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JP2005343113A - 日射遮蔽フィルム及びその製造方法 - Google Patents

日射遮蔽フィルム及びその製造方法 Download PDF

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JP2005343113A JP2004168217A JP2004168217A JP2005343113A JP 2005343113 A JP2005343113 A JP 2005343113A JP 2004168217 A JP2004168217 A JP 2004168217A JP 2004168217 A JP2004168217 A JP 2004168217A JP 2005343113 A JP2005343113 A JP 2005343113A
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忠義 菅谷
Atsuhiro Tanaka
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Abstract

【課題】日射に含まれる近赤外線を反射する機能をもつアルミニウム蒸着層を有し、日射を遮る目的で建物や自動車などの窓ガラスに貼付されるフィルムであって、ヘーズ値が小さく、かつ貼付後のアルミニウム蒸着層の透明化が抑制されると共に、製造工程における中間フィルム加工品の巻取り適性が良好な日射遮蔽フィルムを提供する。
【解決手段】 ポリエステル系フィルムの一方の面に、可視光線透過率が15〜75%のアルミニウム蒸着層及びハードコート層が順に積層され、かつその反対面に粘着剤層が設けられてなる日射遮蔽フィルムである。
【選択図】図3

Description

本発明は、日射遮蔽フィルム及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、日射に含まれる近赤外線を反射する機能をもつアルミニウム蒸着層を有し、日射を遮る目的で建物や自動車などの窓ガラスに貼付されるフィルムであって、ヘーズ値が小さく、かつ貼付後のアルミニウム蒸着層の透明化が抑制されると共に、製造工程における中間フィルム加工品の巻取り適性が良好な日射遮蔽フィルム、及びその製造方法に関するものである。
従来、様々な目的のために、窓ガラスや窓用プラスチックボード貼付用として、プラスチックフィルムが用いられている。
例えば、窓ガラスから室内に入り込む太陽光には、可視光線以外に、紫外線や赤外線なども含まれている。太陽光に含まれる紫外線は日焼けの原因となり、人体に対する悪影響が最近指摘されており、また紫外線による内容物の変質が生じることもよく知られていることである。一方、太陽光に含まれる赤外線についても、直射日光による室内の温度上昇を引き起こし、夏場の冷房効果を低下させるなどの問題がある。したがって、このような好ましくない事態を避けるために、紫外線遮蔽フィルムや赤外線遮蔽フィルムが窓ガラスや窓用プラスチックボード貼付用として用いられている。
これらの窓ガラスや、窓用プラスチックボード貼付フィルムは、その表面に通常、耐擦傷性などを付与するために電離放射線硬化型樹脂、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系樹脂などを塗工し、硬化してなるハードコート層が設けられている。
ところで、建物の窓、乗物の窓、あるいは冷蔵、冷凍ショーケースの窓などにおいて、暑さの軽減、省エネルギー化を図るために、これらの窓に貼付され、熱線(特に、近赤外線)を反射又は吸収する性能を付与する部材が提案されている。例えば、透明フィルム状基体の表面に、アルミニウム、銀、金等の金属薄膜をスパッタリングや蒸着により形成してなる窓用熱線反射フィルムが開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
このような熱線反射性の日射遮蔽フィルムにおいては、従来、金層薄膜として、安価で軽量であって、蒸着が容易なアルミニウム薄膜がよく用いられており、そして、一般に図1に示す構成及び製造工程がとられている。図1は、従来の日射遮蔽フィルムの構成及び製造工程を示す説明図である。
すなわち、ポリエステル系フィルムの一方の面に、第1工程でアルミニム蒸着層(Al蒸着層)を設けたのち、第2工程で、その上にアルミニウム保護層(Al保護層)を設け、次いで第3工程で、ポリエステル系フィルムの背面側にハードコート層を設ける。その後第4工程で、アルミニウム保護層上に粘着剤層を設け、剥離フィルムを貼り合わせることにより、日射遮蔽フィルムが作製される。
しかしながら、このような構成の日射遮蔽フィルムにおいては、以下に示す2つの問題点を有している。
第1の問題点は、この構成の日射遮蔽フィルムを、自動車の窓用ガラスに貼付すると、数日経過後に、直径数mm〜数cm程度の円形状に、あるいは熱線プリントに沿って直線状に、アルミニウム蒸着層が透明になる場合があることである。
