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JP2005518266A - 高圧でベシクルを押し出す方法および装置 - Google Patents

高圧でベシクルを押し出す方法および装置 Download PDF

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JP2005518266A JP2003530227A JP2003530227A JP2005518266A JP 2005518266 A JP2005518266 A JP 2005518266A JP 2003530227 A JP2003530227 A JP 2003530227A JP 2003530227 A JP2003530227 A JP 2003530227A JP 2005518266 A JP2005518266 A JP 2005518266A
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Abstract

本発明は、一般的には、ベシクルを形成することのできる材料を含む溶液を高圧でスクリーンメンブランに通して押し出すことにより、ミセル、とくにリポソームを含むベシクルを製造する方法および装置に関する。

Description

本発明は、一般的には、ベシクルを形成することのできる材料を含む溶液を高圧でスクリーンメンブランに通して押し出すことにより、ミセル、とくにリポソームを含むベシクルを製造する方法および装置に関する。
さまざまな薬物、とくに非経口投与される薬物を対象として、リポソームを薬物送達に使用することが提案されてきた。リポソームは、血流中の遊離薬物の濃度を制限することにより、投与された薬物を長期間にわたり制御「デポ」放出させたり、薬物の副作用を低減させたりする潜在能力を有する。また、リポソームを用いれば、薬物の組織内分布および取込みを治療上有利な形に改変したり、薬物投与頻度を減少させることにより治療の便宜を向上させたりすることもできる。これらの効果は、リポソームに体内の特定のタイプの細胞または組織をターゲッティングさせるリガンドを結合させることにより増強することができる。リポソーム薬物送達系については、Poznansky, et al., 1984, Pharmacol. Rev. 36:277-336にレビューされている。
一般的には、非経口投与に使用されるリポソームの最適サイズは、直径で、約70〜300nmであり、最大でも約400nmまでである。このサイズ範囲内のリポソームは、約200nmの粒子サイズ識別能を有する従来のデプスフィルターに通すことにより滅菌することができる。また、リポソームがこのサイズ範囲内にあれば、肝臓、脾臓、および骨髄のような特定の標的器官に体内分布させるのに有利であり、血流中においてより均一かつ予測可能な薬物放出速度および安定性が得られる。またサイズが約400nm未満のリポソームは、より大きいサイズのリポソームよりも、保存時の凝集傾向が小さいので、一般的には、非経口用途で、安全性が高く、毒性が低い。
リポソームを調製するために、たとえば、音波処理法、押出法、高圧均質化法、マイクロ流動化法、デタージェント透析法、小リポソームベシクルのカルシウム誘発融合法、およびエーテル注入法などのさまざまな方法が提案されてきた。たとえば、米国特許第4,186,183号; 米国特許第4,217,344号; 米国特許第4,261,975号; 米国特許第4,485,054号; 米国特許第4,774,085号; 米国特許第4,946,787号; 米国特許第6,139,871号; PCT公開第WO 91/17424号、Deamer, et al., 1976, Biochim. Biophys. Acta, 443:629-34; Fraley, et al,, 1979, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3348-52; Hope, et al., 1985, Biochim. Biophys. Acta, 812:55-65; Mayer, et al., 1986, Biochim. Biophys'. Acta, 858:161-68; Williams, et al, 1988. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:242-46、およびSzoka, et al., 1980, Biochim. Biophys. Acta, 601:559-71を参照されたい。典型的には、これらの方法では、ヘテロ分散型で大部分が約1ミクロンよりも大きいサイズをもつリポソームが生成される。いくつかの公知の方法により、これらの初期ヘテロ分散型懸濁液のサイズおよびサイズ分布を減少させることができる。大規模生産に好適なサイズ操作法の1つは、均質化である。この場合、初期ヘテロ分散型リポソーム調製物は、小型のオリフィスまたは反応チャンバーに通して高圧下でポンプ処理される。通常、所望の平均サイズのリポソーム粒子が得られるまで、懸濁液を繰り返し反応チャンバーに通して処理する。均質化サイクル数、圧力、および内部温度にもよるが、この方法には、典型的には、リポソームサイズ分布がきわめて広く、しかも、とくに100nmの平均リポソーム直径のサイズ範囲が変動しやすいという弱点がある。また、処理される流体は、ホモジナイザーポンプから金属や油の夾雑物を取り込む可能性があり
、ポンプシールを滅菌するために使用される残留性化学薬剤によりさらに汚染されるおそれもある。
音波処理または超音波照射は、リポソームサイズを減少させるために使用される他の方法である。この方法は、25〜80nmのサイズ範囲内の小さい単層ベシクル(SUV)を調製するのにとくに有用である。しかしながら、リポソームの狭いサイズ分布は、約50nmのリポソームサイズで、すなわち、リポソームをその最小サイズまで小さくした後で、達成することができるにすぎない。これらの非常に小さいリポソームは、薬物運搬能力または薬物充填能力が限られており、以下に記載されているように、100〜400nmのサイズ範囲内のリポソームほど有利な体内分布特性を示さない。比較的小さい体積で長時間音波処理する必要があるので、この方法の処理能力もまた、きわめて限られている。また、音波処理時の発熱により、脂質に過酸化損傷を与える可能性があり、さらに、ソニックプローブから、in vivoできわめて毒性の大きいチタン粒子が剥落する。
第3の一般的なサイズ操作法は、ポリカーボネートまたは他の類似の材料で作製された均一な細孔サイズのメンブランに通してリポソームを押し出すことに基づくものである。Szoka, et al., 1978, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75:4194-8を参照されたい。この方法には、異なる選択されたサイズ範囲内のリポソームを作製するためにさまざまなメンブラン細孔サイズが利用可能であるという意味で、さらに、とくに、選択されたサイズのフィルターに材料を繰り返し数回通すことにより、リポソームのサイズ分布をきわめて狭くできるという意味で、上記の均質化法および音波処理法よりも優れた利点がある。リポソームを押し出すためのいくつかの方法が報告されている。たとえば、米国特許第4,927,637号には、屈曲経路を備えたナイロン、TUFFRYN(登録商標)(Pall Corp., East Hills NY)、ポリスルホン、ポリプロピレン、または焼結鋼のメンブランに脂質を低圧(たとえば、250lb/インチ2(psi))で通して押し出す方法が記載されている。米国特許第5,008,050号には、リポソームを100〜700psiまたはそれ以上でポリカーボネートフィルターに通して押し出す方法が教示されている。米国特許第4,737,323号には、脂質の懸濁液を200〜250psiでセラミックメンブランに通して押し出すことにより、リポソームを作製する方法が教示されている。
しかしながら、メンブラン押出法は、大規模処理においていくつかの欠点を有する。一例を挙げると、とくに、濃厚な懸濁液を処理する場合および/またはリポソームサイズがメンブラン細孔サイズよりも実質的に大きい場合、メンブラン中の細孔は目詰まりを起こす傾向がある。ほとんどの生産規模の押出装置では、バックフラッシングによるメンブランの清浄化を行うことができない。メンブランをバックフラッシングしたとしても、目詰まりしたメンブランを新しいメンブランと交換する際に、押出システムは環境に開放され、生成物が汚染される危険性がある。メンブランは、それ固有の脆弱性が原因となって、高い信頼度で所定の位置をスチーム滅菌することができない。目詰まりまたは汚損を生じたメンブランに対処すべくいかなる方法を利用したとしても、押出プロセスに要する時間と費用が増加する。
ある特定のタイプの脂質を押し出す際、現在利用可能なリポソーム押出法の欠点は、とくに深刻な問題となる。脂質二重層は、温度Tc'未満で結晶相になり、温度Tc'とTcの間でゲル相になり、そして温度Tcを超えると液晶状態になる。Lasic, 1997, Liposomes in Gene Delivery, CRC Press LLC, Boca Raton 67-71を参照されたい。ほぼ室温よりも大きいTc値を有する脂質は、ポリカーボネートメンブランに通して押し出すことがとくに困難になる可能性がある。特定の脂質のTc値は、脂質の炭化水素鎖の長さおよび飽和度を含むいくつかの要因に依存する。より長く、より飽和度の高い炭化水素鎖を有する脂質は、より短く、より飽和度の低い飽和炭化水素鎖を有する脂質よりも、高いTc値を有する傾向がある(したがって、ポリカーボネートメンブランに通して押し出すことがより困難になる傾向がある)。脂質はまた、出発物質中の不純物に起因して、たとえば、製造プロセスの副生物である樹脂の混入に起因して、押出が困難になることもある。押出が困難な脂質はまた、他の脂質よりも、低い流量を有し、メンブランの汚損または目詰まりを起こしやすい。先に説明したように、目詰まりまたは汚損を生じたメンブランは、清浄化または交換を行わなければならず、製造の時間およびコストならびに汚染の可能性を増大する。
したがって、高い時間効率およびコスト効率で、メンブランの目詰まりまたは汚損の発生を抑えて、かつ汚染の可能性を低減させて、脂質(とくに、押出が困難な脂質)を押し出す方法および装置が必要とされている。
発明の概要
本発明は、ミセル、とくにリポソームを含むベシクルの製造にとくに有用である方法および装置、ならびにベシクル、ミセル、またはリポソームを含有する医薬品に関する。より特定的には、本発明者らは、高圧下で脂質を親水性スクリーンメンブランに通して押し出すことにより、所望のサイズおよびラメラ性(lamellarity)のベシクルの生成を保持した状態で流量が大幅に改良されることを見いだした。スクリーンメンブランは、以下で詳述されているように、メンブランを貫通するチャネルが平均して本質的に直線を呈する細孔を備えたメンブランである。本発明の方法および装置は、従来法では押出が困難な脂質から所望のサイズおよびラメラ性のベシクルを作製するのにとくに有用である。
本発明者らは、脂質調製物をPORETICSTMメンブラン(Osmonics, Minnetonka MN)に通して押し出すことにより、他の市販のメンブランに通して押し出すよりも、流量が大幅に増大されることをさらに見いだした。
本発明者らは、本発明に従ってかつ高い押出圧力で親水性メンブランを使用することにより、押出により作製されるベシクルのサイズが減少することをさらに見いだした。
本発明の本方法および装置は、比較的問題のない状態で、メンブランの目詰まりまたは汚損を抑えて、高スループット容量で、かつ大規模運転で、操作することができる。したがって、本発明の方法および装置はリポソームの製造に使用するのに好適である。
一態様において、本発明は、脂質の水性懸濁液を高圧で親水性メンブラン(とくに、スクリーンメンブラン)に通して押し出すことを含むリポソームの懸濁液の製造方法を提供する。本発明は、均一なサイズ分布をもつリポソームの懸濁液の製造方法を提供する。すなわち、本発明の方法により形成されるリポソームは、平均サイズ分布の分散をほとんど示さない。このほか、本発明は、任意の形態のリポソームの製造方法を提供する。たとえば、リポソーム懸濁液を凍結乾燥させて粉末を生成させることができる。
他の態様において、本発明は、脂質の水性懸濁液を高圧で傾斜細孔(angled pore)スクリーンメンブランに通して押し出すことを含むリポソームの懸濁液の製造方法を提供する。傾斜細孔スクリーンメンブランとは、以下で詳述されているように、細孔がメンブラン表面の平面となす角度が約90°未満であるスクリーンメンブランである。
他の態様において、本発明は、脂質の水性懸濁液を高圧で親水性傾斜細孔スクリーンメンブランに通して押し出すことを含むリポソームの懸濁液の製造方法を提供する。
他の態様において、本発明は、脂質の水性懸濁液を高圧で押し出す装置を提供する。この装置は、支持カセットホルダー中に親水性スクリーンメンブランを備える。
