JP2005329794A - 車両のアンダーステア判定方法および車両のアンダーステア防止方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 車両がアンダーステア状態に移行するのをより早期に判定するとともに、その判定に基づいて旋回中の車両挙動の安定を図る。
【解決手段】 横加速度センサSeで検知した車両の横加速度Gと推定した路面摩擦係数μとに基づいて予め設定した車両の限界ロール角φLMT |μを、ロール角センサSdで実際に検知した車両の実ロール角φと比較し、実ロール角φが限界ロール角φLMT |μを超えたときにアンダーステアを判定するので、車両が実際にアンダーステアになる前にアンダーステアになることを早期に判定することが可能になる。そしてアンダーステアが判定されたときに、後輪WRL,WRR側のスタビライザー10の捩じれをアクチュエータ11で規制して後輪WRL,WRR側のロール剛性を増加させるので、後輪WRL,WRRの旋回外輪の接地荷重を増加させて旋回方向外側に滑らせることでアンダーステアを防止することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 横加速度センサSeで検知した車両の横加速度Gと推定した路面摩擦係数μとに基づいて予め設定した車両の限界ロール角φLMT |μを、ロール角センサSdで実際に検知した車両の実ロール角φと比較し、実ロール角φが限界ロール角φLMT |μを超えたときにアンダーステアを判定するので、車両が実際にアンダーステアになる前にアンダーステアになることを早期に判定することが可能になる。そしてアンダーステアが判定されたときに、後輪WRL,WRR側のスタビライザー10の捩じれをアクチュエータ11で規制して後輪WRL,WRR側のロール剛性を増加させるので、後輪WRL,WRRの旋回外輪の接地荷重を増加させて旋回方向外側に滑らせることでアンダーステアを防止することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両のロール角に基づいてアンダーステアを判定する方法と、その方法を用いて車両のアンダーステアを防止する方法とに関する。
操舵角および車速から算出した規範ヨーレートとヨーレートセンサで検知した実ヨーレートとを比較し、オーバーステアが判定されると後輪の2輪と旋回外輪前輪とを車体スリップ角に応じた制動力で制御し、アンダーステアが判定されると後輪の2輪をアンダーステア量に応じた制動力で制御することで、タイヤのグリップ力が限界に達した時点から早期にモーメント制御を行うとともに車両の運動エネルギーを低減してコースアウトを防止する車両運動制御装置が、下記特許文献1により公知である。
特開2003−118556号公報
ところで上記従来のものは、規範ヨーレートと実ヨーレートとを比較してオーバーステアおよびアンダーステアの判定を行っているため、実際に車両がオーバーステア状態あるいはアンダーステア状態にならないと前記判定を行うことができず、旋回時における車両挙動を安定させる制御に遅れが生じる可能性があった。もしもヨーレート以外のパラメータに基づいて車両がアンダーステア状態に移行するのを更に早期に判定することができれば、アンダーステアにより車両がコースアウトするのを一層確実に防止することが可能となる。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、車両がアンダーステア状態に移行するのをより早期に判定するとともに、その判定に基づいて旋回中の車両挙動の安定を図ることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車両の実ロール角を検知する第1工程と、車両の限界ロール角を設定する第2工程と、実ロール角が限界ロール角を超えたときにアンダーステアを判定する第3工程とを含むことを特徴とする、車両のアンダーステア判定方法が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、車両の横加速度を検知する工程を更に含み、前記第2工程は車両の横加速度に基づいて車両の限界ロール角を設定することを特徴とする、車両のアンダーステア判定方法が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、路面摩擦係数を検知する工程を更に含み、前記第2工程は路面摩擦係数に基づいて車両の限界ロール角を設定することを特徴とする、車両のアンダーステア判定方法が提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両のアンダーステア判定方法を用いた車両のアンダーステア防止方法であって、前記第3工程でアンダーステアが判定されたときに後輪側のロール剛性を増加させる第4工程を含むことを特徴とする、車両のアンダーステア防止方法が提案される。
