JP2005302378A - 放電灯点灯装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 HIDランプ111に電力を供給する直流電源101と、直流電源101の電圧をHIDランプ111に伝達するトランス105と、直流電源101とトランス105の一次巻線の間に接続されたスイッチ102と、トランス105の一次側に接続されたスイッチ103,104と、トランス105の二次側巻線に直列に接続されたインダクタ106と、トランス105の二次側に接続され、インダクタ108とコンデンサ110を含む直列共振回路と、トランス105の二次側に接続され、インダクタ107とコンデンサ109を含む並列共振回路を備え、スイッチ102,103,104の開閉動作により、直流電源101からトランス105への電力投入を間欠的にしながらトランス105に常に電流を供給する。
【選択図】 図1
Description
従来のHIDランプを用いた車載用ヘッドライトの点灯回路としては例えば特許文献1に記載された放電灯点灯装置がある。この放電灯点灯装置は、自動車のバッテリーから供給される直流電圧をDC−DC昇圧回路で昇圧し、DC−ACインバータ回路で400Hz程度の低周波の交流に変換し、HIDランプへ供給している。このように、特許文献1に開示された放電灯点灯装置では、HIDランプへの電力供給が二段構成になっている。
HIDランプは、始動時に20kV程度の高電圧パルスを印加して点灯される。この20kV程度の高電圧パルスを発生させるために、従来のHIDランプの点灯装置には、イグナイタトランスとギャップスイッチを備えたイグニッション部が必要となる。しかし、このイグナイタトランスは容積が大きくコストも高いため、HIDランプの点灯装置の小型化と低コスト化を妨げる要因となっている。
また、高周波駆動でHIDランプを点灯させる場合、放電成長時や定常点灯時などにイグナイタトランスのインダクタンス成分(1mH程度)により電力の損失が多く発生し、効率低下の要因となっている。
ただし、イグナイタトランスを無くしても、以下に示すようなHIDランプの放電特性に適合した回路構成を実現する必要がある。
HIDランプは、その動作状態によりHIDランプの負荷抵抗が異なり、点灯装置に要求される電力もそれに合わせて異なる。
また、HIDランプの消灯後、長時間が経過してHIDランプが冷えた状態から点灯始動するコールドスタートでは、HIDランプの抵抗値は数十Ω程度と低いのに対し、ランプ消灯後あまり時間が経過しておらず、ランプがまだ熱い状態で再始動するホットスタートではHIDランプの抵抗値は高い。このため、ホットスタートとコールドスタートでは、点灯始動後の光束立ち上げに必要な電力供給条件が異なる。
また、定常点灯時における35Wの電力供給を効率よく行う必要もある。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による、高輝度放電灯点灯装置100の構成を示す回路図である。
図に示すように、高輝度放電灯点灯装置100は、直流電源101、スイッチ(電力投入用スイッチング素子)102、スイッチ(第1のスイッチング素子)103、スイッチ(第2のスイッチング素子)104、トランス105、インダクタ(第1のインダクタンス素子)106、インダクタ(第3のインダクタンス素子)107、インダクタ(第2のインダクタンス素子)108、コンデンサ(第1のコンデンサ)109、コンデンサ(第2のコンデンサ)110、HIDランプ(放電灯)111を備えている。
また、直流電源101の電圧をV、インダクタ106のインダクタンスをL1、インダクタ107のインダクタンスをLp、インダクタ108のインダクタンスをLs、コンデンサ109の容量をCp、コンデンサ110の容量をCsとする。
トランス105の二次側巻線には、インダクタ106が直列に接続され、インダクタ107が並列に接続されている。トランス105の二次側巻線とHIDランプ111の間には、インダクタ108、コンデンサ109、コンデンサ110が接続されている。
なお、実施の形態1では、直流電圧を印加することによりHIDランプ111を始動するが、HIDランプ111の直流電圧印加部は図示していない。
トランス105はプッシュプルトランスであり、一次側巻線のセンターと直流電源101とはスイッチ102を介して接続されている。トランス105の一次側と二次側の巻線比は、HIDランプ111のインピーダンスが高くなったときでも所定の電力を供給できる値とする。具体的には、例えば、直流電源101の電圧が低下した場合にトランス105の二次側巻線で必要な電圧を得ることができる巻線比である。なお、ここでは巻線比は約1:1:17である。ただし、巻線比の値はこれに限られない。
