JP2005289867A - 経口投与剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 薬物含有層と機能性層とを有する経口投与剤であって、薬物含有層に含有されるグリセリン等の可塑剤の量が、経口投与剤の端部から薬物含有層の染み出しを生じさせない量であっても、薬物含有層の割れや欠けを防止することができる経口投与剤を提供する。
【解決手段】 薬物含有層11aと水膨潤性ゲル形成層12a,12bとを有する経口投与剤1aにおいて、薬物含有層11aに基剤としてK値が70以上のポリビニルピロリドンを含有させる。
【選択図】 図1
【解決手段】 薬物含有層11aと水膨潤性ゲル形成層12a,12bとを有する経口投与剤1aにおいて、薬物含有層11aに基剤としてK値が70以上のポリビニルピロリドンを含有させる。
【選択図】 図1
Description
本発明は経口投与剤に関する。
経口投与剤は、薬物の苦味や渋味等による不快感、服薬による嘔気や嘔吐、服薬拒否等の様々な原因によって服薬コンプライアンスが低下する場合がある。
例えば、経口投与剤の一般的な剤型である固形製剤(例えば、錠剤、カプセル剤等)の場合、そのままでは飲み込み難いため、通常は多量の水とともに服用しなければならず、服薬コンプライアンスが低下する場合がある。特に高齢者や幼児においては、固形製剤を飲み込むことができない場合があり、服薬コンプライアンスの低下が多く見られる。また、固形製剤の場合、誤って気管に詰まらせてしまう危険性や、食道に貼り付いて食道腫瘍が形成してしまう危険性がある。
例えば、経口投与剤の一般的な剤型である固形製剤(例えば、錠剤、カプセル剤等)の場合、そのままでは飲み込み難いため、通常は多量の水とともに服用しなければならず、服薬コンプライアンスが低下する場合がある。特に高齢者や幼児においては、固形製剤を飲み込むことができない場合があり、服薬コンプライアンスの低下が多く見られる。また、固形製剤の場合、誤って気管に詰まらせてしまう危険性や、食道に貼り付いて食道腫瘍が形成してしまう危険性がある。
そのため、薬物含有層と機能性層(所定の機能を有する層)とを有する経口投与剤が開発されている。その具体例としては、薬物含有層と水膨潤性ゲル形成層とを有する経口投与剤であって、水膨潤性ゲル形成層が経口投与剤の最外層に設けられた経口投与剤が挙げられる(特許文献1参照)。
国際公開WO02/087622号公報
薬物含有層と機能性層とを有する経口投与剤の製造過程において、薬物含有層と機能性層とを積層させた後、積層体を経口投与可能な形状、大きさ等に加工する(例えば打ち抜く)工程が必要となる。積層体を加工する工程において、薬物含有層に割れや欠けが生じる場合があるので、薬物含有層に適度な柔軟性を付与して薬物含有層の割れや欠けを防止するために、薬物含有層にはグリセリン、プロピレングリコール、グリセリントリアセテート等の可塑剤が添加される。
薬物含有層に添加される可塑剤の量が不十分(通常、薬物含有層の25重量%以下)であると、薬物含有層の割れや欠けを十分に防止することができないので、薬物含有層には十分量(通常、薬物含有層の25重量%を超える量)の可塑剤が添加される。しかしながら、薬物含有層に十分量の可塑剤を添加すると、経口投与剤の端部から薬物含有層の染み出しが生じてしまう。一方、経口投与剤の端部から薬物含有層の染み出しを生じさせない量の可塑剤を添加したのでは、薬物含有層の割れや欠けを防止することができない。
そこで、本発明は、薬物含有層と機能性層とを有する経口投与剤であって、薬物含有層に含有される可塑剤の量が、経口投与剤の端部から薬物含有層の染み出しを生じさせない量であっても、薬物含有層の割れや欠けを防止することができる経口投与剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、薬物含有層と機能性層とを有する経口投与剤であって、前記薬物含有層が基剤としてK値が70以上のポリビニルピロリドンを含有する前記経口投与剤を提供する。
薬物含有層が基剤としてK値が70以上のポリビニルピロリドンを含有することにより、薬物含有層に含有される可塑剤の量が、経口投与剤の端部から薬物含有層の染み出しを生じさせない量であっても、薬物含有層の割れや欠けを防止することができる。
薬物含有層が基剤としてK値が70以上のポリビニルピロリドンを含有することにより、薬物含有層に含有される可塑剤の量が、経口投与剤の端部から薬物含有層の染み出しを生じさせない量であっても、薬物含有層の割れや欠けを防止することができる。
本発明の経口投与剤において、前記経口投与剤がフィルム状製剤であることが好ましい。
本発明の経口投与剤がフィルム状製剤である場合、薬物含有層の割れや欠けが生じやすいが、薬物含有層が基剤としてK値が70以上のポリビニルピロリドンを含有することにより、薬物含有層に含有される可塑剤の量が、経口投与剤の端部から薬物含有層の染み出しを生じさせない量であっても、薬物含有層の割れや欠けを防止することができる。
本発明の経口投与剤がフィルム状製剤である場合、薬物含有層の割れや欠けが生じやすいが、薬物含有層が基剤としてK値が70以上のポリビニルピロリドンを含有することにより、薬物含有層に含有される可塑剤の量が、経口投与剤の端部から薬物含有層の染み出しを生じさせない量であっても、薬物含有層の割れや欠けを防止することができる。
また、本発明の経口投与剤がフィルム状製剤である場合、製剤中の水分含有量を低く抑えることができるので、水分を多量に含むゼリー状の製剤に比べ、薬物含有層に含有される薬物(特に加水分解しやすい薬物)の安定性を向上させることができる。さらに、製剤の取り扱いが容易となるとともに、製剤の包装コストの軽減を図ることができる。
また、本発明の経口投与剤がフィルム状製剤である場合、薬物含有層の薬物量が増加して薬物含有層のフィルム強度が低下しても、機能性層にフィルム形成性を付与することによってフィルム状製剤全体としての強度を保持することができる。したがって、薬物含有層には、投与量が微量な薬物から大量な薬物まで広範な種類の薬物や、フィルム強度の低下を招きやすい不溶性でかさ高い薬物を含有させることができる。
本発明の経口投与剤において、前記薬物含有層に含有される前記ポリビニルピロリドンの量が、前記薬物含有層の30重量%以上であり、前記薬物含有層に含有される可塑剤の量が、前記薬物含有層の2〜25重量%であることが好ましい。
薬物含有層に含有されるK値が70以上のポリビニルピロリドン及び可塑剤の量が上記範囲にあると、薬物含有層の割れや欠けを効果的に防止することができるとともに、経口投与剤の端部からの薬物含有層の染み出しを効果的に防止することができる。なお、薬物含有層が可塑剤を含有する場合、薬物含有層に含有されるK値が70以上のポリビニルピロリドンの量の上限値は、100重量%から薬物含有層に含有される薬物及び可塑剤の最小含有量を差し引いた値である。
薬物含有層に含有されるK値が70以上のポリビニルピロリドン及び可塑剤の量が上記範囲にあると、薬物含有層の割れや欠けを効果的に防止することができるとともに、経口投与剤の端部からの薬物含有層の染み出しを効果的に防止することができる。なお、薬物含有層が可塑剤を含有する場合、薬物含有層に含有されるK値が70以上のポリビニルピロリドンの量の上限値は、100重量%から薬物含有層に含有される薬物及び可塑剤の最小含有量を差し引いた値である。
本発明の経口投与剤において、前記機能性層が水膨潤性ゲル形成層であり、前記水膨潤性ゲル形成層が前記経口投与剤の最外層に設けられていることが好ましい。
ここで、「最外層」とは、経口投与剤が患者等の口腔内にあるときに経口投与剤の外面を構成する層を意味する。したがって、「最外層」には、投与前において経口投与剤の外面を構成する層はもちろん、投与前においては経口投与剤の外面を構成しないが、患者の口腔内にあるときに経口投与剤の外面を構成する層も含まれる。例えば、水膨潤性ゲル形成層のさらに外層として別の層が設けられている場合であっても、この外層が、患者の口腔内では唾液等の水分によって分解又は溶解してしまう場合、患者の口腔内においては水膨潤性ゲル形成層が経口投与剤の外面を構成することとなるので、水膨潤性ゲル形成層は経口投与剤の最外層に設けられていることになる。
