JP2005227696A - 液晶表示装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 液晶滴下貼り合せ方式の液晶表示装置の製造方法において、滴下する液晶の量を適正化することにより、表示品位の良好な液晶表示装置を安定して製造できるようにする。
【解決手段】 閉じた環状のシール材を介して一対の基板に液晶を挟持してなる液晶表示装置の製造方法である。この製造方法は、一対の基板の少なくとも一方にシール材を塗布する工程(P6)と、一対の基板の少なくとも一方に液晶を滴下する液晶滴下工程(P7)と、一対の基板を貼り合わせる貼合せ工程(P21)とを有する。工程P6におけるシール材の塗布量に基づいて、液晶滴下工程(P7)において滴下する液晶の量を決める。また、シール材の塗布量を実測し、その実測値から貼合せ後のシール幅を求め、そのシール幅からパネル内容積を求め、そのパネル内容積から液晶の滴下量を求めることもできる。
【選択図】 図1
【解決手段】 閉じた環状のシール材を介して一対の基板に液晶を挟持してなる液晶表示装置の製造方法である。この製造方法は、一対の基板の少なくとも一方にシール材を塗布する工程(P6)と、一対の基板の少なくとも一方に液晶を滴下する液晶滴下工程(P7)と、一対の基板を貼り合わせる貼合せ工程(P21)とを有する。工程P6におけるシール材の塗布量に基づいて、液晶滴下工程(P7)において滴下する液晶の量を決める。また、シール材の塗布量を実測し、その実測値から貼合せ後のシール幅を求め、そのシール幅からパネル内容積を求め、そのパネル内容積から液晶の滴下量を求めることもできる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、液晶滴下貼り合せ方式の液晶表示装置の製造方法に関する。
一般に、液晶表示装置は、一対の基板をシール材によって貼り合せ、それらの基板間に形成される間隙内、いわゆるセルギャップ内に液晶を封入することによって形成される。このとき、従来の液晶表示装置の製造方法では、シール材の一部に液晶注入用の開口を形成しておき、一対の基板をそのシール材によって貼り合せてパネル構造体を形成した後に、シール材の一部に設けた上記の開口を通してシール材によって囲まれる領域、すなわちセルギャップ内に液晶を注入していた。
このような従来の液晶表示装置の製造方法に対して、最近、液晶滴下貼り合せ方式と称される液晶表示装置の製造方法が提案されている。この製造方法では、液晶注入用の開口を持たない環状のシール材を一対の基板の一方に形成し、そのシール材によって囲まれる領域内又は他方の基板の対応する領域内に必要量の液晶を滴下し、その後にそれらの基板を貼り合わせて液晶パネルを形成する。つまり、この製造方法によれば、一対の基板の貼り合せが完了したときには、セルギャップ内に液晶が封入された状態になっている(例えば、特許文献1参照)。
本発明者は、上記特許文献1に開示された液晶表示装置の製造方法に従って液晶表示装置を製造した。しかしながら、表示品質の良好な液晶表示装置を常に安定して製造することができなかった。このことを解消するため、本発明者は種々の製造条件を設定して液晶表示装置を製造し、表示品質を観察した。その結果、滴下する液晶の量とパネル内容積との関係が液晶表示装置の表示品質に密接に関連することを知見した。
例えば、液晶量がパネル内容積よりも多過ぎると、次のような問題が発生することが分かった。
(1)液晶がパネル部シールを侵食して良好な液晶パネルが作製できない。
(2)液晶がパネル部シールを侵食することにより液晶が液晶パネルの外部へ飛び出す現象、いわゆるシールパスが生じる。
(3)パネル部シールと基板との間の密着性が悪くなり、透湿性及び剥離において不具合が生じる。
(1)液晶がパネル部シールを侵食して良好な液晶パネルが作製できない。
(2)液晶がパネル部シールを侵食することにより液晶が液晶パネルの外部へ飛び出す現象、いわゆるシールパスが生じる。
(3)パネル部シールと基板との間の密着性が悪くなり、透湿性及び剥離において不具合が生じる。
また、液晶量がパネル内容積よりも少な過ぎると、次のような問題が発生することが分かった。
(1)セル内部が負圧状態になり、シールがセル内部に引き込まれる。その際、シールのセル外周部がセル内部に引き込まれた状態になる。
(2)液晶表示装置の有効表示領域にパネル部シールが重なってしまう。
(1)セル内部が負圧状態になり、シールがセル内部に引き込まれる。その際、シールのセル外周部がセル内部に引き込まれた状態になる。
(2)液晶表示装置の有効表示領域にパネル部シールが重なってしまう。
本発明は、上記の知見に基づいて成されたものであって、液晶滴下貼り合せ方式の液晶表示装置の製造方法において、滴下する液晶の量を適正化することにより、表示品位の良好な液晶表示装置を安定して製造できるようにすることを目的とする。
本発明に係る第1の液晶表示装置の製造方法は、閉じた環状のシール材を介して一対の基板に液晶を挟持してなる液晶表示装置の製造方法であって、前記一対の基板の少なくとも一方に前記シール材を塗布する工程と、前記一対の基板の少なくとも一方に前記液晶を滴下する液晶滴下工程と、前記一対の基板を貼り合わせる貼合せ工程とを有し、前記シール材塗布量に基づいて、前記液晶滴下工程において滴下する液晶の量を決めることを特徴とする。
また、本発明に係る第2の液晶表示装置の製造方法は、閉じた環状のシール材を介して一対の基板に液晶を挟持してなる液晶表示装置の製造方法であって、前記一対の基板の少なくとも一方に前記シール材を塗布する工程と、前記一対の基板の少なくとも一方に前記液晶を滴下する液晶滴下工程と、前記一対の基板を貼り合わせる貼合せ工程とを有し、前記シール材の塗布量を実測し、その塗布量から貼り合わせ工程後のシール幅を求め、そのシール幅からパネル内容積を求め、そのパネル内容積から前記液晶滴下工程において滴下する液晶の量を決めることを特徴とする。
上記構成中、液晶を滴下する基板に関しては、一対の基板のうちの任意のいずれか一方であっても良いし、あるいは、一対の基板の両方であっても良い。
上記のシール材の塗布量とは、一般には、「シール材の断面積×シール材の長さ」で求められる量を指している。しかしながら、シール材の塗布量は、シール材の断面積として捕らえることもできる。本明細書では、これ以降、シール材の塗布量と言った場合にはシール材の断面積をも含む意味であるとする。
本発明者は、種々の実験を通して下記の知見を得た。すなわち、液晶滴下貼り合せ方式の液晶表示装置の製造方法において、滴下する液晶の量はパネル内容積に対して適正な量に合っていなければならない。ここで、パネル内容積は、
パネル内容積=パネル内部面積×高さ
