JP2005016396A - 内燃機関の触媒暖機システム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、内燃機関の置かれる大気圧が減少した場合にも、十分に排気浄化触媒の暖機を行い、排気浄化触媒による浄化が十分に行われていない排気が外気へ放出されることを抑制する内燃機関の触媒暖機システムを提供する。
【解決手段】排気通路に設けられた排気浄化触媒を有する内燃機関の排気浄化システムにおいて、前記内燃機関の吸気通路に設けられ、該内燃機関の運転状態に基づいて該内燃機関への吸入空気量を決定する吸入空気量制御手段と、大気圧を検出する大気圧検出手段と、前記排気浄化触媒の暖機時において、前記大気圧検出手段によって検出される大気圧が低くなるに従い前記吸入空気量制御手段によって決定される吸入空気量を増量する補正を行う吸入空気量補正手段(S103からS106)と、を備える。
【選択図】 図2
【解決手段】排気通路に設けられた排気浄化触媒を有する内燃機関の排気浄化システムにおいて、前記内燃機関の吸気通路に設けられ、該内燃機関の運転状態に基づいて該内燃機関への吸入空気量を決定する吸入空気量制御手段と、大気圧を検出する大気圧検出手段と、前記排気浄化触媒の暖機時において、前記大気圧検出手段によって検出される大気圧が低くなるに従い前記吸入空気量制御手段によって決定される吸入空気量を増量する補正を行う吸入空気量補正手段(S103からS106)と、を備える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化触媒の暖機を行う触媒暖機システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関、特に希薄燃焼を行う内燃機関から排出される排気に含まれるNOxを浄化するために、NOxを吸蔵し、還元剤の存在下で吸蔵されたNOxを還元する吸蔵還元型NOx触媒(以下、「NOx触媒」という)等の排気浄化触媒が、排気通路に設けられている。しかし、排気浄化触媒がその浄化能力を効率的に発揮するためには、排気浄化触媒の温度が所定の活性温度以上とする必要がある。特に、内燃機関の冷間始動時においては、排気浄化触媒の温度が気温と同程度にまで低下しているため、十分に排気浄化触媒の温度を活性温度まで上昇させなければ、浄化が十分に行われていない排気が外気へ放出されることとなる。
【0003】
そこで、内燃機関における燃料噴射量や点火時期を調整することで、排気浄化触媒に流入する排気温度を上昇させて、排気浄化触媒の温度を活性温度とする技術が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−102337号公報
【特許文献2】
特開平3−78544号公報
【特許文献3】
特開昭63−124865号公報
【特許文献4】
特開平3−57879号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、内燃機関の置かれる環境下において大気圧が減少した場合、例えば、内燃機関を備える車両が高度の低い土地から高い土地へと移動した場合、空気の密度が低下するため、実際に内燃機関へ吸入される空気量が減少し、排気浄化触媒の暖機を十分に行うことが困難となる。そして、排気浄化触媒の暖機が十分でないと、排気の浄化が良好に行われない。
【0006】
本発明は、上記したような問題に鑑みてなされたものであり、内燃機関の置かれる大気圧が減少した場合にも、十分に排気浄化触媒の暖機を行い、排気浄化触媒による浄化が十分に行われていない排気が外気へ放出されることを抑制する内燃機関の触媒暖機システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するために、内燃機関の置かれる大気圧の変動に着目した。内燃機関の置かれる大気圧が変動すると、内燃機関の燃焼室に吸入される空気の密度が変動し、例えば内燃機関の吸気絞り弁が所定時間、所定開度の状態で開弁しても、実際に内燃機関への吸入空気量が、本来の空気量と異なる量となり、燃焼室での燃焼状態が当初想定していた状態とならず、排気浄化触媒の暖機が十分に行われない虞があるからである。
【0008】
そこで、内燃機関の排気通路に設けられ、排気を浄化する排気浄化触媒の暖機を行う内燃機関の触媒暖機システムにおいて、前記内燃機関の吸気通路に設けられ、該内燃機関の運転状態に基づいて該内燃機関への吸入空気量を決定する吸入空気量制御手段と、大気圧を検出する大気圧検出手段と、前記排気浄化触媒の暖機時において、前記大気圧検出手段によって検出される大気圧が低くなるに従い前記吸入空気量制御手段によって決定される吸入空気量を増量する補正を行う吸入空気量補正手段と、を備える。
【0009】
上記内燃機関においては、吸入空気量に応じた燃料の燃焼が行われるため、吸入空気量が増量するに従い燃焼に供される燃料の量が増量され、排気温度が上昇し、排気通路設けられた排気浄化触媒の温度も次第に上昇する。
【0010】
ここで、吸入空気量制御手段は、排気浄化触媒の暖機条件や内燃機関に要求される機関出力トルク等の運転状態に基づいて、内燃機関への吸入空気量を決定する。即ち、排気浄化触媒の暖機条件や内燃機関の運転状態に基づいて吸入空気量制御手段により内燃機関への吸入空気量が決定され、その吸入空気量に応じた燃料が内燃機関での燃焼に供されることで、排気温度を排気浄化触媒の暖機に必要な温度としたり、内燃機関に要求される機関出力トルクを発揮したりすることが可能となる。
【0011】
しかし、内燃機関へ吸入される空気の密度は、内燃機関の置かれる大気圧によって変動する。即ち、該大気圧が低くなるに従い空気密度が小さくなり、逆に該大気圧が高くなるに従い空気密度は大きくなる。例えば、該内燃機関を備える車両が低地にいる場合と高地にいる場合では、内燃機関へ吸入される空気の密度は異なる。また内燃機関の置かれる気候によっても、内燃機関へ吸入される空気の密度は異なる。従って、排気浄化触媒の暖機条件や内燃機関の運転状態に基づいて吸入空気量制御手段によって決定された吸入空気量であっても、内燃機関の置かれる大気圧によっては、本来必要とされる吸入空気量と異なる虞がある。特に、内燃機関の置かれる大気圧が低くなると、実際の内燃機関への吸入空気量は減少するため、排気温度が低下し、排気浄化触媒の暖機時においては該排気浄化触媒を十分に暖機することが困難となる。
【0012】
そこで、排気浄化触媒の暖機時においては、吸入空気量補正手段によって、内燃機関への吸入空気量を、該内燃機関の置かれる大気圧に基づいて補正することで、本来排気浄化触媒の暖機に必要な排気温度を形成するための吸入空気量とする。即ち、吸入空気量補正手段は、内燃機関の置かれる大気圧が低くなるに従い吸入空気量制御手段によって決定される吸入空気量を増量する補正を行い、内燃機関の置かれる大気圧が高くなるに従い吸入空気量制御手段によって決定される吸入空気量を減量する補正を行うことで、内燃機関の置かれる大気圧の変動の、排気浄化触媒の暖機への影響を抑制する。
【0013】
これにより、内燃機関の置かれる大気圧が減少した場合にも、十分に排気浄化触媒の暖機を行い、排気浄化触媒による浄化が十分に行われていない排気が外気へ放出されることを抑制することが可能となる。
【0014】
また、排気浄化触媒の暖機に際しては、排気浄化触媒の温度に基づいて、内燃機関への吸入空気量を補正することが好ましい。排気浄化触媒の温度が比較的低い場合には排気浄化触媒に流入する排気の温度は高い方が好ましいが、排気浄化触媒の暖機が進行し該暖機が完了する直前においても、同様に高温の排気が流入すると、排気浄化触媒の温度が過度に上昇し、排気浄化触媒が熱劣化する虞が生じる。
【0015】
そこで、先述の内燃機関の触媒暖機システムにおいて、前記排気浄化触媒の温度を推定する触媒温度推定手段を、更に備える。そして、前記吸入空気量補正手段は、前記排気浄化触媒の暖機時において、前記触媒温度推定手段によって推定される該排気浄化触媒の温度が上昇するに従い、前記大気圧検出手段によって検出される大気圧に従って補正された吸入空気量を減量する補正を行う。
【0016】
これによって、内燃機関の置かれる大気圧に加えて、排気浄化触媒の温度にも基づいて、内燃機関への吸入空気量が補正されるため、排気浄化触媒の暖機により適した量の吸入空気が内燃機関へ吸入され、排気浄化触媒の暖機が十分に行われる。そして、更に、排気浄化触媒の過度な温度上昇が回避される。
【0017】
