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JP2005116515A - 透明導電性積層体及び透明タッチパネル - Google Patents

透明導電性積層体及び透明タッチパネル Download PDF

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JP2005116515A JP2004260750A JP2004260750A JP2005116515A JP 2005116515 A JP2005116515 A JP 2005116515A JP 2004260750 A JP2004260750 A JP 2004260750A JP 2004260750 A JP2004260750 A JP 2004260750A JP 2005116515 A JP2005116515 A JP 2005116515A
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晴彦 伊藤
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Abstract

【課題】筆記耐久性を向上させ、透明タッチパネル端部領域での筆記耐久性(端押し耐久性)を向上させた透明タッチパネルに好適な透明導電性積層体を提供すること。
【解決手段】塑性変形硬さの異なる2種類の硬化樹脂層を高分子フィルムと透明導電層の間に積層した透明導電性積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明有機高分子基板上に透明導電層を有する透明導電性積層体及び該透明導電性積層体を用いた透明タッチパネルに関する。さらに詳しくは、透明有機高分子基板上に硬化樹脂層−1、硬化樹脂層−2、透明導電層が順次に積層された、透明タッチパネル用として好適な透明導電性積層体及び該透明導電性積層体を用いた透明タッチパネルに関するものである。
近年、情報表示端末と情報入力用の透明タッチパネルを搭載した携帯型情報端末が広く普及し始めた。透明タッチパネルとして多く用いられる抵抗膜方式の透明タッチパネルは、透明導電層が形成された2枚の透明電極基板がおよそ10μm〜100μmの間隔で相対させて構成されており、外力を加える部分のみで互いの透明導電層表面同士が接触してスイッチとして動作するものであり、例えば表示画面上のメニュー選択、図形・文字入力等を行うことができる。
液晶表示体などで狭額縁化が進み、これと同様に透明タッチパネルにも狭額縁化が進んできた。この狭額縁化に伴い従来透明タッチパネルに要求されていた筆記耐久性以外に、透明タッチパネル端部での筆記耐久性(端押し耐久性)が要求される傾向が強くなった。
透明タッチパネルに要求される筆記耐久性を改善するために、特許文献1、特許文献2、特許文献3では、2枚の透明フィルム基材を硬さ(またはヤング率)を規定した粘着剤または透明樹脂層を介して積層した透明導電性積層体が提案されている。いずれの方法でも筆記耐久性を改善することは知られているが2枚の透明フィルム基材を粘着剤または透明樹脂層を介して積層させるため生産工程が複雑となり生産効率が悪く、更に10インチを超える大型透明タッチパネルを作製すると2枚の透明フィルム基材を積層した構成のため剛性が弱く透明導電性積層体が撓む問題がある。
また特許文献4では透明導電層下に硬さ(ダイナミック硬度が0.005〜2)を規定したクッション層を設けることも提案されているが、上記硬さの範囲では結晶質の透明導電層を得るための加熱処理時に、該クッション層は透明導電層の結晶化に伴う体積変化を支持することが出来ず、透明導電性積層体のヘーズが上昇し、透明導電性積層体に白化または干渉模様が観察されるようになる問題がある。
また透明プラスチックフィルム基材上に、硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層、及び透明導電層を順次積層した透明導電性フィルムにおいて透明導電層面の硬度を0.4〜0.8GPaと規定している特許文献5では、特に硬化型樹脂成分の指定はなく透明導電層面の硬度を規定するだけでは、端押し耐久性試験後に硬化物層にクラックが発生し透明タッチパネルの電気特性が劣化してしまう問題がある。更に特許文献6では高分子フィルム/応力緩和層/透明導電層を順次積層させ、応力緩和層の膜厚が10〜50μmでビッカーズ硬さが38〜240N/mmとしているが、外部からの応力を緩和する応力緩和層の硬度によっては、透明導電層の結晶化に伴う体積変化を支持することが出来ず透明導電層面に細かいしわが入り干渉模様が観察されるようになり、透明導電性フィルムのヘーズが上昇する問題もある。更に特許文献7のようにプラスチック基材層と導電層との間に硬化皮膜層を有するプラスチック積層体において、導電膜の硬度を1GPa以上とした場合、端押し耐久性試験時に硬化皮膜層にクラックが入り透明タッチパネルの電気特性(リニアリティー)が劣化する問題がある。
特開平2−66809号公報 特開平2−129808号公報 特開平8−192492号公報 特開平11−34206号公報 特開2002−163932号公報 特開2004−158253号公報 特開平11−286067号公報
本発明は、従来透明タッチパネルに要求されていた筆記耐久性、特に透明タッチパネル端部領域での筆記耐久性(端押し耐久性)を向上させた透明タッチパネルを得るための透明導電性積層体を提供することを目的としたものである。
前述のように透明有機高分子基板と透明導電層の間に柔らかい層、例えば、塑性変形硬さが2.0×10Pa(20kgf/mm)未満の層を導入した場合、該柔らかい層は透明導電層の結晶化に伴う体積変化を支持することが難しく透明導電性積層体のヘーズが上昇し、透明導電性積層体に白化または干渉模様が観察されるようになる。一方、硬い層(例えば、塑性変形硬さが8.5×10Pa(85kgf/mm)を超える層)を導入した場合、端押し耐久性試験時に透明有機高分子基板と透明導電層間の硬い層にクラックが生じ透明タッチパネルの電気特性を確保することが出来なくなる。
そこで本発明者らは、透明タッチパネルに要求される筆記耐久性もさることながら、端押し耐久性も向上させる方法として、塑性変形硬さの異なる2種類の硬化樹脂層を透明有機高分子基板と透明導電層の間に積層させるという技術思想を採用することにより、透明タッチパネルに要求される筆記耐久性とともに端押し耐久性も向上することを見出した。
更に透明有機高分子基板と透明導電層の間に積層させる2種類の硬化樹脂層の塑性変形硬さと膜厚を制御することにより、透明導電層の結晶化に伴う体積変化を支持でき透明導電性積層体のヘーズ変化はなく、かつ端押し耐久性試験時に硬化樹脂層にクラックが入ることなく透明タッチパネルの電気特性を確保できるという知見も得た。
本発明により透明タッチパネルに要求される筆記耐久性だけでなく、端押し耐久性についても高信頼性を確保できる透明導電性積層体及び透明タッチパネルを提供することが可能となった。
すなわち本発明は、以下の通りのものである。
第1の発明は、透明有機高分子基板の少なくとも一方の面上に塑性変形硬さの異なる硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2が順次積層され、該硬化樹脂層−2上に透明導電層が積層された透明導電性積層体であって、該硬化樹脂層−1の膜厚dと該硬化樹脂層−2の膜厚dが0.2≦d/d≦3.0の関係にあり、かつ膜厚が1μm≦d≦10μm、1μm≦d≦10μmであり、さらにHV>HV>HVかつHV>HV>HVの関係を満たすことを特徴とする透明導電性積層体。(ただし、透明有機高分子基板の塑性変形硬さをHV、透明有機高分子基板上に硬化樹脂層−1を形成して測定したときの塑性変形硬さをHV、透明有機高分子基板上に硬化樹脂層−2を形成して測定したときの塑性変形硬さをHV、透明有機高分子基板上に硬化樹脂層−1、硬化樹脂層−2が順次積層されたときの塑性変形硬さをHVとする)
第2の発明は、該硬化樹脂層―2と透明導電層との間に、透明導電層と接して、かつ膜厚が透明導電層より薄く、更に膜厚が0.5nm以上10.0nm未満である金属化合物層を有する、第1の発明の透明導電性積層体である。
第3の発明は、塑性変形硬さHVが9.8×10Pa≦HV≦2.0×10Pa(1kgf/mm≦HV≦20kgf/mm)、かつ塑性変形硬さHVが5.9×10Pa≦HV≦1.1×10Pa(60kgf/mm≦HV≦110kgf/mm)である第1または2の発明の透明導電性積層体である。
第4の発明は、硬化樹脂層−1が(A)ウレタンアクリレートをモノマーとする硬化樹脂及び(B)合成ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種を10重量%以上含有する第1〜3のいずれかの発明の透明導電性積層体である。
第5の発明は、硬化樹脂層−2と透明導電層の間に屈折率が1.20〜1.55で尚且つ膜厚が0.05〜0.5μmの硬化樹脂層−3を有する第1〜4のいずれかの発明の透明導電性積層体である。
第6の発明は、該硬化樹脂層−3に平均1次粒子径が硬化樹脂層−3の膜厚の1.1倍以上でかつ平均1次粒子径が1.2μm以下の微粒子Bを含有し、該微粒子Bの含有量は該微粒子Bを含有する硬化樹脂層−3を形成する硬化樹脂成分の0.5重量%以下とする第1〜5の発明の透明導電性積層体である。
第7の発明は、硬化樹脂層−2と透明導電層の間に少なくとも1層の低屈折率層と少なくとも1層の高屈折率層からなる光学干渉層を有し、低屈折率層が金属化合物層または透明導電層と接する第1〜4のいずれかの発明の透明導電性積層体である。
第8の発明は、該光学干渉層を形成する該高屈折率層と該低屈折率層の少なくとも一方に平均1次粒子径が光学干渉層の膜厚の1.1倍以上でかつ平均1次粒子径が1.2μm以下の微粒子Bを含有し、該微粒子Bの含有量は該微粒子Bを含有する高屈折率層及び/又は低屈折率層を形成する硬化樹脂成分の0.5重量%以下とする第1、2、3、4、7のいずれかの発明の透明導電性積層体である。
第9の発明は、透明導電層が酸化インジウムを主成分とした結晶質の膜であり、透明導電層の膜厚が5〜50nmである第1〜8のいずれかの発明の透明導電性積層体である。
第10の発明は、更にHVが2.0×10Pa≦HV≦8.5×10Pa(20kgf/mm≦HV≦85kgf/mm)の範囲にある第1〜9のいずれかの発明の透明導電性積層体である。(HVの定義は上記と同じである)