によって決めることができる。また、「パネル内部面積」はシール材のパターン形状によって決まり、「高さ」はギャップ剤によって決まる。
パネル内容積=パネル内部面積×高さ
によって決めることができる。また、「パネル内部面積」はシール材のパターン形状によって決まり、「高さ」はギャップ剤によって決まる。
このパネル内容積は液晶表示装置の種類が決まれば一定に決まるように思われるが、実際には、一定ではない。何故ならば、パネル部シール形成時の塗布量及び貼合せのプロセス条件が変わると、貼合せ後のシール幅が変化し、シール幅が変化すると、パネル内容積が変化するからである。このようにパネル内容積が変化すると、滴下すべき最適な液晶量を決めることができない。
他方、シール幅は、一般に、
シール幅=塗布量/高さ
によって決めることができる。そして、「高さ」はギャップ剤によって一定に決められている。上式から明らかなように、塗布量を制御できれば、シール幅を一定にできる。そしえ、シール幅を一定にできれば、パネル内容積を一定にできる。さらに、パネル内容積を一定にできれば、液晶量を最適値に決めることができる。
シール幅=塗布量/高さ
によって決めることができる。そして、「高さ」はギャップ剤によって一定に決められている。上式から明らかなように、塗布量を制御できれば、シール幅を一定にできる。そしえ、シール幅を一定にできれば、パネル内容積を一定にできる。さらに、パネル内容積を一定にできれば、液晶量を最適値に決めることができる。
本発明は、上記の知見に基づくものであり、第1の発明は、パネル部シールを形成するためのシール材の塗布量に基づいて、液晶滴下工程において滴下する液晶の量を決めることを特徴とするものである。また、第2の発明は、パネル部シールを形成するためのシール材の塗布量を実測し、その塗布量から貼り合せ工程後のシール幅を求め、そのシール幅からパネル内容積を求め、そのパネル内容積から前記液晶滴下工程において滴下する液晶の量を決めることを特徴とするものである。
これらの発明によれば、滴下される液晶の量がパネル内容積に対して適切な量に決められるので、シールパスやシールのセル内部への引き込み等といった問題が解消される。このため、表示品位の良好な液晶表示装置を安定して製造できる。
次に、本発明に係る液晶表示装置の製造方法において、前記シール材の塗布量の実測は、レーザ顕微鏡を用いて行う方法や、前記シール材を硬化させた上で段差形を用いて行う方法や、その他任意の方法を採用できる。場合によっては、物差しで直接に計測することもできる。但し、塗布量の実測を正確に行いたいときには、レーザ顕微鏡を用いた測定方法を用いることが望ましい。
このレーザ顕微鏡によれば、例えば、被測定物にレーザ光を当て、そのときの反射光を受光し、レーザ光の発射から受光までの時間に基づいて被測定物の形状を測定することができる。このレーザ顕微鏡を用いれば、基板上に塗布されたシール材の断面形状及びシール材のパターン形状を正確に測定でき、それ故、シール材の塗布量を正確に求めることができる。
次に、本発明に係る液晶表示装置の製造方法において、前記貼合せ工程では真空環境下で前記一対の基板の貼合せを行うことが望ましい。そしてこの場合には、前記液晶を挟持した前記一対の基板を前記貼合せ工程後に前記真空環境から解放する工程をさらに備えることが望ましい。また、前記シール材を形成する工程は、少なくとも1つのパネル部シールを形成する工程と、該パネル部シールを取り囲む外周シールを形成する工程とを有することが望ましい。また、前記液晶を滴下する工程では、前記パネル部シールで囲まれる領域に液晶を滴下することが望ましい。
上記構成中、「真空」とは、完全な真空の場合はもとより、真空に近い減圧状態も含むものである。また、パネル部シールは液晶に接触するシールである。一般に、このパネル部シールは、1つの大きな面積の基材、いわゆるマザー基材の上に、複数個形成される。そして、上記の外周シールは、それら複数のパネル部シールを取り囲むように形成される。なお、「外周シールがパネル部シールを取り囲む」というのは、一対の基板を貼り合せた状態においてのことである。従って、パネル部シール及び外周シールを形成する際には、両者を同一の基板上に形成しても良く、あるいは、両者を別々の基板上に形成しても良い。
また、上記構成中、「パネル部シールで囲まれる領域に液晶を滴下する」とは、
(1)シールが形成されている基板に液晶を滴下する場合には、シールによって囲まれた領域に液晶を滴下することであり、他方、
(2)シールが形成されていない基板に液晶を滴下する場合には、基板を貼り合せて液晶パネルになった時にシールによって囲まれることになる領域に液晶を滴下することである。
(1)シールが形成されている基板に液晶を滴下する場合には、シールによって囲まれた領域に液晶を滴下することであり、他方、
(2)シールが形成されていない基板に液晶を滴下する場合には、基板を貼り合せて液晶パネルになった時にシールによって囲まれることになる領域に液晶を滴下することである。
次に、本発明に係る液晶表示装置の製造方法においては、シール材の塗布状況に応じて係数Aを設定し、前記シール材の塗布量をMp、前記シール材を塗布する工程におけるシール材の幅をW0、シール材の高さをH0とした時、
Mp=W0×H0×A
に従って前記シール材の塗布量Mpを実測し、その実測した塗布量Mpから前記貼り合わせ工程後のシール幅を求めることが望ましい。ここで、「シール材の塗布状況」とは、シール材塗布装置、例えばディスペンサの性能や、シール材粘度等のことである。
Mp=W0×H0×A
に従って前記シール材の塗布量Mpを実測し、その実測した塗布量Mpから前記貼り合わせ工程後のシール幅を求めることが望ましい。ここで、「シール材の塗布状況」とは、シール材塗布装置、例えばディスペンサの性能や、シール材粘度等のことである。
こうすれば、基板上に形成されたシール材の幅、すなわちシール幅を液晶表示装置の構成の違いに応じて正確に求めることができる。なお、液晶表示装置の種類とは、液晶表示装置を製造するための構成要素の違いや、製造工程における条件の違い等に応じて生じる種類のことである。この構成要素や製造条件等の違いに応じて、基板上に形成されたシール材の断面形状に変化が生じることが考えられるので、シール材の塗布状況に応じて予め係数Aを設定しておき、塗布量からシール幅を求める際には、この係数Aを考慮することが望ましいと考えられる。
次に、本発明に係る液晶表示装置の製造方法において、前記貼り合わせ工程後のシール幅W1は、前記貼り合わせ工程後の前記シール材の高さをH1とした時、
W1=Mp/H1
に従って求められることが望ましい。
W1=Mp/H1
に従って求められることが望ましい。