本発明の方法を実施する際、脂質の懸濁液を高圧で親水性スクリーンメンブランに通して押し出す。得られるリポソームは、以下で詳述されているように、使用するメンブランの数、リポソームをメンブランに通して繰り返し処理する回数、メンブランの厚さ、押出の圧力、メンブラン中の細孔の直径および密度、メンブランの化学組成、ステップダウン(step-down)法の使用、使用する脂質のタイプ、湿潤剤の使用、リポソームに封入される作用剤またはリポソームに会合する作用剤の存在などに依存して、約50〜400nmの平均直径および約50nmの標準サイズ分布を有する。本発明の方法によれば、製造されるリポソームのサイズおよびサイズ分布を制御することが可能である。
懸濁液をメンブランに複数回通し、毎回、同じ方向でメンブランに通して処理することが可能である。他の選択肢として、メンブランに通して流動させる方向を一回以上の通過の際に逆転させることができる。すなわち、目詰まりのない状態にメンブランが保持されるように、外側から内側の方向で懸濁液をメンブランに通すことにより、リポソームの濃厚懸濁液のときでさえも、高スループット処理が可能になる。
所望のリポソームサイズは、「ステップダウン」法を用いて達成しうる。すなわち、順次平均直径がより小さいリポソームを生成するために、一連の通過で、順次、細孔直径サイズがより小さいメンブランに脂質の懸濁液を通して処理する。
以下に記載の本発明の詳細な説明を添付の図面と組み合わせて読めば、本発明のこれらのおよび他の態様および特徴は、より一層、明らかなものとなるであろう。
発明の詳細な説明
一態様において、本発明は、脂質の調製物を高圧で親水性スクリーンメンブランに通して押し出すことにより、所望のサイズのベシクルを製造する簡単かつ迅速な方法を提供する。脂質の調製物をメンブランに1回または2回以上(多重「通過」)通して押し出すことより、所望のサイズのベシクルを製造することができる。多重通過を用いる場合、メンブランに通す懸濁液の流れの方向を、その通過のうちの一回以上逆転させることができる。また、脂質の調製物を複数の「スタック型(積重ねられた、スタックされた(stacked))」メンブランに通して押し出すことより、所望のサイズの粒子を得るのに必要な通過回数を減少させることができる。他の選択肢として、同一通過内に連続配置でスタックされているか、スタックされていないか、またはスタック型と非スタック型の組合せを含む連続配置メンブランに脂質の調製物を通して処理することができる。
他の態様において、本発明は、脂質の水性懸濁液を高圧で親水性スクリーンメンブランに通して押し出すことにより、直径が約50〜約400nmのリポソームを製造する装置を提供する。
本発明の方法および装置の重要な特徴は、脂質の水性懸濁液をメンブランに通して移動させるために高圧を使用することである。押出に必要とされる最小圧力よりもかなり高い圧力を使用することにより、所望の平均直径のリポソームが得られかつメンブランの目詰まりまたは汚損に関連する問題が回避されるという予想外に良好な結果を生じることを見いだした。高圧の使用は、従来の方法では押出が困難な脂質の押出にとくに有益である。実施例に示されるように、使用圧力を高くするほど、生じる目詰まりおよび汚損は少なくなる。この関係には明確な上限はない。使用圧力は、使用する押出装置、メンブラン支持体、およびメンブランの許容範囲によってのみ制限される。少なくとも、使用圧力は約400psiよりも大きくなければならない。好ましくは、約800psiよりも大きい圧力を使用する。より好ましくは、約1,000psiよりも大きい圧力を使用する。さらにより好ましくは、約1,500psiを超える圧力を使用する。さらにより好ましくは、約5,000psiを超える圧力を使用する。最も好ましくは、約8,000psiを超える圧力を使用する。
本明細書中で使用する場合、「リポソーム」、「ベシクル」、および「リポソームベシクル」とは、水性内部を取り囲む脂質含有メンブランを有する構造体を示すものと解釈される。別段の記載がないかぎり、この構造体には、1つ以上の脂質メンブランが含まれていてもよいが、一般的には、リポソームはメンブランを1つだけ有する。本明細書中では、そのような単一の層状リポソームを「単層」と呼ぶ。単層リポソームは、小さい単層ベシクル(SUV)、大きい単層ベシクル(LUV)、または巨大な単層ベシクル(GUV)に分類することができる。Lasic, 1997, Liposomes in Gene Delivery, CRC Press LLC, Boca Raton 67-71 at page 70を参照されたい。SUVは、典型的には、曲率効果がその性質に重要であるリポソームとして定義される。この定義を用いれば、SUVとして特性づけしうるリポソームのサイズは、含まれる1種もしくは複数種の脂質に依存するであろう。一般的には、軟質二重層では、SUVの上限は約50nmであるが、機械的に非常に凝集性の高い二重層では、上限は約80〜約100nmの範囲をとりうる。GUVは、典型的には、約1μmよりも大きい直径を有するリポソームとして定義される。当業者には当然のことながら、ベシクルのこれらのクラス間の境界は明瞭に規定されるものではなく、それらの許容範囲内に含まれるもの同士に、かなりのオーバーラップが存在する。
一実施形態では、本発明のリポソームは、水性内部(薬物化合物を含有する水性内部)を取り囲む脂質含有メンブランであってもよい。他の実施形態では、リポソームは、水性内部に薬物を含有することはできないが、内部媒体を取り囲む脂質含有メンブランである。そのような薬物非含有リポソームは、血流からコレステロールを取り除き、アテローム性動脈硬化症を処置または予防するのに有用である。
本明細書中で使用する場合、「リポソームに結合された」または「リポソームに結合している」とは、対象化合物が、リポソームの表面に共有結合によりもしくは非共有結合により結合するか、またはリポソームの内側に全体的もしくは部分的に含まれることを示す。
「医薬として活性な化合物」および「薬物」という用語は、関連する結合担体、アジュバント、アクチベーター、または補因子がなくても、治療的使用に好適な合成化合物を示すものとする。本発明のリポソームは、水性内部に薬物を含有することができる。特定の実施形態では、リポソームは、内部に薬物を含有していなくてもよく、そのような実施形態では、リポソームは、それ自体が薬物または医薬として活性な化合物であってもよい。これらの「空」のリポソームは、生体からコレステロールを除去したり、アテローム性動脈硬化症を処置または予防したりするのに有用である可能性がある。
「スクリーンメンブラン」とは、メンブランを貫通するチャネルが平均して本質的に直線を呈する細孔を備えたメンブランである。スクリーンメンブランは、メンブランの平面に垂直な細孔および/または傾斜細孔を有することができる。「傾斜細孔メンブラン」とは、細孔とメンブランの表面の平面とがなす角度が約90°未満であるスクリーンメンブランである。細孔の「リーフ長さ」とは、一方のメンブラン面から他方のメンブラン面まで測定したときの細孔の長さである。したがって、メンブランの平面に垂直な細孔は、メンブランの厚さと等しいリーフ長さを有する。より小さい細孔角度を有する細孔は、より大きなリーフ長さを有する。
固体表面上の所与の小滴に関して、「接触角」とは、固体の表面と、固体との接触点から引いた小滴半径に接する直線と、のなす角度の測定値である。接触角は、特定の固液相互作用の挙動を計算することのできるヤングの式により、表面張力に関連づけられる。ゼロの接触角では、濡れを生じ、0°と90°の間の角度では、液滴の広がりを生じる(分子引力による)。90°よりも大きい角度は、液体が固体表面から離れてビーズ化するかまたは収縮する傾向があることを示す。したがって、表面と水滴との接触角が小さいほど、表面の親水性は大きい。たとえば、Martin, et al., 1983, Physical Pharmacy: Physical Chemical Principles in the Pharmaceutical Sciences, Lea & Febiger Publishers, Philadelphia; Gennaro, et al., 1990, Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaを参照されたい。
「困難な脂質」とは、押出メンブランの目詰まりまたは汚損を引き起こす傾向があるために、従来法では押出が比較的困難な脂質である。逆に、「容易な脂質」とは、従来法による押出が比較的容易な脂質である。典型的には、ほぼ室温よりも大きい転移温度(Tc)を有する脂質は、押出が困難であり、一方、ほぼ室温またはそれ以下のTcを有する脂質は、押出が容易である。少数の困難な脂質、たとえば、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)は、室温未満の転移温度を有する。いくつかの異なる因子が、特定の脂質の押出が困難であるかどうかに影響を及ぼしうる。最も重要な因子は、脂質のアシル鎖の剛性である。より大きい剛性のアシル鎖を有する脂質、たとえば、モノ不飽和アシル鎖を含む脂質は、従来の方法および装置では押出がより困難な傾向がある。脂質調製物中の不純物、たとえば、脂質製造プロセス時に導入された樹脂もまた、脂質の押出をより困難にする可能性がある。このほか、不純物は、溶解状態の脂質のコンフォメーションまたはメンブラン細孔に通したときの脂質の変形能力に影響を及ぼしうる。より大きい表面積またはより大きいポロシティーを有するメンブラン、たとえば、Whatman ANOPORETMメンブランを使用すれば、これらの問題を克服することができる。薬物会合脂質、荷電脂質、およびタンパク質含有脂質もまた、困難な脂質である可能性がある。実験室規模での押出が容易ないくつかの脂質は、より大きい製造規模での押出が困難であることもある。押出が困難な脂質の例としては、POPC、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、およびジ-ステアロイル-ホスファチジルエタノールアミンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。容易な脂質の例としては、卵黄ホスファチジルコリン(EPC)、卵ホスファチジルグリセロール、およびジオレイルホスファチジルコリンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
メンブラン
本発明の実施に有用なメンブランは、親水性スクリーンメンブランである。特許請求された本発明を実施するのに有用な親水性スクリーンメンブランは、任意の親水性材料から製造することができる。メンブランは、単一の親水性材料、2種以上の親水性材料、または親水性材料と非親水性材料の混合物で製造することができる。好ましい実施形態では、メンブランは、天然の親水性材料で製造される。他の好ましい実施形態では、メンブランは、メンブラン製造時に親水性が付与される材料、たとえば、ポリエステルで製造される。好ましい実施形態では、本発明の実施に有用な親水性スクリーンメンブランは、120度未満、好ましくは70度未満、より好ましくは50度未満、最も好ましくは40度以下の表面水接触角を有する。他の好ましい実施形態では、特許請求された本発明を実施するのに有用な親水性スクリーンメンブランは、エッチング前、約41ダイン/cm以上、好ましくは42ダイン/cm以上、最も好ましくは43ダイン/cm以上の表面張力を有する。本発明の実施に有用な特定の親水性メンブランとしては、ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)、酸化アルミニウム、ポリアクリロニトリル、セルロースアセテート、セルロース混合エステル、ガラス、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、およびポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。現在のところポリエステルが本発明の方法および装置の中で使用するのに最も好適な市販のメンブランであることを本発明者らが突き止めたことに留意しなければならない。
より大きい親水性を呈するように改変されるのであれば、より疎水性の大きい材料から製造されたメンブランを使用することもできる。メンブランの親水性を増大させる方法は、当技術分野で周知であり、たとえば、界面活性剤でメンブランを処理すること、湿潤剤でメンブランをコーティングするか、または複合体形成により新しい表面を形成するポリビニルピロリジン(PVP)などの異なるポリマーまたはモノマー系の薄膜適用でメンブランをコーティングすること、メンブランに低分子量活性基(モノマー)を化学グラフトさせること、2種以上のポリマーを組み合わせてメンブランを形成すること、およびプラズマ改変することが挙げられるが、これらに限定されるものではない。たとえば、Martin, et al., 1983. Physical Pharmacy: Physical Chemical Principles in the Pharmaceutical Sciences, Lea & Febiger Publishers, Philadelphia; Gennaro, et al., 1990, Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaを参照されたい。