ここで、先述までの内燃機関の触媒暖機システムにおける吸入空気量補正手段として、前記排気浄化触媒の暖機時における前記内燃機関の吸気通路を流れる吸入空気の流量を増量することで該内燃機関への吸入空気量を増量する手段が挙げられる。即ち、吸気通路を流れる吸入空気の流量を増量することで、単位時間あたりの内燃機関の燃焼室への吸入空気量を増量し、最終的に内燃機関の燃焼室へ吸入される実際の吸入空気量を本来あるべき吸入空気量とすることで、内燃機関の置かれる大気圧の低下による空気密度の低下を補償する。
【0018】
例えば、吸気通路に設けられた吸気絞り弁の開度を調整することで吸気通路の流量が調整される場合には、吸気空気量制御手段によって決定される吸入空気量に対応した吸気絞り弁の開度よりも更に開度を大きくすることで、吸気通路を流れる吸気の流量を増量する。また、吸気絞り弁と並行して、アイドル回転数制御装置(以下、「ISC」という)設けられている場合には、ISCにおけるISCバルブの開度を、本来あるべき開度よりも更に開度を大きくすることで、結果的に吸気通路を流れる吸気の流量を増量する。
【0019】
更に、吸入空気量補正手段として、前記排気浄化触媒の暖機時における前記内燃機関の機関回転速度を増加することで該内燃機関への吸入空気量を増量する手段が挙げられる。即ち、内燃機関の機関回転速度を増加することで、単位時間あたりの内燃機関の燃焼室への吸入空気量を増量し、最終的に内燃機関の燃焼室へ吸入される実際の吸入空気量を本来あるべき吸入空気量とすることで、内燃機関の置かれる大気圧の低下による空気密度の低下を補償する。例えば、前記ISCが備えられている場合には、そのISCにおいてアイドル回転速度を上昇させる。
【0020】
ここで、排気浄化触媒の暖機に際しては、排気温度を上昇させることで、排気浄化触媒を十分に暖機することが可能となる。しかし、吸入空気量補正手段によって吸入空気量を増量する補正を行う場合、吸気通路を流れる吸気の流量や内燃機関の機関回転速度が上昇し、それに伴い騒音が発生する虞がある。そこで、前記吸入空気量補正手段による補正が行われるときに、少なくとも前記大気圧検出手段によって検出される大気圧に基づいて、前記排気浄化触媒の暖機時における前記内燃機関での点火時期を遅角側に移行する。
【0021】
内燃機関の点火時期を遅角側に移行することによって、内燃機関の機関出力に供せられる燃料の燃焼エネルギが減少するために、排気温度が上昇する。そこで、点火時期を遅角側に移行することで排気浄化触媒の温度が上昇するので、吸入空気量補正手段によって吸入空気量を増量する補正を行い、吸気通路を流れる吸気の流量の増量や内燃機関の機関回転速度の上昇量を抑え、騒音が抑制され得る。また、点火時期の遅角側への移行量は、内燃機関の置かれる大気圧に基づくことで、内燃機関の運転状態への影響を考慮しつつ、大気圧の変動に対してより適正な移行量とすることが可能となる。更には、排気浄化触媒の暖機時における該排気浄化触媒の温度上昇に基づいて、点火時期の遅角側への移行量を決定してもよい。これにより、更に、排気浄化触媒の暖機により適した点火時期となり、排気浄化触媒の暖機が十分に行われる。
【0022】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態>
ここで、本発明に係る内燃機関の触媒暖機システムの実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、本発明が適用される触媒暖機システム、該触媒暖機システムを含む内燃機関1およびその制御系統の概略構成を表すブロック図である。
【0023】
内燃機関1は、4つの気筒2を有し、各気筒2の吸気ポート1aに燃料を噴射する燃料噴射弁11を備えている。燃料噴射弁11は、燃料を所定圧に蓄圧する蓄圧室10と接続されている。また、気筒2には、混合気の点火を行う点火栓3が設けられている。
【0024】
次に、内燃機関1には吸気枝管4が接続されており、吸気枝管4の各枝管は、気筒2の燃焼室と吸気ポート1aを介して連通している。更に、吸気枝管4は吸気管5に接続され、吸気管5の途中には、吸気管5を流れる吸入空気の流量を調整する吸気絞り弁6が設けられている。そして、吸気絞り弁6はアクチュエータ7によって駆動されることで、その開度が調整される。
【0025】
更に、吸気絞り弁6と並行して、内燃機関1のアイドル運転時における機関回転速度を調整するISC9が設けられている。ISC9は、吸気絞り弁6の上流側の吸気管5と下流側の吸気管5を連通するISC通路9aと、ISC通路9aを流れる吸気流量を調整するISCバルブ9bとから構成される。また、ISC通路9aと吸気管5との連結部位より上流側の吸気管5には、吸気管5を流れる吸入空気量を検出するエアフローメータ8が設けられている。
【0026】
一方、内燃機関1には排気枝管12が接続され、排気枝管12の各枝管が排気ポート1bを介して気筒2の燃焼室と連通している。更に、排気枝管12は、排気管13と接続され、この排気管13は、下流にてマフラー(図示略)に接続されている。排気管13の途中には、内燃機関1から排出される排気中のNOxを吸蔵、還元して排気中のNOx浄化を行うNOx触媒14が設けられている。
【0027】
ここで、燃料噴射弁11、吸気絞り弁6を駆動するアクチュエータ7およびISCバルブ9は、電子制御ユニット(以下、「ECU」という)20からの制御信号によって開閉動作を行う。更に、ECU20が、それぞれエアフローメータ8、クランクポジションセンサ21、冷却水温度センサ22、アクセル開度センサ23と電気的に接続され、それぞれによって吸入空気量、内燃機関1のクランクシャフトの回転角、内燃機関1の冷却水温度、アクセル開度が検出される。
【0028】
また、NOx触媒14の上流側の排気管13には排気温度センサ24が設けられている。排気温度センサ24はECU20と電気的に接続され、NOx触媒14に流入する排気の温度が検出される。更に、ECU20は、大気圧センサ25と電気的に接続されており、内燃機関1の置かれる大気圧が検出される。
【0029】
ここで、NOx触媒14によって排気中のNOxが浄化されるにはNOx触媒14の温度が活性温度まで上昇している必要がある。そして、NOx触媒14の温度を活性温度まで昇温される触媒の暖機は十分に行うのが好ましい。NOx触媒14の暖機が十分でないと、NOx触媒14の浄化能力が低下しているため、NOx触媒14によるNOxの浄化が効率的に行われず、エミッションが悪化するためである。
【0030】
NOx触媒14の暖機は高温の排気をNOx触媒14に流入させることで行われる。しかし、内燃機関1の置かれる大気圧が低くなるに従い、吸気管5、吸気枝管4を経て内燃機関1の燃焼室に吸入される吸入空気の密度が低下する。その結果、燃料噴射弁10より噴射される燃料の量が減少するため、内燃機関1の置かれる大気圧が比較的高い場合と比べて、排気温度が低下する。その結果、NOx触媒14の暖機が十分に行われず、エミッションが悪化する虞がある。
【0031】
そこで、内燃機関1の置かれる大気圧の変動にかかわらず、十分なNOx触媒14の暖機を行うための制御(以下、「触媒暖機制御」という)について、図2に基づいて説明する。図2は、触媒暖機制御を示すフローチャートである。触媒暖機制御は、ECU20によって実行される。本実施の形態においては、触媒暖機時にアイドル運転状態にある内燃機関1において、ISC通路9aを流れる空気流量(以下、「ISC流量」という)を補正することで、NOx触媒14の暖機を図る。以下に、詳細を説明する。
【0032】
まずS101では、大気圧センサ25によって、内燃機関1の置かれる大気圧を検出する。S101の処理が終了すると、S102へ進む。
【0033】
S102では、排気温度センサ24によって検出される、NOx触媒14に流入する排気の温度に基づいて、NOx触媒14の温度を検出する。例えば、ECU20内のROMに排気温度センサ24によって検出される排気の温度をパラメータとするNOx触媒14の温度についてのマップを格納し、該マップにアクセスすることで、NOx触媒14の温度が検出される。S102の処理が終了すると、S103へ進む。
【0034】
S103では、S101において検出された大気圧に基づいて、ISC流量用大気圧補正係数(以下、「kqcal」という)を算出する。具体的には、図3に示すグラフに基づいて、kqcalが算出される。図3は、内燃機関1の置かれる大気圧の基準大気圧に対する変動率と、kqcalとの関係を示すグラフである。
【0035】
