本発明は、配車センタから自営無線システムを介してタクシー等の車両に配車を指示する車両配車管理システムに関する。
配車センタから自営無線システムを介して車両に配車を指示する車両配車管理システムでは、各車両(移動局)は随時、現在位置、空車・実車等の車両状態を示す車両データを配車センタ(基地局)に送信し、配車センタは受信した全車両の車両データをメモリに記憶する。そして、配車センタは顧客から配車要求があると、顧客に近い空車の車両を検索して、その車両に配車を指示する配車データを無線で送信する。
一方、配車データを受信した車両は配車が可能であると判断すれば、了解データ(受諾する旨の諾否データ)を配車センタに送信する。このようにして、配車指示が完了する。
この時、最初に配車指示した車両に配車データが届かなかった場合や、配車データは届いたが車両が送信した了解データが配車センタで受信できないことがある。そのような場合には、最初に配車指示した車両に一旦送信した配車指示を取り消すための取消データを送信する。その後、顧客に近い別の車両を再度検索して、その車両に配車データを送信する。配車データを受信した車両は配車が可能であると判断すれば、同様に了解データを配車センタに送信する。このようにして、確実に顧客のもとに配車できるようになる。
この出願の発明に関する先行技術文献としては次のものがある。
特開2001−167392号
従来の車両配車管理システムでは、最初に配車指示された車両から配車に対する諾否データが受信できなければ、次の車両に配車指示することにより確実に顧客のもとに配車できる。しかし、最初に配車指示された車両が了解データを送信したにも関わらず配車センタで了解データが受信できない場合には、取消データを送信して一旦指示した配車を取り消すことになる。ところが、最初の車両の位置によっては、配車センタが送信した取消データが車両に届かない場合がある。その時は、最初の車両と次の車両の両方が配車指示された状態となり、2台の車両が顧客のもとに配車されるという問題がある。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、確実に顧客のもとに配車でき、しかも二重に配車されることのない車両配車管理システムを提供することを課題とする。
上記目的を達成するために、本発明は、無線通信手段を介して、配車指示する配車データを送信する配車センタと、該配車センタから該配車データを受信する複数の車両から構成されてなる車両配車管理システムにおいて、前記配車センタは、最初に配車指示する第1の車両と、該第1の車両の代替として配車指示する第2の車両に前記配車データを送信する配車データ送信手段と、前記第1の車両への配車指示を取り消す取消データを送信する取消データ送信手段を備え、前記第2の車両は、前記配車データを受信する配車データ受信手段と、前記第1の車両への取消データを前記第1の車両に送信する取消データ再送信手段を備えたことを特徴とするものである。
また、前記車両は、配車指示を受諾するか否かを示す諾否データを前記配車センタに送信する諾否データ送信手段を備え、前記配車センタは、前記諾否データを受信したことを検出する諾否データ検出手段を備え、前記取消データ送信手段は、前記諾否データ検出手段が所定時間内に前記諾否データが検出できない時には、前記第1の車両への取消データを、前記第1の車両または/及び第2の車両に送信することを特徴とするものである。
また、前記第2の車両は、前記第1の車両への取消データを受信する取消データ受信手段を備え、前記取消データ再送信手段は、前記取消データ受信手段により受信した取消データを前記第1の車両に送信することを特徴とするものである。
また、前記第2の車両は、前記無線通信手段が、前記配車センタから前記車両への送信波と、前記車両から前記配車センタへの送信波の送信周波数が異なる時には、前記第2の車両から前記第1の車両への前記取消データの送信時に、一時的に前記配車センタから前記車両へ送信する送信波の周波数に変更する周波数変更手段を備えたことを特徴とするものである。
また、前記第2の車両から前記第1の車両への前記取消データの送信時に、微弱電波を利用した通信手段を用いることを特徴とするものである。
また、前記第2の車両から前記第1の車両への前記取消データの送信時に、公衆回線網を利用した通信手段を用いることを特徴とするものである。
