文献(本出願で採用されているp53のアミノ酸の番号付けを開示している)を参照のこと。
腫瘍抑制蛋白質p53の発現は、悪性腫瘍細胞において活性化(アップレギュレート)されていることが報告されている。全腫瘍の50%が表面に増加したレベルのp53を発現することが示されている(Holliston, M.D.ら、Science (1991), 253: 49)。
特にp53を発現する腫瘍細胞とのかかわりあいにおける、ヒトHLA−A2.1MHC分子の製造及び使用に関する情報が、Theobald, Mら、(1995)、上述文献とそこに開示される参考文献により報告されている。また、PCT/US97/03611及び、1996年3月5日付けのUSSN60/012845に利益を主張する出願である、1997年3月5日付けのUSSN08/812393参照のこと。PCT/US97/03611、USSN08/812393、及び、USSN60/012845出願の開示は、参考としてここに挿入される。
HLA−A2.1MHC分子と、p53蛋白質から得られるアミノ酸配列の間に生じる結合を検出する方法が、たとえばTheobald, Mら、(1995)、上述の文献に報告されている。一般に当該方法は、p53ペプチドのHLA−A2.1分子への結合を評価するための認知された競合アッセイの使用を含む。PCT/US97/03611、USSN08/812393、及び、USSN60/012845出願も参照のこと。
本発明のより特有なTCRヘテロダイマーTCR分子は、少なくとも約90%、好ましくは約95%から約100%の間で同一であり、図4A−Cに示されるVa3鎖と同一のVα鎖を含む。本発明のさらなるヘテロダイマーは、図4A−C(配列番号2)に示されるVb3鎖に少なくとも90%、好ましくは約95−約100%同一のVβ鎖を含む。
好ましくは二つのアミノ酸配列の同一性パーセンテージを決定するために、それらの配列は最適な比較を目的として整列される。(たとえば、最適なアラインメントのために第一及び第二アミノ酸の一つもしくは両方にギャップが導入され、非相同な配列は比較目的のために無視される。)「比較表示(comparison window)」とは、二つの配列が最適に整列されたあとに、同数の連続的な位置の参照配列とその配列が比較されるであろう、25から600、通常約50から200、さらに普通約100から約150からなる集団から選択された連続的な位置のいかなるセグメントをも意図する。ここで開示されるように、適切な同一性パーセンテージで配列を同定するために、比較表示(comparison window)は上述したセグメントの範囲のいずれを含んでいてもよいだろう。
二つの配列間の同一性パーセンテージは、ギャップの数及び二つの配列の最適な整列のために導入されることが必要な個々のギャップの長さを考慮して、配列によって共有される同一な位置の数の関係で決まる。対応するアミノ酸の位置のアミノ酸残基がそれから比較される。最初の配列における位置が、二番目の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基で占められているときには、これらの分子はその位置で同一である。(ここで使用されるアミノ酸「同一性」とは、アミノ酸「相同性」と等価である。)
二つの配列間の同一性パーセンテージは、当該分野で知られるように数学的アルゴリズムを使用して決定されることができる(たとえばComputational Molecular Biology, Lesk, A. M.編、Oxford University Press, New York, 1988、Biocomputing: Informatics and Genome Project, Smith, D. W.編、Academic Press, New York, 1993、Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A. M.及びGriffin, H. G.編、Humana Press, New Jersey, 1994、Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje G., Academic Press, 1987、Sequence Analysis Primer, Gribskov, M.及びDavereux, J.編、M Stockton Press, New York, 1991)。たとえば二つのアミノ酸配列間の同一性パーセンテージは、(http://www.gcg.comで入手可能な)GCGソフトウエアパッケージのギャップ(GAP)プログラムの部分であるNeedleman and Wunschアルゴリズム(J. Mol. Biol. (48): 444-453, 1970)、Smith & Watermanのローカルホモロジーアルゴリズム(Adv. Appl. Math. 2: 482, 1981)、Pearson & Lipman(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444, 1988)及びAltschulら(Nucleic Acids Res. 25(17): 3389-3402, 1997)の類似性検索方法、これらのアルゴリズム(Genetic Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis.から入手できるウィスコンシンジェネティクスソフトウエアパッケージのGAP、BESTFIT、FASTA及びBLAST)のコンピュータによる実行、あるいは手動による整列及び視覚的な
調査(たとえばAusubelら、上述文献参照)により決定できる。
利用者の要望にあわせてギャップ(GAP)パラメータは修飾されることができる。たとえばGCGソフトウエアパッケージを使用するときには、NWSgapdna.CMPマトリックスと、40,50,60,70あるいは80のギャップウエイトと、1,2,3,4,5または6の長さウエイトが使用できる。Blossom 62マトリックスあるいはPAM250マトリックスを使用する際の典型的なギャップウエイトは、16,14,12,10,8,6あるいは4であり、一方典型的な長さウエイトは1,2,3,4,5または6である。二つのアミノ酸間の同一性パーセンテージはまた、PAM120ウエイト残基表、ギャップ長ペナルティー12、及びギャップペナルティー4を使用して、ALIGNプログラム(version 2.0)へ挿入されるE.Myers and W.Millerのアルゴリズム(CABIOS 4: 11-17, 1989)を使用して決定されることができるだろう。
このように、「100%同一」という用語は、対象となるV鎖のアミノ酸が対応する天然に存在するTCRVβまたはVα鎖、または同じ結合特性(たとえば結合特異性及び親和性において著しい違いがない)を有するアレル変異体と100%相同であることを意味する。すなわち、対象となるV鎖は、対応する天然に存在する鎖あるいは同じ結合特性を有するアレル変異体と同じ長さで同じアミノ酸配列を有している。
本発明のさらに好ましいヘテロダイマー分子は、図5(配列番号3)及び図4A−C(配列番号2)各々に示されるCα及びCβ鎖と少なくとも約90%同一なCα及びCβ配列を含む。好ましくはCα及びCβ配列は、図5及び図4A−Cに示されるCα及びCβ鎖と約95から約100%同一である。
sc−TCR分子の一般的な構造とその製造及び使用方法は、係属中のUSSN08/813781及びPCT/US98/04274に開示されている。このUSSN08/813781及びPCT/US98/04274の開示は引用することによりここに取り込まれる。
また、sc−TCR分子の製造及び使用に関するさらなる開示として、係属中のUSSN08/943086及びPCT/US98/20263を参照されたい。このUSSN08/943086及びPCT/US98/20263の開示は引用することによりここに取り込まれる。
上述したように、本発明は一般的に約1から約5のVα鎖が、約1から5のVβ鎖に、約1から5のペプチドリンカー配列により共有結合された、非常に有用な一本鎖T細胞受容体(sc−TCR)蛋白質を特徴とする。好ましいsc−TCRは、ここで提供されるように約一つのペプチドリンカー配列により結合された、約一つのVα鎖と約一つのVβ鎖を含む。
さらに加えて好ましいsc−TCRは、典型的にはHLA−A2.1MHC分子とのかかわりあいで、ヒトp53蛋白質から得られた配列を有するペプチドに結合することができる。好ましいアミノ酸配列は通常ヒトp53配列の約250乃至約290、好ましくは約264から約272であり、ほとんどの適用において好まれるのはp53蛋白質の264位から272位にわたるアミノ酸配列である。良好な結合は好ましくは以下に記載される標準的なT細胞受容体(TCR)ELISAアッセイにより決定される。