第11の発明は、少なくとも片面に透明導電層が設けられた2枚の透明電極基板が互いの透明導電層同士が向き合うように配置されて構成された透明タッチパネルにおいて、少なくとも一方の透明電極基板として第1〜10の発明の透明導電性積層体を用いた透明タッチパネルである。
本発明によれば、塑性変形硬さの異なる2種類の硬化樹脂層を透明有機高分子基板と透明導電層の間に積層させ、2種類の硬化樹脂層の塑性変形硬さと膜厚を制御することにより、ヘーズ変化がなく、かつ端押し耐久性試験時に硬化樹脂層にクラックが入ることなく透明タッチパネルの電気特性を確保できた。
すなわち、本発明により透明タッチパネルに要求される筆記耐久性だけでなく、端押し耐久性についても高信頼性を確保できる透明導電性積層体及び透明タッチパネルを提供することが可能となった。
以下、本発明を詳細に説明する。
<積層構成とコート層塑性変形硬さ>
本発明は塑性変形硬さの異なる硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2を透明高分子基板上に順次積層させている。塑性変形硬さの異なる少なくとも2つの硬化樹脂層を透明高分子基板上に積層することにより、各硬化樹脂層の特性、つまりは硬化樹脂層−1の柔軟性や低弾性、硬化樹脂層−2の強靭性や高弾性の両方を反映させることが可能となり、近年透明タッチパネルに要求されている筆記耐久性と端押し耐久性を向上することが可能となった。
透明高分子基板上に塑性変形硬さHVが9.8×10Pa≦HV≦2.0×10Pa(1kgf/mm≦HV≦20kgf/mm)の硬化樹脂層−1だけを積層し、その上に透明導電層を形成した場合、外部からの力による透明導電層へのダメージを緩和するだけであれば硬化樹脂層−1を設けるだけで十分である。しかし硬化樹脂層−1の塑性変形硬さが低いため硬化樹脂層−1が透明導電層を支持することが出来ず、透明導電層形成時、または透明導電層を熱処理により結晶化させた後に透明導電層が細かいしわ状になる。これによりヘーズが発生し、透明導電性積層体に白化または干渉模様が観察されるようになるため透明導電性積層体として適当ではない。またこのような透明導電性積層体で透明タッチパネルを作成し筆記耐久性試験を行った場合、固定電極に設けられているドットスペーサーが透明導電積層体の透明導電層にめりこみ透明導電層を破壊し、透明タッチパネルの電気特性(リニアリティー)が劣化するため適当ではない。
また透明高分子基板上に塑性変形硬さHVが5.9×10Pa≦HV≦1.1×10Pa(60kgf/mm≦HV≦110kgf/mm)の硬化樹脂層−2だけを積層し、その上に透明導電層を形成した場合、硬化樹脂層−2の塑性変形硬さが大きいため前記記載のような透明導電層形成時や透明導電層を熱処理により結晶化させた後にヘーズが発生するような問題はないが、硬化樹脂層−2を使用した透明タッチパネルは端押し耐久性試験時に硬化樹脂層−2にクラックが発生し透明タッチパネルの電気特性(リニアリティ−)を確保することが難しい。
本発明の硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2を透明高分子基板上に順次所定の膜厚の範囲で積層させた時の塑性変形硬さHVが2.0×10Pa≦HV≦8.5×10Pa(20kgf/mm≦HV≦85kgf/mm)が好ましく、更に好ましくは2.0×10Pa≦HV≦6.9×10Pa(20kgf/mm≦HV≦70kgf/mm)である。前記記載のHVの範囲で硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2を透明高分子基板上に順次積層した時に硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2の各層の特性が充分に反映され、透明導電性積層体及び透明タッチパネルに必要とされる諸特性を充分に満足することが可能となる。
硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2が所定の膜厚の範囲で硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2を透明高分子基板上に積層させた場合のHVが2.0×10Pa(20kgf/mm)未満の場合では、透明導電層形成時や透明導電層を熱処理により結晶化させた後に硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2の積層体が透明導電層を指示することが出来ず、透明導電層が細かいしわ状模様になる。これによりヘーズが発生するため透明導電性積層体として適当ではない。
また一方硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2が所定の膜厚の範囲で硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2を透明高分子基板上に積層させた場合のHVが8.5×10Pa(85kgf/mm)を超える場合では、これを透明導電性積層体として使用した透明タッチパネルの端押し耐久性は、クラックの発生により透明タッチパネルの電気特性(リニアリティー)を確保することができない。
<膜厚の関係>
本発明では塑性変形硬さの異なる硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2を透明高分子基板上に順次積層させる時の硬化樹脂層−1の膜厚dと硬化樹脂層−2の膜厚dが0.2≦d/d≦3が好ましく、更に好ましくは0.25≦d/d≦2であり、尚且つ各層の膜厚が1μm≦d≦10μm、1μm≦d≦10μmである。d/d<0.2の関係で硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2を透明有機高分子基板上に積層させた場合、硬化樹脂層−2の膜厚が硬化樹脂層−1の膜厚より極端に薄くなるため、硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2を積層後の塑性変形硬さが小さくなり透明導電層形成時や透明導電層を熱処理により結晶化させた後に硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2の積層体が透明導電層を支持することが出来ず、透明導電層が細かいしわ状模様になる。これによりヘーズが発生するため透明導電性積層体として適当ではない。
また一方、d/d>3の関係で硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2を透明有機高分子基板上に積層させた場合、硬化樹脂層−2の膜厚が硬化樹脂層−1の膜厚より極端に厚くなるため、硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2の積層効果が現れず、積層後の塑性変形硬さは硬化樹脂層−2の塑性変形硬さと同様になる。この透明導電性積層体を使用した透明タッチパネルの端押し耐久性は、硬化樹脂層−2のみを透明有機高分子基板に積層して作製した透明タッチパネルと同様に、硬化樹脂層−2にクラックが発生し透明タッチパネルの電気特性(リニアリティー)を確保することができない。
及びdが1μm未満では硬化樹脂層の硬化性の問題から好ましくなく、10μmを超える膜厚でも特性上大きな問題はないが加工が難しくなるため適当ではない。
<塑性変形硬さの関係>
本発明では透明有機高分子基板の塑性変形硬さHV、硬化樹脂層−1単独層での塑性変形硬さHV、硬化樹脂層−2単独層の塑性変形硬さHV、透明有機高分子基板上に硬化樹脂層−1、硬化樹脂層−2が順次積層された時の塑性変形硬さHVのそれぞれが、HV>HV>HV、HV>HV>HVの関係にある。透明有機高分子基板の押し込み硬さ試験機(ナノインデンテーションテスター・設定押し込み深さ:0.5μm)による塑性変形硬さHVの例として、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW)は5.4×10Pa(55kgf/mm)、100μmのポリカーボネートフィルム(帝人化成(株)製 ピュアエース)は2.4×10Pa(24kgf/mm)等がある。硬化樹脂層−1の塑性変形硬さが透明有機高分子基板より大きい(HV<HV)場合は、硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2を積層して得られた透明導電性積層体を使用して作製した透明タッチパネルの端押し耐久性試験後の電気特性(リニアリティ−)を確保するのが難しい。また硬化樹脂層−2の塑性変形硬さが透明有機高分子基板より小さい(HV>HV)場合は、硬化樹脂層−2が透明導電層を支持することが出来ず、透明導電層形成時、または透明導電層を熱処理により結晶化させた後に、透明導電層が細かいしわ状になる。これによりヘーズが発生するため透明導電性積層体として適当とは言えない。
硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2を前記の膜厚設定(0.2≦d/d≦3、1μm≦d≦10μm、1μm≦d≦10μm)で積層した場合、HV>HV>HVの関係になる。前記記載の膜厚設定外にあって、硬化樹脂層−1の膜厚を薄く硬化樹脂層−2の膜厚を厚く積層した場合、塑性変形硬さの関係はHV≒HVとなる。また一方、硬化樹脂層−1の膜厚を厚く硬化樹脂層−2の膜厚を薄く積層した場合,塑性変形硬さの関係はHV≒HVになる。これらの場合前記記載の硬化樹脂層−1または硬化樹脂層−2を単独で透明有機高分子基板上に形成した時に近い状態となり、透明導電性積層体または透明タッチパネルの特性を確保することが困難となる。
本明細書中に記載の硬化樹脂層−1の塑性変形硬さHV及び硬化樹脂層−2の塑性変形硬さHVは、透明有機高分子基板(厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW))上に硬化樹脂層−1または硬化樹脂層−2を厚さ5μmで形成後、硬化樹脂層面を押し込み塑性変形硬さ試験機(ナノインデンテーションテスター・設定押し込み深さ:0.5μm)で測定した時の値である。
<硬化樹脂層−1の説明>
本発明に用いられる硬化樹脂層−1は、形成された硬化樹脂層−1が規定の塑性変形硬さを得るために(A)モノマー成分としてウレタンアクリレートを用いて硬化反応してなる硬化樹脂及び(B)合成ゴムのうち少なくとも一方を含有する。(A)かかるウレタンアクリレートを用いた硬化樹脂または(B)合成ゴムは、少なくともその一方を硬化樹脂層−1中に10重量%以上含有することが好ましく、20重量%以上含有することがより好ましい。(A)、(B)はそれぞれ単独または、これらを複数組合せて硬化樹脂層−1を形成しても構わない。(A)、(B)が10重量%未満の含有量では、規定の塑性変形硬さを得ることが困難である。