また、無線通信手段を介して、配車指示する配車データを送信する配車センタと、該配車センタから該配車データを受信する複数の車両から構成されてなる車両配車管理システムにおいて、前記配車データには他の配車データと識別するための識別データが付加されてなり、前記配車センタは、配車指示する車両に前記識別データが付加された配車データを送信する配車データ送信手段と、前記車両から送信された識別データを受信したことを検出する識別データ検出手段と、前記車両に配車指示を取り消す取消データを送信する取消データ送信手段を備え、前記車両は、前記識別データが付加された配車データを受信する配車データ受信手段と、前記配車データ受信手段により受信された識別データが付加された配車データを、配車が完了するまで記憶しておく配車データ記憶手段と、前記配車データ記憶手段に前記識別データが付加された配車データが記憶されている間、前記配車データに付加された識別データを前記配車センタに送信する識別データ送信手段を備え、前記取消データ送信手段は、取消データの送信後に前記識別データ検出手段が前記識別データを検出した場合は、前記取消データを再度送信することを特徴とするものである。
また、無線通信手段を介して、配車指示する配車データを送信する配車センタと、該配車センタから該配車データを受信し、配車指示を受諾するか否かを示す諾否データを該配車センタに送信する複数の車両から構成されてなる車両配車管理システムにおいて、前記配車センタは、前記配車センタから送信する電波の電界強度を示す電界強度マップと、前記電界強度マップに基づいて前記車両の位置の電界強度を算出する電界強度算出手段と、前記電界強度算出手段により算出した電界強度に基づいて、前記配車データを受信した車両が送信する諾否データの送信回数を指定する送信回数指定手段と、前記車両に前記配車データと前記送信回数を指定する回数データを送信する回数データ送信手段を備え、前記車両は、前記配車データと前記回数データを受信する回数データ受信手段と、前記諾否データを前記配車センタへ送信する諾否データ送信手段を備え、前記諾否データ送信手段は、前記回数データ受信手段により受信された回数データに基づき、前記諾否データを前記配車センタへ指定回数送信することを特徴とするものである。
また、無線通信手段を介して、配車指示する配車データを送信する配車センタと、該配車センタから該配車データを受信し、配車指示を受諾するか否かを示す諾否データを該配車センタに送信する複数の車両から構成されてなる車両配車管理システムにおいて、前記車両は、前記配車データを受信する配車データ受信手段と、前記諾否データを前記配車センタへ送信する諾否データ送信手段と、前記配車センタから送信される電波の電界強度を示す電界強度マップと、前記電界強度マップに基づいて前記車両の位置の電界強度を算出する電界強度算出手段と、前記電界強度算出手段により算出した電界強度に基づいて、前記諾否データの送信回数を設定する送信回数設定手段を備え、前記諾否データ送信手段は、前記送信回数設定手段により設定された回数データに基づき、前記諾否データを前記配車センタへ設定回数送信することを特徴とするものである。
また、無線通信手段を介して、配車指示する配車データを送信する配車センタと、該配車センタから該配車データを受信し、配車指示を受諾するか否かを示す諾否データを該配車センタに送信する複数の車両から構成されてなる車両配車管理システムにおいて、前記車両は、前記配車データを受信する配車データ受信手段と、前記配車センタから受信した受信電波の受信レベルを検出する受信レベル検出手段と、前記受信レベル検出手段により検出された受信レベルに基づいて、該諾否データの送信回数を設定する回数設定手段と、前記回数設定手段により設定された回数データに基づき、前記諾否データを前記配車センタへ設定回数送信することを特徴とするものである。
また、無線通信手段を介して、配車指示する配車データを送信する配車センタと、該配車センタから該配車データを受信する複数の車両から構成されてなる車両配車管理システムにおいて、前記配車センタは、予め、前記配車センタと前記車両が正常に通信できるか否かを確認するための確認データを前記車両に送信する確認データ送信手段と、前記車両から前記確認データに対する応答を受信したことを検出する応答データ検出手段と、前記応答データ検出手段が前記応答データが検出できた車両にのみ前記配車データを送信する配車データ送信手段を備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、確実に顧客のもとに配車でき、しかも、二重に配車されることのない車両配車管理システムが提供できる。