トランス105の二次側においては、HIDランプ111の負荷に適合した電力が効率よく供給されるように、インダクタ108とコンデンサ110とで直列共振回路を構成し、インダクタ107とコンデンサ109とで並列共振回路を構成している。
HIDランプ111には、A.放電待機、B.放電始動、C.過渡放電、D.定常放電の4つの動作状態がある。それぞれの動作状態におけるHIDランプ111の負荷抵抗値は異なっているため、動作状態に合わせて電力を効率よく供給する必要がある。以下、B.放電始動、C.過渡放電、およびD.定常放電について概略を説明する。
HIDランプ111に10kV程度の直流電圧を印加すると、HIDランプ111は絶縁破壊して放電を開始する。ここでは、この直流電圧での放電始動を行う。従来の放電点灯装置では、20kV程度のインパルス電圧で点灯始動していたため、このインパルス電圧を発生するためのイグナイタトランスが必要であった。
過渡放電とは、放電始動からHIDランプ111内部のハロゲン化金属が安定して放電する定常放電までの期間である。過渡放電の間、放電を持続し、素早く光束を立ち上げるために十分な電力を供給しなければならない。特に車載用のヘッドライトに適用する場合には、点灯始動後数秒以内に光束を立ち上げなくてはならない。
HIDランプ111消灯後からの経過時間の長さによって、放電始動直後のHIDランプ111の抵抗値は異なっており、必要な供給電力が異なる。消灯後、短時間経過で点灯始動する場合をホットスタートといい、点灯始動直後のHIDランプ111の抵抗値は数百Ωである。一方、消灯後長時間経過してから点灯始動する場合をコールドスタートといい、点灯始動直後のHIDランプ111の抵抗値は数十Ωと低い値である。
定常放電はHIDランプ111内部で安定した放電が行われる状態であり、この期間には、一定の電力を効率よく供給する必要がある。実施の形態1では、定常放電期間の供給電力は35Wである。
定常放電状態では、高輝度放電灯点灯装置100は駆動周波数を数十kHzとした高周波点灯動作を行っている。HIDランプ111を高周波点灯すると、音響共鳴現象によりHIDランプ111内のアークが不安定となり、ちらつきや立ち消えなどが発生する。これを防ぐため、高周波電力供給の駆動周波数を変動させている。これにより、数十kHzの駆動周波数においても安定してHIDランプ111を点灯させることができる。
電力を効率よく負荷に供給するためには、トランス105の一次側において、スイッチング損失とスイッチの導通損失を低減する必要がある。
具体的には、まずスイッチ102をオンにする。このとき、スイッチ103、あるいはスイッチ104のどちらかをオンにして直流電源101からの電力を供給する。一定時間スイッチ102をオンにした後に、スイッチ102をオフにする。その後、スイッチ103とスイッチ104を同時にオンにして、トランス105の一次側巻線、スイッチ103、スイッチ104を通してトランス105の一次側回路に電流を流し続ける。このとき、トランス105の二次側では、インダクタ106,107,108、コンデンサ109,110、およびHIDランプ111を含む全ての回路部分に電流が流れる。
また、図3は、各スイッチに印加するゲート信号を変化させた時の電流経路を示す図である。
図2に示すように、はじめにスイッチ102とスイッチ103のゲート信号をオンにすると、電流はスイッチ102とスイッチ103を流れ、スイッチ104には流れない(図3のa.)。その後、スイッチ102のゲート信号をオフにし、スイッチ103とスイッチ104をオンにすると、電流はスイッチ103とスイッチ104を流れ、スイッチ102には流れない(図3のb.)。1周期後、今度はスイッチ102とスイッチ104のゲート信号をオンにし、スイッチ103はオフにする。このとき、スイッチ102とスイッチ104に電流が流れ、スイッチ103には電流は流れない。その後、スイッチ102のゲート信号をオフにし、スイッチ103とスイッチ104をオンにすると、電流はスイッチ103とスイッチ104に流れ、スイッチ102には流れない。
この方法によると、コールドスタートの点灯始動時における低負荷時において、効率のよい電力供給を実現することができる。
すなわち、スイッチ102のゲート信号がオフになっているときは、電源からの電力は供給されないので、効率のよい電力供給を実現することができる。
