本発明は、心血管障害の診断および処置のための方法および組成物を提供する。本明細書中で用いられる場合、心臓に関する障害、すなわち、「心血管疾患」または「心血管障害」は、心血管系(例えば、心臓、血管、および/または血液)に影響を与える、疾患または障害を包含する。心血管障害は、動脈圧力における不均等、心臓の機能不全、または(例えば、血栓による)血管の閉塞によって引き起こされ得る。心血管障害としては、例えば、以下のような障害が挙げられるがこれらに限定されない:動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、心肥大、虚血再灌流障害、再狭窄、動脈炎症、血管壁再構築、心室再構築、急速心室ペーシング、冠状微小塞栓症、頻脈、徐脈、圧力過剰負荷、大動脈屈曲、冠状動脈結紮、脈管心臓病、弁の疾患(カルシウム沈着、リウマチ性心疾患、心内膜炎、または人工弁の合併症によって引き起こされる弁の変性を包含するがこれらに限定されない);心房細動、長QT症候群(long−QT syndrome)、うっ血性心不全、洞房結節機能不全(sinus node dysfunction)、アンギナ、心不全、高血圧、心房細動、心房粗動、心膜疾患(心内膜液浸出および心膜炎を包含するがこれらに限定されない);心筋症(例えば、拡張型心筋症または特発性心筋症)、心筋梗塞、冠状動脈疾患、冠状動脈痙攣、虚血性疾患、不整脈、突然の心臓死、および心血管発生障害(例えば、動静脈先天異常、動静脈瘻、レーノー症候群、神経性胸郭出口症候群、カウザルギー/反射性交感神経性ジストロフィー、血管腫、動脈瘤、海綿状様血管腫、大動脈弁狭窄、心房中隔欠損症、房室管、大動脈の縮窄、エブスタイン異常、左心室発育不全症候群、大動脈弓の中断、僧帽弁逸脱、動脈管、開存性卵円孔、部分肺静脈還流異常、心室中隔欠損を伴う肺動脈弁閉鎖、心室中隔欠損を伴わない肺動脈弁閉鎖、胎児循環の存続、肺動脈弁狭窄、単心室、総肺静脈還流異常、大血管転位、三尖弁閉鎖、総動脈幹、心室中隔欠損)。心血管疾患または心血管障害はまた、内皮細胞障害を包含し得る。
本明細書中で用いられる場合、「内皮細胞障害」は、異常な、調節されていない、もしくは望まれていない内皮細胞活性(例えば、増殖、移動、新脈管形成、もしくは血管新生);または細胞表面接着分子または新脈管形成に関連した遺伝子(例えば、TIE−2、FLTおよびFLK)の異常な発現によって特徴付けられる障害を包含する。内皮細胞障害としては、腫瘍形成、腫瘍転移、乾癬、糖尿病性網膜症、子宮内膜症、グレーヴズ病、虚血性疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症)、および慢性炎症疾患(例えば、慢性関節リウマチ)が挙げられる。
心血管疾患にはまた、血栓症が挙げられ得る。血栓症は、以下から生じ得る:血小板機能不全(例えば、心筋梗塞、アンギナ、高血圧、脂質障害、真性糖尿病において見られる);脊髄形成異常症候群(myelodysplastic syndrome)骨髄増殖性症候群(myeloproliferative yndromes)(真性赤血球増加症および血小板血症(thombocythemia)を含む);血栓性血小板減少性紫斑病;HIV誘導性血小板障害(AIDS−血小板減少);ヘパリン誘導性血小板減少;血小板の凝集/脱顆を導く粒壁細胞の変化/相互作用、血管内皮細胞の活性化/損傷、単球/マクロファージの管外遊出および平滑筋細胞の増殖;自己免疫疾患(例えば、脈管炎、抗リン脂質症候群、全身性エリテマトーデスであるが、これらに限定されない);炎症性疾患(例えば、免疫活性化であるが、これに限定されない);移植片対宿主病;放射線誘導性凝固亢進;遺伝性(常染色体優性または常染色体劣性)(例えば、プロテインC/S、抗−トロンビンIII欠損、および第V因子Leiden変異を含む凝固因子経路が挙げられるが、これらに限定されない)、または後天性(例えば、自己免疫疾患、癌関連性調節不全および凝固因子の薬物誘導性調節不全が挙げられるが、これらに限定されない)のいずれかの凝固因子調節不全。
本明細書中で使用される場合、「処置」とは、疾患もしくは障害を有する患者、疾患もしくは障害の症状を有する患者、あるいは疾患もしくは障害への素因を有する患者へかその患者由来の単離された組織もしくは細胞へ、その疾患もしくは障害、その疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害への素因を治療、治癒、緩和、軽減、変更、矯正、改良、改善または影響する目的での、治療剤の適用または投与として規定される。「治療剤」としては、低分子、ペプチド、抗体、リボザイム、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な分子が本明細書中に記載される。
本発明は少なくとも一部、核酸分子およびタンパク質分子(以下に記載される)が、心血管疾患状態において、正常な状態、すなわち心血管疾患でない状態におけるそれらの発現と比較して示差的に発現されるという知見に基づく。本発明の方法に従って同定される本発明の分子の調節因子は、アテローム性動脈硬化症および血栓症を含むがこれらに限定されない心血管疾患を調節(例えば、阻害、処置または予防)または診断するために用いられ得る。
「示差的発現」は、本明細書中で使用される場合、遺伝子の時間的発現パターンおよび/または組織発現パターンにおける定量的相違および定性的相違の両方を包含する。従って、示差的に発現される遺伝子は、その発現が、正常な状態 対 心血管疾患状態(例えば、実験的な心血管疾患系(例えば、アロテーム性動脈硬化症についての動物モデル))において活性化または不活化され得る。発現が、正常状態と心血管疾患状態とで、またはコントロール状態と実験状態とで異なる程度は、標準的な特徴付け技術(例えば、定量的PCR、ノーザン分析、サブトラクティブハイブリダイゼーション)を介して可視化されるに充分に大きいことのみを必要とする。示差的に発現される遺伝子の発現パターンは、心血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症および/または血栓症)評価の予後判定評価もしくは診断評価の一部として用いられ得るか、または心血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症および/または血栓症)の処置に有用な化合物を同定するための方法において用いられ得る。さらに、心血管疾患に関与する示差的に発現される遺伝子は、標的遺伝子発現のレベルまたは標的遺伝子産物の活性のレベルの調節が、心血管疾患状態(例えば、アテローム性動脈硬化症および/または血栓症)を治療、治癒、緩和、軽減、変更、矯正、改良、改善または影響するように作用するように、標的遺伝子を提示し得る。標的遺伝子の発現または標的遺伝子産物の活性を調節する化合物は、心血管疾患の処置において用いられ得る。本明細書中に記載される遺伝子は、心血管疾患に関して示差的に発現され得、そして/またはそれらの産物は、心血管疾患にとって重要な遺伝子産物と相互作用し得るが、これらの遺伝子はまた、さらなる心血管疾患細胞プロセスに重要な機構に関与し得る。
(本発明の分子)
(遺伝子ID1419)
ヒト1419配列(配列番号1)(GI:1177465、EHK−1としても公知である)は、非翻訳領域を含めて約3903ヌクレオチド長であり、終止コドンを含めて約3114ヌクレオチドの推定メチオニン開始コード配列(配列番号1のコーディングとして示されるヌクレオチド、配列番号2)を含む。このコード配列は、1037アミノ酸タンパク質(配列番号3)(GI:1177466)をコードする。
TaqMan分析によって決定されるように、1419 mRNAの発現は、ヒト静脈および冠状動脈の平滑筋に認められた。ヒト静脈における発現は、正常または罹患したヒト動脈のいずれよりも有意に高かった。1419活性の調節因子が、血管の収縮に対するRho Aの作用を介して、血管の緊張(特に、静脈の緊張)を調節することを予測される。従って、1419の調節因子は、異常な血管の緊張によって特徴付けられる心血管疾患の処置に有用である。
(遺伝子ID58765)
ヒト58765配列(配列番号4)(ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼファミリーメンバーとしても公知である)は、非翻訳領域を含めて約2746ヌクレオチド長であり、終止コドンを含めて約1005ヌクレオチドの推定メチオニン開始コード配列(配列番号4のコーディングとして示されるヌクレオチド、配列番号5)を含む。このコード配列は、334アミノ酸タンパク質(配列番号6)をコードする。
TaqMan分析によって決定されるように、58765 mRNAの発現は、正常なヒトの肝臓および小腸において最も多かった。さらに、TaqMan分析は、ヒト肝細胞モデルにおいて、58765 mRNAが、脂質低下薬であるスタチンによって調節されたことを示した。58765は、ジアセチルグリセロールアシルトランスフェラーゼファミリーの新規メンバーである。ジアシルグリセロールアセチルトランスフェラーゼは、トリグリセリド生合成において重要な役割を果たしていることが知られている。58765活性の調節は、トリグリセリドの減少を起こし、従ってアテローム性動脈硬化症および高脂血症に対して保護的である。58765の調節因子は、心血管疾患(アテローム性動脈硬化症および異常なレベルのトリグリセリドによって特徴付けられる状態が挙げられるが、これらに限定されない)の処置に有用である。
(遺伝子ID2210)
ヒト2210配列(配列番号7)、(GI:14522875、カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼb1(CaMKKb)としても公知である)は、非翻訳領域を含めて約4427ヌクレオチド長であり、終止コドンを含めて約1767ヌクレオチドの推定メチオニン開始コード配列(配列番号7のコーディングとして示されるヌクレオチド、配列番号8)を含む。このコード配列は、588アミノ酸タンパク質(配列番号9)(GI:14522876)をコードする。
TaqMan分析によって決定されるように、2210 mRNAの発現は、血管、平滑筋細胞、内皮細胞および骨格筋において高かった。2210(CaMKKb)の機能は、Ca2+媒介性細胞応答の作用を調節することである。特に、CaMKKbは、カルシウム/カルモジュリン依存性キナーゼ(CaMK)をリン酸化して、Ca2+シグナル伝達の最大活性までその活性を増加させる。2210によって媒介されるような、血管でのCa2+媒介性シグナル伝達プロセスにおける増加は、血管収縮を引き起こす。従って、血管におけるCaMKKbの阻害は、Ca2+シグナル伝達の低下を生じ、従って血圧を低下させる。2210の調節因子は、血圧の増大によって特徴付けられる心血管疾患の処置に有用である。
本発明の種々の局面は、以下の小節にさらに詳細に記載される。
(I.スクリーニングアッセイ)
本発明は、調節因子を同定するための方法(本明細書中で「スクリーニングアッセイ」ともいわれる)を提供し、調節因子とは、すなわち、1419、58765もしくは2210のタンパク質に結合するか、例えば、1419、58765もしくは2210の発現または1419、58765もしくは2210の活性に対する刺激効果または阻害効果を有するか、あるいは、例えば、1419、58765もしくは2210の基質の発現または活性に対する刺激効果または阻害効果を有する、候補化合物もしくは試験化合物または薬剤(例えば、ペプチド、ペプチド模倣物、低分子(有機または無機)または他の薬物)である。本明細書中に記載されるアッセイを使用して同定された化合物は、心血管疾患(例えば、アロテーム性動脈硬化症および/または血栓症)を処置するのに有用であり得る。
これらのアッセイは、1419、58765もしくは2210のタンパク質に結合する化合物、1419、58765もしくは2210のタンパク質と相互作用する他の細胞内タンパク質または細胞外タンパク質に結合する化合物、および他の細胞内タンパク質または細胞外タンパク質と1419、58765もしくは2210のタンパク質との相互作用を干渉する化合物を同定するために設計される。例えば、1419、58765もしくは2210のタンパク質(これは、膜貫通型レセプター型タンパク質である)の場合において、このような技術は、このようなレセプターに対するリガンドを同定し得る。1419、58765もしくは2210のタンパク質のリガンドまたは基質は、例えば、心血管疾患(例えば、アロテーム性動脈硬化症、虚血/再灌流、高血圧、再狭窄、動脈性炎症、血栓症および内皮細胞障害)を緩和するために使用され得る。このような化合物としては、ペプチド、抗体、または有機低分子もしくは無機低分子が挙げられ得るがこれらに限定されない。このような化合物はまた、他の細胞性タンパク質を含み得る。
アッセイ(例えば、本明細書に記載のアッセイ)によって同定される化合物は、例えば、心血管疾患(例えば、アロテーム性動脈硬化症および/または血栓症)を緩和するのに有用であり得る。心血管疾患が、細胞または組織における、全体的に低いレベルの1419、58765または2210の遺伝子発現および/または1419、58765もしくは2210のタンパク質により生じる例において、1419、58765もしくは2210のタンパク質と相互作用する化合物は、結合した1419、58765または2210のタンパク質の活性を強調するかまたは増幅する化合物を含み得る。このような化合物は、1419、58765または2210のタンパク質活性のレベルの有効な増大を引き起し、したがって、症状を緩和する。
他の例において、1419、58765または2210の遺伝子における変異は、心血管疾患にいたる有害な効果を有する、異常型または過剰量の、1419、58765または2210のタンパク質を生じ得る。同様に、生理学的状態は、心血管疾患に至る、1419、58765または2210の遺伝子発現の過剰な増大を引き起こし得る。このような場合、1419、58765または2210のタンパク質に結合する化合物は、1419、58765または2210のタンパク質の活性を阻害するタンパク質として同定され得る。本節で記載されるような技術によって同定される化合物の効果を試験するためのアッセイは、本明細書中に議論されている。
1つの実施形態において、本発明は、1419、58765または2210のタンパク質またはポリペプチドあるいはそれらの生物学的に活性な部分の基質である候補化合物または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。別の実施形態において、本発明は、1419、58765もしくは2210のタンパク質もしくはポリペプチドまたはその生物学的活性な部分に結合するかまたはその活性を調節する候補化合物または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。本発明の試験化合物は、以下に挙げられる当該分野で公知のコンビナトリアルライブラリー法における多くのアプローチのうちの任意のものを使用して得られ得る:生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能な並列固相ライブラリーまたは液相ライブラリー;デコンブルーション処理を必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;およびアフィニティクロマトグラフィー選択法を使用する合成ライブラリー法。生物学的ライブラリーアプローチは、ペプチドライブラリーに限定されるが、その一方で、他の4つのアプローチは、化合物の、ペプチドライブラリー、非ペプチドオリゴマーライブラリー、または低分子ライブラリーに利用可能である(Lam、K.S.(1997)Anticancer Drug Des.12:145)。
分子ライブラリーの合成のための方法の例は、例えば、以下において、当該分野で見出され得る:DeWittら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:6909;Erbら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11422;Zuckermannら(1994)、J.Med.Chem.37:2678;Choら(1993)Science 261:1303;Carrellら(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2059;Carellら(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061;およびGallopら(1994)J.Med.Chem.37:1233。
化合物のライブラリーは、溶液中(例えば、Houghten(1992)Biotechniques 13:412〜421)、ビーズ上(Lam(1991)Nature 354:82〜84)、チップ上(Fodor(1993)Nature 364:555〜556)、細菌上(Ladner、米国特許第5,223,409号)、芽胞上(Ladner、USP’409号)、プラスミド上(Cullら(1992)ProcNatl Acad Sci USA 89:1865〜1869)またはファージ上(ScottおよびSmith(1990)Science 249:386〜390);(Devlin(1990)Science 249:404〜406);(Cwirlaら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.87:6378〜6382);(Felici(1991)J.Mol.Biol.222:301〜310);(Ladner 前出)に示され得る。
1つの実施形態において、アッセイは、細胞ベースのアッセイであり、ここで1419、58765もしくは2210のタンパク質またはその生物学的に活性な部分を発現する細胞を、試験化合物と接触させ、そして試験化合物が1419、58765もしくは2210の活性を調節する能力を決定する。試験化合物が1419、58765もしくは2210の活性を調節する能力の決定を、例えば、細胞内カルシウム、IP3、cAMP、またはジアシルグリセロール濃度、細胞内タンパク質のリン酸化プロフィール、細胞増殖および/または移動、例えば、細胞表面接着分子もしくは新脈管形成に関連する遺伝子の遺伝子発現、または1419、58765もしくは2210により調節される転写因子の活性をモニタリングすることによって達成し得る。この細胞は、哺乳動物起源(例えば、内皮細胞由来)であり得る。1つの実施形態において、レセプタードメインと相互作用する化合物が、リガンドとして(すなわち、レセプターに結合し、シグナル伝達経路を調節するよう)機能するそれらの能力についてスクリーニングされ得る。リガンドの同定、およびリガンド−レセプター複合体の活性の測定は、この相互作用の調節因子(例えば、アンタゴニスト)の同定を導く。このような調節因子は、心血管疾患の処置に有用であり得る。
試験化合物が、基質への1419、58765もしくは2210の結合を調節する能力、または1419、58765もしくは2210に結合する能力もまた、決定し得る。基質への1419、58765もしくは2210の結合を調節する試験化合物の能力の決定は、例えば、1419、58765もしくは2210の基質を、放射性同位体または酵素標識とカップリングさせることによって達成され得、その結果、1419、58765もしくは2210への1419、58765もしくは2210の基質の結合は、複合体中の標識された1419、58765もしくは2210の基質を検出することによって、決定され得る。1419、58765もしくは2210はまた、放射性同位体または酵素標識とカップリングされて、複合体中の1419、58765もしくは2210の基質への1419、58765もしくは2210の結合を調節する試験化合物の能力をモニタリングし得る。1419、58765もしくは2210と結合する試験化合物の能力の決定は、例えば、その化合物と、放射性同位体または酵素標識とをカップリングさせることによって達成され、その結果、1419、58765もしくは2210へのこの化合物の結合は、複合体中の標識された1419、58765もしくは2210の化合物を検出することによって決定され得る。例えば、化合物(例えば、1419、58765もしくは2210のリガンドもしくは基質)を、125I、35S、14C、または3Hで、直接的または間接的のいずれかで標識し得、そしてこの放射性同位体が、放射線照射の直接的な計数によってか、またはシンチレーション計数によってかで検出され得る。化合物はさらに、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素標識され得、そして適切な基質の産物への変換を定量することによって、この酵素標識を検出し得る。
任意の相互作用物質(interactant)の標識化を用いずに、化合物(例えば、1419、58765もしくは2210のリガンドもしくは基質)が、1419、58765もしくは2210と相互作用する能力を決定することもまた、本発明の範囲内である。例えば、マイクロフィジオメーター(microphysiometer)を使用して、化合物の標識化も1419、58765もしくは2210の標識化もいずれも用いずに、1419、58765もしくは2210との化合物の相互作用を検出し得る(McConnell,H.M.ら(1992)Science 257:1906−1912)。本明細書中で使用される場合、「マイクロフィジオメーター」(例えば、Cytosensor)は、光アドレス可能な電位差測定センサー(LAPS)を使用して、細胞がその環境を酸性化する速度を測定する、分析装置である。この酸性化速度の変化は、化合物と1419、58765もしくは2210との間の相互作用の指標として使用され得る。
別の実施形態において、アッセイは、細胞ベースのアッセイであり、1419、58765もしくは2210の標的分子(例えば、1419、58765もしくは2210の基質)を発現する細胞を、試験化合物と接触させる工程、および1419、58765もしくは2210の標的分子の活性を調節する(例えば、刺激または阻害)する試験化合物の能力を決定する工程を包含する。1419、58765もしくは2210の標的分子の活性を調節する試験化合物の能力の決定は、例えば、1419、58765もしくは2210の標的分子に結合するかまたは1419、58765もしくは2210の標的分子と相互作用する、1419、58765もしくは2210のタンパク質の能力を決定することによって達成され得る。
1419、58765もしくは2210の標的分子に結合するかまたはそれと相互作用する、1419、58765もしくは2210のタンパク質またはその生物学的に活性なフラグメントの能力の決定は、直接結合の決定についての上記方法の1つにより達成され得る。好ましい実施形態において、1419、58765もしくは2210の標的分子に結合するかまたはそれと相互作用する1419、58765もしくは2210のタンパク質の能力の決定は、その標的分子の活性を決定することによって達成され得る。例えば、標的分子の活性は、標的の細胞性セカンドメッセンジャー(すなわち、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP3、cAMP)の誘導を検出するか、適切な基質に対するその標的の触媒/酵素活性を検出するか、レポーター遺伝子(検出マーカー(例えば、ルシフェラーゼ)をコードする核酸に作動可能に連結された標的応答性調節エレメントを含む)の誘導を検出するか、または標的により調節される細胞応答(例えば、遺伝子発現)を検出することによって、決定され得る。
さらに別の実施形態において、本発明のアッセイは、1419、58765もしくは2210のタンパク質またはその生物学的に活性な部分が、試験化合物と接触され、そして1419、58765もしくは2210のタンパク質またはその生物学的に活性な部分に結合する試験化合物の能力が決定される、無細胞アッセイである。本発明のアッセイにおいて使用される1419、58765もしくは2210のタンパク質の好ましい生物学的に活性な部分としては、非1419分子、非58765分子もしくは非2210分子との相互作用に関与するフラグメント(例えば、高い表面確率スコアを有するフラグメント)が挙げられる。1419、58765もしくは2210のタンパク質への試験化合物の結合は、上記のように直接的かまたは間接的かのいずれかで決定され得る。好ましい実施形態において、このアッセイは、1419、58765もしくは2210のタンパク質またはその生物学的に活性な部分と、1419、58765もしくは2210に結合する既知の化合物とを接触させて、アッセイ混合物を形成する工程、このアッセイ混合物と、試験化合物とを接触させる工程、および1419、58765もしくは2210のタンパク質と相互作用する試験化合物の能力を決定する工程(1419、58765もしくは2210のタンパク質と相互作用する試験化合物の能力を決定する工程は、既知の化合物と比較して1419、58765もしくは2210またはその生物学的に活性な部分と優先的に結合する試験化合物の能力を決定する工程を包含する)を包含する。1419、58765もしくは2210と、既知の標的タンパク質との相互作用を調節する化合物は、1419、58765もしくは2210のタンパク質(特に、変異体の1419、58765もしくは2210のタンパク質)の活性を調節するのに有用であり得る。
別の実施形態において、アッセイは、1419、58765もしくは2210のタンパク質またはその生物学的に活性な部分が試験化合物と接触され、そして1419、58765もしくは2210のタンパク質またはその生物学的に活性な部分の活性を調節(例えば、刺激または阻害)する試験化合物の能力が決定される、無細胞アッセイである。1419、58765もしくは2210のタンパク質の活性を調節する試験化合物の能力の決定は、例えば、直接結合の決定についての上記の方法の1つにより、1419、58765もしくは2210の標的分子に結合する1419、58765もしくは2210のタンパク質の能力を決定することによって達成され得る。1419、58765もしくは2210の標的分子に結合する1419、58765もしくは2210のタンパク質の能力の決定はまた、リアルタイムBiomolecular Interaction Analysis(BIA)(Sjolander,S.およびUrbaniczky,C.(1991)Anal.Chem.63:2338−2345ならびにSzaboら(1995)Curr.Opin.Struct.Biol.5:699−705)のような技術を用いて達成され得る。本明細書中で使用する場合、「BIA」は、いかなる相互作用物質も標識することなく、生物特異的相互作用をリアルタイムで研究するための技術である(例えば、BIAcore)。表面プラズモン共鳴(SPR)の光学的現象の変化は、生物学的分子間のリアルタイムの反応の指標として使用され得る。
別の実施形態において、1419、58765もしくは2210のタンパク質の活性を調節する試験化合物の能力の決定は、1419、58765もしくは2210の標的分子の下流エフェクターの活性をさらに調節する、1419、58765もしくは2210のタンパク質の能力を決定することにより達成され得る。例えば、適切な標的に対するエフェクター分子の活性が決定され得るか、または適切な標的へのエフェクターの結合が、以前に記載されたように決定され得る。
なお別の実施形態において、無細胞アッセイは、1419、58765もしくは2210のタンパク質またはその生物学的に活性な部分と、1419、58765もしくは2210のタンパク質に結合する既知の化合物とを接触させてアッセイ混合物を形成する工程、そのアッセイ混合物と試験化合物を接触させる工程、および1419、58765もしくは2210のタンパク質と相互作用する試験化合物の能力を決定する工程(1419、58765もしくは2210のタンパク質と相互作用する試験化合物の能力を決定する工程は、1419、58765もしくは2210の標的分子に優先的に結合するかまたはその活性を調節する1419、58765もしくは2210のタンパク質の能力を決定する工程を包含する)を包含する。
