JP2005158633A - リチウム二次電池用電極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】充放電特性が低下するのを抑制することが可能なリチウム二次電池用電極の製造方法を提供する。
【解決手段】このリチウム二次電池用電極の製造方法は、蒸着源3に含まれる蒸着材料11を加熱することにより蒸発させて堆積する蒸着法を用いて、リチウムと合金化するSiまたはGeを主成分とする活物質層をリチウムと合金化しない銅を主成分とする電解銅箔からなる集電体12上に形成する工程と、蒸着源3に含まれる蒸着材料11を加熱することにより蒸発させて堆積する際に、遮蔽状態と開放状態とに移動可能なシャッタ6を用いて集電体12と蒸着源3との間を少なくとも1回物理的に遮断する工程とを備えている。
【選択図】図1
【解決手段】このリチウム二次電池用電極の製造方法は、蒸着源3に含まれる蒸着材料11を加熱することにより蒸発させて堆積する蒸着法を用いて、リチウムと合金化するSiまたはGeを主成分とする活物質層をリチウムと合金化しない銅を主成分とする電解銅箔からなる集電体12上に形成する工程と、蒸着源3に含まれる蒸着材料11を加熱することにより蒸発させて堆積する際に、遮蔽状態と開放状態とに移動可能なシャッタ6を用いて集電体12と蒸着源3との間を少なくとも1回物理的に遮断する工程とを備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、リチウム二次電池用電極の製造方法に関し、特に、集電体上に活物質層を形成するリチウム二次電池用電極の製造方法に関する。
近年、盛んに研究開発が行われているリチウム二次電池は、用いる電極によって、充放電特性、充放電サイクル特性および保存特性などの電池特性が大きく左右される。このため、電極に用いる活物質を改善することにより、電池特性の改善および向上が図られている。
負極活物質としてリチウム金属を用いて電池を作製する場合、重量当たりおよび体積当たりのエネルギー密度の高い電池が得られることが知られている。この場合、負極上では、充電によってリチウムが析出するとともに、放電によってリチウムが溶解する。この電池の充放電を繰り返すことによって、負極上ではリチウムの析出と溶解が繰り返し行われる。これにより、負極上にリチウムがデンドライト状(樹枝状)に析出するという不都合が生じる。その結果、内部短絡が発生するという問題点があった。
そこで、従来、充電時に電気化学的にリチウムと合金化するアルミニウム、シリコンおよび錫などを負極活物質として用いることによって、上記のようなリチウムのデンドライト状の析出を抑制したリチウム二次電池が提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。これらのアルミニウム、シリコンおよび錫などのうち、特に、シリコンは理論容量が大きいので、高い容量を示す電池の負極活物質として有望な材料である。このため、シリコンを負極活物質とするリチウム二次電池が種々提案されている。また、このようなシリコンを負極活物質とするリチウム二次電池用電極の形成方法として、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法などの薄膜形成方法を用いて、集電体上に微結晶または非晶質のSiからなる活物質層を形成する方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1において提案された薄膜形成方法のうち、CVD法およびスパッタリング法は成膜速度が小さいため、電極として用いるのに必要となる所定の厚みの活物質層を形成するのに長時間が必要になるという不都合がある。このため、活物質層を形成した電極の生産性を向上するのが困難であるという不都合がある。一方、上記特許文献1に提案された真空蒸着法のうち、蒸着源に含まれる蒸着材料を加熱することにより蒸発させて堆積させる蒸着法(以下、加熱蒸着法という)は、成膜速度が比較的大きいので、CVD法およびスパッタリング法に比べて短時間で所定の厚みを有する活物質層を形成することが可能である。このため、活物質層を形成した電極の生産性を向上することが可能である。
"Lithium alloy negative electrodes formed from convertible oxides",Solid State Ionics,113−115,pp.57−67(1998) 特開2002−83594号公報
"Lithium alloy negative electrodes formed from convertible oxides",Solid State Ionics,113−115,pp.57−67(1998)
