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JP2005112467A - 電子レンジ対応酒類飲料用容器 - Google Patents

電子レンジ対応酒類飲料用容器 Download PDF

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JP2005112467A
JP2005112467A JP2003420030A JP2003420030A JP2005112467A JP 2005112467 A JP2005112467 A JP 2005112467A JP 2003420030 A JP2003420030 A JP 2003420030A JP 2003420030 A JP2003420030 A JP 2003420030A JP 2005112467 A JP2005112467 A JP 2005112467A
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吉彦 半田
Shinichi Koike
真一 小池
Takashi Ikuto
崇史 生藤
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KIKU MASAMUNE SAKE BREWING CO
KIKUMASAMUNE SHUZO KK
Shikoku Kakoki Co Ltd
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KIKU MASAMUNE SAKE BREWING CO
KIKUMASAMUNE SHUZO KK
Shikoku Kakoki Co Ltd
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Abstract

【課題】 フタを開封しないまま電子レンジで安全に加熱することができる酒類飲料用容器を提供すること。
【解決手段】 開口部を有するカップとその開口部を閉じるフタからなる酒類飲料用容器において、前記フタが、カップ開口部周縁に接着されて容器を封止し、該フタの接着状態は電子レンジによる加熱により酒類飲料の温度が適温を越えた後に、内部圧力の上昇によって破裂音を発して開封される状態であることを特徴とする酒類飲料用容器。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フタを開封しないまま電子レンジで安全に加熱することができる酒類飲料用容器に関するものである。
清酒等の酒類飲料は、温めて飲用する習慣がある。一般に、容器に充填した飲料を安全に加熱する機器として、加温機が使用されている。このような加温機を用いた場合、飲料の入った容器を設定した温度にするには、それを加温機に入れてから長時間を要するという問題があった。このため、店頭等で販売する場合に、温かい飲料をすぐに購入したいという顧客の要望に応じるために、例えば、あらかじめ飲料の入った容器を暖めておくという方法もとられる。しかしながら、飲料をあまり長い間温かい状態にしておくと飲料が劣化して、その本来の味が損なわれるという問題がある。
一方、容器に充填した飲料を加熱する機器として、電子レンジも使用されている。電子レンジを加熱に用いれば、短時間で飲料を暖めることができ、飲料本来の味を損なわずに提供することが容易である。
しかしながら、電子レンジによって容器入り飲料を加熱する場合には、誤操作によって加熱しすぎてしまうことがある。この場合に、内部圧力の上昇で容器が破裂して高温の飲料が飛び散るといった事故や、上昇した内部圧力下で加熱された飲料が開封による減圧で突沸を生じて高温の飲料が噴き出すといった事故が起こることを防ぐため、電子レンジで加熱する場合には、通常、あらかじめ必ず容器を開封しておかなければならない。
さらに、店頭で受け取った温かい飲料を、店外に持ち出して飲用したいという顧客の要望も大きい。花見等の行楽や戸外でのスポーツ観戦等の場合には、購入した飲料をしばらく持ち歩く場合がよくある。この場合に飲料の入った容器が開封されないままであれば、飲料がこぼれることを気にする必要もなく、大変に便利である。また、飲む直前まで開封されないままであれば、衛生的でもあり、顧客に安心感を与える。
従って、フタを開封しないまま電子レンジで加熱でき、不都合な破裂が生じない飲料用容器が要請されていた。
この要請に応えるためには、フタを開封しないまま電子レンジで加熱しすぎた場合に、内部の圧力を逃がすことによって不都合な破裂をさけることができる飲料容器を用いることが考えられる。
このような考え方に基づく公知技術として、特許文献1を挙げることができる。これは、容器のフタの上からにさらに針状突起を有するキャップを被せた飲料用容器を開示している。ここで開示されている容器は、電子レンジで加熱しすぎた状態になると、フタが持ち上がって針状突起に接触し、これによって突き破られて導通路が生じて、内部の圧力を外部に導く仕組みとなっている。
また、同様な公知技術として、特許文献2、特許文献3及び特許文献4を挙げることができる。これらは、容器又はフタの一部に内圧に対して弱い弱封止部分を設けた容器を開示している。これらが開示する容器では、電子レンジで加熱しすぎた状態において、上述の弱封止部分が外部と導通路を形成することによって、内部の圧力を外部に導く仕組みとなっている。
特開2000−168850号公報 WO99/61346号公報 特開2003−182756号公報 特開2003−200979号公報
特許文献1の開示技術である針状突起によってフタの一部を突き破る方式では、フタと針状突起の距離や針状突起の形状等のわずかな変化によって、突き破られる温度・圧力が大きく異なってしまうこと、そのために目的の温度・圧力で作用する現実的な安全装置として使用するための工作精度を確保するには大きな費用を要すること等の欠点がある。
