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JP2005014293A - インクジェット記録方法 - Google Patents

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JP2005014293A
JP2005014293A JP2003179501A JP2003179501A JP2005014293A JP 2005014293 A JP2005014293 A JP 2005014293A JP 2003179501 A JP2003179501 A JP 2003179501A JP 2003179501 A JP2003179501 A JP 2003179501A JP 2005014293 A JP2005014293 A JP 2005014293A
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ink
resin
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JP2003179501A
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English (en)
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Hiroyuki Yasukawa
裕之 安川
Toshio Watanabe
敏夫 渡辺
Isao Kobayashi
功 小林
Eiji Yokokura
英司 横倉
Saori Nishio
さおり 西尾
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Konica Minolta Inc
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Konica Minolta Inc
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Abstract

【課題】支持体上に空隙を有するインク吸収層を形成した記録媒体に、コアシェル型着色微粒子分散物を含有する水性インクを用いて記録を行うインクジェット記録方法において、耐光性、耐ガス性に優れた色再現性のよいインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】支持体上に空隙を有するインク吸収層を形成した記録媒体に、色材を含有する樹脂からなる色材含有微粒子を色材を含有しない樹脂にて被覆したコアシェル型着色微粒子分散物を含有するインクを用いて記録を行うインクジェット記録方法において、前記空隙の平均空隙径と前記コアシェル型着色微粒子分散物の平均粒径が式Aを満たすことを特徴とするインクジェット記録方法。
A)0.1<平均空隙径/着色微粒子分散物の平均粒径<1.0
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、インクの微少液滴を種々の作動原理により飛翔させて、インクジェット記録用紙に付着させ、画像、文字などの記録を行うものであり、高速低騒音、多色化が容易であり、記録のパターンの融通性が大きい、現像、定着が不要である等の特徴がある。
【0003】
インクジェット記録用紙(以下、記録媒体ともいう)としては、紙等のように支持体自身がインク吸収性であるものと支持体の上にインク吸収層を設けたものに大きく区分されるが、前者はインクが支持体中に直接浸透するために高い最高濃度が得られなかったり、支持体自身がインク溶媒を吸収して著しいシワを画像状に発生させるために高画質のプリントは得られない。
【0004】
これに対して、支持体上にインク吸収層を設けたインクジェット記録用紙では、インク溶媒による支持体のシワが発生しにくくなり、高画質のインクジェットプリントが得られる。
【0005】
インク吸収層にはいくつかの種類があるが、空隙を有するインク吸収層(以下、空隙型インク吸収層ともいう)は、空隙にインク溶媒を吸収させることから、インク吸収速度が速くプリント時にムラが生じ難く、プリント直後に表面が見かけ上乾いているというメリットがある。
【0006】
インクの種類については、従来主として染料系インクを使用することが多かった。しかしながら、染料インクを用いた場合、染料分子はほぼ分子状態でインク吸収層中に定着されるため、染料分子によっては水溶性が高いことから十分な定着性を付与することができず、経時で画像に滲みが発生する場合がある。また、染料インクは分子状態で存在することから酸素の影響を受け易く、一般的に光退色が酸素の寄与で著しく加速され、耐光性が十分でない等の問題がある。
【0007】
一方、顔料インクを使用した場合は、色材は微粒子状態でインク吸収層に定着されるが、元来溶解性が低いために滲みが起き難く、また、酸素も顔料粒子表面からしか作用しないために、色素の退色速度は遅く耐光性が優れている。
【0008】
前記した水溶性染料を用いた水性インクの耐水性、耐光堅牢性の低い問題を解決するために、油溶性染料ないし疎水性染料を用いて水分散性樹脂を着色したインクジェット記録用インクが提案されている。例えば特開昭55−139471号、特開昭58−45272号、特開平3−250069号、特開平8−253720号、特開平8−92513号、特開平8−183920号、特開2001−11347号等には油溶性染料によって染色された乳化重合粒子または分散した重合粒子を用いたインクが提案されている。このような着色微粒子を用いた水性インクにおいては、粒子表面や粒子外に染料が存在すると効果が減じられ分散安定性、吐出安定性、耐光堅牢性等の諸性能を高めることは困難である。
【0009】
一方、顔料においても、分散安定性、吐出安定性、耐光性向上のために分散剤以外の被膜形成性樹脂により顔料表面を被覆する試みがなされている(例えば、特許文献1、2、3、4参照)。しかしながら、微小粒子顔料を完全に被覆することは容易ではなく従来の顔料分散体の性能を凌駕する被覆顔料は未だ登場していないのが現状である。
【0010】
以上述べてきたように、油溶性染料や顔料を用いた着色微粒子含有水性インクは、従来の水溶性染料、顔料分散体を用いた水性インクの問題点を克服し、高い記録品位を実現する可能性はあるが、各種の問題を残しておりさらなる改良が求められている。
【0011】
【特許文献1】
特開平8−269374号公報
【0012】
【特許文献2】
特開平9−151342号公報
【0013】
【特許文献3】
特開平10−88045号公報
【0014】
【特許文献4】
特開平10−292143号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、支持体上に空隙を有するインク吸収層を形成した記録媒体上に、コア/シェルタイプの色材含有微粒子含有水性インクを用いて記録を行うインクジェット記録方法において、耐光性、耐ガス性に優れた色再現性のよいインクジェット記録方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成される。
【0017】
(1) 支持体上に空隙を有するインク吸収層を形成した記録媒体に、樹脂中に色材を含有する色材含有微粒子を、色材を含有しない樹脂にて被覆したコアシェル型着色微粒子分散物を含有するインクを用いて記録を行うインクジェット記録方法において、前記空隙の平均空隙径と前記コアシェル型着色微粒子分散物の平均粒径が式Aを満たすことを特徴とするインクジェット記録方法。
【0018】
A)0.1<平均空隙径/着色微粒子分散物の平均粒径<1.0
(2) 支持体上に空隙を有するインク吸収層を形成した記録媒体上に、樹脂中に色材を含有する色材含有微粒子を、色材を含有しない樹脂にて被覆したコアシェル型着色微粒子分散物を含有するインクを用いて記録を行うインクジェット記録方法において、前記空隙の平均空隙径と前記コアシェル型着色微粒子分散物の平均粒径が式A′を満たすことを特徴とするインクジェット記録方法。
【0019】
A′)0.1<平均空隙径/着色微粒子分散物の平均粒径<0.8
(3) 前記コアシェル型着色微粒子分散物の体積平均粒子径が10nm以上300nm以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載のインクジェット記録方法。
【0020】