しかしながら、上記した加熱蒸着法により活物質層を形成した場合には、大きな輻射熱が発生するので、集電体が高温に加熱されることにより劣化するという不都合がある。これにより、充放電時におけるリチウムの吸蔵および放出に伴う活物質層の膨張収縮を集電体が吸収するのが困難になるので、集電体から活物質層が剥離しやすくなるという不都合がある。その結果、充放電サイクル特性が低下するという問題点があった。また、加熱蒸着法では、大きな輻射熱が発生することにより、集電体上に形成された活物質層が熱酸化されるのに伴って多くの酸素が活物質層中に導入されるという不都合がある。このような多くの酸素が導入された活物質層を含む電極を負極として用いた場合には、充電時にリチウムが活物質層中の酸素と反応して不可逆的にトラップされることにより放電時に活物質層からリチウムが放出される量が減少するので、容量が低下するという問題点があった。その結果、初期充放電特性および充放電サイクル特性などの充放電特性が低下するという問題点があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、充放電特性が低下するのを抑制することが可能なリチウム二次電池用電極の製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の一の局面によるリチウム二次電池用電極の製造方法は、蒸着源に含まれる蒸着材料を加熱することにより蒸発させて堆積する蒸着法を用いて、リチウムと合金化する活物質を含む活物質層をリチウムと合金化しない金属を含む集電体上に形成する工程と、蒸着源に含まれる蒸着材料を加熱することにより蒸発させて堆積する際に、集電体と蒸着源との間を少なくとも1回物理的に遮断する工程とを備えている。
この一の局面によるリチウム二次電池用電極の製造方法では、上記のように、蒸着材料を加熱することにより蒸発させて堆積する際に、集電体と蒸着源との間を少なくとも1回物理的に遮断することによって、蒸着源に含まれる蒸着材料を加熱する際に発生する輻射熱が集電体に伝達されるのを少なくとも1回遮断することができるので、集電体の温度が上昇するのを抑制することができる。これにより、集電体の温度上昇に起因する集電体の劣化を抑制することができるので、集電体の劣化に起因して充放電時における活物質層の膨張収縮を集電体が吸収できなくなるのを抑制することができる。その結果、活物質層が集電体から剥離しやすくなるのを抑制することができるので、充放電サイクル特性が低下するのを抑制することができる。また、輻射熱の伝達を遮断することができることにより、集電体上に形成された活物質層が加熱されるのを抑制することができる。これにより、活物質層が熱酸化されるのを抑制することができるので、活物質層中に導入される酸素の量を低減することができる。このため、充電時に負極上でリチウムが活物質層中の酸素と反応して不可逆的にトラップされるのを抑制することができるので、放電時に負極からリチウムが放出される量が減少するのを抑制することができる。その結果、容量が低下するのを抑制することができるので、初期充放電特性や充放電サイクル特性が低下するのを抑制することができる。
上記一の局面によるリチウム二次電池用電極の製造方法において、好ましくは、活物質層を集電体上に形成する工程は、活物質層を形成するための装置内の圧力を活物質層の形成時に1.0×10−3Pa以下に保持する工程を含む。このように構成すれば、活物質層の形成時に活物質層を形成するための装置内の雰囲気に含まれる酸素などの不純物の分圧が低下されるので、集電体上に形成される活物質層中に混入する酸素の量を低減することができる。これにより、充電時に負極上でリチウムが活物質層中の酸素と反応して不可逆的にトラップされるのを抑制することができるので、放電時に負極からリチウムが放出される量が減少するのを抑制することができる。その結果、容量が低下するのをより抑制することができるので、初期充放電特性や充放電サイクル特性が低下するのをより抑制することができる。
上記一の局面によるリチウム二次電池用電極の製造方法において、好ましくは、活物質層は、SiおよびGeの少なくともいずれか一方が主成分である。このように構成すれば、容量が大きくなるとともに、SiおよびGeは成膜しやすいので、容易に、活物質層を形成することができる。
上記一の局面によるリチウム二次電池用電極の製造方法において、好ましくは、集電体は、銅を主成分とする電解箔を含む。このように構成すれば、銅は活物質層中へ熱拡散しやすいので、活物質層中の集電体との界面近傍に銅と活物質との混合層が形成されることにより、集電体と活物質層との密着性を向上させることができる。これにより、活物質層が集電体から剥離するのをより抑制することができる。
上記一の局面によるリチウム二次電池用電極の製造方法において、好ましくは、集電体と蒸着源との間を少なくとも1回物理的に遮断する工程は、双方向に回転するローラを用いて集電体を蒸着源の上方で往復させることにより集電体を活物質層が形成される領域から活物質層が実質的に形成されない領域に移動させることによって、集電体と蒸着源との間を少なくとも1回物理的に遮断する工程を含む。このように構成すれば、容易に、集電体と蒸着源との間を少なくとも1回物理的に遮断することができるので、容易に、集電体の温度が上昇するのを抑制することができる。
上記一の局面によるリチウム二次電池用電極の製造方法において、好ましくは、集電体と蒸着源との間を少なくとも1回物理的に遮断する工程は、遮蔽状態と開放状態とに移動可能な遮蔽部材を用いて集電体と蒸着源との間を少なくとも1回物理的に遮断する工程を含む。このように構成すれば、容易に、集電体と蒸着源との間を少なくとも1回物理的に遮断することができるので、容易に、集電体の温度が上昇するのを抑制することができる。また、蒸着材料が完全に溶融するまでの期間、遮蔽部材を遮蔽状態にしておけば、その期間に蒸発される不純物を多く含む蒸着材料によって、集電体上に不純物を多く含む活物質層が形成されるのを抑制することができる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(実施例)