本発明の上記アッセイ方法の1つより多くの実施形態において、1419、58765もしくは2210またはその標的分子のいずれかを固定化して、そのタンパク質の1つまたは両方の複合体化形態と非複合体化形態との分離を容易にすること、およびこのアッセイの自動化に適応させることが望ましくあり得る。候補化合物の存在下および非存在下での、試験化合物と、1419、58765もしくは2210のタンパク質との結合、または1419、58765もしくは2210のタンパク質と、標的分子との相互作用は、反応物を収容するのに適した任意の容器で達成され得る。このような容器の例としては、マイクロタイタープレート、試験管、およびマイクロ遠心分離管が挙げられる。1つの実施形態において、1つまたは両方のタンパク質がマトリクスに結合することを可能にするドメインを付加した融合タンパク質が、提供され得る。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/1419、58765もしくは2210の融合タンパク質またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/標的融合タンパク質が、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical、St.Louis、MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上に吸着され得、これらは、次いで、試験化合物、または試験化合物および非吸着標的タンパク質、または1419、58765もしくは2210のタンパク質のいずれかと合わされ、そしてこの混合物は、複合体形成が生じる条件下(例えば、塩およびpHについての生理学的条件)でインキュベートされる。インキュベーション後、このビーズまたはマイクロタイタープレートウェルは、いかなる非結合成分をも除去するために洗浄され、ビーズの場合、マトリクスが固定化され、複合体が、例えば、上記のように、直接的にかまたは間接的にかのいずれかで決定される。あるいは、複合体は、マトリクスから解離され得、そして標準的な技術を用いて、1419、58765もしくは2210の結合または活性のレベルが決定される。
タンパク質をマトリクス上に固定化するための他の技術がまた、本発明のスクリーニングアッセイにおいて使用され得る。例えば、1419、58765もしくは2210のタンパク質または1419、58765もしくは2210の標的分子のいずれかは、ビオチンとストレプトアビジンとの結合体を使用して固定化され得る。ビオチン化された1419、58765もしくは2210のタンパク質または標的分子を、当該分野において公知の技術を使用して、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から調製し得(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals、Rockford、IL)、そしてストレプトアビジンでコーティングした96ウェルのプレート(Pierce Chemical)のウェル中に固定し得る。あるいは、1419、58765もしくは2210のタンパク質または標的分子と反応性であるが、1419、58765もしくは2210のタンパク質のその標的分子への結合と干渉しない抗体を、プレートのウェルに誘導体化し得、そして非結合標的または1419、58765もしくは2210のタンパク質が、抗体結合によってウェルに捕捉される。このような複合体を検出する方法としては、GST固定化複合体についての上記方法に加えて、1419、58765もしくは2210のタンパク質または標的分子と反応性の抗体を用いる複合体の免疫検出、および1419、58765もしくは2210のタンパク質または標的分子と関連する酵素活性の検出に基づく酵素連結アッセイが挙げられる。
別の実施形態において、1419、58765もしくは2210の発現の調節因子は、細胞が候補化合物と接触され、そして細胞内での1419、58765もしくは2210のmRNAまたはタンパク質の発現が決定される方法が同定される。候補化合物の存在下での1419、58765もしくは2210のmRNAまたはタンパク質の発現のレベルは、候補化合物の非存在下での1419、58765もしくは2210のmRNAまたはタンパク質の発現のレベルと比較される。次いで、候補化合物は、この比較に基づき、1419、58765もしくは2210の発現の調節因子として同定され得る。例えば、1419、58765もしくは2210のmRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の非存在下よりも存在下で高い(統計的に有意に高い)場合、候補化合物は、1419、58765もしくは2210のmRNAの発現またはタンパク質発現の刺激物質として同定される。あるいは、1419、58765もしくは2210のmRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の非存在下よりも存在下でより低い(統計学的に有意に低い)場合、候補化合物は、1419、58765もしくは2210のmRNAの発現またはタンパク質発現のインヒビターとして同定される。細胞内での1419、58765もしくは2210のmRNAまたはタンパク質の発現レベルは、1419、58765もしくは2210のmRNAまたはタンパク質の検出について本明細書中に記載される方法により決定され得る。
本発明のなお別の局面において、1419、58765もしくは2210のタンパク質は、ツーハイブリッドアッセイまたはスリーハイブリッドアッセイ(例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら、(1993)Cell 72:223〜232;Maduraら(1993)J.Biol.Chem.268:12046〜12054;Bartelら(1993)Biotechniques 14:920〜924;Iwabuchiら(1993)Oncogene 8:1693−1696;およびBrent WO94/10300を参照のこと)において「ベイト(bait)タンパク質」として使用されて、1419、58765もしくは2210(「1419、58765もしくは2210の結合タンパク質」または「1419−bp、58765−bpもしくは2210−bp」)と結合または相互作用し、そして1419、58765もしくは2210の活性に関連する他のタンパク質を同定し得る。このような1419、58765もしくは2210の結合タンパク質はまた、例えば、1419、58765もしくは2210の媒介性シグナル伝達経路の下流エレメントのような、1419、58765もしくは2210のタンパク質または1419、58765もしくは2210の標的によるシグナル伝達に関連する可能性がある。あるいは、このような1419、58765もしくは2210の結合タンパク質は、1419、58765もしくは2210のインヒビターである可能性がある。
ツーハイブリッドシステムは、別個のDNA結合ドメインおよび活性化ドメインからなる大半の転写因子のモジュラー性質に基づく。手短には、このアッセイは、2つの異なるDNA構築物を利用する。1つの構築物において、1419、58765もしくは2210のタンパク質をコードする遺伝子は、公知の転写因子(例えば、GAL−4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合される。もう一方の構築物において、同定されていないタンパク質(「プレイ(prey)」または「サンプル」)をコードするDNA配列のライブラリー由来のDNA配列は、公知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合される。「ベイト」タンパク質および「プレイ」タンパク質がインビボで相互作用して1419、58765もしくは2210の依存性複合体を形成し得る場合、転写因子のDNA結合ドメインおよび活性化ドメインは、近接する。このように近接することにより、転写因子に応答性の転写調節部位に作動可能に連結されたレポーター遺伝子(例えば、LacZ)の転写が可能になる。レポーター遺伝子の発現は検出され得、そして機能的転写因子を含む細胞コロニーは、単離され得、そして1419、58765もしくは2210のタンパク質と相互作用するタンパク質をコードするクローン化遺伝子を得るために使用され得る。
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載されるアッセイの2つ以上の組み合わせに関する。例えば、調節剤は、細胞ベースのアッセイまたは無細胞アッセイを用いて同定され得、そして1419、58765もしくは2210のタンパク質の活性を調節する因子の能力は、例えば、動物(例えば、本明細書中に記載される、心血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症および/または血栓症)の動物モデル)においてインビボで確認され得る。
本発明は、さらに上記のスクリーニングアッセイによって同定される新規因子に関する。従って、適切な動物モデルにおいて、本明細書中で記載されるように同定された因子をさらに使用することは本発明の範囲内である。例えば、本明細書中に記載されるように同定された因子(例えば、1419、58765もしくは2210の調節剤、アンチセンス1419、58765もしくは2210の核酸分子、1419、58765もしくは2210の特異的抗体、または1419、58765もしくは2210の結合パートナー)は、このような因子を用いる処置の効果、毒性、または副作用を決定するために、動物モデルにおいて使用され得る。あるいは、本明細書中に記載されるように同定される因子は、このような因子の作用の機構を決定するために、動物モデルにおいて使用され得る。さらに、本発明は、本明細書中に記載されるような処置のための上記スクリーニングアッセイによって同定された新規因子の使用に関する。
任意の化合物(上記アッセイ系において同定されるような化合物が挙げられるがこれらに限定されない)が、心血管疾患の症状を処置する能力について試験され得る。心血管疾患系を改善するこのような能力を示す化合物の同定のための細胞ベースのアッセイおよび動物モデルベースのアッセイは、本明細書中に記載される。
1つの局面において、本明細書中で記載される場合、細胞ベースの系は、少なくとも1つの心血管疾患の症状を処置するように作用し得る化合物を同定するために使用され得る。例えば、このような細胞系は、心血管疾患の症状を処置する能力を示すことが予測される化合物に、曝露された細胞における心血管疾患の症状のこのような改善を導くのに十分な濃度および十分な時間、曝露され得る。曝露後、この細胞は、1つ以上の心血管疾患の細胞表現型が、より正常またはより野生型の非心血管疾患の表現型と類似するように変更されるか否かを決定するために試験される。心血管疾患状態に関連した細胞表現型としては、異常な増殖および移動、新脈管形成、細胞外マトリクス成分の沈着、細胞内脂質の蓄積、ならびに成長因子、サイトカイン、および他の炎症性メディエーターの発現が挙げられる。
さらに、動物ベースの心血管疾患系(例えば、本明細書中に記載されるような系)は、心血管疾患の症状を改善する能力を有する化合物を同定するために使用され得る。このような動物モデルは、心血管疾患を処置する上で有効であり得る薬物、医薬品、治療、および介入の同定のための試験基質として使用され得る。例えば、動物モデルは、心血管疾患の症状を改善する能力を示すことが予測される化合物に、曝露された動物における心血管疾患の症状のこのような改善を導くのに十分な濃度および十分な時間、曝露され得る。この曝露に対する動物の応答は、処置前および処置後の心血管疾患に関連する障害の逆転を評価することによって(例えば、アテローム性動脈硬化症プラークの数を計数することによって、および/またはそれらのサイズを測定することによって)モニタリングされ得る。
本発明に関して、心血管疾患の症状の任意の局面を逆転する任意の処置が、ヒト心血管疾患治療介入の候補として考慮されるべきである。試験因子の投薬量は、用量応答曲線を得ることによって決定され得る。
さらに、遺伝子発現パターンは、心血管疾患の症状を改善する化合物の能力を評価するために使用され得る。例えば、1つ以上の遺伝子の発現パターンは、「遺伝子発現プロフィール」または「転写プロフィール」の一部を形成し得、次いで、このような評価において使用され得る。本明細書中で使用される場合、「遺伝子発現プロフィール」または「転写プロフィール」は、所定のセットの条件下で、所定の組織または細胞型について獲得されるmRNA発現のパターンを含む。このような条件としては、アテローム性動脈硬化症、虚血/再灌流、高血圧症、再狭窄、および動脈性炎症(本明細書中に開示される任意のコントロール条件または実験条件を含む)(例えば、マクロファージのアテローム発生サイトカイン刺激)が挙げられ得るがこれらに限定されない。遺伝子発現プロフィールは、例えば、ディファレンシャルディスプレイ手順、ノーザン分析、および/またはRT−PCRを使用することによって、生成され得る。1つの実施形態において、1419、58765もしくは2210の遺伝子配列は、このような遺伝子発現プロフィールの作製および裏付けのためのプローブおよび/またはPCRプライマーとして使用され得る。
遺伝子発現プロフィールは、細胞ベースのモデル系および/または動物ベースのモデル系における、既知の状態(心血管疾患または正常のいずれか)について特徴付けられ得る。その後、これらの既知の遺伝子発現プロフィールは、効果を確認するために比較され得、試験化合物は、このような遺伝子発現プロフィールを改変する必要があり、そしてそのプロフィールがより望ましいプロフィールの化合物により緊密に類似させる必要がある。
例えば、化合物の投与は、心血管疾患モデル系の遺伝子発現プロフィールを、コントロール系により緊密に類似させ得る。あるいは、化合物の投与は、コントロール系の遺伝子発現プロフィールに、心血管疾患状態を模倣させ得る。このような化合物は、例えば、目的の化合物のさらなる特徴付けにおいて使用され得るか、または、さらなる動物モデルの作製において使用され得る。
(II.細胞ベースおよび動物ベースのモデル系)
心血管疾患のためのモデルとして働く、細胞ベースおよび動物ベースの系が、本明細書中に記載される。これらの系は、種々の適用において使用され得る。例えば、細胞ベースおよび動物ベースのモデル系を使用して、心血管疾患に関連する、差次的に発現される遺伝子(例えば、1419、58765または2210)をさらに特徴付けし得る。さらに動物ベースおよび細胞ベースのアッセイは、以下に記載されるような心血管疾患の症状を改善する能力を有する化合物を同定するように設計された、スクリーニングストラテジーの一部として使用され得る。従って、動物ベースおよび細胞ベースのモデルを使用して、心血管疾患を処置する際に有効であり得る薬物、医薬品、治療および介入を同定し得る。さらに、このような動物モデルを使用して、動物被験体におけるLD50およびED50を決定し得、そしてこのようなデータを使用して、潜在的な心血管疾患処置のインビボでの効力を決定し得る。
(A.動物ベースの系)
心血管疾患の動物ベースのモデル系としては、非組換え動物および操作されたトランスジェニック動物が挙げられ得るがこれらに限定されない。
心血管疾患についての非組換え動物モデルとしては、例えば、遺伝子モデルが挙げられ得る。このような遺伝的な心血管疾患モデルの例としては、例えば、ApoBまたはApoRを欠損したブタ(Rapaczら、1986,Science 234:1573−1577)およびWatanabe遺伝性高脂血症(WHHL)ウサギ(Kitaら、1987,Proc.Natl.Acad.Sci USA 84:5928−5931)が挙げられ得る。心血管疾患および新脈管形成におけるトランスジェニックマウスモデルは、Carmeliet,P.およびCollen,D.(2000)J.Pathol.190:387−405において総説されている。
アテローム性動脈硬化症の非組換えの、非遺伝的動物モデルとしては、例えば、ブタ、ウサギ、またはラットのモデルが挙げられ得、ここで、この動物は、LDLの食事補充による化学的創傷またはバルーンカテーテル血管形成による機械的創傷のいずれかに曝される。心血管疾患の動物モデルとしてはまた、ラット心筋梗塞モデル(例えば、Schwarz,ERら(2000)J.Am.Coll.Cardiol.35:1323−1330に記載される)およびウサギにおける慢性心臓虚血モデル(例えば、Operschall,Cら(2000)J.Appl.Physiol.88:1438−1445に記載される)が挙げられる。
さらに、心血管疾患の症状を示す動物モデルは、例えば、当業者に周知であるトランスジェニック動物を作製するための技術とともに、上記の1419遺伝子配列、58765遺伝子配列または2210遺伝子配列を使用することによって、操作され得る。例えば、1419遺伝子配列、58765遺伝子配列または2210遺伝子配列は、目的の動物のゲノムに導入され得、そしてこの目的の動物のゲノムにおいて過剰発現され得るか、あるいは内因性の1419遺伝子配列、58765遺伝子配列または2210遺伝子配列が存在する場合、これらは、過剰発現され得るか、あるいはマウスにおけるApoEの破壊について記載されるように(Plumpら、1992、Cell 71:343−353)、1419遺伝子発現、58765遺伝子発現または2210遺伝子発現を過少発現させるかまたはこれらの遺伝子発現を不活化させるために破壊され得るかのいずれかであり得る。
本発明の宿主細胞をまた使用して、非ヒトトランスジェニック動物を作製し得る。例えば、1つの実施形態において、本発明の宿主細胞は、受精卵母細胞または胚性幹細胞であり、この細胞に、1419コード配列、58765コード配列または2210コード配列が導入される。次いで、このような宿主細胞を使用して、非ヒトトランスジェニック動物を作製し得、ここにおいて、外因性の1419配列、58765配列または2210配列が、それらのゲノムまたは相同な組換え動物に導入され、ここで、内因性の1419配列、58765配列または2210配列が、変更される。このような動物は、1419、58765または2210の機能および/または活性を研究するため、ならびに1419活性、58765活性または2210活性の調節因子を同定および/または評価するために、有用である。本明細書中で使用される場合、「トランスジェニック動物」は、非ヒト動物であり、好ましくは、哺乳動物であり、より好ましくは、ラットまたはマウスのようなげっ歯類であり、ここで、これらの動物の1つ以上の細胞が、導入遺伝子を含む。トランスジェニック動物の他の例としては、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類などが挙げられる。導入遺伝子は、外因性DNAであり、この外因性DNAは、トランスジェニック動物が成長する細胞のゲノムに取り込まれ、かつ成熟動物のゲノムにおいて維持され、それによってこのトランスジェニック動物の1つ以上の細胞型または組織における、コードされた遺伝子産物の発現を指向する。本明細書中で使用される場合、「相同な組換え動物」は、非ヒト動物であり、好ましくは、哺乳動物であり、より好ましくは、マウスであり、ここで、内因性の1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子は、この内因性遺伝子と、動物の成長前にこの動物の細胞(例えば、動物の胚細胞)に導入される外因性DNA分子との間の相同組換えによって変更される。
本発明の方法において使用されるトランスジェニック動物は、1419、58765または2210のコード核酸を、受精卵母細胞の雄前核に、例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染によって導入し、そして卵母細胞を偽妊娠雌養母動物において成長させることによって作製され得る。1419、58765または2210のcDNA配列は、導入遺伝子として、非ヒト動物のゲノムに導入され得る。あるいは、ヒトの1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子の非ヒトホモログ(例えば、マウスまたはラットの1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子)が、導入遺伝子として使用され得る。あるいは、1419、58765または2210の遺伝子ホモログ(例えば、別の1419、58765または2210のファミリーメンバー)は、1419、58765または2210のcDNA配列へのハイブリダイゼーションに基づいて単離され得、そして導入遺伝子として使用され得る。イントロン配列およびポリアデニル化シグナルもまた、導入遺伝子の発現の効力を増加させるように、この導入遺伝子に含まれ得る。組織特異的調節配列は、1419、58765または2210の導入遺伝子に作動可能に連結されて、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の発現を特定の細胞に指向し得る。胚操作およびマイクロインジェクションを介して、トランスジェニック動物(特に、マウスのような動物)を作製するための方法は、当該分野において慣習的であり、例えば、以下に記載されている:米国特許第4,736,866号および同第4,870,009号(両方とも、Lederらによる)、米国特許第4,873,191号(Wagnerらによる)、ならびにHogan,B.,Manipulating the Mouse Embryo(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1986)。類似の方法が、他のトランスジェニック動物の作製のために使用され得る。トランスジェニックファウンダー(founder)動物は、そのゲノムにおける1419、58765または2210の導入遺伝子の存在、および/あるいは動物の組織または細胞における1419、58765または2210のmRNAの発現に基づいて、同定され得る。次いで、トランスジェニックファウンダー動物を使用して、導入遺伝子を保有するさらなる動物を産出し得る。さらに、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質をコードする導入遺伝子を有するトランスジェニック動物はさらに、他の導入遺伝子を有する他のトランスジェニック動物を産出し得る。
相同な組換え動物を作製するために、1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子の少なくとも一部を含むベクターが調製され、このベクターに、欠失、付加または置換が導入されて、それによって、1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子が変更される(例えば、機能的に破壊される)。この1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子は、ヒト遺伝子であり得るが、より好ましくは、ヒトの1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子の非ヒトホモログである。例えば、ラットの1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子を使用して、マウスゲノムにおいて内因性の1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子を変更するのに適切な、相同な組換え核酸分子(例えば、ベクター)を構築し得る。好ましい実施形態において、相同な組換え核酸分子は、相同組換えの際に、内因性の1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子が機能的に破壊される(すなわち、もはや機能的タンパク質をコードしない;「ノックアウト」ベクターとも呼ばれる)ように、設計される。あるいは、相同な組換え核酸分子は、相同組換えの際に、内因性の1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子が変異されるか、さもなければ変更されるが依然として機能的タンパク質をコードする(例えば、上流の調節領域が変更され、それによって内因性の1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の発現を変更され得る)ように、設計され得る。相同な組換え核酸分子において、1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子の変更された部分は、1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子のさらなる核酸配列によって、その5’末端および3’末端に隣接し、相同な組換え核酸分子によって保有される外因性の1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子と、細胞(例えば、胚性幹細胞)における内因性1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子との間に、相同組換えが生じることを可能にする。さらなる隣接の1419、58765または2210の核酸配列は、内因性遺伝子との首尾よい相同組換えに十分な長さの核酸配列である。代表的には、隣接したDNA(5’末端と3’末端との両方)の数キロベースが、この相同組換え核酸分子に含まれる(例えば、相同組換えベクターの記載については、Thomas,K.R.およびCapecchi,M.R.(1987)Cell 51:503を参照のこと)。相同組換え核酸分子は、細胞(例えば、胚性幹細胞株)に(例えば、エレクトロポーションによって)導入され、そして導入された1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子が内因性の1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子と相同に組み換わる細胞が、選択される(例えば、Li,E.ら(1992)Cell 69:915を参照のこと)。次いで、この選択された細胞は、動物(例えば、マウス)の胚盤胞に注入され、凝集キメラを形成し得る。(例えば、Bradley,A.Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Practical Approach,E.J.Robertson編(IRL,Oxford,1987)113−152頁)を参照のこと)。次いで、キメラ胚は、適切な偽妊娠雌養母動物に移植され得、そしてこの胚は、出産(term)され得る。生殖細胞において相同組換えされたDNAを含む子孫を使用して、動物を繁殖させ得、この動物の全ての細胞は、導入遺伝子の生殖(細胞)系列伝達によって相同組換えされたDNAを含む。相同な組換え核酸分子(例えば、ベクター)または相同な組換え動物を構築するための方法は、以下にさらに記載される:Bradley,A.(1991)Current Opinion in Biotechnology 2:823−829、およびLe MouellecらによるPCT国際公開番号WO 90/11354;SmithiesらによるWO 91/01140;ZijlstraらによるWO 92/0968;およびBernsらによるWO 93/04169。
別の実施形態において、本発明の方法において使用するためのトランスジェニック非ヒト動物が作製され得、この系は、導入遺伝子の調節された発現を可能にする、選択された系を含む。このような系の1つの例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系である。cre/loxPリコンビナーゼ系の記載については、例えば、Laksoら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232−6236を参照のこと。リコンビナーゼ系の別の例は、Saccharomyces cerevisiaeのFLPリコンビナーゼ系である(O’Gormanら(1991)Science 251:1351−1355)。cre/loxPリコンビナーゼ系を使用して導入遺伝子の発現を調節する場合、Creリコンビナーゼおよび選択されたタンパク質の両方をコードする導入遺伝子を含む動物が、必要とされる。このような動物は、「二重」トランスジェニック動物の構築によって(例えば、2種のトランスジェニック動物(一方は、選択されたタンパク質をコードするトランスジーンを含み、他方は、リコンビナーゼをコードするトランスジーンを含む)を交配させることによって)提供され得る。