(液晶表示装置の製造方法の第1実施形態)
本発明は、液晶滴下貼り合せ方式の液晶表示装置の製造方法において、パネル部シールを形成するためのシール材の塗布量に基づいて、液晶滴下工程において滴下する液晶の量を決めることを特徴とするものである。
本発明は、液晶滴下貼り合せ方式の液晶表示装置の製造方法において、パネル部シールを形成するためのシール材の塗布量に基づいて、液晶滴下工程において滴下する液晶の量を決めることを特徴とするものである。
以下、この発明に係る液晶表示装置の製造方法を、スイッチング素子としてTFT(Thin Film Transistor)素子を用いた半透過反射型の液晶表示装置を製造する場合を例に挙げて説明する。なお、本発明がその他任意の構造の液晶表示装置を製造する際に適用できることはもちろんである。
本発明に係る液晶表示装置の製造方法を説明するのに先立って、まず、本発明方法によって製造する液晶表示装置について説明する。図5は、その液晶表示装置の一例の断面構造を示している。図6は、図5において矢印Aで示す部分を拡大して示している。図7は、図6において上側に図示された素子基板を矢印B方向から見た場合のその素子基板の平面的な構成を示している。図8(a)は、図7において矢印Cで示す部分を示している。図8(b)は、図8(a)のTFT素子の断面構造を示している。図9は、図5の液晶表示装置の電気的な等価回路を示している。
なお、以上の各図において、液晶表示装置を構成する複数の要素の相互の寸法比は、それらの要素の構造を分かり易く示すために、実際の寸法比とは異ならせてあることに注意を要する。
図5において、液晶表示装置1は、液晶パネル2に液晶駆動用IC3、偏光板4a,4b、そして照明装置6を装着することによって形成されている。照明装置6は、光源としてのLED(Light Emitting Diode)7と、そのLED7から発生する光を液晶パネル2へ導く導光体8とを有する。液晶パネル2は、矢印D方向から見て方形の環状であるシール材9によって貼り合わされた一対の基板、すなわち素子基板11a及びカラーフィルタ基板11bを有する。なお、方形とは、正方形又は長方形のことである。
素子基板11aとカラーフィルタ基板11bとの間であってシール材9によって囲まれた間隙、いわゆるセルギャップ内に液晶が封入されて液晶層13が形成される。照明装置6から光が発生すると、その光が液晶層13によって画素領域ごとに変調され、素子基板11aの側に像を表示することができる。すなわち、観察者は矢印D方向から表示を観察する。
素子基板11aは、ガラス、プラスチック等によって形成された透光性を有する基材12aを有する。この基材12aは、矢印D方向から見て方形状に形成されている。基材12aの液晶側の表面には、下地層14が形成され、その上にスイッチング素子としての複数のTFT素子16及び複数のドット電極17が形成される。さらに、各ドット電極17の間にフォトスペーサ15が形成され、その上に配向膜18aが形成される。
フォトスペーサ15は立った状態の円柱形状に形成されており、セルギャップが均一な寸法を維持するように機能する。これらのフォトスペーサ15はギャップ材と呼ばれることがある。配向膜18aには液晶層13内の液晶分子を配向させるための配向処理、例えば、ラビング処理が施される。なお、偏光板4aは、基材12aの外側の表面に貼着等によって装着される。
以上のように形成された素子基板11aに対向するカラーフィルタ基板11bは、ガラス、プラスチック等によって形成された透光性を有する基材12bを有する。この基材12bは、素子基板11a側の基材12aと同様に、矢印D方向から見て方形状に形成されている。基材12bの液晶側の表面には、反射膜19が形成され、その上に遮光膜21が形成され、その遮光膜21によって囲まれる領域に着色要素22が形成され、それらの上にオーバーコート層23が形成され、その上に電極24が形成され、その上に配向膜18bが形成される。配向膜18bには液晶層13内の液晶分子を配向させるための配向処理、例えば、ラビング処理が施される。なお、偏光板4bは、基材12bの外側の表面に貼着等によって装着される。
着色要素22は、光の3原色、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)や、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各色光を選択的に透過する要素であり、これらの着色要素22によってカラーフィルタが構成される。これらの着色要素22としてR,G,Bを用いた場合、各色着色要素22は図5の矢印D方向から見て所定の配列、例えば、図10(a)に示すようなストライプ配列、図10(b)に示すようなモザイク配列、又は図10(c)に示すようなデルタ配列に並べられる。
図5において、素子基板11aを構成する基材12a上に形成された複数のドット電極17は、矢印D方向から見て、縦方向及び横方向へマトリクス状に並べられる。また、個々のドット電極17は、図7に示すように、略方形状に形成される。一方、図5において、素子基板11aに対向するカラーフィルタ基板11b側の電極24は、複数のドット電極17の全てに対向する面状の電極として形成される。図6及び図7に示すように、個々のドット電極17と面状の共通電極24とが対向する領域が表示の最小単位である表示用ドット領域Dを構成する。そして、R,G,Bの3つの着色要素22に対応する3つの表示用ドット領域Dによって1つの画素が形成される。なお、着色要素22を用いることなく白黒のモノクロ表示を行う場合には、1つの表示用ドット領域Dによって1つの画素が形成される。
図6において、個々の表示用ドット領域Dに対応して、反射膜19に開口26が設けられる。これらの開口26は、図5において、照明装置6から発生した光を図6の矢印L1のように通過させる。この透過光L1により、透過型の表示が行われる。一方、太陽光、室内光等といった外部光は矢印L0で示すように素子基板11aを透過し、さらに反射膜19で反射する。この反射光L0により、反射型の表示が行われる。つまり、表示用ドット領域Dのうち、反射膜19が存在する領域が反射領域Rであり、開口26が存在する領域が透過領域Tである。
図7において、素子基板11aの基材12a上の略全面に形成された下地層14の上に直線状のゲート電極線31が複数本、互いに平行に形成される。また、それらのゲート電極線31の個々につながるように通電パターン32が形成される。この通電パターン32は各ゲート電極線31に電流を供給する。