図3の横軸は、大気圧変動率であり、内燃機関1の置かれる大気圧である大気圧センサ25によって検出される大気圧の、基準大気圧に対する変動率を表す。基準大気圧とは、本実施の形態においては、海抜0mにおける大気圧である。従って、大気圧変動率が1のときは、内燃機関1の置かれる高度は海抜0mであり、その値が1より小さくなるに従い、内燃機関1の置かれる高度が高くなる。また、図3の縦軸は、kqcalを表す。図3に示すように、内燃機関1の置かれる大気圧が低くなるに従い、即ち内燃機関1の置かれる高度が高くなるに従い、kqcalの値は増加する。そして、大気変動率が1のとき、即ち内燃機関1の置かれる大気圧が基準大気圧の場合には、kqcalの値は0となる。S103の処理が終了すると、S104へ進む。
【0036】
S104では、S102において検出されたNOx触媒14の温度に基づいて、ISC流量用触媒温度補正係数(以下、「kcattemp」という)を算出する。具体的には、図4に示すグラフに基づいて、kcattempが算出される。図4は、NOx触媒14の温度と、kcattempとの関係を示すグラフである。
【0037】
図4の横軸は、NOx触媒14の温度を、縦軸は、kcattempを表す。ここで、NOx触媒14の温度がT1以下であるときは、kcattempの値は上限の1であるが、NOx触媒14の温度がT1からT2の範囲に属する場合には、NOx触媒14の温度が高くなるに従いkcattempの値は減少し、NOx触媒14の温度がT2以上となると、kcattempの値は0となる。ここで、温度T2は、NOx触媒14の暖機が完了したと判断されるための、NOx14の最低温度である。また、温度T1は、温度T2より低い値であって、高温の排気がNOx触媒14に流入し続けるとNOx触媒14の温度が過度に上昇すると判断される温度である。S104の処理が終了すると、S105へ進む。
【0038】
S105では、基本ISC流量(以下、「qadd」という)を算出する。例えば、本制御が行われる時点における内燃機関1での複数の制御パラメータの補正量に基づいて、qaddを算出する。即ち、NOx触媒14の暖機時において、アイドル運転状態にある内燃機関1の機関回転速度を安定して維持するために必要な、ISC通路9aを流れる吸入空気の流量を算出する。S105の処理が終了すると、S106へ進む。
【0039】
S106では、S103で算出したkqcalとS104で算出したkcattempに基づいて、S105で算出したqaddの値を補正して、最終ISC流量qcalを算出する。具体的には、以下の式1に基づいて算出する。
【0040】
qcal=qadd*(1+kqcal*kcattemp)・・・(式1)
【0041】
式1においては、kqcalの値とkcattempの値が大きくなるに従い、最終ISC流量であるqcalの値が大きくなる。即ち、内燃機関1の置かれる大気圧が低くなるに従い、またはNOx触媒14の温度が低温であるほど、qcalの値が大きくなる。その結果、内燃機関1への吸入空気量が増加し、排気温度が上昇するため、NOx触媒14の暖機が十分に行われる。
【0042】
ここで、NOx触媒14の暖機が進行して、NOx触媒14の温度が温度T1から温度T2の範囲に属する場合には、qcalの値は徐々に減少し、温度T2となった時点において、qcalの値はqaddの値と同一となる。これにより、暖機時において、NOx触媒14の温度が過度に上昇して、NOx触媒14が熱劣化するのを回避することが可能となる。
【0043】
以上より、本制御によって、内燃機関1の置かれる大気圧が減少した場合にも、十分にNOx触媒14の暖機を行うことが可能となり、以てNOx触媒14による浄化が十分に行われていない排気が外気へ放出されることを抑制することが可能となる。
【0044】
また、本実施の形態においては、内燃機関1の置かれる大気圧またはNOx触媒14の温度に基づいて、ISC通路9aを流れるISC流量を補正するが、同様に内燃機関1の置かれる大気圧またはNOx触媒14の温度に基づいて、吸気絞り弁6の開度を調整し、吸気管5を流れる吸入空気の流量を制御してもよい。即ち、内燃機関の1の置かれる大気圧が低くなるに従い、またはNOx触媒14の温度が低温であるほど、吸気絞り弁6の開度を大きくし、吸気管5を流れる吸入空気の流量を増量する。
【0045】
<第2の実施の形態>
触媒暖機制御の別の実施の形態について、図5に基づいて説明する。図5は、触媒暖機制御を示すフローチャートである。触媒暖機制御は、ECU20によって実行される。本実施の形態においては、触媒暖機時にアイドル運転状態にある内燃機関1の機関回転速度(以下、「アイドル回転速度」という)を補正することで、NOx触媒14の暖機を図る。以下に、詳細を説明する。
【0046】
S201およびS202においては、先述したS101およびS102と同様に、内燃機関1の置かれる大気圧の検出、およびNOx触媒14の温度の検出が行われる。S202の処理が終了後、S203へ進む。S203では、冷却水温度センサ22によって、内燃機関1の冷却水温度が検出される。S203の処理が終了すると、S204へ進む。
【0047】
S204では、S201において検出された大気圧に基づいて、最終アイドル回転速度用大気圧補正係数(以下、「kntcal」という)を算出する。具体的には、先述した図3に示すグラフと同様に表される、内燃機関1の置かれる大気圧の基準大気圧に対する変動率と、kntcalとの関係に基づいて、kntcalが算出される。S204の処理が終了すると、S205へ進む。
【0048】
S205では、S202において検出されたNOx触媒14の温度に基づいて、最終アイドル回転速度用触媒温度補正係数(以下、「kcattemp2」という)を算出する。具体的には、先述した図4に示すグラフと同様に表される、NOx触媒14の温度と、kcattemp2との関係に基づいて、kcattemp2が算出される。S205の処理が終了すると、S206へ進む。
【0049】
S206では、S203において検出された冷却水温度に基づいて、アイドル回転速度補正量(以下、「dlnt」という)を算出する。具体的には、図6に示すグラフに基づいて、dlntが算出される。図6は、冷却水温度と、dlntとの関係を示すグラフである。図6の横軸は、内燃機関1の冷却水温度を、縦軸は、dlntを表す。ここで、冷却水温度が80℃以上となると、NOx触媒14の暖機は完了したとみなされ、dlntの値は0となる。S206の処理が終了すると、S207へ進む。
【0050】
S207では、S204で算出したkntcalとS205で算出したkcattemp2に基づいて、S206で算出したdlntの値を補正し、最終アイドル回転速度(以下、「ntcal」という)として算出する。具体的には、以下の式2に基づいて算出する。
【0051】
ntcal=ntb+dlnt*(1+kntcal*kcattemp2)・・・(式2)
【0052】
式2において、ntbは、基本アイドル回転速度を表し、例えば内燃機関1を備える車両のシフト位置によって決まる基本となるアイドル回転速度である。従って、内燃機関1がアイドル運転状態にあるときの内燃機関1のアイドル回転速度は、この基本アイドル回転速度ntbと冷却水温度から算出される補正回転速度dlntとの和で表される回転速度である。即ち、冷却水温度が低いほどアイドル回転速度を上昇させることで、内燃機関1の暖機を促進する。
【0053】
そして、更に、NOx触媒14の暖機時における内燃機関1のアイドル運転状態においては、補正回転速度dlntをkntcalとkcattemp2に基づいて補正する。即ち、kntcalの値とkcattemp2の値が大きくなるに従い、最終アイドル回転速度ntcalの値が大きくなる。即ち、内燃機関1の置かれる大気圧が低くなるに従い、またはNOx触媒14の温度が低温であるほど、ntcalの値が大きくなる。その結果、内燃機関1への吸入空気量が増加し、排気温度が上昇するため、NOx触媒14の温度が十分に行われる。
【0054】
以上より、本制御によって、内燃機関1の置かれる大気圧が減少した場合にも、十分にNOx触媒14の暖機を行うことが可能となり、以てNOx触媒14による浄化が十分に行われていない排気が外気へ放出されることを抑制することが可能となる。
【0055】
<第3の実施の形態>
触媒暖機制御の別の実施の形態について、図7に基づいて説明する。図7は、触媒暖機制御を示すフローチャートである。触媒暖機制御は、ECU20によって実行される。尚、図7に示す触媒暖機制御のフローチャートにおいて、図5に示す触媒暖機制御のフローチャート中の処理と同一の処理については、図5と同一の参照番号を付すことにより、その説明を省略もしくは簡略する。本実施の形態においては、触媒暖機時に内燃機関1のアイドル回転速度を補正するとともに、内燃機関1での点火時期を補正することで、NOx触媒14の暖機を図る。以下に、詳細を説明する。