本明細書中に記載される非ヒトトランスジェニック動物のクローンはまた、以下に記載される方法に従って作製され得る:Wilmut,I.ら(1997)Nature 385:810−813およびPCT国際公開番号WO 97/07668およびWO 97/07669。簡潔には、トランスジェニック動物由来の細胞(例えば、体細胞)が単離され得、そして増殖周期を出てG0期に入るように誘導され得る。次いで、休止細胞は、例えば、電気パルスの使用を介して、この休止細胞が単離される同じ種の動物由来の除核された卵母細胞に融合され得る。次いで、この再構築された卵母細胞は、桑実胚または胚盤胞まで成長するように培養され、次いで、偽妊娠雌養母動物に移される。この雌養母動物の子孫は、細胞(例えば、体細胞)が単離される動物のクローンである。
次いで、容易に検出可能なレベルで1419、58765または2210のmRNAあるいは1419、58765または2210のペプチド(1419、58765または2210のエピトープに特異的な抗体を使用して、免疫細胞化学的に検出される)を発現する、1419、58765または2210のトランスジェニック動物は、特徴的な心血管疾患の症状を表示する動物を同定するために、さらに評価されるべきである。このような心血管疾患の症状としては、例えば、有病率の増加、ならびに脂肪線条および/または心血管疾患斑のサイズの増大が挙げられ得る。
さらに、トランスジェニック動物内の特定の細胞型(例えば、内皮細胞)が分析され得、そして心血管疾患に特徴的な細胞表現型についてアッセイされ得る。内皮細胞の場合、このような表現型としては、細胞増殖、細胞移動、脈管形成、炎症促進性成長因子(proinflammatory growth factor)およびサイトカインの産生、ならびに炎症性細胞への接着が挙げられるがこれらに限定されない。単球の場合、このような表現型としては、LDL取り込み速度の増加、内皮細胞への接着、遊出、泡沫細胞の形成、脂肪線条形成、および泡沫細胞特異的産物の産生が挙げられ得るがこれらに限定されない。細胞表現型としては、心血管疾患の症状を示す動物における、特定の細胞型の既知の発現プロフィールと比較した、心血管疾患に関連した遺伝子発現の特定の細胞型パターンが挙げられ得る。
(B.細胞ベースの系)
1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質をコードする、1419遺伝子配列、58765遺伝子配列または2210遺伝子配列を含み、かつこれらを発現し、そしてさらに心血管疾患に関連する細胞表現型を示す細胞を使用して、抗心血管疾患活性を示す化合物を同定し得る。このような細胞としては、以下が挙げられ得る:非組換え単球細胞株(例えば、U937(ATCC番号CRL−1593)、THP−1(ATCC番号TIB−202)、およびP388D1(ATCC番号TIB−63));内皮細胞(例えば、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)、ヒト微小血管内皮細胞(HMVEC)、およびウシ大動脈内皮細胞(BAEC));ならびに、一般的な哺乳動物細胞株(例えば、HeLa細胞およびCOS細胞(例えば、COS−7(ATCC番号CRL−1651)))。さらに、このような細胞としては、組換え細胞株、トランスジェニック細胞株が挙げられ得る。例えば、上で議論される、本発明の心血管疾患の動物モデルを使用して、この障害についての細胞培養モデルとして使用され得る細胞株(これは、心血管疾患に関与する1種以上の細胞型を含有する)を作製し得る。本発明の心血管疾患のトランスジェニック動物由来の一次培養物が利用され得るが、連続した細胞株の作製が好ましい。トランスジェニック動物から連続した細胞株を誘導するために使用され得る技術の例については、Smallら(1985)Mol.Cell Biol.5:642−648を参照のこと。
あるいは、心血管疾患に関与することが既知である細胞型の細胞は、その細胞内の1419遺伝子、58765遺伝子もしくは2210遺伝子の発現の量を増大または減少し得る配列を用いてトランスフェクトされ得る。例えば、1419遺伝子配列、58765遺伝子配列または2210遺伝子配列は、目的の細胞のゲノムに導入され得、そしてこの細胞において過剰発現されるか、または内因性1419遺伝子配列、内因性58765遺伝子配列もしくは内因性2210遺伝子配列が存在する場合、そのような配列が過剰発現され得るか、代わりに1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子の発現を過小発現または不活性化するために破壊され得る。
1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子を過剰発現させるために、1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子のコード部分は、目的の細胞型(例えば、内皮細胞)において遺伝子発現を駆動し得る調節配列に連結され得る。このような調節領域は、当業者に周知であり、過度な実験なくして、利用され得る。標的遺伝子を発現させるための組換え法は、上記に記載される。
内因性1419遺伝子配列、内因性58765遺伝子配列または内因性2210遺伝子配列の過小発現のために、このような配列は、目的の細胞型のゲノムに再び導入される場合に、内因性1419対立遺伝子、内因性58765対立遺伝子または内因性2210対立遺伝子が不活性化されるように、単離および操作され得る。好ましくは、操作された1419配列、58765配列または2210配列は、内因性1419配列、内因性58765配列または内因性2210配列が、細胞ゲノムに操作された1419配列、58765配列または2210配列を組み込む際に破壊されるように、遺伝子標的化を介して導入され得る。宿主細胞の、1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子を用いたトランスフェクションは、上記で議論される。
化合物で処理されるかまたは1419遺伝子、58765遺伝子もしくは2210遺伝子でトランスフェクトされる細胞は、心血管疾患と関連する表現型について試験され得る。単球の場合、そのような表現型としては、LDL取込み速度の増加、内皮細胞への接着、遊出、泡沫細胞形成、脂肪線(fatty streak)形成、および泡沫細胞による増殖因子(例えば、bFGF、IGF−I、VEGF、IL−1、M−CSF、TGFβ、TGFα、TNFα、HB−EGF、PDGF、IFN−γ、およびGM−CSF)の産生が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、遊出速度は、内皮単層を横切り、そして部分内皮(subendothelial)空間のコラーゲン層へと遊出する単球の数を定量することにより、Navabら(1998)J.Clin.Invest.82:1853−1863のインビトロの系を用いて測定され得る。
同様に、内皮細胞が、試験化合物で処置され得るかまたは遺伝的に操作された1419遺伝子、58765遺伝子、または2210遺伝子を用いてトランスフェクトされ得る。次いで、内皮細胞が、心血管疾患(細胞形態の変化、細胞増殖、細胞移動、および単核細胞接着が挙げられるが、これらに限定されない)に関連する表現型についてか;または心血管障害に関連する他のタンパク質(例えば、接着分子(例えば、ICAM、VCAM、Eセレクチン)、増殖因子およびサイトカイン(例えば、PDGF、IL−1β、TNFα、MCF))および新脈管形成に関連するタンパク質(例えば、FLK、FLT)の生成に対する効果について試験され得る。
1419核酸、58765核酸または2210核酸のトランスフェクションは、標準的な技術(例えば、Ausubel(1989)前出に記載される技術)を使用することにより達成され得る。トランスフェクトされた細胞は、組換え1419遺伝子配列、58765遺伝子配列または2210遺伝子配列の存在について、1419mRNA、58765mRNAまたは2210mRNAの発現および蓄積について、ならびに組換え1419タンパク質、組換え58765タンパク質または組換え2210タンパク質の産生の存在について評価されるべきである。1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子の発現の減少が所望される場合において、標準的な技術は、内因性1419遺伝子、内因性58765遺伝子もしくは内因性2210遺伝子の発現における減少および/または1419タンパク質、58765タンパク質もしくは2210タンパク質の産生における減少が達成されるか否かを実証するために、使用され得る。
心血管疾患および新脈管形成の研究のための細胞モデルとしては、以下が挙げられる:Matrigel上の内皮細胞分化のモデル(Baatout,Sら、(1996)Rom.J.Intern.Med.34:263−269;Benelli,Rら(1999)Int.J.Biol.Markers 14:243−246)、脈管形態発生の胚性幹細胞モデル(Doetschman,Tら(1993)Hypertension 22:618−629)、生理学的ゲル中での微小血管フラグメントの培養(Hoying,JBら(1996)In Vitro Cell Dev.Biol.Anim.32:409−419;米国特許第5,976,782号)、ならびにアテローム発生因子および新脈管形成因子(増殖因子およびサイトカイン(例えば、IL−1β、PDGF、TNFα、VEGF)、ホモシステインおよびLDLが挙げられる)を用いる内皮細胞および平滑筋細胞の処理。インビトロでの新脈管形成モデルは、例えば、Black,AFら(1999)Cell Biol.Toxicol.15:81−90に記載されている。
(III.予測医学)
本発明はまた、予測医学の分野に関する。この分野において、診断アッセイ、予後アッセイ、およびモニタリング臨床試験が、診断(予測)目的のために使用され、それによって個体を予防的に処置する。従って、本発明の1つの局面は、生物学的サンプル(例えば、血液、血清、細胞(例えば、内皮細胞)、または組織(例えば、血管組織))の状況において、1419タンパク質、58765タンパク質もしくは2210タンパク質および/または1419核酸、58765核酸もしくは2210核酸の発現、ならびに1419、58765または2210の活性を決定し、それによって、個体が、心血管疾患に罹患しているか否かを決定するための診断アッセイに関する。本発明はまた、個体が心血管障害を発症する危険性があるか否かを決定するための診断(または予測)アッセイを提供する。例えば、1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子における変異が、生物学的サンプル中でアッセイされ得る。このようなアッセイは、診断目的または予測目的のために使用され、それによって個体は、心血管障害(例えば、アテローム硬化症)の発症前に、予防的に処置され得る。
本発明の別の局面は、臨床試験における、1419、58765または2210の発現または活性に対する1419、58765または2210の調節因子(例えば、抗1419抗体、抗58765抗体もしくは抗2210抗体、または1419リボザイム、58765リボザイムもしくは2210リボザイム)の影響のモニタリングに関する。
これらおよび他の薬剤は、以下の節で、さらに詳細に記載される。
(A.心血管疾患についての診断アッセイ)
被験体が心血管疾患に罹患しているか否かを決定するために、生物学的サンプルが被験体から得られ、そしてその生物学的サンプルが、生物学的サンプル中の1419タンパク質、58765タンパク質もしくは2210タンパク質、または1419タンパク質、58765タンパク質もしくは2210タンパク質をコードする核酸(例えば、mRNAまたはゲノムDNA)を検出し得る化合物または薬剤と接触させられ得る。1419、58765または2210のmRNAまたはゲノムDNAを検出するのに好ましい薬剤は、1419、58765または2210のmRNAまたはゲノムDNAにハイブリダイズし得る標識核酸プローブである。この核酸プローブは、例えば、配列番号1、4もしくは7に示される1419核酸、58765核酸もしくは2210核酸またはそれらの一部(例えば、少なくとも15、20、25、30、25、40、45、50、100、250または500ヌクレオチド長であり、ストリンジェントな条件下で、1419、58765または2210のmRNAまたはゲノムDNAに特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチド)であり得る。本発明の診断アッセイにおいて使用するのに適切な他のプローブが、本明細書中に記載されている。
サンプル中の1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質を検出するのに好ましい薬剤は、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質に結合し得る抗体であり、好ましくは、検出可能な標識を有する抗体である。抗体は、ポリクローナル抗体であり得、より好ましくは、モノクローナル抗体であり得る。インタクトな抗体、またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab’)2)が、使用され得る。用語「標識」は、プローブまたは抗体に関して、検出可能な物質をプローブまたは抗体に連結(すなわち、物理的に連結)することによるこのプローブまたは抗体の直接的な標識、ならびに直接的に標識された別の試薬との反応性によるこのプローブまたは抗体の間接的な標識を包含することが意図される。間接的な標識の例としては、蛍光標識された二次抗体を使用する一次抗体の検出、および蛍光標識されたストレプトアビジンで検出され得るように、ビオチンでDNAプローブの末端を標識する一次抗体の検出が挙げられる。
用語「生物学的サンプル」は、被験体から単離された組織、細胞、および生物学的流体、ならびに被験体内に存在する組織、細胞、および流体を含むことが意図される。すなわち、本発明の検出方法を使用して、インビトロおよびインビボで、生物学的サンプル中の1419、58765または2210のmRNA、タンパク質、またはゲノムDNAを検出し得る。例えば、1419、58765または2210のmRNAを検出するためのインビトロ技術としては、ノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイチュハイブリダイゼーションが挙げられる。1419、58765または2210のタンパク質を検出するためのインビトロ技術としては、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降、および免疫蛍光検査法が挙げられる。1419、58765または2210のゲノムDNAを検出するためのインビトロ技術としては、サザンハイブリダイゼーションが挙げられる。さらに、1419、58765または2210のタンパク質を検出するためのインビボ技術としては、被験体への標識抗1419抗体、標識抗58765抗体または標識抗2210抗体の導入が挙げられる。例えば、抗体は、被験体における存在および位置が、標準的な画像化技術によって検出され得る放射活性マーカーを用いて、標識され得る。
別の実施形態において、本方法はさらに、コントロール被験体からのコントロール生物学的サンプルを獲得する工程、コントロールサンプルと、1419、58765または2210のタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAを検出し得る化合物または薬剤とを接触させる工程(その結果、生物学的サンプルにおける1419、58765または2210のタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの存在が、検出される)、およびコントロールサンプル中の1419、58765または2210のタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの存在と、試験サンプル中の1419、58765または2210のタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの存在とを比較する工程を包含する。
(B.心血管疾患についての予後アッセイ)
本発明はさらに、異常な1419、58765または2210の発現または活性に関連する心血管疾患を有するかまたは発症する危険を有する被験体を同定するための方法に関する。
本明細書中で使用される場合、用語「異常な」は、野生型の1419、58765または2210の発現または活性から逸脱した、1419、58765または2210の発現または活性を含む。異常な発現または活性としては、発現または活性の増加または減少、ならびに野生型の発現の発生的パターンまたは細胞下の発現のパターンに従わない、発現または活性が挙げられる。例えば、異常な1419、58765または2210の発現または活性は、1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子における変異が、1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子の過少発現または過剰発現を引き起こす場合、ならびにこのような変異が、非機能的1419タンパク質、非機能的58765タンパク質もしくは非機能的2210タンパク質または野生型の様式で機能しないタンパク質(例えば、1419基質、58765基質もしくは2210基質と相互作用しないタンパク質、または非1419基質、非58765基質もしくは非2210基質と相互作用するタンパク質)を生じる場合を含むことが意図される。
本明細書中で記載されるアッセイ(例えば、上述の診断アッセイまたは後述のアッセイ)は、心血管疾患(例えば、アテローム性硬化症、虚血/再灌流障害、高血圧、再狭窄、動脈炎症、および内皮細胞障害が挙げられるが、これらに限定されない)を有するかまたはそれを発症する危険を有する被験体を同定するために使用され得る。生物学的サンプルは、被験体から得られ、そして遺伝的変更の存在または不存在について試験される。例えば、このような遺伝的変更は、以下の少なくとも1つの存在を確認することにより検出され得る:1)1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子からの1つ以上のヌクレオチドの欠失;2)1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子への1つ以上のヌクレオチドの付加;3)1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子の1つ以上のヌクレオチドの置換、4)1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子の染色体再構築;5)1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子のメッセンジャーRNA転写物レベルの変更、6)ゲノムDNAのメチル化パターンのような、1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子の異常な改変、7)1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子のメッセンジャーRNA転写物の非野生型スプライシングパターンの存在、8)1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の非野生型レベル、9)1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子の対立遺伝子喪失、および10)1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の不適切な翻訳後修飾。
本明細書中に記載されるように、1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子における遺伝的変更を検出するために使用され得る、当該分野において公知の多くのアッセイが、存在する。例えば、1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子の遺伝的変更は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号を参照のこと)(例えば、アンカーPCRまたはRACE PCR)、あるいは、ライゲーション連鎖反応(LCR)(例えば、Landegranら(1988)Science 241:1077−1080;およびNakazawaら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:360−364を参照のこと)におけるプローブ/プライマーを使用して検出され、これらのうちの後者は、1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子における点変異を検出するために特に有用であり得る(Abravayaら(1995)Nucleic Acids Res.23:675−682を参照のこと)。この方法は、被験体から細胞サンプルを収集する工程、このサンプルから核酸(例えば、ゲノム、mRNAまたはこれらの両方)を単離する工程、(存在するならば)1419、58765または2210遺伝子のハイブリダイゼーションおよび増幅が生じるような条件下で、この核酸サンプルを、1419、58765または2210遺伝子に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーと接触させる工程、ならびに増幅産物の存在または非存在を検出する工程、あるいは増幅産物のサイズを検出しそしてコントロールサンプルとその長さを比較する工程を包含する。PCRおよび/またはLCRが、本明細書中に記載される変異を検出するために使用される任意の技術と組合わせて予備的増幅工程として使用するに望ましくあり得ることが、予測される。
代替の増幅法としては以下が挙げられる:自己維持的配列複製(self sustained sequence replication)(Guatelli,J.C.ら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874−1878)、転写増幅系(Kwoh,D.Y.ら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173−1177)、Q−βレプリカーゼ(Lizardi,P.M.ら(1988)Bio−Technology 6:1197)、または他の核酸増幅法のいずれか、その後の当業者に周知の技術を使用する増幅分子の検出。これらの検出スキームは、このような分子が非常に少数で存在する場合に、核酸分子の検出に特に有用である。
代替の実施形態において、サンプル細胞由来の1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子における変異は、制限酵素切断パターンにおける変更によって同定され得る。例えば、サンプルDNAおよびコントロールDNAが、単離され、(必要に応じて)増幅され、1つ以上の制限エンドヌクレアーゼで消化され、そしてフラグメント長サイズが、ゲル電気泳動によって決定され、そして比較される。サンプルDNAとコントロールDNAとの間のフラグメント長サイズの差異は、サンプルDNA中の変異を示す。さらに、配列特異的リボザイム(例えば、米国特許第5,498,531号を参照のこと)の使用は、リボザイム切断部位の発生または喪失によって、特定の変異の存在についてスコア付けするために使用され得る。
他の実施形態において、1419、58765または2210における遺伝的変異は、誘導される生物学的サンプルおよびコントロール核酸(例えば、DNAまたはRNA)を、数百または数千のオリゴヌクレオチドプローブを含む高密度アレイにハイブリダイズさせることによって同定され得る(Cronin,M.T.ら(1996)Human Mutation 7:244−255;Kozal,M.J.ら(1996)Nature Medicine 2:753−759)。例えば、1419、58765または2210における遺伝的変異は、Cronin,M.T.ら(1996)(前出)に記載されるような光生成DNAプローブを含む2次元アレイにおいて同定され得る。簡単には、プローブの第1のハイブリダイゼーションアレイを使用して、連続的な重複プローブの線状アレイを作製することによって、サンプルおよびコントロールにおけるDNAの長鎖を通して走査して配列間の塩基変化を同定し得る。この工程は、点変異の同定を可能にする。この工程の後に、検出される全ての改変体または変異に相補的なより小さな特定のプローブアレイを使用することによって、特定の変異の特徴付けを可能にする第2のハイブリダイゼーションアレイが続く。各変異アレイは、並行プローブセット、野生型遺伝子に対する1つの相補体、および変異遺伝子に対する他の相補体から構成される。
なお別の実施形態において、当該分野において公知の種々の配列決定反応のいずれかを使用して、生物学的サンプル中の1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子を直接的に配列決定し得、そして生物学的サンプル中の1419、58765または2210の配列を、対応する野生型(コントロール)配列と比較することによって変異を検出し得る。配列決定反応の例としては、MaxamおよびGilbert((1977)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:560)またはSanger((1977)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463)によって開発された技術に基づく反応が挙げられる。任意の種々の自動化配列決定手順が、質量分析法による配列決定(例えば、PCT国際公開番号94/16101;Cohenら(1996)Adv.Chromatogr.36:127−162;およびGriffinら(1993)Appl.Biochem.Biotechnol.38:147−159を参照のこと)を含む診断アッセイ(Naeve,C.W.(1995)Biotechniques 19:448−53)を行う場合に利用され得ることもまた、企図される。
1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子における変異を検出するための他の方法としては、切断剤からの保護がRNA/RNA異種二重鎖またはRNA/DNA異種二重鎖中でミスマッチした塩基を検出するために使用される方法が挙げられる(Myersら(1985)Science 230:1242)。一般に、「ミスマッチ切断」の分野の技術は、野生型1419配列、野生型58765配列または野生型2210配列を含む(標識された)RNAまたはDNAを、組織サンプルより得られた潜在的変異RNAまたはDNAとハイブリダイズさせることによって形成される異種二重鎖を提供することによって開始する。二本鎖二重鎖は、コントロール鎖とサンプル鎖との間の塩基対ミスマッチに起因して存在するような二重鎖の一本鎖領域を切断する薬剤で処理される。例えば、ミスマッチ領域を酵素的に消化するために、RNA/DNA二重鎖はRNaseで処理され得、DNA/DNAハイブリッドはS1ヌクレアーゼで処理され得る。他の実施形態において、DNA/DNA二重鎖またはRNA/DNA二本鎖のいずれかが、ヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウムで処理され得、そして、ミスマッチ領域を消化するためにピペリジンで処理される。ミスマッチ領域の消化後、次いで、生じた物質が、変異部位を決定するために変性ポリアクリルアミドゲル上でサイズにより分離される。例えば、Cottonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:4397;Saleebaら(1992)Methods Enzymol.217:286−295を参照のこと。好ましい実施形態において、コントロールDNAまたはRNAが、検出のために標識され得る。