これは、日射遮蔽フィルムをガラスに貼付する際に、使用した施工液(0.1重量%程度の界面活性剤水溶液)によって、アルミニウム蒸着層のアルミニウムが水酸化されるためである。粘着フィルムをガラスに貼付する際には、ガラスと粘着剤層との間に気泡が入るのを防ぐために、一般に、粘着剤層面とガラス面に施工液を噴霧し、該フィルムを所定位置に仮固定したのち、スキージーで施工液を掻き出しながら圧着する方法が用いられる。
ガラスと粘着剤層との間に残留した施工液は、粘着剤層、アルミニウム保護層に順次浸透し、やがてアルミニウム蒸着層に達する。このアルミニウム蒸着層は透湿度が小さいために、該施工液はアルミニウム保護層の中に数日間滞留する。そして、時間の経過と共に該施工液は表面張力により凝集し、アルミニウム保護層を膨潤させ、直径数mm〜数cm程度の水溜りによる膨れを形成する。
この水溜りによる膨れは、日射を受けて温度が上昇するとアルミニウムの水酸化を促進するため、その部分のアルミニウム蒸着層が透明になるのである。
アルミニウム保護層は、一般にポリエステル樹脂などを溶剤に溶解して、グラビヤコーターなどで塗工される。これらの樹脂は、空気中の水分によるアルミニウムの水酸化を防ぐことはできるが、施工時に残留した前記施工液の浸透を防ぐことはできない。
第2の問題点は、製造工程における巻取り適性が悪いことである。
図1の構成を有する従来の日射遮蔽フィルムは、一般的に前述の第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程を施すことによって作製される。しかしながら、ポリエステル系フィルムの背面A側に、第3工程にてハードコート層を設け、ロール状に巻き取る場合、ハードコート層とアルミニウム保護層との滑り性が悪い(動摩擦係数及び静摩擦係数が大きい)ために、アルミニウム保護層に、微粒子や滑剤を添加することが行われる。その結果、可視光線が微粒子を透過する際に屈折し、散乱するために、ヘーズ値が高くなるのを免れないという問題が生じる。
上記問題に対処する手段として、図1の構成の日射遮蔽フィルムを、一部製造工程の順序を変えて作製する手段がある。図2は、図1に示す構成であって、製造工程が異なる日射遮蔽フィルムの構成及び製造工程を示す説明図である。
すなわち、第1工程及び第2工程は、前記図1と同様であるが、第3工程でアルミニウム保護層上に粘着剤層を設け、剥離フィルムを貼り合わせたのち、第4工程で、ポリエステル系フィルムの背面A側にハードコート層を設け、日射遮蔽フィルムを作製する。この方法において、剥離フィルムに微粒子を添加すれば、日射遮蔽フィルムのヘーズ値を上昇させずに、巻取り適性を向上させることができる。
しかしながら、この場合、剥離フィルムの背面B側には剥離剤であるシリコーン樹脂が裏移りしているため、第3工程を施したのち、ロール状に巻き取ると、該シリコーン樹脂が、前記背面B側から、ポリエステル系フィルムの背面A側に転移し、第4工程でハードコート層を形成させる場合、ハジキが発生し、良好なハードコート層が形成されにくいという問題が生じる。
他方、近赤外線吸収性の光線透過性材料として、アントラキノン誘導体やアミノ化合物などの有機系材料、クロム、コバルト錯塩チオールニッケル錯体などの錯体系材料が知られている。しかしながら、これらの材料を含む層を設けてなる日射遮蔽フィルムにおいては、前記有機系材料を用いたものは、耐久性が悪く、環境条件の変化や時間の経過と共に、初期の性能が劣化していくという欠点がある。また、錯体系材料を用いたものは、耐久性はあるものの、近赤外領域のみならず、可視領域にも吸収があり、化合物そのものが強く着色しているものが多く、用途が制限されるのを免れないという欠点がある。
特開昭57−59748号公報 特開昭57−59749号公報
本発明は、このような事情のもとで、日射に含まれる近赤外線を反射する機能をもつアルミニウム蒸着層を有し、日射を遮る目的で建物や自動車などの窓ガラスに貼付されるフィルムであって、ヘーズ値が小さく、かつ貼付後のアルミニウム蒸着層の透明化が抑制されると共に、製造工程における中間フィルム加工品の巻取り適性が良好な日射遮蔽フィルムを提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、前記の好ましい性質を有する日射遮蔽フィルムを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、従来の日射遮蔽フィルムの構成及び製造工程を、図3に示すように変更することによって、下記の理由により、その目的を達成し得ることを見出した。
図3は、本発明の日射遮蔽フィルムの構成及び製造工程の1例を示す説明図であって、ポリエステル系フィルムの一方の面に、可視光線透過率が特定の範囲にあるアルミニウム蒸着層とハードコート層を順に積層すると共に、その反対面に粘着剤層及び剥離フィルムが設けられた構成が示されている。
このような構成の日射遮蔽フィルムにおいては、貼付時にガラスと粘着剤層との間に残留した施工液は、粘着剤層に浸透するが、ポリエステル系フィルムには浸透しないため、アルミニウム蒸着層に達することができず、該アルミニウム蒸着層のアルミニウムを水酸化して透明にすることがない。該ポリエステル系フィルムは、一般に2軸延伸されているため、従来のアルミニウム保護層に用いられているポリエステル樹脂に比べて結晶化度が高く、吸水率及び透湿度が小さいからである。