ゲート電極線31とドット電極17は、TFT素子16によって接続されている。TFT素子16は、図8(a)及び(b)に示すように、下地層14の上に次の各層、すなわち、ゲート電極33、ゲート絶縁膜としての陽極酸化膜34、もう1つのゲート絶縁膜としての窒化膜36、チャネル部真性半導体膜としてのa−Si(アモルファス・シリコン)膜37、コンタクト部半導体膜としてのN+a−Si(ドープド・アモルファス・シリコン)膜38,38、そして、チャネル部保護用窒化膜39の各層を順次に積層することによって形成されている。
図7において、基材12aの表面には、ゲート電極線31に直交する位置関係で直線状のソース電極線41が複数本、互いに平行に形成される。これらのソース電極線41は、図8(a)及び図8(b)に示すように、N+a−Si膜38の片側(図8(b)の左片側)の上に積層される。また、N+a−Si膜38のもう一方の片側(すなわち、図8(b)の右片側)の上に、ドット電極17が積層される。
上記構成のTFT素子16は、例えば、次のようにして形成される。すなわち、まず、図7において、基材12aの上にスパッタリング等によってTa2O5を一様な厚さに形成して下地層14を形成する。次に、周知のパターニング技術、例えば、フォトリソグラフィー処理及びエッチング処理から成るフォトエッチング処理によって下地層14の上にTa(タンタル)をパターニングして複数の直線状のゲート電極線31、及びそれらのゲート電極線31から張り出すTFT素子用のゲート電極33、及び各ゲート電極線31をつなぐ通電パターン32を形成する。
その後、基材12aを化成液、すなわち陽極酸化処理溶液に浸漬し、さらに通電パターン32に所定の電圧を印加することにより陽極酸化処理を実行し、これにより、図8(a)及び図8(b)に示すように、ゲート電極33及びその他のパターン上に陽極酸化膜34を形成する。
次に、図8(b)において、個々の陽極酸化膜34の上に、例えばCVD法によってSi3N4をパターニングしてゲート絶縁膜36を形成する。次に、a−Siを一様な厚さに堆積し、さらにその上にN+a−Siを一様な厚さに堆積し、さらにフォトエチング等によってN+a−Siをパターニングしてコンタクト部半導体膜38を形成する。さらに、a−Siをパターニングしてチャネル部真性半導体膜37を形成する。
その後、Si3N4を周知のパターニング技術を用いてパターニングしてチャネル部保護膜39を形成する。さらに、ITO(Indium Tin Oxide)をその一部がN+a−Si膜38に重なるように且つ所定のドット形状にパターニングすることによって、複数のドット電極17をマトリクス状に形成する。さらに、Al(アルミニウム)をその一部がN+a−Si膜38に重なるように且つ互いに平行に配列するようにパターニングすることによってソース電極線41を形成する。
図5に戻って、素子基板11aはカラーフィルタ基板11bの外側に張り出す張出し部46を有する。この張出し部46の表面には、図7の素子基板11a上のゲート電極線31につながる配線47aと、ソース電極線41につながる配線47bと、カラーフィルタ基板11b上の共通電極24につながる配線47cとが周知のパターニング技術、例えばフォトエッチング処理によって適宜のパターンで形成される。また、張出し部46の辺縁には、外部回路との間で電気的な接続をとるための外部接続用端子48が同様のパターニング技術によって形成される。
素子基板11aとカラーフィルタ基板11bとを貼り合わせているシール材9の中には導電粒子49及びギャップ材50がランダムな分散状態で混ぜられている。ギャップ材50はフォトスペーサ15と同様にセルギャップを一定に維持するために用いられる。なお、図5では、導電粒子49が楕円球状に描かれているが、これは図面を分かり易く描く上での便宜的な描かれ方であり、実際には、球状又は円柱状の導電粒子49がシール材9の幅内に複数個含まれる。素子基板11aの張出し部46上に設けられた配線47cと、カラーフィルタ基板11b上に設けられた共通電極24との間の電気的な接続は、シール材9内に含まれる上記の導電粒子49によって行われる。
外部接続用端子48と配線47a,47b,47cとの間には、ACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)等といった導電接合材を用いてCOG(Chip On Glass)技術に基づいて液晶駆動用IC3が実装される。もちろん、その他任意の実装技術、例えば、TAB(Tape Automated Bonding)技術を用いることもできる。
液晶駆動用IC3には、図7のTFT素子16を駆動するための、図9に示す走査線駆動回路51及びデータ線駆動回路52が含まれる。走査線駆動回路51は図7のゲート電極線31につながり、それらの線に走査信号を伝送する。一方、データ線駆動回路52は図7のソース電極線41につながり、それらの線にデータ信号を伝送する。走査信号はTFT素子16のゲートへ送られ、データ信号はTFT素子16のソースへ送られる。TFT素子16がON状態になると、対応するドット電極17への通電が成されて対応する表示用ドット領域D内の液晶への書き込みが行われる。また、引き続いてTFT素子16がOFF状態になると、書き込まれた状態が保持される。この一連の書き込み動作及び保持動作により、液晶の配向が光透過及び光遮断の間で制御される。
以上の構成より成る液晶表示装置は、太陽光、室内光等といった外部光を用いた反射型表示と、図5の照明装置6を用いた透過型表示とを、希望に応じて選択して実行する。反射型表示が選択された場合には、図6において、外部光L0が素子基板11a及び液晶層13を透過してカラーフィルタ基板11bへ入り、反射膜19で反射して再び液晶層13へ供給される。一方、透過型表示が選択された場合には、図5のLED7が点灯し、LED7からの光が導光体8によって液晶パネル2へ供給される。供給された光L1は、図6において、反射膜19に表示用ドット領域Dごとに設けた開口26を透過して液晶層13へ供給される。
以上のようにして反射型表示及び透過型表示のそれぞれの場合に液晶層13へ光が供給される際、液晶層13はドット電極17及び共通電極24によって表示用ドット領域Dごとに印加電圧が制御され、その内部の液晶分子の配向が制御される。液晶層13へ供給された光は上記の配向制御により変調され、この変調された光が図5の素子基板11a側の偏光板4aを選択的に通過することにより、図5の観察側に文字、数字、図形等といった像が表示される。
以下、上記構成より成る液晶表示装置を製造するための、本発明に係る液晶表示装置の製造方法の一実施形態を説明する。なお、本発明方法がこの実施形態に限定されるものでないことは、もちろんである。
