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JP2005300576A - 防眩性反射防止フィルム、偏光板及び表示装置 - Google Patents

防眩性反射防止フィルム、偏光板及び表示装置 Download PDF

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JP2005300576A JP2004111885A JP2004111885A JP2005300576A JP 2005300576 A JP2005300576 A JP 2005300576A JP 2004111885 A JP2004111885 A JP 2004111885A JP 2004111885 A JP2004111885 A JP 2004111885A JP 2005300576 A JP2005300576 A JP 2005300576A
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隆 村上
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、膜物性(膜均一性、接着性)が良好で、ぎらつき防止効果、視認性及び動画を表示したときの黒のしまり、反射光の色むらに優れた防眩性反射防止フィルムとそれを用いた偏光板及び表示装置を提供することにある。
【解決手段】 透明基材上にインク液滴を付着させて、該基材表面に微細凹凸構造を有する防眩層を形成し、更に該防眩層上に中空微粒子若しくはフッ素樹脂を有する低屈折率層を形成したことを特徴とする防眩性反射防止フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、防眩性反射防止フィルム、偏光板及び表示装置に関する。
近年、薄型軽量ノートパソコンの開発が進んでいる。それに伴って、液晶表示装置等の表示装置で用いられる偏光板の保護フィルムもますます薄膜化、高性能化への要求が強くなってきている。また、視認性向上のために反射防止層を設けたり、また、写り込みを防いだり、ギラツキの少ない表示性能を得るために表面を凹凸にして反射光を散乱させる防眩層を付与した、コンピュータやワープロ等の液晶画像表示装置(液晶ディスプレイともいう)が多く使用されるようになってきた。
反射防止層や防眩層は用途に応じて様々な種類や性能の改良がなされ、これらの機能を有する種々のフィルムを液晶ディスプレイの前面に配置することで、ディスプレイに視認性向上のために反射防止機能または防眩機能等を付与する方法が用いられている。これら、前面板として用いられる光学用フィルムには、塗布または、スパッタリング等で形成した反射防止層または防眩層が設けられている。
防眩層は、表面に反射した像の輪郭をぼかすことによって反射像の視認性を低下させて、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイといった画像表示装置などの使用時に反射像の映り込みが気にならないようにするものである。
表面に適切な凹凸を設けることによって、このような性質を持たせることが出来る。従来、このような凹凸を形成する方法としては、微粒子を塗布液に添加する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このほか、特開平6−234175号で開示されているエンボス加工する方法、特開昭63−298201号で開示されている予め型を転写させる方法等が知られている。しかしながら、エンボス加工や転写により凹凸を形成する方法は、生産性に劣り、特に微細な凹凸構造を安定に形成することは極めて困難である。
一方、微粒子を用いて凹凸を形成する方法として、微粒子、例えば無機微粒子或いは有機微粒子を樹脂等のバインダー中に分散させた塗布液を調製、塗布して表面に凹凸構造を形成させる方法が用いられている。この方法では、バインダー層中に微粒子を含有させることのみによって凹凸を形成する為、微粒子を適切に分散することが必要とされるため、所望の凹凸構造を効果的に安定に形成することがむずかしく、防眩フィルムとしての十分なぎらつき防止効果を得ることに大きな障害を有していた。また、凹凸の形状を変更する場合には、微粒子の粒径、配合量、膜厚等を修正する必要があり、品種の切り替えが非常に煩雑になり、品種切り替えが簡単に行える方法が求められている。また、所望の凹凸構造を達成するためには、比較的粒径の大きな微粒子を用いることが必要となり、その結果、鮮鋭性等の低下を招く結果となっていた。また、上述の塗布により防眩層を形成する方法においては、しばしば塗布むらの発生や支持体或いは下部層との接着性が低下することがあり、また生産性にも劣るという欠点を有しており、早急な改良手段の開発が要望されている。
上記課題に対し、機能性層を形成する方法の一つとして、活性光線硬化型樹脂或いは熱硬化性樹脂と各種微粒子を含む塗布液を、基材上に塗布した後、活性光線の照射或いは加熱処理を施して、硬化させる方法が知られている(例えば、特許文献2〜4参照。)。しかしながら、活性光線硬化型樹脂或いは熱硬化性樹脂を用いて、塗布方式により防眩層を形成する場合には、上述の場合と同様に、所望の凹凸構造を効果的に形成するためには、塗布液や塗布条件を適切に制御する必要があり、品種の切り替えの際の作業量が増加し、多品種生産における生産性を低下させる要因となっている。
一方、反射を低減するため反射防止層を形成する様々な方法が提案されているが、反射を完全になくすことは困難であり、画面上への写りこみが多い環境では十分な視認性は得られなかった。この様な写りこみが多い環境では、上記のような防眩層を用いることが提案されているが、画質、特にコントラストの低下を招き、黒のしまりが悪く画質に不満が残っていた。その為、防眩層上に反射防止層を形成する方法が提案されている。しかしながら、防眩層の多くは、上述のように、微粒子を用いて防眩性を付与させる方法が殆どであり、この様な微粒子を用いて形成された防眩層の上に均一に反射防止層を形成することは困難であり、十分な品質を有する防眩性反射防止フィルムを得ることは困難であった。また、防眩層の上に反射防止層を形成したものは、防眩層のみのものと比較してコントラストがある程度改善されるものの、市場での要求レベルには及んでいないのが現状である。
また、視認性を改善するため、従来でも、表示装置の表面には防眩層或いは反射防止層が設けられているが、表示装置のカラー化、高精細化、大画面化に伴って、均一でより視認性に優れた防眩性反射防止フィルムが求められている。
特開昭59−58036号公報(特許請求の範囲) 特開2001−310912号公報(特許請求の範囲) 特開2002−114928号公報(特許請求の範囲) 特開2002−120311号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、膜物性(膜均一性、接着性)が良好で、ぎらつき防止効果、視認性及び動画を表示したときの黒のしまり、反射光の色むらに優れた防眩性反射防止フィルムとそれを用いた偏光板及び表示装置を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
(請求項1)
透明基材上にインク液滴を付着させて、該基材表面に微細凹凸構造を有する防眩層を形成し、更に該防眩層上に中空微粒子若しくはフッ素樹脂を有する低屈折率層を形成したことを特徴とする防眩性反射防止フィルム。
(請求項2)
前記微細凹凸構造の中心線平均粗さ(Ra)が、0.05〜5.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の防眩性反射防止フィルム。
(請求項3)
前記微細凹凸構造が、凹部底を基準とした高さaが0.1〜10.0μmである凸部を100μm2当たり1〜100個有していることを特徴とする請求項1または2に記載の防眩性反射防止フィルム。
(請求項4)
インク液滴が、活性光線硬化型樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
(請求項5)
インク液滴が、熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
(請求項6)
前記中空微粒子が、多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層を有する複合粒子、内部に溶媒、気体、または多孔質物質で充填された空洞粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
(請求項7)
請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルムを一方の面に、光学補償フィルムをもう一方の面に有することを特徴とする偏光板。
(請求項8)
請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルムを表面に設けたことを特徴とする表示装置。
(請求項9)
請求項7に記載の偏光板を有することを特徴とする表示装置。
本発明により、膜物性(膜均一性、接着性)が良好で、ぎらつき防止効果、視認性及び動画を表示したときの黒のしまり、反射光の色むらに優れた防眩性反射防止フィルムとそれを用いた偏光板及び表示装置を提供することが出来る。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の防眩性反射防止フィルムは、透明基材上にインク液滴を付着させて、該基材表面に微細凹凸構造を有する防眩層を形成し、更に該防眩層上に中空微粒子若しくはフッ素樹脂を有する低屈折率層を形成したことを特徴とする。
特に透明基材上に、インクジェット方式により微細な凹凸構造を形成する防眩性付与組成物を含有するインク液滴を出射して、該基材表面若しくは基材上に設けられた機能層上に微細凹凸構造を有する防眩層を形成することにより、防眩効果に優れ、かつ画像観察時の鮮鋭性、視認性及び動画を表示したときの黒のしまりに優れた防眩層の形成を実現することが出来ることを見出し、本発明に至った次第である。加えて、本発明の中空微粒子若しくはフッ素樹脂を有する低屈折率層を防眩層上に形成することにより、特に反射光の色むらが少ない防眩性反射防止フィルムを実現出来たものである。
防眩層の微細凹凸構造としては、微細凹凸構造の中心線平均粗さ(Ra)を0.05〜5.0μmの範囲とすることが好ましく、或いは、凹部底を基準とした高さaが0.1〜10.0μmである凸部を100μm2当たり1〜100個の範囲とすることが好ましく、また、防眩性付与組成物として、活性光線硬化型樹脂或いは熱硬化性樹脂を用いることにより、上記で規定した極めて微細な凹凸構造を実現出来たものである。インクジェット方式による上記インク液滴としては、1種類のインクを用いてもよいが、2種以上の組成の異なるインク液滴を用いて、屈折率の異なる凹凸構造を形成すること、或いは2種以上の粒径の異なるインク液滴を用いること、粒径の大きなインク液滴で透明基材上に微細凹凸構造を形成した後、該インク液滴より粒径の小さなインク液滴で、より微細な凹凸構造を形成すること、或いは、インク液滴に、該インク液滴より小さい粒子径を有する微粒子または微小液滴を含有させること等も好ましく、またインク中の溶媒含有量やインクの表面エネルギー、インク付着面の表面エネルギー(接触角)を制御することも好ましく、これらにより本発明の目的効果がより一層発揮される。
また、本発明の防眩性フィルムの形成方法においては、透明基材上に上記で規定する防眩層を形成する構成、或いは1層以上のハードコート層を有する透明基材上に設けることが好ましい。このときのハードコート層は、防眩層の凹凸構造を形成する際に、未硬化であってもよいが、ハードコート層がハーフキュア状態(半硬化状態)でインク液滴を用いた防眩層を設けることが好ましく、また、ハードコート層表面をプラズマ処理した後、該防眩層を設けること、或いはハードコート層が可塑剤を含有していることがより好ましく、この様な構成とすることにより、ハードコート層と該防眩層の接着性を高めることが出来る。
本発明の防眩層の形成方法は、透明基材上に、特にインクジェット方式により微細な凹凸構造を形成する防眩性付与組成物を含有するインク液滴を出射して、該基材表面に微細凹凸構造を有する防眩層を形成することが、1つの特徴である。
本発明に係る微細凹凸構造の一つの形状として、JIS B 0601で規定される中心線平均粗さRaが0.01〜5μmである凹凸形状をさし、好ましくはRaが0.07〜1μm、最も好ましくはRaが0.1〜0.5μmの凹凸形状である。例えば、防眩性を強くする部分はRaを大きくし、逆は小さくする。例えばRaで0.05μm以上異ならせることが好ましい。
本発明で規定する中心線平均粗さRaは、JIS B0601により定義され、下式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
Figure 2005300576
中心線平均粗さ(Ra)の測定方法としては、25℃、65%RH環境下で測定試料同士が重なり合わない条件で24時間調湿したのち、上記環境下で測定して求めることが出来る。ここでいう重なり合わない条件とは、例えば、試料のエッジ部分を高くした状態で巻き取る方法や試料と試料の間に紙を挟んで重ねる方法、厚紙等で枠を作製しその四隅を固定する方法のいずれかである。用いることの出来る測定装置としては、例えば、WYKO社製 RSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システム等を挙げることが出来る。
また、本発明の防眩層はヘイズは1〜40%であることが好ましい。ヘイズは、JIS K7105に従って測定することが出来る。
更に本発明に係る防眩層は、JIS B0601で規定される輪郭曲線要素の平均長さSmが1〜80μmが好ましく、更に好ましくは10〜40μmである。これらは前述の光学干渉式表面粗さ測定機によって測定することが出来る。
また、本発明に係る微細凹凸構造の他の形状として、凹部底を基準とした高さaが0.1〜10.0μmである凸部を100μm2当たり1〜100個有していることが好ましい。例えば、防眩性を強くする場合は凸部の数を増やす、または同じ数なら高さを高くする、凸部の傾斜をきつくする、インク中に光散乱効果のある微粒子や樹脂等の成分を添加するなどの方法が挙げられる。
図1は、透明基材上に、インクジェット方式で凹凸構造からなる防眩層を設けた一例を示す模式図である。
図1の(a)は、凹凸構造からなる防眩層の斜視図であり、図1の(b)は断面図である。
図1の(b)において、透明基材1の上に1層若しくは複数からなるハードコート層2を設けた後、インクジェット方式によりインク液滴3により形成された凹凸構造を有する防眩層の一例を示してあるが、本発明で規定する凹部底を基準とした高さaとは、下地であるハードコート層表面を底部として、凹凸構造の頂部までの高さ(μm)と定義する。
防眩層表面の微細な凹凸は、市販の触針式表面粗さ測定機或いは市販の光学干渉式表面粗さ測定機等によって測定することが出来る。例えば、光学干渉式表面粗さ測定機によって、約4000μm2の範囲(55μm×75μm)について凹凸を2次元的に測定し、凹凸を底部側より等高線のごとく色分けして表示する。
ここで隣接する底部を基準とした高さが0.1μm〜10μmである凸部の数をカウントし、100μm2の面積当たりの数で示した。測定は、防眩性反射防止フィルムの該当箇所の任意の10点を測定してその平均値として求める。
本発明において、防眩層を構成する凹凸構造の形状として、図1の(b)ではコニーデ型の凸部を着弾させたインク液滴によって形成された凸部の一例を示しているが、本発明は上記の形状の凹凸構造に限定されるものではない。
図2は、防眩層を構成する他の凹凸構造の一例を示す断面図である。
図2の(a)は、球体形状で着弾させた凹凸構造の一例であり、出射するインク液滴の粘度や、インク吐出速度、インク液滴とインク着弾面との接触角、インクジェットヘッドと基材との距離等を適宜調整することにより、この様な形状の凹凸構造を形成することが出来る。インクジェットヘッドと基材との距離は0.2〜100mmが好ましく、形成する凹凸の形状に応じて変更することが出来る。インク液滴とインク着弾面との接触角は0〜180°の範囲で適宜調整される。好ましくは5〜120°である。また、インク吐出速度を上げるなどにより吐出後のインク液滴を分裂させてインク液滴としてより微細な凹凸を形成したり、吐出速度を抑制して大きめの凹凸、或いは形状が整った凹凸を形成することが出来る。インクジェット部のこれらの条件は、印刷用のインクジェットで用いられている条件を参考にして設定することが出来る。また、インク吐出速度を上げて着弾の衝撃によってインク液滴による凸部を潰したり、未硬化の下地層を陥没させることによって凹部を形成することも出来る。
インク吐出速度は、インク液滴先端の速度V1をピエゾ式のインクジェット装置のピエゾ素子に印加する電圧を増減させることにより一般に0.1〜20m/sの範囲で制御できる。好ましくは1〜20m/sの範囲である。更に、上記インク液滴先端の速度V1の好ましい下限は5m/s、好ましい上限は12m/sである。インク液滴後端の速度V2はインク液滴先端の速度V1よりも小さく、一般には0.1〜10m/sである。上記インク液滴後端の速度V2は、インク液滴の分離状態、即ち、インクの表面張力や粘度により決まる。
吐出時間tは、ピエゾ素子に印加する電圧の制御条件に応じて3μs〜1msに設定される。ピエゾ素子に印加する電圧の制御条件は、安定的にインク液滴を吐出できるように、波形制御条件、インク液滴の表面張力や粘度等に応じて設定される。
液滴は後述するように柱状に吐出され、基板に着弾するまでに分裂しない場合と分裂する場合とがある。分裂しない場合であって、着弾するまでに空中で球状の液滴になる場合は、着弾時の液滴先端速度と後端速度はほぼ同じとなる。柱状の液滴が球状になっていくので着弾時の液滴速度は吐出時の液滴先端速度や後端速度と厳密には異なるが、その差は液滴速度に対して小さい。一方、数個の液滴に分裂する場合には、吐出時の液滴先端速度が着弾時の先頭液滴の速度となり、吐出時の液滴後端速度が着弾時の最後尾の液滴の速度となると考えられる。尚、通常は、液滴先端速度が3m/s以下の場合には液滴は分裂しないことが多く、液滴先端速度が3〜20m/sの場合には液滴は分裂することが多い。
本発明のインクジェット方式による凹凸構造の形成方法は、従来の塗布方式等の防眩層形成方法に比較し、任意の形状の凹凸構造を形成出来、特に幅手方向でも長尺方向でも異なる凹凸形状としたり、付着量を変更することが出来ることが、大きな特徴である。しかも、生産中に形成するパターンを変更出来るため様々な品種に迅速に対応可能である。
図2の(b)は、半円状の凹凸構造からなる防眩層の一例を示す断面図である。
上記凹凸構造の配置として、上図の説明では凸部を間隔をあけて着弾させた一例を示しているが、図2の(c)に示すように、間隙を設けずに、着弾面全体を凸部で被覆した構成でもよい。本発明ではこのような凸部の大きさや形状を変化させて防眩層を異ならせることが出来る。
インク液滴によって形成された凸部である3は、フィルムの法線方向から見た時に略円の形状であってもよいし、楕円形状であってもよい。例えば縦横比×1.01〜×10の比の楕円でもよい。インクを付着させる際にフィルム側、若しくはインクジェットのヘッド部を高速で搬送させながら行うことで、楕円状の凸部を形成することが出来る。
図3はインクの吐出角度、及び吐出方法を示す概略図である。
図3の(a)で示す、インクジェットヘッドからインクをフィルムに向けて吐出する時の角度は、フィルムの法線方向を90°、インクが付着したフィルムが搬送されていく方向を0°、フィルムが搬送されてくる方向を180°とすると、0°〜180°の範囲で設定することが出来る。好ましくは0°〜90°とすることで、インクの飛翔速度とフィルムの搬送の相対速度の差が小さく出来、所望の凹凸形状が形成し易くなる為好ましい。更に好ましくは5°〜85°である。
図3の(b)はフィルム面に対し、種々な角度をつけたインクジェットヘッドを複数個配置し、連続的にインクを吐出する方法を示している。その際、角度のみならずフィルム面からの高さも任意に変えることが可能である。
図3の(c)は、バックロールを抱かせて搬送しているフィルム面に、複数個のインクジェットヘッドをその周りに配置し、インク液滴を吐出している状態を示している。このように、インク液滴を着弾させるフィルム面は、平面、曲面どちらでも構わない。
本発明の防眩性反射防止フィルムの構成としては、透明基材上にインクを付着させて形成した防眩層が形成されていれば特に制限はないが、好ましくは、透明基材上に1層以上のハードコート層を設けた後、インクジェット方式により上記で規定する凹凸構造からなる防眩層を設けることが好ましい。
次いで、本発明に係るインクジェット方式について説明する。
図4は、本発明に係るインクジェット方法に用いることの出来るインクジェットヘッドの一例を示す断面図である。
図4(a)はインクジェットヘッドの断面図であり、図4(b)は図4(a)のA−A線矢視拡大図である。図中、11は基板、12は圧電素子、13は流路板、13aはインク流路、13bは壁部、14は共通液室構成部材、14aは共通液室、15はインク供給パイプ、16はノズルプレート、16aはノズル、17は駆動用回路プリント板(PCB)、18はリード部、19は駆動電極、20は溝、21は保護板、22は流体抵抗、23、24は電極、25は上部隔壁、26はヒータ、27はヒータ電源、28は伝熱部材、10はインクジェットヘッドである。
集積化されたインクジェットヘッド10において、電極23、24を有する積層された圧電素子12は、流路13aに対応して、該流路13a方向に溝加工が施され、溝20と駆動圧電素子12bと非駆動圧電素子12aに区分される。溝20には充填剤が封入されている。溝加工が施された圧電素子12には、上部隔壁25を介して流路板13が接合される。即ち、前記上部隔壁25は、非駆動圧電素子12aと隣接する流路を隔てる壁部13bとで支持される。駆動圧電素子12bの幅は流路13aの幅よりも僅かに狭く、駆動用回路プリント板(PCB)上の駆動回路により選択された駆動圧電素子12bはパルス状信号電圧を印加すると、該駆動圧電素子12bは厚み方向に変化し、上部隔壁25を介して流路13aの容積が変化し、その結果ノズルプレート16のノズル16aよりインク液滴を吐出する。
流路板13上には、伝熱部材28を介してヒータ26がそれぞれ接着されている。伝熱部材28はノズル面にまわり込んで設けられている。伝熱部材28は、ヒータ26からの熱を効率良く流路板13に伝え、かつ、ヒータ26からの熱をノズル面近傍に運びノズル面近傍の空気を温めることを目的としており、従って、熱伝導率の良い材料が用いられる。例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、ステンレス等の金属、或いは、SiC、BeO、AlN等のセラミックス等が好ましい材料として挙げられる。
圧電素子を駆動すると、流路の長手方向に垂直な方向に変位し、流路の容積が変化し、その容積変化によりノズルからインク液滴となって噴射する。圧電素子には常時流路容積が縮小するように保持する信号を与え、選択された流路に対して流路容積を増大する向きに変位させた後、再び流路の容積が縮小する変位を与えるパルス信号を印加することにより、流路と対応するノズルよりインクがインク液滴となって噴射する。
図5は、本発明で用いることの出来るインクジェットヘッド部、ノズルプレートの一例を示す概略図である。
図5において、図5の(a)はヘッド部の断面図、図5の(b)はノズルプレートの平面図である。図中、1は透明基材、31はインク液滴、32はノズル、29は活性光線照射部である。ノズル32より噴射したインク液滴31は透明基材1方向に飛翔して付着する。透明基材1上に着弾したインク液滴は、その上流部に配置されている活性光線照射部29より、活性光線を直ちに照射され、硬化する。尚、35は透明基材1を保持するバックロールである。
本発明においては、図5の(b)に記載のように、インクジェットヘッド部のノズルは、千鳥状に配置することが好ましく、また、透明基材1の搬送方向に並列に多段に設けることが好ましい。また、インク吐出の際にインクジェットヘッド部に微細な振動を与え、インク滴がランダムに透明基材上に着弾するようにすることが好ましい。これによって、干渉縞の発生を抑制することが出来る。微細な振動は、高周波電圧、音波、超音波などによって与えることが出来るが、特にこれらに限定されない。また、インクジェット法により出射されたインク滴31が移動してくる透明基材1の周辺空気によって乱されて偏ったり、意図しないムラとならないように空気の流れを制御して行われる。
インクジェットヘッドとしては特開2004−58505記載の静電吐出型インクジェットヘッドを本発明の防眩層形成に転用することも出来、特開2004−58532記載の液体吐出ヘッド、特開2004−54271記載のインクジェットパターニング装置を本発明の防眩層形成に転用することも出来、特開2004−55520記載の噴射ヘッドを転用することも出来、登録3,5000,636号記載のインクジェットヘッドを転用することも出来、登録3,501,583号記載のインクジェット記録システムを本発明の防眩層の形成に転用することも出来る。
また、凹凸を形成するためのインクを吐出する前に、テスト吐出を実施してヘッドの目詰まりの有無を確認することが好ましく、目詰まりが確認された場合、あるいは生産開始時には、ヘッドクリーニングを実施することが好ましい。ヘッドクリーニングは使用するインクで実施しても、溶媒を主体とするクリーニング液で実施してもよい。クリーニング液の溶媒はインクに使用できるものが好ましく用いられる。必要に応じて界面活性剤(ノニオン系、フッ素系、シリコン系等)を0.01〜1%程度含有させてもよい。
凹凸を形成するためのインク吐出密度は、適宜調整することが好ましく、例えば、大きな凹凸を形成するためのインク吐出密度に対して、小さな凹凸を形成するためのインク吐出密度を大きくすることが好ましい。
生産中にヘッドの目詰まりが検出された場合は、そのヘッドへのインク供給を停止することが好ましい。それによって形成する防眩層にむらが生じないように、他のヘッドからのインク吐出量を増やすことも好ましい。多段のインクジェットヘッドを使用している場合には、生産を継続しながら目詰まりしたインクジェットヘッドのヘッドクリーニングを行うことが好ましく、その場合、クリーニング液が防眩層に付着しないようにインク吐出方向を切り替えるか、クリーニング液を受け止める別の部材に向けて吐出させることが好ましい。ヘッドクリーニング中は、別のインクジェットヘッドのインク吐出量を増加させるか、予備のインクジェットヘッドを用いて生産を継続することが好ましい。
又、生産中にヘッドの目詰まりなど何らかの異常が確認された場合、フィルム基材の端部にインクジェットでマーキングを施すことが好ましい。マーキングは着色インクで行うことが好ましく、異常個所を明確にすることで後でその部分を製品から取り除くことが容易になる。
本発明に用いられる防眩層の形成方法は、多ノズルからインク小液滴を吐出して形成するインクジェット方式を用いることが好ましく、図6に、本発明で好ましく用いることの出来るインクジェット方式の一例を示す。
図6において、図6のa)は、インクジェットヘッド10を透明基材1の幅手方向に配置し、透明基材1を搬送しながらその表面に防眩層を形成する方法(ラインヘッド方式)であり、図6のb)はインクジェットヘッド10が副走査方向に移動しながらその表面に防眩層を形成する方法(フラットヘッド方式)であり、図6のc)はインクジェットヘッド10が、透明基材1上の幅手方向を走査しながらその表面に防眩層を形成する方法(キャプスタン方式)であり、いずれの方式も用いることが出来るが、本発明においては、生産性の観点からラインヘッド方式が好ましい。この様な方式のインクジェットヘッドを用いることで、透明基材上に任意の位置で、かつ任意なパターンの凹凸部を容易に形成することが出来る。その為従来の塗布方式やエンボス加工方式と比べてインクジェットによる方法は自由度が高く優れている。
尚、図6のa)〜c)に記載の29は、インクとして後述の活性光線硬化型樹脂を用いる場合に使用する活性光線照射部である。
また、本発明においては、図6のa)、b)、c)の透明基材の搬送方向の下流側に、別の活性光線照射部を設けてもよい。インクジェットヘッド部と活性光線照射部の間隔は0.1〜20m程度が好ましく適宜設定される。また、必要に応じて設置位置を変更或いは調整できるようになっていることが好ましい。
本発明において、微細な凹凸を形成するため、インク液滴としては0.1〜100plが好ましく、0.1〜50plがより好ましく、0.1〜10plが特に好ましい。上記条件でインク液滴を出射することにより、視認性にも優れる微細な凹凸を有する防眩性反射防止フィルムを得ることが出来る。
本発明では、インクジェットヘッドから吐出されるインクを当該インクの先端部に続いてインクが延びた柱状の状態で前記インクジェットヘッドから分離しないうちに凹凸形成面上に付着させてもよいが、好ましくはインクがインクジェットヘッドから分離した後のインク液滴として付着させることが好ましい。ヘッドから吐出されたインク液滴が分裂せずに凹凸形成面上に付着させることが好ましく、あるいは意図的に分裂するような吐出条件にすることで微小なインク液滴とし、これを付着させることでより微細な凹凸形成を行うことが好ましく、形成する凹凸形状に応じて適宜調整することができる。
また、インク液滴の粘度は、25mPa・s以下であることが好ましく、10mPa・s以下であることが更に好ましい。着弾時のインク粘度は吐出時のインク粘度より高いことが好ましく、15mPa・s以上であることが好ましく、更に好ましくは25mPa・s以上である。着弾時の粘度が高いほどRaが大きな凹凸を形成しやすく、所望の凹凸形状を形成するために粘度は適宜調整することが好ましい。
次いで、本発明に係る防眩層を形成するインクジェット方式で用いるインクについて説明する。
本発明に係るインクは、インクジェット方式により微細な凹凸構造を形成する防眩性付与組成物を含有することが特徴であるが、該防眩性付与組成物としては、活性光線硬化型樹脂または熱硬化性樹脂であることが好ましい。
始めに、本発明に係る活性光線硬化型樹脂について説明する。
活性光線硬化型樹脂とは、紫外線や電子線のような活性光線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂である。活性光線硬化型樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性光線照射によって硬化する樹脂でもよい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る。例えば、特開昭59−151110号に記載の、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステル末端の水酸基やカルボキシル基に2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸のようなのモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば、特開昭59−151112号公報)。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂は、エポキシ樹脂の末端の水酸基にアクリル酸、アクリル酸クロライド、グリシジルアクリレートのようなモノマーを反応させて得られる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂としては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂の例として、好ましく用いられるエポキシ系活性光線反応性化合物を示す。
(a)ビスフェノールAのグリシジルエーテル(この化合物はエピクロルヒドリンとビスフェノールAとの反応により、重合度の異なる混合物として得られる)
(b)ビスフェノールA等のフェノール性OHを2個有する化合物に、エピクロルヒドリン、エチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドを反応させ末端にグリシジルエーテル基を有する化合物
(c)4,4′−メチレンビスフェノールのグリシジルエーテル
(d)ノボラック樹脂またはレゾール樹脂のフェノールフォルムアルデヒド樹脂のエポキシ化合物