さらに、一般消費者の扱う飲料容器に鋭い針状突起を設けることは、危険でもある。
また、特許文献1〜4に開示されているようなフタ等のごく一部が外部と導通路を形成する方式では、内部の圧力がその部分に集中して、加熱しすぎた飲料がその導通路を通じて噴出する場合がある等の欠点がある。
さらに、上記欠点に加えて、ごく一部に外部との導通路が形成される方式では、電子レンジの庫内に入った状態で外部から取り出そうとした場合に、容器が開封された状態であるのかどうかを、目視で一見して判別することが困難であるという欠点がある。
しかし、導通路が生じた状態であることに気づかずに取り出そうとしてしまうと、そのような注意を払うことができずに、飲料の温度によっては手にかかって危険であり、衣服を汚損し、あるいは逆に容器内に予期しないものが入ってしまって不衛生である等の場合が生じる可能性がある。
また、従来の技術においては、飲料一般についての容器を提供することを目的としており、酒類飲料の特性を利用することによって酒類飲料に特に適した容器を提供する提案は見られない。
本発明は、上記種々の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、フタを開封しないまま電子レンジで安全に加熱することができる酒類飲料用容器を提供することである。
上記目的を達成するために、
特許請求項1に係る酒類飲料用容器は、
開口部を有するカップとその開口部を閉じるフタからなる基本構成を有し、
前記フタが、カップ開口部周縁に接着されて容器を封止し、該フタの接着状態は電子レンジによる加熱により酒類飲料の温度が適温を越えた後に、内部圧力の上昇によって破裂音を発して開封される状態であることを特徴とする。
これにより、酒類飲料入り容器を開封せずに電子レンジで加熱する際に、酒類飲料の適温までで加熱がなされた場合には、開封されることなく加熱がなされ、適温を越えた場合には内部圧力によって開封がなされることにより、不都合な破裂をさけるとともに、加熱しすぎたことを利用者に気づかせることができる。
この酒類飲料としては、例えば、清酒、合成清酒、焼酎、老酒のいずれか又はその希釈物等を挙げることができる。
請求項2に記載の酒類飲料用容器は、
前記接着状態が、アルコール濃度10〜18質量%の酒類飲料が75〜85℃の温度に至ったときに破裂音を発して開封される状態とされたことを特徴とする。
例えば、清酒、合成清酒等がこのアルコール濃度である酒類飲料に含まれる。
この温度領域を選択することにより、清酒等の酒類飲料の適温を越えてはいるが、誤って手にこぼしたりしてもひどい火傷等をもたらす危険のない温度で、開封することが可能となる。
また、これはエタノール濃度15質量%付近の水溶液が、85℃付近で沸点を有するという知見を利用したものである。
請求項3に記載の酒類飲料用容器は、
前記接着状態が、大気圧下で、大気圧よりも40〜79kPaの範囲、好ましくは45〜76kPaの範囲、特に好ましくは50〜69kPaの範囲、さらに特に好ましくは51〜69kPaの範囲だけ高い内部圧力に至ったときに開封される接着状態であることを特徴とする。
この圧力領域を選択することにより、本発明において好適な温度領域での開封が可能となる。
請求項4に記載の酒類飲料用容器は、
前記接着状態が、破裂音を発して好ましくはフタの3分の1以上の領域、特に好ましくはフタの半分以上の領域が開封される状態とされていることを特徴とする。
これによって加熱しすぎた飲料の噴出の危険を極めて小さなものとすることができる。
請求項5に記載の酒類飲料用容器は、
前記フタが、外側の表面層と前記カップ開口部に接着される接着層を含む多層構造を有し、前記表面層が柔軟性を有する材料からなり、前記接着層が熱圧着性を有する材料からなっていることを特徴とする。
この構成をとることにより、本発明の上記作用を奏することのできる酒類飲料用容器を、フタ部の優れた使用性を確保しつつ有利に得ることができる。
請求項6に記載の酒類飲料用容器は、
前記フタの接着される前記カップ開口部周縁の表面が、所定幅の円環状の平滑面として形成されたことを特徴とする。
平滑面とする構成をとることにより、均一な接着を生じることを容易にすることができ、これによって破裂音をより明確に且つ確実に発生させることができる。
請求項7に記載の酒類飲料用容器は、
開口部を有するカップとその開口部を閉じるフタからなる基本構成を有し、
前記フタが表面層と接着層を含む多層構造から成り、前記表面層が柔軟性を有する材料により構成され、前記接着層が熱圧着性を有する材料により構成され、該フタは前記カップ開口部周縁に熱圧着により接着され、その接着の強度が3〜17N/15mmの範囲(さらに5〜15N/15mm、特に6〜12N/15mmの範囲が好ましい)である構成をとることを特徴とする。
この構成は、本件発明において好適な構成要件を備えたものであり、これにより、上述の作用を確実に得ることができる。
請求項8に記載の酒類飲料容器は、
前記熱圧着による接着が、大気圧下で、大気圧より40〜79kPaの範囲、好ましくは45〜76kPaの範囲、特に好ましくは50〜69kPaの範囲、さらに特に好ましくは51〜69kPaの範囲だけ高い内部圧力に至ったときに開封される接着状態であることを特徴とする。
この構成は、本件発明において好適な構成要件を備えたものであり、これにより、上述の作用を確実に得ることができる。
請求項9に記載の酒類飲料容器は、
前記表面層が未延伸ナイロンを含んでいることを特徴とする。