図1は、その液晶表示装置の製造方法の一実施形態を工程図によって示している。この工程図において、工程P1から工程P7に至る工程が図5の素子基板11aを形成するための工程である。また、工程P11から工程P17に至る工程が図5のカラーフィルタ基板11bを形成する工程である。また、工程P21から工程P27に至る工程が素子基板11aとカラーフィルタ基板11bとを貼り合わせて液晶表示装置を完成させる工程である。
なお、本実施形態では、いわゆる6個取りの方法によって液晶表示装置を製造するものとする。つまり、図2に示すように、1つの素子基板用マザー基材12a’の上に6組の素子基板用要素を形成して素子基板用マザー基板11a’を形成する。他方、1つのカラーフィルタ基板用マザー基材の上に6組のカラーフィルタ基板用要素を形成してカラーフィルタ基板用マザー基板を形成する。その後、それらのマザー基板を貼り合わせて6個の液晶表示装置を同時に形成するものとする。
なお、同時に形成する液晶表示装置の数を6個以外の複数個とすることもできる。この場合、マザー基材の面積、すなわちマザー基板の面積は、同時に形成する液晶表示装置の数に対応した面積となる。また、1つのマザー基材、すなわち1つのマザー基板上に液晶表示装置の1個分の要素だけを形成する、いわゆる1個取りの方法を採用することもできる。
以上の説明から分かるように、本明細書では、切断によって図5の素子基板11aを得る前の、面積の大きい基板を素子基板用マザー基板11a’と呼ぶことにする。また、同様に、切断によって図5の素子基板用基材12aを得る前の、面積の大きい基材を素子基板用マザー基材12a’と呼ぶことにする。
他方、切断によって図5のカラーフィルタ基板11bを得る前の、面積の大きい基板をカラーフィルタ基板用マザー基板11b’と呼ぶことにする。また、同様に、切断によって図5のカラーフィルタ基板用基材12bを得る前の、面積の大きい基材をカラーフィルタ基板用マザー基材12b’と呼ぶことにする。
図1の工程P1において、素子基板用マザー基材12a’の上に図8(a)及び図8(b)に示すTFT素子16を形成する。次に、工程P2において、図8及び図5のドット電極17を形成する。TFT素子16やドット電極17を形成する際に、図5の配線47a,47b,47c及び外部接続用端子48を同時に形成することが望ましい。
次に、工程P3において、図5のフォトスペーサ15をフォトリソグラフィー処理によって形成する。このフォトスペーサ15は図6の表示用ドット領域D以外の領域に形成することが望ましい。次に、工程P4において、図5の配向膜18aを形成し、さらに、工程P5において、その配向膜18aに対してラビング処理を行う。
次に、工程P6において、図2(a)に示すように、6個のパネル部シール9及びそれらのパネル部シール9を取り囲む外周シール29を形成する。パネル部シール9は閉ざされたシール部であり、液晶注入用の開口は設けられない。外周シール29はパネル部シール9との間で後述する真空領域を形成するためのものである。そして、その真空領域は、素子基板用マザー基板11a’とそれに対向するカラーフィルタ基板用マザー基板とを後述のように貼り合わせた後に大気圧との相互作用でそれらの基板に加圧力を発生させるためのものである。従って、パネル部シール9と外周シール29との間の間隔は、必要とされる加圧力が得られるように適切に決められる。
パネル部シール9は、図5のシール材9そのものである。このパネル部シール9は、エポキシ系樹脂等といった熱硬化性樹脂又はアクリル系樹脂等といった光硬化性樹脂によって形成される。本実施形態では、パネル部シール9はディスペンス方式によって形成するものとする。この場合、塗布されたシール材の断面形状は図4(a)に示すような山形形状になる。そして、塗布時のシール材の幅W0は、シール材を吐出するディスペンサのノズル径によって決まる一定値となる。また、塗布時のシール材の高さH0は、ディスペンサの特性及びディスペンス圧力に応じた一定値となる。つまり、ディスペンス方式によって形成されるパネル部シール9の塗布量はディスペンサの特性に応じて予め特定できる。
以上によりパネル部シール9及び外周シール29が形成された後、工程P7においてマザー基材12a’上に必要量の液晶をディスペンサ等を用いて滴下する。滴下された液晶13は図3(a)に模式的に示すように、マザー基材12a’上のパネル部シール9によって囲まれる液晶パネル領域内に置かれる。なお、このときに滴下される液晶の量は、工程P6において形成されたパネル部シール9の塗布量に基づいて決められる。以上により、図5の素子基板11aのための各要素がマザー基材12a’上に形成されて、素子基板用マザー基板11a’が形成される。
以上の素子基板用マザー基板11a’を製造する一方で、図1の工程P11において、カラーフィルタ基板用マザー基材12b’の上に図5の反射膜19を形成し、同時に光透過用の開口26を形成する。次に、工程P12において、図5の遮光膜21を形成し、さらに工程P13において、図5の着色要素22を形成する。これにより、カラーフィルタが形成される。
次に、工程P14において、図5のオーバーコート層23を形成して表面を滑らかにした後、工程P15において、図5の共通電極24をITOによって形成する。次に、工程P16において、図5の配向膜18bを形成し、さらに工程P17において、その配向膜18bに対してラビング処理を行う。以上により、図5のカラーフィルタ基板11bのための各要素がマザー基材12b’上に形成されて、カラーフィルタ基板用マザー基板11b’が形成される。
以上のようにして図5の素子基板用マザー基板11a’及びカラーフィルタ基板用マザー基板11b’が形成された後、図1の工程P21において、それらのマザー基板を真空環境下、例えば真空チャンバ内、において互いに貼り合わせる。なお、貼り合わせ作業を大気中で行うようにしていた従来の製造方法においては、素子基板用マザー基板11a’及びカラーフィルタ基板用マザー基板11b’を個々に真空チャックによって吸着して保持した上でそれらの基板を貼り合わせていた。
しかしながら、マザー基板の貼り合わせを真空環境下で行うようにした本実施形態では、環境が真空であるが故に真空チャックを用いた保持を行うことができない。それ故、本実施形態では、静電チャックを用いてマザー基板を保持した上で貼り合わせの作業を行うことにする。ここで、静電チャックとは、チャック部材に電圧を印加したときに発生するクーロン力を利用してマザー基板を吸着して保持するチャック方法である。この静電チャックを用いることにより、真空環境下であってもマザー基板を支持して貼り合わせ作業を行うことができる。