なお別の実施形態において、ミスマッチ切断反応は、細胞のサンプルより得られた1419cDNA、58765cDNAまたは2210cDNAの中の点変異を検出およびマッピングするために規定された系において二本鎖DNA中のミスマッチ塩基対を認識する1つ以上のタンパク質(「DNAミスマッチ修復」酵素と呼ばれる)を使用する。例えば、E.coliのmutY酵素は、G/AミスマッチでAを切断し、そしてHeLa細胞由来のチミジンDNAグリコシラーゼは、G/TミスマッチでTを切断する(Hsuら(1994)Carcinogenesis 15:1657−1662)。例示的実施形態に従って、1419配列、58765配列または2210配列(例えば、野生型の1419配列、58765配列または2210配列)に基づくプローブは、試験細胞からのcDNA産物または他のDNA産物にハイブリダイズされる。二重鎖は、DNAミスマッチ修復酵素を用いて処理され、そしてその切断産物は、存在する場合、電気泳動的プロトコルなどから検出され得る。例えば、米国特許第5,459,039号を参照のこと。
他の実施形態において、電気泳動的移動度の変更を使用して、1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子における変異を同定する。例えば、一本鎖コンフォーメーション多型(SSCP)を使用して、変異体核酸と野生型核酸との間の電気泳動的移動度の差異を検出し得る(Oritaら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA:86:2766;Cotton(1993)Mutat.Res.285:125−144およびHayashi(1992)Genet.Anal.Tech.Appl.9:73−79もまた参照のこと)。サンプルおよびコントロールの1419核酸、58765核酸または2210核酸の一本鎖DNAフラグメントは変性され、そして再生される。一本鎖核酸の二次構造は、配列に従って変化し、電気泳動的移動度において生じた変更は、単一の塩基変化の検出さえ可能にする。DNAフラグメントは、標識されたプローブで標識されても検出されてもよい。このアッセイの感度は、二次構造が配列の変化により感受性である(DNAよりむしろ)RNAを用いることにより増強され得る。好ましい実施形態において、目的の方法は、電気泳動的移動度の変化に基づいて二本鎖へテロ二重鎖分子を分離するためにヘテロ二重鎖分析を利用する(Keenら(1991)Trends Genet 7:5)。
なお別の実施形態において、変性剤の勾配を含有するポリアクリルアミドゲル中での変異体フラグメントまたは野生型フラグメントの移動は、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)(Myersら(1985)Nature 313:495)を使用してアッセイされる。DGGEが分析法として使用される場合、DNAは、例えば、PCRによって約40bpの高温融解GCリッチDNAのGCクランプを付加することにより完全には変性していないことを確認するために改変される。さらなる実施形態において、温度勾配は、コントロールDNAおよびサンプルDNAの移動度の差異を同定するための変性勾配の代わりに使用される(RosenbaumおよびReissner(1987)Biophys Chem 265:12753)。
点変異を検出するための他の技術の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸長。例えば、オリゴヌクレオチドプライマーが調製され得、ここで、既知の変異が中心におかれ、次いで、完全な一致が見出される場合にのみハイブリダイゼーションを可能にする条件下で標的DNAにハイブリダイズする(Saikiら(1986)Nature 324:163);Saikiら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6230)。このような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、このオリゴヌクレオチドがハイブリダイズ膜に結合しそして標識標的DNAとハイブリダイズする場合に、PCR増幅標的DNAまたは多くの種々の変異にハイブリダイズされる。
あるいは、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅技術は、本発明と組合わせて使用され得る。増幅に特異的なプライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドは、分子の中心に目的の変異を保有し得る(その結果、増幅は、差示的ハイブリダイゼーションに依存する)(Gibbsら(1989)Nucleic Acids Res.17:2437−2448)、または適切な条件下で、ミスマッチが、ポリメラーゼ伸長を防ぎ得るかもしくは低減し得る場合、一方のプライマーの3’末端で目的の変異を保有し得る(Prossner(1993)Tibtech 11:238)。さらに、切断ベース検出を作製するために、変異領域中に新規の制限部位を導入することが、好ましくあり得る(Gaspariniら(1992)Mol.Cell Probes 6:1)。特定の実施形態において、増幅のためにTaqリガーゼを使用して増幅が行われ得ることもまた、明らかである(Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:189)。このような場合に、連結は、5’配列の3’末端で完全なミスマッチが存在する場合にのみ生じ、これにより、増幅の存在または非存在を探索することによって特定の部位で既知の変異の存在を検出するのを可能にする。
さらに、本明細書中に記載される予後アッセイは、被験体に、心血管疾患(例えば、アテローム性硬化症)を効果的に処置するために1419、58765または2210の調節因子(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣物、タンパク質、ペプチド、核酸または低分子)を投与し得るか否かを決定するために用いられ得る。
(C.臨床試験の間の効果のモニタリング)
本発明はさらに、被験体における心血管疾患(例えば、アテローム性硬化症および/または血栓症)の処置における1419調節因子、58765調節因子もしくは2210調節因子(例えば、本明細書において同定される1419調節因子、58765調節因子もしくは2210調節因子)の有効性を決定するための方法を提供する。例えば、1419、58765もしくは2210の遺伝子の発現、タンパク質レベルを増加するか、または1419、58765もしくは2210の活性をアップレギュレートする1419、58765もしくは2210の調節因子の有効性は、1419、58765もしくは2210の遺伝子の発現、タンパク質レベルの減少、または1419、58765もしくは2210の活性のダウンレギュレートを示す被験体の臨床試験においてモニタリングされ得る。あるいは、1419、58765もしくは2210の遺伝子の発現、タンパク質レベルを減少するか、または1419、58765もしくは2210の活性をダウンレギュレートする1419、58765もしくは2210の調節因子の有効性は、1419、58765もしくは2210の遺伝子の発現、タンパク質レベルの増加、または1419、58765または2210の活性を示す被験体の臨床試験においてモニタリングされ得る。このような臨床試験において、1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子、および好ましくは、例えば、アテローム硬化症および/または血栓症に関与する他の遺伝子の発現または活性が、「読み出し」すなわち特定の細胞(例えば、血管内皮細胞)の表現型のマーカーとして使用され得る。
例えば(限定のためではなく)、(例えば、本明細書中に記載されるようなスクリーニングアッセイにおいて同定される)1419、58765または2210の活性を調節する因子での処置によって細胞において調節される、1419、58765または2210を含む遺伝子が、同定され得る。よって、心血管疾患に罹患した被験体に対する1419、58765または2210の活性を調節する因子の効果を(例えば、臨床試験において)研究するために、細胞が単離され得、そしてRNAが調製され得、1419、58765または2210および心血管疾患に関連する他の遺伝子の発現レベルについて分析され得る。遺伝子発現レベル(例えば、遺伝子発現パターン)は、本明細書中に記載されるようなノザンブロット分析もしくはRT−PCRによって、あるいは本明細書中に記載されるような方法の1つによって産生されるタンパク質量を測定することによって、または1419、58765もしくは2210もしくは他の遺伝子の活性レベルを測定することによって、定量され得る。この方法において、遺伝子発現パターンは、細胞の1419、58765もしくは2210の活性を調節する因子に対する生理学的応答を示すマーカーとして働き得る。この応答状態は、個体を1419、58765もしくは2210の活性を調節する因子で処置する前、またはその間の種々の時点で測定され得る。
好ましい実施形態において、本発明は、1419、58765もしくは2210の活性を調節する因子(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣物、タンパク質、ペプチド、核酸、または本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイによって同定される低分子)での被験体の処置の有効性をモニタリングするための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(i)この因子の投与前に投与前のサンプルを被験体から得る工程;(ii)この投与前のサンプル中の1419、58765または2210のタンパク質、RNA、またはゲノムDNAの発現レベルを検出する工程;(iii)1つより多くの投与後のサンプルを被験体から得る工程;(iv)これらの投与後のサンプル中の1419、58765または2210のタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現レベルまたは活性レベルを検出する工程;(v)投与前のサンプル中の1419、58765または2210のタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現レベルまたは活性レベルを、投与後のサンプル中の1419、58765または2210のタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現レベルまたは活性レベルと比較する工程;ならびに(vi)それに従い、被験体に対するこの因子の投与を変更する工程。例えば、因子の投与増加は、1419、58765または2210の発現または活性を、検出された(すなわち、この因子の有効性を増加させる)レベルよりも高いレベルに増加することが、望ましくあり得る。あるいは、因子の投与減少は、1419、58765または2210の発現または活性を、検出された(すなわち、因子の有効性を減少させる)レベルよりも低いレベルに減少することが、望ましくあり得る。このような実施形態に従って、1419、58765または2210の発現または活性は、観察可能な表現型応答の非存在下ですら、因子の有効性の指標として使用され得る。
(IV.心血管疾患に罹患する被験体の処置方法)
本発明は、被験体(例えば、アテローム硬化症、虚血/再灌流障害、高血圧、再狭窄、動脈炎症、血栓症、および内皮細胞障害のような心血管疾患の危険性のある(または疾患を罹患しそうな)ヒト)を処置する予防法および治療法を提供する。処置の予防法および治療法の両方の観点で、このような処置は、薬理ゲノム学(pharmacogenomics)の分野から得られる知識に基いて、特異的に仕立てられ(tailore)得るかまたは改変され得る。本明細書中で使用される場合、「薬理ゲノム学」は、遺伝子配列決定、統計的遺伝学および遺伝子発現分析のようなゲノム技術の、臨床開発および市場での薬物に対する適用をいう。より詳細には、この用語は、患者の遺伝子がどのように薬物に対する患者の応答(例えば、患者の「薬物応答表現型」または「薬物応答遺伝子型」)を決定するのかについての研究をいう。
従って、本発明の別の局面は、個々の薬物応答遺伝子型に従って、本発明の1419分子、58765分子、または2210分子、あるいは、1419調節因子、58765調節因子、または2210調節因子のいずれかを用いる被験体の予防処置または治療処置を仕立てるための方法を提供する。薬理ゲノム学によって、臨床医(clinician)または内科医(physician)は、この処置から最も利益を得る患者に対して予防処置または治療処置を標的化することが可能になり、そして毒性薬物関連副作用を被る患者の処置を避けることが可能になる。
(A.予防法)
1つの局面において、本発明は、1419、58765または2210の発現、あるいは1419、58765または2210の活性、例えば、カルシウム流入の調節、細胞移動、またはアテローム硬化型損傷を調節する因子を被験体に投与することによって、被験体において心血管疾患を予防するための方法を提供する。心血管疾患(例えば、アテローム硬化症および/または血栓症)の危険性のある患者は、例えば、本明細書中に記載される診断アッセイまたは予防アッセイのいずれかまたはその組合わせによって、同定され得る。予防薬の投与は、異常な1419、58765または2210の発現または活性に特徴的な症状の徴候の前に生じ得、その結果、心血管疾患が、その進行において予防、または遅延される。1419、58765または2210の異常の型に依存して、例えば、1419、58765または2210、1419、58765または2210のアゴニスト剤、あるいは1419、58765または2210のアンタゴニスト剤が、被験体の処置のために使用され得る。適切な因子は、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイに基いて決定され得る。
(B.治療法)
心血管疾患の症状が改善される方法および組成物が、本明細書中に記載される。特定の心血管疾患が、過剰なレベルの遺伝子産物によってか、または異常な活性もしくは過剰な活性を示す遺伝子産物の存在によって、少なくとも部分的にもたらされる。従って、、このような遺伝子産物のレベルおよび/または活性の減少は、心血管疾患の症状の改善をもたらし得る。遺伝子発現レベルまたはタンパク質活性の減少のための技術は、以下に議論される。
あるいは、特定の他の心血管疾患が、遺伝子発現レベルの非存在または減少によってかまたはタンパク質活性レベルの減少によって、少なくとも部分的にもたらされる。従って、このようなタンパク質の遺伝子発現および/または活性のレベルの増加は、心血管疾患の症状の改善をもたらし得る。
いくつかの場合において、疾患状態における遺伝子のアップレギュレーションは、疾患状態に対応するその遺伝子産物についての保護的役割を反映する。このような遺伝子発現の増加、または遺伝子産物の活性の増加は、それが発揮する保護的効果を強化する。いくつかの心血管疾患状態は、このような保護的遺伝子の異常に低いレベルの活性から生じ得る。これらの場合においてもまた、遺伝子発現のレベルの増加および/またはこのような遺伝子産物の活性の増加は、心血管疾患の症状の改善をもたらし得る。標的遺伝子発現レベルまたは標的遺伝子産物活性レベルを増加するための技術は、本明細書中に議論される。
従って、本発明の別の局面は、治療目的で1419、58765または2210の発現または活性を調節する方法に関する。よって、例示的実施形態において、本発明の調節方法は、細胞を、1419、58765または2210、あるいは細胞(例えば、内皮細胞、または卵巣細胞)に関連する1419、58765または2210のタンパク質活性の1つ以上の活性を調節する因子と接触させる工程を、包含する。1419、58765または2210のタンパク質活性を調節する因子は、本明細書中に記載されるような因子(例えば、核酸またはタンパク質、1419、58765もしくは2210のタンパク質の天然に存在する標的分子(例えば、1419、58765または2210のリガンドまたは基質)、1419、58765または2210の抗体、1419、58765または2210のアゴニストまたはアンタゴニスト、1419、58765または2210のアゴニストまたはアンタゴニストのペプチド模倣物、あるいは、他の低分子)であり得る。1つの実施形態において、この因子は、1つ以上の1419、58765または2210の活性を刺激する。このような刺激因子の例としては、活性な1419、58765または2210のタンパク質、および細胞中に導入された1419、58765または2210をコードする核酸分子が挙げられる。別の実施形態において、この因子は、1つ以上の1419、58765または2210の活性を阻害する。このような阻害因子の例としては、アンチセンス1419核酸分子、アンチセンス58765核酸分子、またはアンチセンス2210の核酸分子、抗1419抗体、抗58765抗体または抗2210抗体、および1419、58765または2210のインヒビターが挙げられる。これらの調節法は、(例えば、細胞を因子とともに培養することによって)インビトロで、あるいは(例えば、因子を被験体に投与することによって)インビボで行われ得る。従って、本発明は、1419、58765または2210のタンパク質または核酸分子の、異常な発現もしくは活性または所望されない発現もしくは活性によって特徴付けられる疾患または障害に罹患した個体を処置する方法を提供する。1つの実施形態において、本発明は、因子(例えば、本明細書中に記載される少なくともアッセイによって同定される因子)、あるいは1419、58765または2210の発現または活性を調節する(例えば、アップレギュレートまたはダウンする)因子の組合わせを投与する工程を包含する。別の実施形態において、本方法は、1419、58765または2210の減少した異常な発現もしくは活性または所望されない発現もしくは活性を補う治療薬として、1419、58765または2210のタンパク質または核酸分子を投与する工程を包含する。
1419、58765または2210の活性の刺激は、1419、58765または2210が異常にダウンレギュレートされる状況および/または1419、58765または2210の増加した活性が有益な効果を有するようである状況において望ましい。同様に、1419、58765または2210の活性の阻害は、1419、58765または2210が異常にアップレギュレートされる状況および/または1419、58765または2210の減少した活性が有益な効果を有するようである状況において望ましい。
((i)標的遺伝子の発現、合成、または活性を阻害するための方法)
上で考察されるように、心血管障害に関連する遺伝子は、遺伝子活性の増加したレベルを介してこのような障害を引き起こし得る。いくつかの場合において、このようなアップレギュレーションは、疾患状態に対して原因となるかまたは増悪させる影響を有し得る。種々の技術が、このような遺伝子および/またはタンパク質の発現、合成、または活性を阻害するために使用され得る。
例えば、上記のアッセイを介して同定される化合物のような化合物(阻害性活性を示す)は、本発明に従って、心血管疾患の症状を軽減するために使用され得る。このような分子としては、有機低分子、ペプチド、抗体などが挙げられ得るが、これらに限定されない。
例えば、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質に対する内因性リガンドと競合する化合物が投与され得る。リガンド結合した1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の量に生じる減少は、内皮細胞生理学を調節する。この目的のために特に有用であり得る化合物は、例えば、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の可溶性タンパク質または可溶性ペプチド、1つ以上の細胞外ドメインを含むペプチド、またはその一部および/もしくはアナログ(例えば、Ig−テールド(tailed)融合タンパク質のような可溶性融合タンパク質を含む)が挙げられる(Ig−テールド融合タンパク質の産生についての考察について、例えば、米国特許第5,116,964号を参照のこと)。あるいは、1419レセプター部位、58765レセプター部位または2210レセプター部位に結合するが、タンパク質を活性化しない、リガンドアナログまたは抗体のような化合物(例えば、レセプター−リガンドアンタゴニスト)は、1419タンパク質活性、58765タンパク質活性または2210タンパク質活性を阻害するのに有効であり得る。
さらに、1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子の発現を阻害するアンチセンス分子およびリボザイム分子もまた、本発明に従って、異常な1419遺伝子活性、58765遺伝子活性または2210遺伝子活性を阻害するために使用され得る。なおさらに、3重らせん分子は、異常な1419遺伝子活性、58765遺伝子活性または2210遺伝子活性を阻害する際に利用され得る。
本発明の方法に使用されるアンチセンス核酸分子は、代表的に、被験体に投与されるかまたはインサイチュで産生され、その結果、これらは、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質をコードする細胞性mRNAおよび/またはゲノムDNAにハイブリダイズするかまたは結合して、それによって、例えば、転写および/または翻訳を阻害することによって、タンパク質の発現を阻害する。ハイブリダイゼーションは、安定な二重鎖を形成するための従来のヌクレオチド相補性によって、または、例えば、DNA二重鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合、二重らせんの主溝における特異的な相互作用を介してであり得る。本発明のアンチセンス核酸分子の投与の経路の例としては、組織部位での直接的注射が挙げられる。あるいは、アンチセンス核酸分子を改変して、選択された細胞を標的とし、次いで、全身に投与し得る。例えば、全身投与に関して、アンチセンス分子は、例えば、細胞表面レセプターまたは抗原に結合するペプチドまたは抗体に、アンチセンス核酸分子を連結することによって、このアンチセンス分子が、選択された細胞表面上で発現されたレセプターまたは抗原に特異的に結合するように改変され得る。このアンチセンス核酸分子はまた、本明細書中で記載されるベクターを使用して、細胞に送達され得る。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するために、アンチセンス核酸分子が、強力なpol IIプロモーターまたはpol IIIプロモーターの制御下に配置されるベクター構築物が、好ましい。
なお別の実施形態において、本発明の方法に使用されるアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、相補的RNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成する。ここでは、通常のβ−ユニットとは対照的に、鎖は互いに対して平行に走る(Gaultierら(1987)Nucleic Acids Res.15:6625−6641)。アンチセンス核酸分子はまた、2’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoueら(1987)Nucleic Acids Res.15:6131−6148)またはキメラRNA−DNAアナログ(Inoueら(1987)FEBS Lett.215:327−330)を含み得る。
なお別の実施形態において、本発明の方法に使用されるアンチセンス核酸は、リボザイムである。リボザイムは、これらのリボザイムが相補的領域を有する、一本鎖核酸(例えば、mRNA)を切断し得るリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNA分子である。従って、リボザイム(例えば、ハンマーヘッドリボザイム(HaselhoffおよびGerlach(1988)Nature 334:585−591に記載される))は、1419mRNA転写物、58765mRNA転写物または2210mRNA転写物を触媒的に切断するために使用されて、それによって、1419mRNA、58765mRNAまたは2210mRNAの翻訳を阻害し得る。1419コード核酸、58765コード核酸または2210コード核酸に対して特異性を有するリボザイムは、本明細書中に開示される1419cDNA、58765cDNAまたは2210cDNA(すなわち、配列番号1、4または7)のヌクレオチド配列に基づいて設計され得る。例えば、Tetrahymena L−19 IVS RNAの誘導体は、活性部位のヌクレオチド配列が1419コードmRNA、58765コードmRNAまたは2210コードmRNAにおいて切断されるべきヌクレオチド配列に対して相補的であるように構築され得る(例えば、Cechら、米国特許第4,987,071号;およびCechら、米国特許第5,116,742号を参照のこと)。あるいは、1419mRNA、58765mRNAまたは2210mRNAを使用して、RNA分子のプールから特異的なリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNAを選択し得る(例えば、Bartel,D.およびSzostak,J.W.(1993)Science 261:1411−1418を参照のこと)。
1419、58765または2210の遺伝子の発現はまた、標的細胞中で1419、58765または2210の遺伝子の転写を阻害する三重ヘリックス構造を形成するために、1419、58765または2210の調節領域(例えば、1419、58765または2210のプロモーターまたはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列を標的とすることによって阻害され得る(例えば、Helene,C.ら(1991)Anticancer Drug Des.6(6):569−84;Helene,C.(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27−36;およびMaher,L.J.(1992)Bioassays 14(12):807−15を参照のこと)。
1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質に特異的であって、かつその活性を妨害する抗体もまた、1419、58765または2210のタンパク質機能を調節または阻害するために使用され得る。このような抗体は、1419、58765または2210のタンパク質自体、あるいはこのタンパク質の部分に対応するペプチドに対して、本明細書中に記載される標準的技術を使用して作製され得る。このような抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fabフラグメント、単鎖抗体、またはキメラ抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