本発明のより特別なsc−TCR分子は、以下の図4A−C(配列番号2)に示されるVa3鎖と少なくとも約90%、好ましくは約95%から約100%同一のVα鎖を含む。さらに加えて好ましいsc−TCR分子は、図4A−C(配列番号2)に示されるVb3鎖と少なくとも約90%、好ましくは約95から約100%同一のVβ鎖を含む。
本発明のさらに加えて好ましいsc−TCR分子は、図4A−Cに示されるCβ鎖配列と少なくとも約90%同一なCβ配列を含む。好ましくはCβ配列は図4A−Cに示されるCβ鎖と約95から約100%同一である。
標準的なT細胞受容体(TCR)ELISAアッセイで、Cα鎖は常に良好なsc−TCR結合を示すために必要なわけではないことが見出された。これらの態様において、sc−TCR分子の部分としてCα鎖を含むことは必要ではない。たとえば以下の図4A−5C(特に好ましい264sc−TCR配列を開示している)参照のこと。しかしながら、sc−TCR分子は少なくとも一つのCα鎖(たとえば図5に示されるような)あるいはその機能的断片、好ましくは約1から5の鎖、好適には約一つのCα鎖を含んでもよい。
特有のsc−TCRがCα鎖またはその機能的な断片を含む発明の態様では、その鎖は好ましくは図5(配列番号3)に示されるCα鎖配列に少なくとも約90%同一であるだろう。好ましくはその配列は、図5(配列番号3)に示されるCα鎖配列と約95から約100%同一である。
本発明においてより特有のsc−TCR分子は、1)図4A−C(配列番号2)に示されるVα3鎖、2)ペプチドリンカー、3)図4A−C(配列番号2)に示されるVβ3鎖を順に共有結合により含んでいる。一つの態様では、sc−TCRはさらに図4A−C(配列番号2)に提供されるようにCβ鎖を含み、好ましくは該鎖はVβ鎖のC末端に結合されている。
前述の特異的なsc−TCR分子の一つの態様では、sc−TCRはさらに図5(配列番号3)に提供されるようなCα鎖を含み、該鎖は好ましくはVα鎖のC末とペプチドリンカーのN末の間に共有結合されている。
ここに開示されるヘテロダイマー及び一本鎖TCR分子の典型的なVα及びVβ鎖は、一般に約200から400長のアミノ酸、好ましくは約300から350長のアミノ酸である。アミノ酸長の決定方法は、当該分野で知られているものであり、ポリアクリルアミドゲル電気泳動が含まれる。
議論したように、本発明の好ましいsc−TCR分子は、好ましくはVαとVβ鎖の間に位置した一つもしくはそれ以上のペプチドリンカー配列を含む。好ましくはリンカー配列は、約7から20アミノ酸、より好ましくは約8から16アミノ酸を含む。リンカー配列は好ましくは可とう性であり、単一の所望される構造でヒトp53蛋白質由来の(HLA−A2.1分子とのかかわりあいで提示される)配列を保持するものではない。特にペプチドリンカー配列は、典型的にはこれらの鎖の結合柔軟性を増強させるためにTCR可変鎖間に配置されることができる。リンカーは主に、グリシン、アラニン、あるいはセリン残基のような小さい側鎖を有するアミノ酸を含み、可とう性を提供する。好ましくは約80あるいは90%もしくはそれ以上のリンカー配列が、グリシン、アラニン、あるいはセリン残基、特にグリシン及びセリン残基を含む。ヘテロダイマーTCRでは、リンカー配列はまたTCR分子のα鎖へ結合させられることができるだろうが、TCR分子のβ鎖に適切に結合される。もしくは、リンカー配列は、TCR分子のα、β両鎖に結合されるだろう。
sc−TCR分子の製造及び使用に関する補足的な開示として以下の参考文献を参照されたい。Novotony, J.ら、PNAS(USA) 88: 8646 (1991)、Soo Hoo, W.F.ら、PNAS(USA) 89: 4759 (1992)、Wulfing, C.及びPluckthun, A., J. Mol. Biol. 242: 655 (1994)、Kurucz, I. ら、PNAS(USA) 90: 3830 (1993)、PCT WO96/13593、Ward E.S.ら、J. Mol. Biol. 224: 885, (1992)、Schlueter, C. J.ら、J. Mol. Biol. 256: 859 (1996)、Mariuzza, R. A.及びWinter, G., (1989) 264: 7310、Gascoigne, N. R. J.ら、PNAS(USA) (1987), 84: 2936。
特有の本発明の態様では、適したリンカー配列はASGGGGSGGG(すなわちAla Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly)(配列番号4)が4回もしくはそれ以上繰り返された配列であり、好ましくはTCRβドメインの最初のアミノ酸配列に結合されている。抗体の可変領域を首尾よく結合させるようにデザインされた多くの可とう性リンカーを含む、異なるリンカー配列が使用されることができるだろう。Whitlow, M.ら、(1991) Methods: A companion to Methods in Enzymology 2: 97-105参照のこと。適したリンカー配列は、実験に基づいて容易に同定されることができる。加えて、リンカー配列の適した大きさと配列もまた、TCR分子の予測された大きさと形に基づく慣用的なコンピュータモデル技術で決定されることができる。
したがって、そして一つの態様において、本発明は、その少なくとも一つのペプチド配列、好ましくはその一つが以下の配列Gly Gly Gly Gly Serを4回もしくはそれ以上繰り返す(配列番号5)ものである、特有のsc−TCR分子を特徴とする。
特有の264TCR関連分子に関する追加情報については、T細胞受容体融合体、結合体、及びそれらの使用方法という題の、2001年6月5日出願の同時係属出願(発明者がJon A. Weidanz, Kimberlyn F. Card及びHing C. Wongである、USSN09/874907)を参照のこと。その内容は引用することによりここに取り込まれる。
ある場面では、たとえばsc−TCRの価数を増やすこと等、本発明のsc−TCR分子を多価にすることが有用であろう。端的に述べると、多価TCR蛋白質は、たとえば標準的なビオチン−ストレプトアビジン標識技術、またはラテックスビーズのような適した固体支持体に結合させることで、(同じもしくは異なる)2及び4蛋白質間を共有結合することにより製造される。(たとえばデシドリマーにクロスリンクされた)化学的にクロスリンクされた蛋白質もまた、多価種に適している。たとえば蛋白質は、CysやHisのような化学的に反応性の側鎖を有するアミノ酸残基をコードする配列を導入することで、修飾されることができる。化学的に反応性の側鎖を有するそのようなアミノ酸は、結合される蛋白質の様々な位置に、好ましくはTCRの抗原結合領域末端に配置されるだろう。たとえば可溶性蛋白質のCβ鎖断片のC末端は、蛋白質精製タグまたはそのような反応性アミノ酸を含む他の蛋白質に共有結合させることができる。適した側鎖は、適したデンドリマー粒子に二つもしくはそれ以上の蛋白質を化学的に結合させマルチバレント分子を与えることを、含まれることができる。デンドリマーはその表面に多くの異なる機能性グループのいずれか一つを有することができる合成された化学ポリマーである(D. Tomalia, Aldrichimica Acta, 26: 91-101 (1993))。本発明において使用するための模範的なデンドリマーは、たとえばE9スターバーストポリアミンデンドリマー及びE9コンバストポリアミンデンドリマーという、システイン残基に結合できるデンドリマーを含むものである。
ここに提供されるヒトp53配列の本発明のTCR分子への提示の成功は、以下に記載されるT細胞結合アッセイやTCR ELISAを含む様々な特有のアッセイにより決定されることができる。もしくは、提示の成功は、もし望まれればT細胞増殖の誘導もしくは阻害、あるいは特定の部位または標的への免疫応答の誘導もしくは阻害を追跡することによりT細胞活性をモニターすることで、検出及び定量することができるだろう。そのような適したアッセイには、T細胞を増殖させるためにT細胞を培養し、T細胞をMHCペプチド抗原複合体と接触させて、細胞による生物学的応答を評価する一連のステップを含むインビトロアッセイが含まれるが、これらに限定されるものではない。そのようなアッセイのより特定の例として、USSN08/813781及びPCT/US98/04274出願を参照のこと。