透明有機高分子基板(厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW))上に5μmの硬化樹脂層−1を単独で形成し押し込み硬さ試験機(ナノインデンテーションテスター・設定押し込み深さ:0.5μm)で測定した時の塑性変形硬さが9.8×10Pa≦HV≦2.0×10Pa(1kgf/mm≦HV≦20kgf/mm)が好ましく、更に好ましくは9.8×10Pa≦HV≦1.5×10Pa(1kgf/mm≦HV≦15kgf/mm)である。硬化樹脂層−1の塑性変形硬さHVが1kgf/mm未満の場合、硬化樹脂層が軟らかいため硬化樹脂層−2の積層が困難である。反対に硬化樹脂層−1の塑性変形硬さHVが2.0×10Pa(20kgf/mm)を超える場合、硬化樹脂層−2の塑性変形硬さHVとの差が小さくなりこのような透明導電性積層体を使用した透明タッチパネルでは電気特性(特に端押し耐久性)を確保することが困難となる。
硬化樹脂層−1の膜厚は1μm≦d≦10μmが好ましく、更に好ましくは3μm≦d≦10μmである。
モノマーとして用いるウレタンアクリレートは、ジオールなどのポリオールを、ジイソシアネートなどの多官能性イソシアネートと反応させ、次にヒドロキシ官能性アクリレートで末端を封止されたものである。ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、炭化水素ポリオール等が挙げられる。これらのポリオールのコポリマーを使用しても良いし、これらのポリオールを単独または複数を組合せて使用しても良い。ポリオールの数平均分子量は、約200〜10000が好ましく、更に好ましくは500〜5000である。ポリオールの数平均分子量が200未満の場合、形成された硬化樹脂層の塑性変形硬さが大きくなり、所定の硬化樹脂層を得ることが困難になり、更に透明タッチパネルに必要な電気特性を確保することが困難となる。更にポリオールの数平均分子量が10000を超える場合、形成された硬化樹脂層の塑性変形硬さが極端に小さくなり加工が困難になる。更には透明導電層を支持できなくなる問題が生じる可能性もある。
合成ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロスルフォン化ゴム、塩素化ポリエチレン、ニトリルゴム、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム、多硫化ゴム、アクリル酸エステル共重合体、各種合成ラテックス等が挙げられる。これらの合成ゴムのブロックコポリマーを使用しても良いし、これらを単独または複数を組合せて使用しても良い。
上記ウレタンアクリレートと合成ゴム以外の硬化樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂等が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂を与えるモノマーとしては、例えばポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、上記以外のウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、変性スチレンアクリレート、メラミンアクリレート、シリコン含有アクリレート等の単官能及び多官能アクリレートを挙げることができる。
具体的なモノマーとしては、例えばトリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリプロピレングリコールトリアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エポキシ変性アクリレート、ウレタン変性アクリレート、エポキシ変性アクリレート等の多官能モノマーが挙げられる。これらを単独で用いても、数種類を混合して用いてよく、また場合によっては、各種アルコキシシランの加水分解物を適量添加してもよい。なお、電離放射線によって樹脂層の重合を行う場合には公知の光重合開始剤が適量添加される。また必要に応じ光増感剤を適量添加してもよい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾイルベンゾエート、チオキサンソン類等が挙げられ、光増感剤としては、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
熱硬化型樹脂としては、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のシラン化合物をモノマーとしたオルガノシラン系の熱硬化型樹脂やエーテル化メチロールメラミン等をモノマーとしたメラミン系熱硬化型樹脂、イソシアネート系熱硬化型樹脂、フェノール系熱硬化型樹脂、エポキシ硬化型樹脂等が挙げられる。これら硬化樹脂を単独又は複数組合せて使用することも可能である。また必要に応じ熱可塑性樹脂を混合することも可能である。なお、熱によって樹脂層の架橋を行う場合には公知の反応促進剤、硬化剤が適量添加される。
反応促進剤としては、例えばトリエチレンジアミン、ジブチル錫ジラウレート、ベンジルメチルアミン、ピリジン等が挙げられる。硬化剤としては、例えばメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。
希釈溶剤としては、水、アルコール系、炭化水素系の溶剤、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、リグロイン等が好ましい。合成ゴムを使用する場合は、キシレン、トルエン、ケトン類、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を使用するのが好ましい。この他に、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等の極性溶媒も使用可能である。これらのものは単独あるいは2種類以上の混合溶剤として用いることが出来る。
硬化樹脂層−1の形成方法としては、ドクターナイフ、バーコーター、グラビアロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、スピンコータ−等の公知の塗工機械を用いる方法、スプレー法、浸漬法等が挙げられる。実際の塗工法としては、前記のモノマー化合物等を各種有機溶剤に溶解して、濃度や粘度を調節した塗工液を用いて、透明有機高分子基板上に塗工後、放射線照射や加熱処理等により層を硬化させる方法が挙げられる。
また硬化樹脂層−1の表面を粗面化させる場合や硬さを調整する等ために、平均1次粒子径が0.001μm以上5μm以下の微粒子を単独で、または平均1次粒子径の異なる2種類以上の微粒子を組み合わせ、硬化樹脂層-1に含有させることも可能である。
<硬化樹脂層−2の説明>
本発明に用いられる硬化樹脂層−2としては、電離放射線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂等が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂としては、前記硬化樹脂層−1と同じものを用いることができる。ただし、硬化樹脂層−2は硬化樹脂層−1よりも高い塑性変形硬さをもつことが重要である。すなわち、硬化樹脂層−2の塑性変形硬さは次のように定義される。
透明有機高分子基板(厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW))上に厚さ5μmの硬化樹脂層−2を単独で形成し押し込み硬さ試験機(ナノインデンテーションテスター・設定押し込み深さ:0.5μm)で測定した時の塑性変形硬さが5.9×10Pa≦HV≦1.1×10Pa(60kgf/mm≦HV≦110kgf/mm)が好ましく、更に好ましくは6.9×10Pa≦HV≦1.1×10Pa(70kgf/mm≦HV≦110kgf/mm)である。硬化樹脂層−2の塑性変形硬さHVが1.1×10Pa(110kgf/mm)を超える場合、特性上大きな問題はないが硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2を透明高分子基板上に積層させた場合のHVが8.5×10Pa(85kgf/mm)超える可能性があり、このような透明導電性積層体を使用した透明タッチパネルでは電気特性(特に端押し耐久性)を確保することが困難となる。反対に硬化樹脂層−2の塑性変形硬さHVが5.9×10Pa(60kgf/mm)未満の硬化樹脂層では、硬化樹脂層−1の塑性変形硬さHVとの差が小さくなり、このような透明導電性積層体を使用した透明タッチパネルでは電気特性(特に端押し耐久性)を確保することが困難となる。
硬化樹脂層−2の膜厚は1μm≦d≦10μmが好ましく、更に好ましくは2.5μm≦d≦8μmである。
可動電極基板表面、固定電極基板表面がいずれも平坦である場合、透明タッチパネルを作製した時、可動電極基板表面からの反射光と固定電極基板表面からの反射光の干渉によるニュートンリングが観察されることがある。この反射光を光学的に散乱させることによりニュートンリングを防止するために硬化樹脂層−1もしくは硬化樹脂層−2の表面を粗面化してもよい。硬化樹脂層−1もしくは硬化樹脂層−2の表面を粗面化する手法としては、1次粒子径が0.001μm以上5μm以下の微粒子を単独で、または1次粒子径の異なる2種類以上の微粒子を組み合わせ、硬化樹脂層−1もしくは硬化樹脂層−2に含有させる。前記手法により粗面化された好ましい粗面化範囲は硬化樹脂層−2のJIS B0601−1994で定義される十点平均粗さ(Rz)が、100.0nm以上400.0nm以下であり、かつ算術平均粗さ(Ra)が、10.0nm以上50.0nm以下で、更にかつJIS B7361で定義されるヘーズが5%以下である。
<透明有機高分子基板>
本発明に用いられる透明有機高分子基板は、透明性に優れる熱可塑性または熱硬化性の有機高分子化合物をフィルムとしたものを用いることができる。かかる有機高分子化合物としては、耐熱性に優れた透明な有機高分子であれば特に限定しない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリジアリルフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリル樹脂、セルロースアセテート樹脂、非晶性ポリオレフィン等が挙げられる。もちろんこれらはホモポリマー、コポリマーとして、あるいは単独またはブレンドとしても使用し得る。これらの透明有機高分子基板は一般的な溶融押出し法もしくは溶液流延法等により好適に成形されるが、必要に応じて成形した透明有機高分子フィルムに一軸延伸もしくは二軸延伸を実施して、機械的強度を高めたり、光学的機能を高めたりすることも好ましく行われる。
