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JP2005317572A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

半導体装置およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 リッジ型ストライプ構造を有する半導体レーザのリッジ形状の対称性の向上を図ること。
【解決手段】 (100)結晶面から[111]方向または[1−1−1]方向にオフ角を有する化合物半導体基板上に設けられたストライプ状のリッジ部をウェットエッチングするエッチャントとして、フッ化水素を含有する溶液、臭素含有溶液、またはバッファードフッ酸を用いる。このようなエッチャントを用いてリッジ部の両サイド端面をエッチングすると、結晶学的なエッチング異方性から特定の結晶面のエッチング速度が速くなって両サイド端面の対称性が悪くなるという傾向が大幅に改善される。したがって、ドライエッチング後のリッジ端面形状を概ね維持した状態でのウェットエッチングが可能となってリッジ幅の狭幅化とリッジ形状の対称性の向上の双方を同時に実現できる。
【選択図】 図5

Description

本発明は半導体装置の製造方法に関し、より詳細には、半導体レーザとして好適な、リッジ型ストライプ構造を有する半導体装置およびその製造方法に関する。
発光素子である半導体レーザには、ストライプ状のリッジ部を有するリッジ導波型構造が多く採用されている。また、近年では、半導体レーザの特性を向上させるために「オフ基板」を用い、このオフ基板上に半導体レーザを作製するのが一般的である。ここで、オフ基板とは、立方晶結晶構造(特にIII−V族化合物半導体の場合はせん亜鉛鉱型)を有する基板表面の法線が(100)面から、例えば[111]方向(もしくは[1−1−1]方向)に傾斜した基板を意味する(図1(a)および図1(b)を参照)。
オフ基板を用いて半導体レーザを作製する場合には、光のミラーロスを低減させるために、基板オフ方向とリッジ部が延在するストライプ方向とが垂直になるようにレーザ共振器を形成する必要がある。このようなオフ基板を用いることで、発振レーザ光の短波長化、低しきい値電流化、温度特性の向上などが実現されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
図2は、従来のリッジ導波型構造の半導体レーザの作製プロセス例の一部を説明するための図で、例えば、オフ角を有するn型GaAsの基板1上に、n型クラッド層2、n型光ガイド層3、MQW層4、p型光ガイド層5、p型クラッド層6、エッチングストッパ層7、p型クラッド層8、p型GaAsコンタクト層9を順次積層させ、p型GaAsコンタクト層9面上にSiOなどのドライエッチングマスク10で被覆されたp型コンタクト電極11を形成する(図2(a))。
次に、ドライエッチングマスク10で被覆されていない領域をp型GaAsコンタクト層9面側からドライエッチングして、p型クラッド層8の所望の厚みだけを残して基板1面に垂直な端面を有するストライプ状のリッジを形成する(図2(b))。ここで、エッチングで残すp型クラッド層8の厚みは可能な限り薄くするようにすることが好ましい。さらに、ドライエッチング工程で導入されるリッジ端面のダメージ層を除去するとともにリッジの底部からMQW層4上面までの距離tを制御するためにウェットエッチングを施す。このウェットエッチングにより、エッチングストッパ層7上に設けたp型クラッド層8はリッジ部を除いて除去される(図2(c))。なお、ここで用いられるウェットエッチング液の組成は例えば、HCl:H0=1:5であり、エッチング時間は2分である。また、エッチャントの選択性により、p型GaAsコンタクト層9はエッチングされずに残存することとなる。
このようなリッジ部を設けると、電流はp型クラッド層8のリッジ部を介して活性層であるMQW層4へと注入されるためにリッジ部直下のMQW層4に電流が集中してこの領域の量子井戸内に有効にキャリアを閉じ込めることができる。量子井戸内に閉じ込められたキャリアはバンドギャップに対応した波長の光を発生させ、この光もまたリッジ部直下のMQW層4の量子井戸領域に閉じ込められることとなり、レーザ発振のための横モードが安定化されるとともに閾値電流を低減させることができる。