ある態様では、TCR分子の機能は、適切なMHC分子(たとえばHLA−2A)とのかかわりあいで、適切なp53ペプチドを認識するTCRの能力を、たとえばTCRのMHC:p53ペプチド複合体への結合をモニターすることにより決定される。そのような複合体は、細胞上に提示されることができ、その場合にはTCR機能は、p53提示細胞と標識されたTCRを接触させて、当該細胞への結合を非p53提示細胞への結合と比較して測ることによって測定される。標識された細胞は、顕微鏡でもしくは当該分野で慣用のフローサイトメトリー分析を用いて検出されることができる。
他の態様では、TCR酵素免疫測定法(ELISA)のような非細胞に基づくアッセイが使用される。たとえばTCRは直接支持体に結合させられ、そのMHC:p53ペプチド複合体への結合能が測定されることができ、あるいはMHC:p53複合体が支持体に結合され、その複合体のTCRへの結合能が測定されることもできる。適した支持体には、マイクロタイタープレートウエル、細胞培養プレート、膜、ガラスあるいはポリマー基質等が含まれるが、これらに限定されるものではない。TCRの支持体への直接的な結合の代わりに、TCRを認識することでTCRを捕獲して非直接的に支持体へTCRを結合させることができる抗体で、支持体を被覆することもできる。そのようなアッセイにおける適した対照は、当該分野の当業者に自明であり、それらには、無関係な抗原へのMHC分子の結合、非p53認識TCR、緩衝液等が含まれるが、これらに限定されるものではない。TCR ELISAでは、TCR分子、MHC分子、あるいはペプチドのいずれかが標識される。好ましくは支持体に結合する分子は標識されない。ここで使用される「標識された」とは、直接及び間接的な標識を意図する。すなわち「標識されたTCR分子」は、TCRに直接結合したラベル、あるいは抗体のようなTCRあるいはTCRに結合した抗体を認識する、標識された結合パートナーに、直接的あるいは間接的に結合されたTCRを含んでいてよい。ここで使用される「結合した」とは、共有結合あるいは非共有結合であり得る、二つの分子間の安定したつながりを意図する。
TCR機能をモニターするアッセイには、TCR介在性シグナル伝達の測定もまた含まれるだろう。一つの態様では、TCRヘテロダイマーをコードする核酸構築物は、TCRを発現しない、あるいは少なくとも同じ特異性を有するTCRを発現しない細胞へ導入される。TCR発現細胞のp53:MHC複合体への結合による適切なシグナル伝達能力は、それからモニターされることができる。たとえばTCR発現細胞のIL−2産生能が測定されるだろう。sc−TCRもまた細胞にトランスフェクトされるだろう。そのようなアッセイにおいて、sc−TCRは好ましくは膜貫通ドメインポリペプチド(たとえばイムノグロブリン分子由来の)と融合して、より好ましくはまた適切な細胞質シグナルドメインとの融合として発現される。一つの態様では、細胞質シグナルドメインはCD3ゼータ分子である。MHC:p53複合体は、天然もしくは調製された抗原提示細胞により提示されるか、複合体として単離されるだろう。
TCRの細胞溶解応答仲介能もまた決定されることができる。そのようなアッセイのために、TCR分子をコードする核酸構築物が、好ましくは適切な共刺激分子を発現できる細胞へと導入される。
上述のアッセイの全てにおいて、「機能的」TCRはMHC:p53複合体に結合しない対照TCRに比べて増加した機能(たとえば増強した結合、IL−2産生のような増加したシグナル伝達、増加した細胞殺傷等)を示すものである。「機能的TCR」であることを実証するために必要な機能の増強量は、必然的に使用されるアッセイのタイプに依存するだろう。たとえば一つの態様では、機能的なTCRであることを実証するアッセイ値は、対照TCRから得られる値よりも約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、あるいは約100%大きい。他のアッセイでは、機能的なTCRであることを示すアッセイ値は、対照TCRから得られる値よりも約2倍、約4倍、約8倍、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、あるいは約100倍大きい。他のアッセイでは、機能的なTCRであることを示すアッセイ値は、対照アッセイから得られる値からp≦0.05という統計的に著しく異なるものである。当業者は使用される特有のアッセイにおける著しさ(significance)の測定を慣用的に評価できる。
一般に本発明のTCRの調製は、ここに開示される手順と、たとえばポリメラーゼ鎖増幅反応(PCR)、プラスミドDNAの調製、制限酵素によるDNAの切断、オリゴヌクレオチドの調製、DNAの結合、mRNAの単離、DNAの適切な細胞への導入、宿主の形質転換及びトランスフェクト、宿主の培養を含む、認知された組換えDNA技術により達成されることができる。加えてTCR分子は、カオトロピック試薬を用いて、公知の電気泳動、遠心、クロマトグラフィー手法により単離及び精製される。一般的にはこれらの方法に関する開示として、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd ed. (1989)、及び、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York (1989)を参照のこと。
ここに開示される分子に製造及び使用に関する、より特別な背景情報として、USSN08/813781、PCT/US98/04274、及び、T細胞受容体融合体、結合体、及びそれらの使用方法という題の、2001年6月5日出願の同時係属出願(発明者がJon A. Weidanz, Kimberlyn F. Card及びHing C. Wongである、USSN09/874907)を参照のこと。
議論したように、本発明の好ましい分子は、ここで標準的なT細胞結合アッセイまたはTCR ELISAとして言及されるアッセイにおいて、良好な結合を示す。「標準的なT細胞結合アッセイ」という用語は、適切なT細胞と、抗原との複合体であるMHC間の結合を検出そして好ましくは定量する結合試験を意味する。端的にいうと、好ましい試験は、検出可能な標識されたMHC分子を提供し、標識されたMHC分子(抗原との複合体)を、MHC−抗原・T細胞の複合体の形成を誘導する条件下で接触させ、標準的な検出手法により複合体の形成をモニターするものである。所望により、複合体の形成は定量されることができる。上述したほかのTCR機能アッセイもまた、使用されるだろう。
ここで提供されるヘテロダイマーと一本鎖分子を含む好ましいTCR分子は、一般にTCRをMHC分子へ特異的に結合をさせるのに十分な大きさである。MHCが抗原と複合体を形成し、ペプチド−MHC分子としても言及される態様において、TCR分子は少なくとも一つのMHC−ペプチド結合ポケットを形成するCDR結合ループを含む。MHC−ペプチド結合ポケットを含む有用なα/βTCR分子は、好ましくは少なくともα鎖可変ドメイン(α鎖のCDR長に依存して約1から約110、約130アミノ酸)と、β鎖可変ドメイン(β鎖のCDR長に依存して約1から約110、約130アミノ酸))からなる。
本発明での使用においてより好ましいTCR分子は、標準的T細胞結合試験としてここで言及される方法で、顕著な結合活性を示すものである。好ましくは、TCR分子は、無関係の(対照)TCRへの結合とは顕著に異なる(ここで「顕著」とは、たとえばp≦0.05等、当該分野で知られた慣用の統計手法を用いて決定される)レベルで、その同起源のMHC抗原分子複合体へ特異的に結合する。好ましくは、結合は対照値よりも少なくとも約2倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、あるいは少なくとも約100倍高い。適した対照分子の例には、ここで引用される他の参考文献と同様に、たとえばUSSN08/813781、U.S.S.N.09/422375、PCT/US98/04274、PCT/US99/24645に開示される149TCR分子が含まれる。
非常に有用な、インビトロ及びインビボT細胞結合アッセイが、係属中のUS特許出願番号08/382454、08/596387及び08/943086と同様に、公開されたPCT出願であるPCT/US95/09816、PCT/US96/04314、PCT/US97/01617に開示されている。本発明のTCR分子と、適切なMHC分子とのかかわりあいで提示される開示されたp53アミノ酸間の良好な結合を同定することが必要であれば、それらの開示されたT細胞結合アッセイは使用あるいは容易に適用されることができる。上述の公開されたPCT出願であるPCT/US95/09816、PCT/US96/04314、PCT/US97/01617、係属中のUS特許出願番号08/382454、08/596387の開示は、それぞれ引用することによりここに取り込まれる。
