JP2005349505A - 基準穴穴開け機、及びその誤差補正方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】穴開け機のプリント配線板72を載置する可動テーブル12に低線膨脹率の合金製の基準治具板21をXm軸に平行に支承し、共に通常の線膨脹率の機械材料製のX軸参照治具板14とY軸参照治具板15をXm軸またはYm軸に平行に固着する。C、Dカメラはプリント配線板のガイドマーク73を視野に入れ、E、FカメラはY軸参照治具板15の基準マークである治具板小穴15hを視野に入れるように穴開け機の架台に固定される。可動テーブル12を移動してC、Dカメラで、基準治具板21の2個の治具板小穴21hの中心距離とX軸参照治具板14の対応する2個の治具板小穴14hの中心距離を観測し、温度による長さの変化率kを算出し、X軸参照治具板14の治具板小穴14hとY軸参照治具板15の治具板小穴15hの総てのx、y座標を(1+k)倍して記憶し直す。
【選択図】図9
Description
後工程で使用する治具板に2本のピンが植設されている。2本のピンをこの基準穴に挿通して多層プリント配線板の位置を確保する。導体層に形成された配線の巾やランドの直径が大きい間は、基準穴の径を治具板のピン径より多少大きくして余裕を取れば、実用上十分な加工精度が得られた。
4個のガイドマークの座標を観測して、穴開け機の機械座標系(Xm、Ym、0m)に対するプリント配線板の設計時の設計座標系(Xp、Yp、0p)の在り方(Xm軸とXp軸の傾き、0pの機械座標系での座標)を推定し、基準穴を機械座標系の座標で表して穴開けする多点方式が採用されることとなり、振り分け式と多点方式を結合した、いわゆる、多点振り分け方式が使用されることとなった。
通常、穴開け機は、ガイドマークを観測する左右2個のカメラが、Ym座標がほぼ一定になるように、穴開け機の架台等の不動部分に固着されている。可動テーブルにプリント配線板を載置して、可動テーブルをYm方向に移動して、カメラとプリント配線板の相対位置を変化し、ガイドマークをカメラ視野に入れて次々に観測する。
可動テーブルの移動に伴う精度は測定機級の精密さが要求される。
複数枚のエッチング加工済みの内層用両面プリント配線板を重ねて、それぞれの配線板の導体部に形成されたパターンの位置関係を正しく揃えることをレイアップという。
図12に多層プリント配線板の1種である両面プリント配線板のガイドマークを観測してレイアップ用基準穴を形成する穴開け機31の外観を示す斜視図と、図13にプリント配線板を載置してYm方向に移動する可動テーブルの平面図、および、Y軸治具板の投影図が示されている。
なお、Y軸治具板と同構成でX軸に平行に配置されたX軸治具板も示されている。
始めに奥の2個のガイドマークを観測し、可動テーブルをYmの正方向に移動させる。次いで、手前の2個のガイドマークを観測する。得られたガイドマーク4個、または、表裏8個の座標から4個のレイアップ用基準穴の座標を計算し、先ず、手前の基準穴2個を形成し、次いで、可動テーブル12を移動させて奥の基準穴2個を形成する。
穴開け機31の図示しない制御部内の記憶装置に、治具板小穴14h、15hの間隔h、または、座標値を記憶しておく。
この他にも、可動テーブルの送り方向が直角からずれた場合の補正方法等も提案されて、大きな問題もなく、安価に基準穴穴開け機が提供されている。
すなわち、穴開け機を設置する部屋としては、年間を通じてある基準温度が一定に保たれることが望ましい。条件が一定に近い場合は、上記X軸治具板およびY軸治具板の使用で好結果を得ることができるが、設置場所の室温が季節変化等によって上下すると、穴開け機は温度変化による伸縮が生じ、治具板小穴の間隔も変動する。
小規模の多層配線板メーカの増加に伴い、作業場の室温を基準温度に保てない場合も多く、温度変化の影響は無視できないものとなっている。メーカとしては自己完結する一連の工程は基準温度から離れた室温で済ます傾向があり、基準温度から離れた温度で正しい寸法に加工したいとの要求が発生する。