このような効果を高めるためには、一般に、リッジ端面の形状は基板1表面に対する垂直性が高くかつ両サイド端面の対称性が高いことが好ましい。ところが、p型クラッド層8をウェットエッチングする際の結晶学的なエッチング異方性から特定の結晶面のエッチング速度が速くなって端面に傾斜が生じ、基板1表面に対する垂直性が低下するとともに両サイド端面の対称性も悪くなる。リッジ両サイドの端面が非対称となると、電流がリッジ部の傾斜角の緩い端面方向に広がり易くなり、発光領域も左右非対称となって発光光密度分布も左右非対称となり光ディスクなどの情報処理用レーザとして用いる場合に要求される単一横モードが得難くなるという問題が生じる。また、電流−光出力特性には図3に示すようなキンクが発生してしまう(例えば、特許文献2参照)。
このようなキンクの発生を抑制するためにはリッジ幅の狭幅化が有効であるが、リッジ端面の対称性が低い状態でリッジ幅を狭くすると、図4に断面SEM像を示したように、リッジ頂部の幅(図2(c)中のW)が狭くなってしまい、リッジ頂部への電極の安定形成が困難となったり、素子抵抗が増大してしまうという問題が生じてしまう。したがって、リッジ型ストライプ構造を有する半導体レーザにおいてキンクの発生を抑えつつ高光出力を得るためには、リッジ幅の狭幅化とリッジ形状の対称性の向上の双方を同時に実現することが必要である。
また、キンクが発生する駆動電流での光出力(キンク発生出力)は、リッジの底部から活性層までの距離(図2(c)中のt)に大きく依存する。したがって、キンク発生出力を制御するためにはこの距離tを厳密に制御することが必須である。このため、ウェットエッチングを停止させるためのエッチングストッパ層7を設け、かつこのエッチングストッパ層7でエッチングが停止する性質のウェットエッチング液が選択される。
しかしながら、このような半導体レーザのリッジ部をウェットエッチングしてリッジ部両端面のダメージ層を除去すると、先に説明した非対称性が現われて良好なレーザ特性を得ることができないという問題があった。
特開平11−340585号公報 特開2002−151790号公報 特開平6−216462号公報
このように、リッジ型ストライプ構造の半導体レーザを作製する際にリッジ部へのウェットエッチングを施した場合には、その両サイド端面の形状が非対称になり、キンクの発生を抑制しつつ高光出力化を図ることが困難であるという問題がある。
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ドライエッチング後のリッジ端面形状を概ね維持した状態でのウェットエッチングを可能とし、これによりリッジ幅の狭幅化とリッジ形状の対称性の向上の双方を同時に実現し、リッジ型ストライプ構造を有する半導体レーザのキンク発生を抑えつつ高光出力を得ることにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、半導体装置であって、(100)結晶面から[111]方向または[1−1−1]方向にオフ角を有する化合物半導体基板上に設けられたAlGaInP、InGaAsP、InP、InGaAs、AlGaInAs、またはAlInAsPの何れかのストライプ状のリッジ部を備え、該リッジ部はフッ化水素含有溶液のエッチング液により形成されたものであることを特徴とする。好ましくは、前記フッ化水素含有溶液のフッ化水素濃度は、4%以上で50%以下であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、半導体装置であって、(100)結晶面から[111]方向または[1−1−1]方向にオフ角を有する化合物半導体基板上に設けられたAlGaInP、InGaAsP、InP、InGaAs、AlGaInAs、またはAlInAsPの何れかのストライプ状のリッジ部を備え、該リッジ部は臭素含有溶液のエッチング液により形成されたものであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、(100)結晶面から[111]方向または[1−1−1]方向にオフ角を有する化合物半導体基板上に設けられたAlGaInP、InGaAsP、InP、InGaAs、AlGaInAs、またはAlInAsPの何れかのストライプ状のリッジ部を有する半導体装置の製造方法であって、前記リッジ部をエッチングにより形成するステップを備え、当該エッチングはフッ化水素含有溶液