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JP2005188309A - スロットル系の異常判定装置 - Google Patents

スロットル系の異常判定装置 Download PDF

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JP2005188309A JP2003427549A JP2003427549A JP2005188309A JP 2005188309 A JP2005188309 A JP 2005188309A JP 2003427549 A JP2003427549 A JP 2003427549A JP 2003427549 A JP2003427549 A JP 2003427549A JP 2005188309 A JP2005188309 A JP 2005188309A
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Abstract

【課題】 スロットル制御システムの異常がエンジン運転状態に及ぼす影響が大きい領域で、スロットル制御システムの異常を早めに検出できるようにする。
【解決手段】 実スロットル開度と目標スロットル開度との偏差の積算値を算出し、この積算値を異常判定値FLDと比較してスロットル制御システムの異常の有無を判定する。この際、高速走行時よりも低速走行時の方がスロットル開度が小さく、スロットル制御システムの異常がエンジン運転状態に及ぼす影響が大きくなるという事情を考慮して、車速に応じて異常判定値FLDを変更して、高速走行時よりも低速走行時の方が異常判定値FLDが小さくなるようにする。これにより、スロットル制御システムの異常がエンジン運転状態に及ぼす影響が大きくなる低速走行時には、従来よりも早い時点でスロットル制御システムの異常を検出して、早期にフェールセーフ処理を開始することができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、内燃機関のスロットルバルブを制御するスロットル制御システム又はその関連部品の異常の有無を判定するスロットル系の異常判定装置に関するものである。
近年、車両に搭載される内燃機関においては、スロットル開度(スロットルバルブの開度)を電子制御する電子スロットル制御システムを採用したものがある。この電子スロットル制御システムは、スロットルバルブを駆動するスロットルモータを設け、アクセル操作量等に基づいて目標スロットル開度を算出すると共に、スロットル開度センサで実スロットル開度を検出し、実スロットル開度が目標スロットル開度になるようにスロットルモータを制御するようにしている。
このようなスロットル制御システムの異常判定装置として、例えば、特許文献1(特公平7−74623号公報)に記載されているように、実スロットル開度と目標スロットル開度との偏差を積算し、その積算値と所定の異常判定値とを比較してスロットル制御システムの異常の有無を判定するようにしたものがある。更に、この特許文献1の異常判定装置では、スロットル制御システムの異常の有無を判定する際に、スロットルモータの温度に応じて異常判定値を変更することで、スロットルモータの低温時の応答遅れに起因する誤判定を防止するようにしている。
また、一般に、スロットル制御システムの異常判定装置では、スロットル制御システムの異常有りと判定したときに、スロットルモータへの通電をオフして、スロットル開度をスプリング等により強制的に所定開度(例えば退避走行時の吸入空気量を確保できるスロットル開度)に保持するフェールセーフ処理を行うようにしている。
特公平7−74623号公報(第1頁等)
一般に、目標スロットル開度は、高速走行時よりも低速走行時の方が小さくなるため、スロットル制御システムの異常による実スロットル開度の異常動作量が同じでも、目標スロットル開度に対する実スロットル開度の偏差の割合は、高速走行時よりも低速走行時の方が大きくなって、実スロットル開度の異常動作によって発生する内燃機関の運転状態の変化割合(例えば車速の変化割合)が大きくなる傾向がある。
上記特許文献1のスロットル制御システムの異常判定では、内燃機関の暖機完了後等にスロットルモータの温度が一定になると、異常判定値が一定になるため、図4に示すように、低速走行時でも、高速走行時と同じ異常判定値(図4に二点鎖線で示す異常判定値)を使用することになる。このため、例えば、目標スロットル開度に対して実スロットル開度が増加していく異常が発生した場合に、低速走行時でも、実スロットル開度と目標スロットル開度との偏差の積算値が、高速走行時と同じ異常判定値を越えた時点t1 で異常有りと判定されてフェールセーフ処理が開始される。