ここで、「最外層」とは、経口投与剤が患者等の口腔内にあるときに経口投与剤の外面を構成する層を意味する。したがって、「最外層」には、投与前において経口投与剤の外面を構成する層はもちろん、投与前においては経口投与剤の外面を構成しないが、患者の口腔内にあるときに経口投与剤の外面を構成する層も含まれる。例えば、水膨潤性ゲル形成層のさらに外層として別の層が設けられている場合であっても、この外層が、患者の口腔内では唾液等の水分によって分解又は溶解してしまう場合、患者の口腔内においては水膨潤性ゲル形成層が経口投与剤の外面を構成することとなるので、水膨潤性ゲル形成層は経口投与剤の最外層に設けられていることになる。
経口投与剤の最外層に設けられた水膨潤性ゲル形成層は、患者の口腔内において唾液等の水分により膨潤してゲル化し、経口投与剤は飲み込みやすい大きさ、形状、弾力、粘度等を有する剤形に変化する。これにより、患者は経口投与剤を容易に服用することができる。また、服用の際、経口投与剤が患者の気管に詰まる危険性が低下するので、患者が老人や乳幼児の場合であっても安全に服用することができる。唾液が少なく水膨潤性ゲル形成層が十分にゲル化しない患者の場合には、少量の水とともに服用させたり、投与前に予め水に浸したりすることで同様の効果を発揮させることができる。このときに必要となる水は、錠剤、カプセル剤等の固形製剤を服用するときに必要となる水と比べて非常に少量である。
また、経口投与剤の最外層に設けられた水膨潤性ゲル形成層は、患者の口腔内において唾液等の水分により膨潤してゲル化し、薬物含有層に含有される薬物の味(例えば苦味、渋味)や臭いをマスキングすることができる。
また、経口投与剤の最外層に設けられた水膨潤性ゲル形成層は、患者の口腔内において唾液等の水分により膨潤してゲル化し、薬物含有層に含有される薬物の味(例えば苦味、渋味)や臭いをマスキングすることができる。
本発明の経口投与剤において、前記機能性層が水膨潤性ゲル形成層であり、前記水膨潤性ゲル形成層が前記薬物含有層に直接積層されていることが好ましい。
水膨潤性ゲル形成層が薬物含有層に直接積層されていると、水膨潤性ゲル形成層がゲル化する際、薬物含有層に含有されるポリビニルピロリドンと水膨潤性ゲル形成層に含有される水膨潤性ゲル形成剤とが相互作用する。この相互作用は、薬物含有層に含有されるポリビニルピロリドンのK値が大きいほど効果が大きくなり、形成されるゲルの強度が大きくなる。すなわち、水膨潤性ゲル形成層が薬物含有層に直接積層されていると、水膨潤性ゲル形成層が単独でゲル化する場合よりもゲル強度が大きいゲルが形成される。本発明の経口投与剤において、薬物含有層に含有されるポリビニルピロリドンのK値は70以上であるので、ゲル強度が十分に大きいゲルが形成される。これにより、ゲルによる薬物の味、臭い等のマスキング作用が向上する。さらに、経口投与剤の飲み込みやすさが向上し、服用の容易性及び安全性が向上する。これらの効果は、薬物含有層に含有されるポリビニルピロリドンのK値が90以上であると更に顕著となる。
水膨潤性ゲル形成層が薬物含有層に直接積層されていると、水膨潤性ゲル形成層がゲル化する際、薬物含有層に含有されるポリビニルピロリドンと水膨潤性ゲル形成層に含有される水膨潤性ゲル形成剤とが相互作用する。この相互作用は、薬物含有層に含有されるポリビニルピロリドンのK値が大きいほど効果が大きくなり、形成されるゲルの強度が大きくなる。すなわち、水膨潤性ゲル形成層が薬物含有層に直接積層されていると、水膨潤性ゲル形成層が単独でゲル化する場合よりもゲル強度が大きいゲルが形成される。本発明の経口投与剤において、薬物含有層に含有されるポリビニルピロリドンのK値は70以上であるので、ゲル強度が十分に大きいゲルが形成される。これにより、ゲルによる薬物の味、臭い等のマスキング作用が向上する。さらに、経口投与剤の飲み込みやすさが向上し、服用の容易性及び安全性が向上する。これらの効果は、薬物含有層に含有されるポリビニルピロリドンのK値が90以上であると更に顕著となる。
本発明の経口投与剤において、前記水膨潤性ゲル形成層に含有される水膨潤性ゲル形成剤が架橋化ポリアクリル酸であることが好ましい。
水膨潤性ゲル形成層に含有される水膨潤性ゲル形成剤が架橋化ポリアクリル酸である場合、K値が70以上のポリビニルピロリドンとの組み合わせにより上述したようにゲル強度が向上し、ゲルによる薬物の味、臭い等のマスキング作用が一層向上する。また、経口投与剤の飲み込みやすさがより一層向上し、服用の容易性及び安全性が一層向上する。
水膨潤性ゲル形成層に含有される水膨潤性ゲル形成剤が架橋化ポリアクリル酸である場合、K値が70以上のポリビニルピロリドンとの組み合わせにより上述したようにゲル強度が向上し、ゲルによる薬物の味、臭い等のマスキング作用が一層向上する。また、経口投与剤の飲み込みやすさがより一層向上し、服用の容易性及び安全性が一層向上する。
本発明によれば、薬物含有層と機能性層とを有する経口投与剤であって、薬物含有層に含有される可塑剤の量が、経口投与剤の端部から薬物含有層の染み出しを生じさせない量であっても、薬物含有層の割れや欠けを防止することができる経口投与剤が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の経口投与剤の一実施形態を図1に示す。
図1(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る経口投与剤1aは、薬物含有層11aと、薬物含有層11aの下側に直接積層された水膨潤性ゲル形成層12aと、薬物含有層11aの上側に直接積層された水膨潤性ゲル形成層12bとを有し、保持基材2上に保持された状態にある。
本発明の経口投与剤の一実施形態を図1に示す。
図1(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る経口投与剤1aは、薬物含有層11aと、薬物含有層11aの下側に直接積層された水膨潤性ゲル形成層12aと、薬物含有層11aの上側に直接積層された水膨潤性ゲル形成層12bとを有し、保持基材2上に保持された状態にある。
経口投与剤1aは、フィルム状製剤(シート状製剤)であることが好ましい。経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合、製剤中の水分含有量を低く抑えることができるので、水分を多量に含むゼリー状の製剤に比べ、薬物含有層11aに含有される薬物(特に加水分解しやすい薬物)の安定性を向上させることができる。また、製剤の取り扱いが容易となるとともに、製剤の包装コストの軽減を図ることができる。
薬物含有層11aは、投与すべき薬物を含有する層である。
薬物含有層11aの厚さは、経口投与可能な範囲内において適宜調節することができる。経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合、薬物含有層11aの厚さは0.1〜1000μmであることが好ましく、10〜200μmであることがさらに好ましい。薬物含有層11aの厚さが0.1μm未満であると精度よくフィルム化することが困難となる(すなわち、薬物含有層11aの薬物含有量にバラツキが生じる)一方、薬物含有層11aの厚さが1000μmを超えるとフィルムのコシが強くなり服用し難くなる。
薬物含有層11aの厚さは、経口投与可能な範囲内において適宜調節することができる。経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合、薬物含有層11aの厚さは0.1〜1000μmであることが好ましく、10〜200μmであることがさらに好ましい。薬物含有層11aの厚さが0.1μm未満であると精度よくフィルム化することが困難となる(すなわち、薬物含有層11aの薬物含有量にバラツキが生じる)一方、薬物含有層11aの厚さが1000μmを超えるとフィルムのコシが強くなり服用し難くなる。
薬物含有層11aは、投与すべき薬物を所望の状態で薬物含有層11aに保持するための基剤として、K値が70以上のポリビニルピロリドンを含有する。これにより、薬物含有層11aに含有される可塑剤の量が、経口投与剤1aの端部から薬物含有層11aの染み出しを生じさせない量(通常、薬物含有層11aの25重量%以下)であっても、薬物含有層11aの割れや欠けを防止することができる。経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合には薬物含有層11aの割れや欠けが生じやすいが、この場合にも同様に薬物含有層11aの割れや欠けを防止することができる。