他の好ましい実施形態では、本発明の実施に有用なスクリーンメンブランは、TEFLON(登録商標)(Du Pont, Wilmington, DE)から製造される。より好ましい実施形態では、メンブランは、TEFLON(登録商標)からなるかまたは本質的にそれからなる。他のより好ましい実施形態では、メンブランは、TEFLON(登録商標)および1種以上の他の物質を含む。
スクリーンメンブランは、「ストレートスルー」チャネル(キャピラリー型細孔とも呼ばれる)を有する。すなわち、細孔チャネルは、メンブランを貫通する実質的に真直ぐなラインを呈するかまたは描く。このラインがメンブランの表面の平面に垂直であれば、すなわち、その法線であれば、それは90°の細孔角度を有する。傾斜細孔メンブランは、約90°未満の細孔角度を有する。
任意の方法を用いて製造されたスクリーンメンブランを、本発明の方法および装置で使用することができる。スクリーンメンブランは、典型的には、2ステップトラックエッチング法で製造される。たとえば、Wagner, 2001, Membrane Filtration Handbook: Practical Tips and Hints, 2nd Edition, Printed by Osmonics, Inc., Minnetonka, MNを参照されたい。第1のステップでは、メンブランを電離放射線に暴露する。この放射線は、メンブランの表面全体にわたってランダムに分布する損傷トラックを形成する。エッチング溶液(たとえば、水酸化ナトリウムのような強力なアルカリ性溶液)中にメンブランを浸漬することにより、損傷トラックをエッチングし、メンブランを貫通する細孔を生成させる。第1のステップで荷電粒子がメンブランに当たり、それを貫通する角度によって、得られるチャネルの細孔角度が決まる。したがって、荷電粒子がメンブランに当たる角度を制御することにより、所望の平均細孔角度を有するフィルターを製造することができる。
エッチング法は、メンブランの親水性に影響を及ぼしうる。ポリカーボネートやポリエステルのメンブランをはじめとする多くのタイプのメンブランでは、エッチング浴中への浸漬により、メンブランの親水性が増大する。ポリエステルメンブランのようないくつかのメンブランは、類似のエッチング条件下で処理されたポリカーボネートメンブランのような他のメンブランよりも急速に親水性になる。たとえば、Kroschwitz, 1990, Concise Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, Wiley, New York, 363-67, 558-60; Domininghaus, 1993, Plastics for Engineers: Material, Properties, Applications, Hanser Publishers, New York, Chapter 14; Zeronian, et al,1990, J. Appl. Polym. Sci. 41:527-34; Gillberg, et al., 1981, J. Appi. Polym. Sci. 26:2023-51を参照されたい。
本発明者らは、Osmonics PORETICSTMメンブランに通して押し出すことにより、他の市販のメンブランに通して押し出したときに比べて、流量が大幅に増大されること、および押し出される脂質が困難な脂質である場合にこの差異がとくに大きいことを見いだした。特定の理論に拘束されるものではないが、流量およびリポソーム粒子サイズが、いくつかの因子により影響を受けることに本発明者らは気づいている。こうした因子としては、本明細書に記載されているように、細孔直径、細孔密度、平均細孔角度、細孔角度の範囲、メンブラン厚さ、およびメンブランの製造または被覆に使用した材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ポリエステル、ポリカーボネート、および他のメンブランの特性については、たとえば、Kroschwitz, 1990, Concise Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, Wiley, New York; Domininghaus, 1993, Plastics for Engineers: Material, Properties. Applications, Hanser Publishers, New York; Zeronian, et al., 1990, J. Appl. Polym. Sci. 41:527-34 and Gillberg, et al., 1981, J. Appl. Polym. Sci. 26:2023-51に論述されている。
好ましい実施形態では、メンブランは傾斜細孔メンブランである。より好ましい実施形態では、メンブランの細孔は、メンブランの表面の平面に対して約56°未満の平均角度(すなわち、平均細孔角度)を有する。最も好ましい実施形態では、平均細孔角度は約45°である。他の好ましい実施形態では、平均細孔角度は、メンブランの厚さと同一の距離まで細孔のリーフ長さを最小化するために約90°である。
本発明で使用するのに好適な市販のポリエステルメンブランとしては、NUCLEOPORETM PETE メンブラン, Cat. No.s 188607, 188107, 188606, 188106, 188605, 188105 および 188604 (Whatman), CYCLOPORETM PETE メンブラン, Cat. No.s 7061-2504, 7061-4704, 7061-2502, 7061-4702, 7061-2501 および 7061-4701 (Whatman) ならびに PORETICSTM PETE メンブラン, Cat. No.s T01CP02500, T04CP04700, T02CP02500, T02CP04700, TO1CPO2500 および TOICPO4700 (Osmonics)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
任意の厚さのメンブランを本発明の方法および装置で使用することができる。当業者には当然のことながら、メンブランを厚くした場合、他の条件を同じにすれば、より薄いメンブランと比較して、生成されるベシクルは小さくなり、流量は減少する。本発明の方法および装置に有用なメンブランの厚さの最大寸法は、使用する押出装置の許容範囲により決定される。本発明の方法および装置に有用なメンブランの厚さの下限は、メンブランの脆弱性および押出の圧力に耐えるその能力により決定される。好ましい実施形態では、メンブランは約3〜約50μmの厚さである。より好ましい実施形態では、メンブランは約3〜約20μmの厚さである。最も好ましい実施形態では、メンブランは約3〜約12μmの厚さである。
任意のサイズおよび形状のメンブランを、本発明の方法および装置で使用することができる。メンブランのサイズおよび形状は、押出装置の許容範囲によってのみ制限される。一般的には、メンブランの表面積が大きいほど、メンブランを通過する流量は大きくなる。任意の所望のサイズまたは形状のメンブランを、メンブランのより大きいシートからカットすることができる。メンブランは、たとえば、約1cm2〜約3m2の表面積を有する円形、正方形、または長方形にすることができる。好ましい実施形態では、メンブランは円形であり、約25mmの直径を有する。他の好ましい実施形態では、メンブランは円形であり、約47mmの直径を有する。他の好ましい実施形態では、メンブランは円形であり、約90mmの直径を有する。他の好ましい実施形態では、メンブランは円形であり、約142mmの直径を有する。さらに他の好ましい実施形態では、メンブランは円形であり、約293mmの直径を有する。
任意のトポロジーのメンブランを、本発明の方法および装置で使用することができるが、利用する押出装置の許容範囲によってのみ制限される。当業者であれば、押し出された調製物と接触するメンブランの表面積を増大させるためにメンブランのトポロジーをいかに操作するか、また、これによりメンブランの目詰まりまたは汚損が低減されることについて熟知していよう。好ましい実施形態では、メンブランは平坦である。他の好ましい実施形態では、メンブランはプリーツ付きである。
任意の平均細孔直径を有するメンブランを、本発明の方法および装置で使用することができる。より大きい平均細孔直径を有するメンブランを用いると、より小さい平均細孔直径を有するメンブランを用いたときよりも、他の条件を同じにすれば、より大きいベシクルが生成され、より大きな流量が得られるであろう。好ましい実施形態では、メンブランは、生成されるベシクルの直径とほぼ等しい平均細孔直径を有する。他の好ましい実施形態では、平均細孔直径は約50〜約400nmである。より好ましい実施形態では、平均細孔直径は約75〜約200nmである。さらにより好ましい実施形態では、平均細孔直径は約100〜約125nmである。最も好ましい実施形態では、平均細孔直径は約100nmである。
任意の細孔密度を有するメンブランを、本発明の方法および装置で使用することができる。より大きい細孔密度を有するメンブランを用いると、より小さい細孔密度を有するメンブランを用いたときよりも、他の条件を同じにすれば、汚損または目詰まりが減少し、より大きい流量が得られるであろう。したがって、一般的には、より大きな細孔密度が好ましい。しかしながら、大きい細孔密度には、いくつかの欠点が伴う。第1に、高い細孔密度にすると、メンブランの引張強度が損われる可能性があるので、印加される押出圧力に耐えるその能力が損われる可能性がある。第2に、ランダムに分布した細孔を有するメンブランでは、細孔密度の増加に伴ってオーバーラップする細孔の数が増加する。オーバーラップする細孔は、メンブランの定格サイズよりも大きい細孔直径を有するので、メンブランにより押し出されたベシクルの平均直径が増加する可能性がある。したがって、メンブランの引張強度を損なうことなく、または押し出されたベシクルの平均粒子直径を著しく増大させることなく、達成することができる範囲で高い細孔密度であることが好ましい。達成可能なまたは望ましい最大細孔密度はまた、メンブランの平均細孔直径によっても制限される。より大きい平均細孔直径を有するメンブランは、より小さい平均細孔直径を有する以外は類似しているメンブランよりも、低い最大細孔密度を有する。好ましい実施形態では、細孔密度は、約8×105〜9×109個/cm2(ランダム分布細孔)である。より好ましい実施形態では、細孔密度は、約8×106〜5×109個/cm2(ランダム分布細孔)である。最も好ましい実施形態では、細孔密度は、約1.5×107〜2.6×109個/cm2(ランダム分布細孔)である。
細孔の非ランダム分布を用いることにより、その平均細孔直径を著しく増大させることなく、メンブラン中でより大きい細孔密度を達成することができる。非常に高い細孔密度においてさえも、オーバーラップする細孔の発生を実質的に抑えて、細孔のパターン化アレイを有するスクリーンメンブランを製造することができる。したがって、好ましい実施形態では、細孔密度は、約8×105〜9×109個/cm2(非ランダム分布細孔)である。より好ましい実施形態では、細孔密度は、約8×106〜5×109個/cm2(非ランダム分布細孔)である。最も好ましい実施形態では、細孔密度は、約1.5×107〜2.6×109個/cm2(非ランダム分布細孔)である。
押出プロセス時に効率的にメンブランの操作および/または交換を行う装置を、本発明の方法で使用することができる。そのような装置は、たとえば、メンブランと、折曲りまたは粘着を予防するために単一の平面内にメンブランを保持するためのサポートリングと、を備える支持ホルダーであってもよい。支持ホルダー装置は、サンドイッチ型またはスタック型の構成で配置された異なるもしくは類似の細孔サイズ直径のメンブランで構成することができる。本発明の装置を用いれば、メンブランの取扱い時、使いやすさおよび便利さが提供される。たとえば、押出プロセス時に装置を容易に取り出したり交換したりすることが可能であり、そして滅菌することが可能である。
本発明の方法
本発明の方法によれば、ベシクル、ミセル、またはリポソームを形成することのできる材料を、高圧でスクリーンメンブランに通して押し出すことにより、ベシクル、ミセル、またはリポソームの懸濁液を製造する。本発明の方法および装置を用いる押出に好適な代表的な材料について以下で論述する。
本発明の方法および装置は、高い押出圧力を用いて実施される。より高圧で押出を行えば、流量が増大し、目詰まりまたは汚損が起こりにくくなり、メンブランが製造時により高い汚損度または目詰まり度に耐えられるようになり、より低い圧力で他の条件を同じにして同等の押出を起こったときよりも小さいサイズのベシクルが得られるであろう。使用することのできる圧力は、押出装置および使用するメンブランの許容範囲によってのみ制限される。好ましい実施形態では、約400psiよりも大きい圧力を使用する。他の好ましい実施形態では、約800psiよりも大きい圧力を使用する。より好ましい実施形態では、約1,500psiよりも大きい圧力を使用する。さらにより好ましい実施形態では、約5,000psiよりも大きい圧力を使用する。最も好ましい実施形態では、約8,000psiよりも大きい圧力を本発明で使用する。
