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JP2005171765A - 内燃機関の制御装置及び制御方法 - Google Patents

内燃機関の制御装置及び制御方法 Download PDF

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JP2005171765A JP2003408399A JP2003408399A JP2005171765A JP 2005171765 A JP2005171765 A JP 2005171765A JP 2003408399 A JP2003408399 A JP 2003408399A JP 2003408399 A JP2003408399 A JP 2003408399A JP 2005171765 A JP2005171765 A JP 2005171765A
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孝尚 小関
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Abstract

【課題】 環境要因の変化や経時劣化等による排気還流量の偏差・誤差に相当する開度補正値を正確に求め、点火時期の設定精度を向上する。
【解決手段】
排気還流通路25に設けられた排気還流制御弁26の開度を調整することにより排気還流量を制御する排気還流装置を備える。エンジン回転数を目標値へ向けてフィードバック制御するアイドル回転数フィードバック制御中に、排気還流制御弁26を一時的に開作動し、この開作動により変化する制御パラメータに基づいて、排気還流制御弁26の開度補正値を算出する。
【選択図】 図8

Description

本発明は、排気還流(EGR)装置を備えた内燃機関の制御に関する。
特許文献1には、車両用の内燃機関(エンジン)の燃費・排気性能の向上を図るために、排気通路から吸気通路への排気還流通路に排気還流制御弁を設け、その開度を制御することにより、排気還流量・率を調整する排気還流装置が開示されている。このような排気還流装置を備えるシステムでは、排気還流量に応じて点火時期を調整することが望ましい。基本的には、排気還流量が多くなるほど、燃焼室内の燃焼が緩慢になるため、点火時期を進角側へ調整すれば良い。
特開2001−82260号公報
しかしながら、排気還流量を正確に計測することは困難であるので、環境要因の変化,部品ばらつきや経時劣化等により、排気還流量の制御目標値と実際の値との偏差・誤差が大きくなり、ひいては点火時期の設定精度が低下し、燃費性能や運転性能の低下を招くおそれがある。
上記の特許文献1には吸気通路内の吸気圧力を検出する吸気圧力センサを設け、排気還流制御弁の開閉動作によって変化する吸気圧力の変化に基づいて、排気還流量の目標値と実際の値との偏差・誤差を求める技術が開示されている。しかしながら、この特許文献1の技術では、吸気圧力センサのような部品が必要であるために、コストや重量の増加を招いてしまう。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、実質的に部品点数の増加を招くことなく、排気還流量の目標値と実際の値との偏差に相当する排気還流制御弁の開度補正値を良好に求めることができる新規な内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
排気通路から吸気通路へ排気を還流する排気還流通路に設けられた排気還流制御弁の開度を調整することにより排気還流量を制御する排気還流装置と、エンジン回転数の検出値と目標値との偏差に基づいて吸入空気量を調整することにより、エンジン回転数を目標値へ向けてフィードバック制御するアイドル回転数フィードバック制御を行うアイドル回転数制御手段と、を有する。上記アイドル回転数フィードバック制御中に、排気還流制御弁を一時的に開作動し、この開作動により変化する制御パラメータに基づいて、排気還流制御弁の開度補正値を算出する。
本発明によれば、上述した吸気圧力センサのような部品を敢えて用いることなく、排気還流量の目標値と実際の値との偏差に相当する排気還流制御弁の開度補正値を良好に求めることができ、ひいては、点火時期の設定精度を向上することができる。また、定常状態であるアイドル回転数フィードバック制御中、つまりアクセル操作に伴う回転数や負荷の変化等が実質的に無い状態で開度補正値を算出しているため、開度補正値を正確に算出することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図8は、本発明の一実施例に係る制御装置が適用される火花点火式のガソリンエンジンを簡略的に示す構成図である。
