JP2005525185A - 磁場強度の関数としてのパラレルイメージングにおけるリダクションファクタの固有の限界 - Google Patents
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Abstract
磁気共鳴イメージングシステムは、主磁場強度をもつ主磁場を生成し、一つ又は複数の受信アンテナによって供給される複数の磁気共鳴信号の受信位置をもつ主磁場を生成するための手段を有する。受信アンテナ又はコイルは、アンダーサンプリングの予め決定された程度において磁気共鳴信号を取得するために、空間感度プロファイルをもつ。空間感度プロファイル及びアンダーサンプリングされた磁気共鳴信号の組から、磁気共鳴画像を再構成するための他の手段が提供される。更に、所与の主磁場(B0)及び選択された視野(FOV)に依存して、アンダーサンプリングの程度を決定するための手段が提供される。
Description
本発明は、磁気共鳴イメージングシステムであって、主磁場強度をもつ主磁場を生成し、アンダーサンプリングの予め決定された程度において磁気共鳴信号を取得するために、空間感度プロファイルをもつ一つ又は複数の受信アンテナにより供給される複数の受信アンテナ位置をもつ主磁場を生成する手段と、これらの受信位置における空間感度プロファイル及びアンダーサンプリングされた磁気共鳴信号の組から、磁気共鳴画像を再構成する手段と、を有する磁気共鳴イメージングシステムに関する。
このような磁気共鳴イメージングシステム及びその方法は、通常、パラレルイメージング方法として示され、Magn. Reson. Med.誌,第42巻(1999年発行)952〜962頁におけるK. Pruessmannらによる論文から知られ、SENSE法として示されている。
磁気共鳴信号のアンダーサンプリングは、k空間におけるアンダーサンプリングと関連し、k空間をスキャンするのに必要な時間を短縮する。
しかし、パラレルイメージング(PI)方法は、比較的低い信号対雑音比(SNR)を本質的にもつ磁気共鳴信号を生成する。特に、上記SNRは、アンダーサンプリングの程度が増加するのに伴って低減する。
本発明の目的は、アンダーサンプリングについて使用されるべき受信アンテナ又はコイルの数を最適化し、高い診断品質の磁気共鳴画像が得られ、k空間におけるスキャンが比較的短い期間に完了されることにある。
この目的は、受信アンテナの数及び主磁場強度に依存してアンダーサンプリングの程度を選択する手段が提供される、本発明による磁気共鳴イメージング方法によって達成される。
本発明は、主磁場強度に依存するパラレルMRイメージングには、基本性能の限界があるという洞察に基づくものである。極限のSNRの概念を用いることによって、幾何学的ファクタに対する固有の下界(lower bound)が、電磁気検出磁場の条件付き最適化(constrained optimization)によるモデルセットアップにおいて決定された。最大の実現可能なリダクションファクタ(reduction factor,減少因子)が、使われるコイルの数及び構成に関係なく制限されることが分かった。波長、磁場強度及びサンプルの大きさは、臨界(critical)リダクションファクタを決定し、分かっている限界と波動光学における一般的な分解能限界とを関連付ける。
本発明のこれら及び他の態様は、従属請求項に規定される好ましい実施例を参照して明瞭に説明されるであろう。以下の説明において、本発明の例証される実施形態が添付の図面に関して説明される。
近年の方法論的な開発の重要な見地は、SMASHと呼ばれるD. K. SodicksonらによるMRM誌,第38巻,591〜603頁(1997年発行)に説明された技法と、SENSEと呼ばれるK. P. PruessmannらによるMRM誌,第42巻,952〜962頁(1999年発行)に説明された技法とから成るパラレルイメージング(PI)方法及び1.5Tを上回る磁場強度の利用可能性の増大にある。本発明では、種々の異なる磁場強度において電磁場の物理によって抑制(govern)されるパラレルイメージングの基本限界が与えられる。極限の信号対雑音比(SNR)の概念に基づく計算が実施された。言い換えると、マクスウェル方程式を満たすSNRの最適な電磁検出磁場が、このような磁場により特定され得る受信コイルセットアップには関係なく、検査される。
