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JP2005220770A - 内燃機関の冷却装置 - Google Patents

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JP2005220770A
JP2005220770A JP2004027253A JP2004027253A JP2005220770A JP 2005220770 A JP2005220770 A JP 2005220770A JP 2004027253 A JP2004027253 A JP 2004027253A JP 2004027253 A JP2004027253 A JP 2004027253A JP 2005220770 A JP2005220770 A JP 2005220770A
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Shigetaka Yoshikawa
重孝 吉川
Katsuhiko Arisawa
克彦 蟻沢
Osamu Shintani
治 新谷
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Abstract

【課題】 機関冷間時の燃費を向上させることのできる内燃機関の冷却装置を提供すること。
【解決手段】 冷却装置1は、内燃機関2のウォータジャケット3を通過して加熱された冷却水を保温して蓄える保温容器12と、クランクシャフト回転部25のクランクシャフト軸受29に設けられ保温容器12の冷却水が流通される軸受通路26とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関の冷却装置に関する。
従来、内燃機関のウォータジャケットを通過して加熱された冷却水を蓄える保温容器を備え、機関冷間時には、この保温容器内の冷却水をウォータジャケットに流すことにより内燃機関の早期暖機を図るようにした装置がある。そして、こうした装置を採用すれば、燃焼室温度を上昇させ、冷間始動時における噴射燃料の霧化を促進することができる。その結果、機関燃焼状態の改善することができ、ひいては燃費の向上を図ることができるようになる(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−183324号公報
ところで、機関冷間時には、機関回転部における軸と軸受とのクリアランスが小さくなっているため、軸が回転する際には、このクリアランスにおいて潤滑油による大きな摩擦抵抗が発生する。更に、こうした機関冷間時には潤滑油の温度が低く、その粘性も極めて高くなっているため、こうした潤滑油による摩擦抵抗増大を更に助長することとなる。従って、機関冷間時には、機関回転部の摩擦損失が極めて大きなものとなる。
このため、機関冷間時には、こうした摩擦損失の燃費への影響が無視できず、従来みられるように、機関燃焼状態の改善を通じて燃費を向上させるようにしたとしても、その燃費の向上程度は自ずと限界のあるものとなっていた。
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、機関冷間時の燃費を向上させることのできる内燃機関の冷却装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関のウォータジャケットを通過して加熱された冷却水を蓄える保温容器と、前記保温容器の冷却水を機関回転部の軸受に流通させる暖機用通路と、を備える内燃機関の冷却装置であることを要旨とする。
上記構成によれば、暖機用通路に流通する高温の冷却水により、機関回転部の軸受を速やかに昇温することができる。これにより、軸と軸受とのクリアランスを拡大し、軸が回転する際の摩擦抵抗を低下させることができる。また併せて、機関回転部に供給される潤滑油の温度を上昇させてその粘性を低下させることもできる。従って、同機関回転部における摩擦抵抗を低下させることができ、機関冷間時の燃費を向上させることができるようになる。加えて、より小さな力でクランキングが可能となるため始動性が向上する。
特に、軸受が機関回転部の軸よりも熱膨張係数の大きい素材にて形成される場合、冷間始動時にはそのクリアランスが常温時よりも縮小している。従って、そのクリアランスを適正なものとすることにより燃費及び始動性の向上の両面について更に大きく貢献することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の冷却装置において、前記暖機用通路は前記機関回転部の軸を囲むように形成されることを要旨とする。