本発明は任意の温度で実施することができる。好ましい実施形態では、制御された温度で押出を行う。より好ましい実施形態では、制御された温度は一定温度である。他の実施形態では、一定温度はほぼ室温である。他の実施形態では、一定温度は、押し出される脂質のTc以上ある。他の実施形態では、押し出される混合物は、複数種の脂質を含み、一定温度は、押し出される脂質のTcのうちの最高の温度に等しいかまたはそれ以上である。他の実施形態では、一定温度は、約15℃と約35℃の間である。より好ましい実施形態では、一定温度は、約20℃と約30℃の間である。より好ましい実施形態では、一定温度は、約23℃と約27℃の間である。最も好ましい実施形態では、一定温度は約25℃である。
本発明の方法および装置を用いれば、任意の所望の平均直径のベシクルを製造することができる。一般的には、先に説明したように、所望の平均ベシクル直径と同じような平均細孔直径を有するメンブランを選択する。たとえば、押し出されたベシクルをさらに1回以上押し出すか、メンブランのスタックを用いるか、より厚いメンブランを用いるか、押出の圧力を増大させるか、または本明細書に記載のように処理することにより、平均ベシクルサイズを減少させることができる。ベシクルのサイズは、当技術分野で公知の任意の方法を用いて決定することが可能である。たとえば、Bloomfield, 1981, Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 10:421-50に記載されているように、動的光散乱(DLS)としても知られる準電光散乱(quasi-electric light scattering)(QELS)を使用することができる。好ましい実施形態では、ベシクルは、約50〜400nmの平均直径を有する。より好ましい実施形態では、平均直径は、約50〜150nmである。さらにより好ましい実施形態では、平均直径は、約100〜150nmである。最も好ましい実施形態では、平均直径は、約169±37nm、158±39.5nm、136±42nm、153.6±45.2nm、138.6±35.6nm、114.4±35.8nmまたは118.1±36.2nmである。
本発明の方法および装置を用いれば、所望のラメラ性のベシクルを製造することができる。単層ベシクルは、一層のメンブランを有する。多重層ベシクル(MLV)は、複数のメンブラン層を含む。Lasic, 1997, Liposomes in Gene Delivery, CRC Press LLC, Boca Raton 67-71を参照されたい。本発明の好ましい実施形態では、本発明の方法または装置を用いてMLVの懸濁液を押し出して、所望の平均直径の単層ベシクルの懸濁液を製造する。他の好ましい実施形態では、本発明の方法または装置を用いて乳濁液を押し出す。
本発明の方法または装置を用いて製造されたベシクルは、任意の処理方法を用いてさらに処理することが可能である。好ましい実施形態では、本発明の方法または装置を用いて製造されたベシクルの懸濁液の平均ベシクル直径を、それらを押し出した後、改変する。より好ましい実施形態では、押し出されたベシクルを、さらに1回以上押し出す。さらにより好ましい実施形態では、本発明の方法または装置を用いて追加の押出を行う。最も好ましい実施形態では、「ステップダウン」法を用いて、すなわち、各逐次押出を、順次平均細孔直径がより小さいメンブランに通して行う形で、ベシクルを多重通過で押し出す。他のより好ましい実施形態では、メンブランの目詰まり量または汚損量を減少させるために、懸濁液を順方向および逆方向に交互にメンブランに通して処理する。
他の好ましい実施形態では、押し出されたベシクルの平均直径を音波処理によりさらに減少させる。他の好ましい実施形態では、断続的な音波処理サイクルとQELS評価とを交互に行って、効率的なベシクル合成を行えるようにする。
他の好ましい実施形態では、夾雑物または不純物を取り除くために、押し出されたベシクルを処理する。他の好ましい実施形態では、押し出される懸濁液は、ベシクル中に組み込まれる物質を含有し、処理ステップでは、その物質のうちベシクル中に組み込まれなかった部分を取り除く。より好ましい実施形態では、ベシクル中に組み込まれる物質は、小分子薬物、タンパク質、ペプチド、核酸、またはオリゴヌクレオチドのような医薬活性物質である。
任意の数のスタック型メンブランを用いて、本発明の方法および装置を実施することができる。当業者には当然のことながら、より多くのスタック型メンブランに通して押し出せば、より少ない同様のスタック型メンブランに通して押し出すよりも、流量が低下し、より小さい平均直径を有するベシクルが得られるであろう。スタックで使用することのできるメンブランの数は、押出装置の許容範囲によってのみ制限される。好ましい実施形態では、スタックは、2〜10のメンブランを含む。最も好ましい実施形態では、スタックは、2〜5のメンブランを含む。他の好ましい実施形態では、スタック型メンブランは本質的に同一である。他の好ましい実施形態では、スタック中の少なくとも1つのメンブランは、スタック中の少なくとも1つの他のメンブランとは異なる。差異は、押出に影響を及ぼす任意の性質の差異であってよい。差異は、たとえば、本明細書に記載されているように、メンブランの組成、コーティング、細孔サイズ、細孔密度、細孔角度、細孔形状、またはメンブランサイズの差異であってよい。
他の好ましい実施形態では、押出は、メンブランまたはメンブランのスタックに通して多重通過により行われる。スタック型メンブランの実施形態を押出に使用する場合、所望の直径のリポソームを得るうえで、多重通過は必要ではないかもしれない。とくに好ましい実施形態では、ステップダウン法を利用する。ステップダウン法では、順次、細孔直径がより小さいメンブランに通して懸濁液の多重通過処理を行う。ステップダウン法のとくに好ましい実施形態では、1回目の通過は、約0.4μmの細孔直径を有するメンブランに通して行い、2回目の通過は、約0.2μmの細孔直径を有するメンブランに通して行い、所要により、約0.1μmの細孔直径を有するメンブランに通して、第3回目、第4回目、第5回目、および6回目の通過を行う。
他の好ましい実施形態では、メンブランをフラッシング剤で処理する。より好ましい実施形態では、押出前にメンブランをフラッシング剤で処理する。他のより好ましい実施形態では、少なくとも1回のメンブラン通過が完了した後、かつメンブランを少なくとももう1回通過させる前に、メンブランをフラッシング剤で処理する。フラッシング剤は、目詰まりもしくは汚損を生じたメンブラン細孔から材料を取り除くかまたはメンブランの目詰まりもしくは汚損もしくは「篩分効果」の発生を防止する任意の物質または組成物であってよい。好ましい実施形態では、フラッシング剤は有機アルコールを含む。より好ましい実施形態では、フラッシング剤はエタノールを含む。
押出装置
適切なメンブランを収容することができかつ高い押出圧力に耐えることができる任意の押出装置を用いて、特許請求された本発明の方法および装置を実施に供することができる。好ましい実施形態では、本発明の押出装置および本発明の方法の実施に有用な装置は、親水性、傾斜細孔、または親水性傾斜細孔のスクリーンメンブランを含む。より好ましい実施形態では、メンブランは、ポリエステルトラックエッチングされた(PETE)メンブランである。他のより好ましい実施形態では、押出装置はさらにハウジングと収集容器とを含む。ここで、ハウジングは、耐圧性および耐液性シールによりメンブランの第1の面に機能しうる形で取り付けられ、収集容器は、押し出された懸濁液をメンブランの第2の面から送出された後で収容するように配置される。さらにより好ましい実施形態では、装置はさらにメンブラン支持体または器具を含む。他の好ましい実施形態では、水性懸濁液をメンブランに順方向および逆方向に交互に通して押し出すことができるように、押出装置を構成する。他の好ましい実施形態では、押出装置は接線フローを使用する。適切なメンブランを取り付けて、本発明で使用されることができる市販の装置としては、THE MINI-EXTRUDERTM, Cat. No. 610000 (AVANTI(登録商標) Polar Lipids, Inc., Alabaster AL), 参照, Subbarao, et al., 1991, Biochim. Biophys. Acta, 1063:147-54, Liposome Extruder, Part No. ER-1 (Eastern Scientific, Rockville MD), 参照, EMULSIFLEX(登録商標)-C50 Extruder, Cat. No. EFC50EX (Avestin, Inc., Ottowa, Ontario, Canada), 参照, LIPOSOFASTTM (Avestin, Inc.), LIPEXTM Extruders (Northern Lipids Inc., Vancouver, British Columbia, Canada)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の実施に有用な他の押出装置としては、米国特許第5,948,44
1号;同第5,556,580号および同第6,217,899 B1号に記載のものが挙げられる。
押出装置は高い押出圧力に耐えることができなければならない。一般的には、より大きな圧力にすれば、性能が改良され、たとえば、流量が増大し、メンブランの汚損および目詰まりが減少し、押し出されるベシクルのサイズがより急速に低下する。少なくとも、押出装置は、約400psiよりも大きい押出圧力に耐えることができなければならない。好ましい実施形態では、押出装置は、約800psiよりも大きい押出圧力に耐えることができる。より好ましい実施形態では、押出装置は、約1,000psiよりも大きい押出圧力に耐えることができる。他のより好ましい実施形態では、押出装置は、約1,500psiよりも大きい押出圧力に耐えることができる。より好ましい実施形態では、押出装置は、約5,000psiよりも大きい押出圧力に耐えることができる。最も好ましい実施形態では、押出装置は、約8,000psiよりも大きい押出圧力に耐えることができる。
印加される押出圧力に耐えることができるのであれば、利用可能な表面積を最適化するメンブラン支持ホルダーまたはハウジングを使用することができる。好ましい実施形態では、メンブランはプリーツ付きである。他の好ましい実施形態では、支持ホルダーまたはハウジングは、三次元メンブラン位置決めを利用する。本発明はさらに、押出プロセス時のメンブランの操作および/またはメンブランの交換を効率的に行う方法および装置を提供する。市販のポリカーボネートトラックエッチングされた(PCTE)メンブランおよびポリエステルトラックエッチングされた(PETE)メンブランは、本質的に破損しやすく、静電気を帯びている。これらのメンブランは、容易に屈曲し、それら自身に粘着するので、取り扱いが難しく、押出に使用されるメンブランホルダー中に位置決めすることが難しい。メンブランまたはメンブランホルダーが湿潤している場合、このことはとくに顕著である。このほか、PCTE、PETE、および他のタイプのメンブランは非常に破損しやすく、注意深い取扱いを必要とする。この問題を軽減するために、本発明は、メンブラン支持ホルダーまたはハウジングを使用することにより、メンブランの取扱いおよびホルダー中への導入を効率的に行えるようにする方法および装置を提供する。メンブラン支持ホルダーは、たとえば、カートリッジ支持ホルダーであってよい。
一実施形態では、カートリッジ支持体またはホルダーは、高圧における折曲りおよび粘着を防止するために単一平面内で支持リングの周囲に1つまたは複数のメンブランを固定することのできる支持リングで構成することができる。装置は、種々の構成で1つまたは複数のメンブランを保持することができる。たとえば、「サンドイッチ型」またはスタック型構成でメンブランを収容することができる。複数のメンブランをカートリッジに収容する場合、メンブランは、細孔サイズ直径が同じであっても異なっていてもよい。装置またはカートリッジは、さまざまな他の特徴を有することができる。たとえば、カートリッジ支持ホルダーにメンブランを事前に組み込むことが可能であり、装置を滅菌して、自動化メンブラン交換システムに容易に組み込むことができる。
カートリッジホルダー装置は、メンブランの取扱いを最小限に抑え、メンブランの装填の効率を高めるという利点を備える。このほか、カートリッジホルダー装置を用いれば、たとえば、プロダクトフローを新しいカートリッジホルダー装置に向けるとともに、目詰まりまたは汚損を生じたカートリッジホルダー装置を取り出すという形で、目詰まりまたは汚損を生じたメンブランを交換することができるので、全体的な生産効率が改良される。
脂質