理論及び方法
磁気共鳴実験において、SNRが、熱性ノイズ電圧の平方二乗平均(RMS)と、誘導される信号電圧との比として与えられる。電磁場特性に関するSNRの最も顕著な依存性は、D. I. Hoult らによるJMR誌,第34巻,425〜433頁(1979年発行)と、O. OcaliらによるMRM誌,第39巻,462〜473頁(1988年発行)と、P. B. RoemerらによるMRM誌,第16巻,192〜225頁(1990年発行)とにより要約されている。
ここで、ωはラーモア周波数であり、Rdはコイルの入力端子からみた入力インピーダンスの実部であり、σはサンプルの導電率であり、E(r)はユニット入力電流により動作されるとき受信コイルによって生成される電場である。
PI取得の際、グラディエント符号化(gradient encoding)は、k空間のアンダーサンプリングによって減少され、エイリアシングされたシングルコイルデータをもたらす。直線(rectilinear,レクティリニア)サンプリングにより、エイリアシング効果は、FOV/Rによって分離される等距離ピクセルのコイル感度で重み付けされた重ね合わせ(weighted superposition)をもたらす。ここで、FOVは視野であり、Rはリダクションファクタである。特定の再構成方法、即ち、SMASHにおけるもののようなk空間ベースの方法又はSENSEにおけるもののような画像ベースの方法には関係なく、基本的には、最終画像は、感度情報を用いてこの重ね合わせを元に戻す(undo,アンドゥする)ことによって再構成される。画像ドメイン表示(view,ビュー)において、このことは、エイリアシングされたシングルコイルピクセルの線形組み合わせと等価であり、正味のコイル感度又は有効なコイル感度が、再構成されるべきピクセルでは1に等しく、等距離エイリアシングされた位置ではゼロに等しいように、正味のコイル又は有効なコイルに対応し、第1の制約条件付き磁場の最適化を指定(mark,マーク)する。
ここで、B(r)は磁束密度を示し、εは誘電体定数を示し、μは透磁率を示す。例えば、J. D. Jacksonによる古典電磁気学(Classical Electrodynamics),第3版又はJ. R. KeltnerらによるMRM誌,第22巻,467〜480頁(1991年発行)の教科書の多重極展開法を用いることによって、方程式(2)の解は、以下の基底関数の重み付けられた和として表されることができる。
ここで、αi(r)は電気ベクトル基底関数であり,βi(r)は、磁気ベクトル基底関数であり、wiは重み付けファクタである。
従って、PIにおける極限のSNRを計算するために、再構成条件の下でRdを最小化する、重み付けファクタ{wi}の条件付き最適化を実施しなければならない。ラグランジュ乗数を用いて、線形マトリックス方程式において当該乗数を再公式化することによって、この問題は解決された。
極限のSNR計算が、MATLAB(R)(MathWorks社)を使用する標準のPCにおいて実現された。被検査体(object,オブジェクト)の幾何形状は、0.5mの直径をもつ一様な球体であるものとして選択された。物質定数ε,μ及びσは生体内条件と合致され、再構成ポイントが中心に置かれた。
実験の結果
図1は、(SENSE取得用の表記法によれば)幾何学的ファクタ(geometry factor)gに関して計算された極限のSNRの振舞いを示し、これは、リダクションファクタR及び磁場強度B0の関数としての、PI法に特有のノイズエンハンスメント(noise enhancement)を説明するものである。幾何学的ファクタは、コイルコンフィグレーション及びリダクションファクタの関数であり、一般に、エイリアシングによってスーパーインポーズされた(superimpose,重ね合わせられた)ピクセルを分離するために用いられたコイルコンフィグレーションによる性能を説明することに留意されたい。図1の左側部では、対数目盛において幾何学的ファクタg対B0及びRが示されている。図1の右側部では、対数目盛における幾何学的ファクタg対Rcritを含む1T,3T及び6Tの場合のRが示されており、このRcritは、それぞれ、およそ2.5,4.5及び6.5である。リダクションファクタが増加するにつれて、幾何学的ファクタgは、臨界リダクションファクタRcritまで、最適なまま(即ち、約1)であることが確認される。Rcritを越えると、gは指数関数的に増加する。但し、サンプリングの更なる減少は、 臨界リダクションファクタRcritを越えてもなお可能であり、達成可能なSNRが、更に、指数関数的に増加する。