本発明の実施の形態に係る車両配車管理システムについて、図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施例に係る車両配車管理システムの構成を示すブロック図である。図2は本発明の第1の実施例に係る車両配車管理システムの各部の構成を示すブロック図で、(a)は車両1側の構成図、(b)は配車センタ2側の構成図である。図3は本発明の第1の実施例に係る車両配車管理システムの各制御部の行う処理のフローチャートで、(a)は配車センタ2の処理、(b)は1号車1aの処理、(c)は2号車1bの処理である。図4は配車センタ2、1号車1a、2号車1b、顧客の位置関係を示す関係図である。尚、本実施例は、最初の車両(1号車1aとする)に配車指示するデータ(以下、配車データと称する)が届き、その配車データを受信した車両が配車指示に対して受諾する旨の諾否データ(以下、了解データと称する)を配車センタ2に送信したにも関わらず、配車センタ2で了解データが受信できない場合に、配車センタ2が次の車両(2号車1bとする)に配車データを送信しても、二重配車にならないようにするものである。
1a、1b〜1nは配車指示を受けるタクシー等の車両で、それぞれ1号車、2号車、n号車に対応する。10は車両の位置を検出し、地図情報と照合して走行道路を特定し、地図上に車両位置を表示して車両の走行案内を行うナビゲーション部である。11はGPS衛星からの電波を受信して車両の位置を検出するGPS受信機である。12は地図情報の記録されたCD−ROMやDVD及びその駆動装置から構成された地図データベースである。13は車両の走行速度を検出する車速(距離)センサで、車両の速度計からの信号が用いられる。14は車両の方位を検出するジャイロ等の方位センサである。15は車両位置と地図情報とを照合して車両の走行道路を特定し、地図上に車両位置を表示して車両の走行案内を行う制御部で、配車処理、配車取消処理等も実行するマイクロコンピュータで構成される。16は配車センタ2との間で現在位置、空車・実車等の車両状態等の車両データ、配車指示に対する了解データを配車センタ2に送信し、配車センタ2から配車データ、一旦、送信した配車データを取り消すデータ(以下、取消データと称する)等を受信する自営無線システムの送受信機である。17は地図及びその上に車両位置を表示する表示部で、液晶表示パネル及びその駆動回路で構成される。18は案内のための音声を出力する音声出力部である。19は運転者が各種入力や配車指示に対する了解を指示及び各種処理の実行を指示するための操作部で、押し釦スイッチやタッチパネルスイッチ等から構成される。
2は各車両(1a、1b〜1n)に配車指示または配車取消指示する配車センタである。21は各車両(1a、1b〜1n)へ配車データ、取消データを送信し、また、各車両(1a、1b〜1n)から現在位置、空車・実車等の車両状態等の車両データ、了解データを受信する自営無線システムの送受信機である。22は各車両(1a、1b〜1n)から収集し、蓄積した車両データに基づいて、顧客から配車要求があると顧客に近い空車の車両1を検索して、その車両1に配車を指示したり、配車取消を指示する制御部で、マイクロコンピュータで構成される。23は地図及びその上に車両位置、空車・実車等の車両データを表示する表示部である。24は各車両(1a、1b〜1n)から受信した音声を出力する音声出力部である。25は各種入力や配車指示及び各種処理の実行を指示するための操作部で、押し釦スイッチやタッチパネルスイッチ等から構成される。
先ず、配車センタ2の制御部22の行う処理について、図3(a)のフローチャートを用いて説明する。
ステップS11では、1号車1aへ配車データを送信してステップS12に移る。つまり、顧客から配車要求があると各車両(1a、1b〜1n)から取得し、蓄積してある現在位置、空車・実車等の車両データに基づいて、例えば、顧客に最も近い空車の車両1を検索する。そして、その車両(以下、最初に配車指示する車両を1号車1aと称する)に配車を指示するために送受信機21を介して配車データを送信する。
ステップS12では、1号車1aより了解データが受信できたか否かを判断して、了解データが受信できるとステップS17に移り、了解データが受信できなければステップS13に移る。了解データは運転者が配車センタ2からの配車指示を受けることが可能ならば了解を回答するスイッチを操作することにより車両1から送信される。