このような場合は室温の変化に応じて年に数回、その時の室温に合わせて治具板の再測定を行い、基準穴座標を登録し直す必要があるが、治具板の再測定はかなりの手間を要すると共に、自動で再測定、再登録することは極めて困難になるという問題があった。
したがって、装置販売後においても、数年ごとに行われる定期保守作業の精度補償にも関係するので無視できない問題となっている。
直交するXm軸とYm軸を持つ機械座標系を設定した前記基準穴穴開け機筺体に固定された架台と、
複数の基準マークを形成した基準治具板と、
前記基準治具板よりも大きい線膨脹率を持つ材料で形成され複数の基準マークを形成した参照治具板と、
前記基準治具板と前記参照治具板を近接してXm軸に平行に搭載しYm軸方向に移動する可動テーブルと、
前記Ym軸の座標を持つように前記架台に搭載され前記基準治具板と前記参照治具板の前記基準マークを観測する主カメラと、
前記主カメラによる前記基準治具板と前記参照治具板の前記基準マークの観測値から前記基準治具板の2個の前記基準マークの中心距離および前記参照治具板の対応する2個の前記基準マークの中心距離を算出し温度変化による参照治具板の変化率kを算出し記憶する制御部とを備えたことを主要な特徴としている。
参照カメラが観測した治具板小穴の座標値で主カメラの位置を補正することにより、可動テーブルの誤差である蛇行や送りむらを補正できる。また、参照カメラは常に参照治具板の基準マークを視野に入れたままなので、カメラが動くことで誤差の入り込む余地のないという利点もある。
1.プリント配線板である多層プリント配線板の構造説明
2.本発明を適用した基準穴穴開け機の説明
3.温度補正の原理の説明
4.穴開け工程と可動テーブルの移動に伴う誤差の補正方法の説明
電子機器の配線用に使用される多層プリント配線板は表裏2層の外部に露出した導体層と、数層の露出しない内層の導体層で構成され、各導体層の間に絶縁性の基板が挿入され、この基板によって導体層が接着された構造となっている。
多層プリント配線板の導体層としては、たとえば厚さ18μm程度の銅箔が使用される。
基板材料としては、熱硬化性のガラス・エポキシ樹脂の使用が主流であり、高多層配線板ではガラス・ポリイミド樹脂、ガラス・BT樹脂等の耐熱樹脂も使用される。
図5(a)は両面プリント配線板61の表面の導体層に形成されたパターンを平面図として示し、図5(b)は6層の多層プリント配線板の構成部材を示した側面図、
図5(c)は6層の多層プリント配線板の側面図である。構成要素である両面プリント配線板61の構成を模式的に示した斜視図である。
両面プリント配線板61の外周のコーナ近傍に(レイアップ)基準穴65、……、65を形成するための(レイアップ)ガイドマーク66、……、66と(後加工)基準穴68、……、68を形成するための(後加工)ガイドマーク69、……、69が同一エッチング工程で形成されている。
(レイアップ)基準穴65、……、65と(後加工)基準穴68、……、68は図では×印で示されているが、実際は何のマークも、穴もない。
銅箔62や両面プリント配線板61の間に挿入されたプリプレグ64、64a、64が熱硬化して(絶縁)基板に変化し、各導体間の接着も完了し、同図(c)に側面図として示された、1枚の多層プリント配線板60となる。
2枚の両面配線板61、61の導体(銅箔)62に形成された単一配線板のパターン61a同士が正しく重なるよう、位置決めすることをレイアップと呼ぶ。
即ち、1枚の両面配線板61、基準穴付きプリプレグ64a、両面配線板61を位置決めピン67a、……、67aに挿通してレイアップ治具板67に載置し、次に、上記3枚を矢印67b、……、67bで示す位置で熱による溶着を施すか、機械的にハトメ等で仮止めするとレイアップされた両面プリント配線板61bとなる。
1枚の両面プリント配線板61の表裏の単一配線板のパターン61a同士はエッチング工程で正しく重なるよう形成されている。従って、2枚の両面プリント配線板61、61の基準穴65、……、65と単一配線板のパターン61aの関係位置を等しくすればレイアップは正しく行われる。