【0056】
S203の処理が終了すると、S301へ進む。S301では、内燃機関1の負荷率を検出する。ここで、内燃機関1の負荷率とは、吸気管5を流れる最大吸気量に対する、エアフローメータ8によって検出される現時点での吸気量の比率をいう。S301の処理が終了すると、S302へ進む。
【0057】
S302では、S201において検出された大気圧に基づいて、点火時期用大気圧補正係数(以下、「kacat」という)を算出する。具体的には、先述した図3に示すグラフと同様に表される、内燃機関1の置かれる大気圧の基準大気圧に対する変動率と、kacatとの関係に基づいて、kacatが算出される。S302の処理が終了すると、S303へ進む。
【0058】
S303では、S202において検出されたNOx触媒14の温度に基づいて、点火時期用触媒温度補正係数(以下、「kcattemp3」という)を算出する。具体的には、先述した図4に示すグラフと同様に表される、NOx触媒14の温度と、kcattemp3との関係に基づいて、kcattemp3が算出される。S303の処理が終了すると、S304へ進む。
【0059】
S304では、S203において検出された冷却水温度とS301で検出された内燃機関1の負荷率に基づいて、内燃機関1での点火時期の基本遅角量(以下、「acatb」という)を算出する。具体的には、図8に示すグラフに基づいて、acatbが算出される。図8は、内燃機関1の冷却水温度と、acatbとの関係を示すグラフである。図8の横軸は、内燃機関1の冷却水温度を、縦軸は、acatbを表す。また、図8中の線L1、L2、L3は内燃機関の負荷率が20%、40%、60%のときの冷却水温度に対するacatbの変化をそれぞれ表す。従って、負荷率が20%のときは、acatbの値は0となり、点火時期は遅角側へ移行されない。また、負荷率が高くなるに従い、遅角量が増える。S304の処理が終了すると、S305へ進む。
【0060】
S305では、S302で算出したkacatとS303で算出したkcattemp3に基づいて、S304で算出したacatbの値を補正し、最終遅角量(以下、「acat」という)として算出する。具体的には、以下の式3に基づいて算出する。
【0061】
acat=acatb*(1+kacat*kcattemp3)・・・(式3)
【0062】
式3においては、kacatの値とkcattemp3の値が大きくなるに従い、最終遅角量acatの値が大きくなる。即ち、内燃機関1の置かれる大気圧が低くなるに従い、またはNOx触媒14の温度が低温であるほど、内燃機関1での点火時期が遅角側に移行する。その結果、排気温度が上昇し、以てNOx触媒14の温度が上昇する。S305の処理が終了すると、S204、S205の処理が順次行われる。S205の処理が終了すると、S306へ進む。
【0063】
S306では、S206とほぼ同様に、アイドル回転速度補正量を算出する。ただし、その算出にあたっては、S305によって算出された点火時期の遅角側への移行による排気温度の上昇を加味する。即ち、点火時期を遅角側に移行することによってNOx触媒14に流入する排気の温度は上昇するため、最終的なアイドル回転速度を、点火時期を遅角側に移行しない場合に比べ、それほど上昇させる必要がない。そこで、図6に示す冷却水温度との関係から得られるdlntから、点火時期の遅角量acatに相当する回転速度分を減算した値を、アイドル回転速度補正量dlnt2として算出する。S306の処理が終了すると、S307へ進む。
【0064】
S307では、S207と同様に、S306で算出したdlnt2の値を補正し、最終アイドル回転速度(以下、「ntcal2」という)として算出する。具体的には、以下の式4に基づいて算出する。
【0065】
ntcal2=ntb+dlnt2*(1+kntcal*kcattemp2)・・・(式4)
【0066】
これにより、内燃機関1の置かれる大気圧が低くなるに従い、またはNOx触媒14の温度が低温であるほど、内燃機関1への吸入空気量が増加し、排気温度が上昇するため、NOx触媒14の温度が十分に行われる。
【0067】
以上より、本制御によって、内燃機関1の置かれる大気圧が減少した場合にも、その大気圧の減少に応じてアイドル回転速度が上昇されるため、十分にNOx触媒14の暖機を行うことが可能となり、以てNOx触媒14による浄化が十分に行われていない排気が外気へ放出されることを抑制することが可能となる。更に、内燃機関1での点火時期を遅角側に移行することで、NOx触媒14の温度をある程度上昇させることが可能となるため、NOx触媒14の暖機に要するアイドル回転速度の上昇量を減ずることが可能となる。その結果、アイドル回転速度の上昇に伴う騒音を低減することが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態においては、触媒暖機時のアイドル回転速度を決定する前に内燃機関1での点火時期を遅角側に移行することで、アイドル回転数速度の上昇量を減ずるが、図2に示す触媒暖機制御においてISC流量の補正を行う前に、同様に内燃機関1での点火時期を遅角側に移行することで、ISC流量の増量を抑制することも可能である。これにより、ISC流量の増量による騒音を低減することが可能となる。
【0069】
【発明の効果】
本発明は、内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化触媒の暖機を行う内燃機関の触媒暖機システムにおいて、内燃機関の置かれる大気圧を考慮して、内燃機関への吸入空気量を補正する。これにより、内燃機関の置かれる大気圧が減少した場合にも、十分に排気浄化触媒の暖機を行い、排気浄化触媒による浄化が十分に行われていない排気が外気へ放出されることを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る触媒暖機システムおよび該触媒暖機システムを含む内燃機関およびその制御系統の概略構成を表すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る触媒暖機システムにおける、触媒の暖機を行う制御を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態に係る触媒暖機システムにおいて、内燃機関の置かれる大気圧の基準大気圧に対する変動率と、ISC流量用大気圧補正係数との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態に係る触媒暖機システムにおいて、触媒温度と、ISC流量用触媒温度補正係数との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態に係る触媒暖機システムにおける、触媒の暖機を行う制御を示す第2のフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る触媒暖機システムにおいて、内燃機関の冷却水温度と、アイドル回転速度補正量との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の実施の形態に係る触媒暖機システムにおける、触媒の暖機を行う制御を示す第3のフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る触媒暖機システムにおいて、内燃機関の冷却水温度と、内燃機関での点火時期の基本遅角量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・・内燃機関
3・・・・点火栓
4・・・・吸気枝管
5・・・・吸気管
6・・・・吸気絞り弁
8・・・・エアフローメータ
9・・・・アイドル回転数制御装置(ISC)
12・・・・排気枝管
13・・・・排気管
14・・・・NOx触媒
20・・・・ECU
22・・・・冷却水温度センサ
24・・・・排気温度センサ
25・・・・大気圧センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化触媒の暖機を行う触媒暖機システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関、特に希薄燃焼を行う内燃機関から排出される排気に含まれるNOxを浄化するために、NOxを吸蔵し、還元剤の存在下で吸蔵されたNOxを還元する吸蔵還元型NOx触媒(以下、「NOx触媒」という)等の排気浄化触媒が、排気通路に設けられている。しかし、排気浄化触媒がその浄化能力を効率的に発揮するためには、排気浄化触媒の温度が所定の活性温度以上とする必要がある。特に、内燃機関の冷間始動時においては、排気浄化触媒の温度が気温と同程度にまで低下しているため、十分に排気浄化触媒の温度を活性温度まで上昇させなければ、浄化が十分に行われていない排気が外気へ放出されることとなる。
