【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネート樹脂等とイオン性液体とを含む、帯電防止性の熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
合成高分子からなる種々の熱可塑性樹脂材料は、その特性に応じ非常に多分野で使用されているが、一般に電気抵抗率が高く帯電し易いため、帯電が障害を与える用途に用いると、静電気に起因する様々な問題が起こりやすい。例えば、樹脂成形品が静電気を帯びると、表面に埃や塵が付着して外観を損ねることになり、特に、透明性が要求される場合には大きく商品価値を低下させる結果となる。また、電気・電子部品においては、誤動作等、機能上重大な問題を引き起こす場合もある。そのため、樹脂に帯電防止性を付与するための種々の帯電防止剤が配合使用されており、例えば、n−ヘキシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の有機スルホン酸塩型帯電防止剤(特許文献1参照)、ドデシルベンゼンスルホン酸のステアリルジメチルアミン塩又はラウリルジエチルアミン塩等の有機スルホン酸の第3級アミン塩型帯電防止剤(特許文献2参照)などが知られている。しかしながら、アミン系の帯電防止剤は一般に併用される他の添加剤との相互作用により着色問題を生ずる場合もあるので、樹脂の色相や透明性に影響を与えず、帯電防止性機能を有する材料の開発が更に望まれている。
【0003】
一般に、合成樹脂等の高分子材料に帯電防止性能を付与するには、帯電防止剤を樹脂成形品の表面に塗布する方法や、各種の帯電防止剤を樹脂に練り込む方法(特許文献1参照)が用いられている。これらのうち、帯電防止剤を成形品の表面に塗布する方法は、工程数が増えることによるコストアップや成形品の形状が制限される等の欠点がある。また、帯電防止剤を樹脂に練り込む方法では、耐熱性や樹脂との相溶性等によっては帯電防止性能を十分に付与することが出来なかったり、成形時の高温により樹脂成形品の色相や透明性を損なう等の問題がある。
【特許文献1】特開平9−40855号公報
【特許文献2】特開平3−64368号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、色相や透明性が損なわれることなく帯電防止性能が付与された熱可塑性樹脂組成物を提供することであり、特に、透明性を有する熱可塑性樹脂に対して、成形品の透明性および機械的性質に悪影響を与えることなく、内部添加できる帯電防止剤を含有した新規な熱可塑性樹脂組成物を提供することである。本発明による帯電防止性能の付与は、透明な熱可塑性樹脂に対し特に有効であるが、有色または半透明の熱可塑性樹脂にも適用することが出来、透明な熱可塑性樹脂だけに限定されるものではない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく帯電防止性能について検討を重ねた結果、ある種の塩が極めて優れた帯電防止性能を有することを見出し本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、熱可塑性樹脂(A)100重量部、およびイオン性液体(B)0.001〜15重量部を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)とイオン性液体(B)を含有するものである。
イオン性液体は、室温付近で液体である塩類の総称であり、室温付近の広い温度範囲において液体で、また、室温付近の蒸気圧が極めて低いという特徴を有するカチオンとアニオンからなる塩である(例えば、現代化学、2001年3月号、pp.56−62参照)。イオン性液体は、蒸気圧が殆ど0に近く高温下でも蒸発せず、また比較的低粘性であることから反応溶媒として使用されたり、その高いイオン伝導性を利用して電解質溶液等にも利用され、更に、ルイス酸性能を利用して化学反応触媒としての用途にも適用されている。近年、このイオン性液体に着目し、その塩を構成するカチオン及びアニオンの種類の組み合わせ等を含めた特性改良及び用途開発が試みられている。
イオン性液体は、上記の如く一般には室温付近で液体である、つまり融点が室温付近以下である塩を言うが、場合により融点が高温(200〜300℃程度)のものを包括して称することもある。
【0007】
本発明におけるイオン性液体(B)は、基本的に室温付近で液体状体のカチオンとアニオンからなる塩類であり、詳しくはカチオンが窒素原子のイオン中心またはリン原子のイオン中心を有し、且つ100℃以下の温度で液体のイオン性化合物である。
窒素原子をイオン中心とするカチオンを有するイオン性液体としては、より具体的には有機アンモニウム塩であり、例えば、下記式(1)で表される有機アンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
C+A− (1)
式(1)中、C+はカチオンを表し、四級アンモニウムカチオンであり、A−はアニオンを表す。
【0008】
カチオンとなる四級アンモニウムイオンとしては、テトラアルキルアンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ピラゾリウムイオン、ピロリウムイオン、ピロリニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピペリジニウムイオンなどが挙げられ、これらは更に炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよい。
【0009】
アンモニウムカチオンの具体例としては、例えば、トリメチルエチルアンモニウムイオン、トリメチルプロピルアンモニウムイオン、トリメチルヘキシルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオンなどの炭素数1〜10のアルキル基を有するテトラアルキルアンモニウムイオン;1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル3−メチルイミダゾリウムイオン、1−イソプロピル−3−メチルイミダゾリウムイオンなどの炭素数1〜6のジアルキルイミダゾリウムイオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジエチル−4−メチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジエチル−3−メチルイミダゾリウムイオンなどの炭素数1〜4のトリアルキルイミダゾリウムイオンなどのイミダゾリウムイオンが挙げられる。