(4) 前記色材を含有しない樹脂が、コアシェル型着色微粒子分散物を構成する総樹脂量の5質量%以上95質量%以下であることを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
【0021】
(5) 前記色材含有微粒子を構成する樹脂と前記色材を含有しない樹脂のモノマー組成が異なることを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
【0022】
(6) 前記インクがポリマーエマルジョン型水系インクであることを特徴とする(1)〜(5)の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
【0023】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、耐光性、耐ガス性を向上させるために空隙を有するインク吸収層の平均空隙径が、着色微粒子分散物の平均粒径と同じかそれ以下である時に従来の染料インクに比べて、耐光性が向上すると共に、コアシェル型着色微粒子分散物のシェル部に当たる樹脂成分がガスバリア性を付与することに着眼し、更にこのときにコアシェル型着色微粒子分散物が空隙に入り込みすぎる事による印字濃度の低下を抑えることの出来る関係式A)(0.1<平均空隙径/着色微粒子分散物の平均粒径<1.0)を見いだした。この式を満たすことにより、耐光性、耐ガス性に優れ、且つプリントした画像の濃度低下を抑えることを可能とする事が出来る。インクのコアシェル型着色微粒子分散物の平均粒径と記録媒体の平均空隙径との関係は、より好ましくは、式A′(0.1<平均空隙径/着色微粒子分散物の平均粒径<0.8)である。これにより、耐光性、耐ガス性、濃度を一段と向上させることが出来る。
【0024】
本発明で用いる記録媒体は、支持体と空隙を有するインク吸収層を有する。
本発明の記録媒体に用いられる支持体は、吸水性支持体と非吸水性支持体のいずれも用いることができるが、プリント後にシワの発生が無く、画像状に平滑性に差が生ぜずに高品位のプリントが得られること、また、容易に半光沢面を形成できることから非吸水性支持体が好ましい。
【0025】
吸水性支持体としては、特に天然パルプを主体とした紙支持体が代表的であるが合成パルプと天然パルプの混合物であってもよい。
【0026】
非吸水性支持体としてはプラスチック樹脂フィルム支持体、あるいは紙の両面をプラスチック樹脂フィルムで被覆した支持体が挙げられる。
【0027】
プラスチック樹脂フィルム支持体としては、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、セルローストリアセテートフィルム、ポリスチレンフィルムあるいはこれらの積層したフィルム支持体等が挙げられる。これらのプラスチック樹脂フィルムは透明、または半透明なものも使用できる。
【0028】
本発明で特に好ましい支持体は紙の両面をプラスチック樹脂で被覆した支持体であり、最も好ましいのは紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体である。以下本発明で特に好ましい支持体である紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体について説明する。
【0029】
本発明の支持体に用いられる紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレン等の合成パルプあるいはナイロンやポリエステル等の合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及び/またはLDPの比率は10〜70%が好ましい。
【0030】
上記パルプは不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0031】
紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤等を適宜添加することができる。
【0032】
抄紙に使用するパルプの濾水度はCSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS P 8207に規定される24メッシュ残分と42メッシュ残分の和が30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分は20%以下であることが好ましい。
【0033】
紙の坪量は50〜250gが好ましく、特に70〜200gが好ましい。紙の厚さは50〜210μmが好ましい。
【0034】
紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。紙密度は0.7〜1.2g/m(JIS P 8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS P 8143に規定される条件で0.2〜2Nが好ましい。
【0035】
紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては前記原紙中に添加できるのと同様のサイズ剤を使用できる。
【0036】
紙のpHはJIS P 8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0037】
次に、この紙の両面を被覆するポリオレフィン樹脂について説明する。この目的で用いられるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレンが挙げられるが、プロピレンを主体とする共重合体等のポリオレフィン類が好ましく、ポリエチレンが特に好ましい。
【0038】
以下、特に好ましいポリエチレンについて説明する。紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0039】
特に塗布層側のポリオレフィン層は、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをその中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリオレフィンに対して概ね1〜20%、好ましくは2〜15%である。
【0040】
ポリオレフィン層中には白地の調整を行うための耐熱性の高い顔料や蛍光増白剤を添加することができる。
【0041】
着色顔料としては、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、マンガンブルー、セルリアン、タングステンブルー、モリブデンブルー、アンスラキノンブルー等が挙げられる。
【0042】
蛍光増白剤としては、ジアルキルアミノクマリン、ビスジメチルアミノスチルベン、ビスメチルアミノスチルベン、4−アルコキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸−N−アルキルイミド、ビスベンズオキサゾリルエチレン、ジアルキルスチルベン等が挙げられる。
【0043】
紙の表裏のポリエチレンの使用量は、インク吸収層の膜厚やバック層を設けた後で低湿及び高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、一般にはポリエチレン層の厚さはインク吸収層側で15〜40μm、バック層側で10〜30μmの範囲である。表裏のポリエチレンの比率はインク受容層の種類や厚さ、中紙の厚み等により変化するカールを調整する様に設定されるのが好ましく、通常は表/裏のポリエチレンの比率は厚みで概ね3/1〜1/3である。
【0044】
更に上記ポリエチレン被覆紙支持体は以下(1)〜(7)の特性を有していることが好ましい。
【0045】
(1)引っ張り強さは、JIS P 8113で規定される強度で縦方向が20N〜300N、横方向が10〜200Nであることが好ましい。
【0046】
(2)引き裂き強度は、JIS P 8116で規定される強度で縦方向が0.1〜20N、横方向が2〜20Nが好ましい。
【0047】
(3)圧縮弾性率は、98.1MPa以上が好ましい。
(4)不透明度は、JIS P 8138に規定された方法で測定したときに80%以上、特に85〜98%が好ましい。
【0048】
(5)白さは、JIS Z 8729で規定されるL、a、bが、L=80〜95、a=−3〜+5、b=−6〜+2であることが好ましい。
【0049】