本発明の透明導電積層体を透明タッチパネルの可動電極基板として用いる場合には、透明タッチパネルをスイッチとして動作させるための可撓性と平坦性を保つ為の強度の点から、基板形状としての厚みは75〜400μmのフィルム状のものが好ましい。固定電極基板として用いる場合は平坦性を保つ為の強度の点から厚さ0.4〜4.0mmのシート状のものが好ましいが、厚さ50〜400μmのフィルム状のものを他のシートと貼り合わせ、全体の厚さを0.4〜4.0mmになるような構成にして用いても良い。あるいは、厚さ50〜400μmのフィルム状のものをディスプレイ表面に貼付けた構成で用いることも可能である。
本発明の透明導電積層体を透明タッチパネルの可動電極基板として用いた場合には、固定電極基板には前記有機高分子フィルム基板、ガラス基板あるいはこれらの積層体基板上に透明導電層を形成したものを用いても良い。透明タッチパネルの強度、重量の点から、単層又は積層体よりなる固定電極基板の厚さは0.4〜4.0mmが好ましい。
また、最近では透明タッチパネルの入力側(使用者側)の面に偏光板または、(偏光板+位相差フィルム)を積層した構成の新しいタイプの透明タッチパネルが開発されてきている。この構成の利点は主として前記偏光板または、(偏光板+位相差フィルム)の光学作用によって、透明タッチパネル内部における外来光の反射率を半分以下に低減し、透明タッチパネルを設置した状態でのディスプレイのコントラストを向上させることにある。
このようなタイプの透明タッチパネルでは、偏光が透明導電積層体を通過することから、透明有機高分子フィルムとして光学等方性に優れた特性を有するものを用いる事が好ましく、具体的には基板の遅相軸方向の屈折率をn、進相軸方向の屈折率をn、基板の厚みをd(nm)とした場合にRe=(n−n)×d(nm)で表される面内リターデーション値Reが少なくとも30nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。なお、ここで基板の面内リターデーション値は分光エリプソメータ(日本分光株式会社製 M−150)を用いて測定した波長590nmでの値で代表している。
この様に例示した透明導電性積層体を偏光が通過するタイプの透明タッチパネルの用途においては、透明電極基板の面内リターデーション値が非常に重要であるが、これに加えて透明電極基板の三次元屈折率特性、すなわち基板の膜厚方向の屈折率をnとした時にK={(n+n)/2−n}×dで表されるK値が−250〜+150nmであることが好ましく、−200〜+100nmの範囲にあることが透明タッチパネルの優れた視野角特性を得る上でより好ましい。
これらの光学等方性に優れた特性を示す透明有機高分子基板としては、例えば、ポリカーボネート、非晶性ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマーおよびこれらの変性物もしくは別種材料との共重合物等をフィルム状に成形した成型基板、エポキシ系樹脂等の熱硬化型樹脂の成形基板、アクリル樹脂等の紫外線硬化型樹脂をフィルムやシート状に成形した成形基板等が例示される。成形性や製造コスト、熱的安定性等の観点から、ポリカーボネート、非晶性ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、シクロオレフィンポリマーおよびこれらの変性物もしくは別種材料との共重合物等の成型基板が最も好ましく挙げられる。
より具体的には、ポリカーボネートとしては例えば、ビスフェノールA、1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン、3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン、フルオレン−9,9−ジ(4−フェノール)、フルオレン−9,9−ジ(3−メチル−4−フェノール)等からなる群から選ばれる少なくとも一つの成分をモノマー単位とする重合体や共重合体またはこれらの混合物であり、平均分子量がおよそ15000〜100000の範囲のポリカーボネート(商品としては、例えば帝人化成株式会社製「パンライト」やバイエル社製「Apec HT」等が例示される)の成型基板が好ましく用いられる。
また非晶性ポリアリレートとしては、商品として鐘淵化学工業株式会社製「エルメック」、ユニチカ株式会社製「Uポリマー」、イソノバ社製「イサリル」等の成型基板が例示される。
シクロオレフィンポリマーとしては、商品として日本ゼオン株式会社製「ゼオノア」やJSR株式会社製「アートン」等の成型基板が例示される。
これらの高分子化合物を用いた成形基板の製造方法としては、溶融押出法や溶液流延法、射出成型法等の方法が例示されるが、優れた光学等方性を得る観点からは、特に溶液流延法を用いて成形を行うことが好ましい。
<硬化樹脂層−3>
本発明においては、硬化樹脂層−2と後述の透明導電層の間に、全光線透過率等の光学特性を改良するために、硬化樹脂層−3を設けてもよい。本発明に用いられる硬化樹脂層−3としては、電離放射線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、変性スチレンアクリレート、メラミンアクリレート、シリコン含有アクリレート等の単官能及び多官能アクリレート系電離放射線硬化型樹脂等がある。
熱硬化型樹脂としては、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のオルガノシラン系の熱硬化型樹脂(アルコキシシラン)やエーテル化メチロールメラミン等のメラミン系熱硬化型樹脂やイソシアネート系熱硬化型樹脂、フェノール系熱硬化型樹脂、エポキシ系硬化型樹脂等が挙げられる。これら硬化樹脂を単独又は複数組合せて使用することも可能である。また必要に応じ熱可塑性樹脂を混合することも可能である。なお、熱によって樹脂層の架橋を行う場合には公知の反応促進剤、硬化剤が適量添加される。反応促進剤としては、例えばトリエチレンジアミン、ジブチル錫ジラウレート、ベンジルメチルアミン、ピリジン等が挙げられる。硬化剤としては、例えばメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。
上記アルコキシシランはこれを加水分解ならびに縮合重合することにより硬化樹脂層を形成する。かかるアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
これらのアルコキシシランは、層の機械的強度や密着性及び耐溶剤性等の観点から二種類以上を混合して用いることが好ましく、特に耐溶剤性の観点から、アルコキシシランの全組成中に重量比率0.5〜40%の範囲で、分子内にアミノ基を有するアルコキシシランが含有されていることが好ましい。
アルコキシシランは、モノマーで用いてもあらかじめ加水分解と脱水縮合を行って適度にオリゴマー化して用いても良いが、通常、適当な有機溶剤に溶解、希釈した塗工液を基板上に塗工する。基板上に形成された塗工層は、空気中の水分等により加水分解が進行し、続いて、脱水縮合により架橋が進行する。
一般に、架橋の促進には適当な加熱処理が必要であり、塗工工程において100℃以上の温度で数分間以上の熱処理を施すことが好ましい。また場合によっては、前記熱処理と並行して、紫外線等の活性光線を塗工層に照射することにより、架橋度をより高めることが出来る。
希釈溶剤としては、アルコール系、炭化水素系の溶剤、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、リグロイン等が好ましい。この他に、キシレン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、酢酸イソブチル等の極性溶媒も使用可能である。これらのものは単独あるいは2種類以上の混合溶剤として用いることが出来る。
硬化樹脂層−3の形成方法としては、前記硬化樹脂層−1と同様の方法を用いることができる。
硬化樹脂層−3の屈折率を調整するために、平均1次粒子径が100nm以下の金属酸化物または金属フッ化物からなる超微粒子Cまたはフッ素系樹脂を単独で、もしくは複数組合せて、硬化樹脂層−3中に配合しても良い。硬化樹脂層−3の屈折率は、硬化樹脂層−2の屈折率より小さく、且つ屈折率が1.20〜1.55であることが好ましく、更に好ましくは1.20〜1.45である。硬化樹脂層−3の膜厚は0.05〜0.5μmであることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.3μmである。
該超微粒子Cの平均1次粒子径は100nm以下が好ましく、更に好ましくは50nm以下である。該超微粒子Cの1次粒子径を100nm以下に制御することにより、硬化樹脂層−3が白化することなく良好な光学特性を得ることができる。
該超微粒子Cとしては、例えばBi、CeO、In、(In・SnO)、HfO、La、MgF、Sb、(Sb・SnO)、SiO、SnO、TiO、Y、ZnO、ZrOなどの金属酸化物または金属フッ化物の超微粒子が例示され、好ましくはMgF、SiO等の屈折率が1.55以下の金属酸化物または金属フッ化物の超微粒子である。
該超微粒子Cの含有量は、熱硬化型樹脂または/及び電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して10〜400重量部、好ましく30〜400重量部、更に好ましくは50〜300重量部である。超微粒子Cの含有量が400重量部を超えると、膜強度や密着性が不充分となる場合があり、一方超微粒子の含有量が10重量部未満では所定の屈折率が得られなくなる場合がある。
フッ素系樹脂としては、例えばフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、フルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロエチレン、3−ブロモ−3,3−ジフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、α−トリフルオロメタクリル酸等のフッ素原子を有するモノマー成分を5〜70重量%を含有されたものが例示される。