【0010】
カチオンがリン原子のイオン中心を有するイオン性液体としては、炭素数1〜6のアルキル基を有するテトラアルキルホスホニウムイオンが挙げられ、具体的には、トリブチルエチルホスホニウムイオン、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムイオン等が挙げられる。
【0011】
本発明のイオン性液体のアニオンの具体例としては、AlCl4 −、Al3Cl8 −、Al2Cl7 −、PF6 −、BF4 −、CF3SO3 −、(CF3SO2)2N−、(CF3SO2)3C−、Cl−、Br−、RCO2 −(Rは有機基)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
本発明における有機アンモニウム塩の具体例としては、マレイン酸水素メチルトリエチルアンモニウム、マレイン酸水素テトラエチルアンモニウムなどのマレイン酸水素テトラアルキルアンモニウム塩や、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、N−ヘキシルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、テトラブチルアンモニウムブロミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリドまたはN−ブチルピリジニウムクロリドなどが挙げられる。ホスホニウム塩の具体例としては、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムブロミドが挙げられる。これらのイオン性液体は、1種または2種以上を混合して用いてもよい。
【0013】
イオン性液体(B)は、添加する熱可塑性樹脂の種類に応じ、樹脂の成形温度、樹脂との相溶性、他の添加剤、樹脂組成物の用途等を考慮して、カチオン種及びアニオン種を適宜組み合わせたイオン性化合物を選択して使用する。カチオン種としては、窒素原子を有する複素環からなるイミダゾリウムやピリジウムカチオン種が安定性、導電率などの点から好ましい。
【0014】
本発明に用いる熱可塑性樹脂(A)は、加熱することによって溶融、成形できるものであれば特に限定されず、公知の種々の合成樹脂(単独重合体、共重合体、さらに変成物など)を単独または複数混合して用いることができる。
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニルなどのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロンMXD6などのポリアミド系樹脂、ビスフェノールAポリカーボネートなどのポリカーボネート系樹脂、変成ポリフェニレンエーテル、ポリアセタールなどのポリエーテル系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのハロゲン含有樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホンなどのイオウ含有樹脂、ポリブタジエンなどのゴム系樹脂などが挙げられる。本発明は、これらの樹脂中、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などの透明性に優れた樹脂に特に有効である。
【0015】
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対しイオン性液体(B)0.001〜15重量部を含有する。熱可塑性樹脂に対するイオン性液体(B)の添加割合は、樹脂の種類、イオン性液体の種類により異なり、画一的に決められないが、帯電を低減もしくは消失させるのに有効であれば、この範囲内で適宜変えることができる。この範囲を超えて添加割合が低すぎると、その樹脂から成形した製品の帯電防止性能が低くなり、他方、添加割合が高くなりすぎると、樹脂の他の性質に悪影響を及ぼす場合があり好ましくない。
イオン性液体の添加割合は、好ましくは樹脂100重量部に対し、0.01〜12重量部であり、更に好ましくは0.1〜10重量部である。
【0016】
イオン性液体は、上記の如く室温付近で液体であり、且つその蒸気圧が極めて低く殆ど0に近いと共に、従来、帯電防止剤として使用されているアルキルスルホン酸ホスホニウムのようなイオン性界面活性剤よりも耐熱性に優れている。また、樹脂に混合する場合、他の溶媒に溶解して添加する必要もなく、更にイオン性液体のイオンまたは分子は、それが液体であることから、イオン間または分子間の相互作用が小さく、樹脂中においてイオン性液体のみで凝集する傾向が小さく均一に分散・溶解されるものと推察される。従って、イオン性液体を配合した樹脂を高温下、例えばポリカーボネート樹脂では220℃〜300℃で成形した場合でも熱分解による着色や機能低下の問題を生ずる事は少なく、色相や透明性に悪影響を及ぼさず、優れた帯電性防止能を付与することが出来る。
【0017】
本発明の樹脂組成物には、熱可塑性樹脂(A)およびイオン性液体(B)以外に、組成物の特性を阻害しない範囲で、必要に応じて公知の種々の添加剤を加えることが出来る。このような添加剤として、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維などの補強剤、酸化チタン、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、炭酸カルシウムなどの充填剤、パラフィンワックス、シリコンオイルなどの離型剤、各種可塑剤、さらに、ヒンダードフェノール系、亜リン酸エステル系などの酸化防止剤、ハロゲン化合物、リン酸化合物などの難燃剤、紫外線吸収剤あるいは耐候性付与剤、染料、顔料、発泡剤などがある。また、公知の、他の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を含めた各種樹脂をさらに添加してもよい。
【0018】