(6)クラーク剛直度は、記録用紙の搬送方向のクラーク剛直度が50〜300cm/100である支持体が好ましい。
【0050】
(7)原紙中の水分は、中紙に対して4〜10%が好ましい。
次に、本発明に用いられる記録媒体のインク吸収層について説明する。
【0051】
本発明に用いられる記録媒体は支持体上に空隙を有するインク吸収層を有する。
【0052】
空隙を有するインク吸収層としては、従来より、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られており、例えば、二種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子および親水性または疎水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録用紙を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬し、固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して、概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、固体微粒子の間に空隙を形成する方法、平均粒径が約0.1μm程度以下の無機固体微粒子を塗布液調製時または皮膜形成時に軟凝集させて2次粒子または3次元構造を形成して空隙を作製する方法等が知られている。
【0053】
これらのうちでも、特に無機固体微粒子を軟凝集させて空隙を形成する方法で作製した空隙型インク吸収層であることが本発明においては好ましい。
【0054】
空隙型インク吸収層に用いられる無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができ、無機微粒子は、1次粒子のまま用いても、また2次凝集粒子を形成した状態で使用することもできる。
【0055】
無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは空隙層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0056】
無機微粒子としては、シリカ、及びアルミナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いることが好ましい。
【0057】
本発明で用いる記録媒体に用いることのできるシリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられるが、特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカであり、中でも気相法により合成された微粒子シリカは、高い空隙率が得られるだけでなく、染料を固定化する目的で用いられるカチオン性ポリマーに添加したときに、粗大凝集体が形成されにくいので好ましい。また、アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することができる。
【0058】
無機微粒子は、カチオン性ポリマーと混合する前の微粒子分散液が一次粒子まで分散された状態であるのが好ましい。
【0059】
無機微粒子は、その粒径が100nm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
【0060】
最も好ましく用いられる、一次粒子の平均粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社製のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリームインダクターミキサーなどにより、容易に吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することができる。
【0061】
本発明で用いる記録媒体に用いることのできる親水性バインダー(以下、水溶性樹脂ともいう)としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの親水性バインダーは、二種以上併用することも可能である。
【0062】
本発明で用いる記録媒体に好ましく用いられる親水性バインダーは、ポリビニルアルコールである。
【0063】
ポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0064】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0065】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0066】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0067】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0068】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号および同63−307979号に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0069】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
【0070】
空隙型インク吸収層で用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、無機微粒子の種類、水溶性樹脂の種類に大きく依存するが、一般には、記録用紙1m当たり、通常5〜30g、好ましくは10〜25gである。
【0071】
また、空隙型インク吸収層に用いられる無機微粒子と親水性バインダーの比率は、質量比で通常2:1〜20:1であり、特に、3:1〜10:1であることが好ましい。
【0072】
また、分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、記録媒体1m当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
【0073】
空隙型インク吸収層において、空隙の総量(空隙容量)は記録用紙1m当り20ml以上であることが好ましい。空隙容量が20ml/m以上であれば、印字時のインク量が少ない場合に、インク吸収性は良好であり、インク量が多い場合でもインクが完全に吸収され、高画質が得られ、乾燥性も良好である。
【0074】
空隙型インク吸収層の平均空隙径は、水銀圧入法、ガス吸着法等で測定することが可能であるが、本発明では水銀圧入法を用いて空隙型インク吸収層の平均空隙径を求める。
【0075】
空隙型インク吸収層において、固形分容量に対する空隙容量を空隙率という。本発明において、空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚を厚くさせないで空隙を効率的に形成できるので好ましい。
【0076】
空隙型インク吸収層の他のタイプとして、無機微粒子を用いてインク吸収層を形成させる以外に、ポリウレタン樹脂エマルジョン、これに水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ポリビニルアルコールを併用し、更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を併用させた塗工液を用いてインク吸収層を形成させてもよい。この場合のポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネート鎖、ポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を有する粒子径が3.0μmであるポリウレタン樹脂エマルジョンが好ましく、ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂がポリカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールを有するポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応させて得られたポリウレタン樹脂が、分子内にスルホン酸基を有し、さらにエピクロルヒドリンポリアミド樹脂及び水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ビニルアルコールを有することが更に好ましい。上記ポリウレタン樹脂を用いたインク吸収層は、カチオンとアニオンの弱い凝集が形成され、これに伴い、インク溶媒吸収能を有する空隙が形成されて、画像形成できると推定される。