フッ素系樹脂の含有量は、熱硬化型樹脂または/及び電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して50〜300重量部、好ましくは100〜300重量部、更に好ましくは150〜250重量部である。フッ素系樹脂の含有量が300重量部を超えると、膜強度や密着性が不充分となる場合あり、一方フッ素系樹脂の含有量が50重量部未満では所定の屈折率が得られなくなる場合がある。
<光学干渉層>
本発明においては、硬化樹脂層−2と後述の透明導電層との間に、屈折率を制御し透明性を高めるために、光学干渉層を設けることができる。
本発明で用いられる光学干渉層は、少なくとも一層の高屈折率層と少なくとも一層の低屈折率層より構成される。高屈折率層と低屈折率層の組み合わせ単位を二つ以上とすることも出来る。光学干渉層が一層の高屈折率層と一層の低屈折率層から構成される場合、光学干渉層の膜厚は30nm〜300nmが好ましく、更に好ましくは50nm〜200nmである。
本発明の光学干渉層を構成する高屈折率層は、金属アルコキシドを加水分解ならびに縮合重合して形成された層、または少なくとも1種類以上の金属アルコキシドを加水分解ならびに縮合重合してなる成分と前記硬化樹脂層−3に記載の平均1次粒子径が100nm以下の金属酸化物または金属フッ化物の超微粒子Cとからなる層である。
本発明に用いる金属アルコキシドとして、例えば、チタニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、アルコキシシラン等を挙げることが出来る。
チタニウムアルコキシドとしては、例えばチタニウムテトライソプロポキシド、テトラ−n−プロピルオルトチタネート、チタニウムテトラ−n−ブトキシド、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタネート等が例示される。
ジルコニウムアルコキシドとしては、例えばジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド等が例示される。
アルコキシシランとしては、前記硬化樹脂層−3に記載したものが例示される。
該高屈折率層中には、前記硬化樹脂層−3に記載の金属酸化物または金属フッ化物からなる、平均1次粒子径が100nm以下の超微粒子Cを単独または2種類以上適当量添加することができる。該超微粒子Cを添加することにより該高屈折率層の屈折率を調整することが可能である。
該高屈折率層中に該超微粒子Cを添加する場合、超微粒子Cと金属アルコキシドの重量比率は、0:100〜66.6:33.3であることが好ましく、更に好ましくは0:100〜60:40である。超微粒子Cと金属アルコキシドの重量比率が66.6:33.3を超える場合は光学干渉層に必要な強度や密着性が不足することがあり、好ましくない。
該高屈折率層の厚さとしては、好ましくは15〜250nm、より好ましくは30〜150nmである。
また該高屈折率層の屈折率は、後述する低屈折率層及び硬化樹脂層−2の屈折率より大きく、その差が0.2以上であることが好ましい。
本発明の光学干渉層を構成する低屈折率層として、前記硬化樹脂層−3に記載の電離放射線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂からなる層、及びこれらの層に前記硬化樹脂層−3に記載の金属酸化物または金属フッ化物からなる、平均1次粒子径が100nm以下の超微粒子Cを単独または2種類以上適当量添加したものを用いることができる。該低屈折率層の厚さとしては、好ましくは15〜250nm、より好ましくは30〜150nmである。
<微粒子B>
前記硬化樹脂層−3、或いは前記光学干渉層を構成する高屈折率層及び低屈折率層の少なくとも一方に、微粒子Bを含有してもよい。該硬化樹脂層−3の場合は、平均1次粒子径がそれの膜厚の1.1倍以上でかつ平均1次粒子径が1.2μm以下の微粒子Bを、該光学干渉層の場合は、平均1次粒子径が光学干渉層の総膜厚の1.1倍以上でなおかつ平均1次粒子径が1.2μm以下の微粒子Bを用いる。これにより、透明導電層表面が粗面化され、固定電極基板の透明導電層表面と可動電極基板の透明導電層表面との引っ付き現象による誤作動を抑制することが可能となった。更に添加する微粒子Bの平均1次粒子径を制御することにより、液晶から出たRGB三原色光の散乱によるギラツキを生じない範囲で透明導電層表面を粗面化することができる。
また、該微粒子Bの添加量を、微粒子Bが添加された層を構成する硬化樹脂成分の0.01〜0.5重量%の範囲にすることにより、可動電極基板の透明導電層表面と固定電極基板の透明導電層表面との引っ付き現象による透明タッチパネルの誤作動抑制効果を損なわずに白濁の無い良好な光学干渉層を形成することができる。該微粒子Bを、硬化樹脂層−3、または光学干渉層を構成する高屈折率層と低屈折率層の少なくとも一方に過剰に添加した場合、添加した微粒子Bが脱落しやすくなることや、光学干渉層または硬化樹脂層−3と硬化樹脂層−2との密着性が低下しタッチパネルに要求される筆記耐久性を損なうことがある。
上記微粒子Bとしては、例えばシリカ微粒子、架橋アクリル微粒子、架橋ポリスチレン微粒子等が挙げられる。
該硬化樹脂層−3の場合は、該微粒子Bの平均1次粒子径がその膜厚の1.1倍以上でかつ平均1次粒子径が1.2μm以下であり、該光学干渉層の場合は、該微粒子Bの平均1次粒子径が光学干渉層の総膜厚の1.1倍以上でなおかつ平均1次粒子径が1.2μm以下である。該微粒子Bの平均1次粒子径が該硬化樹脂層−3の膜厚または光学干渉層の総膜厚の1.1倍未満である場合、透明導電層表面を粗面化することは困難である。一方、該微粒子Bの平均1次粒子径が1.2μmを超える場合、この様な微粒子を添加した透明導電性積層体を用いた透明タッチパネルを高精細カラー液晶画面上に設置し、透明タッチパネルを介して液晶画面を観察した時に、液晶画面はぎらついて見え、表示品位が低下してしまう。更に該微粒子Bの平均1次粒子径が1.2μmを超える場合、該微粒子Bを添加している該硬化樹脂層−3の膜厚または光学干渉層の総膜厚より平均1次粒子径が極端に大きくなる為、添加した微粒子が脱落しやすく、透明タッチパネルに要求される筆記耐久性などの信頼性を確保することが困難となる。
該硬化樹脂層−3、或いは該光学干渉層を構成する高屈折率層と低屈折率層の少なくとも一方に微粒子Bを含有させる場合、硬化樹脂層−2に実質的に微粒子を含有しないことが好ましい。
<金属化合物層>
本発明において、硬化樹脂層−2と透明導電層の間に透明導電層と接して金属化合物層を設けることが可能である。該金属化合物層の膜厚は、透明導電層の膜厚より薄く、0.5nm以上10.0nm未満であり、好ましくは1.0nm以上7.0nm未満、更に好ましくは1.0nm以上5.0nm未満である。硬化樹脂層−2、膜厚が制御された金属化合物層、透明導電層を順次積層することにより密着性が大幅に改善され、近年透明タッチパネルに要求される筆記耐久性及び端押し耐久性が向上する。金属化合物層の膜厚が10.0nm以上では、金属化合物層が連続体としての機械物性を示し始めることにより、透明タッチパネルに要求される端押し耐久性の向上は望めない。一方、0.5nm未満の膜厚では膜厚の制御が困難なことに加え、硬化樹脂層−2及び透明導電層との密着性を十分発現させることが困難になり、端押し耐久性の向上は困難になる。
金属化合物層としては、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫等の金属酸化物の層が挙げられる。
これらの金属化合物層は、公知の手法にて形成することが可能であり、例えばDCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、パルスレーザーデポジション法、これらを複合した物理的形成法(Physical Vapor Deposition、以下、PVD)等を用いることができるが、大面積に対して均一な膜厚の金属化合物層を形成するという工業生産性に着目すると、DCマグネトロンスパッタリング法が望ましい。なお、上記物理的形成法(PVD)のほかに、Chemical Vapor Deposition(以下、CVD)、ゾルゲル法などの化学的形成法を用いることもできるが、膜厚制御の観点からはやはりスパタリング法が望ましい。
スパッタリングに用いるターゲットは金属ターゲットを用いることが望ましく、反応性スパッタ法を用いることが広く採用されている。これは、金属化合物層として用いる元素の酸化物、窒化物、酸窒化物が絶縁体であることが多く、DCマグネトロンスパッタリング法が適応できないことが多いからである。また、近年では、2つのカソードを同時に放電させ、ターゲットへの絶縁体の形成を抑制するような電源が開発されており、擬似的なRFマグネトロンスパッタリング法を適応できるようになってきている。
本願発明では、金属ターゲットを用いてDCマグネトロンスパッタリング法により上記金属化合物層を製膜する場合は、該金属化合物層を製膜する真空槽中の圧力(背圧)を一旦1.3×10−4Pa以下とし、次いで不活性ガス及び酸素を導入する製造方法にて形成することができる。金属化合物層を製膜する真空槽中の圧力を一旦1.3×10−4Pa以下にすることが、真空槽中に残留し、且つ金属化合物層の形成過程に影響を与えることが懸念される分子種の影響を低減できるので望ましい。より望ましくは、5×10−5Pa以下、さらに望ましくは2×10−5Pa以下である。
次いで導入される不活性ガスとしては、例えばHe、Ne、Ar、Kr、Xeを用いることができ、原子量の大きな不活性ガスほど形成される膜へのダメージが少なく表面平坦性が向上すると言われている。しかし、コスト面を考えるとArが望ましい。この不活性ガスには膜中に取り込まれる酸素濃度を調整するために、分圧に換算して1.3×10−3〜7×10−2Pa台の酸素を添加しても構わない。さらに、酸素の他にO、N、NO、HO、NH等を目的に応じて用いることができる。
また、本願発明では、金属化合物層を製膜する真空槽中の水の分圧を1.3×10−4Pa以下とし、次いで不活性ガス及び酸素を導入する製造方法にて形成することができる。水の分圧は、より望ましくは、4×10−5Pa以下、さらに望ましくは2×10−5Pa以下に制御できる。膜中に水素を取り込ませることで金属化合物層内部の応力を緩和するために、水を意図的に1.3×10−4〜3×10−2Paの範囲で導入しても構わない。この調整は、一旦真空を形成した後に、バリアブルリークバルブやマスフローコントローラーを用いて水を導入することで行っても良い。また、真空槽の背圧を制御することによっても実施することができる。