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)、イオン性液体(B)、および必要に応じて添加される他の各種添加成分を配合し、混練することによって製造することができる。配合には通常用いられる方法、例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、ドラムブレンダー等を用いることができる。溶融混練には各種押出機、ブラベンダープラストグラフ、ラボプラストミル、ニーダー、バンバリーミキサーなどが使われる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、既知の種々の成形方法、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形、回転成形などにより、電気・電子機器分野、自動車分野、機械分野、医療分野などの成形品に加工することができる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
なお、実施例中の「部」は「重量部」を表す。実施例および比較例の樹脂組成物は、射出成形によって成形片を成形した後、下記の試験方法により性能評価を行った。
【0020】
試験方法
(1)帯電防止性
帯電防止性能は、表面固有抵抗値を測定することで評価した。測定に際しては、デジタル超高抵抗計(アドバンテスト社製)を使用し、ASTM D−257に従い、試験片(直径10cm、厚さ3mmの円盤)を、温度23℃、相対湿度50%の条件に3日以上放置して調湿してから、表面固有抵抗値を測定した。値が小さい方ほど帯電防止性能が高い。
【0021】
(2)永久帯電防止性
永久帯電防止性能は、上記(1)の帯電防止性評価を行った試験片を水洗処理した後、温度23℃、湿度50%の条件に3日以上放置して調湿してから、水洗処理品の表面固有抵抗値を測定した。水洗処理なしの表面固有抵抗値が低く、かつ水洗処理品の表面固有抵抗値が低いまま維持されていれば永久帯電防止性に優れた材料と言える。なお、水洗処理は内径8mmのホースから水道水を5L/分の流量で流しつつ、そのホースの直下15cmに置いた成形試験片に、水道水が垂直の角度で30秒間均一にかかる様に動かしながら行った。その後、その試験片にイオン交換水をかけて置換洗浄し、乾燥した。
【0022】
[実施例1]
96重量部のポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ユーピロンS−3000、粘度平均分子量21,000)および4重量部のイオン性液体T(日清紡(株)製、アンモニウム塩)をヘンシェルミキサーでブレンドした。得られたブレンド物を、30mm2軸押出機を用いてシリンダー温度260℃で溶融混練し、押出形成した溶融ストランドを冷却、切断してペレットを得た。得られたペレットを100tの射出成形機で成形し、物性評価用試験片を得た。
この試験片の調湿後の表面固有抵抗値は5.9×1011Ω、水洗処理品の表面固有抵抗値は8.4×1014Ωであった。また、試験片の色相と透明性は、イオン性液体Tを添加しないで成形した場合と同様の、無色透明であった。
【0023】
[比較例1]
イオン性液体Tをn−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムに変えた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製し、表面固有抵抗値の測定を行った。調湿後の表面固有抵抗値は2.3×1011Ω、水洗処理品の表面固有抵抗値は2×1017Ωであった。また、試験片は褐色で不透明であった。
【0024】
[比較例2]
イオン性液体Tを2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸に変えた以外は、実施例1と同様にして試験片を作製し、表面固有抵抗値の測定を行った。調湿後の表面固有抵抗値は2.0×1016Ω、水洗処理品の表面固有抵抗値は1×1017Ωであった。また、試験片は褐色で不透明であった。
【0025】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、良好な帯電防止性能を有し、かつ、水洗による性能低下も少なく、しかもベースポリマーと比較しても色相や透明性の変化が少ない。本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品は、表面に埃や塵が付着しにくく外観に優れ、また、誤操作等の機能上の問題や電撃現象による帯電トラブルが生じにくいため、電気・電子機器分野、自動車分野、機械分野、医療分野などの、多くの分野において幅広く使用することができる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an antistatic thermoplastic resin composition comprising a thermoplastic resin such as a polycarbonate resin and an ionic liquid.
[0002]
[Prior art]
Various thermoplastic resin materials made of synthetic polymers are used in a wide variety of fields depending on their properties, but generally they have a high electrical resistivity and are easily charged. Various problems are likely to occur. For example, if a resin molded product is charged with static electricity, dust or dust adheres to the surface and the appearance is impaired, and particularly when transparency is required, the commercial value is greatly reduced. In addition, electrical / electronic components may cause serious functional problems such as malfunctions. Therefore, various antistatic agents for imparting antistatic properties to