しかし、上述したように、低速走行時に発生するスロットル制御システムの異常は内燃機関の運転状態に及ぼす影響が大きいため、異常発生時から異常有りと判定される時点t1 までの実スロットル開度の異常動作によって発生する車速の増加割合が大きくなって、運転者に加速ショック等の運転性の悪化を感じさせてしまう可能性がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、スロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響が大きくなる領域で、スロットル系の異常が発生したときに、その異常を早めに検出することができて、運転性が大きく悪化する前に適宜のフェールセーフ処理を開始することができるスロットル系の異常判定装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のスロットル系の異常判定装置は、車両に搭載された内燃機関のスロットルバルブと、該スロットルバルブを駆動するスロットルアクチュエータとを備え、このスロットルアクチュエータを制御してスロットルバルブの開度(以下「スロットル開度」という)を制御するスロットル制御システムにおいて、このスロットル制御システム又はその関連部品(以下「スロットル系」と総称する)の異常の有無を異常判定手段により判定すると共に、スロットル系の異常の有無を判定する際の異常判定条件を、異常判定条件変更手段により車両及び/又は内燃機関の作動状態に応じて変更するようにしたものである。
車両や内燃機関の作動状態によってスロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響度合が変化するため、車両や内燃機関の作動状態に応じて異常判定条件を変更すれば、スロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響が大きくなる領域では、異常判定条件をスロットル系の異常を早めに検出できる方向に変更することができる。これにより、スロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響が大きくなる領域で、スロットル系の異常が発生したときには、その異常を早めに検出することができて、運転性が大きく悪化する前に適宜のフェールセーフ処理を開始することができ、スロットル系の異常発生時の運転性を改善することができる。また、スロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響が小さい領域では、異常判定条件を異常判定精度を高める方向に変更することができて、スロットル系の異常を精度良く判定することができる。
本発明は、スロットル系の種々の異常判定に適用することができるが、例えば、請求項2のように、スロットル系の実制御量と目標制御量との偏差に基づいて異常度合を表す異常パラメータを算出して、その異常パラメータを異常判定条件である所定の異常判定値と比較してスロットル系の異常の有無を判定する場合には、その異常判定値を車両や内燃機関の作動状態に応じて変更するようにしても良い。このように、実制御量と目標制御量との偏差に基づいて算出した異常パラメータを異常判定値と比較して異常判定する場合には、異常判定値を変更することで、スロットル系の異常を検出可能な時期を調整することができるので、車両や内燃機関の作動状態に応じて異常判定値を変更すれば、スロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響が大きくなる領域で、スロットル系の異常が発生したときに、その異常を早めに検出することができる。
また、請求項3のように、スロットル系が所定の異常状態になっている継続時間を計測して、その継続時間を異常判定条件である所定の異常判定時間と比較してスロットル系の異常の有無を判定する場合には、その異常判定時間を車両や内燃機関の作動状態に応じて変更するようにしても良い。このように、スロットル系の異常状態の継続時間を異常判定時間と比較して異常判定する場合には、異常判定時間を変更することで、スロットル系の異常を検出可能な時期を調整することができるので、車両や内燃機関の作動状態に応じて異常判定時間を変更すれば、スロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響が大きくなる領域で、スロットル系の異常が発生したときに、その異常を早めに検出することができる。
また、請求項4のように、車両や内燃機関の作動状態の情報として車速を用いるようにしても良い。車速によってスロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響度合が変化するため、車速に応じて異常判定条件を変更すれば、スロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響度合に応じて異常判定条件を変更することができる。
一般に、高速走行時よりも低速走行時の方が、スロットル開度が小さく、スロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響が大きくなるため、請求項5のように、高速走行時よりも低速走行時の方がスロットル系の異常を早く検出できるように異常判定条件を変更すると良い。このようにすれば、スロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響が大きくなる低速走行時に、スロットル系に異常が発生したときに、その異常を早めに検出することができる。