K値が70以上のポリビニルピロリドンは、賦形剤、安定剤、結合剤等としての役割を果たす。
薬物含有層11aに含有されるポリビニルピロリドンのK値は、好ましくは70以上であり、さらに好ましくは80以上である。
K値とは高分子の溶液の固有粘度であり、フィケンチャーのK価とも呼ばれる。
K値は以下の式を満たすKの値として求めることができる。
lnηr={75K2/(1+1.5KC)+K}×C
[式中、ηrは相対粘度を表し、Cは溶質濃度(%(w/v))を表す。]
薬物含有層11aに含有されるポリビニルピロリドンのK値は、好ましくは70以上であり、さらに好ましくは80以上である。
K値とは高分子の溶液の固有粘度であり、フィケンチャーのK価とも呼ばれる。
K値は以下の式を満たすKの値として求めることができる。
lnηr={75K2/(1+1.5KC)+K}×C
[式中、ηrは相対粘度を表し、Cは溶質濃度(%(w/v))を表す。]
薬物含有層11aは、基剤としてK値が70以上のポリビニルピロリドンのみを含有してもよいが、その他の基剤を含有してもよい。その他の基剤としては、例えば、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース等のセルロース及びその誘導体又はそれらの薬学的に許容される塩(例えばナトリウム塩);α−デンプン、酸化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、デキストリン、デキストラン等のデンプン及びそれらの誘導体;白糖、麦芽糖、乳糖、ブドウ糖、果糖、プルラン、キサンタンガム、シクロデキストリン等の糖類;キシリトール、マンニトール、ソルビトール等の糖アルコール類;メタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸コポリマー、メタアクリル酸・アクリル酸エチルコポリマー、メタアクリル酸・メタアクリル酸メチルコポリマー、メタアクリル酸エチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムコポリマー、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸塩化メチルコポリマー、メタアクリル酸・アクリル酸塩化エチルコポリマー等のアクリル酸誘導体;シエラック;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート;ポリ酢酸ビニル;ポリビニルアルコール;K値が70未満のポリビニルピロリドン;酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体;アラビアゴム、トラガカントゴム等の天然ゴム類;キチン、キトサン等のポリグルコサミン類;ゼラチン、カゼイン、ダイズ蛋白等の蛋白質;酸化チタン;リン酸一水素カルシウム;炭酸カルシウム;タルク;ステアリン酸塩;メタケイ酸アルミン酸マグネシウム;ケイ酸マグネシウム;無水ケイ酸等が挙げられ、添加目的に応じて、これらのうちの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
その他の基剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを使用することが好ましい。これらはフィルム形成性に優れているため、薬物含有層11aをフィルム状とする場合に有用である。
薬物含有層11aに含有されるK値が70以上のポリビニルピロリドンの量は、その他の基剤の量等に応じて適宜調節することができるが、薬物含有層11aの通常30重量%以上、好ましくは35重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上である。K値が70以上のポリビニルピロリドンの含有量が30重量%未満である場合、経口投与剤1aの端部から薬物含有層11aの染み出しを生じさせる量(通常、薬物含有層11aの25重量%を越える量)の可塑剤を薬物含有層11aに含有させないと、薬物含有層11aの割れや欠けを防止することができない。
薬物含有層11aに含有される基剤の総含有量は、薬物含有層11aを形成することが可能となる量であり、その量は基剤の種類等に応じて適宜調節することができるが、薬物含有層11aの通常30重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。基剤の総含有量が30重量%未満であると薬物含有層11aの形成が不十分となる。なお、基剤の総含有量の上限値は、100重量%から薬物含有層11aに含有される薬物の最小含有量を差し引いた値(薬物含有層11aが可塑剤を含有する場合には、100重量%から薬物含有層11aに含有される薬物及び可塑剤の最小含有量を差し引いた値)であり、薬物の種類、可塑剤の種類等に応じて適宜設定することができる。例えば、薬物の最小含有量が薬物含有層11aの0.01重量%である場合、基剤の総含有量の上限値は薬物含有層11aの99.99重量%である。また、薬物及び可塑剤の最小含有量がそれぞれ薬物含有層11aの0.01重量%及び2重量%である場合、基剤の総含有量の上限値は薬物含有層11aの97.99重量%である。
薬物含有層11aは、薬物含有層11aに適度な柔軟性を付与して薬物含有層11aを加工し易くし、薬物含有層11aの割れや欠けを防止するために、可塑剤を含有することができる。可塑剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリントリアセテート、ポリエチレングリコール、ソルビトール、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、ラウリル酸、ショ糖等が挙げられ、これらのうち1種類又は2種類を選択して使用することができる。薬物含有層11aに含有される可塑剤の量は、薬物含有層11aに含有されるK値が70以上のポリビニルピロリドンの量等に応じて適宜調節することができるが、薬物含有層11aの通常2〜25重量%、好ましくは4〜21重量%、さらに好ましくは6〜17重量%である。可塑剤の含有量が25重量%を超えると経口投与剤1aの端部から薬物含有層11aの染み出しを生じさせる一方、2重量%未満であると可塑剤としての作用を十分に発揮することができない。
薬物含有層11aが可塑剤を含有する場合、薬物含有層11aに含有されるK値が70以上のポリビニルピロリドンの量が薬物含有層11aの30重量%以上であり、薬物含有層11aに含有される可塑剤の量が薬物含有層11aの2〜25重量%であると、薬物含有層11aの割れや欠けを効果的に防止することができるとともに、経口投与剤1aの端部からの薬物含有層11aの染み出しを効果的に防止することができる。
薬物含有層11aに含有される薬物は、患者等に投与すべき薬物であり、経口投与可能な薬物であれば特に限定されない。経口投与可能な薬物として、例えば、中枢神経に作用する薬物としては、アモバルビタール、エスタゾラム、トリアゾラム、ニトラゼパム、ペントバルビタール等の催眠薬;塩酸アミトリプチン、塩酸イミプラミン、オキサゾラム、クロルジアゼポキシド、クロルプロマジン、ジアゼパム、スルピリド、ハロペリドール等の向精神薬;トリヘキシフェニジル、レボドパ等の抗パーキンソン薬;アスピリン、イソプロピルアンチピリン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸、ストレプトキナーゼ、ストレプトドルナーゼ、セラペプターゼ、プロナーゼ等の鎮痛薬および抗炎症薬;ATP、ビンポセチン等の中枢神経代謝賦活薬;呼吸器に作用する薬物としては、カルボシステイン、塩酸プロムヘキシン等の去痰薬;塩酸アゼラスチン、オキサトミド、テオフィリン、硫酸テルブタリン、トラニラスト、塩酸プロカテロール、フマル酸ケトチフェン等の抗喘息薬;循環器系に作用する薬物としては、アミノフィリン、ジギトキシン、ジゴキシン等の強心薬;アジマリン、ジソピラミド、塩酸プロカインアミド、塩酸メキシレチン等の抗不整脈薬;亜硝酸アミル、塩酸アルプレノロール、硝酸イソソルビド、ニコランジル、オキシフェドリン、ジピリダモール、塩酸ジラゼプ、塩酸ジルチアゼム、ニトログリセリン、ニフェジピン、塩酸ベラパミル等の抗狭心症薬;カリジノゲナーゼ等の末梢血管拡張薬;アテノロール、カプトプリル、塩酸クロニジン、酒石酸メトプロロール、スピロノラクトン、トリアムテレン、トリクロルメチアジド、ニカルジピン、塩酸ヒドララジン、ヒドロクロロチアジド、塩酸プラゾシン、フロセミド、塩酸プロプラノロール、マレイン酸エナラプリル、メチルドパ、塩酸ラベタロール、レセルピン等の抗高血圧薬;クロフィブラート、デキストラン硫酸、ニコモール、ニセリトロール等の抗動脈硬化薬;血液および造血作用薬として、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、トラネキサム酸等の止血薬;塩酸チクロピジン、ワルファリンカリウム等の抗血栓症薬;硫酸鉄等の貧血治療薬;消化器系に作用する薬物として、アズレン、アルジオキサ、シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジン、テプレノン、レバミピド等の抗潰瘍薬;ドンペリドン、
