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JP2005158829A - 波面収差計測方法及び装置、並びに露光装置 - Google Patents

波面収差計測方法及び装置、並びに露光装置 Download PDF

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JP2005158829A JP2003391513A JP2003391513A JP2005158829A JP 2005158829 A JP2005158829 A JP 2005158829A JP 2003391513 A JP2003391513 A JP 2003391513A JP 2003391513 A JP2003391513 A JP 2003391513A JP 2005158829 A JP2005158829 A JP 2005158829A
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Abstract

【課題】 投影光学系などの光学系の波面収差を高精度に計測できる波面収差計測技術を提供する。
【解決手段】 投影光学系PLの波面収差を計測するために、レチクルステージRST上にテストレチクル13を設置し、テストレチクル13及び投影光学系PLを通過した光を計測装置21で受光して1回目の波面収差を求める。次に、テストレチクル13及び計測装置21を例えば180°回転してから、2回目の波面収差を求める。2回の計測結果を演算処理することにより、テストレチクル13及び計測装置21に起因する波面収差の誤差を求め、この誤差分の補正を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被検光学系の波面収差を計測するための波面収差計測技術に関し、例えば半導体集積回路、液晶表示素子、又は薄膜磁気ヘッド等の各種デバイスを製造するためのリソグラフィ工程でマスクパターンを基板上に転写するために使用される投影露光装置の投影光学系などの波面収差を計測するために使用して好適なものである。本発明は更に、波面収差計測技術を用いた露光技術に関する。
例えば半導体集積回路を製造するためのリソグラフィ工程中で、マスクとしてのレチクル(又はフォトマスク等)のパターンを投影光学系を介して感光基板(感応物体)としてのレジストが塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)の各ショット領域に転写するために、ステッパー型又はスキャニングステッパー型等の投影露光装置が使用されている。微細パターンをウエハ上に高精度に転写するためには、投影光学系の収差特性が所定の条件を満たすことが要求される。そのためには、先ず投影光学系の収差を正確に計測(評価)する必要があり、従来より様々な計測装置が使用されている。
例えば投影光学系の波面収差を計測するために、投影光学系を介して開口パターンの一次像を投影し、その一次像からの光束を複数に波面分割し、このように波面分割された複数の光束からそれぞれ二次像を形成し、これらの二次像を光電検出する方式の計測装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この計測装置では、一例として、複数の二次像の所定の基準位置からの横シフト量等に基づいて、その投影光学系の波面収差が求められていた。また、その計測装置では、計測装置自体の持つ収差の影響を低減するために、一例として、その計測装置の入射面に配置される開口パターンからの光束を波面分割して得られる複数のスポット像の光量重心を、それぞれ対応する二次像の基準位置としていた。
特開2002−71514号公報
上述のように、投影光学系による一次像からの光束を波面分割して形成される複数の二次像を光電検出することによって、その投影光学系の波面収差を計測することができる。ところが、一般の光学系と同様に、そのように光束を波面分割して複数の二次像を形成する光学系自体にも僅かな収差が残存している。従って、従来の計測装置による波面収差の計測結果には、計測装置の持つ光学系自体の収差に起因する僅かな計測誤差が混入していた恐れがある。
今後、半導体集積回路等が益々微細化するのに応じて、投影光学系や照明光学系の波面収差も一層高精度に制御する必要がある。従って、その波面収差を計測する際に、計測装置自体の収差に起因する僅かな計測誤差を補正することによって、計測精度を高めることが求められている。
本発明は、斯かる点に鑑み、投影光学系などの光学系の波面収差を高精度に計測できる波面収差計測技術を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、波面収差の計測装置による計測結果のキャリブレーション(較正)を行うことができ、これによって波面収差の計測精度を向上できる波面収差計測技術を提供することを第2の目的とする。
また、本発明は、投影光学系などの波面収差を高精度に計測できる露光装置を提供することを第3の目的とする。
本発明による第1の波面収差計測方法は、被検光学系(PL;12)の波面収差を計測する波面収差計測方法において、その被検光学系に計測光を入射させ、その被検光学系を通過したその計測光を計測用光学系(22〜25)を介して受光して、その被検光学系の第1の波面収差情報を求める第1工程(ステップ101〜103)と、その計測用光学系を構成する複数の光学部材のうち、少なくとも一部の光学部材をその計測用光学系の光軸の回りに所定角度回転する第2工程(ステップ105)と、その第2工程に続いて、その被検光学系に計測光を入射させ、その被検光学系を通過したその計測光をその計測用光学系を介して受光して、その被検光学系の第2の波面収差情報を求める第3工程(ステップ102,103)と、その第1及び第2の波面収差情報を用いて、その計測用光学系の計測誤差を補正する第4工程(ステップ106,107)とを有するものである。
斯かる本発明において、その被検光学系の波面収差をWplとして、その計測用光学系自体の波面収差(計測誤差)を、その光学部材の回転によって変化しない成分Ws1と回転によって符号が反転する成分Ws2とに分けると、第1工程で計測される全体の波面収差WT(0)はほぼ次のようになる。
WT(0)=Wpl+Ws1+Ws2 …(1)
そして、その光学部材の回転角をΔとして、その回転後の第3工程で計測される全体の波面収差WT(Δ)はほぼ次のようになる。
WT(Δ)=Wpl+Ws1−Ws2 …(2)
従って、(1)式及び(2)式より、その回転によって符号が反転する成分Ws2(計測誤差)は、次のように回転前後の波面収差の計測値の差分の1/2として求めることができる。
Ws2={WT(0)−WT(Δ)}/2 …(3)
従って、一例として、次のように最初の計測結果からその成分Ws2(計測誤差)を差し引いて得られる計測値WTは、計測精度が向上している。
WT=WT(0)−Ws2=Wpl+Ws1 …(4)
また、別の例として、その成分Ws2を補正値として記憶しておくことで、計測値のキャリブレーションを行うことができる。
この場合、その第1工程及び第3工程において、その被検光学系に所定の開口(13a)が形成された開口部材(13)を介してその被検光学系にその計測光を入射させ、その第2工程において、その光学部材と共にその開口部材を同じ角度だけ回転してもよい。その開口部材によって波面収差の計測位置を選択できる。更に、その開口部材を回転することで、その開口部材に起因する波面収差を計測誤差の1つとして補正できる。
また、その第2工程におけるその光学部材の回転角の一例は、180°、90°、又は45°であり、その回転角が90°又は45°であるときには、その第2工程とその第3工程とを複数回繰り返してもよい。
一般に波面収差を表す関数は、ツェルニケの多項式(Zernike's Polynomial)によって展開される。そして、その回転される光学部材の光軸の周りの角度θを用いると、その光学部材による波面収差に対応するツェルニケの多項式中の各項には、関数cos mθ又はsin mθ(mは1以上の整数)を含む項がある。