標的遺伝子タンパク質が細胞内にあり、かつ全抗体が使用される例において、内部移行(internalizing)抗体が好ましくあり得る。リポフェクチンリポソームは、標的エピトープを細胞に結合するFab領域の抗体またはフラグメントを送達するために使用され得る。抗体のフラグメントが使用される場合、標的タンパク質の結合ドメインに結合する最小の阻害性フラグメントが、好ましい。例えば、標的遺伝子タンパク質に結合する抗体の可変領域のドメインに対応するアミノ酸配列を有するペプチドが使用され得る。このようなペプチドは、当該分野で周知の方法を使用して、化学的に合成され得るかまたは組換えDNA技術を介して産生され得る(例えば、Creighton(1983)、上記;およびSambrookら、(1989)上記に記載される)。細胞内標的遺伝子エピトープに結合する単鎖中和抗体もまた、投与され得る。このような単鎖抗体は、例えば、Marascoら、(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:7889−7893に記載されるような技術を利用することにより、例えば、標的細胞集団内で単鎖抗体をコードするヌクレオチド配列を発現させることによって、投与され得る。
いくつかの例において、標的遺伝子タンパク質は、細胞外にあるか、または膜貫通タンパク質(例えば、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質)である。例えば、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の1つ以上の細胞外ドメインに特異的であり、かつその活性を妨害する抗体は、心血管疾患の処置に特に有用である。このような抗体は、特に効率的である。なぜなら、これらは、血流から直接的に標的ドメインにアクセスし得るからである。ペプチド投与に適切な、以下に記載される任意の投与技術が、阻害性標的遺伝子抗体をそれらの作用部位に効率的に投与するために利用され得る。
((ii)標的遺伝子活性を再生または増大させる方法)
心血管疾患を生じる遺伝子は、心血管疾患状況内で過小発現され得る。あるいは、このような遺伝子のタンパク質産物の活性は、低下され得、心血管疾患の発症を導く。このような遺伝子発現のダウンレギュレートまたはタンパク質活性の低下は、疾患状態に対する原因的影響または悪化させる影響を有し得る。
いくつかの場合において、疾患状態においてアップレギュレートされる遺伝子は、保護効果を発揮し得る。種々の技術が、心血管疾患状態に対する保護効果を発揮する、遺伝子および/またはタンパク質の発現、合成、または活性を増大させるために用いられ得る。
この節に記載されるものは、心血管疾患の症状が改善されるレベルまで、1419、58765または2210の活性のレベルが増大され得る方法である。1419、58765または2210の活性のレベルは、例えば、1419、58765または2210の遺伝子発現のレベルを増加させるか、または存在する活性な1419、58765または2210のタンパク質のレベルを増加させることのいずれかによって、増加され得る。
例えば、1419、58765または2210のタンパク質は、心血管疾患の症状を改善するのに十分なレベルで、このような症状を示す患者に投与され得る。以下で議論される技術のいずれかが、このような投与のために用いられ得る。当業者は、以下に記載されるような技術を利用して、1419、58765または2210のタンパク質の有効な、非毒性用量の濃度を決定する方法を容易に知る。
さらに、1419、58765または2210のタンパク質をコードするRNA配列は、心血管疾患症状を示す患者に、心血管疾患症状が改善される1419、58765または2210のタンパク質のレベルを生じるのに十分な濃度で、直接投与され得る。化合物の細胞内投与を達成する以下に記載される技術(例えば、リポソーム投与)のいずれかは、このようなRNA分子の投与のために用いられ得る。RNA分子は、例えば、本明細書中に記載されるような組換え技術により作製され得る。
さらに、被験体は、遺伝子置換治療により処置され得る。1419、58765または2210の機能を有する、正常な1419、58765または2210のタンパク質の産生を指向する、1419、58765または2210の遺伝子、あるいはその部分の1以上のコピーは、DNAを細胞へと導入する他の粒子(例えば、リポソーム)に加えて、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、およびレトロウイルスベクターを含むが、これらに限定されない、ベクターを用いて細胞へと挿入され得る。さらに、上記のような技術は、ヒト細胞への、1419、58765または2210の遺伝子配列の導入のために用いられ得る。
次いで、細胞、好ましくは、1419、58765または2210発現遺伝子配列を含む自系の細胞は、心血管疾患の症状の改善を可能にする位置で被験体へと導入または再導入され得る。このような細胞置換技術は、例えば、遺伝子産物が、分泌された、細胞外遺伝子産物である場合、好適であり得る。
(C.薬学的組成物)
本発明の別の局面は、心血管疾患、例えば、アテローム硬化症に罹患した被験体を処置するための方法に関する。これらの方法は、1419、58765または2210の発現または活性を調節する因子(例えば、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイにより同定される因子)、またはこのような因子の組み合わせを、被験体に投与することを包含する。別の実施形態では、この方法は、低下した、異常な、または望ましくない、1419、58765または2210の発現または活性を補償するための治療として、1419、58765または2210のタンパク質または核酸分子を、被験体に投与することを包含する。
1419、58765または2210の活性の刺激は、1419、58765または2210が異常にダウンレギュレートされる、そして/あるいは増加した1419、58765または2210の活性が、有益な効果を有すると考えられる状況において好適である。同様に、1419、58765または2210の活性の阻害は、1419、58765または2210が、異常にアップレギュレートされる、そして/あるいは減少した1419、58765または2210の活性が、有益な効果を有すると考えられる状況、例えば、アテローム硬化症、腫瘍形成の阻害において好適である。
1419、58765または2210の活性を調節する因子は、このような投与に適切な薬学的組成物を用いて、被験体に投与され得る。このような組成物は、代表的には、因子(例えば、核酸分子、タンパク質、または抗体)および薬学的に受容可能なキャリアを含む。本明細書中で使用される場合、語「薬学的に受容可能なキャリア」は、薬学的投与に適合性の、任意および全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌性および抗真菌性の薬剤、等張剤および吸収遅延剤などを含むことが意図される。このような媒体および薬剤の、薬学的に活性な物質のための使用は、当該分野で周知である。活性な化合物と非適合性の任意の従来の媒体または薬剤の範囲を除いて、このような媒体の本発明の組成物における使用が意図される。補助的な活性化合物もまた、この組成物に組み込まれ得る。
本発明の治療方法において用いられる薬学的組成物は、その意図される投与経路と適合性となるように処方される。投与経路の例としては、非経口的(例えば、静脈内)、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所的)、経粘膜、および直腸投与が挙げられる。非経口、皮内、または皮下適用のために使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含み得る:滅菌希釈剤(例えば、注射のための水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒);抗細菌剤(例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸);緩衝液(例えば、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩)、および張性を調整するための薬剤(例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース)。pHは、酸または塩基(例えば、塩酸または水酸化ナトリウム)を用いて調整され得る。非経口的調製物は、ガラス製またはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または複数用量のバイアルに封入され得る。
注射用途に適切な薬学的組成物は、滅菌注射溶液または分散液の即時調製物のための滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および滅菌粉末を含む。静脈内投与については、適切なキャリアには、生理学的生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF;Parsippany、NJ)またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、この組成物は、滅菌されなければならず、そして容易なシリンジ能力(syringability)が存在する程度にまで流動的にされるべきである。これは製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、そして微生物(例えば、細菌および真菌)の汚染作用に対して保存されなければならない。このキャリアは、溶媒または分散媒体(例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)を含む)、ならびにそれらの安定な混合物であり得る。適切な流動性は、例えば、コーティング(例えば、レシチン)の使用によって、分散の場合に必要とされる粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の予防は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど)によって達成され得る。多くの場合、等張剤(例えば、糖、ポリアルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール)、および塩化ナトリウム)をこの組成物中に含むことが好ましい。注射用組成物の延長した吸収は、吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)をこの組成物中に含むことによって、もたらされ得る。
滅菌注射用溶液は、1419、58765または2210の活性を調節する因子(例えば、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質のフラグメント、あるいは抗1419抗体、抗58765抗体または抗2210抗体)を、上記で列挙した成分の1以上の組合せを用いて、必要とされる量で、適切な溶媒中に取り込ませ、必要に応じて、続いて濾過滅菌することによって調製され得る。一般に、分散剤は、活性化合物を、基礎となる分散媒体および上記に列挙された成分のうちの必要とされる他の成分を含む滅菌ビヒクル中に取り込むことによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、減圧乾燥および凍結乾燥であり、これらは、予め滅菌濾過された溶液から活性成分および任意のさらなる所望の成分の粉末を生じる。
経口組成物は、一般に、不活性希釈剤または食用キャリアを含む。これらは、ゼラチンカプセルに封入され得るか、または錠剤に加圧され得る。経口治療投与の目的で、この活性化合物は、賦形剤と共に組み込まれ、そして錠剤、トローチ、またはカプセルの形態で使用され得る。経口組成物はまた、うがい薬としての使用のための流体キャリアを使用して調製され得、ここで、流体キャリア中の化合物は、経口的に適用され、そしてスウィッシュ(swish)されて、吐き出されるか、または飲み込まれる。薬学的に適合性の結合剤、および/またはアジュバント材料が、この組成物の一部として含まれ得る。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分のいずれかまたは同様の性質を有する化合物を含み得る:結合剤(例えば、微結晶セルロース、ガムトラガントまたはゼラチン);賦形剤(例えば、デンプンまたはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、Primogel、またはコーンスターチ);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはSterotes);グライダント(glidant)(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン);あるいは矯味矯臭剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジフレーバー)。
吸入による投与のために、化合物は、適切な噴霧剤(例えば、二酸化炭素のような気体)を含む加圧容器もしくはディスペンサー、またはネブライザーからのエアロゾルスプレーの形態で送達される。
全身投与もまた、経粘膜手段または経皮手段によってなされ得る。経粘膜投与または経皮投与のために、透過されるべき障壁に対して適切な透過剤が、処方物中に使用される。そのような透過剤は、当該分野で一般的に公知であり、そのような透過剤としては、例えば、経粘膜投与のためには、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、経鼻スプレーまたは坐剤の使用を介して達成され得る。経皮投与のために、活性化合物は、当該分野で一般的に公知であるような、軟膏、軟膏剤、ゲル、またはクリームへと処方される。
1419活性、58765活性または2210活性を調節する薬剤もまた、(例えば、カカオ脂および他のグリセリドのような、従来の坐剤基剤を用いて)坐剤の形態で調製され得るか、または経直腸送達のために保持浣腸の形態で調製され得る。
1つの実施形態において、1419活性、58765活性または2210活性を調節する薬剤は、その化合物が身体から迅速に排出されるのを防ぐキャリアを用いて調製される(例えば、移植物および微小カプセル化送達システムを含む、徐放性処方物)。生分解性の生体適合性ポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸)が、使用され得る。そのような処方物の調製方法は、当業者にとって明らかである。それらの物質はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手され得る。リポソーム懸濁物(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を含む、感染細胞に標的されるリポソームを含む)もまた、薬学的に受容可能なキャリアとして使用され得る。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるような、当業者に公知の方法に従って調製され得る。
投与の容易さおよび投薬の均一性のために、投薬単位形態で、経口組成物または非経口組成物を処方することが、特に有益である。本明細書で使用される投薬単位形態は、処置される被験体のための単位投薬量として適切な、物理的に個々の単位をいい;各単位は、必要とされる薬学的キャリアと関連して、所望の治療的効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の投薬単位形態についての詳細は、1419、58765または2210活性を調節する因子の固有の特性、および達成される特定の治療効果、ならびに被験体の処置のためのこのような因子を調合する当該分野に固有の制限によって示され、そしてこれらに直接依存する。
このような因子の毒性および治療効率は、例えば、LD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る。毒性と治療効果との間での用量比は、治療指数であり、そしてこれは、LD50/ED50比として表され得る。大きな治療指数を示す因子が好ましい。毒性の副作用を示す因子が使用され得るが、感染していない細胞に対する可能性のある損傷を最少にし、それによって副作用が減少するように、患部組織の部位に対してそのような因子を標的化する送達システムを設計するように、注意するべきである。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトでの使用のための投与量の範囲を処方する際に使用され得る。このような1419、58765または2210調節因子の投与量は、好ましくは、わずかな毒性を有するかまたは毒性を全く有さないでED50を含む、循環している濃度の範囲内である。投与量は、使用される投薬形態および利用される投与の経路に依存して、この範囲内で変化し得る。本発明の治療方法において使用される任意の因子については、治療有効用量は、細胞培養アッセイから最初に概算され得る。用量は、細胞培養物中で決定されるような、IC50(すなわち、症状の最大の半分の抑制を達成する試験化合物の濃度)を含む、循環している血漿濃度の範囲を達成するように、動物モデルにおいて処方され得る。このような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用され得る。血漿中でのレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。
本明細書中に規定されるように、タンパク質またはポリペプチドの治療有効量(すなわち、有効投薬量)は、約0.001〜30mg/kg体重、好ましくは約0.01〜25mg/kg体重、より好ましくは約0.1〜20mg/kg体重、およびさらにより好ましくは約1〜10mg/kg、2〜9mg/kg、3〜8mg/kg、4〜7mg/kg、または5〜6mg/kg体重の範囲である。疾患または障害の重篤度、事前の処置、被験体の一般的な健康状態および/もしくは年齢、ならびに他の疾患の存在を含むがこれらに限定されない特定の要因が、被験体を効果的に処置するために必要とされる投薬量に影響を与え得ることが、当業者に明らかである。さらに、治療有効量のタンパク質、ポリペプチドまたは抗体での被験体の処置は、単回の処置を含み得るか、または好ましくは、一連の処置を含み得る。
好ましい例においては、被験体は、約0.1〜20mg/kg体重の範囲の抗体、タンパク質またはポリペプチドを用いて、約1〜10週間の間、好ましくは2〜8週間の間、より好ましくは約3〜7週間の間、およびさらにより好ましくは約4、5、または6週間の間、1週間に1回、処置される。処置のために使用される抗体、タンパク質またはポリペプチドの有効投薬量が、特定の処置の経過にわたって増大し得るかまたは減少し得ることもまた、明らかである。投薬量の変化が生じ得、そして本明細書中に記載されているような診断アッセイの結果から明白となる。
本発明は、発現または活性を調節する因子を含む。因子は、例えば、低分子であり得る。例えば、このような低分子としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ペプチド、ペプチド模倣物、アミノ酸、アミノ酸アナログ、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドアナログ、ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、約10,000g/モル未満の分子量を有する有機化合物または無機化合物(すなわち、へテロ有機化合物および有機金属化合物を含む)、約5,000g/モル未満の分子量を有する有機化合物または無機化合物、約1,000g/モル未満の分子量を有する有機化合物または無機化合物、約500g/モル未満の分子量を有する有機化合物または無機化合物、ならびにこのような化合物の塩、エステル、および薬学的に受容可能な他の形態。低分子因子の適切な用量が当該分野の医師、獣医師または研究者の知識内の多くの要因に依存することが、理解される。低分子の用量は、例えば、処置される被験体またはサンプルの正体、サイズおよび状態に依存して、適用可能な場合、この組成物が投与される経路、およびこの低分子が有していることを開業医が所望する、本発明の核酸またはポリペプチドに対する効果にさらに依存して、変化する。
例示的な用量は、被験体またはサンプル重量1kgあたりmgまたはμgの量の低分子を含む(例えば、約1μg/kg〜約500mg/kg、約100μg/kg〜約5mg/kg、または約1μg/kg〜約50μg/kg)。低分子の適切な用量は、調節されるべき発現または活性に関するこの低分子の効力に依存することがさらに理解される。このような適切な用量は、本明細書中で記載されるアッセイを使用して、決定され得る。これらの低分子の1つ以上が、本発明のポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調節するために、動物(例えば、ヒト)に投与される場合、医師、獣医または研究者は、例えば、初めに比較的低い用量を処方し、続いて、適切な応答が得られるまで、この用量を増加し得る。さらに、任意の特定の動物被験体についての特定の用量レベルは、用いられる特定の化合物の活性、被験体の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食餌、投与時間、投与経路、排泄速度、任意の薬物の組合せ、ならびに調節されるべき発現または活性の程度を含む種々の因子に依存することが、理解される。
さらに、抗体(またはそのフラグメント)が、治療的部分(例えば、細胞毒、治療剤または放射性金属イオン)に結合され得る。細胞毒または細胞毒性剤としては、細胞に対して有害な任意の因子を含む。例としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロールおよびプロマイシン、ならびにそれらのアナログまたはホモログが挙げられる。治療剤としては、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロランブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロソスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、ならびにcis−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前は、ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前は、アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンおよびアントラマイシン(AMC))、ならびに抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の結合体は、所定の生物学的応答を調節するために使用され得、薬物部分は、古典的な化学療法剤に限定されると解釈されるべきではない。例えば、薬物部分は、所望の生物学的活性を保有するタンパク質またはポリペプチドであり得る。このようなタンパク質としては、例えば、毒素(例えば、アブリン、リシンA、プセウドモナス体外毒素またはジフテリア毒素;タンパク質(例えば、腫瘍壊死因子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、神経成長因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノゲンアクチベータ;または生物学的応答調節因子(例えば、リンホカイン、インターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2「IL−2」)、インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、または他の増殖因子が挙げられ得る。
このような治療的部分を抗体に結合するための技術は、周知である。例えば、Arnonら.,「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」,Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy,Reisfeldら(編),pp.243−56(Alan R.Liss,Inc.1985);Hellstromら,「Antibodies For Drug Delivery」,Controlled Drug Delivery(第2版),Robinsonら(編),pp.623−53(Marcel Dekker,Inc.1987);Thorpe,「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」,Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications,Pincheraら(編),pp.475−506(1985);「Analysis,Results,And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」,Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy,Baldwinら(編),pp.303−16(Academic Press 1985),およびThorpeら、「The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody−Toxin Conjugates」,Immunol.Rev.,62:119−58(1982)を参照のこと。あるいは、抗体は、米国特許第4,676,980号(Segal)により記載されるように、第2の抗体と結合されて、抗体ヘテロ結合体を形成し得る。
本発明の方法において使用される核酸分子は、ベクターに挿入され、遺伝子治療ベクターとして使用され得る。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈注射、局所投与(米国特許第5,328,470号を参照のこと)または定位注射(例えば、Chenら、(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054−3057を参照のこと)によって、被験体に送達され得る。遺伝子治療ベクターの薬学的調製物は、受容可能な希釈剤中に遺伝子治療ベクターを含み得るか、または遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれる徐放マトリクスを含み得る。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターが組換え細胞(例えば、レトロウイルスベクター)からインタクトで産生され得る場合、薬学的調製物は、遺伝子送達系を産生する1つ以上の細胞を含み得る。
(D.薬理ゲノム学(pharmacogenomics))
本発明の治療方法と共に、薬理ゲノム学(すなわち、被験体の遺伝子型とこの被験体の外来化合物または薬物に対する応答との間の関係の研究)が、考慮され得る。治療剤の代謝における差異は、薬理学的に活性な薬物の用量と血液濃度との間の関係を変更することにより、重篤な毒性または治療不良をもたらし得る。従って、医師または臨床医は、1419、58765または2210活性を調節する薬剤を投与するか否かを決定する際、ならびに1419、58765または2210活性を調節する薬剤を用いる処置の投薬量および/または治療レジメンを変更する際に、関連の薬理ゲノム学研究において得られた知識を適用することを考慮し得る。