メトクロプラミド等の制吐剤;センノシド等のしゃ下薬;消化酵素製剤;グリチルリチン、肝臓エキス製剤等の肝疾患治療薬;代謝性疾患に作用する薬物として、グリベンクラミド、クロルプロパミド、トルブタミド等の抗糖尿病薬;アロプリノール、コルヒチン等の痛風治療薬;眼科領域の薬物として、アセタゾラミド;耳鼻科領域の薬物として、塩酸ジフェニドール、メシル酸ベタヒスチン等の抗めまい薬;化学療法薬および抗生物質として、イソニアジド、塩酸エタンブトール、オフロキサシン、ステアリン酸エリスロマイシン、セファクロル、ノルフロキサシン、ホスホマイシンカルシウム、塩酸ミノサイクリン、リファンピシン、ロキタマイシン等;抗悪性腫瘍薬として、シクロホスファミド、テガフール等;免疫抑制薬として、アザチオプリン等;ホルモン類および内分泌治療薬として、黄体ホルモン、唾液腺ホルモン、チアマゾール、プレドニゾロン、ベタメタゾン、リオチロニン、レボチロキシン等;生体内活性物質(オータコイド)として、フマル酸クレマスチン、D−マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン薬;アルファカルシドール、コバマミド、ニコチン酸トコフェロール、メコパラミン等のビタミン等が挙げられ、治療・予防目的等に応じて、これらの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
メトクロプラミド等の制吐剤;センノシド等のしゃ下薬;消化酵素製剤;グリチルリチン、肝臓エキス製剤等の肝疾患治療薬;代謝性疾患に作用する薬物として、グリベンクラミド、クロルプロパミド、トルブタミド等の抗糖尿病薬;アロプリノール、コルヒチン等の痛風治療薬;眼科領域の薬物として、アセタゾラミド;耳鼻科領域の薬物として、塩酸ジフェニドール、メシル酸ベタヒスチン等の抗めまい薬;化学療法薬および抗生物質として、イソニアジド、塩酸エタンブトール、オフロキサシン、ステアリン酸エリスロマイシン、セファクロル、ノルフロキサシン、ホスホマイシンカルシウム、塩酸ミノサイクリン、リファンピシン、ロキタマイシン等;抗悪性腫瘍薬として、シクロホスファミド、テガフール等;免疫抑制薬として、アザチオプリン等;ホルモン類および内分泌治療薬として、黄体ホルモン、唾液腺ホルモン、チアマゾール、プレドニゾロン、ベタメタゾン、リオチロニン、レボチロキシン等;生体内活性物質(オータコイド)として、フマル酸クレマスチン、D−マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン薬;アルファカルシドール、コバマミド、ニコチン酸トコフェロール、メコパラミン等のビタミン等が挙げられ、治療・予防目的等に応じて、これらの1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
薬物含有層11aに含有される薬物の量は特に限定されず、薬物の種類に応じて適宜調節することができるが、薬物含有層11aの通常70重量%以下、好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。薬物含有量が70重量%を越えると、経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合にフィルム強度が低下する。なお、薬物含有量の下限値は、薬物含有層11aに含有させる薬物の種類に応じて適宜設定され、通常は0.01重量%程度である。
薬物含有層11aには、投与量が微量な薬物から大量な薬物まで広範な種類の薬物を含有させることができる。ここで、投与量が微量とは1回の投与量が1mg以下を意味し、投与量が大量とは1回の投与量が300mg以上を意味する。
経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合にも、薬物含有層11aには、投与量が微量な薬物から大量な薬物まで広範な種類の薬物や、フィルム強度の低下を招きやすい不溶性でかさ高い薬物を含有させることができる。これは、薬物含有層11aと水膨潤性ゲル形成層12a及び12bとが別々の層として形成されているので、薬物含有層11aの薬物含有量が増加して薬物含有層11aのフィルム強度が低下しても、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bにフィルム形成性を付与することによってフィルム状製剤全体としての強度を保持することができるからである。
水膨潤性ゲル形成層12a及び12bは、水膨潤性ゲル形成剤を含有し、水分により膨潤してゲルを形成し得る層である。
水膨潤性ゲル形成層12a及び12bの厚さは、経口投与可能な範囲内において適宜調節することができるが、経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合、10〜1000μmであることが好ましく、20〜500μmであることがさらに好ましい。水膨潤性ゲル形成層12a及び12bの厚さが10μm未満であるとゲル形成が不十分となり、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bによる薬物の味、臭い等のマスキング作用が不十分なものとなる一方、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bの厚さが1000μmを超えると患者等の口腔内に投与したときに唾液だけでは十分に膨潤してゲルを形成することができず、服用し難くなる。
水膨潤性ゲル形成層12a及び12bの厚さは、経口投与可能な範囲内において適宜調節することができるが、経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合、10〜1000μmであることが好ましく、20〜500μmであることがさらに好ましい。水膨潤性ゲル形成層12a及び12bの厚さが10μm未満であるとゲル形成が不十分となり、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bによる薬物の味、臭い等のマスキング作用が不十分なものとなる一方、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bの厚さが1000μmを超えると患者等の口腔内に投与したときに唾液だけでは十分に膨潤してゲルを形成することができず、服用し難くなる。
水膨潤性ゲル形成層12a及び12bに含有される水膨潤性ゲル形成剤は、水分により膨潤してゲルを形成し得る限り、その種類は特に限定されるものではなく、架橋されたものであっても架橋されていないものであってもよい。
水膨潤性ゲル形成剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、デンプン及びその誘導体、寒天、アルギン酸、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、セルロース及びその誘導体、カラゲーン、デキストラン、トラガカント、ゼラチン、ペクチン、ヒアルロン酸、ジェランガム、コラーゲン、カゼイン、キサンタンガム等が挙げられ、これらのうち1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
水膨潤性ゲル形成剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、デンプン及びその誘導体、寒天、アルギン酸、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、セルロース及びその誘導体、カラゲーン、デキストラン、トラガカント、ゼラチン、ペクチン、ヒアルロン酸、ジェランガム、コラーゲン、カゼイン、キサンタンガム等が挙げられ、これらのうち1種類又は2種類以上を選択して使用することができる。