電子制御式のスロットル23により調整される空気は、吸気コレクタ2に蓄えられた後、吸気マニホールド3を通って各気筒の燃焼室5へ導入される。燃料は各気筒の吸気ポート4に配置された燃料噴射弁21より吸気ポート4内に間欠的に噴射供給される。燃料噴射量及び噴射時期は、エアフローメータ32により検出される吸入空気量と、クランク角センサ(33,34)からの信号に基づいて演算されるエンジン回転数(速度)とに基づいて、エンジンコントローラ31により制御される。
吸気弁15に向けて噴射された燃料は吸気と混合して混合気を作り、この混合気は吸気弁15を閉じることで燃焼室5内に閉じこめられ、ピストン6の上昇によって圧縮され、点火プラグ14により着火されて燃焼する。この燃焼によるガス圧がピストン6を押し下げる仕事を行い、このピストン6の往復運動がクランクシャフト7の回転運動へと変換される。燃焼後の排気ガスは排気弁16が開いたときに排気通路8へと排出される。
排気通路8には排気浄化触媒として三元触媒9が設けられる。周知のように、三元触媒9の上流に設けられた酸素センサ(図示省略)からの信号に基づいて排気の空燃比をフィードバック制御することにより、排気の空燃比が理論空燃比を中心とした狭い範囲に維持され、三元触媒9により排気に含まれるHC,CO及びNOxを同時かつ効率的に除去できる。
上記の電制スロットル23はスロットルモータ24により駆動される。運転者が要求するトルクはアクセルペダル41の踏み込み量(アクセル開度)に現れるので、エンジンコントローラ31は、アクセルセンサ42からの信号に基づいて目標トルクを定め、この目標トルクを実現するための目標吸入空気量を定め、この目標吸入空気量が得られるようにスロットルモータ24に指令信号を出力して、電制スロットル23の開度を制御する。
主に燃費・排気性能の向上を図るために、排気通路8内の排気を吸気通路3へ還流する排気還流(EGR)装置が設けられている。このEGR装置は、吸気通路3から排気通路8へ排気を還流する排気還流通路25と、この排気還流通路25に設けられ、その開度に応じて排気還流(EGR)量・率を調整する排気還流制御弁すなわちEGRバルブ26と、このEGRバルブ26を駆動する電制アクチュエータとしてのステップモータ27と、を有している。ステップモータ27は、周知のように、エンジンコントローラ31から目標ステップ数を受信すると、そのステップ数分だけ回転してEGRバルブ26の弁体を軸方向に上下動させ、EGRバルブ26の開度を調整する。一般的に、ステップ数が大きくなると、これに比例してEGRバルブ26の開度が大きくなり、EGR量が多くなるように設定される。エンジンコントローラ31は、機関運転条件に応じてEGRバルブ26の開度を制御して、EGR量・率を調整する。機関安定性を考慮して、通常、後述するようなアイドル運転域では、EGRバルブ26の開度をゼロとして、EGRガスの付与を禁止する。
また、主に出力・トルクの向上と燃費・排気性能の向上との両立を図るために、吸気弁15のバルブタイミングを連続的に変更可能なVTC(バルブタイミングコントロール)機構28が設けられている。
アイドル運転域では、エンジン回転数を所定の目標値に維持するように、クランク角センサ(33,34)に基づいて演算されるエンジン回転数の検出値と制御目標値であるアイドル目標回転数との偏差に基づいて、電制スロットル23の開度を制御するとともに、燃料噴射量を制御する、いわゆるアイドル回転数フィードバック制御が行われる(アイドル回転数制御手段)。アイドル目標回転数は、補機負荷や冷却水温の他、EGR量等に基づいて設定される。
点火時期の目標値は、基本的には、エンジン回転数、水温、アクセル開度、スロットル開度、EGR流量等の機関運転条件に基づいて設定される。また、ノックセンサ29により検出されるノッキングの発生頻度・度合いが所定値を超えた場合には、点火時期を所定のノック制御領域内でリタードつまり遅角させる。つまり、ノックセンサ29の検出信号に基づいて点火時期のフィードバック制御(トレースノック制御)が行われる(点火時期フィードバック制御手段)。
上述したフィードバック制御は、周知のように、比例(P)分及び積分(I)分を用いた比例積分(PI)制御である。これらの制御は上記のエンジンコントローラ31により記憶及び実行される。