図1および図2は、本発明の一実施例に用いる電極形成装置の構成を示した概略図である。まず、図1および図2を参照して本実施例で用いた電極形成装置の構成について説明する。
図1および図2は、本発明の一実施例に用いる電極形成装置の構成を示した概略図である。まず、図1および図2を参照して本実施例で用いた電極形成装置の構成について説明する。
この電極形成装置1は、図1に示すように、チャンバ2と、蒸着源3と、回転ドラム4と、輻射熱遮蔽板5と、シャッタ6と、真空排気装置7とを備えている。なお、シャッタ6は、本発明の「遮蔽部材」の一例である。また、チャンバ2は、ステンレス製の内壁を有している。また、チャンバ2内は、輻射熱遮蔽板5によって蒸着源設置室2aと回転ドラム設置室2bとに仕切られている。また、蒸着源設置室2aには、蒸着源3が設置されるとともに、回転ドラム設置室2bには、蒸着源3の上方の位置に回転ドラム4が設置されている。また、蒸着源3は、電子銃8と、るつぼ9と、ハースライナ10と、蒸着材料11とによって構成されている。また、電子銃8は、電子ビームを照射して加熱することにより蒸着材料11を蒸発させる機能を有する。また、るつぼ9内には、カーボン製のハースライナ10を介して蒸着材料11が設置されている。この蒸着材料11としては、リチウムと合金化するシリコン(Si)またはゲルマニウム(Ge)が用いられている。このシリコンまたはゲルマニウムは、活物質層中への不純物の混入を抑制するため、99%以上の純度を有する。なお、リチウムと合金化するシリコンまたはゲルマニウム以外の材料としては、スズ、鉛、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、ガリウムおよびインジウムなどがある。これらの他の材料に比べて、シリコンおよびゲルマニウムは、成膜しやすいとともに、活物質として用いた場合に得られる容量が大きいという特性を有する。
また、回転ドラム4は、所定の方向に回転することができるように構成されているとともに、循環水を内部に通すことにより水冷を行うことができるように構成されている。また、回転ドラム4の外周面を覆うように集電体12が設置されている。この集電体12は、リチウムと合金化しない銅などからなる電解箔によって形成されている。また、銅は、安価であるとともに、導電性が高いという特性を有する。また、銅は、シリコンやゲルマニウムなどからなる活物質中に拡散しやすいので、銅からなる集電体上にシリコンやゲルマニウムなどからなる活物質層が形成されると、集電体と活物質層との界面近傍に銅とシリコンまたはゲルマニウムとの混合層が形成される。また、輻射熱遮蔽板5は、ステンレス製であり、蒸着源3から発生する輻射熱が集電体12に伝達されるのを抑制するために設けられている。この輻射熱遮蔽板5の中央部には、開口部5aが設けられている。
また、シャッタ6は、約2mm〜約3mmの厚みを有するステンレス製の遮蔽板6aを備えており、輻射熱遮蔽板5の開口部5aを遮蔽する遮蔽状態(図1参照)と開口部5aを開放する開放状態(図2参照)とに遮蔽板6aを移動可能な構造を有している。また、真空排気装置7は、チャンバ2内のガスを外部に排気するとともに、チャンバ2内の圧力を低下させる機能を有する。この真空排気装置7には、一般的な油回転ポンプおよびターボ分子ポンプ(図示せず)が併用されている。また、この電極形成装置1は、チャンバ2内の圧力を1.0×10−4Pa以下に低下させることが可能なように構成されている。
上記した電極形成装置1を用いて、以下の実施例1および実施例2による電極a1およびa2と、比較例1および比較例2による電極b1およびb2とを作製した。その後、作製した各電極a1、a2、b1およびb2の特性について評価を行った。なお、特性の評価は、上記した各電極a1、a2、b1およびb2をそれぞれ設置したビーカーセルを用いて行った。以下の表1に、実施例1および2と比較例1および2とによる各電極a1、a2、b1およびb2の製造条件を示す。
上記表1、図1および図2を参照して、以下、実施例1および2と比較例1および2とについて説明する。
(実施例1)
この実施例1では、以下のような作製プロセスにより電極a1を作製するとともに、その電極a1を用いたビーカーセルを作製した。
この実施例1では、以下のような作製プロセスにより電極a1を作製するとともに、その電極a1を用いたビーカーセルを作製した。
[電極の作製]