工程P21において素子基板用マザー基板11a’とカラーフィルタ基板用マザー基板11b’との貼り合わせが終了すると、図3(b)に示すように、素子基板用マザー基板11a’とカラーフィルタ基板用マザー基板11b’とがパネル部シール9によって貼り合わされた構造のパネル構造体が形成される。このパネル構造体は液晶パネル6個分の面積を有している。素子基板用マザー基板11a’上には図1の工程P7で液晶13が滴下されていたので、両方のマザー基板を貼り合わせた時点で液晶層13が形成される。また、各パネル部シール9の間及び図2(a)においてパネル部シール9と外周シール29との間に真空領域Vが形成される。
次に、工程P22において、図3(b)のパネル構造体を真空環境から解放し、さらに工程P23において、図3(b)のパネル部シール9及び図2(a)の外周シール29に対して硬化処理を実行する。各シール9,29が熱硬化性樹脂によって形成されている場合には加熱によって硬化処理が行われる。他方、各シール9,29が光硬化性樹脂によって形成されている場合には光照射によって硬化処理が行われる。
工程P22において図3(b)のパネル構造体が大気圧に解放されると、真空領域Vの圧力と大気圧との間の差分の圧力が一対の基板の外側に加わる。この力は液晶層13を加圧し、同時にパネル部シール9を加圧する。加圧された液晶層13は、これに接触するパネル部シール9を加圧する。また、加圧されたパネル部シール9は、液晶層13及び真空領域Vをそれぞれ押し付ける。このような加圧関係の結果、パネル部シール9は素子基板用マザー基板11a’とカラーフィルタ基板用マザー基板11b’とによって適切に加圧され、これにより、これらの基板11a’及び11b’がパネル部シール9によってしっかりと貼り合わされる。
一対の基板11a’及び11b’が上記のように互いに貼り合わされると、一対の基板11a’,11b’及びパネル部シール9によって囲まれる空間Sが形成される。この空間Sの内容積をパネル内容積Mと呼ぶことにする。今、図1の工程P7において基材12a’上に滴下された液晶13(図3(a)参照)の量が、上記のパネル内容積Mよりも多過ぎると仮定する。すると、液晶13がパネル部シール9を侵食して良好な液晶パネルが作製できないおそれがある。また、場合によっては、液晶13が液晶パネルの外部へ飛び出す現象、いわゆるシールパスが生じるおそれがある。
他方、液晶量がパネル内容積Mよりも少な過ぎると、空間S、すなわちセル内部が負圧状態になり、パネル部シール9がセル内部に引き込まれるおそれがある。その際には、パネル部シール9のセル外周部がセル内部に引き込まれた状態になる。また、場合によっては、内部に引き込まれたパネル部シール9が液晶表示装置の有効表示領域に重なってしまうおそれがある。
つまり、図1の工程P7にいて滴下される液晶の量が図3(b)のパネル内容積Mに正しく整合していないと、例えば両者が一致していないと、液晶パネルが正常に作製できないおそれがある。これに対し、本実施形態では、以下のような処理を行うことにより、この問題を解消した。
記述の通り、本実施形態では、パネル部シール9をディスペンス方式によって形成する。この方法によって形成されるパネル部シール9は図4(a)のような山形の断面形状となり、このときのパネル部シール9の塗布量はディスペンサの特性に応じて予め特定できる。このように塗布量が特定の値に決められれば、貼合せ後のパネル部シール9の幅W1(図3(b)参照)を計算、シミュレーション等によって求めることができる。そして、このようにシール幅W1が求まれば、パネル内容積Mを計算、シミュレーション等によって求めることができる。
本実施形態では、工程P7においてマザー基材12a’上に液晶をディスペンサ等を用いて滴下するとき、滴下される液晶の量を、上記のようにして求められるパネル内容積Mに対して適切な値となるように決めている。例えば、液晶量はパネル内容積Mに一致するように決められる。これにより、液晶量をパネル内容積Mに対して多過ぎもせず且つ少なすぎもしない適正な値に設定でき、それ故、シールパスやパネル部シール9の内部への引き込まれ等といった問題が発生することを防止できる。
以上により図1の工程P23のシール硬化が終了すると、次に、工程P24においてブレイク処理を行って、図3(b)のパネル構造体を、例えば矢印Gの所でブレイク、すなわち切断する。これにより、真空領域Vの真空状態が解放されると共に、図5の液晶パネル2が完成する。その後、工程P25において、図5の液晶駆動用IC3を素子基板11aの張出し部46の表面に実装し、さらに工程P26において、図5の偏光板4a及び4bを装着し、さらに工程P27において照明装置6を装着することにより、液晶表示装置1が完成する。なお、偏光板4a,4bを装着する際、必要に応じて、他の光学要素、例えば位相差板等を装着しても良い。
(液晶表示装置の製造方法の第2実施形態)
以下、本発明に係る液晶表示装置の製造方法の他の実施形態を説明する。以上に説明した実施形態では、図1のシール形成工程P6において、ディスペンス方式によってパネル部シール9を形成した。これに対し、本実施形態では、形成印刷版を用いた印刷方式によってパネル部シール9を形成するものとする。シール形成工程P6以外の工程は図1を用いて説明した各工程と同じにすることができる。
以下、本発明に係る液晶表示装置の製造方法の他の実施形態を説明する。以上に説明した実施形態では、図1のシール形成工程P6において、ディスペンス方式によってパネル部シール9を形成した。これに対し、本実施形態では、形成印刷版を用いた印刷方式によってパネル部シール9を形成するものとする。シール形成工程P6以外の工程は図1を用いて説明した各工程と同じにすることができる。
図1のシール形成工程P6において印刷版を用いてパネル部シール9及び外周シール29を形成すると、それらのシールの断面形状は図4(b)に示すような長方形状又は正方形状になる。このとき、パネル部シール9のシール幅W0及び高さH0は印刷版のパターンによって決められる。つまり、パネル部シール9の塗布量は印刷版のパターンによって予め特定できる。
このように塗布量が特定の値に決められれば、図1の貼合せ工程P21後のパネル部シール9の幅W1(図3(b)参照)を計算、シミュレーション等によって求めることができる。そして、このようにシール幅W1が求まれば、パネル内容積Mを計算、シミュレーション等によって求めることができる。
本実施形態では、工程P7においてマザー基材12a’上に液晶をディスペンサ等を用いて滴下するが、このときに滴下される液晶の量は、上記のようにして求められるパネル内容積Mに対して適切な値となるように決められる。例えば、液晶量はパネル内容積Mに一致するように決められる。これにより、液晶量をパネル内容積Mに対して多過ぎもせず且つ少なすぎもしない適正な値に設定でき、それ故、シールパスやパネル部シール9の内部への引き込まれ等といった問題が発生することを防止できる。
(液晶表示装置の製造方法の第3実施形態)