(e)脂環式エポキシドを有する化合物、例えば、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)オキザレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−シクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルピメレート)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチル−シクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシ−1′−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシ−6′−メチル−1′−シクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5′,5′−スピロ−3″,4″−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン
(f)2塩基酸のジグリシジルエーテル、例えば、ジグリシジルオキザレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルフタレート
(g)グリコールのジグリシジルエーテル、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、コポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
(h)ポリマー酸のグリシジルエステル、例えば、ポリアクリル酸ポリグリシジルエステル、ポリエステルジグリシジルエステル
(i)多価アルコールのグリシジルエーテル、例えば、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グルコーストリグリシジルエーテル
(j)2−フルオロアルキル−1,2−ジオールのジグリシジルエーテルとしては、前記低屈折率物質のフッ素含有樹脂のフッ素含有エポキシ化合物に挙げた化合物例と同様のもの
(k)含フッ素アルカン末端ジオールグリシジルエーテルとしては、上記低屈折率物質のフッ素含有樹脂のフッ素含有エポキシ化合物等を挙げることが出来る。
上記エポキシ化合物の分子量は、平均分子量として2000以下で、好ましくは1000以下である。
上記のエポキシ化合物を活性光線により硬化する場合、より硬度を上げるためには、(h)または(i)の多官能のエポキシ基を有する化合物を混合して用いると効果的である。
エポキシ系活性光線反応性化合物をカチオン重合させる光重合開始剤または光増感剤は、活性光線照射によりカチオン重合開始物質を放出することが可能な化合物であり、特に好ましくは、照射によりカチオン重合開始能のあるルイス酸を放出するオニウム塩の一群の複塩である。
活性光線反応性化合物エポキシ樹脂は、ラジカル重合によるのではなく、カチオン重合により重合、架橋構造または網目構造を形成する。ラジカル重合と異なり反応系中の酸素に影響を受けないため好ましい活性光線反応性樹脂である。
本発明に有用な活性光線反応性エポキシ樹脂は、活性光線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出する光重合開始剤または光増感剤により重合する。光重合開始剤としては、光照射によりカチオン重合を開始させるルイス酸を放出するオニウム塩の複塩の一群が特に好ましい。
かかる代表的なものは下記一般式(a)で表される化合物である。
一般式(a)
〔(R1a(R2b(R3c(R4dZ〕w+〔MeXvw-
式中、カチオンはオニウムであり、ZはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、ハロゲン(例えば、I、Br、Cl)、またはN=N(ジアゾ)であり、R1、R2、R3、R4は同一であっても異なっていてもよい有機の基である。a、b、c、dはそれぞれ0〜3の整数であって、a+b+c+dはZの価数に等しい。Meはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xはハロゲンであり、wはハロゲン化錯体イオンの正味の電荷であり、vはハロゲン化錯体イオン中のハロゲン原子の数である。
上記一般式(a)の陰イオン〔MeXvw-の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4 -)、テトラフルオロホスフェート(PF4 -)、テトラフルオロアンチモネート(SbF4 -)、テトラフルオロアルセネート(AsF4 -)、テトラクロロアンチモネート(SbCl4 -)等を挙げることが出来る。
また、その他の陰イオンとしては過塩素酸イオン(ClO4 -)、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3 -)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3 -)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼン酸陰イオン等を挙げることが出来る。
この様なオニウム塩の中でも特に芳香族オニウム塩をカチオン重合開始剤として使用するのが有効であり、中でも特開昭50−151996号、同50−158680号等に記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号、同52−30899号、同59−55420号、同55−125105号等に記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号、同56−149402号、同57−192429号等に記載のオキソスルホキソニウム塩、特公昭49−17040号等に記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4,139,655号等に記載のチオピリリュム塩等が好ましい。また、アルミニウム錯体や光分解性けい素化合物系重合開始剤等を挙げることが出来る。上記カチオン重合開始剤と、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサントン等の光増感剤を併用することが出来る。
また、エポキシアクリレート基を有する活性光線反応性化合物の場合は、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の光増感剤を用いることが出来る。この活性光線反応性化合物に用いられる光増感剤や光開始剤は、紫外線反応性化合物100質量部に対して0.1質量部〜15質量部で光反応を開始するには十分であり、好ましくは1質量部〜10質量部である。この増感剤は近紫外線領域から可視光線領域に吸収極大のあるものが好ましい。
本発明に有用な活性光線硬化型樹脂組成物において、重合開始剤は、一般的には、活性光線硬化性エポキシ樹脂(プレポリマー)100質量部に対して0.1質量部〜15質量部の使用が好ましく、更に好ましくは、1質量部〜10質量部の範囲の添加が好ましい。
また、エポキシ樹脂を上記ウレタンアクリレート型樹脂、ポリエーテルアクリレート型樹脂等と併用することも出来、この場合、活性光線ラジカル重合開始剤と活性光線カチオン重合開始剤を併用することが好ましい。
また、本発明に係る防眩層には、オキセタン化合物を用いることも出来る。用いられるオキセタン化合物は、酸素または硫黄を含む3員環のオキセタン環を有する化合物である。中でも酸素を含むオキセタン環を有する化合物が好ましい。オキセタン環は、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アリールアルキル基、アルコキシル基、アリルオキシ基、アセトキシ基で置換されていてもよい。具体的には、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、3,3−ビス(ヨードメチル)オキセタン、3,3−ビス(メトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フェノキシメチル)オキセタン、3−メチル−3クロルメチルオキセタン、3,3−ビス(アセトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フルオロメチル)オキセタン、3,3−ビス(ブロモメチル)オキセタン、3,3−ジメチルオキセタン等が挙げられる。尚、本発明ではモノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。
本発明で用いることの出来る紫外線硬化性樹脂の具体例としては、例えば、アデカオプトマーKR、BYシリーズのKR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、旭電化工業(株)製)、コーエイハードのA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業(株)製)、セイカビームのPHC2210(S)、PHCX−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業(株)製)、KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー(株))、RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製)、サンラッド H−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(以上、三洋化成工業(株)製)、SP−1509、SP−1507(以上、昭和高分子(株)製)、RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成(株)製)、またはその他の市販のものから適宜選択して利用することが出来る。
本発明に係るインクには、公知の熱可塑性樹脂またはゼラチン等の親水性樹脂等のバインダを上記記載の活性光線硬化型樹脂に混合して使用することが出来る。これらの樹脂は、その分子中に極性基を持っていることが好ましい。極性基としては、−COOM、−OH、−NR2、−NR3X、−SO3M、−OSO3M、−PO32、−OPO3M(ここで、Mは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を、Xはアミン塩を形成する酸を、Rは水素原子、アルキル基を表す)等を挙げることが出来る。
本発明に使用する上記活性光線反応性化合物を光重合または光架橋反応を開始させるには、上記活性光線反応性化合物のみでも開始するが、重合の誘導期が長かったり、重合開始が遅かったりするため、光増感剤や光開始剤を用いることが好ましく、それにより重合を速めることが出来る。
本発明に係るインクが、活性光線硬化型樹脂を含有する場合、活性光線の照射時においては、光反応開始剤、光増感剤を用いることが出来る。
具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来る。また、エポキシアクリレート系樹脂の合成に光反応剤を使用する際に、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来る。
また、活性光線硬化型樹脂として、紫外線硬化性樹脂を用いる場合、前記紫外線硬化性樹脂の光硬化を妨げない程度に、紫外線吸収剤を紫外線硬化性樹脂組成物に含ませてもよい。
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては下記一般式(1)で示される化合物が好ましく用いられる。
Figure 2005300576
式中、R1、R2、R3、R4及びR5は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基、アシルアミノ基または5〜6員の複素環基を表し、R4とR5は閉環して5〜6員の炭素環を形成してもよい。
また、上記記載のこれらの基は、任意の置換基を有していてよい。
以下に本発明に係る紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、Ciba製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109、Ciba製)
また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては下記一般式(2)で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 2005300576
式中、Yは水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、及びフェニル基を表し、これらのアルキル基、アルケニル基及びフェニル基は置換基を有していてもよい。Aは水素原子、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロアルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基または−CO(NH)n1−D基を表し、Dはアルキル基、アルケニル基または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。m及びnは1または2を表す。
上記において、アルキル基としては、例えば、炭素数24までの直鎖または分岐の脂肪族基を表し、アルコキシル基としては例えば、炭素数18までのアルコキシル基を表し、アルケニル基としては例えば、炭素数16までのアルケニル基でアリル基、2−ブテニル基等を表す。また、アルキル基、アルケニル基、フェニル基への置換基としてはハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、フェニル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等を置換していてもよい)等が挙げられる。
以下に一般式(2)で表されるベンゾフェノン系化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤としては、透明性が高く、偏光板や液晶の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
また、特開2001−187825に記載されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤は、支持体の面品質を向上させ、塗布性にも優れている。特に分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
また、特開平6−148430号に記載の一般式(1)または一般式(2)、特願2000−156039の一般式(3)、(6)、(7)記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)も好ましく用いられる。高分子紫外線吸収剤としては、PUVA−30M(大塚化学(株)製)等が市販されている。
また、インクジェット方式により形成した防眩層の耐熱性を高めるために、光硬化反応を抑制しないような酸化防止剤を選んで用いることが出来る。例えば、ヒンダードフェノール誘導体、チオプロピオン酸誘導体、ホスファイト誘導体等を挙げることが出来る。具体的には、例えば、4,4′−チオビス(6−tert−3−メチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、ジ−オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスフェート等を挙げることが出来る。
本発明に係るインクには、SnO2、ITO、ZnO等の導電性微粒子や架橋カチオンポリマー粒子等の帯電防止剤を含有させることが好ましい。また、これらの化合物は、透明基材上に設ける後述のハードコート層に添加してもよい。
この他に、インクにはフッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、或いはノニオン系界面活性剤等の界面活性剤を、0.01〜5.0%程度添加することが出来る。
本発明において、インクジェット方式により形成した防眩層が活性光線硬化型樹脂を含む場合、活性光線の照射方法としては、インク液滴を透明基体上に着弾させた後、活性光線を照射することが好ましい。照射のタイミングは形成する凹凸形状を考慮して決定することが出来、凹凸形状が明確であり高い凸部を形成する場合は、着弾後すみやかに照射することが好ましく、また比較的凹凸形状がゆるやかで低い凸部を形成する場合は、着弾後時間をおいて照射することが出来る。例えば、着弾後2sec〜2min後に照射することが出来る。
本発明でいうインク液滴を透明基体上に着弾させた直後とは、具体的にはインク液滴が着弾後0.001〜2.0秒までの間に照射を始めることが好ましく、より好ましくは0.001〜1.0秒の間である。照射光源の照射間隔が0.001秒より短いと、ノズル部と照射光源の距離が接近し過ぎて、硬化反応により昇華物質によるヘッドの汚染や、照射光のインク出射部への回り込みにより、ノズル部での硬化によりノズル詰まりを起こすため好ましくない。
上記照射時のノズル部への光の回り込みを防止するため、本発明のインクジェット方式においては、活性光源照射部をインクジェットヘッドのノズル部に直接作用させない位置に配置することが好ましく、更に、照射される活性光線が、インクジェットヘッドのノズル部に作用しないように遮光板をその間に設けることが好ましい。
また、インク液滴が着弾した直後の活性光線の照射は、着弾したインク液滴の流動性を低下させ、所望の凹凸構造が形成出来る程度に照射すればよく、ハーフキュア状態でもよい。この場合には、別途下流側に設置した活性光源を照射して、完全に硬化させることが出来る。この様なすることにより、インクジェットヘッドのノズル部に、活性光線が作用し目詰まりを起こすことを防止することが出来る。
本発明に使用することが出来る活性光線としては、紫外線、電子線、γ線等で、防眩性付与組成物である活性光線硬化型樹脂を活性化させる光源であれば制限なく使用出来るが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は1mJ/cm2以上が好ましく、更に好ましくは、20mJ/cm2〜10000mJ/cm2であり、特に好ましくは、50mJ/cm2〜2000mJ/cm2である。
また、電子線も同様に使用出来る。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることが出来る。
本発明においては、活性線照射の時の雰囲気中の酸素濃度が10%以下、特に1%以下であることが好ましい。
また、本発明においては、活性光線の硬化反応を効率的に進めるため、透明基材等を加熱することも出来る。加熱方法としては、特に制限はないが、ヒートプレート、ヒートロール、サーマルヘッド、或いは着弾したインク表面に熱風を吹き付ける等の方法を使用するのが好ましい。また、インクジェット出射部の透明支持体を挟んで反対側に用いられるバックロールを、ヒートロールとして、連続的に加熱を施してもよい。
加熱温度としては、使用する活性光線硬化型樹脂の種類により一概には規定出来ないが、透明基材への熱変形等の影響を与えない温度範囲であることが好ましく、30〜200℃が好ましく、更に50〜120℃が好ましく、特に好ましくは70〜100℃である。
次いで、本発明に係る熱硬化性樹脂について説明する。
本発明で用いることの出来る熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリアミドイミドなどを挙げることが出来る。
不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、オルソフタル酸系樹脂、イソフタル酸系樹脂、テレフタル酸系樹脂、ビスフェノール系樹脂、プロピレングリコール−マレイン酸系樹脂、ジシクロペンタジエンないしその誘導体を不飽和ポリエステル組成に導入して低分子量化した、或いは被膜形成性のワックスコンパウンドを添加した低スチレン揮発性樹脂、熱可塑性樹脂(ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリスチレン、飽和ポリエステルなど)を添加した低収縮性樹脂、不飽和ポリエステルを直接Br2でブロム化する、或いはヘット酸、ジブロムネオペンチルグリコールを共重合するなどした反応性タイプ、塩素化パラフィン、テトラブロムビスフェノール等のハロゲン化物と三酸化アンチモン、燐化合物の組み合わせや水酸化アルミニウムなどを添加剤として用いる添加タイプの難燃性樹脂、ポリウレタンやシリコーンとハイブリッド化、またはIPN化した強靭性(高強度、高弾性率、高伸び率)の強靭性樹脂等がある。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ノボラックフェノール型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型を含むグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系、グリシジルエステル系、環式脂肪系、複素環式エポキシ系を含む特殊エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
ビニルエステル樹脂としては、例えば、普通エポキシ樹脂とメタクリル酸等の不飽和一塩基酸とを開環付加反応して得られるオリゴマーをスチレン等のモノマーに溶解した物である。また、分子末端や側鎖にビニル基を持ちビニルモノマーを含有する等の特殊タイプもある。グリシジルエーテル系エポキシ樹脂のビニルエステル樹脂としては、例えば、ビスフェノール系、ノボラック系、臭素化ビスフェノール系等があり、特殊ビニルエステル樹脂としてはビニルエステルウレタン系、イソシアヌル酸ビニル系、側鎖ビニルエステル系等がある。
フェノール樹脂は、フェノール類とフォルムアルデヒド類を原料として重縮合して得られ、レゾール型とノボラック型がある。
熱硬化性ポリイミド樹脂としては、例えば、マレイン酸系ポリイミド、例えばポリマレイミドアミン、ポリアミノビスマレイミド、ビスマレイミド・O,O′−ジアリルビスフェノール−A樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂等、またナジック酸変性ポリイミド、及びアセチレン末端ポリイミド等がある。
また、上述した活性光線硬化型樹脂の一部も、熱硬化性樹脂として用いることが出来る。
尚、本発明に係る熱硬化性樹脂からなるインクには、活性光線硬化型樹脂を含むインクに記載した酸化防止剤や紫外線吸収剤を適宜用いてもよい。
本発明において、インクジェット方式により形成した防眩層が熱硬化性樹脂を含む場合、加熱方法としては、インク液滴を透明基体上に着弾させた直後に、加熱処理を行うことが好ましい。
本発明でいうインク液滴を透明基体上に着弾させた直後とは、具体的にはインク液滴が着弾と同時または5秒以内に加熱が開始されることが好ましく、予め透明基材の温度を上げておくことが出来る。例えば、透明基材をヒートロール上に巻き付けて、これにインク液滴を着弾させることが出来、より好ましくは着弾と同時または2.0秒の間である。また、ノズル部と加熱部の距離が接近し過ぎて、熱がヘッド部に伝達すると、ノズル部での硬化によりノズル詰まりを起こすため注意が必要である。また、必要に応じて加熱間隔が5.0秒を超えることによって、着弾したインク液滴の流動、変形させなだらかな凹凸構造を得ることも出来る。
上記加熱時のノズル部への熱の伝達を防止するため、本発明のインクジェット方式においては、加熱部をインクジェットヘッドのノズル部に直接作用させない位置に配置することが好ましい。
加熱方法としては、特に制限はないが、ヒートプレート、ヒートロール、サーマルヘッド、或いは着弾したインク表面に熱風を吹き付ける等の方法を使用するのが好ましい。また、インクジェット出射部の透明支持体を挟んで反対側に設けるバックロールを、ヒートロールとして、連続的に加熱を施してもよい。加熱温度としては、使用する熱硬化性樹脂の種類により一概には規定出来ないが、透明基材への熱変形等の影響を与えない温度範囲であることが好ましく、30〜200℃が好ましく、更に50〜120℃が好ましく、特に好ましくは70〜100℃である。
本発明に係るインクにおいては、防眩性付与組成物として、上述した活性光線硬化型樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも用いることが出来るが、好ましくは活性光線硬化型樹脂を用いることである。
本発明に係る上記インクには、必要に応じて0〜99.9質量%の溶媒を含有させることが出来る。例えば、水系溶媒に前記活性光線硬化型樹脂モノマー成分、或いは熱硬化性樹脂モノマー成分を溶解若しくは分散させてもよく、或いは有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒は低沸点のものでも高沸点のものでも適宜選択して用いることが出来、これらの溶媒の添加量や種類、組成はインクの粘度を調整するため適宜調整することが好ましい。
本発明に係るインクで用いることが出来る溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジアセトンアルコール等のケトンアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセルソルブ、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、水等が挙げられ、それらを単独または2種以上混合して使用することが出来る。また、分子内にエーテル結合をもつものが特に好ましく、グリコールエーテル類も好ましく用いられる。
グリコールエーテル類としては、具体的には下記の溶媒が挙げられるが、特にこれらに限定されない。プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルAc、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルAc、エチレングリコールジエチルエーテル等を挙げることが出来る、尚Acはアセテートを表す。本発明に係るインクにおいては、上記溶媒の中でも、沸点が100℃未満の溶媒が好ましく用いられる。これらの溶媒は、インクジェットヘッドから吐出された直後から揮発され、着弾後も所望の凸形状が維持される程度に速やかに揮発、乾燥されることが望ましい。或いは揮発性の異なる溶媒を混合してその比率を変更することで凸形状を制御することも出来る。
次いで、本発明におけるインクジェット方式による凹凸構造を形成する好ましい態様について説明する。
本発明における凹凸構造を有する防眩層の好ましい形成方法の一つは、2種以上の屈折率の異なるインク液滴を出射して形成する方法である。詳しくは、硬化後の550nmにおける屈折率が0.01以上異なる2種以上のインク液滴を用いることにより、視認性に優れる防眩層が形成出来るため好ましい。好ましくは屈折率差が0.01〜2.0、特に屈折率差が0.03〜1.0異なるインク滴を組み合わせることが好ましい。本発明に係るインクにおいて、上記条件を満たすための方法として、特に制限はなく、例えば、活性光線硬化型樹脂或いは熱硬化性樹脂の種類や添加量、その他の添加剤の種類や添加量を適宜調整することにより、実現することが出来る。また、インクにより形成される防眩層の屈折率は1.4〜2.0とすることが好ましく、特に1.57〜1.8であることが好ましい。屈折率は低屈折率或いは高屈折率の金属酸化物等の添加量によって調整することが出来る。
本発明における凹凸構造を有する防眩層の他の好ましい形成方法として、2種以上の粒径の異なるインク液滴を出射して形成することが好ましく、更に好ましくは、粒径の大きなインク液滴で透明基材上に微細凹凸構造を形成した後、該インク液滴より粒径の小さなインク液滴で、より微細な凹凸構造を形成することである。
図7は、透明基材上にインクジェット方式により、粒径の大きなインク液滴で微細構造71を形成した後、より粒径の小さなインク液滴で、更に微細な凹凸構造72を形成した一例を表す模式図である。
図7の(a)は、比較的低粘度のインクを用いて、コニーデ型の凸部71を設けた後、その表面及び未着弾部により微小の凸部72を設けた一例であり、図7の(b)は、インク液滴と基材表面との接触角を制御し、球体状の凸部71′を設けた後、その表面及び未着弾部により微小の凸部72を設けた一例である。図7の(c)は、基材上に直接、より低粘度の後述する微粒子を含むインクを用いて、なだらかな曲面を有する微粒子を含むインクジェット層を設け、更にその表面により微小の凸部72を設けた一例である。
本発明において、凹凸構造を形成するインクとして粒径の異なるインク液滴を用いて形成することにより、干渉縞を生じにくくするとともに、表示装置の視認性にも優れる微細な凹凸を形成することが出来る。各々のインク液滴は、0.1〜100plが好ましく、0.1〜50plが更に好ましく、0.1〜10plが特に好ましい。2種以上の大きさの異なるインク液滴を用いる場合、平均粒径が最も大きい粒径のインク液滴に対し、平均粒径が最も小さな粒径のインク液滴の容量としては、0.1〜80体積%、更に好ましくは1〜60体積%、特に好ましくは3〜50体積%であることが好ましい。また、3種以上の容量が異なるインク液滴を組み合わせることがより好ましい態様である。
また、2種以上のインク液滴を用いる場合、固形分濃度が異なる各インク液滴を用いることが出来る。例えば、微小な液滴の固形分濃度を低く設定し、インクが飛翔している間や着弾後に溶媒を揮発させることで、より微細な凸部を形成することが出来る。この様な各インク液滴の固形分濃度を適宜調整することにより、微細な凹凸構造の形成や形状を容易に制御することが出来る。
更に、本発明においては、異なる容量のインク滴を組み合わせて凹凸構造を形成する場合、大きなインク液滴を透明基材上に着弾させた後、より微細なインク液滴をその上に着弾させることが好ましい。大きなインク滴を着弾させて、未硬化の状態でその上により微細なインク液滴を着弾させてもよいが、本発明では、大きなインク液滴を着弾させた後、活性光線を照射すること、或いは加熱処理を施して硬化させるか、或いはハーフキュアの状態にした後、より微細なインク液滴をその上に着弾させることが好ましい。
本発明における凹凸構造を有する防眩層の他の好ましい形成方法として、インク液滴が、該インク液滴より小さい粒子径を有する微粒子を含有することが好ましい。
本発明において、インク液滴中に含有せしめることの出来る微粒子としては、例えば、無機微粒子または有機微粒子を挙げることが出来る。
無機微粒子としては、例えば、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。これらは球状、平板状、無定形状等の形状の粒子が挙げられる。
二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用出来る。
酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用出来る。
また、有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂微粒子、アクリルスチレン系樹脂微粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子、シリコン系樹脂微粒子、ポリスチレン系樹脂微粒子、ポリカーボネート樹脂微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子、メラミン系樹脂微粒子、ポリオレフィン系樹脂微粒子、ポリエステル系樹脂微粒子、ポリアミド系樹脂微粒子、ポリイミド系樹脂微粒子、またはポリ弗化エチレン系樹脂微粒子等を挙げることが出来る。
本発明で用いる微粒子の平均粒径は、0.001〜10μmが好ましく、更に好ましくは0.005〜3μmであり、特に好ましくは0.01〜1μmである。粒径や屈折率の異なる2種以上の微粒子を含有させてもよい。
本発明における凹凸構造を有する防眩層の他の好ましい形成方法として、インク液滴が、該インク液滴より小さい粒子径を有する微小液滴を含有することが好ましい。
本発明でいう微小液滴とは、インク液滴より小粒径で、相分離状態にあるか、或いは乳化物の形態でインク中に液状で存在しているものが好ましく、インクの主成分とは完全に混じりあわないものであることが好ましく、また、インクが硬化した後、550nmにおける屈折率が、インク液滴媒体と0.01以上異なることが好ましい。好ましくは屈折率が0.01〜2.0異なること、特に屈折率が0.03〜1.0異なることが好ましい。
上述したインク液滴に微粒子を用いた場合には、インクジェットヘッドの目詰まりを起こす可能性も残るが、液状物であれば目詰まりを起こしにくく特に好ましい。また、微小液滴自身も硬化性成分を含んでいることが好ましく、着弾後に硬化させることが好ましい。これらを用いることによって、より微細な凹凸や光散乱の効果が得られ、視認性の向上が期待出来る。
本発明に係る微小液滴として、金属アルコキシドまたはその加水分解物或いは部分縮合物を用いることが特に好ましい。