まず、実施例1の電極a1の集電体12として、20μmの厚みを有する電解銅箔を準備した。そして、この集電体12を電極形成装置1の回転ドラム4の外周面に固定した。そして、蒸着材料11として純度5N(99.999%以上)のシリコンを準備するとともに、その蒸着材料11を載せたハースライナ10をるつぼ9内に設置した。そして、シャッタ6を遮蔽状態(図1参照)にした後、真空排気装置7によって排気しながら電子銃8からフィラメント電流250mAで10分間電子ビームを照射することにより蒸着材料11を加熱した。これにより、蒸着材料11を溶融させるとともに、酸素や水分などの不純物となるガスを放出させた。この時、同時に、蒸着材料11から発生する輻射熱によってるつぼ9、ハースライナ10、チャンバ2の内壁、輻射熱遮蔽板5およびシャッタ6を加熱することにより、それらに吸収されていた酸素や水分などの不純物となるガスを放出させた。次に、電子ビームの照射を停止した後、蒸着材料11を放置することにより冷却させた。この際、輻射熱によって温度が上昇したるつぼ9、ハースライナ10、チャンバ2の内壁、輻射熱遮蔽板5およびシャッタ6からは、継続して不純物となるガスが放出されるので、真空排気装置7により継続して排気を行った。なお、この排気は、チャンバ2内の圧力が1.0×10−4Pa以下になるまで十分に行った。次に、シャッタ6を開放状態(図2参照)にした後、上記表1の製造条件により集電体12上に活物質層を形成した。なお、シャッタ6は、蒸着材料11が完全に溶融した後に開放状態にした。そして、活物質層を形成する際には、まず、電子銃8からフィラメント電流600mAで電子ビームを蒸着材料11に照射して加熱することにより蒸着材料11を蒸発させた。そして、蒸発させた蒸着材料11を集電体12上に堆積することによって活物質層を形成した。この際、集電体12を設置した回転ドラム4を1分間に10回転の速度で回転させるとともに、回転ドラム4を循環水で水冷しながら活物質層を形成した。そして、活物質層の形成を開始してから3.3分後にシャッタ6を遮蔽状態(図1参照)にすることにより、蒸着源3と集電体12との間を遮断した。このシャッタ6による遮断は、1分間行った。その後、シャッタ6を再び開放状態(図2参照)にするとともに、活物質層の形成を3.3分間行った。その後、同様にして、シャッタ6による1分間の遮断と3.3分間の活物質層の形成とを行うことにより、合計10分間の活物質層の形成を行った。上記のようにして、集電体12上に2.0μmの厚みを有する活物質層を形成した。なお、活物質層を形成している間は、継続して真空排気装置7による排気を行うとともに、1分おきにチャンバ2内の圧力を測定した。本実施例1では、チャンバ内の圧力は、最大で7.5×10−4Paになった。そして、活物質層を形成した集電体12を20mm角に切り出すことにより実施例1による電極a1を作製した。
まず、実施例1の電極a1の集電体12として、20μmの厚みを有する電解銅箔を準備した。そして、この集電体12を電極形成装置1の回転ドラム4の外周面に固定した。そして、蒸着材料11として純度5N(99.999%以上)のシリコンを準備するとともに、その蒸着材料11を載せたハースライナ10をるつぼ9内に設置した。そして、シャッタ6を遮蔽状態(図1参照)にした後、真空排気装置7によって排気しながら電子銃8からフィラメント電流250mAで10分間電子ビームを照射することにより蒸着材料11を加熱した。これにより、蒸着材料11を溶融させるとともに、酸素や水分などの不純物となるガスを放出させた。この時、同時に、蒸着材料11から発生する輻射熱によってるつぼ9、ハースライナ10、チャンバ2の内壁、輻射熱遮蔽板5およびシャッタ6を加熱することにより、それらに吸収されていた酸素や水分などの不純物となるガスを放出させた。次に、電子ビームの照射を停止した後、蒸着材料11を放置することにより冷却させた。この際、輻射熱によって温度が上昇したるつぼ9、ハースライナ10、チャンバ2の内壁、輻射熱遮蔽板5およびシャッタ6からは、継続して不純物となるガスが放出されるので、真空排気装置7により継続して排気を行った。なお、この排気は、チャンバ2内の圧力が1.0×10−4Pa以下になるまで十分に行った。次に、シャッタ6を開放状態(図2参照)にした後、上記表1の製造条件により集電体12上に活物質層を形成した。なお、シャッタ6は、蒸着材料11が完全に溶融した後に開放状態にした。そして、活物質層を形成する際には、まず、電子銃8からフィラメント電流600mAで電子ビームを蒸着材料11に照射して加熱することにより蒸着材料11を蒸発させた。そして、蒸発させた蒸着材料11を集電体12上に堆積することによって活物質層を形成した。この際、集電体12を設置した回転ドラム4を1分間に10回転の速度で回転させるとともに、回転ドラム4を循環水で水冷しながら活物質層を形成した。そして、活物質層の形成を開始してから3.3分後にシャッタ6を遮蔽状態(図1参照)にすることにより、蒸着源3と集電体12との間を遮断した。このシャッタ6による遮断は、1分間行った。その後、シャッタ6を再び開放状態(図2参照)にするとともに、活物質層の形成を3.3分間行った。その後、同様にして、シャッタ6による1分間の遮断と3.3分間の活物質層の形成とを行うことにより、合計10分間の活物質層の形成を行った。上記のようにして、集電体12上に2.0μmの厚みを有する活物質層を形成した。なお、活物質層を形成している間は、継続して真空排気装置7による排気を行うとともに、1分おきにチャンバ2内の圧力を測定した。本実施例1では、チャンバ内の圧力は、最大で7.5×10−4Paになった。そして、活物質層を形成した集電体12を20mm角に切り出すことにより実施例1による電極a1を作製した。
[電解液の調整]
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを1:1の体積比で混合させた混合溶媒に、LiPF6を1.0mol/lの割合で溶解させることにより電解液を調整した。