標準的なT細胞結合試験の好ましい例は、T細胞受容体相互作用の調節というタイトルの2001年5月16日出願の同時係属出願(Peter Rhode, Vaughan Wittman, Jon A. Weidanz, Martin Burkhardt, Kimberlyn F. Card, Rony Tal, Jorge Acevedo, Hing C. Wongが発明者であるUSSN09/859012)に開示され、その出願の開示は引用することによりここに取り込まれる。(以後、「2001年5月16日出願の同時係属出願」という。)前述の2001年5月16日出願の同時係属出願は、USSN60/206920の一部継続出願である。USSN60/206920出願の開示は、引用することによりここに取り込まれる。
特に2001年5月16日出願の同時係属出願の実施例15は、標準的なT細胞結合試験の説明を開示している。典型的には、試験はたとえば本発明のヘテロダイマーのような当該対象となるTCRを発現するT細胞の産生、及び、適切なクラスIMHC分子、特にHLA−A2.1分子で、これらの細胞を染色することを含む。慣用的なビオチン/ストレプトアビジン技術を含むT細胞染色法は、2001年5月16日出願の同時係属出願に開示されている。そこで開示されるように、他の検出形式が、ある適用においてはより好ましいかも知れないが、好ましい検出方法はフローサイトメトリーである。
「標準的T細胞受容体(TCR)ELISA」という用語は、たとえば前述の2001年5月16日出願の同時係属出願において開示される、適したアッセイのいずれか一つを含むことを意図するが、それに限定されるものではない。好ましいアッセイはたとえばプレートに基づくELISAなどの、一本鎖またはヘテロダイマーTCR構築物を操作することを含む。端的に述べると、アッセイは検出可能に一本鎖あるいはヘテロダイマーTCRを標識して、標識されたTCR分子を適切なペプチドが取り付けられたMHC分子、好ましくはここに開示されるHLA−A2.1分子と接触させ、その接触はTCR:MHC−ペプチド複合体を形成するのに十分な条件で行うことを含む。好ましい標識方法は2001年5月16日出願の同時係属出願全体にわたって開示され、それは標準的なビオチン/ストレプトアビジン標識技術を含んでいる。たとえば2001年5月16日出願の同時係属出願の実施例15を参照のこと。
議論したように、本発明の好ましいTCR分子は、典型的にはHLA−A2.1MHC分子とのかかわりあいで、ヒトp53蛋白質の約264から約272アミノ酸の間、好ましくはp53蛋白質の264から272位、つまり次の「標的」アミノ酸配列Leu Leu Gly Arg Asn Ser Phe Glu Val(配列番号1)に結合する。加えて、標的アミノ酸の誘導体、つまり、そこで少なくとも一つの保存的置換を有するアミノ酸配列が考えられる。標的配列残基のいずれかに二つもしくはそれ以上の保存的アミノ酸置換がなされる態様では、必要に応じてこれらの置換が近接もしくは非近接している。
好ましくは、保存的置換は表現型がサイレント、つまり標準的アッセイにおいて置換がTCRの結合に著しい影響を与えないものである。保存的なアミノ酸の置換例は、好ましい標的配列の7位(ヒトp53蛋白質に関しては270位のアミノ酸)のフェニルアラニンをチロシンで置換することである。対照的に、標的配列のロイシン残基をアルギニンで置換することは、非保存的アミノ酸置換の例となるだろう。保存的アミノ酸置換の好ましい例は、米国特許第6127524号(図15A−B)に記載されており、その開示は参考としてここに挿入される。
本発明はさらに核酸配列(DNAまたはRNA)及び好ましいヘテロダイマーと一本鎖構築物を含む本TCR分子をコードする特有のDNA配列を提供する。そのようなDNA配列は、好ましくはファージ、ウイルス、プラスミド、ファージミド、コスミド、YACまたはエピソームのような、染色体外複製に適したベクターで運ばれる。いくつかの態様では、DNAベクターはその唯一の機能がここに記載される調製方法を容易にして蛋白質の顕著な量を得るための他の補助的な蛋白質をコードできる。DNA配列は適切な発現ベクター、つまり挿入された蛋白質コード配列の転写及び翻訳に必要な要素を含むベクターに挿入されることができる。様々な宿主−ベクターシステムが蛋白質をコードする配列の発現に使用されることができるだろう。それらには、ウイルス(たとえば、ワクチニアウイルス、アデノウイルス等)で感染された、あるいは発現ベクターでトランスフェクトされた哺乳細胞システム、ウイルス(たとえば、バキュロウイルス)で感染された昆虫細胞システム、酵母ベクターを含む酵母のような微生物、バクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNAで形質転換されたバクテリアが含まれる。使用される宿主−ベクターシステムに依存して、適した多くの転写及び翻訳要素が使用されるだろう。 一般的にはSambrookらによる上述文献、及び、Ausubelらによる上述文献を参照のこと。
一般に本発明の好ましいDNAベクターは、5‘→3’の方向に、エフェクター分子をコードする配列に操作可能に結合されたTCR鎖をコードする最初の核酸配列を導入するための最初のクローニング部位を含む、つまり融合蛋白質または結合体のホスホジエステル結合で結合された核酸配列を含んでいる。
ここで使用されるように、「エフェクター分子」とは、蛋白質、ポリペプチドあるいはペプチドのようなアミノ酸配列、糖質または多糖、脂質または糖脂質、糖蛋白質、リポプロテイン、あるいはここで議論されたような、所望の効果を発揮できる化学試薬を意図する。このように適した分子は、DNA、RNA、オリゴヌクレオチドと同様に、制御因子、酵素、抗体、あるいは薬剤を含む。生物学的に活性なエフェクター分子は、天然のものであっても、たとえば組換えあるいは化学合成等の公知の構成要素から合成できるものであってもよく、異種の構成要素を含んでいてもよい。生物学的に活性なまたはエフェクター分子は一般に約0.1から100kDの間、あるいは約1000kDまでであり、好ましくは遠心やSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動のような、標準的な分子サイジング技術により決定される値として、約0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、20、30、50KDの間である。本発明の好ましい効果には、たとえば細胞増殖あるいは細胞死の誘導、免疫応答の誘導、あるいは細胞を培養して増殖させ、該細胞と本発明のTCR融合複合体と接触させ、TCR融合複合体が細胞のさらなる発達を阻害するか否かを評価するという一連のステップを含むアッセイを包含する下記のアッセイにより決定されるような、診断目的のための検出分子として機能することが含まれる。
ほとんどの例では、DNAベクターでコードされる融合蛋白質の個々の構成要素は、「カセット」形態で提供されることが好ましいだろう。「カセット」という用語は標準的な組換え技術で個々の構成要素と他の構成要素で容易に置換できることを意味する。ここで提供されるTCR分子をコードするベクターを製造するために、TCR分子をコードする配列は適したリガーゼを用いてベクター配列に結合される。
所望により、他のヌクレオチド配列が遺伝子構築物に含まれることができる。たとえばTCR分子をコードする配列の発現を制御するプロモータ配列、あるいはTCR融合複合体を細胞表面あるいは培養培地へ向けるリーダー配列が、構築物の中に含まれることができ、あるいは、構築物が挿入された発現ベクター上に存在することができる。イムノグロブリンまたはCMVプロモータは、哺乳動物細胞における発現に特に好ましい。
本発明のTCR分子の構成要素は、可変鎖、膜貫通ドメイン、定常鎖等を含むが、これらに限定されることはなく、個々が目的とする機能を発揮できるほとんどいかなる順序でも編成されることが強調される。