【0003】
そこで、内燃機関における燃料噴射量や点火時期を調整することで、排気浄化触媒に流入する排気温度を上昇させて、排気浄化触媒の温度を活性温度とする技術が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−102337号公報
【特許文献2】
特開平3−78544号公報
【特許文献3】
特開昭63−124865号公報
【特許文献4】
特開平3−57879号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、内燃機関の置かれる環境下において大気圧が減少した場合、例えば、内燃機関を備える車両が高度の低い土地から高い土地へと移動した場合、空気の密度が低下するため、実際に内燃機関へ吸入される空気量が減少し、排気浄化触媒の暖機を十分に行うことが困難となる。そして、排気浄化触媒の暖機が十分でないと、排気の浄化が良好に行われない。
【0006】
本発明は、上記したような問題に鑑みてなされたものであり、内燃機関の置かれる大気圧が減少した場合にも、十分に排気浄化触媒の暖機を行い、排気浄化触媒による浄化が十分に行われていない排気が外気へ放出されることを抑制する内燃機関の触媒暖機システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するために、内燃機関の置かれる大気圧の変動に着目した。内燃機関の置かれる大気圧が変動すると、内燃機関の燃焼室に吸入される空気の密度が変動し、例えば内燃機関の吸気絞り弁が所定時間、所定開度の状態で開弁しても、実際に内燃機関への吸入空気量が、本来の空気量と異なる量となり、燃焼室での燃焼状態が当初想定していた状態とならず、排気浄化触媒の暖機が十分に行われない虞があるからである。
【0008】
そこで、内燃機関の排気通路に設けられ、排気を浄化する排気浄化触媒の暖機を行う内燃機関の触媒暖機システムにおいて、前記内燃機関の吸気通路に設けられ、該内燃機関の運転状態に基づいて該内燃機関への吸入空気量を決定する吸入空気量制御手段と、大気圧を検出する大気圧検出手段と、前記排気浄化触媒の暖機時において、前記大気圧検出手段によって検出される大気圧が低くなるに従い前記吸入空気量制御手段によって決定される吸入空気量を増量する補正を行う吸入空気量補正手段と、を備える。
【0009】
上記内燃機関においては、吸入空気量に応じた燃料の燃焼が行われるため、吸入空気量が増量するに従い燃焼に供される燃料の量が増量され、排気温度が上昇し、排気通路設けられた排気浄化触媒の温度も次第に上昇する。
【0010】
ここで、吸入空気量制御手段は、排気浄化触媒の暖機条件や内燃機関に要求される機関出力トルク等の運転状態に基づいて、内燃機関への吸入空気量を決定する。即ち、排気浄化触媒の暖機条件や内燃機関の運転状態に基づいて吸入空気量制御手段により内燃機関への吸入空気量が決定され、その吸入空気量に応じた燃料が内燃機関での燃焼に供されることで、排気温度を排気浄化触媒の暖機に必要な温度としたり、内燃機関に要求される機関出力トルクを発揮したりすることが可能となる。
【0011】
しかし、内燃機関へ吸入される空気の密度は、内燃機関の置かれる大気圧によって変動する。即ち、該大気圧が低くなるに従い空気密度が小さくなり、逆に該大気圧が高くなるに従い空気密度は大きくなる。例えば、該内燃機関を備える車両が低地にいる場合と高地にいる場合では、内燃機関へ吸入される空気の密度は異なる。また内燃機関の置かれる気候によっても、内燃機関へ吸入される空気の密度は異なる。従って、排気浄化触媒の暖機条件や内燃機関の運転状態に基づいて吸入空気量制御手段によって決定された吸入空気量であっても、内燃機関の置かれる大気圧によっては、本来必要とされる吸入空気量と異なる虞がある。特に、内燃機関の置かれる大気圧が低くなると、実際の内燃機関への吸入空気量は減少するため、排気温度が低下し、排気浄化触媒の暖機時においては該排気浄化触媒を十分に暖機することが困難となる。
【0012】
そこで、排気浄化触媒の暖機時においては、吸入空気量補正手段によって、内燃機関への吸入空気量を、該内燃機関の置かれる大気圧に基づいて補正することで、本来排気浄化触媒の暖機に必要な排気温度を形成するための吸入空気量とする。即ち、吸入空気量補正手段は、内燃機関の置かれる大気圧が低くなるに従い吸入空気量制御手段によって決定される吸入空気量を増量する補正を行い、内燃機関の置かれる大気圧が高くなるに従い吸入空気量制御手段によって決定される吸入空気量を減量する補正を行うことで、内燃機関の置かれる大気圧の変動の、排気浄化触媒の暖機への影響を抑制する。
【0013】
これにより、内燃機関の置かれる大気圧が減少した場合にも、十分に排気浄化触媒の暖機を行い、排気浄化触媒による浄化が十分に行われていない排気が外気へ放出されることを抑制することが可能となる。
【0014】
また、排気浄化触媒の暖機に際しては、排気浄化触媒の温度に基づいて、内燃機関への吸入空気量を補正することが好ましい。排気浄化触媒の温度が比較的低い場合には排気浄化触媒に流入する排気の温度は高い方が好ましいが、排気浄化触媒の暖機が進行し該暖機が完了する直前においても、同様に高温の排気が流入すると、排気浄化触媒の温度が過度に上昇し、排気浄化触媒が熱劣化する虞が生じる。
【0015】
そこで、先述の内燃機関の触媒暖機システムにおいて、前記排気浄化触媒の温度を推定する触媒温度推定手段を、更に備える。そして、前記吸入空気量補正手段は、前記排気浄化触媒の暖機時において、前記触媒温度推定手段によって推定される該排気浄化触媒の温度が上昇するに従い、前記大気圧検出手段によって検出される大気圧に従って補正された吸入空気量を減量する補正を行う。
【0016】
これによって、内燃機関の置かれる大気圧に加えて、排気浄化触媒の温度にも基づいて、内燃機関への吸入空気量が補正されるため、排気浄化触媒の暖機により適した量の吸入空気が内燃機関へ吸入され、排気浄化触媒の暖機が十分に行われる。そして、更に、排気浄化触媒の過度な温度上昇が回避される。
【0017】
ここで、先述までの内燃機関の触媒暖機システムにおける吸入空気量補正手段として、前記排気浄化触媒の暖機時における前記内燃機関の吸気通路を流れる吸入空気の流量を増量することで該内燃機関への吸入空気量を増量する手段が挙げられる。即ち、吸気通路を流れる吸入空気の流量を増量することで、単位時間あたりの内燃機関の燃焼室への吸入空気量を増量し、最終的に内燃機関の燃焼室へ吸入される実際の吸入空気量を本来あるべき吸入空気量とすることで、内燃機関の置かれる大気圧の低下による空気密度の低下を補償する。
【0018】
例えば、吸気通路に設けられた吸気絞り弁の開度を調整することで吸気通路の流量が調整される場合には、吸気空気量制御手段によって決定される吸入空気量に対応した吸気絞り弁の開度よりも更に開度を大きくすることで、吸気通路を流れる吸気の流量を増量する。また、吸気絞り弁と並行して、アイドル回転数制御装置(以下、「ISC」という)設けられている場合には、ISCにおけるISCバルブの開度を、本来あるべき開度よりも更に開度を大きくすることで、結果的に吸気通路を流れる吸気の流量を増量する。
【0019】
更に、吸入空気量補正手段として、前記排気浄化触媒の暖機時における前記内燃機関の機関回転速度を増加することで該内燃機関への吸入空気量を増量する手段が挙げられる。即ち、内燃機関の機関回転速度を増加することで、単位時間あたりの内燃機関の燃焼室への吸入空気量を増量し、最終的に内燃機関の燃焼室へ吸入される実際の吸入空気量を本来あるべき吸入空気量とすることで、内燃機関の置かれる大気圧の低下による空気密度の低下を補償する。例えば、前記ISCが備えられている場合には、そのISCにおいてアイドル回転速度を上昇させる。
【0020】
ここで、排気浄化触媒の暖機に際しては、排気温度を上昇させることで、排気浄化触媒を十分に暖機することが可能となる。しかし、吸入空気量補正手段によって吸入空気量を増量する補正を行う場合、吸気通路を流れる吸気の流量や内燃機関の機関回転速度が上昇し、それに伴い騒音が発生する虞がある。そこで、前記吸入空気量補正手段による補正が行われるときに、少なくとも前記大気圧検出手段によって検出される大気圧に基づいて、前記排気浄化触媒の暖機時における前記内燃機関での点火時期を遅角側に移行する。