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを1:1の体積比で混合させた混合溶媒に、LiPF6を1.0mol/lの割合で溶解させることにより電解液を調整した。
[ビーカーセルの作製]
この実施例1では、図3に示すような構成を有する三極式ビーカーセル13を作製した。具体的には、上記のようにして作製した電極a1を作用極14として容器15内に設置した。そして、リチウム金属を成型することにより対極16および参照極17を作製するとともに、その作製した対極16および参照極17を容器15内に設置した。その後、容器15内に上記のようにして作製した電解液18を注入することによりビーカーセル13を作製した。
この実施例1では、図3に示すような構成を有する三極式ビーカーセル13を作製した。具体的には、上記のようにして作製した電極a1を作用極14として容器15内に設置した。そして、リチウム金属を成型することにより対極16および参照極17を作製するとともに、その作製した対極16および参照極17を容器15内に設置した。その後、容器15内に上記のようにして作製した電解液18を注入することによりビーカーセル13を作製した。
(実施例2)
この実施例2では、上記表1に示すように、活物質層形成時のチャンバ2内の圧力が最大で1.8×10−3Paとなる条件下で、2.3μmの厚みを有する活物質層を集電体12上に形成した。これ以外は、上記実施例1と同様にして実施例2による電極a2およびそれを用いたビーカーセルを作製した。
この実施例2では、上記表1に示すように、活物質層形成時のチャンバ2内の圧力が最大で1.8×10−3Paとなる条件下で、2.3μmの厚みを有する活物質層を集電体12上に形成した。これ以外は、上記実施例1と同様にして実施例2による電極a2およびそれを用いたビーカーセルを作製した。
(比較例1)
この比較例1では、上記表1に示すように、活物質層形成時のチャンバ2内の圧力が最大で8.2×10−4Paとなる条件下で、2.4μmの厚みを有する活物質層を集電体12上に形成した。また、この比較例1では、活物質層を形成する際にシャッタ6による蒸着源3および集電体12間の遮断を行わなかった。すなわち、活物質層の形成を10分間連続して行った。これ以外は、上記実施例1と同様にして比較例1による電極b1およびそれを用いたビーカーセルを作製した。
この比較例1では、上記表1に示すように、活物質層形成時のチャンバ2内の圧力が最大で8.2×10−4Paとなる条件下で、2.4μmの厚みを有する活物質層を集電体12上に形成した。また、この比較例1では、活物質層を形成する際にシャッタ6による蒸着源3および集電体12間の遮断を行わなかった。すなわち、活物質層の形成を10分間連続して行った。これ以外は、上記実施例1と同様にして比較例1による電極b1およびそれを用いたビーカーセルを作製した。
(比較例2)
この比較例2では、上記表1に示すように、活物質層形成時のチャンバ2内の圧力が最大で2.7×10−3Paとなる条件下で、2.6μmの厚みを有する活物質層を集電体12上に形成した。また、この比較例2では、活物質層を形成する際にシャッタ6による蒸着源3および集電体12間の遮断を行わなかった。すなわち、活物質層の形成を10分間連続して行った。これ以外は、上記実施例1と同様にして比較例2による電極b2およびそれを用いたビーカーセルを作製した。
この比較例2では、上記表1に示すように、活物質層形成時のチャンバ2内の圧力が最大で2.7×10−3Paとなる条件下で、2.6μmの厚みを有する活物質層を集電体12上に形成した。また、この比較例2では、活物質層を形成する際にシャッタ6による蒸着源3および集電体12間の遮断を行わなかった。すなわち、活物質層の形成を10分間連続して行った。これ以外は、上記実施例1と同様にして比較例2による電極b2およびそれを用いたビーカーセルを作製した。
[充放電サイクル試験]
次に、上記のようにして作製した実施例1(電極a1)、実施例2(電極a2)、比較例1(電極b1)および比較例2(電極b2)による各ビーカーセルについて、充放電サイクル試験を行った。この充放電サイクル試験では、4mAの定電流を用いて、参照極17を基準電位とする対極16の電位が0Vになるまで充電を行った後、対極16の電位が2.0Vになるまで放電を行った。そして、これを1サイクルの充放電として、10サイクル目まで充放電を行った。そして、この充放電サイクル試験では、1サイクル目の放電容量と、1サイクル目の充放電効率と、10サイクル目の放電容量と、10サイクル目の容量維持率とを測定した。ここで、1サイクル目の充放電効率および10サイクル目の容量維持率は、それぞれ、以下の式(1)および(2)で定義される値である。
次に、上記のようにして作製した実施例1(電極a1)、実施例2(電極a2)、比較例1(電極b1)および比較例2(電極b2)による各ビーカーセルについて、充放電サイクル試験を行った。この充放電サイクル試験では、4mAの定電流を用いて、参照極17を基準電位とする対極16の電位が0Vになるまで充電を行った後、対極16の電位が2.0Vになるまで放電を行った。そして、これを1サイクルの充放電として、10サイクル目まで充放電を行った。そして、この充放電サイクル試験では、1サイクル目の放電容量と、1サイクル目の充放電効率と、10サイクル目の放電容量と、10サイクル目の容量維持率とを測定した。ここで、1サイクル目の充放電効率および10サイクル目の容量維持率は、それぞれ、以下の式(1)および(2)で定義される値である。