金属原子としては、Si、Ti、Zr等を挙げることが出来、本発明で用いることの出来る金属アルコキシドの具体例として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のシランアルコキシド、テトライソプロピルチタン、テトラブトキシチタン、テトラブトキシジルコニウム、テトライソプロピルジルコニウム、テトラエトキシチタン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの金属アルコキシドは、インク液滴が透明基材に着弾した後、活性光線等による硬化処理により硬化し、その種類により屈折率の異なる凹凸構造を形成することが出来る。この他微少液滴として溶媒可溶性の樹脂が好ましく用いられ、例えばセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースジアセテート等のセルロースエステル類、アクリル樹脂などが挙げられる。
次いで、本発明の防眩性フィルムの製造方法について説明する。
図8は、透明基材上にインクジェット方式により防眩層を設ける工程のフローの一例を示す模式図である。詳しくは、透明基材上にハードコート層或いは光拡散層を塗布方式で塗設した後、インクジェット方式で凹凸構造を有する防眩層を形成するフローを示してある。
図8において、ロール501より繰り出された透明基材502は、搬送されて、第1コータステーションAで、押し出し方式の第1コータ503によりハードコート層を塗設する。このとき、ハードコート層は単層構成でも、複数から構成されている層でもよい。また、幅手方向で膜厚を変更して塗設してもよい。特に微粒子を含有する光拡散層を設けることが出来、光拡散層の膜厚を幅手で変更することでヘイズ、特に内部ヘイズを幅手で異ならせることが出来る。ハードコート層を塗設した透明基材502は、次いで乾燥ゾーン505Aで乾燥が行われる。乾燥は、透明基材502の両面より、温湿度が制御された温風により乾燥が施される。ハードコート層にバインダーとして活性光線硬化型樹脂を用いている場合には、乾燥後、活性光線照射部506Aで、活性光線、例えば紫外線等を照射して硬化させたり、或いは照射量や照射条件を制御してハーフキュア状態とすることも出来る。活性光線照射部506Aで基材502は、20〜120℃に温度制御されたバックロールに巻いた状態で照射することも出来る。
次いで、インクジェット方式を用いた防眩層を設ける第2コータステーションBに搬送されるが、ハードコート層は、ハーフキュア状態であることが好ましい。或いは、防眩層を形成する前にプラズマ処理部507で表面処理を施すことが好ましい。インクジェット出射部509には、インク供給タンク508が接続されており、そこからインク液が供給される。インクジェット出射部509は、図5の(b)で示すような複数のインクジェットノズルを透明基材の幅全域に千鳥状に配置し、インク液滴をハードコート層上に出射して、その表面に凹凸構造を形成する。また、2種以上のインク液滴を出射する場合には、2列以上配置したインクジェットノズルより、各々のインク液滴を出射してもよいし、或いはランダムに任意のインクジェットノズルよりインク液滴を出射してもよい。また、インクジェット出射部を複数配置し、各々のインク出射部より異なるインク液滴を出射してもよい。本発明においては、0.1〜100pl、場合によっては0.1〜10plという微細な液滴を出射するため、インク液滴の飛翔性に対し、外気の気流の影響を受けやすくなるため、第2コータステーションB全体を、隔壁等で覆って気圧の乱れを防止することが好ましい。また、1pl以下の極めて微細な液滴を精度高く飛翔させるため、インクジェット出射部509と透明基材502或いはバックロール504B間に電圧を印加し、インク液滴に電荷を与えて電気的にインク液滴の飛翔安定性を補助する方法も好ましい。或いはフィルムの帯電によるムラが生じないように、全工程を通じてフィルムの搬送に伴う帯電を防止する為除電バーを設けるなどの除電対策を行うことが好ましい。また、着弾したインク液滴の変形を防止するため、透明基材を冷却して着弾後のインク液滴の流動を速やかに低下させる方法を用いることも好ましい。或いは、インク液滴が出射後、着弾するまでの飛翔中に含有する溶媒を揮発させて、インク液滴中の含有溶媒量が減少した状態で着弾させることが、より微細な凹凸構造を形成する上で好ましい。その為、インク飛翔空間の温度を高くしたり、或いは気圧を、1気圧以下、例えば20〜100kPaに制御する方法も好ましい。例えばインク液滴中の含有溶媒量を出射時の溶媒含有量に対して、1/100〜99/100となるように減少させて着弾させることが出来る。
また、着弾による衝撃によって凸部の形状が大きく変形したり、つぶれないようにゆるやかに着弾させることも好ましく、例えばインク出射部と着弾部の距離を離したり、重力や電荷に逆らって出射して着弾の衝撃を柔らげることも好ましい。或いは、フィルムに向かって流れる気流中にインク液滴を吐出し、このインク液滴を有する空間にフィルムを配置することで、フィルム上にインク液滴を付着させることも好ましい。
着弾したインク液滴は、活性光線硬化型樹脂を用いている場合には、インクジェット出射部509の後に配置されている活性光線照射部506Bで、活性光線、例えば紫外線等を照射して硬化させる。また、インク液滴が熱硬化性樹脂を用いている場合には、加熱部510、例えば、ヒートプレートにより加熱、硬化される。また、バックロール504Bをヒートロールとして加熱する方法も好ましい。
第2コータステーションBにおいて、活性光線照射部506Bの照射光が、インクジェット出射部509のインクジェットノズルに直接影響を与えないように、活性光線照射部506Bとインクジェット出射部509とを適度な間隔で配置する、或いは活性光線照射部506Bとインクジェット出射部509とを間に、遮光壁等を設置することが好ましい。また、加熱部510の熱が、インクジェット出射部509のインクジェットノズルに直接影響を与えないように、インクジェット出射部509を断熱カバーで被覆する、或いは図8で示すように、加熱部510を透明基材502の裏面側に配置し、インクジェット出射部509に影響を及ぼさないようにすることが好ましい。
着弾したインク液滴により形成された凹凸構造が維持出来る程度に硬化処理を行った透明基材502は、乾燥ゾーン505Bで不要な有機溶媒等を蒸発させた後、更に活性光線照射部506Cで、活性光線を照射して、硬化を完了させる。
活性光線照射部506Cの部分では、20〜120℃に温度制御されたバックロール上の透明基材502に活性光線を照射することが好ましい。
図9(a)、(b)は、透明基材上にインクジェット方式により防眩層を設ける別の工程のフローの例を示す模式図である。第1コーターステーションでハードコート層を塗設乾燥後、半硬化状態のままフィルムを移送し、第2コーターステーションでインク液滴を着弾させ、乾燥後、活性光線照射部506Cにより、20〜120℃に温度制御されたバックロール上の透明基材502に活性光線を照射して、ハードコート層とインク液滴の硬化を完了させる。図9(b)は、複数のインクジェットノズルによりインク液滴を着弾させる模式図である。
尚、図9(a)、(b)共に、第1コーターステーションにおけるハードコート層を塗設せずにフィルムを移送し、フィルム上に直接インク液滴を着弾させ、硬化することも可能である。
本発明のインク液滴を付着させて防眩層を形成する方法は、フィルム基材を1〜200m/min、好ましくは3〜100m/minで移送しながら形成することが好ましい。
インクを着弾させる際の基材フィルムは帯電に斑がないことが好ましく、直前で徐電することが好ましく、あるいは均一に帯電させてもよい。
また、インクを着弾させて形成した凹凸をヘイズ、透過鮮明度などの防眩性を測定し、所定の値であることを確認し、ずれや変動が確認された場合、その結果をフィードバックしてインクの吐出条件や硬化条件を変更して制御することが好ましい。測定は、全ての凹凸を形成し樹脂を硬化させた後に行うことが好ましく、凹凸形成の途中で行ってもよい。例えば、比較的大きな凹凸を形成した後とその後のより微細な凹凸を形成した後の測定を行うことで、さらに適切なフィードバック制御を行うことができる。
本発明では、上記で説明したインクジェット記録装置、画像形成方法に限定されることはなく、この他、特開平9−118024記載のインク吐出量測定方法及びその装置を流用することも好ましく、広い範囲で均一な凹凸を形成することができる。また、特開平10−151748記載のインクジェットヘッド及び反り調整方法を流用することも好ましい。特開2001−260368に記載のインクジェット式記録ヘッドを用いる画像形成装置および画像形成方法を流用することも好ましい。特開2003−136740記載のインクジェットプリンタ及びインクジェット記録方法を流用することも好ましい。特開2003−154671記載のクリーニング機構を備えたインクジェット記録装置を流用することも好ましい。特開2003−165232、特開2003−182092、特開2003−182093、特開2003−182097、特開2003−182098、特開2003−182121、特開2003−191478、特開2003−191479などに記載されているインクジェット記録装置を流用することも好ましい。
更に、特開2003−191594に記載の画像形成方法、インク、記録装置などを流用することが好ましく、特に選択的にインク滴の吐出制御可能な複数のノズルを有する記録ヘッドで、活性光線照射により硬化するインクを吐出する画像形成方法において、記録材料の種類によって、インク着弾後の活性光線照射条件を変えることを特徴とする画像形成方法を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2003−211651記載のインクジェット記録方法、インクジェット記録装置を本発明に流用することも好ましい。
或いは、特開2003−213183記載の放射線硬化性インクジェット用インク及びインクジェット記録方法を本発明に流用することも好ましい。或いは特開2003−231267記載のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2003−237061記載の画像形成方法、インク、記録装置を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2003−251796記載の画像形成方法を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2003−261799記載の活性光線硬化型インク及びそれを用いたインクジェット記録方法を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2003−260790記載の画像形成方法及び記録装置を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2003−276175記載の画像形成方法、記録装置、インクを本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2003−276256記載の画像形成方法、インク及び画像形成装置を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2003−277654記載の画像形成方法、印刷物及び記録装置を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2003−292837記載のインクジェット用インク、画像形成方法を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2003−305839記載の画像形成方法、インク及び記録装置を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2003−312120記載の画像形成方法、及び記録装置を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2003−313464記載の画像形成方法、及び記録装置を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2003−327875記載の画像形成方法、及び記録装置を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2004−9360記載の活性光線硬化型インクジェット記録方法を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2004−25480記載の画像形成方法及びそれに用いるインクジェット記録装置を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2004−34543記載のインクジェットプリンタを本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2004−34545記載のインクジェット記録方法、インク及びインクジェットプリンタを本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2004−51656記載の画像形成方法、印刷物及び記録装置を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2004−51922記載の活性光線硬化型インク、画像形成方法、記録装置を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2004−51923記載の活性光線硬化型インク、画像形成方法、記録装置を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2004−51924記載のインクジェット記録用インクの保存方法及び画像形成方法を本発明に流用することも好ましい。或いは、特開2004−37855記載のインクジェット装置、インク吐出条件を本発明に流用することも好ましい。
次に、本発明に係る防眩性フィルムの基材について説明する。
本発明においては防眩性フィルムの基材として熱可塑性樹脂フィルムを用いることが好ましい。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、セルロースエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリエステルなどが好ましい例として挙げられるがこれらのみに限定されるものではない。これらは溶液流延製膜で作製されたフィルムでも溶融流延で作製されたフィルムであっても好ましく用いられる。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂フィルムは、特にセルロースエステルを主成分とすることが好ましい。以下、熱可塑性樹脂の好ましい例としてセルロースエステルを代表として説明する。
〈セルロースエステル〉
本発明に用いられるセルロースエステルの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnの値は、1.4〜3.0であることが好ましい。尚、本発明においては、セルロースエステルフィルムが、材料として、Mw/Mnの値が1.4〜3.0であるセルロースエステルを含有すればよいが、フィルムに含まれるセルロースエステル(好ましくはセルローストリアセテートまたはセルロースアセテートプロピオネート)全体のMw/Mnの値は1.4〜3.0の範囲であることがより好ましい。セルロースエステルの合成過程で1.4未満とすることは困難であり、ゲル濾過などによって分画することで分子量の揃ったセルロースエステルを得ることは出来る。しかしながらこの方法はコストが著しくかかる。また、3.0以下であると平面性が維持されやすく好ましい。尚、より好ましくは1.7〜2.2である。
本発明に用いられるセルロースエステルの分子量は、数平均分子量(Mn)で80000〜200000のものを用いることが好ましい。100000〜200000のものが更に好ましく、150000〜200000が特に好ましい。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で測定することが出来る。これを用いて数平均分子量、重量平均分子量を算出し、その比(Mw/Mn)を計算することが出来る。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に得ることが好ましい。
本発明に用いられるセルロースエステルは、炭素数2〜22程度の脂肪族カルボン酸エステルまたは芳香族カルボン酸エステル或いは脂肪族カルボン酸エステルと芳香族カルボン酸エステルの混合エステルが好ましく用いられ、特にセルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。具体的には、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートフタレート等や、特開平10−45804号、同8−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることが出来る。上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは混合して用いることも出来る。
セルローストリアセテートの場合には、総アシル基置換度(アセチル基置換度)2.6から2.9のものが好ましく用いられる。
セルローストリアセテート以外で好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜22のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、炭素原子数3〜22のアシル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルである。
式(I) 2.6≦X+Y≦2.9
式(II) 0≦X≦2.5
中でも1.9≦X≦2.5、0.1≦Y≦1.0のセルロースアセテートプロピオネート(総アシル基置換度=X+Y)が好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらは公知の方法で合成することが出来る。
これらアシル基置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することが出来る。
セルロースエステルは綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることが出来る。特に綿花リンター(以下、単にリンターとすることがある)、木材パルプから合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることが好ましい。
また、これらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することが出来る。これらのセルロースエステルは、セルロース原料をアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて常法により反応させて得ることが出来る。
アセチルセルロースの場合、酢化率を上げようとすれば、酢化反応の時間を延長する必要がある。但し、反応時間を余り長くとると分解が同時に進行し、ポリマー鎖の切断やアセチル基の分解などが起り、好ましくない結果をもたらす。従って、酢化度を上げ、分解をある程度抑えるためには反応時間はある範囲に設定することが必要である。反応時間で規定することは反応条件が様々であり、反応装置や設備その他の条件で大きく変わるので適切でない。ポリマーの分解は進むにつれ、分子量分布が広くなってゆくので、セルロースエステルの場合にも、分解の度合いは通常用いられる重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値で規定出来る。即ちセルローストリアセテートの酢化の過程で、余り長過ぎて分解が進み過ぎることがなく、かつ酢化には十分な時間酢化反応を行わせしめるための反応度合いの一つの指標として用いられる重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値を用いることが出来る。
セルロースエステルの製造法の一例を以下に示すと、セルロース原料として綿化リンター100質量部を解砕し、40質量部の酢酸を添加し、36℃で20分間前処理活性化をした。その後、硫酸8質量部、無水酢酸260質量部、酢酸350質量部を添加し、36℃で120分間エステル化を行った。24%酢酸マグネシウム水溶液11質量部で中和した後、63℃で35分間ケン化熟成し、アセチルセルロースを得た。これを10倍の酢酸水溶液(酢酸:水=1:1(質量比))を用いて、室温で160分間攪拌した後、濾過、乾燥させてアセチル置換度2.75の精製アセチルセルロースを得た。このアセチルセルロースはMnが92000、Mwが156000、Mw/Mnは1.7であった。同様にセルロースエステルのエステル化条件(温度、時間、攪拌)、加水分解条件を調整することによって置換度、Mw/Mn比の異なるセルロースエステルを合成することが出来る。
尚、合成されたセルロースエステルは、精製して低分子量成分を除去したり、未酢化または低酢化度の成分を濾過で取り除くことも好ましく行われる。
また、混酸セルロースエステルの場合には、特開平10−45804号公報に記載の方法で得ることが出来る。アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することが出来る。
また、セルロースエステルは、セルロースエステル中の微量金属成分によっても影響を受ける。これらは製造工程で使われる水に関係していると考えられるが、不溶性の核となり得るような成分は少ない方が好ましく、鉄、カルシウム、マグネシウム等の金属イオンは、有機の酸性基を含んでいる可能性のあるポリマー分解物等と塩形成する事により不溶物を形成する場合があり、少ないことが好ましい。鉄(Fe)成分については、1ppm以下であることが好ましい。カルシウム(Ca)成分については、地下水や河川の水等に多く含まれ、これが多いと硬水となり、飲料水としても不適当であるが、カルボン酸や、スルホン酸等の酸性成分と、また多くの配位子と配位化合物即ち、錯体を形成し易く、多くの不溶なカルシウムに由来するスカム(不溶性の澱、濁り)を形成する。
カルシウム(Ca)成分は60ppm以下、好ましくは0〜30ppmである。マグネシウム(Mg)成分については、やはり多過ぎると不溶分を生ずるため、0〜70ppmであることが好ましく、特に0〜20ppmであることが好ましい。鉄(Fe)分の含量、カルシウム(Ca)分含量、マグネシウム(Mg)分含量等の金属成分は、絶乾したセルロースエステルをマイクロダイジェスト湿式分解装置(硫硝酸分解)、アルカリ溶融で前処理を行った後、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて分析を行うことによって求めることが出来る。
本発明で用いられるセルロースエステルフィルムの屈折率は550nmで1.45〜1.60であるものが好ましく用いられる。フィルムの屈折率の測定方法は、アッベ屈折率計を使用し、日本工業規格JIS K 7105に基づき測定する。また後述する反射防止層の各層の屈折率は各層ごとに塗布した薄膜の5°正反射の反射スペクトルから算出する。
セルロースエステルの分子量が大きく、分子量の分布が少ないと、活性線硬化樹脂層を塗布する際に、添加されている可塑剤や紫外線吸収剤が溶出しにくくなるものと推測される。この効果は延伸によってセルロースエステル分子が面内方向に配向することで更に顕著になるものと推測している。セルロースエステルの総アシル基置換度が2.6〜2.9の範囲にあることも好ましく、適度な割合で未置換の水酸基がセルロース主鎖に残っていることも水素結合等によって可塑剤や紫外線吸収剤の溶出を防止し、平面性を維持するのに寄与しているものと考えられる。使用する可塑剤は特に限定はされないが、少なくとも2種の可塑剤を含有することが好ましい。その際に、従来、一般的に使用されているリン酸エステル系の可塑剤は実質的に含有しないことがより好ましい。実質的に含有しないとは、セルロースエステルフィルム中の固形分総量に対し、リン酸エステル系の可塑剤の含有量が1質量%未満であることであることを意味し、好ましくは0.1質量%未満であり、0質量%(検出限界以下)であることが特に好ましい。
特に好ましくは、可塑剤の少なくとも1種が多価アルコールエステル系可塑剤であることが他の可塑剤の溶出も防止していると考えられ、単独で用いる場合よりも効果的である。
〈可塑剤〉
可塑剤は特に限定されないが、好ましくは、多価アルコールエステル系可塑剤、フタル酸エステル、クエン酸エステル、脂肪酸エステル、グリコレート系可塑剤、多価カルボン酸エステル等から選択される可塑剤を少なくとも1種含むことが好ましい。そのうち、少なくとも1種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に用いられる多価アルコールは次の一般式(1)で表される。
一般式(1) R1−(OH)n
但し、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/またはフェノール性水酸基を表す。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることが出来る。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
本発明の多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることが出来る。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることが出来る。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることが出来る。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
Figure 2005300576
Figure 2005300576
Figure 2005300576
Figure 2005300576
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることが出来る。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル系可塑剤も好ましく用いることが出来る。具体的には特開2002−265639号公報の段落番号[0015]〜[0020]記載の多価カルボン酸エステルを可塑剤の一つとして添加することが好ましい。
リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
本発明で用いられるセルロースエステルフィルムは、少なくとも2種の可塑剤を含有することが好ましい。また、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤を実質的に含有しないことが好ましい。「実質的に含有しない」とはリン酸エステル系可塑剤の含有量が1質量%未満、好ましくは0.1質量%であり、特に好ましいのは添加していないことである。
2種以上の可塑剤を含有させることによって、可塑剤の溶出を少なくすることが出来る。その理由は明らかではないが、1種類当たりの添加量を減らすことが出来ることと、2種の可塑剤同志及びセルロースエステルとの相互作用によって溶出が抑制されるものと思われる。
セルロースエステルフィルム中の可塑剤の総含有量は、固形分総量に対し、5〜30質量%含有させることが好ましい。更に5〜20質量%が好ましく、6〜16質量%がより好ましく、特に好ましくは8〜13質量%である。また、2種の可塑剤の含有量は各々少なくとも1質量%以上であり、好ましくは各々2質量%以上含有することである。
多価アルコールエステル系可塑剤は1〜12質量%含有することが好ましく、特に3〜11質量%含有することが好ましい。少ないと平面性の劣化が認められ、多過ぎるとブリードアウトがしやすい。多価アルコールエステル系可塑剤とその他の可塑剤との質量比率は1:4〜4:1の範囲であることが好ましく、1:3〜3:1であることが更に好ましい。可塑剤の添加量が多過ぎても、また少な過ぎてもフィルムが変形し易く好ましくない。
〈紫外線吸収剤〉
本発明に係るセルロースエステルフィルムは紫外線吸収剤を含有することが好ましい。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下となるように添加されていることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等があり、また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328等のチヌビン類があり、これらはいずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の市販品であり好ましく使用出来る。
例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては前記一般式(1)で示された化合物を好ましく用いることが出来る。更に、本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤やトリアジン系紫外線吸収剤である。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては前記一般式(2)で表される化合物が好ましく用いられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、1,3,5−トリアジン環を有する化合物が好ましく用いられ、中でも、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
Figure 2005300576
一般式(I)において、X1は、単結合、−NR4−、−O−または−S−であり;X2は単結合、−NR5−、−O−または−S−であり;X3は単結合、−NR6−、−O−または−S−であり;R1、R2及びR3はアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基であり;そして、R4、R5及びR6は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。一般式(I)で表される化合物は、メラミン化合物であることが特に好ましい。
メラミン化合物では、一般式(I)において、X1、X2及びX3が、それぞれ、−NR4−、−NR5−及び−NR6−であるか、或いは、X1、X2及びX3が単結合であり、かつ、R1、R2及びR3が窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基である。−X1−R1、−X2−R2及び−X3−R3は、同一の置換基であることが好ましい。R1、R2及びR3は、アリール基であることが特に好ましい。R4、R5及びR6は、水素原子であることが特に好ましい。
上記アルキル基は、環状アルキル基よりも鎖状アルキル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基の方が好ましい。
アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが更にまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよい。
置換基の具体例としては、例えばハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ等の各基)及びアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)等が挙げられる。上記アルケニル基は、環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基の方が好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることが更に好ましく、2〜8であることが更にまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は、置換基を有していてもよい。
置換基の具体例としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ等の各基)またはアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等の各基)が挙げられる。