また、請求項6のように、車両や内燃機関の作動状態の情報として吸入空気量を用いるようにしても良い。吸入空気量によってスロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響度合が変化するため、吸入空気量に応じて異常判定条件を変更すれば、スロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響度合に応じて異常判定条件を変更することができる。
一般に、吸入空気量が多い高負荷時よりも吸入空気量が少ない低負荷時の方が、スロットル開度が小さく、スロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響が大きくなるため、請求項7のように、吸入空気量が多いときよりも少ないときの方がスロットル系の異常を早く検出できるように異常判定条件を変更すると良い。このようにすれば、スロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響が大きくなる低負荷時に、スロットル系に異常が発生したときに、その異常を早めに検出することができる。
また、請求項8のように、車両や内燃機関の作動状態の情報として吸気管圧力を用いるようにしても良い。吸気管圧力によってスロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響度合が変化するため、吸気管圧力に応じて異常判定条件を変更すれば、スロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響度合に応じて異常判定条件を変更することができる。
一般に、吸気管圧力の負圧が小さい低負荷時よりも吸気管圧力の負圧が大きい高負荷時の方が、スロットル開度が小さく、スロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響が大きくなるため、請求項9のように、吸気管圧力の負圧が小さいときよりも大きいときの方が、スロットル系の異常を早く検出できるように異常判定条件を変更すると良い。このようにすれば、スロットル系の異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響が大きくなる低負荷時に、スロットル系に異常が発生したときに、その異常を早めに検出することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、次の2つの実施例1,2を用いて説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図4に基づいて説明する。まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、DCモータ等のスロットルモータ28(スロットルアクチュエータ)によって開度調節されるスロットルバルブ15と、このスロットルバルブ15の開度(以下「スロットル開度」という)を検出するスロットル開度センサ16とが設けられている。
更に、スロットルバルブ15の下流側には、サージタンク17が設けられ、このサージタンク17には、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ18が設けられている。また、サージタンク17には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド19が設けられ、各気筒の吸気マニホールド19の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁20が取り付けられている。また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ21が取り付けられ、各点火プラグ21の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
一方、エンジン11の排気管22には、排出ガス中のCO,HC,NOx等を浄化する三元触媒等の触媒23が設けられ、この触媒23の上流側に、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ24(空燃比センサ、酸素センサ等)が設けられている。
また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ25や、エンジン11のクランク軸が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ26が取り付けられている。このクランク角センサ26の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。更に、アクセル開度(アクセル操作量)がアクセルセンサ29によって検出され、車速が車速センサ30によって検出される。
これら各種センサの出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)27に入力される。このECU27は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁20の燃料噴射量や点火プラグ21の点火時期を制御する。
