JP2005291814A - 診断システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 X線CT用・核医学用の各データの形態情報を精度良く求めることができる診断システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 天板に被検体を載置して所定時間経過後は、天板は経時的変化がなくなり、被検体の重みによる天板のたわみを保つ。位置に関して経時的変化がない対象物である天板を基準にしてCT用・PET用の投影データと吸収補正データとを求めるとともに、天板の略同じ位置をそれぞれ透過した各γ線でPET用の投影データおよび吸収補正データを求める。そして、吸収補正データ(すなわちPET(トランスミッション、被検体)C)に基づいてPET用の投影データ(すなわちPET(エミッション、被検体)A)を補正する。一方、PETの撮影断面(スライス面)における天板の断層画像(すなわちPET(トランスミッション、天板)B)の位置情報、およびCTのスライス面における天板の断層画像(すなわちCT(天板)E)の位置情報を抽出して、CTのスライス面・PETのスライス面における天板のたわみによる位置ズレt3を求める。
【選択図】 図5
【解決手段】 天板に被検体を載置して所定時間経過後は、天板は経時的変化がなくなり、被検体の重みによる天板のたわみを保つ。位置に関して経時的変化がない対象物である天板を基準にしてCT用・PET用の投影データと吸収補正データとを求めるとともに、天板の略同じ位置をそれぞれ透過した各γ線でPET用の投影データおよび吸収補正データを求める。そして、吸収補正データ(すなわちPET(トランスミッション、被検体)C)に基づいてPET用の投影データ(すなわちPET(エミッション、被検体)A)を補正する。一方、PETの撮影断面(スライス面)における天板の断層画像(すなわちPET(トランスミッション、天板)B)の位置情報、およびCTのスライス面における天板の断層画像(すなわちCT(天板)E)の位置情報を抽出して、CTのスライス面・PETのスライス面における天板のたわみによる位置ズレt3を求める。
【選択図】 図5
Description
この発明は、核医学診断装置とX線CT装置とを備えた診断システムに係り、特に、X線CT用・核医学用のデータ間の位置ズレを解消する技術に関する。
上述した核医学診断装置、すなわちECT(Emission Computed Tomography)装置として、PET(Positron Emission Tomography)装置を例に採って説明する。PET装置は、陽子(Positron)、すなわちポジトロンの消滅によって発生する複数本のγ線を検出して複数個の検出器でγ線を同時に検出したときのみ被検体の断層画像を再構成するように構成されている。
このPET装置では、放射性薬剤を被検体に投与した後、対象組織における薬剤蓄積の過程を経時的に測定することで、様々な生体機能の定量測定が可能である。したがって、PET装置によって得られる断層画像は機能情報を有する。
しかしながら、上述した断層画像では位置情報などの形態情報については乏しい。そこで、PET装置とX線CT装置とを組み合わせて、X線CT装置で得られた断層画像とPET装置で得られた断層画像とを重ね合わせて機能情報および形態情報の2つの情報を得る診断システムが近年用いられている。
X線CT装置とPET装置とについては互いに同じ位置に設置しておらず、互いに近接させて両装置を設置しているので、実際には、各装置でそれぞれ得られた両投影データ間や両断層画像間で位置ズレが発生する。そこで、CT用・PET装置用のデータ間で位置情報を抽出して、抽出された両データ間の位置ズレに基づいて、両断層画像のうち少なくともいずれか一方を移動させて位置ズレを解消している。
PET用のデータについては形態情報が乏しいので、位置情報を抽出する際には、放射性薬剤と同じγ線源を被検体の外部にPET装置に備え、そのγ線源から照射されて被検体を透過したγ線に基づいて得られた吸収補正データ(『トランスミッションデータ』とも呼ばれる)を利用している。
すなわち、CT用の投影データの位置情報および吸収補正データの位置情報を抽出する。一方で、吸収補正データに基づいてPET用の投影データを吸収補正する。吸収補正データについてはCT用のデータと同様に形態情報を有しているので、補正後に得られたPET用のデータ(投影データや断層画像)については形態情報を有する。この形態情報を有した補正後のPET用のデータ(投影データや断層画像)およびCT用のデータ(投影データや断層画像)の少なくともいずれか一方を、抽出されたCT用の投影データ・吸収補正データ間の位置ズレに基づいて移動させて、位置ズレを解消している(例えば、特許文献1参照)。
なお、PET用の投影データ・吸収補正用データ間では、PET装置において略同じ位置をそれぞれγ線が透過して各データが得られるので、位置ズレは生じない。したがって、CT用の投影データ・吸収補正データ間の位置ズレは、CT用・PET用のデータ間の位置ズレと同等である。なお、特許文献1ではSPECT(Single Photon Emission CT)装置を例に採って説明している。
特開平10−137231号公報(第4−6頁、図2−4)
しかしながら、このような診断システムの場合には、X線CTによる撮影やPET装置による撮影が同時期に行われずに、いずれか一方の撮影が先で他方の撮影が後になる。したがって、このような撮影の間に被検体が体動してしまい、CT用・PET用のデータ間での位置ズレに経時的変化が生じてしまい、各データの形態情報を精度良く求めることができない。