水膨潤性ゲル形成層12a及び12bに含有される水膨潤性ゲル形成剤は、架橋化カルボキシビニルポリマー、特に架橋化ポリアクリル酸であることが好ましい。架橋化ポリアクリル酸は、フィルム形成剤のフィルム形成能に悪影響を及ぼさず、膨潤時に程よいゲル強度を示すことができる。また、架橋化ポリアクリル酸は、ゲル形成時に、薬物含有層11aに含有されるK値が70以上のポリビニルピロリドンと相互作用し、ゲル強度が大きいゲルを形成することができる。
架橋化は、架橋される分子の種類に応じた架橋剤によって行なうことができる。ポリアクリル酸の架橋剤としては、例えば、多価金属化合物を使用することができる。多価金属化合物の具体例としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリミョウバン、塩化鉄ミョウバン、アンモニウムミョウバン、硫酸第二鉄、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、クエン酸鉄、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられる。これらのうち、三価の金属化合物を使用すると、ポリアクリル酸の架橋化度が高まり、架橋化ポリアクリル酸とK値が70以上のポリビニルピロリドンとの相互作用が起こったときに、ゲル強度が大きいゲルを形成させることができる。
水膨潤性ゲル形成層12a及び12bに含有される水膨潤性ゲル形成剤の量は、水膨潤性ゲル形成剤の種類等に応じて適宜調節することができるが、好ましくは水膨潤性ゲル形成層の15〜70重量%である。
経口投与剤1aがフィルム状製剤である場合、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bをフィルム状とする必要があり、この場合には、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bのフィルム形成性を向上させるために、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bにフィルム形成剤を含有させることが好ましい。
フィルム形成剤は、フィルム形成能を有する限り、その種類は特に限定されるものでない。フィルム形成剤の具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルフタレート、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)、アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース)、カルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)、(メタ)アクリル酸およびそのエステル、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸等が挙げられる。
水膨潤性ゲル形成層12a及び12bに含有されるフィルム形成剤の量は、フィルム形成剤の種類等に応じて適宜調節することができるが、好ましくは水膨潤性ゲル形成層12a及び12bの30〜85重量%である。
水膨潤性ゲル形成層12a及び12bに含有されるフィルム形成剤は水溶性であることが好ましい。フィルム形成剤が水溶性であると、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bに水分が浸入しやすくなり、口腔内において水膨潤性ゲル形成層12a及び12bの膨潤及びゲル形成を速やかに生じさせることができる。
水溶性のフィルム形成剤としては、例えば、ポリビニルアルコール;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;ポリビニルピロリドン;キサンタンガム;カラギーナン;アルギン酸等が挙げられる。
水膨潤性ゲル形成層12a及び12bには、水膨潤性ゲル形成層に適度な柔軟性を付与するために、可塑剤を含有させてもよい。可塑剤としては、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、グリセリントリアセテート、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、ラウリル酸、ショ糖等が挙げられ、これらのうち1種類又は2種類を選択して使用することができる。
水膨潤性ゲル形成層12a及び12bには、薬物含有層11aに含有される薬物の味、臭い等をマスキングするためのマスキング剤を含有させてもよい。水膨潤性ゲル形成層12a及び12bがマスキング剤を含有することによって、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bによる薬物の味、臭い等のマスキング作用を向上させることができる。マスキング剤としては、例えば、クエン酸、酒石酸、フマル酸等の酸味を与えるもの、サッカリン、グリチルリチン酸、白糖、果糖、マンニトール等の甘味剤、メントール、ハッカ油、ペパーミント、スペアミント等の清涼化剤、天然又は合成の香料等が挙げられ、これらのうち1種類又は2種類を選択して使用することができる。
水膨潤性ゲル形成層12a及び12bがフィルム形成剤としてポリビニルアルコール等を含有する場合、これらのフィルム形成剤がマスキング剤としての役割も果たすことができる。このようにマスキング作用を有するフィルム形成剤を使用することが好ましく、同様にマスキング作用を有する水膨潤性ゲル形成剤を使用することが好ましい。
水膨潤性ゲル形成層12a及び12bには、ヒドロキシ安息香酸メチル、プロピル等の防腐剤;食用レーキ着色剤等の着色剤等を含有させてもよい。
水膨潤性ゲル形成層12a及び12bへの添加剤の混入は、一般的に、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bの強度を減少させるので、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bに水分が浸入しやすくなり、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bに浸入した水分により水膨潤性ゲル形成剤の膨潤及びゲル形成が生じやすくなる。
図1(a)及び(b)に示すように、経口投与剤1aにおいては、薬物含有層11aの下側及び上側にそれぞれ水膨潤性ゲル形成層12a及び12bが積層されている。したがって、経口投与剤1aを患者の口腔内に投与すると、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bは唾液等の水分により膨潤してゲル化し、薬物含有層11aはゲルで覆われた状態となり、薬物含有層11aに含有される薬物の味、臭い等はマスキングされる。特に、経口投与剤1aにおいては、図1(a)及び(b)に示すように、薬物含有層11aの下側全体及び上側全体にそれぞれ水膨潤性ゲル形成層12a及び12bが積層されているので、薬物含有層11aのほぼ全体がゲルで覆われた状態となり、薬物含有層11aに含有される薬物の味、臭い等は効果的にマスキングされる。
図1(a)及び(b)に示すように、経口投与剤1aにおいては、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bが経口投与剤1aの最外層に設けられている。したがって、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bがゲル化すると、経口投与剤1aは飲み込みやすい大きさ、形状、弾力、粘度等を有する剤形に変化する。これにより、患者は経口投与剤1aを容易に服用することができる。また、服用の際、経口投与剤1aが患者の気管に詰まる危険性が低下するので、患者が老人や乳幼児の場合であっても安全に服用することができる。唾液が少なく水膨潤性ゲル形成層12a及び12bが十分にゲル化しない患者の場合には、少量の水とともに服用させたり、投与前に予め水に浸したりすることで同様の効果を発揮させることができる。このときに必要となる水は、錠剤、カプセル剤等の固形製剤を服用するときに必要となる水と比べて非常に少量である。