上記構成によれば、軸受を効果的に昇温することができ、摩擦抵抗をより速やかに低下させることができるようになる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の冷却装置において、前記軸受は機関出力軸の軸受を含むことを要旨とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の冷却装置において、前記軸受は機関弁の駆動軸の軸受を含むことを要旨とする。
上記各構成によれば、機関出力軸(請求項3)や機関弁の駆動軸(請求項4)についてその回転に伴う摩擦抵抗を速やかに低下させることができる。
請求項5に記載の発明は、機関温度が第1の所定温度以上であるときに前記保温容器から前記暖機用通路への冷却水の流通を遮断する遮断手段を更に備える請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の冷却装置であることを要旨とする。
上記構成によれば、機関温度が第1の所定温度以上となった場合には、暖機用通路への冷却水の流通が停止される。これにより、暖機用通路に冷却水を流通させるのに伴う不必要なエネルギー損失の発生を回避することができ、更なる燃費の向上を図ることができるようになる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の内燃機関の冷却装置において、前記遮断手段は前記保温容器から前記暖機用通路への冷却水の流通を遮断可能な制御弁と、機関温度を検出する検出手段と、前記検出される機関温度が第1の所定温度以上であるときに前記制御弁を閉弁駆動する制御手段とを含むことを要旨とする。
上記構成によれば、暖機用通路への冷却水の流通及びその遮断を機関回転部の温度に応じて柔軟に行うことができ、不必要なエネルギー損失の発生を回避しつつ、機関回転部における摩擦損失の低減を図ることができるようになる。
請求項7に記載の発明は、前記機関温度が前記第1の所定温度よりも高い第2の所定温度以上であるときに前記暖機用通路に冷却水を流通させる流通手段を更に備える請求項5に記載の内燃機関の冷却装置であることを要旨とする。
上記構成によれば、暖機用通路に流通する冷却水により機関回転部の軸受の温度上昇を抑えることができる。即ち、この場合、暖機用通路は実質的に軸受を冷却するための冷却通路として機能する。これにより、軸と軸受とのクリアランスの過度の拡大を抑制し、機関回転部における油圧低下を防止することができる。
尚、上記流通手段は、例えばこれを、前記暖機用通路への冷却水の流通を許容する開放弁と、機関温度を検出する検出手段と、前記検出される機関温度が第2の所定温度以上であるときに前記暖機用通路への冷却水の流通が許容されるようこれを駆動する制御手段とを含む、といった構成にて実現することができる。また、上記検出手段、開放弁については、これらを請求項6に記載される検出手段、遮断弁と共用することにより、その構成の簡素化を図ることができる。
以下、本発明を車両用内燃機関の冷却装置に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の冷却装置1は、熱源である内燃機関2のウォータジャケット3を通過した冷却水が循環される循環回路4と、該循環回路4内に冷却水を循環させるウォーターポンプ(W/P)5とを備えている。
本実施形態では、W/P5は、ウォータジャケット3に冷却水を導入するための導入通路7に設けられている。W/P5は、内燃機関2に駆動される機械駆動式のウォーターポンプであり、導入通路7に流入した冷却水を内燃機関2内に圧送する。そして、ウォータジャケット3を通過する際に加熱された冷却水は、第1導出通路8及び第2導出通路9から循環回路4内に循環される。
循環回路4は、外気との熱交換により冷却水を冷却するラジエータ10が設けられた排熱経路11と、内燃機関2により加熱された冷却水を保温して蓄える保温容器12が設けられた第1利熱経路13と、冷却水と車室内に導入される空気との間で熱交換を行うヒータコア14が設けられた第2利熱経路15とを備えている。
排熱経路11は、第1導出通路8とラジエータ10とを接続する第1排熱通路16と、ラジエータ10と導入通路7とを接続する第2排熱通路17とを有しており、内燃機関2により加熱された冷却水は、ラジエータ10を通過することにより冷却されて第2排熱通路17内に流通される。