また、位置ズレが生じる一因は、被検体を載置する天板のたわみによるものである。そこで、天板のたわみをなくすために強度を上げた天板を設置する、あるいは、たわんだまま移動する天板を設置することが考えられる。しかし、天板の強度を上げると天板によるγ線の吸収が大きくなりγ線の感度の低下を招く。また、たわんだまま移動する天板の場合には、特殊な天板を用意しなければならず装置自体が大掛かりになってしまう。また、天板のたわみがなくても被検体が体動する場合があり、データの形態情報を精度良く求めるという目的を達成することができない。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、X線CT用・核医学用の各データの形態情報を精度良く求めることができる診断システムを提供することを目的とする。
発明者は、上記の問題を解決するために鋭意研究した結果、次のような知見を得た。
すなわち、被検体が人間や動物などの場合には、心臓や血管などのような生体的機能は必ず動くので、被検体はどうしても体動する。そこで、発想を変えて、被検体などに代表される経時的変化があるデータに基づいて位置情報を抽出するのでなく、位置に関して経時的変化がない対象物に基づいて位置情報を抽出することに想到した。例えば、たわみのある天板であっても、被検体を天板に載置すると天板は被検体の重みで即座にたわむが、所定時間経つとそのたわみを保つ。すなわち、所定時間経つと天板は経時的変化がなくなる。このように、位置に関して経時的変化がない天板をも放射線やX線を照射して、その照射によって得られたデータに基づいて位置情報を抽出すれば、位置ズレを精度良く解消することができるとともに、各データの形態情報を精度良く求めることができるという知見を得た。
このような知見に基づくこの発明は、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づいて投影データを求め、その投影データを再構成して被検体の核医学用の断層画像を求める核医学診断装置と、被検体の外部から照射されて被検体を透過したX線に基づいて投影データを求め、その投影データを再構成して被検体のX線CT用の断層画像を求めるX線CT装置とを備えて構成された診断システムであって、X線CT用の投影データの位置情報、および形態情報を有した吸収補正データの位置情報を抽出する位置情報抽出手段と、形態情報を有した前記吸収補正データに基づいて、機能情報を有した核医学用の投影データを補正する吸収補正手段と、前記位置情報抽出手段で抽出された前記X線CT用の投影データ・吸収補正データ間の位置ズレに基づいて、X線CT用の投影データおよび前記吸収補正手段による補正後の核医学用の投影データの少なくともいずれか一方を移動させる、あるいはX線CT用の断層画像および前記吸収補正手段による補正後の核医学用の断層画像の少なくともいずれか一方を移動させる移動手段とを備え、位置に関して経時的変化がない対象物を基準にしてX線CT用および核医学用の投影データと吸収補正データとを求めるとともに、前記対象物の略同じ位置をそれぞれ透過した各放射線で核医学用の投影データおよび吸収補正データを求めることを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、位置に関して経時的変化がない対象物を基準にしてX線CT用および核医学用の投影データと吸収補正データとを求めるとともに、その対象物の略同じ位置をそれぞれ透過した各放射線で核医学用の投影データおよび吸収補正データを求める。したがって、X線CT装置による撮影と核医学診断装置による撮影とが同時でなく時間的に間隔があいても、上述した対象物においては核医学用の投影データ・吸収補正データ間では位置ズレが発生せずに、対象物においてはX線CT用の投影データ・吸収補正データ間での位置ズレについては経時的変化がない。このことから、撮影に時間的に間隔があいても、対象物におけるX線CT用・核医学用の投影データや断層画像といったデータ間での位置ズレは、対象物におけるX線CT用の投影データ・吸収補正データ間の位置ズレと同等である。
補正前の核医学用のデータ(投影データや断層画像)は機能情報を有しているが形態情報に乏しく、X線CT用のデータや吸収補正データは形態情報を有している。そこで、X線CT用・核医学用のデータ間の位置ズレを解消するのに、核医学用のデータの替わりに吸収補正データを用いる。すなわち、位置情報抽出手段は、X線CT用の投影データの位置情報および吸収補正データの位置情報を抽出して、吸収補正手段は、吸収補正データに基づいて核医学用の投影データを補正する。これによって補正後の核医学用の投影データおよび断層画像といったデータは形態情報をも有することになる。また、移動手段は、位置情報抽出手段で抽出されたX線CT用の投影データ・吸収補正データ間の位置ズレに基づいて、X線CT用の投影データおよび吸収補正手段による補正後の核医学用の投影データの少なくともいずれか一方を移動させる、あるいはX線CT用の断層画像および吸収補正手段による補正後の核医学用の断層画像の少なくともいずれか一方を移動させる。このように移動させることで、対象物においてX線CT用の投影データ・吸収補正データ間の位置ズレを解消することができるとともに、対象物においてX線CT用・核医学用のデータ間の位置ズレを解消することができる。したがって、被検体において例えば体動によって時間的に変化したとしても、被検体に関わらず被検体とともに撮影される対象物に基づいて、位置ズレを精度良く解消することができるとともに、X線CT用・核医学用の各データの形態情報を精度良く求めることができる。
上述した吸収補正データの一例は、放射性薬剤と同じ放射線源を被検体の外部に核医学診断装置に備え、その放射線源から照射されて被検体を透過した放射線に基づいて求められるものである(請求項2に記載の発明)。このように、核医学用の投影データを求めるために放射性薬剤から発生した放射線が透過する対象物の位置と、吸収補正データを求めるために放射線源から照射された放射線が透過する対象物の位置とが略同じになる。