本発明は、液晶滴下貼り合せ方式の液晶表示装置の製造方法において、パネル部シールを形成するためのシール材の塗布量を実測し、その塗布量から貼合せ工程後のシール幅を求め、そのシール幅からパネル内容積を求め、そのパネル内容積から前記液晶滴下工程において滴下する液晶の量を決めることを特徴とするものである。以下、この発明について図11に示す実施形態に基づいて説明する。
本発明は、液晶滴下貼り合せ方式の液晶表示装置の製造方法において、パネル部シールを形成するためのシール材の塗布量を実測し、その塗布量から貼合せ工程後のシール幅を求め、そのシール幅からパネル内容積を求め、そのパネル内容積から前記液晶滴下工程において滴下する液晶の量を決めることを特徴とするものである。以下、この発明について図11に示す実施形態に基づいて説明する。
図11に示す実施形態が図1に示した先の実施形態と異なる点は、素子基板の形成工程における工程P7において塗布量の測定工程を設けたことである。なお、本実施形態ではシール形成工程P6において、ディスペンス方式によってシールを形成するものとする。このため、パネル部シール9及び外周シール29の断面形状は図4(a)に示すような山型形状になる。これ以外の工程は図1に示した実施形態と同じであるので、それらの説明は省略する。
図11において塗布量測定工程P7はカッコを付して描かれている。これは、塗布量測定工程P7が液晶表示装置の製造処理の1回ごとに必ず行われるのではなく、必要に応じて定期的に又は不定期的に行われることを示している。例えば、塗布量測定工程P7は、所定回数の液晶表示装置の製造処理が繰り返して行われる前に予備的に1回行われる。また、測定が必要であると認識された任意のタイミングで行われる。
塗布量測定工程P7は、例えば、レーザ顕微鏡を用いて行われる。具体的には、レーザ顕微鏡の試料ステージの上に図2の素子基板用マザー基板11a’を載せ、該基板11a’をレーザで走査することにより、図4(a)のパネル部シール9の断面形状を検出する。これにより、パネル部シール9の塗布時のシール幅W0及び塗布時のシール高さH0が正確に測定される。
これらが実測されると、パネル部シール9の塗布量MPは、
MP=W0×H0×A …… (1)
によって求められる。ここで、“A”はシール材の塗布状況に応じて予め設定される係数である。この係数Aは、液晶パネルのセルギャップ、パネル内部の基板表面の形状等に応じて液晶パネルの種類ごとに設定される係数である。本実施形態では、図5に示す構造の液晶パネル2に対して所定の係数Aが設定される。
MP=W0×H0×A …… (1)
によって求められる。ここで、“A”はシール材の塗布状況に応じて予め設定される係数である。この係数Aは、液晶パネルのセルギャップ、パネル内部の基板表面の形状等に応じて液晶パネルの種類ごとに設定される係数である。本実施形態では、図5に示す構造の液晶パネル2に対して所定の係数Aが設定される。
「シール幅×シール高さ」では断面形状が矩形のシール材の塗布量が求められるだけであるが、シール材の断面形状を反映した係数として上記の“A”を用いれば、矩形形状以外の断面形状を有するシール材の塗布量を求めることができる。
このようにして塗布量MPが求められると、貼合せ後のパネル部シール9の幅W1(図3(b)参照)を計算、シミュレーション等によってその塗布量MPから求めることができる。例えば、塗布時のシール材の塗布量をMPとし、ギャップ材で決まるパネル高さをH1とするとき、
W1=MP/H1
によって決めることができる。なお、中心位置からの対称幅は全体の半分となり、パネル内容積に寄与するシールの影響はシール幅の半分の値であることが分かった。そして、このように貼合せ後のシール幅W1が求まれば、パネル内容積Mを計算、シミュレーション等によって求めることができる。
W1=MP/H1
によって決めることができる。なお、中心位置からの対称幅は全体の半分となり、パネル内容積に寄与するシールの影響はシール幅の半分の値であることが分かった。そして、このように貼合せ後のシール幅W1が求まれば、パネル内容積Mを計算、シミュレーション等によって求めることができる。
本実施形態では、工程P8においてマザー基材12a’上に液晶をディスペンサ等を用いて滴下するが、このときに滴下される液晶の量は、上記のようにして求められるパネル内容積Mに対して適切な値となるように決められる。例えば、液晶量はパネル内容積Mに一致するように決められる。これにより、液晶量をパネル内容積Mに対して多過ぎもせず且つ少なすぎもしない適正な値に設定でき、それ故、シールパスやパネル部シール9の内部への引き込まれ等といった問題が発生することを防止できる。
(変形例)
以上の実施形態では、図11のシール形成工程P6をディスペンサを用いて行って、図4(a)に示すような断面形状のシールを形成することにした。これに代えて、シール形成工程P6を印刷版を用いた印刷によって行って、図4(b)に示すような方形状の断面形状を有するシールを形成するようにしても良い。この場合も、工程P7の塗布量測定工程はレーザ顕微鏡を用いて行うことができる。
以上の実施形態では、図11のシール形成工程P6をディスペンサを用いて行って、図4(a)に示すような断面形状のシールを形成することにした。これに代えて、シール形成工程P6を印刷版を用いた印刷によって行って、図4(b)に示すような方形状の断面形状を有するシールを形成するようにしても良い。この場合も、工程P7の塗布量測定工程はレーザ顕微鏡を用いて行うことができる。
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、上記実施形態では、スイッチング素子としてTFT素子を用いるアクティブマトリクス方式の液晶表示装置を製造する場合に本発明を適用したが、本発明はスイッチング素子を用いない単純マトリクス、すなわちパッシブマトリクス方式の液晶表示装置を製造する場合にも適用できる。また、本発明は、スイッチング素子としてTFD(Thin Film Diode)素子等といった2端子型のスイッチング素子を用いるアクティブマトリクス方式の液晶表示装置を製造する場合にも適用できる。
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、上記実施形態では、スイッチング素子としてTFT素子を用いるアクティブマトリクス方式の液晶表示装置を製造する場合に本発明を適用したが、本発明はスイッチング素子を用いない単純マトリクス、すなわちパッシブマトリクス方式の液晶表示装置を製造する場合にも適用できる。また、本発明は、スイッチング素子としてTFD(Thin Film Diode)素子等といった2端子型のスイッチング素子を用いるアクティブマトリクス方式の液晶表示装置を製造する場合にも適用できる。