一方、ポリエステル系フィルムの背面Cの動摩擦係数をある範囲にすることで、第1工程でアルミニウム蒸着層を設けた後の巻取り、及び第2工程でハードコート層を設けた後の巻取りにおいて、良好な滑り性を有し、ロール状に巻き取ってもシワ、折れ、突起などを発生することが抑制される。
一般に、動摩擦係数を小さくする目的でフィラーを添加するが、内部添加の場合には、ヘーズ値が高くなるため、表層のみにフィラーを添加することによって、摩擦係数を小さくし、かつヘーズ値も小さくすることができる。
アルミニウム蒸着層は、日射を遮蔽する効果及び水蒸気透過率のバランスを考慮し、可視光線透過率を選定する。可視光線透過率が高すぎると日射の遮蔽効果が不十分となり、一方、可視光線透過率が低すぎると、水蒸気透過率が小さくなるため、施工液の乾燥が遅くなり、水溜りによる膨れを生じやすい。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)ポリエステル系フィルムの一方の面に、可視光線透過率が15〜75%のアルミニウム蒸着層及びハードコート層が順に積層され、かつその反対面に粘着剤層が設けられていることを特徴とする日射遮蔽フィルム、
(2)ポリエステル系フィルムが、動摩擦係数0.3〜0.8及びヘーズ値0.4〜1.6%のものである上記(1)項に記載の日射遮蔽フィルム、
(3)アルミニウム蒸着層の厚さが、5〜40nmである上記(1)又は(2)項に記載の日射遮蔽フィルム、
(4)ハードコート層が、電離放射線による硬化樹脂層である上記(1)、(2)又は(3)項に記載の日射遮蔽フィルム、
(5)ハードコート層の厚さが、0.5〜30μmである上記(1)ないし(4)項のいずれかに記載の日射遮蔽フィルム、
(6)ポリエステル系フィルムの一方の面に、可視光線透過率が15〜75%のアルミニウム蒸着層を設け、次いでその上にハードコート層を形成したのち、その反対面に粘着剤層を形成することを特徴とする日射遮蔽フィルムの製造方法、及び
(7)ポリエステル系フィルムが、動摩擦係数0.3〜0.8及びヘーズ値0.4〜1.6%のものである上記(6)項に記載の日射遮蔽フィルムの製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、日射に含まれる近赤外線を反射する機能をもつアルミニウム蒸着層を有し、日射を遮る目的で建物や自動車などの窓ガラスに貼付されるフィルムであって、ヘーズ値が小さく、かつ貼付後のアルミニウム蒸着層の透明化が抑制されると共に、製造工程における中間フィルム加工品の巻取り適性が良好な日射遮蔽フィルム及びその製造方法を提供することができる。
本発明の日射遮蔽フィルムは、ポリエステル系フィルムの一方の面に、可視光線透過率が15〜75%のアルミニウム蒸着層及びハードコート層が順に積層され、かつその反対面に粘着剤層が設けられた構造を有している。
本発明において、基材フィルムとして用いられるポリエステル系フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリエチレンナフタレート及びその共重合体、ポリブチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリシクロヘキシレンメチレンテレフタレート及びその共重合体、並びにこれらを2種以上組み合わせた混合樹脂などを用いて得られたフィルムを挙げることができる。これらの中で、性能及び価格などの面から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、特に2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好適である。
本発明においては、ポリエステル系フィルムの少なくともアルミニウム蒸着層を設ける反対面の動摩擦係数が0.3〜0.8及びヘーズ値が0.4〜1.6%の範囲にあるものを用いることが好ましい。該ポリエステル系フィルムの動摩擦係数が上記の範囲にあれば、アルミニウム蒸着層形成後の巻取り操作やハードコート層形成後の巻取り操作において、巻取り適性が良好であって、ロール状に巻取ってもシワ、折れ、突起などの発生が抑制される。
前記動摩擦係数は、巻取り適性の指標として重要であるが、巻き取られて停止したフィルムは、巻取りが進むに伴い、さらにせん断力を受けるため、静摩擦係数が小さいことも要求される。本発明においては、静摩擦係数が0.3〜0.8の範囲にあるポリエステル系フィルムを用いることが好ましい。なお、前記動摩擦係数及び静摩擦係数は、「JIS K 7125:1999プラスチック−フィルム及びシート−摩擦係数試験方法」に準じて測定した値である。
また、ヘーズ値が0.4未満のものは動摩擦係数及び静摩擦係数が大きくなり、巻取適性が悪く製造が困難であり、一方ヘーズ値が1.6%を超えるとフィルムが白濁して透視性が悪くなる。好ましいヘーズ値は0.4〜1.2%の範囲である。なお、上記ヘーズ値は、「JIS K 7136:2000プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に準じて測定した値である。
