JP2005205517A - 工作機械の切削制御方法および切削制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 主軸負荷の変化に対応して送り速度と主軸回転速度を自動的に調節してワークを効率良く切削する。
【解決手段】 切削制御装置1は、第2メモリ(記憶部)13と、主軸7を回転作動させる主軸制御部16と、ワーク3を移動させる送り軸制御部17と、ワーク3の切削中に主軸負荷を検出して、主軸負荷が予め設定した目標負荷範囲内にあるか否かを監視する主軸負荷監視部18と、主軸負荷が目標負荷範囲内に入っていないとき、主軸負荷の目標負荷範囲との差異に応じて主軸7の回転速度と切削送り速度の各速度設定値に対するオーバライド値を求めるオーバライド判定部20と、オーバライド判定部20で求めたオーバライド値にもとづいた速度指令を主軸制御部16と送り軸制御部17に出力してそれらを動作させる主制御部11とを備えている。
【選択図】 図1
Description
すなわち、請求項1に工作機械の切削制御方法は、加工プログラムに設定した主軸の回転速度と切削送り速度の各速度設定値にもとづく速度指令に従って、主軸の回転速度と、該主軸に装着した回転工具によって切削されるワークの切削送り速度とを制御する工作機械の切削制御方法であって、
前記ワークの切削中における主軸負荷が予め設定した目標負荷範囲内にあるか否かを監視し、前記主軸負荷が前記目標負荷範囲を超えたとき、前記主軸の回転速度と切削送り速度の各速度設定値に対する各オーバライト値を下げて出力される速度指令により、また、前記主軸負荷が前記目標負荷範囲を下まわったとき、前記各オーバライト値を上げて出力される速度指令により、それぞれ前記主軸の回転速度と切削送り速度を制御することを特徴としている。
前記加工プログラムを記憶する記憶部と、前記主軸を回転させる主軸駆動手段を作動させる主軸制御部と、前記ワークを主軸に対して相対移動させる送り軸駆動手段を作動させる送り軸制御部と、前記ワークの切削中における主軸負荷が予め設定した目標負荷範囲内にあるか否かを監視する主軸負荷監視部と、前記主軸負荷が前記目標負荷範囲内に入っていないとき、主軸負荷の目標負荷範囲との差異に応じて前記主軸の回転速度と切削送り速度の各速度設定値に対する各オーバライド値を求めるオーバライド判定部と、該オーバライド判定部で求めた各オーバライド値にもとづいた速度指令を前記主軸制御部と送り軸制御部に出力してそれらを動作させる主制御部とを備えていることを特徴としている。
また、主軸負荷の変化に対応して主軸の回転速度と切削送り速度を人手を介して調節する必要がないので、作業者にかかる労力の負担を軽減することができると共に、夜間に工作機械の無人運転を行うことができ、その場合においても、工具を破損することなく、効率的にワークの切削加工を行うことができる。
図1は本発明の一実施の形態に係る工作機械の切削制御装置を示す。この工作機械の切削制御装置1は、マシニングセンタ等の工作機械2を制御するNC装置の機能の一部として構成されている。前記工作機械2は、ワーク3が取り付けられ、X,Y軸駆動用の電動サーボモータ(X,Y軸モータ)4によって、互いに直角なX軸方向xとY軸方向(図1で紙面に垂直な方向)yに移動されるテーブル5と、主軸回転用の電動サーボモータ(主軸モータ)6によって回転される主軸7と、該主軸7を支持し、X,Y軸方向x,yに直角なZ軸方向zにZ軸駆動用の電動サーボモータ(Z軸モータ)8によって移動される主軸ヘッド9等とを備えた従来周知のものである。前記主軸7にはフライス、エンドミル等の回転工具10が装着されている。
前記X,Y軸モータ4とX,Y軸サーボアンプ23およびZ軸モータ8とZ軸サーボモータ24は、それぞれ前記ワーク3を主軸7に対してX,Y,Z軸方向x,y,zに相対移動させるX,Y,Z軸用の送り軸駆動手段を構成し、前記主軸モータ6と主軸サーボアンプ22は主軸7を回転させる主軸駆動手段を構成している。
また、前記第2メモリ13に記憶された加工プログラムには、それに設定されている前記主軸7(回転工具10)の回転速度と、前記テーブル5(ワーク3)の前記回転工具10に対するX,Y軸方向x,yの相対的な移動速度(以下、「切削送り速度」という)の各速度設定値を100%とし、これらに対する割合を百分率(%)で表した数値である速度変指令更用のオーバライド値を変更設定する場合の所定のオーバライド変化率ΔA(例えば、切削送り速度のオーバライド変化率ΔAf、主軸7の回転速度のオーバライト変化率ΔAnをそれぞれ5%)が、予め前記主軸7の回転速度と前記切削送り速度の両方に対して登録されていると共に、主軸7に対する前記目標負荷値Loと監視下限負荷値Luが予め登録されている。