実際の基準穴形成作業に先立って、基準穴穴開け機31の工程設計が行われ、穴開け機31の可動テーブル12上で、プリント配線板である上記両面プリント配線板61を載置する位置が決められる。穴開け機31に設定された機械座標系50(図1〜図4に示されている)と配線板座標系51の対応する座標軸XmとXp、および、YmとYpは平行とされるのが一般である。また、両面プリント配線板61の載置位置から、配線板座標系51の原点0pの機械座標系50の座標(Xm0p、Ym0p)として決定される。
上記の関係から、配線板座標系51で示された(レイアップ)ガイドマーク66、……、66の座標(Xp、Yp)は機械座標系50の座標に座標変換されて、穴開け機の記憶装置に記憶される。
従って、プリント配線板の(レイアップ)ガイドマーク66、……、66を観測して、その観測結果から、機械座標系50のXm軸と配線板座標系51のXp軸との傾斜角、および、配線板座標系51の原点0pの機械座標系50上での座標値を推定する。
更に、レイアップ治具板67の複数の位置決めピン67bの相互の中心間距離に一致させると作業が楽となる。ここまで考慮して基準穴を形成する基準穴の形成方法は多点振り分け方式と呼ばれる。
(後加工)ガイドマーク69は多層配線板60の内層に形成されているので、可視光線で観測できない。従って、上記の多層配線板60の内層に形成された(後加工)ガイドマーク69、……、69を観測して、(後加工)基準穴68、……、68を形成するのに、例えば、図1に示す、X線(基準穴)穴開け機が使用される。(後加工)ガイドマーク69、……、69を観測して、(後加工)基準穴68、……、68の位置を推定するのに、レイアップ基準穴を形成するのと同様多点振り分け方式が使用される。
また、これらの基準穴は前述のレイアップ基準穴を含めて後加工用治具板のための基準穴と総称して良い。
本発明の実施の形態である多点振り分け方式の基準穴穴開け機(以下穴開け機と略称する)の一例として、X線を使用して内層のガイドマークを観測する穴開け機を図1〜図3を参照して説明する。図1は本発明の穴開け機1の外観の斜視図であり、筺体2を透視して表している。
図2、3は穴開け機を投影図として示し、図2(a)は穴開け機1の正面図、図2(b)は側面図である。図3(a)(b)は穴開け機1の可動テーブル12の位置を変えた平面図を示し、図2、図3とも筺体2を透視して内部を表している。
なお、図1の白抜きの矢印17は作業者の定位置であって、作業者はYm軸の正方向である矢の方向に向かって立ち、基準穴を穴開けする多層プリント配線板を投入し、穴開けが終われば穴開け機1から取り出す。
なお、X移動架台10、10を個別に駆動するために、ボールねじ10bは各X移動架台10毎に配置されている。
なお、図2(a)に示すように、スピンドル7はエアタービン又は高周波モータを回転源とする高速モータであって、回転軸に取り付けられたチャック7aを介して、通常超硬合金製のドリル7bを装着してプリント配線板に基準穴を穴開けする。
なお、本実施例では主カメラ6、6を2台用いる構成に基づき説明している。
Y移動架台11、11はチャンネル状に形成され、上部にX線防護管5が配置され、図1、図2に示すように、これと並んでクランパ9とクランパ9を上下動させるエアシリンダ9aが設置されている。下部にはスピンドル7と(X線)主カメラ6が固定されている。
可動テーブル12は12Aの位置で、基準穴を穴開けする多層プリント配線板を載置し、Ym軸に沿って移動してガイドマーク測定、基準穴開け位置に引き込まれる。
なお、ボールねじ10b、11b、12bを駆動し、X移動架台10、10とY移動架台11、11、および可動テーブル12の移動を制御する制御装置は図示されていない。
参照カメラ22は可動テーブル12の下面から、後述する参照治具板15の治具板小穴15hを観測する。また、左側の参照カメラ22と左側の主カメラ6、右側の参照カメラ22と右側の主カメラ6が固定され、可動テーブル12の移動に係わる誤差を補正する働きをする。
更に観測装置で観測したガイドマークのX線像から座標値を算出し、この座標値と予め入力された基準穴の設計座標から、基準穴穴開け位置を計算するのが最大の役割である。
図3(a)に、加工できるプリント配線板の最大の大きさである最大プリント配線板外形71と、最小の大きさの最小プリント配線板外形71aが一点鎖線で記入されている。