このように、臨界リダクションファクタは、波動光学の分解能限界に緊密に関わる。感度符号化のみによって分解されるべきピクセルは、検査中の被検査体の内部の本質的には半分の波長λRFによって分離されなければならない。
ここで、上記の項FOV/RcritはPIにおいてエイリアシングするための臨界の限界値である。
図2は、エイリアシング軸に沿って任意のユニットにおける正味のコイル感度(左側)と、エイリアシング軸に沿って任意のユニットにおけるE(r)2 (右側)との増加するフォーカシングを示しており、これは、磁場強度がR=5.8の定数リダクションファクタにおいて増加するので、ノイズ感度と見なされることができる(方程式(1)参照)。
送信/受信ボディコイル及び8素子ヘッド受信コイル(MRIデバイス社,米国ウィスコンシン州ウォーキシャ)を搭載した1.5T及び3.0Tインテラ全身MRIシステム(フィリップスメディカルシステム社、オランダ国ベスト)において実施された予備実験は、計算された境界と一致する類似したSNRの振舞いをもたらした。
これらの新たな結果を考慮に入れると、PI方法を利用することによる画像符号化プロセスは、以下の新たなやり方において理解されることができる。
より粗めのディテールが、時間効率の良いパラレルイメージング方法を用いることによって分解され、その一方、精細な分解能は、周波数符号化の原理を用いることによって最良に達成される。従って、対Rにより説明されたコイル感度符号化対周波数符号化の間の比の基本限界が、RF波長及びFOVによる方程式(4)に従って選択される。この限界は、電磁場特性に関わるので、使用されるコイルの構成及び数に無関係である状態を保つ。
図3は、本発明が用いられる磁気共鳴イメージングシステムを概略的に示している。
この磁気共鳴イメージングシステムは、安定した一様な磁場が生成される主コイル10の組を含んでいる。主コイルは、例えば、これらのコイルがトンネル形の検査空間を囲むように構成される。検査されるべき患者は、検査台に載ってこのトンネル形の検査空間の中に滑り込むように入ってゆく。磁気共鳴イメージングシステムは、更に、複数のグラディエントコイル11,12を含み、これらのコイルによって、特に個別の方向における一時的な傾斜磁場の形態で空間的なバリエーションを示す磁場が、一様な磁場に重ね合わせられるように生成される。グラディエントコイル11,12は、制御可能な電源ユニット21に接続されている。グラディエントコイル11,12は、電源ユニット21を用いて電流を印加することによって励磁される。傾斜磁場の強度、方向及び持続期間は、電源ユニットの制御によって制御される。更に、この磁気共鳴イメージングシステムは、RF励起パルスを生成するため及び磁気共鳴信号を拾うために、それぞれ送信及び受信コイル13,15を含んでいる。送信コイル13は、好ましくは、検査されるべき被検査体(の一部)が囲まれ得るボディコイルとして構成される。このボディコイルは、通常、磁気共鳴イメージングシステムに配される検査されるべき患者30が、ボディコイル13によって囲まれるように、磁気共鳴イメージングシステムに設けられている。ボディコイル13は、RF励起パルス及びRFリフォーカシングパルスの送信用の送信アンテナとして作用する。好ましくは、ボディコイル13は、送信されたRFパルスの空間的に一様な強度分布を伴う。受信コイル15は、好ましくは、検査されるべき患者30の身体の上又はその身体の近傍に設けられる表面コイル15である。このような表面コイル15は、空間的に不均質でもある磁気共鳴信号の受け取りに対して高感度を有する。このことは、個々の表面コイル15が、主に、別個の方向から生じる磁気共鳴信号、即ち、検査されるべき患者の身体の空間における別個の部位から生じる磁気共鳴信号に対して感度が高いことを意味する。コイル感度プロファイルは、表面コイルの組の空間的感度を表す。送信コイル、特に、表面コイルが、復調器24に接続され、受け取られた磁気共鳴信号(MS)は、復調器24によって復調される。この復調された磁気共鳴信号(DMS)は、再構成ユニットに与えられる。