また、ECU27、スロットルバルブ15、スロットルモータ28、スロットル開度センサ16、アクセルセンサ29等からスロットル制御システムが構成されている。そして、ECU27は、後述する図2に示すプログラムを実行することで、アクセルセンサ29で検出したアクセル開度Ap等に基づいて目標スロットル開度THtgt を算出すると共に、スロットル開度センサ16で実スロットル開度THact を検出し、この実スロットル開度THact を目標スロットル開度THtgt に一致させるようにスロットルモータ28をフィードバック制御してスロットルバルブ15を制御する。
更に、ECU27は、後述する図2に示すプログラムを実行することで、実スロットル開度THact と目標スロットル開度THtgt との偏差の積算値DEVを算出し、この積算値DEVを異常判定値FLDと比較してスロットル制御システムの異常(スロットル開度の異常)の有無を判定する。この際、異常判定値FLDを車速センサ30で検出した車速Vsに応じて変更する。これにより、スロットル制御システムの異常がエンジン運転状態に及ぼす影響が大きくなる低速走行時(スロットル開度が小さいときに)、スロットル制御システムに異常が発生したときに、その異常を早めに検出できるようにする。
以下、ECU27が実行する図2に示すスロットル制御及びスロットル開度異常検出プログラムの処理内容を説明する。
図2に示すスロットル制御及びスロットル開度異常検出プログラムは、例えばイグニッションスイッチ(図示せず)のオン後に所定周期で実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ101で、車両・エンジン作動状態(例えば、車速センサ30で検出した車速Vs等)を読み込む。
この後、ステップ102に進み、アクセルセンサ29で検出したアクセル開度Apを読み込んだ後、ステップ103に進み、アクセル開度Ap等に基づいて目標スロットル開度THtgt を算出する。この後、ステップ104に進み、スロットル開度センサ16で検出した実スロットル開度THact を読み込んだ後、ステップ105に進み、実スロットル開度THact が目標スロットル開度THtgt に一致するようにスロットルモータ28をフィードバック制御してスロットルバルブ15を目標スロットル開度THtgt へ駆動する。
この後、ステップ106に進み、所定の異常判定実行条件が成立しているか否かを、例えば、バッテリ電圧が正常値であるか否か等によって判定する。もし、この異常判定実行条件が不成立と判定されれば、ステップ107以降の異常判定に関する処理を実行することなく、本プログラムを終了する。
一方、ステップ106で、異常判定実行条件が成立していると判定された場合には、ステップ107以降の異常判定に関する処理を次のようにして実行する。まず、ステップ107で、目標スロットル開度THtgt が実スロットル開度THact よりも大きいか否かを判定する。
その結果、目標スロットル開度THtgt が実スロットル開度THact よりも大きいと判定された場合には、ステップ108に進み、目標スロットル開度THtgt と実スロットル開度THact との偏差の積算値DEV1を次式により算出する。
DEV1(i) =DEV1(i-1) +(THtgt −THact )
一方、上記ステップ107で、目標スロットル開度THtgt が実スロットル開度THact 以下であると判定された場合には、ステップ109に進み、実スロットル開度THact と目標スロットル開度THtgt との偏差の積算値DEV2を次式により算出する。
DEV2(i) =DEV2(i-1) +(THact −THtgt )
尚、積算値DEV1(i) 、DEV2(i) は、所定期間前からの積算値とすると良い。
この後、ステップ110に進み、図3のマップ又は数式等を用いて、現在の車速Vsに応じた異常判定値FLDを算出する。一般に、高速走行時よりも低速走行時の方が、スロットル開度が小さく、スロットル制御システムの異常がエンジン運転状態に及ぼす影響が大きくなるため、図3のマップは、高速走行時よりも低速走行時の方がスロットル制御システムの異常を早く検出できるように、高速走行時よりも低速走行時の方が異常判定値FLDが小さくなるように設定されている。このステップ110の処理が特許請求の範囲でいう異常判定条件変更手段としての役割を果たす。
異常判定値FLDの算出後、ステップ111に進み、目標スロットル開度THtgt と実スロットル開度THact との偏差の積算値DEV1が異常判定値FLDよりも大きいか否か(又は実スロットル開度THact と目標スロットル開度THtgt との偏差の積算値DEV2が異常判定値FLDよりも大きいか否か)を判定する。