請求項1の構成によれば、実際に検知した車両の実ロール角と予め設定した車両の限界ロール角とを比較し、実ロール角が限界ロール角を超えたときにアンダーステアを判定するので、車両が実際にアンダーステアになる前にアンダーステアになることを早期に判定することが可能になる。
請求項2の構成によれば、車両のロール角と密接に関連する車両の横加速度に基づいて限界ロール角を設定するので、限界ロール角を的確に設定してアンダーステアの判定精度を高めることができる。
請求項3の構成によれば、車両のロール角と密接に関連する路面摩擦係数に基づいて車両の限界ロール角を設定するので、限界ロール角を的確に設定してアンダーステアの判定精度を高めることができる。
請求項4の構成によれば、アンダーステアが判定されたときに後輪側のロール剛性を増加させるので、後輪の旋回外輪の接地荷重を増加させて旋回方向外側に滑らせることでアンダーステアを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図12は本発明の一実施例を示すもので、図1は車両運動制御装置を搭載した自動車の全体構成を示す図、図2は車両運動制御装置の構成を示すブロック図、図3は制御系の構成を示すブロック図、図4はメインルーチンのフローチャート、図5はステップS1のサブルーチンのフローチャート、図6はステップS3のサブルーチンのフローチャート、図7はステップS5のサブルーチンのフローチャート、図8はステップS7のサブルーチンのフローチャート、図9はステップS8のサブルーチンのフローチャート、図10は横加速度に対する目標ロール角および限界ロール角の関係を示すグラフ、図11は車両の旋回時のヨーモーメントの制御手法の説明図、図12はロール角制御量と目標ロール剛性との関係を示すグラフである。
図1および図2に示すように、本実施例の車両運動制御装置を搭載した四輪の車両は、エンジンEの駆動力がトランスミッションTを介して伝達される駆動輪たる左右の前輪WFL,WFRと、車両の走行に伴って回転する従動輪たる左右の後輪WRL,WRRとを備える。ドライバーにより操作されるブレーキペダル1は電子制御負圧ブースタ2を介してマスタシリンダ3に接続される。電子制御負圧ブースタ2は、ブレーキペダル1の踏力を機械的に倍力してマスタシリンダ3を作動させるとともに、自動制動時にはブレーキペダル1の操作によらずに電子制御ユニットUからの制動指令信号によりマスタシリンダ3を作動させる。ブレーキペダル1に踏力が入力され、かつ電子制御ユニットUから制動指令信号が入力された場合、電子制御負圧ブースタ2は両者のうちの何れか大きい方に合わせてブレーキ油圧を出力させる。尚、電子制御負圧ブースタ2の入力ロッドはロストモーション機構を介してブレーキペダル1に接続されており、電子制御負圧ブースタ2が電子制御ユニットUからの信号により作動して前記入力ロッドが前方に移動しても、ブレーキペダル1は初期位置に留まるようになっている。
マスタシリンダ3の一対の出力ポート3a,3bは油圧制御装置4を介して前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRRにそれぞれ設けられたブレーキキャリパ5FL,5FR,5RL,5RRに接続される。油圧制御装置4は4個のブレーキキャリパ5FL,5FR,5RL,5RRに対応して4個の圧力調整器6…を備えており、それぞれの圧力調整器6…は電子制御ユニットUに接続されて前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRRに設けられたブレーキキャリパ5FL,5FR,5RL,5RRの作動を個別に制御する。