【0021】
内燃機関の点火時期を遅角側に移行することによって、内燃機関の機関出力に供せられる燃料の燃焼エネルギが減少するために、排気温度が上昇する。そこで、点火時期を遅角側に移行することで排気浄化触媒の温度が上昇するので、吸入空気量補正手段によって吸入空気量を増量する補正を行い、吸気通路を流れる吸気の流量の増量や内燃機関の機関回転速度の上昇量を抑え、騒音が抑制され得る。また、点火時期の遅角側への移行量は、内燃機関の置かれる大気圧に基づくことで、内燃機関の運転状態への影響を考慮しつつ、大気圧の変動に対してより適正な移行量とすることが可能となる。更には、排気浄化触媒の暖機時における該排気浄化触媒の温度上昇に基づいて、点火時期の遅角側への移行量を決定してもよい。これにより、更に、排気浄化触媒の暖機により適した点火時期となり、排気浄化触媒の暖機が十分に行われる。
【0022】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態>
ここで、本発明に係る内燃機関の触媒暖機システムの実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、本発明が適用される触媒暖機システム、該触媒暖機システムを含む内燃機関1およびその制御系統の概略構成を表すブロック図である。
【0023】
内燃機関1は、4つの気筒2を有し、各気筒2の吸気ポート1aに燃料を噴射する燃料噴射弁11を備えている。燃料噴射弁11は、燃料を所定圧に蓄圧する蓄圧室10と接続されている。また、気筒2には、混合気の点火を行う点火栓3が設けられている。
【0024】
次に、内燃機関1には吸気枝管4が接続されており、吸気枝管4の各枝管は、気筒2の燃焼室と吸気ポート1aを介して連通している。更に、吸気枝管4は吸気管5に接続され、吸気管5の途中には、吸気管5を流れる吸入空気の流量を調整する吸気絞り弁6が設けられている。そして、吸気絞り弁6はアクチュエータ7によって駆動されることで、その開度が調整される。
【0025】
更に、吸気絞り弁6と並行して、内燃機関1のアイドル運転時における機関回転速度を調整するISC9が設けられている。ISC9は、吸気絞り弁6の上流側の吸気管5と下流側の吸気管5を連通するISC通路9aと、ISC通路9aを流れる吸気流量を調整するISCバルブ9bとから構成される。また、ISC通路9aと吸気管5との連結部位より上流側の吸気管5には、吸気管5を流れる吸入空気量を検出するエアフローメータ8が設けられている。
【0026】
一方、内燃機関1には排気枝管12が接続され、排気枝管12の各枝管が排気ポート1bを介して気筒2の燃焼室と連通している。更に、排気枝管12は、排気管13と接続され、この排気管13は、下流にてマフラー(図示略)に接続されている。排気管13の途中には、内燃機関1から排出される排気中のNOxを吸蔵、還元して排気中のNOx浄化を行うNOx触媒14が設けられている。
【0027】
ここで、燃料噴射弁11、吸気絞り弁6を駆動するアクチュエータ7およびISCバルブ9は、電子制御ユニット(以下、「ECU」という)20からの制御信号によって開閉動作を行う。更に、ECU20が、それぞれエアフローメータ8、クランクポジションセンサ21、冷却水温度センサ22、アクセル開度センサ23と電気的に接続され、それぞれによって吸入空気量、内燃機関1のクランクシャフトの回転角、内燃機関1の冷却水温度、アクセル開度が検出される。
【0028】
また、NOx触媒14の上流側の排気管13には排気温度センサ24が設けられている。排気温度センサ24はECU20と電気的に接続され、NOx触媒14に流入する排気の温度が検出される。更に、ECU20は、大気圧センサ25と電気的に接続されており、内燃機関1の置かれる大気圧が検出される。
【0029】
ここで、NOx触媒14によって排気中のNOxが浄化されるにはNOx触媒14の温度が活性温度まで上昇している必要がある。そして、NOx触媒14の温度を活性温度まで昇温される触媒の暖機は十分に行うのが好ましい。NOx触媒14の暖機が十分でないと、NOx触媒14の浄化能力が低下しているため、NOx触媒14によるNOxの浄化が効率的に行われず、エミッションが悪化するためである。
【0030】
NOx触媒14の暖機は高温の排気をNOx触媒14に流入させることで行われる。しかし、内燃機関1の置かれる大気圧が低くなるに従い、吸気管5、吸気枝管4を経て内燃機関1の燃焼室に吸入される吸入空気の密度が低下する。その結果、燃料噴射弁10より噴射される燃料の量が減少するため、内燃機関1の置かれる大気圧が比較的高い場合と比べて、排気温度が低下する。その結果、NOx触媒14の暖機が十分に行われず、エミッションが悪化する虞がある。
【0031】
そこで、内燃機関1の置かれる大気圧の変動にかかわらず、十分なNOx触媒14の暖機を行うための制御(以下、「触媒暖機制御」という)について、図2に基づいて説明する。図2は、触媒暖機制御を示すフローチャートである。触媒暖機制御は、ECU20によって実行される。本実施の形態においては、触媒暖機時にアイドル運転状態にある内燃機関1において、ISC通路9aを流れる空気流量(以下、「ISC流量」という)を補正することで、NOx触媒14の暖機を図る。以下に、詳細を説明する。
【0032】
まずS101では、大気圧センサ25によって、内燃機関1の置かれる大気圧を検出する。S101の処理が終了すると、S102へ進む。
【0033】
S102では、排気温度センサ24によって検出される、NOx触媒14に流入する排気の温度に基づいて、NOx触媒14の温度を検出する。例えば、ECU20内のROMに排気温度センサ24によって検出される排気の温度をパラメータとするNOx触媒14の温度についてのマップを格納し、該マップにアクセスすることで、NOx触媒14の温度が検出される。S102の処理が終了すると、S103へ進む。
【0034】
S103では、S101において検出された大気圧に基づいて、ISC流量用大気圧補正係数(以下、「kqcal」という)を算出する。具体的には、図3に示すグラフに基づいて、kqcalが算出される。図3は、内燃機関1の置かれる大気圧の基準大気圧に対する変動率と、kqcalとの関係を示すグラフである。
【0035】
図3の横軸は、大気圧変動率であり、内燃機関1の置かれる大気圧である大気圧センサ25によって検出される大気圧の、基準大気圧に対する変動率を表す。基準大気圧とは、本実施の形態においては、海抜0mにおける大気圧である。従って、大気圧変動率が1のときは、内燃機関1の置かれる高度は海抜0mであり、その値が1より小さくなるに従い、内燃機関1の置かれる高度が高くなる。また、図3の縦軸は、kqcalを表す。図3に示すように、内燃機関1の置かれる大気圧が低くなるに従い、即ち内燃機関1の置かれる高度が高くなるに従い、kqcalの値は増加する。そして、大気変動率が1のとき、即ち内燃機関1の置かれる大気圧が基準大気圧の場合には、kqcalの値は0となる。S103の処理が終了すると、S104へ進む。
【0036】
S104では、S102において検出されたNOx触媒14の温度に基づいて、ISC流量用触媒温度補正係数(以下、「kcattemp」という)を算出する。具体的には、図4に示すグラフに基づいて、kcattempが算出される。図4は、NOx触媒14の温度と、kcattempとの関係を示すグラフである。
【0037】
図4の横軸は、NOx触媒14の温度を、縦軸は、kcattempを表す。ここで、NOx触媒14の温度がT1以下であるときは、kcattempの値は上限の1であるが、NOx触媒14の温度がT1からT2の範囲に属する場合には、NOx触媒14の温度が高くなるに従いkcattempの値は減少し、NOx触媒14の温度がT2以上となると、kcattempの値は0となる。ここで、温度T2は、NOx触媒14の暖機が完了したと判断されるための、NOx14の最低温度である。また、温度T1は、温度T2より低い値であって、高温の排気がNOx触媒14に流入し続けるとNOx触媒14の温度が過度に上昇すると判断される温度である。S104の処理が終了すると、S105へ進む。
【0038】
S105では、基本ISC流量(以下、「qadd」という)を算出する。例えば、本制御が行われる時点における内燃機関1での複数の制御パラメータの補正量に基づいて、qaddを算出する。即ち、NOx触媒14の暖機時において、アイドル運転状態にある内燃機関1の機関回転速度を安定して維持するために必要な、ISC通路9aを流れる吸入空気の流量を算出する。S105の処理が終了すると、S106へ進む。