場合により、観測装置に可視光線用のCCDカメラを使用してもよい。
可動テーブル12は通常金属製で平坦な板状に形成され、ガイドマーク透視、基準穴穴開けのための第1の逃げ穴(1、2穴用)13、13、第2の逃げ穴(3、4穴用)13a、13aが左右に1個づつ開けられている。
多層プリント配線板は、その外形の大きさに従って、プリント配線板の先端部分が揃うようにして、一点鎖線のように載置される。奥の基準穴2穴は逃げ穴13を使って、手前の基準穴の2穴は逃げ穴13aを使って穴開けが行われる。
基準治具板21は、例えば図4(c)に示すように、1点をXm、Ym座標が変化しないようにビス21sで支持し、両端は図4(b1)に示す長孔に対して同図(b2)に示すように段付きのビス止めとし、この両端は筐体が熱膨張等の影響を受けたときに多少Xm方向にスライドできるようにしている。
図4(e1)、(e2)に記入したように、X軸参照治具板14の治具板小穴14hの穴中心間隔は基準治具板21の治具板小穴21hの穴中心間隔と同一の長さhに形成されるのが好ましい。
Y軸参照治具板15は2個形成され、それぞれ、可動テーブル12のYm軸に平行な2辺の近傍に1個づつ長手の辺を同じく段付きのビス15sでYm軸に平行して固定される。
X軸参照治具板14、Y軸参照治具板15は、それぞれ、両端を図(d)に示す段付のビス14s、15sで止め、この両端の取付孔は可動テーブル12が熱膨張等の影響を受けたときに、X軸参照治具板14はXm方向、Y軸参照治具板15はYm方向にそれぞれその形状を保つように図4(b1)のような長孔によって形成するようにしている。
なお、正確にはX軸参照治具板14の治具板小穴14h、Y軸参照治具板15の治具板小穴15hのそれぞれ中心がある仮想直線が、X軸参照治具板14はXm軸に、Y軸参照治具板15はYm軸に、それぞれ平行に自由に伸縮できるように支承される。
なお、基準治具板、参照治具板は温度管理された環境下で必要な精度を保って加工され、治具板小穴の座標値はすべて計測され記録されている。
架台3に固定された左右の参照カメラ22、22は、それぞれ、Y軸参照治具板15、15の治具板小穴15hを観測する。即ち、基準治具板21の治具板小穴21h、X軸参照治具板14の治具板小穴14h、および、プリント配線板のガイドマーク69が主カメラ6の視野に入ったときに、少なくとも1個のY軸参照治具板15の治具板小穴15hが参照カメラ22の視野に入るように治具板小穴15hの穴中心間隔を定めれば好ましい。
ここで線膨張率の定義を定めておく。温度変化によって長さが変化するとき、ある物体の温度t2のときの長さをL2、t1のときの長さをL1、線膨張率をα(1/K)とすれば、次式が成立する。
〔 L2−L1=(L1)×(t2−t1)×α ………(2) 〕
理科年表では、基準とするL1は0度Cのときの長さと定めているが、多層プリント配線板の製造を行う工場の室温の温度変化の範囲は293K近辺で比較的に狭い温度範囲なので、L1は任意の室温における長さとし、αも一定として差し支えない。
本発明では、基準治具板21は上記の低線膨張率の合金で形成し、X軸参照治具板14とY軸参照治具板15は基準治具板21よりも線膨張率の大きな通常の機械材料で形成する。
図8(a)に示すように、基準治具板21に相当するA治具板を低線膨張率の合金で形成し、X軸参照治具板14に相当するB治具板を通常の機械材料で形成する。
温度t0にてA治具板に治具板小穴21hに相当する基準穴M、Nを、B治具板に治具板小穴14hに相当する基準穴P、Qを、同一中心間距離a0で形成する。
CおよびDカメラの視野には、視野の中心C点、または、D点を原点とするカメラ座標系(x、y、0)が作られ、x、y軸は相当する機械座標系の座標軸Xm、Ymと平行とされている。
なお、カメラ視野にx、y軸に平行な直線で区画された正方形の多数のセルが形成されており、画面の各セルの明度を適当な敷居値で二値化して基準穴の像として捕らえ、その像の重心を計算してカメラ座標系の原点からの距離として表示する、従来からの方法が使用されている。