上記アリール基は、フェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。アリール基は置換基を有していてもよい。
置換基の具体例としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基及びアシル基が含まれる。上記アルキル基は、前述したアルキル基と同義である。
アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルキル置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基とアシル基のアルキル部分も、前述したアルキル基と同義である。
上記アルケニル基は、前述したアルケニル基と同義である。
アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシカルボニル基、アルケニル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルケニル置換カルバモイル基、アミド基、アルケニルチオ基及びアシル基のアルケニル部分も、前述したアルケニル基と同義である。
上記アリール基の具体例としては、例えば、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−メトキシフェニル、3,4−ジエトキシフェニル、4−オクチルオキシフェニルまたは4−ドデシルオキシフェニル等の各基が挙げられる。
アリールオキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アリールチオ基及びアシル基の部分の例は、上記アリール基と同義である。
1、X2またはX3が−NR−、−O−または−S−である場合の複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。
芳香族性を有する複素環基中の複素環としては、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることが更に好ましく、6員環であることが最も好ましい。
複素環中のヘテロ原子は、N、SまたはO等の各原子であることが好ましく、N原子であることが特に好ましい。
芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、例えば、2−ピリジルまたは4−ピリジル等の各基)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。
1、X2またはX3が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることが更に好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。
また、複素環基中のヘテロ原子は、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、O原子、S原子)を有していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の具体例は、上記アリール部分の置換基の具体例と同義である。
以下に、窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基の具体例を示す。
Figure 2005300576
Figure 2005300576
1,3,5−トリアジン環を有する化合物の分子量は、300〜2000であることが好ましい。該化合物の沸点は、260℃以上であることが好ましい。沸点は、市販の測定装置(例えば、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製)を用いて測定出来る。
以下に、1,3,5−トリアジン環を有する化合物の具体例を示す。
尚、以下に示す複数のRは同一の基を表す。
Figure 2005300576
(1)ブチル
(2)2−メトキシ−2−エトキシエチル
(3)5−ウンデセニル
(4)フェニル
(5)4−エトキシカルボニルフェニル
(6)4−ブトキシフェニル
(7)p−ビフェニリル
(8)4−ピリジル
(9)2−ナフチル
(10)2−メチルフェニル
(11)3,4−ジメトキシフェニル
(12)2−フリル
Figure 2005300576
Figure 2005300576
(14)フェニル
(15)3−エトキシカルボニルフェニル
(16)3−ブトキシフェニル
(17)m−ビフェニリル
(18)3−フェニルチオフェニル
(19)3−クロロフェニル
(20)3−ベンゾイルフェニル
(21)3−アセトキシフェニル
(22)3−ベンゾイルオキシフェニル
(23)3−フェノキシカルボニルフェニル
(24)3−メトキシフェニル
(25)3−アニリノフェニル
(26)3−イソブチリルアミノフェニル
(27)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(28)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(29)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(30)3−メチルフェニル
(31)3−フェノキシフェニル
(32)3−ヒドロキシフェニル
(33)4−エトキシカルボニルフェニル
(34)4−ブトキシフェニル
(35)p−ビフェニリル
(36)4−フェニルチオフェニル
(37)4−クロロフェニル
(38)4−ベンゾイルフェニル
(39)4−アセトキシフェニル
(40)4−ベンゾイルオキシフェニル
(41)4−フェノキシカルボニルフェニル
(42)4−メトキシフェニル
(43)4−アニリノフェニル
(44)4−イソブチリルアミノフェニル
(45)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(46)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(47)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(48)4−メチルフェニル
(49)4−フェノキシフェニル
(50)4−ヒドロキシフェニル
(51)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(52)3,4−ジブトキシフェニル
(53)3,4−ジフェニルフェニル
(54)3,4−ジフェニルチオフェニル
(55)3,4−ジクロロフェニル
(56)3,4−ジベンゾイルフェニル
(57)3,4−ジアセトキシフェニル
(58)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(59)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(60)3,4−ジメトキシフェニル
(61)3,4−ジアニリノフェニル
(62)3,4−ジメチルフェニル
(63)3,4−ジフェノキシフェニル
(64)3,4−ジヒドロキシフェニル
(65)2−ナフチル
(66)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(67)3,4,5−トリブトキシフェニル
(68)3,4,5−トリフェニルフェニル
(69)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(70)3,4,5−トリクロロフェニル
(71)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(72)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(73)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(74)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(75)3,4,5−トリメトキシフェニル
(76)3,4,5−トリアニリノフェニル
(77)3,4,5−トリメチルフェニル
(78)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(79)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
Figure 2005300576
(80)フェニル
(81)3−エトキシカルボニルフェニル
(82)3−ブトキシフェニル
(83)m−ビフェニリル
(84)3−フェニルチオフェニル
(85)3−クロロフェニル
(86)3−ベンゾイルフェニル
(87)3−アセトキシフェニル
(88)3−ベンゾイルオキシフェニル
(89)3−フェノキシカルボニルフェニル
(90)3−メトキシフェニル
(91)3−アニリノフェニル
(92)3−イソブチリルアミノフェニル
(93)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(94)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(95)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(96)3−メチルフェニル
(97)3−フェノキシフェニル
(98)3−ヒドロキシフェニル
(99)4−エトキシカルボニルフェニル
(100)4−ブトキシフェニル
(101)p−ビフェニリル
(102)4−フェニルチオフェニル
(103)4−クロロフェニル
(104)4−ベンゾイルフェニル
(105)4−アセトキシフェニル
(106)4−ベンゾイルオキシフェニル
(107)4−フェノキシカルボニルフェニル
(108)4−メトキシフェニル
(109)4−アニリノフェニル
(110)4−イソブチリルアミノフェニル
(111)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(112)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(113)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(114)4−メチルフェニル
(115)4−フェノキシフェニル
(116)4−ヒドロキシフェニル
(117)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(118)3,4−ジブトキシフェニル
(119)3,4−ジフェニルフェニル
(120)3,4−ジフェニルチオフェニル
(121)3,4−ジクロロフェニル
(122)3,4−ジベンゾイルフェニル
(123)3,4−ジアセトキシフェニル
(124)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(125)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(126)3,4−ジメトキシフェニル
(127)3,4−ジアニリノフェニル
(128)3,4−ジメチルフェニル
(129)3,4−ジフェノキシフェニル
(130)3,4−ジヒドロキシフェニル
(131)2−ナフチル
(132)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(133)3,4,5−トリブトキシフェニル
(134)3,4,5−トリフェニルフェニル
(135)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(136)3,4,5−トリクロロフェニル
(137)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(138)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(139)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(140)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(141)3,4,5−トリメトキシフェニル
(142)3,4,5−トリアニリノフェニル
(143)3,4,5−トリメチルフェニル
(144)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(145)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
Figure 2005300576
(146)フェニル
(147)4−エトキシカルボニルフェニル
(148)4−ブトキシフェニル
(149)p−ビフェニリル
(150)4−フェニルチオフェニル
(151)4−クロロフェニル
(152)4−ベンゾイルフェニル
(153)4−アセトキシフェニル
(154)4−ベンゾイルオキシフェニル
(155)4−フェノキシカルボニルフェニル
(156)4−メトキシフェニル
(157)4−アニリノフェニル
(158)4−イソブチリルアミノフェニル
(159)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(160)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(161)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(162)4−メチルフェニル
(163)4−フェノキシフェニル
(164)4−ヒドロキシフェニル
Figure 2005300576
(165)フェニル
(166)4−エトキシカルボニルフェニル
(167)4−ブトキシフェニル
(168)p−ビフェニリル
(169)4−フェニルチオフェニル
(170)4−クロロフェニル
(171)4−ベンゾイルフェニル
(172)4−アセトキシフェニル
(173)4−ベンゾイルオキシフェニル
(174)4−フェノキシカルボニルフェニル
(175)4−メトキシフェニル
(176)4−アニリノフェニル
(177)4−イソブチリルアミノフェニル
(178)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(179)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(180)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(181)4−メチルフェニル
(182)4−フェノキシフェニル
(183)4−ヒドロキシフェニル
Figure 2005300576
(184)フェニル
(185)4−エトキシカルボニルフェニル
(186)4−ブトキシフェニル
(187)p−ビフェニリル
(188)4−フェニルチオフェニル
(189)4−クロロフェニル
(190)4−ベンゾイルフェニル
(191)4−アセトキシフェニル
(192)4−ベンゾイルオキシフェニル
(193)4−フェノキシカルボニルフェニル
(194)4−メトキシフェニル
(195)4−アニリノフェニル
(196)4−イソブチリルアミノフェニル
(197)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(198)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(199)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(200)4−メチルフェニル
(201)4−フェノキシフェニル
(202)4−ヒドロキシフェニル
Figure 2005300576
(203)フェニル
(204)4−エトキシカルボニルフェニル
(205)4−ブトキシフェニル
(206)p−ビフェニリル
(207)4−フェニルチオフェニル
(208)4−クロロフェニル
(209)4−ベンゾイルフェニル
(210)4−アセトキシフェニル
(211)4−ベンゾイルオキシフェニル
(212)4−フェノキシカルボニルフェニル
(213)4−メトキシフェニル
(214)4−アニリノフェニル
(215)4−イソブチリルアミノフェニル
(216)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(217)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(218)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(219)4−メチルフェニル
(220)4−フェノキシフェニル
(221)4−ヒドロキシフェニル
Figure 2005300576
(222)フェニル
(223)4−ブチルフェニル
(224)4−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(225)4−(5−ノネニル)フェニル
(226)p−ビフェニリル
(227)4−エトキシカルボニルフェニル
(228)4−ブトキシフェニル
(229)4−メチルフェニル
(230)4−クロロフェニル
(231)4−フェニルチオフェニル
(232)4−ベンゾイルフェニル
(233)4−アセトキシフェニル
(234)4−ベンゾイルオキシフェニル
(235)4−フェノキシカルボニルフェニル
(236)4−メトキシフェニル
(237)4−アニリノフェニル
(238)4−イソブチリルアミノフェニル
(239)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(240)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(241)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(242)4−フェノキシフェニル
(243)4−ヒドロキシフェニル
(244)3−ブチルフェニル
(245)3−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(246)3−(5−ノネニル)フェニル
(247)m−ビフェニリル
(248)3−エトキシカルボニルフェニル
(249)3−ブトキシフェニル
(250)3−メチルフェニル
(251)3−クロロフェニル
(252)3−フェニルチオフェニル
(253)3−ベンゾイルフェニル
(254)3−アセトキシフェニル
(255)3−ベンゾイルオキシフェニル
(256)3−フェノキシカルボニルフェニル
(257)3−メトキシフェニル
(258)3−アニリノフェニル
(259)3−イソブチリルアミノフェニル
(260)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(261)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(262)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(263)3−フェノキシフェニル
(264)3−ヒドロキシフェニル
(265)2−ブチルフェニル
(266)2−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(267)2−(5−ノネニル)フェニル
(268)o−ビフェニリル
(269)2−エトキシカルボニルフェニル
(270)2−ブトキシフェニル
(271)2−メチルフェニル
(272)2−クロロフェニル
(273)2−フェニルチオフェニル
(274)2−ベンゾイルフェニル
(275)2−アセトキシフェニル
(276)2−ベンゾイルオキシフェニル
(277)2−フェノキシカルボニルフェニル
(278)2−メトキシフェニル
(279)2−アニリノフェニル
(280)2−イソブチリルアミノフェニル
(281)2−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(282)2−(3−エチルウレイド)フェニル
(283)2−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(284)2−フェノキシフェニル
(285)2−ヒドロキシフェニル
(286)3,4−ジブチルフェニル
(287)3,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(288)3,4−ジフェニルフェニル
(289)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(290)3,4−ジドデシルオキシフェニル
(291)3,4−ジメチルフェニル
(292)3,4−ジクロロフェニル
(293)3,4−ジベンゾイルフェニル
(294)3,4−ジアセトキシフェニル
(295)3,4−ジメトキシフェニル
(296)3,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(297)3,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(298)3,4−ジフェノキシフェニル
(299)3,4−ジヒドロキシフェニル
(300)3,5−ジブチルフェニル
(301)3,5−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(302)3,5−ジフェニルフェニル
(303)3,5−ジエトキシカルボニルフェニル
(304)3,5−ジドデシルオキシフェニル
(305)3,5−ジメチルフェニル
(306)3,5−ジクロロフェニル
(307)3,5−ジベンゾイルフェニル
(308)3,5−ジアセトキシフェニル
(309)3,5−ジメトキシフェニル
(310)3,5−ジ−N−メチルアミノフェニル
(311)3,5−ジイソブチリルアミノフェニル
(312)3,5−ジフェノキシフェニル
(313)3,5−ジヒドロキシフェニル
(314)2,4−ジブチルフェニル
(315)2,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(316)2,4−ジフェニルフェニル
(317)2,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(318)2,4−ジドデシルオキシフェニル
(319)2,4−ジメチルフェニル
(320)2,4−ジクロロフェニル
(321)2,4−ジベンゾイルフェニル
(322)2,4−ジアセトキシフェニル
(323)2,4−ジメトキシフェニル
(324)2,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(325)2,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(326)2,4−ジフェノキシフェニル
(327)2,4−ジヒドロキシフェニル
(328)2,3−ジブチルフェニル
(329)2,3−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(330)2,3−ジフェニルフェニル
(331)2,3−ジエトキシカルボニルフェニル
(332)2,3−ジドデシルオキシフェニル
(333)2,3−ジメチルフ ェニル
(334)2,3−ジクロロフェニル
(335)2,3−ジベンゾイルフェニル
(336)2,3−ジアセトキシフェニル
(337)2,3−ジメトキシフェニル
(338)2,3−ジ−N−メチルアミノフェニル
(339)2,3−ジイソブチリルアミノフェニル
(340)2,3−ジフェノキシフェニル
(341)2,3−ジヒドロキシフェニル
(342)2,6−ジブチルフェニル
(343)2,6−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(344)2,6−ジフェニルフェニル
(345)2,6−ジエトキシカルボニルフェニル
(346)2,6−ジドデシルオキシフェニル
(347)2,6−ジメチルフェニル
(348)2,6−ジクロロフェニル
(349)2,6−ジベンゾイルフェニル
(350)2,6−ジアセトキシフェニル
(351)2,6−ジメトキシフェニル
(352)2,6−ジ−N−メチルアミノフェニル
(353)2,6−ジイソブチリルアミノフェニル
(354)2,6−ジフェノキシフェニル
(355)2,6−ジヒドロキシフェニル
(356)3,4,5−トリブチルフェニル
(357)3,4,5−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(358)3,4,5−トリフェニルフェニル
(359)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(360)3,4,5−トリドデシルオキシフェニル
(361)3,4,5−トリメチルフェニル
(362)3,4,5−トリクロロフェニル
(363)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(364)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(365)3,4,5−トリメトキシフェニル
(366)3,4,5−トリ−N−メチルアミノフェニル
(367)3,4,5−トリイソブチリルアミノフェニル
(368)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(369)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
(370)2,4,6−トリブチルフェニル
(371)2,4,6−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(372)2,4,6−トリフェニルフェニル
(373)2,4,6−トリエトキシカルボニルフェニル
(374)2,4,6−トリドデシルオキシフェニル
(375)2,4,6−トリメチルフェニル
(376)2,4,6−トリクロロフェニル
(377)2,4,6−トリベンゾイルフェニル
(378)2,4,6−トリアセトキシフェニル
(379)2,4,6−トリメトキシフェニル
(380)2,4,6−トリ−N−メチルアミノフェニル
(381)2,4,6−トリイソブチリルアミノフェニル
(382)2,4,6−トリフェノキシフェニル
(383)2,4,6−トリヒドロキシフェニル
(384)ペンタフルオロフェニル
(385)ペンタクロロフェニル
(386)ペンタメトキシフェニル
(387)6−N−メチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(388)5−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(389)6−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(390)5−エトキシ−7−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(391)3−メトキシ−2−ナフチル
(392)1−エトキシ−2−ナフチル
(393)6−N−フェニルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(394)5−メトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(395)1−(4−メチルフェニル)−2−ナフチル
(396)6,8−ジ−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(397)6−N−2−アセトキシエチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(398)5−アセトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(399)3−ベンゾイルオキシ−2−ナフチル
(400)5−アセチルアミノ−1−ナフチル
(401)2−メトキシ−1−ナフチル
(402)4−フェノキシ−1−ナフチル
(403)5−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(404)3−N−メチルカルバモイル−4−ヒドロキシ−1−ナフチル
(405)5−メトキシ−6−N−エチルスルファモイル−1−ナフチル
(406)7−テトラデシルオキシ−1−ナフチル
(407)4−(4−メチルフェノキシ)−1−ナフチル
(408)6−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(409)3−N,N−ジメチルカルバモイル−4−メトキシ−1−ナフチル
(410)5−メトキシ−6−N−ベンジルスルファモイル−1−ナフチル
(411)3,6−ジ−N−フェニルスルファモイル−1−ナフチル
(412)メチル
(413)エチル
(414)ブチル
(415)オクチル
(416)ドデシル
(417)2−ブトキシ−2−エトキシエチル
(418)ベンジル
(419)4−メトキシベンジル
Figure 2005300576
(424)メチル
(425)フェニル
(426)ブチル
Figure 2005300576
(430)メチル
(431)エチル
(432)ブチル
(433)オクチル
(434)ドデシル
(435)2−ブトキシ2−エトキシエチル
(436)ベンジル
(437)4−メトキシベンジル
Figure 2005300576
Figure 2005300576
本発明においては、1,3,5−トリアジン環を有する化合物として、メラミンポリマーを用いてもよい。メラミンポリマーは、下記一般式(II)で示すメラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応により合成することが好ましい。
Figure 2005300576
上記合成反応スキームにおいて、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。
上記アルキル基、アルケニル基、アリール基及び複素環基及びこれらの置換基は前記一般式(I)で説明した各基、それらの置換基と同義である。
メラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応は、通常のメラミン樹脂(例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂等)の合成方法と同様である。また、市販のメラミンポリマー(メラミン樹脂)を用いてもよい。
メラミンポリマーの分子量は、2千〜40万であることが好ましい。メラミンポリマーの繰り返し単位の具体例を以下に示す。
Figure 2005300576
MP−1:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−2:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−3:R13、R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−4:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−5:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−6:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−7:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−8:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−9:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−10:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
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MP−13:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
MP−14:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−i−C49
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Figure 2005300576