ステップS13では、2号車1bへの配車データと1号車1aへの取消データを2号車1bに送信してステップS14に移る。つまり、顧客に最も近い1号車1aに配車データを送信したが応答がない(了解データを受信できない)。そこで、顧客を待たせないように現在位置、空車・実車等の車両データに基づいて、次に顧客に近い空車の車両(以下、次に配車指示する車両を2号車1bと称する)を検索する。図4に示すごとく、配車センタ2から1号車1aへの距離(L1)よりも、2号車1bから1号車1aへの距離(L21)の方が近いので、配車センタ2から送信した取消データが1号車1aで受信できなくても、2号車1bから送信した取消データは確実に1号車1aで受信できる筈である。そこで、2号車1bに配車を指示するための配車データと、既に配車を指示している1号車1aと二重配車にならないように、2号車1bから1号車1aへ送信してもらう取消データを送受信機21を介して送信する。
ステップS14では、1号車1aへ取消データを送信してステップS15に移る。つまり、既に1号車1aには配車指示しているが応答がない(了解データが受信できない)ので、代わりに2号車1bに配車指示した。そこで、二重配車にならないように1号車1aへ取消データを送受信機21を介して送信する。
ステップS15では、2号車1bより了解データを受信してステップS16に移る。
ステップS16では、2号車1bへの配車処理を完了して処理を終える。つまり、2号車1bから了解データを受信したので2号車1bへの配車処理は完了する。
ステップS17では、1号車1aへの配車処理を完了して処理を終える。つまり、1号車1aから了解データを受信したので1号車1aへの配車処理は完了する。尚、2号車1bに配車指示はされない。
次に、2号車1bの制御部15の行う処理について、図3(b)のフローチャートを用いて説明する。
ステップS21では、配車センタ2より配車データを受信してステップS22に移る。つまり、送受信機16を介して配車データを受信する。尚、配車データが受信できない場合には、1号車1aが顧客のところへ行くことはないので二重配車にはならない。
ステップS22では、配車センタ2へ了解データを送信してステップS23に移る。了解データは運転者が配車センタ2からの指示を受けることが可能ならば了解を回答するスイッチを操作することにより車両1から送信される。
ステップS23では、配車処理を行ってステップS24に移る。自車両に対する配車データを受信し、配車センタ2へ了解データを送信したので配車処理を行う。尚、この処理は配車センタ2へ送信した了解データが配車センタ2で受信されたか否かに関係なく行われる。
ステップS24では、配車センタ2より取消データを受信したか否かを判断して、取消データを受信するとステップS26に移り、取消データを受信しなければステップS25に移る。
ステップS25では、2号車1bより取消データを受信してステップS26に移る。つまり、送受信機16を介して取消データを受信する。図4に示すように、2号車1bから1号車1aへの距離(L21)は近いので、配車センタ2から送信した取消データが1号車1aで受信できなくても、2号車1bから送信した取消データは確実に1号車1aで受信できる。
ステップS26では、取消処理を行って処理を終える。つまり、配車センタ2または2号車1bより取消データを受信したので配車取消を行う。この処理により1号車1aが顧客のところへ行くことは確実に防止できる。
続いて、2号車1bの制御部15の行う処理について、図3(c)のフローチャートを用いて説明する。
ステップS31では、配車センタ2より配車データと1号車1aへの取消データを受信してステップS32に移る。つまり、送受信機16を介して自車両への配車データと1号車1aに二重配車にならないように配車を取り消すための取消データを受信する。
ステップS32では、配車センタ2へ了解データを送信してステップS33に移る。了解データは運転者が配車センタ2からの指示を受けることが可能ならば了解を回答するスイッチを操作することにより車両1から送信される。
ステップS33では、配車処理を行ってステップS34に移る。自車両に対する配車データを受信し、配車センタ2へ了解データを送信したので配車処理を行う。
ステップS34では、1号車へ取消データを送信して処理を終える。つまり、配車センタ2から1号車への距離(L1)よりも、2号車から1号車への距離(L21)の方が近いので、配車センタ2から送信した取消データが1号車1aで受信できなくても、2号車1bから送信した取消データは確実に1号車で受信できる。
尚、配車センタ2と車両1の間で送受信を行うための周波数が異なる(配車センタ2から車両1への送信周波数f1、車両1から配車センタ2への送信周波数f2)場合には、2号車1bから1号車1aに送信する時の周波数を一時的に配車センタ2から車両1へ送信する周波数f1に切り換える。このようにすれば、2号車1bから送信された取消データが1号車1aで受信できる。配車センタ2と車両1の間の送受信を1つの周波数で行う場合には、配車センタ2への送信周波数と同じで変更する必要はない。