温度t1のとき、Dカメラの視野の中心D点とB治具板の基準穴Qを一致させてDカメラを固定する。A治具板の基準穴Nを観測して、カメラ座標系で測った変位ΔNx1を得る。
別途、正確な標準スケールと比較して、B治具板の基準穴PQの中心距離b1を測定する。a1、b1、ΔNx1が測定値として図示しない記憶装置に記憶される。b1はC、Dカメラの中心間距離《c1》としても記憶される。
〔 《a1》=b1+《ΔNx1》=《c1》+《ΔNx1》 …………(3)〕
〔 《b1》=b1=《c1》 …………(4)〕
ここで、《ΔNx1》のような2重かっこ付の符号はDカメラによる観測値または観測値から導かれた値を示す。
〔《a2》=《c2》+《ΔNx2》=b1+《ΔNx2》…………(5)〕
〔《b2》=《c2》+《ΔQx2》=b1+《ΔQx2》…………(6)〕
(6)から(4)を引くと、
〔《b2》−《b1》=《ΔQx2》 …………(7)〕
(5)から(3)を引くと
〔《a2》−《a1》=《ΔNx2》−《ΔNx1》 …………(8)〕
〔 b2=《c1》+G=b1+G+《ΔQx2》 …………(9)〕
〔 a1=b1+《ΔNx1》 …………(10)〕
〔 a2=c2+《ΔNx2》=b1+G+《ΔNx2》 ………(11)〕
(11)から(10)を引くと、
〔 a2−a1=G+《ΔNx2》−《ΔNx1》 …………(12)〕
A治具板を形成した低線膨脹率の合金は、例えば工場内程度の温度変化ではa1=a2とみなせるので、(12)(8)式から、
〔 《ΔNx2》−《ΔNx1》=−G=《a2》−《a1》 …………(13)〕
〔 b2=b1×(1+k)=b1+G+《ΔQx2》 ………(14)〕
(7)(13)を代入してGと《ΔQx2》を消去して、
〔b1×(1+k)=b1+(《b2》−《b1》)−(《a2》−《a1》)
…………(15)〕
〔k=(1/b1)×{(《b2》−《b1》)−(《a2》−《a1》)}
…………(16)〕
このように、《b2》、《a2》は基準穴M、N、P、Qを観測して得られ、b1、《b1》、《a1》は測定値として記憶されているから、変化率kは新旧のAB治具板の基準穴中心距離の観測値と記憶装置に記憶された数値のみで求めることができる。
なお、基準穴M、N、P、Qの中心距離を測定するとして説明したが、各基準穴の座標が既知であれば、基準穴の中心距離に換算でき変化率kも容易に算出できる。
即ち、B治具板のすべての基準穴の座標(Xi1、Yi1)を下式(17)に従って変更する。
〔 Xi2=Xi1×(1+k)、Yi2=Yi1×(1+k)……(17)〕
上記の補正により、基準温度以外の任意の室温で自動的に正しい距離を得ることができる。参照治具板の基準マークの座標値を修正することにより温度変化を補正できるこの方法は基準穴穴開け機の温度補正方法として優れている。
図9〜図10を参照して穴開け機による穴開け工程を説明する。図9〜図10は穴開け機のプリント配線板72を載置する可動テーブル12をZm軸に沿って見下ろした模式図であり、主カメラ6、6(Cカメラ、Dカメラ)、参照カメラ22、22(Eカメラ、Fカメラ)との関係を示している。
次いで、主カメラ6,6を移動してガイドマーク73を視野に入れる位置に固定する。
以上が準備工程となる。
図9(b)に示す第2工程で、可動テーブル12を移動し、主カメラ6、6は視野に入ったX軸参照治具板14の治具板小穴14hを観測する。《b2》が得られる。
すでに記憶してある《a1》、《b1》と上記の数値から、前述の式(16)により温度係数kを算出する。あらかじめ定めてあった敷居値と比較し、敷居値を上回ればX軸参照治具板14、Y軸参照治具板15のすべての治具板小穴14h、15hの座標値を式(17)に従って書き換える。以上の工程は自動でも手動でも選択可能である。
図10(a)に示す第3工程でプリント配線板72を可動テーブル12に載置する。可動テーブル12は移動し、主カメラ6、6が奥側のガイドマーク73を視野に入れる位置で停止する。主カメラ6、6でガイドマーク73の像を観測し、その座標値を出力する。同時に参照カメラ22、22で視野に入った左右のY軸参照治具板15、15の治具板小穴15h、15hを観測しその座標を出力する。これらの座標値は一時記憶される。