上述した発明の一例は、上述した移動手段によって互いに位置ズレがなくなったX線CT用および核医学用の断層画像を重ね合わせて出力することである(請求項3に記載の発明)。重ね合わせられた断層画像は機能情報および形態情報の2つの情報を得る。
この発明に係る診断システムによれば、位置に関して経時的変化がない対象物を基準にしてX線CT用および核医学用の投影データと吸収補正データとを求めるとともに、その対象物の略同じ位置をそれぞれ透過した各放射線で核医学用の投影データおよび吸収補正データを求めるので、上述した対象物においては核医学用の投影データ・吸収補正データ間では位置ズレが発生せずに、対象物においてはX線CT用の投影データ・吸収補正データ間での位置ズレについては経時的変化がない。このことから、撮影に時間的に間隔があいても、対象物におけるX線CT用・核医学用の投影データや断層画像といったデータ間での位置ズレは、対象物におけるX線CT用の投影データ・吸収補正データ間の位置ズレと同等である。そこで、X線CT用・核医学用のデータ間の位置ズレを解消するのに、核医学用のデータの替わりに吸収補正データを用いて、位置情報の抽出、核医学用の投影データの補正、位置ズレに基づくX線CT用・核医学用のデータの移動を行う。このように移動させることで、対象物においてX線CT用の投影データ・吸収補正データ間の位置ズレを解消することができるとともに、対象物においてX線CT用・核医学用のデータ間の位置ズレを解消することができる。その結果、X線CT用・核医学用の各データの形態情報を精度良く求めることができる。
以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。
図1は、実施例に係る診断システムの概略斜視図であり、図2は、実施例システムの側面図およびブロック図である。なお、本実施例では、核医学装置として、PET(Positron Emission Tomography)装置を例に採って説明する。
本実施例システムは大別すると、図1に示すように、PET装置1とX線CT装置2と天板3とを備えて構成されている。PET装置1およびX線CT装置2は、互いに近接して配設されている。天板3は、図2に示すように被検体Mを載置し、上下に昇降移動、被検体Mの体軸Zに沿って平行移動するように構成されている。このように構成することで、天板3に載置された被検体Mは、PET装置1のガントリ11の開口部11aおよびX線CT装置2のガントリ21の開口部21aを通る。
その他にも、本実施例システムは、天板駆動部4と重ね合わせ部5とコントローラ6と入力部7と出力部8とを備えて構成されている。天板駆動部4は、天板3の上述した移動を行うように駆動する機構であって、図示を省略するモータなどで構成されている。重ね合わせ部5は、位置情報抽出部5aと移動部5bとを備えて構成されており、PET装置1で得られたPET用の断層画像と、X線CT装置2で得られたCT用の断層画像との各位置情報を位置情報抽出部5aが抽出して、抽出結果に基づいて位置ズレを解消するように各画像を移動部5bが移動させて両画像を重ね合わせる。PET用の断層画像は、この発明における核医学用の断層画像に相当し、CT用の断層画像は、この発明におけるX線CT用の断層画像に相当する。また、位置情報抽出部5aは、この発明における位置情報抽出手段に相当し、移動部5bは、この発明における移動手段に相当する。
コントローラ6は、PET装置1を構成する各処理部や、X線CT装置2を構成する各処理部や、天板駆動部4や、重ね合わせ部5などを統括制御する。図示の便宜上、図2では、コントローラ6に接続されるコネクタを、天板駆動部4や重ね合わせ部5や入力部7や出力部8や後述するX線CT装置2内のガントリ駆動部24や高電圧発生部25やコリメータ駆動部26についてのみ図示したが、制御の対象であるPET装置1およびX線CT装置2を構成する各処理部にも、コネクタを介してコントローラ6に接続されることに留意されたい。コントローラ6は、中央演算処理装置(CPU)などで構成されている。なお、コントローラ6は、後述する図3のフローチャートも行う。
入力部7は、オペレータが入力したデータや命令をコントローラ6に送り込む。入力部7は、マウスやキーボードやジョイスティックやトラックボールやタッチパネルなどに代表されるポインティングデバイスで構成されている。出力部8はモニタなどに代表される表示部やプリンタなどで構成されている。
PET装置1は、開口部11aを有したガントリ11と、互いに近接配置された複数個のシンチレータブロック12と複数個のフォトマルチプライヤ13とを備えて構成されている。シンチレータブロック12およびフォトマルチプライヤ13は、被検体Mの体軸Z周りを取り囲むようにしてリング状に配置されており、ガントリ11内に埋設されている。フォトマルチプライヤ13は、シンチレータブロック12よりも外側に配設されている。シンチレータブロック12の具体的な配置としては、例えば、被検体Mの体軸Zと平行な方向にはシンチレータブロック12が2個並び、被検体Mの体軸Z周りにはシンチレータブロック12が多数個並ぶ形態が挙げられる。シンチレータブロック12およびフォトマルチプライヤ13でγ線検出器を構成する。
また、PET装置1は、ライン線源14とライン線源駆動部15とを備えて構成されている。ライン線源14は、被検体Mに投与する放射性薬剤、すなわち放射性同位元素(RI)と同じ放射線(本実施例ではγ線)を照射させる線源であって、被検体Mの外部に配設されている。ライン線源駆動部15は、ガントリ11とは独立してライン線源14を被検体Mの体軸Z周りに回転させるように駆動する機構であって、図示を省略するモータなどで構成されている。ライン線源14は、この発明における放射線源に相当する。