ここで提供されるTCR分子を発現するために、多くの手法を採用することができる。たとえばHLA分子とのかかわりあいで、配列番号1の標的アミノ酸配列と結合するsc−TCR分子は、構築物を挿入するためのベクターを切断するために制限酵素を使用してからライゲーションを行うというような公知の手法により、適したベクターへ挿入されることができる。組換え遺伝子構築物を含むベクターは、それからTCR融合ペプチドの発現に適した宿主へ導入される。一般に、Sambrookらによる上述文献を参照のこと。適したベクターの選択は、クローニングプロトコールと関連する因子に基づいて経験的に行われることができる。たとえばベクターは用いられる宿主と一致し、適切なレプリコンを有していなければならない。さらにベクターは、発現されるTCR分子をコードするDNA配列を収容できるものでなければならない。さらにベクターは発現されるTCR分子をコードするDNA配列を収容できるものでなければならない。適した宿主細胞には、真核及び原核細胞が包含され、好ましくは容易に形質転換されて、培養培地で迅速に成長できるものである。特に好ましい宿主細胞には、大腸菌、バチルスズブチリス等のような原核細胞と、動物細胞や、たとえばサッカロマイセスセレビシエ等の酵母のような真核細胞が含まれる。哺乳動物細胞、特にJ558、NSO、SP2−OあるいはCHOが一般的に好まれる。他の適した宿主には、たとえばSf9のような昆虫細胞が含まれる。慣用的な培養条件が採用される。Sambrookらによる上述文献を参照のこと。安定な形質転換もしくはトランスフェクトされたセルラインが次に選択される。TCR分子を発現する細胞は、公知の手法により決定されることができる。たとえばTCR分子、好ましくは、免疫グロブリンに結合したヘテロダイマーは、結合した免疫グロブリンに特異的なELISA及び/またはイムノブロッティングにより決定されることができる。
上記において一般的に述べたように、宿主細胞は所望の融合蛋白質をコードする核酸を増やすという準備目的のために使用されることができる。すなわち、宿主細胞には、融合蛋白質の産生が特に望まれる真核あるいは原核細胞が含まれる。このような宿主細胞には、特に融合蛋白質をコードする核酸を増やすことができるバクテリア、酵母、ハエ、昆虫、植物、カエル、哺乳動物細胞及び組織が含まれる。使用されることができる哺乳動物セルラインの非限定的な例には、CHO,dhfr欠損細胞(Urlaub及びChasm, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4216 (1980))、293細胞(Grahamら、J. Gen. Virol., 36: 59 (1977))、あるいはSP2やNSOのような(Galfre及びmilstein, Meth. Enzymol., 73(B): 3 (1981))ミエローマ細胞が含まれる。
所望のヘテロダイマーや一本鎖TCRをコードする核酸を増幅できる宿主細胞には、昆虫(たとえば、Sp. Frugiperda)、酵母(たとえば、一般的にFleer, R., Current Opiniopn in Biotechnology, 3(5): 486-496 (1992)において概説されるような、サッカロマイセスセレビシエ、サッカロマイセスポンベ、サッカロマイセスパストリス、K.lactis、H,polymorpha、)、真菌類及び植物細胞のような、非哺乳動物真核細胞が含まれる。また、大腸菌やバチルスのようなある種の原核細胞も考慮される。
所望の融合蛋白質をコードする核酸は、細胞をトランスフェクトする標準的な技術によって宿主細胞に導入されることができる。「トランスフェクティング」あるいは「トランスフェクション」という用語は、カルシウムリン酸共プレシピテーション、DEAE−デキストラン介在性トランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、ウイルス形質導入及び/またはインテグレーションを含む、核酸を宿主細胞へ導入する全ての慣用的な方法を含むことを意図する。宿主細胞をトランスフェクトするのに適した方法は、Sambrookら、上述、あるいは他の実験教科書に記載されているだろう。
本発明はさらに、ここに開示されるTCR分子のいずれか一つを単離するための製造方法を提供する。その工程において、制御配列に動作可能なように結合された当該蛋白質をコードする核酸が導入される宿主細胞(たとえば、酵母、かび、昆虫、バクテリア、あるいは動物細胞)は、当該融合蛋白質をコードするヌクレオチド配列の転写を刺激するために培養培地において生産規模で成長させられる。続いて、TCR分子は培養されて集められた宿主細胞、あるいは培養培地から単離される。標準的な蛋白質精製技術が、培地あるいは集められた細胞から当該蛋白質を単離するために使用されることができる。特に、精製技術は、ローラーボトル、スピナーフラスコ、組織培養皿、バイオリアクター、あるいは発酵槽を含む様々な実施により大規模に(すなわち、少なくともミリグラム量で)所望のTCR蛋白質を発現及び精製するために使用されることができる。
本発明の発現されたTCR分子は、公知の方法により単離精製されることができる。典型的には培養培地は遠心され、それから上清はたとえばプロテイン−A、プロテイン−G親和性クロマトグラフィー、あるいは、発現されたTCR分子に結合するモノクローナル抗体の使用を含む免疫親和性プロトコール等の、親和性あるいは免疫親和性クロマトグラフィーにより精製される。そのような分子は公知の方法の適切な組み合わせにより分離精製されることができる。これらの方法には、たとえば、塩沈降及び溶媒沈降のような溶解度を利用する方法や、透析、超ろ過、ゲルろ過、及びSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動のような分子量の違いを利用する方法や、イオン交換カラムクロマトグラフィーのような電荷の違いを利用する方法や、親和性クロマトグラフィーのような特異的な親和性を利用する方法や、逆相高パフォーマンス液体クロマトグラフィーのような疎水性の違いを利用する方法や、等電点収束電気泳動のような等電点の違いを利用する方法や、Ni−NTAのような金属親和性カラムが含まれる。一般的には、これらの方法に関する開示として、Sambrookら、及びAusubelらによる、上述文献を参照のこと。
特に本発明の一本鎖TCR分子は実質的に純粋であることが好ましい。すなわち、当該分子は自然に伴われる細胞置換基から単離され、融合蛋白質が、好ましくは少なくとも約80%、あるいは90%から95%の均一性(w/w)で存在する。少なくとも98乃至99%の均一性(w/w)を有するそのような蛋白質は、多くの薬学的、医学的及び研究に適用する際にもっとも好まれる。一度実質的に精製されたならば、蛋白質は治療に用いるために、実質的に汚染物を含んではならない。一度部分的にあるいは実質的に純粋なまでに精製された可溶性TCR分子、好ましくは一本鎖形態のものは、治療、あるいはここに開示されるインビトロまたはインビボアッセイに用いられることができる。実質的に純粋であることは、クロマトグラフィーやゲル電気泳動のような様々な標準的な技術により決定されることができる。
本発明の切断されたTCR分子は、本発明のTCR分子が発現後に培養培地へと分泌されることができるように十分に切断されたTCR分子を含むものである。したがって、切断されたTCR分子、sc−TCR、TCR融合あるいは複合体は、典型的には疎水性残基が豊富な領域、典型的にはTCR分子の膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインを含まないだろう。このように、たとえば本発明の好ましい切断されたTCR分子は、好ましくはTCR分子のβ鎖の約199から237アミノ酸残基と、α鎖の約193から230アミノ酸残基が切断されたTCR複合体に含まれないものである。
「可溶性」あるいは類似の用語によって、本発明のTCR分子は、普通一本鎖構築物に限らず、たとえば細胞培地などの水性緩衝液から(たとえば、標準的な遠心で一分間に約30000回転以下の)重力遠心で、容易に沈殿されるものではない。さらに、約5−37℃以上の温度、アニオンあるいは非イオン性界面活性剤の低濃度あるいは非存在下、中性あるいはその近辺のpHで、水溶液中に溶解しているならば、そのような分子は可溶性である。これらの条件下で、可溶性蛋白質はしばしば、たとえば約10−50スヴェードベリー単位の低い沈殿値を有するだろう。
ここで参照される水溶液は、典型的には約pH5−9の範囲に調製し、イオン強度を約2mMから500mMの範囲にするための緩衝物質を主として含んでいる。時々蛋白質阻害剤あるいはマイルドな非イオン性界面活性剤が添加される。加えて、所望により牛血清アルブミン(BSA)あるいはヒト血清アルブミン(HSA)のようなキャリアー蛋白質が数mg/ml添加されるだろう。模範的な水性緩衝液には、標準的なリン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、あるいは他のよく知られた緩衝液や細胞培地形成物が含まれる。