ポリエステル系フィルムの動摩擦係数、静摩擦係数及びヘーズ値を前記範囲に調整する方法としては、一般に表層部のみにフィラーなどを添加する方法が用いられる。
本発明においては、前記ポリエステル系フィルムの厚さは特に制限はないが、通常5〜200μm程度、好ましくは10〜100μmの範囲である。
このポリエステル系フィルムは、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。また、プライマー処理を施すこともできる。
本発明の日射遮蔽フィルムにおいて、前記ポリエステル系フィルムの一方の面に設けられるアルミニウム蒸着層の形成方法に特に制限はなく、従来プラスチックフィルム上にアルミニウム蒸着層を形成するのに採用されている方法の中から、任意の方法を適宜選択して用いることができる。このアルミニウム蒸着層の形成方法としては、例えば真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどがある。ここで、真空蒸着においては、10-2〜10-5Pa程度の真空中で抵抗加熱、電子ビーム加熱、レーザ光加熱、アーク放電などの方法で蒸着物質を加熱蒸発させ、ポリエステル系フィルム表面に蒸着層を形成させる。また、スパッタリングにおいては、アルゴンなどの不活性ガスが存在する1〜10-1Pa程度の真空中で、グロー放電などにより加速されたAr+などの陽イオンをターゲット(蒸着物質)に撃突させて蒸着物質をスパッタ蒸発させ、ポリエステル系フィルム表面に蒸着層を形成させる。蒸発の方法としては、DC(直流)スパッタリング、RF(高周波)スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、バイアススパッタリングなどがある。イオンプレーティングは、上記の真空蒸着とスパッタリングとを組み合わせたような蒸着法である。この方法では、1〜10-1Pa程度の真空中において、加熱により放出された蒸発原子を、電界中でイオン化と加速を行い、高エネルギー状態でポリエステル系フィルム表面に付着させ、蒸着層を形成させる。
本発明においては、このようにして形成されたアルミニウム蒸着層は、可視光線透過率が15〜75%の範囲にあることが必要である。この可視光線透過率が15%未満では水蒸気透過率が小さいため、粘着剤層とガラスとの間に残留した施工液の乾燥が遅くなり、水溜りによる膨れなどが生じやすい。一方、可視光線透過率が75%を超えると近赤外線反射効果(日射遮蔽効果)が不十分となり、本発明の目的が達せられない。好ましい可視光線透過率は30〜70%の範囲である。なお、上記可視光線透過率は、「JIS A 5759:1998 建築窓ガラス用フィルム」に準じて測定した値である。
このアルミニウム蒸着層の厚さは特に制限はないが、日射を遮る効果及び可視光線透過率のバランスの点から、好ましくは5〜40nm、より好ましくは10〜30nmの範囲で選定される。
本発明の日射遮蔽フィルムにおいて、前記アルミニウム蒸着層上に形成されるハードコート層は、透明性を有し、かつ耐擦傷機能を有するものであればよく、特に制限されず、従来窓ガラス用フィルムのハードコート層として使用されているものの中から、適宜選択して用いることができるが、特に電離放射線による硬化樹脂層であることが好ましい。なお、電離放射線による硬化樹脂層とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線などを照射することによって、架橋、硬化された樹脂層を指す。
この電離放射線による硬化樹脂層を形成させるには、電離放射線硬化性化合物と、必要に応じて用いられる光重合開始剤などを含む電離放射線感応型樹脂組成物を、前述のアルミニウム蒸着層上にコーティングして塗膜を形成させ、電離放射線を照射して、該塗膜を硬化させることにより、形成することができる。
前記電離放射線感応型樹脂組成物において、電離放射線硬化性化合物としては、例えば光重合性プレポリマー及び/又は光重合性モノマーを用いることができる。上記光重合性プレポリマーには、ラジカル重合型とカチオン重合型があり、ラジカル重合型の光重合性プレポリマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系などが用いられる。ここで、ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシアクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。ウレタンアクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。さらに、ポリオールアクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。これらの光重合性プレポリマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、カチオン重合型の光重合性プレポリマーとしては、エポキシ系樹脂が通常使用される。このエポキシ系樹脂としては、例えばビスフェノール樹脂やノボラック樹脂などの多価フェノール類にエピクロルヒドリンなどでエポキシ化した化合物、直鎖状オレフィン化合物や環状オレフィン化合物を過酸化物などで酸化して得られた化合物などが挙げられる。