その他にもPET装置1は、PET投影データ導出部16と吸収補正データ導出部17と吸収補正部18とPET再構成部19とを備えて構成されている。これらは、ROM(Read-only Memory)などで構成される記憶媒体(図示省略)に記憶されたプログラムあるいは入力部7で入力された命令をコントローラ6が実行することで実現され、これらで処理されたデータをRAM(Random-Access Memory)などに代表される記憶媒体(図示省略)に書き込んで記憶し、必要に応じてその記憶媒体から読み出し、PET投影データ(『エミッションデータ』とも呼ばれる)を求める場合には、PET投影データ導出部16,吸収補正部18,PET再構成部19の順にデータを送り込み、吸収補正データ(トランスミッションデータ)を求める場合には、吸収補正データ導出部17,吸収補正部18,PET再構成部19の順にデータを送り込む。PET用の投影データは、この発明における核医学用の投影データに相当する。
放射性薬剤が投与された被検体Mから発生したγ線をシンチレータブロック12が光に変換して、変換されたその光をフォトマルチプライヤ13が光電変換して電気信号に出力する。その電気信号を画像情報(画素)としてPET投影データ導出部16に送り込む。
具体的には、被検体Mに放射性薬剤を投与すると、ポジトロン放出型のRIのポジトロンが消滅することにより、複数本のγ線が発生する。PET投影データ導出部16は、シンチレータブロック12の位置とγ線の入射タイミングとをチェックし、被検体Mを挟んで互いに対向位置にある2つのシンチレータブロック12でγ線が同時に入射したときのみ、送り込まれた画像情報を適正なデータと判定する。一方のシンチレータ12のみにγ線が入射したときには、PET投影データ導出部14は、ポジトロンの消滅により生じたγ線ではなくノイズとして扱い、そのときに送り込まれた画像情報もノイズと判定してそれを棄却する。
PET投影データ導出部16に送り込まれた画像情報をPET用の投影データとして、吸収補正部18に送り込む。吸収補正部18に送り込まれたPET用の投影データに、吸収補正データ導出部17から吸収補正部18に送り込まれた吸収補正データ(トランスミッションデータ)を作用させて、被検体Mの体内でのγ線の吸収を考慮したPET用の投影データに補正する。吸収補正部18は、この発明における吸収補正手段に相当する。
なお、ライン線源14が被検体Mの体軸Zの周りを回転しながら被検体Mに向けてγ線を照射し、照射されたγ線を吸収補正データ導出部17はシンチレータブロック12が光に変換して、変換されたその光をフォトマルチプライヤ13が光電変換して電気信号に出力する。その電気信号を画像情報(画素)として吸収補正データ導出部17に送り込む。
吸収補正データ導出部17に送り込まれた画像情報に基づいて吸収補正データを求める。吸収補正データ導出部17は、γ線またはX線の吸収係数とエネルギーとの関係を表す演算を利用することで、CT用の投影データ、すなわちX線吸収係数の分布データをγ線吸収係数の分布データに変換して、γ線吸収係数の分布データを吸収補正データとして求める。導出された吸収補正データは上述した吸収補正部18に送られる。
補正後のPET用の投影データを、PET再構成部19に送り込む。PET再構成部19がその投影データを再構成して、被検体Mの体内でのγ線の吸収を考慮したPET用の断層画像を求める。このように、吸収補正部18,PET再構成部19を備えることで、吸収補正データに基づいてPET用の投影データを補正するとともに、PET用の断層画像を補正する。補正されたPET用の断層画像を、重ね合わせ部5に送り込む。
X線CT装置2は、開口部21aを有したガントリ21とX線管22とX線検出器23とを備えて構成されている。X線管22およびX線検出器23は、被検体Mを挟んで互いに対向配置されており、ガントリ21内に埋設されている。X線検出器3を構成する多数個の検出素子は被検体Mの体軸Z周りに扇状に並ぶ。
その他にもX線CT装置2は、ガントリ駆動部24と高電圧発生部25とコリメータ駆動部26とCT再構成部27とを備えて構成されている。CT再構成部27は、ROM(Read-only Memory)などで構成される記憶媒体(図示省略)に記憶されたプログラムあるいは入力部7で入力された命令をコントローラ6が実行することで実現され、これらで処理されたデータをRAM(Random-Access Memory)などに代表される記憶媒体(図示省略)に書き込んで記憶し、必要に応じてその記憶媒体から読み出し、再構成を行う場合にはX線検出器23からCT再構成部27に送り込み、CT用の投影データの位置情報の抽出を行う場合にはX線検出器23から重ね合わせ部5の位置情報抽出部5aに送り込む。
ガントリ駆動部24は、互いに対向関係を維持させたままX線管22とX線管検出器23とをガントリ21内で被検体Mの体軸Z周りに回転させるように駆動する機構であって、図示を省略するモータなどで構成されている。
高電圧発生部25は、X線管22の管電圧や管電流を発生させる。コリメータ駆動部26は、X線の照視野を設定し、X線管22に近接されたコリメータ(図示省略)について水平方向の移動を行うように駆動する機構であって、図示を省略するモータなどで構成されている。
間接変換型のX線検出器23の場合には、X線管22から照射されて被検体Mを透過したX線を、X線検出器23内のシンチレータ(図示省略)が光に変換するとともに、変換された光を光感応膜(図示省略)が光電変換して電気信号に出力する。直接変換型のX線検出器23の場合には、X線を放射線感応膜(図示省略)が電気信号に直接的に変換して出力する。その電気信号を画像情報(画素)として、CT再構成部27または位置情報抽出部5aに送り込む。CT再構成部27,位置情報抽出部5aに送り込まれる画像情報はCT用の投影データとして伝送される。
CT再構成部27に送り込まれた画像情報(CT用の投影データ)を再構成して、CT用の断層画像を求める。このCT用の断層画像を、重ね合わせ部5の移動部5bに送り込む。