本TCR分子は、ガン、前ガン性、あるいは発ガン性等の様々な細胞へ、インビトロもしくはインビボにおいて使用するのに適している。好ましくは、そのような細胞は、ガン、前ガン性、あるいは発ガン性であることが知られていない正常(野生型)細胞と比較して、高レベルのp53蛋白質を発現するものである。
本発明の分子は、特に悪性腫瘍疾患、p53の異常な発現に伴う疾患あるいは状況(たとえば、少なくとも2倍その分子を過剰発現するなど)を有している、もしくは、有することが疑われるヒト患者にとって有用である。たとえば、本発明の分子あるいはその誘導体は、p53の異常発現と関連するヒト患者における腫瘍を標的化するのに特に有用である。本発明にしたがって治療されるであろう疾患の特別な例には、たとえば胸、前立腺等のガンを含め、ここに記載される他の特別な疾患や状況が含まれる。
本発明の分子の投与には、経口、局所(経皮、舌下錠あるいは舌下を含む)、経鼻及び腸管外(腹腔内、皮下、静脈、経皮、あるいは筋肉注入を含む)が含まれ、一般的には経口あるいは腸管外が好まれる。また投与の好ましい方法及び投与量は、たとえば患者の状況や年齢により異なるであろう。有効投与量は、腫瘍退化、ガン特異的マーカー(p53を含む)の発現の減少、細胞増殖の減少、改善されたもしくは正常な生体組織検査の結果等のような標準的な医学治療終点(endpoint)を決定することにより、モニターされるだろう。
本発明の分子は、単独で、もしくは、所望される兆候を処置するのに薬学的に活性であることが認識されているような他の薬物療法と共に、治療に使用されるだろう。模範的な薬物療法には、手術、放射線治療、化学療法、及び免疫学的治療の他の形態(たとえば、ワクチン、抗体に基づく治療)が含まれる。本発明の分子は、そのような治療が必要とされる前、間、もしくは後に投与されることができる。
本発明の一つもしくはそれ以上の分子が単独で投与されることができる一方で、それらの分子は慣用的な賦形剤、すなわち、薬学的に許容できる有機もしくは無機の腸管外、経口、あるいは他の好ましい投与方法に適した担体物質であって、有害に活性化合物と反応せずにその患者に対しても有害でないものと混合した薬学的組成物の一部としても存在するだろう。本発明の薬学的組成物は、一般に一つもしくはそれ以上の本発明のTCR分子、あるいは、そのようなTCR分子をコードするDNA構築物を、一つもしくはそれ以上の許容可能な担体とともに含むものである。担体は、他の処方含有物と適合して、その受容者に有害でないという意味において「許容可能」でなくてはならない。適した薬学的に許容可能な担体には、水、食塩水、アルコール、野菜の油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、マグネシウムステアリン酸、タルク、シアル酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリド及びジクリセリド、ペトロエーテル脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が含まれるが、これらに限定されるものではない。薬学的調製物は殺菌されることができ、所望によりたとえば潤滑油、保存剤、安定剤、界面活性剤(湿潤剤)、エマルジョン、浸透圧に影響を与える塩、緩衝剤、着色剤、香料、及び/または芳香性物質等の、本発明の活性な分子と有害に反応しない補助試薬と混合されることができるだろう。
腸管外適用のために、特に好ましいものは溶液であり、好ましくは、座薬を含む、懸濁液、エマルジョン、あるいは移植片と同様に、油性あるいは水性溶液である。アンプルは便利な単位用量である。
経腸適用のために、特に好ましいものは、タルク及び/または炭水化物担体結合剤等を有する錠剤、糖衣錠あるいはカプセルであり、担体は好ましくはラクトース及び/またはコーンスターチ、及び/またはポテトスターチである。シロップ、エリキシル剤等も甘い媒体が用いられる際に使用されることができるだろう。徐放性組成物は、活性成分が異なる程度のコーティング、たとえばマイクロエンキャプシレーション、マルチプルコーティング等で保護されている場合において、これらを含んで処方されることができる。
本発明の治療用化合物はまた、リポソームに取り込まれるだろう。取り込みは、公知のリポソーム調製手順、たとえばソニケーションやエクストルージョンなどにより行われることができる。リポソーム調製の適した慣用的な手法は、たとえばA. D. Banghamら、J. Mol. Biol., 23: 238-252 (1965)、F. Olsonら、Biochim.Biophys.Acta, 557: 9-23 (1979)、F.Szokaら、Proc. Natl. Acad. Sci., 75: 4194-4198 (1978)、S. Kimら、Biochim. Biophys. Acta, 728: 339-348 (1983)、Mayerら、Biochim. Biophys. Acta. 858: 161-168 (1986)に記載されている。
本発明はまた、ヒトのような哺乳動物における免疫応答を引き起こす方法を提供するものであり、その方法はヒトのような哺乳動物にガンのようなp53の過剰発現を伴う標的疾患に対するワクチンを投与することを含む、。
これらの手法には、哺乳動物に、本発明のTCR分子をコードするDNAベクターを含むDNA配列の有効量を投与することが含まれる。TCR分子の発現ベクター調製は上述され、また、以下につづく実施例に記載されている。プラスミドDNAの投与方法、投与された対象細胞によるDNAの取り込み、及び蛋白質の発現が報告されている。Ulmer, J. B.ら、Science (1993) 259: 1745-1749参照。
本発明のTCR分子をコードするDNAベクターは、ヒトを含む哺乳動物に、好ましくは筋肉注射により適切に投与される。哺乳動物の骨格筋へのcDNA投与はそれに続く筋肉細胞による投与された発現ベクターの取り込みとDNAによってコードされた蛋白質の発現を伴うものであり、Ulmerらにより開示されており、模範的なプロトコールを表している。(Ulmer, J. B.ら、Science 259: 1745-1749)所定の治療に最適な投与量は、慣用的な方法により決定されることができる。
ヒトの疾患の治療に加え、本発明のTCR分子とそのTCR分子をコードする本発明のDNA構築物は、獣医による適用における重要な用途を、たとえば牛、羊等の家畜、犬や猫のようなペットの疾患の、動物種に適切な同起源のp53抗原とMHC分子を使用する治療等の用途を有するだろう。
本発明のTCR分子あるいはそれをコードするDNA構築物の治療において使用される実際に好ましい量は、特定の活性化合物あるいは使用される化合物、特定の処方される組成、適用様式、投与される特定の部位、患者の体重、一般的な健康状態、性別等、処置される特定の兆候等、及び担当医者あるいは獣医を含む当業者によって認識されるほかの要因により、様々であろう。与えられたプロトコールにおける適した投与割合は、たとえば上述のガイドラインやここに開示されるアッセイ等の実施される慣用的な投与量決定試験を用いて当業者により容易に決定されることができる。
「ポリペプチド」の用語はその大きさにかかわらず好ましくは本質的に20天然アミノ酸のいずれかから成るあらゆるポリマーを意図している。「プロテイン」の用語は、比較的大きな蛋白質に関してよく使われ、「ペプチド」の用語は、小さなポリペプチドに関してよく使われるが、これらの用語はこの分野では重複して使用されることが多い。「ポリペプチド」の用語は、特に注記されていなければ一般にプロテイン、ポリペプチド及びペプチドを意図している。一般に本願で有用なペプチドは、約0.1から100kDの間、あるいは約1000kDまでであり、好ましくは遠心やSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動のような、標準的な分子サイジング技術により決定される値として、約0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、20、30、50KDの間である。
ここで使用されるように、「細胞」という用語は、いかなる初代細胞あるいは不死化されたセルライン、組織あるいは器官における細胞の集団を含むことを意図する。好ましくは細胞は哺乳動物特にヒト起源のものであり、一つもしくはそれ以上の病原体により感染されることができるものである。本発明の「宿主細胞」は、感染された細胞、あるいはここに開示される核酸を増殖させるのに使用されることができる大腸菌のような細胞であり得る。