また、光重合性モノマーとしては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能アクリレートが好ましく用いられる。これらの光重合性モノマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、前記光重合性プレポリマーと併用してもよい。
一方、光重合開始剤としては、ラジカル重合型の光重合性プレポリマーや光重合性モノマーに対しては、従来用いられている公知のもの、例えばアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルアセタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシロキシムエステル類などのアリールケトン系光重合開始剤、スルフィド類、チオキサントン類などの含硫黄系光重合開始剤、アシルジアリールホスフィンオキシドなどのアシルホスフィンオキシド類、アントラキノン類、その他光重合開始剤の中から、任意のものを、1種又は2種以上適宜選択して使用することができる。また、カチオン重合型の光重合性プレポリマーに対する光重合開始剤としては、例えば芳香族スルホニウムイオン、芳香族オキソスルホニウムイオン、芳香族ヨードニウムイオンなどのオニウムと、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネートなどの陰イオンとからなる化合物が挙げられる。これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、光重合開始剤の配合量は、全光硬化成分100重量部に対して、通常0.2〜10重量部、好ましくは0.5〜7重量部の範囲で選ばれる。
なお、電子線硬化型の場合には、前記光重合開始剤は用いなくてもよい。
本発明における電離放射線感応型樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望によりさらに単官能アクリレート系モノマー、光増感剤、重合禁止剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤などの各種添加成分を含有させることができる。
ここで、単官能アクリレート系モノマーとしては、例えばn−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの中から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。これらの単官能アクリレート系モノマーは、光硬化成分である。
光増感剤としては、例えば第三級アミン類、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、チオール系増感剤などを用いることができる。なお、電子線硬化型の場合は、この光増感剤は、用いなくてもよい。
光増感剤の配合量は、全光硬化成分100重量部に対して、通常1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部の範囲で選ばれる。
また、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤としては、従来公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、特に分子内に(メタ)アクリロイル基などを有する反応型の酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤を用いるのが有利である。この場合、電離放射線の照射により形成されたポリマー鎖に、それぞれ酸化防止剤成分、紫外線吸収剤成分、光安定剤成分が結合する。したがって、経時による硬化層からの各成分の逸散が抑制されるので、長期間にわたって、それぞれの機能が発揮される。
本発明における電離放射線感応型樹脂組成物は、必要に応じ、適当な溶剤中に、前述の電離放射線硬化性化合物と、必要に応じて用いられる光重合開始剤や各種添加成分を、それぞれ所定の割合で加え、溶解又は分散させることにより、調製することができる。
この際用いる溶剤としては、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤などが用いられる。
このようにして調製された樹脂組成物の濃度、粘度としては、コーティング可能なものであればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。