前記表面層には、用途に応じて樹脂フィルムを用いることができるが、未延伸ナイロンを含む構成をとることにより、適切な柔軟性と強度を付与することができ、接着の破壊をもたらす内部圧力が接着部分へ均一に伝達される結果、破裂音がより明確に発生し、且つより広い領域のフタの開封をもたらすことができる。
請求項10に記載の酒類飲料用容器は、前記カップ開口部周縁が好ましくはPET(ポリエチレンテレフタレート)特に好ましくはA−PET(アモルファス性ポリエチレンテレフタレート)を含む材料で構成され、前記接着層がPETを含んでいることを特徴とする。
この構成をとることにより、カップ開口部周縁の表面を平滑面とすることが容易となり、それによって均一な接着を生じることを容易にすることができ、且つ、容器に柔軟性を適切な付与することにより、接着の破壊をもたらす内部圧力が接着部分へ均一に伝達することができ、これらによって破裂音がより明確に発生し、且つより広い領域のフタの開封をもたらすことができる。
本発明の酒類飲料用容器は、正常な使用状態においては、酒類飲料を充填してフタを開封しないまま電子レンジで加熱することができる。
このため、正常な使用状態においては短時間の加熱で風味を保った酒類飲料を得ることができる。また、未開封であるために、持ち運びに便利であり、衛生的であり、そのため消費者が安心できるような容器入り酒類飲料を得ることができる。
そして本発明の酒類飲料用容器は、電子レンジの誤操作で加熱しすぎた場合には、内部の圧力を逃がすことによって不都合な破裂等をさけることができる。そして、本発明の好ましい実施の態様によれば、加熱しすぎた場合でも、酒類飲料の予期しない噴出が起こらない。これらによって電子レンジ操作者の安全を確保することができる。
さらに、本発明の酒類飲料容器は、加熱しすぎたことによって開封状態になる場合に、破裂音を発する。本発明は、フタを一時に剥離する構成をとることにより、電子レンジ庫外からはっきりと聞こえる「ポン」という破裂音を警告音として発生させることが十分な音量と再現性で可能とした。
このような破裂音は、破裂に伴う現象として従来は忌避されるものであったため、一部に導通路を形成する方式においても、スムースで無音のガス抜きが理想的とされて、破裂音がしないことが長所であると考えられていた。しかし、制御された破裂音であれば破裂音そのものには危険はなく、電子レンジ操作者に誤操作の自覚をもたらす警告音として適切な音である。
また、本発明の酒類飲料用容器は、誤操作によって加熱しすぎたために開封状態となった場合には、電子レンジ庫内から、フタの開いたその外観によって容易に視認できる。
これらの警告音と外観とによって、本発明の酒類飲料用容器は、誤操作による加熱しすぎをしてしまった場合には、それを操作者に認識させて、それ以上の誤操作を中止する機会を与えるとともに、取り出し時に注意を払わせることができるために安全である。そして、電子レンジ操作者を火傷等の危険から遠ざけるとともに、うっかり酒類飲料をこぼすことによる衣服等の汚損から保護し、予期しない異物の混入を防ぐことで衛生状態を確保することができる。
また、酒類飲料特有の温度領域、すなわち、前記75〜85℃の温度領域を、フタが開封する温度領域として選ぶことにより、本発明の酒類飲料用容器の好適な実施の態様においては、清酒等の酒類飲料の適温を越えてはいるが、ひどい火傷等をもたらす危険のない温度で、開封することが可能となるために安全である。
本発明の酒類飲料用容器は、その構造に針状突起等を用いないために一般消費者にとって安全である。また、そのような複雑な構造を持たないために簡易で安価に製造することができる。
本発明の酒類飲料用容器は、開口部を有するカップとその開口部を閉じるフタを基本構造として有する。
図1、図2、図3及び図4に本発明の酒類飲料用容器の最良の形態の1例を示す。これらの図は説明図であって、本発明はこれらの説明図によって限定されるものではない。
図1は、本発明の酒類飲料用容器が、フタによって封止された状態を示した説明図である。カップ5の開口部は、フタ1によって封止されている。容器内には点線で示す位置まで、清酒が充填されている。
図1の酒類飲料用容器は、そのフタが、カップ開口部周縁に接着して容器を封止されて、該フタの接着状態は電子レンジによる加熱により酒類飲料の温度が適温を越えた後に、内部圧力の上昇によって破裂音を発して開封される状態とされている。
図2は、図1の酒類飲料用容器のフタの約半分が、電子レンジで加熱しすぎて内部圧力により自動開封した状態を示した説明図である。柔軟性を有するフタ1が、カップ5におけるカップ開口部周縁の表面6aから、半分ほどまで剥離した状態を示している。
図3は、図1におけるカップ開口部付近(A−A断面)を部分拡大した説明図である。フタ1は、表面層2及び接着層3の多層構造からなっている。カップ5の開口部周縁6は、フタとの接着に有利であるようにカップ本体から外側へ向けて突き出された円環状となっている。
図4は、図2におけるカップ開口部付近(A−A断面)を部分拡大した説明図である。図4は、図3においてフタ1をカップ5開口部周縁6から、フタの一定領域が剥離した状態に相当する。フタ1の接着層3と接着されるカップ開口部周縁の表面6aは、平滑面となっている。図4ではフタの接着層が表面層に従って剥がれ、剥離はカップ開口部周縁の表面6aと接着層3との境界において生じており、界面剥離の状態を示している。ただし、これは剥離状態の1例にすぎない。
本発明の酒類飲料用容器において用いられるフタの全体形状は、カップ開口部周縁の形状に対応して変えることができる。特に、円環状のカップ開口部周縁に接着して封止しやすいように、円盤状の形状とすることができ、これは内部圧力の均一な伝達の観点から好ましい形状である。
前記フタの材料としては、封止された状態で圧力を均一に伝えることができるような柔軟性ある材料が好ましく、加熱により軟化する材料を含むことが好ましい。このような材料として、樹脂を含むものを用いることができ、特に多層構造の樹脂フィルムを含んで構成されることが、種々の性質の付与の観点から好ましい。