また、排熱経路11は、第1排熱通路16と第2排熱通路17とを接続するバイパス通路18を有しており、バイパス通路18と第2排熱通路17との接続点には、サーモスタット19が設けられている。そして、サーモスタット19は、ラジエータ10から流入する冷却水とバイパス通路18から流入する冷却水について、その温度に応じて流量配分を行うことにより第2排熱通路17から導入通路7に流入する冷却水の温度を所定の温度範囲内(通常70℃〜80℃)に維持している。
一方、第1利熱経路13は、第2導出通路9と保温容器12とを接続する第1利熱通路21を有しており、第1利熱通路21には、第1利熱経路13内の冷却水を圧送する循環手段としての電動ウォーターポンプ(電動W/P)22が設けられている。そして、機関冷間時には、この電動W/P22により、保温容器12に蓄えられた冷却水が第1利熱経路13内に循環される。
本実施形態では、機関回転部としてのクランクシャフト回転部25には、暖機用通路としての軸受通路26が設けられており、該軸受通路26は、第2利熱通路27を介して保温容器12と接続されている。そして、機関冷間時には、保温容器12に蓄えられた冷却水を軸受通路26に流通させることにより、クランクシャフト回転部25の速やかな昇温が図られるようになっている。
詳述すると、図2に示すように、クランクシャフト回転部25は、機関出力軸としてのクランクシャフト28、及びその軸受としてのクランクシャフト軸受29からなる。クランクシャフト軸受29は、図示しないクランクケースと一体に形成されたクランクケース側軸受部31と該クランクケース側軸受部31に装着されるベアリングキャップ32、及びこれらクランクケース側軸受部31及びベアリングキャップ32に配設されたすべり軸受34a,34bにより構成される。そして、クランクシャフト28は、これらクランクケース側軸受部31及びベアリングキャップ32に挟持され、すべり軸受34a,34bにて回転可能に支持されている。尚、本実施形態の内燃機関2は、シリンダブロックとクランクケースとがアルミ合金にて一体に形成されたアルミブロックを採用し、クランクシャフト28は、炭素鋼により形成されている。即ち、クランクケース側軸受部31は、クランクシャフト28よりも熱膨張係数の大きいアルミ合金を素材として形成されている。
本実施形態では、軸受通路26は、クランクシャフト軸受29を通過するように形成されている。詳しくは、軸受通路26は、各クランクケース側軸受部31に形成された上側通路26aと、各ベアリングキャップ32に形成された下側通路26bとにより構成されている。そして、これら上側通路26a及び下側通路26bは、それぞれクランクシャフト28を囲むようにすべり軸受34a,34bに沿って形成されている。そして、機関冷間時には、保温容器12に蓄えられた冷却水が各上側通路26a及び下側通路26bに流通される。そして、図3に示すように、各上側通路26a及び下側通路26bに流通された高温の冷却水によりクランクシャフト軸受29の速やかな昇温を図ることができるようになっている。
また、図1に示すように、第2利熱経路15は、ヒータコア14と第2導出通路9とを接続する第3利熱通路35と、ヒータコア14と導入通路7とを接続する第4利熱通路36とを有しており、第4利熱通路36は、第5利熱通路37を介して軸受通路26と接続されている。そして、第2利熱経路15を循環しヒータコア14を通過した冷却水により車室内に導入される空気、即ち空調用エアが加熱されるようになっている。
本実施形態では、第1利熱通路21及び第3利熱通路35が接続される第2導出通路9の出口9aには、該第2導出通路9、第1利熱通路21及び第3利熱通路35の間の接続状態、即ち第2導出通路9、第1利熱経路13及び第2利熱経路15の間の接続状態を切り替える制御弁としての三方弁41が設けられている。
三方弁41及び電動W/P22は、制御手段としてのECU42と接続されており、該ECU42にてその作動が制御されている。本実施形態では、三方弁41は、第1利熱通路21と第3利熱通路35とを接続する第1位置(図中C−B連通)、第2導出通路9と第3利熱通路35とを接続する第2位置(図中A−C連通)、第2導出通路9と第1利熱通路21及び第3利熱通路35をそれぞれ接続する第3位置(図中A−B,C連通)の3つの接続位置を有している。そして、ECU42は、三方弁41の接続位置、及び電動W/P22の作動又は停止を切り替えることにより、軸受通路26に冷却水を流通させる暖機モード、冷却水の流通を遮断する通常モード、及び再び軸受通路26に冷却水を流通させる冷却モードの3つのモードを切り替える。