従って、各車輪WFL,WFR,WRL,WRRのブレーキキャリパ5FL,5FR,5RL,5RRに伝達されるブレーキ油圧を圧力調整器6…によって独立に制御すれば、車両のヨーモーメントを任意に制御して旋回時の車両挙動を安定させることができ、また制動時における車輪WFL,WFR,WRL,WRRのロックを抑制するアンチロックブレーキ制御を行うことができる。
左右の前輪WFL,WFRのサスペンション装置を接続するフロントスタビライザー8は、その捩じれを抑制して車両のロール剛性を高めるためのロール剛性制御アクチュエータ9,9を備えるとともに、左右の後輪WRL,WRRのサスペンション装置を接続するリヤスタビライザー10は、その捩じれを抑制して車両のロール剛性を高めるためのロール剛性制御アクチュエータ11,11を備える。
ステアリングホイール7の操舵角δを検出する操舵角センサSaと、前輪WFL,WFRおよび後輪WRL,WRRの回転数VWをそれぞれ検知する車輪速センサSb…と、車両のヨーレートγを検知するヨーレートセンサScと、車両の実ロール角φを検知するロール角センサSdと、車両の横加速度Gを検知する横加速度センサSeとが接続された電子制御ユニットUは、規範ヨーレート算出手段M1と、実ヨーレート算出手段M2と、OS/US・旋回判定手段M3と、路面摩擦係数・スリップ角推定手段M4と、スリップ制御量決定手段M5と、目標ロール角・限界ロール角算出手段M6と、ロール剛性制御量決定手段M7と、リニアロール制御手段M8と、フロント外輪スリップ制御手段M9と、フロントスタビライザー剛性制御手段M10と、リヤ2輪スリップ制御手段M11と、リヤスタビライザー剛性制御手段M12とを備える。
電子制御ユニットUは,OS(オーバーステア)傾向およびUS(アンダーステア)傾向を修正して車両挙動の安定を図るべく、操舵角センサSa、車輪速センサSb…、ヨーレートセンサSc、ロール角センサSdおよび横加速度センサSeからの信号に基づいて、電子制御負圧ブースタ2、油圧制御装置4、フロントスタビライザー8のロール剛性制御アクチュエータ9,9およびリヤスタビライザー10のロール剛性制御アクチュエータ11,11の作動を制御する。
次に、本実施例の作用を図3のブロック図および図4〜図9のフローチャートを参照して説明する。
先ず、図4のメインルーチンのステップS1で、各センサから制御に必要なパラメータを電子制御ユニットUに読み込むとともに、各種の規範値や目標値を算出する。
即ち、図5のフローチャートのステップS11で操舵角センサSaからステアリングホイール7の操舵角δを規範ヨーレート算出手段M1および路面摩擦係数・スリップ角推定手段M4に入力し、ステップS12で車輪速センサSb…から左右の前輪WFL,WFRおよび左右の後輪WRL,WRRの車輪速VWを規範ヨーレート算出手段M1および路面摩擦係数・スリップ角推定手段M4に入力し、ステップS13でヨーレートセンサScから車両のヨーレートγを実ヨーレート算出手段M2および路面摩擦係数・スリップ角推定手段M4に入力し、ステップS14でロール角センサSdから車両の実ロール角φを路面摩擦係数・スリップ角推定手段M4およびロール剛性制御量決定手段M7に入力し、ステップS15で横加速度センサSeから車両の横加速度Gを路面摩擦係数・スリップ角推定手段M4および目標ロール角・限界ロール角算出手段M6に入力する。
続くステップS16で、路面摩擦係数・スリップ角推定手段M4が操舵角δ、車輪速度VW、ヨーレートγ、横加速度Gおよび実ロール角φに基づいて路面摩擦係数μおよび車体のスリップ角を推定する。続くステップS17で、規範ヨーレート算出手段M1が操舵角δおよび車輪速VW(車輪速からVWから算出した車体速)に基づいて規範ヨーレートγ* を算出する。続くステップS18およびステップS19で、目標ロール角・限界ロール角算出手段M6が横加速度Gおよび路面摩擦係数μに基づいて目標ロール角φ* および限界ロール角φLMT |μを算出する。
図10に示すように、目標ロール角φ* は旋回に伴う横加速度Gの増加に応じてリニアに増加する特性を有している。旋回に伴って横加速度Gが増加すると、遠心力で車体が旋回外側にロールして旋回外輪の接地荷重が増加し、旋回外輪が路面から受ける横力がタイヤのグリップ力の限界を超えると横滑りが発生する。この限界よりも少し小さい実ロール角φを限界ロール角φLMT |μと定義する。限界ロール角φLMT |μは路面摩擦係数μに応じて変化し、低路面摩擦係数μのときの限界ロール角φLMT |μをφLMT |Lμと表記し、高路面摩擦係数μのときの限界ロール角φLMT |μをφLMT |Hμと表記する。