resins are used in combination, for example, organic sulfonate type antistatic agents such as sodium n-hexylsulfonate and sodium dodecylbenzenesulfonate (patents) Document 3), tertiary amine salt type antistatic agents of organic sulfonic acid such as stearyldimethylamine salt of dodecylbenzene sulfonic acid or lauryl diethylamine salt (see Patent Document 2) and the like are known. However, since amine-based antistatic agents may cause coloring problems due to interaction with other additives that are generally used in combination, materials that have an antistatic function without affecting the hue and transparency of the resin. Further development is desired.
[0003]
In general, in order to impart antistatic performance to a polymer material such as a synthetic resin, a method of applying an antistatic agent to the surface of a resin molded product, or a method of kneading various antistatic agents into a resin (see Patent Document 1). ) Is used. Among these, the method of applying an antistatic agent to the surface of a molded product has drawbacks such as an increase in cost due to an increase in the number of steps and a limitation on the shape of the molded product. In addition, the method of kneading the antistatic agent into the resin cannot provide sufficient antistatic performance depending on the heat resistance and compatibility with the resin, or the hue or transparency of the resin molded product due to the high temperature during molding. There are problems such as loss of sex.
[Patent Document 1] JP-A-9-40855 [Patent Document 2] JP-A-3-64368
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a thermoplastic resin composition imparted with antistatic performance without impairing hue and transparency, and in particular, with respect to a thermoplastic resin having transparency, It is an object of the present invention to provide a novel thermoplastic resin composition containing an antistatic agent that can be added internally without adversely affecting transparency and mechanical properties. The application of antistatic performance according to the present invention is particularly effective for transparent thermoplastic resins, but can also be applied to colored or translucent thermoplastic resins and is limited to transparent thermoplastic resins only. is not.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
As a result of repeated studies on the antistatic performance in order to solve the above-mentioned problems, the present inventors have found that certain salts have extremely excellent antistatic performance and have completed the present invention.
That is, the gist of the present invention resides in a thermoplastic resin composition comprising 100 parts by weight of the thermoplastic resin (A) and 0.001 to 15 parts by weight of the ionic liquid (B).