【0077】
空隙型インク吸収層は、無機または有機の微粒子と少量の親水性ポリマーから形成される空隙層を有する多孔質皮膜のものが好ましい。
【0078】
本発明に用いられる記録媒体のインク吸収層には上記以外の各種の添加剤を添加することができる。
【0079】
中でもカチオン化合物は印字後の耐水性や耐湿性を改良するために好ましい。カチオン化合物としては第1〜第3級アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を有するカチオンポリマーが用いられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いこと等から、第4級アンモニウム塩基を有するカチオンポリマーが好ましい。
【0080】
好ましいカチオンポリマーは上記第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体または縮重合体として得られる。
【0081】
カチオン系化合物の具体例は、例えば、「インクジェットプリンター技術と材料」268頁(株式会社シーエムシー発行1998年)に記載されている。
【0082】
上記以外に、例えば、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたは非イオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0083】
本発明において、ポリマーエマルジョン型水系インクに含有されるコアシェル型着色微粒子分散物は、体積平均粒子径が10nm以下であると単位体積あたりの表面積が非常に大きくなるため、色材をコアシェルポリマー中に封入する効果が小さくなる。一方、300nmを越えるほど大きな粒子では、ヘッドに詰まりやすく、またインク中での沈降が起き易く、停滞安定性が劣化する。粒子径は10nm以上250nm以下が好ましく、20nm以上200nm以下がさらに好ましい。
【0084】
体積平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)写真の投影面積(少なくとも100粒子以上に対して求める)の平均値から得られた円換算平均粒径を、球形換算して求める方法や大塚電子製レーザー粒径解析システムや、マルバーン社製、ゼータサイザーを用いて求める事が出来る。
【0085】
本発明においては、コアシェル型着色微粒子分散物の色材を含有しない被覆に用いられる樹脂量が総樹脂量の5質量%以上95質量%以下である。5質量%より少ないと被覆の厚みが不十分で、色材を多く含有するコアの樹脂の一部が粒子表面に現れ易くなる。また、被覆樹脂が多すぎると、コアの色材保護能低下を起こし易い。さらに好ましくは10質量%以上90質量%以下である。
【0086】
本発明におけるコアとなる色材を含有する色材含有微粒子は、各種の方法で調製することができる。例えばモノマー中に油溶性染料を溶解させ、水中で乳化後、重合によりポリマー中に染料を封入する方法、ポリマーと色材を有機溶剤中に溶解し、水中で乳化後有機溶剤を除去する方法、染料溶液に多孔質のポリマー微粒子を添加し、染料を微粒子に吸着、含浸させる手法などがある。それにシェルを設ける手法としては、コアとなるポリマーの水系サスペンションに水溶性のポリマー分散剤を添加し吸着させる手法、モノマーを徐々に滴下し、重合と同時にコア表面に沈着させる方法などがある。
【0087】
あるいは、顔料をポリマーと混練し、その後水系で分散しポリマー被覆顔料コアを作製し、さらに上記の方法によりシェル化を行うことも可能である。
【0088】
コアとなるポリマーと色材を重合後にシェルとなるモノマーに溶解または分散し、水中で懸濁後重合する手法や、その液を活性剤ミセルを含有する水中に徐々に滴下しながら乳化重合していく手法などがある。
【0089】
必要な粒子径を得るには、処方の最適化と、適当な乳化法の選定が重要である。処方は用いる色材、ポリマーによって異なるが、水中のサスペンションであるので、コアシェル型着色微粒子分散物の色材を含有するコアを構成する樹脂と被覆したシェルを構成する樹脂のモノマー組成が異なることが好ましく、コアを構成するポリマーよりシェルを構成するポリマーの方が一般的に親水性が高いことが必要である。親水性、疎水性は、例えば溶解性パラメータ(SP)を用いて見積もることができる。溶解性パラメータは、その値や、測定、計算法がPOLYMER HANDBOOK第4版(JOHN WILEY & SONS,INC.)675ページからの記載が参考になる。
【0090】
また、コア/シェルで用いられるポリマーは、その数平均分子量が500〜100000、特に1000〜30000であることが、印刷後の製膜性、その耐久性及びサスペンションの形成性の点から好ましい。
【0091】
該ポリマーのTgは、各種用いることが可能であるが、用いるポリマーのうち、少なくとも1種以上はTgが10℃以上であるものを用いる方が好ましい。
【0092】
本発明においては、一般に知られているすべてのポリマーを使用可能であるが、特に好ましいポリマーは、主な官能基としてアセタール基を含有するポリマー、炭酸エステル基を含有するポリマー、水酸基を含有するポリマーおよびエステル基を有するポリマーである。上記のポリマーは、置換基を有していてもよく、その置換基は直鎖状、分岐、あるいは環状構造をとっていてもよい。また、上記の官能基を有するポリマーは、各種のものが市販されているが、常法によって合成することもできる。また、これらの共重合体は、例えば1つのポリマー分子中にエポキシ基を導入しておき、後に他のポリマーと縮重合させたり、光や放射線を用いてグラフト重合を行っても得られる。
【0093】
主な官能基としてアセタールを含有するポリマーとしては、ポリビニルブチラール樹脂などが挙げられる。例えば、電気化学工業(株)製の#2000−L、#3000−1、#3000−2、#3000−4、#3000−K、#4000−1、#4000−2、#5000−A、#6000−C、#6000−EP、あるいは積水化学工業(株)製のBL−1、BL−1H、BL−2、BL−2H、BL−5、BL−10、BL−S、BL−SH、BX−10、BX−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S、BM−SH、BH−3、BH−6、BH−S、BX−1、BX−3、BX−5、KS−10、KS−1、KS−3、KS−5などがある。
【0094】
ポリビニルブチラール樹脂は、PVA(ポリビニルアルコール)の誘導体として得られるが、もとのPVAの水酸基のアセタール化度は最大でも80mol%程度であり、通常は50mol%から、80mol%程度である。なお、ポリビニルブチラールの場合には、アセタール基として1,1′−ブチレンジオキシ基が形成されるが、ここでアセタール化度という場合はこの様な狭義のアセタールを指すのではなく、より一般的なアセタール基を意味し、水酸基を有する化合物(この場合ポリビニルアルコール)とアルデヒド基を有する化合物(この場合ブタナール)とから形成されるアセタール基を有する化合物を指す。水酸基については、特に規定はないが、10〜40mol%含有されていることが好ましい。また、アセチル基の含有率に特に規定はないが、10mol%以下であることが好ましい。主な官能基としてアセタール基を含有するポリマーとは、ポリマー中に含まれる酸素原子のうち、少なくとも30mol%以上がアセタール基を形成していることをいう。
【0095】
他に主な官能基としてアセタールを基含有するポリマーとして、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製のユピタールシリーズなども使用可能である。
【0096】
主な官能基として炭酸エステルを含有するポリマーとしては、ポリカーボネート樹脂が挙げられる。たとえば、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製のユーピロンシリーズ、ノバレックスシリーズがある。ユーピロンシリーズはビスフェノールAを原料として作られており、測定法によってその値は異なるが各種の分子量のものを用いることができる。ノバレックスシリーズでは分子量が20000〜30000、ガラス転移点150℃付近のものを用いることができるが、これらに限るものではない。