また、ステップS34において、各車両(1a、1b〜1n)に配車センタ2と通信するための送受信機16の他に、微弱電波を利用した送受信機を用いて2号車1bから1号車1aへ取消データを送信するようにしてもよい。2号車1bと1号車1aの距離は近いので、微弱電波でも充分通信が可能である。また、例えば、Dopaのような公衆回線網を利用して、2号車1bから1号車1aへ取消データを送信するようにしてもよい。
以上のように、本実施例の車両配車管理システムによれば、1号車1aは配車センタ2よりも近くにいる2号車1bより取消データを受信するので、1号車1aが取消データを受信できる確率が高くなり、その結果、1号車1aに対する配車取消が確実に行われ、顧客のところに行くことも少なくなり、二重配車が防止できる。
図5は本発明の第2の実施例に係る車両配車管理システムの各制御部の行う処理のフローチャートで、(a)は配車センタの処理、(b)は1号車の処理、(c)は2号車の処理である。尚、本実施例は、配車センタ2から車両1に送信する配車データ毎に他の配車データと区別するためのシーケンスナンバー(識別データ)を付加し、配車データを受信した車両1は配車データを保持している間(つまり、配車が完了するまで、例えば、取消データを受信して取消処理を実行するか、指示された顧客を乗せる、あるいは、降ろすまで)、シーケンスナンバーを記憶しておき、任意のデータ(現在位置、実車・空車状態等の車両データ等)を配車センタ2へ送信する時にシーケンスナンバーを付加する。これを受信した配車センタ2は、取消データを送信した車両1から該当するシーケンスナンバー付きの配車データがないかをチェックし、該当するデータがあれば、何度でも取消データを送信することにより二重配車にならないようにするものである。また、システムの構成は第1の実施例に係る車両配車管理システムと同じ構成であるので説明は省略する。
先ず、配車センタ2の処理について、図5(a)のフローチャートを用いて説明する。
ステップS41では、1号車1aへシーケンスナンバー付きの配車データを送信してステップS42に移る。つまり、顧客から配車要求があると各車両(1a、1b〜1n)から取得し、蓄積してある現在位置、空車・実車等の車両データに基づいて、例えば、顧客に最も近い空車の車両を検索する。そして、その車両(以下、1号車1aと称する)に配車を指示するために、送受信機21を介してシーケンスナンバー付きの配車データを送信する。
ステップS42では、1号車1aより了解データが受信できたか否かを判断して、了解データが受信できるとステップS50に移り、了解データが受信できなければステップS43に移る。了解データは運転者が配車センタからの指示を受けることが可能ならば了解を回答するスイッチを操作することにより車両1から送信される。
ステップS43では、2号車1bへシーケンスナンバー付きの配車データを送信してステップS44に移る。つまり、顧客を待たせないように現在位置、空車・実車等の車両データに基づいて、顧客に次に近い空車の車両を検索する。そして、その車両(以下、2号車1bと称する)に配車を指示するために、送受信機21を介して配車データを送信する。
ステップS44では、1号車1aへ取消データを送信してステップS45に移る。つまり、顧客に最も近い1号車1aに配車を指示したが応答がなかったので代わりに2号車1bに配車を指示した。そこで、1号車1aへ二重配車にならないように、配車を取り消すための取消データを送受信機21を介して送信する
ステップS45では、2号車1bより了解データを受信してステップS46に移る。
ステップS46では、2号車1bへの配車処理を完了して処理を終える。つまり、2号車1bから了解データを受信したので2号車1bへの配車処理は完了する。
ステップS47では、1号車1a、2号車1bより任意データを受信してステップS48に移る。任意データは車両1から配車センタ2に送信される位置データ、実車・空車状態データ等で、定期的、所定距離走行毎、実車・空車状態が変化した時に送信される。受信した任意データを記憶する。
ステップS48では、受信した任意データの中に配車取消に該当するシーケンスナンバー付きの配車データが含まれているか否かを判断して、含まれているとステップS49に移り、含まれていなければ配車の取り消しが完了しているものとして処理を終える。尚、2号車1bより受信した任意データをチェックした結果、シーケンスナンバー付きの配車データが含まれていても、配車取消には関係ないので、この処理は無視する。