のエッチング液により実行されることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、前記フッ化水素含有溶液は、NHFとHFの混合溶液であることを特徴とし、請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の半導体装置の製造方法において、前記フッ化水素含有溶液のフッ酸濃度は、4%以上で50%以下であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、(100)結晶面から[111]方向または[1−1−1]方向にオフ角を有する化合物半導体基板上に設けられたAlGaInP、InGaAsP、InP、InGaAs、AlGaInAs、またはAlInAsPの何れかのストライプ状のリッジ部を有する半導体装置の製造方法であって、前記リッジ部をエッチングにより形成するステップを備え、当該エッチングは臭素含有溶液のエッチング液により実行されることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項4乃至7の何れかに記載の半導体装置の製造方法において、前記ストライプの延在方向は、前記基板のオフ角方向と垂直な方向であることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項4乃至8の何れかに記載の半導体装置の製造方法において、前記エッチングは、予めドライエッチングにより形成された前記リッジ部に施されるものであることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項4乃至9の何れかに記載の半導体装置の製造方法において、前記リッジ部は、GaInP、GaAs、AlGaAs、またはGaInAsPの何れかのエッチングストッパ層上に設けられていることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項4乃至10の何れかに記載の半導体装置の製造方法において、前記基板のオフ角度は、10度以下であることを特徴とする。
本発明は、ドライエッチング後のリッジ端面形状を概ね維持した状態でのウェットエッチングを可能としたので、リッジ幅の狭幅化とリッジ形状の対称性の向上の双方を同時に実現できることとなり、これにより、リッジ型ストライプ構造を有する半導体レーザのキンク発生を抑えつつ高光出力を得ることが可能となる。
本発明は、(100)面から[111]方向または[1−1−1]方向にオフ角を有する化合物半導体基板上にリッジ型ストライプ構造を有する光半導体素子を製造する際のリッジ部のウェットエッチング方法である。ここで、本発明の半導体装置は可視領域の波長の発光素子などとして適用されるものであり、基板のオフ角度は10度以下とされる。また、ストライプの延在方向に特に制限はないが、レーザ共振器を形成する場合などには基板オフ方向に垂直な方向が選択される。
従来は、上記のようなオフ基板上に形成したリッジ部をウェットエッチングする場合に水で希釈した塩酸(HCl:HO=1:5)を主に用いていたのに対して、本発明ではエッチャントとして、フッ化水素(HF)を含有する溶液、臭素含有溶液、またはバッファードフッ酸(NHFとHFの混合溶液:BHF)を用いることとしている。このようなエッチャントを用いてリッジ部の両サイド端面をエッチングすると、オフ基板を用いて半導体レーザなどの半導体装置を作製する場合であっても、結晶学的なエッチング異方性から特定の結晶面のエッチング速度が速くなって両サイド端面の対称性が悪くなるという傾向が大幅に改善される。したがって、ドライエッチング後のリッジ端面形状を概ね維持した状態でのウェットエッチングが可能となってリッジ幅の狭幅化とリッジ形状の対称性の向上の双方を同時に実現できる。
以下に、実施例により本発明をより詳細に説明する。
本実施例においてはエッチャントとしてフッ酸を比較的高濃度で含有する溶液を用いる。
図5は、本発明のリッジ導波型構造の半導体レーザの作製プロセス例の一部を説明するための図で、ここでは、リッジ部のウェットエッチングまでの工程が図示されている。なお、以下の説明では、基板をGaAs、リッジ型ストライプを形成するクラッド層をAlGaInP、そしてエッチングストッパ層をGaInPとして説明する。
