JP2005220155A - グリース組成物及び転動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 転動装置に優れた潤滑性及び高温耐久性を付与できるグリース組成物、並びに潤滑性能に優れ、高温下においても長寿命の転動装置を提供する。
【解決手段】 特定のジフェニルエーテル油を必須成分とする基油と、増ちょう剤とを含んでなるグリース組成物、並びに内方部材と、外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に転動自在に配設された複数の転動体とを備え、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が内設された空隙部内に、前記グリース組成物を充填した転動装置。
【選択図】 図1
【解決手段】 特定のジフェニルエーテル油を必須成分とする基油と、増ちょう剤とを含んでなるグリース組成物、並びに内方部材と、外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に転動自在に配設された複数の転動体とを備え、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が内設された空隙部内に、前記グリース組成物を充填した転動装置。
【選択図】 図1
Description
本発明はグリース組成物に関し、特にオルタネータ、電磁クラッチ等の自動車電装部品、アイドラプーリ等の自動車エンジン補機等の高温高速で使用される機器の回転部位や袖動部位に使用される転がり軸受に好適なグリース組成物に関する。また、本発明は、前記グリース組成物を充填した転動装置、特に前記自動車電装部品及び自動車エンジン補機等に好適な転動装置に関する。
自動車は小型軽量化や、居住空間拡大の要望により、エンジンルーム空間の減少を余儀なくされ、電装部品・エンジン補機の小型軽量化がより一層進められている。加えて、静粛性向上の要望によりエンジンルームの密閉化が進み、エンジンルーム内の高温化が促進されるため、これらの部品は高温に耐えられることも重要となっている。
これら自動車電装部品及び自動車エンジン補機用の転がり軸受は従来、軸受温度130〜150℃の範囲で使用されており、このような温度範囲での耐久性を確保するために、例えばアルキルジフェニルエーテル系潤滑油を配合したグリースを封入することで対応している(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
しかし、近年では、自動車の小型軽量化や居住空間拡大の更なる要望が強く、180〜200℃の高温下でも耐え得るような軸受が必要とされてきており、耐熱性のより高いグリースが必要とされている。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を増ちょう剤に配合し、パーフルオロポリエーテル油を基油としたフッ素系グリースを封入することにより、160℃以上の環境下でも使用可能な軸受となることが知られているが、フッ素系グリースは、一般的なグリースに配合される添加剤を添加することが難しく、潤滑性、防錆性及び金属腐食性能に劣る傾向がある。更に、フッ素系グリースは、合成系グリースに比べて5〜20倍程度高価であるという問題もある。
また、ウレア系グリースも耐熱性に優れることが知られており、基油である鉱油や合成油にフッ素油を配合して耐熱性を更に向上させたグリースも知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、フッ素油は、鉱油や合成油との親和性に乏しいため、このようなグリースは離油度が大きく、高速で回転する部品用の軸受には不適であるという問題があった。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、転動装置に優れた潤滑性及び高温耐久性を付与できるグリース組成物を提供することを目的とする。また、潤滑性能に優れ、高温下においても長寿命の転動装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下のグリース組成物及び転動装置を提供する。
(1)下記一般式(I)または一般式(II)で表されるジフェニルエーテル油を必須成分とする基油と、増ちょう剤とを含んでなることを特徴とするグリース組成物。
(1)下記一般式(I)または一般式(II)で表されるジフェニルエーテル油を必須成分とする基油と、増ちょう剤とを含んでなることを特徴とするグリース組成物。
(但し、R1、R2は、同一又は異なる直鎖もしくは分岐鎖パーフルオロアルキル基、またはその部分置換体を表し、炭素原子数は1〜25であり、かつR1、R2中のフッ素原子数/炭素原子数の比は0.6〜3である。また、R3、R4、R5中の1つは水素原子で、残りの2つは同一又は異なる分岐アルキル基を表し、炭素原子数は10〜26である。)