ステップS49では、1号車1aへ取消データを送信してステップS47に戻る。つまり、1号車1aより受信した任意データをチェックした結果、該当するシーケンスナンバー付きの配車データが含まれており、前回送信した取消データが1号車1aに届いていない。そこで、1号車1aに二重配車にならないように、再度、配車を取り消すための取消データを送受信機21を介して送信する。このステップS47からステップS49の処理は1号車1aより受信した任意データをチェックした結果、シーケンスナンバー付きの配車データが含まれなくなるまで繰り返すこととなる。
ステップS50では、1号車1aへの配車処理を完了して処理を終える。つまり、1号車1aから了解データを受信したので1号車1aへの配車処理は完了する。
尚、配車取消処理はここで終えるが、1号車1a、2号車1bよりの任意データの受信は以降も繰り返される。
次に、1号車1aの処理について、図5(b)のフローチャートを用いて説明する。
ステップS51では、配車センタ2より配車データを受信してステップS52に移る。つまり、送受信機16を介して配車データを受信する。
ステップS52では、配車センタ2へ了解データを送信してステップS53に移る。つまり、了解データは運転者が配車センタ2からの指示を受けることが可能ならば了解を回答するスイッチを操作する。
ステップS53では、配車処理を行い、また、シーケンスナンバーを記憶してステップS54に移る。自車両に対する配車データを受信し、配車センタ2へ了解データを送信したので配車処理を行う。また、任意データと一緒にシーケンスナンバー付きの配車データを送信するために記憶しておく。尚、この処理は配車センタ2へ送信した了解データが配車センタ2で受信されたか否かに関係なく行われる。
ステップS54では、配車センタ2より取消データを受信したか否かを判断して、取消データを受信するとステップS56に移り、取消データを受信しなければステップS55に移る。
ステップS55では、配車センタ2へ任意データを送信してステップS54に戻る。任意データの送信時に配車データが残っておれば、記憶しているシーケンスナンバー付きの配車データも一緒に送信する。尚、シーケンスナンバー付きの配車データは取消データを受信して取消処理を実行した時点、または、指示された顧客を降ろした時点でメモリから消去される。
ステップS56では、取消処理を行って処理を終える。
続いて、2号車1bの処理について、図5(c)のフローチャートを用いて説明する。
ステップS61では、配車センタ2より配車データを受信してステップS62に移る。つまり、送受信機16を介して配車データを受信する。
ステップS62では、配車センタ2へ了解データを送信してステップS63に移る。了解データは運転者が配車センタ2からの指示を受けることが可能ならば了解を回答するスイッチを操作する。
ステップS63では、配車処理を行い、また、シーケンスナンバーを記憶してステップS64に移る。自車両に対する配車データを受信し、配車センタ2へ了解データを送信したので配車処理を行う。また、任意データと一緒にシーケンスナンバー付きの配車データを送信するために記憶しておく。
ステップS64では、配車センタ2へ任意データを送信して処理を終える。任意データの送信時に配車データが残っておれば、シーケンスナンバー付きの配車データも一緒に送信する。
以上のように、本実施例の車両配車管理システムによれば、常時、配車センタ2において、各車両から受信した任意のデータに含まれるシーケンスナンバーをチェックし、取消データを送信した配車データに対応するシーケンスナンバーがあれば、何度でも取消データを送信することにより、1号車1aが取消データを受信できる確率が高くなり、その結果、二重配車が防止できる。
図6は本発明の第3の実施例に係る車両配車管理システムの配車センタの制御部の行う処理のフローチャートである。図7は電界強度を示すマップである。尚、本実施例は、配車センタ2において、配車すべき車両を検索した後に、その車両からの了解データの受信が確実に行えるように、車両位置の電界強度に応じて了解データの再送回数を指定するものである。車両から送信された了解データを確実に受信できると、別の車両に配車を指示することもなくなり、二重配車が確実に防止できる。また、システムの構成は第1の実施例に係る車両配車管理システムと同じ構成であるので説明は省略する。
配車センタ2の処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。