前記フタは、外側の表面層と前記カップ開口部に接着される接着層を含む多層構造を有し、前記表面層が柔軟性を有する材料からなり、前記接着層が熱圧着性を有する材料からなっていることが、その実施において好適である。
フタの表面層には、用途に応じて樹脂フィルムを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ビニロン、ナイロン等を使用することができ、強度と柔軟性、及び内圧伝達の観点から未延伸ナイロンが好ましい。
フタの接着層には、フタとカップ開口部周縁とを接着するための接着材料を含ませる。この接着材料には、接着剤及び熱圧着性(ヒートシール性)のある材料を使用することができ、最適な接着材料はカップ開口部周縁の材質にも依存するが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン酢酸ビニル共重合体等を使用することができる。
また、フタの接着層には、接着の強度の調節の観点から、いわゆる易開封性(イージーピールオープン性)の材料を用いることが好ましい。カップ開口部周縁にA−PET(アモルファス性ポリエチレンテレフタレート)を使用した場合には、接着層としてPET(ポリエチレンテレフタレート)を含むものとすることで好適に実施することができる。
なお、フタに関して説明した接着層に含まれる接着材料を、フタの接着層ではなくカップ開口部周縁表面層に含むものとすることによって、同一の接着状態を有する本発明の酒類飲料用容器を製造することができる。また、接着材料により、フタ側とカップ側の両方に含むようにすることもできる。
さらに、フタは表面層と接着層を有しているが、これを兼ねた一層構造をとることもできる。
また、フタは、表面層と接着層の間に、中間層を有することもでき、さらに複数の層を含む多層構造とすることもできる。この中間層は用途に応じて用いることができるが、酒類飲料の鮮度保持の観点からガスバリア性を有する中間層を設けることが好ましい。これには、例えば、ガスバリアフィルムを用いることができる。
このガスバリアフィルムとしては、例えば、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン等を使用することができ、シリカ蒸着フィルムを用いることもできる。
カップ部の全体形状は、種々の形状をとることができるが、例えば、円筒形様形状とすることができ、さらにこの円筒形様形状を基本としてそれが、カップ部底部から開口部にかけて次第に外径が広がってゆく形状、次第に狭まってゆく形状、胴部の途中でくびれ又はふくらみを有する形状とすることができる。
カップ部の材料としては、非金属材料で液体と気体を遮断する一般的な材料を用いることができ、例えば、耐熱ガラス、耐熱セラミック等、及びポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル、PET(ポリエチレンテレフタレート)、A−PET(アモルファス性ポリエチレンテレフタレート)、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレンナフタレート等の樹脂を用いることができ、これら及び紙等のうちから選択された材料による積層材を用いることができる。カップ開口部周縁の表面を平滑面とすることの容易性の観点からは、開口部周縁表面の材料に樹脂を用いることが好ましく、特に飲料への適合性と環境適性の観点からPET(ポリエチレンテレフタレート)なかでもA−PET(アモルファス性ポリエチレンテレフタレート)が特に好ましい。
上記の材料を成形して、カップ部分を製造するためには通常の方法を用いることができ、例えば、樹脂であれば、真空圧空成形、真空成形、射出成形等を用いることができる。
本発明の酒類飲料用容器のフタの接着状態は、電子レンジによる加熱により酒類飲料の温度が適温を越えた後に、内部圧力の上昇によって破裂音を発して開封される状態である。
前記接着状態が、破裂音を発して好ましくはフタの3分の1以上の領域、特に好ましくはフタの半分以上の領域が開封される状態とされると、これによって加熱しすぎた飲料の噴出の危険を極めて小さなものとすることができる。
また、前記接着状態が、75〜85℃の温度に至ったときに破裂音を発して開封される状態とされた場合には、アルコール濃度10〜40質量%、好ましくは10〜18質量%、特に12〜16質量%の酒類飲料を充填するための本発明の酒類飲料用容器として好ましい。このような濃度の酒類飲料としては、清酒、合成清酒、焼酎、老酒のいずれか又はその希釈物等を挙げることができ、本発明の酒類飲料用容器は、特に清酒、合成清酒の容器として好適である。
すなわち、コーヒー、紅茶、日本茶、ウーロン茶等は、一般的には80〜100℃で、最も低くとも60℃以上の温度で抽出して飲用する習慣があるために、これらを含む加糖飲料や乳飲料であっても、これに近い温度で提供されたものが好まれる。このような80℃以上の温度帯を目標として加熱した容器入り飲料に対して、電子レンジの誤操作によって加熱しすぎている状態をさらに続けた場合には、ひどい火傷の危険があるほどの高温へと容易に到達してしまう。
しかし、清酒等の酒類飲料は、コーヒー等の一般的飲料よりも、もっと低い温度での飲用が好まれている。清酒の燗の適温範囲は40〜60℃とされ、このような伝統的習慣から、他の酒類もこれに近い温度での飲用が好まれる。このような40〜60℃の温度帯を目標として加熱した容器入り酒類飲料に対して、電子レンジの誤操作によって加熱しすぎた状態をさらに続けた場合には、ひどい火傷の危険があるほどの高温になる前に、温度領域のゆとりが存在する。