次に、前記アルミニウム蒸着層上に、上記樹脂組成物を、従来公知の方法、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、コーティングして塗膜を形成させ、乾燥後、これに電離放射線を照射して該塗膜を硬化させることにより、ハードコート層が形成される。
電離放射線としては、例えば紫外線や電子線などが用いられる。上記紫外線は、高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプなどで得られ、照射量は、通常100〜500mJ/cm2であり、一方電子線は、電子線加速器などによって得られ、照射量は、通常150〜350kVである。この電離放射線の中では、特に紫外線が好適である。なお、電子線を使用する場合は、重合開始剤を添加することなく、硬化膜を得ることができる。
このようにして形成されたハードコート層の厚さは0.5〜30μmの範囲が好ましい。この厚さが0.5μm未満では日射遮蔽フィルムの表面硬度が不十分となり、耐擦傷性が十分に発揮されないおそれがあるし、30μmを超えると硬化収縮率や熱湿収縮率が大きくなって、日射遮蔽フィルムにカールが発生しやすくなったり、クラックが発生することがある上、生産面でも不利となる。したがって、該ハードコート層のより好ましい厚さは1〜20μmであり、特に1.5〜15μmの範囲が好ましい。
本発明の日射遮蔽フィルムにおいて、基材フィルムであるポリエステル系フィルムの前記ハードコート層とは反対側の面に設けられる粘着剤層を構成する粘着剤に特に制限はなく、従来公知の粘着剤、例えばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリウレタン系及びポリエステル系粘着剤などの中から、適宜選択することができる。これらの中で、特にアクリル系、及びシリコーン系粘着剤が好適である。これらの粘着剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系粘着剤としては、樹脂成分として重量平均分子量30万以上の(メタ)アクリル酸エステル系共重合体と共に、架橋剤を含むものが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステルと、活性水素をもつ官能基を有する単量体と、所望により用いられる他の単量体との共重合体を好ましく挙げることができる。
ここで、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方活性水素をもつ官能基を有する単量体の例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどのアクリルアミド類;(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸などが挙げられる。これらの単量体は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、所望により用いられる他の単量体の例としては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリドなどのハロゲン化オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系単量体;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどのN,N−ジアルキル置換アクリルアミド類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
該アクリル系粘着剤において、樹脂成分として用いられる(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は、その共重合形態については特に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト共重合体のいずれであってもよい。また、分子量は、重量平均分子量で30万以上が好ましく、より好ましくは35万〜250万の範囲で選定される。この重量平均分子量が30万未満では被着体への粘着力が不十分となるおそれがある。
なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
本発明においては、この(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このアクリル系粘着剤における架橋剤としては特に制限はなく、従来アクリル系粘着剤において架橋剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このような架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などが挙げられるが、ポリイソシアネート化合物が好ましく用いられる。
ここで、ポリイソシアネート化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などを挙げることができる。