この場合、m=2p−1(pは1以上の整数)の項は、180°の回転で符号が反転するため、180°の回転で補正可能である。また、残りのm=2pの項中で、更にm=2(2p−1)の項は、90°の回転で補正可能である。同様に、残りのm=2(2p)の項中で、更にm=2・2(2p−1)の項は、45°の回転で補正可能である。
また、90°の回転を2回行うことで、180°の回転と等価となり、45°の回転を2回又は4回行うことで、それぞれ90°及び180°の回転と等価となる。これによって、回転によって変化する波面収差を回転角毎(要因毎)に分離して特定できる。
また、本発明による第2の波面収差計測方法は、被検光学系(PL;12)の波面収差を計測する波面収差計測方法において、その被検光学系に計測光を入射させ、その被検光学系を通過したその計測光を計測用光学系(22〜25)を介して受光して、その被検光学系の第1の波面収差情報を求める第1工程(ステップ101〜103)と、その被検光学系を該被検光学系の光軸の回りに所定角度回転する第2工程(ステップ105A)と、その第2工程に続いて、その被検光学系に計測光を入射させ、その被検光学系を通過したその計測光をその計測用光学系を介して受光して、その被検光学系の第2の波面収差情報を求める第3工程(ステップ103)と、その第1及び第2の波面収差情報を用いて、その計測用光学系の計測誤差を補正する第4工程(ステップ106,107)とを有するものである。
本発明において、被検光学系を回転することは、計測用光学系の全体を逆方向に回転するのと実質的に等価である。従って、計測用光学系を回転する場合と同様に、その被検光学系の回転によって符号が変化する波面収差を補正することで、波面収差の計測精度を向上できる。
次に、本発明による波面収差計測装置は、被検光学系(PL)の波面収差を計測する波面収差計測装置において、その被検光学系に計測光を照射する照明系(12)と、その被検光学系を通過した計測光を入射する計測用光学系(22〜25)と、その計測用光学系を構成する複数の光学部材のうち、少なくとも一部の光学部材とその被検光学系とを相対回転する回転機構(RST,16,27,28)と、その回転機構によってその光学部材とその被検光学系とを相対回転する前後にそれぞれその計測用光学系を介したその計測光の情報に基づいてその相対回転する前後のそれぞれの波面収差情報を求め、この相対回転する前後のそれぞれの波面収差情報を用いてその計測用光学系の計測誤差を補正する演算装置(26)とを有するものである。
本発明によれば、その回転機構によってその光学部材と被検光学系とを相対回転する前後に波面収差を計測することで、その回転によって符号が変化する波面収差を求めることができる。その波面収差を補正することで、計測精度が向上する。
この場合、その照明系とその被検光学系との間に配置されて、所定の開口(13a)が形成された開口部材(13)を更に有し、その回転機構は、その光学部材及びその開口部材と、その被検光学系とを相対回転してもよい。これによって、その開口部材に起因する計測誤差も補正できる。
また、一例として、その計測用光学系の少なくとも一部の光学部材(22〜25)は、その計測用光学系の光軸に垂直な断面での外形が正多角形状の被覆部材(21a)に覆われ、その回転機構は、その被覆部材の外側面が嵌合する内面(16a)を有する支持部材(16)を含むものである。これによって、簡単な機構で且つ正確にその光学部材を回転できる。
次に、本発明による第1の露光装置は、照明光学系(12)からの露光ビームで第1物体(R)を照明し、その露光ビームでその第1物体及び投影光学系(PL)を介して第2物体(W)を露光する露光装置において、本発明の波面収差計測装置(21)を備え、その波面収差計測装置を用いてその照明光学系及びその投影光学系の少なくとも一方の波面収差を計測するものである。
本発明の適用によって、照明光学系又は投影光学系の波面収差を高精度に計測できる。
また、本発明による第2の露光装置は、照明光学系(12)からの露光ビームで第1物体(R)を照明し、その露光ビームでその第1物体及び投影光学系(PL)を介して第2物体(W)を露光する露光装置において、その照明光学系及びその投影光学系の少なくとも一方が回転可能であるものである。
この露光装置に例えば本発明の波面収差計測装置を装着して、その照明光学系又は投影光学系を回転する前後にその投影光学系の波面収差を計測することで、回転によって変化する波面収差よりなる計測誤差を求めることができ、波面収差の計測精度が向上する。
この場合、本発明の波面収差計測装置(21)を備え、その波面収差計測装置を、その第1物体を保持する第1ステージ(RST)及びその第2物体を保持する第2ステージ(WST)の少なくとも一方に着脱自在に配置してもよい。これによって、通常の露光時にはステージを小型及び軽量化できる。
本発明によれば、計測用光学系の少なくとも一部の光学部材と被検光学系とを相対的に回転する前後の波面収差を計測することによって、その回転によって変化する波面収差を計測誤差として求めることができる。従って、その計測誤差を補正することによって計測精度が向上する。別の方法として、その計測誤差を補正値として記憶しておくことで、計測結果のキャリブレーションを行うことができる。
また、本発明の露光装置によれば、照明光学系又は投影光学系の波面収差を高精度に計測することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態の一例につき図1〜図6を参照して説明する。本例は、投影露光装置に装着されている被検光学系としての投影光学系の波面収差を計測する場合に、本発明を適用したものである。
図1は、本例の投影露光装置の概略構成を示し、この図1において、露光ビームとしての露光光(照明光)を供給するための露光光源1として、例えばArFエキシマレーザ光源(波長193nm)が使用されている。なお、露光光源1としては、KrFエキシマレーザ光源(波長247nm)、F2 レーザ光源(波長157nm)、Kr2 レーザ光源(波長146nm)などの紫外パルスレーザ光源、YAGレーザの高調波発生光源、固体レーザ(半導体レーザなど)の高調波発生装置、又は水銀ランプ(i線等)なども使用することができる。
露光光源1から射出されたほぼ平行光束よりなる露光光ILは、ビーム整形光学系2を介して所定断面の光束に整形された後、干渉性低減部3に入射する。干渉性低減部3は、被照射面であるレチクルR上(ひいてはウエハW上)での干渉パターンを低減する機能を有する。干渉性低減部3の詳細については、たとえば特開昭59−226317号公報に開示されている。干渉性低減部3からの露光光ILは、オプティカル・インテグレータ(ユニフォマイザ又はホモジナイザ)としての第1フライアイレンズ4を介して、その後側焦点面に多数の光源を形成する。
これらの多数の光源からの露光光ILは、振動ミラー5で偏向された後、リレー光学系6を介してオプティカル・インテグレータとしての第2フライアイレンズ7を重畳的に照明する。振動ミラー5は、図1の紙面に垂直な軸の周りに回動する光路折り曲げ用のミラーであって、被照射面での干渉パターンを低減する機能を有する。こうして、第2フライアイレンズ7の後側焦点面には、多数の光源からなる二次光源が形成される。第2フライアイレンズ7の後側焦点面(照明光学系の瞳面)には、通常照明用の円形の開口絞り(σ絞り)8a、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り(不図示)、及び変形照明用の複数の離れた開口を有する開口絞り(不図示)などを有する照明系開口絞り部材8が、それらの内の任意の開口絞り(不図示の主制御系によって指示された開口絞り)をその後側焦点面に設置できるように配置されている。
図1の状態では、第2フライアイレンズ7の後側焦点面には通常照明用の開口絞り8aが配置されている。また、露光光ILの照明領域にマスクとしてのレチクルRが配置されているものとすると、開口絞り8aを通過した露光光ILは、コンデンサ光学系9及び落射照明用のミラー10を介して、レチクルRの転写用のパターンが形成された下面(レチクル面)を均一な照度分布で照明する。また、例えばレチクル面の近傍に、その照明領域を規定する視野絞り(不図示)が配置されている。なお、コンデンサ光学系9内で一度レチクル面との共役面を形成し、その共役面近傍に視野絞りを配置してもよい。ビーム整形光学系2、干渉性低減部3、第1フライアイレンズ4、ミラー5、リレー光学系6、第2フライアイレンズ7、照明系開口絞り部材8、コンデンサ光学系9、及びミラー10を含んで照明光学系12が構成されている。なお、その照明光学系12と同様の光学系の構成は、例えば特開平6−349701号公報などに開示されている。