具体的には、ECU42は、機関温度としてのクランクシャフト軸受29の温度、即ち軸受温度Tが第1の所定温度T1以上であるときに暖機モードから通常モードへの切り替えを行い、その温度が第1の所定温度T1よりも高い第2の所定温度T2以上であるときに通常モードから冷却モードへの切り替えを行う。
本実施形態では、第1導出通路8の出口8aには、検出手段としての水温センサ45が設けられており、ECU42は、この水温センサ45により検出される出口8aにおける冷却水の温度、即ち機関出口水温Toを代理変数として軸受温度Tを検出する。そして、検出された軸受温度Tに基づいて上記暖機モード、通常モード、及び冷却モードの3つのモードを切り替える。つまり、本実施形態では、遮断手段及び流通手段は、三方弁41、ECU42及び水温センサ45から構成されている。
尚、保温容器12には、水温センサ46が設けられており、ECU42は、機関出口水温Toが、保温容器12内に蓄えられた冷却水の温度、即ちタンク内水温Tt以上となるときの軸受温度Tが第1の所定温度T1として設定されている(図3参照)。そして、図4に示すように、軸受温度Tが軸受通路26への冷却水の流通を遮断した場合よりも同冷却水を流通させた場合の方が低くなる温度が第2の所定温度T2として設定されている。即ち、冷却モードにおいては、軸受通路26は実質的にクランクシャフト軸受29を冷却するための冷却通路として機能する。尚、本実施形態では、軸受温度Tが第2の所定温度T2となる機関出口水温Toが予めメモリ(図示略)に記憶されており、ECU42は、それに基づいて軸受温度Tが第2の所定温度T2以上であるか否かを判定する。
次に、上記3つのモードにおける三方弁の接続位置と循環回路4内の冷却水の循環経路との関係について詳述する。
[暖機モード]
機関冷間時、即ち、軸受温度Tが第1の所定温度T1よりも低い場合、ECU42は、三方弁41の接続位置を第1位置(C−B連通)とし、電動W/P22を作動させる。これにより、第1利熱通路21と第3利熱通路35とが接続される。そして、ウォータジャケット3を通過した冷却水は、第1利熱経路及び第2利熱経路15には流入せず、第1導出通路8から排熱経路11内に循環される。
一方、第1利熱経路13においては、電動W/P22の作動により、保温容器12内の冷却水が第2利熱通路27を介して軸受通路26へと流通される。そして、軸受通路26を通過した冷却水は、第5利熱通路37及び第4利熱通路36を経てヒータコア14に流通され、ヒータコア14を通過した冷却水は、第3利熱通路35から第1利熱通路21、即ち再び第1利熱経路13へと循環される。
[通常モード]
暖機完了後、即ち軸受温度Tが第1の所定温度T1以上となった場合には、ECU42は、三方弁41の接続位置を第2位置(A−C連通)とし電動W/P22を停止させる。つまり、第1利熱経路13について三方弁41を閉弁駆動することにより、保温容器12から軸受通路26への冷却水の流通を遮断する。そして、第2導出通路9と第3利熱通路35とが接続され、ウォータジャケット3を通過した冷却水は、第2導出通路9から第2利熱経路15内に循環される。そして、ヒータコア14を通過した冷却水は、第4利熱通路36から導入通路7を経て再び内燃機関2内に循環される。
[冷却モード]
軸受温度Tが第2の所定温度T2以上となった場合、ECU42は、三方弁41の接続位置を第3位置(A−B,C連通)とする。これにより、第2導出通路9と第4利熱通路36とが接続されるとともに、第2導出通路9と第1利熱通路21とが接続される。そして、ウォータジャケット3を通過した冷却水は、第2導出通路9から第1利熱通路21を経て保温容器12に回収されるとともに、保温容器12の冷却水が軸受通路26に流通される。
次に、本実施形態の冷却装置1におけるECU42の制御態様について説明する。
図5に示すように、内燃機関2が始動されると、ECU42は、先ず、内燃機関2の暖機可否判定、即ち検出された機関出口水温Toに基づいて軸受温度Tが第1の所定温度T1以上であるか否かを判定する(ステップ101)。そして、機関冷間時、即ち、軸受温度Tが第1の所定温度T1よりも低いと判定した場合には上記暖機モードに移行する。そして、三方弁41の接続位置を第1位置とし(ステップ102)、電動W/P22を作動させる(ステップ103)。