本実施例の特徴として、アイドル回転数フィードバック制御中であることを含む所定の運転条件(図2)が成立すると、EGRバルブ26を一時的に開作動させ、この開作動により変化する制御パラメータに基づいて、EGRバルブ26の開度補正値に相当するバルブ開口面積の学習値EGSTPGKを算出する(開度補正値算出手段)。この学習値は点火時期の設定等に反映される。
図1は、上記バルブ開口面積学習値EGSTPGKを算出する学習制御の流れを示すフローチャートである。このルーチンは、エンジンコントローラ31により所定期間毎に繰り返し実行される。図4は、この学習制御時のタイムチャートである。
ステップ(図ではSと略す)1では、図2に示すサブルーチンにより、学習制御を行うべき運転条件が成立するかを判定する。詳しくは図2に示すように、学習制御を行うべき様々な運転条件に相当するステップ13〜17の判定処理を行い、ステップ13〜17の判定が全て肯定された場合に限り、ステップ18aへ進み、学習許可判定フラグEGRGKOKを1にセットして、学習制御を許可し、ステップ13〜17のいずれかが否定されれば、ステップ18bへ進み、上記の学習許可判定フラグEGRGKOKを0にリセットして、学習制御の実行を禁止する。
ステップ13では、上述したノックセンサの検出信号に基づく点火時期フィードバック制御の点火時期フィードバック量BETAの最大値BETAMAXが、所定値EGGKBETAよりも大きいかを判定する。このEGGKBETAは、EGRのOFF(EGRバルブの開度が0)の時の点火時期フィードバック量の最大値に相当する値として設定され、EGR装置を除く環境要因・部品ばらつき分に相当する。従って、EGRのON時(EGRバルブの開作動時)を含めた点火時期フィードバック量の最大値BETAMAXが上記のEGGKBETAを超えると、EGR流量低下が発生したと判断し、学習制御を許可する。言い換えると、点火時期フィードバック量の最大値BETAMAXが所定値EGGKBETA以下の場合、学習制御の実行を禁止することにより、学習頻度を最小現に抑え、学習制御によるアイドル運転性の低下を最小限に抑制している。
ステップ14では、上記のアイドル回転数フィードバック制御(ISC)の実行中であるかを判定する。ステップ15〜17では、学習制御を安定して行うことができる運転状態であるかを判定する。つまり、ステップ15では、機関水温TWNが所定値EGGKTWよりも大きいか、つまりトルク変動が安定する水温範囲にあるかを判定する。ステップ16では、ニュートラルスイッチNEUTSWが0すなわちOFFであるかを判定する。言い換えると、NレンジやPレンジのようなニュートラル状態では、Dレンジ等のエンジンと車軸とが接続している状態に比してアイドル安定性が相対的に低いので、上記の学習制御の実行を禁止する。ステップ17では、エアコンコンプレッサ,オルタネータ及びパワーステアリング等の補機類の負荷の変動により学習値の算出制御が低下することを回避するために、補機類の負荷が所定範囲内にあるかを判定する。
再び図1を参照して、ステップ2では、ステップ1の許可フラグEGRGKOKが1であるか、つまり学習許可状態にあるかを判定する。許可フラグEGRGKOKが1であればステップ3へ進み、許可フラグEGRGKOKが1でなければ学習制御を行うことなく本ルーチンを終了する。
ステップ3では、学習用目標アイドル回転数NEEGOKをアイドル目標回転数として設定する。図4にも示すように、学習用目標アイドル回転数NEEGOKは、学習実行時のアイドル運転性の低下を未然に回避するように、通常のアイドル目標回転数NEOKよりも例えば600rpm程度高く設定される。
ステップ4では、クランク角センサ43,44の検出値に基づいて算出されるエンジン回転数の計測値LNRPMと学習用目標値NEEGOKとの偏差が所定値N1(例えば50rpm)未満であるかを判定する。つまり、エンジン回転数が安定してから学習制御を行うように、エンジン回転数の計測値LNRPMが学習用目標値NEEGOKに十分に近づくまで、学習制御の開始(具体的には、EGRバルブの一時的な開作動)を禁止・待機する。図4のT1がステップ4の判定が肯定に切り替わり、ステップ5へ進むタイミングに相当する。
ステップ5では、図3のサブルーチンにより、EGRバルブステップ数のずれ分に相当するステップ偏差量EGSTPDEFを算出する。このEGSTPDEFは、ステップモータのステップ数の制御目標値と実際の値との偏差であり、EGRバルブの開作動によるEGRバルブ26の開度に相当する。