本例では、照明光学系12中の主要な光学部材であるリレー光学系6、第2フライアイレンズ7、照明系開口絞り部材8、及びコンデンサ光学系9は、円筒型の部分鏡筒29内に保持されている。部分鏡筒29は、照明光学系12の光軸の周りに例えば45°、90°、135°、及び180°の4段階で正確に回転できるように、不図示のコラムに支持されている。従って、本例の照明光学系12の主要光学部材は、必要に応じて光軸の周りに回転できるように支持されている。
通常の露光時には露光光ILのもとで、レチクルRの照明領域内のパターンは、例えば両側テレセントリックの投影光学系PLを介して投影倍率β(βは1/4,1/5等)で、レジストが塗布された基板(感光基板)としてのウエハW上の一つのショット領域上の露光領域に投影される。なお、図1は、投影光学系PLの波面収差を計測する状態を示しているため、投影光学系PLの露光領域は波面収差の計測装置21上に位置している(詳細後述)。ウエハWは、例えば半導体(シリコン等)又はSOI(silicon on insulator)等の直径が150〜300mm程度の円板状の基板である。レチクルR及びウエハWがそれぞれ第1物体及び第2物体(感光体)に対応している。
投影光学系PLとしては、屈折系の他に、例えば国際公開公報(WO)第 00/39623 号に開示されているような反射屈折系等を使用することができる。また、投影光学系PLは、円筒状の鏡筒27内に保持され、鏡筒27は、投影光学系PLの光軸AXの周りに例えば45°、90°、135°、及び180°の4段階で正確に回転できるように、コラム28の開口部を通して支持されている。従って、本例の投影光学系PLは、必要に応じて光軸AXの周りに回転できるように支持されている。以下、図1において、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で図1の紙面に平行にX軸を取り、図1の紙面に垂直にY軸を取って説明する。
先ず、露光時にはレチクルステージRST(第1ステージ)上にレチクルRが保持され、レチクルステージRSTはレチクルベース(不図示)上でX方向、Y方向、Z軸の周りの回転方向に微動して、レチクルRの位置決めを行う。レチクルステージRSTのXY平面内での位置は不図示のレーザ干渉計によって計測され、その計測値に基づいて主制御系(不図示)がリニアモータ等の駆動機構(不図示)を介してレチクルステージRSTの位置等を制御する。なお、これはステッパーの場合であり、本例の投影露光装置がスキャニングステッパーのような走査露光型である場合には、レチクルRの照明領域は、X方向に細長い矩形領域となり、レチクルステージRSTには、Y方向に所定速度で往復運動(走査)する機能が付加される。
また、本例のレチクルステージRSTの近傍には、レチクルR又は後述のテストレチクル等を例えば45°、90°、135°、及び180°の4段階で正確に回転して再びそのレチクルステージRST上に載置する不図示のレチクルローダ系が配置されている。そのレチクルローダ系、レチクルステージRST、照明光学系12の部分鏡筒29、投影光学系PLの鏡筒27、及びコラム28が、波面収差の被検光学系とその計測用光学系とを相対回転する回転機構の一部を構成している。
一方、ウエハWは、ウエハステージWST(第2ステージ)上のウエハホルダ15に真空吸着されている。ウエハステージWSTは、定盤よりなるウエハベース19上をX方向、Y方向に駆動されるXYステージ部18と、ウエハWのZ方向の位置を制御するZステージ部17と、ウエハWのX軸及びY軸の周りの傾斜角(チルト角)を制御する機能を有すると共に、ウエハホルダ15が固定されたウエハテーブル(試料台)16とから構成されている。ウエハステージWSTのXY平面内での位置は、ウエハテーブル16に固定された移動鏡20に対して計測用のレーザビームWLBを照射するレーザ干渉計(不図示)によって計測されている。この計測値に基づいて、主制御系(不図示)がリニアモータ等の駆動機構(不図示)を介してウエハステージWSTのX方向、Y方向の位置等を制御する。
また、図1の投影露光装置は、レチクルR上のアライメントマークの位置を計測するための1対のレチクルアライメント顕微鏡44A,44Bと、ウエハW上のアライメントマークの位置を計測するためのオフ・アクシス方式でFIA(Field Image Alignment)方式のアライメントセンサ43と、ウエハテーブル16上に固定されて所定の基準マークが形成された基準マーク部材(不図示)とを備えている。これらのレチクルアライメント顕微鏡44A,44B、アライメントセンサ43、及び基準マーク部材を用いて、レチクルR及びウエハWのアライメントが行われる。なお、FIA方式のアライメントセンサについては、たとえば特開平4−65603号公報や特開平4−273246号公報などに開示されている。
更に、図1の投影露光装置は、投影光学系PLの光軸AXの方向、即ちZ方向に沿ったウエハWの表面又は波面収差の計測装置の入射面(被検面)の位置を検出するために、いわゆる斜入射方式の二次元オートフォーカス系(AF系)30を備えている。この二次元AF系30において、たとえばハロゲンランプ(不図示)からの白色光よりなる検出光は、リレー光学系(不図示)、ライトガイド31、コンデンサレンズ32、偏向プリズム33を介して、偏向プリズム33の射出側に形成された透過型格子パターンを照明する。
その透過型格子パターンを透過した検出光は、投射用集光レンズ34、ミラー35、及び投射用対物レンズ36を介して、所定の大きい入射角で被検面に達し、その被検面の光軸AXを囲む所定範囲の領域には、二次元スリット投影パターン(格子パターンの一次像)が形成される。その被検面で反射された検出光は、受光用対物レンズ37、振動ミラー38、及び受光用集光レンズ39を介して上述の偏向プリズム33と同様の構成を有するアオリ補正プリズム40に入射する。
こうして、アオリ補正プリズム40の入射面には、格子パターンの二次像が形成される。なお、アオリ補正プリズム40の入射面には二次元受光スリットの開口部が設けられている。アオリ補正プリズム40の射出面から射出された検出光は、リレー光学系41を介して、上記の格子パターンの二次像と受光スリットの開口部との共役像を、受光部42の受光面上に形成する。受光面には、受光スリットの複数の開口部に光学的に対応するように、二次元受光センサとしての複数のシリコン・フォトダイオードが設けられている。
ここで、被検面が投影光学系PLの光軸AXに沿ってZ方向に上下移動すると、アオリ補正プリズム40の入射面上に形成される格子パターンの二次像は、その上下移動に対応してパターンのピッチ方向に横ずれを起こす。こうして、光電顕微鏡の原理により、格子パターンの二次像の横ずれ量を光電検出し、光電検出した横ずれ量に基づいて投影光学系PLの光軸AXに沿った被検面の面位置を3点以上の複数点で検出する。このように検出される面位置に基づいて、主制御系(不図示)がZステージ部17及びウエハテーブル16内の駆動機構を介して、オートフォーカス方式でその被検面を投影光学系PLの像面に連続的に合わせ込むことができる。なお、二次元多点オートフォーカス方式の詳細については、例えば特開平6−97045号公報に開示されている。
そして、ウエハWの露光時には、上記のようにレチクルR及びウエハWのアライメントを行った後、照明系開口絞り部材8を駆動して照明条件が設定される。その後、ウエハW上の一連のショット領域を順次投影光学系PLの露光領域にステップ移動する動作と、レチクルRのパターンの像を投影光学系PLを介してウエハW上のショット領域に露光する動作とが、ステップ・アンド・リピート方式で繰り返される。その露光時には、ウエハWの表面がオートフォーカス方式で投影光学系PLの像面に合わせ込まれている。また、本例の投影露光装置が走査露光型である場合には、ウエハW上の各ショット領域への露光時に、レチクルステージRST(レチクルR)とウエハステージWST(ウエハW)とが投影倍率βを速度比としてY方向に同期して走査される。