ステップS71では、配車車両を決定してステップS72に移る。つまり、顧客から配車要求があると各車両(1a、1b〜1n)から取得し、蓄積してある現在位置、空車・実車等の車両データに基づいて、例えば、顧客に最も近い空車の車両を検索する。
ステップS72では、検索した車両の位置は電界強度の強い位置であるか否かを判断して、電界強度の強い位置であればステップS73に移り、電界強度の弱い位置であればステップS75に移る。電界強度は図7に示すように配車センタ2側に予めマップ形式で備えられている。そして、そのマップ上に予め受信しておいた車両(1a、1b〜1n)の位置と照合して判断する。図7において、1号車1aは電界強度の弱い位置、2号車1bは電界強度の強い位置にある。
ステップS73では、了解データの再送回数を2回に指定してステップS74に移る。つまり、検索した車両1(図7では、2号車1bに対応する)の位置が電界強度の強い位置にあり、車両1との送受信は確実に行えると判断できる。従って車両1からの了解データの再送回数を2回とする。
ステップS74では、1号車1aへ配車データと、了解データの再送回数を送信して処理を終える。
ステップS75では、了解データの再送回数を7回に指定してステップS74に移る。つまり、検索した車両1(図7では、1号車1aに対応する)の位置が電界強度の弱い位置にあり、車両1との送受信は確実に行えるとは判断できない。そこで、車両1からの了解データの再送回数を7回とする。車両1からの了解データの再送回数は多い方が確実に送受信が行える利点はあるが、その間、通信回線を占有することになるので必要最小限に抑える必要がある。また、極端に電界強度の弱い位置(通信圏外)に車両があれば、了解データの再送回数を多くしても通信できないので再送回数を7回とする。
以上のように、本実施例の車両配車管理システムによれば、配車センタ2において、配車すべき車両を検索した後に、その車両との間で正常に配車データや取消データの送受信が可能であるか否かを判断し、車両1から送信された了解データが確実に受信できるように了解データの再送回数を指定することにより、車両1の位置に係わらず確実に了解データが受信できるようになる。その結果、1台目の車両に対する配車が完了し易くなり、2台目の車両に配車することが少なくなり、二重配車の原因を減らすことができる。
尚、本実施例では、電界強度マップを配車センタ2側に備えて、車両位置における電界強度を判断して了解データの送信回数を指定するようにしているが、これに限らず、車両1側に電界強度マップを備えて、検出した車両位置と電界強度マップに基づいて電界強度を判断する。そして、車両1側で了解データの送信回数を設定するようにしてもよい。
図8は本発明の第4の実施例に係る車両配車管理システムの車両の制御部の行う処理のフローチャートである。尚、本実施例は、車両1側において、配車データを受信した後に、その車両1からの了解データが配車センタ2に確実に届くように、車両1側において受信電界強度に応じて了解データの再送回数を決定するものである。車両1から送信された了解データが配車センタ2で確実に受信できると、別の車両に配車を指示することもなくなり、二重配車が確実に防止できる。また、システムの構成は第1の実施例に係る車両配車管理システムと同じ構成であるので説明は省略する。
車両1の処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。
ステップS81では、配車データを受信してステップS82に移る。
ステップS82では、自車両の位置が受信電界強度の強い位置であるか否かを判断して、受信電界強度の強い位置であればステップS83に移り、受信電界強度の弱い位置でなければステップS86に移る。受信電界強度は配車センタ2から送信された電波を送受信機16で受信して判断する。
ステップS83では、了解データの再送回数を2回に設定してステップS84に移る。つまり、自車両1の位置が受信電界強度の強い位置にあり、配車センタ2との送受信は確実に行えると判断できる。従って自車両1からの了解データの再送回数を2回とする。
ステップS84では、配車センタ2へ了解データを設定した回数送信してステップS85に移る。
ステップS85では、了解応答を受信したか否かを判断して了解応答を受信すれば処理を終え、了解応答を受信しなければステップS87に移る。車両1から送信した了解データが配車センタ2で受信されると了解応答が送信され、これにより、車両1は了解データが配車センタ2に届いたことが判る。この了解応答を受信すると、設定された再送回数に達しなくても了解データの送信を終了できる。