(2)基油が、一般式(I)または一般式(II)で表されるジフェニルエーテル油を50〜100重量%含有し、かつ40℃における動粘度が20〜500mm2/sであることを特徴とする上記(1)記載のグリース組成物。
(3)混和ちょう度が220〜385であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のグリース組成物。
(4)増ちょう剤がジウレア化合物であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1項に記載のグリース組成物。
(5)内方部材と、外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に転動自在に配設された複数の転動体とを備える転動装置において、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が内設された空隙部内に、上記(1)〜(4)の何れか1項に記載のグリース組成物を充填したことを特徴とする転動装置。
(2)基油が、一般式(I)または一般式(II)で表されるジフェニルエーテル油を50〜100重量%含有し、かつ40℃における動粘度が20〜500mm2/sであることを特徴とする上記(1)記載のグリース組成物。
(3)混和ちょう度が220〜385であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のグリース組成物。
(4)増ちょう剤がジウレア化合物であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1項に記載のグリース組成物。
(5)内方部材と、外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に転動自在に配設された複数の転動体とを備える転動装置において、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が内設された空隙部内に、上記(1)〜(4)の何れか1項に記載のグリース組成物を充填したことを特徴とする転動装置。
本発明によれば、特定のジフェニルエーテル油を含有する基油を用いることにより、160℃を越える高温でも優れた潤滑性を長期に維持できるグリース組成物が得られる。また、このグリース組成物を封入することにより高温での潤滑性能に優れ、長寿命の転動装置が得られ、特に自動車電装部品や自動車エンジン補機等の高温高速で使用される部位に好適に使用できる。
先ず、本発明のグリース組成物に関して以下に詳細に説明する。
〔基油〕
本発明のグリース組成物において、基油は下記一般式(I)または一般式(II)で表されるジフェニルエーテル油を必須成分として含む。
〔基油〕
本発明のグリース組成物において、基油は下記一般式(I)または一般式(II)で表されるジフェニルエーテル油を必須成分として含む。
一般式(I)において、R1、R2は、同一又は異なる直鎖もしくは分岐鎖パーフルオロアルキル基、またはその部分置換体を表す。ここで、パーフルオロアルキル基の部分置換体とは、フッ素原子または水素原子の一部が塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、水酸基、チオール基、アルコキシ基、エーテル基、アミノ基、ニトリル基、ニトル基、スルホニル基、スルフィニル基あるいはエステル基、アミノ基、アシル基、アミド基、カルボキシル基等のカルボニル含有基等の置換基で置換されたもの、あるいは主鎖の一部がエーテル構造のものである。
また、R1、R2中の炭素数は1〜25であり、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜3である。炭素数が25より多くなると、原料の入手あるいは合成が困難となる。
更に、R1、R2中のフッ素原子数/炭素原子数の比は0.6〜3、好ましくは1〜3、より好ましくは1.5〜3である。
一般式(II)において、R3、R4、R5中の1つは水素原子で、残りの2つは同一又は異なる分岐アルキル基を表す。また、炭素数は10〜26、好ましくは12〜24である。炭素数が10未満では蒸発量が多くなり、26より多くなると低温での流動性が乏しくなり、使用上問題になる。具体的には、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基、エイコシル基等が挙げられ、これらの分岐を有するものでもよい。
基油中の上記一般式(I)または一般式(II)で表されるジフェニルエーテル油の割合は、50〜100重量%、好ましくは60〜80重量%である。50重量%未満であると耐熱性が不十分となる。併用可能な潤滑油としては、エステル系合成油及びポリα−オレフィン油が好ましい。