図4のフローチャートのステップS2に戻り、OS/US判定・旋回判定手段M3が、ヨーレートセンサScの出力から実ヨーレート算出手段M2が算出した実ヨーレートγの方向に基づいて車両の旋回方向を判定するとともに、その実ヨーレートγを規範ヨーレートγ* およびヨーレートマージンγMの和であるγ* +γMと比較し、γ>γ* +γMであれば、車両がオーバーステア傾向にあると判断し、ステップS3でオーバーステアを抑制する制御を行う。
次に、図6のフローチャートおよび図11(A)の作用説明図に基づいてオーバーステア制御の内容を説明する。
先ずステップS21およびステップS22で、スリップ制御量決定手段M5が路面摩擦係数μおよび車体のスリップ角から目標車体モーメントMを算出するとともに、その目標車体モーメントMを得るためのフロント外輪のスリップ率λを算出する。続くステップS23で実ロール角φの絶対値が目標ロール角φ* の絶対値を超えていれば、つまり実ロール角φが大きい状態にあれば、ステップS24でロール角制御量Δφを実ロール角φと目標ロール角φ* との差の絶対値|φ−φ* |として算出し、前記ステップS23で実ロール角φの絶対値が目標ロール角φ* の絶対値を超えていなければ、つまり実ロール角φが小さい状態にあれば、ステップS25でロール角制御量Δφを0に設定する。
続くステップS26で、ロール剛性制御量決定手段M7が図12に示すマップに基づいて、ロール角制御量Δφから前輪WFL,WFR側のロール剛性制御量を検索する。ロール剛性制御量はロール角制御量Δφの増加に伴って増加し、かつ増加率がロール角制御量Δφの増加に伴って次第に減少するように設定される。そしてステップS27で、図11(A)に示すように車両が左旋回している場合には、フロント外輪スリップ制御手段M9により、左右の前輪WFL,WFRのうちの旋回外輪である右前輪WFRの制動力を増加させて車両を右方向に回頭させるヨーモーメントを発生させ、車両のオーバーステア傾向を解消させる。これと同時に、フロントスタビライザー剛性制御手段M10により、前記ロール剛性制御量に基づいてロール剛性制御アクチュエータ9,9を作動させてフロントスタビライザー8の捩じれ剛性を高めることで、左右の前輪WFL,WFRのロール剛性を増加させる。その結果、旋回外輪となる右前輪WFRの接地荷重が増加してタイヤのスリップ限界を超え、前輪WFL,WFRが旋回外側である右方向に流れる傾向が発生し、車両のオーバーステア傾向を解消させる。
図4のフローチャートに戻り、ステップS2でγ>γ* +γMが成立せず、ステップS4でγ<γ* −γMであれば、車両がアンダーステア傾向にあると判断し、ステップS5でアンダーステアを抑制する制御を行う。
次に、図7のフローチャートおよび図11(B)の作用説明図に基づいて第1アンダーステア制御の内容を説明する。
先ずステップS31でスリップ制御量決定手段M5により左右の後輪WRL,WRRのスリップ率λを算出し、ステップS32でアンダーステア制御開始時のロール角φINT の絶対値|φINT |を限界ロール角φLMT とする。続くステップS33で実ロール角φの絶対値|φ|が限界ロール角φLMT を超えていれば、つまり実ロール角φが大きい状態にあれば、ステップS34でロール角制御量Δφを実ロール角φと限界ロール角φLMT との差の絶対値|φ−φLMT |として算出し、前記ステップS33で実ロール角φの絶対値が限界ロール角φLMT を超えていなければ、つまり実ロール角φが小さい状態にあれば、ステップS35でロール角制御量Δφを0に設定する。
続くステップS36で、ロール剛性制御量決定手段M7が図12に示すマップに基づいて、ロール角制御量Δφから後輪WRL,WRR側のロール剛性制御量を検索する。ロール剛性制御量はロール角制御量Δφの増加に伴って増加し、かつ増加率がロール角制御量Δφの増加に伴って次第に減少するように設定される。そしてステップS37で、図11(B)に示すように車両が左旋回している場合には、リヤ2輪スリップ制御手段M11により、左右の後輪WRL,WRRの制動力を増加させて旋回方向外側に滑らせ、かつ減速により車両の運動エネルギーを減少させることで、車両のアンダーステア傾向を解消させる。これと同時に、リヤスタビライザー剛性制御手段M12により、前記ロール剛性制御量に基づいてロール剛性制御アクチュエータ11,11を作動させてリヤスタビライザー10の捩じれ剛性を高めることで、左右の後輪WRL,WRRのロール剛性を増加させる。その結果、旋回外輪となる右後輪WRRの接地荷重が増加してタイヤのスリップ限界を超え、後輪WRL,WRRが旋回外側である右方向に流れる傾向が発生し、車両のアンダーステア傾向を解消させる。