先ず、オフ角を有するGaAs基板101(ここではn型基板としている)の主面上に、n型クラッド層102、n型光ガイド層103、MQW層104、p型光ガイド層105、p型クラッド層106、エッチングストッパ層107、p型クラッド層108、p型GaAsコンタクト層109を順次積層させ、p型GaAsコンタクト層109面上にドライエッチングマスク110で被覆されたp型コンタクト電極111を形成する(図5(a))。なお、ドライエッチィングマスク110としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁膜のほか、フォトレジスト膜などを用いることができる。
なお、このドライエッチィングマスク110をシリコン酸化膜で形成する場合には、後述するウェットエッチング工程でフッ酸溶液をエッチャントとして用いた場合にそのエッチング工程でマスクが除去されるので、ドライエッチングマスクの除去工程が不要となるというメリットがある。
次に、ドライエッチングマスク110で被覆されていない領域をp型GaAsコンタクト層109面側からドライエッチングして、p型クラッド層108の所望の厚みだけを残して基板101面に垂直な端面を有するストライプ状のリッジを形成する(図5(b))。この場合のドライエッチング条件は、例えば、塩素(Cl)ガス15sccm、アルゴン(Ar)ガス5sccmの流量で供給し、ガス圧0.5Pa、基板温度200℃などとする。
さらに、ドライエッチング工程で導入されるリッジ端面のダメージ層を除去するとともにリッジの底部からMQW層104上面までの距離tを制御するためにフッ酸溶液のエッチャントを用いてウェットエッチングを施す。
本実施例で用いたエッチャントのフッ酸濃度は50%であり、エッチング時間は5分である。これは一般に市販されている半導体グレードのフッ酸溶液(水溶液)のフッ酸濃度の最高値が50%であることに加え、50%を超えるフッ酸濃度のエッチャントを用いるとリッジ部の端面形成以外のプロセスでの不都合が大きくなってしまうことによる。
すなわち、フッ酸濃度を50%より高めても本発明の効果を得ることはできるものの、フッ酸濃度を高めるほど薬品容器から不純物が溶け出し易くなるため、フッ酸溶液に直接触れる容器内壁などを高純度のポリエチレンかテフロン(登録商標)の素材で形成することが必要となる。一方、無水フッ酸の沸点は20℃であるために、50%を超えるフッ酸濃度の溶液を用いることとすると常温における容器内圧はかなり高いものとなってしまって高純度のポリエチレンやテフロン(登録商標)で形成した容器では対応できなくなってしまう。このような理由により本実施例ではフッ酸濃度を50%としている。
このようなウェットエッチングを施すことにより、エッチングストッパ層107上に設けたp型クラッド層108はリッジ部を除いて除去され、基板101主面への垂直性を維持した状態で左右の対称性が良好なリッジ形状が得られる(図5(c))。また、GaInPのエッチングストッパ層107でウェットエッチングが停止しており、リッジ底部からMQW層4までの距離tも厳密に制御されている。なお、このエッチャントの場合にもその選択性により、p型GaAsコンタクト層109はエッチングされずに残存するが、シリコン酸化膜でドライエッチングマスク110を形成した場合には、このマスクはフッ酸によって除去されることとなる。
図6は、本実施例のウェットエッチング後のリッジ形状を説明するための断面SEM像である。このSEM像のように、比較的高濃度のフッ酸溶液をエッチャントとしてAlGaInPのリッジ端面をウェットエッチングすることにより、ドライエッチング後の形状を保ちつつダメージ層を除去することが可能である。したがって、リッジ幅の狭幅化とリッジ形状の対称性の向上の双方を同時に実現して、リッジ型ストライプ構造を有する半導体レーザにおけるキンクの発生を抑えつつ高光出力を得ることが可能となる。
フッ化水素含有溶液、臭素含有溶液は、AlGaInP以外にも、InGaAsP、InP、InGaAs、AlGaInAs、AlInAsPもエッチングすることが可能である。また、このエッチャントは、p型クラッド層108直下に設けたエッチングストッパ層107でエッチング停止するため、リッジ部の底面からMQW層104の上面までの距離tの厳密な制御が可能となってキンクの発生を抑制することができる。なお、エッチングストッパ層107としてGaAsやAlGaAs、あるいはGaInAsPなどを用いることとしてもよい。