本願発明における水分圧を決定するときには、差動排気型のインプロセスモニターを用いても良い。またはダイナミックレンジが広く、0.1Pa台の圧力下においても計測が可能な四重極質量分析計を用いても良い。また、一般的に、1.3×10−5Pa程度の真空度においては、その圧力を形成しているのは水である。よって、真空計によって計測された値をそのまま水分圧と考えても構わない。
本願発明においては、基板として高分子フィルムを用いるため、基板温度を当該高分子フィルムの軟化点温度より上昇させることはまずできない。よって、金属化合物層を形成するためには、高分子フィルムの温度は室温以下程度から軟化点温度以下とする必要がある。代表的な高分子フィルムであるポリエチレンテレフタレートの場合、特別な処理を行わないときは基板温度を80℃以下の温度に保ったまま金属化合物層を形成することが望ましい。より望ましくは50℃以下の基板温度にて、さらに望ましくは20℃以下である。また、耐熱高分子の上であっても、高分子フィルムからのアウトガスの制御という観点より80℃以下、より望ましくは50℃以下、さらに望ましくは20℃以下に設定した基板温度で形成することが望ましい。
<透明導電層>
本発明においては、硬化樹脂層−2または前記硬化樹脂層−3または光学干渉層または金属化合物層に接して透明導電層が設けられる。上記硬化樹脂層−2に接して透明導電層を設けることにより、透明導電性積層体の筆記耐久性等の機械特性が向上する。ここで透明導電層としては、酸化錫を2〜20重量%含むITO膜やアンチモンまたはフッ素等をドープした酸化錫膜がある。透明導電層の形成方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等のPVD法あるいは塗工法、印刷法、CVD法があるが、PVD法またはCVD法が好ましい。PVD法またはCVD法の場合、透明導電層の厚さは、透明性と導電性の点から5〜50nmが好ましく、更に好ましくは10〜30nmである。透明導電層の膜厚が10nm未満では抵抗値の経時安定性に劣る傾向が有り,また30nmを超えると透明導電性積層体の透過率が低下するため好ましくない。透明タッチパネルの消費電力の低減と回路処理上の必要等から、膜厚10〜30nmにおいて表面抵抗値が100〜2000Ω/□(Ω/sq)、より好ましくは140〜2000Ω/□(Ω/sq)の範囲を示す透明導電層を用いることが好ましい。更に、透明導電層として主として結晶質(実質的に結晶相100%)のインジウム酸化物よりなる膜がより好ましい。特に結晶粒径が3000nm以下の主として結晶質のインジウム酸化物からなる層が好ましく用いられる。結晶粒径が3000nmを超えると筆記耐久性が悪くなるため好ましくない。ここで結晶粒径とは、透過型電子顕微鏡(TEM)下で観察される多角形状または長円状の結晶粒の各領域における対角線または直径の中で最大のものと定義する。
<ハードコート層>
本発明の透明導電性積層体を可動電極基板として用いた場合は、透明タッチパネルの作動時に外力が加わる面、すなわち透明導電層とは反対側の透明有機高分子基板面には、ハードコート層を設けることが好ましい。ハードコート層を形成するための材料としては、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のオルガノシラン系の熱硬化型樹脂やエーテル化メチロールメラミン等のメラミン系熱硬化型樹脂、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の多官能アクリレート系紫外線硬化型樹脂等があり、必要に応じて、SiOやMgF等の超微粒子等を混合したものを用いることができる。ハードコート層の厚さは、可撓性、耐摩擦性の点から2〜5μmが好ましい。
ハードコート層は塗工法により形成することが出来る。実際の塗工法としては、前記の化合物を各種有機溶剤に溶解して、濃度や粘度を調節した塗工液を用いて、透明有機高分子基板上に塗工後、放射線照射や加熱処理等により層を硬化させる。塗工方式としては例えば、マイクログラビヤコート法、マイヤーバーコート法、ダイレクトグラビヤコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、コンマコート法、ダイコート法、ナイフコート法、スピンコート法等の各種塗工方法が用いられる。
なお、ハードコート層は透明有機高分子基板上に直接、もしくは適当なアンカー層を介して積層される。こうしたアンカー層としては例えば、該ハードコート層と透明有機高分子基板との密着性を向上させる機能を有する層や、K値が負の値となる三次元屈折率特性を有する層等の各種の位相補償層、水分や空気の透過を防止する機能もしくは水分や空気を吸収する機能を有する層、紫外線や赤外線を吸収する機能を有する層、基板の帯電性を低下させる機能を有する層等が好ましく挙げられる。
以下、本発明の具体例を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の実施例において、押し込み硬さ試験機による塑性変形硬さ測定方法、リニアリティー測定方法、筆記耐久性試験方法、端押し耐久性試験方法は次の通りである。
<押し込み硬さ試験機による塑性変形硬さの測定方法>
以下の測定装置と測定条件を用いて塑性変形硬さの測定を実施した。
測定装置:ナノインデンテーションテスター ENT−1100a(エリオニクス社製)
測定面:硬化樹脂層面を測定する。
測定条件
押し込み深さ設定試験 設定深さ 0.5μm
250ステップに分割
試験荷重保持時間 1秒
使用圧子 三角錐 (稜間隔 115°)
各試料につき5点連続自動測定
塑性変形硬さ算出方法
荷重−変位グラフから下記式を使用して5点連続測定の塑性変形硬さの平均値を算出する。除荷の際の、曲線の最大変位における接線を求め、その傾きから塑性変形量を分離してビッカーズ硬さに相当する硬さを求めたもの。圧子形状により実際のビッカーズ値は若干値は変わる。
Figure 2005116515
Pmax:荷重
hr:除荷の際の、曲線の最大変位における接線の荷重0の際の変位
<金属化合物層の膜厚測定方法>
金属化合物層を形成後、蛍光X線分析装置RIX1000(株式会社リガク製)を使用して金属化合物層の膜厚を測定した。
<リニアリティー測定方法>
可動電極基板上又は固定電極基板上の平行電極間に直流電圧5Vを印加する。平行電極と垂直の方向に5mm間隔で電圧を測定する。測定開始位置Aの電圧をE、測定終了位置Bの電圧をE、Aからの距離Xにおける電圧実測値E、理論値をE、リニアリティーをLとすると、
= (E−E) × X/ (B−A) + E
L(%) = (|E−E|) / (E−E) × 100
<端押し耐久性試験方法>
作製した透明タッチパネルの可動電極基板の周囲の絶縁層から約2mmの位置を絶縁層と平行して先端が0.8Rのポリアセタール製のペンを用いて450g荷重で直線往復10万回筆記を行う(端押し耐久性試験)。端押し耐久性試験前後の透明タッチパネルのリニアリティーを測定する。端押し耐久性試験前後のリニアリティー変化量が1.5%以上となるものをNGとした。
<筆記耐久性試験方法>
作製した透明タッチパネルの可動電極基板の中央部を対角線方向に先端が0.8Rのポリアセタール製のペンを用いて450g荷重で直線往復10万回筆記を行い(筆記耐久性試験)、筆記耐久性試験前後の透明タッチパネルのリニアリティーを測定する。筆記耐久性前後の透明タッチパネルのリニアリティー変化量が1.5%以上となるものをNGとした。
[実施例1]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW、押し込み硬さ試験機による塑性変形硬さ5.4×10Pa(55kgf/mm))の片面に紫外線硬化型多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
ウレタンアクリレート アロニックス M1200(東亞合成社製)100重量部とイルガキュア184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)3重量部をメチルイソブチルケトン(MIBK)へ溶解し塗工液Aを作製した。塗工液Aをハードコート層1と反対面に硬化後の膜厚が6.0μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射し硬化させ硬化樹脂層−1(a)を形成した。
硬化樹脂層−1(a)の塑性変形硬さ測定用のサンプル(硬化後の膜厚:5μm)を同様の手法により作製し、塑性変形硬さ測定を行った。測定した結果を表−1に示す。
4官能アクリレート アロニックス M400(東亞合成社製)100重量部とイルガキュア184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)3重量部をメチルイソブチルケトン(MIBK)へ溶解し塗工液Bを作製した。塗工液Bを硬化樹脂層−1(a)上に硬化後の膜厚が4.0μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−2(a)を形成した。硬化樹脂層−1(a)と硬化樹脂層−2(a)積層後の塑性変形硬さ測定を行った。測定した結果を表1に示す。
硬化樹脂層−2(a)の塑性変形硬さを測定用のサンプル(硬化後の膜厚:5μm)を同様の手法により作製し、塑性変形硬さ測定を行った。測定した結果を表−1に示す。
次にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシラン(信越化学工業社製「KBM403」)とメチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM13」)を1:1のモル比で混合し、酢酸水溶液(pH=3.0)により公知の方法で前記アルコキシシランの加水分解を行った。こうして得たアルコキシシランの加水分解物に対して、固形分の重量比率20:1の割合でN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメトキシシラン(信越化学工業社製 「KBM603」)を添加し、更にイソプロピルアルコールとn−ブタノールの混合溶液で希釈を行い、アルコキシシラン塗工液Cを作製した。
前記硬化樹脂層−2(a)上にアルコキシシラン塗工液Cをバーコート法によりコーティングを行い130℃2分間の焼成後、膜厚65nmの硬化樹脂層−3(a)を作製した。さらにこの硬化樹脂層−3(a)上に、酸化インジウムと酸化錫が重量比95:5の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は約20nm、製膜後の表面抵抗値は約350Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃90分熱処理を行い、ITO膜を結晶化させた。熱処理前後の可動電極基板にヘーズ変化は見られず、ITOが結晶化した後の表面抵抗値は約280Ω/□(Ω/sq)であった。