MP−51:R13、R14、R15、R16:CH2OH
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MP−54:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
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MP−99:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−100:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
Figure 2005300576
MP−101:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−102:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
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MP−104:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
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MP−106:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
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MP−108:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
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MP−131:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−132:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−133:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O−n−C49
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MP−136:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−137:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−138:R13、R16:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH
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MP−142:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−143:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
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MP−145:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−146:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
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Figure 2005300576
MP−151:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−152:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
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MP−155:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−156:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−157:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−158:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−159:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−160:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
MP−161:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3
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MP−165:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−i−C49
MP−166:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
MP−167:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−i−C49
MP−168:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
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MP−186:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−187:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−188:R13、R16:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH
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MP−198:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−199:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−200:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
本発明においては、上記繰り返し単位を二種類以上組み合わせたコポリマーを用いてもよい。二種類以上のホモポリマーまたはコポリマーを併用してもよい。
また、二種類以上の1,3,5−トリアジン環を有する化合物を併用してもよい。二種類以上の円盤状化合物(例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とポルフィリン骨格を有する化合物)を併用してもよい。
これらの添加剤はセルロースエステルフィルムに対して0.2〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%含有することが好ましい。
また、特開2001−235621の一般式(I)で示されているトリアジン系化合物も本発明に係るセルロースエステルフィルムに好ましく用いられる。
本発明に係るセルロースエステルフィルムは紫外線吸収剤を2種以上を含有することが好ましい。
また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることが出来、特に特開平6−148430号記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒或いはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、セルロースエステルフィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、セルロースエステルフィルムに対して0.5〜10質量%が好ましく、0.5〜4質量%が更に好ましく、0.6〜2質量%が特に好ましい。
〈微粒子〉
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムには、微粒子を含有することが好ましい。
本発明に使用される微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、酸化アンチモン或いはこれらの複合酸化物、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることが出来る。微粒子は珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均径は5nm〜1μmが好ましく、更に好ましいのは5〜50nmである。これらは主に粒径0.05〜1μm好ましくは0.05〜0.3μmの一次粒子若しくは2次凝集体として含有されることが好ましい。セルロースエステルフィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.01〜10質量%であることが好ましく、特に0.1〜1質量%が好ましい。共流延法による多層構成のセルロースエステルフィルムの場合は、表層にこれらの微粒子を含有することが好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。
ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、架橋アクリル樹脂及び架橋ポリスチレン樹脂を挙げることが出来る。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vがセルロースエステルフィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明で用いられるセルロースエステルフィルムにおいては活性線硬化樹脂層の裏面側の動摩擦係数が1.0以下であることが好ましく、0.1〜0.8であることが更に好ましい。また、活性線硬化樹脂層を設ける面の動摩擦係数が1.0以下であることが好ましい。また、これらの微粒子は摩擦係数を下げる以外に、内部散乱効果を付与することを目的として添加することも出来る。
〈染料〉
本発明で用いられるセルロースエステルフィルムには、色味調整のため染料を添加することも出来る。例えば、フィルムの黄色味を抑えるために青色染料を添加してもよい。好ましい染料としてはアンスラキノン系染料が挙げられる。
アンスラキノン系染料は、アンスラキノンの1位から8位迄の任意の位置に任意の置換基を有することが出来る。好ましい置換基としてはアニリノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、または水素原子が挙げられる。特に特開2001−154017号公報の段落番号[0034]〜[0037]記載の青色染料、特にアントラキノン系染料を含有することが好ましい。又、赤外吸収染料を含有することが好ましく、特に特開2001−154017号公報のチオピリリウムスクアリリウム染料、チオピリリウムクロコニウム染料、ピリリウムスクアリリウム染料、ピリリウムクロコニウム染料の内のいずれかであることが好ましい。具体的には該公報の一般式(1)若しくは一般式(2)で示されている赤外吸収染料を好ましく添加することが出来る。
各種添加剤は製膜前のセルロースエステル含有溶液であるドープにバッチ添加してもよいし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加してもよい。特に微粒子は濾過材への負荷を減らすために、一部または全量をインライン添加することが好ましい。
添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープとの混合性をよくするため、少量のセルロースエステルを溶解するのが好ましい。好ましいセルロースエステルの量は、溶剤100質量部に対して1〜10質量部で、より好ましくは、3〜5質量部である。
本発明においてインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。
〈セルロースエステルフィルムの製造方法〉
次に、本発明に用いられるセルロースエステルフィルムの製造方法について説明する。
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムの製造は、セルロースエステル及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状若しくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻き取る工程により行われる。
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減出来て好ましいが、セルロースエステルの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
本発明のドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。その為、セルロースエステルのアシル基置換度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶剤となる。
本発明に用いられる良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
上記記載のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることが出来る。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱出来る。溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤或いは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
若しくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステルを溶解させることが出来る。
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することが出来るが、ポリプロピレン、テフロン(R)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間にセルロースエステルフィルムを置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm2以下であることが好ましい。より好ましくは100個/cm2以下であり、更に好ましくは50個/m2以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm2以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことが出来るが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
ここで、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることが出来る。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速く出来るので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。或いは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。鋳型で凹凸を形成する際にフィルム中に含まれる残留溶媒量は150〜0.1質量%が好ましく、更に好ましくは80〜0.1質量%が好ましく、更に好ましくは40〜0.1質量%であり、特に10〜0.1質量%が好ましい。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
本発明の防眩性フィルム用のセルロースエステルフィルムを作製するためには、金属支持体より剥離した直後のウェブの残留溶剤量の多いところで搬送方向に延伸し(MD延伸)、更にウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向に延伸を行うことが好ましい。縦方向、横方向ともに好ましい延伸倍率は1.05〜1.3倍であり、1.05〜1.15倍が更に好ましい。縦方向及び横方向延伸により面積が1.12倍〜1.44倍となっていることが好ましく、1.15倍〜1.32倍となっていることが好ましい。これは縦方向の延伸倍率×横方向の延伸倍率で求めることが出来る。
剥離直後に縦方向に延伸するために、剥離張力及びその後の搬送張力によって延伸することが好ましい。例えば剥離張力を210N/m以上で剥離することが好ましく、特に好ましくは220〜300N/mである。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことが出来るが、簡便さの点で熱風で行うことが好ましい。
ウェブの乾燥工程における乾燥温度は30〜180℃で段階的に高くしていくことが好ましく、50〜140℃の範囲で行うことが寸法安定性を良くするため更に好ましい。
セルロースエステルフィルムの膜厚は、特に限定はされないが10〜200μmが好ましく用いられる。特に10〜70μmの薄膜フィルムでは平面性と硬度に優れた防眩性フィルムを得ることが困難であったが、本発明によれば、平面性と硬度に優れた薄膜の防眩性フィルムが得られ、また生産性にも優れているため、セルロースエステルフィルムの膜厚は10〜70μmであることが特に好ましい。更に好ましくは20〜70μmである。最も好ましくは35〜70μmである。
セルロースエステルフィルムの膜厚の変動は幅方向、長手方向とも±3%以内が好ましく、更に好ましくは±2%以内であり、特に好ましくは±0.5%以内である。
本発明の防眩フィルムは、幅1〜4mのものが好ましく用いられる。また、セルロースエステルフィルムのハードコート層を設ける面の凹凸はJIS B0601で規定される中心線平均粗さ(Ra)が0.01〜1μmであることが好ましい。
〈物性〉
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムの透湿度は、40℃、90%RHで850g/m2・24h以下であり、好ましくは20〜800g/m2・24hであり、20〜750g/m2・24hであることが特に好ましい。透湿度はJIS Z0208に記載の方法に従い測定することが出来る。
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムは下記測定による破断伸度は10〜80%であることが好ましく20〜50%であることが更に好ましい。
(破断点伸度の測定)
任意の残留溶媒を含むフィルムを試料幅を10mm、長さ130mmに切り出し、23℃、55%RHで24時間保管した試料を、チャック間距離100mmにして引っ張り速度100mm/分で引っ張り試験を行い求めることが出来る。
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムの下記測定による可視光透過率は90%以上であることが好ましく、93%以上であることが更に好ましい。
(透過率の測定)
透過率Tは、分光高度計U−3400(日立製作所(株))を用い、各試料を350〜700nmの波長領域で10nmおきに求めた分光透過率τ(λ)から、380、400、500nmの透過率を算出することが出来る。
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムの下記測定によるヘイズは10%未満であることが好ましく、1%未満であることが更に好ましく、0〜0.1%であることが特に好ましい。可視光の透過率は90%以上が好ましく、より好ましく92%以上であり、更に94%以上であることが好ましい。
(ヘイズ値)
JIS K7105に従って、ヘイズメーター(1001DP型、日本電色工業(株)製)を用いて測定し、透明性の指標とすることが出来る。
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムの面内レターデーション値(Ro)が0〜70nm以下であることが好ましい。より好ましくは0〜30nm以下であリ、より好ましくは0〜10nm以下である。膜厚方向のレターデーション値(Rt)は、0〜400nmであることが好ましく、10〜200nmであることが好ましく、更に30〜150nmであることが好ましい。
レターデーション値(Ro)(Rt)は以下の式によって求めることが出来る。
Ro=(nx−ny)×d
Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
ここにおいて、dはフィルムの厚み(nm)、屈折率nx(フィルムの面内の最大の屈折率、遅相軸方向の屈折率ともいう)、ny(フィルム面内で遅相軸に直角な方向の屈折率)、nz(厚み方向におけるフィルムの屈折率)である。
尚、レターデーション値(Ro)、(Rt)、遅相軸角度は自動複屈折率計を用いて測定することが出来る。例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmで求めることが出来る。
また、遅相軸はフィルムの幅手方向±1°若しくは長尺方向±1°にあることが好ましい。
本発明では、共流延または逐次流延若しくは塗布によって2層以上の多層構成とした熱可塑性樹脂フィルムを用いてもよい。
また、特開2000−352620号公報段落番号[0036]〜[0105]記載のセルロースエステルフィルムも好ましく用いることが出来る。或いは特開2004−29199号公報段落番号[0013]〜[0124]記載のセルロースエステルフィルムも好ましく用いられる。
〈ハードコート層〉
本発明は前記熱可塑性樹脂フィルム上にハードコート層を塗設することが好ましい。ハードコート層は、活性線硬化樹脂及び微粒子を含有するハードコート層であることが好ましい。これにより十分な防眩効果を発揮し、かつ優れた透過鮮明度を示す防眩性反射防止フィルムを作製することが出来る。
微粒子としては無機粒子及び有機粒子が挙げられる。
本発明に使用することが出来る無機微粒子としては酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム或いはこれらの複合酸化物等を挙げることが出来る。
これらの内で、酸化珪素、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、ITO、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン或いはこれらの複合酸化物等が好ましく用いられる。
有機微粒子としては、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、シリコン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、メラミン系樹脂、更にポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ弗化エチレン系樹脂等が使用出来る。特に好ましくは導電性微粒子を含有することである。
粒径は5nm〜10μmの微粒子が用いられるが、5nm〜5μmの粒子が好ましい。特にハードコート層の平均膜厚よりも直径の大きな粒子はぎらつきを増加させることがあり、添加量を少なくするか、全く含有しないことが好ましい。本発明によれば大きな粒子を含有させなくても優れた防眩性を得ることが出来る。特に好ましくは5nm〜1μmの粒子を含有することである。異なる組成、粒径、屈折率の微粒子を組み合わせて用いることも出来る。例えば、酸化珪素と酸化ジルコニウム或いは酸化珪素とITO微粒子を組み合わせて用いることが出来る。
活性線硬化樹脂とは紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。例えば、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させてハードコート層が形成される。活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る。例えば、特開昭59−151110号に記載のものを用いることが出来る。
例えば、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることが出来、特開昭59−151112号に記載のものを用いることが出来る。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることが出来、特開平1−105738号に記載のものを用いることが出来る。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
これら紫外線硬化性樹脂の光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及びその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来る。光増感剤と共に使用してもよい。上記光反応開始剤も光増感剤として使用出来る。また、エポキシアクリレート系の光反応開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来る。例えば、イルガキュア184、イルガキュア907(チバスペシャルティケミカルズ社製)などの市販品が好ましく用いられる。紫外線硬化樹脂組成物に用いられる光反応開始剤また光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることが出来る。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることが出来る。
本発明において使用し得る紫外線硬化樹脂の市販品としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化(株)製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学(株)製);セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業(株)製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー(株)製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業(株)製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製);サンラッドH−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(三洋化成工業(株)製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子(株)製);RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成(株)製)、DPHA(日本化薬(株)製)等を適宜選択して利用出来る。
また、具体的化合物例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
この他、屈折率調整のため、酸化ジルコニウム超微粒子分散物含有させたハードコート塗布液 デソライトZ−7041、デソライトZ−7042(JSR(株)製)なども単独で若しくは他の紫外線硬化樹脂などに添加混合して使用することが出来る。
本発明に用いられる活性線硬化性樹脂の硬化は、電子線または紫外線のような活性線照射によって硬化することが出来る。例えば、電子線硬化の場合にはコックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVのエネルギーを有する電子線等が使用され、紫外線硬化の場合には超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用出来る。
活性線硬化樹脂組成物と微粒子の割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜40質量部となるように配合することが望ましい。
本発明に用いられるハードコート層の屈折率は、1.5〜2.0であり、より好ましくは1.6〜1.8である。透明支持体として用いられるセルロースエステルフィルムの屈折率は約1.5である。ハードコート層の屈折率が小さ過ぎると反射防止性が低下する。更に、これが大き過ぎると、防眩性反射防止フィルムの反射光の色味が強くなり、好ましくない。本発明に用いられるハードコート層の屈折率は、低反射性フィルムを得るための光学設計上から屈折率が1.60〜1.70の範囲にあることが特に好ましい。ハードコート層の屈折率は前記添加する微粒子の屈折率や含有量によって調製することが出来る。
本発明に用いられるハードコート層の膜厚とは、断層電子顕微鏡写真で観察した時のハードコート層の樹脂部分の膜厚10ケ所の平均を本発明の膜厚としており、十分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、ハードコート層の膜厚は0.5μm〜10.0μmの範囲が好ましく、更に好ましくは、1.0μm〜5.0μmである。またハードコート層は2層以上から構成されていてもよい。
これらのハードコート層はグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法で塗設することが出来る。
紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化させ、硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、0.5J/cm2以下であり、好ましくは0.1J/cm2以下である。
活性線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒〜1分程度がよく、硬化性樹脂の硬化効率または作業効率の観点から0.1〜10秒がより好ましい。また、これら活性線照射部の照度は50〜150mW/m2であることが好ましい。
また、活性線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、更に好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行うことである。付与する張力は30〜300N/mが好ましい。張力を付与する方法は特に限定されず、バックロール上で搬送方向に張力を付与してもよく、テンターにて幅方向、若しくは2軸方向に張力を付与してもよい。これによって更に平面性優れたフィルムを得ることが出来る。
ハードコート層の塗布液の有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン、)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、或いはこれらを混合し利用出来る。プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
また、ハードコート層の塗布液には、特にシリコン化合物を添加することが好ましい。例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどが好ましく添加される。ポリエーテル変性シリコーンオイルの数平均分子量は、例えば、1000〜100000、好ましくは、2000〜50000が適当であり、数平均分子量が1000未満では、塗膜の乾燥性が低下し、逆に、数平均分子量が100000を越えると、塗膜表面にブリードアウトしにくくなる傾向にある。