前記エステル系合成油としては、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート等のジエステル、トリメチロールプロパンカプリレート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート等のポリオールエステル、トリメリット酸エステル、トリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル油が挙げられる。また、前記ポリα−オレフィン油は、下記一般式(III)で表される。
一般式(III)において、R6はアルキル基であり、同一分子中に2種類以上の異なったアルキル基が混在してもよいが、好ましくはn−オクチル基である。また、nは3〜8が好ましい。
上記の如く構成される基油は、動粘度が40℃で20〜500mm2/sであることが好ましい。40℃における動粘度が500mm2/sを超えると、転動装置のトルクが上昇しすぎるため好ましくない。また、低温での流動性が不十分となって、転動装置を低温下で起動する際に異音が発生するおそれがある。ただし、40℃における動粘度が20mm2/s未満であると、蒸発損失や潤滑性の問題から適当でない。即ち、基油の粘度が低すぎると、高温において例えば軸受の回転中に軌道面と転動体との金属接触を避けるのに十分な潤滑油膜の形成が困難となる。このような問題を生じ難くするためには、40℃における動粘度を30〜400mm2/sとすることが好ましい。
〔増ちょう剤〕
増ちょう剤は、上記の基油中にコロイド状に分散して、基油を半固体または固体状にする物質であれば特に制限無く使用することができる。このような増ちょう剤としては、例えば、リチウム石鹸系、カルシウム石鹸系、ナトリウム石鹸系、アルミニウム石鹸系、リチウムコンプレックス石鹸系、カルシウムコンプレックス石鹸系、ナトリウムコンプレックス石鹸系、バリウムコンプレックス石鹸系、アルミニウムコンプレックス石鹸系の金属石鹸、ベントナイト系、クレイ系の無機化合物、モノウレア系、ジウレア系、トリウレア系、テトラウレア系、ウレタン系、ナトリウムテレフタラメート系の有機化合物等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性の点から、ウレア系が好適に用いることができる。これらの増ちょう剤は、それぞれ単独でも、適宜組み合わせて使用することもできる。
増ちょう剤は、上記の基油中にコロイド状に分散して、基油を半固体または固体状にする物質であれば特に制限無く使用することができる。このような増ちょう剤としては、例えば、リチウム石鹸系、カルシウム石鹸系、ナトリウム石鹸系、アルミニウム石鹸系、リチウムコンプレックス石鹸系、カルシウムコンプレックス石鹸系、ナトリウムコンプレックス石鹸系、バリウムコンプレックス石鹸系、アルミニウムコンプレックス石鹸系の金属石鹸、ベントナイト系、クレイ系の無機化合物、モノウレア系、ジウレア系、トリウレア系、テトラウレア系、ウレタン系、ナトリウムテレフタラメート系の有機化合物等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性の点から、ウレア系が好適に用いることができる。これらの増ちょう剤は、それぞれ単独でも、適宜組み合わせて使用することもできる。
本発明のグリース組成物における増ちょう剤の含有量は3〜40重量%であり、好ましくは5〜25重量%である。3重量%より少ないとグリース状態を維持することが困難となり、40重量%より多くなると硬くなりすぎて十分な潤滑状態を発揮することができない。
また、ちょう度は混和ちょう度で220〜395の範囲であり、好ましくは265〜350の範囲である。220より小さいと硬くなりすぎて十分な潤滑効果が期待できず、395より大きいと軸受から漏洩する恐れがある。
〔添加剤〕
本発明のグリース組成物には、その各種性能を更に向上させるために種々の添加剤を添加してもよい。例えば、フェニル−1−ナフチルアミン等のアミン系、2,6−ジ−tert−ジブチルフェノール等のフェノール系、硫黄系、ジチオリン酸亜鉛等の酸化防止剤;アルカリ金属およびアルカリ土類金属等の有機スルフォン酸塩、アルキル、アルケニルこはく酸エステル等のアルキル、アルケニルこはく酸誘導体、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル等の防錆剤;リン系、ジチオリン酸亜鉛、有機モリブデン等の極圧剤;脂肪酸、動植物油等の油性向上剤;ベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤を、それぞれ単独で、あるいは適宜組み合わせて添加することができる。これら添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない程度であれば特に限定されるものではない。