配線板座標系の座標原点座標、傾斜角度を推定する。
第5工程以降は手前側の基準穴形成、奥側基準穴形成、プリント配線板72取り出しと機械加工の工程が続き、1枚のプリント配線板72の加工が終了する。
プリント配線板72の2枚目以降は温度変化率の算出を行わずに、即プリント配線板の観測加工が行われる。
この状態で配線板座標系で表された基準穴の位置を算出する必要がある。多点方式は多数のガイドマークを観測して配線板座標系51の真の位置を推定して、その後に基準穴の座標を機械座標系の座標値に変換する。本例では4個のガイドマーク73の機械座標系50で表した座標値から配線板座標系51の真の位置を推定する。
すべて機械座標系50の座標値で左側の主カメラ6の視野中心をC(U1、V1)、右側の主カメラ6の視野中心をD(U2、V2)、左側の参照カメラ22の視野中心をE(U3、V3)、右側の参照カメラ22の視野中心をF(U4、V4)とする。
左側参照カメラ22の視野に入ったY軸参照治具板15の治具板小穴15hの座標値を(X3、Y3)、右側を(X4、Y4)とする。参照カメラ22の上記治具板小穴15h、15hの観測値を(Δx3、Δy3)、(Δx4、Δy4)とする。
〔 U3=X3+Δx3 V3=Y3+Δy3 ……(18) 〕
〔 U4=X4+Δx4 V4=Y4+Δy4 ……(19) 〕
また、主カメラ6と参照カメラ22は架台3を介して固定されているので、Δx1、Δy1、Δx2、Δy2は変わらない。この値は、たとえば、X軸参照治具板観測時に取得した値を使用すればよい。従って主カメラ6、6の視野中心座標は
〔 U1=U3+Δx1=X3+Δx1+Δx3 ……(20) 〕
〔 V1=V3+Δy1=Y3+Δy1+Δy3 ……(21) 〕
〔 U2=U4+Δx2=X4+Δx2+Δx4 ……(22) 〕
〔 V2=V4+Δy2=Y4+Δy2+Δy4 ……(23) 〕
と書き表せる。
2個のガイドマーク73、73の機械座標系50で表示した座標値(X1、Y1)(X2、Y2)は
〔 X1=U1+δx1 Y1=V1+δy1 ……(24) 〕
〔 X2=U2+δx1 Y2=V2+δy2 ……(25) 〕
として求めることができる。
このように、参照カメラ22による参照治具板21の基準マーク(治具板小穴21h)の観測値で、主カメラ6の座標値を補正することにより、可動テーブル12の移動に伴う誤差である蛇行や送りむらの影響をうち消すことができる。
なお、図11(b)で左右のガイドマーク73の像を結ぶ破線の傾きは載置されたプリント配線板の座標軸の傾きαに近いと考えられる。
なお、本実施例では主カメラ6を2台使用する構成としたが、それに限るものではなく、主カメラ6を1台用いる構成にしてもよい。この場合、1台の主カメラの移動により、基準治具板21及びX軸参照治具板14のそれぞれ2個の基準マークが観測される。
5 X線防護管、5a 穴、6 (X線)主カメラ、10 X移動架台、11 Y移動架台、12 可動テーブル、10a、11a、12a 直線ガイド(LMガイド)、10b、11b、12b ボールねじ、13 逃げ穴、13a 逃げ穴、14 X軸参照治具板、15 Y軸参照治具板、14h、15h、21h 治具板小穴(基準マーク)14s、21s、21b 小ねじ、17 作業者位置(白抜き矢印)、
21 基準治具板、22 参照カメラ、22a 参照カメラ腕、22b 固定端、
31 (両面配線板用の)(基準穴)穴開け機、32、32a CCDカメラ、
50 機械座標系(Xm、Ym、Zm、座標原点Om)、
51 配線板座標系(Xp、Yp、座標原点Op)、Opa 計画時の座標原点、
α 回転角(Xm軸とXp軸のなす角度)、60 多層プリント配線板、61 両面配線板、61a 単一配線板のパターン、61b (レイアップされた)両面配線板、62 導体、63 (絶縁)基板、64、 プリプレグ、64a プリプレグ(基準穴付き)、65 (レイアップ)基準穴、66 (レイアップ)ガイドマーク、67 レイアップ治具板、68 (後加工)基準穴、69 (後加工)ガイドマーク、70 (後加工)治具板、70a 位置決めピン、71 最大配線板外形、71a 最小配線板外形、72 プリント配線板、73 (プリント配線板)ガイドマーク