【0039】
S106では、S103で算出したkqcalとS104で算出したkcattempに基づいて、S105で算出したqaddの値を補正して、最終ISC流量qcalを算出する。具体的には、以下の式1に基づいて算出する。
【0040】
qcal=qadd*(1+kqcal*kcattemp)・・・(式1)
【0041】
式1においては、kqcalの値とkcattempの値が大きくなるに従い、最終ISC流量であるqcalの値が大きくなる。即ち、内燃機関1の置かれる大気圧が低くなるに従い、またはNOx触媒14の温度が低温であるほど、qcalの値が大きくなる。その結果、内燃機関1への吸入空気量が増加し、排気温度が上昇するため、NOx触媒14の暖機が十分に行われる。
【0042】
ここで、NOx触媒14の暖機が進行して、NOx触媒14の温度が温度T1から温度T2の範囲に属する場合には、qcalの値は徐々に減少し、温度T2となった時点において、qcalの値はqaddの値と同一となる。これにより、暖機時において、NOx触媒14の温度が過度に上昇して、NOx触媒14が熱劣化するのを回避することが可能となる。
【0043】
以上より、本制御によって、内燃機関1の置かれる大気圧が減少した場合にも、十分にNOx触媒14の暖機を行うことが可能となり、以てNOx触媒14による浄化が十分に行われていない排気が外気へ放出されることを抑制することが可能となる。
【0044】
また、本実施の形態においては、内燃機関1の置かれる大気圧またはNOx触媒14の温度に基づいて、ISC通路9aを流れるISC流量を補正するが、同様に内燃機関1の置かれる大気圧またはNOx触媒14の温度に基づいて、吸気絞り弁6の開度を調整し、吸気管5を流れる吸入空気の流量を制御してもよい。即ち、内燃機関の1の置かれる大気圧が低くなるに従い、またはNOx触媒14の温度が低温であるほど、吸気絞り弁6の開度を大きくし、吸気管5を流れる吸入空気の流量を増量する。
【0045】
<第2の実施の形態>
触媒暖機制御の別の実施の形態について、図5に基づいて説明する。図5は、触媒暖機制御を示すフローチャートである。触媒暖機制御は、ECU20によって実行される。本実施の形態においては、触媒暖機時にアイドル運転状態にある内燃機関1の機関回転速度(以下、「アイドル回転速度」という)を補正することで、NOx触媒14の暖機を図る。以下に、詳細を説明する。
【0046】
S201およびS202においては、先述したS101およびS102と同様に、内燃機関1の置かれる大気圧の検出、およびNOx触媒14の温度の検出が行われる。S202の処理が終了後、S203へ進む。S203では、冷却水温度センサ22によって、内燃機関1の冷却水温度が検出される。S203の処理が終了すると、S204へ進む。
【0047】
S204では、S201において検出された大気圧に基づいて、最終アイドル回転速度用大気圧補正係数(以下、「kntcal」という)を算出する。具体的には、先述した図3に示すグラフと同様に表される、内燃機関1の置かれる大気圧の基準大気圧に対する変動率と、kntcalとの関係に基づいて、kntcalが算出される。S204の処理が終了すると、S205へ進む。
【0048】
S205では、S202において検出されたNOx触媒14の温度に基づいて、最終アイドル回転速度用触媒温度補正係数(以下、「kcattemp2」という)を算出する。具体的には、先述した図4に示すグラフと同様に表される、NOx触媒14の温度と、kcattemp2との関係に基づいて、kcattemp2が算出される。S205の処理が終了すると、S206へ進む。
【0049】
S206では、S203において検出された冷却水温度に基づいて、アイドル回転速度補正量(以下、「dlnt」という)を算出する。具体的には、図6に示すグラフに基づいて、dlntが算出される。図6は、冷却水温度と、dlntとの関係を示すグラフである。図6の横軸は、内燃機関1の冷却水温度を、縦軸は、dlntを表す。ここで、冷却水温度が80℃以上となると、NOx触媒14の暖機は完了したとみなされ、dlntの値は0となる。S206の処理が終了すると、S207へ進む。
【0050】
S207では、S204で算出したkntcalとS205で算出したkcattemp2に基づいて、S206で算出したdlntの値を補正し、最終アイドル回転速度(以下、「ntcal」という)として算出する。具体的には、以下の式2に基づいて算出する。
【0051】
ntcal=ntb+dlnt*(1+kntcal*kcattemp2)・・・(式2)
【0052】
式2において、ntbは、基本アイドル回転速度を表し、例えば内燃機関1を備える車両のシフト位置によって決まる基本となるアイドル回転速度である。従って、内燃機関1がアイドル運転状態にあるときの内燃機関1のアイドル回転速度は、この基本アイドル回転速度ntbと冷却水温度から算出される補正回転速度dlntとの和で表される回転速度である。即ち、冷却水温度が低いほどアイドル回転速度を上昇させることで、内燃機関1の暖機を促進する。
【0053】
そして、更に、NOx触媒14の暖機時における内燃機関1のアイドル運転状態においては、補正回転速度dlntをkntcalとkcattemp2に基づいて補正する。即ち、kntcalの値とkcattemp2の値が大きくなるに従い、最終アイドル回転速度ntcalの値が大きくなる。即ち、内燃機関1の置かれる大気圧が低くなるに従い、またはNOx触媒14の温度が低温であるほど、ntcalの値が大きくなる。その結果、内燃機関1への吸入空気量が増加し、排気温度が上昇するため、NOx触媒14の温度が十分に行われる。
【0054】
以上より、本制御によって、内燃機関1の置かれる大気圧が減少した場合にも、十分にNOx触媒14の暖機を行うことが可能となり、以てNOx触媒14による浄化が十分に行われていない排気が外気へ放出されることを抑制することが可能となる。
【0055】
<第3の実施の形態>
触媒暖機制御の別の実施の形態について、図7に基づいて説明する。図7は、触媒暖機制御を示すフローチャートである。触媒暖機制御は、ECU20によって実行される。尚、図7に示す触媒暖機制御のフローチャートにおいて、図5に示す触媒暖機制御のフローチャート中の処理と同一の処理については、図5と同一の参照番号を付すことにより、その説明を省略もしくは簡略する。本実施の形態においては、触媒暖機時に内燃機関1のアイドル回転速度を補正するとともに、内燃機関1での点火時期を補正することで、NOx触媒14の暖機を図る。以下に、詳細を説明する。
【0056】
S203の処理が終了すると、S301へ進む。S301では、内燃機関1の負荷率を検出する。ここで、内燃機関1の負荷率とは、吸気管5を流れる最大吸気量に対する、エアフローメータ8によって検出される現時点での吸気量の比率をいう。S301の処理が終了すると、S302へ進む。
【0057】
S302では、S201において検出された大気圧に基づいて、点火時期用大気圧補正係数(以下、「kacat」という)を算出する。具体的には、先述した図3に示すグラフと同様に表される、内燃機関1の置かれる大気圧の基準大気圧に対する変動率と、kacatとの関係に基づいて、kacatが算出される。S302の処理が終了すると、S303へ進む。
【0058】
S303では、S202において検出されたNOx触媒14の温度に基づいて、点火時期用触媒温度補正係数(以下、「kcattemp3」という)を算出する。具体的には、先述した図4に示すグラフと同様に表される、NOx触媒14の温度と、kcattemp3との関係に基づいて、kcattemp3が算出される。S303の処理が終了すると、S304へ進む。
【0059】
S304では、S203において検出された冷却水温度とS301で検出された内燃機関1の負荷率に基づいて、内燃機関1での点火時期の基本遅角量(以下、「acatb」という)を算出する。具体的には、図8に示すグラフに基づいて、acatbが算出される。図8は、内燃機関1の冷却水温度と、acatbとの関係を示すグラフである。図8の横軸は、内燃機関1の冷却水温度を、縦軸は、acatbを表す。また、図8中の線L1、L2、L3は内燃機関の負荷率が20%、40%、60%のときの冷却水温度に対するacatbの変化をそれぞれ表す。従って、負荷率が20%のときは、acatbの値は0となり、点火時期は遅角側へ移行されない。また、負荷率が高くなるに従い、遅角量が増える。S304の処理が終了すると、S305へ進む。