本発明のグリース組成物には、その各種性能を更に向上させるために種々の添加剤を添加してもよい。例えば、フェニル−1−ナフチルアミン等のアミン系、2,6−ジ−tert−ジブチルフェノール等のフェノール系、硫黄系、ジチオリン酸亜鉛等の酸化防止剤;アルカリ金属およびアルカリ土類金属等の有機スルフォン酸塩、アルキル、アルケニルこはく酸エステル等のアルキル、アルケニルこはく酸誘導体、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル等の防錆剤;リン系、ジチオリン酸亜鉛、有機モリブデン等の極圧剤;脂肪酸、動植物油等の油性向上剤;ベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤を、それぞれ単独で、あるいは適宜組み合わせて添加することができる。これら添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない程度であれば特に限定されるものではない。
尚、グリース組成物の製造方法は、特に限定されるものではない。
本発明のグリース組成物は、基油に一般式(I)または一般式(II)で表されるジフェニルエーテル油を用いるため、後述する実施例から明らかなように、優れた潤滑性と高温耐久性とを兼ね備える。そのため、オルタネータ、電磁クラッチ等の自動車電装部品、アイドラプーリ等の自動車エンジン補機のように、高温高速条件下で使用される機器の回転部分や摺動部分に組み込まれる転動装置に好適となる。以下、本発明の転動装置について説明する。
本発明において、転動装置の種類やその構造、構成には制限がなく、例えば転がり軸受、ボールねじ、リニアガイド装置、直動ベアリング等が対象となる。尚、本発明において内方部材とは、転がり軸受の場合には内輪、ボールねじの場合にはねじ軸、リニアガイド装置の場合には案内レール、直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、外方部材とは、転がり軸受の場合には外輪、ボールねじの場合にはナット、リニアガイドの場合にはスライダ、直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。ここでは、本発明の転動装置として転がり軸受を例示する。
図1は、転がり軸受の一つである玉軸受の構造を示す縦断面図である。この玉軸受1は、内輪10と、外輪11と、内輪10と外輪11との間に転動自在に配設された複数の玉13と、玉13を保持する保持器12と、外輪11に取り付けられた接触形のシール14、14とで構成されている。また、内輪10と外輪11とシール14、14とで囲まれた軸受空間には、上記した本発明のグリース組成物Gが充填されており、シール14により玉軸受1内に密封されている。そして、グリース組成物Gにより、前記両輪10、11の軌道面と玉13との接触面が潤滑される。尚、グリース組成物Gの封入量は特に制限されず、一般的な玉軸受と同様で構わない。
(実施例1〜5及び比較例1〜2;一般式(I)で表されるジフェニルエーテル油使用)
一般式(I)で表されるジフェニルエーテル油として「-CH2CH2−(CF2)6F」を置換基とするもの(表中に「フッ素置換ジフェニルエーテル」と記載)を用い、表1及び表2に示す配合にて試験グリースを調製した。また、何れの試験グリースにも、グリース組成物全体の2.0重量%のアミン系酸化防止剤と、1.0重量%のCaスルフォネート系防錆剤と、0.05重量%のベンゾトリアゾール系金属不活性化剤とを添加した。
一般式(I)で表されるジフェニルエーテル油として「-CH2CH2−(CF2)6F」を置換基とするもの(表中に「フッ素置換ジフェニルエーテル」と記載)を用い、表1及び表2に示す配合にて試験グリースを調製した。また、何れの試験グリースにも、グリース組成物全体の2.0重量%のアミン系酸化防止剤と、1.0重量%のCaスルフォネート系防錆剤と、0.05重量%のベンゾトリアゾール系金属不活性化剤とを添加した。
尚、表中の基油及び増ちょう剤の含有量は、基油と増ちょう剤の合計量を100とした場合の値であって、上記添加剤については考慮されていない。また、増ちょう剤の種類及び基油の種類の欄に記載された数値は、増ちょう剤及び基油全体における各成分の量比(重量%)を示している。
そして、内径8mm、外径22mm、幅7mmの鉄シールド付き深溝玉軸受(図1とほぼ同様の構造である)に、上記各試験グリースを軸受空間容積の50%を占めるように充填して試験軸受を作製した。この試験軸受を図2に示すようなASTM D1741の軸受寿命試験機に類似の試験機に装着し、軸受温度180℃、アキシアル荷重59Nの条件下で3000min-1の回転速度で回転させ(その他の条件はASTM D1741に準拠した)、焼付きが生じて外輪の温度が190℃以上に上昇するまでの時間(焼付寿命)を測定した。結果を表1及び表2に、比較例2の焼付寿命を1とする相対値にて示す。