【0097】
主な官能基として炭酸エステル基を含有するポリマーとは、ポリマー中に含まれる酸素原子のうち、少なくとも30mol%以上が炭酸エステル基の形成に寄与していることをいう。
【0098】
主な官能基として水酸基を含有するポリマーとしては、たとえば、PVAがあげられる。PVAの有機溶剤への溶解度は小さいものが多いが、けん化価の小さいPVAであれば、有機溶剤への溶解度は上昇する。水溶性が高いPVAは水相中に添加しておき有機溶剤除去後に、ポリマーのサスペンションに吸着させるようにして使用することもできる。
【0099】
PVAとしては市販のものを用いることができ、たとえば、クラレのポバールPVA−102、PVA−117、PVA−CSA、PVA−617、PVA−505などのほか、特殊銘柄のサイズ剤用PVA、熱溶融成形用PVA、その他機能性ポリマーとして、KL−506、C−118、R−1130、M−205、MP−203、HL−12E、SK−5102、などを用いることができる。けん化度は50mol%以上のものが一般的であるが、LM−10HDのように40mol%程度であっても、これを用いることも可能である。このようなPVA以外でも主な官能基として水酸基を有するものが使用可能であるが、ポリマー中に含まれる酸素原子のうち少なくとも20mol%以上が水酸基を形成しているものが使用可能である。
【0100】
主な官能基としてエステル基を含有するポリマーとしては、たとえばメタクリル樹脂が挙げられる。旭化成製デルペットシリーズの560F、60N、80N、LP−1、SR8500、SR6500などを用いることができる。これらのポリマーをそれぞれ1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。また、これらのポリマーが質量比で50%以上含まれていれば、他のポリマーが含有されていてもよい。
【0101】
これらのポリマーの共重合体を用いることも好ましいが、たとえば水酸基を含有するポリマーと、各種のポリマーを共重合させる手法として、水酸基をグリシジルメタクリレートのようなエポキシ基を有するモノマーと反応させ、その後、懸濁重合でメタクリル酸エステルモノマーと共重合させ、得ることができる。
【0102】
次に、上記ポリマーによって封入される色材について説明すると、該色材としては、上記ポリマーによって封入され得る色材であれば特に制限無く用いることができ、例えば、油性染料、分散染料、直接染料、酸性染料及び塩基性染料等を挙げることができるが、良好な封入性の観点から油性染料及び分散染料を用いることが好ましい。上記分散染料として、特に好ましい具体例を以下に示すが、これのみに限定されるものではない。特に好ましい具体例としては、C.I.ディスパーズイエロー5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、204、224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119及び163;C.I.ディスパーズレッド54、60、72、73、86、88、91、92、93、111、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356及び362;C.I.ディスパーズバイオレッド33;C.I.ディスパーズブルー56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン6:1及び9等が挙げられる。
【0103】
一方、上記油性染料としては、以下に限定されるものではないが、特に好ましい具体例としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック3、7、27、29及び34;C.I.ソルベント・イエロー14、16、19、29、56及び82;C.I.ソルベント・レッド1、3、8、18、24、27、43、51、72、73、132及び218;C.I.ソルベント・バイオレット3;C.I.ソルベント・ブルー2、11及び70;C.I.ソルベント・グリーン3及び7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ2等が挙げられる。
【0104】
色材として、又、以下に挙げられるような水溶性染料も使用可能である。本発明で用いることのできる水溶性染料としては、例えば、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等を挙げることができ、その具体的化合物を以下に示す。ただし、これら例示した化合物に限定されるものではない。
〔C.I.アシッドイエロー〕1、3、11、17、18、19、23、25、36、38、40、42、44、49、59、61、65、67、72、73、79、99、104、110、114、116、118、121、127、129、135、137、141、143、151、155、158、159、169、176、184、193、200、204、207、215、219、220、230、232、235、241、242、246
〔C.I.アシッドオレンジ〕3、7、8、10、19、24、51、56、67、74、80、86、87、88、89、94、95、107、108、116、122、127、140、142、144、149、152、156、162、166、168
〔C.I.アシッドレッド〕1、6、8、9、13、18、27、35、37、52、54、57、73、82、88、97、106、111、114、118、119、127、131、138、143、145、151、183、195、198、211、215、217、225、226、249、251、254、256、257、260、261、265、266、274、276、277、289、296、299、315、318、336、337、357、359、361、362、364、366、399、407、415
〔C.I.アシッドバイオレット〕17、19、21、42、43、47、48、49、54、66、78、90、97、102、109、126
〔C.I.アシッドブルー〕1、7、9、15、23、25、40、62、72、74、80、83、90、92、103、104、112、113、114、120、127、128、129、138、140、142、156、158、171、182、185、193、199、201、203、204、205、207、209、220、221、224、225、229、230、239、249、258、260、264、278、279、280、284、290、296、298、300、317、324、333、335、338、342、350
〔C.I.アシッドグリーン〕9、12、16、19、20、25、27、28、40、43、56、73、81、84、104、108、109
〔C.I.アシッドブラウン〕2、4、13、14、19、28、44、123、224、226、227、248、282、283、289、294、297、298、301、355、357、413
〔C.I.アシッドブラック〕1、2、3、24、26、31、50、52、58、60、63、107、109、112、119、132、140、155、172、187、188、194、207、222
〔C.I.ダイレクトイエロー〕8、9、10、11、12、22、27、28、39、44、50、58、86、87、98、105、106、130、132、137、142、147、153
〔C.I.ダイレクトオレンジ〕6、26、27、34、39、40、46、102、105、107、118
〔C.I.ダイレクトレッド〕2、4、9、23、24、31、54、62、69、79、80、81、83、84、89、95、212、224、225、226、227、239、242、243、254
〔C.I.ダイレクトバイオレット〕9、35、51、66、94、95
〔C.I.ダイレクトブルー〕1、15、71、76、77、78、80、86、87、90、98、106、108、160、168、189、192、193、199、200、201、202、203、218、225、229、237、244、248、251、270、273、274、290、291
〔C.I.ダイレクトグリーン〕26、28、59、80、85
〔C.I.ダイレクトブラウン〕44、106、115、195、209、210、222、223