図3を参照して、ステップ19では、所定のタイムスケジュールで、EGRバルブ26を所定量かつ所定期間だけ開作動する。具体的には、2秒間、EGRバルブ26を駆動するステップモータ27の目標ステップ数を所定値EGSTPDGKである「5」に保持する。このステップ数「5」は、EGRバルブの開度10〜20%程度に相当する。
ステップ20では、EGRバルブの開作動に伴い変化する制御パラメータとして、アイドル回転数フィードバック制御の積分分の変化量QFBIEGRを算出する。このQFBIEGRは、図4に示すように、EGRのOFF時の積分分に対し、EGRバルブの開作動による増加分に相当する。従って、QFBIEGRは、実際のステップ数に相当するEGSTPM0の変化に遅れて追従する。例えば、EGRのOFF時のフィードバック量のI分を別途記憶しておき、この値との偏差からQFBIEGRを求めることができる。ステップ21では、QFBIEGRの最大値QFBIEGMXを逐次更新して、記憶する。
ステップ22では、上記の積分分の最大変位量QFBIEGMXから、図5に示すTEGSTPGKテーブルを参照して、実際に開口しているステップ数に相当する実ステップ数EGSTPGK0を算出・推定する。ここで、TEGSTPGKテーブルは、上述したように所定のタイムスケジュール(2秒間・5ステップ)でEGRバルブを開いたときの、新品状態・初期状態でのQFBIEGMXとEGSTPGK0との相関関係を適合した値が予め入力されている。
ステップ23では、目標ステップ数EGSTPDGK(この例では「5」)と、実ステップ数EGSTPGK0と、の偏差分を、ステップ偏差量EGSTPDEFとして算出する。
再び図1を参照して、ステップ6では、EGRバルブ26のステップ数のモニタ値(検出値)EGSTPM0が0(ゼロ)以外の値から0になったかを判定する。つまり、学習制御用に一時的に開作動したEGRバルブ26が実際に閉じたかを判定する。図4のT3が、ステップ6の判定が肯定されてステップ7へ進むタイミングに相当する。
ステップ7では、エンジンコントローラ31のメモリ内に記憶・格納されている前回の学習値EGSTPGKを、ステップ偏差量EGSTPDEFの最大値に書き換え・更新する。学習値EGSTPGKは、EGRバルブ26の制御目標値と実際の値との最終的な偏差・誤差、つまりEGRバルブ26の最終的な開度補正値に相当する。
ステップ8では、EGRの開作動によるI分変動量QFBIEGRが、0又は0に近い極小値である所定値QFBIEGE未満となったかを判定する。つまり、EGRバルブ26の「開」から「閉」への切換動作(図4のEGSTPM0,T2〜T3参照)に対し、フィードバック制御による吸入空気量の変化は吸気容積等に起因して遅れて変動するため、フィードバック制御のI分に基づいて、吸入空気量の変動が収束するまで待機している。図4のT4が、ステップ8の判定が肯定されてステップ9へ進むタイミングに相当する。
ステップ9では、アイドル回転数フィードバック制御に用いられるアイドル目標回転数を、学習用の値NEEGOKから通常の値NEOKへ書き換え、更新する。これにより、通常のアイドル回転数フィードバック制御の状態へ戻ることになる。
ステップ10では、次回の学習時に備えて、上記のフラグEGRGKOKやQFBIEGMXの他、後述するBETAMAXの値を0に初期化・リセットする。
図6は、上記の学習値EGSTPGKを反映した点火時期の設定ルーチンを示している。ステップ31では、次式(1)により、ステップ数のモニタ値EGSTPM0と学習値EGSTPGKとの差分により、実際のステップ数に相当する実ステップ数EGSTPMFを算出する。
EGSTPMF = EGSTPM0 − EGRSTPGK …(1)
ステップ32では、この実ステップ数EGSTPMFに基づいて、図7に示す開口面積とステップ数との関係を表すTTAEGSテーブルを参照して、EGRバルブの実開口面積(開度)TEGRARFを算出する。ステップ33では、この実開口面積TEGRARFに基づいて、学習値EGRSTPGKを反映したEGR率である推定EGR率を算出する。ステップ34では、この推定EGR率に基づいて点火時期を算出する。これにより、点火時期の設定に、環境要因の変化や経時劣化等を考慮した学習値EGRSTPGKが反映され、点火時期の設定精度が向上する。
上記の実施例より把握し得る技術思想について、その作用効果とともに以下に列記する。