そして、前記オーバライド判定部20は、その内部のメモリに、前記各オーバライド値の上限値Amax(例えば、切削送り速度のオーバライド上限値Afmax、主軸7の回転速度のオーバライト上限値Anmaxをそれぞれ140%)、下限値Amin(例えば、切削送り速度のオーバライド下限値Afmin、主軸7の回転速度のオーバライト下限値Anminをそれぞれ80%)と、前記主軸7の目標負荷値Loに対する上方への許容値(許容幅)e1、下方への許容値(許容幅)e2とが設定されたオーバライド制御プログラムが記憶されており、前記主制御部11の指令で動作し、前記主軸負荷監視部18による監視結果と、前記加工プログラムに設定されている各オーバライド値の変化率ΔA(ΔAf、ΔAn)と、前記オーバライド制御プログラムに設定されている前記設定数値とから前記主軸制御部16とX,Y,Z軸送り制御部17に指令すべき各オーバライド値を演算して変更設定するようになっている。
前記工作機械2が運転されると、前記主軸負荷に適応した切削送り速度(F)と主軸7の回転速度(N)の変速制御(以下「FNアダプティブ制御」と称する)が開始され、先ず、図2に示すように、主制御部11が、処理に必要な各種変数等の初期化を行う(ステップS1)。次いで、前記切削制御装置1が動作して、加工プログラムの実行が開始されると、実行内容が前記オーバライド判定部20内のオーバライド制御プログラムに通知される(ステップS2)。そして、前記FNアダプティブ制御関係の入力データ(前記目標負荷Lo、切削送り速度と回転速度の各速度設定値に対する各オーバライド値の変化率等)の設定指令で有るか否かを判断し(ステップS3)、前記設定指令があれば前記入力データを前記オーバライド判定部20のメモリに記憶させて(ステップS4)から、後述のFNアダプティブ制御処理SUB1を実行する(ステップS5)。前記ステップS3において前記FNアダプティブ制御関係の入力データの設定指令が無いときは、前記FNアダプティブ制御の開始コードが加工プログラムに有るか否かを調べ(ステップS6)、開始コードが有ればFNアダプティブ制御の実行中を示すフラグを加工プログラム中のフラグ欄にON状態とした(ステップS7)後に、ステップS5によるFNアダプティブ制御処理SUB1を実行する。前記ステップS6で開始コードが無ければFNアダプティブ制御の終了コードの有無を確認し(ステップS8)、終了コードが有ればあればNアダプティブ制御の実行中を示すフラグをOFF状態とした後に、終了コードが無ければそのまま前記ステップS5によるFNアダプティブ制御処理SUB1を実行し、前記ステップS2〜ステップS9までの処理が繰り返して行われる。
すなわち、前記主制御部11によって、前記FNアダプティブ制御の実行中を示すフラグがフラグ欄にON状態となっている(FNアダプティブ制御が実行中)か否か(ステップS10)が判断されて、FNアダプティブ制御が実行中である場合には、前記主軸負荷監視部18が、主軸モータ5に作用する電流値を主軸サーボアンプ22から入力して現在の主軸負荷(L_NEW)(図8参照)を演算して求め(ステップS11)、該主軸負荷(L_NEW)を前記第2メモリ13に記憶されている前記監視下限負荷値Luと比較し(ステップS12)、その比較結果を受けて主制御部11が、主軸負荷(L_NEW)が監視下限負荷値Luに満たないとき、オーバライド判定部20に指令して切削送り速度と主軸7の回転速度の加工プログラムによる各速度設定値に対するオーバライド値(軸・主軸オーバライド)Aを、それらが100%以下であれば、それぞれ100%に上げて設定した(ステップS13)後、FNアダプティブ制御処理SUB1を終了して呼出元に戻って処理を継続する。
また、前記ステップS12における比較結果で、主軸負荷(L_NEW)が監視下限負荷値Luより大きいとき、前記オーバライド値の上げ/下げの変更処理(アップ/ダウン処理)を実行中か否かを判断して(ステップS14)、既に実行中であれば、後述のオーバライド値出力処理SUB4を実行した(ステップS15)後、FNアダプティブ制御処理SUB1を終了して呼出元に戻って処理を継続する。