さて、このような露光に際して、レチクルRのパターンの像をウエハW上に常に高解像度で、且つ忠実に転写するためには、投影光学系PLの収差の1つである波面収差を予め定められている所定範囲(規格)内に収める必要がある。また、その波面収差は、露光光ILの長時間の照射等によって次第に変化する恐れがある。そこで、本例の投影露光装置には、被検光学系としての投影光学系PLの波面収差をメンテナンス時等に随時計測できるように、着脱自在の計測装置21が備えられている。計測装置21は、レチクルステージRST及びウエハステージWSTの何れにも着脱することができる。
図1は、投影光学系PLの波面収差を計測するために、計測装置21をウエハステージWST中のウエハテーブル16に装着した状態を示している。図1において、計測装置21は、投影光学系PLに対向して配置されており、計測装置21の容器としての箱状部材21a(被覆部材)が、ウエハテーブル16(支持部材)の+X方向の端部の切り欠き部16aに設置されている。箱状部材21aは、不図示のクランプ部材によってウエハテーブル16に固定されている。
図5(A)は、図1中のウエハテーブル16の+X方向側の上面を示し、この図5(A)において、計測装置21の箱状部材21aの外形は、断面形状が正八角形の角柱であり、ウエハテーブル16上面の切り欠き部16aの側面(内面)は、箱状部材21aの−X方向側の外面に嵌合する形状に加工されている。ウエハテーブル16の切り欠き部16aを含んで、投影光学系PLと計測装置21とを相対回転するための回転機構の一部が構成されている。計測装置21を回転するためには、図5(B)に示すように、切り欠き部16aから+X方向に計測装置21を引き抜いて、その箱状部材21aを所定角度Δ(本例では、Δ=360°/8=45°)の整数倍だけ回転した後、再びその箱状部材21aをウエハテーブル16の切り欠き部16aに設置すればよい。これによって、ウエハテーブル16に対して計測装置21を角度Δ単位で正確に回転することができる。なお、箱状部材21aの外形を正N角形(Nは3以上の整数)として、切り欠き部16aの形状をそれに合わせることで、計測装置21を角度360°/N単位で正確に回転することができる。
なお、このように本例の計測装置21は、ウエハテーブル16に対して一種の埋め込み方式で固定されるが、計測装置21をウエハテーブル16の側面で着脱自在に支持してもよい。
次に、図2は、図1中の投影光学系PLの波面収差を計測するための装置構成を示す図である。以下、主に図1及び図2を参照して、本例の波面収差計測装置の構成について説明する。本例では、被検光学系としての投影光学系PLの波面収差の計測に際して、レチクルステージRST上に収差計測用のテストレチクル13(開口部材)が設置され、このテストレチクル13が計測光としての露光光ILで照明される。図3(A)に示すように、テストレチクル13には、遮光膜13c中に収差計測用の円形状の開口部13aがX方向及びY方向に沿って複数個(図3(A)では9個)マトリックス状に形成されている。また、中央の開口部13aを中心として半径方向に45°間隔で8箇所に(8組の)、それぞれX方向及びY方向の位置を示すための2次元のアライメントマーク13bが形成されている。更に、複数の開口部13aの間に、開口部13aよりも実質的に大きな正方形状の開口部13dも形成されている。
また、投影光学系PLの下方に配置された計測装置21は、ウエハステージWST(ウエハテーブル16)上においてウエハWの露光面とほぼ同じ高さ位置(Z方向位置)に取り付けられた標示板22を備えている。標示板22は、例えばガラス基板からなり、投影光学系PLの光軸AXに垂直な、ひいては後述する計測用光学系の光軸AX1に垂直な基準平面22cを有する。図3(B)に示すように、標示板22の基準平面22cには、その中央部にキャリブレーション用の開口部(光透過部)22aが形成されている。また、開口部22aを中心として半径方向に45°間隔で8箇所に(8組の)、それぞれX方向及びY方向の位置を示すための2次元のアライメントマーク22bが形成されている。
ここで、キャリブレーション用の開口部22aは、投影光学系PLを介して形成されるテストレチクル13の開口部13aの像よりも大きく設定されている。更に、基準平面22c上で、開口部22a及び複数のアライメントマーク22bを除く領域には、反射面が形成されている。反射面は、例えばガラス基板にクロム(Cr)を蒸着することにより形成されている。
更に、計測装置21において、投影光学系PLを介してその像面に形成されたテストレチクル13の開口部13aの像からの光が、コリメートレンズ23を介して、マイクロレンズアレイ24に入射する。マイクロレンズアレイ24は、X方向及びY方向にそれぞれ稠密に配列された正方形状の正屈折力を有する多数の微小レンズ24aからなる光学素子である。マイクロレンズアレイ24は、例えば平行平面ガラス板にエッチング処理を施して微小レンズ群を形成することによって構成されている。
従って、マイクロレンズアレイ24に入射した光束は多数の微小レンズ24aにより2次元的に分割され、各微小レンズ24aの後側焦点面の近傍にはそれぞれ1つの開口部13aの像が形成される。換言すると、マイクロレンズアレイ24の後側焦点面の近傍には、開口部13aの像が多数形成される。こうして形成された多数の像は、CCDよりなる2次元の撮像素子25(受光器)によって検出される。撮像素子25の光電変換部に配列された多数の微細な画素から読み出される検出信号が、コンピュータよりなる情報処理装置26(演算装置)に供給される。このように、マイクロレンズアレイ24は、投影光学系PLの像面に形成されたテストレチクル13の開口部13aの一次像からの光を波面分割して開口部13aの二次像を多数形成するための波面分割素子を構成している。そして、撮像素子25によってその多数の二次像が光電検出される。
本例では、標示板22、コリメートレンズ23、及びマイクロレンズアレイ24が、投影光学系PLの波面収差を計測するための計測用光学系を構成し、テストレチクル13が、所定の開口が形成された開口部材に対応している。そして、標示板22から撮像素子25までの部材が、図1の箱状部材21a(計測装置21)内に収納されている。従って、計測装置21及び情報処理装置26が全体として波面収差計測装置に対応している。なお、本例では、コリメートレンズ23からの光を直接マイクロレンズアレイ24に導いているが、特開2002−71514号公報に開示されているように、コリメートレンズ23とマイクロレンズアレイ24との間にリレー光学系を配置してもよい。この場合、計測装置21のZ方向の高さを短くするために、計測光の光路の途中にミラーを配置してその光路を折り曲げてもよい。
一般に、投影露光装置では、照明光学系12から供給される露光光ILの開口数NAが投影光学系PLの物体側開口数NApよりも小さく設定されている。従って、照明光学系12を用いてテストレチクル13の開口部13aを照明しても、開口部13aを介した光が不充分な開口数で投影光学系PLに入射することになる。そこで、本例では図2に示すように投影光学系PLの物体側開口数NAp(=sin φP)以上の開口数NAi(=sin φI)で開口部13aを照明(インコヒーレント照明)するために、図1に示すように、照明光学系12とテストレチクル13との間の光路中に挿脱自在に配置されて光束を拡散するための拡散板14を備えている。
更に、拡散板14の散乱特性と逆の透過率分布を有する濃度フィルタ(不図示)を、照明系開口絞り部材8の近傍に配置することが望ましい。この場合、拡散板14及びその濃度フィルタは、照明光学系12からの光束の開口数を拡大するための開口数拡大手段を構成する。なお、拡散板14の設置に代えて、テストレチクル13の上側面を拡散加工することもできる。また、拡散板14に代えて、DOE(回折光学素子:ディフラクティブ・オプティカル・エレメント)を使用することも可能である。但し、照明光学系12から供給される露光光ILの開口数NAが投影光学系PLの物体側開口数NApよりも十分に大きく設定されている場合(例えばコヒーレンスファクタ(σ値)が、σ≧1である場合)には、開口数拡大手段としての拡散板14を用いることなく計測を行うことも可能である。