重ね合わせ部5内の位置情報抽出部5aおよび移動部5bは、ROM(Read-only Memory)などで構成される記憶媒体(図示省略)に記憶されたプログラムあるいは入力部7で入力された命令をコントローラ6が実行することで実現され、これらで処理されたデータをRAM(Random-Access Memory)などに代表される記憶媒体(図示省略)に書き込んで記憶し、必要に応じてその記憶媒体から読み出し、出力部8に送り込む。
位置情報抽出部5aは、PET用の断層画像の位置情報を抽出するとともに、CT用の断層画像の位置情報を抽出する。なお、PET用の断層画像は、本来、位置情報などの形態情報が乏しいが、吸収補正データはCT用の断層画像と同様に形態情報を有しており、その吸収補正データに基づくPET用の断層画像の補正を行うことで、補正後のPET用の断層画像は形態情報を有する。各断層画像の抽出結果に基づいて、両画像間における位置ズレを検出する。この位置ズレを解消するように、移動部5bは、PET用およびCT用の断層画像の少なくともいずれか一方を移動させて両画像を重ね合わせる。
次に、本実施例システムにおける一連の診断の流れについて、図3のフローチャートを参照して説明するとともに、位置情報の抽出や位置ズレの解消に関する具体的な手法について、図4および図5の説明図を参照して説明する。図4は、天板3に被検体Mを載置したときのたわみの様子を側面視した説明図であって、図5は、体軸Z側からみた各断層画像を示す説明図であって、図5中の『トランスミッション』は吸収補正データを断層画像上で表したものであって、図5中の『エミッション』はPET用の断層画像を表したものである。
ステップS1(被検体の載置)
被検体Mに放射性薬剤、すなわち放射性同位元素(RI)を投与する。薬剤の投与後に癌への薬剤の集積、すなわち腫瘍への薬剤分布を待つ。この集積時間は、薬剤の投与から例えば40分から60分程度である。癌へ薬剤が集積された被検体Mを天板3に載置する。
被検体Mに放射性薬剤、すなわち放射性同位元素(RI)を投与する。薬剤の投与後に癌への薬剤の集積、すなわち腫瘍への薬剤分布を待つ。この集積時間は、薬剤の投与から例えば40分から60分程度である。癌へ薬剤が集積された被検体Mを天板3に載置する。
被検体Mを天板3に載置した際には、図4に示すように、被検体Mの重みで天板3がたわむが、所定時間経つとそのたわみを保つ。すなわち、所定時間経つと天板3は経時的変化がなくなり、図4に示す実線の状態を保つ。なお、図示の便宜上、図4では被検体Mを図示していない。
X線CT装置2によって得られるCT用の断層画像の面は、図4に示すCTのスライス面S1の面となる。また、PET装置1によって得られるPET用の断層画像の面は、図4に示すPETのスライス面S2となる。CTのスライス面S1は、X線管22とX線検出器23とを結ぶ照射面となり、PETのスライス面S2は、トランスミッションの場合にはライン線源14から被検体Mに照射される照射面となり、エミッションの場合には被検体Mから発生したγ線が互いに対向位置にある2つのシンチレータブロック12に同時に入射したときの入射面となる(図1参照)。
たわむ前の天板3とたわんだ後でCTのスライス面S1における天板3との位置ズレを、図4に示すように、t1とするとともに、たわむ前の天板3とたわんだ後でPETのスライス面S2における天板3との位置ズレを、図4に示すように、t2とする。たわんだ後でCTのスライス面S1における天板3とPETのスライス面S2における天板3との位置ズレを、図4に示すように、t3とすると、t3は(t2−t1)となる。つまり、PET装置1で得られたPET用の投影データや断層画像(エミッションデータ)や吸収補正データ(トランスミッション)と、X線CT装置2で得られたCT用の投影データや断層画像との間で『(t2−t1)』の分だけ位置ズレが生じる。
被検体Mが人間や動物などの場合には、心臓や血管などのような生体的機能は必ず動くので、X線CT装置2による撮影・PET装置1による撮影間で被検体Mは必ず体動する。そこで、天板3などのように上述した経時的変化のない対象物を基準にして、後述するCT用およびPET用の投影データや吸収補正データなどを求める。
ステップS2(CTスキャン)
オペレータは命令を入力部7に入力してコントローラ6に送り込んでその命令をコントローラ6が実行、あるいは記憶媒体(図示省略)に記憶されたプログラムをコントローラ6が実行することで、天板駆動部4のモータなどを操作して、CTスキャンを(走査)を制御する。具体的には、天板3が天板駆動部4の動きにしたがって被検体Mを載せたまま被検体Mの体軸Zに対して平行な方向に移動するとともに、ガントリ駆動部24の動きにしたがってX線管22およびX線検出器23が被検体Mの体軸周りに回転移動することにより、被検体Mにおける撮影断面(スライス面)が変化して被検体Mの全身がスキャンされる。なお、必要に応じて、コントローラ6はコリメータ駆動部26のモータなどを操作して、X線の照視野を所定の範囲に設定してもよい。
オペレータは命令を入力部7に入力してコントローラ6に送り込んでその命令をコントローラ6が実行、あるいは記憶媒体(図示省略)に記憶されたプログラムをコントローラ6が実行することで、天板駆動部4のモータなどを操作して、CTスキャンを(走査)を制御する。具体的には、天板3が天板駆動部4の動きにしたがって被検体Mを載せたまま被検体Mの体軸Zに対して平行な方向に移動するとともに、ガントリ駆動部24の動きにしたがってX線管22およびX線検出器23が被検体Mの体軸周りに回転移動することにより、被検体Mにおける撮影断面(スライス面)が変化して被検体Mの全身がスキャンされる。なお、必要に応じて、コントローラ6はコリメータ駆動部26のモータなどを操作して、X線の照視野を所定の範囲に設定してもよい。