〔C.I.ダイレクトブラック〕17、19、22、32、51、62、108、112、113、117、118、132、146、154、159、169
〔C.I.ベイシックイエロー〕1、2、11、13、15、19、21、28、29、32、36、40、41、45、51、63、67、70、73、91
〔C.I.ベイシックオレンジ〕2、21、22
〔C.I.ベイシックレッド〕1、2、12、13、14、15、18、23、24、27、29、35、36、39、46、51、52、69、70、73、82、109
〔C.I.ベイシックバイオレット〕1、3、7、10、11、15、16、21、27、39
〔C.I.ベイシックブルー〕1、3、7、9、21、22、26、41、45、47、52、54、65、69、75、77、92、100、105、117、124、129、147、151
〔C.I.ベイシックグリーン〕1、4
〔C.I.ベイシックブラウン〕1
〔C.I.リアクティブイエロー〕2、3、7、15、17、18、22、23、24、25、27、37、39、42、57、69、76、81、84、85、86、87、92、95、102、105、111、125、135、136、137、142、143、145、151、160、161、165、167、168、175、176
〔C.I.リアクティブオレンジ〕1、4、5、7、11、12、13、15、16、20、30、35、56、64、67、69、70、72、74、82、84、86、87、91、92、93、95、107
〔C.I.リアクティブレッド〕2、3、5、8、11、21、22、23、24、28、29、31、33、35、43、45、49、55、56、58、65、66、78、83、84、106、111、112、113、114、116、120、123、124、128、130、136、141、147、158、159、171、174、180、183、184、187、190、193、194、195、198、218、220、222、223、228、235
〔C.I.リアクティブバイオレット〕1、2、4、5、6、22、23、33、36、38
〔C.I.リアクティブブルー〕2、3、4、5、7、13、14、15、19、21、25、27、28、29、38、39、41、49、50、52、63、69、71、72、77、79、89、104、109、112、113、114、116、119、120、122、137、140、143、147、160、161、162、163、168、171、176、182、184、191、194、195、198、203、204、207、209、211、214、220、221、222、231、235、236
〔C.I.リアクティブグリーン〕8、12、15、19、21
〔C.I.リアクティブブラウン〕2、7、9、10、11、17、18、19、21、23、31、37、43、46
〔C.I.リアクティブブラック〕5、8、13、14、31、34、39
等が挙げられ、これら上記に列挙した染料は、「染色ノート第21版」(出版;色染社)等に記載されている。
【0105】
これら水溶性染料のなかでもフタロシアニン染料が好ましい。フタロシアニン染料としては、無置換あるいは中心元素を有するものが挙げられ、中心元素としては金属、非金属のものが挙げられ、好ましくは銅であり、より好ましくはC.I.ダイレクトブルー199が挙げられる。
【0106】
また、水や各種有機溶剤に不溶な顔料を用いることも可能である。本発明に使用できる顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料が使用できる。例えばアゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料が挙げられる。
【0107】
具体的な有機顔料を以下に例示する。マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0108】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0109】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0110】
本発明のインクに含有されるコアシェル型着色微粒子分散物の平均粒径は10〜300nmであることが好ましく、10〜200nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。コアシェル型着色微粒子分散物の平均粒径が200nmを越えると光沢メディアに記録した画像では光沢感の劣化が起こり、トランスペアレンシーメディアに記録した画像では著しい透明感の劣化が起こる。また、コアシェル型着色微粒子分散物の平均粒径が10nm未満になると該分散物の安定性が悪くなり易く、インクの保存安定性が劣化し易くなる。
【0111】
コアシェル型着色微粒子分散物の粒径測定は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることができる。また、透過型電子顕微鏡による粒子像撮影を少なくとも100粒子以上に対して行い、この像をImage−Pro(メディアサイバネティクス社製)等の画像解析ソフトを用いて統計的処理を行うことによっても求めることが可能である。
【0112】
色材として、あるいは、特開平9−277693号、特開平10−20559号、特開平10−30061号に示されるような、金属錯体色素も使用可能である。好ましい構造としては下記一般式(1)で表されるものである。
一般式(1) M(Dye)(A)
式中、Mは金属イオンを表し、Dyeは金属と配位結合可能な色素を表す。Aは色素以外の配位子を表し、lは1ないし3、mは0、1、2、3を表す。mが0のときlは2または3を表し、その場合Dyeは同種でも異なっていてもよい。Mで表される金属イオンとしては、例えばAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Mo、Ni、Sn、Ti、Pt、Pd、Zr及びZnのイオンが挙げられる。色調、各種耐久性からNi、Cu、Cr、Co、Zn、Feのイオンが特に好ましい。更に好ましくはNiイオンである。
【0113】
Dyeで表される金属と配位結合可能な色素としては種々の色素構造が考えられるが、共役メチン色素、アゾメチン色素、アゾ色素骨格に配位基を有するものが好ましい。
【0114】
以上述べてきた各種色材の中でも分子構造内に窒素原子を有するものが特に好ましい。
【0115】
本発明のコアシェル型着色微粒子分散物を含有するポリマーエマルジョン型水系インクは、ポリマー量として該インク中に0.5〜50質量%配合されることが好ましく、0.5〜30質量%配合されることが更に好ましい。上記ポリマーの配合量が0.5質量%に満たないと、色材の保護能が十分でなく、50質量%を超えると、サスペンションのインクとしての保存安定性が低下したり、ノズル先端部でのインク蒸発に伴うインクの増粘やサスペンションの凝集が起こることによってプリンタヘッドの目詰りが起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0116】
一方、上記色材は、該インク中に1〜30質量%配合されることが好ましく、1.5〜25質量%配合されることが更に好ましい。上記色材の配合量が1質量%に満たないと印字濃度が不十分であり、30質量%を超えるとサスペンションの経時安定性が低下し、凝集等による粒径増大の傾向があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0117】
本発明のコアシェル型着色微粒子分散物を含有するポリマーエマルジョン型水系インクは、水を媒体とし、上記色材を封入したポリマーのサスペンションからなり、該サスペンションには従来公知の各種添加剤、例えば多価アルコール類のような湿潤剤、分散剤、シリコーン系等の消泡剤、クロロメチルフェノール系等の防黴剤及び/又はEDTA等のキレート剤、又、亜硫酸塩等の酸素吸収剤等が含有されていてもよい。
【0118】
ここで、上記湿潤剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール及びそのエーテル、アセテート類、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、トリエタノールアミン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物類、ジメチルサルフォキサイドの一種又は二種以上を使用することができる。これらの湿潤剤の配合量に特に制限はないが、上記インク中に好ましくは0.1〜50質量%配合することができ、更に好ましくは0.1〜30質量%配合することができる。