図4のフローチャートに戻り、ステップS4でγ<γ* −γMが成立せず、ステップS6で実ロール角φ>限界ロール角φLMT |μであれば、車両がアンダーステア傾向に移行しつつあると判断し、ステップS7でアンダーステアを抑制する制御を行う。実ロール角φ>限界ロール角φLMT |μが成立するときに、つまり横加速度Gが路面摩擦係数μに応じて決まる限界値を超えたときに車両がアンダーステア傾向に移行しつつあると判断する理由は以下の通りである。
一般に車体前部にエンジンを搭載した車両では前輪WFL,WFRの接地荷重が後輪WRL,WRRの接地荷重よりも大きいため、車両の旋回に伴う遠心力で旋回外輪の接地荷重が増加するとフロント側の旋回外輪がリヤ側の旋回外輪よりも先に横滑りを始め、前輪WFL,WFR側が旋回方向外側に流れてアンダーステア傾向になるからである。
次に、図8のフローチャートおよび図11(C)の作用説明図に基づいて第2アンダーステア制御の内容を説明する。
先ずステップS41でアンダーステア制御開始時のヨーレートγINT の絶対値|γINT |を最低維持ヨーレートγLMT とする。続くステップS42で実ヨーレートγの絶対値|γ|が最低維持ヨーレートγLMT 未満であれば、つまり車両がレーンを旋回外側に逸脱する可能性があれば、ステップS43でヨーレート制御量Δγを実ヨーレートγと最低維持ヨーレートγLMT との差の絶対値|γ−γLMT |とし、前記ステップS42で実ヨーレートγの絶対値が最低維持ヨーレートγLMT 未満でなければ、つまり車両がレーンに復帰可能であれば、ステップS44でヨーレート制御量Δγを0に設定する。
続くステップS45およびステップS46で、スリップ制御量決定手段M5が路面摩擦係数μおよび車体のスリップ角から目標車体モーメントMを算出するとともに、その目標車体モーメントMを得るためのリヤ内輪のスリップ率λを算出する。続くステップS47で実ロール角φの絶対値が目標ロール角φ* の絶対値を超えていれば、つまり実ロール角φが大きい状態にあれば、ステップS48でロール角制御量Δφを実ロール角φと目標ロール角φ* との差の絶対値|φ−φ* |として算出し、前記ステップS47で実ロール角φの絶対値が目標ロール角φ* の絶対値を超えていなければ、つまり実ロール角φが小さい状態にあれば、ステップS49でロール角制御量Δφを0に設定する。
続くステップS50で、ロール剛性制御量決定手段M7が図12に示すマップに基づいて、ロール角制御量Δφから後輪WRL,WRR側のロール剛性制御量を検索する。ロール剛性制御量はロール角制御量Δφの増加に伴って増加し、かつ増加率がロール角制御量Δφの増加に伴って次第に減少するように設定される。そしてステップS51で、図11(C)に示すように車両が左旋回している場合には、リヤ2輪スリップ制御手段M11が、左右の後輪WRL,WRRのうちの旋回内輪である左後輪WRLの制動力を増加させて車両を左方向に回頭させるヨーモーメントを発生させ、車両のアンダーステア傾向を解消させる。これと同時に、リヤスタビライザー剛性制御手段M12が、前記ロール剛性制御量に基づいてロール剛性制御アクチュエータ11,11を作動させてリヤスタビライザー10の捩じれ剛性を高めることで、左右の後輪WRL,WRRのロール剛性を増加させる。その結果、旋回外輪となる右後輪WRRの接地荷重が増加してタイヤのスリップ限界を超え、後輪WRL,WRRが旋回外側である右方向に流れる傾向が発生し、車両のアンダーステア傾向を解消させる。