この酒類飲料特有の温度領域、すなわち、前記75〜85℃の温度領域を、フタが開封する温度領域として選ぶことにより、本発明の酒類飲料用容器の好適な実施の態様において、清酒等の酒類飲料の適温である40〜60℃の範囲を越えてはいるが、且つひどい火傷等をもたらす危険のない温度で、開封することが可能となる。
一方、電子レンジでの加熱操作は、その出力での加熱時間を目安として指示される場合が多いが、室温であっても年間15℃程度変動するために、同じ加熱時間での到達温度はその範囲の変動を受けることとなる。高めの温度の燗の嗜好にも確実に対応して、未開封で便利な容器入りの加温された酒類飲料を提供するためには、本発明でのフタの開封時の温度は高いほどよいが、上記室温の変化を考慮すれば、フタが開封する温度領域は、清酒の燗の適温範囲40〜60℃の上限である60℃から、少なくとも15℃高い温度である75℃以上とすることが好適である。
さらに、本発明でのフタの開封時の温度は、より安全であるという観点からは低ければ低いほどよいが、例えば日本茶の飲用の適温のうちの高めの温度としては85℃まで認められることから、フタが開封する温度領域は、85℃以下とすることが好適である。
また、これはエタノール濃度15質量%付近の水溶液が、純水の沸点である100℃よりも低い、85℃付近で沸点を有するという知見を利用したものであり、エタノール水溶液の濃度は、いずれの濃度においても純水よりも低い沸点を有するという知見を用いたものである。
本発明の好適な実施の態様においては、前記75〜85℃の温度領域のなかでも、特に79〜82℃、さらに80〜81℃の温度領域での好適な開封が確認された。
さらに、フタとカップ開口部周縁との接着状態は、均一に形成されていることが好ましい。これによって容器内部からの圧力が均一に伝達され、それによってフタの開封が接着面の広い領域で一斉に生じるようにすることができる。
またこのために、カップ開口部周縁の端面は、フタとの接着に適した表面であって、均一な接着を形成するという観点から、平滑面として形成されていることが好ましい。すなわち、好ましい実施の態様においては、フタと接着できるカップ開口部周縁が、カップの端部からカップの胴部に対して横方向に延びて円環状をなしており、フタと接着する側の表面が、平滑面である。
また、フタとカップ開口部周縁との接着状態は、その接着の強度が、3〜17N/15mmの範囲となることが開封の観点から好ましく、さらに5〜15N/15mm、特に6〜12N/15mmの範囲が好ましい。接着の強度がこれより小さい場合には、酒類飲料の加熱が不十分な時点で開封してしまう場合があり、接着の強度がこれより大きい場合には、誤操作によりすでに加熱し過ぎている場合にも開封しないままさらに内部の温度・圧力が上昇してしまう場合がある。
また、フタとカップ開口部周縁との接着状態は、その接着が、大気圧下で、大気圧より40〜79kPaの範囲、好ましくは45〜76kPaの範囲、特に好ましくは50〜69kPaの範囲、さらに特に好ましくは51〜69kPaの範囲だけ高い内部圧力に至ったときに開封される接着状態であることが好ましい。これより小さい内部圧力(外部圧力との差)で開封される接着である場合には、酒類飲料の加熱が不十分な時点で開封してしまうことがあり、接着の強度がこれより大きい場合には、誤操作によりすでに加熱し過ぎている場合にも開封しないままさらに内部の温度・圧力が上昇してしまうことがある。
そして、フタ、カップ及び接着状態について、上述の構成をとることにより、本発明の酒類飲料用容器を有利に得ることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例で使用される材料は以下の通りである。
(A)樹脂フィルムフタ
イージーピールオープンフィルムとして、ポリエチレン/ポリエステル系接着樹脂/ヒートシール性PETの多層構造を有するフィルム(商品名;ABF64C 30番手;東セロ(株)製)を用意した。
未延伸ナイロン(厚さ20μm)(表面層)/EVOHフィルム(厚さ15μm)(ガスバリアフィルム、中間層)/イージーピールオープンフィルム(厚さ30μm)(接着層)を各層として、ドライラミネートにより接着し、多層構造を有するフィルムを作成して、これを円盤形状に裁断して、樹脂フィルムフタを作成した。
(B)樹脂成形落としブタ
イージーピールオープンフィルムとして、樹脂フィルムフタの場合と同じく、ポリエチレン/ポリエステル系接着樹脂/ヒートシール性PETの多層構造を有するフィルム(商品名;ABF64C 30番手;東セロ(株)製)を用意した。
ポリエチレン樹脂を落としブタ形状に成形して、これに、イージーピールオープンフィルムをドライラミネートにより接着して、ポリエチレン樹脂(厚さ250μm)(基材)/イージーピールオープンフィルムの構成の樹脂成形落としブタを作成した。
(C)アルミフィルムフタ
アルミフィルムに、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(商品名;T.U.X VC 30番手;東セロ(株)製)を接着材料としてドライラミネートにより接着し、円盤形状に裁断して、アルミフィルム(厚さ29μm)/直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの構成のアルミフィルムフタを作成した。
(D)アルミ成形落としブタ
アルミ板を落としブタ形状に成形して、これに直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(商品名;T.U.X VC 30番手;東セロ(株)製)を接着材料としてドライラミネートにより接着し、アルミ(厚さ40μm)(基材)/直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの構成のアルミ成形落としブタを作成した。