【0119】
また、上記分散剤としては、特に制限されるものではないが、そのHLB値が8〜18であることが、分散剤としての効果が発現し、サスペンションの粒子径の増大抑制効果がある点から好ましい。
【0120】
分散剤として市販品も使用することができる。そのような市販品としては、例えば花王(株)製の分散剤デモールSNB,MS,N,SSL,ST,P(商品名)が挙げられる。
【0121】
分散剤の配合量に特に制限はないが、本発明のインク中に、0.01〜10質量%配合されることが好ましい。該化合物の配合量が0.01質量%に満たないとサスペンションの小粒径化が困難であり、10質量%を超えるとサスペンションの粒径が増大したりサスペンション安定性が低下し、ゲル化するおそれがあるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0122】
また、上記消泡剤としては、特に制限なく、市販品を使用することができる。そのような市販品としては、例えば信越シリコーン社製のKF96、66、69、KS68、604、607A、602、603、KM73、73A、73E、72、72A、72C、72F、82F、70、71、75、80、83A、85、89、90、68−1F、68−2F(商品名)等が挙げられる。これら化合物の配合量に特に制限はないが、本発明のポリマーエマルジョン型水系インク中に、0.001〜2質量%配合されることが好ましい。該化合物の配合量が0.001質量%に満たないとインク調製時に泡が発生し易く、又、インク内での小泡の除去が難しく、2質量%を超えると泡の発生は抑えられるものの、印字の際、インク内でハジキが発生し印字品質の低下が起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0123】
本発明のポリマーエマルジョン型水系インクは、インクジェット記録用のインクとして以外に、例えば、一般の万年筆、ボールペン、サインペン等の筆記具用のインクとしても使用可能である。本発明のサスペンションを乾燥し、微粒の粉体を得ることもできる。得られた粉体は、電子写真のトナーなどにも使用可能である。
【0124】
次に、本発明のインクジェット記録方法について説明する。
本発明のインクジェット記録方法で使用するインクジェットヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
【0125】
本発明の記録方法として、同色インクについて、濃度の異なるインク(濃淡インク)を備えることは好ましく、低濃度から高濃度までの広い範囲表現が可能になり、かつ画像粒状性及び濃度階調表現が向上する。濃淡インクの濃度比の好ましい範囲としては、濃インクの色材濃度に対して、淡インクの色材濃度は、50〜10%である。濃淡インクは、全ての色で使用する必要はなく、色再現性と濃度階調に応じて行えばいい。
【0126】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、実施例中の「%」は、特に断りのない限り絶乾質量%を示す。
【0127】
実施例1
含水率6.5%、坪量170g/mの写真用原紙の裏面に、密度0.92の低密度ポリエチレンを30μmの厚さで塗布した。次いで、表側にアナターゼ型酸化チタン5.5%を含有する密度0.92の低密度ポリエチレンを35μmの厚さで塗布して、両面をポリエチレンで被覆した支持体を作製した。
【0128】
表側にコロナ放電を行いゼラチン下引き層を0.3g/m、裏面にもコロナ放電を行った後ラテックス層を厚みが0.2g/mになるように塗布し、下引き済み支持体を得た。
【0129】
次に、表側用の下記組成の分散液を調製した。
〈酸化チタン分散液1の調製〉
平均粒径が約0.25μmの酸化チタン20kg(石原産業製:W−10)をpH=7.5のトリポリリン酸ナトリウム150g、ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)500g、カチオンポリマー(p−1)150g及びサンノブコ株式会社製消泡剤SN381を10g含有する水溶液90Lに添加し、高圧ホモジナイザー(三和工業株式会社製)で分散した後、全量を100Lに仕上げて均一な酸化チタン分散液1を得た。
【0130】
【化1】
Figure 2005014293
【0131】
〈シリカ分散液1の調製〉
1次粒子の平均粒径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル工業株式会社製:アエロジル380S)125kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpH=3.0に調整した600Lの純水中に室温で吸引分散した後、全量を660Lに純水で仕上げた。
【0132】
〈シリカ分散液2の調製〉
カチオンポリマー(p−1)1.29kgを、エタノール4.2L、n−プロパノール1.5Lを含有する水溶液(pH=2.3)15Lに、シリカ分散液1の66.0Lを攪拌しながら添加し、ついで、ほう酸260gとほう砂230gを含有する水溶液7.0Lを添加し、前記の消泡剤SN381を1g添加した。
【0133】
この混合液を三和工業株式会社製高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で90Lに仕上げてシリカ分散液2を調製した。
【0134】
〈蛍光増白剤分散液1の調製〉
チバガイギー株式会社製の油溶性蛍光増白剤UVITEX−OB・400gをジイソデシルフタレート9000g及び酢酸エチル12Lに加熱溶解し、これを酸処理ゼラチン3500g、カチオンポリマー(p−1)、サポニン50%水溶液6Lを含有する水溶液65Lに添加混合して三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで乳化分散し、減圧で酢酸エチルを除去した後全量を100Lに仕上げた。
【0135】
〈塗布液の調製〉
第1層、第2層、第3層の塗布液を以下の手順で調製した。
【0136】
第1層用塗布液
シリカ分散液2の560mlを40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0137】
Figure 2005014293
純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0138】
第2層用塗布液
シリカ分散液2の630mlを40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0139】
Figure 2005014293
純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0140】
第3層用塗布液
シリカ分散液2の640mlを40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0141】
Figure 2005014293
純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0142】
上記のようにして得られた塗布液を、下記のフィルターでろ過した。
第1層と第2層:東洋濾紙株式会社製TCP10で2段ろ過
第3層:東洋濾紙株式会社製TCP30で2段ろ過
ポリオレフィンで両面を被覆した前記下引き済み支持体の表側に、第1層(40μm)、第2層(110μm)、第3層(30μm)の順になるように各層を同時塗布した。かっこ内はそれぞれの湿潤膜厚を示す。塗布は、それぞれの塗布液を40℃で3層式カーテンコーターで同時塗布を行い、塗布直後に8℃に保持した冷却ゾーンで20秒間冷却した後、20〜30℃の風で60秒間、45℃の風で60秒間、50℃の風で60秒間順次乾燥した(恒率乾燥域における皮膜温度は8〜25℃であり、減率乾燥域で皮膜温度は徐々に上昇した)後、23℃、相対湿度40〜60%で調湿した。
【0143】
次に、酢酸エチルに溶解したイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製コロネート3041と、住友バイエルウレタン株式会社製スミジュールN3300の2:8(質量比)の混合物)を2.0g/mになるようにオーバーコートし、記録媒体1を作製した。