その結果、積算値DEV1が異常判定値FLDよりも大きいと判定された場合、又は、積算値DEV2が異常判定値FLDよりも大きいと判定された場合には、ステップ112に進み、スロットル制御システムの異常有りと判定して異常フラグをONにセットし、異常時フェールセーフ処理を実行する。この異常時フェールセーフ処理では、スロットルモータ28への通電をオフして、スロットルバルブ15をスプリング等により強制的に所定開度(例えば退避走行時の吸入空気量を確保できるスロットル開度)に保持するフェールセーフ処理を実行する。更に、運転席のインストルメントパネルに設けられた警告ランプ(図示せず)を点灯したり、或はインストルメントパネルの警告表示部(図示せず)に警告表示して運転者に警告すると共に、その異常情報(異常コード等)をECU27のバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリに記憶して、本プログラムを終了する。
これに対して、上記ステップ111で、積算値DEV1と積算値DEV2が両方とも異常判定値FLD以下である判定された場合には、ステップ113に進み、スロットル制御システムが正常であると判定して、プログラムを終了する。これらのステップ111〜113の処理が特許請求の範囲でいう異常判定手段としての役割を果たす。
図4のタイムチャートは、目標スロットル開度THtgt に対して実スロットル開度THact が増加していく異常が発生した場合の本実施例1の異常判定の実行例と従来の異常判定の実行例とを示している。
従来の異常判定では、低速走行時でも、高速走行時と同じ異常判定値FLD(図4に二点鎖線で示す異常判定値)を使用する。このため、低速走行時でも、実スロットル開度THact と目標スロットル開度THtgt との偏差の積算値DEVが、高速走行時と同じ異常判定値FLDを越えた時点t1 で異常有りと判定されてフェールセーフ処理が開始される。しかし、低速走行時は、スロットル制御システムの異常がエンジン運転状態に及ぼす影響が大きいため、異常発生時から異常有りと判定される時点t1 までの実スロットル開度THact の異常動作によって発生する車速Vsの増加割合が大きくなって、運転者に加速ショック等を感じさせてしまう可能性がある。
これに対して、本実施例1の異常判定では、低速走行時には、高速走行時と比べてスロットル制御システムの異常がエンジン運転状態に及ぼす影響が大きくなるという事情を考慮して、車速Vsに応じて異常判定値FLDを変更して、高速走行時よりも低速走行時の方が異常判定値FLD(図4に破線で示す異常判定値)が小さくなるようにしたので、スロットル制御システムの異常がエンジン運転状態に及ぼす影響が大きくなる低速走行時に、スロットル制御システムに異常が発生したときには、実スロットル開度THact と目標スロットル開度THtgt との偏差の積算値DEVが、従来よりも早い時点t2 で異常判定値FLDを越えて異常有りと判定されてフエールセーフ処理が開始される。これにより、異常有りと判定される時点t2 までの実スロットル開度THact の異常動作量を従来よりも少なくすることができて、その異常動作によって発生する車速変化を小さくすることができ、加速ショック等を低減することができる。
しかも、本実施例1の異常判定では、高速走行時には、低速走行時と比べてスロットル制御システムの異常がエンジン運転状態に及ぼす影響が小さくなるという事情を考慮して、高速走行時には、異常判定値FLDを低速走行時よりも大きくするため、高速走行時にスロットル制御システムに異常が発生したときには、その異常を精度良く検出することができて、高速走行時の異常判定精度を向上させることができる。
尚、本実施例1では、車速Vsに応じて異常判定値FLDを変更したが、車速Vsに応じて異常パラメータ(実スロットル開度THact と目標スロットル開度THtgt との偏差の積算値DEV)を補正するようにしても良く、要は、高速走行時よりも低速走行時の方がスロットル制御システムの異常を早く検出できるように異常判定条件を適宜変更すれば良い。
次に、図5乃至図7を用いて本発明の実施例2を説明する。
本実施例2では、ECU27は、図5に示すプログラムを実行することで、スロットルモータ28に過電流が流れた状態の継続時間を求め、この継続時間を異常判定時間FLTと比較してスロットル制御システムの異常(スロットルモータ28の過電流異常)の有無を判定すると共に、この異常判定時間FLTを車速センサ30で検出した車速Vsに応じて変更する。これにより、車速Vsが低速になって(スロットル開度が小さくなって)、スロットル制御システムの異常がエンジン運転状態に及ぼす影響が大きくなったときに、スロットル制御システムの異常を早めに検出できるようにする。
図5に示すスロットルモータ過電流異常検出プログラムは、例えばイグニッションスイッチのオン後に所定周期で実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ201で、車両・エンジン作動状態(例えば、車速センサ30で検出した車速Vs等)を読み込んだ後、ステップ202に進み、モータ過電流フラグOCFのセット状態を読み込む。このモータ過電流フラグOCFは、スロットルモータ28に過電流が流れたときに「1」にセットされる。
この後、ステップ203に進み、モータ過電流フラグOCFが「1」にセットされているか否かによって、スロットルモータ28に過電流が流れているか否かを判定する。