この再構成ユニットは、表面コイルの組のコイル感度プロファイルに基づいて、復調された磁気共鳴信号(DMS)から、磁気共鳴画像を再構成する。コイル感度プロファイルは、前もって測定され、例えば、再構成ユニットに含まれるメモリユニットに電子的に記憶される。再構成ユニットは、復調された磁気共鳴信号(DMS)から一つ又は複数の画像信号を導き出す。この画像信号は、可能性として連続した一つ又は複数の磁気共鳴画像を表す。このことは、このような磁気共鳴画像の画像信号の信号レベルが、当該磁気共鳴画像の輝度値を表すことを意味する。実際には、再構成ユニット25は、好ましくは、コイル感度プロファイルに基づいて、復調された磁気共鳴信号から、磁気共鳴画像を再構成するようにプログラムされるデジタル画像処理ユニット25として構成される。デジタル画像処理ユニット25は、特に、いわゆるSENSE技法又はいわゆるSMASH技法に従って再構成を実行するようにプログラムされる。再構成ユニットからの画像信号はモニタ26に与えられ、このモニタが(複数の)磁気共鳴画像の画像情報を表示することができる。他の処理、例えば、ハードコピーの形態での印刷を待つ間、画像信号をバッファユニット27に記憶することも可能である。
検査されるべき患者の磁気共鳴画像又は一連の連続した磁気共鳴画像を形成するために、患者の身体は、検査空間に存在する磁場にさらされる。安定した一様な磁場、即ち、主磁場は、検査されるべき患者の身体における僅かに余分な数のスピンを、この主磁場の方向に向ける。これは、身体に(僅かな)正味の巨視的磁化を生成する。これらのスピンは、例えば、水素核(陽子)から成るような核のスピンであるが、電子スピンが更に関連してもよい。磁化は、傾斜磁場を印加することによって局所的に影響される。例えば、グラディエントコイル12は、身体のやや薄いスライスを選択するために、選択傾斜磁場を印加する。その後、送信コイルは、検査されるべき患者の画像化されるべき部位が位置する検査空間に、RF励起パルスを印加する。このRF励起パルスは、選択されたスライスにおけるスピンを励起し、即ち、正味の磁化が、主磁場の方向について歳差運動を実施する。この動作中、スピンが励起され、このスピンは、主磁場におけるRF励起パルスの周波数帯域内にラーモア(Larmor)周波数を有する。但し、より一層大柄な男性の身体の一部における上記のような薄いスライスにてスピンを励起させることも非常に良好に可能である。この場合、例えば、スピンは、身体中の3つの方向に実質的に延在する3次元の部位において励起されることができる。RF励起後、スピンはゆっくり初期状態に戻り、巨視的磁化は平衡の(熱)状態に戻る。そのとき、緩和するスピンが磁気共鳴信号を発する。読み出し傾斜磁場及び位相符号化傾斜磁場の印加のために、磁気共鳴信号は、例えば、選択されたスライスにおける空間位置を符号化する複数の周波数成分を有する。k空間は、読み出し傾斜磁場及び位相符号化傾斜磁場の印加によって、磁気共鳴信号によりスキャンされる。本発明によれば、特に、位相符号化傾斜磁場を印加することは、磁気共鳴画像の予め決定された空間分解能と関連して、k空間のサブサンプリングをもたらす。例えば、磁気共鳴画像の予め決定された分解能にとってはあまりに少ない数のライン、例えば、半分の数のラインのみが、k空間においてスキャンされる。
Claims (3)
- 磁気共鳴イメージングシステムであって、
主磁場強度をもつ主磁場を生成し、アンダーサンプリングの予め決定された程度において磁気共鳴信号を取得するために、空間感度プロファイルをもつ一つ又は複数の受信アンテナによって供給される複数の前記磁気共鳴信号の受信位置をもつ前記主磁場を生成する手段と、
前記空間感度プロファイル及びアンダーサンプリングされた前記磁気共鳴信号の組から、磁気共鳴画像を再構成する手段と、
を有する磁気共鳴イメージングシステムにおいて、
所与の前記主磁場強度及び選択された視野に依存して、前記アンダーサンプリングの程度を選択する手段が提供される、磁気共鳴イメージングシステム。 - 前記アンダーサンプリングの程度を、前記所与の主磁場強度に依存する最大リダクションファクタまで識別する手段を更に有する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
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