シリコン化合物の市販品としては、DKQ8−779(ダウコーニング社製商品名)、SF3771、SF8410、SF8411、SF8419、SF8421、SF8428、SH200、SH510、SH1107、SH3749、SH3771、BX16−034、SH3746、SH3749、SH8400、SH3771M、SH3772M、SH3773M、SH3775M、BY−16−837、BY−16−839、BY−16−869、BY−16−870、BY−16−004、BY−16−891、BY−16−872、BY−16−874、BY22−008M、BY22−012M、FS−1265(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン社製商品名)、KF−101、KF−100T、KF351、KF352、KF353、KF354、KF355、KF615、KF618、KF945、KF6004、シリコーンX−22−945、X22−160AS(以上、信越化学工業社製商品名)、XF3940、XF3949(以上、東芝シリコーン社製商品名)、ディスパロンLS−009(楠本化成社製)、グラノール410(共栄社油脂化学工業(株)製)、TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4452、TSF4460(GE東芝シリコーン製)、BYK−306、BYK−330、BYK−307、BYK−341、BYK−344、BYK−361(ビックケミ−ジャパン社製)日本ユニカー(株)製のLシリーズ(例えばL7001、L−7006、L−7604、L−9000)、Yシリーズ、FZシリーズ(FZ−2203、FZ−2206、FZ−2207)等が挙げられ、好ましく用いられる。
これらの成分は基材や下層への塗布性を高める。積層体最表面層に添加した場合には、塗膜の撥水、撥油性、防汚性を高めるばかりでなく、表面の耐擦り傷性にも効果を発揮する。これらの成分は、塗布液中の固形分成分に対し、0.01〜3質量%の範囲で添加することが好ましい。
ハードコート層の塗布液の塗布方法としては、前述のものを用いることが出来る。塗布量はウェット膜厚として0.1〜30μmが適当で、好ましくは、0.5〜15μmである。
〈バックコート層〉
本発明の防眩性フィルムの防眩層を設けた側と反対側の面にはバックコート層を設けることが好ましい。バックコート層は、凹凸面の形成やハードコート層、その他の層を設けることで生じるカールを矯正するために設けられる。即ち、バックコート層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質を持たせることにより、カールの度合いをバランスさせることが出来る。或いはバックコート層はブロッキング防止層として塗設され、その場合、バックコート層塗布組成物には、ブロッキング防止機能を持たせるために微粒子が添加されることが好ましい。
バックコート層に添加される微粒子としては無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることが出来る。微粒子は珪素を含むものがヘイズが低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
これらの微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることが出来る。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。
これらの中でもでアエロジル200V、アエロジルR972Vがヘイズを低く保ちながら、ブロッキング防止効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明で用いられる防眩性反射防止フィルムは、ハードコート層の裏面側の動摩擦係数が0.9以下、特に0.1〜0.9であることが好ましい。
バックコート層に含まれる微粒子は、バインダーに対して0.1〜50質量%含有することが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。バックコート層を設けた場合のヘイズの増加は1%以下であることが好ましく0.5%以下であることが好ましく、特に0.0〜0.1%であることが好ましい。
バックコート層は、具体的にはセルロースエステルフィルムを溶解させる溶媒または膨潤させる溶媒を含む組成物を塗布することによって行われる。用いる溶媒としては、溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒の混合物の他更に溶解させない溶媒を含む場合もあり、これらを透明樹脂フィルムのカール度合いや樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物及び塗布量を用いて行う。
カール防止機能を強めたい場合は、用いる溶媒組成を溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒の混合比率を大きくし、溶解させない溶媒の比率を小さくするのが効果的である。この混合比率は好ましくは(溶解させる溶媒及び/または膨潤させる溶媒):(溶解させない溶媒)=10:0〜1:9で用いられる。この様な混合組成物に含まれる、透明樹脂フィルムを溶解または膨潤させる溶媒としては、例えば、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルムなどがある。溶解させない溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、シクロヘキサノール或いは炭化水素類(トルエン、キシレン)などがある。
これらの塗布組成物をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、或いはスプレー塗布、インクジェット塗布等を用いて透明樹脂フィルムの表面にウェット膜厚1〜100μmで塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであることが好ましい。バックコート層のバインダーとして用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体或いは共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(好ましくはアセチル基置換度1.8〜2.3、プロピオニル基置換度0.1〜1.0)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸及び/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。例えば、アクリル樹脂としては、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レーヨン(株)製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業株式会社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レーヨン(株)製)のアクリル及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマーなどが市販されており、この中から好ましいモノを適宜選択することも出来る。
特に好ましくはジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートのようなセルロース系樹脂層である。
バックコート層を塗設する順番はセルロースエステルフィルムのハードコート層を塗設する前でも後でも構わないが、バックコート層がブロッキング防止層を兼ねる場合は先に塗設することが望ましい。或いは2回以上に分けてバックコート層を塗布することも出来る。
(反射防止層)
本発明に係る防眩性反射防止フィルムはハードコート層上に、少なくとも含フッ素樹脂若しくは中空微粒子を含有する低屈折率層を有し、該中空微粒子が多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層を有する複合粒子、或いは内部に溶媒、気体、または多孔質物質で充填された空洞粒子であることが好ましい。
本発明では反射防止層を設ける方法は特に限定されず、スパッタ、大気圧プラズマ処理、塗布などが挙げられるが、塗布により形成することが好ましい。
反射防止層を塗布により形成する方法としては、溶剤に溶解したバインダー樹脂中に金属酸化物の粉末を分散し、塗布乾燥する方法、架橋構造を有するポリマーをバインダー樹脂として用いる方法、エチレン性不飽和モノマーと光重合開始剤を含有させ、活性線を照射することにより層を形成する方法等の方法を挙げることが出来る。
本発明においては、ハードコート層を付与したセルロースエステルフィルムの上に反射防止層を設け、該反射防止層の少なくとも一層が低屈折率層である。
好ましい防眩性反射防止フィルムの構成を下記に示すが、これらに限定されるものではない。
ここでハードコート層とは、前述の活性線硬化樹脂層を意味する。
樹脂フィルム/防眩層/ハードコート層/低屈折率層
樹脂フィルム/防眩層/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
樹脂フィルム/防眩層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
樹脂フィルム/ハードコート層/防眩層/低屈折率層
樹脂フィルム/ハードコート層/防眩層/高屈折率層/低屈折率層
樹脂フィルム/ハードコート層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
樹脂フィルム/光散乱層/防眩層/低屈折率層
いずれもセルロースエステルフィルムのハードコート層を塗設した側と反対面には、前述のバックコート層を設けることが好ましい。
また、中屈折率層若しくは高屈折率層が帯電防止層を兼ねてもよい。
前記防眩性反射防止フィルムでは、最上層に低屈折率層を形成し、ハードコート層との間に高屈折率層の金属酸化物層を形成したり、更にハードコート層と高屈折率層との間に中屈折率層(金属酸化物の含有量或いは樹脂バインダーとの比率、金属の種類を変更して屈折率を調整した金属酸化物層)を設けることは、反射率の低減のために好ましい。
本発明の低屈折率層に好ましく含有される、中空微粒子について説明する。
ここでいう中空微粒子は、(I)多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層とからなる複合粒子、または(II)内部に空洞を有し、かつ内容物が溶媒、気体または多孔質物質で充填された空洞粒子である。尚、低屈折率層には(I)複合粒子または(II)空洞粒子のいずれかが含まれていればよく、また双方が含まれていてもよい。
尚、空洞粒子は、内部に空洞を有する粒子であり、空洞は粒子壁で囲まれている。空洞内には、調製時に使用した溶媒、気体または多孔質物質などの内容物で充填されている。この様な無機微粒子の平均粒子径が5〜300nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあることが望ましい。使用される無機微粒子の平均粒径は、形成される透明被膜の厚さに応じて適宜選択され、形成される低屈折率層などの透明被膜の膜厚の2/3〜1/10の範囲にあることが望ましい。これらの無機微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)及びケトン(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、ケトンアルコール(例えばジアセトンアルコール)が好ましい。
複合粒子の被覆層の厚さまたは空洞粒子の粒子壁の厚さは、1〜20nm、好ましくは2〜15nmの範囲にあることが望ましい。複合粒子の場合、被覆層の厚さが1nm未満の場合は、粒子を完全に被覆することが出来ないことがあり、後述する塗布液成分である重合度の低いケイ酸モノマー、オリゴマーなどが容易に複合粒子の内部に内部に進入して内部の多孔性が減少し、低屈折率の効果が十分得られないことがある。また、被覆層の厚さが20nmを越えると、前記ケイ酸モノマー、オリゴマーが内部に進入することはないが、複合粒子の多孔性(細孔容積)が低下し低屈折率の効果が十分得られなくなることがある。また空洞粒子の場合、粒子壁の厚さが1nm未満の場合は、粒子形状を維持出来ないことがあり、また厚さが20nmを越えても、低屈折率の効果が十分に現れないことがある。
前記複合粒子の被覆層または空洞粒子の粒子壁は、シリカを主成分とすることが好ましい。また複合粒子の被覆層または空洞粒子の粒子壁には、シリカ以外の成分が含まれていてもよく、具体的には、Al23、B23、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P23、Sb23、MoO3、ZnO2、WO3などが挙げられる。複合粒子を構成する多孔質粒子としては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、CaF2、NaF、NaAlF6、MgFなどからなるものが挙げられる。この内特にシリカとシリカ以外の無機化合物との複合酸化物からなる多孔質粒子が好適である。シリカ以外の無機化合物としては、Al23、B23、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P23、Sb23、MoO3、ZnO2、WO3等との1種または2種以上を挙げることが出来る。この様な多孔質粒子では、シリカをSiO2で表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物換算(MOX)で表したときのモル比MOX/SiO2が、0.0001〜1.0、好ましくは0.001〜0.3の範囲にあることが望ましい。多孔質粒子のモル比MOX/SiO2が0.0001未満のものは得ることが困難であり、得られたとしても更に屈折率が低いものを得ることはない。また、多孔質粒子のモル比MOX/SiO2が、1.0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、細孔容積が小さく、かつ屈折率の低い粒子を得られないことがある。
この様な多孔質粒子の細孔容積は、0.1〜1.5ml/g、好ましくは0.2〜1.5ml/gの範囲であることが望ましい。細孔容積が0.1ml/g未満では、十分に屈折率の低下した粒子が得られず、1.5ml/gを越えると微粒子の強度が低下し、得られる被膜の強度が低下することがある。
尚、この様な多孔質粒子の細孔容積は水銀圧入法によって求めることが出来る。また、空洞粒子の内容物としては、粒子調製時に使用した溶媒、気体、多孔質物質などが挙げられる。溶媒中には空洞粒子調製する際に使用される粒子前駆体の未反応物、使用した触媒などが含まれていてもよい。また多孔質物質としては、前記多孔質粒子で例示した化合物からなるものが挙げられる。これらの内容物は、単一の成分からなるものであってもよいが、複数成分の混合物であってもよい。
この様な無機微粒子の製造方法としては、例えば特開平7−133105号公報の段落番号[0010]〜[0033]に開示された複合酸化物コロイド粒子の調製方法が好適に採用される。具体的に、複合粒子が、シリカ、シリカ以外の無機化合物とからなる場合、以下の第1〜第3工程から無機化合物粒子は製造される。
第1工程:多孔質粒子前駆体の調製
第1工程では、予め、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料のアルカリ水溶液を個別に調製するか、または、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料との混合水溶液を調製しておき、この水溶液を目的とする複合酸化物の複合割合に応じて、pH10以上のアルカリ水溶液中に攪拌しながら徐々に添加して多孔質粒子前駆体を調製する。
シリカ原料としては、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機塩基のケイ酸塩を用いる。アルカリ金属のケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)やケイ酸カリウムが用いられる。有機塩基としては、テトラエチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類を挙げることが出来る。尚、アンモニウムのケイ酸塩または有機塩基のケイ酸塩には、ケイ酸液にアンモニア、第4級アンモニウム水酸化物、アミン化合物などを添加したアルカリ性溶液も含まれる。
また、シリカ以外の無機化合物の原料としては、アルカリ可溶の無機化合物を用いられる。具体的には、Al、B、Ti、Zr、Sn、Ce、P、Sb、Mo、Zn、Wなどから選ばれる元素のオキソ酸、該オキソ酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩を挙げることが出来る。より具体的には、アルミン酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、アンチモン酸カリウム、錫酸カリウム、アルミノケイ酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、硝酸セリウムアンモニウム、燐酸ナトリウムが適当である。
これらの水溶液の添加と同時に混合水溶液のpH値は変化するが、このpH値を所定の範囲に制御するような操作は特に必要ない。水溶液は、最終的に、無機酸化物の種類及びその混合割合によって定まるpH値となる。このときの水溶液の添加速度にはとくに制限はない。また、複合酸化物粒子の製造に際して、シード粒子の分散液を出発原料と使用することも可能である。当該シード粒子としては、特に制限はないが、SiO2、Al23、TiO2またはZrO2等の無機酸化物またはこれらの複合酸化物の微粒子が用いられ、通常、これらのゾルを用いることが出来る。更に前記の製造方法によって得られた多孔質粒子前駆体分散液をシード粒子分散液としてもよい。シード粒子分散液を使用する場合、シード粒子分散液のpHを10以上に調整したのち、該シード粒子分散液中に前記化合物の水溶液を、上記したアルカリ水溶液中に攪拌しながら添加する。この場合も、必ずしも分散液のpH制御を行う必要はない。この様なして、シード粒子を用いると、調製する多孔質粒子の粒径コントロールが容易であり、粒度の揃ったものを得ることが出来る。
上記したシリカ原料及び無機化合物原料はアルカリ側で高い溶解度を有する。しかしながら、この溶解度の大きいpH領域で両者を混合すると、ケイ酸イオン及びアルミン酸イオンなどのオキソ酸イオンの溶解度が低下し、これらの複合物が析出して微粒子に成長したり、或いは、シード粒子上に析出して粒子成長が起る。従って、微粒子の析出、成長に際して、従来法のようなpH制御は必ずしも行う必要がない。
第1工程におけるシリカとシリカ以外の無機化合物との複合割合は、シリカに対する無機化合物を酸化物(MOx)に換算し、MOx/SiO2のモル比が、0.05〜2.0、好ましくは0.2〜2.0の範囲内にあることが望ましい。この範囲内において、シリカの割合が少なくなる程、多孔質粒子の細孔容積が増大する。しかしながら、モル比が2.0を越えても、多孔質粒子の細孔の容積は殆ど増加しない。他方、モル比が0.05未満の場合は、細孔容積が小さくなる。空洞粒子を調製する場合、MOx/SiO2のモル比は、0.25〜2.0の範囲内にあることが望ましい。
第2工程:多孔質粒子からのシリカ以外の無機化合物の除去
第2工程では、前記第1工程で得られた多孔質粒子前駆体から、シリカ以外の無機化合物(珪素と酸素以外の元素)の少なくとも一部を選択的に除去する。具体的な除去方法としては、多孔質粒子前駆体中の無機化合物を鉱酸や有機酸を用いて溶解除去したり、或いは、陽イオン交換樹脂と接触させてイオン交換除去する。
尚、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体は、珪素と無機化合物構成元素が酸素を介して結合した網目構造の粒子である。この様な多孔質粒子前駆体から無機化合物(珪素と酸素以外の元素)を除去することにより、一層多孔質で細孔容積の大きい多孔質粒子が得られる。また、多孔質粒子前駆体から無機酸化物(珪素と酸素以外の元素)を除去する量を多くすれば、空洞粒子を調製することが出来る。
また、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去するに先立って、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体分散液に、シリカのアルカリ金属塩を脱アルカリして得られるケイ酸液或いは加水分解性の有機珪素化合物を添加してシリカ保護膜を形成することが好ましい。シリカ保護膜の厚さは0.5〜15nmの厚さであればよい。尚シリカ保護膜を形成しても、この工程での保護膜は多孔質であり厚さが薄いので、前記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することは可能である。
この様なシリカ保護膜を形成することによって、粒子形状を保持したまま、前記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することが出来る。また、後述するシリカ被覆層を形成する際に、多孔質粒子の細孔が被覆層によって閉塞されてしまうことがなく、このため細孔容積を低下させることなく後述するシリカ被覆層を形成することが出来る。尚、除去する無機化合物の量が少ない場合は粒子が壊れることがないので必ずしも保護膜を形成する必要はない。
また空洞粒子を調製する場合は、このシリカ保護膜を形成しておくことが望ましい。空洞粒子を調製する際には、無機化合物を除去すると、シリカ保護膜と、該シリカ保護膜内の溶媒、未溶解の多孔質固形分とからなる空洞粒子の前駆体が得られ、該空洞粒子の前駆体に後述の被覆層を形成すると、形成された被覆層が、粒子壁となり空洞粒子が形成される。
上記シリカ保護膜形成のために添加するシリカ源の量は、粒子形状を保持出来る範囲で少ないことが好ましい。シリカ源の量が多過ぎると、シリカ保護膜が厚くなり過ぎるので、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去することが困難となることがある。シリカ保護膜形成用に使用される加水分解性の有機珪素化合物としては、一般式RnSi(OR’)4−n〔R、R’:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2または3〕で表されるアルコキシシランを用いることが出来る。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記多孔質粒子の分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を無機酸化物粒子の表面に沈着させる。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることが出来る。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることが出来る。
多孔質粒子前駆体の分散媒が、水単独、または有機溶媒に対する水の比率が高い場合には、ケイ酸液を用いてシリカ保護膜を形成することも可能である。ケイ酸液を用いる場合には、分散液中にケイ酸液を所定量添加し、同時にアルカリを加えてケイ酸液を多孔質粒子表面に沈着させる。尚、ケイ酸液と上記アルコキシシランを併用してシリカ保護膜を作製してもよい。
第3工程:シリカ被覆層の形成
第3工程では、第2工程で調製した多孔質粒子分散液(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体分散液)に加水分解性の有機珪素化合物またはケイ酸液等を加えることにより、粒子の表面を加水分解性有機珪素化合物またはケイ酸液等の重合物で被覆してシリカ被覆層を形成する。
シリカ被覆層形成用に使用される加水分解性の有機珪素化合物としては、前記したような一般式RnSi(OR’)4−n〔R、R’:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2または3〕で表されるアルコキシシランを用いることが出来る。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)の表面に沈着させる。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることが出来る。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることが出来る。
多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)の分散媒が水単独、または有機溶媒との混合溶媒であって、有機溶媒に対する水の比率が高い混合溶媒の場合には、ケイ酸液を用いて被覆層を形成してもよい。ケイ酸液とは、水ガラス等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液をイオン交換処理して脱アルカリしたケイ酸の低重合物の水溶液である。
ケイ酸液は、多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液中に添加され、同時にアルカリを加えてケイ酸低重合物を多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)表面に沈着させる。尚、ケイ酸液を上記アルコキシシランと併用して被覆層形成用に使用してもよい。被覆層形成用に使用される有機珪素化合物またはケイ酸液の添加量は、コロイド粒子の表面を十分被覆出来る程度であればよく、最終的に得られるシリカ被覆層の厚さが1〜20nmとなるように量で、多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液中で添加される。また前記シリカ保護膜を形成した場合はシリカ保護膜とシリカ被覆層の合計の厚さが1〜20nmの範囲となるような量で、有機珪素化合物またはケイ酸液は添加される。
次いで、被覆層が形成された粒子の分散液を加熱処理する。加熱処理によって、多孔質粒子の場合は、多孔質粒子表面を被覆したシリカ被覆層が緻密化し、多孔質粒子がシリカ被覆層によって被覆された複合粒子の分散液が得られる。また空洞粒子前駆体の場合、形成された被覆層が緻密化して空洞粒子壁となり、内部が溶媒、気体または多孔質固形分で充填された空洞を有する空洞粒子の分散液が得られる。
このときの加熱処理温度は、シリカ被覆層の微細孔を閉塞出来る程度であれば特に制限はなく、80〜300℃の範囲が好ましい。加熱処理温度が80℃未満ではシリカ被覆層の微細孔を完全に閉塞して緻密化出来ないことがあり、また処理時間に長時間を要してしまうことがある。また加熱処理温度が300℃を越えて長時間処理すると緻密な粒子となることがあり、低屈折率の効果が得られないことがある。
この様にして得られた無機微粒子の屈折率は、1.44未満と低い。この様な無機微粒子は、多孔質粒子内部の多孔性が保持されているか、内部が空洞であるので、屈折率が低くなるものと推察される。
低屈折率層のバインダーマトリックスとしては、熱または電離放射線により架橋する含フッ素樹脂(以下、「架橋前の含フッ素樹脂」ともいう)も好ましく用いられる。
架橋前の含フッ素樹脂としては、含フッ素ビニルモノマーと架橋性基付与のためのモノマーから形成される含フッ素共重合体を好ましく挙げることが出来る。上記含フッ素ビニルモノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えば、ビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられる。架橋性基付与のためのモノマーとしては、グリシジルメタクリレートや、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルグリシジルエーテル等のように分子内に予め架橋性官能基を有するビニルモノマーの他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有するビニルモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルアリルエーテル等)が挙げられる。後者は共重合の後、ポリマー中の官能基と反応する基ともう1つ以上の反応性基を持つ化合物を加えることにより、架橋構造を導入出来ることが特開平10−25388号、同10−147739号に記載されている。架橋性基の例には、アクリロイル、メタクリロイル、イソシアナート、エポキシ、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒド、カルボニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロール及び活性メチレン基等が挙げられる。含フッ素共重合体が、加熱により反応する架橋基、若しくは、エチレン性不飽和基と熱ラジカル発生剤若しくはエポキシ基と熱酸発生剤等の組み合わせにより、加熱により架橋する場合、熱硬化型であり、エチレン性不飽和基と光ラジカル発生剤若しくは、エポキシ基と光酸発生剤等の組み合わせにより、光(好ましくは紫外線、電子ビーム等)の照射により架橋する場合、電離放射線硬化型である。
また上記モノマーに加えて、含フッ素ビニルモノマー及び架橋性基付与のためのモノマー以外のモノマーを併用して形成された含フッ素共重合体を架橋前の含フッ素樹脂として用いてもよい。併用可能なモノマーには特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロニトリル誘導体等を挙げることが出来る。また、含フッ素共重合体中に、滑り性、防汚性付与のため、ポリオルガノシロキサン骨格や、パーフルオロポリエーテル骨格を導入することも好ましい。これは、例えば末端にアクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基、スチリル基等を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルと上記のモノマーとの重合、末端にラジカル発生基を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルによる上記モノマーの重合、官能基を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルと、含フッ素共重合体との反応等によって得られる。
架橋前の含フッ素共重合体を形成するために用いられる上記各モノマーの使用割合は、含フッ素ビニルモノマーが好ましくは20〜70モル%、より好ましくは40〜70モル%、架橋性基付与のためのモノマーが好ましくは1〜20モル%、より好ましくは5〜20モル%、併用されるその他のモノマーが好ましくは10〜70モル%、より好ましくは10〜50モル%の割合である。
含フッ素共重合体は、これらモノマーをラジカル重合開始剤の存在下で、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合法等の手段により重合することにより得ることが出来る。
架橋前の含フッ素樹脂は、市販されており使用することが出来る。市販されている架橋前の含フッ素樹脂の例としては、サイトップ(旭硝子製)、テフロン(R)AF(デュポン製)、ポリフッ化ビニリデン、ルミフロン(旭硝子製)、オプスター(JSR製)等が挙げられる。
架橋した含フッ素樹脂を構成成分とする低屈折率層は、動摩擦係数が0.03〜0.15の範囲、水に対する接触角が90〜120度の範囲にあることが好ましい。
架橋した含フッ素樹脂を構成成分とする低屈折率層は前述の無機粒子を含有する。
また、他の低屈折率層用のバインダーマトリックスとして、各種ゾルゲル素材を用いることも出来る。この様なゾルゲル素材としては、金属アルコレート(シラン、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等のアルコレート)、オルガノアルコキシ金属化合物及びその加水分解物を用いることが出来る。特に、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシラン及びその加水分解物が好ましい。これらの例としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)、アルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等)、アリールトリアルコキシシラン(フェニルトリメトキシシラン等)、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン等が挙げられる。また、各種の官能基を有するオルガノアルコキシシラン(ビニルトリアルコキシシラン、メチルビニルジアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジアルコキシシラン、β−(3,4−エポキジシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン等)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等)、フルオロアルキルエーテル基含有シラン化合物を用いることも好ましい。特にフッ素含有のシラン化合物を用いることは、層の低屈折率化及び撥水・撥油性付与の点で好ましい。