薬理ゲノム学は、変更された薬物素因および罹患した個人における異常な作用に起因する薬物に対する応答における、臨床学的に有意な遺伝的バリエーションを扱う。例えば、Eichelbaum,M.ら、(1996)Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.23(10−11):983−985およびLinder,M.W.ら、(1997)Clin.Chem.43(2):254−266を参照のこと。一般に、2つの型の薬理遺伝子学条件は、区別され得る。遺伝的条件は、薬物が身体に作用する様式を変更する(変更された薬物作用)単一因子として伝わったか、または遺伝的条件は、身体が薬物に作用する様式を変更する(変更された薬物代謝)単一因子として伝わった。これらの薬理遺伝子学条件は、稀な遺伝子欠損としてかまたは天然に存在する多型としてかの、いずれかとして生じ得る。例えば、グルコース−6−ホスフェートアミノペプチダーゼ欠損(G6PD)は、一般的な遺伝性酵素病であり、ここで、主な臨床学的合併症は、酸化薬剤(抗マラリア薬、スルホンアミド、鎮痛薬、ニトロフラン)の摂取およびソラマメの消費後の溶血である。
「ゲノムワイドアソシエーション(genome−wide association)」として知られている、薬物応答を予測する遺伝子を同定するための、1つの薬理ゲノム学アプローチは、すでに知られている遺伝子関連マーカー(例えば、「二座対立遺伝子」遺伝子マーカーマップ(これは、60,000〜100,000の多型またはヒトゲノム上の可変性部位からなり、これらの各々が、2つの改変体を有する))からなるヒトゲノムの高解像度マップに、主に依存する。このような高解像度ゲノムマップは、特定の観察された薬物応答または副作用に関連したマーカーを同定するために、第II期/第III期の薬物試験に参加した統計学的に有意な数の患者の各々のゲノムのマップと比較され得る。あるいは、このような高解像度マップは、ヒトゲノムにおいて、数千万の公知の単一ヌクレオチド多型(SNP)の組み合わせから生じ得る。本明細書中で使用される場合、「SNP」は、DNAの伸長において、単一ヌクレオチド塩基において生じる一般的な変更である。例えば、SNPは、DNAの1000塩基毎に1回起き得る。SNPは、疾患プロセスに関与し得るが、大部分は、大部分は、疾患に関連しないかもしれない。このようなSNPの発生に基づくゲノムマップが与えられると、個体は、これら個々のゲノムにおいて、SNPの特定のパターンに依存して、遺伝子のカテゴリーに分類され得る。このような様式において、処置レジメンは、遺伝子学的に類似の個体の間で共通であり得る特性を考慮して、このような遺伝子学的に類似の個体の群に対して変更され得る。
あるいは、「候補遺伝子アプローチ」と呼ばれる方法は、薬物応答を予測する遺伝子を同定するために用いられ得る。この方法に従って、薬物標的をコードする遺伝子が既知である場合(例えば、本発明の方法において使用される1419、58765または2210タンパク質)、その遺伝子の全ての共通の改変体は、その集団においてかなり容易に同定され得、そして別の遺伝子バージョンに対して1つの遺伝子バージョンを有することが特定の薬物応答に関連するか否かが決定され得る。
例示的な実施形態として、薬物代謝酵素の活性は、薬物作用の強度および持続時間の両方の主要な決定因子である。薬物代謝酵素(例えば、N−アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)ならびにシトクロムP450酵素のCYP2D6およびCYP2C19)の遺伝的多型の発見は、なぜ何人かの患者が推定される薬物効果を得られないか、または標準的かつ安全な用量の薬物を摂取した後に過大な薬物応答および重篤な毒性を示すかについての説明を提供した。これらの多型は、集団における2つの表現型である、代謝が速やかな人(EM)および代謝が遅い人(PM)において現れる。PMの有病率は、異なる集団の間で異なる。例えば、CYP2D6をコードする遺伝子は、高度に多型性であり、いくつかの変異が、PMにおいて同定されており、これらの全ては、機能的CYP2D6の非存在を生じる。CYP2D6およびCYP2C19の代謝が遅い人は、標準的な投薬量を投与された場合、かなり頻繁に、過大な薬物応答および副作用を経験する。代謝産物が、活性な治療的部分である場合、PMは、CYP2D6形成代謝産物のモルヒネにより媒介されるコデインの鎮痛効果について証明されるように、治療的応答を示さない。他の極端な例は、標準的な投薬量に対して応答しない、いわゆる代謝が超迅速な人である。最近、超迅速な代謝の分子的根拠が、CYP2D6遺伝子増幅に起因することが同定された。
あるいは、「遺伝子発現プロファイリング」と呼ばれる方法が、薬物応答を予測する遺伝子を同定するために用いられ得る。例えば、薬物(例えば、本発明の方法において使用される1419、58765または2210分子または1419、58765または2210調節因子)を投薬された動物の遺伝子発現は、毒性に関連する遺伝子経路が刺激されるか否かの指標を与え得る。
1より多い上記薬理ゲノム学的アプローチから得られる情報を使用して、被験体の予防的処置または治療的処置のための、適切な投薬量および処置レジメンを決定し得る。この知識は、投薬または薬物選択に適用される場合、有害反応または治療不全を回避し得、それによって、1419、58765または2210活性を調節する因子で心血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症)を罹患する被験体を処置する場合、治療効率または予防効率を増大させる。
(V.本発明の方法において使用される組換え発現ベクターおよび宿主細胞)
本発明の方法(例えば、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイ)は、ベクター、好ましくは発現ベクター(1419、58765または2210タンパク質(またはその一部)をコードする核酸を含む)の使用を含む。本明細書中で使用される場合、用語「ベクター」とは、連結されている別の核酸を輸送し得る核酸分子をいう。ベクターの1つのタイプは、「プラスミド」であり、「プラスミド」とは、さらなるDNAセグメントが連結され得る環状二本鎖DNAループをいう。他のタイプのベクターは、ウイルスベクターであり、ウイルスベクターにおいて、さらなるDNAセグメントは、ウイルスゲノムに連結され得る。特定のベクター(例えば、細菌複製起源を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)は、これらが導入される宿主細胞中で自律的に複製し得る。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)が、宿主細胞に導入された場合に、この宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、それによりこの宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、それらが作動可能に連結される遺伝子の発現を指向し得る。このようなベクターは、本明細書中で、「発現ベクター」と称される。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしば、プラスミドの形態である。本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドが最も一般的に使用される形態のベクターである場合、交換可能に使用され得る。しかし、本発明は、同等な機能を果たすこのような他の形態の発現ベクター(例えば、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス))を含むことを意図する。
本発明の方法で使用される組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に適切な形態で、本発明の核酸を含む。この適切な形態とは、この組換え発現ベクターが、発現のために使用されるべき宿主細胞に基づいて選択される1つ以上の調節配列を含むことを意味し、この調節配列は、発現されるべき核酸配列に作動可能に連結される。組換え発現ベクターにおいて、「作動可能に連結された」は、目的のヌクレオチド配列が、このヌクレオチド配列の発現を可能にする様式で、調節配列に連結されていることを意味することを意図する(例えば、インビトロでの転写/翻訳系において、またはベクターが宿主細胞に導入されている場合は、宿主細胞において)。用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。このような調節配列は、例えば、Goeddel(1990)Methods Enzymol.185:3−7に記載される。調節配列は、多くのタイプの宿主細胞におけるヌクレオチド配列の構成的発現を指向する配列、および特定の宿主細胞のみにおけるヌクレオチド配列(例えば、組織特異的調節配列)の発現を指向する配列を含む。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望されるタンパク質発現レベルなどのような因子に依存し得ることが、当業者に明らかである。本発明の発現ベクターは、宿主細胞内に導入され得、これにより本明細書中に記載されるような核酸によってコードされるタンパク質またはペプチド(融合タンパク質またはペプチドを含む)(例えば、1419、58765または2210タンパク質、1419、58765または2210タンパク質の変異形態、融合タンパク質など)を産生し得る。
本発明の方法において使用される組換え発現ベクターは、原核生物細胞または真核生物細胞における1419、58765または2210タンパク質の発現のために設計され得る。例えば、1419、58765または2210タンパク質は、E.coli、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用して)、酵母細胞または哺乳動物細胞において発現され得る。適切な宿主細胞は、さらにGoeddel,(1990)(前出)に議論される。あるいは、組換え発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを使用して、インビトロで転写および翻訳され得る。
原核生物におけるタンパク質発現は、融合タンパク質または非融合タンパク質のいずれかの発現を指向する構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターを含むベクターを用いて、ほとんどE.coliにて行われる。融合ベクターは、多くのアミノ酸をそこにコードされるタンパク質に、通常、組換えタンパク質のアミノ末端に付加する。このような融合ベクターは、代表的に以下の3つの目的を果たす:1)組換えタンパク質の発現を増加させること;2)組換えタンパク質の溶解度を増加させること;および3)アフィニティ精製におけるリガンドとして作用することによって組換えタンパク質の精製において補助すること。しばしば、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解性切断部位が、融合部分と組換えタンパク質との連結部に導入され、そして融合部分からの組換えタンパク質の分離、続く融合タンパク質の精製を可能にする。このような酵素およびこれらの同族認識配列は、第Xa因子、トロンビン、およびエンテロキナーゼを含む。代表的な融合発現ベクターとしては、pGEX(Pharmacia Biotech Inc;Smith,D.B.およびJohnson,K.S.(1988)Gene 67:31−40)、pMAL(New England Biolabs,Beverly,MA)およびpRIT5(Pharmacia,Piscataway,NJ)(これらはそれぞれ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAを標的組換えタンパク質に融合する)が挙げられる。
精製された融合タンパク質は、1419、58765または2210活性アッセイ(例えば、以下に詳細に記載される直接アッセイまたは競合アッセイ)において、または1419、58765または2210タンパク質に特異的な抗体を生成するために使用され得る。好ましい実施形態において、本発明のレトロウイルス発現ベクターにおいて発現される1419、58765または2210融合タンパク質を使用して、骨髄細胞を感染し続いて照射したレシピエント中に移植し得る。次いで、被験体レシピエントの病理学は、十分な時間が経過した後(例えば、6週間)に試験される。
別の実施形態において、本発明の核酸を、哺乳動物発現ベクターを使用して、哺乳動物細胞において発現する。哺乳動物発現ベクターの例としては、pCDM8(Seed,B.(1987)Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufmanら(1987)EMBO J.6:187−195)が挙げられる。哺乳動物細胞において使用する場合、この発現ベクターの制御機能は、しばしば、ウイルス調節エレメントによって付与される。例えば、一般的に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40由来である。原核生物細胞および真核生物細胞の両方に適切な他の発現系については、Sambrook,J.ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual.第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989の第16章および第17章を参照のこと。
別の実施形態において、組換え哺乳動物発現ベクターが、特定の細胞型において優先的に核酸の発現を指向し得る(例えば、組織特異的調節エレメントが核酸の発現に使用される)。
本発明の方法は、アンチセンス方向で発現ベクターにクローニングされた本発明のDNA分子を含む、組換え発現ベクターをさらに使用し得る。すなわち、このDNA分子は、(DNA分子の転写によって)1419、58765または2210 mRNAに対してアンチセンスのRNA分子の発現を可能にする様式で、調節配列に作動可能に連結される。アンチセンス方向でクローニングされた核酸に作動可能に連結された調節配列が、選択され得、この調節配列は、種々の細胞型においてアンチセンスRNA分子の連続した発現を指向し、例えば、アンチセンスRNAの構成的な、組織特異的なまたは細胞型特異的な発現を指向する、ウイルスプロモーターおよび/もしくはウイルスエンハンサー、または調節配列が選択され得る。アンチセンス発現ベクターは、アンチセンス核酸が高効率調節領域の制御下で産生される、組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒化ウイルスの形態であり得、その活性は、これらのベクターが導入される細胞型により決定され得る。アンチセンス遺伝子を使用する遺伝子発現の調節の考察については、Weintraub,H.ら、Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis,Reviews−Trends in Genetics,Vol.1(1)1986を参照のこと。
本発明の別の局面は、本発明の1419、58765または2210核酸分子(例えば、組換え発現ベクター内の1419、58765または2210核酸分子、または1419、58765または2210核酸分子が宿主細胞ゲノムの特定の部位中に相同組換えされることを可能とする配列を含む1419、58765または2210核酸分子)が導入される宿主細胞の使用に関する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、本明細書中で、交換可能に使用される。このような用語は、特定の被験細胞をいうのみでなく、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫をいうことが理解される。変異または環境的影響のいずれかに起因して、特定の改変は次の世代において存在し得るので、このような子孫は、実際、親の細胞と同一でなくてもよく、本明細書中で使用されるようなこの用語の範囲内になお含まれる。
宿主細胞は、任意の原核生物細胞または真核生物細胞であり得る。例えば、1419、58765または2210タンパク質は、細菌細胞(例えば、E.coli)、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞で発現され得る。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。
ベクターDNAは、従来的な形質転換技術またはトランスフェクション技術を介して原核生物細胞または真核生物細胞に導入され得る。本明細書中で使用される場合、用語「形質転換」および「トランスフェクション」とは、外来性の核酸(例えば、DNA)を宿主細胞中に導入するための当該分野で認識される種々の技術をいうことを意図し、これらには、リン酸カルシウム共沈殿もしくは塩化カルシウム共沈殿、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションが挙げられる。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするための適切な方法は、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual.第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989)、および他の実験説明書において見出され得る。
本発明の方法で使用される宿主細胞(例えば、培養物中の原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞)を使用して、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質を産生(すなわち、発現)し得る。従って、本発明はさらに、本発明の宿主細胞を使用して1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質を産生するための方法を提供する。1つの実施形態において、この方法は、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質が産生されるような適切な培地中で、本発明の宿主細胞(この中に、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質をコードする組換え発現ベクターが導入されている)を培養する工程を、包含する。別の実施形態において、この方法はさらに、培地または宿主細胞から1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質を単離する工程を包含する。
(VI.本発明の方法において使用される単離された核酸分子)
本発明の方法は、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質をコードする単離された核酸分子またはその生物学的に活性な部分、ならびに1419、58765または2210をコードする核酸分子(例えば、1419 mRNA、58765 mRNAまたは2210 mRNA)を同定するためのハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに十分な核酸フラグメント、および1419核酸分子、58765核酸分子または2210核酸分子の増幅または変異のためのPCRプライマーとして使用するためのフラグメントの使用を含む。本明細書中で使用される場合、用語「核酸分子」は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えばmRNA)、ならびにヌクレオチドアナログを使用して産生されるDNAまたはRNAのアナログを含むことを意図する。核酸分子は、一本鎖であっても二本鎖であってもよいが、二本鎖DNAが好ましい。
本発明の方法において使用される核酸分子(例えば、配列番号*DNA*のヌクレオチド配列を有する核酸分子、またはその部分)は、本明細書中で提供される標準的な分子生物学的技術および配列情報を使用して単離され得る。配列番号*DNA*の核酸配列の全てまたは一部をハイブリダイゼーションプローブとして使用して、1419核酸分子、58765核酸分子または2210核酸分子は、標準的なハイブリダイゼーション技術およびクローニング技術を使用して単離され得る(例えば、Sambrook,J.,Fritsh,E.F.,およびManiatis,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual.第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989に記載されるようにして)。
さらに、配列番号1、配列番号4または配列番号7の全てまたは一部を含む核酸分子が、配列番号1、配列番号4または配列番号7の配列に基づいて設計された合成オリゴヌクレオチドプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって単離され得る。
本発明の方法において使用される核酸は、cDNA、mRNA、あるいはゲノムDNAをテンプレートとして使用し、適切なオリゴヌクレオチドプライマーを、標準的なPCR増幅技術に従って使用して、増幅され得る。さらに、1419ヌクレオチド配列、58765ヌクレオチド配列または2210ヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、標準的な合成技術によって、例えば、自動化DNA合成機を使用して、調製され得る。
好ましい実施形態において、本発明の方法において使用される単離された核酸分子は、配列番号1、配列番号4もしくは配列番号7に示されるヌクレオチド配列、配列番号*DNA*で示されるヌクレオチド配列の相補体、またはこれらのヌクレオチド配列のいずれかの一部、を含む。配列番号1、配列番号4または配列番号7で示されるヌクレオチド配列に相補的な核酸分子は、配列番号1、配列番号4または配列番号7で示されるヌクレオチド配列に対して十分に相補的である核酸分子であり、その結果、この核酸分子は、配列番号1、配列番号4または配列番号7で示されるヌクレオチド配列にハイブリダイズし得、それにより、安定な二重鎖を形成する。
さらに別の好ましい実施形態において、本発明の方法において使用される単離された核酸分子は、配列番号1、配列番号4もしくは配列番号7で示されるヌクレオチド配列の全長、またはこのヌクレオチド配列のいずれかの一部と、少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上同一であるヌクレオチド配列を含む。
さらに、本発明の方法において使用される核酸分子は、配列番号*DNA*の核酸配列の一部のみを含み得る(例えば、プローブもしくはプライマーとして使用され得るフラグメント、または1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の一部(例えば、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の生物学的に活性な部分)をコードするまたはフラグメント)。プローブ/プライマーは、代表的に、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含む。このオリゴヌクレオチドは、代表的に、配列番号1、配列番号4もしくは配列番号7のセンス配列または配列番号1、配列番号4もしくは配列番号7のアンチセンス配列、あるいは配列番号1、配列番号4または配列番号7の天然に存在する対立遺伝子の改変体または変異体のうち、少なくとも約12または15個、好ましくは、約20または25個、より好ましくは約30、35、40、45、50、55、60、65、または75個の連続的なヌクレオチドに、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。一つの実施形態において、本発明の方法において使用される核酸分子は、100、100−200、200−300、300−400、400−500、500−600、600−700、700−800、800−900、900−1000、1000−1100、1100−1200、1200−1300、またはそれより多くのヌクレオチドを超える長さであり、かつ配列番号1、配列番号4または配列番号7の核酸分子に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。
本明細書中で使用される場合、用語「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」は、互いに対して有意に同一であるかまたは相同性であるヌクレオチド配列が、互いに対してハイブリダイズしたまま残存するハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を記載することが意図される。好ましくは、この条件は、互いに対して、少なくとも約70%、より好ましくは、少なくとも約80%、さらにより好ましくは、少なくとも約85%または90%同一である配列が、互いに対してハイブリダイズしたまま残存する条件である。このようなストリンジェントな条件は、当業者に公知であり、そしてCurrent Protocols in Molecular Biology,Ausubelら編,John Wiley & Sons,Inc(1995),第2節,第4節および第6節に見出され得る。さらなるストリンジェント条件は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら,Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、NY(1989),第7章、第9章および第11章に見出され得る。好ましい、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の非制限例は、約65〜70℃における4×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼーション(または約42〜50℃における4×SSC+50%ホルムアミド中でのハイブリダイゼーション)、続く約65〜70℃における1×SSCでの1回以上の洗浄を含む。好ましい、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の非制限例は、約65〜70℃における1×SSC中でのハイブリダイゼーション(または約42〜50℃における1×SSC+50%ホルムアルデヒド中でのハイブリダイゼーション)、続く約65〜70℃における0.3×SSCでの1回以上の洗浄を含む。好ましい、低いストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の非制限例は、約50〜60℃における4×SSC中でのハイブリダイゼーション(あるいは約40〜45℃における6×SSC+50%ホルムアミド中でのハイブリダイゼーション)、続く約50〜60℃における2×SSCでの1回以上の洗浄を含む。上で記載した値(例えば、65〜70℃または42〜50℃)に対する中間の範囲がまた、本発明によって含まれることが意図される。SSPE(1×SSPEは、0.15M NaCl、10mM NaH2PO4、および1.25mM EDTA,pH7.4である)を、ハイブリダイゼーションおよび洗浄緩衝液において、SSC(1×SSCは、0.15M NaClおよび15mM クエン酸ナトリウムである)の代わりに使用し得;ハイブリダイゼーションの完了後に、洗浄を、それぞれ15分間実施する。50未満の塩基対長と予測されるハイブリッドのためのハイブリダイゼーション温度は、ハイブリッドの融解温度(Tm)よりも5〜10℃低いはずであり、ここで、Tmは、以下の等式に従って決定される。18未満の塩基対長のハイブリッドに関しては、Tm(℃)=2(A+T塩基の数)+4(G+C塩基の数)である。18塩基対長と49塩基対長との間のハイブリッドに関しては、Tm(℃)=81.5+16.6(log10[Na+])+0.41(%G+C)−(600/N)であり、ここで、Nは、ハイブリッドにおける塩基の数であり、そして[Na+]は、ハイブリダイゼーション緩衝液におけるナトリウムイオンの濃度である(1×SSCについての[Na+]=0.165M)。さらなる試薬が、ハイブリダイゼーション緩衝液および/または洗浄緩衝液に添加され、核酸分子が膜(例えば、ニトロセルロースまたはナイロン膜)に非特異的にハイブリダイズすることを減少させ得ることが当業者に認識され、これらの試薬としては、保護剤(例えば、BSAまたはシャケ精子キャリアDNAまたはニシン精子キャリアDNA)、洗浄剤(例えば、SDS)、キレート剤(例えば、EDTA)、フィコール、PVPなどが挙げられるが、これらに限定されない。ナイロン膜を使用する場合、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の特にさらに好ましい非制限実施例において、約65℃において0.25〜0.5M NaH2PO4、7% SDSで、ハイブリダイズさせ、続いて、65℃において0.02M NaH2PO4、1% SDSで1回以上洗浄させる(例えば、ChurchおよびGilbert(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:1991−1995を参照のこと)(または、代わりに0.2×SSC、1% SDS)。