ここに言及されるすべての文献は、引用することによりここに取り込まれる。以下の非制限的な実施例は、本発明の実例である。
実施例1
264一本鎖TCR(sc−TCR)の構築
T細胞クローン264は、HLA−A2.1制限性ヒト野生型腫瘍抑制蛋白質p53のペプチド断片(アミノ酸配列)264−272、すなわちLLGRNSFEV(配列番号1)を認識する。T細胞受容体遺伝子は、可溶性TCRと機能を有する受容体分子を産生することがすでに示されている3つのドメインからなる一本鎖構成へとクローニングされた。
端的にいうと、T細胞クローンからmRNAが単離され、マラソンcDNA増幅キット(Clonetech)を用いてcDNAが作られた。cDNAクローンの配列決定により、二つの異なるVα鎖(Vα3及びVα13)及び一つのVβ鎖(Vβ3)を同定した。cDNAは5‘SfiI−3’SpeIVα3あるいはVα13断片のそれぞれを産生するための、KC228とKC229、または、KC226とKC227プライマーでポリメラーゼ鎖反応(PCR)を行う際の鋳型として使用された。同じDNAはそれから5‘XhoI−3’XmaIVβCβ鎖断片を産生するために、PRIB4とKC176プライマーでPCRを行う鋳型として使用された。Cβ鎖は全長Cβ鎖のアミノ酸127位システイン残基の直前で切断された。
α及びβ鎖断片は、DNA配列決定のために、pGEM−T EASYベクターシステム(Promega)へクローニングされた。正しい断片が制限酵素で切断され、発現ベクターpKC60(係属中の米国特許出願第08/813781号にすでに記載されている)へクローニングされ、二つのVα―(GS) Vβ Cβ sc−TCR分子である、(Vα3を伴う)264−A、(Vα13を伴う)264−Bを産生した。
上述したDNA構築物(264−A及び264−B)は、プライマーET−TCRF1とKC170、またはET−TCRF2とKC170を用いてPCRで再増幅され、それぞれ5‘AgeI−3’Cla DNA断片を産生した。断片はDNA配列決定のためにpGEM−T EASYベクターシステムへクローニングされた。
5‘AgeI−3’ClaI断片はそれから、プライマーKC232とKC208、あるいはKC231とKC208を用いるPCRにおける鋳型DNAとして使用され、それぞれがCD3ゼータ融合分子またはそのような分子を含むベクター(以下に記載)、及び最終的には264IL−2融合分子またはそのような分子を含むベクター(以下に記載)を産生するためのクローニングするために5‘AgeI−3’HpaIDNA断片を産生した。
実施例2 CD3ゼータ融合シャトルベクター構築
二つのVα鎖のいずれが機能的かを決定するために、264−A及び264−B sc−TCRがCD3ゼータ融合分子として発現された。
「シャトルベクター」の構築については、係属中の米国出願番号09/422375にすでに記載されており、その内容は引用することによりここに取り込まれる。
端的には、α及びβ鎖TCR断片は、pKC60発現ベクターへクローニングされ、Vα―(GS) Vβ Cβsc−TCR分子を製造した。新しいベクターはpNAG2(図1)と名づけられた。pNAG2はそれからKC203とKC208プライマーを用いてPCRにより再増幅され、5‘AgeI−3’HpaI/BspEI/NruI/ClaI DNA断片を産生した。sc−TCR断片は、pGEM−T EASYベクターシステムへクローニングされ、この新しいpGEMに基づくベクターは、それから二重特異性あるいは融合sc分子を製造するために、他のDNA断片を導入するためのシャトルベクターとして使用された。
sc−FvDNAがそれから制限酵素で切断され、「シャトルベクター」のsc−TCR下流へクローニングされた。sc−TCRとsc−Fvを一緒に一本鎖融合蛋白質として結合させるために、「シャトルベクター」は既存のリンカーDNA断片を欠落させ、sc−TCRとsc−Fv間のリンカー配列を結合させる適切な制限酵素で消化された。
以上概説した「シャトルベクター」デザインにおいて、終止コドンとスプライシング部位は、KC208「バック」プライマーを用いたsc−TCRのPCR増幅の部分として、NruI及びClaI制限酵素部位の間に挿入された。二重特異性であるsc蛋白質の下流での精製を補助するために、アニールされたオリゴヌクレオチド(KC237とKC238)のセットが、終止コドンとスプライシング部位とともに3‘EEタグ(EEEEYMPME)(配列番号4)を導入するようにデザインされた。アニールされたオリゴヌクレオチドペアは、完全な二重特異性sc−TCR分子をすでにコードする「シャトルベクター」の5’NruI−3‘ClaI領域へクローニングされた。
二重特異性sc分子デザインを完成させるために、「シャトルベクター」にscTCR、sc−Fv、リンカー及びタグDNA断片をクローニングした後、DNAは制限酵素でAgeI−ClaI)で切断され、哺乳動物細胞発現ベクターpSUN27(図2)(係属中の米国特許出願番号08/943086号においてすでに記載されている)へ、pBISP/149とpBISP/D011.10(図3)を作り出すためにクローニングされた。pBISP/DO11.10は、pSUN28として寄託されているpBISP/149及び3つのDO11.10sc−TCRプラスミド(pSUN18−ATCC#97895、pSUN19−ATCC#97896またはpSUN27−ATCC#209276)のいずれかを用いて当業者によって作り出されることができる。USSN08/943086の開示は引用することによりここに取り込まれる。
CDゼータの融合ベクターの構築
端的にいうと、マウスcDNAがKC312及びKC304プライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)における鋳型として使用され、5‘HpaI−3’ClaIマウスCD3ゼータ断片を産生した。
マウスCD3ゼータ断片は、pGEM−T EASYベクターシステムにDNA配列決定のためにクローニングされた。正しい断片は制限酵素で分解され、既存のリンカーとsc−FVとEEタグを効果的に除去して「シャトルベクター」へクローニングされた。
「シャトルベクター」へCD3ゼータ遺伝子をクローニングした後、DNAは(上述した)264−A及び264−B sc−TCR断片と結合させられるようにAgeI−HpaIで消化され、二つの新しいsc−TCR/CD3ゼータ融合物を製造した。最後に、新しいDNA調製物は、制限酵素で切断され(AgeI−ClaI)、係属中の米国特許出願番号09/422375にすでに開示されている図3の、哺乳動物発現ベクターpSUN28(pBISP/DO11.10ベクター)へクローニングされた。
実施例3 264sc−TCR/CD3ゼータ融合分子の発現
ジャーカット細胞が、冷たいDPBSで洗浄してトランスフェクションのために調製された。細胞はDPBSに再懸濁され、PvuI20μgで切断された264−A/CD3ゼータまたは264−B/CD3ゼータ DNAと混合された。氷上で5分後、細胞は250ボルト、960μFd、1パルスを伝達するようにセットされたGene Pulser (BioRad)を用いてエレクトロポレーションされた。パルスされた細胞は5分間氷上に置かれた。細胞は10%IMDM培地(IMDM,10%FBS、2mMグルタミン)10mlへ溶解され、37℃、5%二酸化炭素下で、T−25cmTCフラスコ内で一晩成長させられた。翌日、細胞は選択培地(10%IMDM、1.0mg/ml、G418)とともに、96ウエルプレートに植え付けられた。一週間後、G418の濃度は2mg/mlまで増加した。成長しているコロニーは、トランスフェクションから約2週間後に再供給され、約一週間後にスクリーニングされた。
トランスフェクトされたジャーカット細胞は、フローサイトメトリー分析を用いてsc−TCRの表面発現をスクリーニングされた。陽性のトランスフェクタントは、マウスTCRのCβドメインの部分を検出する蛍光のタグのついたmAb(H57−597)で染色することにより同定された。
実施例4 正しい264sc−TCRVαドメインの同定
CD3ゼータ融合分子の264−Aまたは264−Bバージョンのいずれかを発現したトランスフェクトされたジャーカット細胞が、細胞活性化アッセイで使用された。アッセイではAPCとしてHLA−A2提示セルラインT2が使用された。T2細胞には264ペプチド(あるいは無関係のペプチド)が37℃、5%二酸化炭素下、一晩入れられた。次の日、トランスフェクトされたジャーカットセルラインが添加され、ペプチドパルスされたAPCと一晩反応させた。