【0060】
S305では、S302で算出したkacatとS303で算出したkcattemp3に基づいて、S304で算出したacatbの値を補正し、最終遅角量(以下、「acat」という)として算出する。具体的には、以下の式3に基づいて算出する。
【0061】
acat=acatb*(1+kacat*kcattemp3)・・・(式3)
【0062】
式3においては、kacatの値とkcattemp3の値が大きくなるに従い、最終遅角量acatの値が大きくなる。即ち、内燃機関1の置かれる大気圧が低くなるに従い、またはNOx触媒14の温度が低温であるほど、内燃機関1での点火時期が遅角側に移行する。その結果、排気温度が上昇し、以てNOx触媒14の温度が上昇する。S305の処理が終了すると、S204、S205の処理が順次行われる。S205の処理が終了すると、S306へ進む。
【0063】
S306では、S206とほぼ同様に、アイドル回転速度補正量を算出する。ただし、その算出にあたっては、S305によって算出された点火時期の遅角側への移行による排気温度の上昇を加味する。即ち、点火時期を遅角側に移行することによってNOx触媒14に流入する排気の温度は上昇するため、最終的なアイドル回転速度を、点火時期を遅角側に移行しない場合に比べ、それほど上昇させる必要がない。そこで、図6に示す冷却水温度との関係から得られるdlntから、点火時期の遅角量acatに相当する回転速度分を減算した値を、アイドル回転速度補正量dlnt2として算出する。S306の処理が終了すると、S307へ進む。
【0064】
S307では、S207と同様に、S306で算出したdlnt2の値を補正し、最終アイドル回転速度(以下、「ntcal2」という)として算出する。具体的には、以下の式4に基づいて算出する。
【0065】
ntcal2=ntb+dlnt2*(1+kntcal*kcattemp2)・・・(式4)
【0066】
これにより、内燃機関1の置かれる大気圧が低くなるに従い、またはNOx触媒14の温度が低温であるほど、内燃機関1への吸入空気量が増加し、排気温度が上昇するため、NOx触媒14の温度が十分に行われる。
【0067】
以上より、本制御によって、内燃機関1の置かれる大気圧が減少した場合にも、その大気圧の減少に応じてアイドル回転速度が上昇されるため、十分にNOx触媒14の暖機を行うことが可能となり、以てNOx触媒14による浄化が十分に行われていない排気が外気へ放出されることを抑制することが可能となる。更に、内燃機関1での点火時期を遅角側に移行することで、NOx触媒14の温度をある程度上昇させることが可能となるため、NOx触媒14の暖機に要するアイドル回転速度の上昇量を減ずることが可能となる。その結果、アイドル回転速度の上昇に伴う騒音を低減することが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態においては、触媒暖機時のアイドル回転速度を決定する前に内燃機関1での点火時期を遅角側に移行することで、アイドル回転数速度の上昇量を減ずるが、図2に示す触媒暖機制御においてISC流量の補正を行う前に、同様に内燃機関1での点火時期を遅角側に移行することで、ISC流量の増量を抑制することも可能である。これにより、ISC流量の増量による騒音を低減することが可能となる。
【0069】
【発明の効果】
本発明は、内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化触媒の暖機を行う内燃機関の触媒暖機システムにおいて、内燃機関の置かれる大気圧を考慮して、内燃機関への吸入空気量を補正する。これにより、内燃機関の置かれる大気圧が減少した場合にも、十分に排気浄化触媒の暖機を行い、排気浄化触媒による浄化が十分に行われていない排気が外気へ放出されることを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る触媒暖機システムおよび該触媒暖機システムを含む内燃機関およびその制御系統の概略構成を表すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る触媒暖機システムにおける、触媒の暖機を行う制御を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態に係る触媒暖機システムにおいて、内燃機関の置かれる大気圧の基準大気圧に対する変動率と、ISC流量用大気圧補正係数との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態に係る触媒暖機システムにおいて、触媒温度と、ISC流量用触媒温度補正係数との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態に係る触媒暖機システムにおける、触媒の暖機を行う制御を示す第2のフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る触媒暖機システムにおいて、内燃機関の冷却水温度と、アイドル回転速度補正量との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の実施の形態に係る触媒暖機システムにおける、触媒の暖機を行う制御を示す第3のフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る触媒暖機システムにおいて、内燃機関の冷却水温度と、内燃機関での点火時期の基本遅角量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・・内燃機関
3・・・・点火栓
4・・・・吸気枝管
5・・・・吸気管
6・・・・吸気絞り弁
8・・・・エアフローメータ
9・・・・アイドル回転数制御装置(ISC)
12・・・・排気枝管
13・・・・排気管
14・・・・NOx触媒
20・・・・ECU
22・・・・冷却水温度センサ
24・・・・排気温度センサ
25・・・・大気圧センサ
Claims (5)
- 内燃機関の排気通路に設けられ、排気を浄化する排気浄化触媒と、
前記内燃機関の吸気通路に設けられ、該内燃機関の運転状態に基づいて該内燃機関への吸入空気量を決定する吸入空気量制御手段と、
大気圧を検出する大気圧検出手段と、
前記排気浄化触媒の暖機時において、前記大気圧検出手段によって検出される大気圧が低くなるに従い前記吸入空気量制御手段によって決定される吸入空気量を増量する補正を行う吸入空気量補正手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の触媒暖機システム。 - 前記排気浄化触媒の温度を推定する触媒温度推定手段を、更に備え、
前記吸入空気量補正手段は、前記排気浄化触媒の暖機時において、前記触媒温度推定手段によって推定される該排気浄化触媒の温度が上昇するに従い、前記大気圧検出手段によって検出される大気圧に従って補正された吸入空気量を減量する補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の触媒暖機システム。 - 前記吸入空気量補正手段は、前記排気浄化触媒の暖機時における前記内燃機関の吸気通路を流れる吸入空気の流量を増量することで該内燃機関への吸入空気量を増量することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の触媒暖機システム。
- 前記吸入空気量補正手段は、前記排気浄化触媒の暖機時における前記内燃機関の機関回転速度を増加することで該内燃機関への吸入空気量を増量することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の触媒暖機システム。
- 前記吸入空気量補正手段による補正が行われるときに、少なくとも前記大気圧検出手段によって検出される大気圧に基づいて、前記排気浄化触媒の暖機時における前記内燃機関での点火時期を遅角側に移行することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の内燃機関の触媒暖機システム。
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2003
- 2003-06-25 JP JP2003181549A patent/JP2005016396A/ja not_active Withdrawn
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