好ましい実施形態において、プローブは、さらに、プローブに結合される標識基を含み、例えば、この標識基は、放射線同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子であり得る。このようなプローブは、例えば、被験体からの細胞のサンプル中の1419コード核酸、58765コード核酸または2210コード核酸のレベルを測定すること(例えば、1419 mRNA、58765 mRNAまたは2210 mRNAのレベルを検出すること)、またはゲノム1419遺伝子、ゲノム58765遺伝子またはゲノム2210遺伝子が変異または欠失しているか否かを決定することによって、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質を誤発現する細胞または組織を同定するための一組の診断用試験キットとして使用され得る。
本発明の方法は、さらに、ゲノムコードの縮退に起因して、配列番号1、配列番号4または配列番号7に示されるヌクレオチド配列とは異なる核酸分子の使用を含み、従って、配列番号1、配列番号4または配列番号7に示されるヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質と同一の1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質をコードする。別の実施形態において、本発明の方法に含まれる単離された核酸分子は、配列番号3、配列番号6または配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する。
本発明の方法はさらに、ヒト1419、ヒト58765またはヒト2210の対立遺伝子改変体(例えば、機能的または非機能的な対立遺伝子改変体)の使用を含む。機能的な対立遺伝子改変体は、1419活性、58765活性または2210活性を維持するヒト1419タンパク質、ヒト58765タンパク質またはヒト2210タンパク質の、天然に存在するアミノ酸配列改変体である。機能的な対立遺伝子改変体は、代表的に、配列番号3、配列番号6または配列番号9の1個以上のアミノ酸の保存的置換のみ、またはタンパク質の非必須領域にある非必須残基の置換、欠失もしくは挿入を含む。
非機能的な対立遺伝子改変体は、1419活性、58765活性または2210活性を有さないヒト1419タンパク質、ヒト58765タンパク質またはヒト2210タンパク質の天然に存在するアミノ酸配列改変体である。非機能的な対立遺伝子改変体は、代表的に、配列番号3、配列番号6または配列番号9のアミノ酸配列の非保存的置換、欠失、もしくは挿入または成熟前切断、あるいはタンパク質の必須残基または必須領域の置換、挿入または欠失を含む。
本発明の方法は、さらに、ヒト1419タンパク質、ヒト58765タンパク質またはヒト2210タンパク質の非ヒトオルソログを使用し得る。ヒト1419タンパク質、ヒト58765タンパク質またはヒト2210タンパク質のオルソログは、非ヒト生物から単離され、そして同一の1419活性、58765活性または2210活性を有するタンパク質である。
本発明の方法は、さらに、配列番号1、配列番号4または配列番号7のヌクレオチド配列を含む核酸分子、またはその一部の使用を含み、ここで、変異が導入される。この変異は、「非必須」アミノ酸残基または「必須」アミノ酸残基におけるアミノ酸置換を導き得る。「非必須」アミノ酸残基は、生物学的活性を変更することなく、1419、58765または2210の野生型配列(例えば、配列番号3、配列番号6または配列番号9の配列)から変更され得る残基であり、それに対して「必須」アミノ酸残基は、生物学的活性に必要とされる。例えば、本発明の1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質およびファミリーの他のメンバーの中で保存されるアミノ酸残基は、変更に影響を受けやすいことが予想される。
変異は、標準的な技術(例えば、部位特異的変異およびPCR媒介変異)によって、配列番号1、配列番号4または配列番号7に導入され得る。好ましくは、保存的なアミノ酸置換は、1個以上の推定非必須アミノ酸残基から作製される。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるアミノ酸置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野で規定されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が挙げられる。従って、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質中の予測される非必須アミノ酸残基は、好ましくは、同一側鎖ファミリー由来の別のアミノ酸残基で置換される。あるいは、別の実施形態において、変異は、1419コード配列、58765コード配列または2210コード配列の全てまたは一部に沿って無作為に導入され得(例えば、飽和変異誘発によって)、そして得られる変異体は、活性を保持する変異体を同定するために、1419、58765または2210の生物学的活性についてスクリーニングされ得る。配列番号1、配列番号4または配列番号7の変異誘発の後、コードされるタンパク質は、組換え発現され得、そしてタンパク質の活性が、本明細書中に記載されるアッセイを使用して、決定され得る。
本発明の別の局面は、配列番号1、配列番号4または配列番号7のヌクレオチド配列に対してアンチセンスである、単離された核酸分子の使用に関する。「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸に対して相補的である(例えば、二重鎖cDNA分子のコード鎖に対して相補的であるか、またはmRNA配列に対して相補的である)ヌクレオチド配列を含む。従って、アンチセンス核酸は、センス核酸に対して水素結合し得る。このアンチセンス核酸は、全1419コード鎖、全58765コード鎖または全2210コード鎖、またはその一部のみに対して相補的であり得る。一つの実施形態において、アンチセンス核酸分子は、1419、58765または2210をコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」に対してアンチセンスである。用語「コード領域」は、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領域をいう。別の実施形態において、アンチセンス核酸分子は、1419、58765または2210をコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「非コード領域」に対してアンチセンスである。用語「非コード領域」は、アミノ酸に翻訳されないコード領域に隣接する5’配列および3’配列をいう(5’非翻訳領域および3’非翻訳領域ともいう)。
本明細書中に開示される1419、58765または2210をコードするコード鎖配列を考慮して、本発明のアンチセンス核酸を、ワトソンおよびクリックの塩基対合の法則に従って設計し得る。アンチセンス核酸分子は、1419 mRNA、58765 mRNAまたは2210 mRNAのコード領域全体に対して相補的であり得るが、より好ましくは、1419 mRNA、58765 mRNAまたは2210 mRNAのコード領域または非コード領域のうちの一部分のみに対してアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1419 mRNA、58765 mRNAまたは2210 mRNAの翻訳開始部位周辺の領域に対して相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50ヌクレオチド長であり得る。本発明のアンチセンス核酸は、当該分野において公知の手順を使用する化学合成および酵素的連結反応を使用して構築され得る。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)が、天然に存在するヌクレオチドまたは種々に改変されたヌクレオチドを使用して化学的に合成され得、この種々に改変されたヌクレオチドは、分子の生物学的安定性を増加させるように、またはアンチセンス核酸とセンス核酸との間に形成される二重鎖の物理的安定性を増加させるように設計される(例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが使用され得る)。アンチセンス核酸を生成するために使用され得る改変ヌクレオチドの例としては、以下が挙げられる:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルクエオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルクエオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ウイブトキソシン(wybutoxosine)、プソイドウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)wおよび2,6−ジアミノプリン。あるいは、アンチセンス核酸が、核酸がアンチセンス方向でサブクローニングされた発現ベクターを使用して、生物学的に生成され得る(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNAは、目的の標的核酸に対してアンチセンス方向である)。本発明の方法において使用されるアンチセンス核酸分子は、上記節IVにさらに記載される。
なお別の実施形態において、本発明の方法において使用された139核酸分子、258核酸分子、1261核酸分子、1486核酸分子、2398核酸分子、2414核酸分子、7660核酸分子、8587核酸分子、10183核酸分子、10550核酸分子、12680核酸分子、17921核酸分子、32248核酸分子、60489核酸分子または93804核酸分子を、塩基部分、糖部分またはホスフェート骨格において改変し、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーション、または溶解度を改善し得る。例えば、核酸分子のデオキシリボースホスフェート骨格は、ペプチド核酸を生成するために改変され得る(Hyrup B.ら、(1996)Bioorganic & Medicinal Chemistry 4(1):5−23を参照のこと)。本明細書中で使用される場合、用語「ペプチド核酸」または「PNA」は、デオキシリボースホスフェート骨格が偽ペプチド骨格により置換され、そして4つの天然の核酸塩基(nucleobase)のみが保持されている核酸模倣物(例えば、DNA模倣物)をいう。PNAの中性の骨格は、低イオン強度の条件下で、DNAおよびRNAに対する特異的ハイブリダイゼーションを可能にし得ることが示されている。PNAオリゴマーの合成は、Hyrup B.ら、(1996)前出;Perry−O’Keefeら(1996)、Proc.Natl.Acad.Sci.93:14670−675に記載のような、標準的固相ペプチド合成プロトコルを使用して実施され得る。
1419核酸分子、58765核酸分子または2210核酸分子のPNAは、本明細書中に記載される治療的適用および診断的適用において使用され得る。例えば、PNAは、遺伝子発現の配列特異的調節(例えば、転写または翻訳の停止を誘導すること、または複製を阻害することによる)のためのアンチセンス剤またはアンチジーン(antigene)剤として使用され得る。1419核酸分子、58765核酸分子または2210核酸分子のPNAはまた、(例えば、PNA指向PCRクランピング(PNA−directed PCR clamping)による)遺伝子内の一塩基対変異の分析において、他の酵素(例えば、S1ヌクレアーゼ(Hyrup B.ら、(1996)前出))と組み合わせて使用される場合の人工制限酵素として;またはDNA配列決定またはハイブリダイゼーションのプローブまたはプライマーとして(Hyrup B.ら、(1996)、前出;Perry−O’Keefeら(1996)、前出)使用され得る。
別の実施形態において、1419、58765または2210のPNAは、PNAに対して脂肪親和性基または他のヘルパー基を結合することによって、PNA−DNAキメラの形成によって、あるいはリポソームまたは当該分野で公知の薬物送達の他の技術の使用によって、(例えば、それらの安定性または細胞性取り込みを増強するために)改変され得る。例えば、1419核酸分子、58765核酸分子または2210核酸分子のPNA−DNAキメラが生成され得、これは、PNAおよびDNAの有利な特性を合わせ得る。このようなキメラは、DNA認識酵素(例えば、RNAse HおよびDNAポリメラーゼ)がDNA部分と相互作用することを可能にし、一方PNA部分は、高い結合親和性および特異性を提供する。PNA−DNAキメラは、塩基スタッキング、核酸塩基間の結合数、および方向の点において選択される適切な長さのリンカーを使用して連結され得る(Hyrup B.ら、(1996)、前出)。PNA−DNAキメラの合成は、Hyrup B.ら、(1996)、前出、およびFinn P.J.ら(1996)Nucleic Acids Res.24(17):3357〜63に記載されるように実施され得る。例えば、DNA鎖は、標準的なホスホロアミダイト結合化学および改変されたヌクレオシドアナログ(例えば、5’−(4−メトキシトリチル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホロアミダイト)を使用して固体支持体上で合成され得、PNAとDNAの5’末端との間として使用され得る(Mag,Mら(1989)Nucleic Acids Res.17:5973〜88)。次いで、PNAモノマーは、段階的な様式で結合されて、5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントを有するキメラ分子を生成する(Finn P.J.ら(1996)前出)。あるいは、キメラ分子は、5’DNAセグメントおよび3’PNAセグメントを用いて合成され得る(Peterser,K.H.ら(1975)Bioorganic Med.Chem.Lett.5:1119〜11124)。
他の実施形態において、本発明の方法において使用されるオリゴヌクレオチドは、ペプチドのような他の付属基(例えば、インビボにおいて宿主細胞レセプターを標的化するため)、または細胞膜(例えば、Letsingerら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6553〜6556;Lemaitreら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:648〜652;PCT公開番号WO88/09810を参照のこと)もしくは血液脳関門(例えば、PCT公開番号WO89/10134を参照のこと)を横切る輸送を容易にする薬剤を含み得る。さらに、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション誘発(hybridization−triggered)切断剤(例えば、Krolら(1988)Bio−Techniques 6:958〜976を参照のこと)または挿入剤(例えば、Zon(1988)Pharm.Res.5:539〜549を参照のこと)を用いて改変され得る。この目的のために、オリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発架橋剤、輸送剤、またはハイブリダイゼーション誘発切断剤)に結合体化され得る。
(VII.本発明の方法において使用される単離された1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質および抗1419抗体、抗58765抗体または抗2210抗体)
本発明の方法は、単離された1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質、およびその生物学的に活性な部分、ならびに抗1419抗体、抗58765抗体または抗2210抗体を惹起するための免疫原としての使用に適切なポリペプチドフラグメントの使用を含む。1つの実施形態において、ネイティブな1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質は、標準的なタンパク質精製技術を使用する適切な精製スキームによって細胞または組織供給源から単離され得る。別の実施形態において、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質は、組換えDNA技術によって産生される。組換え発現に代えて、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質またはポリペプチドは、標準的なペプチド合成技術を使用して化学的に合成され得る。
本明細書中で使用される場合、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の「生物学的に活性な部分」は、1419活性、58765活性または2210活性を有する1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質のフラグメントを含む。1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の生物学的に活性な部分は、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質のアミノ酸配列と実質的に同一か、またはこれに由来するアミノ酸配列(例えば、配列番号3、配列番号6または配列番号9に示されるアミノ酸配列)を含むペプチドを含み、このペプチドは、1419全長タンパク質、58765全長タンパク質または2210全長タンパク質よりも短いアミノ酸を含み、そして1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の少なくとも一つの活性を示す。代表的に、生物学的に活性な部分は、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の少なくとも1つの活性を有する、ドメインまたはモチーフを含む(例えば、アポトーシス活性の調節に関与すると考えられる、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質のN末端領域)。1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば、25、50、75、100、125、150、175、200、250、300以上のアミノ酸長である、ポリペプチドを有し得る。1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の生物学的に活性な部分は、1419活性、58765活性または2210活性を調節する因子を開発するための標的として使用され得る。
好ましい実施形態において、本発明の方法において使用される1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質は、配列番号3、配列番号6または配列番号9に示されるアミノ酸配列を有する。他の実施形態において、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質は、配列番号3、配列番号6または配列番号9と実質的に同一であり、そして配列番号3、配列番号6または配列番号9のタンパク質の機能的活性を保持し、なお、上記V節において詳細に記載したように、天然の対立遺伝子改変体および変異体に起因するアミノ酸配列と異なる。従って、別の実施形態において、本発明の方法において使用される1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質は、配列番号3、配列番号6または配列番号9に対して、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより多く同一のアミノ酸配列を含むタンパク質である。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性のパーセントを決定するため、この配列を最適な比較目的のために整列させる(例えば、最適な整列のために第1のアミノ酸配列もしくは核酸配列および第2のアミノ酸配列もしくは核酸配列の1つもしくは両方にギャップが導入され得、そして非同一の配列は、比較目的のためには無視され得る)。好ましい実施形態において、比較目的のために整列された参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、およびさらにより好ましくは少なくとも70%、80%、または90%である(例えば、500個のアミノ酸残基を有する配列番号3、配列番号6または配列番号9の1419アミノ酸配列、58765アミノ酸配列または2210アミノ酸配列に対して第2配列を整列させる場合、少なくとも75個のアミノ酸残基、好ましく少なくとも150個のアミノ酸残基、より好ましくは少なくとも225個のアミノ酸残基、さらにより好ましくは少なくとも300個のアミノ酸残基、およびさらにより好ましくは少なくとも400個以上のアミノ酸残基が整列される)。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列位置が、第2の配列において対応する位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占有される場合、分子はその位置で同一である(本明細書中で使用される場合、アミノ酸または核酸の「同一性」は、アミノ酸または核酸の「相同性」と等価である)。2つの配列間の同一性のパーセントは、配列によって共有される同一位置の数の関数であり、2つの配列の最適な整列のために導入されることが必要であるギャップの数および各ギャップの長さを考慮する。
配列の比較および2つの配列間のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成され得る。好ましい実施形態において、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comから入手可能)においてGAPプログラムに組み込まれたNeedlemanおよびWunsch(J.Mol.Biol.48:444−453(1970))のアルゴリズムを用い、Blosum 62マトリクスまたはPAM250マトリクスのいずれか、ならびにギャップウェイト16、14、12、10、8、6、または4およびレングスウェイト(length weight)1、2、3、4、5、または6を用いて決定される。さらに別の好ましい実施形態において、2つのヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comから入手可能)のGAPプログラムを用い、NWSgapdna.CMPマトリクスならびにギャップウェイト40、50、60、70、または80およびレングスウェイト1、2、3、4、5、または6を用いて決定される。別の実施形態において、2種のアミノ酸またはヌクレオチド配列間のパーセント同一性が、ALIGNプログラム(バージョン2.0または2.0U)に組み込まれたE.MeyerおよびW.Miller(Comput.Appl.Biosci.4:11−17(1988))のアルゴリズムを用い、PAM120ウェイト残基表、ギャップレングスペナルティー12およびギャップペナルティー4を用いて決定される。
本発明の方法はまた、1419キメラタンパク質、58765キメラタンパク質または2210キメラタンパク質または1419融合タンパク質、58765融合タンパク質または2210融合タンパク質を使用し得る。本明細書中で使用される場合、1419、58765または2210の「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、非1419ポリペプチド、非58765ポリペプチドまたは非2210ポリペプチドに作動可能に連結された1419ポリペプチド、58765ポリペプチドまたは2210ポリペプチドを含む。「1419ポリペプチド、58765ポリペプチドまたは2210ポリペプチド」は、1419分子、58765分子または2210分子に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいうが、「非1419ポリペプチド、非58765ポリペプチドまたは非2210ポリペプチド」は、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質に対して実質的に相同ではないタンパク質(例えば、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質とは異なり、かつ同一または異なる生物体に由来するタンパク質)に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいう。1419融合タンパク質、58765融合タンパク質または2210融合タンパク質において、1419ポリペプチド、58765ポリペプチドまたは2210ポリペプチドは、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質のすべてまたは一部分に対応し得る。好ましい実施形態において、1419融合タンパク質、58765融合タンパク質または2210融合タンパク質は、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の少なくとも1つの生物学的に活性な部分を含む。別の好ましい実施形態において、1419融合タンパク質、58765融合タンパク質または2210融合タンパク質は、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の少なくとも2つの生物学的に活性な部分を含む。融合タンパク質において、用語「作動可能に連結された」は、1419ポリペプチド、58765ポリペプチドまたは2210ポリペプチドおよび非1419ポリペプチド、非58765ポリペプチドまたは非2210ポリペプチドが、互いにインフレームで融合されていることを示すことが意図される。非1419ポリペプチド、非58765ポリペプチドまたは非2210ポリペプチドは、1419ポリペプチド、58765ポリペプチドまたは2210ポリペプチドのN末端またはC末端に融合され得る。