1サイクル目の充放電効率(%)=[1サイクル目の放電容量(mAh/g)]/[1サイクル目の充電容量(mAh/g)]×100…(1)
10サイクル目の容量維持率(%)=[10サイクル目の放電容量(mAh/g)]/[1サイクル目の放電容量(mAh/g)]×100…(2)
上記のようにして測定した電極a1、a2、b1およびb2による実験結果を以下の表2に示す。
10サイクル目の容量維持率(%)=[10サイクル目の放電容量(mAh/g)]/[1サイクル目の放電容量(mAh/g)]×100…(2)
上記のようにして測定した電極a1、a2、b1およびb2による実験結果を以下の表2に示す。
上記表2を参照して、実施例1による電極a1の1サイクル目の充放電効率(93.0%)および10サイクル目の容量維持率(99.0%)は、比較例1による電極b1の1サイクル目の充放電効率(90.7%)および10サイクル目の容量維持率(89.6%)と、比較例2による電極b2の1サイクル目の充放電効率(86.2%)および10サイクル目の容量維持率(78.6%)とに比べて大きいことがわかる。また、実施例2による電極a2の10サイクル目の容量維持率(91.2%)は、比較例1による電極b1の10サイクル目の容量維持率(89.6%)および比較例2による電極b2の10サイクル目の容量維持率(78.6%)に比べて大きいことがわかる。
上記の結果は、以下の理由によると考えられる。すなわち、電極a1(実施例1)および電極a2(実施例2)では、シャッタ6により蒸着源3と集電体12との間を遮断しながら活物質層を形成したことにより、集電体12および活物質層の温度上昇が抑制される。これにより、集電体12上に形成される活物質層が熱酸化されるのが抑制されるので、活物質層に導入される酸素の量が低減される。このため、充電時に活物質層中の酸素とリチウムが反応することによりリチウムが活物質層に不可逆的にトラップされることに起因して放電時に活物質層から放出されるリチウムの量が減少するのが抑制される。これにより、放電容量が低下するのが抑制される。また、温度が上昇することに起因して集電体12が劣化するのを抑制することができるので、集電体12の劣化に起因して活物質層が集電体12から剥離しやすくなるのを抑制することができる。その結果、シャッタ6による遮断を行った実施例1による電極a1では、シャッタ6による遮断を行わなかった比較例1による電極b1および比較例2による電極b2に比べて、1サイクル目の充放電効率および10サイクル目の容量維持率が大きくなったとともに、実施例2による電極a2では、比較例1による電極b1および比較例2による電極b2に比べて10サイクル目の容量維持率が大きくなったと考えられる。
また、上記表2から、実施例2による電極a2の1サイクル目の充放電効率(88.6%)および10サイクル目の容量維持率(91.2%)は、実施例1による電極a1の1サイクル目の充放電効率(93.0%)および10サイクル目の容量維持率(99.0%)に比べて小さいことがわかる。また、比較例2による電極b2の1サイクル目の充放電効率(86.2%)および10サイクル目の容量維持率(78.6%)は、比較例1による電極b1の1サイクル目の充放電効率(90.7%)および10サイクル目の容量維持率(89.6%)に比べて小さいことがわかる。
上記の結果は、以下の理由によると考えられる。すなわち、電極a2(実施例2)および電極b2(比較例2)は、それぞれ、電極a1(実施例1)および電極b1(比較例1)に比べてチャンバ2内の圧力が高い状態で活物質層が形成されるため、酸素などの不純物となるガスの分圧が高い状態で活物質層が形成される。これにより、実施例2による電極a2および比較例2による電極b2では、それぞれ、実施例1による電極a1および比較例1による電極b1に比べて活物質層中に混入する酸素の量が多くなるので、充電時に活物質層中に混入した酸素とリチウムとが反応することによりリチウムが不可逆的にトラップされる量が増加する。このため、放電時に活物質層から放出されるリチウムの量が減少するので、放電容量が低下する。これにより、実施例2による電極a2および比較例2による電極b2では、それぞれ、実施例1による電極a1および比較例1による電極b1に比べて1サイクル目の充放電効率および10サイクル目の容量維持率が小さくなったと考えられる。この結果から、活物質層形成時のチャンバ2内の圧力は、低く設定するのが好ましいことが判明した。
上記の結果から、実施例1による電極a1のように、シャッタ6により蒸着源3および集電体12間を遮断しながら活物質層の形成を行うとともに、活物質層形成時のチャンバ2内の圧力を1.0×10−3Pa以下の圧力(7.5×10−4Pa)に低下させることによって、良好な初期充放電特性(1サイクル目の充放電効率)および充放電サイクル特性(10サイクル目の容量維持率)を有する電極が得られることがわかった。
図4および図5は、図1および図2に示した一実施例による電極形成装置の変形例の構成を示した概略図である。この変形例による電極形成装置では、図1および図2に示した一実施例による電極形成装置と異なり、集電体を活物質層が形成される領域から活物質層が形成されない領域に移動させることにより、集電体と蒸着源との間を物理的に遮断するようにしている。次に、図4および図5を参照して、変形例による電極形成装置の構成について説明する。