その結果、スロットルモータ28に過電流が流れている(モータ過電流フラグOCF=1)と判定された場合には、ステップ204に進み、スロットルモータ28に過電流が流れた状態の継続時間を計測する異常検出カウンタOCCのカウント値を「1」だけインクリメントすると共に、後述する正常検出カウンタNCCのカウント値を「0」にリセットする。
OCC(i) =OCC(i-1) +1
NCC=0
一方、上記ステップ203で、スロットルモータ28に過電流が流れていない(モータ過電流フラグOCF=0)と判定された場合には、ステップ205に進み、スロットルモータ28に過電流が流れていない状態の継続時間を計測する正常検出カウンタNCCのカウント値を「1」だけインクリメントすると共に、異常検出カウンタNCCのカウント値を「0」にリセットする。
NCC(i) =NCC(i-1) +1
OCC=0
この後、ステップ206に進み、正常検出カウンタNCCのカウント値(スロットルモータ28に過電流が流れていない状態の継続時間)が正常判定時間NRTよりも長いか否かを判定する。
その結果、正常検出カウンタNCCのカウント値(スロットルモータ28に過電流が流れていない状態の継続時間)が正常判定時間NRT以下であると判定された場合には、ステップ208に進み、図6のマップ又は数式等を用いて、現在の車速Vsに応じた異常判定時間FLTを算出する。図6のマップは、高速走行時よりも低速走行時の方がスロットル制御システムの異常を早く検出できるように、高速走行時よりも低速走行時の方が異常判定時間FLTが小さくなるように設定されている。
異常判定時間FLTの算出後、ステップ209に進み、異常検出カウンタOCCのカウント値(スロットルモータ28に過電流が流れた状態の継続時間)が異常判定時間FLTよりも長いか否かを判定する。
その結果、異常検出カウンタOCCのカウント値(スロットルモータ28に過電流が流れた状態の継続時間)が異常判定時間FLTよりも長いと判定された場合には、ステップ210に進み、スロットル制御システムの異常有り(スロットルモータ28の過電流異常有り)と判定して異常フラグをONにセットし、異常時処理を実行する。
これに対して、上記ステップ206で、正常検出カウンタNCCのカウント値(スロットルモータ28に過電流が流れていない状態の継続時間)が正常判定時間NRTよりも長いと判定された場合には、ステップ207に進み、スロットル制御システムが正常(スロットルモータ28の過電流異常無し)と判定する。
図7に示すように、従来の異常判定では、低速走行時でも、高速走行時と同じ異常判定時間FLT(図7に二点鎖線で示す異常判定時間)を使用する。このため、低速走行時でも、異常検出カウンタOCCのカウント値(スロットルモータ28に過電流が流れた状態の継続時間)が、高速走行時と同じ異常判定時間FLTを越えた時点t3 で異常有りと判定されてフェールセーフ処理が開始される。しかし、低速走行時に発生するスロットル制御システムの異常はエンジン運転状態に及ぼす影響が大きいため、異常発生時から異常有りと判定される時点t1 までの実スロットル開度THact の異常動作によって発生する車速Vsの増加割合が大きくなって、運転者に加速ショック等を感じさせてしまう可能性がある。
これに対して、本実施例2の異常判定では、車速Vsに応じて異常判定時間FLTを変更して、高速走行時よりも低速走行時の方が異常判定時間FLT(図7に破線で示す異常判定値)が小さくなるようしたので、スロットル制御システムの異常がエンジン運転状態に及ぼす影響が大きくなる低速走行時には、異常検出カウンタOCCのカウント値(スロットルモータ28に過電流が流れた状態の継続時間)が、従来よりも早い時点t4 で異常判定時間FLTを越えて異常有りと判定されてフエールセーフ処理が開始される。これにより、異常発生時から異常有りと判定される時点t4 までの実スロットル開度THact の異常動作量を従来よりも少なくすることができて、その異常動作によって発生する車速変化を小さくすることができ、加速ショック等を低減することができる。
尚、本実施例2では、車速Vsに応じて異常判定時間FLTを変更したが、車速Vsに応じて異常パラメータ(異常検出カウンタOCCのカウント値)を補正するようにしても良く、要は、高速走行時よりも低速走行時の方がスロットル制御システムの異常を早く検出できるように異常判定条件を変更すれば良い。
また、上記各実施例1,2では、車速Vsに応じて異常判定条件(異常判定値、異常判定時間、異常パラメータ等)を変更するようにしたが、吸入空気量や吸気管圧力に応じて異常判定条件(異常判定値、異常判定時間、異常パラメータ等)を変更するようにしても良い。
一般に、高負荷時(吸入空気量が多く吸気管圧力の負圧が小さい時)よりも低負荷時(吸入空気量が少なく気管圧力の負圧が大きい時)の方が、スロットル開度が小さく、スロットル制御システムの異常がエンジン運転状態に及ぼす影響が大きくなる。
従って、吸入空気量に応じて異常判定条件を変更する場合は、吸入空気量が多いときよりも少ないときの方がスロットル制御システムの異常を早く検出できるように異常判定条件を変更すると良い。また、吸気管圧力に応じて異常判定条件を変更する場合は、吸気管圧力の負圧が小さいときよりも大きいときの方がスロットル制御システムの異常を早く検出できるように異常判定条件を変更すると良い。このようにすれば、スロットル制御システムの異常が内燃機関の運転状態に及ぼす影響が大きくなる低負荷時に、スロットル制御システムに異常が発生したときに、その異常を早めに検出できる。