本発明の方法および装置を用いれば、任意の好適な物質からベシクル、ミセル、またはリポソームを押し出すことができる。好ましい実施形態では、本発明の方法および装置を用いて、脂質または脂質の組合せからリポソームを製造する。任意の脂質または脂質の組合せを使用することができる。好ましい実施形態では、押し出される脂質は、従来の方法および装置を用いて押し出すことが困難である。より好ましい実施形態では、困難な脂質は、ほぼ室温よりも高いTcを有する。他の好ましい実施形態では、困難な脂質は剛性アシル鎖を含む。より好ましい実施形態では、剛性アシル鎖はモノ不飽和アシル鎖である。他の好ましい実施形態では、困難な脂質は不純物または夾雑物を含む。より好ましい実施形態では、不純物または夾雑物は脂質の押出を困難にする樹脂か不純物である。より好ましい実施形態では、不純物または夾雑物は、製造プロセス時に導入された樹脂である。他の好ましい実施形態では、困難な脂質は他の分子と会合する。より好ましい実施形態では、分子は薬物である。他のより好ましい実施形態では、分子はタンパク質である。他の好ましい実施形態では、困難な脂質は荷電脂質である。他の好ましい実施形態では、困難な脂質は製造規模で押出が困難である。とくに好ましい実施形態では、困難な脂質は、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、およびジ-ステアロイル-ホスファチジルエタノールアミンよりなる群から選択される。
他の好ましい実施形態では、脂質は容易な脂質である。より好ましい実施形態では、容易な脂質は、卵黄ホスファチジルコリン(EPC)、卵ホスファチジルグリセロール、およびジ-オレオイル-ホスファチジルコリンよりなる群から選択される。
本発明で使用するのに好適な他のリン脂質としては、ジ-ラウロイルホスファチジルコリン、ジ-ラウロイルホスファチジルグリセロール、オレオイル-パルミトイルホスファチジルコリン、糖脂質結合リン脂質、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、レシチン、β,γ-ジパルミトイル-α-レシチン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、N-(2,3-ジ(9-(Z)-オクタデセニルオキシ))-プロパ-1-イル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、セファリン、カルジオリピン、セレブロシド類、ジセチルホスフェート、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、パルミトイル-オレオイル-ホスファチジルコリン、ジ-ステアロイル-ホスファチジルコリン、ステアロイル-パルミトイル-ホスファチジルコリン、ジ-パルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン、ジ-ステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン、ジ-ミルストイル-ホスファチジルセリン、ジ-オレイル-ホスファチジルコリン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
最も好ましい実施形態では、脂質はホスファチジルコリンまたはスフィンゴミエリンである。
本発明の組成物のリポソーム中で、リン非含有脂質を使用することも可能である。こうした脂質としては、コレステロール、他のステロール、ステアリルアミン、ドセシルアミン、アセチルパルミテート、および脂肪酸アミド類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のリポソームで使用するのに好適な他の脂質は、当業者に周知であり、さまざまな周知の情報源(たとえば、McCutcheon's Detergents and Emulsifiers and MeCutcheon's Functional Materials, Allured Publishing Co., Ridgewood, N.J.)の中に列挙されている。
本発明の方法および装置で使用される脂質には、化学修飾脂質が包含される。好ましい実施形態では、脂質を修飾基に共有結合させる。修飾基は、なんらかの1つまたは複数の特性に影響を及ぼしうる。たとえば、修飾基により、脂質の転移温度、アセンブリー特性、押出特性、封入特性、in vivo標的化特性、in vivo処理特性、生理学的作用、安定性、または半減期を変化させることができる。好ましい実施形態では、修飾脂質は、ポリエチレングリコールが結合されたものである(PEG結合)。他の好ましい実施形態では、修飾脂質はPEG化リン脂質である。
他の好ましい実施形態では、本発明の方法および装置で、脂質の組合せを使用することができる。たとえば、本発明の方法および装置で、リン脂質およびPEG結合脂質を使用することができる。
押し出される調製物はまた、他のタイプの分子を含有することができる。脂質と会合しうる他の分子またはイオンの例としては、コレステロールもしくは他のステロイドまたはステロイド誘導体、溶媒、緩衝剤、酸、塩基、塩、金属、キレート化剤、糖、タンパク質、核酸、および以下に記載されているような薬物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。たとえば、Lasic, 1997, Liposomes in Gene Delivery, CRC Press LLC, Boca Raton 67-71を参照されたい。
リポソームの調製物を被験体に投与するために、リポソームは、37℃で、しばしば35℃で、時には32℃で液晶である脂質で構成することが一般に望ましい。被験体は典型的には約37℃の核心温を有するので、37℃で液晶である脂質で構成されたリポソームは、一般的には、処置時、液晶状態である。
本方法では最高品質の原料を使用する。その理由の1つは、高圧を利用することにある。原料の脂質は、押出プロセスで使用する前、特定の品質管理基準を満足するものでなければならない。たとえば、pH、粉末サイズ、乾燥粉末の形態、湿潤粒子サイズ、オスモル濃度、カルシウムレベル、微粒子レベル、乾燥条件、ならびに添加剤、製造プロセスからの残留物または不純物のレベルを制御しなければならない。これらのパラメーターは、溶解状態または懸濁状態の脂質の物理的特性に影響を及ぼして脂質の押出を困難なものにする可能性がある。とくに、pHを制御して一定にすること、カルシウムレベルを低くすること、および原料を十分に乾燥させて良好な視覚的特性をもたせることが必要とされる。
脂質の調製
ベシクル、ミセル、またはリポソームを形成するように押出を行いうる1種以上の物質を含む任意の調製物を、本発明の方法および装置で使用することができる。好ましい実施形態では、1種以上の脂質を含む調製物を使用する。とくに好ましい実施形態では、調製物は、1種以上の脂質を含む水性懸濁液である。そのような調製物を製造する任意の方法を使用することができる。たとえば、Lasic, 1997, Liposomes in Gene Delivery, CRC Press LLC, Boca Raton 67-71 at pages 88-91; Szoka, et at., 1980, Biochim. Biophys. Acta, 601:559-71を参照されたい。これらの方法では、一般に、脂質の水性懸濁液を製造することが必要とされる。好ましい実施形態では、脂質は、懸濁液中で多重層ベシクル(MLV)を形成する。MLVの懸濁液は、所望のサイズおよびラメラ性のベシクル、たとえば、SUVまたはLUVを製造するように押し出すことができる。典型的には、約5〜50mMの脂質濃度を使用するが、約400mg/mlまでまたはそれ以上の脂質濃度が利用可能である。複数種の脂質を使用する場合、一般的には、最初に、クロロホルム、3:1(v:v)クロロホルム:メタノール混合物、または第三級ブタノールのような有機溶媒中に脂質を混合する。典型的には約30℃〜約50℃の温度で、脂質を溶媒に溶解させ、次に、たとえば、ドライアイス-エタノール浴中またはドライアイス-アセトン浴中でインキュベートすることにより、急速に凝固させる。次に、有機溶媒を蒸発させ、そして乾燥した脂質の膜、ケーキ、または粉末を適切な水溶液中で再水和させる。再水和は、典型的には、最も高いTc(2種以上の脂質を使用する場合)を有する脂質のTcよりも高い温度で、かつ水溶液(たとえば、蒸留水、緩衝化蒸留水、塩類溶液、もしくは糖溶液、または溶解された非電解質の他の溶液)中で、行われる。好ましくは、約1時間よりも長い時間にわたり水和ステップを継続させ、同時に攪拌を行うが、脂質によっては、数分間程度の短い時間ですむこともある。水和プロセス時に形成されるMLVのサイズ範囲は、一般的には、約500nm〜約10,000nm(10ミクロン)またはそれ以上である。典型的には、水和時、より激しい攪拌を行うことは、より小さいMLVを形成するのに有利である。場合により、水和後、混合物を一晩静置する。こうすると、後続の単層ベシクル形成が容易になる。脂質の水性懸濁液を製造する好ましい方法では、脂質のクロロホルム溶液を渦攪拌し、N2の定常ストリーム下で溶媒を除去する。サンプルを高真空下で乾燥させる。得られた乾燥脂質膜を、150mM NaClおよび20mM [4-(2-ヒドロキシエチル)]-ピペラジン-エタンスルホン酸(Hepes, pH 7.4)中で再水和させる。
他の好ましい実施形態では、押し出される調製物は、1種以上の脂質の乳濁液を含む。乳濁液は、任意の公知の方法および機械的装置、たとえば、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、またはミキサー(ロートステーター(roto-stator)など)を用いて形成することができる。たとえば、Martin, et al., 1983, Physical Pharmacy: Physical Chemical Principles in the Pharmaceutical Sciences, Lea & Febiger Publishers, Philadelphia; Gennaro, et al., 1990, Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaを参照されたい。脂質の調製では、リポソーム調製物内で所望の最終平均ベシクル直径または狭いベシクル直径範囲を達成できない可能性のある他のリポソーム形成法を利用することもできる。その例としては、均質化、マイクロ流動化、音波処理、高剪断混合、または金属フリットもしくはセラミックフィルターを介する押出が挙げられるが、これらに限定されるものではない。たとえば、New, 1990, Liposomes: A Practical Approach, Oxford University Press, New York, Chapter 2を参照されたい。
他の好ましい実施形態では、高い封入効率の条件下でリポソームを形成する。逆相蒸発法が好ましい。この方法により形成される逆相蒸発ベシクル(REV)は、(a)1つ以上の二重層、(b)典型的には約20〜50%の封入効率、(c)約500nmから20,000nm(20ミクロン)までの広範にわたるサイズにより特性づけられる。これらのおよび他のリポソーム調製方法はレビューされている。Szoka, et al., 1980, Biochim. Biophys. Acta 601:559-71を参照されたい。
また、押し出される調製物には、ベシクル、ミセル、もしくはリポソーム中に封入するかまたはそれらに結合させる対象となる任意の物質が含まれていてもよい。好ましい実施形態では、物質は、コレステロールもしくは他のステロイドまたはステロイド誘導体、溶媒、緩衝剤、酸、塩基、塩、金属、キレート化剤、糖、タンパク質、核酸、あるいは薬物である。たとえば、Lasic, 1997, Liposomes in Gene Delivery, CRC Press LLC, Boca Raton 67-71を参照されたい。より好ましい実施形態では、物質は、コレステロール、ポリエチレングリコール、アルキルスルフェート、臭化アンモニウム、またはアルブミンである。他のより好ましい実施形態では、物質は薬物である。リポソームを用いれば、たとえば、薬物の組織内分布および取込みを治療上有利な形に改変したり、薬物投与頻度を減少させることにより治療の便宜を向上させたりすることもできる。たとえば、Poznansky, et al., 1984, Pharmacol. Rev. 36:277-336を参照されたい。さらにより好ましい実施形態では、薬物は抗高脂血症剤である。The Physicians' Desk Reference (54th ed., 2000)を参照されたい。さらにより好ましい実施形態では、抗高脂血症剤は、塩酸コレスチポール、エチル2-(p-クロロフェノキシ)-2-メチル-プロプリオネート、ゲムフィブロジル、フェノフィブレート、セリバスタチンナトリウム、フルバスタチンナトリウム、アトルバスタチンカルシウム、ロバスタチン、プラバスタチンナトリウム、シンバスタチン、またはニコチン酸である。上記文献参照。他のより好ましい実施形態では、薬物は抗生物質である。さらにより好ましい実施形態では、抗生物質はドキソルビシンである。上記文献508頁参照。他のさらに好ましい実施形態では、抗生物質はアンホテリシンBである。上記文献1653頁参照。他の好ましい実施形態では、抗癌薬は、ビンクリスチン、ミトキサントロン、または他の抗癌薬である。たとえば、Bally, et al., 1990, Biochim. Biophys. Acta 1023: 133-9, Sugarman, et al., 1992, Crit. Rev. Oncol. Hematol. 12: 231-42, Kim, et al., 1993, Drugs 46: 618-38; Lim, 1997, J. Pharmacol. Exp. Ther. 281:566-73; Fielding, 1991, Clin. Pharmokinet. 21:155-64を参照されたい。