[0006]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
The thermoplastic resin composition of the present invention contains a thermoplastic resin (A) and an ionic liquid (B).
An ionic liquid is a generic term for salts that are liquid near room temperature, and is a salt composed of a cation and an anion that is liquid in a wide temperature range near room temperature and has a characteristic of extremely low vapor pressure near room temperature ( For example, see Hyundai Kagaku, March 2001, pp. 56-62). Ionic liquids have a vapor pressure of almost zero and do not evaporate even at high temperatures, and are relatively low in viscosity, so they can be used as reaction solvents, and can also be used in electrolyte solutions using their high ionic conductivity. Furthermore, it is also applied to a use as a chemical reaction catalyst by utilizing the Lewis acid performance. In recent years, paying attention to this ionic liquid, attempts have been made to improve characteristics and develop applications including combinations of types of cations and anions constituting the salt.
As described above, the ionic liquid is generally a salt that is liquid near room temperature, that is, a salt having a melting point of near room temperature or lower, but in some cases, a generic term that includes a high melting point (about 200 to 300 ° C.). There is also.
[0007]
The ionic liquid (B) in the present invention is basically a salt composed of a cation and an anion of a liquid in the vicinity of room temperature. Specifically, the cation has an ion center of a nitrogen atom or an ion center of a phosphorus atom, and It is an ionic compound that is liquid at a temperature of 100 ° C. or lower.
More specifically, the ionic liquid having a cation having a nitrogen atom as an ion center is an organic ammonium salt, and examples thereof include, but are not limited to, an organic ammonium salt represented by the following formula (1). It is not something.
C + A − (1)
In formula (1), C + represents a cation, is a quaternary ammonium cation, and A − represents an anion.
[0008]
Examples of quaternary ammonium ions that become cations include tetraalkylammonium ions, imidazolium ions, pyridinium ions, pyrazolium ions, pyrrolium ions, pyrrolium ions, pyrrolidinium ions, piperidinium ions, and the like. It may be substituted with 1 to 6 alkyl groups.
[0009]
Specific examples of the ammonium cation include, for example, tetraalkylammonium ions having an alkyl group having 1 to 10 carbon atoms such as trimethylethylammonium ion, trimethylpropylammonium ion, trimethylhexylammonium ion, tetrapentylammonium ion; C1-C6 dialkylimidazolium ions such as 3-methylimidazolium ion, 1-propyl-3-methylimidazolium ion, 1-butyl 3-methylimidazolium ion, 1-isopropyl-3-methylimidazolium ion 1-ethyl-2,3-dimethylimidazolium ion, 1-ethyl-3,4-dimethylimidazolium ion, 1,3-diethyl-4-methylimidazolium ion, 1,2-diethyl-3 Include imidazolium ions such as trialkyl imidazolium ion having 1 to 4 carbon atoms such as methyl imidazolium ion.
[0010]
Examples of the ionic liquid in which the cation has an ion center of a phosphorus atom include tetraalkylphosphonium ions having an alkyl group having 1 to 6 carbon atoms. Specific examples include tributylethylphosphonium ions, hexadecyltributylphosphonium ions, and the like. Can be mentioned.
[0011]
Specific examples of the anion of the ionic liquid of the present invention include AlCl 4 − , Al 3 Cl 8 − , Al 2 Cl 7 − , PF 6 − , BF 4 − , CF 3 SO 3 − and (CF 3 SO 2 ). Examples thereof include, but are not limited to, 2 N − , (CF 3 SO 2 ) 3 C − , Cl − , Br − , RCO 2 — (R is an organic group) and the like.
[0012]
Specific examples of the organic ammonium salt in the present invention include hydrogen tetramethylammonium maleate such as methyltriethylammonium hydrogen maleate and tetraethylammonium hydrogen maleate, 1-ethyl-3-methylimidazolium tetrafluoroborate, N-hexylpyridinium tetrafluoroborate, 1-butyl-3-methylimidazolium hexafluorophosphate, tetrabutylammonium bromide, 1-ethyl-3-methylimidazolium chloride or N-butylpyridinium chloride . Specific examples of the phosphonium salt include hexadecyltributylphosphonium bromide. These ionic liquids may be used alone or in combination of two or more.