他方、厚さ1.1mmのガラス板の両面にSiOディップコートを行った後、スパッタリング法により、同様な方法で厚さ18nmのITO膜を形成した。次にITO膜上に高さ7μm、直径70μm、ピッチ1.5mmのドットスペーサを形成することにより、固定電極基板を作製した。作製した固定電極基板と可動電極基板用いて図1の透明タッチパネルを作製した。作製した透明タッチパネルの筆記耐久性試験と端押し耐久性試験を行った。試験前後のリニアリティーを表1に示す。
[実施例2]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW、押し込み硬さ試験機による塑性変形硬さ5.4×10Pa(55kgf/mm))の片面に紫外線硬化型多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
実施例1の塗工液Aをハードコート層1と反対面に硬化後の膜厚が5.0μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−1(b)を形成した。
実施例1の塗工液Bを硬化樹脂層−1(b)上に硬化後の膜厚が5.5μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−2(b)を形成した。
硬化樹脂層−1(b)と硬化樹脂層−2(b)積層後の塑性変形硬さ測定を行った。測定した結果を表−1に示す。
テトラブトキシチタネート(日本曹達社製「B−4」)をリグロイン(和光純薬工業社製の等級が特級品)とブタノール(和光純薬工業社製の等級が特級品)の混合溶媒で希釈した塗工液Dを作製した。
塗工液D中に平均1次粒子径が0.5μmのシリカ微粒子をテトラブトキシチタネートの100重量部に対して0.3重量部となるように混合し塗工液Eを作製した。
実施例1で用いたアルコキシシラン塗工液Cを塗工液Eと塗工液Cの固形分同士の混合比が70:30になるように混合し塗工液Fを作製した。塗工液Fに1次粒子径が20nmのTiO2超微粒子をTiO超微粒子と金属アルコキシドの重量比率が30:70となるように混合した塗工液Gを作製した。上記硬化樹脂層−2(b)面上に、塗工液Gをバーコート法でコーティングを行い130℃2分間の焼成後、膜厚が55nmの高屈折率層を形成した。
前記高屈折率層上にアルコキシシラン塗工液Cをバーコート法によりコーティングを行い130℃2分間の焼成後、膜厚が65nmの低屈折率層を形成し、高屈折率層と低屈折率層よりなる光学干渉層を作製した。さらにこの光学干渉層上に、酸化インジウムと酸化錫が重量比95:5の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は約20nm、製膜後の表面抵抗値は約350Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃90分熱処理を行い、ITO膜を結晶化させた。熱処理前後の可動電極基板にヘーズ変化は見られず、ITOが結晶化した後の表面抵抗値は約280Ω/□(Ω/sq)であった。
実施例1と同様にして固定電極基板を作製した。作製した固定電極基板と可動電極基板用いて図2の透明タッチパネルを作製した。作製した透明タッチパネルの筆記耐久性試験と端押し耐久性試験を行った。試験前後のリニアリティーを表1に示す。
[実施例3]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW、押し込み硬さ試験機による塑性変形硬さ5.4×10Pa(55kgf/mm))の片面に紫外線硬化型多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
アクリロニトリルブタジエンゴム Nipol1052J(日本ゼオン社製)を75重量部、4官能アクリレート アロニックス M400(東亞合成社製)を25重量部、イルガキュア184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)3重量部をトルエンとメチルイソブチルケトンの混合比が1:1の溶剤に溶解し塗工液Hを作製した。塗工液Hをハードコート層1と反対面に硬化後の膜厚が5.5μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−1(c)を形成した。
硬化樹脂層−1(c)の塑性変形硬さ測定用のサンプル(硬化後の膜厚:5μm)を同様の手法により作製し、塑性変形硬さ測定を行った。測定した結果を表−1に示す。
実施例1で使用した塗工液Bを硬化樹脂層−1(c)上に硬化後の膜厚が4.5μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−2(c)を形成した。硬化樹脂層−1(c)と硬化樹脂層−2(c)積層後の塑性変形硬さ測定を行った。測定した結果を表1に示す。
前記硬化樹脂層−2(c)上に実施例1で使用した塗工液Cをバーコート法によりコーティングを行い130℃2分間の焼成後、膜厚65nmの硬化樹脂層−3(c)を作製した。さらにこの硬化樹脂層−3(c)上に、酸化インジウムと酸化錫が重量比95:5の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は約20nm、製膜後の表面抵抗値は約350Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃90分熱処理を行い、ITO膜を結晶化させた。熱処理前後の可動電極基板にヘーズ変化は見られず、ITOが結晶化した後の表面抵抗値は約280Ω/□(Ω/sq)であった。
実施例1と同様にして固定電極基板を作製した。作製した固定電極基板と可動電極基板用いて図1の透明タッチパネルを作製した。作製した透明タッチパネルの筆記耐久性試験と端押し耐久性試験を行った。試験前後のリニアリティーを表1に示す。
[実施例4]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW、塑性変形硬さ5.4×10Pa(55kgf/mm))の片面に紫外線硬化型多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
合成ラテックス NipolLX857X2(日本ゼオン社製)をハードコート層1の反対面に塗工後100℃2分間乾燥し、膜厚が6.0μmの硬化樹脂層−1(d)を形成した。硬化樹脂層−1(d)の硬さ測定用のサンプル(乾燥後の膜厚:5μm)を同様の手法により作製し、硬さ測定を行った。測定した結果を表1に示す。
実施例1で使用した塗工液Bを硬化樹脂層−1(d)上に硬化後の膜厚が4.5μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−2(d)を形成した。硬化樹脂層−1(d)と硬化樹脂層−2(d)積層後の硬さ測定を行った。測定した結果を表1に示す。
実施例2と同様にして光学干渉層を形成した後、光学干渉層の低屈折率層上にSiターゲットを用いてスパッタリング法によりSiOx層を形成した。形成されたSiOx層の膜厚は約2.0nmであった。次いでSiOx層上に、酸化インジウムと酸化錫が重量比97:3の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は約20nm、製膜後の表面抵抗値は約550Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃60分熱処理行い、ITO膜を結晶化させた。熱処理前後の可動電極基板にヘーズ変化は見られず、ITOが結晶化した後の表面抵抗値は約450Ω/□(Ω/sq)であった。
実施例1と同様にして固定電極基板を作製した。作製した固定電極基板と可動電極基板用いて図4の透明タッチパネルを作製した。作製した透明タッチパネルの筆記耐久性試験と端押し耐久性試験を行った。試験前後のリニアリティーを表1に示す。
[比較例1]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW、押し込み硬さ試験による塑性変形硬さ5.4×10Pa(55kgf/mm))の片面に紫外線硬化型多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
実施例1で作製した塗工液Aをハードコート層1と反対面に硬化後の膜厚が5.0μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−1(e)を形成した。
前記硬化樹脂層−1(e)上に実施例1で作製した塗工液Cをバーコート法によりコーティングを行い130℃2分間の焼成後、膜厚65nmの硬化樹脂層−3(e)を作製した。さらにこの硬化樹脂層−3(e)上に、酸化インジウムと酸化錫が重量比95:5の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は約20nm、製膜後の表面抵抗値は約350Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃90分熱処理を行ったが、ITO層に細かいしわが入り可動電極基板のヘーズが上昇(白化)してしまった。
[比較例2]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW、押し込み硬さ試験による塑性変形硬さ5.4×10Pa(55kgf/mm))の片面に紫外線硬化型多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
実施例1で作製した塗工液Bをハードコート層1と反対面に硬化後の膜厚が5.0μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−2(f)を形成した。
前記硬化樹脂層−2(f)上に実施例1で作製した塗工液Cをバーコート法によりコーティングを行い130℃2分間の焼成後、膜厚65nmの硬化樹脂層−3(f)を作製した。さらにこの硬化樹脂層−3(f)上に、酸化インジウムと酸化錫が重量比95:5の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は約20nm、製膜後の表面抵抗値は約350Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃90分熱処理を行い、ITO膜を結晶化させた。熱処理前後の可動電極基板にヘーズ変化は見られず、ITOが結晶化した後の表面抵抗値は約280Ω/□(Ω/sq)であった。