なお、前記各ステップS10において、FNアダプティブ制御が実行中でないときは、直ちに、FNアダプティブ制御処理SUB1を終了して呼出元に戻って処理を継続する。
この場合は、主制御部11が、切削送り速度と主軸7の回転速度が現在設定されているオーバライド値にもとづく速度を維持するように、前記主軸制御部16とX,Y,Z軸制御部17に指令するので、工作機械2は、X,Y,Z軸サーボアンプ17によって駆動されるX,Y,Z軸モータ4,8と主軸サーボアンプ22によって駆動される主軸モータ6の回転で、切削送り速度と主軸7の回転速度が現在の速度を維持し、ワーク3の回転工具10による切削加工を主軸負荷が目標負荷範囲に保たれるようにして効率的に継続することができる。
なお、前記ステップS17,22において前記クロック11aによる計時が実行されないときは、主制御部11はクロック11aに対し監視タイマ処理を指令し、主軸負荷監視時間の計時を実行させて(ステップS25)から、前記ステップS18,23において監視時間の計時が終了しないときと同様に、FNアダプティブ制御処理SUB1を終了して呼出元に戻って処理を継続する。
なお、前記ステップS19−2における処理はオーバライド下限値Aminを下まわるようなオーバライド値の変更設定を防ぐものである。
なお、前記ステップS24−2における処理はオーバライド上限値Amaxを上まわるようなオーバライド値の変更設定を防ぐものである。
これにより、工作機械2は、前記主軸7の過小負荷の度合に応じて、主軸7の回転速度に対するオーバライド値と切削送り速度に対するオーバライド値が適切に増加変更されて、前記主軸制御部16の指令により主軸サーボアンプ22を介して駆動される主軸モータ6の回転速度が上昇されると共に、前記X,Y,Z軸送り制御部17の指令によりX,Y,Z軸サーボアンプ23,24を介して駆動されるX,Y,Z軸モータ4,8の回転速度が増加されるので、主軸7の回転速度とワーク3の切削送り速度が、主軸7の負荷が一定(回転工具10の一刃当たりの切り込み量)に保たれるように調節され、ワーク3の切削加工を効率的に行うことができる。
これにより、工作機械2は、前記主軸7の過大負荷の度合に応じて、主軸7の回転速度に対するオーバライド値と切削送り速度に対するオーバライド値が適切に減少変更されて、前記主軸制御部16の指令により主軸サーボアンプ22を介して駆動される主軸モータ6の回転速度が低下されると共に、前記X,Y,Z軸送り制御部17の指令によりX,Y,Z軸サーボアンプ23,24を介して駆動されるX,Y,Z軸モータ4,8の回転速度が低下されるので、主軸7の回転速度とワーク3の切削送り速度が、主軸7の負荷が一定(回転工具10の一刃当たりの切り込み量)に保たれるように調節され、ワーク3の切削加工を効率的に行うことができる。
図8において、破線は負荷変動のなく、オーバライド値を変更調節することなく正常に切削加工が行われる状態を示す。
また、主軸負荷の変化に対応して主軸7の回転速度と切削送り速度を人手を介して調節する必要がないので、作業者にかかる労力の負担を軽減することができると共に、夜間に工作機械の無人運転を行うことができ、その場合においても、回転工具10を破損することなく、効率的にワーク3の切削加工を行うことができる。
また、前記実施の形態に係る工作機械の切削制御方法によれば、前記主軸7の回転速度と切削送り速度の各速度設定値に対する各オーバライド値Aを、前記第2メモリ13の加工プログラムに予め設定されたオーバライド変化率ΔAにもとづいて段階的に変更するようにしているので、主軸負荷の変化に対応して主軸7の回転速度と切削送り速度を変速するにあたり、それらの速度設定値に対する各オーバライド値Aをオーバライド変化率ΔAにもとづいて徐々に変更して速度指令が出力され、これにより、前記主軸7の回転速度と切削送り速度が急激に変速されるのを防止することができ、主軸負荷が大きく変動することなく、円滑に所定の目標負荷範囲内に入るようにすることができる。