[0013]
The ionic liquid (B) depends on the type of the thermoplastic resin to be added, taking into account the molding temperature of the resin, compatibility with the resin, other additives, the use of the resin composition, etc. An ionic compound in which is appropriately combined is selected and used. As the cation species, imidazolium or pyridium cation species composed of a heterocyclic ring having a nitrogen atom are preferable from the viewpoints of stability and conductivity.
[0014]
The thermoplastic resin (A) used in the present invention is not particularly limited as long as it can be melted and molded by heating. Various known synthetic resins (homopolymers, copolymers, modified products, etc.) can be used. These can be used alone or in combination.
Specifically, polyolefin resins such as polyethylene, polypropylene and polyvinyl acetate, styrene resins such as polystyrene and ABS resin, polyester resins such as polyethylene terephthalate and polybutylene terephthalate, and (meth) acrylic resins such as polymethyl methacrylate. Resins, polyamide resins such as nylon 6, nylon 66, nylon MXD6, polycarbonate resins such as bisphenol A polycarbonate, polyether resins such as modified polyphenylene ether and polyacetal, halogen-containing resins such as polyvinyl chloride, polyphenylene sulfide, polysulfone And sulfur-containing resins such as polybutadiene and rubber-based resins such as polybutadiene. Among these resins, the present invention is particularly effective for resins having excellent transparency such as polyester resins, polycarbonate resins, styrene resins, and (meth) acrylic resins.
[0015]
The resin composition of the present invention contains 0.001 to 15 parts by weight of the ionic liquid (B) with respect to 100 parts by weight of the thermoplastic resin (A). The addition ratio of the ionic liquid (B) to the thermoplastic resin differs depending on the type of resin and the type of ionic liquid, and cannot be determined uniformly, but if it is effective for reducing or eliminating the charge, It can be appropriately changed within the range. If the addition ratio is too low exceeding this range, the antistatic performance of the product molded from the resin will be low. On the other hand, if the addition ratio is too high, other properties of the resin may be adversely affected. .
The addition ratio of the ionic liquid is preferably 0.01 to 12 parts by weight, more preferably 0.1 to 10 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the resin.
[0016]
The ionic liquid is a liquid near room temperature as described above, and its vapor pressure is very low and almost close to 0. Conventionally, an ionic surfactant such as phosphonium alkyl sulfonate used as an antistatic agent is used. Better heat resistance. In addition, when mixed with a resin, it is not necessary to dissolve and add in another solvent. Furthermore, since ions or molecules of an ionic liquid are liquid, the interaction between ions or molecules is small, It is presumed that the resin tends to agglomerate only with an ionic liquid and is uniformly dispersed and dissolved. Therefore, even when a resin containing an ionic liquid is molded at a high temperature, for example, a polycarbonate resin at 220 ° C. to 300 ° C., there is little problem of coloring or functional deterioration due to thermal decomposition, and the hue and transparency are adversely affected. Therefore, excellent antistatic ability can be imparted.
[0017]
In addition to the thermoplastic resin (A) and the ionic liquid (B), various known additives can be added to the resin composition of the present invention as necessary within a range not impairing the properties of the composition. . Examples of such additives include reinforcing agents such as glass fiber, carbon fiber, and metal fiber, fillers such as titanium oxide, silica, alumina, carbon black, and calcium carbonate, mold release agents such as paraffin wax and silicon oil, Various plasticizers, hindered phenols, phosphites and other antioxidants, flame retardants such as halogen compounds and phosphoric acid compounds, UV absorbers or weathering agents, dyes, pigments, foaming agents, etc. is there. Moreover, you may further add various resin containing well-known other thermoplastic resins and thermosetting resins, such as an epoxy resin and a phenol resin.
[0018]
The resin composition of this invention can be manufactured by mix | blending and knead | mixing a thermoplastic resin (A), an ionic liquid (B), and other various addition components added as needed. For blending, a commonly used method such as a ribbon blender, a Henschel mixer, or a drum blender can be used. Various extruders, Brabender plastographs, lab plast mills, kneaders and Banbury mixers are used for melt kneading.