この変形例による電極形成装置21は、図4および図5に示すように、チャンバ2と、蒸着源3と、回転ドラム22と、2つのガイドローラ23aおよび23bと、2つのローラ24aおよび24bと、輻射熱遮蔽板25と、シャッタ6と、真空排気装置7とを備えている。なお、回転ドラム22と、ガイドローラ23aおよび23bと、ローラ24aおよび24bとは、それぞれ、本発明の「双方向に回転するローラ」の一例である。また、回転ドラム22の両側には、ガイドローラ23aおよびローラ24aと、ガイドローラ23bおよびローラ24bとがそれぞれ配置されている。そして、電解銅箔からなるシート状の集電体27が、回転ドラム22と、2つのローラ24aおよび24bと、2つのガイドローラ23aおよび23bとの各々の外周面に渡って設置されている。また、回転ドラム22と2つのガイドローラ23aおよび23bとは、循環水により水冷を行うことができるように構成されている。また、2つのローラ24aおよび24bは、集電体27を巻き取るために設けられている。
また、輻射熱遮蔽板25の回転ドラム22に対応する領域には、回転ドラム22側へ屈曲されることにより開口部25aが設けられている。また、輻射熱遮蔽板25の開口部25aの屈曲された部分は、活物質層が形成される領域(図4中のA領域)と活物質層が形成されない領域(図4中のB領域)とを区画している。すなわち、輻射熱遮蔽板25の屈曲された部分によって、活物質層が形成されない領域(図4中のB領域)に位置する集電体27には蒸着が行われないように構成されている。この変形例による電極形成装置21の上記以外の構成は、図1に示した上記実施例による電極形成装置1の構成と同様である。
次に、図4および図5を参照して、この変形例による電極形成装置の活物質層形成時の動作について説明する。この変形例による電極形成装置21では、活物質層の形成前に図1および図2に示した上記実施例による電極形成装置1と同様にして、蒸着源3、シャッタ6、チャンバ2の内壁および輻射熱遮蔽板25から酸素などの不純物となるガスを放出させるとともに排気を行う。次に、本変形例では、図4中の矢印C方向に、回転ドラム22と、2つのガイドローラ23aおよび23bと、2つのローラ24aおよび24bとをそれぞれ回転させることにより集電体27を図4中の矢印D方向に移動させる。そして、集電体27を移動させながら、図5に示すように、シャッタ6を開放状態にすることにより集電体27上への活物質層の形成を開始する。これにより、集電体27上には、図5中のA領域において活物質層が形成される一方、A領域を通過してB領域に到達すると活物質層は形成されない。また、図5中のB領域では、集電体27と蒸着源3との間が物理的に遮断された状態になるため、蒸着源3からの輻射熱が伝達されないので集電体27の温度が上昇するのが抑制される。そして、集電体27がガイドローラ23aに到達すると、水冷式のガイドローラ23aにより集電体27は冷却される。このようにして、図5中のA領域において上昇された集電体27の温度はすぐに低下されるので、集電体27上に形成された活物質層が熱酸化するのが抑制される。
そして、ローラ24bに巻かれた集電体27が全て供給されるとともに、その集電体27をローラ24aに巻き取った後、回転ドラム22と、2つのガイドローラ23aおよび23bと、2つのローラ24aおよび24bとを逆方向(図5中の矢印E方向)に回転させる。これにより、集電体27を上記した矢印D方向と反対方向(図5中の矢印F方向)に移動させる。そして、上記した矢印D方向に集電体27を移動させながら活物質層を形成した場合と同様にして、矢印F方向に集電体27を移動させながら活物質層を形成する。この場合も、図5中のA領域を通過してB領域に到達した集電体27は活物質層が形成されないとともに、温度が上昇するのが抑制される。そして、ローラ24aに巻かれた集電体27が全て供給されるまで、集電体27を図5中の矢印F方向に移動させながら活物質層を形成した後、再度、集電体27を図5中の矢印D方向に移動させながら活物質層の形成を行う。このように、矢印D方向および矢印F方向に集電体27を往復移動させながら、所定の厚みになるまで活物質層を形成する。
なお、回転ドラム22の回転速度とローラ24aおよび24bの回転速度とを制御することによって、集電体27が図5中のA領域を1回通過する毎に形成される活物質層の厚みを制御することが可能である。すなわち、回転ドラム22の回転速度とローラ24aおよび24bの回転速度とを大きくすれば、集電体27が図5中のA領域を1回通過する毎に形成される活物質層の厚みは小さくなる一方、回転ドラム22の回転速度とローラ24aおよび24bの回転速度とを小さくすれば、集電体27が図5中のA領域を1回通過する毎に形成される活物質層の厚みは大きくなる。また、回転ドラム22の回転速度とローラ24aおよび24bの回転速度とを大きくすることにより、所定の厚みまで活物質層を形成するために必要な集電体27の往復回数は増加する一方、図5中のA領域を通過する際に輻射熱により加熱される時間が短くなるので、集電体27および活物質層の急激な温度上昇が抑制される。