ステップS86では、了解データの再送回数を7回に設定してステップS84に移る。つまり、自車両1の位置が受信電界強度の弱い位置にあり、配車センタ2との送受信は少ない回数では確実に行えるとは限らない。そこで、自車両1からの了解データの再送回数を7回とする。
ステップS87では、設定された再送回数が終了したか否かを判断して設定された再送回数が終了すれば処理を終え、設定された再送回数が終了しなければステップS84に戻って了解データの送信を繰り返す。
以上のように、本実施例の車両配車管理システムによれば、車両1において、配車データを受信した後に、その車両からの了解データが配車センタ2に確実に届くように、車両側において受信電界強度に応じて了解データの再送回数を設定することにより、車両1の位置に係わらず送信した了解データが配車センタ2で確実に受信できる。その結果、1台目の車両に対する配車が完了し易くなり、2台目の車両に配車することが少なくなり、二重配車の原因を減らすことができる。
図9は本発明の第5の実施例に係る車両配車管理システムの配車センタの制御部の行う処理のフローチャートである。尚、本実施例は、配車センタ2において、配車すべき車両を検索した後に、その車両1からの了解データの受信が行えるか否かを、予め配車データを送信する前に確認し、了解データの受信が行える車両1にのみ配車データを送信することにより二重配車を防止するものである。また、システムの構成は第1の実施例に係る車両配車管理システムと同じ構成であるので説明は省略する。
配車センタ2の処理について、図9のフローチャートを用いて説明する。
ステップS91では、配車車両を決定してステップS92に移る。つまり、顧客から配車要求があると各車両(1a、1b〜1n)から取得し、蓄積してある現在位置、空車・実車等の車両データに基づいて、例えば、顧客に最も近い空車の車両を検索する。
ステップS92では、確認信号を送信してステップS93に移る。確認信号は電波の状態を確認するための信号である。
ステップS93では、応答信号を受信できたか否かを判断して応答信号を受信できればステップS94に移り、応答信号を受信できなければステップS95に移る。配車センタ2から送信した確認信号を受信した車両1から送信された確認信号が配車センタ2で受信できると、両者間の通信は確実に行えると判断できる。
ステップS94では、最初に検索した車両へ配車データを送信して処理を終える。
ステップS95では、他の車両を検索してステップS91に戻る。つまり、顧客に最も近い車両1(例えば、1号車1a)は配車センタ2との間で通信が正常にできない。そこで、現在位置、空車・実車等の車両データに基づいて、顧客に次に近い空車の車両1(例えば、2号車1b)を検索する。そして、1号車1aの場合と同様に通信状態を確認する。
以上のように、本実施例の車両配車管理システムによれば、配車センタ2において、配車すべき車両を検索した後に、その車両1との間で正常に配車データや取消データの送受信が可能であるか否かを予め判断し、正常に通信ができる車両1にのみ配車データを送信するので、1台目の車両に対する配車が完了し易くなり、2台目の車両に配車することが少なくなり、二重配車の原因を減らすことができる。
本発明の第1の実施例に係る車両配車管理システムの構成を示すブロック図である。
本発明の第1の実施例に係る車両配車管理システムの各部の構成を示すブロック図である。
本発明の第1の実施例に係る車両配車管理システムの各制御部の行う処理のフローチャートである。
配車センタ2、1号車1a、2号車1b、顧客の位置関係を示す図である。
本発明の第2の実施例に係る車両配車管理システムの各制御部の行う処理のフローチャートである。
本発明の第3の実施例に係る車両配車管理システムの配車センタの制御部の行う処理のフローチャートである。
電界強度を示すマップである。
本発明の第4の実施例に係る車両配車管理システムの車両の制御部の行う処理のフローチャートである。
本発明の第5の実施例に係る車両配車管理システムの配車センタの制御部の行う処理のフローチャートである。
符号の説明
1、1a、1b、1n・・・車両
10・・・ナビゲーション部
11・・・GPS受信機
12・・・地図データベース
13・・・車速センサ
14・・・方位センサ
15・・・制御部
16・・・送受信機
17・・・表示部
18・・・音声出力部
19・・・操作部
2・・・・配車センタ
21・・・送受信機
22・・・制御部
23・・・表示部
24・・・音声出力部
25・・・操作部