次に、ECU42は、上記ステップ101に戻り、再び内燃機関2の暖機可否判定を行う。そして、内燃機関2の暖機が完了したと判定した場合、即ち軸受温度Tが第1の所定温度T1以上となったと判定した場合には、上記通常モードに移行し、電動W/P22を停止させ(ステップ104)、三方弁41の接続位置を第2位置とする(ステップ105)。即ち、保温容器12から軸受通路26への冷却水の流通を遮断する。
次に、ECU42は、軸受通路26に再び冷却水を流通させる条件(通水条件)、即ち軸受温度Tが第2の所定温度T2以上であるか否かを判定する(ステップ106)。そして、このステップ106において、上記通水条件が成立したと判定した場合には、上記冷却モードに移行し、三方弁41の接続位置を第3位置として、軸受通路26に再び冷却水を流通させる(ステップ107)。
以上、本実施形態によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1)冷却装置1は、内燃機関2のウォータジャケット3を通過して加熱された冷却水を保温して蓄える保温容器12と、クランクシャフト回転部25のクランクシャフト軸受29に設けられ保温容器12の冷却水が流通される軸受通路26とを備える。
このような構成とすれば、軸受通路26に流通された高温の冷却水によりクランクシャフト回転部25のクランクシャフト軸受29を速やかに昇温することができる。これにより、クランクシャフト28とクランクシャフト軸受29(すべり軸受34a,34b)とのクリアランスを拡大し、クランクシャフト28が回転する際の摩擦抵抗を低下させることができる。また、併せてクランクシャフト回転部25に供給される潤滑油の温度を上昇させてその粘性を低下させることもできる。従って、クランクシャフト回転部25における摩擦抵抗を低下させることができ、機関冷間時の燃費を向上させることができるようになる。加えて、より小さな力でクランキングが可能となるため始動性が向上する。
尚、クランクシャフト回転部25は、通常、他の回転部(例えばカムシャフトの回転部)と比較して機関低温時に大きな摩擦損失が発生し易い。この点、本実施形態では、こうしたクランクシャフト回転部25における摩擦損失を低減するようにしたため、燃費の向上についてもより大きく貢献することができる。
また、特に、本実施形態では、クランクケース側軸受部31は、クランクシャフト28の素材(炭素鋼)よりも熱膨張係数の大きいアルミ合金を素材として形成されているため、その温度が常温(20〜25℃)よりも低い場合には、クランクシャフト28とのクリアランスが常温時よりも縮小している。この点、本実施形態では、クランクシャフト軸受29を速やかに昇温しそのクリアランスを拡大するようにしたため、冷間始動時においてもクランクシャフト28とクランクシャフト軸受29とのクリアランスを適正な範囲内に維持することができる。
(2)軸受通路26は、各クランクケース側軸受部31に形成された上側通路26aと、各ベアリングキャップ32に形成された下側通路26bとにより構成され、これら上側通路26a及び下側通路26bは、それぞれクランクシャフト28を囲むようにすべり軸受34a,34bに沿って形成される。このような構成とすれば、すべり軸受34a,34bをより効果的に昇温することができ、クランクシャフト28の回転に伴う摩擦抵抗をより速やかに低下させることができるようになる。
(3)冷却装置1は、ウォータジャケット3を通過した冷却水が導出される第2導出通路9、保温容器12及び軸受通路26が設けられた第1利熱経路13、及びヒータコア14が設けられた第2利熱経路15の間の接続状態を切り替える三方弁41を備え、三方弁41は、ECU42によりその作動が制御される。このような構成とすれば、軸受通路26への冷却水の流通及びその遮断を柔軟に行うことができる。
(4)ECU42は、軸受温度Tが第1の所定温度T1以上となった場合には、三方弁41の接続位置を第2位置(A−C連通)とする。即ち三方弁41を第1利熱経路13について閉弁駆動することにより、保温容器12から軸受通路26への冷却水の流通を遮断する。
このような構成とすれば、機関暖機完了後、即ち軸受温度Tが第1の所定温度T1以上となった場合には、軸受通路26への冷却水の流通が停止される。これにより、軸受通路26への冷却水の流通に伴う不必要なエネルギー損失の発生を回避することができ、更なる燃費の向上を図ることができるようになる。
(5)ECU42は、内燃機関2の暖機時には、三方弁41の接続位置を第1利熱経路と第2利熱経路15とが接続される第1位置として電動W/P22を作動させる。このような構成とすれば、軸受通路26を通過した保温容器12内の冷却水は、第2利熱経路15へと循環され、ヒータコア14を通過した後、再び第1利熱経路13へと循環される。従って、内燃機関始動直後から高温の冷却水がヒータコア14に流通されるので、車室内に導入される空気、即ち空調用エアの効果的な加熱が可能になる。その結果、冷間始動時においても迅速に車室内の暖房を行うことができるようになる。