本実施例においてはドライエッチングとウェットエッチングの2度のエッチングを施す場合について説明したが、リッジ部の高さが比較的低くてよい場合には、ドライエッチングを省略してウェットエッチングのみを行うようにしてもよい。
このようなリッジ形状の対称性の向上効果は、フッ酸溶液中のフッ酸濃度が4%までのエッチャントで得られることを確認済みである。
図7は、4%のフッ酸溶液をエッチャントとしてリッジ端面をウェットエッチングした後のリッジ形状を説明するための断面SEM像で、フッ酸濃度が低い場合にはエッチングレートが低下してウェットエッチングに要する時間が長くはなるものの、ドライエッチング後の形状を保ちつつダメージ層を除去することが可能である。
なお、特許文献3には、III−V族系化合物半導体のリッジ部形成のためのエッチャントとしてフッ酸を用いる手法が開示されている。この手法は、AlGaAsやAlGaInPの層にリッジを形成する際にフッ酸をエッチャントとして用いるというものであり、これにより、リッジ部を逆メサ形状即ち積層方向に面積が拡大する形状、またはリッジ部の側面が基板に対して垂直な形状に形成することを目的とするものである。
しかしながら、特許文献3に開示されている手法の効果は、単にエッチャントとしてフッ酸を用いることで実現されるものではなく、リッジを作り込む層(クラッド層)の組成(混晶比)を積層方向に変化させることを前提とするものである。換言すれば、特許文献3に開示されているエッチング方法の効果発現の本質は、クラッド層の混晶比を積層方向に変化させ、当該混晶比に応じて変化するエッチング速度を利用してリッジ部端面の形状を成形するものであるといえる。よって、フッ酸をエッチャントとして選択する根拠はかかるエッチング速度の混晶比依存性を維持し得る溶液であるという点にある。
また、特許文献3に開示されている方法は所謂ジャスト基板(オフ角をもたない基板)上に形成されるリッジに対して有効なものである。これに対して本発明は、リッジを形成する基板がオフ基板であるが故にリッジ両サイド端面の形状が非対称となるという不都合を解決するために、エッチング速度の面方位依存性を極力抑制ことが可能なエッチャントとしてフッ酸を選択するものである。
このように、特許文献3に記載のエッチング方法は本発明とは着想および適用対象を異にするものであって、本発明は、(100)から[111]方向または[1−1−1]方向にオフ角を有する基板上に形成されるリッジ部のエッチングにフッ酸溶液を用いることとし、これにより基板表面に対して垂直な端面を実現するための初めての技術である。
なお、リッジ部のエッチングに際して、フッ酸溶液に代えて臭素を含有する溶液をエッチャントとして用いるようにしてもよい。この場合には、臭素(Br):臭化水素酸(HBr):水(HO)の混合比を例えば2cc:34cc:276ccとする。この組成比のエッチャントの場合には、室温(24℃)の場合に25秒間のエッチングを施すことで図6に示した断面SEM像と概ね同等のリッジ形状を得ることができる。
本実施例は、リッジ部のエッチングに際して、フッ酸溶液または臭素含有溶液に代えてバッファードフッ酸溶液(BHF)をエッチャントとして用いるものである。
図8は、BHFでエッチングしたリッジ部の断面SEM像である。この場合にも、塩酸系エッチャントを用いた場合に現れる両サイド端面の非対称性は現れず対称性の良好なリッジ形状が得られる。しかしながら、BHFを用いると上記2つのエッチャントに比較してエッチング速度が極端に低下するため、ドライエッチング時のダメージ層を除去するためには、室温(24℃)でのエッチングで30分程度のエッチング時間を必要とする。
本発明によれば、ドライエッチング後のリッジ端面形状を概ね維持した状態でのウェットエッチングを可能としたので、リッジ幅の狭幅化とリッジ形状の対称性の向上の双方を同時に実現できることとなり、これにより、リッジ型ストライプ構造を有する半導体レーザのキンク発生を抑えつつ高光出力を得ることが可能となる。
立方晶結晶構造の面方位関係を説明するための図である。 従来のリッジ導波型構造の半導体レーザの作製プロセス例の一部を説明するための図である。 キンクの発生の様子を説明するための図である。 塩素系エッチャントを用いたウェットエッチング後のリッジ形状を説明するための断面SEM像である。 本発明のリッジ導波型構造の半導体レーザの作製プロセス例の一部を説明するための図である。 フッ酸溶液を用いたウェットエッチング後のリッジ形状を説明するための断面SEM像である。 フッ酸濃度4%の溶液を用いたウェットエッチング後のリッジ形状を説明するための断面SEM像である。 BHFでエッチングしたリッジ部の断面SEM像である。