【0144】
さらに、シリカ分散液1のシリカを表1に示すシリカに変えた以外はすべて記録媒体1の作製方法と同じ手順で記録媒体2〜4を作製した。
【0145】
作製した記録媒体1〜4について、平均空隙径を測定した。結果を表1に示す。尚、平均空隙径は、自動ポロシメータ(オートポアIV9500、マイクロメリテック社製)を用いて水銀圧入法で求めた。
【0146】
【表1】
Figure 2005014293
【0147】
実施例2
20gのポリビニルブチラール(積水化学製BL−S、平均重合度350)、14gのC.I.ソルベント・ブルー70及び200gの酢酸エチルをセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素ガスで置換後、攪拌して上記ポリマー及び染料を完全溶解させた。ラウリル硫酸ナトリウム4.2gを含む水溶液220gを滴下して撹拌した後、超音波分散機(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて、300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、染料を含浸するコアとなる着色微粒子を得た。これにスチレン(St)8gと2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)5gの混合液と過硫酸カリウム(10質量%)水溶液8gを60℃で滴下しながらシード重合を行いシェル化を行った。以上のようにしてコアシェル構造を持つポリマーエマルジョンPEM−1を得た。
【0148】
実施例3
実施例2においてC.I.ソルベント・ブルー70の代わりに染料Aを用いた以外は同様の操作によりポリマーエマルジョンPEM−2を得た。
【0149】
【化2】
Figure 2005014293
【0150】
実施例4
実施例2においてC.I.ソルベント・ブルー70の代わりにValifast Yellow3150(オリエント化学製)を用いた以外は同様の操作によりポリマーエマルジョンPEM−3を得た。
【0151】
実施例5
実施例2においてC.I.ソルベント・ブルー70の代わりに、Oil BlackBY(オリエント化学製)を用いた以外は同様の操作によりポリマーエマルジョンPEM−4を得た。
【0152】
実施例6
実施例2においてスチレン(St)及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の添加量を2倍にした以外は同様の操作によりポリマーエマルジョンPEM−5を得た。
【0153】
実施例7
実施例2において、BL−Sの代わりにポリビニルアルコール樹脂(MP−203、クラレ製)5gとBL−S10gの混合物を用いた以外は同様の操作によりポリマーエマルジョンPEM−6を得た。
【0154】
実施例8
実施例2において、スチレン(St)及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の代わりにメチルメタクリレート18gを用いた以外は同様の操作によりポリマーエマルジョンPEM−7を得た。
【0155】
比較例1
実施例2において過硫酸カリウム、スチレン(St)及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を添加しなかった以外は同様の操作によりポリマーエマルジョンPEM−8を得た。
【0156】
比較例2
実施例2においてスチレン(St)及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の代わりにBL−S15gを用いた以外は同様の操作によりポリマーエマルジョンPEM−9を得た。
【0157】
比較例3
実施例2においてスチレン(St)の添加量を2gに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の添加量を2gに変更した以外は同様の操作によりポリマーエマルジョンPEM−10を得た。
【0158】
このようにして作製した各ポリマーエマルジョンについて、大塚電子製レーザー粒径解析システムを用いて体積平均粒径の測定を行った。
【0159】
次いで、上記で得られた各ポリマーエマルジョン80gにエチレングリコール12g、グリセリン7.8g及びKF69(信越シリコーン社製)0.2gを混合し、得られた分散液を5ミクロンのフィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去して各インクジェット用インクを得た。
【0160】
【表2】
Figure 2005014293
【0161】
このようにして作製したインクを用いて、市販のエプソン(株)製インクジェットプリンター PM−800により表1に示した記録媒体にプリントし、耐光性、耐ガス性、色調を評価した。
【0162】
(評価方法)
(1)耐光性試験は、低温XeウェザーメータXL75(スガ試験機製)を用いて行った。また濃度変化はX−Rite900(日本平板機材製)を用いて測定した。1週間試験後、もとの濃度から60%以上残存しているものを◎、60%未満から40%残存しているものを○(許容レベル)、それ以下を×(不可レベル)とした。
【0163】
(2)(耐ガス性評価試験)前記各印刷物を、それぞれ、ガス導入口及び排出口の付いたガラス容器に入れ、ガス発生器にて発生させたオゾンガスを1ppmで100時間連続して該ガラス容器に導入してガス処理を行った(温度24℃、湿度60%)。そして、色差計を用いて、ガス処理前後の各印刷物の各色印刷部分についての色差を求め、下記評価基準により評価した。
【0164】
〈評価基準〉
◎:色差が5未満、耐ガス性良好
○:色差が5以上15未満、耐ガス性問題なし
△:色差が15以上20未満、実用限界
×:色差が20以上、実用に堪えない。
【0165】
(3)色調は、目視にて判定した。○は許容レベル、×は不可レベルである。
【0166】
【表3】
Figure 2005014293
【0167】
本発明の構成とすることにより、耐光性、耐ガス性、色再現性(色調)に優れたインクジェット記録方法を得ることができた。
【0168】
【発明の効果】
空隙型インクジェット記録媒体の平均空隙径と、コアシェル型着色微粒子分散物を含有するインクの該分散物の平均粒径が、次式A)0.1<平均空隙径/着色微粒子分散物の平均粒径<1.0を満たすようにすることにより、耐光性、耐ガス性、色再現性に優れたインクジェット記録方法を得ることができた。

Claims (6)

  1. 支持体上に空隙を有するインク吸収層を形成した記録媒体に、樹脂中に色材を含有する色材含有微粒子を、色材を含有しない樹脂にて被覆したコアシェル型着色微粒子分散物を含有するインクを用いて記録を行うインクジェット記録方法において、前記空隙の平均空隙径と前記コアシェル型着色微粒子分散物の平均粒径が式Aを満たすことを特徴とするインクジェット記録方法。
    A)0.1<平均空隙径/着色微粒子分散物の平均粒径<1.0
  2. 支持体上に空隙を有するインク吸収層を形成した記録媒体上に、樹脂中に色材を含有する色材含有微粒子を、色材を含有しない樹脂にて被覆したコアシェル型着色微粒子分散物を含有するインクを用いて記録を行うインクジェット記録方法において、前記空隙の平均空隙径と前記コアシェル型着色微粒子分散物の平均粒径が式A′を満たすことを特徴とするインクジェット記録方法。
    A′)0.1<平均空隙径/着色微粒子分散物の平均粒径<0.8
  3. 前記コアシェル型着色微粒子分散物の体積平均粒子径が10nm以上300nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記色材を含有しない樹脂が、コアシェル型着色微粒子分散物を構成する総樹脂量の5質量%以上95質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記色材含有微粒子を構成する樹脂と前記色材を含有しない樹脂のモノマー組成が異なることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記インクがポリマーエマルジョン型水系インクであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
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