本例では、上述したように、投影光学系PLの物体側開口数NAp以上の開口数NAiで開口部13aを照明する。この場合、図2に示すように、計測用光学系のマイクロレンズアレイ24の各微小レンズ24a毎に互いに独立な多数の結像光学系が存在すると考えることが可能である。各結像光学系は、各微小レンズ24aの大きさに相当する波面収差の一部分の影響を受けて開口部13aの像をそれぞれインコヒーレント結像する。このとき、光学系の配置は、標示板22の開口部22aの中央に開口部13aの像が形成されるように設定される。即ち、開口部22aは、投影光学系PLを介して形成される開口部13aの像よりも実質的に大きく設定されている。
図4は、撮像素子25の受光面を示す拡大図であり、この図4に示すように、図2の個々の微小レンズ24a(仮に5行×5列とする)によって集光された光が、それぞれ図2の開口部13aの像(二次像)ILA,ILB,…,ILYを形成する。これらの像の光量重心をそれぞれ結像位置とすると、所定の基準位置53A,53B,…,53Yから対応する結像位置までの変位を表すベクトル51A,51B,…,51Yが波面収差の情報を含んでいる。撮像素子25の各画素からの検出信号を画像処理することによって、図2の情報処理装置26では、一例としてそのベクトル51A〜51Yの情報を求め、この情報から投影光学系PLを通過した計測光の波面収差を求める。なお、情報処理装置26において、そのベクトルに加えて、図4の各像ILA〜ILYの拡がり量の情報(各光束のパワーの情報)を求め、この情報をも使用してもよい。
具体的に、投影光学系PLを通過した光に波面収差が残存していない場合、開口部13aの各像の光量重心位置は計測用の各基準位置53A,53B,…,53Yに形成される。計測用光学系に波面収差などに起因する誤差がない場合、図4の計測用の各基準位置53A〜53Yは、マイクロレンズアレイ24の各微小レンズ24aの光軸上に設定される。実際には、投影光学系PL及び計測用光学系に波面収差が残存しているため、開口部13aの各像の光量重心位置は各基準位置から位置ずれする。従って、本例では、図4の各像ILA〜ILYの位置ずれ量に対応するベクトル51A〜51Yの情報に基づいて、図2に示すように、コリメートレンズ23中を通過する光の波面52を計算で求めることによって、投影光学系PLを通過した光の波面収差を計測することになる。
但し、本例では、撮像素子25において解像可能な大きさの開口部13aの像を結像させる方式であるため、開口部13aを球面波を発生させるような極小ピンホール形状にする必要はない。即ち、本例では開口部13aの形状は円形状に限定されることがない。また、開口部13aから撮像素子25までの光路における透過率は計測用光学系を構成する光学部材の透過率に依存して決定されるため、撮像素子25に対して充分な照度を提供することが可能となる。
以下、図1及び図2の構成において、投影光学系PLを通過した光の波面収差を計測する基本的な動作について説明する。本例では、上述したように、テストレチクル13のパターン面に複数のアライメントマーク13b(図3(A))が形成され、計測装置21の上部の標示板22上に複数組のアライメントマーク22b(図3(B)参照)が形成されている。そこで、これらのアライメントマークを用いてテストレチクル13と標示板22との位置関係を調整することができる。
具体的には、レチクルステージRST上に不図示のレチクルローダ系によって所定の回転角でテストレチクル13をロードした後、図1のレチクルアライメント顕微鏡44A,44Bを介して図3(A)のテストレチクル13の所定の対向する1対のアライメントマーク13bの位置を検出する。この検出結果に基づいて、レチクルステージRSTを駆動して、例えばテストレチクル13の中央の開口部13aの位置を投影光学系PLの光軸AXにほぼ一致させる。また、テストレチクル13の全部の開口部13aの投影光学系PLによる像の位置を計算によって求める。
次に、ウエハステージWSTを駆動して、計測装置21の標示板22の上面を投影光学系PLの露光視野領域内へ、ひいては二次元AF系30の検出視野領域内へ移動させる。その状態で、二次元AF系30の計測値を用いてZステージ部17及びウエハテーブル16を駆動して、投影光学系PLの像面に対して標示板22の基準平面22cを合わせ込む。次に、ウエハステージWSTをXY平面に沿って駆動して、標示板22の上面をアライメントセンサ43の検出視野領域内へ移動させる。そして、アライメントセンサ43を用いて、標示板22上の複数組のアライメントマーク22bの位置を順次検出することにより、標示板22の開口部22aのXY平面内での位置、ひいては計測用光学系の光軸AX1のXY平面に沿った位置を検出する。なお、標示板22上のアライメントマーク22bとその光軸AX1(開口部22a)との間の位置関係情報は、通常のウエハアライメントと同様に、予め制御ソフトにデータとして認識されている。次に、テストレチクル13に設けられた複数の開口部13aのうち、任意に選択された第1番目の開口部13aの像が投影光学系PLを介して形成される位置に対して、計測装置21(標示板22)の開口部22aを初期的に位置決めする。
即ち、テストレチクル13及び計測装置21が初期的に正確に位置決めされた状態において、投影光学系PLを介して形成された第1番目の開口部13aの像の中心点と開口部22aの中心(計測用光学系の光軸AX1)とがXY平面内において一致する。この初期状態において、撮像素子25の出力に基づいて投影光学系PLを通過した光の波面収差を計測する。この計測結果から、チルト成分、パワー成分(デフォーカス成分)、及び非点収差成分(アス成分)を求め、チルト成分からディストーションの絶対値を、パワー成分からフォーカス面(像面)の絶対位置を、非点収差成分から像面収差をそれぞれ求めることができる。次に、チルト成分及びパワー成分ができるだけ小さくなるように、計測装置21をX方向、Y方向、Z方向に微動させる。こうして、チルト成分及びパワー成分をできるだけ小さく追い込んだ状態で、撮像素子25の出力に基づいて投影光学系PLを通過した光の波面収差を最終的に高精度に計測する。
上述の波面収差の計測動作は、テストレチクル13に設けられた残りの複数の開口部13aについて同様に順次行われる。この際のウエハステージWSTのXY平面に沿った位置決めは、計測ビームWLBを用いるレーザ干渉計の計測情報に基づいて高精度に行うことができる。なお、投影光学系PLの波面収差の計測は、投影光学系PLの初期的な調整・検査時のみならず、その後の点検(メンテナンス)時にも行われる。
ところで、投影光学系PLの波面収差を正確に計測するには、計測用光学系自体で発生する波面収差などの影響をどのように処理するかが問題となる。以下では、計測用光学系自体で発生する波面収差を含む収差の影響をできるだけ小さくする方法につき説明する。先ず、テストレチクル13の正方形状の開口部13d(図3(A)参照)の像が投影光学系PLを介して形成される位置の中心に、図2の標示板22(計測装置21)のキャリブレーション用の開口部22aの中心を位置決めする。この状態で、照明光学系12からの露光光ILでテストレチクル13を照明すると、投影光学系PLを介して標示板22上に形成される照明領域(開口部13dの像)は、開口部22aよりも実質的に大きい。
こうして、開口部22aからの光がコリメートレンズ23及びマイクロレンズアレイ24を介して、撮像素子25の受光面上に開口部22aの多数の像を形成する。設計値では、開口部22aの各像が、マイクロレンズアレイ24の各微小レンズ24aの理想結像位置に整然と並んで形成されるはずである。しかしながら、計測用光学系の収差、マイクロレンズアレイ24の製造誤差、及び撮像素子25の各画素の配列誤差等により、実際に計測される各開口部像の光量重心位置は設計上仮定した理想結像位置から位置ずれしてしまう。