図1(a)及び(b)に示すように、経口投与剤1aは、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bが薬物含有層11aに直接積層されている。経口投与剤1aがこのような構成をとることにより、水膨潤性ゲル形成層12a及び12bのゲル化により形成されるゲルの強度は、(1)薬物含有層11aに含有されるポリビニルピロリドンのK値が70以上、特に90以上であると顕著に大きくなり、(2)水膨潤性ゲル形成層12a及び12bに含有されるポリアクリル酸の架橋剤が二価の金属化合物である場合よりも三価の金属化合物である場合の方が顕著に大きくなり、(3)薬物含有層11aに含有されるポリビニルピロリドンと水膨潤性ゲル形成層12a及び12bに含有される水膨潤性ゲル形成剤との相互作用により、水膨潤性ゲル形成層12a及び12b単独の場合よりも顕著に大きくなる。このようなゲル強度の向上によって、ゲルによる薬物の味、臭い等のマスキング作用が一層向上するとともに、経口投与剤1aの飲み込みやすさが一層向上し、服用の容易性及び安全性が一層向上する。
経口投与剤1aは、例えば、下記の第一方法及び第二方法に従って製造することができる。
〔第一方法〕
プラスチックフィルム、台紙等の保持基材2の上側に、水膨潤性ゲル形成剤及びフィルム形成剤を添加した懸濁液(溶媒は、例えば精製水)を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて水膨潤性ゲル形成層12bを形成させる。次いで、水膨潤性ゲル形成層12bの上側に、薬物及び賦形剤、結合剤、崩壊剤等の添加剤を添加した懸濁液(溶媒は、例えばエタノール)を塗布、噴霧等して乾燥させて薬物含有層11aを形成させる。次いで、薬物含有層11aの上側に、水膨潤性ゲル形成剤及びフィルム形成剤を添加した懸濁液を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて水膨潤性ゲル形成層12aを形成させる。こうして、水膨潤性ゲル形成層12b、薬物含有層11a及び水膨潤性ゲル形成層12aが順に積層された積層体を製造し、当該積層体を円形状に打ち抜くことにより、経口投与剤1aが製造される。この際、薬物含有層11aに含有されるグリセリンの量が、経口投与剤1aの端部から薬物含有層11aの染み出しを生じさせない量であっても、薬物含有層11aに割れや欠けは生じない。本実施形態では、上記積層体を円形状に打ち抜いたが、楕円形、多角形等の任意の形状に打ち抜いてもよい。
〔第一方法〕
プラスチックフィルム、台紙等の保持基材2の上側に、水膨潤性ゲル形成剤及びフィルム形成剤を添加した懸濁液(溶媒は、例えば精製水)を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて水膨潤性ゲル形成層12bを形成させる。次いで、水膨潤性ゲル形成層12bの上側に、薬物及び賦形剤、結合剤、崩壊剤等の添加剤を添加した懸濁液(溶媒は、例えばエタノール)を塗布、噴霧等して乾燥させて薬物含有層11aを形成させる。次いで、薬物含有層11aの上側に、水膨潤性ゲル形成剤及びフィルム形成剤を添加した懸濁液を塗布、噴霧等した後、これを乾燥させて水膨潤性ゲル形成層12aを形成させる。こうして、水膨潤性ゲル形成層12b、薬物含有層11a及び水膨潤性ゲル形成層12aが順に積層された積層体を製造し、当該積層体を円形状に打ち抜くことにより、経口投与剤1aが製造される。この際、薬物含有層11aに含有されるグリセリンの量が、経口投与剤1aの端部から薬物含有層11aの染み出しを生じさせない量であっても、薬物含有層11aに割れや欠けは生じない。本実施形態では、上記積層体を円形状に打ち抜いたが、楕円形、多角形等の任意の形状に打ち抜いてもよい。
〔第二方法〕
プラスチックフィルム、台紙等の保持基材2の上側に水膨潤性ゲル形成層12bを形成させ、水膨潤性ゲル形成層12bの上側に薬物含有層11aを形成させ、水膨潤性ゲル形成層12b及び薬物含有層11aが順に積層された中間体を製造する。同様にして、保持基材2の上側に水膨潤性ゲル形成層12a及び薬物含有層11aが積層された中間体を製造する。次いで、2つの中間体の薬物含有層11a同士を熱融着させる。こうして、水膨潤性ゲル形成層12b、薬物含有層11a及び水膨潤性ゲル形成層12aが順に積層された積層体を製造し、当該積層体を円形状に打ち抜くことにより、経口投与剤1aが製造される。この際、薬物含有層11aに含有されるグリセリンの量が、経口投与剤1aの端部から薬物含有層11aの染み出しを生じさせない量であっても、薬物含有層11aに割れや欠けは生じない。なお、2つの中間体の薬物含有層11aに含有されるK値が70以上のポリビニルピロリドンは熱可塑性高分子であるので、薬物含有層11a同士を熱融着させることができる。本実施形態では、上記積層体を円形状に打ち抜いたが、楕円形、多角形等の任意の形状に打ち抜いてもよい。
プラスチックフィルム、台紙等の保持基材2の上側に水膨潤性ゲル形成層12bを形成させ、水膨潤性ゲル形成層12bの上側に薬物含有層11aを形成させ、水膨潤性ゲル形成層12b及び薬物含有層11aが順に積層された中間体を製造する。同様にして、保持基材2の上側に水膨潤性ゲル形成層12a及び薬物含有層11aが積層された中間体を製造する。次いで、2つの中間体の薬物含有層11a同士を熱融着させる。こうして、水膨潤性ゲル形成層12b、薬物含有層11a及び水膨潤性ゲル形成層12aが順に積層された積層体を製造し、当該積層体を円形状に打ち抜くことにより、経口投与剤1aが製造される。この際、薬物含有層11aに含有されるグリセリンの量が、経口投与剤1aの端部から薬物含有層11aの染み出しを生じさせない量であっても、薬物含有層11aに割れや欠けは生じない。なお、2つの中間体の薬物含有層11aに含有されるK値が70以上のポリビニルピロリドンは熱可塑性高分子であるので、薬物含有層11a同士を熱融着させることができる。本実施形態では、上記積層体を円形状に打ち抜いたが、楕円形、多角形等の任意の形状に打ち抜いてもよい。
経口投与剤1aが有する機能性層は水膨潤性ゲル形成層であるが、本発明の経口投与剤が有する機能性層の種類は、水膨潤性ゲル形成層に限定されるものではない。
水膨潤性ゲル形成層以外の機能性層としては、層間(例えば、薬物含有層と水膨潤性ゲル形成層との間、薬物含有層と薬物含有層の間、水膨潤性ゲル形成層又は薬物含有層と保持基材との間)に設けられる接着剤層が挙げられる。
水膨潤性ゲル形成層以外の機能性層としては、層間(例えば、薬物含有層と水膨潤性ゲル形成層との間、薬物含有層と薬物含有層の間、水膨潤性ゲル形成層又は薬物含有層と保持基材との間)に設けられる接着剤層が挙げられる。
接着剤層に含有される接着剤は、薬学的に許容され得る接着剤である限り特に限定されるものではなく、溶媒を含んだ状態で用いることによって接着性を示す接着剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸又はその薬学的に許容される非毒性塩、アクリル酸共重合体又はその薬学的に許容される塩、カルボキシメチルセルロース及びナトリウム塩等の親水性セルロース誘導体、プルラン、ポビドン、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、トラガント、アルギン酸、アラビアゴム、酸性多糖類又はその誘導体若しくはその薬学的に許容される塩等が挙げられ、加熱によって接着性を示す(すなわち熱融着可能な)接着剤としては、例えば、酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン等のホモポリマー、酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー等が挙げられる。
その他の機能性層としては、フィルム厚を調整するための層が挙げられる。本発明の経口投与剤がフィルム状製剤である場合、このような層を設けてフィルム厚を増加させることによって、本発明の経口投与剤の取り扱い易さを改善することができる。
経口投与剤1aでは、水膨潤性ゲル形成層が薬物含有層に直接積層されているが、水膨潤性ゲル形成層は他の機能性層(中間層)を介して薬物含有層に積層されていてもよい。
経口投与剤1aは、薬物含有層の上側及び下側にそれぞれ1つの水膨潤性ゲル形成層を有するが、本発明の経口投与剤が有する機能性層の数は特に限定されるものではない。