本発明においては、この架橋剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、架橋剤の種類にもよるが、前記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体100重量部に対し、通常0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部の範囲で選定される。
また、このアクリル系粘着剤には、所望により粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、シランカップリング剤、充填剤などを添加することができる。
シリコーン系粘着剤としては、例えば主成分としてポリメチルシロキサンやポリフェニルシロキサンを含み、所望により、過酸化物などの架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、充填剤などを含むものを挙げることができる。
本発明においては、これらの粘着剤の中で、特に樹脂成分として、重量平均分子量が30万以上のアクリル系樹脂を含むアクリル系粘着剤が耐候性に優れるなどの点で好適である。
本発明の日射遮蔽フィルムにおいては、これらの粘着剤は、基材フィルムに直接塗布して粘着剤層を設け、さらに剥離フィルムを貼り合わせてもよいし、剥離フィルム上に粘着剤を塗布して粘着剤層を設けたのち、これを基材フィルムに貼着し、該粘着剤層を転写してもよい。この場合、剥離フィルムは、所望により剥がすことなく、そのまま付着させておいて、該日射遮蔽フィルムの使用時に剥離してもよい。基材フィルムに設けられる粘着剤層の厚みは、通常5〜100μm、好ましくは10〜60μm程度である。
上記剥離フィルムとしては、例えばグラシン紙、コート紙、キャストコート紙などの紙基材、これらの紙基材にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルムに、シリコーン樹脂などの剥離剤を塗布したものなどが挙げられる。この剥離フィルムの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
このような構成の本発明の日射遮蔽フィルムは、本発明方法によれば、以下のようにして製造することができる。
本発明方法によれば、ポリエステル系フィルムの一方の面に、可視光線透過率が15〜75%のアルミニウム蒸着層を設け、次いでその上にハードコート層を形成したのち、その反対面に粘着剤層を形成することにより、日射遮蔽フィルムを製造する。この際、前記ポリエステル系フィルムとしては、動摩擦係数が0.3〜0.8で、ヘーズ値が0.4〜1.6%の範囲にあるものが好ましく用いられる。このような工程を経ることにより、アルミニウム蒸着後の巻取り操作及びハードコート層形成後の巻取り操作において、巻取り適性が良好であり、ロール状に巻き取ってもシワ、折れ、突起などの発生が抑制される。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、各諸物性は、以下に示す方法に従って、求めた。
(1)基材フィルムの動摩擦係数及び静摩擦係数
「JIS K 7125:1999 プラスチック−フィルム及びシート−摩擦係数試験方法」に準じ、島津製作所社製引張試験機「オートグラフAGS−1000D」を用いて測定した。
(2)ヘーズ値
「JIS K 7136:2000 プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に準じ、日本電色工業社製「Haze Meter NDH2000」を用いて測定した。
(3)巻取り適性
幅1550mmのポリエステルフィルムを使用して作製した実施例、比較例の日射遮蔽フィルムを500m塗工して巻取り、巻取り部でシワ、折れ、変形がないかを目視観察し、下記の基準で評価した。
○:シワ、折れ、変形のいずれも認められない。
△:シワ、折れ、変形のいずれか1つが認められる。
×:シワ、折れ、変形のいずれも認められる。
(4)可視光線透過率及び日射透過率
「JIS A 5759:1998 建築窓ガラス用フィルム」に準じ、島津製作所社製分光透過率計「UV−3101PC」を用いて測定した。
(5)水溜りによる膨れ
300mm角の試料フィルムを厚さ3mmのガラス板に、下記の方法で貼付する。ガラス板表面及びフィルムの粘着剤層面に0.1重量%中性洗剤水溶液を噴霧したのち、ガラス板表面とフィルムの粘着剤層面を重ね合わせ、幅100mmのスクリーン印刷用スキージーで、フィルムの中央から端部に向かって5〜10Nの荷重をかけて水溶液を掻き出す。23℃、50%RHの環境下に3時間放置したのち、水溜りによる膨れの有無を目視により観察した。
(6)アルミニウムの透明化
上記(5)と同様にして、5〜10Nの荷重をかけて水溶液を掻き出したサンプルを60℃、85%RHの環境下に2週間放置し、アルミニウム蒸着層の透明化の有無を目視により観察した。
実施例1
基材フィルムとしての厚さ23μmのポリエステルフィルム[Toray Plastics,Inc.社製「Lumirror U60」、両面易滑高透明PET#23、動摩擦係数0.5、静摩擦係数0.6、ヘーズ値0.8%]の片面に、真空蒸着機[Leybold社製「high vacuum web coater」]にて、膜厚15nm、可視光線透過率35%のアルミニウム蒸着層を設けた。