また、車速、吸入空気量、吸気管圧力以外の車両やエンジンの作動状態の情報(エンジン回転速度、ギヤ位置等)に応じて異常判定条件を変更するようにしても良い。
その他、本発明の適用範囲は、上記各実施例1,2で説明したスロットル制御システムの異常判定(スロットル開度の異常判定、スロットルモータ28の過電流異常判定)に限定されず、スロットルバルブ15、スロットル開度センサ16、スロットルモータ28、アクセルセンサ29、ECU27、スロットル制御に関連するコンピュータやCAN(コントロールエリアネットワーク)通信システム、クルーズコントロールシステム等の異常判定に適用しても良い等、スロットル制御システムやその関連部品、関連システムの異常判定に広く本発明を適用して実施することができる。
本発明の実施例1におけるエンジン制御システム全体の概略構成図である。 実施例1のスロットル制御及びスロットル開度異常検出プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の異常判定値のマップの一例を概念的に示す図である。 実施例1の異常判定の実行例を示すタイムチャートである。 実施例2のスロットルモータ過電流異常検出プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例2の異常判定時間のマップの一例を概念的に示す図である。 実施例2の異常判定の実行例を示すタイムチャートである。
符号の説明
11…エンジン11、12…吸気管、14…エアフローメータ、15…スロットルバルブ、16…スロットル開度センサ、18…吸気管圧力センサ、20…燃料噴射弁、21…点火プラグ、22…排気管、27…ECU(異常判定手段,異常判定条件変更手段)、28…スロットルモータ(スロットルアクチュエータ)、29…アクセルセンサ、30…車速センサ

Claims (9)

  1. 車両に搭載された内燃機関のスロットルバルブと、該スロットルバルブを駆動するスロットルアクチュエータとを備え、前記スロットルアクチュエータを制御して前記スロットルバルブの開度(以下「スロットル開度」という)を制御するスロットル制御システムにおいて、
    前記スロットル制御システム又はその関連部品(以下「スロットル系」と総称する)の異常の有無を判定する異常判定手段と、
    前記異常判定手段により前記スロットル系の異常の有無を判定する際の異常判定条件を前記車両及び/又は前記内燃機関の作動状態に応じて変更する異常判定条件変更手段と
    を備えていることを特徴とするスロットル系の異常判定装置。
  2. 前記異常判定手段は、前記スロットル系の実制御量と目標制御量との偏差に基づいて異常度合を表す異常パラメータを算出して、その異常パラメータを前記異常判定条件である所定の異常判定値と比較して前記スロットル系の異常の有無を判定し、
    前記異常判定条件変更手段は、前記作動状態に応じて前記異常判定値を変更することを特徴とする請求項1に記載のスロットル系の異常判定装置。
  3. 前記異常判定手段は、前記スロットル系が所定の異常状態になっている継続時間を計測して、その継続時間を前記異常判定条件である所定の異常判定時間と比較して前記スロットル系の異常の有無を判定し、
    前記異常判定条件変更手段は、前記作動状態に応じて前記異常判定時間を変更することを特徴とする請求項1に記載のスロットル系の異常判定装置。
  4. 前記異常判定条件変更手段は、前記作動状態の情報として車速を用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスロットル系の異常判定装置。
  5. 前記異常判定条件変更手段は、高速走行時よりも低速走行時の方が前記スロットル系の異常を早く検出できるように前記異常判定条件を変更することを特徴とする請求項4に記載のスロットル系の異常判定装置。
  6. 前記異常判定条件変更手段は、前記作動状態の情報として吸入空気量を用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のスロットル系の異常判定装置。
  7. 前記異常判定条件変更手段は、前記吸入空気量が多いときよりも少ないときの方が前記スロットル系の異常を早く検出できるように前記異常判定条件を変更することを特徴とする請求項6に記載のスロットル系の異常判定装置。
  8. 前記異常判定条件変更手段は、前記作動状態の情報として吸気管圧力を用いることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のスロットル系の異常判定装置。
  9. 前記異常判定条件変更手段は、前記吸気管圧力の負圧が小さいときよりも大きいときの方が前記スロットル系の異常を早く検出できるように前記異常判定条件を変更することを特徴とする請求項8に記載のスロットル系の異常判定装置。
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