(1)排気通路8から吸気通路3へ排気を還流する排気還流通路25に設けられた排気還流制御弁26の開度を調整することにより排気還流量を制御する排気還流装置と、エンジン回転数の検出値と目標値との偏差に基づいて吸入空気量を調整することにより、エンジン回転数を目標値へ向けてフィードバック制御するアイドル回転数フィードバック制御を行うアイドル回転数制御手段と、上記アイドル回転数フィードバック制御中に、排気還流制御弁26を一時的に開作動し(ステップ19)、この開作動により変化する制御パラメータQFBIEGRに基づいて、排気還流制御弁26の開度補正値EGSTPGKを算出する開度補正値算出手段(ステップ5〜7)と、を有する。
このように算出された開度補正値EGSTPGKを、例えば点火時期の設定に反映させることにより、経時劣化や環境要因の変化等に起因する排気還流制御弁26の開度の誤差・ばらつきを有効に相殺・吸収して、点火時期を精度良く設定することができる。また、定常状態であるアイドル回転数フィードバック制御中、つまりアクセル操作に伴う回転数や負荷の変化等が実質的に無い状態で、開度補正値EGSTPGKを算出しているため、この開度補正値を正確に算出することができる。
(2)上記開作動による変化する制御パラメータが、上記アイドル回転数フィードバック制御の積分分である。このようにアイドル回転数フィードバック制御に用いられる積分分を利用することにより、圧力センサ等のハード構成を敢えて設ける必要がなく、部品の追加やコストの増加を招くことなく開度補正値の算出を行うことができ、既存の内燃機関にも容易に適用できる。
(3)上記排気還流制御弁26の開度補正値EGSTPGKに基づいて点火時期が設定される(図6)。このように点火時期の設定に学習値である開度補正値EGSTPGKを反映させることにより、経時劣化等に起因する排気還流量の誤差・ばらつきを相殺するように、点火時期を精度良く設定することができ、燃費性能や燃焼安定性を向上することができる。
(4)ノッキングの発生を検出するノックセンサ29と、このノックセンサ29の検出信号に基づいて点火時期をフィードバック制御する点火時期フィードバック制御手段と、を有し、この点火時期フィードバック制御の積分分BETAの最大値BETAMAXが所定値EGGKBETA以下である場合、上記開度補正値算出手段の実行を禁止する(ステップ13)。
上記実施例とは異なる開度補正値の算出手法として、排気還流量が大きい側にばらついた場合には燃焼が悪化して回転変動が大きくなるため、その回転変動を検知して排気還流制御弁の開度補正値を算出し、この開度補正値に基づいて排気還流量を減じる手法が考えられる。しかしながら、この手法では、排気還流量が少ない側にばらついた場合、燃焼が安定側にシフトするため、回転変動により排気還流量を良好に検知することができず、実質的に開度補正値を算出することができない。上記の排気還流量が少ない側にばらついた場合、点火時期が過進角の設定となるために、ノックが発生し易くなり、振動や騒音を招くおそれがある。
本実施例では、点火時期フィードバック制御の積分分最大値BETAMAXが所定値EGGKBETAを超える場合、つまり排気還流量が少ない側にばらついた場合に、開度補正値の算出処理の実施が許可され、逆に言えば、点火時期フィードバック制御の積分分最大値BETAMAXが所定値EGGKBETA以下の場合には、開度補正値の算出を禁止しているため、開度補正値の算出頻度を最小限に抑え、この算出動作に伴う運転性の低下を最小限に抑制することができる。
(5)上記開度補正算出手段は、アイドル回転数の目標値NEEGOKを通常(NEOK)よりも高くする(ステップ3)。
アイドル中は、吸気圧力がハイブーストであり、かつ、新気流量が少ないため、排気還流制御弁の開口面積のばらつきにより、排気還流率のばらつきが大きくなり、燃焼状態が不安定となり易い。従って、上述した開度補正値の算出処理を行う場合には、燃焼状態の低下や失火を未然に回避するように、アイドル回転数の目標値NEEGOKを通常(NEOK)よりも高くしている。
(6)上記排気還流制御弁を駆動するステップモータ27を有し、上記開度補正値算出手段は、ステップモータ27を所定の目標ステップ数EGSTPDGKで所定期間だけ作動し(ステップ19)、この作動により変化するアイドル回転数フィードバック制御の積分分の最大変位量QFBIEGMXに基づいて、実際のステップモータのステップ数に相当する実ステップ数EGSTPGK0を算出し(ステップ22)、この実ステップ数EGSTPGK0と上記目標ステップ数EGSTPDGKとに基づいて、上記開度補正値に相当するステップ偏差量EGSTPDEFを算出する(ステップ23)。