ここで、発生した各開口部像の位置ずれは、計測用光学系の収差、マイクロレンズアレイ24の製造誤差、及び撮像素子25の製造誤差にのみ起因するものであって、投影光学系PLの波面収差などの影響を受けていない。なぜなら、テストレチクル13の開口部13dの像は、標示板22上の開口部22aよりも実質的に大きいからである。そこで、本例では、そのようにして得られた各開口部像の位置を図4の計測用の各基準位置53A〜53Yに設定する。そして、設定した計測用の各基準位置に基づいて、上記の投影光学系PLを通過した光の波面収差の計測を行うことにより、計測用光学系の収差、マイクロレンズアレイ24の製造誤差、及び撮像素子25の各画素の配列誤差等の影響を少なくすることができる。
しかしながら、このように計測用光学系の収差の影響を少なくしても、僅かに計測用光学系に波面収差が残存している恐れがある。以下では、図2のテストレチクル13(開口部材)と、標示板22、コリメートレンズ23、マイクロレンズアレイ24、及び撮像素子25からなる計測用光学系とに残存する波面収差の内で、所定の回転によって変化する波面収差を求めることによって、投影光学系PLの波面収差の計測精度を向上する動作の一例につき、図6のフローチャートを参照して説明する。先ず、そのテストレチクル13及び計測用光学系の180°の回転によって変化する波面収差成分を求めて、その補正を行う場合につき説明する。
図6のステップ101において、図1のレチクルステージRST上にテストレチクル13をロードし、ウエハテーブル16に固定された計測装置21を投影光学系PLの下方に位置決めする。これが、テストレチクル13及びその計測用光学系の回転角が0°の状態である。次のステップ102において、上述のように図3(A)のテストレチクル13の所定のアライメントマーク13bの位置を検出して、例えば中央の開口部13aが投影光学系PLの光軸AXの位置に来るように、レチクルステージRSTを駆動してテストレチクル13のアライメントを行う。これと共に、図3(B)の標示板22の所定のアライメントマーク22bの位置を検出して、キャリブレーション用の開口部22a(計測用光学系の光軸AX1)が光軸AXの位置に来るように、ウエハステージWSTを駆動して計測装置21のアライメントを行う。
次のステップ103において、上述の基本的な波面収差計測動作に従って、照明光学系12(照明系)からの露光光IL(計測光)でテストレチクル13を照明し、テストレチクル13及び投影光学系PLを通過した光を計測装置21内の撮像素子25で光電変換して、その検出信号を情報処理装置26で処理することによって、投影光学系PLを通過した光の波面収差(第1の波面収差情報)を計測する。本例では、例えば文献1(Max Born and Emil Wolf: Principles of Optics, 6th ed., Chap. 9.2 "Expansion of the Aberration Function", pp. 464-468 (Pergamon Press, 1980, England) に開示されているように、そのように計測された回転角0°での波面収差を表す関数(WT(0))をツェルニケの多項式(Zernike's Polynomial)で展開する。
ツェルニケの多項式中の定数項以外の項(以下、「ツェルニケ項」と呼ぶ。)は、被検光学系の所定面(例えば瞳面)での半径方向の位置ρの関数(radial polynomial) Rnm(ρ)(n=1,2,3,…;m=0,1,…,n)、及び光が通過する光学系に応じて定まる係数Anm,Bnmを用いて、Anm・Rnm(ρ)cos mθ及びBnm・Rnm(ρ)sin mθの形で表すことができる。その角度θは、その所定面での光軸の周りの角度である。なお、位置ρのみの関数からなるツェルニケ項は、回転によっては変化しないため、本例では補正対象とはしないものとする。そこで、以下では、ツェルニケ項中で関数cos mθ又はsin mθ(mは1以上の整数)を含む項のみを扱う。係数を1としたツェルニケ項であるRnm(ρ)cos mθ及びRnm(ρ)sin mθは、表1に示すように、具体的な関数の形に応じてツェルニケ項Z2,Z2,…,Z34,Z35と呼ばれている。
ここで、その整数mがm=2p−1(pは1以上の整数)のツェルニケ項ZT1(n,2p−1)に着目し、ツェルニケ項ZT1(n,2p−1)の係数を、投影光学系PL(被検光学系)に起因する係数CP1,SP1と、テストレチクル13(開口部材)及び計測装置21(計測用光学系)に起因する成分CS1,SS1とに分けると、次のようになる。
ZT1(n,2p−1)=(CP1+CS1)Rnm(ρ)cos[(2p-1)θ]
+(SP1+SS1)Rnm(ρ)sin[(2p-1)θ] …(11)
但し、実際には係数(CP1+CS1)及び(SP1+SS1)はそれぞれ1つの値として求められる。
次のステップ104において、テストレチクル13及び計測装置21が180°回転しかたどうかを判定する。ここではまだ回転が行われていないため、動作はステップ105に移行して、テストレチクル13及び計測装置21をそれぞれ図2の計測用光学系の光軸AX1の周りに所定角度Δだけ回転する。今は所定角度Δを180°とする。そのためには、図1において、不図示のレチクルローダ系を用いてレチクルステージRSTからテストレチクル13を一度アンロードして180°回転した後、再びテストレチクル13をレチクルステージRST上にロードする。これと並行して、図5(A)において、ウエハテーブル16の切り欠き部16aから計測装置21の箱状部材21aを+X方向に一度引き抜いて、図5(B)に示すように、箱状部材21aを180°(図5(B)での角度Δの4倍に相当する。)回転した後、再び箱状部材21aをそのウエハテーブル16の切り欠き部16aに戻して、不図示のクランプ部材で固定する。本例では、回転される光学部材は、テストレチクル13及び計測装置21中の全部の光学部材、即ち開口部材と計測用光学系との全体である。
次にステップ102に移行して、回転後のテストレチクル13(中央の開口部13a)及び計測装置21(開口部22a)のアライメントを行う。これによって、その開口部13a及び開口部22aはそれぞれ投影光学系PLの光軸AX上に位置決めされる。次のステップ103において、回転角が0°の場合と同様に、照明光学系12からの露光光ILでテストレチクル13を照明し、計測装置21内の撮像素子25からの検出信号を情報処理装置26で処理することによって、投影光学系PLを通過した光の波面収差(第2の波面収差情報)を計測する。ここでも、計測された回転角180°での波面収差を表す関数(WT(180°))をツェルニケの多項式で展開する。そして、整数mがm=2p−1(pは1以上の整数)となるツェルニケ項ZT2(n,2p−1)に着目し、ツェルニケ項ZT2(n,2p−1)の係数を、投影光学系PLに起因する係数CP1,SP1と、テストレチクル13及び計測装置21に起因する成分CS1,SS1とに分ける。これらの係数は、回転角が0°の場合と同じである。
但し、ここでは計測用光学系は180°(=π(rad) )回転しているため、テストレチクル13及び計測装置21に関するツェルニケ項ZT2(n,2p−1)中の関数cos[(2p-1)θ]及びsin[(2p-1)θ]はそれぞれ次のように符号が反転する。
cos[(2p-1)(θ+π)]=cos[(2p-1)θ+(2p-1)π]=−cos[(2p-1)θ]…(12)
sin[(2p-1)(θ+π)]=sin[(2p-1)θ+(2p-1)π]=−sin[(2p-1)θ]…(13)
従って、回転後のツェルニケ項ZT2(n,2p−1)は、次のようになる。
ZT2(n,2p−1)=(CP1−CS1)Rnm(ρ)cos[(2p-1)θ]
+(SP1−SS1)Rnm(ρ)sin[(2p-1)θ] …(14)
なお、ここでも実際には係数(CP1−CS1)及び(SP1−SS1)はそれぞれ1つの値として求められる。
次に、ステップ104に移行するが、この段階ではテストレチクル13及び計測装置21は180°回転しているため、動作はステップ106に移行して、図1の情報処理装置26は、テストレチクル13及び計測装置21自体の波面収差を計測誤差として求める。ここでは、(11)式及び(14)式のツェルニケ項ZT1(n,2p−1)及びZT2(n,2p−1)の差分より、次のようにテストレチクル13及び計測装置21に起因するCS1,SS1を係数とするツェルニケ項(計測誤差)E1を求めることができる。