また、スイッチ102のゲート信号がオフのとき、トランス105の一次側に流れる電流が小さくなり、導通損失が少なくなる。また、スイッチ103およびスイッチ104で電流が環流する期間があるので、スイッチ102、スイッチ103、およびスイッチ104のスイッチング回数が減り、スイッチング損失が少なくなる。
具体的には、実施の形態1では、コールドスタート時の過渡放電期間に、HIDランプ111に70W程度の電力を供給して放電を持続し、光束を迅速に立ち上げる。
スイッチ102のゲート信号がオンの時とオフの時とでは、トランス105の一次側巻線と二次側巻線の実質的な巻線比が変化し、スイッチ102のゲート信号がオフのときには、二次側の電流に対して一次側の実効電流が小さくなるので、スイッチ103とスイッチ104に流れる電流は小さくなり、一次側での電力損失を低減することができる。
また、図5は、各スイッチに流れる電流の波形を示す図である。図4および図5に示すように、スイッチ102のゲート信号がオンのときとオフのときとで、スイッチ103あるいはスイッチ104に流れる電流のピーク値が変化している。なお、一次側の電力損失としては、例えばスイッチング素子の導通損失などがある。
これにより、コールドスタート時の電力供給の効率をよくすることができる。
ただし、共振周波数がHIDランプ111に供給する電力の駆動周波数に対応できる値であれば他の値であってもよい。
さらに、トランス105の二次巻線に直列にインダクタ106を接続している。これにより、コールドスタート時の電力供給効率化を実現している。ここでは、L1=0.1mHとしている。
実施の形態2では、スイッチ102のオン、オフタイミングを、トランス105の二次巻線に流れる電流の周期に基づいて決定することにより、所望の電力をHIDランプ111に供給する。
ここでは、トランス105の二次巻線に流れる電流の周期に対してスイッチ102のオン時間は振動周期のN/2(Nは自然数。)倍としている。例えば、例1では、スイッチ102のオン時間は振動周期の1/2倍、オフ時間は振動周期の2/2倍となっている。例2では、スイッチ102のオン時間は振動周期の2/2倍、オフ時間は振動周期の4/2倍となっている。例3では、スイッチ102のオン時間は振動周期の3/2倍、2/2倍、1/2倍の異なる時間で動作している。オフ時間は振動周期の3/2倍および1/2倍となっている。スイッチ102のオン、オフの制御は、例1や例2のように同じタイミングで周期的に行ってもよい。あるいは例3のように異なるオン時間とオフ時間でオン、オフ動作を行ってもよい。
スイッチ102がオフの時に、トランス105の二次側巻線に流れる電流が零とならないようにすることができる。また、スイッチ102のオフ時間をトランス105の二次巻線に流れる電流の振動周期のN/2倍にすることにより、スイッチ103およびスイッチ104がオフする時の電流が零となり、スイッチング損失が減って電力供給の効率をよくすることができる。
また、スイッチ102のオン時間をトランス105の二次巻線に流れる電流の振動周期のN/2倍に対して、デューティ比で長さを調整して、HIDランプ111に所望の電力を供給するようにしてもよい。
実施の形態3では、スイッチ102のオン、オフタイミングを、スイッチ103とスイッチ104に流れる電流の振動周期に基づいて決定することにより、所望の電力をHIDランプ111に供給する。
例えば、図2では、スイッチ102のオン時間はスイッチ103およびスイッチ104の電流の振動周期の1/2倍としている。また、スイッチ102のオフ時間はスイッチ103およびスイッチ104の電流の振動周期の1倍としている。
また、図8に示す例では、スイッチ102のオン時間はスイッチ103およびスイッチ104の電流の振動周期の1/2倍、スイッチ102のオフ時間はスイッチ103およびスイッチ104の電流の振動周期の2倍としている。図9に示す例では、スイッチ102のオン時間はスイッチ103およびスイッチ104の電流の振動周期の2/2倍、スイッチ102のオフ時間はスイッチ103およびスイッチ104の電流の振動周期の2倍としている。
また、スイッチ102のオン時間をスイッチ103およびスイッチ104に流れる電流の振動周期のN/2倍に対して、デューティ比で長さを調整して、HIDランプ111に所望の電力を供給するようにしてもよい。
実施の形態4では、トランス105の二次側に構成する各々のインダクタの構成をより好ましい構成とする。
図10および図11は、実施の形態4による、高輝度放電灯点灯装置100のインダクタの構成を示す図である。図10では、トランス105の二次側のインダクタ106、インダクタ107、インダクタ108のうちのいずれか2つを同一のコアを用いて形成している。これにより、高輝度放電灯点灯装置100の容積を低減することができる。