表1及び表2に示すように、本発明に従う実施例1〜5の試験グリースを用いると良好な焼付寿命が得られるのに対して、比較例1の試験グリースでは一般式(I)で表されるジフェニルエーテル油を含有していないため、高温での耐焼付性が大きく劣っている。また、比較例2の試験グリースは、一般式(I)で表されるジフェニルエーテル油を含有しているものの、その含有量が基油全量の50重量%未満であるため、実施例1〜5の試験グリースと比べると、焼付き寿命に劣っている。
(実施例6〜10及び比較例3〜4;一般式(II)で表されるジフェニルエーテル油使用)
一般式(II)で表されるジフェニルエーテル油として分岐アルキル鎖を置換基とするもの(表中に「C24−モノ」、「C12―ジ」、「C10−テトラ」と記載)を用い、表3及び表3に示す配合にて試験グリースを調製した。また、何れの試験グリースにも、グリース組成物全体の2.0重量%のアミン系酸化防止剤と、1.0重量%のCaスルフォネート系防錆剤と、0.05重量%のベンゾトリアゾール系金属不活性化剤とを添加した。
一般式(II)で表されるジフェニルエーテル油として分岐アルキル鎖を置換基とするもの(表中に「C24−モノ」、「C12―ジ」、「C10−テトラ」と記載)を用い、表3及び表3に示す配合にて試験グリースを調製した。また、何れの試験グリースにも、グリース組成物全体の2.0重量%のアミン系酸化防止剤と、1.0重量%のCaスルフォネート系防錆剤と、0.05重量%のベンゾトリアゾール系金属不活性化剤とを添加した。
尚、表中の基油及び増ちょう剤の含有量は、基油と増ちょう剤の合計量を100とした場合の値であって、上記添加剤については考慮されていない。また、増ちょう剤の種類及び基油の種類の欄に記載された数値は、増ちょう剤及び基油全体における各成分の量比(重量%)を示している。
そして、内径8mm、外径22mm、幅7mmの鉄シールド付き深溝玉軸受(図1とほぼ同様の構造である)に、上記各試験グリースを軸受空間容積の50%を占めるように充填して試験軸受を作製した。この試験軸受を図2に示すようなASTM D1741の軸受寿命試験機に類似の試験機に装着し、軸受温度180℃、アキシアル荷重98Nの条件下で3000min-1の回転速度で回転させ(その他の条件はASTM D1741に準拠した)、焼付きが生じて外輪の温度が190℃以上に上昇するまでの時間(焼付寿命)を測定した。結果を表3及び表4に、比較例4の焼付寿命を1とする相対値にて示す。
表3及び表4に示すように、本発明に従う実施例5〜10の試験グリースを用いると良好な焼付寿命が得られるのに対して、比較例3及び比較例4の試験グリースでは一般式(II)で表されるジフェニルエーテル油を含有していないため、高温での耐焼付性が大きく劣っている。
1 玉軸受
10 内輪
11 外輪
13 玉
G グリース組成物
10 内輪
11 外輪
13 玉
G グリース組成物
Claims (5)
- 基油が、一般式(I)または一般式(II)で表されるジフェニルエーテル油を50〜100重量%含有し、かつ40℃における動粘度が20〜500mm2/sであることを特徴とする請求項1記載のグリース組成物。
- 混和ちょう度が220〜385であることを特徴とする請求項1または2に記載のグリース組成物。
- 増ちょう剤がジウレア化合物であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のグリース組成物。
- 内方部材と、外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に転動自在に配設された複数の転動体とを備える転動装置において、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が内設された空隙部内に、請求項1〜4の何れか1項に記載のグリース組成物を充填したことを特徴とする転動装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007084620A (ja) * | 2005-09-20 | 2007-04-05 | Nsk Ltd | 耐水性グリース組成物及び鉄鋼圧延機用転がり軸受 |
JP2007112866A (ja) * | 2005-10-19 | 2007-05-10 | Nsk Ltd | 直送装置用グリース組成物及び直動装置 |
JP2007177954A (ja) * | 2005-12-28 | 2007-07-12 | Nsk Ltd | 転がり軸受 |
JP2008208174A (ja) * | 2007-02-23 | 2008-09-11 | Nsk Ltd | グリース組成物及び転動装置 |
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2004
- 2004-02-03 JP JP2004026451A patent/JP2005220155A/ja active Pending
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