Claims (5)
- プリント配線板に基準穴を形成する基準穴穴開け機であって、
直交するXm軸とYm軸を持つ機械座標系を設定した架台と、
複数の基準マークを形成した基準治具板と、
前記基準治具板よりも大きい線膨脹率を持つ材料で形成され複数の基準マークを形成した参照治具板と、
前記基準治具板と前記参照治具板を近接してXm軸に平行に搭載しYm軸方向に移動する可動テーブルと、
前記Ym軸の座標を持つように前記架台に搭載され、前記基準治具板と前記参照治具板の前記基準マークを観測するための主カメラと、
前記主カメラによる前記基準治具板と前記参照治具板の前記基準マークの観測値から、前記基準治具板の2個の前記基準マークの中心距離および前記参照治具板の対応する2個の前記基準マークの中心距離を算出し、温度変化による前記基準治具板に対する前記参照治具板の変化率kを算出し記憶する制御部と、
を備えたことを特徴とする基準穴穴開け機。 - 温度t1において前記主カメラで観測した前記参照治具板の2個の前記基準マークの中心距離の観測値を《b1》とし、前記基準治具板の対応する基準マーク間の中心距離の観測値を《a1》とし、
前記参照治具板の2個の前記基準マークの中心距離を別途測定してb1を得て前記《b1》=b1として記憶され、
温度t2において前記参照治具板の2個の前記基準マークの中心距離の観測値が《b2》であり前記基準治具板の対応する前記基準マーク間の中心距離の観測値が《a2》であるとき、温度t2における前記基準治具板の対応する基準マーク間の中心距離をb2とし 〔 b2=b1×(1+k) 〕で表すとき、変化率kは下記式で算出されることを特徴とする請求項1に記載の基準穴穴開け機。
k=(1/b1)×{(《b2》−《b1》)−(《a2》−《a1》)} - プリント配線板に基準穴を形成する基準穴穴開け機であって、
直交するXm軸とYm軸を持つ機械座標系を設定した架台と、
通常の線膨脹率の機械材料で形成され複数の基準マークを備えたY軸参照治具板と、
前記Y軸参照治具板を前記Ym軸に平行に搭載しYm軸方向に移動する可動テーブルと、
前記架台に搭載され前記Y軸参照治具板に形成された基準マークを観測する参照カメラと、
前記参照カメラの観測値から前記可動テーブルの移動に伴う誤差の補正量を算出する制御部とを、
備えたことを特徴とする基準穴穴開け機。 - 直交するXm軸とYm軸を持つ機械座標系を設定した架台に前記Ym軸の座標を持つように搭載された主カメラで前記可動テーブルに前記Xm軸に平行に支承された基準治具板の2個の基準マークの観測を行う第1工程と、
前記基準治具板と近接して前記Xm軸に平行にX軸参照治具板を搭載した前記可動テーブルを移動して前記主カメラで前記X軸参照治具板の対応する2個の基準マークの観測を行う第2工程と、
第1工程の観測値と第2工程の観測値から温度変化による参照治具板の変化率kを算出し、予め定められた敷居値と比較する第3工程と、
前記変化率kが前記敷居値を超過したときに前記X軸参照治具板およびY軸参照治具板のすべての座標値を変化率kを用いて算出し書き換える第4工程からなることを特徴とする基準穴穴開け機の誤差補正方法。 - 直交するXm軸とYm軸を持つ機械座標系を設定した架台に前記Ym軸の座標を持つように搭載された主カメラで前記Ym軸に平行に移動する可動テーブルに載置されたプリント配線板の奥側のガイドマークを観測すると同時に、前記架台に固着された参照カメラで前記可動テーブルの前記Ym軸に沿って搭載されたY軸参照治具板の複数個の基準マークの観測を行う第1工程と、
前記可動テーブルをYm軸に平行に移動して前記主カメラで前記プリント配線板の手前側の前記ガイドマークを観測すると同時に前記参照カメラで前記Y軸参照治具板の複数個の前記基準マークの観測を行う第2工程とからなり、
第1工程および第2工程の前記参照カメラの前記Y軸参照治具板の複数個の前記基準マークの観測値から、前記主カメラの観測値を補正することにより前記可動テーブルの移動誤差を補正することを特徴とする基準穴穴開け機の誤差補正方法。
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