ステップS3(CT用の投影データの導出)
このように、CT全身スキャンを行って得られたデータをX線検出器23で検出して、CT再構成部27や重ねあわせ部5の位置情報抽出部5aに送り込む。
このように、CT全身スキャンを行って得られたデータをX線検出器23で検出して、CT再構成部27や重ねあわせ部5の位置情報抽出部5aに送り込む。
データとしては、CTのスライス面S1における被検体M以外に、CTのスライス面S1における天板3をX線検出器23で検出する。このときのCT用の断層画像は、図5中の点線に示すとおりであって、符号Dは、CTのスライス面S1における被検体Mの断層画像(図5では『CT(被検体)』)を示し、符号Eは、CTのスライス面S1における天板3の断層画像(図5では『CT(天板)』)を示す。
ステップS4(PETスキャン)
コントローラ6は天板駆動部4のモータなどを操作して被検体Mをスキャンしながら、放射線薬剤が投与された被検体Mから発生したγ線をシンチレータブロック12およびフォトマルチプライヤ13で検出する。このように、PETスキャンを行って得られたデータをPET投影データ導出部16に送り込む。そして、PET投影データ導出部16でPET用の投影データ(エミッションデータ)を求める。
コントローラ6は天板駆動部4のモータなどを操作して被検体Mをスキャンしながら、放射線薬剤が投与された被検体Mから発生したγ線をシンチレータブロック12およびフォトマルチプライヤ13で検出する。このように、PETスキャンを行って得られたデータをPET投影データ導出部16に送り込む。そして、PET投影データ導出部16でPET用の投影データ(エミッションデータ)を求める。
ステップS5(PET用の投影データの導出)
データとしては、PETのスライス面S2における被検体Mをシンチレータブロック12およびフォトマルチプライヤ13で検出する。このときのPET用の断層画像は、図5中の実線に示すとおりであって、符号Aは、PETのスライス面S2における被検体Mの断層画像(図5では『PET(エミッション、被検体)』)を示す。
データとしては、PETのスライス面S2における被検体Mをシンチレータブロック12およびフォトマルチプライヤ13で検出する。このときのPET用の断層画像は、図5中の実線に示すとおりであって、符号Aは、PETのスライス面S2における被検体Mの断層画像(図5では『PET(エミッション、被検体)』)を示す。
ステップS6(ライン線源スキャン)
コントローラ6はライン線源駆動部15のモータなどを操作してライン線源14が被検体Mをスキャンしながら、ライン線源14から照射されたγ線をシンチレータブロック12およびフォトマルチプライヤ13で検出する。このように、ライン線源14スキャンを行って得られたデータを吸収補正データ17に送り込む。そして、吸収補正データ17で吸収補正データ(トランスミッションデータ)を求める。
コントローラ6はライン線源駆動部15のモータなどを操作してライン線源14が被検体Mをスキャンしながら、ライン線源14から照射されたγ線をシンチレータブロック12およびフォトマルチプライヤ13で検出する。このように、ライン線源14スキャンを行って得られたデータを吸収補正データ17に送り込む。そして、吸収補正データ17で吸収補正データ(トランスミッションデータ)を求める。
ステップS7(吸収補正データの導出)
対象物である天板3の略同じ位置をそれぞれ透過した各γ線で吸収補正データ(トランスミッションデータ)とPET用の投影データ(エミッションデータ)とを求めているので、エミッションデータを求めるために撮影するステップS4でのPETスキャンと、トランスミッションデータを求めるために撮影するステップS6でのライン線源スキャンとでは、撮影断面が同じPETのスライス面S2となる。データとしては、PETのスライス面S2における被検体M以外に、PETのスライス面S2における天板3をシンチレータブロック12およびフォトマルチプライヤ13で検出する。このときの吸収補正データを断層画像上で表した場合には、図5中の実線に示すとおりであって、符号Cは、PETのスライス面S2における被検体Mの断層画像(図5では『PET(トランスミッション、被検体)』)を示し、符号Bは、PETのスライス面S2における天板3の断層画像(図5では『PET(トランスミッション、天板)』を示す。
対象物である天板3の略同じ位置をそれぞれ透過した各γ線で吸収補正データ(トランスミッションデータ)とPET用の投影データ(エミッションデータ)とを求めているので、エミッションデータを求めるために撮影するステップS4でのPETスキャンと、トランスミッションデータを求めるために撮影するステップS6でのライン線源スキャンとでは、撮影断面が同じPETのスライス面S2となる。データとしては、PETのスライス面S2における被検体M以外に、PETのスライス面S2における天板3をシンチレータブロック12およびフォトマルチプライヤ13で検出する。このときの吸収補正データを断層画像上で表した場合には、図5中の実線に示すとおりであって、符号Cは、PETのスライス面S2における被検体Mの断層画像(図5では『PET(トランスミッション、被検体)』)を示し、符号Bは、PETのスライス面S2における天板3の断層画像(図5では『PET(トランスミッション、天板)』を示す。
ステップS8(PET用の断層画像の補正)
ステップS5においてPET投影データ導出部16で求められたPET用の投影データ(図5では『PET(エミッション、被検体)A』)に、ステップS7において吸収補正データ導出部17で求められた吸収補正データ(図5では『PET(トランスミッション、被検体)C』)を作用させて、吸収補正部18はPET用の断層画像を補正する。