in vivo使用を目的としたリポソームの場合、製薬上許容される担体を含む水性緩衝液を使用することができる。組成物には、pH調整剤、pH緩衝剤、等張化剤などのように生理学的条件に近づけるのに必要とされる製薬上許容される補助物質、たとえば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなどが含まれていてもよい。好ましい実施形態では、ほぼ生理学的オスモル濃度(すなわち、290mOsm/kg)を有する水性緩衝液を使用する。そのような緩衝液の例としては、0.9%生理食塩溶液、5%デキストロース溶液、および10%スクロース溶液が挙げられる。多くの他の製薬上許容される担体を利用することも可能である。一般的には、通常生理食塩水が製薬上許容される担体として利用されるであろう。他の好適な担体としては、たとえば、水、緩衝化水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシンなどが挙げられ、これらは、安定性を増強するために、アルブミンのような糖タンパク質、リポタンパク質、グロブリンなどを含有する。
押し出される調製物には、不純物または夾雑物が含まれている可能性があるが、好ましい実施形態では、押出プロセス前、押出プロセス時、または押出プロセス後、これらの物質を水溶液から除去する。
これらの組成物を従来の周知の殺菌方法により滅菌することも可能である。得られた水溶液は、使用に供すべくパッケージ化するか、または無菌条件下で濾過し凍結乾燥させて投与前に凍結乾燥調製物を無菌水溶液と組み合わせるようにすることも可能である。
リポソームの使用
本発明の方法および装置を用いて生成されたベシクル、ミセル、およびリポソームは、従来法を用いて生成されたベシクル、ミセル、およびリポソームを使用するのとまったく同じように使用することができる。好ましい実施形態では、本発明の方法および装置を用いて生成されたリポソームは、薬物または医薬活性物質を患者に送達するために使用される。たとえば、米国特許第4,769,250号; 同第4,906,477号; 同第5,736,155号; 同第6,060,080号; Poznansky, et al., 1984, Pharmacol. Rev. 36:277-36; Lim, 1997, J. Pharmacol. Exp. Ther. 281:566-73; Kim, 1993, Drugs 46:618-38; Fielding, 1991, Clin. Pharmokinet. 21:155-64; Sugarman, et al. , 1992, Crit. Rev. Oncol. Hematol. 12:231-42; Bally, et al., 1990, Biochim. Biophys. Acta 1023:133-39を参照されたい。より好ましい実施形態では、リポソームは、被験体の組織または細胞型に薬物または医薬活性物質を選択的に送達する。他の好ましい実施形態では、リポソームに核酸を封入する。Lasic, 1997, Liposomes in Gene Delivery, CRC Press LLC, Boca Raton 67-71を参照されたい。とくに好ましい実施形態では、核酸は、遺伝子の発現を阻害するために使用されるアンチセンス核酸である。他のとくに好ましい実施形態では、たとえば、遺伝的疾患(たとえば、嚢胞性繊維症、ゴーシェ病、鎌状赤血球貧血、サラセミア、血友病、家族性高コレステロール血症など)、癌(たとえば、腫瘍の免疫原性を増強させたり、免疫細胞の活性を増強させたり、腫瘍中に自殺遺伝子を挿入したり、腫瘍中に腫瘍サプレッサー遺伝子を挿入したり、遺伝子の発現を阻止したり、幹細胞を保護したり、または腫瘍特異性プロモーターの制御下に毒素コード遺伝子を挿入したりすることにより)、感染性疾患(たとえば、後天性免疫不全症候群、肝炎、疱疹など)、神経系疾患(たとえば、パー
キンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症など)、心臓血管疾患(たとえば、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、血栓症、心臓虚血など)、または他の疾患もしくは症状(たとえば、関節炎、喘息、糖尿病、骨粗鬆症、老齢性虚弱など)を処置するための遺伝子治療プロトコールで核酸含有リポソームを使用する。Lasic, 1997, Liposomes in Gene Delivery, CRC Press LLC, Boca Raton 67-71の8〜13頁を参照されたい。
とくに好ましい実施形態では、本発明の方法および装置は、米国特許第5,746,223号; 同第6,367,479号; 同第6,079,416号; 同第6,080,422号; 同第5,736,157号; 同第5,948,435号; 同第5,858,400号; 同第5,843,474号; 同第6,312,719号、および同第6,139,871号に記載されているように、アテローム性動脈硬化症を処置することに有用なリポソームを製造するために使用される。リポソームをタンパク質またはポリペプチドに結合させることにより、コレステロールの移動速度またはリポソームのコレステロール運搬能力を増大させることができる。リポソームへのアポリポタンパク質の結合は、とくに有用である。アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質A2、およびアポリポタンパク質E、またはそれらの断片、誘導体、アゴニスト、類似体、もしくはペプチド模擬体は、一般的には、リポソームに結合させる最も有用なアポリポタンパク質であろう。たとえば、米国特許第6,037,323号、同第6,004,925号、および同第6,046,166号を参照されたい。これらのアポリポタンパク質は、代謝を行う肝臓へのコレステロールおよびコレステリルエステルの移動を促進する。レシチン-コレステロールアシルトランスフェラーゼもまた、遊離コレステロールからコレステリルエステルへの代謝に有用である。リポソームは、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質A2、およびレシチン-コレステロールアシルトランスフェラーゼの分子、またはそれらの断片、誘導体、アゴニスト、類似体、もしくはペプチド模擬体に、単独でまたは任意の組合せおよびモル比で結合させることが可能である。
好ましい実施形態では、本発明の方法および装置により製造され患者の処置に供されるリポソームは、生理学的に許容される緩衝液、担体、または希釈剤中に存在する。緩衝液、担体、または希釈剤中のリポソームの濃度は、ケースごとに異なるであろう。一般的には、濃度は、約20〜300mg/ml、普通は約100〜300mg/ml、ごく普通には約100〜200mg/mlであろう。当業者であれば、異なるリポソーム成分による処置または特定の患者の処置を最適化するように濃度を変化させることが可能である。たとえば、処置に関連する流体充填物を減少させるべく、濃度を増大させることも可能である。このことは、アテローム性動脈硬化症関連の鬱血性心不全または重篤な高血圧症の患者にとくに望ましいであろう。他の選択肢として、刺激性脂質で構成されたリポソームを低濃度に希釈することにより、投与部位における炎症を減少させることも可能であろう。
1. 600psiにおける0.1μmポリカーボネートトラックエッチングされたメンブランを介する20% POPCの押出
以下の実施例では、従来の方法および装置を用いたとき、困難な脂質が押出メンブランの目詰まりまたは汚損を引き起こす可能性があるが、フラッシング剤を有利に利用できることを明らかにする。
2gの1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC) (Genzyme, Cambridge MA, Cat. No. LP-04-031)を、50mlコニカルチューブ中の8mlのリン酸塩緩衝食塩溶液(PBS)(140mM生理食塩水, 20mMリン酸塩, pH約4)に添加し、手で激しく約5分間振盪させることにより、PBS中のPOPC MLVの均一な200mg/ml懸濁液を形成した。押出機製造業者の使用説明書に従って、10ml LIPEXTM押出機(Northern Lipids, Vancouver, British Columbia, Canada)に、2スタックの0.1μmポリカーボネートトラックエッチングされた(PCTE)NUCLEPORETMメンブラン(Whatman, Ann Arbor, MI; Cat. No. 110605)を取り付け、PBSでフラッシングした。POPC-PBS MLV懸濁液を600psiでメンブランスタックに通して処理した。10mlの体積を押し出すのに要した合計時間は、17分32秒であった。同一のメンブランスタックへの2回目の通過を試みたが、25分後に異常終了した。その時、わずか約2.5mlの懸濁液しかメンブランスタックを通過しなかったので、目詰まりまたは汚損を生じたことが示唆される。システムにエタノールを添加して押出を継続することにより、このことを実証した。最終濃度が10%エタノールになるように、100%エタノールを押出機リザーバーに添加した。約0.8mlの100%エタノールをバレルに添加し、バレルを2分間渦攪拌することにより、その内容物が約10%エタノールになるようにした。押出機に600psiの圧力を加えたところ、押出を継続させることができたので、POPC MLVによりフィルターが目詰まりまたは汚損を生じていたことが示唆される。
2. 400および800psiにおける2スタック型PORETICS TM およびNUCLEPORE TM PCTEメンブランを介する20% POPCの押出
この実施例では、PORETICSTM PCTEメンブラン(Osmonics, Minnetonka, MN)を用いたとき、NUCLEPORETM PCTEメンブランを用いたときよりも、目詰まりまたは汚損を有意に低下させて20% POPC懸濁液の押出が継続されること、およびこれらの2つのメンブランの性能の差が圧力の増加に伴って増大することを明らかにする。
実施例1に記載されているように、GENZYMETM POPCの20%懸濁液を調製し、10ml LIPEXTM押出機に通して押し出した。個別の実験として、2スタックのPORETICSTMまたはNUCLEPORETMの0.1μm平均細孔サイズPCTEメンブラン(それぞれ、Osmonics PORETICSTM Catalogue No. K01CP02500およびWhatman NUCLEPORETM Catalogue No. 110605)のいずれかを押出機に配設した。個別の実験として、400または800psiで押出を行った。図1に示されるように、400psiでさえも、PORETICSTM PCTEメンブランは、NUCLEPORETM PCTEよりも、メンブランの目詰まりまたは汚損がかなり起こりにくくなる。この差異は、800psiのときにも観測される。
3. ポリエステルトラックエッチングされた(PETE)メンブランを介する20% POPCの押出
この実施例では、メンブランの汚損も目詰まりも起こすことなく脂質を親水性押出メンブランに通して処理できることを明らかにする。
個別の実験として、PBS中のPOPC MLV(実施例1に記載されているように調製した)の200mg/ml懸濁液10mlを、PORETICSTMポリエステルトラックエッチングされた(PETE)メンブラン, Cat. No. T04CP02500(平均細孔直径0.4μm、メンブラン直径25mm)、T02CP047FX(平均細孔直径0.2μm、メンブラン直径47mm(直径25mmにハンドカットした))、およびT01CP02500(平均細孔直径0.1μm、メンブラン直径25mm)に通して押し出した。結果を表1に示す。各実験ごとに、新しいバッチのPOPC MLVを作製した。各実験間で、生理食塩水を用いて押出機をフラッシングした。押し出された懸濁液の平均粒子サイズを、製造業者の説明書に従って、380 ZLS分粒器(Nicomp, Santa Barbara, CA)を用いてQELSにより決定した。
Figure 2005518266
これらの結果から明らかなように、PETEメンブランは、PCTEメンブランが目詰まりまたは汚損を生じる条件下で、目詰まりも汚損も生じない。さらに、これらの結果から明らかなように、押出圧力を増大させることにより、脂質の押出で得られる粒子サイズを減少させることができる。