264が搭載されたAPCによるトランスフェクタントの特有の刺激は、IL−2 ELISAを用いて評価された。抗ヒトIL−2モノクローナル抗体が、96穴プレートで一晩不動状態で被覆された。プレートは洗浄され、1時間10%FBS/DPBSでブロッキングされた。ブロッキング試薬は除去された。アッセイ由来の上清が1時間37℃でプレートに添加された。洗浄後結合したIL−2は、ビオチンに結合した他の抗IL−2モノクローナル抗体を用いて検出された。37℃で45分間続けた後、プレートは洗浄され、ストレプトアビジン−HRPが15分間添加された。最後にプレートは洗浄され、ABTS基質を用いて現像された。吸光度は405mmで測定された。
細胞活性化アッセイに基づくと、Vα3ドメインは機能的である。264−A分子を発現している細胞のみが、264ペプチドが搭載されたAPCの存在下でIL−2を産生するように刺激された。
次のページに示される表1は、前述の実施例で使用される様々なオリゴヌクレオチドの一次配列を表している。
Figure 2005525128
本発明の好ましい態様が特定の用語で表現されているが、そのような表現は説明目的のためのみであり、以下の請求の範囲に記載の精神又は範囲から逸脱することなく変更及び改変がなされてよいことは理解されるべきである。
図1はpNAG2ベクターの図式的な説明である。 図2は(ATCC#209276として寄託された)pSUN27ベクターを示す図である。 図3は(pSUN28の指定でATCC#203186として寄託された)好ましい二重特異性融合分子である、pBISP/D011.10及びpBISP/149をコードするベクターの領域を示す図である。 図4A、4B、4Cは、264一本鎖TCR(264 sc−TCR)(配列番号2)のアミノ酸及び核酸配列を示す図である。Va3=TCR Vα3鎖ドメイン(アミノ酸61−399)、リンカー配列(アミノ酸400−471)、Vb3=TCR Vβ3ドメイン(アミノ酸472−813)、Cb=TCR Cβドメイン(アミノ酸472−813)である。 図5は264TCRの任意のCαドメイン(配列番号3)を示す図である。

Claims (38)

  1. Vα鎖とVβ鎖を含み、MHC分子とのかかわりあいにおいてp53ペプチドと結合できる単離されたT細胞受容体(TCR)。
  2. p53ペプチドが以下のアミノ酸配列:Leu Leu Gly Arg Asn Ser Phe Glu Val(配列番号1)を含むものである、請求項1に記載の単離されたTCR。
  3. MHC分子がHLA分子を含むものである、請求項1または2に記載の単離されたTCR。
  4. HLA分子がHLA A2.1を含むものである、請求項3に記載の単離されたTCR。
  5. α鎖が、a)Vα鎖及びb)Cα鎖が順に共有結合しているものを含む、請求項1−4のいずれかに記載の単離されたTCR。
  6. β鎖が、a)Vβ鎖及びCβ配列を順に共有結合しているものを含む、請求項1−5のいずれかに記載の単離されたTCR。
  7. 配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドとの複合体であるMHC分子への、TCRの結合をモニターすることにより結合を決定する、請求項1−6のいずれかに記載の単離されたTCR。
  8. 結合が、TCR ELISAあるいは標準的なTCR結合アッセイでモニターされる、請求項7に記載の単離されたTCR。
  9. 結合が、TCRによるシグナル伝達を測定することによりモニターされる、請求項7に記載の単離されたTCR。
  10. アミノ酸配列とTCR分子間の結合が、対照のTCRヘテロダイマーと比較して少なくとも約2倍増加している、請求項7−9のいずれかに記載の単離されたTCR。
  11. アミノ酸配列とTCRヘテロダイマー間の結合が、対照のTCRヘテロダイマーと比較して少なくとも約10%増加している、請求項7−9のいずれかに記載の単離されたTCR。
  12. Va鎖が図4A−C(配列番号2)で示されるVα3鎖と少なくとも90%同一である、請求項1−11のいずれかに記載の単離されたTCR。
  13. Vβ鎖が図4A−C(配列番号2)で示されるVβ3鎖と少なくとも約90%アミノ酸配列が同一である、請求項1−12のいずれかに記載の単離されたTCR。
  14. 図4A−C(配列番号2)で示されるCβ鎖と少なくとも約90%アミノ酸配列が同一であるCβ配列をさらに含む、請求項1−13のいずれかに記載の単離されたTCR。
  15. Cα鎖が図5(配列番号3)で示されるCα鎖と少なくとも約90%アミノ酸配列が同一である、請求項1−14のいずれかに記載の単離されたTCR。
  16. TCRがヘテロダイマーを含むものである、請求項1−15のいずれかに記載の単離されたTCR。
  17. TCRが一本鎖TCRを含むものである、請求項1−16のいずれかに記載の単離されたTCR。
  18. Vα鎖がペプチドリンカー配列によりVβ鎖に共有結合している、請求項17に記載の単離された一本鎖TCR(scTCR)。
  19. sc−TCRが膜貫通ドメインを含むものである、請求項17及び18のいずれかに記載のsc−TCR。
  20. sc−TCRが細胞質シグナルドメインを含むものである、請求項17−19のいずれかに記載のsc−TCR。
  21. sc−TCRが、1)図4A−C(配列番号2)で示されるVα3鎖、2)ペプチドリンカー、3)図4A−C(配列番号2)で示されるVβ3鎖を順に含むものである、請求項17−20のいずれかに記載のscTCR。
  22. Vβ3鎖のC末端に結合した、図4A−C(配列番号2)に記載のCβ鎖をさらに含む、請求項21に記載のsc−TCR。
  23. 図5(配列番号3)で示されるCα鎖の断片をさらに含み、その断片がVα鎖のC末端とペプチドリンカーのN末端の間に共有結合されたものである、請求項21及び22のいずれかに記載のsc−TCR。
  24. ペプチドリンカーが以下の配列:Gly Gly Gly Gly Ser(配列番号5)を少なくとも4回繰り返したものである、請求項21−23のいずれかに記載のsc−TCR。
  25. 請求項1−24のいずれかに記載のTCRをコードする単離された核酸。
  26. 請求項25に記載の核酸を含むベクター。
  27. 請求項25に記載の単離された核酸または請求項26に記載のベクターを含む細胞。
  28. 第一のDNAセグメントがVα鎖をコードし、第2のDNAセグメントがVβ鎖をコードするものである、請求項16に記載のヘテロダイマーをコードするDNAセグメント対。
  29. コードされたVα鎖が、図4A−C(配列番号2)で示されるVα3鎖とアミノ酸配列が少なくとも約90%同一である、請求項28に記載のDNAセグメント対。
  30. コードされたVβ鎖が、図4A−C(配列番号2)で示されるVβ3鎖とアミノ酸配列が少なくとも約90%同一である、請求項28及び29のいずれかに記載のDNAセグメント対。
  31. 第2のセグメントがさらに、図4A−C(配列番号2)で示されるCβ鎖とアミノ酸配列が少なくとも約90%同一であるCβ鎖をコードし、コードされたVβ鎖のC末端がコードされたCβ鎖のC末端に結合している、請求項28−30のいずれかに記載のDNAセグメント対。
  32. 細胞あるいは組織を、請求項1−24のいずれかに記載のTCRと接触させることを含む、p53を発現する細胞あるいは組織を同定する方法。
  33. 細胞あるいは組織を、請求項27に記載の細胞と接触させることを含む、p53を発現する細胞あるいは組織を同定する方法。
  34. 細胞を、請求項27に記載の細胞と接触させることを含む、MHC分子とのかかわりあいでp53ペプチドを発現する細胞を殺傷する方法。
  35. MHC分子と請求項27に記載の細胞で発現されるTCR間の免疫複合体を形成させることをさらに含むものである、請求項34に記載の方法。
  36. 細胞を殺傷するのに十分な免疫応答の誘導をさらに含むものである、請求項35に記載の方法。
  37. ガンがp53のアップレギュレーションにより特徴づけられるものである、請求項1−24のいずれかに記載のTCRの治療における有効量を哺乳動物に投与することを含む、ガンの治療方法。
  38. 請求項27に記載の細胞の治療における有効量を哺乳動物に投与することを含む、ガンの治療方法。
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