E1=CS1・Rnm(ρ)cos[(2p-1)θ]+SS1・Rnm(ρ)sin[(2p-1)θ]
={ZT1(n,2p−1)−ZT2(n,2p−1)}/2 …(15)
次のステップ107において、求められた計測誤差E1を(11)式の回転角0°でのツェルニケ項ZT1(n,2p−1)から差し引くことで、次のように投影光学系PLに起因する係数CP1,SP1のみを持つツェルニケ項(波面収差)を求めることができる。
ZT1(n,2p−1)−E1=CP1・Rnm(ρ)cos[(2p-1)θ]
+SP1・Rnm(ρ)sin[(2p-1)θ]…(16)
この補正は、m=2p−1≦n(pは1以上の整数)で表される全部のツェルニケ項Anm・Rnm(ρ)cos mθ及びBnm・Rnm(ρ)sin mθについて個別に行うことができる。これは、テストレチクル13及び計測装置21の180°の回転によって、表1のツェルニケ項Z2,Z3,Z7,Z8,Z10,Z11,Z14,Z15,Z19,Z20,Z23,Z24,Z26,Z27,Z30,Z31,Z34,Z35が補正可能であることを意味する。
従って、これらを含むツェルニケの多項式で表される投影光学系PLの波面収差は、(15)式で表されるテストレチクル13及び計測装置21に起因する波面収差の一部が補正されているため、波面収差の計測精度が向上している。更に、(15)式のツェルニケ項E1を計測誤差として記憶しておき、その後でテストレチクル13及び計測装置21を用いて投影光学系PLの波面収差を計測する際には、その計測結果をその記憶してある計測誤差で補正してもよい。これによって、計測結果のキャリブレーションを行うことができ、計測精度も高く維持される。
なお、テストレチクル13及び計測装置21を180°回転することは、90°の回転を2回行うこと、又は45°の回転を4回行うことと等価である。従って、テストレチクル13及び計測装置21を180°回転する代わりに、90°の回転を2回行った後の波面収差の計測値、又は45°の回転を4回行った後の波面収差の計測値を用いても、(15)式の計測誤差の補正を行うことができる。この意味で、表1においては、180°の回転で補正できるツェルニケ項は、90°の回転及び45°の回転でも補正できるように表されている。
Figure 2005158829
なお、上記の実施形態のようにテストレチクル13及び計測装置21を180°回転した場合には、m=2p(pは1以上の整数)のツェルニケ項Rnm(ρ)cos 2pθ及びRnm(ρ)sin 2pθは符号が変化しないため、補正することができない。
このm=2pの場合は、更にm=2(2p-1)の場合とm=2・2p=4pの場合とに分けられる。そして、前者のm=2(2p-1)のツェルニケ項中のテストレチクル13及び計測装置21に起因する計測誤差を求めるには、図6のステップ105でテストレチクル13及び計測装置21をそれぞれ90°回転すればよい。この場合、テストレチクル13及び計測装置21は90°(=π/2(rad) )回転しているため、これらに関するツェルニケ項ZT2(n,2(2p-1))中の関数cos[2(2p-1)θ]及びsin[2(2p-1)θ]はそれぞれ次のように符号が反転する。
cos[2(2p-1)(θ+π/2)]=cos[2(2p-1)θ+(2p-1)π]=−cos[2(2p-1)θ]…(17)
sin[2(2p-1)(θ+π/2)]=sin[2(2p-1)θ+(2p-1)π]=−sin[2(2p-1)θ]…(18)
従って、(15)式と同様に、回転角が0°の場合のm=2(2p-1)のツェルニケ項から回転角が90°の場合のツェルニケ項を差し引くことで、テストレチクル13及び計測装置21に起因する波面収差(計測誤差)を求めることができ、この補正を行うことで、計測精度を向上できる。これは、テストレチクル13及び計測装置21の90°の回転によって、表1のツェルニケ項Z5,Z6,Z12,Z13,Z21,Z22,Z32,Z33が新たに補正可能であることを意味する。
なお、図6のフローチャートでは、ステップ105の回転角Δが90°の場合でも、ステップ104によって、テストレチクル13及び計測装置21は最終的に180°まで回転される。これは、上述のように、回転角180°でツェルニケ項(m=2p−1)の補正を行うためである。
また、テストレチクル13及び計測装置21を90°回転することは、45°の回転を2回行うことと等価である。従って、それらを90°回転する代わりに、45°の回転を2回行った後の波面収差の計測値を用いても、同様に計測誤差の補正を行うことができる。この意味で、表1においては、90°の回転で補正できるツェルニケ項は、45°の回転でも補正できるように表されている。
更に、上記のようにテストレチクル13及び計測装置21を90°回転した場合でも、m=2・2p=4p(pは1以上の整数)のツェルニケ項Rnm(ρ)cos 4pθ及びRnm(ρ)sin 4pθは符号が変化しないため、補正することができない。
このm=4pの場合は、更にm=4(2p-1)の場合とm=4・2p=8pの場合とに分けられる。そして、前者のm=4(2p-1)のツェルニケ項中のテストレチクル13及び計測装置21に起因する計測誤差を求めるには、図6のステップ105でテストレチクル13及び計測装置21をそれぞれ45°回転すればよい。この場合、テストレチクル13及び計測装置21は45°(=π/4(rad) )回転しているため、これらに関するツェルニケ項ZT2(n,4(2p-1))中の関数cos[4(2p-1)θ]及びsin[4(2p-1)θ]はそれぞれ次のように符号が反転する。
cos[4(2p-1)(θ+π/4)]=cos[4(2p-1)θ+(2p-1)π]=−cos[4(2p-1)θ]…(19)
sin[4(2p-1)(θ+π/4)]=sin[4(2p-1)θ+(2p-1)π]=−sin[4(2p-1)θ]…(20)
従って、(15)式と同様に、回転角が0°の場合のm=4(2p-1)のツェルニケ項から回転角が45°の場合のツェルニケ項を差し引くことで、テストレチクル13及び計測装置21に起因する波面収差(計測誤差)を求めることができ、この補正を行うことで、計測精度を向上できる。これは、テストレチクル13及び計測装置21の45°の回転によって、表1のツェルニケ項Z17,Z18,Z28,Z29が新たに補正可能であることを意味する。
なお、図6のフローチャートでは、ステップ105の回転角Δが45°の場合でも、ステップ104によって、テストレチクル13及び計測装置21は最終的に180°まで回転される。これは、上述のように、回転角90°でm=2(2p-1)のツェルニケ項の補正を行い、回転角180°でm=2p−1のツェルニケ項の補正を行うためである。
また、上記の実施形態では、テストレチクル13及び計測装置21の全体を回転しているが、例えばテストレチクル13の開口部13aがほぼ完全な円形であるような場合には、計測装置21のみを回転してもよい。又は、計測装置21(計測用光学系)中の一部の光学部材、例えばコリメートレンズ23のみを回転してもよい。又は、テストレチクル13のみを回転してもよい。これらの場合には、それぞれ計測装置21、その一部の光学部材、又はテストレチクル13のみに起因する波面収差の補正を行うことができるが、計測精度は向上する。更に、本例では、照明光学系12の主要部の光学部材は回転可能な部分鏡筒29内に固定されているため、図6のステップ105において、テストレチクル13及び計測装置21の代わりに部分鏡筒29を回転してもよい。この場合には、投影光学系PLの波面収差を計測する場合の、計測光の照明系としての照明光学系12に起因する波面収差(計測誤差)を計測することができる。従って、この補正を行うことで、計測精度が向上する。