ステップS5においてPET投影データ導出部16で求められたPET用の投影データ(図5では『PET(エミッション、被検体)A』)に、ステップS7において吸収補正データ導出部17で求められた吸収補正データ(図5では『PET(トランスミッション、被検体)C』)を作用させて、吸収補正部18はPET用の断層画像を補正する。
ステップS9(位置情報の抽出)
重ねあわせ部5内の位置情報抽出部5aは、PET用の断層画像のうち、PETのスライス面S2における対象物である天板3の断層画像(図5では『PET(トランスミッション、天板)B』)の位置情報を抽出するとともに、CT用の断層画像のうち、CTのスライス面S1における天板3の断層画像(図5では『CT(天板)E』)の位置情報を抽出する。天板3は経時的変化がないので、X線CT装置1・PET用のデータ間の位置ズレは、PET(トランスミッション、天板)B・CT(天板)E間の位置ズレ、すなわち(t2−t1)となる。
重ねあわせ部5内の位置情報抽出部5aは、PET用の断層画像のうち、PETのスライス面S2における対象物である天板3の断層画像(図5では『PET(トランスミッション、天板)B』)の位置情報を抽出するとともに、CT用の断層画像のうち、CTのスライス面S1における天板3の断層画像(図5では『CT(天板)E』)の位置情報を抽出する。天板3は経時的変化がないので、X線CT装置1・PET用のデータ間の位置ズレは、PET(トランスミッション、天板)B・CT(天板)E間の位置ズレ、すなわち(t2−t1)となる。
ステップS10(画像の移動・重ね合わせ)
重ねあわせ部5内の移動部5bは、ステップS9で抽出された位置ズレを解消するように、補正後のPET用の断層画像、すなわちPET(エミッション、被検体)Aと、CT用の断層画像、すなわちCT(被検体)DおよびCT(天板)Eとを移動させて両画像を重ね合わせる。重ね合わせた両画像を出力部8に出力させる。本実施例では、例えばモニタに出力表示させる。なお、モニタなどの出力部8に出力表示させながら、ステップS9およびステップS10を行ってもよい。
重ねあわせ部5内の移動部5bは、ステップS9で抽出された位置ズレを解消するように、補正後のPET用の断層画像、すなわちPET(エミッション、被検体)Aと、CT用の断層画像、すなわちCT(被検体)DおよびCT(天板)Eとを移動させて両画像を重ね合わせる。重ね合わせた両画像を出力部8に出力させる。本実施例では、例えばモニタに出力表示させる。なお、モニタなどの出力部8に出力表示させながら、ステップS9およびステップS10を行ってもよい。
このように、ステップS1〜S10の一連の流れで本実施例システムでの診断が行われる。
上述の構成を備えた本実施例システムによれば、位置に関して経時的変化がない対象物である天板3を基準にしてCT用およびPET用の投影データと吸収補正データとを求めるとともに、その天板3の略同じ位置(本実施例では図4中のPETのスライス面S2)をそれぞれ透過した各γ線でPET用の投影データ(図5では『PET(エミッション、被検体)A』)および吸収補正データ(図5では『PET(トランスミッション、天板)B』,『PET(トランスミッション、被検体)C』)を求める。したがって、X線CT装置2による撮影とPET装置1による撮影とが同時でなく時間的に間隔があいても、上述した天板3においてはPET用の投影データ・吸収補正データ間では位置ズレが発生せずに、天板3においてはCT用の投影データ(図5では『CT(天板)E』)・吸収補正データ(図5では『PET(トランスミッション、天板)B』)間での位置ズレについては経時的変化がない。このことから、撮影に時間的に間隔があいても、対象物である天板3におけるCT用・PET用の投影データや断層画像といったデータ間での位置ズレt3(=t2−t1)は、天板3におけるCT用の投影データ・吸収補正データ間の位置ズレt3(=t2−t1)と同等である。
補正前のPET用のデータ(投影データや断層画像)は機能情報を有しているが形態情報に乏しく、CT用のデータや吸収補正データは形態情報を有している。そこで、CT用・PET用のデータ間の位置ズレを解消するのに、PET用のデータの替わりに吸収補正データを用いる。すなわち、位置情報抽出部5aは、CT用の投影データの位置情報および吸収補正データの位置情報を抽出して、吸収補正部18は、吸収補正データに基づいてPET用の投影データを補正する。これによって補正後のPET用の投影データおよび断層画像といったデータは形態情報をも有することになる。また、移動部5bは、位置情報抽出部5aで抽出されたCT用の投影データ・吸収補正データ間の位置ズレに基づいて、CT用の断層画像および吸収補正部18による補正後のPET用の断層画像の少なくともいずれか一方を移動させる。このように移動させることで、天板3においてCT用の投影データ・吸収補正データ間の位置ズレを解消することができるとともに、天板3においてCT用・PET用のデータ間の位置ズレを解消することができる。したがって、被検体Mにおいて例えば体動によって時間的に変化したとしても、被検体Mに関わらず被検体Mとともに撮影される対象物である天板3に基づいて、位置ズレを精度良く解消することができるとともに、CT用・PET用の各データの形態情報を精度良く求めることができる。
なお、本実施例では、放射性薬剤と同じγ線源を照射させるライン線源14を被検体Mの外部にPET装置1に備え、そのライン線源14から照射されて被検体を透過したγ線に基づいて吸収補正データを求めている。このように、PET用の投影データを求めるために放射性薬剤から発生したγ線が透過する天板3の位置と、吸収補正データを求めるためにライン線源14から照射されたγ線が透過する天板3の位置とが略同じ、すなわち撮影断面が同じPETのスライス面S2となる。