このようにアイドル回転数フィードバック制御の積分分を利用して開度補正値の算出を行うことにより、圧力センサ等のハード構成を敢えて設ける必要がなく、部品の追加やコストの増加を招くことがないので、既存の内燃機関にも容易に適用できる。加えて、実際の制御指令値であるステップモータのステップ数を直接的に利用して開度補正値を算出しているため、演算処理が簡素化されるとともに、演算上の誤差も最小限に抑制される。
以上のように本発明を具体的な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変形・変更を含むものである。例えば、上記実施例では算出した開度補正値を点火時期の設定に反映させているが、これに限らず、例えば排気還流制御弁自身の排気還流量・率の設定に反映させても良い。
本発明の一実施例に係る排気還流制御弁の開口面積学習値EGSTPGKの算出ルーチンを示すフローチャート。 上記学習値算出の許可フラグEGRGKOKの設定用サブルーチン。 ステップ偏差量EGSTPDEFの算出用サブルーチン。 上記学習値算出時のタイムチャート。 実ステップ数EGSTPGK0の設定用のTEGSTPGKテーブル。 学習値EGSTPGKを利用した点火時期の設定ルーチンを示すフローチャート。 排気還流制御弁の実開口面積TEGRARFの設定用のTTAEGSテーブル。 本発明の一実施例に係る制御装置が適用される車両用内燃機関を示すシステム図。
符号の説明
3…吸気通路
8…排気通路
14…点火プラグ
25…排気還流通路
26…排気還流制御弁
27…ステップモータ
29…ノックセンサ
31…エンジンコントローラ

Claims (7)

  1. 排気通路から吸気通路へ排気を還流する排気還流通路に設けられた排気還流制御弁の開度を調整することにより排気還流量を制御する排気還流装置と、
    エンジン回転数の検出値と目標値との偏差に基づいて吸入空気量を調整することにより、エンジン回転数を目標値へ向けてフィードバック制御するアイドル回転数フィードバック制御を行うアイドル回転数制御手段と、
    上記アイドル回転数フィードバック制御中に、排気還流制御弁を一時的に開作動し、この開作動により変化する制御パラメータに基づいて、排気還流制御弁の開度補正値を算出する開度補正値算出手段と、
    を有する内燃機関の制御装置。
  2. 上記開作動による変化する制御パラメータが、上記アイドル回転数フィードバック制御の積分分である請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 上記排気還流制御弁の開度補正値に基づいて点火時期が設定される請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. ノッキングの発生を検出するノックセンサと、
    このノックセンサの検出信号に基づいて点火時期をフィードバック制御する点火時期フィードバック制御手段と、を有し、
    この点火時期フィードバック制御の積分分の最大値が所定値以下である場合、上記開度補正値算出手段の実行を禁止する請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 上記開度補正算出手段は、アイドル回転数の目標値を通常よりも高くする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  6. 上記排気還流制御弁を駆動するステップモータを有し、
    上記開度補正値算出手段は、ステップモータを所定の目標ステップ数で所定期間だけ作動し、この作動により変化するアイドル回転数フィードバック制御の積分分の最大変位量に基づいて、実際のステップモータのステップ数に相当する実ステップ数を算出し、この実ステップ数と上記目標ステップ数とに基づいて、上記開度補正値に相当するステップ偏差量を算出する請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  7. 排気通路から吸気通路へ排気を還流する排気還流通路に設けられた排気還流制御弁の開度を調整することにより排気還流量を制御する排気還流装置と、エンジン回転数の検出値と目標値との偏差に基づいて吸入空気量を調整することにより、エンジン回転数を目標値へ向けてフィードバック制御するアイドル回転数フィードバック制御を行うアイドル回転数制御手段と、を有する内燃機関の制御方法において、
    上記アイドル回転数フィードバック制御中に、排気還流制御弁を一時的に開作動し、この開作動により変化する制御パラメータに基づいて、排気還流制御弁の開度補正値を算出することを特徴とする内燃機関の制御方法。
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