(E)カップ
A−PET(アモルファス性ポリエチレンテレフタレート)を射出成型して、円筒形状を基調として、開口部に向かって次第に外径が大きくなってゆく形状のカップとした。容積は200mlで、樹脂厚みは300μmのカップとした。フタと接着できるカップ開口部周縁が、カップの端部からカップの胴部に対して横方向に延びた円環状とし、フタと接着する側の表面を平滑面とした。
(F)清酒
エタノール濃度15質量%の清酒(菊正宗酒造(株)製)を用いた。
酒類飲料入り容器の作製
カップに180mlの清酒を熱酒充填し、すぐにフタを閉じてフタとカップとを、後に示す封緘強度で熱圧着して密閉した。その後、室温で3時間放置して、清酒を室温にした。上述の4種類のフタを備えた清酒入り容器を、それぞれ作製した。室温になった清酒入り容器のうちで、フィルムがフタであるものは、フタが内側へとへこんでおり、内部が大気圧に対して陰圧となっていることを推測させた。フタとカップとの接着強度は、後に示す通りであった。
また容器としての適性を試験するために、清酒入り容器の落下試験を行った。落下試験は、一群の清酒入り容器を用意して、50cm高さから容器側面部の2回落下及び、底部の2回落下を実施した。
電子レンジによる加熱及び評価方法
出力500Wの家庭用電子レンジを用いて、作製した清酒入り容器を加熱した。一群の清酒入り容器は1分間加熱後に電子レンジ庫内から取り出して、手によってフタをはずして開封した。この場合、内部の清酒はいずれも約50℃に加温されていた。また、この手によって開封した場合のフタの開封感とフタ接着部分の切れ残りの様子とを観察した。別な一群の清酒入り容器は1分を超えて加熱を続け、さらに2分を超えて加熱した場合のそれぞれの状態を観察した。温度は水銀温度計にて測定した。
また、接着強度は、それぞれのフタ及びカップと同じ材質の接着片(15mm×25mm)を作成して、これに対して測定を次のように行うことで、それぞれのフタとカップの接着強度とした。
上述の接着片の端部を少し剥離させ、剥離した端部をそれぞれ挟持し、20mm/minの速度で相互に離間させて樹脂フィルムと被接着体樹脂を剥離させた際の荷重値を測定し、この値を接着強度とした。接着強度の値は試験片の幅を15mmとした場合に換算して統一して、N/15mmの単位で表示した。
これらの結果を以下に示す。
(1)樹脂フィルムフタを使用した清酒入り容器
Figure 2005112467
封緘強度 282mmHg
熱圧着温度 120℃
接着強度 15.2N/15mm
落下試験 落下試験後に液体の漏れなし
Figure 2005112467
加熱開始1分後の状態 フタは開封せず、清酒温度50℃
手による開封感 開けやすい
フタ切れ残り フタ接着部分の切れ残りは、ほとんどない
Figure 2005112467
加熱開始2分以後の状態
フタは、すでに上方に膨らんでいた。まもなくポンという破裂音ととも
にフタの3分の2以上が開封した。このときの清酒の温度は、80℃であった。
これを手にこぼしたところ、熱さは感じたが、火傷には至らなかった。
Figure 2005112467
(2)樹脂成形落としブタを使用した清酒入り容器
Figure 2005112467
封緘強度 300mmHg以上
熱圧着温度 120℃
接着強度 33.3N/15mm
落下試験 側面落下試験後に液体の漏れが生じた
Figure 2005112467
加熱開始1分後の状態 フタは開封せず、清酒温度50℃
手による開封感 非常に硬く開けにくい
フタ切れ残り フタ接着部分の切れ残りは、ほとんどない
Figure 2005112467
加熱開始2分以後の状態
フタの一部がしばらくすると剥離し、それと同時にその部分から清酒が
噴水のように激しく吹き出してきた。吹き出すときの清酒の温度は、90℃であ
った。剥離に際して、音は聞こえなかった。
Figure 2005112467
(3)アルミフィルムフタを使用した清酒入り容器
Figure 2005112467
封緘強度 300mmHg以上
熱圧着温度 120℃
接着強度 22.9N/15mm
落下試験 落下試験後に液体の漏れなし
Figure 2005112467
加熱開始1分後の状態 フタは開封せず、清酒温度50℃
手による開封感 開けやすい
フタ切れ残り アルミフィルム層ごと、ところどころ切れて残る
Figure 2005112467
加熱開始2分以後の状態
フタの一部がしばらくすると剥離した。その後、その部分から清酒が噴
水のように激しく吹き出してきた。剥離したときの清酒の温度は85℃であった。
吹き出すときの清酒の温度は90℃であった。剥離に際して、音は聞こえなかっ
た。
Figure 2005112467
(4)アルミ成形落としブタを使用した清酒入り容器
Figure 2005112467
封緘強度 300mmHg以上
熱圧着温度 120℃
接着強度 47.0N/15mm
落下試験 落下試験後に液体の漏れなし
Figure 2005112467
加熱開始1分後の状態 フタは開封せず、清酒温度50℃
手による開封感 非常に硬く開けにくい
フタ切れ残り 接着材料が残り、気になる
Figure 2005112467
加熱開始2分以後の状態
フタの一部がしばらくすると剥離し、それと同時にその部分から清酒が
噴水のように激しく吹き出してきた。吹き出すときの清酒の温度は、90℃であ
った。剥離に際して、音は聞こえなかった。
Figure 2005112467
上記結果より、以下のことがわかった。