また、図10は、回転工具10としてフライスを使用し、矩形状で加工面に図1に示すように深さ2mmの溝3aが設けられたワーク3を、Z軸方向の切込量6mm、主軸7の回転速度(回転数)200min−1、X軸方向xの切削送り速度320mm/minに設定した切削条件で平面切削し、目標負荷値Loを前記規定負荷の41%、主軸7の回転速度と切削送り速度の各速度設定値に対するオーバライド値Aの上限値Amaxをそれぞれ140%として切削制御装置1を動作させたときの主軸負荷La(本発明によるFNアダプティブ制御処理を行った場合),Lb(FNアダプティブ制御処理を行わない場合)、オーバライド値A、主軸7の回転速度Nの変化の状態を示しものである。
なお、図9、図10における横軸はワーク3の切削時間(切削通過点における時間のカウント数で示したもの)である。また、図9、図10では切削送り速度については図示を省略している。
また、図10によれば、ワーク3の溝3a部の切削に差し掛かって切削負荷Lが低下すると、オーバライド値が120%であったものが上限値Amax140%まで上記と同様にして傾斜線状As2に沿って引き上げられ、主軸7の回転速度Nが230min−1から280min−1に高められて、高速切削により前記溝3a部を通過し、通過後オーバライド値Aが元の120%に下げられて切削加工が終了する。これにより、切削時間が19.2%短縮されることが判明した。
これらの例からも明らかなように、本発明にかかる工作機械の切削制御方法および切削制御装置1によれば、主軸負荷に対応して主軸の回転速度と切削送り速度の設定値をオーバライド値を自動的に変更調節することにより、切削時間を大幅に短縮して効率的に切削加工を行うことができる。
また、加工プログラムに設定するオーバライド値の変化率ΔAを5%とし、オーバライド判定部20のメモリに設定するオーバライド値の上限値Amax、下限値Aminをそれぞれ140%、80%とする例を示したが、これらの数値に限らず、他の任意の数値を採用してもよい。
2 工作機械
3 ワーク
4 電動サーボモータ(X,Y軸モータ)
5 テーブル
6 電動サーボモータ(主軸モータ)
7 主軸
8 電動サーボモータ(Z軸モータ)
10 回転工具
11 主制御部
11a クロック
13 第2メモリ(記憶部)
16 主軸制御部
17 X,Y,Z軸送り制御部(送り軸制御部)
18 主軸負荷監視部
20 オーバライド判定部
22 主軸サーボアンプ
23 X,Y軸サーボアンプ
24 Z軸サーボアンプ
Claims (3)
- 加工プログラムに設定した主軸の回転速度と切削送り速度の各速度設定値にもとづく速度指令に従って、主軸の回転速度と、該主軸に装着した回転工具によって切削されるワークの切削送り速度とを制御する工作機械の切削制御方法であって、
前記ワークの切削中における主軸負荷が予め設定した目標負荷範囲内にあるか否かを監視し、前記主軸負荷が前記目標負荷範囲を超えたとき、前記主軸の回転速度と切削送り速度の各速度設定値に対する各オーバライド値を下げて出力される速度指令により、また、前記主軸負荷が前記目標負荷範囲を下まわったとき、前記各オーバライド値を上げて出力される速度指令により、それぞれ前記主軸の回転速度と切削送り速度を制御することを特徴とする工作機械の切削制御方法。 - 前記主軸の回転速度と切削送り速度の各速度設定値に対する各オーバライド値を、前記加工プログラムに予め設定されたオーバライド変化率にもとづいて段階的に変更することを特徴とする請求項1に記載の工作機械の切削制御方法。
- 加工プログラムに設定した主軸の回転速度と切削送り速度の各速度設定値にもとづく速度指令に従って、主軸の回転速度と、該主軸に装着した回転工具によって切削されるワークの切削送り速度とを制御する工作機械の切削制御装置であって、
前記加工プログラムを記憶する記憶部と、前記主軸を回転させる主軸駆動手段を作動させる主軸制御部と、前記ワークを主軸に対して相対移動させる送り軸駆動手段を作動させる送り軸制御部と、前記ワークの切削中における主軸負荷が予め設定した目標負荷範囲内にあるか否かを監視する主軸負荷監視部と、前記主軸負荷が前記目標負荷範囲内に入っていないとき、主軸負荷の目標負荷範囲との差異に応じて前記主軸の回転速度と切削送り速度の各速度設定値に対する各オーバライド値を求めるオーバライド判定部と、該オーバライド判定部で求めた各オーバライド値にもとづいた速度指令を前記主軸制御部と送り軸制御部に出力してそれらを動作させる主制御部とを備えていることを特徴とする工作機械の切削制御装置。
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