また、第1利熱経路13及び第2利熱経路15内において保温容器12内の冷却水を循環させることにより、該冷却水に蓄熱された熱量をクランクシャフト回転部25及び空調用エアに集中的に分配することができる。従って、第1利熱経路13及び第2利熱経路15における一循環あたりの冷却水の温度低下を抑えることができ、その結果、保温容器12の容量を小さくすることができる。
(6)ECU42は、軸受温度Tが第2の所定温度T2以上となった場合、三方弁41の接続位置を第2導出通路9と第1利熱経路13及び第2利熱経路15とがそれぞれ接続される第3位置とし、軸受通路26に冷却水を流通させる。
このような構成とすれば、軸受通路26に流通する冷却水によりクランクシャフト軸受29の温度上昇を抑えることができる。従って、クランクシャフト軸受29の熱膨張に伴うクランクシャフト28とのクリアランスの過度の拡大を抑制することができ、その結果、クランクシャフト回転部25の油圧低下を防止することができるようになる。また併せて、高温の冷却水が直接に保温容器12に流通されるため、高温の冷却水を保温容器12内に蓄えることができる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、冷却水が流通される軸受通路26をクランクシャフト回転部25のクランクシャフト軸受29に設けたが、クランクシャフト回転部25以外の機関回転部の軸受(例えばカムシャフトの軸受等)にも保温容器12内の冷却水を流通可能な暖機用通路を設けてもよい。
・本実施形態では、軸受通路26(上側通路26a及び下側通路26b)は、クランクシャフト28を囲むようにすべり軸受34a,34bに沿って形成されることとした(図2参照)。しかし、これに限らず、暖機用通路は、直線的に形成してもよい。例えば、図6に示すように、断面V字型(クランクシャフト28の径方向断面)に形成された上側通路56a及び下側通路56bにてクランクシャフト28を挟むように軸受通路56を形成してもよく、図7に示すように、断面台形型に形成された上側通路66a及び下側通路66bにてクランクシャフト28を挟むように軸受通路66を形成してもよい。このような構成とすれば、容易かつ低コストにて軸受に暖機用通路を形成することができる。
・また、図8に示すように、各クランクケース側軸受部31にのみ軸受通路76を形成し、ベアリングキャップ32側には暖機用通路を形成しない構成としてもよい。同様に、カムシャフトに暖機用通路を設ける場合にも、シリンダヘッド側にのみ暖機用通路を形成し、ベアリングキャップ側には暖機用通路を形成しない構成としてもよい。そして、このような構成とすれば、容易かつ低コストにて軸受に暖機用通路を形成することができる。
・本実施形態では、水温センサ45により検出された機関出口水温Toを機関温度の代理変数としたが、機関温度は潤滑油温度を代理変数としてもよい。また、ベアリングキャップの温度等、機関温度を直接検出するようにしてもよい。
・本実施形態では、機関出口水温Toがタンク内水温Tt以上となるときの軸受温度Tを第1の所定温度T1として設定したが、所定の機関出口水温To等、機関温度の代理変数について予め設定された所定の値であってもよい。これは、第2の所定温度についても同様である。
・三方弁41を流量調節可能な弁とし、機関温度に基づき同温度が高くなるほど軸受通路26へ流通される冷却水の流量が少なくなるように調節するようにしてもよい。
・本実施形態では、遮断手段及び流通手段は、三方弁41、ECU42及び水温センサ45から構成することとした。しかし、これに限らず、遮断手段は、こうしたECU42にてその作動が制御される制御弁のみならず、サーモエレメントを駆動源とする感温弁により構成してもよい。
・本実施形態では、上記冷却モードにおいて、ECU42は、三方弁41の接続位置を第3位置とすることにより、保温容器12の冷却水を軸受通路26流通させることとした。しかし、これに限らず、流通手段は、ラジエータ10を通過した冷却水が軸受通路26に流通されるように構成してもよい。また、本実施形態では、保温容器12への高温の冷却水の回収を冷却モードにおいて行うこととしたが、この冷却水の回収のタイミングは任意に設定してもよい。