また、本実施例では、移動部5bによって互いに位置ズレがなくなったCT用およびPET用の断層画像を重ね合わせて、例えば出力部8に出力することで、重ね合わせられた断層画像は機能情報および形態情報の2つの情報を得る。なお、出力部8に出力するのに限定されずに、重ね合わせられて出力された断層画像を、図示を省略する記憶媒体に記憶してもよい。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例では、図3に示すように、CT撮影(ステップS2,S3)、エミッション撮影(ステップS4,S5)、トランスミッション撮影(ステップS6,S7)の順に一連の診断を行ったが、図6に示すように、CT撮影(ステップT2,T3)、トランスミッション撮影(ステップT4,T5)、エミッション撮影(ステップT6,T7)の順や、図7に示すように、エミッション撮影(ステップU2,U3)、トランスミッション撮影(ステップU4,U5)、CT撮影(ステップU7,U8)の順や、図8に示すように、トランスミッション撮影(ステップV2,V3)、エミッション撮影(ステップV4,V5)、CT撮影(ステップV7,V8)の順に一連の診断を行ってもよい。
(2)上述した実施例では、位置に関して経時的変化がない対象物として、天板3を例に採って説明したが、位置に関して経時的変化がないものであれば、特に限定されない。例えば、天板に沿って配設された位置決め用の針金などを対象物として、その針金を基準にして各データを求めてもよい。また、マーカなどを対象物として、そのマーカを基準にして各データを求めてもよい。
(3)上述した実施例では、ライン線源14から照射されて被検体を透過したγ線に基づいて吸収補正データを求めたが、吸収補正データはこれに限定されない。例えば、X線CT装置2から得られたCT用の投影データにおいてX線吸収係数の分布データをγ線吸収係数の分布データに変換して、γ線吸収係数の分布データを吸収補正データとして求めてもよい。なお、CT用の投影データから変換された吸収補正データを吸収補正で用いる場合には、吸収補正の対象であるPET用の投影データについては形態情報が乏しいので、PET用の投影データを求めるために放射性薬剤から発生したγ線が透過する対象物の位置とCT用の投影データを求めるためにX線が透過する対象物の位置とが略同じになるのが前提となる。実施例の場合には、天板3のたわみが無視できるほどPET装置1とX線CT装置2とが近接しているときには、X線およびγ線が透過する天板3の位置とが略同じになるとして、CT用の投影データから変換された吸収補正データを吸収補正で用いることができる。
(4)上述した実施例では、位置ズレに基づいて、最構成後のCT用・PET用の断層画像を移動させて位置ズレを解消したが、移動の対象は断層画像に限定されず、CT用・PET用の投影データを移動させて位置ズレを解消してもよい。
(5)上述した実施例では、PET装置を例に採って説明したが、この発明は、単一のγ線を検出して被検体の断層画像を再構成するSPECT(Single Photon Emission CT)装置などにも適用することができる。
(6)上述した実施例では、シンチレータブロック12およびフォトマルチプライヤ13が静止したままでγ線を検出する静止型であったが、シンチレータブロック12およびフォトマルチプライヤ13が被検体Mの周りを回転しながらγ線を検出する回転型でもよい。
(7)上述した実施例では、PET装置やSPECT装置などに代表される核医学装置を、図1、図2に示すような位置でX線CT装置2に隣接して配設、すなわち図2の紙面からみてX線CT装置2の左側に隣接して配設したが、図1、図2とは逆側に配設、すなわち図2の紙面からX線CT装置2の右側に隣接して配設してもよい。
1 … PET装置
2 … X線CT装置
3 … 天板
5a … 位置情報抽出部
5b … 移動部
14 … ライン線源
18 … 吸収補正部
M … 被検体
2 … X線CT装置
3 … 天板
5a … 位置情報抽出部
5b … 移動部
14 … ライン線源
18 … 吸収補正部
M … 被検体
Claims (3)
- 放射性薬剤が投与された被検体から発生した放射線に基づいて投影データを求め、その投影データを再構成して被検体の核医学用の断層画像を求める核医学診断装置と、被検体の外部から照射されて被検体を透過したX線に基づいて投影データを求め、その投影データを再構成して被検体のX線CT用の断層画像を求めるX線CT装置とを備えて構成された診断システムであって、X線CT用の投影データの位置情報、および形態情報を有した吸収補正データの位置情報を抽出する位置情報抽出手段と、形態情報を有した前記吸収補正データに基づいて、機能情報を有した核医学用の投影データを補正する吸収補正手段と、前記位置情報抽出手段で抽出された前記X線CT用の投影データ・吸収補正データ間の位置ズレに基づいて、X線CT用の投影データおよび前記吸収補正手段による補正後の核医学用の投影データの少なくともいずれか一方を移動させる、あるいはX線CT用の断層画像および前記吸収補正手段による補正後の核医学用の断層画像の少なくともいずれか一方を移動させる移動手段とを備え、位置に関して経時的変化がない対象物を基準にしてX線CT用および核医学用の投影データと吸収補正データとを求めるとともに、前記対象物の略同じ位置をそれぞれ透過した各放射線で核医学用の投影データおよび吸収補正データを求めることを特徴とする診断システム。
- 請求項1に記載の診断システムにおいて、前記放射性薬剤と同じ放射線源を被検体の外部に前記核医学診断装置に備え、その放射線源から照射されて被検体を透過した放射線に基づいて前記吸収補正データを求めることを特徴とする診断システム。
- 請求項1または請求項2に記載の診断システムにおいて、前記移動手段によって互いに位置ズレがなくなったX線CT用および核医学用の断層画像を重ね合わせて出力することを特徴とする診断システム。
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