いずれの清酒入り容器も、電子レンジによる加熱開始1分後には内部の清酒は50℃の適温となった。2分以後も続けて加熱した場合に、本発明の樹脂フィルムフタ(A)を使用した清酒入り容器(1)は、レンジ庫外からはっきり聞こえるポンという破裂音とともにフタの3分の2以上が開封した。このときの清酒は火傷をもたらすほどの温度にはなっていなかった。一方、2分以後も続けて加熱した場合に、本発明の樹脂フィルムフタ(A)以外のフタ(B)〜(D)を使用した清酒入り容器(2)〜(4)は、電子レンジの操作者にはっきりと認識できるような音を発しないままに、高温の清酒の噴出が始まった。
また、加熱開始1分後に取り出した場合に、手によって開封しやすいかどうか、及びフタの切れ残りや接着材料の一部が容器に付着して不自然な外見を示さないかといった比較において、本発明の樹脂フィルムフタ(A)を使用した清酒入り容器(1)は、開封しやすく、切れ残りなどを残しておらず、容器としての優秀性を示した。一方、本発明の樹脂フィルムフタ(A)以外のフタ(B)〜(D)を使用した清酒入り容器(2)〜(4)は、開封しにくかったり、切れ残りが残って不自然であったりした。
以上より、本発明の酒類飲料用容器は、電子レンジを用いてフタを開けないままで加熱することができ、その場合の容器としての開封感等も優れていること、また誤操作で加熱し過ぎた場合でも警告を与える破裂音とともに開封し、操作者に注意を与える一方で、高温の飲料の噴出や予期しない破裂が起きないことがわかった。
以下、異なる実施例により本発明を詳細に説明する。
実施例で使用される材料は以下の通りである。
(G)樹脂フィルム1
イージーピールオープンフィルムとして、ポリエチレン/ポリエステル系接着樹脂/ヒートシール性PETの多層構造を有するフィルム(商品名;ABF64C 30番手;東セロ(株)製)を用意した。
未延伸ナイロン(厚さ20μm)(表面層)/EVOHフィルム(厚さ15μm)(ガスバリアフィルム、中間層)/イージーピールオープンフィルム(厚さ30μm)(接着層)を各層として、ドライラミネートにより接着し、多層構造を有するフィルムを作成して、これを15mm×25mmに裁断し、樹脂フィルム1として用いた。
これは実施例1における(A)樹脂フィルムフタと同じ多層構造を有したフィルムである。
(H)樹脂フィルム2
イージーピールオープンフィルムとして、ポリエチレン/ポリエステル系接着樹脂/ヒートシール性PETの多層構造を有するフィルム(商品名;ABF65C 30番手;東セロ(株)製)を用意した。
未延伸ナイロン(厚さ20μm)(表面層)/EVOHフィルム(厚さ15μm)(ガスバリアフィルム、中間層)/イージーピールオープンフィルム(厚さ30μm)(接着層)を各層として、ドライラミネートにより接着し、多層構造を有するフィルムを作成して、これを15mm×25mmに裁断し、樹脂フィルム2として用いた。
この樹脂フィルム2は、樹脂フィルム1におけるABF64Cに代えて、ABF65Cを用いたことを除けば、同じ多層構造のフィルムである。ABF65Cは、ABF64Cにおいてヒートシール性PETを変更してより低温で熱圧着できるようにしたものである。その特性の違いは、以下の実験の結果に示されている通りである。
(I)被接着体樹脂
被接着体樹脂として、厚さ300μmで15mm×25mm大きさのA−PET(アモルファス性ポリエチレンテレフタレート)を用意した。
熱圧着片の作製
樹脂フィルム1又は樹脂フィルム2を、圧力0.2MPa、時間1.0秒で被接着体樹脂に熱圧着した。それぞれについて、100℃から200℃までの異なる温度で熱圧着した小片を作製した。
接着強度の測定
接着した樹脂フィルムと被接着体樹脂の端部を少し剥離させ、剥離した端部をそれぞれ挟持し、20mm/minの速度で相互に離間させて樹脂フィルムと被接着体樹脂を剥離させた際の荷重値を測定し、この値を接着強度とした。接着強度の値は試験片の幅を15mmとした場合に換算して統一して、N/15mmの単位で表示した。
これらの結果を図5に示す。
図5は、被接着体樹脂と樹脂フィルム1の熱圧着片(PET/64Cと、図5に表記)と、被接着体樹脂と樹脂フィルム2の熱圧着片(PET/65Cと、図5に表記)とについて、それぞれ横軸の温度において熱圧着した後に、接着強度(N/15mm)を測定して縦軸に示したグラフである。
図5に示した結果から、以下のことがわかった。
被接着体樹脂と樹脂フィルム1の熱圧着片では、110〜130℃の温度範囲の熱圧着で5〜15N/15mmの範囲の接着強度が得られたのに対して、被接着体樹脂と樹脂フィルム2の熱圧着片では、110〜180℃の温度範囲の熱圧着で5〜15N/15mmの範囲の接着強度が得られた。
そして、この実施例2における被接着体樹脂と樹脂フィルム1の組み合わせ及び被接着体樹脂と樹脂フィルム2の組み合わせを用いて、実施例1における樹脂フィルムフタ(A)を使用した清酒入り容器(1)と同様の実験をしたところ、5〜15N/15mmの範囲の接着強度は、レンジ庫外からはっきり聞こえるポンという破裂音とともにフタの3分の2以上が開封する強度として、適切な範囲であった。
すなわち、被接着体樹脂と樹脂フィルム1の熱圧着片では、110〜130℃の温度範囲の熱圧着が本発明の酒類飲料用容器に用いるためには適切であったのに対して、被接着体樹脂と樹脂フィルム2の熱圧着片では、110〜180℃の比較的広い温度範囲の熱圧着が本発明の酒類飲料用容器に用いることのできる点で優れていたこと、しかし、いずれにせよ、接着強度を制御することにより、被接着体樹脂と樹脂フィルム1の組み合わせであっても、被接着体樹脂と樹脂フィルム2の組み合わせであっても、本発明の酒類飲料用容器に用いることができること、その適切な接着強度は、5〜15N/15mm、特に6〜12N/15mmの範囲が好ましいことがわかった。
以下、異なる実施例により本発明を詳細に説明する。
実験の方法