・本実施形態では、循環回路4のヒータコア14を有する循環経路を第2利熱経路15とし、内燃機関2の暖機時には、軸受通路26を通過した保温容器12内の冷却水が第2利熱経路15へと循環される構成とした。しかし、これに限らず、内燃機関2の暖機時には、オイルクーラ等のヒータコア以外の熱交換器を有する循環経路と第1利熱経路13とが接続され、軸受通路26を通過した保温容器12内の冷却水が、かかる熱交換器に流通される構成としてもよい。そして、例えば、軸受通路26を通過した保温容器12内の冷却水をオイルクーラに流通すれば、高温の冷却水によるクランクシャフト回転部25の迅速な昇温に加え、潤滑油の早期昇温(及び該潤滑油によるクランクシャフト回転部25の昇温)も可能になる。従って、より速やかにクランクシャフト回転部25における摩擦抵抗を低下させることができ、その結果、更に内燃機関暖機時の燃費を向上させることができる。
・本実施形態では、暖機モードにおいて、電動W/P22を循環手段として保温容器12の冷却水を第1利熱経路13内に循環させる構成とした。しかし、これに限らず、弁装置の切り替えにより、W/P5を循環手段として保温容器12の冷却水を第1利熱経路13内に循環させる構成としてもよい。
・本実施形態では、ウォータジャケット3を通過した冷却水は、第1導出通路8及び第2導出通路9から循環回路4内に循環されることとし、第2導出通路9の出口9aに三方弁41を設けた。しかし、これに限らず、ウォータジャケット3を通過した冷却水は、一つの導出通路から導出されることとし、この導出通路の出口に、該導出通路、排熱経路11、第1利熱経路13及び第2利熱経路15の間の接続状態を切り替える切り替え装置を設ける構成としてもよい。
本実施形態における冷却装置の概略構成図。 クランクシャフト回転部の拡大断面図。 クランクシャフト回転部への温水供給の有無と温度上昇の関係を示すグラフ。 クランクシャフト回転部への温水供給の有無と温度上昇の関係を示すグラフ。 ECUによる制御態様を示すフローチャート。 別例のクランクシャフト回転部の拡大断面図。 別例のクランクシャフト回転部の拡大断面図。 別例のクランクシャフト回転部の拡大断面図。
符号の説明
1…冷却装置、2…内燃機関、3…ウォータジャケット、12…保温容器、25…機関回転部としてのクランクシャフト回転部、26,56,66,76…暖機用通路としての軸受通路、28…機関出力軸としてのクランクシャフト、29…軸受としてのクランクシャフト軸受、41…制御弁としての三方弁、42…制御手段としてのECU、45…検出手段としての水温センサ、T…軸受温度、To…機関出口水温、T1…第1の所定温度、T2…第2の所定温度。

Claims (7)

  1. 内燃機関のウォータジャケットを通過して加熱された冷却水を蓄える保温容器と、前記保温容器の冷却水を機関回転部の軸受に流通させる暖機用通路と、を備える内燃機関の冷却装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の冷却装置において、
    前記暖機用通路は前記機関回転部の軸を囲むように形成される
    ことを特徴する内燃機関の冷却装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の冷却装置において、
    前記軸受は機関出力軸の軸受を含む
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の冷却装置において、
    前記軸受は機関弁の駆動軸の軸受を含む
    ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  5. 機関温度が第1の所定温度以上であるときに前記保温容器から前記暖機用通路への冷却水の流通を遮断する遮断手段を更に備える
    請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の冷却装置。
  6. 請求項5に記載の内燃機関の冷却装置において、
    前記遮断手段は前記保温容器から前記暖機用通路への冷却水の流通を遮断可能な制御弁と、機関温度を検出する検出手段と、前記検出される機関温度が第1の所定温度以上であるときに前記制御弁を閉弁駆動する制御手段とを含む
    ことを特徴する内燃機関の冷却装置。
  7. 前記機関温度が前記第1の所定温度よりも高い第2の所定温度以上であるときに前記暖機用通路に冷却水を流通させる流通手段を更に備える
    請求項5に記載の内燃機関の冷却装置。
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