また、図11では、トランス105の二次巻線に直列に接続されたインダクタ106をトランス105の二次側巻線のリーケージインダクタンスを利用して形成している。これにより、高輝度放電灯点灯装置100の容積を低減することができる。
実施の形態5では、コンデンサ109の容量値Cpとコンデンサ110の容量値Csをより好ましい値にする。
図12に、Cp、Csの値と、HIDランプ111とコンデンサ109に流れる電流の関係を示す。図に示すように、CpとCsの値が等しい場合、HIDランプ111とコンデンサ109に流れる電流は等しくなる。また、CsがCpより大きい場合、HIDランプ111に流れる電流がコンデンサ109に流れる電流より大きくなる。すなわち、CsをCpより大きな値とすることで、HIDランプ111により多くの電流が流れ、HIDランプ111により多くの電力を供給することができる。
Claims (10)
- 放電灯に電力を供給する直流電源と、
上記直流電源の電圧を上記放電灯に伝達するトランスと、
上記直流電源と上記トランスの一次巻線の間に接続された電力投入用スイッチング素子と、
上記トランスの一次側に接続された第1および第2のスイッチング素子を備え、
上記電力投入用スイッチング素子、第1のスイッチング素子、および第2のスイッチング素子の開閉動作により、上記直流電源から上記トランスへの電力投入を間欠的にし、上記直流電源から上記トランスへの電力投入がないときでも、トランス一次側で電流を環流させることを特徴とする放電灯点灯装置。 - 電源投入用スイッチング素子をオンにした際、第1のスイッチング素子あるいは第2のスイッチング素子のどちらか一方をオンにして直流電源から電力を供給し、
上記電源投入用スイッチング素子をオフにした際、上記第1のスイッチング素子と上記第2のスイッチング素子を同時にオンにしてトランスの一次側で電流が流れるようにすると共に、上記トランスの二次側の全回路で電流が流れるようにすることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。 - 電源投入用スイッチング素子のオンオフのタイミングは、トランスの二次側巻線に流れる電流の周期に基づいて決められることを特徴とする請求項1または請求項2記載の放電灯点灯装置。
- 電源投入用スイッチング素子のオンオフのタイミングは、トランスの二次側の負荷電流あるいは負荷電力に基づいて決められることを特徴とする請求項1または請求項2記載の放電灯点灯装置。
- 電源投入用スイッチング素子のオンオフのタイミングは、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子に流れる電流の周期に基づいて決められることを特徴とする請求項1または請求項2記載の放電灯点灯装置。
- 放電灯のコールドスタート時には、放電成長期間の後、電源投入用スイッチング素子をオンにした際、第1のスイッチング素子あるいは第2のスイッチング素子のどちらか一方をオンにして直流電源から電力を供給し、
上記電源投入用スイッチング素子をオフにした際、上記第1のスイッチング素子と上記第2のスイッチング素子を同時にオンにしてトランスの一次側で電流が流れるようにすると共に上記トランスの二次側の全回路で電流が流れるようにした後、定常状態に移行することを特徴とする請求項2記載の放電灯点灯装置。 - トランスの二次側巻線に直列に接続された第1のインダクタンス素子と、
上記トランスの二次側に接続され、第2のインダクタンス素子と第1のコンデンサを含む直列共振回路と、
上記トランスの二次側に接続され、第3のインダクタンス素子と第2のコンデンサを含む並列共振回路を備え、
上記第1から第3のインダクタンス素子のうちのいずれか2つを同一のコアを用いて形成することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の放電灯点灯装置。 - 第1のインダクタンス素子をトランス二次巻線のリーケージインダクタンスを用いて形成することを特徴とする請求項7記載の放電灯点灯装置。
- 第1のコンデンサの容量値が第2のコンデンサの容量値以上であることを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の放電灯点灯装置。
- トランスはプッシュプルトランスであることを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の放電灯点灯装置。
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