耐熱ガラス製の三角フラスコ(容積200ml)に、テフロン(登録商標)樹脂で被覆された磁気攪拌子(長さ約2cm、直径6mm、円筒形)をあらかじめ入れた。この三角フラスコに、エタノール濃度14質量%の清酒(菊正宗酒造(株)製)を常温で180ml充填し、シリコンゴム栓で密閉した。実験中の清酒の温度は、あらかじめシリコンゴム栓を貫通して挿入した水銀温度計で測定した。また、実験中の容器の内部圧力は、あらかじめシリコンゴム栓を貫通して挿入した管部をマノメータへ接続して外気圧との差として測定した。この三角フラスコに入れた清酒を、大気圧下で、加熱付き磁気攪拌装置で攪拌しつつ加熱して、清酒の温度と各温度の内部圧力(外気圧との差)とを測定した。測定は同様に準備した三角フラスコに入った清酒の3組について行った。この結果を、表1に示す。(表1中の2回目の測定は、途中でシリコンゴム栓がはずれたために、81℃までの測定を行った。)
[表1] 清酒温度と容器の内部圧力(外気圧との差)との関係
Figure 2005112467
表1に示した結果から、以下のことがわかった。
清酒温度の上昇と共に容器の内部圧力(内部圧力)が上昇した。清酒温度が75℃に至ると、内部圧力は45〜50kPaの範囲で外気圧よりも高い値になったと読みとることができ、清酒温度が78℃に至ると51〜56kPaの範囲の内部圧力を示し、清酒温度80〜81℃においては、55〜64kPaの範囲の内部圧力を示し、清酒温度が83℃に至ると63〜69kPaの範囲の内部圧力を示し、清酒温度が85℃に至ると69〜76kPaの範囲の内部圧力を示している。
一方、本発明の酒類飲料用容器は、75〜85℃の温度に至ったときに好適に開封するものであり、特に好適な実施の態様においては清酒温度80〜81℃で開封するものであった。そして、これらの温度に対応した内部圧力の範囲が表1の結果からわかった。すなわち、これらの内部圧力の範囲に至ったときに、フタとカップ開口部周縁との接着が開封される接着状態とすることにより、本発明の酒類飲料容器を有利に得ることができる。
本発明の酒類飲料用容器の実施の態様の1例を示した説明図である。 図1の酒類飲料用容器が、加熱しすぎによって開封された状態を示した説明図である。 図1の酒類飲料用容器のカップ開口部付近(A−A断面)を部分拡大した説明図である。 図2の酒類飲料用容器のカップ開口部付近(A−A断面)を部分拡大した説明図である。 本発明に関連する被接着体樹脂と樹脂フィルムの組み合わせにおいて、熱圧着温度と接着強度との関係を示したグラフである。(実施例2)
符号の説明
1 フタ
2 表面層
3 接着層
5 カップ
6 カップ開口部周縁
6a カップ開口部周縁の表面

Claims (10)

  1. 開口部を有するカップとその開口部を閉じるフタからなる酒類飲料用容器において、
    前記フタが、カップ開口部周縁に接着されて容器を封止し、該フタの接着状態は電子レンジによる加熱により酒類飲料の温度が適温を越えた後に、内部圧力の上昇によって破裂音を発して開封される接着状態であることを特徴とする酒類飲料用容器。
  2. 前記接着状態が、アルコール濃度10〜18質量%の酒類飲料が75〜85℃の温度に至ったときに破裂音を発して開封される状態とされたことを特徴とする請求項1に記載の酒類飲料用容器。
  3. 前記接着状態が、大気圧下で、大気圧より45〜76kPaの範囲だけ高い内部圧力に至ったときに開封される接着状態にあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の酒類飲料用容器。
  4. 前記接着状態が、破裂音を発してフタの3分の1以上の領域が開封される状態とされたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酒類飲料用容器。
  5. 前記フタが、外側の表面層と前記カップ開口部に接着される接着層を含む多層構造を有し、前記表面層が柔軟性を有する材料からなり、前記接着層が熱圧着性を有する材料からなっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酒類飲料用容器。
  6. 前記フタの接着される前記カップ開口部周縁の表面が、所定幅の円環状の平滑面として形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の酒類飲料用容器。
  7. 開口部を有するカップとその開口部を閉じるフタからなる酒類飲料用容器において、
    前記フタが表面層と接着層を含む多層構造から成り、前記表面層が柔軟性を有する材料により構成され、前記接着層が熱圧着性を有する材料により構成され、該フタは前記カップ開口部周縁に熱圧着により接着され、その接着の強度が5〜15N/15mmの範囲であることを特徴とする酒類飲料用容器。
  8. 熱圧着による接着が、大気圧下で、大気圧より45〜76kPaの範囲だけ高い内部圧力に至ったときに開封される接着状態であることを特徴とする請求項7に記載の酒類飲料用容器。
  9. 前記表面層が未延伸ナイロンを含んでいることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の酒類飲料用容器。
  10. 前記カップ開口部周縁がPET又はA−PETを含む材料で構成され、前記接着層がPETを含んでいることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の酒類飲料用容器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014213929A (ja) * 2013-04-30 2014-11-17 凸版印刷株式会社 紙カップ
JP2015000050A (ja) * 2013-06-18 2015-01-05 乙彦 宮内 包装済み冷凍うどん

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