4. 高圧および低圧における5スタック型PETEメンブランを介する20% EPCの押出
この実施例では、比較的容易な脂質を親水性メンブランに通して押し出すことができることを明らかにする。
50ml三角フラスコ中で全体が30mlになるように6gのLIPOID EPC(登録商標)(Lipoid, Ludwigshafen, Germany)(卵黄由来のホスファチジルコリン)を生理食塩溶液(Abbot, Abbott Park, IL)に加えることにより、EPCの20%溶液を作製した。視覚的に均一になるまで、フラスコを手で約5分間振盪させた。5スタックの平均細孔直径0.1μm、メンブラン直径25mmのPORETICSTM PETEメンブラン(Cat. No. T01CP02500)を、10ml LIPEXTM押出機に配設した。2つの個別の実験として、EPC懸濁液10mlを400または800psiのいずれかでフィルターに10回通して処理した。実験間で押出機を洗浄した。これらの実験の結果を表2に示す。
Figure 2005518266
したがって、EPCをPETEメンブランに通して高圧押出を行うと、流量は増大し、粒子サイズは減少する。
5. 800psiにおける単一のPCTEまたはPETEメンブランを介する20% POPCの押出
この実施例では、PETEメンブランに通して押し出したとき、PCTEメンブランに通して押し出したときよりも、流量が増大することを明らかにする。
実施例1に記載されているように、GENZYMETM POPCの20%懸濁液を調製し、10ml LIPEXTM押出機に通して押し出した。個別の実験として、単一のPORETICSTMの平均細孔サイズ0.1μmのPETEメンブランまたは単一のPORETICSTMの平均細孔サイズ0.1μmのPCTEメンブラン(それぞれ、Osmonics Catalogue No. T01CP02500およびK01CP02500)のいずれかを押出機に配設した。図2に示されるように、これらの条件下では、PCTEメンブランのときのほうが、PETEメンブランのときよりも、少ない通過回数で小さい粒子が得られた(図2A)。しかしながら、PETEメンブランを介する押出は、PCTEメンブランで達成された流量の約3倍の流量で行われた(図2B)。
6. 600psiにおける5スタックのPETEメンブランを介する20% POPCの押出
この実施例では、適度の高圧で親水性メンブランに通して押し出すことにより困難な脂質の懸濁液をSUVの懸濁液に効率的に変換できることを明らかにする。
実施例1に記載されているように20% GENZYMETM POPC懸濁液を作製した。5スタックのPORETICSTMの平均細孔サイズ0.1μmのPETEメンブラン(Cat. No. T01CP02500)を、10ml LIPEXTM押出機に配設した。POPC懸濁液を600psiでメンブランに5回通して押し出した。結果を表3に示す。
Figure 2005518266
7. 400および800psiにおける2スタックのPCTEおよびPETEメンブランを介するPOPCの押出
この実施例では、PETEメンブランを用いると傾斜細孔PCTEメンブランを用いるよりも高圧において目詰まりも汚損もかなり起こしにくくなることを明らかにする。
いくつかの本発明者らの初期の実験では、高圧で行われた押出の最後に出口収集チューブから高速度で流出する過剰の窒素ガスが原因となって、押し出された脂質懸濁液の一部分が押出後に失われた。この流出ガスは、押出機ベースから出口チューブを吹き飛ばしたり、回収容器から生成物溶液の一部分を跳ね飛ばしたりすることが多かった。この問題に対処するために、本発明者らは、出口収集チューブが押出機のベースから吹き飛ばされないようにガードチューブを配設した。このガードチューブは、本質的には、より薄肉の出口収集チューブがネジ込まれた大きい直径のチューブ片であった。ガードチューブは、ベースプレートから出口収集チューブに加わるさらなる摩擦を提供した。押出溶液のさらなる制御を行うために、ガイドとして機能するようにリングスタンドを配設し、チューブを適正な向きに保持することにより、押し出された懸濁液が本発明者らの収集容器に、より適切に収集されるようにした。これらの2つの付属品を装置に追加することにより、生成物の損失をほぼ完全に防止するのに十分な程度に出口収集チューブのさらなる制御ができるようになった。
実施例1に記載されているように20% GENZYMETM POPC懸濁液を作製した。個別の実験として、2スタックのPORETICSTMの平均細孔サイズ0.1gmのPETE (Cat. No. T01CP02500)またはPCTE (Cat. No. K01CP02500)メンブランを10ml LIPEXTM押出機に配設した。これらの各セットアップにおいて、POPC懸濁液を400または800psiのいずれかでメンブランに通して押し出し、1回の通過で処理することができた押出懸濁液の体積を時間の関数として測定した。結果を図3に示す。図3Aは、400psiにおいてPETEメンブランとPCTEメンブランの間に有意差がないことを示している。図3Bは、高圧においてPETEメンブラン構成ではPCTEメンブラン構成のときよりもメンブランが目詰まりまたは汚損を生じる前に有意に多くの量を処理できることを示している。
8. 1、2、5、および10スタックのPETEメンブランを介する20% POPCの押出
以下の実施例では、POPC LUVの生成効率に及ぼすメンブラン数の影響を明らかにする。
実施例1に記載されているように、GENZYMETM POPCの20%懸濁液を調製し、10ml LIPEXTM押出機に通して押し出した。個別の実験として、1、2、5、または10スタック型PORETICSTMの平均細孔サイズ0.1μmのPETEメンブラン(Osmonics Poretics Catalogue No. T01CP02500)のいずれかを押出機に配設した。押出はすべて800psiの圧力で行った。結果を図4に示す。図4Aは、通過回数と、生成したLUVの平均粒子直径と、の関係を示している。スタック中のメンブランの数と、所望の平均直径のLUVを作製するのに必要な通過回数と、の間には、一般に逆相関がある。図4Bは、通過回数と流量との関係を示している。任意の所与の通過回数において、流量は、スタック中のフィルターの数に反比例する。図4 Cに示されるように、120nmの平均直径のLUVを作製するのに必要な通過回数は、5スタック(4回通過)のときほうが10スタック(5回通過)ときよりもわずかに少ない。
9. 400、600、および800psiにおける5スタックのPETEメンブランを介する20% POPCの押出
この実施例では、POPC LUVの生成効率に及ぼす圧力の影響を明らかにする。
実施例1に記載されているように、GENZYMETM POPCの20%懸濁液を調製し、10ml LIPEXTM押出機に通して押し出した。5スタックのPORETICSTMの平均細孔サイズ0.1μmの PETEメンブラン(Osmonics PORETLCSTM Catalogue No. T01CP02500)を、押出機に配設した。個別の実験として、400、600、または800psiのいずれかで押出を行った。図5Aに示されるように、600または800psiを用いたとき、400psiのときと比較して、より少ない通過回数で、より小さいサイズの粒子が得られた。図5Bは、所与の通過時の流量が800psiのとき600psiのときの約2倍であり、600psiのときの流量が400psiのときの流量の約2倍であることを示している。図5Cは、約120nmの平均直径を有するLUVを作製するために、400psiでは8回の通過、600psiでは5回の通過、800psiでは4回の通過が必要であることを示している。
10. 400〜1,500 psiにおける2スタックのPCTEおよびPETE PORETICS TM ならびにPCTE NUCLEPORE TM メンブランを介するGENZYME TM POPCの押出
この実施例では、PCTEメンブランを介する押出と比較して、PETEメンブランを介する押出では、その押出圧力の増大によりメンブランの汚損または目詰まりが予想以上に大幅に減少すること、従って、メンブランの脂質処理能力が予想以上に大幅に増大することを明らかにする。この実施例ではさらに、この効果に対する明瞭な上限が存在しないことを明らかにする。
先に述べたように20% POPC懸濁液を作製した。個別の実験として、2スタック型のPORETICSTM PETEもしくはPCTEまたはNUCLEPORETM PCTEの細孔サイズ0.1μmのメンブラン(それぞれ、Osmonics PORETICSTM Catalogue No.T01CP02500、K01CP02500、およびWhatman Nuclepore Catalogue No.110605)のいずれかを、10mL LIPEXTM押出機に配設した。これらの各セットアップにおいて、POPC懸濁液を400psi〜1,500psiの範囲の圧力でメンブランに通して押し出した。押し出されたPOPC懸濁液の重量を時間の関数として測定し、各メンブランが所与の圧力で通過させうる懸濁液の最大量を計算した。図6に示されるように、これらの計算結果を押出圧力に対してプロットした。使用した各メンブランタイプにおいて、メンブランが完全に目詰まりを起こすまでに処理された懸濁液の最大量は、押出圧力の増加と共に直線的に増大した。この増加の線形性には明確な上限はない。各メンブランのプロットの傾きは、圧力を増加させたときのメンブランの改良度を表す尺度である。PORETICSTM PETE、PORETICSTM PCTE、およびNUCLEPORETM PCTEメンブランの結果をプロットしたときの傾きは、それぞれ、0.051、0.028、および0.015である。
11. 5,000および8,000psiまでの圧力におけるステップダウン方式の2スタック型PETEメンブランを介する20% POPCの押出
この実施例では、より高い押出圧力を用いることにより、粒子サイズがより急速に減少すること、したがって、所望の粒子サイズがより少ない押出通過回数で達成されることを明らかにする。本実施例は、ステップダウン押出処理法を使用し、順次減少する細孔サイズ直径を有する二重スタックのメンブランに材料を通して処理したこと以外は、実施例9(図5C)に記載のものと同じである。より高い押出圧力を用いたので、所望の粒子サイズに達するまでに要する押出通過回数は減少し、したがって、全体的処理時間は有意に削減される。
個別の実験として、リン酸塩緩衝食塩溶液中でPOPCを水和させることにより、20% POPC懸濁剤を作製した。次に、得られた溶液を、5,000または8,000psiまでの押出圧力で押出メンブランに通して個別通過として処理した。1回目の押出通過は、2スタック型PORETICSTM PETEの0.4μmメンブランに通して行い、2回目の通過は、2スタック型PORETICSTM PETEの0.2μmメンブランに通して行い、残りの通過は、2スタック型PORETICSTM PETEの0.1μmメンブランに通して行った。各押出通過後に粒子サイズ測定を行った。表4のデータからわかるように、より高い圧力を用いたため、140nm未満の平均粒子サイズ直径を達成するのに必要な通過回数は減少する。
Figure 2005518266
12. 1,500psiまでの圧力における2スタック型Whatman ANOPORE TM メンブランを介する20% POPCの押出
この実施例では、より高い押出圧力を用いることにより、押出体積が増大し、目詰まりまたは汚損が減少することを明らかにする。この実施例では、20% POPC懸濁液を作製し、さまざまな圧力で2スタックの0.1μm Whatman ANOPORETM 酸化アルミニウム無機メンブランに通して押し出した。より高い圧力にしたところ、メンブランを通って流動しうる材料の体積を増加させることができた。
Figure 2005518266
本発明に係る種々の実施形態について説明してきた。説明および実施例は、本発明を例示することを意図したものであり、これらに限定しようとするものではない。当業者には自明なことであろうが、実際には、本発明の精神または以下に明記された添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、記載の本発明に係る種々の実施形態に変更を加えることが可能である。
本明細書に引用された文献はすべて、その全体が参照により組み入れられるものとする。