低屈折率層は、5〜50質量%の量のポリマーを含むことが好ましい。ポリマーは、微粒子を接着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。ポリマーの使用量は、空隙を充填することなく低屈折率層の強度を維持出来るように調整する。ポリマーの量は、低屈折率層の全量の10〜30質量%であることが好ましい。ポリマーで微粒子を接着するためには、(1)微粒子の表面処理剤にポリマーを結合させるか、(2)微粒子をコアとして、その周囲にポリマーシェルを形成するか、或いは(3)微粒子間のバインダーとして、ポリマーを使用することが好ましい。(1)の表面処理剤に結合させるポリマーは、(2)のシェルポリマーまたは(3)のバインダーポリマーであることが好ましい。(2)のポリマーは、低屈折率層の塗布液の調製前に、微粒子の周囲に重合反応により形成することが好ましい。(3)のポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に、重合反応により形成することが好ましい。上記(1)〜(3)の内の二つまたは全てを組み合わせて実施することが好ましく、(1)と(3)の組み合わせ、または(1)〜(3)全ての組み合わせで実施することが特に好ましい。(1)表面処理、(2)シェル及び(3)バインダーについて順次説明する。
(1)表面処理
微粒子(特に無機微粒子)には、表面処理を実施して、ポリマーとの親和性を改善することが好ましい。表面処理は、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理と、カップリング剤を使用する化学的表面処理に分類出来る。化学的表面処理のみ、または物理的表面処理と化学的表面処理の組み合わせで実施することが好ましい。カップリング剤としては、オルガノアルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。微粒子がSiO2からなる場合は、シランカップリング剤による表面処理が特に有効に実施出来る。具体的なシランカップリング剤の例としては、後述するシランカップリング剤が好ましく用いられる。
カップリング剤による表面処理は、微粒子の分散物に、カップリング剤を加え、室温から60℃までの温度で、数時間から10日間分散物を放置することにより実施出来る。表面処理反応を促進するため、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、オルトケイ酸、リン酸、炭酸)、有機酸(例えば、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、フェノール、ポリグルタミン酸)、またはこれらの塩(例えば、金属塩、アンモニウム塩)を、分散物に添加してもよい。
(2)シェル
シェルを形成するポリマーは、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが好ましい。フッ素原子を主鎖または側鎖に含むポリマーが好ましく、フッ素原子を側鎖に含むポリマーが更に好ましい。ポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルが好ましく、フッ素置換アルコールとポリアクリル酸またはポリメタクリル酸とのエステルが最も好ましい。シェルポリマーの屈折率は、ポリマー中のフッ素原子の含有量の増加に伴い低下する。低屈折率層の屈折率を低下させるため、シェルポリマーは35〜80質量%のフッ素原子を含むことが好ましく、45〜75質量%のフッ素原子を含むことが更に好ましい。フッ素原子を含むポリマーは、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの重合反応により合成することが好ましい。フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの例としては、フルオロオレフィン(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、フッ素化ビニルエーテル及びフッ素置換アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルが挙げられる。
シェルを形成するポリマーは、フッ素原子を含む繰り返し単位とフッ素原子を含まない繰り返し単位からなるコポリマーであってもよい。フッ素原子を含まない繰り返し単位は、フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの例としては、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート)、スチレン及びその誘導体(例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル(例えば、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル)、アクリルアミド(例えば、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミド及びアクリロニトリルが挙げられる。
後述する(3)のバインダーポリマーを併用する場合は、シェルポリマーに架橋性官能基を導入して、シェルポリマーとバインダーポリマーとを架橋により化学的に結合させてもよい。シェルポリマーは、結晶性を有していてもよい。シェルポリマーのガラス転移温度(Tg)が低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、低屈折率層内のミクロボイドの維持が容易である。但し、Tgが低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、微粒子が融着せず、低屈折率層が連続層として形成されない(その結果、強度が低下する)場合がある。その場合は、後述する(3)のバインダーポリマーを併用し、バインダーポリマーにより低屈折率層を連続層として形成することが望ましい。微粒子の周囲にポリマーシェルを形成して、コアシェル微粒子が得られる。コアシェル微粒子中に無機微粒子からなるコアが5〜90体積%含まれていることが好ましく、15〜80体積%含まれていることが更に好ましい。二種類以上のコアシェル微粒子を併用してもよい。また、シェルのない無機微粒子とコアシェル粒子とを併用してもよい。
(3)バインダー
バインダーポリマーは、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが更に好ましい。バインダーポリマーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼン及びその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミドが挙げられる。ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキ化合物の開環重合反応により合成することが好ましい。2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。架橋性官能基の例としては、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が挙げられる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタンも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用出来る。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、架橋基は、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。バインダーポリマーの重合反応及び架橋反応に使用する重合開始剤は、熱重合開始剤や、光重合開始剤が用いられるが、光重合開始剤の方がより好ましい。光重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例としては、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが挙げられる。ベンゾイン類の例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが挙げられる。ベンゾフェノン類の例としては、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノンが挙げられる。ホスフィンオキシド類の例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが挙げられる。
バインダーポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に重合反応(必要ならば更に架橋反応)により形成することが好ましい。低屈折率層の塗布液に、少量のポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂)を添加してもよい。
また、本発明の低屈折率層或いは他の屈折率層には滑り剤を添加することが好ましく、滑り性を付与することによって耐傷性を改善することが出来る。滑り剤としては、シリコンオイルまたはワックス状物質が好ましく用いられる。例えば、下記一般式で表される化合物が好ましい。
一般式 R1COR2
式中、R1は炭素原子数が12以上の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基を表す。アルキル基またはアルケニル基が好ましく、更に炭素原子数が16以上のアルキル基またはアルケニル基が好ましい。R2は−OM1基(M1はNa、K等のアルカリ金属を表す)、−OH基、−NH2基、または−OR3基(R3は炭素原子数が12以上の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、好ましくはアルキル基またはアルケニル基を表す)を表し、R2としては−OH基、−NH2基または−OR3基が好ましい。具体的には、ベヘン酸、ステアリン酸アミド、ペンタコ酸等の高級脂肪酸またはその誘導体、天然物としてこれらの成分を多く含んでいるカルナバワックス、蜜蝋、モンタンワックスも好ましく使用出来る。特公昭53−292号公報に開示されているようなポリオルガノシロキサン、米国特許第4,275,146号明細書に開示されているような高級脂肪酸アミド、特公昭58−33541号公報、英国特許第927,446号明細書または特開昭55−126238号公報及び同58−90633号公報に開示されているような高級脂肪酸エステル(炭素数が10〜24の脂肪酸と炭素数が10〜24のアルコールのエステル)、そして米国特許第3,933,516号明細書に開示されているような高級脂肪酸金属塩、特開昭51−37217号公報に開示されているような炭素数10までのジカルボン酸と脂肪族または環式脂肪族ジオールからなるポリエステル化合物、特開平7−13292号公報に開示されているジカルボン酸とジオールからのオリゴポリエステル等を挙げることが出来る。
特に好ましく用いられるシリコンオイルは表1に記載の化合物である。
Figure 2005300576
例えば、低屈折率層に使用する滑り剤の添加量は0.01mg/m2〜10mg/m2が好ましい。
本発明においては、反射率の低減のために、活性線硬化樹脂層を付与した透明支持体と低屈折率層との間に、高屈折率層を設けることも好ましい。また、透明支持体と高屈折率層との間に中屈折率層を設けることは、反射率の低減のために更に好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.55〜2.30であることが好ましく、1.57〜2.20であることが更に好ましい。中屈折率層の屈折率は、透明支持体の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。高屈折率層及び中屈折率層の厚さは、5nm〜1μmであることが好ましく、10nm〜0.2μmであることが更に好ましく、30nm〜0.1μmであることが最も好ましい。高屈折率層及び中屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。高屈折率層及び中屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度でH以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
本発明に用いられる中、高屈折率層は下記一般式で表される有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分解物を含有する塗布液を塗布し乾燥させて形成させた屈折率1.55〜2.5の層であることが好ましい。
一般式 Ti(OR14
式中、R1としては炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基がよいが、好ましくは炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基である。また、有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分解物は、アルコキシド基が加水分解を受けて−Ti−O−Ti−のように反応して架橋構造を作り、硬化した層を形成する。
本発明に用いられる有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーとしては、Ti(OCH34、Ti(OC254、Ti(O−n−C374、Ti(O−i−C374、Ti(O−n−C494、Ti(O−n−C374の2〜10量体、Ti(O−i−C374の2〜10量体、Ti(O−n−C494の2〜10量体等が好ましい例として挙げられる。これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることが出来る。中でもTi(O−n−C374、Ti(O−i−C374、Ti(O−n−C494、Ti(O−n−C374の2〜10量体、Ti(O−n−C494の2〜10量体が特に好ましい。
本発明に用いられる中、高屈折率層用塗布液は、水と後述する有機溶媒が順次添加された溶液中に上記有機チタン化合物を添加することが好ましい。水を後から添加した場合は、加水分解/重合が均一に進行せず、白濁が発生したり、膜強度が低下する。水と有機溶媒は添加された後、良く混合させるために攪拌し混合溶解されていることが好ましい。
また、別法として有機チタン化合物と有機溶媒を混合させておき、この混合溶液を、上記水と有機溶媒の混合攪拌された溶液中に添加することも好ましい態様である。
また、水の量は有機チタン化合物1モルに対して、0.25〜3モルの範囲であることが好ましい。0.25モル未満であると、加水分解、重合の進行が不十分で膜強度が低下する。3モルを超えると加水分解、重合が進行し過ぎて、TiO2の粗大粒子が発生し白濁するため好ましくない。従って水の量は上記範囲で調整する必要がある。
また、水の含有率は塗布液総量に対して10質量%未満であることが好ましい。水の含有率を塗布液総量に対して10質量%以上にすると、塗布液の経時安定が劣り白濁を生じたりするため好ましくない。
ここで有機溶媒としては、水混和性の有機溶媒であることが好ましい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられるが、特に、アルコール類、多価アルコール類、多価アルコールエーテル類が好ましい。これらの有機溶媒の使用量は、前述したように、水の含有率が塗布液総量に対して10質量%未満であるように、水と有機溶媒のトータルの使用量を調整すればよい。
本発明に用いられる有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分解物は、塗布液に含まれる固形分中の50.0質量%〜98.0質量%を占めていることが望ましい。固形分比率は50質量%〜90質量%がより好ましく、55質量%〜90質量%が更に好ましい。この他、塗布組成物には有機チタン化合物のポリマー(予め有機チタン化合物の加水分解を行って架橋したもの)或いは酸化チタン微粒子を添加することも好ましい。
本発明に用いられる高屈折率層及び中屈折率層は、微粒子として金属酸化物粒子を含み、更にバインダーポリマーを含むものも好ましく用いられる。
或いは、上記塗布液調製法で加水分解/重合した有機チタン化合物と金属酸化物粒子を組み合わせると、金属酸化物粒子と加水分解/重合した有機チタン化合物とが強固に接着し、粒子のもつ硬さと均一膜の柔軟性を兼ね備えた強い塗膜を得ることが出来る。
高屈折率層及び中屈折率層に用いる金属酸化物粒子は、屈折率が1.80〜2.80であることが好ましく、1.90〜2.80であることが更に好ましい。金属酸化物粒子の1次粒子の重量平均径は、1〜150nmであることが好ましく、1〜100nmであることが更に好ましく、1〜80nmであることが最も好ましい。層中での金属酸化物粒子の重量平均径は、1〜200nmであることが好ましく、5〜150nmであることがより好ましく、10〜100nmであることが更に好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。金属酸化物粒子の平均粒径は、20〜30nm以上であれば光散乱法により、20〜30nm以下であれば電子顕微鏡写真により測定される。金属酸化物粒子の比表面積は、BET法で測定された値として、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることが更に好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。
金属酸化物粒子の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びSから選択される少なくとも一種の元素を有する金属酸化物であり、具体的には二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、及び酸化ジルコニウムが挙げられる。中でも、酸化チタン、酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。金属酸化物粒子は、これらの金属の酸化物を主成分とし、更に他の元素を含むことが出来、導電性を付与した微粒子も好ましく用いられる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びS等が挙げられる。
金属酸化物粒子は表面処理されていることが好ましい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施することが出来る。表面処理に用いる無機化合物の例としては、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム及び酸化鉄が挙げられる。中でもアルミナ及びシリカが好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例としては、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が挙げられる。中でも、シランカップリング剤が最も好ましい。
具体的なシランカップリング剤の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びβ−シアノエチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、珪素に対して2置換のアルキル基を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが挙げられる。
これらの内、分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、珪素に対して2置換のアルキル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
2種類以上のカップリング剤を併用してもよい。上記に示されるシランカップリング剤に加えて、他のシランカップリング剤を用いてもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル(例えば、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec−ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)及びその加水分解物が挙げられる。
カップリング剤による表面処理は、微粒子の分散物に、カップリング剤を加え、室温から60℃までの温度で、数時間から10日間分散物を放置することにより実施出来る。表面処理反応を促進するため、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、オルトケイ酸、リン酸、炭酸)、有機酸(例えば、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、フェノール、ポリグルタミン酸)、またはこれらの塩(例えば、金属塩、アンモニウム塩)を、分散物に添加してもよい。
これらシランカップリング剤は予め必要量の水で加水分解されていることが好ましい。シランカップリング剤が加水分解されていると、前述の有機チタン化合物及び金属酸化物粒子の表面が反応し易く、より強固な膜が形成される。また、加水分解されたシランカップリング剤を予め塗布液中に加えることも好ましい。この加水分解に用いた水も有機チタン化合物の加水分解/重合に用いることが出来る。
本発明では2種類以上の表面処理を組み合わせて処理されていても構わない。金属酸化物粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状或いは不定形状であることが好ましい。2種類以上の金属酸化物粒子を高屈折率層或いは中屈折率層に用いてもよい。
高屈折率層及び中屈折率層中の金属酸化物粒子の割合は、5〜65体積%であることが好ましく、より好ましくは10〜60体積%であり、更に好ましくは20〜55体積%である。
上記金属酸化物粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、高屈折率層及び中屈折率層を形成するための塗布液に供される。金属酸化物粒子の分散媒体としては、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、ケトンアルコール(例、ジアセトンアルコール)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが特に好ましい。
また金属酸化物粒子は、分散機を用いて媒体中に分散することが出来る。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダーミル及び高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが挙げられる。
本発明に用いられる高屈折率層及び中屈折率層は、架橋構造を有するポリマー(以下、架橋ポリマーともいう)をバインダーポリマーとして用いることが好ましい。架橋ポリマーの例として、ポリオレフィン等の飽和炭化水素鎖を有するポリマー(以下、ポリオレフィンと総称する)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミド及びメラミン樹脂等の架橋物が挙げられる。中でも、ポリオレフィン、ポリエーテル及びポリウレタンの架橋物が好ましく、ポリオレフィン及びポリエーテルの架橋物が更に好ましく、ポリオレフィンの架橋物が最も好ましい。また、架橋ポリマーがアニオン性基を有することは更に好ましい。アニオン性基は無機微粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋構造はポリマーに皮膜形成能を付与して皮膜を強化する機能を有する。上記アニオン性基は、ポリマー鎖に直接結合していてもよいし、連結基を介してポリマー鎖に結合していてもよいが、連結基を介して側鎖として主鎖に結合していることが好ましい。
アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)及びリン酸基(ホスホノ)が挙げられる。中でも、スルホン酸基及びリン酸基が好ましい。ここで、アニオン性基は、塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは、解離していてもよい。アニオン性基とポリマー鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、及びこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。好ましいバインダーポリマーである架橋ポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。この場合、コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが好ましく、4〜94質量%であることが更に好ましく、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、2以上のアニオン性基を有していてもよい。
アニオン性基を有する架橋ポリマーには、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造も有しない繰り返し単位)が含まれていてもよい。その他の繰り返し単位としては、アミノ基または4級アンモニウム基を有する繰り返し単位及びベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または4級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に、無機微粒子の分散状態を維持する機能を有する。ベンゼン環は、高屈折率層の屈折率を高くする機能を有する。尚、アミノ基、4級アンモニウム基及びベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位或いは架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果が得られる。
上記アミノ基または4級アンモニウム基を有する繰り返し単位を構成単位として含有する架橋ポリマーにおいて、アミノ基または4級アンモニウム基は、ポリマー鎖に直接結合していてもよいし、或いは連結基を介し側鎖としてポリマー鎖に結合していてもよいが、後者がより好ましい。アミノ基または4級アンモニウム基は、2級アミノ基、3級アミノ基または4級アンモニウム基であることが好ましく、3級アミノ基または4級アンモニウム基であることが更に好ましい。2級アミノ基、3級アミノ基または4級アンモニウム基の窒素原子に結合している基としては、アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。4級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または4級アンモニウム基とポリマー鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、及びこれらの組み合わせから選ばれる2価の基であることが好ましい。架橋ポリマーが、アミノ基または4級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、0.06〜32質量%であることが好ましく、0.08〜30質量%であることが更に好ましく、0.1〜28質量%であることが最も好ましい。
架橋ポリマーは、架橋ポリマーを生成するためのモノマーを配合して高屈折率層及び中屈折率層形成用の塗布液を調製し、塗布液の塗布と同時または塗布後に、重合反応によって生成させることが好ましい。架橋ポリマーの生成と共に、各層が形成される。アニオン性基を有するモノマーは、塗布液中で無機微粒子の分散剤として機能する。アニオン性基を有するモノマーは、無機微粒子に対して、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは10〜30質量%使用される。また、アミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーは、塗布液中で分散助剤として機能する。アミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーは、アニオン性基を有するモノマーに対して、好ましくは3〜33質量%使用される。塗布液の塗布と同時または塗布後に、重合反応によって架橋ポリマーを生成する方法により、塗布液の塗布前にこれらのモノマーを有効に機能させることが出来る。
本発明に用いられるモノマーとしては、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーが最も好ましいが、その例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼン及びその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミド等が挙げられる。アニオン性基を有するモノマー、及びアミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーは市販のモノマーを用いてもよい。好ましく用いられる市販のアニオン性基を有するモノマーとしては、KAYAMARPM−21、PM−2(日本化薬(株)製)、AntoxMS−60、MS−2N、MS−NH4(日本乳化剤(株)製)、アロニックスM−5000、M−6000、M−8000シリーズ(東亞合成化学工業(株)製)、ビスコート#2000シリーズ(大阪有機化学工業(株)製)、ニューフロンティアGX−8289(第一工業製薬(株)製)、NKエステルCB−1、A−SA(新中村化学工業(株)製)、AR−100、MR−100、MR−200(第八化学工業(株)製)等が挙げられる。また、好ましく用いられる市販のアミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーとしてはDMAA(大阪有機化学工業(株)製)、DMAEA,DMAPAA(興人(株)製)、ブレンマーQA(日本油脂(株)製)、ニューフロンティアC−1615(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
ポリマーの重合反応は、光重合反応または熱重合反応を用いることが出来る。特に光重合反応が好ましい。重合反応のため、重合開始剤を使用することが好ましい。例えば、ハードコート層のバインダーポリマーを形成するために用いられる後述する熱重合開始剤、及び光重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤として市販の重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤に加えて、重合促進剤を使用してもよい。重合開始剤と重合促進剤の添加量は、モノマーの全量の0.2〜10質量%の範囲であることが好ましい。塗布液(モノマーを含む無機微粒子の分散液)を加熱して、モノマー(またはオリゴマー)の重合を促進してもよい。また、塗布後の光重合反応の後に加熱して、形成されたポリマーの熱硬化反応を追加処理してもよい。
中屈折率層及び高屈折率層には、比較的屈折率が高いポリマーを用いることが好ましい。屈折率が高いポリマーの例としては、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及び環状(脂環式または芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタンが挙げられる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高く用いることが出来る。
反射防止層の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法、スプレーコート法、インクジェット法により、塗布により形成することが出来る。
〈偏光板〉
本発明の偏光板について述べる。