本発明の経口投与剤が1つの機能性層を有する場合の一実施形態を図2に示す。図2に示すように、経口投与剤1bは、薬物含有層11aと薬物含有層11aの下側に直接積層された水膨潤性ゲル形成層12aとを有する。経口投与剤1bを投与する際、図3に示すように、経口投与剤1bを折り曲げることにより、薬物含有層11aの上側及び下側を水膨潤性ゲル形成層12aで覆うことができるので、薬物含有層11aの上側及び下側にそれぞれ水膨潤性ゲル形成層12a及び12bを積層されている経口投与剤1aと同様の効果を得ることができる。
本発明の経口投与剤が1つの機能性層を有する場合の一実施形態を図2に示す。図2に示すように、経口投与剤1bは、薬物含有層11aと薬物含有層11aの下側に直接積層された水膨潤性ゲル形成層12aとを有する。経口投与剤1bを投与する際、図3に示すように、経口投与剤1bを折り曲げることにより、薬物含有層11aの上側及び下側を水膨潤性ゲル形成層12aで覆うことができるので、薬物含有層11aの上側及び下側にそれぞれ水膨潤性ゲル形成層12a及び12bを積層されている経口投与剤1aと同様の効果を得ることができる。
本発明の経口投与剤が、薬物含有層の上側に積層された複数の機能性層と、薬物含有層の下側に積層された複数の機能性層とを有する場合の一実施形態を図4に示す。図4に示すように、経口投与剤1cは、薬物含有層11aと、薬物含有層11aの下側に直接積層された水膨潤性ゲル形成層12aと、水膨潤性ゲル形成層12aの下側に中間層13aを介して積層された水膨潤性ゲル形成層12cと、薬物含有層11aの上側に直接積層された水膨潤性ゲル形成層12bと、水膨潤性ゲル形成層12bの上側に中間層13bを介して積層された水膨潤性ゲル形成層12dとを有する。経口投与剤1cにおいて、薬物含有層11aに直接積層された水膨潤性ゲル形成層12a及び12bは主として薬物含有層11aに含有される薬物の味、臭い等のマスキングに関与し、経口投与剤1cの最外層に設けられた水膨潤性ゲル形成層12c及び12dは主として経口投与剤1cの飲み込みやすさ、服用の容易性及び安全性に関与する。
経口投与剤1aにおいて、図5に示すように、横並びに形成された薬物含有層11a’及び11a’’によって1つの薬物含有層11aが形成されていてもよい。
経口投与剤1aは1つの薬物含有層を有するが、本発明の経口投与剤が有する薬物含有層の数は特に限定されるものではない。
本発明の経口投与剤が複数の薬物含有層を有する場合、薬物含有層同士を直接又は中間層を介して積層することができる。
本発明の経口投与剤が複数の薬物含有層を有する場合、薬物含有層同士を直接又は中間層を介して積層することができる。
本発明の経口投与剤が2つの薬物含有層を有する場合の一実施形態を図6に示す。図6に示すように、経口投与剤1dは、中間層13aを介して積層された2つの薬物含有層11a及び11bと、薬物含有層11aの下側に直接積層された水膨潤性ゲル形成層12aと、薬物含有層11bの上側に直接積層された水膨潤性ゲル形成層12bとを有する。
本発明の経口投与剤が3つの薬物含有層を有する場合の一実施形態を図7に示す。図7に示すように、経口投与剤1eは、中間層13a及び13bを介して積層された3つの薬物含有層11a、11b及び11cと、最も下側に位置する薬物含有層11aの下側に直接積層された水膨潤性ゲル形成層12aと、最も上側に位置する薬物含有層11cの上側に直接積層された水膨潤性ゲル形成層12bとを有する。
経口投与剤1aは、複数の層が扁平状に積層されてなる層状の薬剤であるが、本発明の経口投与剤は、層状である限り、いかなる形状であってもよく、例えば、扁平状ものを折り畳んだ形状であってもよい(図3参照)。
経口投与剤1aは保持基材2上に保持された状態にあるが、保持基材2から剥がした状態にあってもよい。また、保持基材2上に保持される経口投与剤1aの個数は6個であるが(図1参照)、保持基材上2上に保持される経口投与剤1aの個数は特に限定されるものではない。
以下、製造例及び試験例により本発明をさらに詳細に説明する。
〔製造例1〕積層体の製造
(1)水膨潤性ゲル形成層形成液(塗工液A)の調製
水膨潤性ゲル形成層を形成させるために以下の表1に示す組成の塗工液Aを調製した。すなわち、精製水140gを取り、その中にカリミョウバン1gを添加し、約10分間攪拌して完全に溶解させた。次いで、ポリアクリル酸(カーボポール974P(BFグッドリッチ))6gを攪拌しながらゆっくりと添加し、約1時間攪拌して完全に溶解させた。次いで、ポリビニルアルコール(ゴーセノールEG−05T(日本合成化学))17gを攪拌しながらゆっくりと添加し、70℃に加温しながら約1時間攪拌して完全に溶解させた。次いで、グリセリン(関東化学)2gを添加し、約5分間攪拌した。
なお、カリミョウバンが電離して生じるアルミニウムイオンによってポリアクリル酸は架橋され、架橋されたポリアクリル酸が水膨潤性ゲル形成剤としての役割を果たし、ポリビニルアルコールはフィルム形成剤としての役割を果たす。
〔製造例1〕積層体の製造
(1)水膨潤性ゲル形成層形成液(塗工液A)の調製
水膨潤性ゲル形成層を形成させるために以下の表1に示す組成の塗工液Aを調製した。すなわち、精製水140gを取り、その中にカリミョウバン1gを添加し、約10分間攪拌して完全に溶解させた。次いで、ポリアクリル酸(カーボポール974P(BFグッドリッチ))6gを攪拌しながらゆっくりと添加し、約1時間攪拌して完全に溶解させた。次いで、ポリビニルアルコール(ゴーセノールEG−05T(日本合成化学))17gを攪拌しながらゆっくりと添加し、70℃に加温しながら約1時間攪拌して完全に溶解させた。次いで、グリセリン(関東化学)2gを添加し、約5分間攪拌した。
なお、カリミョウバンが電離して生じるアルミニウムイオンによってポリアクリル酸は架橋され、架橋されたポリアクリル酸が水膨潤性ゲル形成剤としての役割を果たし、ポリビニルアルコールはフィルム形成剤としての役割を果たす。
(2)水膨潤性ゲル形成層の形成
塗工液Aを十分に脱泡し、乾燥後の塗布量が30g/m2となるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製,製品名:SP−PET3801)のシリコーン樹脂剥離処理面の反対面上に展延塗布し、80℃で約10分間乾燥して水膨潤性ゲル形成層を形成させた。
塗工液Aを十分に脱泡し、乾燥後の塗布量が30g/m2となるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製,製品名:SP−PET3801)のシリコーン樹脂剥離処理面の反対面上に展延塗布し、80℃で約10分間乾燥して水膨潤性ゲル形成層を形成させた。
(3)薬物含有層形成液(塗工液B)の調製
薬物含有層を形成させるために以下の表2に示す組成の塗工液Bを調製した。すなわち、エタノール17g又は50gを取り、その中に胃潰瘍薬であるファモチジン7g及び酸化チタン0.2gを添加し、ホモジナイザーを用いて十分に分散させた後、その中にポリビニルピロリドン(PVP K−30又はPVP K−90(いずれもISPジャパン)15g及びグリセリン(関東化学)3g又は8gを攪拌しながらゆっくりと添加し、約20分間攪拌して完全に溶解させた。なお、PVP K−30のK値は30であり、PVP−90のK値は90である。
薬物含有層を形成させるために以下の表2に示す組成の塗工液Bを調製した。すなわち、エタノール17g又は50gを取り、その中に胃潰瘍薬であるファモチジン7g及び酸化チタン0.2gを添加し、ホモジナイザーを用いて十分に分散させた後、その中にポリビニルピロリドン(PVP K−30又はPVP K−90(いずれもISPジャパン)15g及びグリセリン(関東化学)3g又は8gを攪拌しながらゆっくりと添加し、約20分間攪拌して完全に溶解させた。なお、PVP K−30のK値は30であり、PVP−90のK値は90である。
(4)薬物含有層の形成