実施例1と同様に固定電極基板を作製した。作製した固定電極基板と可動電極基板用いて図3の透明タッチパネルを作製した。作製した透明タッチパネルの筆記耐久性試験と端押し耐久性試験を行った。試験前後のリニアリティーを表1に示す。
[比較例3]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW、押し込み硬さ試験による塑性変形硬さ5.4×10Pa(55kgf/mm))の片面に紫外線硬化型多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
多官能アクリレート NKオリゴ U15HA(新中村化学社製)100重量部と単官能アクリレート アロニックス TO−1429(東亞合成社製)100重量部とイルガキュア184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)10重量部をメチルイソブチルケトン(MIBK)へ溶解し塗工液Iを作製した。塗工液Iをハードコート層1と反対面に硬化後の膜厚が4.0μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−2(g)を形成した。作製した硬化樹脂層−2(g)のヤング率と塑性変形硬さを測定した結果を表1に示す。
前記硬化樹脂層−2(g)上に実施例1で作製した塗工液Cをバーコート法によりコーティングを行い130℃2分間の焼成後、膜厚65nmの硬化樹脂層−3(g)を作製した。さらにこの硬化樹脂層−3(g)上に、酸化インジウムと酸化錫が重量比95:5の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は約20nm、製膜後の表面抵抗値は約350Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃90分の熱処理を行い、ITO膜を結晶化させた。熱処理前後の可動電極基板にヘーズ変化は見られず、ITOが結晶化した後の表面抵抗値は約280Ω/□(Ω/sq)であった。
実施例1と同様に固定電極基板を作製した。作製した固定電極基板と可動電極基板用いて図3の透明タッチパネルを作製した。作製した透明タッチパネルの筆記耐久性試験と端押し耐久性試験を行った。試験前後のリニアリティーを表1に示す。
[比較例4]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW、押し込み硬さ試験による塑性変形硬さ5.4×10Pa(55kgf/mm))の片面に紫外線硬化型多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
実施例1の塗工液Aをハードコート層1と反対面に硬化後の膜厚が6.5μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−1(h)を形成した。
実施例1の塗工液Bを硬化樹脂層−1(h)上に硬化後の膜厚が1.0μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−2(h)を形成した。硬化樹脂層−1(h)と硬化樹脂層−2(h)積層後の塑性変形硬さ測定を行った。測定した結果を表1に示す。
前記硬化樹脂層−1(h)上に実施例1で作製した塗工液Cをバーコート法によりコーティングを行い130℃2分間の焼成後、膜厚65nmの硬化樹脂層−3(h)を作製した。さらにこの硬化樹脂層−3(h)上に、酸化インジウムと酸化錫が重量比95:5の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は約20nm、製膜後の表面抵抗値は約350Ω/□(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃90分熱処理を行ったが、ITO層に細かいしわが入り可動電極基板のヘーズが上昇(白化)してしまった。
[比較例5]
厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 OFW、押し込み硬さ試験による塑性変形硬さ5.4×10Pa(55kgf/mm))の片面に紫外線硬化型多官能アクリレート樹脂塗料を用いて厚さ4μmのハードコート層1を形成した。
実施例1の塗工液Aをハードコート層1と反対面に硬化後の膜厚が1.5μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−1(i)を形成した。
実施例1の塗工液Bを硬化樹脂層−1(i)上に硬化後の膜厚が6.0μmとなるようにバーコート法によりコーティングし紫外線を照射硬化させ硬化樹脂層−2(i)を形成した。硬化樹脂層−1(i)と硬化樹脂層−2(i)積層後の塑性変形硬さ測定を行った。測定した結果を表1に示す。
前記硬化樹脂層−2(i)上に実施例1で作製した塗工液Cをバーコート法によりコーティングを行い130℃2分間の焼成後、膜厚65nmの硬化樹脂層−3(i)を作製した。さらにこの硬化樹脂層−3(i)上に、酸化インジウムと酸化錫が重量比95:5の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いスパッタリング法によりITO層を形成し、可動電極基板となる透明導電性積層体を作製した。形成されたITO層の膜厚は約20nm、製膜後の表面抵抗値は約350Ω/□(Ω/sq)(Ω/sq)であった。作製した可動電極基板を150℃90分熱処理を行い、ITO膜を結晶化させた。熱処理前後の可動電極基板にヘーズ変化は見られず、ITOが結晶化した後の表面抵抗値は約280Ω/□(Ω/sq)(Ω/sq)であった。
実施例1と同様に固定電極基板を作製した。作製した固定電極基板と可動電極基板用いて図1の透明タッチパネルを作製した。作製した透明タッチパネルの筆記耐久性試験と端押し耐久性試験を行った。試験前後のリニアリティーを表1に示す。
Figure 2005116515
実施例1、3、比較例5で作製した透明タッチパネルの構成を表した模式図である。 実施例2で作製した透明タッチパネルの構成を表した模式図である。 比較例2、3で作製した透明タッチパネルの構成を表した模式図である。 実施例4で作製した透明タッチパネルの構成を表した模式図である。
符号の説明
1 ハードコート層
2 ポリエチレンテレフタレートフィルム
3 硬化樹脂層−1
4 硬化樹脂層−2
5 硬化樹脂層−3
6 高屈折率層
7 低屈折率層
8 透明導電層
9 ガラス基板
10 金属化合物層

Claims (11)

  1. 透明有機高分子基板の少なくとも一方の面上に塑性変形硬さの異なる硬化樹脂層−1と硬化樹脂層−2が順次積層され、該硬化樹脂層−2上に透明導電層が積層された透明導電性積層体であって、該硬化樹脂層−1の膜厚dと該硬化樹脂層−2の膜厚dが0.2≦d/d≦3.0の関係にあり、かつ膜厚が1μm≦d≦10μm、1μm≦d≦10μmであり、さらにHV>HV>HVかつHV>HV>HVの関係を有することを特徴とする透明導電性積層体。(ただし、透明有機高分子基板の塑性変形硬さをHV、透明有機高分子基板上に硬化樹脂層−1を形成して測定したときの塑性変形硬さをHV、透明有機高分子基板上に硬化樹脂層−2を形成して測定したときの塑性変形硬さをHV、透明有機高分子基板上に硬化樹脂層−1、硬化樹脂層−2が順次積層されたときの塑性変形硬さをHVとする)
  2. 該硬化樹脂層―2と透明導電層との間に、透明導電層と接して、かつ膜厚が透明導電層より薄く、更に膜厚が0.5nm以上10.0nm未満である金属化合物層を有する、請求項1記載の透明導電性積層体。
  3. 該硬化樹脂層−1を透明有機高分子基板上に形成した場合の塑性変形硬さHVが9.8×10Pa≦HV≦2.0×10Pa(1kgf/mm≦HV≦20kgf/mm)、また該硬化樹脂層−2を透明有機高分子基板上に形成した場合の塑性変形硬さHVが5.9×10Pa≦HV≦1.1×10Pa(60kgf/mm≦HV≦110kgf/mm)である請求項1または2記載の透明導電性積層体。
  4. 硬化樹脂層−1が(A)ウレタンアクリレートをモノマーとする硬化樹脂及び(B)合成ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種を10重量%以上含有する請求項1〜3のいずれか記載の透明導電性積層体。
  5. 硬化樹脂層−2と透明導電層の間に屈折率が1.20〜1.55で且つ膜厚が0.05〜0.5μmの硬化樹脂層−3を有する請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性積層体。
  6. 該硬化樹脂層−3は、平均1次粒子径が該硬化樹脂層−3の膜厚の1.1倍以上でかつ平均1次粒子径が1.2μm以下の大きさの微粒子Bを含有し、該微粒子Bの含有量は硬化樹脂層−3を形成する硬化樹脂成分の0.5重量%以下である請求項1〜5記載の透明導電性積層体。
  7. 硬化樹脂層−2と透明導電層の間に少なくとも1層の低屈折率層と少なくとも1層の高屈折率層からなる光学干渉層を有し、かつ低屈折率層が金属化合物層または透明導電層と接する請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性積層体。
  8. 該高屈折率層と該低屈折率層の少なくとも一方に、平均1次粒子径が光学干渉層の膜厚の1.1倍以上でかつ平均1次粒子径が1.2μm以下の微粒子Bを含有し、かつ該微粒子Bの含有量は該微粒子Bを含有する高屈折率層及び/又は低屈折率層を形成する硬化樹脂成分の0.5重量%以下である請求項1、2、3、4または7記載の透明導電性積層体。
  9. 透明導電層が酸化インジウムを主成分とした結晶質の膜であり、かつ透明導電層の膜厚が5〜50nmである請求項1〜8のいずれかに記載の透明導電性積層体。
  10. 更にHVが2.0×10Pa≦HV≦8.5×10Pa(20kgf/mm≦HV≦85kgf/mm)の範囲にある請求項1〜9のいずれかに記載の透明導電性積層体。(HVの定義は上記と同じである)
  11. 少なくとも片面に透明導電層が設けられた2枚の透明電極基板が互いの透明導電層同士が向き合うように配置されて構成された透明タッチパネルにおいて、少なくとも一方の透明電極基板として請求項1〜10のいずれかに記載の透明導電性積層体を用いた透明タッチパネル。
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