偏光板は一般的な方法で作製することが出来る。本発明の防眩性反射防止フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した防眩性反射防止フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面にも該防眩性反射防止フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。裏面側に用いられる偏光板保護フィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2M、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC8UCR−1、KC8UCR−2、KC8UCR−3、KC8UCR−4(コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。本発明の防眩性反射防止フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは面内リターデーションRoが590nmで、20〜70nm、Rtが70〜400nmの位相差を有している光学補償フィルムであることが好ましい。これらは例えば、特開2002−71957号公報段落番号[0014]〜[0078]、特開2003−170492号公報段落番号[0064]〜[0252]記載の方法で作製することが出来る。或いは更にディスコチック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることが好ましい。例えば、特開2003−98348号公報段落番号[0033]〜[0053]記載の方法で光学異方性層を形成することが出来る。本発明の防眩性反射防止フィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることが出来る。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。該偏光膜の面上に、本発明の防眩性反射防止フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
本発明の防眩性反射防止フィルムを使用した偏光板は、更に光学補償フィルムを組み合わせることによる視野角拡大と併せて視認性の著しい向上をもたらすことが出来た。
〈表示装置〉
本発明の偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発明の表示装置を作製することが出来る。本発明の防眩性反射防止フィルムは反射型、透過型、半透過型LCD或いはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。また、本発明の防眩性反射防止フィルムは反射防止層の反射光の色むらやぎらつきが著しく少なく、また、平面性に優れ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置にも好ましく用いられる。特に画面が30型以上、特に30型〜54型の大画面の表示装置では、色むら、ぎらつきや波打ちむらが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
〈セルロースエステルフィルムの作製〉
(二酸化珪素分散液A)
アエロジル972V(日本アエロジル(株)製) 12質量部
(一次粒子の平均径16nm、見掛け比重90g/リットル)
エタノール 88質量部
以上をディゾルバーで30分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。二酸化珪素分散液に88質量部のメチレンクロライドを攪拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間攪拌混合し、二酸化珪素分散希釈液Aを作製した。
(インライン添加液Aの作製)
1,3,5トリアジン化合物(下記構造の化合物D) 12質量部
メチレンクロライド 100質量部
Figure 2005300576
以上を密閉容器に投入し、加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、濾過した。
これに二酸化珪素分散希釈液Aを36質量部、攪拌しながら加えて、更に30分間撹拌した後、セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.8)6質量部を攪拌しながら加えて、更に60分間攪拌した後、アドバンテック東洋(株)のポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1Nで濾過し、インライン添加液Aを調製した。
(ドープ液Aの調製)
セルロースエステル(リンター綿から合成されたセルローストリアセテート)
100質量部
(Mn=148000、Mw=310000、Mw/Mn=2.1、アセチル基置換度2.9)
トリメチロールプロパントリベンゾエート(下記化合物) 5.0質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 5.5質量部
メチレンクロライド 440質量部
エタノール 40質量部
Figure 2005300576
以上を密閉容器に投入し、加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液を調製した。濾過したドープ液Aを100質量部に対し、前述のインライン添加液Aを2質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、次いで、ベルト流延装置(図2)を用い、温度35℃、1.8m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が120%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルのウェブを40℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンターでTD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に120℃で1.1倍に延伸した。テンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は25%であった。その後、110℃、120℃の加熱ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.4m幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、平均高さ10μmのナーリング加工を施して巻き取り、セルロースエステルフィルムを得た。ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出される剥離直後のMD方向(フィルムの搬送方向と同一方向)の延伸倍率は1.1倍であった。セルロースエステルフィルムの残留溶剤量は0.1%であり、平均膜厚は80μm、巻数は3000mであった。
《防眩層1の塗布》
前記セルロースエステルフィルム上に、均一な塗布層となるように下記の防眩層1塗布組成物をダイコーターで塗布し、熱風の温度、風速を徐々に強め最終的に85℃で乾燥し、続いて活性光線照射部より0.1J/cm2の照射強度で紫外線照射し、乾燥膜厚で5μmの防眩層1を設け、裏面には後述のバックコート層を設け、防眩層1を有する防眩性フィルム1を得た。
〈防眩層1塗布組成物〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20質量部
合成シリカ粒子(平均粒径1.8μm) 8質量部
光反応開始剤 4質量部
(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
プロピレングリコールモノメチルエーテル 75質量部
メチルエチルケトン 75質量部
(バックコート層の塗設)
下記のバックコート層用塗布組成物を、3μmの粒子捕捉効率が99%以上で0.5μm以下の粒子捕捉効率が10%以下のフィルターで濾過して調製した。このバックコート層用塗布組成物を防眩層1を設けた面の反対側の面に、エクストルージョンコーターにてウェット膜厚が15μmになるように塗布し、90℃で30秒間乾燥させた。
〈バックコート層用塗布液〉
ジアセチルセルロース(アセチル基置換度2.4) 0.5質量部
アセトン 70質量部
メタノール 20質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
超微粒子シリカ アエロジル200V(日本アエロジル(株)製)
0.002質量部
(シリカ微粒子は添加するメタノール中に分散して添加した。)
《防眩層2の形成》
前述の方法で作製したセルロースエステルフィルム上に下記の方法で、半硬化状態の紫外線硬化樹脂層を設けた後、その上にインクジェット法で微細な凹凸を形成し防眩層2を有する防眩性フィルム2を作製した。
〈ハードコート層の塗設〉
塗布液として下記組成のハードコート層用塗布液を調製し、前記セルロースエステルフィルムの上に、硬化後の膜厚が3μmとなるようにマイクログラビアコーターを用いて塗布し溶剤を蒸発乾燥後、紫外線照射により半硬化状態のハードコート層を形成した。
〈ハードコート層用塗布液〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 70質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
光反応開始剤 4質量部
(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
酢酸エチル 150質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 150質量部
シリコン化合物 0.4質量部
(BYK−307(ビックケミージャパン社製))
上記組成物に形成した膜の屈折率が1.60となるように酸化ジルコニウム微粒子(平均粒径10nm)を添加した。酸化ジルコニウムは塗布液に添加する溶媒の一部を用いて予め分散したものを使用した。
次いで、上記半硬化の紫外線硬化樹脂層の上に、下記の防眩層インク液1をインクジェット方式によりインク液滴として1plで出射し、着弾後85℃で乾燥し、更に0.2J/cm2の照射強度で紫外線照射して、中心線平均粗さRaが0.3μm、凹部底を基準とした高さaが0.1〜1μmである凸部を100μm2当たり5個有している防眩層2を形成し、防眩性フィルム2を得た。
〈インクジェット出射方法〉
インクジェット出射装置は、ラインヘッド方式(図5の(a))を使用し、ノズル径が3.5μmのノズルを所定数有するインクジェットヘッドを10基を準備した。インクジェットヘッドは図4に記載の構成のものを使用した。
インク供給系は、インク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッド及び配管から構成されており、インク供給タンクからインクジェットヘッド部までは、断熱及び加温(40℃)し、出射温度は40℃、駆動周波数は20kHzで行った。
〈防眩層インク液1の組成〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 70質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 30質量部
光反応開始剤 4質量部
(イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製))
プロピレングリコールモノメチルエーテル 50質量部
メツルエチルケトン 500質量部
上記組成物に形成した膜の屈折率が1.60となるように酸化ジルコニウム微粒子(平均粒径10nm)を添加した。酸化ジルコニウムは塗布液に添加する溶媒の一部を用いて予め分散したものを使用した。
《防眩層3の形成》
防眩層2の形成と同様に、半硬化の紫外線硬化樹脂層の上に、防眩層2で用いた防眩層インク液を同様なインクジェット方式により出射し、防眩層を形成した。その後、インク液着弾後85℃で乾燥し、更に0.2J/cm2の照射強度で紫外線照射して、凹凸部の中心線平均粗さRaが0.5μm、凹部底を基準とした高さaが0.1〜10.0μmである凸部を100μm2当たり20個有している防眩層3を形成し、防眩層3を有する防眩性フィルム3を得た。
次いで、上記防眩性フィルム1〜3の上に下記低屈折率層を設け防眩性反射防止フィルム1〜8を作製した。
《反射防止層(低屈折率層)の作製》
(低屈折率層1の形成)
上記防眩層上に、下記の低屈折率層組成物1をダイコーターで塗布し、80℃で5分間乾燥させた後、更に120℃で5分間熱硬化させ、更に紫外線を175mJ/cm2照射して硬化させ、厚さ95nmとなるように低屈折率層1を設けた。尚、この低屈折率層1の屈折率は1.45であった。
〈テトラエトキシシラン加水分解物Aの調製〉
テトラエトキシシラン580gとエタノール1144gを混合し、これにクエン酸水溶液(クエン酸1水和物5.4gを水272gに溶解したもの)を添加した後に、室温(25℃)にて1時間攪拌することでテトラエトキシシラン加水分解物Aを調製した。
〈低屈折率層組成物1〉
プロピレングリコールモノメチルエーテル 303質量部
イソプロピルアルコール 305質量部
テトラエトキシシラン加水分解物A 139質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(信越化学社製KBM503) 1.6質量部
10%FZ−2207、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液
(日本ユニカー社製) 1.3質量部
(低屈折率層2の形成)
最初に、複合粒子の調製を行った。
(複合粒子P−1の調製)
平均粒径5nm、SiO2濃度20質量%のシリカゾル100gと純水1900gとを混合して反応母液を調製し、80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として1.5質量%のケイ酸ナトリウム水溶液9000gとAl23として0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは、ケイ酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムの添加直後、12.5に上昇し、その後、殆ど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO2・Al23多孔質粒子前駆体の分散液(A)を調製した。(第1工程)
上記で得られた多孔質粒子前駆体の分散液(A)100gに純水1900gを加えて95℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2として1.5g質量%)27000g及びアルミン酸ナトリウム水溶液(Al23として0.5質量%)27000gを同時に徐々に添加し、多孔質粒子前駆体の分散液(A)の粒子をシード粒子として粒子成長を行った。添加終了後、室温まで冷却した後、限外濾過膜で洗浄、濃縮して、固形分濃度20質量%のSiO2・Al23多孔質粒子前駆体の分散液(B)を得た。(第1工程)
この多孔質粒子前駆体の分散液(B)500gを採り、次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、一部のアルミニウムが除去されたSiO2・Al23多孔質粒子の分散液(C)を調製した。(第2工程)
上記多孔質粒子の分散液(C)1500gと、純水500g、エタノール1750g及び28%アンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO228質量%)104gを添加し、多孔質粒子の表面をエチルシリケートの加水分解重縮合物で被覆した。次いで、エバポレーターで固形分濃度5質量%まで濃縮した後、濃度15質量%のアンモニア水を加えてpH10とし、オートクレーブで180℃、2時間加熱処理し、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%の複合粒子(P−1)の分散液を調製した。(第3工程)
この複合粒子(P−1)の平均粒径、SiO2/MOx(モル比)、及び屈折率を表2に示す。ここで、平均粒径は動的光散乱法により測定し、屈折率は標準屈折液としてCARGILL製のSeriesA、AAを用い、以下の方法で測定した。
〈粒子の屈折率の測定方法〉
(1)粒子分散液をエバポレーターに採り、分散媒を蒸発させる。
(2)これを120℃で乾燥し、粉末とする。
(3)屈折率が既知の標準屈折液を2、3滴ガラス板上に滴下し、これに上記粉末を混合する。
(4)上記(3)の操作を種々の標準屈折液で行い、混合液が透明になったときの標準屈折液の屈折率をコロイド粒子の屈折率とする。
Figure 2005300576
(低屈折率層2の作製)
Si(OC254を95mol%、CF3(CF27(CH22Si(OCH33を5mol%で混合したマトリックスに対して、平均粒径60nm、屈折率1.38の複合粒子(P−1)を50質量%添加し、1.0N−HClを触媒に用いて、更に溶媒で希釈した低屈折率コーティング剤を作製した。防眩性フィルム1〜3上に各々マイクログラビア法を用いてコーティング溶液を膜厚0.1μmで塗布し、120℃で1分間乾燥し、紫外線照射して、屈折率1.41の低屈折率層2を形成した。
(低屈折率層3の形成)
(シリカ系微粒子P−2の調製)
平均粒径5nm、SiO2濃度20質量%のシリカゾル100gと純水1900gの混合物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として0.98質量%のケイ酸ナトリウム水溶液9000gとAl23として1.02質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その後、殆ど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO2・Al23核粒子分散液を調製した。(工程(a))
この核粒子分散液500gに純水1700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られたケイ酸液(SiO2濃度3.5質量%)3000gを添加して第1シリカ被覆層を形成した核粒子の分散液を得た。(工程(b))
次いで、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%になった第1シリカ被覆層を形成した核粒子分散液500gに純水1125gを加え、更に濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、第1シリカ被覆層を形成した核粒子の構成成分の一部を除去したSiO2・Al23多孔質粒子の分散液を調製した(工程(c))。上記多孔質粒子分散液1500gと、純水500g、エタノール1,750g及び28%アンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO228質量%)104gを添加し、第1シリカ被覆層を形成した多孔質粒子の表面をエチルシリケートの加水分解重縮合物で被覆して第2シリカ被覆層を形成した。次いで、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%のシリカ系微粒子(P−2)の分散液を調製した。
このシリカ系微粒子(P−2)の第1シリカ被覆層の厚さ、平均粒径、MOx/SiO2(モル比)、及び屈折率を表3に示す。ここで、平均粒径は動的光散乱法により測定し、屈折率は上記方法と同様にして測定した。
Figure 2005300576
(低屈折率層3の作製)
Si(OC254を95mol%、C37−(OC3624−O−(CF22−C24−O−CH2Si(OCH33を5mol%で混合したマトリックスに対して、平均粒径60nmのシリカ系微粒子(P−2)を50質量%添加し、1.0N−HClを触媒に用いて、更に溶媒で希釈した低屈折率コーティング剤を作製した。防眩性フィルム2、3上にダイコーター法を用いてコーティング溶液を膜厚0.1μmで塗布し、120℃で1分間乾燥した後、紫外線照射を行うことにより、屈折率1.37の低屈折率層3を形成した。
次いで、各々の防眩性反射防止フィルムを用いて偏光板を作製した。
《偏光板の作製》
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光膜と前記防眩性反射防止フィルム1〜8、裏面側のセルロースエステルフィルムを貼り合わせて偏光板を作製した。裏面側の偏光板保護フィルムには下記の方法で作製した位相差を有するセルロースエステルフィルムR(Ro=43nm、Rt=132nm)を用いてそれぞれ偏光板とした。
工程1:50℃の1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に60秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化したセルロースエステルフィルムを得た。
工程2:前記偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理したセルロースエステルフィルムの上にのせて、更に反射防止層が外側になるように積層し、配置した。
工程4:工程3で積層した防眩性反射防止フィルムと偏光膜とセルロースエステルフィルム試料を圧力20〜30N/cm2、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光膜とセルロースエステルフィルムと防眩性反射防止フィルム1〜8とを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、偏光板1〜8を作製した。尚、表示装置のバックライト側に用いられる偏光板には、偏光板保護フィルムとしてセルロースエステルフィルム(KC8UY、コニカミノルタオプト(株)製)と前記セルロースエステルフィルムRを用いて同様に作製したものを使用した。
〈セルロースエステルフィルムRの作製〉
(ドープ液Eの調製)
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.8) 100 質量部
(Mn=70000、Mw=220000、Mw/Mn=3.14)
トリフェニルフォスフェート 8質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 60質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液Eを調製した。
(二酸化珪素分散液E)
アエロジル972V(日本アエロジル(株)製) 10質量部
エタノール 75質量部
以上をディゾルバーで30分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。二酸化珪素分散液に75質量部のメチレンクロライドを攪拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間攪拌混合し、二酸化珪素分散希釈液Eを作製した。
(インライン添加液Eの作製)
メチレンクロライド 100質量部
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 4質量部
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 4質量部
チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 2質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、濾過した。
これに二酸化珪素分散希釈液Eを20質量部、攪拌しながら加えて、更に30分間攪拌した後、セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.8)5質量部を攪拌しながら加えて、更に60分間攪拌した後、アドバンテック東洋(株)のポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1Nで濾過し、インライン添加液Eを調製した。
濾過したドープ液Eを100質量部に対し、濾過したインライン添加液Eを4質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、次いで、ベルト流延装置を用い、温度35℃、1.8m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルフィルムのウェブを55℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンターでTD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に130℃で1.3倍に延伸した。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は18%であった。その後、120℃、110℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.4m幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、平均高さ10μmのナーリング加工を施し、巻き取り、セルロースエステルフィルムRを得た。残留溶剤量は0.1%であり、平均膜厚は80μm、巻数は4000mであった。このセルロースエステルフィルムのRo=43nm、Rt=132nmであり、幅方向に遅相軸を有し、幅方向に対する遅相軸のズレ角は±0.6度以内であった。
《液晶表示装置の作製》
液晶パネルを以下のようにして作製し、液晶表示装置としての特性を評価した。
市販の32型液晶テレビ(MVA型セル)の予め貼合されていた表面の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板1〜8をそれぞれ液晶セルのガラス面に貼合した。
その際、その偏光板の貼合の向きは、光学補償フィルム(位相差フィルム)の面が、液晶セル側となるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように行い、液晶表示装置1〜8を各々作製した。
《評価》
得られた液晶表示装置1〜8を用いて、図10で示した様な環境で観察し、防眩効果と視認性及び動画を表示したときの黒のしまりを各々下記の基準に従い目視にて評価した。尚、照明は40W蛍光灯(松下電器製FLR40S−EX−D/M)10本を天井に設置した。また窓から外光が差し込む状態で評価した。
(防眩効果)
照明及び外光の写り込みを下記のように評価した。
○:蛍光灯の輪郭、及び外光がぼけて写り込みが全く気にならない
△:蛍光灯の輪郭、及び外光の写り込みが僅かに認められる
×:蛍光灯の輪郭、及び外光が分かり写り込みが気になる
(ぎらつき)
作製した表示装置について、目視にてぎらつきを判定した。
◎:ぎらつきが全く分からない
○:ぎらつきが極僅かに分かる
△:ややぎらつきが分かる
×:ぎらつきがかなり気になる
(視認性及び動画を表示したときの黒のしまり)
前述の様に天井からは蛍光灯による人工照明と窓からの外光が差し込んでいる環境下でTV番組の動画像を同ディスプレイに表示し、比較実験を行った。ディスプレイ正面から1m離れた位置で動画像を観察し官能評価を行った。
○:画面上部の蛍光灯の写り込みが気にならず、画面中央部は外光があっても黒がしまって見え、観察中、観察直後においても疲れず違和感がない
△:画面上部の蛍光灯の写り込みが僅かに認められ、画面中央部は外光があると黒がややしまりに欠け、観察後やや疲れる
×:画面上部の蛍光灯の写り込みが認められ、画面中央部は外光の影響で黒のしまりに欠け、見ていると目が疲れる
(反射光の色むら)
○:反射光の色調変化が全く認められない
△:わずかに反射光の色調変化が認められる
×:部分的に反射光の色調変化が認められる
防眩性反射防止フィルム/液晶表示装置の構成及び上記評価結果を下記表4に示す。
Figure 2005300576
本発明の防眩性反射防止フィルムを用いた液晶表示装置4、5、7、8は、比較の液晶表示装置1、2、3、6に対し、上部照明及び外光による反射光の写り込みが気にならず優れた防眩効果を有しており、かつ視認性及び動画を表示したときの黒のしまり、反射光の色むらが改善出来ることが分かった。
実施例2
実施例1で作製した防眩性反射防止フィルム5、8に用いた低屈折率層の代わりに下記低屈折率層塗布組成物をダイコーターで塗布し、80℃で5分間乾燥させた後、更に120℃で5分間熱硬化させ、厚さ100nmとなるように低屈折率層4を設けた。尚、この低屈折率層の屈折率は1.44であった。
(低屈折率層4の形成)
〈低屈折率層組成物〉
含フッ素系共重合体(ポリジメチルシロキサンユニットを有するフルオロオレフィン/ビニルエーテル共重合体)を含む塗料(固形分3%)(JSR(株)製、JN−7215) 30質量部
コロイダルシリカ分散液(平均一次粒径50nm、固形分15%、イソプロピルアルコール分散液) 1.5質量部
1−メトキシ−2−プロパノール 6質量部
得られた防眩性反射防止フィルム9、10を用いて、実施例1と同様に偏光板9、10、液晶表示装置9、10を作製し、実施例1と同様な評価を行った。
その結果、本発明の防眩性反射防止フィルムを用いた液晶表示装置9、10は、優れた防眩効果を有しており、かつ視認性及び動画を表示したときの黒のしまり、反射光の色むらが優れていることが分かった。
透明基材上に、インクジェット方式で凹凸構造からなる防眩層を設けた一例を示す模式図である。 本発明に係る防眩層を構成する他の凹凸構造の一例を示す断面図である。 インクの吐出角度、及び吐出方法を示す概略図である。 本発明に係るインクジェット方法に用いることの出来るインクジェットヘッドの一例を示す断面図である。 本発明で用いることの出来るインクジェットヘッド部、ノズルプレートの一例を示す概略図である。 本発明で好ましく用いることの出来るインクジェット方式の一例を示す模式図である。 インクジェット方式により、粒径の大きなインク液滴で微細構造を形成した後、より粒径の小さなインク液滴で、更に微細な凹凸構造を形成した一例を表す模式図である。 透明基材上のインクジェット方式により防眩層を設けて防眩性反射防止フィルムを製造するフローの一例を示す模式図である。 透明基材上のインクジェット方式により防眩層を設けて防眩性反射防止フィルムを製造するフローの別の一例を示す模式図である。 本発明に係る防眩性反射防止フィルムを液晶表示装置に適用した時の観察時の環境を模式的に示した図である。
符号の説明
1、502、F 透明基材
2 ハードコート層
3、31 インク液滴
10 インクジェットヘッド
12 圧電素子
29、106A〜E 活性光線照射部
35 バックロール
501 フィルムロール
503 第1コータ
504A、B バックロール
505A、B 乾燥ゾーン
506A、B、C UV照射部
507 プラズマ処理部
508 インク供給タンク
509 インクジェット出射部
510 加熱部

Claims (9)

  1. 透明基材上にインク液滴を付着させて、該基材表面に微細凹凸構造を有する防眩層を形成し、更に該防眩層上に中空微粒子若しくはフッ素樹脂を有する低屈折率層を形成したことを特徴とする防眩性反射防止フィルム。
  2. 前記微細凹凸構造の中心線平均粗さ(Ra)が、0.05〜5.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の防眩性反射防止フィルム。
  3. 前記微細凹凸構造が、凹部底を基準とした高さaが0.1〜10.0μmである凸部を100μm2当たり1〜100個有していることを特徴とする請求項1または2に記載の防眩性反射防止フィルム。
  4. インク液滴が、活性光線硬化型樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
  5. インク液滴が、熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
  6. 前記中空微粒子が、多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層を有する複合粒子、内部に溶媒、気体、または多孔質物質で充填された空洞粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルムを一方の面に、光学補償フィルムをもう一方の面に有することを特徴とする偏光板。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルムを表面に設けたことを特徴とする表示装置。
  9. 請求項7に記載の偏光板を有することを特徴とする表示装置。
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