塗工液Bを十分に脱泡した後、乾燥後の塗布量が70g/m2となるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、上記水膨潤性ゲル形成層上に展延塗布し、80℃で約15分間乾燥して薬物含有層を形成させた。なお、処方D−1を使用して薬物含有層を形成させた場合、薬物含有層に含有されるファモチジン、PVP−30及びグリセリンの量は、それぞれ薬物含有層の約28重量%、約60重量%及び約12重量%である。また、処方D−2を使用して薬物含有層を形成させた場合、薬物含有層に含有されるファモチジン、PVP−30及びグリセリンの量は薬物含有層の約23重量%、約50重量%及び約26重量%である。また、処方D−3を使用して薬物含有層を形成させた場合、薬物含有層に含有されるファモチジン、PVP−90及びグリセリンの量は薬物含有層の約28重量%、約60重量%及び約12重量%である。
このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層及び薬物含有層が順次積層された中間体を製造した。さらに上記と同様にして別の中間体を製造した。
塗工液Bを十分に脱泡した後、乾燥後の塗布量が70g/m2となるようにギャップを調整したアプリケーターを用いて、上記水膨潤性ゲル形成層上に展延塗布し、80℃で約15分間乾燥して薬物含有層を形成させた。なお、処方D−1を使用して薬物含有層を形成させた場合、薬物含有層に含有されるファモチジン、PVP−30及びグリセリンの量は、それぞれ薬物含有層の約28重量%、約60重量%及び約12重量%である。また、処方D−2を使用して薬物含有層を形成させた場合、薬物含有層に含有されるファモチジン、PVP−30及びグリセリンの量は薬物含有層の約23重量%、約50重量%及び約26重量%である。また、処方D−3を使用して薬物含有層を形成させた場合、薬物含有層に含有されるファモチジン、PVP−90及びグリセリンの量は薬物含有層の約28重量%、約60重量%及び約12重量%である。
このようにして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層及び薬物含有層が順次積層された中間体を製造した。さらに上記と同様にして別の中間体を製造した。
(5)熱融着による経口投与剤の製造
次いで、100℃、1kgf/cm2、2秒間の条件にて、中間体の薬物含有層同士を熱融着させた。
こうして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、薬物含有層及び水膨潤性ゲル形成層が順次積層された積層体を製造した。
次いで、100℃、1kgf/cm2、2秒間の条件にて、中間体の薬物含有層同士を熱融着させた。
こうして、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に水膨潤性ゲル形成層、薬物含有層及び水膨潤性ゲル形成層が順次積層された積層体を製造した。
〔試験例1〕
塗工液Aとして処方G−1を使用し、塗工液Bとして処方D−1を使用して、製造例1に従って積層体(比較品)を製造した。また、塗工液Aとして処方G−1を使用し、塗工液Bとして処方D−3を使用して、製造例1に従って積層体(本発明品)を製造した。積層体を直径15mmの円形状に打ち抜くことにより経口投与剤を製造し、これを無作為に抽出した被験者10に水なしで服用してもらい、ゲル化能及び薬物の味のマスキング能について以下の5段階の評価基準に従って評価した。
塗工液Aとして処方G−1を使用し、塗工液Bとして処方D−1を使用して、製造例1に従って積層体(比較品)を製造した。また、塗工液Aとして処方G−1を使用し、塗工液Bとして処方D−3を使用して、製造例1に従って積層体(本発明品)を製造した。積層体を直径15mmの円形状に打ち抜くことにより経口投与剤を製造し、これを無作為に抽出した被験者10に水なしで服用してもらい、ゲル化能及び薬物の味のマスキング能について以下の5段階の評価基準に従って評価した。
[ゲル化能及びマスキング能に関する評価基準]
1・・・本発明品は比較品よりも劣る。
2・・・本発明品は比較品よりもやや劣る。
3・・・本発明品は比較品と変わらない。
4・・・本発明品は比較品よりもやや優れる。
5・・・本発明品は比較品よりも優れる。
1・・・本発明品は比較品よりも劣る。
2・・・本発明品は比較品よりもやや劣る。
3・・・本発明品は比較品と変わらない。
4・・・本発明品は比較品よりもやや優れる。
5・・・本発明品は比較品よりも優れる。
表3に示すように、本発明品は比較品よりも、ゲル化能及び薬物の味のマスキング能が優れていた。
〔試験例2〕割れ・欠けの発生率に関する評価試験
塗工液Aとして処方G−1を使用し、塗工液Bとして処方D−1を使用して、製造例1に従って積層体(比較品1)を製造した。また、塗工液Aとして処方G−1を使用し、塗工液Bとして処方D−2を使用して、製造例1に従って積層体(比較品2)を製造した。さらに、塗工液Aとして処方G−1を使用し、塗工液Bとして処方D−3を使用して、製造例1に従って積層体(本発明品)を製造した。各積層体を10回ポンチで打ち抜き、薬物含有層の割れ・欠けの発生率を求めた。その結果、比較品1における割れ・欠けの発生率は40%、比較品2における割れ・欠けの発生率は0%、本発明品における割れ・欠けの発生率は0%であった。
塗工液Aとして処方G−1を使用し、塗工液Bとして処方D−1を使用して、製造例1に従って積層体(比較品1)を製造した。また、塗工液Aとして処方G−1を使用し、塗工液Bとして処方D−2を使用して、製造例1に従って積層体(比較品2)を製造した。さらに、塗工液Aとして処方G−1を使用し、塗工液Bとして処方D−3を使用して、製造例1に従って積層体(本発明品)を製造した。各積層体を10回ポンチで打ち抜き、薬物含有層の割れ・欠けの発生率を求めた。その結果、比較品1における割れ・欠けの発生率は40%、比較品2における割れ・欠けの発生率は0%、本発明品における割れ・欠けの発生率は0%であった。
〔試験例3〕保存時の薬物含有層の染み出しに関する評価試験
試験例2と同様に比較品1、比較品2及び本発明品を製造しアルミバッグにて個包装した後、50℃の乾燥条件下で1ヶ月間保存した場合に薬物含有層の染み出しが生じるか否かを確認した。その結果、比較品1における染み出しの発生率は0%、比較品2における染み出しの発生率は100%、本発明品における染み出しの発生率は0%であった。
試験例2と同様に比較品1、比較品2及び本発明品を製造しアルミバッグにて個包装した後、50℃の乾燥条件下で1ヶ月間保存した場合に薬物含有層の染み出しが生じるか否かを確認した。その結果、比較品1における染み出しの発生率は0%、比較品2における染み出しの発生率は100%、本発明品における染み出しの発生率は0%であった。
試験例2及び3の結果に示されるように、薬物含有層に含有されるグリセリンの量が薬物含有層の染み出しを生じさせない量である比較品1においては、薬物含有層の染み出しは生じないが、薬物含有層に割れ・欠けが生じる。一方、薬物含有層に含有されるグリセリンの量が薬物含有層の染み出しを生じさせる量である比較品2においては、薬物含有層に割れ、欠けは生じないが、薬物含有層の染み出しが生じる。これに対して、本発明品においては、薬物含有層に含有されるグリセリンの量が薬物含有層の染み出しを生じさせない量であるが、薬物含有層の染み出しが生じないとともに、薬物含有層に割れ・欠けが生じない。
1a,1b,1c,1d,1e・・・経口投与剤
11a,11b,11c・・・薬物含有層
12a,12b,12c,12d・・・水膨潤性ゲル形成層(機能性層)
11a,11b,11c・・・薬物含有層
12a,12b,12c,12d・・・水膨潤性ゲル形成層(機能性層)
Claims (6)
- 薬物含有層と機能性層とを有する経口投与剤であって、
前記薬物含有層が基剤としてK値が70以上のポリビニルピロリドンを含有する前記経口投与剤。 - 前記経口投与剤がフィルム状製剤である請求項1記載の経口投与剤。
- 前記薬物含有層に含有される前記ポリビニルピロリドンの量が前記薬物含有層の30重量%以上であり、前記薬物含有層に含有される可塑剤の量が前記薬物含有層の2〜25重量%である請求項1又は2記載の経口投与剤。
- 前記機能性層が水膨潤性ゲル形成層であり、前記水膨潤性ゲル形成層が前記経口投与剤の最外層に設けられている請求項1〜3のいずれかに記載の経口投与剤。
- 前記機能性層が水膨潤性ゲル形成層であり、前記水膨潤性ゲル形成層が前記薬物含有層に直接積層されている請求項1〜4のいずれかに記載の経口投与剤。
- 前記水膨潤性ゲル形成層に含有される水膨潤性ゲル形成剤が架橋化ポリアクリル酸である請求項5記載の経口投与剤。
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