本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、液晶表示装置を液晶滴下貼り合せ方式で製造する場合に好適に用いられる。
1.液晶表示装置、 2.液晶パネル、 3.液晶駆動用IC、 4a,4b.偏光板、
6.照明装置、 9.シール材(パネル部シール)、 11a.素子基板、
11a’.素子基板用マザー基板、 11b.カラーフィルタ基板、
11b’.カラーフィルタ基板用マザー基板、 12a,12b.基材、
12a’.素子基板用マザー基材、 12b’.カラーフィルタ基板用マザー基材、
13.液晶層、 14.下地層、 15.フォトスペーサ、 16.TFT素子、
17.ドット電極、 18a,18b.配向膜、 19.反射膜、 21.遮光膜、
22.着色要素、 23.オーバーコート層、 24.電極、 26.開口、
29.外周シール、 31.ゲート電極線、 32.通電パターン、
33.ゲート電極、 34.陽極酸化膜(ゲート絶縁膜)、
36.窒化膜(ゲート絶縁膜)、 37.a−Si膜(チャネル部真性半導体膜)、
38.N+a−Si膜(コンタクト部半導体膜)、
39.チャネル部保護用窒化膜(チャネル部保護膜)、 41.ソース電極線、
46.張出し部、 47a,47b,47c.配線、 48.外部接続用端子、
49.導電粒子、 50.ギャップ材、 D.表示用ドット領域、 L0.反射光、
L1.透過光、 R.反射領域、 T.透過領域、 V.真空領域、 W0.塗布時のパネル部シールの幅、 W1.貼合せ時のパネル部シールの幅、
6.照明装置、 9.シール材(パネル部シール)、 11a.素子基板、
11a’.素子基板用マザー基板、 11b.カラーフィルタ基板、
11b’.カラーフィルタ基板用マザー基板、 12a,12b.基材、
12a’.素子基板用マザー基材、 12b’.カラーフィルタ基板用マザー基材、
13.液晶層、 14.下地層、 15.フォトスペーサ、 16.TFT素子、
17.ドット電極、 18a,18b.配向膜、 19.反射膜、 21.遮光膜、
22.着色要素、 23.オーバーコート層、 24.電極、 26.開口、
29.外周シール、 31.ゲート電極線、 32.通電パターン、
33.ゲート電極、 34.陽極酸化膜(ゲート絶縁膜)、
36.窒化膜(ゲート絶縁膜)、 37.a−Si膜(チャネル部真性半導体膜)、
38.N+a−Si膜(コンタクト部半導体膜)、
39.チャネル部保護用窒化膜(チャネル部保護膜)、 41.ソース電極線、
46.張出し部、 47a,47b,47c.配線、 48.外部接続用端子、
49.導電粒子、 50.ギャップ材、 D.表示用ドット領域、 L0.反射光、
L1.透過光、 R.反射領域、 T.透過領域、 V.真空領域、 W0.塗布時のパネル部シールの幅、 W1.貼合せ時のパネル部シールの幅、
Claims (6)
- 閉じた環状のシール材を介して一対の基板に液晶を挟持してなる液晶表示装置の製造方法であって、
前記一対の基板の少なくとも一方に前記シール材を塗布する工程と、
前記一対の基板の少なくとも一方に前記液晶を滴下する液晶滴下工程と、
前記一対の基板を貼り合わせる貼合せ工程と、
を有し、
前記シール材塗布量に基づいて、前記液晶滴下工程において滴下する液晶の量を決める
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 閉じた環状のシール材を介して一対の基板に液晶を挟持してなる液晶表示装置の製造方法であって、
前記一対の基板の少なくとも一方に前記シール材を塗布する工程と、
前記一対の基板の少なくとも一方に前記液晶を滴下する液晶滴下工程と、
前記一対の基板を貼り合わせる貼合せ工程と、
を有し、
前記シール材の塗布量を実測し、その塗布量から貼り合わせ工程後のシール幅を求め、そのシール幅からパネル内容積を求め、そのパネル内容積から前記液晶滴下工程において滴下する液晶の量を決める
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 請求項1又は請求項2において、
前記貼合せ工程では真空環境下で前記一対の基板の貼合せを行い、
前記液晶を挟持した前記一対の基板を前記貼合せ工程後に前記真空環境から解放する工程をさらに備え、
前記シール材を形成する工程は、少なくとも1つのパネル部シールを形成する工程と、該パネル部シールを取り囲む外周シールを形成する工程とを有し、
前記液晶を滴下する工程では、前記パネル部シールで囲まれる領域に液晶を滴下する
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 請求項2又は請求項3記載の液晶表示装置の製造方法において、シール材の塗布状況に応じて係数Aを設定し、前記シール材の塗布量をMp、前記シール材を塗布する工程におけるシール材の幅をW0、シール材の高さをH0とした時、
Mp=W0×H0×A
に従って前記シール材の塗布量を実測し、その実測した塗布量から前記貼り合わせ工程後のシール幅を求めることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 請求項4記載の液晶表示装置の製造方法において、前記貼り合わせ工程後のシール幅W1は、前記貼り合わせ工程後の前記シール材の高さをH1とした時、
W1=Mp/H1
に従って、求められることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。 - 請求項2記載の液晶表示装置の製造方法において、前記塗布量の実測はレーザ顕微鏡を用いて行うことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
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JP2004038466A JP2005227696A (ja) | 2004-02-16 | 2004-02-16 | 液晶表示装置の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007226236A (ja) * | 2006-02-24 | 2007-09-06 | Top Engineering Co Ltd | シーラント塗布状態に基づいた液晶滴下量決定方法 |
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-
2004
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