2つの異なる市販のメンブラン(Osmonics製(「O」)およびWhatman製(「W」)の0.1μmの細孔直径のポリカーボネートトラックエッチングされた(PCTE)メンブラン)を400および800psiで用いたときの時間の関数としての押出体積を示している。 単一のPCTEメンブランに通して押し出したときと、単一のポリエステルトラックエッチングされた(PETE)メンブランに通して押し出したときと、を比較する1組のグラフである。これらのメンブランは、両方とも、0.1μmの細孔直径を有する。図2Aは、通過回数の関数としての粒子サイズを示すグラフである。図2Bは、通過回数の関数としての流量を示すグラフである。 図3Aは、20%の1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)を400psiで0.1μmの平均細孔直径のPCTEおよびPETEメンブランに通して押し出したときの押出体積vs時間を比較したグラフである。図3Bは、20%のPOPCを800psiで0.1μmの平均細孔直径のPCTEおよびPETEメンブランに通して押し出したときの押出体積vs時間を比較したグラフである。 1、2、5、および10スタック型の0.1μmの平均細孔直径のPETEメンブランを800psiで用いたときのPOPCの押出に及ぼすメンブランスタックサイズの影響を記述した一連のグラフである。図4Aは、通過回数の関数としての平均が大きい単層ベシクル(LUV)の粒子サイズを示すグラフである。図4Bは、通過回数の関数としての流量を示すグラフである。図4Cは、約120nmの平均粒子サイズを達成するのに必要とされる通過回数にメンブランスタックサイズを関連づけるグラフである。 図5は、5スタック型の0.1μmの細孔直径のPETEメンブランを400、600、および800psiで用いたときのPOPCの押出に及ぼす圧力の影響を記述した一連のグラフである。図5Aは、通過回数の関数としての粒子サイズを示すグラフである。図5Bは、通過回数の関数としての流量を示すグラフである。図5Cは、約120nmの平均サイズを有する粒子を生成させるのに必要とされる通過回数に押出圧力を関連づけるグラフである。 0.1μmのOsmonics PORETICSTM PCTEおよびPETEならびにWhatman NUCLEPORETM PCTEメンブランを対象としてメンブランの汚損または目詰まりを起こすまでの押出圧力の関数としての最大押出体積を示している。

Claims (74)

  1. 脂質を含む混合物を高圧で親水性スクリーンメンブランに通して押し出すことを含む、ベシクルの懸濁液の製造方法。
  2. 前記ベシクルの懸濁液がリポソームの懸濁液である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記混合物が多重層ベシクルの懸濁液を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記混合物が乳濁液である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記混合物が複数種の脂質を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記親水性スクリーンメンブランが約70度以下の水接触角を有する、請求項1に記載の方法。
  7. 前記スクリーンメンブランが約50度以下の水接触角を有する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記スクリーンメンブランが約40度以下の水接触角を有する、請求項7に記載の方法。
  9. 前記親水性スクリーンメンブランが、ポリエステル、酸化アルミニウム、セルロースアセテート、セルロース混合エステル、ガラス、ポリエーテルスルホン、ポリビニルピロリジン、およびポリスルホンよりなる群から選択される少なくとも1種の材料を含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記親水性スクリーンメンブランがポリエステルメンブランである、請求項1に記載の方法。
  11. 前記親水性スクリーンメンブランがトラックエッチングされたメンブランである、請求項1に記載の方法。
  12. 前記親水性スクリーンメンブランがコーティングを有する、請求項1に記載の方法。
  13. 前記コーティングが親水性コーティングである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記コーティングが疎水性コーティングである、請求項12に記載の方法。
  15. 前記ベシクルが約50nm〜400nmの平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
  16. 前記ベシクルが約50nm〜150nmの平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
  17. 前記ベシクルが約100nm〜150nmの直径を有する、請求項1に記載の方法。
  18. 前記ベシクルが約169±37nmの範囲内の平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
  19. 前記ベシクルが約158±39.5nmの範囲内の平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
  20. 前記ベシクルが約136±42nmの範囲内の平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
  21. 前記ベシクルが約153.6±45.2nmの範囲内の平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
  22. 前記ベシクルが約138.6±35.6nmの範囲内の平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
  23. 前記ベシクルが約114.4±35.8nmの範囲内の平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
  24. 前記ベシクルが約118.1±36.2nmの範囲内の平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
  25. 前記脂質が室温以下の転移温度を有する、請求項1に記載の方法。
  26. 前記脂質が室温を超える転移温度を有する、請求項1に記載の方法。
  27. 前記脂質が剛性アシル鎖を含む、請求項1に記載の方法。
  28. 前記剛性アシル鎖がモノ不飽和アシル鎖である、請求項27に記載の方法。
  29. 前記混合物が不純物または夾雑物を含む、請求項1に記載の方法。
  30. 前記脂質が薬物会合脂質である、請求項1に記載の方法。
  31. 前記脂質が荷電脂質である、請求項1に記載の方法。
  32. 前記脂質がタンパク質と会合している、請求項1に記載の方法。
  33. 前記脂質が、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール ジ-ステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン、卵黄ホスファチジルコリン、ジ-オレオイル-ホスファチジルコリン、ジ-ラウロイルホスファチジルコリン、ジ-ラウロイルホスファチジルグリセロール、オレオイル-パルミトイルホスファチジルコリン、糖脂質結合リン脂質、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、レシチン、β,γ-ジパルミトイル-α-レシチン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、N-(2,3-ジ(9-(Z)-オクタデセニルオキシ))-プロパ-1-イル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、セファリン、カルジオリピン、セレブロシド類、ジセチルホスフェート、ジ-オレオイル-ホスファチジルグリセロール、パルミトイル-オレオイル-ホスファチジルコリン、ジ-ステアロイル-ホスファチジルコリン、ステアロイル-パルミトイル-ホスファチジルコリン、ジ-パルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン、ジ-ステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン、ジ-ミルストイル-ホスファチジルセリンおよびジ-オレイル-ホスファチジルコリンよりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  34. 前記脂質がホスファチジルコリンまたはスフィンゴミエリンである、請求項33に記載の方法。
  35. 前記親水性スクリーンメンブランが約0.4μm以下の平均細孔直径を有する、請求項1に記載の方法。
  36. 前記親水性スクリーンメンブランが約0.2μm以下の平均細孔直径を有する、請求項35に記載の方法。
  37. 前記親水性スクリーンメンブランが約0.1μm以下の平均細孔直径を有する、請求項36に記載の方法。
  38. 前記押出が約400psi以上の圧力で行われる、請求項1に記載の方法。
  39. 前記押出が約800psi以上の圧力で行われる、請求項38に記載の方法。
  40. 前記押出が約1,500psi以上の圧力で行われる、請求項39に記載の方法。
  41. 前記押出が約5,000psi以上の圧力で行われる、請求項40に記載の方法。
  42. 前記押出が、約8,000psi以上の圧力で行われる、請求項41に記載の方法。
  43. 前記脂質の水性懸濁液が複数のスタック型メンブランに通して押し出される、請求項42に記載の方法。
  44. スタック型メンブランのそれぞれが同一の平均細孔直径を有する、請求項43に記載の方法。
  45. 少なくとも1つのスタック型メンブランが、少なくとも1つの他のスタック型メンブランの平均細孔直径と異なる平均細孔直径を有する、請求項44に記載の方法。
  46. 前記スタック型メンブランが、前記混合物を順次平均細孔サイズがより小さいメンブランに通して押し出すように配置されている、請求項45に記載の方法。
  47. 前記押出が、制御された温度で行われる、請求項1に記載の方法。
  48. 前記制御された温度がほぼ一定の温度である、請求項47に記載の方法。
  49. 前記ほぼ一定の温度がほぼ室温である、請求項48に記載の方法。
  50. 前記ほぼ一定の温度が約20℃から約30℃の間である、請求項49に記載の方法。
  51. 前記ほぼ一定の温度が約25℃である、請求項50に記載の方法。
  52. 前記混合物が、約0.0001〜約40mL/分/mm2のフラックスで前記親水性メンブランに通して押し出される、請求項1に記載の方法。
  53. 前記ベシクルが医薬活性物質を含む、請求項1に記載の方法。
  54. 前記押出が多重通過を含む、請求項1に記載の方法。
  55. 前記押出がステップダウン押出を含む、請求項54に記載の方法。
  56. 前記混合物が、順方向および逆方向に交互に前記親水性スクリーンメンブランに通して押し出される、請求項1に記載の方法。
  57. 前記親水性スクリーンメンブランが、約8×105個/cm2よりも大きい細孔密度を有する、請求項1に記載の方法。
  58. 前記親水性スクリーンメンブランが約3〜約50μmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
  59. 親水性スクリーンメンブランと、高圧下で液体の送入および送出を行う手段と、を備える、高圧で脂質の水性懸濁液を押し出すための装置。
  60. 前記押出の前に前記親水性スクリーンメンブランをフラッシング剤ですすぐことを含む、請求項1に記載の方法。
  61. 前記フラッシング剤により前記メンブランの細孔から目詰まり物質または汚損物質が取り除かれる、請求項60に記載の方法。
  62. 前記フラッシング剤が材料による前記メンブランの細孔の目詰まりまたは汚損を防止する、請求項60に記載の方法。
  63. 前記フラッシング剤がエタノールを含む、請求項61または62に記載の方法。
  64. 脂質を含む混合物を約8,000psiよりも高い圧力で親水性メンブランに通して押し出すことを含む、リポソームの製造方法。
  65. 前記ベシクルが約50nm〜400nmの平均直径を有する、請求項64に記載の方法。
  66. 前記リポソームが約50nm〜150nmの平均直径を有する、請求項65に記載の方法。
  67. 前記リポソームが約100nm〜150nmの平均直径を有する、請求項65に記載の方法。
  68. 前記ベシクルが約169±37nmの範囲内の平均直径を有する、請求項64に記載の方法。
  69. 前記ベシクルが約158±39.5nmの範囲内の平均直径を有する、請求項64に記載の方法。
  70. 前記ベシクルが約136±42nmの範囲内の平均直径を有する、請求項64に記載の方法。
  71. 前記ベシクルが約153.6±45.2nmの範囲の平均直径を有する、請求項64に記載の方法。
  72. 前記ベシクルが約138.6±35.6nmの範囲内の平均直径を有する、請求項64に記載の方法。
  73. 前記ベシクルが約114.4±35.8nmの範囲内の平均直径を有する、請求項64に記載の方法。
  74. 前記ベシクルが約118.1±36.2nmの範囲内の平均直径を有する、請求項64に記載の方法。
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