次に、多官能モノマーであるジペンタエリスリトールペンタアクリレート[日本化薬社製「サートマーSR399E」]100重量部、アセトフェノン類光重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア651」5重量部及びトルエン150重量部を含む塗工液を調製したのち、アルミニウム蒸着層の上に、乾燥厚さが2μmになるように、マイヤーバー#4にて塗工し、次いでこの塗膜に積算光量が200mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、ハードコート層を形成した。
続いて、基材フィルムであるポリエステルフィルムの背面(ハードコート層のない面)に、アクリル系粘着剤[リンテック社製「PU−V」]を乾燥厚さが20μmになるように塗工し、次いでポリエステルフィルムにシリコーン樹脂を塗布した剥離フィルム[リンテック社製「SP−PL251011」]を貼り合わせて、日射遮蔽フィルムを作製した。この物性評価結果を第1表に示す。
実施例2
実施例1において、アルミニウム蒸着層の可視光線透過率が70%になるように膜厚を5nmに設定したこと以外は、実施例1と同様に実施して、日射遮蔽フィルムを作製した。この物性評価結果を第1表に示す。
実施例3
実施例1において、基材フィルムとして、厚さ25μmのポリエステルフィルム[東レ社製「ルミラー#25T70」、動摩擦係数0.4、静摩擦係数0.5、ヘーズ値1.2%]を用いた以外は、実施例1と同様にして日射遮蔽フィルムを作製した。その物性評価結果を第1表に示す。
比較例1
図1に示す構成の日射遮蔽フィルムを作製した。
ポリエステルフィルムとして「Lumirror U60」(前出)を用い、アルミニウム蒸着層は、膜厚15nm、可視光線透過率35%であり、その表面に、ポリエステル樹脂[東洋紡績社製「バイロンUR−8200」20重量部と、「UR−8300」80重量部との混合物]をメチルエチルケトン50重量部に溶解し、マイヤーバー#6で塗布したのち、80℃で1分間乾燥させ、乾燥厚さ1.5μmになるようにアルミニウム保護層を形成した。次に、実施例1と同様にしてハードコート層を形成し、次いで粘着剤層を形成して剥離フィルムを貼り合わせ、日射遮蔽フィルムを作製した。その物性評価結果を第1表に示す。なお、ハードコート層形成後、ロール状に巻き取った時点で、シワ、折れが発生した。
比較例2
比較例1の構成において、巻取り性を向上させるために、アルミニウム保護層にポリエステル樹脂100重量部当たり、シリカ[日本シリカ工業社製「NIPGEL AY−200」]7重量部を添加した以外は、比較例1と同様にして日射遮蔽フィルムを作製した。その物性評価結果を第1表に示す。
Figure 2005343113
第1表から分るように、実施例1〜3は巻取り適性が良好で、水溜りによる膨れがなく、アルミニウムの透明化がない。比較例1は、巻取り適性が悪く、かつ水溜りによる膨れがあり、アルミニウムの透明化が生じている。比較例2は、巻取り適性が良好であるものの、水溜りによる膨れがあり、アルミニウムの透明化が生じている。
本発明の日射遮蔽フィルムは、日射に含まれる近赤外線を反射する機能をもつアルミニウム蒸着層を有し、ヘーズ値が小さく、かつ貼付後のアルミニウム蒸着層の透明化が抑制されると共に、製造工程における中間フィルム加工品の巻取り適性が良好であり、例えば日射を遮る目的で建物や自動車などの窓ガラスに貼付される。
従来の日射遮蔽フィルムの構成及び製造工程を示す説明図である。 図1に示す構成であって、製造工程が異なる日射遮蔽フィルムの構成及び製造工程を示す説明図である。 本発明の日射遮蔽フィルムの構成及び製造工程を示す1例の説明図である。

Claims (7)

  1. ポリエステル系フィルムの一方の面に、可視光線透過率が15〜75%のアルミニウム蒸着層及びハードコート層が順に積層され、かつその反対面に粘着剤層が設けられていることを特徴とする日射遮蔽フィルム。
  2. ポリエステル系フィルムが、動摩擦係数0.3〜0.8及びヘーズ値0.4〜1.6%のものである請求項1に記載の日射遮蔽フィルム。
  3. アルミニウム蒸着層の厚さが、5〜40nmである請求項1又は2に記載の日射遮蔽フィルム。
  4. ハードコート層が、電離放射線による硬化樹脂層である請求項1、2又は3に記載の日射遮蔽フィルム。
  5. ハードコート層の厚さが、0.5〜30μmである請求項1ないし4のいずれかに記載の日射遮蔽フィルム。
  6. ポリエステル系フィルムの一方の面に、可視光線透過率が15〜75%のアルミニウム蒸着層を設け、次いでその上にハードコート層を形成したのち、その反対面に粘着剤層を形成することを特徴とする日射遮蔽フィルムの製造方法。
  7. ポリエステル系フィルムが、動摩擦係数0.3〜0.8及びヘーズ値0.4〜1.6%のものである請求項6に記載の日射遮蔽フィルムの製造方法。
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