また、図1および図2に示した上記実施例と同様に、シャッタ6を用いて蒸着源3と集電体27との間を遮断しながら活物質層を形成すれば、輻射熱が集電体27に伝達されるのが抑制されるので、集電体27の温度が上昇するのをより抑制することができる。また、シャッタ6を遮蔽状態にした後、集電体27を移動させれば、水冷式の回転ドラム22とガイドローラ23aおよび23bとによって集電体27の温度をより低下させることが可能である。
なお、今回開示された実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施例では、活物質層の形成時にチャンバ内の圧力を1.0×10−3Pa以下に保持したが、本発明はこれに限らず、活物質層の形成時にチャンバ内の圧力を1.0×10−3Paよりも大きくするようにしてもよい。
また、上記実施例では、SiまたはGeを活物質として含む活物質層を形成したが、本発明はこれに限らず、リチウムと合金化する活物質であればSiおよびGe以外の活物質を含む活物質層を形成するようにしてもよい。たとえば、スズ、鉛、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、ガリウムおよびインジウムなどの活物質を含む活物質層を形成するようにしてもよい。
また、上記実施例では、チャンバから排気するための真空排気装置に油回転ポンプおよびターボ分子ポンプを併用したが、本発明はこれに限らず、真空排気装置に油回転ポンプおよびターボ分子ポンプに加えて、より高真空が得られるポンプを用いてもよい。たとえば、酸素の主な供給源となる水分(水蒸気)を効果的に排気可能なクライオポンプなどを油回転ポンプおよびターボ分子ポンプに加えて用いてもよい。また、水分を効果的に除去するために液体窒素トラップをさらに加えて用いてもよい。
また、上記実施例では、活物質層の形成前に、蒸着材料に電子ビームを照射することによって発生する輻射熱を利用して、るつぼ、ハースライナ、チャンバの内壁、輻射熱遮蔽板およびシャッタに吸収されている酸素などの不純物となるガスを放出させたが、本発明はこれに限らず、ヒータを用いて、るつぼ、ハースライナ、チャンバの内壁、輻射熱遮蔽板およびシャッタを加熱することにより、酸素などの不純物となるガスを放出させるようにしてもよい。また、チャンバ全体の温度を約150℃〜約200℃に上昇させるベーキングによって、酸素などの不純物となるガスを放出させるようにしてもよい。
また、上記実施例では、循環水を利用した回転ドラムの水冷によって集電体および活物質層を冷却するようにしたが、活物質層として形成されるシリコンは約400℃以上の温度において容易に酸素と反応するので、循環水の温度を低くすることなどによって、集電体および活物質層の温度を可能な限り低下させることが好ましい。
1、21 電極形成装置
2 チャンバ
3 蒸着源
4、22 回転ドラム
5、25 輻射熱遮蔽板
6 シャッタ(遮蔽部材)
7 真空排気装置
8 電子銃
9 るつぼ
10 ハースライナ
11 蒸着材料
12、27 集電体
2 チャンバ
3 蒸着源
4、22 回転ドラム
5、25 輻射熱遮蔽板
6 シャッタ(遮蔽部材)
7 真空排気装置
8 電子銃
9 るつぼ
10 ハースライナ
11 蒸着材料
12、27 集電体
Claims (6)
- 蒸着源に含まれる蒸着材料を加熱することにより蒸発させて堆積する蒸着法を用いて、リチウムと合金化する活物質を含む活物質層をリチウムと合金化しない金属を含む集電体上に形成する工程と、
前記蒸着源に含まれる蒸着材料を加熱することにより蒸発させて堆積する際に、前記集電体と前記蒸着源との間を少なくとも1回物理的に遮断する工程とを備えた、リチウム二次電池用電極の製造方法。 - 前記活物質層を前記集電体上に形成する工程は、前記活物質層を形成するための装置内の圧力を前記活物質層の形成時に1.0×10−3Pa以下に保持する工程を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
- 前記活物質層は、SiおよびGeの少なくともいずれか一方が主成分である、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
- 前記集電体は、銅を主成分とする電解箔を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
- 前記集電体と前記蒸着源との間を少なくとも1回物理的に遮断する工程は、双方向に回転するローラを用いて前記集電体を前記蒸着源の上方で往復させることにより前記集電体を前記活物質層が形成される領域から前記活物質層が実質的に形成されない領域に移動させることによって、前記集電体と前記蒸着源との間を少なくとも1回物理的に遮断する工程を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
- 前記集電体と前記蒸着源との間を少なくとも1回物理的に遮断する工程は、遮蔽状態と開放状態とに移動可能な遮蔽部材を用いて前記集電体と前記蒸着源との間を少なくとも1回物理的に遮断する工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
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