例えば、1つの実施形態において、融合タンパク質はGST−1419融合タンパク質、GST−58765融合タンパク質またはGST−2210融合タンパク質であり、ここで1419配列、58765配列または2210配列は、GST配列のC末端に融合される。このような融合タンパク質は、組換え1419、組換え58765または組換え2210の精製を容易にし得る。
別の実施形態において、この融合タンパク質は、そのN末端で異種シグナル配列を含む1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質である。特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)において、1419、58765または2210の発現および/または分泌は、異種シグナル配列の使用を通じて増加され得る。
本発明の方法において使用される1419融合タンパク質、58765融合タンパク質または2210融合タンパク質は、薬学的組成物に組み込まれ、インビボで被験体に投与され得る。1419融合タンパク質、58765融合タンパク質または2210融合タンパク質は、1419基質、58765基質または2210基質のバイオアベイラビリティーに影響するように使用され得る。1419融合タンパク質、58765融合タンパク質または2210融合タンパク質の使用は、例えば、(i)1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質をコードする遺伝子の異常な改変または変異;(ii)1419遺伝子、58765遺伝子または2210遺伝子の誤った調節;および(iii)1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の異常な翻訳後修飾によって引き起こされる障害の処置のために治療的に有用であり得る。
さらに、本発明の方法において使用される1419融合タンパク質、58765融合タンパク質または2210融合タンパク質は、被験体において抗1419抗体、抗58765抗体または抗2210抗体を産生するための免疫原として、1419リガンド、58765リガンドまたは2210リガンドを精製するため、およびスクリーニングアッセイにおいて、1419、58765または2210と1419基質、58765基質または2210基質の相互作用を阻害する分子を同定するために使用され得る。
好ましくは、本発明の方法において使用される1419キメラタンパク質、58765キメラタンパク質または2210キメラタンパク質または1419融合タンパク質、58765融合タンパク質または2210融合タンパク質は、標準的組換えDNA技術により生成される。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントを、従来の技術に従って(例えば、連結のために平滑末端または付着末端(stagger−ended termini)を使用すること、適切な末端を提供するための制限酵素消化、適切な場合は付着末端(cohesive end)を埋めること(filling−in)、望ましくない結合を避けるためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素的連結によって)インフレームでともに連結される。別の実施形態において、融合遺伝子は、自動化DNA合成機を含む従来の技術によって合成され得る。あるいは、遺伝子フラグメントのPCR増幅は、2つの連続する遺伝子フラグメント間の相補的オーバーハング(overhang)を生じるアンカープライマーを使用して実施され得、これらは、引き続いてキメラ遺伝子配列を生成するためにアニールされ、そして再増幅され得る(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,Ausubelら編、John Wiley & Sons:1992を参照のこと)。さらに、すでに融合部分(例えば、GSTポリペプチド)をコードする、多くの発現ベクターが、市販されている。1419、58765または2210をコードする核酸は、このような発現ベクターへクローン化され得、その結果、融合部分は、インフレームで1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質に連結される。
本発明はまた、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の改変体の使用に関し、この1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の改変体は、1419アゴニスト、58765アゴニストまたは2210アゴニスト(模倣物)または1419アンタゴニスト、58765アンタゴニストまたは2210アンタゴニストのいずれかとして機能する。1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の改変体を、変異誘発(例えば、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の個別の点変異または短縮化(truncation))により作製し得る。1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質のアゴニストは、天然に存在する形態の1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の生物学的活性と実質的に同一な活性か、またはそのサブセットを保持し得る。1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質のアンタゴニストは、天然に存在する形態の1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の1つ以上の活性を、例えば、この1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の1419媒介活性、58765媒介活性または2210媒介活性を競合的に調節することによって阻害し得る。従って、特定の生物学的効果を、制限された機能の改変体で処理することにより誘発し得る。1つの実施形態において、このタンパク質の天然に存在する形態の生物学的活性のサブセットを有する改変体での被験体の処置は、天然に存在する形態の1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質での処置と比較して、被験体においてより少ない副作用を有する。
1つの実施形態において、1419アゴニスト、58765アゴニストまたは2210アゴニスト(模倣物)または1419アンタゴニスト、58765アンタゴニストまたは2210アンタゴニストのいずれかとして機能する1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の改変体は、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質のアゴニスト活性または1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質のアンタゴニスト活性について、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の変異体(例えば、短縮型変異体)のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって同定され得る。1つの実施形態において、1419改変体、58765改変体または2210改変体の多様なライブラリーは、核酸レベルにおけるコンビナトリアル変異誘発によって生成され、そして多様な遺伝子ライブラリーによってコードされる。1419改変体、58765改変体または2210改変体の多様なライブラリーは、例えば、遺伝子配列に合成オリゴヌクレオチドの混合物を酵素的に連結することによって産生され得、その結果、潜在的な1419配列、58765配列または2210配列の縮重セットが個々のポリペプチドとして、または代替的に、そこに1419配列、58765配列または2210配列のセットを含む、より大きな融合タンパク質のセットとして(例えば、ファージディスプレイのために)発現可能である。縮重オリゴヌクレオチド配列から潜在的な1419改変体、58765改変体または2210改変体のライブラリーを産生するために使用し得る種々の方法が存在する。縮重遺伝子配列の化学合成は、自動化DNA合成機において実行され、次いで合成遺伝子は、適切な発現ベクターに連結され得る。遺伝子の縮重セットの使用は、1つの混合物において、潜在的な1419配列、58765配列または2210配列の所望のセットをコードする配列のすべての提供を可能にする。縮重オリゴヌクレオチドを合成するための方法は、当該分野で公知である(例えば、Narang,S.A.(1983)Tetrahedron 39:3,Itakuraら(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323;Itakuraら(1984)Science 198:1056;Ikeら(1983)Nucleic Acid Res.11:477を参照のこと)。
さらに、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質のコード配列のフラグメントのライブラリーは、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の改変体のスクリーニングおよび引き続く選択のために1419フラグメント、58765フラグメントまたは2210フラグメントの多様な集団を生成するために使用され得る。1つの実施形態において、コード配列フラグメントのライブラリーは、1419コード配列、58765コード配列または2210コード配列の二本鎖PCRフラグメントを、ニックが1分子あたり約1つだけ生じる条件下でヌクレアーゼで処理すること、二本鎖DNAを変性させること、DNAを再生させて、異なるニックを有する生成物からセンス/アンチセンス対を含み得る二本鎖DNAを形成すること、S1ヌクレアーゼを用いる処理によって、再形成された二重鎖から一本鎖部分を除去すること、および得られるフラグメントライブラリーを発現ベクターに連結すること、によって生成され得る。この方法によって、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の種々のサイズのN末端、C末端および内部フラグメントをコードする発現ライブラリーを誘導し得る。
点変異または短縮化によって作製されるコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするため、および選択された特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするためのいくつかの技術が、当該分野で公知である。このような技術は、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質のコンビナトリアル変異誘発によって生成される遺伝子ライブラリーの迅速スクリーニングのために適合可能である。高スループット分析に従う、大きい遺伝子ライブラリーのスクリーニングのための最も広範に使用される技術は、代表的には、複製可能な発現ベクターへの遺伝子ライブラリーのクローニング、得られるベクターのライブラリーでの適切な細胞の形質転換、および所望の活性の検出が、遺伝子産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離を容易にする条件下でのコンビナトリアル遺伝子の発現を含む。帰納的アンサンブル変異誘発(recursive ensamble mutagenesis)(REM)は、ライブラリーにおける機能的変異体の頻度を高める新たな技術であり、1419、58765または2210改変体を同定するためにスクリーニングアッセイと組み合わせて使用され得る(ArkinおよびYourvan(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7811−7815;Delgraveら(1993)Protein Engieering 6(3):327−331)。
本発明の方法は、抗1419抗体、抗58765抗体または抗2210抗体の使用をさらに包含する。単離された1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質、またはその一部分もしくはフラグメントは、ポリクローナル抗体調製およびモノクローナル抗体調製のための標準的な技術を使用して、1419、58765または2210を結合する抗体を生成するための免疫原として使用され得る。全長の1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質が使用され得るか、または代替的に、1419、58765または2210の抗原性ペプチドフラグメントは、免疫原として使用され得る。1419、58765または2210の抗原性ペプチドは、配列番号3、6または9に示されるアミノ酸配列の少なくとも8アミノ酸残基を含み、そして1419、58765または2210のエピトープを含み、その結果、そのペプチドに対して惹起された抗体は、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質との特異的な免疫複合体を形成する。好ましくは、抗原性ペプチドは、少なくとも10アミノ酸残基、より好ましくは、少なくとも15アミノ酸残基、なおより好ましくは、少なくとも20アミノ酸残基、そして最も好ましくは、少なくとも30アミノ酸残基を含む。
その抗原性ペプチドによって含まれる好ましいエピトープは、そのタンパク質の表面に位置する1419、58765または2210の領域(例えば、親水性領域)ならびに高い抗原性を有する領域である。
代表的には、1419免疫原、58765免疫原または2210免疫原を使用して、適切な被験体(例えば、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳動物)に免疫原を免疫することにより抗体を調製する。適切な免疫原性調製物は、例えば、組換え発現された1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質または化学合成された1419ポリペプチド、58765ポリペプチドまたは2210ポリペプチドを含み得る。この調製物は、アジュバント(例えば、フロイント完全アジュバントまたはフロイント不完全アジュバント、または同様な免疫刺激剤)をさらに含み得る。適切な被験体を免疫原性1419調製物、58765調製物または2210調製物で免疫することにより、ポリクローナル抗1419抗体応答、抗58765抗体応答または抗2210抗体応答が惹起される。
用語「抗体」とは、本明細書中で用いられる場合、免疫グロブリン分子および免疫学的に活性な免疫グロブリン分子の一部(すなわち、抗原を特異的に結合する(抗原と免疫反応する)抗原結合部位を含む分子(例えば、1419、58765または2210))をいう。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の例としては、酵素(例えば、ペプシン)で抗体を処理することにより生成され得るF(ab)フラグメントおよびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。本発明は、1419分子、58765分子または2210分子を結合するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を提供する。用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」とは、本明細書中で使用される場合、1419、58765または2210の特定のエピトープと免疫反応し得る抗原結合部位の1種のみを含む抗体分子の集団をいう。従って、モノクローナル抗体組成物は、代表的には、これが免疫反応する特定の1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質に対する単一の結合親和性を提示する。
ポリクローナル抗1419抗体、抗58765抗体または抗2210抗体は、適切な被験体に1419免疫原、58765免疫原または2210免疫原を免疫することにより、上記のように調製され得る。免疫した被験体における抗1419抗体、抗58765抗体または抗2210抗体の力価は、標準的技術により(例えば、固定化した1419、58765または2210を用いる酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて)経時的にモニターされ得る。所望であれば、1419、58765または2210に対する抗体分子は、哺乳動物から(例えば、血液から)単離され得、そしてさらに周知の技術(例えば、IgG画分を得るためのプロテインAクロマトグラフィー)により精製され得る。免疫後、適切な時間に、例えば、抗1419抗体、抗58765抗体または抗2210抗体の力価が最も高いときに、抗体生成細胞を被験体から獲得し得、そしてこれを使用して、標準的技術(例えば、初めは、KohlerおよびMilstein(1975)Nature 256:495−497により記載されたハイブリドーマ技術(Brownら(1981)J.Immunol.127:539−46;Brownら(1980)J.Biol.Chem.255:4980−83;Yehら(1976)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:2927−31;およびYehら(1982)Int.J.Cancer 29:269−75もまた参照のこと)、より最近のヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら(1983)Immunol.Today 4:72)、EBVハイブリドーマ技術(Coleら(1985)、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,77−96頁)またはトリオーマ(trioma)技術)によりモノクローナル抗体を調製し得る。モノクローナル抗体ハイブリドーマを生成する技術は、周知である(一般には、Kenneth,R.H.、Monoclonal Antibodies:A New Dimension In Biological Analyses,Plenum Publishing Corp.,New York,New York(1980);Lerner,E.A.(1981)Yale J.Biol.Med.54:387−402;Gefter,M.L.ら(1977)Somatic Cell Genet.3:231−36を参照のこと)。簡潔には、不死化細胞株(代表的には骨髄腫細胞)を、上記のように1419免疫原、58765免疫原または2210免疫原で免疫した哺乳動物由来のリンパ球(代表的には、脾臓細胞)と融合し、そして得られたハイブリドーマ細胞の培養上清をスクリーニングして、1419、58765または2210を結合するモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマを同定する。
リンパ球と不死化細胞株とを融合するために使用される任意の多くの周知のプロトコルは、抗1419モノクローナル抗体、抗58765モノクローナル抗体または抗2210モノクローナル抗体を生成する目的で適用され得る(例えば、G.Galfreら(1977)Nature 266:55052;Gefterら(1977)上記;Lerner(1981)上記;およびKenneth(1980)、上記を参照のこと)。さらに、当業者は、このような方法の多くのバリエーションが存在し、これらは、やはり有用であることを理解する。代表的には、不死化細胞株(例えば、骨髄腫細胞株)はリンパ球と同じ哺乳動物種に由来する。例えば、マウスハイブリドーマは、本発明の免疫原性調製物を免疫したマウス由来のリンパ球と不死化マウス細胞株とを融合することにより作製され得る。好ましい不死化細胞株は、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養培地(「HAT培地」)に感受性であるマウス骨髄腫細胞株である。任意の多くの骨髄腫細胞株は、標準的技術に従う融合パートナーとして使用され得る(例えば、P3−NS1/1−Ag4−1、P3−x63−Ag8.653またはSp2/O−Ag14骨髄腫株)。これらの骨髄腫株は、ATCCから入手可能である。代表的には、HAT感受性マウス骨髄腫細胞を、ポリエチレングリコール(「PEG」)を使用してマウス脾臓細胞に融合する。次いで、融合から得られたハイブリドーマ細胞を、HAT培地を用いて選択する(このことにより、融合していない細胞および生成性でない融合骨髄腫細胞は死ぬ(融合していない脾臓細胞は、形質転換していないので数日後に死ぬ))。本発明のモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマ細胞は、1419、58765または2210を結合する抗体について、ハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることにより(例えば、標準的ELISAアッセイを使用して)検出される。
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを調製するかわりに、モノクローナル抗1419抗体、抗58765抗体または抗2210抗体を、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)を1419、58765または2210を用いてスクリーニングすることにより同定および単離し得、それによって1419、58765または2210を結合する免疫グロブリンライブラリーメンバーを単離し得る。ファージディスプレイライブラリーを生成し、そしてスクリーニングするためのキットは、市販されている(例えば、the Pharmacia Recombinant Phage Antibody System,カタログ番号27−9400−01;およびthe Stratagene SurfZAPTM Phage Display Kit,カタログ番号240612)。さらに、抗体ディスプレイライブラリーを生成し、そしてスクリーニングする際の使用に特になじみやすい方法および試薬の例は、例えば、Ladnerら、米国特許第5,223,409号;Kangら、PCT国際公開WO92/18619;Dowerら、PCT国際公開WO91/17271;Winterら、PCT国際公開WO92/20791;Marklandら、PCT国際公開WO92/15679;Breitlingら、PCT国際公開WO93/01288;McCaffertyら、PCT国際公開WO92/01047;Garrardら、PCT国際公開WO92/09690;Ladnerら、PCT国際公開WO90/02809;Fuchsら(1991)Bio/Technology 9:1370−1372;Hayら(1992)Hum.Antibod.Hybridomas 3:81−85;Huseら(1989)Science 246:1275−1281;Griffithsら(1993)EMBO J.12:725−734;Hawkinsら(1992)J.Mol.Biol.226:889−896;Clarksonら(1991)Nature 352:624−628;Gramら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:3576−3580;Garradら(1991)Bio/Technology 9:1373−1377;Hoogenboomら(1991)Nuc.Acid Res.19:4133−4137;Barbasら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7978−7982;およびMcCaffertyら(1990)Nature 348:552−554に見出され得る。
さらに、ヒトおよび非ヒト部分の両方を含む組換え抗1419抗体、抗58765抗体または抗2210抗体(例えば、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体)は、本発明の方法の範囲内であり、これは、標準的な組換えDNA技術を用いて作製され得る。このようなキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、当該分野で公知の組換えDNA技術により(例えば、Robinsonら、国際出願番号PCT/US86/02269;Akiraら、欧州特許出願第184,187号;Taniguchi,M.,欧州特許出願第171,496号;Morrisonら 欧州特許出願第173,494号;Neubergerら、PCT国際公開WO 86/01533;Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Cabillyら、欧州特許出願番号第125,023号;Betterら(1988)Science 240:1041−1043;Liuら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−3443;Liuら(1987)J.Immunol.139:3521−3526;Sunら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214−218;Nishimuraら(1987)Canc.Res.47:999−1005;Woodら(1985)Nature 314:446−449;Shawら(1988)J.Natl.Cancer Inst.80:1553−1559;Morrison,S.L.(1985)Science 229:1202−1207;Oiら(1986)BioTechniques 4:214;Winter 米国特許第5,225,539号;Jonesら(1986)Nature 321:552−525;Verhoeyanら(1988)Science 239:1534;およびBeidlerら(1988)J.Immunol.141:4053−4060に記載される方法を使用して)生成され得る。
抗1419抗体、抗58765抗体または抗2210抗体は、1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質の発現の量およびパターンを評価するために、(例えば、細胞溶解物または細胞上清において)1419タンパク質、58765タンパク質または2210タンパク質を検出するために使用され得る。抗1419抗体、抗58765抗体または抗2210抗体は、例えば、所定の処置レジメの効力を決定するために、臨床試験の手順の一部として、組織におけるタンパク質レベルを診断的にモニターするために使用され得る。検出は、抗体を検出可能な物質と結合させる(すなわち、物理的に連結させる)ことによって容易にされ得る。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生体発光物質、および放射活性物質が挙げられる。適切な酵素の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適切な補欠分子族複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ;適切な蛍光物質の例には、ウンベリフェロン(umbelliferone)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロライド、またはフィコエリトリンが挙げられ;発光物質の例には、ルミノールが挙げられ;生体発光物質の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが挙げられ;そして、適切な放射活性物質の例には、125I、131I、35S、または3Hが挙げられる。
本発明は、限定として解釈されるべきではない以下の実施例によって、さらに例示される。本明細書を通じて引用される全ての参考文献、特許および公開された特許出願の内容、ならびに図面および配列表は、本明細書中で参考として援用される。