このように、実ロール角φが限界ロール角φLMT |μを超えたときに車両のアンダーステアを判定するので、車両の実ヨーレートγを規範ヨーレートγ* と比較してアンダーステアを判定する場合に比べて速やかな判定を可能にすることができる。なぜならば、実ヨーレートγと規範ヨーレートγ* との比較では、車輪のスリップにより実ヨーレートが変化して初めてアンダーステアを判定できるのに対し、実ロール角φと限界ロール角φLMT |μとの比較では、車輪がスリップする限界に近づいたときにアンダーステアを判定できるからである。
しかも車両の実ロール角φと密接に関連する車両の横加速度Gに基づいて限界ロール角φLMT |μを設定するので、限界ロール角φLMT |μを的確に設定してアンダーステアの判定精度を高めることができるだけでなく、路面摩擦係数μに応じて二つの限界ロール角φLMT |Lμ,φLMT |Hμを持ち替えているので、アンダーステアの判定精度を更に高めることができる。
図4のフローチャートに戻り、ステップS6で実ロール角φ>限界ロール角φLMT |μでなければ、車両がニュートラルステアの状態にあると判断し、ステップS8で常用域ロール制御を行う。
次に、図9のフローチャートおよび図11(D)の作用説明図に基づいて常用域ロール制御の内容を説明する。
先ずステップS61で実ロール角φの絶対値が目標ロール角φ* の絶対値を超えていれば、つまり実ロール角φが大きい状態にあれば、ステップS62でロール角制御量Δφを実ロール角φと目標ロール角φ* との差の絶対値|φ−φ* |として算出し、前記ステップS61で実ロール角φの絶対値が目標ロール角φ* の絶対値を超えていなければ、つまり実ロール角φが小さい状態にあれば、ステップS63でロール角制御量Δφを0に設定する。
続くステップS64で、ロール剛性制御量決定手段M7が図12に示すマップに基づいて、ロール角制御量Δφから前輪WFL,WFR側のロール剛性制御量を検索する。そしてステップS65で、図11(D)に示すように車両が左旋回している場合には、リニアロール制御手段M8により、前記ロール剛性制御量に基づいてロール剛性制御アクチュエータ9,9を作動させてフロントスタビライザー8の捩じれ剛性を高めることで、左右の前輪WFL,WFRのロール剛性を増加させ、実ロール角φが目標ロール角φ* に一致するようにフィードバック制御する。その結果、旋回外輪となる右前輪WFRの接地荷重が増加してタイヤのスリップ限界を超え、前輪WFL,WFRが旋回外側である右方向に流れる傾向が発生する。
この制御により、車体後部のトランクに重量物を搭載した過積載の状態にあり、旋回時に後輪WRL,WRRが旋回外側に流れてオーバーステアの傾向になり易い悪条件下でも、そのオーバーステアの傾向を抑制して車両挙動を安定させることができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施例ではスタビライザーの捩じり剛性を変化させることで車両のロール剛性を制御しているが、サスペンション装置のダンパーの伸縮剛性を変化させて車両のロール剛性を制御しても良い。
G 横加速度
φ 実ロール角
φLMT 限界ロール角
μ 路面摩擦係数
φ 実ロール角
φLMT 限界ロール角
μ 路面摩擦係数
Claims (4)
- 車両の実ロール角(φ)を検知する第1工程と、
車両の限界ロール角(φLMT )を設定する第2工程と、
実ロール角(φ)が限界ロール角(φLMT )を超えたときにアンダーステアを判定する第3工程と、
を含むことを特徴とする、車両のアンダーステア判定方法。 - 車両の横加速度(G)を検知する工程を更に含み、前記第2工程は車両の横加速度(G)に基づいて車両の限界ロール角(φLMT )を設定することを特徴とする、請求項1に記載の車両のアンダーステア判定方法。
- 路面摩擦係数(μ)を検知する工程を更に含み、前記第2工程は路面摩擦係数(μ)に基づいて車両の限界ロール角(φLMT )を設定することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の車両のアンダーステア判定方法。
- 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両のアンダーステア判定方法を用いた車両のアンダーステア防止方法であって、
前記第3工程でアンダーステアが判定されたときに後輪側のロール剛性を増加させる第4工程を含むことを特徴とする、車両のアンダーステア防止方法。
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