更に、例えばテストレチクル13及び計測装置21を時計回りに角度Δだけ回転することは、投影光学系PL(被検光学系)を反時計回りに角度Δだけ回転することと実質的に等価である。そこで、図6のステップ105の代わりに、ステップ105Aで示すように、図1の投影光学系PLを光軸AXの周りに逆方向に角度Δだけ回転してもよい。この場合には、テストレチクル13及び計測装置21の位置は変化しないため、ステップ102のアライメントを省略してステップ103に移行して、波面収差の計測を行うことができる。
また、上記の実施形態では、投影光学系PLを被検光学系としているが、照明光学系12の波面収差を計測することも可能である。このためには、図1において、計測装置21をレチクルステージRST上の位置P1に固定し、例えば第1フライアイレンズ4の近傍にテストレチクル13と同様の開口部の形成された開口部材を配置すればよい。この場合にも、例えば計測装置21を所定角度だけ回転して、その前後に波面収差を計測することによって、計測装置21に起因する波面収差を補正して、計測精度を向上できる。
なお、上記の実施形態の投影露光装置は、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み光学調整をして、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより製造することができる。なお、その露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
また、上記の実施形態の投影露光装置を用いて半導体デバイスを製造する場合、この半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、このステップに基づいてレチクルを製造するステップ、シリコン材料からウエハを形成するステップ、上記の実施形態の投影露光装置によりアライメントを行ってレチクルのパターンをウエハに露光するステップ、エッチング等の回路パターンを形成するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、及び検査ステップ等を経て製造される。
なお、本発明は、例えば国際公開(WO)第99/49504号などに開示される液浸型露光装置で投影光学系の波面収差を計測する場合にも適用することができる。また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。
本発明を露光装置に適用することにより、照明光学系や投影光学系の波面収差を高精度に計測できる。従って、この計測結果を用いて投影光学系の結像特性を所望の状態に高精度に設定できるため、微細パターンを有する各種デバイスを高精度に製造できる。
本発明の実施形態の一例の投影露光装置の概略構成を示す図である。 図1中の投影光学系PLに対する波面収差計測用の装置構成を示す図である。 (A)は図2中のテストレチクル13を示す平面図、(B)は図2中の標示板22を示す平面図である。 図2の撮像素子25の受光面に形成される多数の二次像を示す拡大平面図である。 (A)はウエハテーブル16に計測装置21が装着された状態を示す要部の平面図、(B)はウエハテーブル16から計測装置21を引き出した状態を示す要部の平面図である。 本発明の実施形態において、投影光学系の波面収差を計測する場合の動作の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
1…露光光源、12…照明光学系、13…テストレチクル、R…レチクル、PL…投影光学系、W…ウエハ、RST…レチクルステージ、WST…ウエハステージ、16…ウエハテーブル、21…計測装置、21a…箱状部材、22…標示板、23…コリメートレンズ、24…マイクロレンズアレイ、25…撮像素子、26…情報処理装置

Claims (10)

  1. 被検光学系の波面収差を計測する波面収差計測方法において、
    前記被検光学系に計測光を入射させ、前記被検光学系を通過した前記計測光を計測用光学系を介して受光して、前記被検光学系の第1の波面収差情報を求める第1工程と、
    前記計測用光学系を構成する複数の光学部材のうち、少なくとも一部の光学部材を前記計測用光学系の光軸の回りに所定角度回転する第2工程と、
    前記第2工程に続いて、前記被検光学系に計測光を入射させ、前記被検光学系を通過した前記計測光を前記計測用光学系を介して受光して、前記被検光学系の第2の波面収差情報を求める第3工程と、
    前記第1及び第2の波面収差情報を用いて、前記計測用光学系の計測誤差を補正する第4工程とを有することを特徴とする波面収差計測方法。
  2. 前記第1工程及び第3工程において、前記被検光学系に所定の開口が形成された開口部材を介して前記被検光学系に前記計測光を入射させ、
    前記第2工程において、前記光学部材と共に前記開口部材を同じ角度だけ回転することを特徴とする請求項1に記載の波面収差計測方法。
  3. 前記第2工程における前記光学部材の回転角は、180°、90°、又は45°であり、
    前記回転角が90°又は45°であるときには、前記第2工程と前記第3工程とを複数回繰り返すことを特徴とする請求項1又は2に記載の波面収差計測方法。
  4. 被検光学系の波面収差を計測する波面収差計測方法において、
    前記被検光学系に計測光を入射させ、前記被検光学系を通過した前記計測光を計測用光学系を介して受光して、前記被検光学系の第1の波面収差情報を求める第1工程と、
    前記被検光学系を該被検光学系の光軸の回りに所定角度回転する第2工程と、
    前記第2工程に続いて、前記被検光学系に計測光を入射させ、前記被検光学系を通過した前記計測光を前記計測用光学系を介して受光して、前記被検光学系の第2の波面収差情報を求める第3工程と、
    前記第1及び第2の波面収差情報を用いて、前記計測用光学系の計測誤差を補正する第4工程とを有することを特徴とする波面収差計測方法。
  5. 被検光学系の波面収差を計測する波面収差計測装置において、
    前記被検光学系に計測光を照射する照明系と、
    前記被検光学系を通過した計測光を入射する計測用光学系と、
    前記計測用光学系を構成する複数の光学部材のうち、少なくとも一部の光学部材と前記被検光学系とを相対的に回転する回転機構と、
    前記回転機構によって前記光学部材と前記被検光学系とを相対回転する前後にそれぞれ前記計測用光学系を介した前記計測光の情報に基づいて前記相対回転する前後のそれぞれの波面収差情報を求め、該相対回転する前後のそれぞれの波面収差情報を用いて前記計測用光学系の計測誤差を補正する演算装置とを有することを特徴とする波面収差計測装置。
  6. 前記照明系と前記被検光学系との間に配置されて、所定の開口が形成された開口部材を更に有し、
    前記回転機構は、前記光学部材及び前記開口部材と、前記被検光学系とを相対回転することを特徴とする請求項5に記載の波面収差計測装置。
  7. 前記計測用光学系の前記光学部材は、前記計測用光学系の光軸に垂直な断面での外形が正多角形状の被覆部材に覆われ、
    前記回転機構は、前記被覆部材の外側面が嵌合する内面を有する支持部材を含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の波面収差計測装置。
  8. 照明光学系からの露光ビームで第1物体を照明し、前記露光ビームで前記第1物体及び投影光学系を介して第2物体を露光する露光装置において、
    請求項5、6、又は7に記載の波面収差計測装置を備え、
    前記波面収差計測装置を用いて前記照明光学系及び前記投影光学系の少なくとも一方の波面収差を計測することを特徴とする露光装置。
  9. 照明光学系からの露光ビームで第1物体を照明し、前記露光ビームで前記第1物体及び投影光学系を介して第2物体を露光する露光装置において、
    前記照明光学系及び前記投影光学系の少なくとも一方が回転可能であることを特徴とする露光装置。
  10. 請求項5、6、又は7に記載の波面収差計測装置を備え、
    前記波面収差計測装置が、前記第1物体を保持する第1ステージ及び前記第2物体を保持する第2ステージの少なくとも一方に着脱自在であることを特徴とする請求項9に記載の露光装置。
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