The thermoplastic resin composition of the present invention can be produced by various known molding methods such as injection molding, hollow molding, extrusion molding, compression molding, calendar molding, rotational molding and the like in the fields of electric and electronic equipment, automobiles, and machinery. It can be processed into molded products in the medical field.
[0019]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, although this invention is demonstrated in more detail using an Example, this invention is not limited by this.
In the examples, “part” represents “part by weight”. The resin compositions of Examples and Comparative Examples were subjected to performance evaluation by the following test method after molding a molded piece by injection molding.
[0020]
Test Method (1) Antistatic Property The antistatic performance was evaluated by measuring the surface specific resistance value. For measurement, a digital ultrahigh resistance meter (manufactured by Advantest) is used, and a test piece (a disk having a diameter of 10 cm and a thickness of 3 mm) is placed under conditions of a temperature of 23 ° C. and a relative humidity of 50% according to ASTM D-257. The surface resistivity was measured after the humidity was left for more than a day to adjust the humidity. The smaller the value, the higher the antistatic performance.
[0021]
(2) Permanent antistatic properties Permanent antistatic properties were measured by washing the test pieces that had been evaluated for antistatic properties in (1) above, and then leaving them to stand at a temperature of 23 ° C. and a humidity of 50% for at least 3 days. After wetting, the surface resistivity of the water-washed product was measured. If the surface specific resistance value without water washing treatment is low and the surface specific resistance value of the water-washed product is maintained low, it can be said that the material has excellent permanent antistatic properties. In the washing process, tap water is flowed from a hose with an inner diameter of 8 mm at a flow rate of 5 L / min, and the tap water is moved to a molded specimen placed 15 cm directly below the hose so that the tap water is uniformly applied at a vertical angle for 30 seconds. I went there. Thereafter, the test piece was subjected to substitution washing with ion-exchanged water and dried.
[0022]
[Example 1]
96 parts by weight of polycarbonate resin (Mitsubishi Engineering Plastics Co., Ltd., Iupilon S-3000, viscosity average molecular weight 21,000) and 4 parts by weight of ionic liquid T (Nisshinbo Co., Ltd., ammonium salt) are Henschel mixer. Blended with. The obtained blend was melt kneaded at a cylinder temperature of 260 ° C. using a 30 mm twin screw extruder, and the extruded melt strand was cooled and cut to obtain pellets. The obtained pellets were molded with a 100 t injection molding machine to obtain test pieces for evaluating physical properties.
The surface resistivity of the test piece after humidity control was 5.9 × 10 11 Ω, and the surface resistivity of the water-washed product was 8.4 × 10 14 Ω. Moreover, the hue and transparency of the test piece were colorless and transparent, similar to the case of molding without adding the ionic liquid T.
[0023]
[Comparative Example 1]
A test piece was prepared in the same manner as in Example 1 except that the ionic liquid T was changed to sodium n-dodecylbenzenesulfonate, and the surface resistivity was measured. The surface specific resistance value after conditioning was 2.3 × 10 11 Ω, and the surface specific resistance value of the water-washed product was 2 × 10 17 Ω. The test piece was brown and opaque.
[0024]
[Comparative Example 2]
A test piece was prepared in the same manner as in Example 1 except that the ionic liquid T was changed to 2,4,6-trimethylbenzenesulfonic acid, and the surface resistivity was measured. The surface specific resistance value after conditioning was 2.0 × 10 16 Ω, and the surface specific resistance value of the water-washed product was 1 × 10 17 Ω. The test piece was brown and opaque.
[0025]
【The invention's effect】
The thermoplastic resin composition of the present invention has good antistatic performance, has little degradation in performance due to washing with water, and has little change in hue and transparency as compared with the base polymer. The molded article made of the thermoplastic resin composition of the present invention is excellent in appearance because dust and dust do not adhere to the surface, and it is difficult to cause functional problems such as erroneous operation and charging trouble due to electric shock phenomenon. It can be widely used in many fields such as equipment field, automobile field, machine field, and medical field.