符号の説明
1、101 基板
2、102 n型クラッド層
3、103 n型光ガイド層
4、104 MQW層
5、105 p型光ガイド層
6、106 p型クラッド層
7、107 エッチングストッパ層
8、108 p型クラッド層
9、109 p型GaAsコンタクト層
10、110 ドライエッチングマスク
11、111 p型コンタクト電極

Claims (11)

  1. (100)結晶面から[111]方向または[1−1−1]方向にオフ角を有する化合物半導体基板上に設けられたAlGaInP、InGaAsP、InP、InGaAs、AlGaInAs、またはAlInAsPの何れかのストライプ状のリッジ部を備え、該リッジ部はフッ化水素含有溶液のエッチング液により形成されたものであることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記フッ化水素含有溶液のフッ化水素濃度は、4%以上で50%以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. (100)結晶面から[111]方向または[1−1−1]方向にオフ角を有する化合物半導体基板上に設けられたAlGaInP、InGaAsP、InP、InGaAs、AlGaInAs、またはAlInAsPの何れかのストライプ状のリッジ部を備え、該リッジ部は臭素含有溶液のエッチング液により形成されたものであることを特徴とする半導体装置。
  4. (100)結晶面から[111]方向または[1−1−1]方向にオフ角を有する化合物半導体基板上に設けられたAlGaInP、InGaAsP、InP、InGaAs、AlGaInAs、またはAlInAsPの何れかのストライプ状のリッジ部を有する半導体装置の製造方法であって、
    前記リッジ部をエッチングにより形成するステップを備え、当該エッチングはフッ化水素含有溶液のエッチング液により実行されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 前記フッ化水素含有溶液は、NHFとHFの混合溶液であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記フッ化水素含有溶液のフッ酸濃度は、4%以上で50%以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の半導体装置の製造方法。
  7. (100)結晶面から[111]方向または[1−1−1]方向にオフ角を有する化合物半導体基板上に設けられたAlGaInP、InGaAsP、InP、InGaAs、AlGaInAs、またはAlInAsPの何れかのストライプ状のリッジ部を有する半導体装置の製造方法であって、
    前記リッジ部をエッチングにより形成するステップを備え、当該エッチングは臭素含有溶液のエッチング液により実行されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  8. 前記ストライプの延在方向は、前記基板のオフ角方向と垂直な方向であることを特徴とする請求項4乃至7の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記エッチングは、予めドライエッチングにより形成された前記リッジ部に施されるものであることを特徴とする請求項4乃至8の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記リッジ部は、GaInP、GaAs、AlGaAs、またはGaInAsPの何れかのエッチングストッパ層上に設けられていることを特徴とする請求項4乃至9の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
  11. 前記基板のオフ角度は、10度以下であることを特徴とする請求項4乃至10の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
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